JP6583767B2 - あと変形パネル - Google Patents

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Description

本明細書は、施工時に曲面形状を調整することができるあと変形パネルに関する。本明細書に開示するあと変形パネルは、典型的には、建築物の外壁や屋根等の建築外装材に用いられるが、このような用途に限られず、飛行機等の機体や、電車等の筐体といった種々の用途に用いることができる。
建築物の外壁や屋根等の建築外装材としてパネルが用いられている。例えば、特許文献1に開示された建築用パネルは、断面凹凸状に屈曲形成された折板と、折板の左右両端に配置される2本の第1枠材と、折板の上下両端に配置される2本の第2枠材とを備える。折板は、屈曲形成により形成された稜線が左右方向に伸びている。折板の稜線と平行方向の両端に配置された第1枠材は、折板と接合されている。折板の稜線と直交する方向の両端に配置された第2枠材は、折板と接合されていない。これによって、特許文献1の建築用パネルは、折板の枠材への接合を容易に行うことを実現しながら、建築用パネルの面内せん断抵抗性能を十分に高めることができるとされている。
特開2009−180043号公報
ところで、建築物のデザイン性を向上するために、建築物の壁や屋根を曲面状に湾曲させる場合がある。従来の技術において、パネルを曲面状に湾曲させた壁や床に用いるためには、用いられる壁や床の曲面形状に合わせてパネルを専用に設計して製造している。このため、施工現場においてパネルの曲面形状を調整することは難しく、パネルの製造に高い精度が求められるという問題があった。なお、特許文献1の建築用パネルは、方形状の折板の4辺に枠材が配置されており、曲面状に形成することを考慮したものではない。
本明細書に開示する第1のあと変形パネルは、第1の金属板と、第1の金属板に対向して配置された第2の金属板と、第1の金属板と第2の金属板の間に配置され、第1の金属板と第2の金属板とを連結するコア材と、を備えている。コア材は、折り曲げ加工された第3の金属板であり、第1の金属板と第2の金属板を湾曲変形させたときに、その湾曲変形に応じて変形可能とされている。コア材が変形することで、第1の金属板及び第2の金属板が湾曲していない非湾曲状態から第1の金属板及び第2の金属板が湾曲した湾曲状態へと施工可能となっている。第3の金属板は、第1の金属板に固定される複数の第1部分と、第2の金属板に固定される複数の第2部分と、一端が第1部分の端辺に接続される一方で、他端が第2部分の端辺に接続される複数の第3部分と、を備えている。第3の金属板では、第1部分と第3部分の間の折り曲げ箇所に形成される稜線と、第1部分と第3部分の間の折り曲げ箇所に形成される稜線のそれぞれが第1の方向に伸びている。第1の金属板と第2の金属板は、第1の方向と直交する第2の方向に湾曲可能となっている。あと変形パネルを第1の方向に沿って見たときに、あと変形パネルを非湾曲状態から湾曲状態に施工する際に、複数の第3部分が互いに平行を維持するように構成されている。
上記の第1のあと変形パネルでは、コア材を変形させることで、第1の金属板及び第2の金属板を非湾曲状態から湾曲状態へと施工することができる。すなわち、あと変形パネルを非湾曲状態で製造し、施工時に湾曲状態とすることができる。したがって、あと変形パネルの製造に高い精度が要求されず、施工時にあと変形パネルの曲面形状を容易に調整することができる。
本明細書に開示する第2のあと変形パネルは、第1の金属板と、第1の金属板に対向して配置された第2の金属板と、第1の金属板と前記第2の金属板の間に配置され、第1の金属板と第2の金属板とを連結するコア材と、を備えている。コア材は、第1の金属板と第2の金属板を湾曲変形させたときに、その湾曲変形に応じて変形可能とされている。コア材が変形することで、第1の金属板及び第2の金属板が湾曲していない非湾曲状態から第1の金属板及び第2の金属板が湾曲した湾曲状態へと施工可能となっている。コア材は、積層された複数の層により構成されており、複数の層の少なくとも1つは、その層と隣接する少なくとも一方の層との接触面において、非湾曲状態から湾曲状態となる際にすべりが生じるように構成されている。
