<第1実施例>
図1−図3を参照して、この発明の一実施例である香り時計100は、情報処理装置4および嗅覚ディスプレイ10を含む。香り時計100は、ユーザなどによって予め決められた設定時刻に、予め決められた所定の香りを嗅覚ディスプレイ10から出力することが出来る。そして、ユーザは、設定時刻に所定の香りを嗅ぐことが出来る。
情報処理装置4は、たとえばノート型PCの一種であり、嗅覚ディスプレイ10と接続されている。また、情報処理装置4は、たとえばインターネットなどのネットワークを介して、香りを出力したときの天気や季節などの情報をサーバから取得することが出来る。
嗅覚ディスプレイ10は、たとえば、香りを噴射する噴射口16が寝ているユーザの顔の方向を向くように、三脚の雲台に取り付けられてユーザの周囲に設置される。嗅覚ディ
スプレイ10は、情報処理装置4の指示に従って、時間的および空間的に限られた範囲に香りを出力する。
なお、本実施例の嗅覚ディスプレイ10は、映像や音を含むコンテンツに香り(嗅覚情報)を付加してユーザに出力(提示)することによって、コンテンツの現実感や臨場感を高めるために用いることも出来る。たとえば、嗅覚ディスプレイ10は、情報処理装置4や、テレビ、ラジオ、ゲーム機、カラオケ装置、カメラ、CDプレイヤ、DVDプレイヤ、携帯電話(いわゆる、スマートフォンを含む)、スマートウォッチ、スマートグラスおよびPCなどの各種の視聴覚ディスプレイと連動して、香りを出力することも出来る。
図4は、嗅覚ディスプレイ10の前面方向から見た内部構造を概略的に示す図解図であり、後述する噴射板34を省略して嗅覚ディスプレイ10の内部の様子を示すものである。また、図5は、図4のV‐V線において切断した嗅覚ディスプレイ10の断面図であり、嗅覚ディスプレイ10の側面方向から見た内部構造を概略的に示している。
図4および図5に示すように、嗅覚ディスプレイ10は、ディスプレイ本体12およびその内部に着脱可能に収容される複数の香源カートリッジ(以下、単に「カートリッジ」と言うこともある。)14を備える。この実施例では、ディスプレイ本体12には、周方向に並ぶように6つのカートリッジ14が収容される。ただし、ディスプレイ本体12に対して同時に収容可能なカートリッジ14の数(後述するカートリッジ収容室24の数)は、特に限定されない。
以下、嗅覚ディスプレイ10の構成について具体的に説明する。図6−図9に示すように、ディスプレイ本体12は、その外殻を構成する筐体20、および筐体20の内部空間を隔壁22で区画することによって形成される複数のカートリッジ収容室(カートリッジ装着場所)24を備える。また、カートリッジ収容室24のそれぞれには、隔壁22内に密着配置された風力源26および動作音抑制部28が設けられる。
筐体20は、ベース部30、側壁32および噴射板34を含み、アクリル樹脂等の適宜な材料によって中空の六角柱状に形成される。筐体20の大きさは、前面視で対向する頂点間の長さがたとえば60mmであり、軸方向(前後方向)の長さがたとえば60mmである。
なお、図示は省略するが、ディスプレイ本体12の内部には、制御基板を収容する制御基板室が設けられる。制御基板は、基板上にCPUやメモリ等の電子部品を実装した構造(図14参照)を有し、後述する風力源26および補助風力源76等と配線(図示せず)を介して接続されて、当該嗅覚ディスプレイ10の動作を制御する。
ベース部30は、正六角板状に形成され、筐体20の後方側(ユーザとは逆側)に配置される。ベース部30の周縁部には、側壁32が設けられている。側壁32は、ベース部30の周縁部角部のそれぞれに連なるホルダ32aと各ホルダ32a間に設けられるスライドカバー32bとによって六角筒状に形成される。ホルダ32aの側面には、スライド溝36が形成されており、このスライド溝36にスライドカバー32bの側面に形成される突起部(図示せず)が嵌め込まれる。これによって、スライドカバー32bは、ホルダ32a間を滑動可能とされる。後述するように、ホルダ32a間の開口のそれぞれは、カートリッジ収容室24のカートリッジ交換口38として機能し、スライドカバー32bは、このカートリッジ交換口38の開閉に利用される。また、スライドカバー32bは、カートリッジ14をカートリッジ収容室24内に収容したときに、カートリッジ14の挿入方向後端と当接し、カートリッジ14を挿入方向に押す作用を奏する。
側壁32の前端部、つまり筐体20の前方側には、噴射板34が設けられている。噴射板34は、正六角板状に形成され、側壁32の端部開口を覆う。噴射板34の中央部には、ドーム型の突起部40が設けられ、この突起部40の中央部を貫通するように、噴射板34の厚み方向に延びる連通孔42が形成される。この連通孔42は、前方側に向かうに従い縮径されるテーパ状の縮径部を有し、その前方部分は直管状に形成される。突起部40の先端開口が噴射口16として機能し、連通孔42は、噴射口16と各カートリッジ収容室24とを連通させる。なお、噴射口16の径は、たとえば0.8mmである。
また、筐体20の適宜な位置には、三脚の雲台を取り付けるためのねじ穴44が形成される。この実施例では、ねじ穴の規格は、カメラ用の雲台に適合したものとされる。カメラ用の雲台のねじの規格は世界標準(1/4 inch - 20 UNC)で統一されているので、ねじ
穴の規格をそれに適合させておけば、世界各地のカメラ用の雲台を嗅覚ディスプレイ10用の雲台としてそのまま使用することができるので便利である。
また、筐体20の内部空間は、対向するホルダ32a同士を連結する放射状の隔壁22によって区画され、筐体20内には、周方向に並ぶ正三角柱状の6つのカートリッジ収容室24が形成される。すなわち、カートリッジ収容室24の内側面は、筐体20の中心側に向かって収束する(つまり後述するカートリッジ14の挿入方向に対して内向きに傾斜する)2つの傾斜面46を有している。また、各隔壁22の連結部分である中心軸48は、六角柱状に形成され、ベース部30から突出してその先端部は連通孔42内まで延びている。中心軸48の先端部は、外周面に溝状の切欠きを形成した先細り形状とされ、後述するカートリッジ14の香気出口88から吐出される香気(香り成分を含む空気)を噴射口16方向に導くガイド部として機能する。これによって、香気の逆流や他のカートリッジ14内への香気の浸入が防止される。
各カートリッジ収容室24には、噴射板34に形成される連通孔42を介して噴射口16と連通する空気送出口50が形成される。また、各カートリッジ収容室24には、スライドカバー32bによって開閉可能なカートリッジ交換口38が形成される。
さらに、各カートリッジ収容室24には、隔壁22に密着して風力源26が設けられる。この風力源26は、隔壁22内に配置され(つまり筐体20内に放射状に配置され)、隔壁22の一部を構成する。風力源26の中央部に設けられたノズル52(図10参照)は、カートリッジ収容室24内と連通し、カートリッジ収容室24に収容されたカートリッジ14内に空気を流入させる空気供給口54として機能する。なお、風力源26の大きさは、たとえば、縦20mm、横20mm、厚さ2mmである。
図10は、風力源26を対角線方向に切断したときの断面を示す。風力源26は、圧電素子(ピエゾ素子)56を貼り付けたダイヤフラム58を備えており、圧電素子56に高周波の交番電圧(正弦波電圧または矩形波電圧)やパルス電圧を印加することによって、ダイヤフラム58を板厚方向に高速で屈曲振動させて、空気の流れを発生させる圧電式のものである。
以下、風力源26の動作について簡単に説明する。風力源26では、円板状の圧電素子56を貼り付けたダイヤフラム58の約26kHzの振動に伴い、ポンプ室60の中心部に設けられた通気孔62から、空気の吸引と吐出が繰り返される。吸引時に吸入流路64からポンプ室60に取り込まれた空気は、吐出時には通気孔62と同軸に配置された天板66上のノズル52を通過し、ノズル52内のテーパ管路で膨張して吐出される。このとき、通気孔62とノズル52との間の空間には、ベンチュリ効果により負圧部が生じるため、通気孔62の空気は継続して吸引される。これによって、通気孔62からノズル52へ向かう連続したポンプ動作が得られる。
