JP6584159B2 - 光学走査装置 - Google Patents

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本発明は、レーザ光束により被走査面を走査する光学走査装置に関する。
レーザプリンタのような電子写真記録方式の画像形成装置に用いられる光学走査装置は、画像信号に応じて光源から出射するレーザ光束を光偏向器で偏向し、感光体を走査している。光学走査装置は、光源を駆動するためのレーザドライバや光偏向器を駆動するためのモータドライバ等の電子部品を備えており、電子部品は光学走査装置の箱と蓋によって覆われる構成であることが一般的である。また、箱や蓋は、コストを抑えるため、樹脂を金型で成型して製造されることが一般的となっている。箱や蓋は高精度な寸法を必要とする。よって、成型する際は、樹脂の流動性や離型性向上のため金型の表粗面さを小さくし、部品精度を向上させている。金型の表面粗さが小さいため、成型品も表粗面さが小さくなり、材質によっては光沢を有することになる。
特許文献1には、偏向走査されたレーザ光束が箱の内面で反射しないように箱の内面を粗面化する構成が開示されている。
特開2004−279611号
ところで、光学走査装置の内部にゴミなどが侵入した場合、ゴミがレーザ光束を遮り、画像がその部分だけ欠落するといった課題がある。そのため、画像形成装置に組み込む前の光学走査装置を搬送する時、ゴミの侵入を防ぐため、光学走査装置は密閉された構成にするか、袋に個装して搬送される。
しかしながら、光学走査装置を画像形成装置の内部に組み込む際に、組立て作業者の接触によって光学走査装置を構成する箱や蓋が帯電することがある。その結果、レーザドライバやモータドライバ、BDセンサ等のICに静電気放電(ESD:Electrostatic discharge)が発生し、ICを破損してしまう場合がある。また、モータやレーザのケーブルを接続する際に、帯電した箱や蓋から静電気が流れ込み、モータやレーザのドライバICを破損するモードがある。また、光学走査装置が個装されている場合は、装置を袋から取り出す際に箱や蓋との間に剥離帯電を起こし、同様にモータやレーザのドライバICを破損する場合がある。通常は、静電気除去装置(Ionizer)等を用いた除電作業を行うことにより対処するが、安定的に除電を行うためには時間が掛かってしまう。また、表面電位は下げることができるものの、除電空気の当たらない箱内部の電位は下げることができないため、上述したケーブルを接続した際のESDについては効果が少ない。
本出願に係る発明の目的は、静電気放電に弱い電子部品を備えた光学走査装置において、様々なESDモードに対し耐性をもつ光学走査装置を提供することにある。
上述の課題を解決するための本発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源を駆動するための電子部品を具備した第1の基板と、前記レーザ光源から出射した光束を偏向走査する光偏向器と、前記光偏向器を駆動するための電子部品を具備した第2の基板と、前記光偏向器を収容する樹脂製の箱と、前記箱の開口を覆う樹脂製の蓋と、を有する光学走査装置において、前記箱の外側の平面の少なくとも一部の領域が粗面化されており、前記領域の算術平均粗さRaは6μm≦Ra≦40μmを満たすことを特徴とする。
本発明によれば、光学走査装置の静電気放電に対する耐性を向上させることができる。
画像形成装置の断面図。 実施例1の光学走査装置の斜視図(蓋無し)。 実施例1の光学走査装置の斜視図(蓋有り)。 表粗面さと帯電量の関係を示すグラフ。 実施例2の光学走査装置の斜視図。 光学箱の底面を示す斜視図。
(実施例1)
以下、本発明の実施例を説明する。尚、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は画像形成装置D1の模式断面図である。画像形成装置D1は、光学走査装置S1を備え、光学走査装置S1により感光体ドラムなどの像担持体を走査し、この走査された画像に基づいて記録紙等の記録材Pに画像形成を行う。図1に示すように、画像形成装置D1は、画像情報に基づいたレーザ光束を光学走査装置S1から出射し、プロセスカートリッジ102に内蔵された像担持体としての感光体ドラム103上に照射する。感光体ドラム103上に光束が照射され、露光されることで感光体ドラム103上に潜像が形成される。感光体ドラムに形成された潜像は、トナーによりトナー像として顕像化される。なお、プロセスカートリッジ102とは、感光体ドラム103と、感光体ドラム103に作用するプロセス手段として、帯電手段や現像手段等を一体的に有するものである。一方、給紙カセット104に収容された記録材Pは、給送ローラ105によって1枚ずつ分離されながら給送され、搬送ローラ106によって、さらに下流側に搬送される。感光体ドラム103上に形成されたトナー像は、転写ローラ109によって記録材P上に転写される。トナー像が形成された記録材Pは、さらに下流側に搬送され、内部にヒータを有する定着器110によりトナー像が記録材Pに加熱定着される。その後、記録材Pは、排出ローラ111によって機外に排出される。
