JP6583371B2 - 屈曲ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、屈曲ガラス物品の製造方法及び屈曲ガラス物品に関する。
板状ガラスに屈曲部を設けるために、板状ガラスを高温で曲げ成形する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1には、ガラス成形時の加熱工程で、加熱された板状ガラスを自重により折り曲げて、屈曲部が形成されたフラットパネルディスプレイ用カバーガラスを成形する方法が記載されている。
一般にガラスの成形工程においては、所望の形状に成形した後のガラスには、ひずみや応力が残留する。そのため、成形後のガラスにアニール処理を施して、残留ひずみや残留応力を除去する。
特許第5605176号公報
成形後のガラスの残留ひずみや残留応力をアニール処理で十分に緩和するためには、ガラスを平衡粘性が1017Pa・s以下になるまで加熱する必要がある。しかし、その場合には、アニール処理中にガラスが軟化して、自重によって変形容易になってしまう。そのため、一旦成形したガラスの形状が、そのまま維持できずに設計寸法からずれてしまう問題があった。特に、光学レンズのような厚さのある部材とは異なり、厚さが薄く大型の成形後のガラスや、曲げ深さが深くねじれを有するような複雑な成形後のガラスでは寸法精度を維持できなかった。また、屈曲部を有する屈曲ガラスでは、軟化した際の屈曲ガラスが大きく歪むという問題があった。最下位置となる屈曲ガラスの端面だけが接するように屈曲ガラスを載置してアニール処理しても、その接触部に屈曲ガラスの自重による負荷がかかった状態となるため、屈曲ガラスの形状が歪むという課題が分かった。また、最下位置の端面だけが接するように屈曲ガラスを載置した状態で屈曲ガラスをアニール処理すると、接触部への負荷と、接触部における載置台と屈曲ガラスとの熱のやり取りのため、接触部とそれ以外の屈曲ガラス上の部位とで負荷が異なる状況となり、部分的に残留ひずみや残留応力が抜けきらず、後工程の化学強化などで強化応力に分布が生じることがあり、部分的に屈曲ガラスの端面強度が低くなるなどの課題があることを見出した。
そこで本発明においては、アニール処理によるガラスの変形を防止しつつ、成形後の屈曲ガラスの残留ひずみや残留応力を除去できる屈曲ガラス物品の製造方法及び屈曲ガラス物品の提供を目的とする。
本発明は下記構成からなる。
(1) 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持する、ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
(2) 第1主面と第2主面と端面とを有し、少なくとも一部に屈曲部を備えた屈曲ガラス物品であって、
前記屈曲ガラスは化学強化ガラスを備え、
前記第1主面又は前記第2主面における、圧縮応力深さDOLの面内平均値に対する、DOLの面内平均偏差の割合として求められる変動割合が3%以下である屈曲ガラス物品。
(3) 第1主面と第2主面と端面とを有し、少なくとも一部に屈曲部を備えた屈曲ガラス物品であって、
前記端面近傍のいずれかの主面において積分された主応力差が5MPa以下である屈曲ガラス物品。
本発明によれば、アニール処理によるガラスの変形を防止しつつ、成形後の屈曲ガラス物品の残留ひずみや残留応力を除去できる。
屈曲ガラス物品の製造方法の一例を概略的な手順で示すフローチャートである。 アニール工程の加熱スケジュールの一例を示す説明図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第1構成例の斜視図である。 (A),(B)は図3のA−A線断面図である。 屈曲ガラスの切断工程を示す工程説明図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第2構成例の斜視図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第3構成例の斜視図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第4構成例の斜視図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第5構成例の斜視図である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第6構成例の正面図(A)と側面図(B)である。 