このように圧電素子56で駆動する風力源(圧電式の風力源)26は、ブロアファンやスクロールブロアのような回転機構では無いため、小型化および低背化が可能であり、消費電力も小さい。また、事実上無振動の上、短時間で高い静圧を生成できる特徴を有する。なお、このような風力源26としては、たとえば株式会社村田製作所製のマイクロブロア(型番:MZBX001)を用いることができる。
図8および図9に戻って、風力源26の裏側(空気流路の上流側)には、風力源26の動作音(ダイヤフラム58の振動音)の外部への漏れを抑制するための平板状の動作音抑制部28が設けられる。この動作音抑制部28も、隔壁22の一部を構成する。動作音抑制部28は、アクリル樹脂等の適宜な材料によって形成され、ダイヤフラム58の裏側に空洞部を形成する。この動作音抑制部28の外気口70(図11参照)は、ベース部30の周縁部に形成される外気吸入口74を介して筐体20の外部と連通する。なお、動作音抑制部28の大きさは、たとえば、縦20mm、横20mm、厚さ2mmである。
図11は、動作音抑制部28を厚さ方向と直交する方向に切断したときの断面を示す。図11に示すように、動作音抑制部28の側壁68には、風力源26の作動時に外気を吸入するための外気口70が形成されており、動作音抑制部28の内部は、C字状の仕切壁72によって仕切られている。これによって、風力源26の動作音は、迷路状の空気通路を遠回りするようにして外気口70に到達するので、外気口70からの動作音の漏れが抑制される。
また、図8および図9に戻って、ベース部30内には、補助風力源76が設けられる。補助風力源76は、各カートリッジ収容室24から独立して設けられるものであり、香気の加速、香り成分の濃度調整および消臭などに利用される。補助風力源76としては、風力源26と同様のもの、すなわち、圧電素子を貼り付けたダイヤフラムを備え、圧電素子に対して高周波の交番電圧が印加されるとダイヤフラムを高速振動させて空気流を発生させるものを用いるとよい。この補助風力源76の裏側にも、動作音抑制部28が適宜設けられる。
また、中心軸48内には、補助風力源76のノズルから吐出された空気(無臭の空気)の通り道となる補助通路78が形成される。補助通路78は、補助風力源76のノズルと連通孔42とを直線的に連通させる貫通孔であり、連通孔42を介して噴射口16まで直線的に延びる。補助風力源76が作動されると、補助風力源76のノズルから補助通路78内に無臭の空気が吐出される。この無臭の空気は、複雑な経路を辿ることなく噴射口16まで直行するので、圧力低下をほぼ発生させることなく噴射口16から噴射される。
このようなディスプレイ本体12のカートリッジ収容室24内には、カートリッジ14が着脱可能に収容される。図12および図13に示すように、カートリッジ14は、ポリエチレン或いはポリプロピレンなどの合成樹脂等によって形成される容器本体80を備える。容器本体80は、カートリッジ収容室24の内面形状に隙間なく沿う外面形状を有するように、中空の正三角柱状に形成される。容器本体80には、カートリッジ14をカートリッジ収容室24内に収容した際に、カートリッジ収容室24の空気供給口54に対向する位置に、吸気口82が形成される(図5参照)。すなわち、容器本体80の外側面は、カートリッジ14の挿入方向に対して収束する2つの傾斜面84を有しており、その一方の傾斜面84に吸気口82が形成される。
また、容器本体80には、カートリッジ収容室24の空気送出口50に対向する位置に、香気出口88が形成される(図3および図4参照)。香気出口88のそれぞれは、連通孔42を介して噴射口16にほぼ直線状に連通するため、香気出口88から送出される香
気は、その勢いを低減することなく噴射口16から噴射される。なお、吸気口82の径および香気出口88の径は、たとえば0.8mmである。
また、カートリッジ14から送出された香気が接触するディスプレイ本体12の内部経路は、噴射板34の連通孔42のみであるので、ディスプレイ本体12に対する香り成分の付着(残香)はほとんど生じない。なお、吸気口82および香気出口88の径は小さいので、風力源26を作動させないときには、カートリッジ14からの香りの漏れはほとんど発生しない。
容器本体80の内部には、固形状の香源90が収容される。固形状の香源90は、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませて(含浸させて)、多孔質体の外表面および細孔内に液体香料を保持させることによって製作される。香料としては、天然香料、合成香料、およびそれらの調合香料が適宜使用できる。多孔質体としては、ケイ酸カルシウムなどの粒状体を適宜利用できる。多孔質体の粒径および形状は特に限定されない。このように固形状の香源90を用いることによって、香源90から香料(香り成分)を徐々に放出させることができる。
カートリッジ14をディスプレイ本体12のカートリッジ収容室24内に収容する際には、スライドカバー32bを開状態にし、カートリッジ交換口38から中心軸48方向にカートリッジ14を押し込むようにしてカートリッジ収容室24内に収容する。その後、スライドカバー32bを閉状態にすることにより、カートリッジ14(容器本体80)の挿入方向後端側をスライドカバー32bによって抑える。したがって、ディスプレイ本体12の空気供給口54とカートリッジ14の吸気口82との接続部分は密着性が高まって適切に密着する。
また、カートリッジ収容室24およびカートリッジ14が挿入方向に対して内向きに傾斜する傾斜面46,84を有することから、カートリッジ収容室24の入口部分(つまりカートリッジ交換口38)がカートリッジ14の挿入方向前方側の部分より大きくなる。このため、カートリッジ収容室24内にカートリッジ14を挿入し易い。
このような構成の嗅覚ディスプレイ10においては、目的の香源90を収容したカートリッジ14に対応する風力源26の圧電素子56に対して交番電圧を印加すると、ダイヤフラム58が高速で屈曲振動され、外気吸入口74から外気が吸引されると共に、風力源26のノズル52(空気供給口54)から吸気口82を介してカートリッジ14内に高速かつ高圧の空気が送り込まれる。カートリッジ14内の空気には、香源90から揮発した気体状の香り成分が含まれており、その香り成分を含む空気(香気)は、香気出口88から連通孔42内に吐出される。
具体的には、嗅覚ディスプレイ10の制御基板は、I/F206(図14参照)を介して情報処理装置4から送られてくる指示信号に応じて、目的の香源90を収容したカートリッジ14に対応する風力源26の圧電素子56に対して交番電圧を印加する。すると、ダイヤフラム58が高速で屈曲振動され、外気吸入口74および動作音抑制部28などを介して風力源26内に外気が吸引されると共に、風力源26のノズル52からカートリッジ14内に高速かつ高圧の空気が送り込まれる。カートリッジ14内の空気には、香源90から揮発した気体状の香り成分が含まれており、その香り成分を含む空気(香気)は、香気出口88から連通孔42内に吐出される。
また、指示信号には、噴射する香り成分を示す香り情報(アロマコード:aroma code)が含まれる。また、アロマコードとは、たとえば、バナナ、りんご、バニラ、オレンジなどの香り(または香りの種類)毎に固有の番号(コード)を割り当てたものである。たと
えば、嗅覚ディスプレイ10のポート(カートリッジ収容室24)は番号1‐6で示される。情報処理装置4が備えるアロマパターンデータベース404(図16参照)には、各ポートのそれぞれにどの種類の香源90のカートリッジが装着されているかをアロマコードで示すデバイス情報テーブルが記憶(保存)される。
