JP6586365B2 - 釘打ち用樹脂シートとその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、弾球遊技機のエンターテイメント性を高めるため、遊技盤の素材として透明樹脂シートを用い、さらに液晶表示パネル等の表示パネルおよび/またはLED(発光ダイオード)等の照明装置を組み合わせた構成が検討されている。
ポリカーボネート系樹脂シートは、表面硬度が比較的低いため、遊技球との摩擦または遊技球の衝突で傷が付きやすい傾向がある。
メタクリル系樹脂シートは表面硬度が比較的高いため、遊技球との摩擦または遊技球の衝突でも、傷が付きにくい。しかしながら、一般的なメタクリル系樹脂は耐衝撃性が不充分であり、釘打ち時に樹脂割れが生じる恐れがある。そこで、特許文献1、2には、釘打ち時の樹脂割れを抑制するために、メタクリル系樹脂にアクリル系ゴム粒子を添加して、耐衝撃性を改善した釘打ち用樹脂シートが開示されている(特許文献1の請求項1、特許文献2の請求項1)。
アクリル系ゴム粒子の添加は樹脂シートの耐衝撃性を向上して釘打ち時の樹脂割れを抑制できるものの、釘が打ち込まれたシート面の洗浄時のひび割れを解消できない場合がある。
透明熱可塑性樹脂からなり、
厚さが5〜20mmであり、
厚さ方向に見て、表層部および裏層部の残留応力の絶対値が70kg/cm2以下である釘打ち用樹脂シートである。
上記の本発明の釘打ち用樹脂シートを製造する方法であって、
前記透明熱可塑性樹脂を加熱溶融し、シート状に押出す押出成形手段と、
互いに隣接して配置され、前記押出成形手段により押出されたシート状物を加圧しながら冷却する複数の冷却ロールからなる冷却ロールユニットと、
互いに対向して上下に配置され、製造された前記樹脂シートを引き取る力を発現する一対の引取ロールとを備えた製造装置を用い、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち最下流の冷却ロールから離れる時点における、前記樹脂シートの全体の温度を115〜165℃の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち、上流側から2番目に位置する第2の冷却ロールの周速度をV2とし、前記一対の引取ロールの周速度をVXとしたとき、
前記第2冷却ロールの周速度V2に対する前記一対の引取ロールの周速度VXの比(VX/V2)を0.98〜1.01の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットと前記一対の引取ロールとの間において、前記樹脂シートを5〜50℃の範囲内に調温された環境内を通過させて徐冷するものである。
本明細書において、「シート」は可撓性を有しない板状物である。
本明細書において、釘打ち用樹脂シートの「表面」は釘を打つ側のシート面であり、「裏面」はその反対側のシート面である。釘を打つ前において、表面は一方のシート面であり、裏面は他方のシート面であり、「表面」と「裏面」は明確に区別されない。
「表層部」は、表面から深さ0.5mmまでの部分を指す。同様に、「裏層部」は、裏面から深さ0.5mmまでの部分を指す。
示差走査熱量測定装置(島津製作所社製「DSC−50」)を用い、いったん試料を230℃まで昇温して室温まで冷却した後、再度、室温から230℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させる条件にてDSC曲線を測定する。得られたDSC曲線から求められる中間点をガラス転移温度(Tg)とする。なお、DSC曲線において複数のショルダーが現れる場合は、その最も高温側のショルダーに基づいて、ガラス転移温度(Tg)を決定する。
本発明は、釘打ち用樹脂シート(以下、単に「樹脂シート」または「シート」と略記する場合がある。)に関する。
釘打ち用途としては特に制限されず、例えば弾球遊技機が挙げられる。
弾球遊技機では、遊技盤に対してNC(numerical control machining)加工等により形成された複数の孔(通常、貫通孔)内に、遊技球の落下方向を変化させるための釘が打ち込まれる。
他の釘打ち用途としては、樹脂サッシおよび目地材等の建材用途等が挙げられる。
厚さtが5mm未満では、特に40℃以上の温度環境下において、シートに反りが生じやすく、これによって釘抜けまたは釘の位置変化が生じやすい。
厚さtの上限は、シート成形性等から、70mm程度である。
弾球遊技機等の用途において、厚さtが5mm未満では、特に40℃以上の温度環境下において、シートに反りが生じやすく、これによって釘抜けまたは釘の位置変化が生じやすい傾向があり、厚さtが30mm超または20mm超では、シートが重くなり、取扱い性が低下する傾向がある。