次に図2及び図3を用いて光学走査装置S1について説明する。図2は光学走査装置S1の構成を示す斜視図である。説明のため、蓋119を取り付けていない状態の図としている。
光学走査装置S1は、半導体レーザ(レーザ光源)112と、レーザ光源を駆動するためのドライバIC(電子部品)120を具備した第1の基板121と、を有する。更に、レーザ光源から出射した光束を偏向走査する光偏向器(回転多面鏡)115と、光偏向器を駆動するためのドライバIC(電子部品)123を具備した第2の基板116を有する。118は光偏向器を収容する樹脂製の箱、119は箱118の開口を覆う樹脂製の蓋である。
図2において、113はコリメータレンズとシリンドリカルレンズとを一体に成形したアナモフィックコリメータレンズである。114は開口絞り、117はfθレンズ(走査レンズ)、130はBDセンサである。BDセンサ130は、第1の基板121に実装されている。
上記構成において、光源112から出射したレーザ光束Lは、アナモフィックコリメータレンズ113によって主走査断面内では略収束光とされ、副走査断面内では収束光とされる。次にレーザ光束Lは開口絞り114を通って光束幅が制限されて、回転多面鏡115の反射面においてほぼ線像(主走査方向が長手となる線像)として結像する。そして、このレーザ光束Lは回転多面鏡115を回転させることによって偏向走査される。レーザ光束Lは、回転多面鏡115の反射面で反射され、BDセンサ130へと入射する。このとき、BDセンサ130で信号を検出し、このタイミングを主走査方向の書き出し位置の同期検出タイミングとする。次にレーザ光束Lはfθレンズ117に入射する。fθレンズ117は、レーザ光束Lを感光体ドラム103上にスポットを形成するように集光し、且つスポットの走査速度が等速に保たれるように設計されている。このようなfθレンズ117の特性を得るために、fθレンズ117は非球面レンズで形成されている。fθレンズ117を通過したレーザ光束Lは感光体ドラム103上に結像される。
回転多面鏡115の回転によってレーザ光束Lを偏向走査し、感光体ドラム103上でレーザ光束Lによる主走査が行われ、また感光体ドラム103がその円筒の軸線周りに回転駆動することによって副走査が行われる。このようにして感光体ドラム103の表面には画像情報に応じた静電潜像が形成される。
図3は光学走査装置S1の斜視図である。図2で説明した光学走査装置に樹脂で成形された蓋119を取り付けた状態の図である。蓋119は箱118とスナップフィットで係止される。又は、ビスによって固定されてもよい。蓋119を取り付けることで光学走査装置S1は略密閉される。図3に示した200は、底面にビス穴を設けた窪みである。蓋119は、第1の基板121に実装されている光源112や、ドライバIC120や、その他の電子部品を保護するように、これらの電子部品を覆い隠す形状になっている。
次に、本実施例の特徴について説明する。箱118又は蓋119の少なくとも一方の外側の平面の少なくとも一部の領域122が粗面化されている。本例では、蓋119の領域122はシボ加工により粗面化されている。本例の粗面化された領域122は、蓋119の外側の平面のうち、第1の基板121に対して平行な面と、第2の基板116に対して平行な面に設けられている。特に、第2の基板116のドライバIC123の上部と、レーザドライバIC120の近傍には粗面化領域を設けるのが好ましい。シボ加工は、エッチングやサンドブラスト、又はヘアライン仕上げなどの加工法を用いて設ければ良い。筆者らの検討によれば、図4に示すように、樹脂部材において表面粗さと物体の帯電量に相関関係があることが分かった。図4は横軸に算術平均粗さRa[μm]、縦軸に導電性ビニルで蓋119の表面を擦った際の帯電量[kV]を示している。粗さRaが大きい、すなわち表面が粗面化されているほど、他部材と擦れた際の帯電量が小さいことが分かる。このように、箱118や蓋119の外面に粗面化された部分又は全面を粗面化することで光学走査装置の搬送時や組立て作業時における帯電を低減させることができ、結果的に放電による電子部品の破壊を抑えることができる。粗面化領域122は、ドライバIC123の上部とレーザドライバIC120の近傍の両方に設けることで最も効果を発揮する。図3に示すように、蓋119の平面部の殆どに設けるのが特に好ましい。なお、本例の箱118の底面には、図6に示すように、多数のリブ210が設けられている。そのため、底面の平面部に個装袋や組立て作業者が触れにくく、平面部が帯電しにくいので底面の平面部には粗面化領域を設けていない。箱118の側面部にも本例では粗面化領域を設けていない。しかしながら、箱118の底面の平面部や側面の平面部にも粗面化領域を設けてもよい。