屈曲ガラスを支持する支持治具の第7構成例の正面図(A)と側面図(B)である。 ガラスサンプルの主応力差の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の屈曲ガラス物品の製造方法では、被成形体である板状ガラスを軟化点以上の温度まで加熱して軟化させた後、成形型で成形して板状ガラスに屈曲部を付与する。その後、成形された屈曲ガラスを、支持治具により支持させながら熱処理、例えばアニール処理する。このアニール処理により、屈曲ガラスの成形形状からの変形を防止しつつ、屈曲ガラスの残留ひずみや残留応力を除去する。
本明細書における屈曲部を有するガラスとは、板ガラスの一部が折れ曲がった部分を有するガラスや、板ガラスの全面又は一部に湾曲部が形成されたガラスを意味する。また、板状ガラスは、平板状のガラスに限らず、多少の湾曲部を有するものであってもよい。ここで、屈曲部は曲率半径が10000mm以下の部位を意味し、平坦部は曲率半径が10000mm超である部位を意味する。以下の説明では、成形前の被成形体を板状ガラス、成形後の被成形体を屈曲ガラス、熱処理工程を実施した屈曲ガラスを屈曲ガラス物品、と呼称する。
図1は屈曲ガラス物品の製造方法の一例を概略的な手順で示すフローチャートである。
屈曲ガラスの成形工程は、まず、被成形体である板状ガラスを準備して、支持台、下型、アーム等の適宜の手段で支持する(S1)。次に、支持された板状ガラスを加熱し、温度は特に制限はないが、300〜600℃、例えば、約500℃に加熱する(S2)。平衡粘性としては1012.5Pa・s以上1017Pa・s以下となるように加熱することが好ましい。この加熱処理が板状ガラスの予熱工程となる。
平衡粘性は、測定される粘性範囲に応じて、例えばビーム曲げ法(ISO 7884−4:1987)や繊維引き伸ばし法(ISO 7884−3:1987)や平行平板粘度計(ASTM C 338−93:2003)や棒沈降式粘度計(ISO 7884−5:1987)を用いて測定される。本発明の実施態様では、平衡粘性は、ビーム曲げ法(ISO 7884−4:1987)に基づき測定する。
予熱工程後の板状ガラスは、成形型上に移載され、例えば、700〜750℃の軟化点以上の温度まで加熱される。
加熱により軟化した板状ガラスは、自重によって次第に下方に湾曲し、一方の面(第1主面)が成形型の成形面に接触して、成形面の形状が板状ガラスに転写される。これにより、少なくとも一部に屈曲部が形成された屈曲ガラスが成形される(S3)。
次に、上記の成形工程で得られた屈曲ガラスを、平衡粘性が1012.5Pa・s以上から1020Pa・s以下までの領域を、好ましくは5℃/min以上の冷却速度で冷却する(S4)。なお、冷却速度は15℃/min以上が好ましい。これは、成形型と板状ガラスとの接触時間を減らして成形型からの転写による外観欠点を防げ、また、タクトタイムを短くできるためである。冷却速度は200℃/min以下が好ましく、150℃/min以下がより好ましい。これは、冷却中の板状ガラスの割れを防ぐためである。
成形後の屈曲ガラスは、冷却速度をできるだけ遅くした方が残留ひずみや残留応力が緩和されるため好ましい。しかし、工程のタクトタイムが長くなるため冷却速度は速くせざるを得ず、屈曲ガラスは成形後に速い冷却速度で冷却される。その結果、冷却後の屈曲ガラスには、残留ひずみや残留応力が生じる場合がある。
そこで、冷却後の屈曲ガラスに熱処理工程、例えば、アニール処理を施すアニール工程により、発生した残留ひずみや残留応力を緩和させる(S5)。
図2はアニール工程の加熱スケジュールの一例を示す説明図である。このアニール工程においては、所望のアニール温度に加熱する加熱工程と、このアニール温度で所定時間保持する保温工程と、加熱速度よりも遅い速度で冷却する徐冷工程とを有する。
加熱工程では、屈曲ガラスの平衡粘性が1012.5〜1017Pa・sになるように加熱することが好ましく、例えば550℃程度に加熱する。