製造方法および製造条件によっては、製造される釘打ち用樹脂シートの表層部および裏層部に残留応力が残る場合がある。表層部および裏層部の残留応力は、圧縮応力および/または引張応力である。
表層部および裏層部の残留応力が大きい程、溶剤を含む洗浄剤を用いて釘が打ち込まれたシート面を洗浄した場合、シート面にひび割れが生じやすい傾向がある。このひび割れは特に、釘の周辺で生じやすい。
表層部および裏層部の残留応力の絶対値が70kg/cm2以下である場合、釘が打ち込まれたシート面の洗浄時のひび割れを抑制することができる。
表層部および裏層部の残留応力の絶対値は、好ましくは65kg/cm2以下である。
製造方法および製造条件を工夫することで、表層部および裏層部の残留応力の絶対値を70kg/cm2以下、好ましくは65kg/cm2以下に調整することができる。
表層部および裏層部の残留応力を効果的に低減できることから、押出成形法が特に好ましい。具体的な好適な製造条件については、後記する。
透明熱可塑性樹脂は、メタクリル系樹脂(A)およびポリカーボネート系樹脂等の透明樹脂が好ましい。
表面硬度が比較的高く、遊技球との摩擦または遊技球の衝突でも傷がつきにくいことから、メタクリル系樹脂(A)が特に好ましい。
メタクリル系重合体において、メタクリル酸メチル(MMA)に由来する単量体単位の含有量は好ましくは70〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%であり、特に好ましくは90〜100質量%である。
メタクリル系重合体は必要に応じて、メタクリル酸メチル(MMA)に由来する単量体単位以外に1種または2種以上の単量体単位を含むことができる。
メタクリル系樹脂(A)のMwおよびメタクリル系重合体の平均重合度が上記範囲にあると、靭性および耐衝撃性等の力学物性が良好であり、厚さが均一で表面平滑性に優れるシートが得られやすい。
ガラス転移温度(Tg)は、分子量等を調節することによって制御することができる。
耐熱分解性が高く、異物が少なく、透明性が高いメタクリル系樹脂が得られるという観点から、無溶剤の連続ラジカル重合およびアニオン重合法等が好ましい。
上記の公知重合法において、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類または量、あるいは、重合開始剤の種類または量等を調整することによって、Mwが所望範囲であるメタクリル系樹脂(A)を製造することができる。
本発明の釘打ち用樹脂シートにおいて、透明熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂(A)を含む場合、該透明熱可塑性樹脂はさらに、アクリル系ゴム(B)を含むことが好ましい。
アクリル系ゴム(B)は、釘打ち用樹脂シートの耐衝撃性を向上し、釘打ち時の樹脂割れを抑制することができる。
アクリル系ゴム(B)としては特に制限されず、少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子(BX)、および、ブロック共重合体(BY)等が挙げられる。
耐衝撃性の向上効果が効果的に得られることから、アクリル系ゴム(B)は多層構造粒子(BX)を含むことが好ましい。
少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子(BX)は、軟質層(ゴム層)と硬質層とを含むいわゆるコアシェル構造を有するアクリル系ゴム粒子である。
多層構造粒子(BX)の添加量が過多では、樹脂シートの透明性および表面硬度が低下する恐れがある。
耐衝撃性の向上効果が効果的に得られ、樹脂シートの透明性および表面硬度が良好となることから、多層構造粒子(BX)の含有量は好ましくは15質量%以上、より好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは15〜30質量%、特に好ましくは18〜30質量%、最も好ましくは20〜30質量%である。
樹脂シートの一片を充分乾燥して水分を除去した後、その質量(W1)を測定する。
次に、上記シート片を試験管に入れ、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去する。
その後、真空加熱乾燥機を使用してアセトンを除去し、残留物の質量(W2)を測定する。
次式に基づいて、多層構造粒子(BX)の含有量を求める。
[多層構造粒子(BX)の含有量]=(W2/W1)×100(%)
シート中の多層構造粒子(BX)の粒子径が過大では、特に多層構造粒子(BX)の添加量が多い場合、打ち込まれた釘が抜けやすくなる傾向がある。
耐衝撃性の向上効果が効果的に得られ、釘抜けが抑制されることから、シート中の多層構造粒子(BX)の粒子径は、好ましくは0.05〜0.3μmである。