粗さRaの大きさは6μm以上であることが望ましい。但し、ホーニング加工などをする場合、エッチ部のダレや成形上問題が生じるため、40μm以下である必要もある。故に、粗さRaは6μm≦Ra≦40μmの範囲であることが望ましい。
本実施例ではシボ加工による例を挙げたが、領域122は、シボ加工、ディンプル加工、エンボス加工のうちの少なくとも一つの加工法により粗面化されていれば良い。要するに他部材との接触面積を減らせる表面形状とすれば良い。また、粗面化された領域122は、必要に応じて、外側の平面のうち、第1の基板121に対して平行な面と、第2の基板116に対して平行な面と、の少なくとも一方に設ければよい。
(実施例2)
図5は実施例2の光学走査装置を示している。本例の蓋124は、粗面化領域122の中に粗面化されていない(即ち算術平均粗さRaが6μmより小さい)平面部126を有する。光学走査装置のようにレーザを使用した製品は、規格によって警告表示として危険シンボルおよびクラス分類の表示が義務付けられている。一般に、この表示はユーザや組立て作業者が認識し易いように、目立つ色のラベル125で光学走査装置の外側に貼り付けられる。しかしながら、箱や蓋124の外面を全面粗面化してしまうと、ラベル貼り付け面とラベルとの接触面積が小さくなり、ラベルが剥がれやすくなるという課題が生じる。そのため、本例では、ラベルの貼付け面である平面部126は粗面化していない。ただし、ラベル貼付け面126の少なくとも一部を粗面化しないため、貼り付け面126に個装袋や作業者が接触すると貼り付け面が帯電しやすくなってしまう。この課題を解決するため、貼り付け面の外周にリブ127を立てることで個装袋や組立て作業者が貼り付け面126に直接触れないようにしている。また、リブを設けるのではなく、貼り付け面126をその周囲の面より一段下げてもよい。また、ラベル貼付け面である平面部126は第2の基板116の真上を避けて配置することが望ましい。このように、貼り付け部126を囲うように凸部又は貼付け部が周囲より低くなる段差を設けるのが好ましい。なお、ラベルはレーザ警告ラベルに限らず、生産管理のためのバーコードラベルなども含む。
以上の構成により、レーザ警告ラベルやバーコードラベルなどのラベル貼付け部を確保しつつ、箱や蓋の帯電を抑えることができる。
S1 光学走査装置
115 回転多面鏡
116 第2の基板
118 箱
119 蓋
120 レーザドライバIC
121 第1の基板
122 粗面化領域
123 光偏向器のドライバIC

Claims (6)

  1. レーザ光源と、前記レーザ光源を駆動するための電子部品を具備した第1の基板と、前記レーザ光源から出射した光束を偏向走査する光偏向器と、前記光偏向器を駆動するための電子部品を具備した第2の基板と、前記光偏向器を収容する樹脂製の箱と、前記箱の開口を覆う樹脂製の蓋と、を有する光学走査装置において、
    前記箱の外側の平面の少なくとも一部の領域が粗面化されており、前記領域の算術平均粗さRaは6μm≦Ra≦40μmを満たすことを特徴とする光学走査装置。
  2. 前記箱の外側の底面には6μm≦Ra≦40μmを満たす粗面化領域は設けられておらず、リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学走査装置。
  3. 前記領域は、シボ加工、ディンプル加工、エンボス加工のうちの少なくとも一つの加工法により粗面化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学走査装置。
  4. 粗面化された前記領域は、前記外側の平面のうち、前記第1の基板に対して平行な面と、前記第2の基板に対して平行な面と、の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の光学走査装置。
  5. 前記箱又は前記蓋の外側の平面にはラベルが貼り付けられており、前記ラベルの貼付け面は粗面化されていないことを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の光学走査装置。
  6. 前記貼り付け部を囲うように凸部又は前記貼付け部が周囲より低くなる段差が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の光学走査装置。
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