そのため、情報処理装置4は、このデバイス情報テーブルに基づいて、指示信号を嗅覚ディスプレイ10に出力する。そして、この指示信号には、噴射する香り成分、すなわち当該香りの香源90が入れられたカートリッジ14に設けられた風力源26(圧電素子56)の情報が含まれる。
また、制御基板は、情報処理装置4から送られてくる指示信号に応じて、補助風力源76を作動させる。すなわち、補助風力源76の圧電素子56に対しても交番電圧を印加する。これにより、補助風力源76のノズル52から吐出される無臭の空気は、直線状の補助通路78内を通って噴射口16まで直行する。香気出口88から連通孔42内に吐出された香気は、補助風力源76から吐出された無臭の空気と連通孔42内で合流してその空気の流れに乗って香気噴射方向に加速され、情報処理装置4からの指示信号に対して殆どの時間的な遅れなしに噴射口16から勢いよく直進性を持って噴射される。そして、風力源26および補助風力源76の圧電素子56に対する交番電圧の印加が停止されると、噴射口16からの香気の噴射も瞬時に停止される。
この際、圧電式の風力源26および補助風力源76を用いていることから、香気の噴射の開始および停止は、応答性よく実行され(つまり正確な時間制御が可能であり)、しかも、脈動的ではない一定した香りを連続して出力することも可能となる。また、補助風力源76を備えることにより、風力源26のみでは連通孔42で圧力低下が生じてしまうような場合でも、カートリッジ14から吐出された香気を香気噴射方向に適切に加速することができ、香気の噴射性能を維持ないし向上させることができる。すなわち、噴射口16からは指向性を持って香気が勢いよく噴射され、空間的に非常に限られた範囲(つまりユーザの顔付近のみ)に対して香りを出力できる。
なお、風力源26を停止した後(香りの出力後)に、補助風力源76を作動させ続けて無臭の空気のみを噴射し、噴射した香り成分を拡散または希釈するようにすれば、香り成分をそのまま自由拡散させることと比較して、より素早い消臭が可能となる。
また、この実施例では6つのカートリッジ14を備え、連通孔42を介して1つの噴射口16から香気を噴射するようにしている。このため、6種類の香りを個別に出力できるのはもちろんのこと、各カートリッジ14の風力源26を同時に或いはタイムシェアリングさせて作動させることにより、香りを調合して出力できる。たとえば、各カートリッジ14に収容される香源90をA、B、C、D、E、Fとすると、「A+B、A+C、…、E+F、…、B+C+D+E+F、A+B+C+D+E+F」というように、多種類の香りを調香して提供できる。また、各風力源26の入力信号のDuty比を調整すること等によって、香りを調合する割合を適宜変化させることもできる。
この実施例では、情報処理装置4は、指示信号に加えて、香り成分の濃度を調整するための制御信号も出力する。そして、嗅覚ディスプレイ10は、制御信号に応じて、香り成分の濃度を調整することができる。具体的には、風力源26および補助風力源76を交互に作動させるとともに、その作動させる時間(以下、「作動期間」という。)および停止させる時間(以下、「停止期間」という。)を制御して、カートリッジ14からの香気と補助風力源76からの無臭の空気との混合割合を調整する。
以下、香り成分の濃度を調整(制御)する方法について説明する。本実施例では、香り
成分の濃度を制御する方法としては、香気と無臭の空気とを交互に噴射させ、香気と無臭の空気とを噴射させる期間を変化させる噴射方法が採用される。ただし、他の実施例では、香気と無臭の空気とを交互に噴射させ、香気と無臭の空気とを噴射させる回数を変化させる噴射方法、および、香気と無臭の空気とを交互に噴射させ、一度に香気を噴射させる量(噴射量)を変化させる噴射方法などが採用されてもよい。
図14は上述した本実施例の噴射方法を実現するための制御回路200の一例を示す図解図である。この制御回路200は、制御基板上に形成される。図14に示すように、制御回路200は、プロセッサ202を含み、プロセッサ202にはメモリ204が接続される。メモリ204は、フラッシュメモリやRAMのような書き代え可能な記憶媒体である。また、プロセッサ202には、I/F206が接続され、このI/F206を介して情報処理装置4と通信可能に接続される。さらに、プロセッサ202には、スイッチ回路208が接続される。このスイッチ回路208には、6個の風力源26および1個の補助風力源76のそれぞれに含まれる7個の圧電素子56の一方端が接続される。これらの圧電素子56の他方端のそれぞれは、可変抵抗Rを介して、制御回路200の外部に設けられる交番電圧源300に接続される。
たとえば、スイッチ回路208は、7個のスイッチング素子(たとえば、FET)を含み、各圧電素子56と接地との間にそれぞれ設けられる。プロセッサ202は、制御信号に従って、各スイッチング素子をオン/オフする時間を制御したり、各可変抵抗Rの抵抗値を制御したり(変化させたり)、または、それらの両方を制御したりする。つまり、風力源26および補助風力源76の作動期間および風力源26および補助風力源76に含まれる圧電素子56の振幅の大きさの少なくとも一方を制御する。
なお、上述した情報処理装置4からの指示信号は、嗅覚ディスプレイ10のプロセッサ202に入力される。
また、図14に示す制御回路200には、情報処理装置4が出力する、香り成分の濃度を制御(調整)するための制御信号が入力される。たとえば、線形的に濃度を変化させるための制御信号がプロセッサ202(嗅覚ディスプレイ10)に入力されると、これに応じて、嗅覚ディスプレイ10から噴射される香り成分の濃度が線形的に変化する。ただし、微小な濃度の変化は人間の嗅覚で認識するのは困難であるため、段階的(ステップ状)に濃度を調整するようにしてもよい。そして、本実施例では、濃度は0%(低い)から100%(高い)までを、任意に調整(制御)することが可能である。ただし、以下の説明では、簡単のため、3段階(高い、普通(中程度)、低い)で濃度を調整する場合について説明する。
本実施例の噴射方法の場合には、香りを出力する期間(以下、「香り出力期間」と言う。)において、出力する香りの香源90が入れられたカートリッジ14に設けられた風力源26の作動期間と、補助風力源76の作動期間とが反転するように、各風力源(32、74)の圧電素子56が駆動および停止される。ただし、この噴射方法では、各圧電素子56に波高値が一定値の交番電圧が印加される。具体的には、交番電圧源300からの交番電圧が各可変抵抗Rで降圧され、降圧された交番電圧(たとえば、周波数26kHz、19.5Vp−p)が各圧電素子56に印加される。
なお、香り出力期間は、情報処理装置4からの指示信号において指定される期間(時間)である。
図15(A)には香り成分の濃度を普通(中程度)に設定するための制御信号が情報処理装置4からプロセッサ202に入力された場合に、風力源26および補助風力源76の
作動を制御する例(作動および停止の時系列の変化)が示される。また、図15(B)には、香り成分の濃度を高く設定するための制御信号が情報処理装置4からプロセッサ202に入力された場合に、風力源26および補助風力源76の作動を制御する例が示される。さらに、図15(C)には、香り成分の濃度を低く設定するための制御信号が情報処理装置4からプロセッサ202に入力された場合に、風力源26および補助風力源76の作動を制御する例が示される。
ただし、図15(A)−図15(C)の風力源26は、情報処理装置4から指示された香源90、すなわち出力する香りの香源90が入れられたカートリッジ14に設けられた風力源26である。
上述したように、本実施例の噴射方法では、風力源26の作動期間と補助風力源76の作動期間とが反転され、風力源26と補助風力源76は交互に作動される。
また、この実施例では、香り成分の濃度に応じて、風力源26の一回の作動期間は決定されている。