重合体粒子のラテックス中の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し、求めるものとする。
具体的には、樹脂シートの一部を切り出し、凍結条件下でミクロトームにより厚さ方向に切断し、得られた切片をルテニウム酸で染色した後、染色されたゴム粒子の断面をTEMで観察する。粒子100個の平均値を平均粒子径とする。
最外層が、少なくとも1種のメタクリル酸エステル単位40〜100質量%、および、必要に応じて共重合可能な他の単量体単位0〜60質量%を含む硬質層であり、
少なくとも1つの内層(最外層より内側の層)が、少なくとも1種のアクリル酸エステル単位40〜99.9質量%、必要に応じて共重合可能な他の単量体単位0〜60質量%、および、多官能性単量体単位0.1〜5質量%を含む軟質層(ゴム層)である多層構造粒子(BX−1)が好ましい。
共重合可能な不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステルが挙げられる。
これらは1種または2種以上用いることができる。
軟質層(ゴム層)に用いられるアクリル酸エステルは、アクリル酸ブチルおよび/またはアクリル酸−2−エチルヘキシルを含むことが好ましい。
ブロック共重合体(BY)は特に制限されず、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルを主成分とするメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)とアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルを主成分とするアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)とを含むブロック共重合体(BY−1)が好ましい。ブロック共重合体(BY)中のメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)の数は特に制限されず、単数でも複数でもよい。同様に、ブロック共重合体(BY)中のアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)の数は特に制限されず、単数でも複数でもよい。
本発明の釘打ち用樹脂シートは必要に応じて、上記以外の任意成分を含むことができる。
本発明の釘打ち用樹脂シートは、1種または2種以上の他の樹脂を含むことができる。
本発明の釘打ち用樹脂シートは、1種または2種以上の各種添加剤を含むことができる。
滑剤は樹脂シートに潤滑性を付与して、樹脂シートの摩擦係数を低下させる成分であり、この成分を添加することで、樹脂シートの切断あるいは孔開け等の加工において、潤滑効果により樹脂シートと工具との摩擦熱を抑制して、樹脂シートの加工面の外観品質の低下および工具への樹脂融着を抑制することができる。
滑剤として用いられる脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、およびステアリルアルコール等の炭素数12〜18の飽和脂肪族アルコールがより好ましく、パルミチルアルコール、およびステアリルアルコール等の炭素数16〜18の飽和脂肪族アルコールが特に好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、およびホルムアミジン類等が挙げられる。
これらは1種または2種以上を用いることができる。
上記の中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、および2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)等が好ましい。
特に、内層に比較的低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の比較的高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましい。
高分子加工助剤の平均重合度は、好ましくは3,000〜40,000である。
本発明の釘打ち用樹脂シートは、押出成形法、キャスト成形法、および射出成形法等の公知の成形方法により製造される。
上記したように、内部残留応力および表裏の残留応力差を効果的に低減できることから、押出成形法が好ましい。
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の樹脂シートの製造装置の構造およびこれを用いた製造方法について説明する。図1は、製造装置の模式図である。
本実施形態において、
押出成形手段110は、
原料の透明熱可塑性樹脂210Mが投入されるホッパ等の原料投入部111と、