保温工程では、この屈曲ガラスの平衡粘性が1012.5〜1017Pa・sになるようなアニール温度に加熱された屈曲ガラスを、例えば、10〜180分保持することが好ましい。これによれば、十分に応力を緩和し熱歪みを除去でき、均一な応力分布にできる。応力分布が均一となり、得られた屈曲ガラス物品のばね力が均一となり、例えば、屈曲ガラス物品と表示パネルとを接着剤を介して貼合する場合に、接着剤に負担がかからずに剥離等が抑制できる。なお、場合によっては、加熱工程での加熱温度より保温温度を低く設定して保温工程を実施してもよい。
徐冷工程では、例えば、屈曲ガラスを0.3〜10℃/分の降温速度で、平衡粘性が1017.8Pa・s以上までゆっくりと冷却するのが好ましい。降温速度は、0.3〜5℃/分がより好ましい。これにより、得られた屈曲ガラス物品内の新たな温度分布を発生させず、温度分布による残留応力の発生を防止でき、その結果、良好な効果が得られる。
上記のアニール工程によれば、屈曲ガラスの内部の残留ひずみや残留応力が緩和される。しかしその反面、屈曲ガラスは、クリープ変形が発生する温度まで加熱されるため、成形された屈曲ガラスの形状保持が難しくなる。そのため、得られる屈曲ガラス物品の最終寸法は、デザイン寸法からのずれが生じる。なお、「クリープ変形」とは、例えば、ガラスの平衡粘性が1012.5〜1017Pa・sになるように加熱し保持したとき、時間経過とともにガラスの形状が変形する現象を示す。
そこで本実施形態においては、アニール工程中に軟化した屈曲ガラスを、その形状を保持させたまま支持できる支持治具に支持させる。この支持治具によれば、アニール工程で軟化した屈曲ガラスを、その形状を変化させずに支持する。これにより、屈曲ガラスをアニール処理しても、外形をデザイン寸法通りに維持できる。また、得られた屈曲ガラスの内部の残留ひずみや残留応力を緩和でき、さらに屈曲ガラスの端面付近も含め残留応力の均一化を達成できる。従来は、次工程で面取工程や切断工程での加工において、屈曲ガラス内の残留応力や残留ひずみの分布により、所望の加工を施せないことがあり、多量の不良品となっていたが、本実施形態ではこれを解決できる。また、得られた屈曲ガラスを化学強化すると面内で均一に強化され、屈曲ガラスの強度を均質にできる。
<支持治具の第1構成例>
図3に屈曲ガラスを支持する支持治具の第1構成例の斜視図を示す。本構成の屈曲ガラス100は、上面視長方形であり、長辺に沿って湾曲して形成されている。そして、屈曲ガラス100は、支持治具10により、凹状の下面である第1主面101が支持された状態でアニール処理される。なお、前述のように成形型の成形面に接触した面である第1主面を支持治具10に支持させる必要はなく、状況により第2主面を支持させてもよい。
本構成の支持治具10は、互いに平行に配置された一対の支持板11A,11Bと、一対の支持板11A,11B同士を連結する連結板13と、支持板11A,11B及び連結板13を固定するベース板14と、を備える。なお、連結板13やベース板14は必ずしも必要としないが、少なくともいずれか一方は使用した方が好ましい。
支持板11A,11Bは、上端部の載置面15が屈曲ガラス100の長辺に沿って円弧状に形成され、ベース板14に垂直に立設される。載置面15は、屈曲ガラス100の長辺側の両端部における第1主面101を、下方から支持する支持面である。この載置面15は、屈曲ガラス100の第1主面101と同じ曲面形状を有し、屈曲ガラス100のデザイン形状に対応して形成される。また、載置面15は、屈曲ガラス100の第1主面101と完全に同じでなくてもよく、例えば、デザイン形状に近似させた形状でもよい。
支持板11A,11Bは、屈曲ガラス100の下面となる第1主面101の長辺方向端部である最下位置よりも高い位置で、第1主面101を支持する。
なお、成形型の成形面に接触した面である第1主面を用いて説明したが、第2主面としてもよく、以下同様である。
支持板11A,11Bの載置面15は、表面が算術平均粗さRaで1μm以下、算術平均うねりWaで0.7μm以下の滑らかな表面にすれば、屈曲ガラス100への微小凹凸の転写を防止できる。また、載置面15の円弧面にうねりを持たせれば、屈曲ガラス100と載置面15との接触面積を小さくでき、屈曲ガラス100に載置面15が影響を及ぼす面積を小さくできる。なお、算術平均粗さRaおよび算術平均うねりWaは、JIS B0601:2001により測定し求められる。