たとえば、香り成分の濃度が普通(中程度)である場合の作動期間を基準(たとえば、1秒)として、香り成分の濃度が高い場合の作動期間は基準の1.5倍(1.5秒)であり、香り成分の濃度が低い場合の作動期間は基準の0.5倍(0.5秒)である。ここで、たとえば、風力源26の作動を制御する周期を2秒とする。濃度に応じた作動期間および周期についての数値はメモリ204に記憶されており、プロセッサ202は、情報処理装置4から制御信号を受信すると、これらの数値に従って、スイッチ回路208内部に設けられるスイッチング素子のオン/オフを制御する。
図15(A)に戻って、香り成分の濃度が普通である場合には、風力源26の一回の作動期間は1秒であり、作動を制御する周期は2秒であるため、補助風力源76の一回の作動期間は1秒に設定される。つまり、風力源26の一回の作動期間と補助風力源76の一回の作動期間とは同じ長さに設定される。
なお、図15(A)において、作動期間についてはH(ハイレベル)と記載し、停止期間についてはL(ローレベル)と記載してあるが、プロセッサ202がFETのようなスイッチング素子に与えるパルスのレベルを意味する。つまり、この実施例では、パルスがハイレベルのときにスイッチング素子はオンされ、パルスがローレベルのときにスイッチング素子はオフされる。
また、図15(B)に示すように、香り成分の濃度が高い場合には、風力源26の一回の作動期間は1.5秒であり、作動を制御する周期は2秒であるため、補助風力源76の一回の作動期間は0.5秒に設定される。つまり、風力源26の一回の作動期間は、補助風力源76の一回の作動期間の3倍の長さに設定される。したがって、香り成分の濃度が普通である場合よりも高くされる。
さらに、図15(C)に示すように、香り成分の濃度が低い場合には、風力源26の一回の作動期間は0.5秒であり、作動を制御する周期は2秒であるため、補助風力源76の一回の作動期間は1.5秒に設定される。つまり、風力源26の一回の作動期間は、補助風力源76の一回の作動期間の1/3の長さに設定される。したがって、香り成分の濃度が普通である場合よりも低くされる。
上記の図15(A)−図15(C)に示した本実施例の噴射方法の場合には、濃度に応じた風力源26の一回の作動期間を予め決定しておいたが、これに限定される必要はない
。たとえば、他の実施例の噴射方法の場合には、風力源26の一回の作動期間を所定の長さに設定しておき、風力源26および補助風力源76を作動させる回数(頻度)で濃度を調整することもできる。したがって、他の実施例の噴射方法では、この作動期間の所定の長さについての情報がメモリ204に記憶されている。
図16は情報処理装置4の電気的な構成を示すブロック図である。図16を参照して、情報処理装置4は、プロセッサ400などを含む。プロセッサ400には、嗅覚ディスプレイ10、メモリ402、アロマパターンデータベース(DB)404、通信LANボード406、出力装置410、入力装置412およびGPS回路414などが接続される。
また、通信LANボード406には通信装置408が接続され、GPS回路414にはGPSアンテナ416が接続される。
プロセッサ400は制御手段とも言われ、情報処理装置4の動作を制御する。また、プロセッサ400には、日時情報を出力するRTC400aが含まれる。メモリ402はROM,HDDおよびRAMを含む。ROMおよびHDDには、情報処理装置4の動作を制御するための制御プログラムなどが予め記憶される。また、RAMは、プロセッサ400のワークメモリやバッファメモリとして用いられる。
アロマパターンDB404は記憶手段とも言われ、上述したデバイス情報テーブル、香り成分を噴射するときの噴射パターンを含む噴射パターンテーブル(図17参照)、香り成分を噴射する設定時刻と噴射パターンとを対応付けた噴射タスクテーブル(図18参照)および香り成分の噴射履歴を含む噴射履歴テーブル(図19参照)などを含む。なお、上述した各テーブルについては、後述するためここでの詳細な説明は省略する。
通信LANボード406は、たとえばDSPで構成され、プロセッサ400から与えられた送信データを通信装置408に与え、通信装置408は送信データを、ネットワークを介して他の装置(たとえばサーバ)に送信する。また、通信LANボード406は、通信装置408を介してデータを受信し、受信したデータをプロセッサ400に与える。
出力装置410はディスプレイおよびスピーカなどを含み、入力装置412はマイク、マウスおよびキーボードなどを含む。たとえば、ユーザは、出力装置410および入力装置412を利用して、香り時計100に対して設定時刻を入力したり、出力する香りの種類などを設定したりする。
GPS回路414は、GPS機能によって現在位置を測位するときに起動される。GPS回路414は、GPSアンテナ416によって受信されたGPS衛星のGPS信号が入力されると、そのGPS信号に基づいて測位処理を実行する。その結果、GPS情報(位置情報)として、緯度および経度が算出される。
図17を参照して、上述の噴射パターンテーブルには噴射パターンのパターン項目と対応する、噴射ID、状態、噴射種類、アロマコード、噴射時間、濃度、パターンおよび噴射の列が含まれる。噴射IDの欄には、噴射パターンを識別するための噴射IDが記憶される。また、1つの噴射パターンは、この噴射IDに対応付けて同一の行に記憶される。つまり、噴射パターンテーブルにおける1つの行が、噴射IDによって識別される1つの噴射パターンを示す。
状態の欄には、噴射パターンの利用目的(用途)が記憶される。利用目的は、睡眠および起床などであり、たとえば状態が「睡眠」の噴射パターンは、ユーザが就寝時に利用されることを示している。噴射種類の欄には、1つの噴射パターンによって噴射される香り
成分の数を示す。たとえば、噴射種類の欄に「3」と記憶されている場合、3種類の香り成分が噴射されることを意味する。アロマコードの欄には、設定時刻に達したときに噴射される香り成分を示すアロマコードが記憶される。また、記憶されるアロマコードの数は、噴射種類の欄に記憶されている噴射種類の値と対応する。そして、複数のアロマコードが記憶されている場合は、アロマコードの欄に記憶されているアロマコードの順番がそのまま、香り成分を噴射する順番を示す。
また、図示は省略するが、2つ以上のアロマコードが括弧で囲われている場合は、2つ以上の香りを調合して出力することを示す。この場合、一度に2つ以上の香り成分が噴射されることになる。
噴射時間は、1種類の香り成分(アロマコード)における香り出力期間を示す。たとえば、噴射時間の欄に「120」と記憶されている場合は、1種類の香り成分における香り出力期間が120秒であることを示す。なお、噴射種類の欄に「3」と記憶されている場合は、3種類の香り成分が120秒ずつ噴射されることになり、香り出力期間は360秒(=3種類×120秒)となる。
濃度の欄には、濃度が変化する幅(濃度の変化量)が記憶される。パターンの欄には、香り成分が噴射された後の香り成分の濃度の変化のさせ方が記憶される。たとえば、パターンの欄に「弱く」が記憶され濃度の欄に「80」と記憶されている場合は、設定時刻に達すると80%の濃度の香り成分が噴射され、最終的な濃度が0%となるように濃度が変化することを示す。また、パターンの欄に「強く」が記憶され濃度の欄に「100」と記憶されている場合は、設定時刻に達すると、0%の濃度で香り成分の噴射が開始され、最終的な濃度が100%となるように濃度が変化することを示す。なお、図示は省略するがパターンの欄に「一定」と記憶されている場合は、濃度の欄に記憶されている値の濃度で香り成分が噴射され続けることを示す。
噴射の欄には、たとえば香り成分の噴射を連続的に行うか、間欠的に行うかが記憶される。噴射の欄に「連続」と記憶されている場合、香り成分が途切れることなく噴射される。一方、噴射の欄に「間欠」と記憶されている場合、香り成分が一定の間隔を空けながら間欠的に噴射される。このように、ユーザは、香りを出力する際に、連続的に出力するか、間欠的に出力するかを任意に選ぶことが出来る。
図18(A)および図18(B)は、図17に示す各噴射パターンを視覚的に表した画像の一例を示す図解図である。