透明熱可塑性樹脂210Mを加熱溶融し、押出すスクリュー部112と、
加熱溶融された透明熱可塑性樹脂210Mをシート状に吐出する吐出口113Aを含むTダイ113とを備えたTダイ付き押出機である。
冷却ロールユニット120は、少なくとも、Tダイ113の吐出口113Aの下方に離間部を有する第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122とを含む。
第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122との間で挟持され、加圧および冷却された得られた樹脂シート210は、第1の冷却ロール121から離れて第2の冷却ロール122の面上を通りながら冷却され、第2の冷却ロール122と第3の冷却ロール123との間に供され、加圧される。
樹脂シート210はさらに、第2の冷却ロール122から離れて第3の冷却ロール123の面上を通りながら冷却され、第3の冷却ロール123と第4の冷却ロール124との間に供され、加圧される。
樹脂シート210はさらに、第3の冷却ロール123から離れて第4の冷却ロール124の面上を通りながら冷却された後、第4の冷却ロール124から離れて、次の工程に向かう。なお、この時点では、樹脂シート210は充分に冷却されておらず、完全には固化していない。
第1の製造室R1内の環境温度T1は特に調整されておらず、加熱溶融された透明熱可塑性樹脂210Mの存在により常温(20〜25℃)より高めの例えば35〜40℃程度である。
第2の製造室R2内の環境温度T2は、冷却ロールユニット120により加圧および冷却されて得られた樹脂シート210を徐冷するため、後記温度範囲内に調整される。
第2の製造室R2内の環境温度T2は、公知の空調設備等を用いて調整することができる。
保護フィルム貼着手段130は、樹脂シート210の表面に保護フィルム220を供給する第1の保護フィルムロール131と、樹脂シート210の裏面に保護フィルム220を供給する第2の保護フィルムロール132とを含む。
保護フィルム貼着手段130は、第2の製造室R2の外側に設けられている。
第2の製造室R2内で徐冷された後の樹脂シート210は、充分に冷却され、充分に固化しているので、保護フィルム220の貼着工程は、特に環境温度を調温する必要がない。
なお、本実施形態の釘打ち用樹脂シートの製造装置1の構成は一例に過ぎず、適宜設計変更可能である。
はじめに、押出成形手段110により原料の透明熱可塑性樹脂210Mを加熱溶融し、シート状に押出す。
次に、冷却ロールユニット120により、押出成形手段110により押出されたシート状物を加圧および冷却して、樹脂シート210が得られる。
次に、得られた樹脂シート210を第2の製造室R2内で徐冷する。
次に、保護フィルム貼着手段130により、樹脂シート210の両面に保護フィルム220を貼着する。
なお、後工程(2)を実施する場合には、下記製造条件1〜3の充足に関わらず、表層部および裏層部の残留応力の絶対値を70kg/cm2以下、好ましくは65kg/cm2以下に調整することができる。
冷却ロールユニット120の最下流の冷却ロール(図1に示す例では、第4の冷却ロール124)から離れる時点における樹脂シート210の温度が165℃超では、得られる釘打ち用樹脂シートの表面平滑性が低下する傾向がある。
本実施形態ではまた、製造条件3として、冷却ロールユニット120と一対の引取ロール141、142との間の第2の製造室R2の環境温度T2を5〜50℃、好ましくは20〜50℃の範囲内に調温する。
上記製造条件2、3を充足することで、表層部および裏層部の残留応力の絶対値を70kg/cm2以下、好ましくは65kg/cm2以下に調整することができる。
これは、以下の理由によると推察される。
周速度比VRが1.01超の場合、樹脂シート210に加わる引張応力が大きくなる傾向がある。また、第2の製造室R2内の環境温度T2が5℃未満の場合、第2の製造室R2内を通過する樹脂シート210の温度が環境温度T2と同様に低くなるため、樹脂シート210の熱収縮が大きくなり、流れ方向の引張応力が大きくなる傾向がある。
第2の製造室R2の環境温度T2が50℃超の場合、釘打ち用樹脂シートが効率良く冷却されず、製造効率が良くない傾向がある。
本発明の釘打ち用樹脂シートの製造方法は、工程(1)(押出成形工程)の後にさらに、得られた樹脂シートに対して、常温(20〜25℃)より高い温度で、かつ、構成樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で加熱する工程(2)を有することができる。工程(2)は例えば、工程(1)(押出成形工程)後に得られた樹脂シート210の両面に保護フィルム220を貼着し、さらに、好ましくは0.5〜5mの長さに切断した後、実施することができる。
