JP6585976B2 - 電気防食システム及びそれを備えた海水淡水化プラント - Google Patents

電気防食システム及びそれを備えた海水淡水化プラント Download PDF

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Description

本発明は、電気防食システム及びそれを備えたプラントに係り、特に外部電源方式の電気防食システム及びそれを備えたプラントに関する。
海水等の電解液中に浸された金属表面の防食を行うものとして、特許文献1に記載される技術が知られている。特許文献1では、電源を有しない犠牲陽極をケーシング内部に配し、犠牲陽極と離間するケーシングの壁面にオリフィスを形成し、当該オリフィスのケーシング壁面に占める面積の割合からケーシング内部へ通流する海水の流速を、ケーシング外部の海水の流速に対して低減する構造が記載されている。
また、海水等の電解液を通流する金属配管を電気防食するシステムとして、特許文献2に記載される技術が提案されている。特許文献2では、防食対象である金属配管の内面の汚れ、金属配管の内面近傍を通流する電解液の流速、及び電解液の温度等を計測するセンサを備え、上記センサによる計測値と予め記憶される設計時の仕様に基づき防食電流を制御する構成が記載されている。
特開平3−104890号公報 特開平2‐4987号公報
特許文献1に記載される技術は、ケーシング内部を通流する海水の流速を低減することで防食電流を抑制し、電源を有しない犠牲陽極の消耗速度を低減する構造である。従って、そもそも特許文献1に記載される技術は、外部電源方式の電気防食システムとは異なり、電気防食システムの電極についての示唆すら無い。
特許文献2に記載される技術は、防食対象表面の流速に応じて必要な防食電流を制御する構成である。しかしながら、特許文献2には、電気防食システムを構成する電極自体の構造については何ら考慮されていない。
そこで本発明は、海水淡水化プラント等のプラントの金属配管や構造部材内に配される電気防食用の電極を長寿命化することで、電気防食システムの長寿命化を可能とし得る電気防食システム及びそれを備える海水淡水化プラントを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明の電気防食システムは、少なくとも電解液の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有すると共に、前記電解液を通流する金属配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極と、前記電極及び前記金属配管との間にケーブルを介して電圧を印加する電源を備え、前記電極が配される電極領域内を通流する前記電解液の流速が、前記電極領域外における前記電解液の流速よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明の電気防食システムを備えた海水淡水化プラントは、前処理部により処理された海水を加圧する高圧ポンプと、前記高圧ポンプにより加圧された海水を導入し、高濃度の塩水である濃縮水と透過水とに分離する逆浸透膜モジュールと、前記逆浸透膜モジュールより排出される濃縮水を導入し、前記高圧ポンプを駆動する動力の一部としてエネルギーを回収するエネルギー回収装置と、前記高圧ポンプと前記逆浸透膜モジュールとを接続する金属配管である供給水配管と、前記逆浸透膜モジュールと前記エネルギー回収装置とを接続する金属配管である濃縮水供給配管と、前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面に絶縁材料を介して支持されると共に、前記海水又は濃縮水の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有する電極と、前記電極と前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管との間にケーブルを介して電圧を印加する電源を有する電気防食システムと、を備え、前記電極が配される電極領域内を通流する前記海水又は濃縮水の流速が、前記電極領域外における前記海水又は濃縮水の流速よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、海水淡水化プラント等のプラントの配管や構造部材内に配される電気防食用の電極を長寿命化することで、電気防食システムの長寿命化を可能とし得る電気防食システム及びそれを備える海水淡水化プラントを提供することができる。
例えば、電極領域を通流する電解液の流速を増加させることで、電気防食用の電極寿命を低下させる要因となる、電気化学反応が発生する閾値まで電位を上昇させることを不要とし、電極の長寿命化が可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る海水淡水化プラントの全体概略構成図である。 図1に示す電気防食システムの模式図である。 図2におけるA−A断面矢視図である。 炭素の電位−pH関係図である。 炭素のアノード分極曲線を示す図である。 ステンレス鋼S31803のカソード分極曲線を示す図である。 防食電流を説明する図である。 本発明の一実施例に係る実施例1の電気防食システムの模式図である。 図8におけるA−A断面矢視図である。 本発明の他の実施例に係る実施例2の電気防食システムの模式図である。 図10におけるA−A断面矢視図である。 本発明の他の実施例に係る実施例3の電気防食システムの模式図である。 図12におけるA−A断面矢視図である。 比較例の電気防食システムの模式図である。