連結板13は、一対の支持板11A,11B同士を機械的に連結していればよく、特に形状は限定されない。ただし、上面17の高さは、一対の支持板11A,11Bの載置面15以下とするのが好ましい。屈曲ガラス100と支持治具10との接触面積が小さくなり、屈曲ガラス100の傷付きや破損などを抑制できることから、上面17の高さは、一対の支持板11A,11Bの載置面15より低くするのが好ましい。
支持治具10は、屈曲ガラス100への影響を最小限にするため、ステンレス鋼材、一般構造用炭素鋼材、カーボン、SiC、フューズドシリカ、ガラス製もしくはセラミック製の低密度素材等の耐熱性、耐酸化性を有する材料で形成するのが好ましい。また、ガラス製やステンレス製のシートを巻きつけた物を支持治具10として使用してもよい。
図4(A),(B)は図3のA−A線断面図である。図4(A)に示すように、成形後の屈曲ガラス100は、アニール処理前に支持治具10の上方に搬送され、図4(B)に示すように、支持治具10の載置面15上に載置される。
支持治具10に支持された屈曲ガラス100には、例えば、前述した図2に示すアニール工程が施される。なお、屈曲ガラス100は、上記のように予熱工程、成形工程、冷却工程を経て得られたものに限らず、図1のS5に示すように、別途用意された成形体を用いてもよい。
屈曲ガラス100は、アニール工程で平衡粘性が1012.5〜1017Pa・sになるまで加熱されるので、軟化して自重によって変形しやすい状態になる。しかし、本構成の支持治具10によれば、屈曲ガラス100の第1主面101の長辺側の両端部が、支持治具10の載置面15で支持されているので、変形が防止されて歪みの小さい成形精度の高い屈曲ガラス100が得られる。
上記の支持治具を用いるアニール処理は、特に連続炉方式の熱処理装置の構成で有用であり、高品位な屈曲ガラス物品を短いタクトタイムで連続生産できる。これにより、生産効率を向上できる。また、上記した屈曲ガラス物品の製造方法によれば、歪みの小さい成形精度の高い屈曲ガラス物品が得られる。また、傷の少ない美観に優れた屈曲ガラス物品が得られる。
屈曲ガラス100は、上記したアニール工程の終了後、支持治具10から取り外されて、後段の工程に移される。
上記構成の支持治具10によれば、アニール処理時の屈曲ガラス100と支持治具10との接触部が、屈曲ガラス100の第1主面101における短辺方向の両端部に制限される。したがって、支持治具10によって屈曲ガラス100に傷や接触痕等が付いたとしても、接触部の範囲は屈曲ガラス100のごく僅かな範囲に限定される。アニール処理後の屈曲ガラス物品の端部は、切断処理して除去してもよい。また、切断処理後の屈曲ガラス物品の端部切断面は、面取り処理を行って平滑化するのがよい。
次に、アニール工程後に施す屈曲ガラス100の機械的加工について説明する。
<切断工程>
図5に屈曲ガラスの切断工程を示す工程説明図を示す。
切断加工では、成形された屈曲ガラス100又は屈曲ガラス物品(以下、これらをまとめて被加工物と記載)とから、製品として不要となる一部の周縁部103を切断し、外観及び寸法を調整する。例えば、前述した支持治具10との接触位置を除去する場合、切断位置は被加工物の端面から10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
被加工物は、所望の屈曲部を付与する成形工程において、軟化点以上の高温下で成形型に接触する。また、アニール工程において、被加工物の端部が支持治具10に接触して支持される。そのため、被加工物のガラス表面には、他部材と接触した部位に傷や接触痕等が生じる可能性がある。
そこで、最終製品形状よりも大きめのサイズの板状ガラスを用いて成形工程を実施し、支持治具10が接触した部位を、公知のカッター等で切断して除去する。これにより、支持治具10との接触により影響を受けた部位が除かれ、傷や接触痕等がないガラス表面を有する屈曲ガラス物品が得られる。
<面取工程>