図18(A)を参照して、噴射ID「000001」の噴射パターンでは、噴射種類が3種類であり、アロマコードが「1,2,6」であり、噴射時間が120秒であり、濃度が80%であり、パターンが「弱く」であり、噴射が「連続」である。この場合は、アロマコード1、アロマコード2およびアロマコード6で示される香り成分が、それぞれ120秒ずつ、連続的に噴射される。また、濃度は、噴射が開始された時点で80%であり、360秒かけて弱く(0%)なるように制御される。そのため、香り成分の噴射が開始されると、まず80%の濃度でアロマコード1と対応する香り成分が連続的に噴射される。アロマコード1と対応する香り成分が噴射されてから120秒が経過すると濃度は約54%になる。続いて、約54%の濃度でアロマコード2と対応する香り成分が連続的に噴射され、120秒が経過すると濃度は約27%になる。続いて、約27%の濃度でアロマコード6と対応する香り成分が連続的に噴射され、120秒が経過すると濃度が0%になる。そして、濃度が0%に達すると、香り成分の噴射が終了する。
たとえば、上述の噴射パターンは、ユーザが寝るときに利用されることが想定されてい
る。そのため、出力される香りの実際の香りとしては、ラベンダー、ヒノキ、シダーウッドおよびコーヒーなどであることが望ましい。また、噴射する香り成分の濃度を徐々に低く(弱く)することで、ユーザを心地よい眠りに誘うことが出来る。
次に、図18(B)を参照して、噴射ID「000002」の噴射パターンでは、噴射種類が4種類であり、アロマコードが「2,3,4,5」であり、噴射時間が120秒であり、濃度が100%であり、パターンが「強く」であり、噴射が「間欠」である。この場合は、アロマコード2、アロマコード3、アロマコード4およびアロマコード5で示される香り成分が、それぞれ120秒ずつ、間欠的に噴射される。また、濃度は、噴射が開始された時点で0%であり、480秒(=4種類×120秒)かけて強く(100%)なるように制御される。そのため、香り成分の噴射が開始されると、まず0%の濃度でアロマコード2と対応する香り成分が間欠的に噴射され、120秒が経過すると濃度は約25%になる。続いて、約25%の濃度でアロマコード3と対応する香り成分が間欠的に噴射され、120秒が経過すると濃度は約50%になる。続いて、約50%の濃度でアロマコード4と対応する香り成分が間欠的に噴射され、120秒が経過すると濃度は約75%になる。続いて、約75%の濃度でアロマコード5と対応する香り成分が間欠的に噴射され、120秒が経過すると濃度は約100%になる。そして、濃度が約100%に達すると、香り成分の噴射が終了する。
たとえば、上述の噴射パターンは、ユーザが起床するときに利用されることが想定されている。そのため、出力される香りの実際の香りとしては、グレープフルーツやレモンなどの柑橘系およびペパーミントやスペアミントなどの薄荷系などであることが望ましい。また、香り成分を噴射するときには、刺激性が小さい柑橘系の香りを低い濃度で出力し、徐々に薄荷系または清涼系の強い香りとなるように濃度を高くすることが出来る。これにより、出力した香りが空気の流れによって緩やかに伝わるため、ユーザに与えるストレスを抑えながら脳を覚醒させるという効果が期待できる。この場合、ユーザは、起きる準備時間を得ることが出来るため、快適に起床することが出来る。
一般的に、香りによる心理的効果はユーザがどの種類の香りに敏感かによって左右される。そのため、本実施例では、ユーザに合わせて香りの種類および濃度を調整しながら香りを出力することが出来る。
なお、他の実施例では、濃度の変化は直線的なものだけなく、曲線的なもの(指数関数的な変化)であってもよい。たとえば、香りが出力されたときの初期段階では、香り成分の濃度は緩やかに変化し、最終段階になってから濃度が急激に変換するようにしてもよい。逆に、初期段階で香り成分の濃度を急激に変化させた後は、濃度が緩やかに変化するようにしてもよい。
図19を参照して、上述した噴射タスクテーブルには噴射タスクのタスク項目と対応する、トリガ、設定時刻、噴射ID、繰り返しおよび有効/無効の列が含まれる。また、噴射タスクテーブルにおける1つの行が、1つの噴射タスクを示す。また、本実施例では、設定時刻に噴射IDなどを対応付けたものを噴射タスクとする。そして、香り時計100は有効に設定された噴射タスクに基づいて、香りを出力する処理を実行する。
トリガの欄には、香り成分を出力するきっかけとなるイベントを示す情報が記憶される。たとえば、トリガの欄にイベントとして「時刻指定」が記憶されている場合は、設定時刻に達したときに香り成分が噴射されることを示す。また、設定時刻の欄には、香り成分を噴射する設定時刻が記憶される。
噴射IDの欄には噴射IDが記憶される。繰り返しの欄には、噴射タスクを繰り返して
利用するか否かを示す情報が記憶される。たとえば、繰り返しの欄に「オフ」が記憶されている場合は、対応する噴射タスクは繰り返して利用されないことを示す。一方、繰り返しの欄に「オン」が記憶されている場合は、対応する噴射タスクの設定時刻に達する度に香り成分が噴射されることを示す。
有効/無効の欄には、噴射タスクが有効であるか否かを示す情報が記憶される。たとえば、有効/無効の欄に「オン」が記憶されている場合は、対応する噴射タスクの設定時刻に達したときに、香りを出力する処理が実行される。一方、有効/無効の欄に「オフ」が記憶されている場合は、対応する噴射タスクの設定時刻に達したとしても、香りを出力する処理は実行されない。
たとえば、図20を参照して、図19に示す噴射タスクの設定時刻(6時30分)に達すると、噴射ID「000002」の噴射パターンに基づいて、香り成分が噴射される。このとき、情報処理装置4のディスプレイには、香り成分が噴射されているときの日時情報(たとえば、「2014年9月28日(日)6時30分」)と、設定されている状態(たとえば、「起床」)とを含む、噴射画面が表示される。また、この噴射画面には、図18(B)に示す噴射ID「000002」の噴射パターンを視覚的に表す画像も含まれる。そして、ユーザは、噴射画面を確認することで、出力されている香りの濃度の変化を直感的に把握することが出来る。
図21を参照して、上述した噴射履歴テーブルには、噴射日時、季節、時間帯、天気および噴射IDの列が含まれる。噴射日時の欄には、香りが出力されたときの日時(たとえば、「201409272300(2014年9月27日23時00分)」)が記憶される。また、1つの噴射履歴は、この噴射日時に対応付けて同一の行に記憶される。つまり、噴射履歴テーブルにおける1つの行が、噴射日時によって示される1つの噴射履歴を示す。
季節の欄には、噴射日時に基づいて決められる春・夏・秋・冬のいずれかの季節が記憶される。本実施例では、噴射日時が示す月が、3−5月であれば春、6−8月であれば夏、9−11月であれば秋、12,1,2月であれば冬と判断される。
時間帯の欄には、噴射日時に基づいて決められる朝・昼・夜のいずれかの時間帯が記憶される。本実施例では、噴射日時が示す時刻が、6−11時であれば朝、12−18時であれば昼、19−24時,0−5時であれば夜と判断される。
天気の欄には、香りが出力されたときの天気が記憶される。本実施例では、GPS機能によって測位された位置情報などに基づいて香りが出力された地域を特定し、特定した地域の天気情報がネットワークを介して取得される。そして、天気の欄には取得された天気情報に基づいて天気(たとえば、「晴」)が記憶される。
噴射IDの欄には、香り成分を噴射するときに利用された噴射パターンの噴射IDが記憶される。
たとえば、図19に示す噴射タスクに基づいて香りが出力された場合、噴射時刻が「201409272300」、季節が「秋」、時間帯が「朝」、天気が「曇」および噴射IDが「000002」の噴射履歴が作成され、その噴射履歴が噴射履歴テーブルに追加される。
なお、季節の判断は、香り時計が利用される国または地域によって変化してもよい。たとえば、南半球の地域では、北半球の地域とは逆の季節となる。そのため、他の実施例では、GPS機能によって測位された位置情報などに基づいて、季節を判断する基準が変更される。