本明明細書において、「電解液」とは、海水(Sea Water:SW)、汽水(Brackish Water:BW)、かん水、食塩水、塩水、更には下水(Waste Water:生活用廃水、工業用排水含む)等の淡水を含む。ここでかん水とは、塩化ナトリウム等の塩分を含んだ水をいい、海水との境界に存在する汽水もかん水に含まれ、また、過去に海水が閉じ込められてできた化石水、岩塩地帯の塩分を含んだ水など陸水にもかん水が存在する。また、塩化ナトリウム濃度で区分すると0.05%未満が淡水、0.05%以上0.35%未満が汽水、0.35%以上0.5%未満が食塩水、0.5%以上が塩水と呼称される。なお、海水の塩化ナトリウム濃度は0.24%から2.96%程度であり、海域により濃度差がある。また、任意のイオン種を含む水溶液も本明細書における「電解液」に含まれる。
金属材料を海水中のような腐食が発生しやすい環境下で使用する機器、例えば海水淡水化プラント設備の配管材として使用する場合には、金属材料に腐食の発生を抑制する対策として、犠牲陽極方式や外部電源方式の電気防食法、表面被覆法、高耐食性材料法のいずれかを主として用いている。この中で、外部電源方式の電気防食法は、海水淡水化に使用するRO膜(Reverse Osmosis Membrane:逆浸透膜)の劣化原因となる金属溶出が少ないという特徴がある。
電気防食法は、腐食作用における電子移動を制御する防食方法である。外部電源方式の電気防食法では、防食の対象となる機器の構造部材として用いられる金属材料に、電源を介して、電流を発生するための電極を接続する。このとき、電極は金属材料と共通の電解液に接触させ、電解液を介して回路が形成されるようにする。
電極は、電源によって防食対象の金属材料との間に電圧が印加される。この時、電極を貴な電位にしてアノード(陽極)とし、金属材料を卑な電位にしてカソード(陰極)とする場合をカソード防食法と称される。逆に、電極を卑な電位にしてカソードとし、金属材料を貴な電位にしてアノードとする場合をアノード防食法と称される。本発明では、カソード防食法とアノード防食法のどちらにも適用可能だが、海水淡水化プラントに多く適用されるカソード防食法を用い、電解液として海水を、一例に以下説明する。
電極は電源によって貴な電位に分極されることで電解液との界面で電気化学反応を起こし、電子を防食対象の金属材料側に移送する。その際、防食対象の金属材料は、電子供給を受けてアノード反応(腐食)が減少する卑な電位に分極される。
防食対象の金属材料は、例えば、炭素鋼、ダイス鋼、ニッケル鋳鉄、低合金鋼等の鉄鋼材料が挙げられる。また、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼、二相系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼等のステンレス鋼が挙げられる。さらに、青銅や黄銅等の銅合金、キュプロニッケルやモネル等のニッケル基合金が挙げられる。製法として、鋳造、圧延、鍛造、めっき、溶接肉盛、いわゆる3Dプリンタ技術が挙げられる。また、溶接部も防食対象となる。一方、電極の材料としては、例えば、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化ロジウム等の貴金属酸化物やそれらを複合したMMO(Mixed Metal Oxide)、酸化鉄や酸化チタン等の酸化物、白金やイリジウム等の貴金属、白金−チタン等の合金、高珪素鉄、タンタル、炭素などが挙げられる。
このような外部電源方式の防食システム及びこれを備えた海水淡水化プラントの例を、以下図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る海水淡水化プラントの全体概略構成図である。
図1に示すように、海水淡水化プラント1は、被処理水である海水(原水)5の取水から下流に向かい順に、海岸40近くに設けられ導水路41を通じて海水5を導入する吸込み槽42、吸込み槽42内に吸込み部を含む主要部が浸漬するよう設置される海水取水ポンプ(ポンプ装置)30、ポンプ装置30により吸い込まれた海水中の砂等の異物をろ過する二層ろ過器44、二層ろ過器44でろ過された海水5を貯留するろ過海水槽45、ろ過海水槽45に設置されたポンプ46、保安フィルタ47、高圧ポンプ49、RO膜モジュール52、エネルギー回収装置(Energy Recovery Device:ERD)50、生産水槽54及び図示しない濃縮水貯留槽から構成されている。
ポンプ装置30は、吸込み槽42内にベース板42a及び据え付け部31により設置され、ポンプ装置30の吐出側には吐出配管43が接続されている。吐出配管43の他端は二層ろ過器44に接続され、二層ろ過器44でろ過された海水5は、ろ過海水槽45に導かれる。そして、ろ過海水槽45に備えられたポンプ46により、保安フィルタ47に供給される。保安フィルタ47で鉄粒などの異物が除去された海水5は、エネルギー回収装置50が接続された高圧ポンプ49に送られる。高圧ポンプ49で加圧された海水5は、供給水配管48を介してRO膜モジュール52に供給され、高濃度の塩水である濃縮水と塩分等が除去された透過水(淡水)に膜分離される。塩分等を除去された透過水は、透過水配管53を介して生産水槽54に供給され貯留される。一方、RO膜モジュール52で水分を減少させて濃縮された、高濃度の塩水である濃縮水は、濃縮水供給配管51を介してエネルギー回収装置50に導かれる。エネルギー回収装置50にて回収されたエネルギーは、高圧ポンプ49を駆動する動力の一部として使用される。また、エネルギー回収装置50にてエネルギーが回収されて低圧となった濃縮水は、濃縮水排出配管55を介して図示しない濃縮水貯留槽へ供給され、海水淡水化プラント1外に送られる。
ここで、エネルギー回収装置50として、例えば、海水5の一部とRO膜モジュール52より排出される高圧濃縮水をそれぞれ2本のシリンダに導入し、シリンダ内部のピストンを介して高圧濃縮水の圧力を海水に伝達するDWEER(Dual Work Exchanger Energy Recovery)、Turbochagerにより高圧濃縮水の圧力を高圧ポンプ49に伝達するもの、海水5の一部を直接高圧濃縮水と接触させることで高圧濃縮水の圧力を海水側に伝達するPX(Pressure Exchanger)、又は、高圧濃縮水を、先端を絞ったノズルにより流速を上げ、直接ペルトン水車のバケットに当てることで、ペルトン水車を回転させ、水車軸と直結した高圧ポンプ49へその動力を伝達するもの等が用いられる。