研削による面取加工では、図示はしないが、外観及び寸法が調整された被加工物の少なくとも一部の端面を面取加工する。面取加工は、最初は目の粗い研削砥石で加工した後、徐々に目の細かい研削砥石で加工して、切断加工で形成された端面105角部に面取加工を施す。目の粗い研削砥石の材質としては、アルミナ、cBN(立方晶窒化ホウ素)、ダイヤモンド等を使用でき、研削性、硬度の点では、材質がダイヤモンドであるのが好ましい。目の粗い研削砥石の粗さとしては、#80〜#500が好ましく、#200〜#400がより好ましい。目の細かい研削砥石の材質としては、アルミナ、cBN、ダイヤモンド等を使用でき、研削性、硬度の点で材質がダイヤモンドであるのが好ましい。目の細かい研削砥石の粗さとしては、#300〜#3000が好ましく、#400〜#1200がより好ましい。
被加工物を面取加工する際は、加工部にクーラント(水溶性研削液)を供給しながら加工する。クーラントとしては市販品を適宜選択して使用できる。
なお、図示しないが、被加工物には、開口孔が形成されてもよい。この場合、端面105と同様に、開口孔の縁部も面取加工を施すのが好ましい。
また、上記の面取加工は、切断工程による切断面に施すだけでなく、切断面以外の端面に施してもよい。その場合、製品形状の最終仕上げ寸法をより精密に仕上げられる。
上記の切断工程と面取工程はそれぞれアニール工程後の屈曲ガラス物品に実施することが好ましい。アニール工程などにより、得られた屈曲ガラス物品の表面に他部材と接触した部位に傷や接触痕等が生じることがある。これらの工程を実施することで接触痕を除去でき、外観に優れた屈曲ガラス物品が得られる。
なお、屈曲ガラス物品を製造する工程には、切断加工、面取加工された後に、ガラス表面に印刷層を形成する印刷工程や、アニール工程前にガラス強化処理工程が更に含まれていてもよい。
次に、上記の屈曲ガラス物品の製造方法で前提として用いられるガラス材料、ガラス強化処理工程、印刷工程について説明する。
<被成形体のガラス材料>
本実施形態に用いられる被成形体である板状ガラスは、例えば、厚みが0.5mm以上であり、0.7mm以上が好ましい。また、ガラス素板の厚みは、5mm以下であり、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。この範囲であれば、最終製品において割れにくい強度が得られる。
板状ガラスを構成するガラス組成としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、リチウムダイシリケートガラス等が使用できる。特に本実施形態は、板状ガラスにアルミノシリケート、アルミノボロシリケートを使用した場合に優れている。これらの板状ガラスは、高ヤング率、高膨張係数を有し、板状ガラスの加熱によって高い熱応力が発生する。このため、板状ガラスの所望の屈曲形状からの偏差が大きくなり、更に板状ガラスを強化処理した場合に、圧縮応力の値がばらつくことがある。本実施形態では、板状ガラスがこれらのガラス組成であることで、屈曲形状でも形状偏差を小さくでき、圧縮応力のばらつきを抑制できる。
ガラス組成の具体例としては、酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を50〜80%、Al23を0.1〜25%、Li2O+Na2O+K2Oを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%及びZrO2を0〜5%含むガラスが挙げられるが、特に限定されない。より具体的には、以下のガラスの組成が挙げられる。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよい、の意である。(i)のガラスはソーダライムシリケートガラスに含まれ、(ii)及び(iii)のガラスはアルミノシリケートガラスに含まれる。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiO2を63〜73%、Al23を0.1〜5.2%、Na2Oを10〜16%、K2Oを0〜1.5%、Li2Oを0〜5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス。