上記の第2のあと変形パネルでも、コア材を変形させることで、第1の金属板及び第2の金属板を非湾曲状態から湾曲状態へと施工することができる。したがって、あと変形パネルの製造に高い精度が要求されず、施工時に曲面形状を容易に調整することができる。
本明細書に開示する第3のあと変形パネルは、第1の金属板と、第1の金属板に対向して配置された第2の金属板と、第1の金属板と第2の金属板の間に配置され、第1の金属板と第2の金属板とを連結するコア材と、を備えている。コア材は、第1の金属板と第2の金属板を湾曲変形させたときに、その湾曲変形に応じて変形可能とされている。コア材が変形することで、第1の金属板及び第2の金属板が湾曲していない非湾曲状態から第1の金属板及び第2の金属板が湾曲した湾曲状態へと施工可能となっている。コア材は、積層された複数の層により構成されており、複数の層は、第1の層と、第1の層に積層された第2の層と、第2の層に積層された第3の層とを備えている。第2の層は、第1の層及び前記第3の層と比較して、機械的強度が低くされている。あと変形パネルを非湾曲状態から湾曲状態とすると、第2の層が変形して、第1の層と第3の層との間にすべりが生じるように構成されている。
上記の第3のあと変形パネルでも、コア材を変形させることで、第1の金属板及び第2の金属板を非湾曲状態から湾曲状態へと施工することができる。したがって、あと変形パネルの製造に高い精度が要求されず、施工時に曲面形状を容易に調整することができる。
実施例1に係る建築用パネルの施工例を説明するための図である。 実施例1に係る建築用パネルの他の施工例を説明するための図である。 図1Aに示す建築用パネルに係る(a)パネル本体の断面図(図1AのIIA-IIA線断面図)と、パネル本体に取付けられるスペーサの正面図(b)である。 図1Bに示す建築用パネルに係る(a)パネル本体の断面図(図1BのIIA-IIA線断面図)と、2つのパネル本体を連結する連結部材の正面図(b)である。 コア材の斜視図である(非湾曲状態を示す図)。 実施例1に係る建築用パネルを非湾曲状態(a)から湾曲状態(b)とする際の建築パネルの作用を説明するための図である。 変形例に係るコア材の斜視図である。 他の変形例に係るコア材の斜視図である。 建築用パネルを湾曲状態に保持するための他の方法を説明するための図である。 建築用パネルを湾曲状態に保持するための他の方法を説明するための図である。 実施例2に係る建築用パネルの断面図である(非湾曲状態)。 実施例2に係る建築用パネルの断面図である(湾曲状態)。 実施例2に係る建築用パネルの変形例を説明するための図である。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書に開示するあと変形パネルでは、あと変形パネルを第1の方向に沿って見たときに、隣接する一対の第3部分と、隣接する一対の第3部分の一方の各端辺を連結する第1部分又は第2部分と、隣接する一対の第3部分の他方の各端辺を連結する第2の金属板又は第1の金属板によって形成される空間内に挿入されるスペーサをさらに備えていてもよい。そして、スペーサは、空間の対角する2つのコーナ部に当接して、第1の金属板及び第2の金属板を前記湾曲状態に維持してもよい。このような構成によると、スペーサが筋交いとして機能し、あと変形パネルの湾曲状態を安定して保持することができる。
(特徴2)本明細書に開示するあと変形パネルでは、第3部分は、第1の方向に間隔を空けて複数配置されたエンボス部、及び/又は、第1部分との接続部位及び/又は第2部分との接続部位に設けられ、第1の方向に間隔を空けて複数配置されたた開口部を有していてもよい。このような構成によると、あと変形パネルを非湾曲状態から湾曲状態へ施工する際に、エンボス部及び/又は開口部を形成した分だけ第3の金属板の変形部位が限定される。その結果、第3の金属板の変形部位が塑性加工され易くなり、非湾曲状態から湾曲状態へ施工する際の加工力を低減することができる。また、あと変形パネルを湾曲状態で保持し易くなり、形状の安定性を向上することができる。
(特徴3)本明細書に開示するあと変形パネルでは、第1の金属板と第2の金属板を湾曲状態に施工した後に、第1の金属板と第2の金属板を湾曲状態に保持する保持手段をさらに備えていてもよい。このような構成によると、あと変形パネルを湾曲状態とした後に、その湾曲状態を安定して保つことができる。