なお、図1に示す、二層ろ過器44及びろ過海水槽45から構成される前処理部を、以下のような構成に代えても良い。
ポンプ装置30により吸い込まれた海水を貯留する原水貯留槽、高分子凝集剤又は無機系凝集剤を貯留する凝集剤槽、凝集剤槽より適宜凝集剤を原水貯留槽へ注入するための凝集剤注入ポンプ、及び精密ろ過膜(Microfiltration Membrane:MF膜)又は限外ろ過膜(Ultrafiltration Membrane:UF膜)より前処理部を構成する。この場合、前処理部にて、凝集剤注入ポンプを介して適宜凝集剤が原水貯留槽に注入される。そして、原水貯留槽内において海水中に含まれる有機物等の不純物は注入された凝集剤に捕捉されフロックを形成する。フロックを含む原水は、精密ろ過膜(MF膜)又は限外ろ過膜(UF膜)にてフロック及び海水中に含まれる不純物をその孔径サイズに応じて膜分離し、膜分離された後の海水は保安フィルタ47へ供給される。高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系凝集剤が用いられ、無機系凝集剤としては、例えば塩化第二鉄が用いられる。
ポンプ装置30の揚水管の内外面は、吸込み槽42内において海水に浸漬する。また、高圧ポンプ49やポンプ46の内面は、海水に接している。そのため、腐食が発生する可能性を有する環境下にある。さらに、高圧ポンプ49から下流の高圧にさらされる配管部分、すなわち、供給水配管48及び濃縮水供給配管51等は、金属配管が用いられており5MPa以上の内圧で海水又は濃縮水が流動している。これらの金属配管では、塩濃度に依存する腐食現象が時間経過とともに発生する可能性があり、特に、配管結合部であるフランジ部や、表面組織と表面粗さが不均一となる溶接部では高腐食速度である局部腐食が進展する場合がある。これらの腐食の発生を防止するために、図1に示すように、電気防食システム10が設けられている。なお、以下では、供給水配管48に電気防食システム10を設置する場合を一例に説明するが、これに限られるものでは無く、電気防食システム10を濃縮水供給配管51に設置する構成としても良く、また、電気防食システム10を供給水配管48及び濃縮水供給配管51の双方に設置する構成としても良い。
図2は図1に示す電気防食システム10の模式図であり、図3は図2におけるA−A断面矢視図である。図2に示すように、電気防食システム10は、金属配管である供給水配管48の内部に絶縁性台座12を介して設置される電極11及び電源14を備える。上述の前処理部を経て高圧ポンプ49にて加圧された海水5は、白抜き矢印で示す方向(図2中、左側から右側へと向かう方向)に一定の流量及び流速にて流動している。また、供給水配管48の内周面と電極11の間には絶縁性台座12が挿入されており、絶縁性ボルト13で締結されている。これにより、供給水配管48と電極11は絶縁されている。また、電極11と絶縁性台座12は、流れを乱さぬよう、表面の凹凸が小さくなるよう滑らかに接続されている。図3に示すように、電極11と絶縁性台座12は円環状をなし、隣接する絶縁性ボルト13が相互に直交するよう4本の絶縁性ボルト13にて供給水配管48に締結されている。また、図2及び図3に示すように、電極11の中央部には、流路方向(海水5の通流方向)に沿って内径D2の円筒状の開口が設けられている。また、図2に示すように、電極11と絶縁性台座12は、海水5が流入する入口側(流入側)と海水5が流出する出口側(流出側)に、内径がD2から供給水配管48の内径D1に一致するまで連続的に拡大する部分を有する。すなわち、電極11と絶縁性台座12は、流入側及び流出側に海水5の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有する部分と、内径がD2で一定となる円筒状の開口を有する部分を備え、これらにて電極領域を形成している。換言すれば、電極11と絶縁性台座12の海水5の流入側及び流出側に形成される傾斜面は、円錐の一部として近似される形状を有する。具体的には、上記傾斜面は、底面の直径がD1の円錐のうち直径D2の部分で切り欠いた形状にて近似される。供給水配管48はケーブル15aにより電源14に電気的に接続され、電極11はケーブル15bにより電源14に電気的に接続されている。そして、電源14からの印加電圧により電極11が貴な電位に、供給水配管48が卑な電位になるよう制御されている。
上述の形状を有する電極11と絶縁性台座12によれば、海水5が電極領域に流入する際の流路断面積S1は、π(1/2×D1)であり、上記開口の流路断面積S2はπ(1/2×D2)である。高圧ポンプ49により加圧され供給水配管48へ流入する海水5の流量が一定の場合、流路断面積S1が流路断面積S2の2倍のとき、流路断面積S2の開口を通流する海水5の流速は2倍となる。すなわち、電極領域を通流する電解液である海水5の流速を増加させることが可能となる。
図3では、4本の絶縁性ボルト13にて、電極11と絶縁性台座12を供給水配管48に締結する構成を示したが、使用する絶縁性ボルト13の本数は4本に限らず、所望の本数とすれば良い。
次に、電極の電気化学反応に関する重要な指標である分極曲線について説明する。海水中における材料の電位と電流密度は、固有の分極曲線で定まる。2種の材料が海水中で接すると、2種の分極曲線の交点の電位(混成電位)となり、交点の電流密度に対応した防食電流が流れる。また、2種の材料の間に電源により電圧を印加した場合は、2種の分極曲線が同じ電流となる条件において、印加電圧から溶液抵抗等の種々の抵抗による電圧降下を差し引いた電圧値だけ電位軸方向に離れた点の電位となり、その点の電流値の防食電流が流れる。材料の分極曲線は、電解液と材料の界面での電気化学反応に由来する。この電気化学反応は、反応種が電極に到達するまでの拡散速度にも影響を受けるため、分極曲線も流速により変化する。すなわち、流速を制御パラメータとして、他の影響を考慮しながら最適な電気防食システムを設計することが可能である。