樹脂シートの切断は、工程(2)の実施後でもよい。
加熱方式は特に制限されず、赤外線方式、温風方式、および電熱ヒータ方式等が挙げられる。複数の加熱方式を組み合わせてもよい。
本工程の加熱温度は、好ましくは60〜100℃である。
本工程の加熱時間は特に制限されず、加熱温度に応じて決定され、好ましくは5分間〜60分間である。
加熱処理後の樹脂シートは、低減された残留応力を維持するために、応力の発生しない環境下で冷却(自然冷却を含む)することが好ましい。加熱処理後の樹脂シートは例えば、25〜30℃の環境下で静置状態にて自然冷却することが好ましい。
以上のようにして、板状の樹脂シート210が製造される。
<アクリル系三層構造粒子(BX−1a)の製造>
還流冷却器付反応器に、イオン交換水145質量部、ステアリン酸ナトリウム(SS)0.45質量部、ラウリルザルコシン酸ナトリウム(LSS)0.08質量部、および炭酸ナトリウム(SC)0.05質量部を投入し、撹拌溶解させた後、メタクリル酸メチル(MMA)32.9質量部、アクリル酸メチル(MA)2.1質量部、および架橋剤としてのメタクリル酸アリル(ALMA)0.07質量部を投入し撹拌しながら80℃に昇温した。次いで2%過硫酸カリウム水溶液1.8質量部を投入し、80℃に昇温し60分間保持することにより、ラテックスを得た。
上記ラテックスの存在下に、2%過硫酸カリウム水溶液2.2質量部を投入し、アクリル酸ブチル(BA)36.99質量部、スチレン(ST)8.01質量部、および架橋剤としてのメタクリル酸アリル(ALMA)0.9質量部からなる単量体混合物を60分かけて連続的に添加し、添加終了後30分間保持した。
次いで上記ラテックス存在下に、2%過硫酸カリウム水溶液1.0質量部を投入し、メタクリル酸メチル(MMA)18.8質量部、アクリル酸メチル(MA)1.2質量部、n−オクチルメルカプタン(n−OM)0.04質量部からなる単量体混合物を30分かけて連続的に添加し、添加終了後60分保持した。
以上のようにして、中心側より、硬質層(第1層)、軟質層(第2層、ゴム層)、および硬質層(第3層)からなり、平均粒子径が0.23μmであるアクリル系三層構造粒子(BX−1a)を40質量%含むラテックスを得た。
得られたアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の各層の単量体組成および各層の質量比は、表1に示す通りである。
製造例1で得られたアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の分散用に、90質量部のMMAと10質量部のMAとを乳化重合して得られ、平均粒子径が0.13μmであり、重合度が960である、第1のメタクリル系樹脂(A−1)のラテックスを用意した。
製造例1で得られたアクリル系三層構造粒子(BX−1a)ラテックスと第1のメタクリル系樹脂(A−1)のラテックスとを質量比67:33で混合したラテックスを、公知方法により凝固、ろ過、洗浄、脱水、および乾燥して、第1の耐衝撃性メタクリル系樹脂(C−1)を得た。この第1の耐衝撃性メタクリル系樹脂(C−1)のMFR(メルトフローレート)は、1.5g/10分であった。
第2の耐衝撃性メタクリル系樹脂(C−2)中のアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の含有量Cは、23質量%であった。
上記で得られた第2の耐衝撃性メタクリル系樹脂(C−2)を用い、図1に示したような製造装置を用い、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を主成分とする、シート厚tが10mmであるメタクリル系樹脂シートを押出成形した。
なお、押出成形手段110としては、東芝機械(株)社製の150mmφ一軸押出機を用いた。
第2の冷却ロール122および第4の冷却ロール124の温度を調整することで、最下流の冷却ロール(この例では、第4の冷却ロール124)から離れる時点におけるメタクリル系樹脂シートの全体の温度TSを140℃に調整した。
第2の製造室R2の環境温度(冷却ロールユニットと一対の引取ロールとの間の環境温度)T2は、25℃とした。
第2冷却ロール122の周速度V2に対する一対の引取ロール141、142の周速度VXの比(周速度比VR=VX/V2)は1.00とした。
表2中の各略号は、以下の通りである。
PMMA:ポリメタクリル酸メチル、
PC:ポリカーボネート、
C:原料樹脂中のアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の含有量、
t(mm):製造された樹脂シートの厚さ、
TS:最下流の冷却ロールから離れる時点における、樹脂シートの全体の温度、