本実施例に係る建築用パネル10について説明する。図1Aに示すように、本実施例の建築用パネル10は、パネル本体20と、パネル本体20を湾曲状態で保持するためのスペーサ140を備えている。図1Aに示す施工例では、パネル本体20の上端と下端のそれぞれにスペーサ140が取付けられている。
図2Aの(a)に示すように、パネル本体20は、第1金属板22(第1の金属板の一例)と、第2金属板24(第2の金属板の一例)と、第3金属板26(コア材の一例であって、第3の金属板の一例))とを備えている。
第1金属板22は、金属材料によって形成された1枚の板材である。第1金属板22には、例えば、建築用の鋼板等が用いられる。第1金属板22は、構造物の表面側又は裏面側に配置される。第1金属板22は、x方向に湾曲可能に構成されており、施工後はx方向に湾曲した状態(湾曲状態)となる(図2Aの(a)に示す状態)。ここで、「x方向に湾曲する」とは、第1金属板22の表面をx方向に走査したときに、その走査する点のz座標(厚み方向の位置)が変化するように湾曲することを意味する。なお、第1金属板22の表面をy方向に走査しても、その走査点のz座標は変化しないため、第1金属板22はy方向には湾曲していないこととなる。
第2金属板24は、第1金属板22と同様に構成されており、金属材料によって形成された1枚の板材である。第2金属板24の寸法と第1金属板22の寸法は同一とされている。第2金属板24には、例えば、建築用の鋼板等が用いられる。第2金属板24は、第1金属板22に対向して配置され、構造物の裏面側又は表面側に配置される。第2金属板24は、x方向に湾曲可能に構成されており、施工後はx方向に湾曲した状態(湾曲状態)となる。
第3金属板26は、金属材料によって形成された1枚の板材である。第3金属板26には、例えば、建築用の鋼板等が用いられる。第3金属板26は、第1金属板22と第2金属板24の間に配置され、第1金属板22と第2金属板24とを連結している。図2Aの(a),図3に示すように、第3金属板26は、複数個所で折り曲げ加工されており、xz断面で見たときに矩形波状に形成されている。すなわち、第3金属板26は、x方向に間隔を空けた複数個所において折り曲げられている。第3金属板26を折り曲げることで形成される稜線29はy方向に伸びている。稜線29がy方向に伸びるように第3金属板26が折り曲げられているため、第3金属板26はx方向に湾曲可能となっている。第3金属板26のxy方向の寸法は、折り曲げられた状態で、第1金属板22及び第2金属板24のxy方向の寸法と略同一となっている。詳細には、第3金属板26のx方向の寸法及びy方向の寸法のそれぞれが、第1金属板22及び第2金属板24の対応する寸法よりわずかに短くされている。
ここで、第3金属板26は、上記のように折り曲げ加工されることで、第1金属板22に固定される複数の第1部分28と、第2金属板24に固定される複数の第2部分30と、第1部分28と第2部分30とを連結する複数の第3部分32を有している。
複数の第1部分28は、平面視すると長方形状に形成されており、x方向に間隔を空けて等間隔で配置されている。第1部分28のx方向の寸法はそれぞれ同一とされている。第1部分28は第1金属板22に固定されることから、パネル本体20が非湾曲状態から湾曲状態とされる際に、第1金属板22と第1部分28との間に相対的な位置変化は生じない。
複数の第2部分30も、平面視すると長方形状に形成されており、第1部分28の長さだけx方向に間隔を空けて等間隔で配置されている。第2部分30のx方向の寸法はそれぞれ同一とされており、第1部分28のx方向の寸法と同一となっている。第2部分30は第2金属板24に固定されることから、パネル本体20が非湾曲状態から湾曲状態とされる際に、第2金属板24と第2部分30との間に相対的な位置変化は生じない。