図4に、炭素の電位−pH関係図を示す。縦軸の電位は標準水素電位(V vs. SHE)であり、横軸はpHである。また、CO分圧であるPCOに関して、大気中での条件PCO=4×10―3atmに対応するように線を図示した。
以下では、電位の基準として飽和カロメル基準電位(V vs. SCE)を使用するが、標準水素電位とは、25℃において以下の式(1)の関係が成り立つ。
V=V−0.244 ・・・(1)
但し、V:電位 vs. SCE
:電位 vs. SHE
図4から、pH=8.2において、炭素の熱力学的に主要な状態を読み取ることができる。つまり、固体の炭素Cを貴な電位に分極すると、約−0.33V(vs.SHE)すなわち−0.57V(vs.SCE)に図示した実線より貴な電位ではCO、約−0.27V(vs.SHE)すなわち−0.51V(vs.SCE)に図示した点線より貴な電位では水中に存在するHCO が熱力学的に主要な化学種となることがわかる。
ここで、CがHCO に変化する反応では、電極の表面からHCO が電解液中に溶解するため、電極の損傷は比較的小さい。一方、COに変化する反応では、電極の表面からCOがガスとして発生するため、電極表面の微細な窪みや孔部では圧力の上昇により電極の破壊が多数発生する。このため、COが発生する場合は電極の寿命がより低減してしまう。これを避けるためには、COが発生する反応が起こらない電位において、必要な電流を得ることが重要である。
図5に炭素のアノード分極曲線を示す。分極曲線の測定に当たっては、海水として人工海水(八洲薬品製アクアマリン)を使用した。また試験条件は、溶存酸素を大気飽和とし、pHを8.2に調整した。海水温は25℃、電気伝導度ECはEC=5(S/m)とした。炭素として人造黒鉛を使用した。
一般に、電気化学反応による電流は過電圧に対して指数関数的に増加する。図5では横軸に電流密度の対数をとっているため、見かけ上は直線的に増加する。上述した通り、HCO が発生する電気化学反応は−0.57V、COが発生する反応は−0.51Vよりそれぞれ貴な電位で生じうる。しかし、−0.51V〜−0.57V付近では電位と電流の直線関係は変わらず、反応の変化は生じていない。これは、熱力学的に反応が起こりうる状況でも、反応速度が非常に遅いため、さらに電圧を大きくしないと充分な反応速度が得られないことが原因と考えられる。一方、1.4Vより貴な電位にて、電位と電流の直線の傾きが変化すると共に、電極からのガス発生が観察された。また、ガス分析によりCOが検出された。これより、COが発生する反応は海水環境では1.4Vであることがわかる。以上より、COのガス発生を抑制するためには炭素の電位を1.4V以下にすることが重要である。
図5において、同一の電位で比較すると、流速が1.5m/sの場合に電流密度が最低になり、流速が3.0m/sの場合には、流速が1.5〜2.0m/sの場合に比べ、大幅に電流密度が増加している。したがって、炭素電極の場合には、電極表面の流速が2.0m/s以上となるようにすれば、電極を長寿命化できることが分かる。さらに、3.0m/sであれば最も長寿命を期待できる。
図6に汎用二相ステンレス鋼であるS31803のカソード分極曲線を示す。これは、流速をパラメータとして測定した結果である。S31803は、図1に示した供給水配管48に使用されている材料であり、防食対象の金属候補として試験した。電気防食システム10を使用するS31803製の配管の電位、および配管に付設した電極の電位と印加電圧から、配管と電極の電流が分極曲線から求まる。具体的な方法を、図7を用いて説明する。図7は、図5と図6を組み合わせることにより得られる。図が煩雑になるのを避けるため、ステンレス鋼S31803の1.5m/sにおけるカソード分極曲線100と、炭素の1.5、2.0、3.0m/sにおけるアノード分極曲線群101を代表して示す。
S31803の流速を1.5m/s、炭素電極の流速を1.5m/sとした条件で、印加電圧を1.5Vとし、簡単のためIR損や内部抵抗などの電圧降下が無くS31803と炭素電極が等面積と仮定する。図7の両矢印の実線(印加電圧1.5V相当)から、炭素電極の電位と電流密度は、1.10V、30μA/cmとなる。同様に、S31803の電位と電流密度は−0.40V、30μA/cmとなる。一方、炭素電極の流速を3.0m/sに変更すると、図7の両矢印の点線(印加電圧は1.5V相当のまま)から、炭素電極の電位と電流密度は、0.85V、60μA/cmとなる。同様に、S31803の電位と電流密度は−0.65V、60μA/cmとなる。以上より、炭素電極の流速を変更することで、印加電圧を変えずに電流密度を増加できる。
ここで、近似式を用いると、計算により速やかに防食時の電位と電流密度を見積もることができる。アノード分極曲線とカソード分極曲線の近似式を用いて、印加電圧だけ差がある方程式として解けば、それぞれの電位と電流密度が求まる。近似方法としては対数近似のほか、線形近似、多項式近似、指数近似などの方法を使用できる。また、これらの近似式を用いることで有限要素法や境界要素法などの既知の手法により電位分布および電流密度分布をシミュレーションにより求め、設計することができる。なお、分極曲線を近似することなく用いても良く、その場合はより高精度に防食時の電位と電流密度を見積もることができる。
なお、外部電源方式の電気防食システムでは、防食対象の材料と電極の電解液中での電位を駆動力として電流が発生する。電解液としては、上述の通り、海水以外に淡水、汽水、食塩水、塩水等でも良い。一般に、塩化ナトリウム濃度で区分すると0.05%未満が淡水、0.05%以上0.35%未満が汽水、0.35%以上0.5%未満が食塩水、0.5%以上が塩水と呼称される。海水の塩化ナトリウム濃度は0.24%から2.96%程度であり、海域により濃度差がある。一方、電解液として、任意のイオン種を含む水溶液を適用可能である。