VR:第2冷却ロール122の周速度V2に対する一対の引取ロール141、142の周速度VXの比(周速度比、VX/V2)、
T2:第2の製造室R2の環境温度(冷却ロールユニットと一対の引取ロールとの間の環境温度)。
図2に示すように、各板状の樹脂シート11に対して、ボール盤を用いた穴開け加工を実施した。
1.73mmφ径のドリルを用いて、各樹脂シート11に対して長手方向に等間隔で4個の貫通穴11Hを形成した。4枚の樹脂シート11の穴開け位置は同一とした。
図2は、4個の貫通穴を形成した樹脂シートの模式斜視図である。
4個の貫通穴11Hを形成した4枚の樹脂シート11を、以下の評価に供した。
はじめに、4個の貫通穴11Hを形成した1枚の樹脂シート11について、釘打ち前の表層部および裏層部の残留応力の測定を実施した。
図3に示すように、4個の貫通穴11Hを形成した1枚の樹脂シート11から、各貫通穴11Hを中心に、平面視1cm角の正方形状のサンプルを厚さ方向に切り出した(計4個の切出しサンプル12A〜12D、各切出しサンプルのサイズは縦1cm×横1cm×厚さ10mm)。
図3は、計4個の切出しサンプルの模式斜視図である。
なお、サンプル切出しは、加工歪を生じさせないために、以下のように実施した。
ダイヤモンドブレードを備えた(株)マルトー社製の低速切断機「MC−201N」を用い、25℃程度の冷却水で冷却しながら、「低速回転・低速送り」モードで切出しを実施した。この際、サンプルの自重で刃送りを実施した。
図示するように、切断方向は、シートの押出成形方向(長手方向)またはシートの幅方向(短手方向)に対して平行方向とした。
各切出しサンプル12A〜12Dにおいて、シートの押出成形方向およびシートの幅方向について、側面から表層部および裏層部の残留応力の測定を実施した。
図3では、太矢印で測定方向を模式的に示してある。
ナトリウム光源を用いたバビネ補正器型精密歪計(東芝硝子(株)社製「東芝歪検査器SVP−30−II」)を用い、倍率5倍の条件で、各切出しサンプル12A〜12Dについて、表層部および裏層部のリタデーションRを測定し、次式に基づいて表層部および裏層部の残留応力を算出した。
残留応力=R/(3.8×T)
(上記式中、Rはリタデーションであり、Tはシート厚(cm)である。なお、3.8は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の光弾性定数((nm/cm)/(kg/cm2))である。)
表層部の残留応力として4個の切出しサンプル12A〜12Dについてそれぞれシートの押出成形方向とシートの幅方向で測定して得られた計8測定値のうち最大値55kg/cm2を、このシートの表層部の残留応力とした。
同様に、裏層部の残留応力として4個の切出しサンプル12A〜12Dについてそれぞれシートの押出成形方向とシートの幅方向で測定して得られた計8測定値のうち最大値55kg/cm2を、このシートの裏層部の残留応力とした。
次に、4個の貫通穴11Hを形成した別の1枚の樹脂シート11について、釘打ち後の表層部および裏層部の残留応力の測定を実施した。
図4に示すように、各樹脂シート11の各貫通穴11Hに対して、(株)島津製作所社製「オートグラフAG−2000B」を用い、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)をシート厚の深さ分だけ打ち込んだ。
図4中、符号13は釘を示す。
上記と同様に、釘打ち後の裏層部の残留応力を測定したところ、釘打ち後の裏層部の残留応力は、55kg/cm2であった。
次に、4個の貫通穴11Hを形成した別の1枚の樹脂シート11について、釘打ち前の耐洗浄剤性の評価を実施した。
図5に示すように、各貫通穴11Hを中心に一般的に弾球遊技機の洗浄に用いられている市販のスプレータイプの溶剤入りの洗浄剤を泡状に吹き付けた。洗浄剤は各貫通穴11Hを中心に約10cm径の範囲に吹き付け、1箇所につき吹付け量は約3.0gとした。
洗浄剤1種につき1個の貫通穴11Hを使用し、以下の洗浄剤A〜Dについて評価を実施した。
洗浄剤A:太平商会社製「セルクイック」、
洗浄剤B:光新星社製「マクセル」、
洗浄剤C:宝商事社製「セルピカ」、
洗浄剤D:宝商事社製「スッキリ」。
図5中、符号A〜Dは、泡状に吹き付けた洗浄剤A〜Dをそれぞれ示す。
洗浄剤A〜Dを吹き付けた樹脂シート11を常温(20〜25℃)にて24時間放置した後、目視にて貫通穴11Hの周囲のクラックの有無を観察し、下記基準にて釘打ち前の耐洗浄剤性を評価した。
判定基準
○(良):クラックが見られなかった。
△(可):1mm未満の比較的小さなクラックが生じた。
×(不可):1mm以上の比較的大きなクラックが生じた。
洗浄剤A〜Dのいずれについても、クラックは見られなかった。