複数の第3部分32は、平面視すると長方形状に形成されており、第1部分28及び第2部分30の長さだけx方向に間隔を空けて配置されている。第1部分28及び第2部分30のx方向の長さは同一であるため、複数の第3部分32はx方向に等間隔で配置されている。第3部分32のz方向の寸法はそれぞれ同一とされている。第3部分32の一端は第1部分28に接続されており、第3部分32の他端は第2部分30に接続されている。パネル本体20が非湾曲状態では、第3部分32と第1部分28とがなす角は90°となっており、また、第3部分32と第2部分30とがなす角は90°となっている。このため、パネル本体20をxz断面で見ると、第3金属板26の第1部分28と、第3部分32,32と、第2金属板24で形成される空間38は矩形状となる(図4(a))。同様に、第3金属板26の第2部分30と、第3部分32,32と、第1金属板22で形成される空間38は矩形状となる(図4(a))。また、後で詳述するように、パネル本体20が非湾曲状態から湾曲状態とされる際に、複数の第3部分32は、それぞれ平行を維持する。なお、第1部分28と第2部分30と第3部分32のそれぞれのy方向の寸法は同一となっている。
次に、スペーサ140について説明する。図2Aの(b)に示すように、スペーサ140は、金属材料によって形成された1枚の板材(例えば、建築用の鋼板)により形成されている。スペーサ140は、基端部148と、基端部148の一方の辺に沿って配置された複数の挿入部142を有している。隣接する挿入部142の間にはスリット144が形成されている。スリット144の幅は、開口部146において基端部148から離れるに応じて徐々に広くなっている。
挿入部142のそれぞれは、パネル本体20の空間38に挿入されるようになっている。例えば図1Aに示すように、上側に示されるスペーサ140の挿入部142はパネル本体20の上端面側から空間38に挿入され、下側に示されるスペーサ140の挿入部142はパネル本体20の下端面側から空間38に挿入される。
図2Aの(a)に示すように、挿入部142がパネル本体20の空間38に挿入されると、挿入部142が空間38の対角線上となるコーナ部においてパネル本体20に当接する。具体的には、第1部分28(又は第2部分30)と第3部分32とで形成されるコーナ部、第3部分32と第1金属板22とで形成されるコーナ部、又は第3部分32と第2金属板24とで形成されるコーナ部のいずれかにおいて当接する。挿入部142は、パネル本体20を湾曲状態とした後に挿入される。挿入部142が空間38の対角するコーナ部でパネル本体20に当接するため、挿入部142が筋交いとして機能し、挿入部142によってパネル本体20の湾曲状態が保持される。また、図2Aより明らかなように、パネル本体20を湾曲状態とすると、各空間38a,38b,38c・・の対角線の長さが相違する。このため、各挿入部42a,42bのx方向の寸法l,l,l,・・は、パネル本体20の湾曲状態に応じて調整されている。また、1枚の板材から形成したスペーサ140をパネル本体20の空間38に挿入するため、スペーサ140をパネル本体20に挿入する際は、隣接する挿入部142においてスペーサ140は山/谷に折り曲げられた状態とされる。なお、スリット144の開口部146の幅が徐々に広がるように形成されているため、挿入部142をパネル本体20の空間38内にスムーズに挿入することができる。作業性を考慮して連結部材40は一体でなく各42a,42bに1枚ずつ切離されて作成されてもよい。この場合、分離された各42a,42bは1枚ずつ空間38に挿入される。
次に、上述した建築用パネル10を製造・施工する際の手順を説明する。本実施例では、パネル本体20は非湾曲状態で製造される。すなわち、第1金属板22及び第2金属板24は湾曲しておらず、第3金属板26も折り曲げ加工のみが施されている。このため、パネル本体20の空間38の断面形状(xz断面)は矩形状となっている(図4(a)の状態)。一方、スペーサ140は、パネル本体20を湾曲状態としたときの形状に合わせて、挿入部142のx方向の寸法を調整しなければならない。したがって、施工現場において挿入部142のx方向の寸法調整が可能なように、スリット144は形成されていない。