本発明では、電極の消耗量を抑制するために、電極領域のみ流速を調整可能にしている。以下に、電極領域の流速を、電極領域以外の構造材の流速に対して変化させた場合について、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図8は本発明の一実施例に係る実施例1の電気防食システムの模式図であり、図9は図8におけるA−A断面矢視図である。図8に示すように、電気防食システム10aは、金属配管である供給水配管48bの内部に絶縁性台座12を介して設置される電極11a、無抵抗電流計16、及び電源14を備える。図8では省略しているが、供給水配管48aの上流側(図8中、左側)には高圧ポンプ49が接続されており、高圧ポンプ49にて加圧された人工海水6は、白抜き矢印で示す方向(図8中、左側から右側へと向かう方向)に一定の流量及び流速にて流動している。また、供給水配管48aと供給水配管48bはフランジにより接続されており、両者は電気的に導通している。一方、供給水配管48bと電極11aの間には絶縁性台座12が挿入されており、絶縁性ボルト13で締結されている。これにより、供給水配管48bと電極11aは絶縁されている。また、電極11aと絶縁性台座12は、流れを乱さぬよう、表面の凹凸が小さくなるよう滑らかに接続されている。図9に示すように、電極11aと絶縁性台座12は円環状をなし、隣接する絶縁性ボルト13が相互に直交するよう4本の絶縁性ボルト13にて供給水配管48bに締結されている。また、図8及び図9に示すように、電極11aの中央部には、流路方向(人工海水6の通流方向)に沿って内径D2の円筒状の開口が設けられている。また、図8に示すように、電極11aと絶縁性台座12は、人工海水6が流入する入口側(流入側)と人工海水6が流出する出口側(流出側)に、内径がD2から供給水配管48bの内径D1に一致するまで連続的に拡大する部分を有する。すなわち、電極11aと絶縁性台座12は、流入側及び流出側に人工海水6の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有する部分と、内径がD2で一定となる円筒状の開口を有する部分を備え、これらにて電極領域を形成している。換言すれば、電極11aと絶縁性台座12の人工海水6の流入側及び流出側に形成される傾斜面は、円錐の一部として近似される形状を有する。具体的には、上記傾斜面は、底面の直径がD1の円錐のうち直径D2の部分で切り欠いた形状にて近似される。供給水配管48aはケーブル15aにより電源14のマイナス端子に接続され、電極11aはケーブル15bにより無抵抗電流計16を介して電源14のプラス端子に接続されている。なお、本実施例では電流を詳細に測定するため、無抵抗電流計16を接続しているが、施工時には無抵抗電流計16を用いることなく電源14と電極11aを直接接続しても良い。また、無抵抗電流計16を、電源14のマイナス端子と供給水配管48aを電気的に接続するケーブル15aの間に配する構成としても良い。また、図9では、4本の絶縁性ボルト13にて、電極11aと絶縁性台座12を供給水配管48bに締結する構成を示したが、使用する絶縁性ボルト13の本数は4本に限らず、所望の本数とすれば良い。
金属配管である、供給水配管48a及び供給水配管48bの材料を、汎用二相ステンレス鋼であるS31803とし、電極11aの材料を炭素とした。また、供給水配管48a及び供給水配管48bの内径D1を40mm、電極11aに設けられた円筒状の開口の内径D2を28mmとした。供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速が1.5m/sとなるよう高圧ポンプ49の吐出圧力を調整した。このとき、電極11aに設けられた内径がD2で一定となる円筒状の開口を通流する人工海水6の流速は3.0m/sであった。すなわち、電極領域内における人工海水6の流速は、電極領域外である供給水配管48a内における人工海水6の流速の2倍であった。また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は3668μAであった。
ここで、比較例の構成について説明する。図14は、比較例の電気防食システム10zの模式図である。図14に示すように、比較例の電気防食システム10zは、金属配管である供給水配管48bの内壁面内に絶縁性シール17を介して入れ込まれた(埋め込まれた)電極11z、無抵抗電流計16、及び電源14を備える。図14では省略しているが、供給水配管48aの上流側(図14中、左側)には高圧ポンプ49が接続されており、高圧ポンプ49にて加圧された人工海水6は、白抜き矢印で示す方向(図14中、左側から右側へと向かう方向)に一定の流量及び流速にて流動している。また、供給水配管48aと供給水配管48bはフランジにより接続されており、両者は電気的に導通している。供給水配管48bの内壁面内には、絶縁性シール12を介して電極11zが入れ込まれており、絶縁性ボルト13で締結されている。これにより、供給水配管48bと電極11zは絶縁されている。また、供給水配管48bの内径と電極11zの内径が一致する、すなわち、電極11zの内周面は供給水配管48bの内周面から突出することなく、これら両者の内周面は連続している。
金属配管である、供給水配管48a及び供給水配管48bの材料を、汎用二相ステンレス鋼であるS31803とし、電極11zの材料を炭素とした。また、供給水配管48a及び電極11zの内径を40mmとした。供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速が1.5m/sとなるよう高圧ポンプ49の吐出圧力を調整した。このとき、電極11zを通流する人工海水6の流速は1.5m/sであった。すなわち、電極領域内を通流する人工海水6の流速は、電極領域外である供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速と同一であった。また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は559μAであった。