また、時間帯の判断は、季節よって変化してもよい。たとえば、その他の実施例では、季節が夏であれば昼と判断される時間帯が長くなるように設定され、夜と判断される時間帯が短くなるように設定される。一方、季節が冬であれば昼と判断される時間帯が短くなるように設定され、夜と判断される時間帯が長くなるように設定される。
また、位置情報は、情報処理装置4に事前に登録されていてもよい。たとえば、ユーザは、地図データを利用して香り時計100を利用する位置を指定することで、位置情報を事前に登録することが出来る。
ここで、ユーザは、情報処理装置4を利用して、噴射パターンを設定して、噴射タスクを作成することが出来る。つまり、ユーザは、任意の設定時刻において、任意の香りが出力されるようにすることが出来る。また、他の実施例では、ユーザは設定した噴射パターンや、作成した噴射タスクを再編集することが出来てもよい。この場合、ユーザは、噴射パターンの設定および噴射タスクの作成を容易に行うことが出来る。
また、ユーザは、新しい噴射タスクを作成する際に、噴射履歴テーブルの内容を参考にすることも出来る。
上述では本実施例の特徴を概説した。以下では、図22に示す情報処理装置4のメモリ402のメモリマップおよび図23、図24に示すフロー図を用いて本実施例について詳細に説明する。
図22は情報処理装置4のメモリ402のメモリマップの一例を示す図解図である。図22に示すように、メモリ402はプログラム記憶領域502およびデータ記憶領域504を含む。プログラム記憶領域502には、情報処理装置4を動作させるためのプログラムとして、噴射パターンを設定し、噴射タスクを作成するための噴射タスク作成プログラム510および作成された噴射タスクに従って香りを出力させるための噴射タスク管理プログラム512などが記憶される。なお、図示は省略するが、情報処理装置4を動作させるためのプログラムには、情報処理装置4の基本動作を制御するためのプログラムなども含まれる。
データ記憶領域504には、時刻バッファ530、噴射パターンバッファ532、噴射タスクバッファ534および環境情報バッファ536などが設けられる。
時刻バッファ530には、RTC400aから出力される時刻情報が一時的に記憶される。噴射パターンバッファ532には、設定中の噴射パターンの各パターン項目(たとえば、噴射種類や、アロマコードなど)が一時的に記憶される。噴射タスクバッファ534には、作成中の噴射タスクの各タスク項目(たとえば、設定時刻など)が一時的に記憶される。環境情報バッファ536には、香りが出力されたときの噴射日時、季節、時間帯および天気などが一時的に記憶される。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域504には、噴射画面を表示するためのデータや、様々な計算の結果を一時的に格納するバッファや、情報処理装置4の動作に必要な他のカウンタやフラグなども設けられる。
情報処理装置4のプロセッサ400は、Linux(登録商標)ベースのOSや、その他のOSの制御下で、図23に示す噴射タスク作成処理および図24に示す噴射タスク管理処理などを含む、複数のタスクを処理する。
図23は噴射タスク作成処理のフロー図である。たとえば、噴射タスクを作成する機能を実行する操作がされると、噴射タスク作成処理が実行される。噴射タスク作成処理が実行されると、プロセッサ400はステップS1で、パターン項目が入力されたかを判断する。たとえば、状態、噴射種類、アロマコード、噴射時間、濃度、パターンおよび噴射の各パターン項目が、情報処理装置4の入力装置412を利用して入力され、その入力を確定させる操作がされたかが判断される。なお、入力中のパターン項目は、噴射パターンバッファ532に記憶される。
ステップS1で“NO”であれば、たとえば入力されたパターン項目を確定させる操作がされなければ、プロセッサ400はステップS1の処理を繰り返す。一方、ステップS1で“YES”であれば、たとえば入力されたパターン項目を確定させる操作がされると、ステップS3でプロセッサ400は、パターン項目に基づいて噴射パターンを作成する。たとえば、パターン項目として、状態が「起床」、噴射種類が「3」、アロマコードが「2,3,4,5」、噴射時間が「120秒」、濃度が「80」、パターンが「弱く」および噴射が「連続」と入力された場合、図17に示すように、噴射ID「000002」の噴射パターンが設定される。ここで、新たに追加される噴射パターンの噴射IDは、噴射パターンテーブルに記憶されている最新の噴射パターンの噴射IDに基づいて決められる。たとえば、最新の噴射パターンの噴射IDが「000001」である場合、新たに追加される噴射パターンの噴射IDは、最新の噴射パターンの噴射IDに対して「1」を加えた(インクリメントされた)噴射IDとなる。また、噴射パターンが登録されていない場合は、最初の噴射パターンであることを示す「000001」が噴射IDとされる。
そして、設定された噴射パターンは、噴射パターンテーブルに追加される。なお、ステップS3の処理を実行するプロセッサ400は設定手段として機能する。
続いて、ステップS5でプロセッサ400は、設定時刻が設定されたか否かを判断する。つまり、香りを出力する設定時刻が設定されたかが判断される。ステップS5で“NO”であれば、たとえば設定時刻を確定させる操作がされていなければ、プロセッサ400はステップS5の処理を繰り返す。一方、ステップS5で“YES”であれば、たとえば入力された設定時刻を確定させる操作がされると、ステップS7でプロセッサ400は、噴射パターンと設定時刻とを対応付けて噴射タスクを作成する。また、作成された噴射タスクは、噴射タスクバッファ534に記憶される。
続いて、ステップS9でプロセッサ400は、繰り返しが有効にされたか否かを判断する。つまり、作成された噴射タスクを繰り返す設定がされたかが判断される。ステップS9で“NO”であれば、つまり噴射タスクを繰り返す設定がされなければ、プロセッサ400は噴射タスクにおける繰り返しのタスク項目を「オフ」にし、ステップS13の処理に進む。
一方、ステップS9で“YES”であれば、たとえば噴射タスクを繰り返す設定がされると、ステップS11でプロセッサ400は、作成した噴射タスクの繰り返しをオンに設定する。つまり、噴射タスクにおける繰り返しのタスク項目が「オン」にされる。
続いて、ステップS13でプロセッサ400は、作成した噴射タスクを有効に設定する。つまり、噴射タスクの有効/無効のタスク項目が「有効」にされる。これは、作成した噴射タスクが利用されない可能性は極めて低いため、本実施例では自動的に噴射タスクの有効/無効のタスク項目が「有効」にされる。ただし、他の実施例では、有効にするか否かを確認した後、このタスク項目に対して「有効」または「無効」が設定されてもよい。
ステップS13の処理が終了すると、噴射タスクバッファ534に記憶される噴射タス
クが噴射タスクテーブルに登録され、プロセッサ400は噴射タスク作成処理を終了する。
図24は噴射タスク管理処理のフロー図である。たとえば、情報処理装置4の電源がオンにされると、噴射タスク管理処理が実行される。
噴射タスク管理処理が実行されると、プロセッサ400はステップS31で、現在時刻が設定時刻と一致するか否かを判断する。つまり、時刻バッファ530に記憶されている現在時刻が読み出され、噴射タスクテーブルの設定時刻の列において一致する時刻が記憶されているかが判断される。ステップS31で“NO”であれば、つまり現在時刻と一致する設定時刻が記憶されていなければ、プロセッサ400はステップS31の処理を繰り返す。
ステップS31で“YES”であれば、つまり現在時刻と一致する設定時刻を含む噴射タスクがあれば、ステップS33でプロセッサ400は、現在時刻と一致する設定時刻を含む噴射タスクを取得する。たとえば、現在時刻が6時30分であれば、図19に示す噴射タスクが取得される。続いて、ステップS35でプロセッサ400は、取得された噴射タスクが有効か否かを判断する。つまり、取得された噴射タスクにおいて、有効/無効のタスク項目に有効が記憶されているかが判断される。ステップS35で“NO”であれば、つまり取得された噴射タスクが有効でなければ、プロセッサ400はステップS31の処理に戻る。