建築用パネル10を施工する際は、まず、パネル本体20が所望の形状となるようにx方向に湾曲させる。ここで、第3金属板26の第1部分28と第2部分30と第3部分32の各寸法が上記のように構成されているため、第1金属板22及び第2金属板24を湾曲させると、それに応じて第3金属板26が湾曲する。すなわち、第1金属板22及び第2金属板24を湾曲させても、パネル本体20の空間38が平行四辺形となる状態(複数の第3部分32が互いに平行な状態)が維持される。このため、第1金属板22及び第2金属板24の湾曲形状に応じて、パネル本体20の各空間38の形状が変化する(図4(b)の状態)。これによって、第1金属板22及び第2金属板24の湾曲状態に応じて第3金属板26が湾曲し、パネル本体20が所望の形状に湾曲する。
パネル本体20を湾曲させると、パネル本体20にスペーサ140の挿入部142を挿入する。ここで、挿入部142のx方向の寸法は、パネル本体20を湾曲状態としたときの形状に合わせて調整しなければならない。このため、施工現場において、パネル本体20の湾曲形状に合わせてスリット144を形成する位置を現物調整し、スペーサ140に実際にスリット144を形成する。次いで、スペーサ140の挿入部142をパネル本体20の空間38に挿入し、パネル本体20の湾曲形状を確定する。
上述した説明から明らかなように、本実施例の建築用パネル10では、非湾曲状態のパネル本体20を製造し、施工現場において湾曲形状に変形することができる。すなわち、パネル本体20をポスト・フォーム(あと変形)することができる。このため、パネル本体20の製造に高い精度が要求されず、施工現場においてパネル本体20を所望の湾曲形状に容易に調整することができる。
また、パネル本体20を所望の湾曲形状にポスト・フォームできるため、パネル本体20を統一規格で工場生産することができる。このため、製造コストを低減しながら、様々な施工現場の要求に応じることができる。また、パネル本体20を統一規格で製造できるため、パネル本体20の機械的特性が安定し、パネル本体20の正確な性能予測が可能となる。
なお、上記の実施例に係るパネル本体20においては、図5に示す第3金属板26を用いてもよい。図5に示す第3金属板26では、第3部分32と第1部分28の接続部位と、第3部分32と第2部分30の接続部位に開口部34が形成される。開口部34は、稜線29に沿って間隔を空けて複数形成される。第3金属板26に開口部34を形成することで、パネル本体20を湾曲形状に成形する際の加工力を低減することができる。すなわち、第3金属板26に開口部34を形成すると、それによって、パネル本体20を湾曲形状に変形する際に、第3金属板26の変形部位が、開口部34が形成されていない部位に限定される。これによって、パネル本体20を湾曲形状にする際の加工力を低減できる。また、第3金属板26の変形部位が限定されるため、その変形部位で塑性加工が生じやすくなる。その結果、パネル本体20の湾曲形状の安定化を図ることができる。
さらに、上記の実施例に係るパネル本体20においては、図6に示す第3金属板26を用いてもよい。図6に示す第3金属板26では、第3部分32に複数のエンボス部36が形成される。エンボス部36は、y方向に間隔を空けて複数形成される。第3金属板26にエンボス部36を形成することで、第3金属板26の変形部位がより限定され、成形時の加工力の低減と、パネル本体20の湾曲形状の安定化をさらに向上することができる。
なお、上述した実施例では、スペーサ140の挿入部142をパネル本体20の空間38に挿入することで、パネル本体20の湾曲形状を保持するようにしたが、本発明は、このような形態に限られない。例えば、図7に示すように、空間38の対角するコーナ部を固定部材(例えば、ネジ、ワイヤ等)41で連結・固定するようにしてもよい。このようにしても、固定部材41が筋交いの機能を果たし、パネル本体20の湾曲形状を維持することができる。また、図8に示すように、空間38の各コーナ部49においてパネル本体20を塑性変形させることで、パネル本体20の湾曲形状を維持するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、パネル本体20を単体で施工する例であったが、複数のパネル本体20を連結して施工するようにしてもよい。例えば、図1Bに示す施工例では、2つのパネル本体20が連結部材40で連結されることで、1つの構造物(例えば、壁,屋根等)が形成されている。パネル本体20は、第1実施例のパネル本体20と同一であるため、ここでは、連結部材40について説明する。