以上より、本実施例と比較例では、電源14からの印加電圧は1.5Vと同一であるものの、本実施例では比較例に対して電流値が約6.6倍程度大きく、高い防食効果を得た。一方、比較例の構成において、4000μAの電流を得るためには、電源14からの印加電圧として1.8Vを要した。この場合、電極に印加される電圧が大きいため、電極が高電位になり、電極の寿命が低下する恐れがある。換言すれば、本実施例では、大きな印加電圧を要しないことから、電極電位を電気化学反応が生ずる閾値まで上昇させずに高い防食効果を得ることができ、電極を長寿命化することができる。
本実施例によれば、海水淡水化プラント等のプラントの配管や構造部材内に配される電気防食用の電極を長寿命化することで、電気防食システムの長寿命化が可能となる。
図10は本発明の他の実施例に係る実施例2の電気防食システムの模式図であり、図11は図10におけるA−A断面矢視図である。本実施例では、電気防食システム10bを構成する電極11b及び絶縁性台座12の出口側(流出側)に形成される、内径が連続的に拡大する部分の長さを、実施例1よりも長くした点が異なる。その他の構成は実施例1と同様であり、実施例1と同様の構成に同一符号を付している。
図10に示すように、電気防食システム10bは、金属配管である供給水配管48bの内部に絶縁性台座12を介して設置される電極11b、無抵抗電流計16、及び電源14を備える。図10では省略しているが、供給水配管48aの上流側(図10中、左側)には高圧ポンプ49が接続されており、高圧ポンプ49にて加圧された人工海水6は、白抜き矢印で示す方向(図10中、左側から右側へと向かう方向)に一定の流量及び流速にて流動している。また、供給水配管48aと供給水配管48bはフランジにより接続されており、両者は電気的に導通している。一方、供給水配管48bと電極11bの間には絶縁性台座12が挿入されており、絶縁性ボルト13で締結されている。これにより、供給水配管48bと電極11bは絶縁されている。また、電極11bと絶縁性台座12は、流れを乱さぬよう、表面の凹凸が小さくなるよう滑らかに接続されている。図11に示すように、電極11bと絶縁性台座12は円環状をなし、隣接する絶縁性ボルト13が相互に直交するよう4本の絶縁性ボルト13にて供給水配管48bに締結されている。また、図10及び図11に示すように、電極11bの中央部には、流路方向(人工海水6の通流方向)に沿って内径D2の円筒状の開口が設けられている。また、図10に示すように、電極11bと絶縁性台座12は、人工海水6が流入する入口側(流入側)に内径がD2から供給水配管48bの内径D1に一致するまで連続的に拡大する部分(以下、流入側内径拡大部と称する)と、人工海水6が流出する出口側(流出側)に内径がD2から供給水配管48bの内径D1に一致するまで連続的に拡大する部分(以下、流出側内径拡大部と称する)を有する。すなわち、電極11bと絶縁性台座12は、流入側及び流出側に人工海水6の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有する部分と、内径がD2で一定となる円筒状の開口を有する部分を備え、これらにて電極領域を形成している。換言すれば、電極11bと絶縁性台座12の人工海水6の流入側及び流出側に形成される傾斜面は、円錐の一部として近似される形状を有する。具体的には、上記傾斜面は、底面の直径がD1の円錐のうち直径D2の部分で切り欠いた形状にて近似される。また、電解液である人工海水6の通流方向に沿った流出側内径拡大部の長さは、通流方向に沿った流入側内径拡大部の長さの3倍である。従って、流出側内径拡大部の傾斜面の傾斜角は、流入側内径拡大部の傾斜面の傾斜角より小さく、流出側内径拡大部の傾斜面はより緩やかに傾斜している。供給水配管48aはケーブル15aにより電源14のマイナス端子に接続され、電極11bはケーブル15bにより無抵抗電流計16を介して電源14のプラス端子に接続されている。
金属配管である、供給水配管48a及び供給水配管48bの材料を、汎用二相ステンレス鋼であるS31803とし、電極11bの材料を炭素とした。また、供給水配管48a及び供給水配管48bの内径D1を40mm、電極11bに設けられた円筒状の開口の内径D2を28mmとした。供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速が1.5m/sとなるよう高圧ポンプ49の吐出圧力を調整した。このとき、電極11bに設けられた内径がD2で一定となる円筒状の開口を通流する人工海水6の流速は3.0m/sであり、実施例1と同様であった。また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は4368μAであった。
一方、上述の図14に示す比較例では、電極11zを通流する人工海水6の流速は、供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速と同一の1.5m/sであり、また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は559μAであった。
以上より、本実施例と比較例では、電源14からの印加電圧は1.5Vと同一であるものの、本実施例では比較例に対して電流値が約7.8倍程度大きく、高い防食効果を得た。
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、流出側流路拡大部において、流れの剥離に伴う局所圧力損失を低下することができ、実施例1の構成に比較し、高圧ポンプの出力及び消費電力を抑制することが可能となる。
図12は本発明の他の実施例に係る実施例3の電気防食システムの模式図であり、図13は図12におけるA−A断面矢視図である。本実施例では、電気防食システム10cを構成する電極11c及び絶縁性台座12を、縦断面形状が流線型であって、金属配管である供給水配管48bの内周面側より中央側へと突出するよう配する構成とした点が実施例1及び実施例2と異なる。その他の構成は実施例1及び実施例2と同様であり、実施例1及び実施例2と同様の構成に同一符号を付している。