一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり取得された噴射タスクが有効であれば、ステップS37でプロセッサ400は、取得した噴射タスクに基づいて噴射パターンを取得する。たとえば、図19に示す噴射タスクが取得されている場合、噴射ID「000002」の噴射パターンが、噴射パターンテーブルから取得される。
続いて、ステップS39でプロセッサ400は、噴射パターンに基づいて指示信号および制御信号を出力する。たとえば、図17に示す噴射ID「000002」の噴射パターンが示すように香りが出力されるよう、指示信号および制御信号が嗅覚ディスプレイ10に出力される。また、これらの信号が出力されると、情報処理装置4のディスプレイには図20に示すような噴射画面が表示される。
続いて、ステップS41でプロセッサ400は、繰り返しが設定されているか否かを判断する。つまり、取得した噴射タスクにおいて繰り返しのタスク項目が「オン」にされているかが判断される。ステップS41で“YES”であれば、つまり繰り返しのタスク項目が「オン」であれば、プロセッサ400はステップS45の処理に進む。一方、ステップS41で“NO”であれば、つまり繰り返しのタスク項目が「オフ」であれば、ステップS43でプロセッサ400は、取得された噴射タスクを無効に切り替える。つまり、取得された噴射タスクが繰り返されないようにするために、繰り返しのタスク項目が「オフ」にされる。
続いて、ステップS45でプロセッサ400は、環境情報を取得する。つまり、時刻バッファ530に記憶される時刻情報から噴射日時を取得し、その噴射日時から季節および時間帯が取得される。また、位置情報に基づいて、ネットワーク上に公開されている現在位置の天気情報が取得される。そして、取得されたこれらの情報が環境情報として環境情報バッファ536に記憶される。続いて、ステップS47でプロセッサ400は、噴射履歴を作成する。つまり、環境情報バッファ536に記憶される環境情報と、取得された噴射タスクの噴射IDとに基づいて噴射履歴が作成される。続いて、ステップS49でプロセッサ400は、作成した噴射履歴を噴射履歴テーブルに追加する。たとえば、図19に
示す噴射タスクに基づいて香りが出力された場合は、図21に示すような噴射履歴が追加される。
そして、ステップS49の処理が終了すると、プロセッサ400はステップS31の処理に戻る。
<第2実施例>
第2実施例では、ユーザが就寝しようとしている入眠前の状態(以下、入眠前状態と言う。)を検出し、入眠前状態を検出したときに香りを出力する。また、第2実施例の情報処理装置4には、ノート型PCではなくタブレット端末が採用される。なお、嗅覚ディスプレイ10の外観や構造などは第1実施例と略同じであるため、詳細な説明は省略する。
図25および図26を参照して、第2実施例の香り時計100では、情報処理装置4と嗅覚ディスプレイ10とは有線接続されておらず、無線通信を行う。また、ユーザが利用する枕には圧力センサ604(図29参照)などを備える入眠前状態検出装置6が内蔵されている。そして、情報処理装置4は、この入眠前状態検出装置6とも無線通信を行う。
図27は第2実施例の嗅覚ディスプレイ10の制御回路200の一例を示す図解図である。図27を参照して、第2実施例の制御回路200では、プロセッサ202には、I/F206に代えて無線通信モジュール210が接続される。無線通信モジュール210は、Bluetooth(登録商標)方式などの近距離無線通信の技術を用いて通信を行うためのモジュールであり、情報処理装置4から送信された指示信号および制御信号を受信して、プロセッサ202に与える。
なお、第2実施例の制御回路200は、プロセッサ202に無線通信モジュール210が接続される以外は、第1実施例と略同じものがプロセッサ400に接続される。
図28は第2実施例の情報処理装置4の電気的な構成を示すブロック図である。図28を参照して、第2実施例の情報処理装置4のプロセッサ400には、通信LANボード406に代えて無線通信モジュール420が接続される。無線通信モジュール420は、上述した制御回路200のプロセッサ202と接続される無線通信モジュール210と略同じ機能を有しており、指示信号および制御信号を送信する。また、第2実施例の情報処理装置4には、嗅覚ディスプレイ10は直接接続されていないため、図28では嗅覚ディスプレイ10は図示されない。
なお、第2実施例の情報処理装置4は、プロセッサ400に無線通信モジュール420が接続される以外は、第1実施例と略同じである。
図29は入眠前状態検出装置6の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図29を参照して、入眠前状態検出装置6は検出手段として機能し、プロセッサ600などを含む。このプロセッサ600には、メモリ602、圧力センサ604および無線通信モジュール606などが接続される。
プロセッサ600は入眠前状態検出装置6の動作を制御する。メモリ602は、ROMおよびRAMを含む。ROMには、入眠前状態検出装置6の動作を制御するための制御プログラムなどが予め記憶されている。また、RAMは、プロセッサ600のワーキングメモリや、バッファメモリとして用いられる。
圧力センサ604は、たとえば抵抗線式の圧力センサであり、枕に頭が置かれたときに圧力を検出するよう枕に内蔵されている。なお、他の実施例では、面圧を検出可能なシー
トセンサなどが、圧力センサとして採用されてもよい。また、無線通信モジュール420は、上述した無線通信モジュール210および無線通信モジュール420と略同じ機能を有しており、後述する圧力信号を情報処理装置4に対して送信する。
入眠前状態検出装置6のプロセッサ600は、圧力センサ604によって圧力が検出されるとユーザが枕に頭を置き、入眠前状態だと判断する。このとき、プロセッサ600は、無線通信モジュール606を介して圧力信号を情報処理装置4に対して送信する。このように、第2実施例では、圧力センサ604を利用してユーザの入眠前状態を検出する。
図30は第2実施例の噴射タスクテーブルの構成の一例を示す図解図である。第2実施例の噴射タスクでは、トリガのタスク項目として「圧力センサ」が設定可能である。たとえば、トリガの欄にイベントして「圧力センサ」が記憶されている場合は、入眠前状態検出装置6の圧力センサ604を利用して入眠前状態が検出され、情報処理装置4が圧力信号を受信したときに香り成分が噴射されることを示す。なお、トリガの欄に「圧力センサ」が記憶される場合、設定時刻の欄には設定時刻は記憶されない。
このように、第2実施例では、ユーザの入眠前状態を検出することで、適切なタイミングで香りを出力することが出来る。
なお、他の実施例では、圧力センサに代えて脳波計や、心拍計、カメラなどの様々なセンサ、または入眠推定装置などを入眠の検出に利用してもよい。たとえば、他の実施例で脳波計が利用された場合、脳波計によって入眠前の脳波が計測されたときに、嗅覚ディスプレイ10から香りが出力される。
また、第2実施例では、情報処理装置4はいわゆるスマートフォンであってもよい。この場合、季節、時間帯および天気などの履歴情報は、スマートフォンにインストールされているアプリケーションを利用して取得されてもよい。
また、他の実施例では、入眠前状態検出装置6に代えて、ZigBee(登録商標)方式の無線通信に対応した小型の無線通信モジュールなどを取り付けた圧力センサ604が採用されてもよい。
また、その他の実施例では、情報処理装置4、入眠前状態検出装置6および嗅覚ディスプレイ10が行う近距離無線通信には、ZigBee方式などが採用されてもよい。