次に、4個の貫通穴11Hを形成した別の1枚の樹脂シート11について、釘打ち後の耐洗浄剤性の評価を実施した。
図6に示すように、樹脂シート11の各貫通穴11Hに対して、(株)島津製作所社製「オートグラフAG−2000B」を用い、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)をシート厚の深さ分だけ打ち込んだ。図6中、符号13は釘を示す。
その後、図6に示すように、上記の釘打ち前の耐洗浄剤性の評価と同様の方法にて、釘打ち後の耐洗浄剤性の評価を実施した。洗浄剤A〜Dのいずれについても、クラックは見られなかった。
実施例2においては、押出成形工程(工程(1))の製造条件を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、メタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートについて、実施例1と同様に評価を実施した。評価結果を表3に示す。
実施例3〜6の各例においては、実施例1と同様にして、表2に示す条件でメタクリル系樹脂シートを押出成形した(工程(1))。さらに、これらの各例においては、押出成形後の樹脂シートを押出方向に5m長に切り出し、温風方式で切り出したシートを表2に示す条件で加熱し(工程(2))、その後25〜30℃の環境下に静置して自然冷却した。その後、板状に切断した。得られたメタクリル系樹脂シートについて、実施例1と同様に評価を実施した。評価結果を表3に示す。
アクリル系ゴム(B)として、多層構造粒子である(株)クラレ社製「パラペットEB」を用いた。上記の多層構造粒子30質量部、メタクリル酸メチル(MMA)70質量部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を混合して、シラップを得た。
上記シラップを脱泡し、キャスト成形用の鋳型の内部に注入した。縦1000mm×横1500mm×厚さ12mmの2枚のガラス板が塩化ビニール製ガスケットを挟持して対向配置された鋳型を用いた。
シラップを注入した鋳型を60℃のウォーターバスに4時間浸漬させて一次加熱(前重合)した後、120℃にセットされた熱風炉内で2時間二次加熱(後重合)して、縦1000mm×横1500mm×厚さ10mmの板状のメタクリル系樹脂シートを得た。
得られたメタクリル系樹脂シートについて、実施例1と同様に評価を実施した。主な製造条件と評価結果を表2、表3に示す。
特許第5274840号公報(特表第2008−523191号公報)の実施例1に記載の方法に準拠して、アクリル系ゴム(B)としてブロック共重合体を含むキャスト成形用シラップを得た。
上記シラップを脱泡し、キャスト成形用の鋳型(実施例7と同じ鋳型)の内部に注入した。シラップを注入した鋳型を60℃のウォーターバスに6時間浸漬させて一次加熱(前重合)した後、120℃にセットされた熱風炉内で2時間二次加熱(後重合)して、縦1000mm×横1500mm×厚さ10mmの板状のメタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートについて、実施例1と同様に評価を実施した。主な製造条件と評価結果を表2、表3に示す。
ポリカーボネート系樹脂としてポリカーボネート(PC)(帝人(株)製「パンライトL−1225Y」)を用い、シリンダ温度290℃、金型温度100℃の条件で射出成形を実施して、ポリカーボネート系樹脂シートを得た。射出成形後、ポリカーボネート系樹脂シートを切断して、縦530mm、横470mm、厚さ10mmの板状の樹脂シートを4枚用意した。主な製造条件を表2に示す。実施例1と同様の方法にて、各樹脂シートに対して4個の貫通穴を形成した(図2を参照)。
4個の貫通穴を形成した1枚の樹脂シートについて、釘打ち前の表層部および裏層部の残留応力の評価を実施した。
ポリカーボネート(PC)は光弾性係数が大きいため、釘打ち前の表層部および裏層部の残留応力の測定は、実施例1とは異なる以下の方法で実施した。
図7に示すように、4個の貫通穴を形成した樹脂シートから、各貫通穴を中心に十字状にサンプルを切り出した(十字幅1cm、厚さ1mm)。
切断方向は、シートの射出成形方向(長手方向)またはシートの幅方向(短手方向)に対して平行方向とした。
図7左図は、サンプル切出し前の樹脂シートにおける1個の貫通穴およびその近傍の部分模式平面図である。図7左図中、破線は切断線を示す。図7右図は、切出しサンプルの模式平面図である。図7中、符号21は板状の樹脂シート、符号21Hは貫通穴をそれぞれ示す。図7中、符号22Xはシートの幅方向の切出しサンプル(1個の貫通穴に対して計2サンプル)、符号22Yはシートの射出成形方向の切出しサンプル(1個の貫通穴に対して計2サンプル)をそれぞれ示す。