図12に示すように、電気防食システム10cは、金属配管である供給水配管48bの内部に絶縁性台座12を介して設置される電極11c、無抵抗電流計16、及び電源14を備える。図12では省略しているが、供給水配管48aの上流側(図12中、左側)には高圧ポンプ49が接続されており、高圧ポンプ49にて加圧された人工海水6は、白抜き矢印で示す方向(図12中、左側から右側へと向かう方向)に一定の流量及び流速にて流動している。また、供給水配管48aと供給水配管48bはフランジにより接続されており、両者は電気的に導通している。一方、供給水配管48bと電極11cの間には絶縁性台座12が挿入されており、絶縁性ボルト13で締結されている。これにより、供給水配管48bと電極11cは絶縁されている。また、電極11cと絶縁性台座12は、流れを乱さぬよう、表面の凹凸が小さくなるよう滑らかに接続されている。図12に示すように、電極11c及び絶縁性台座12は、縦断面形状が流線型であって、電解液である人工海水6の通流方向に沿って、対向配置される電極11cの間隔が徐々に縮小し、当該間隔が最小(L2)となる位置より下流側へと向かうに従い間隔が拡大し、流出側の端部における間隔は供給水配管48bの内径D1に一致する形状を有する。図13に示すように、電極11cと絶縁性台座12は、供給水配管48bの内周面側より中央側へと突出し、隣接する電極11cが相互に直交するよう配される。各電極11c及び絶縁性台座12は、それぞれ絶縁性ボルト13にて供給水配管48bに締結されている。なお、図示しないが、各電極11c及び絶縁性台座12は、電解液である人工海水6の通流方向に相対する面が、中央部から両側部へと向かい緩やかに傾斜する傾斜面を有することが望ましい。このように、複数の電極11c及び絶縁性台座12が配される領域を電極領域と称する。
供給水配管48aはケーブル15aにより電源14のマイナス端子に接続され、電極11cはケーブル15bにより無抵抗電流計16を介して電源14のプラス端子に接続されている。金属配管である、供給水配管48a及び供給水配管48bの材料を、汎用二相ステンレス鋼であるS31803とし、電極11cの材料を炭素とした。また、供給水配管48a及び供給水配管48bの内径D1を40mm、供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速が1.5m/sとなるよう高圧ポンプ49の吐出圧力を調整した。電極領域を通流する人工海水6の流速が3.0m/sとなるよう電極11cの大きさを調整した。また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は4120μAであった。
一方、上述の図14に示す比較例では、電極11zを通流する人工海水6の流速は、供給水配管48a内を通流する人工海水6の流速と同一の1.5m/sであり、また、電源14からの印加電圧を1.5Vとし、無抵抗電流計16により計測された電流値は559μAであった。
以上より、本実施例と比較例では、電源14からの印加電圧は1.5Vと同一であるものの、本実施例では比較例に対して電流値が約7.4倍程度大きく、高い防食効果を得た。
なお、本実施例では、電極11c及び絶縁性台座12を4組、供給水配管48b内に配する構成としたが、供給水配管48b内に配される電極11c及び絶縁性台座12の組数はこれに限られるものではない。
また、本実施例の電極11c及び絶縁性台座12を、横断面形状が実施例1及び実施例2と同様に円環状に形成しても良い。
本実施例によれば、流れの剥離に伴う局所圧力損失が非常に小さくなることにより、実施例1及び実施例2の構成に比較し、更に、高圧ポンプの出力及び消費電力を抑制することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1…海水淡水化プラント
5…海水
6…人工海水
10,10a,10b,10c,10z…電気防食システム
11,11a,11b,11c,11z…電極
12…絶縁性台座
13…絶縁性ボルト
14…電源
15a,15b…ケーブル
16…無抵抗電流計
17…絶縁性シール
30…海水取水ポンプ(ポンプ装置)
31…据え付け部
40…海岸
41…導水路
42…吸込み槽
42a…ベース板
43…吐出配管
44…二層ろ過器
45…ろ過海水槽
46…ポンプ
47…保安フィルタ
48,48a,48b…供給水配管
49…高圧ポンプ
50…エネルギー回収装置
51…濃縮水供給配管
52…RO膜モジュール
53…透過水配管
54…生産水槽
55…濃縮水排出配管
100…カソード分極曲線
101…アノード分極曲線

Claims (18)

  1. 少なくとも電解液の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有すると共に、前記電解液を通流する金属配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極と、
    前記電極及び前記金属配管との間にケーブルを介して電圧を印加する電源を備え、
    前記電極が配される電極領域内を通流する前記電解液の流速が、前記電極領域外における前記電解液の流速よりも大きいことを特徴とする電気防食システム。
  2. 請求項1に記載の電気防食システムにおいて、
    前記金属配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、横断面形状が円環状をなし、前記傾斜面は円錐の一部として近似される形状を有することを特徴とする電気防食システム。
  3. 請求項1に記載の電気防食システムにおいて、
    前記金属配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、前記電解液の通流方向に沿った縦断面形状が流線型であることを特徴とする電気防食システム。
  4. 請求項2に記載の電気防食システムにおいて、