上述では第2実施例の特徴を概説した。以下では、図31に示すメモリマップおよび図32、図33に示すフロー図を用いて詳細に説明する。
図31を参照して、第2実施例のデータ記憶領域504には、第1実施例のバッファおよびデータなどに対して、無線通信によって受信した圧力信号などが一時的に記憶される無線通信バッファ538がさらに設けられる。
図32は第2実施例の噴射タスク作成処理のフロー図である。なお、第1実施例の噴射タスク作成処理で実行される処理(ステップ)と略同等のものについては、第1実施例と同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS1でプロセッサ400は、パターン項目が入力されたか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまりパターン項目が入力されていなければ、プロセッサ400はステップS1の処理を繰り返す。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまりパターン項目が入力されると、ステップS3でプロセッサ400は、パターン項目
に基づいて噴射パターンを設定する。続いて、ステップS5で設定時刻が設定されたか否かを判断する。ステップS5で“YES”であれば、つまり設定時刻が設定されると、ステップS7でプロセッサ400は、噴射パターンと設定時刻とを対応付けて噴射タスクを作成する。そして、ステップS7の処理が終了すると、プロセッサ400はステップS9の処理に進む。
一方、ステップS5で“NO”であれば、つまり設定時刻が設定されなければ、ステップS61でプロセッサ400は、「圧力センサ」がトリガに設定されたか否かを判断する。つまり、入眠前状態検出装置6で入眠前状態が検出されたときに香りが出力されるように設定されたかが判断される。ステップS61で“NO”であれば、つまり入眠前状態検出装置6で入眠前状態が検出されたときに香りが出力されるように設定されなければ、プロセッサ400はステップS5の処理に戻る。一方、ステップS61で“YES”であれば、入眠前状態検出装置6で入眠前状態が検出されたときに香りが出力されるように設定されると、ステップS63でプロセッサ400は、トリガを「圧力センサ」とする噴射タスクを作成する。たとえば、図30に示すような、トリガが「圧力センサ」とされた噴射タスクが作成される。また、作成された噴射タスクは噴射タスクバッファ534に記憶される。そして、ステップS63の処理が終了すると、プロセッサ400はステップS9の処理に進む。
なお、ステップS9以降の処理については第1実施例と略同じであるため、ステップS9以降の処理については詳細な説明を省略する。
図33は第2実施例の噴射タスク管理処理のフロー図である。なお、第1実施例の噴射タスク作成処理で実行される処理(ステップ)と略同等のものについては、第1実施例と同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS31でプロセッサ400は、現在時刻と設定時刻とが一致するか否かを判断する。ステップS31で“YES”であれば、つまり現在時刻と設定時刻とが一致すれば、ステップS33でプロセッサ400は、現在時刻と一致する設定時刻を含む噴射タスクを取得する。そして、ステップS33の処理が終了すると、プロセッサ400はステップS35の処理に進む。
一方、ステップS31で“NO”であれば、つまり現在時刻と設定時刻とが一致していなければ、ステップS81でプロセッサ400は、圧力信号を受信したか否かを判断する。つまり、入眠前状態検出装置6によってユーザの入眠前状態が検出されたかが判断される。ステップS81で“NO”であれば、つまり入眠前状態が検出されず、圧力信号が受信されなければ、プロセッサ400はステップS41の処理に戻る。
ステップS81で“YES”であれば、つまり入眠前状態が検出されることによって、圧力信号が受信されていれば、ステップS83でステップS400は、トリガが「圧力センサ」の噴射タスクがあるか否かを判断する。つまり、トリガのタスク項目において「圧力センサ」が設定されている噴射タスクが噴射タスクテーブルに記憶されているかが判断される。ステップS83で“NO”であれば、つまりトリガのタスク項目に「圧力センサ」が設定されている噴射タスクが無ければ、プロセッサ400はステップS31の処理に戻る。
ステップS83で“YES”であれば、つまりトリガのタスク項目に「圧力センサ」が設定されている噴射タスクあれば、ステップS85でプロセッサ400は、トリガのタスク項目が「圧力センサ」の噴射タスクを取得する。たとえば、噴射タスクテーブルから、トリガのタスク項目に「圧力センサ」が設定されている噴射タスクが読み出される。そし
て、ステップS85の処理が終了すれば、プロセッサ400はステップS35の処理に進む。また、ステップS35以降の処理については第1実施例と略同じであるため、ステップS35以降の処理については詳細な説明を省略する。
なお、他の実施例では、噴射タスクテーブルの内容が噴射パターンテーブルに統合されてもよい。
また、状態のパターン項目には、ユーザが仕事(勉強)を行うときに設定される「仕事(勉強)」や、勉強などの合間にとられる「休憩」などが記憶されてもよい。また、状態が「仕事」に設定されている場合、出力される香りの実際の香りとしては、集中力を高める効果が期待できるレモングラスやベルガモットなどであることが望ましい。一方、状態が「休憩」に設定されている場合、出力される香りの実際の香りとしては、ヒノキやローズマリーなどのリラックス系の香りであることが望ましい。
また、その他の実施例では、アロマパターンDB404はサーバに記憶されていてもよい。この場合、情報処理装置4は、ネットワークを介してサーバからアロマパターンDB404のデータを取得する。
また、さらにその他の実施例では、香り時計100が所定時間(たとえば、1時間)毎に異なる香りを出力するようにしてもよい。これにより、寝室や玄関などの単一の物理空間において、香りを変化させることで様々なイメージを持った空間を形成することが出来る。たとえば、朝の時間帯では「爽やかな香り」で玄関を「オンモード」の空間にし、夕方の時間帯には「安らぎの香り」で玄関を「オフモード」の空間にすることが出来る。
また、トイレなどでマスキングの効果を得るために香りを用いる場合、1種類の香りでは人の嗅覚細胞が順応(または、疲労)を起こしてしまい、香りが分からなくなることがある。ところが、上記の香り時計100を利用すれば、上述のような嗅覚順応を考慮し、所定時間毎に異なる香りを出力することが出来る。
また、他の実施例では、設定時刻において香りの出力が終了するように、嗅覚ディスプレイ10が制御されてもよい。
また、情報処理装置4と嗅覚ディスプレイ10とが、1つの装置として構成されてもよい。また、第2実施例では、入眠前状態検出装置6に圧力センサ604とは別のセンサが接続されている場合、可能であれば情報処理装置4と嗅覚ディスプレイ10と入眠前状態検出装置6とが1つの装置として構成されてもよい。
また、本実施例で説明した複数のプログラムは、データ配信用のサーバのHDDに記憶さ
れ、ネットワークを介して本実施例と同等の構成の香り時計100(情報処理装置4)に配信されてもよい。また、CD, DVD, BD (Blu-ray(登録商標) Disc)などの光学ディスク、USBメモリおよびメモリカードなどの記憶媒体にこれらのプログラムを記憶させた状態
で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。そして、上記したサーバや記憶媒体などを通じてダウンロードされた、上記複数のプログラムが、本実施例と同等の構成のシステムに適用された場合、本実施例と同等の効果が得られる。
そして、本明細書中で挙げた、具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様変更などに応じて適宜変更可能である。