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al23を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、Li2Oを0〜5%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%及びZrO2を0〜5%含有し、SiO2及びAl23の含有量の合計が75%以下、Na2O及びK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgO及びCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al23を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、Li2Oを0〜5%、MgOを4〜15%及びZrO2を0〜1%含有するガラス。
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al23を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、Li2Oを0〜5%、MgOを6〜14%及びZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2及びAl23の含有量の合計が71〜75%、Na2O及びK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
更に、ガラスに着色を行い使用する際は、所望の化学強化特性の達成を阻害しない範囲において着色剤(着色成分)を添加してもよい。例えば、可視域に吸収を持つ、Co、Mn、Fe、Ni、Cu、Cr、V、Bi、Se、Ti、Ce、Er、及びNdの金属酸化物である、Co、MnO、MnO、Fe、NiO、CuO、CuO、Cr、V、Bi、SeO、TiO、CeO、Er、Nd等が好適なものとして挙げられる。
また、ガラス基材として着色ガラスを用いる場合、ガラス中に、酸化物基準のモル百分率表示で、着色成分(Co、Mn、Fe、Ni、Cu、Cr、V、Bi、Se、Ti、Ce、Er、及びNdの金属酸化物からなる群より選択される少なくとも1成分)を7%以下の範囲で含有してもよい。着色成分が7%を超えると、ガラスが失透しやすくなり望ましくない。この含量は好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下である。ガラスの可視光透過率を優先させる場合は、典型的にはこれらの成分は含有しない。また、ガラス基材は、溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。
<強化処理工程>
更に、このような板状ガラス(屈曲形状への成形前又は成形後)に表面圧縮応力層を形成する強化処理方法として、物理強化法や化学強化法が利用できる。ガラス主面が強化処理されたガラス板は、機械的強度の高いガラスが得られる。本構成においては、いずれの強化手法を採用してもよいが、厚みが薄くかつ表面圧縮応力(CS)値が大きなガラスを得る場合には、化学強化法によって強化するのが好ましい。
化学強化法は、450℃弱の溶融塩で、板状ガラスの主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(典型的にはLiイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的にはLiイオンに対してはNaイオン又はKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理である。化学強化処理は従来公知の方法によって実施でき、一般的には硝酸カリウム溶融塩にガラスを浸漬する。この溶融塩に炭酸カリウムを10質量%まで入れて使用してもよい。これにより、ガラスの表層のクラックなどを除去でき、高強度のガラスが得られる。化学強化時に硝酸カリウムに硝酸銀などの銀成分を混合することで、ガラスがイオン交換され銀イオンを表面に有し抗菌性を付与できる。また、化学強化処理は1回に限らず、例えば異なる条件で2回以上実施してもよい。
化学強化ガラスの強化特性(強化プロファイル)は、一般に、表面に形成される表面圧縮応力(CS;Compressive stress)層、その表面圧縮応力層の深さ(DOL;Depth of layer)、内部に形成される引張応力(CT;Central tension)で表現される。以下、板状ガラスが化学強化ガラスである場合を例に説明する。