    前記金属配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、横断面中央部に前記電解液を通流する開口を有すると共に、前記電解液が流入する側であって前記電解液の通流方向に沿って上流側に向かうに従い内径が拡大する流入側内径拡大部と、前記電解液が流出する側であって前記電解液の通流方向に沿って下流側に向かうに従い内径が拡大する流出側内径拡大部と、を備えることを特徴とする電気防食システム。
  5. 請求項4に記載の電気防食システムにおいて、
    前記電解液の通流方向に沿った前記流出側内径拡大部の長さは、前記電解液の通流方向に沿った前記流入側内径拡大部の長さより長いことを特徴とする電気防食システム。
  6. 請求項3に記載の電気防食システムにおいて、
    前記電解液の通流方向に沿った縦断面形状が流線型である電極は、前記金属配管の内周面側から中央側へと突出するよう複数配されることを特徴とする電気防食システム。
  7. 請求項6に記載の電気防食システムにおいて、
    前記金属配管の内周面側から中央側へと突出するよう複数配される電極のうち、対向配置される2つの電極間の間隙は、前記電解液の通流方向に沿って徐々に縮小し、前記間隙が最小となる位置から下流側へと向い前記間隙が拡大することを特徴とする電気防食システム。
  8. 請求項4に記載の電気防食システムにおいて、
    前記電解液は海水であり、前記金属配管はステンレス鋼製であり、前記電極の材質は炭素であって、前記開口を通流する海水の流速が2.0m/s以上であることを特徴とする電気防食システム。
  9. 請求項7に記載の電気防食システムにおいて、
    前記電解液は海水であり、前記金属配管はステンレス鋼製であり、前記電極の材質は炭素であって、前記電極領域を通流する海水の流速が2.0m/s以上であることを特徴とする電気防食システム。
  10. 前処理部により処理された海水を加圧する高圧ポンプと、
    前記高圧ポンプにより加圧された海水を導入し、高濃度の塩水である濃縮水と透過水とに分離する逆浸透膜モジュールと、
    前記逆浸透膜モジュールより排出される濃縮水を導入し、前記高圧ポンプを駆動する動力の一部としてエネルギーを回収するエネルギー回収装置と、
    前記高圧ポンプと前記逆浸透膜モジュールとを接続する金属配管である供給水配管と、
    前記逆浸透膜モジュールと前記エネルギー回収装置とを接続する金属配管である濃縮水供給配管と、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面に絶縁材料を介して支持されると共に、前記海水又は濃縮水の通流方向に対して傾斜する傾斜面を有する電極と、前記電極と前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管との間にケーブルを介して電圧を印加する電源を有する電気防食システムと、を備え、
    前記電極が配される電極領域内を通流する前記海水又は濃縮水の流速が、前記電極領域外における前記海水又は濃縮水の流速よりも大きいことを特徴とする海水淡水化プラント。
  11. 請求項10に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、横断面形状が円環状をなし、前記傾斜面は円錐の一部として近似される形状を有することを特徴とする海水淡水化プラント。
  12. 請求項10に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、前記海水又は濃縮水の通流方向に沿った縦断面形状が流線型であることを特徴とする海水淡水化プラント。
  13. 請求項11に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面に絶縁材料を介して支持される電極は、横断面中央部に前記海水又は濃縮水を通流する開口を有すると共に、前記海水又は濃縮水が流入する側であって前記海水又は濃縮水の通流方向に沿って上流側に向かうに従い内径が拡大する流入側内径拡大部と、前記海水又は濃縮水が流出する側であって前記海水又は濃縮水の通流方向に沿って下流側に向かうに従い内径が拡大する流出側内径拡大部と、を備えることを特徴とする海水淡水化プラント。
  14. 請求項13に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記海水又は濃縮水の通流方向に沿った前記流出側内径拡大部の長さは、前記海水又は
    濃縮水の通流方向に沿った前記流入側内径拡大部の長さより長いことを特徴とする海水淡
    水化プラント。
  15. 請求項12に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記海水又は濃縮水の通流方向に沿った縦断面形状が流線型である電極は、前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面側から中央側へと突出するよう複数配されることを特徴とする海水淡水化プラント。
  16. 請求項15に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管の内周面側から中央側へと突出するよう複数配される電極のうち、対向配置される2つの電極間の間隙は、前記海水又は濃縮水の通流方向に沿って徐々に縮小し、前記間隙が最小となる位置から下流側へと向い前記間隙が拡大することを特徴とする海水淡水化プラント。
  17. 請求項13に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管はステンレス鋼製であり、前記電極の材質は炭素であって、前記開口を通流する海水又は濃縮水の流速が2.0m/s以上であることを特徴とする海水淡水化プラント。
  18. 請求項16に記載の海水淡水化プラントにおいて、
    前記供給水配管及び/又は前記濃縮水供給配管はステンレス鋼製であり、前記電極の材質は炭素であって、前記電極領域を通流する海水又は濃縮水の流速が2.0m/s以上であることを特徴とする海水淡水化プラント。
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