図2Bの(b)に示すように、連結部材40は、金属材料によって形成された1枚の板材(例えば、建築用の鋼板)により形成されている。連結部材40は、挿入部42a,42bと、挿入部42aと挿入部42bの間に位置する中央部48を有している。挿入部42aは中央部48の一方の辺に沿って複数配置され、挿入部42bは中央部48の他方の辺に沿って複数配置されている。隣接する挿入部42a,42bの間にはスリット44a,44bが形成されている。
挿入部42a,42bのそれぞれは、パネル本体20の空間38に挿入されるようになっている。図1に示すように、挿入部42aは図中下側に位置するパネル本体20の上端面側から空間38に挿入され、挿入部42bは図中上側に位置するパネル本体20の下端面側から空間38に挿入される。連結部材40の挿入部42a,42bをパネル本体20,20のそれぞれの空間38に挿入することで、2つのパネル本体20が上下方向に連結される。これによって、2つのパネル本体20を連結することができる。
上述した実施例1のパネル本体20では、第1金属板22と第2金属板24の間に配置されるコア材として、矩形波状に形成された第3金属板26を用いたが、本発明は、このような形態に限られない。図9,10に示すように、実施例2のパネル本体50では、第1金属板52と第2金属板54の間に、複数の樹脂板56,58,60からなるコア材62が配置される。コア材62は、第3樹脂板60と、第3樹脂板60に積層された第2樹脂板58と、第2樹脂板58に積層された第1樹脂板56で形成されている。第1金属板52と第1樹脂板56、第1樹脂板56と第2樹脂板58、第2樹脂板58と第3樹脂板60、第3樹脂板60と第2金属板54とのそれぞれは部分的に固定されている。このため、パネル本体50を湾曲形状に形成すると、これらの接触面においてすべりが生じるようになっている。第1金属板52と第1樹脂板56、第1樹脂板56と第2樹脂板58、第2樹脂板58と第3樹脂板60、第3樹脂板60と第2金属板54とのそれぞれの接触面ですべりが生じることで、パネル本体50は湾曲形状に変形することが可能となる。なお、図10に示すように、パネル本体50の湾曲形状は、パネル本体50の両端に配置された保持部材64a,64bによって保持される。保持部材64a,64bには係合溝66a,66bが形成され、この係合溝66a,66bにパネル本体50の第1金属板52、第1樹脂板56、第2樹脂板58、第3樹脂板及び第2金属板54が係合する。これによって、パネル本体50の湾曲形状が保持される。なお、複数の樹脂板56,58,60は、例えば、発泡性断熱材によって形成することができる。複数の樹脂板56,58,60に断熱材を用いると、パネル本体50に断熱性能を付与することができる。
上記の実施例2のパネル本体50では、複数の樹脂板56,58,60の間にすべりが生じるように部分的に固定する構成を採用したが、本発明は、このような形態に限られない。例えば、図11に示すように、すべりを生じさせたい2つの層70,72の間に、湾曲成形時に容易に変形する中間層68を配置するようにしてもよい。すなわち、中間層68の機械的強度を、層70,72の機械的強度よりも小さくする。具体的には、例えば、層70,72を硬質樹脂層(例えば、硬質ウレタン層)とし、中間層68を軟質樹脂層(例えば、軟質ウレタン層)とする。そして、層70と中間層68を全体的に固定(接着)し、中間層68と層72を全体的に固定(接着)する。このような構成によると、パネル本体を湾曲成形させると、中間層68が図11(a)の状態から図11(b)の状態に変形し、層70,72の間にすべりが生じる。層70,72の間にすべりが生じると、それによってパネル本体を湾曲状に形成することができる。
以上、本明細書に開示の技術に係る実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:建築用パネル
20:パネル本体
22:第1金属板
24:第2金属板
26:第3金属板
28:第1部分
30:第2部分
32:第3部分
40:連結部材
42a,42b:挿入部
49:塑性変形部
52:第1金属板
54:第2金属板
56:第1樹脂板
58:第2樹脂板
60:第3樹脂板
64a,64b:保持部材

Claims (5)

  1. 第1の金属板と、
    前記第1の金属板に対向して配置された第2の金属板と、