1個の貫通穴21Hに対して1個の切出しサンプル22Xを用いて、側面から、表層部および裏層部のシートの幅方向の残留応力の測定を実施した。同様に、1個の貫通穴21Hに対して1個の切出しサンプル22Yを用いて、側面から、表層部および裏層部のシートの射出成形方向の残留応力の測定を実施した。図7右図では、太矢印で測定方向を模式的に示してある。
実施例1と同様の方法にて、各サンプル22X、22Yについて、表層部および裏層部のリタデーションRを測定し、次式に基づいて表層部および裏層部の残留応力を算出した。
残留応力=R/(55×T)
(上記式中、Rはリタデーションであり、Tはシート厚(cm)である。なお、55は、ポリカーボネートの光弾性定数((nm/cm)/(kg/cm2))である。)
表層部の残留応力として得られた計8測定値(1個の貫通穴に対して計2個の切出しサンプル×4箇所の貫通穴)のうち最大値を、このシートの表層部の残留応力とした。
同様に、裏層部の残留応力として得られた計8測定値(1個の貫通穴に対して計2個の切出しサンプル×4箇所の貫通穴)のうち最大値を、このシートの裏層部の残留応力とした。
釘打ち前の残留応力の評価結果を表3に示す。
次に、4個の貫通穴21Hを形成した別の1枚の樹脂シート21について、実施例1と同様の方法にて、釘打ち後の表層部および裏層部の残留応力の測定を実施した。
釘打ち後の残留応力の評価結果を表3に示す。
次に、実施例1と同様の方法にて、4個の貫通穴を形成した別の1枚の樹脂シートを用いて、釘打ち前の耐洗浄剤性の評価を実施した。また、実施例1と同様の方法にて、4個の貫通穴を形成した別の1枚の樹脂シートについて、釘打ち後の耐洗浄剤性の評価を実施した。評価結果を表3に示す。釘打ち前および釘打ち後において、いずれの洗浄剤でも5〜40mmの比較的大きなクラックが観察された。
押出成形工程(工程(1))の製造条件を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、メタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートについて、実施例1と同様に評価を実施した。評価結果を表3に示す。釘打ち前および釘打ち後の耐洗浄剤性の評価において、洗浄剤A、B、Cではクラックは観察されなかったが、洗浄剤Dでは1mm以下の比較的小さなクラックが観察された。
110 押出成形手段
111 原料投入部
112 スクリュー部
113 Tダイ
113A 吐出口
120 冷却ロールユニット
121 第1の冷却ロール
122 第2の冷却ロール
123 第3の冷却ロール
124 第4の冷却ロール
130 保護フィルム貼着手段
131、132 保護フィルムロール
140 引取手段
141、142 引取ロール
210 樹脂シート
210M 透明熱可塑性樹脂
220 保護フィルム
R1 第1の製造室
R2 第2の製造室
Claims (2)
- 透明熱可塑性樹脂からなり、厚さが5〜20mmである釘打ち用樹脂シートであって、
メタクリル系樹脂(A)とアクリル系ゴム(B)とを含み、
アクリル系ゴム(B)は、少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子であり、
アクリル系ゴム(B)の含有量が15〜30質量%であり、
厚さ方向に見て、表層部および裏層部の残留応力の絶対値が70kg/cm2以下である、釘打ち用樹脂シート。 - 前記透明熱可塑性樹脂を加熱溶融し、シート状に押出す押出成形手段と、
互いに隣接して配置され、前記押出成形手段により押出されたシート状物を加圧しながら冷却する複数の冷却ロールからなる冷却ロールユニットと、
互いに対向して上下に配置され、製造された前記樹脂シートを引き取る力を発現する一対の引取ロールとを備えた製造装置を用い、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち最下流の冷却ロールから離れる時点における、前記樹脂シートの全体の温度を115〜165℃の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち、上流側から2番目に位置する第2の冷却ロールの周速度をV2とし、前記一対の引取ロールの周速度をVXとしたとき、
前記第2の冷却ロールの周速度V2に対する前記一対の引取ロールの周速度VXの比(VX/V2)を0.98〜1.01の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットと前記一対の引取ロールとの間において、前記樹脂シートを5〜50℃の範囲内に調温された環境内を通過させて徐冷する、
請求項1に記載の釘打ち用樹脂シートの製造方法。
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