    前記第1の金属板と前記第2の金属板の間に配置され、前記第1の金属板と前記第2の金属板とを連結するコア材と、を備えており、
    前記コア材は、折り曲げ加工された第3の金属板であり、前記第1の金属板と前記第2の金属板を湾曲変形させたときに、その湾曲変形に応じて変形可能とされており、
    前記コア材が変形することで、前記第1の金属板及び前記第2の金属板が湾曲していない非湾曲状態から前記第1の金属板及び前記第2の金属板が湾曲した湾曲状態へと施工可能となっており、
    前記第3の金属板は、
    前記第1の金属板に固定される複数の第1部分と、
    前記第2の金属板に固定される複数の第2部分と、
    一端が前記第1部分の端辺に接続される一方で、他端が前記第2部分の端辺に接続される複数の第3部分と、を備えており、
    前記第3の金属板では、前記第1部分と前記第3部分の間の折り曲げ箇所に形成される稜線と、前記第2部分と前記第3部分の間の折り曲げ箇所に形成される稜線のそれぞれが第1の方向に伸びており、
    前記第1の金属板と前記第2の金属板は、前記第1の方向と直交する第2の方向に湾曲可能となっており、
    前記あと変形パネルを前記第1の方向に沿って見たときに、前記あと変形パネルを前記非湾曲状態から前記湾曲状態に施工する際に、複数の第3部分が互いに平行を維持するように、前記複数の第3部分が設けられたそれぞれの位置で前記第1の金属板と前記第2の金属板が折れ曲がる一方、前記複数の第3部分が設けられたそれぞれの位置以外では前記第1の金属板と前記第2の金属板が直線状に維持されることで、前記第1の金属板と前記第2の金属板と隣接する2つの前記第3部分とで囲まれた複数の空間のそれぞれが平行四辺形を維持する、あと変形パネル。
  2. 前記あと変形パネルを前記第1の方向に沿って見たときに、隣接する一対の第3部分と、前記隣接する一対の第3部分の一方の各端辺を連結する前記第1部分又は前記第2部分と、前記隣接する一対の第3部分の他方の各端辺を連結する前記第2の金属板又は前記第1の金属板によって形成される空間内に挿入されるスペーサをさらに備えており、
    前記スペーサは、前記空間の対角する2つのコーナ部に当接して、前記第1の金属板及び前記第2の金属板を前記湾曲状態に維持する、請求項1に記載のあと変形パネル。
  3. 前記第3部分は、前記第1の方向に間隔を空けて複数配置されたエンボス部、及び/又は、前記第1部分との接続部位及び/又は前記第2部分との接続部位に設けられ、前記第1の方向に間隔を空けて複数配置されたた開口部を有している、請求項1又は2に記載のあと変形パネル。
  4. 第1の金属板と、
    前記第1の金属板に対向して配置された第2の金属板と、
    前記第1の金属板と前記第2の金属板の間に配置され、前記第1の金属板と前記第2の金属板とを連結するコア材と、を備えており、
    前記コア材は、前記第1の金属板と前記第2の金属板を湾曲変形させたときに、その湾曲変形に応じて変形可能とされており、
    前記コア材が変形することで、前記第1の金属板及び前記第2の金属板が湾曲していない非湾曲状態から前記第1の金属板及び前記第2の金属板が湾曲した湾曲状態へと施工可能となっており、
    前記コア材は、積層された複数の層により構成されており、
    前記複数の層の少なくとも1つは、その層と隣接する少なくとも一方の層と部分的に固定されており、
    前記複数の層の少なくとも1つは、その層と隣接する少なくとも一方の層との接触面において、前記非湾曲状態から前記湾曲状態となる際にすべりが生じるように構成されており、
    前記湾曲状態の前記積層された複数の層を湾曲した断面で見たときに、前記複数の層の少なくとも1つの層の端部が、その層と隣接する少なくとも一方の層の端部に対してずれている、あと変形パネル。
  5. 前記第1の金属板と前記第2の金属板を前記湾曲状態に施工した後に、前記第1の金属板と前記第2の金属板を前記湾曲状態に保持する保持手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載のあと変形パネル。
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