圧縮応力層の表面圧縮応力(CS)は、500MPa以上が好ましく、550MPa以上がより好ましく、600MPa以上が更に好ましく、700MPa以上が特に好ましい。表面圧縮応力(CS)が高くなると強化ガラスの機械的強度が高くなる。一方、表面圧縮応力(CS)が高くなりすぎるとガラス内部の引張応力が極端に高くなるおそれがあるため、表面圧縮応力(CS)は1800MPa以下とするのが好ましく、1500MPa以下とするのがより好ましく、1200MPa以下とするのが更に好ましい。
化学強化処理では、イオン交換が進む一方で、化学強化処理時の加熱によりガラスに残存する応力が抜けてしまい、強化の入り方が不均一になる傾向がある。また、不規則に残留応力が緩和されると、強化の入り方も不均一になる。アニール処理は、このような化学強化の不均一性を解決するために有効であるが、上記した通り、屈曲ガラスの形状の変化を招く傾向がある。しかし、本構成の支持治具を用いたアニール処理によれば、屈曲ガラスの変形を抑制でき、かつ、ガラス全面にわたって十分な化学強化の効果が得られる。また、このアニール処理によりDOLの面内のバラつきを低減できる。屈曲ガラス物品のDOL面内平均値に対する面内平均偏差の割合を変動割合とすると、変動割合を3%以下とする。これにより均一な化学強化層が得られ、均質な強度を備える屈曲ガラス物品が得られる。変動割合は2.5%以下がより好ましい。
また、アニール処理した屈曲ガラス物品と、アニール処理しない屈曲ガラス(アニール未処理ガラス)とでは、ヤング率が異なる。屈曲ガラス物品はアニール未処理の屈曲ガラスに比べ、荷重に対する変形量が小さい傾向にある。これはヤング率が高くなるためと考えられ、ヤング率は45GPa以上が好ましく、50GPa以上がより好ましい。屈曲ガラス物品をカバーガラスとして曲面表示パネルに貼合する際に、押圧などでガラスに負荷がかかっても変形を抑制でき、ガラスの形状精度を維持できる。更に、表示装置などの最終製品として使用する場合において、タッチパネル操作時のガラス押圧時には、ヤング率が高いほどガラスの変形が小さくなるため、不意のガラス変形が小さく、タッチ感に優れていると考えられる。ヤング率は90GPa以下が好ましく、85GPa以下がより好ましい。ヤング率が上限値を超えるとガラス自体が脆くなりやすくなる。なお、ヤング率はJIS R1659:2003に記載の方法で測定できる。
ガラスの主面に形成される表面圧縮応力層の深さ(DOL)は、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。一方、DOLが大きくなりすぎるとガラス内部の引張応力が極端に高くなるおそれがあるため、圧縮応力層の深さ(DOL)を150μm以下とするのが好ましく、100μm以下とするのがより好ましく、80μm以下とするのが更に好ましく、典型的には50μm以下である。
ガラスの主面に形成される表面圧縮応力(CS)及び表面圧縮応力層の深さ(DOL)は、表面応力計(折原製作所社製、FSM−6000)を用いて、干渉縞の本数とその間隔を観察して求められる。FSM−6000の測定光源としては、例えば波長589nmや790nmのものが使用できる。なお、表面圧縮応力は複屈折を利用した測定も可能である。光学的評価が難しい場合は、3点曲げ等の機械的強度評価を利用した推定も可能である。また、ガラスの内部に形成される引張応力(CT;単位MPa)は、上記で測定した表面圧縮応力(CS;単位MPa)及び表面圧縮応力層の深さ(DOL;単位μm)を用い、以下の式によって算出できる。
CT={CS×(DOL×10−3)}/{t−2×(DOL×10−3)}
なお、t(単位mm)はガラスの板厚である。
また、本構成の化学強化ガラスは、ナトリウムイオン、銀イオン、カリウムイオン、セシウムイオン及びルビジウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種を表面に有するのが好ましい。これにより、表面に圧縮応力が誘起されガラスが高強度化される。また、化学強化時に硝酸カリウムに硝酸銀を混合すると、ガラス成形体がイオン交換され銀イオンを表面に有するようになり、抗菌性を付与できる。
なお、強化処理工程を行った後に、屈曲ガラス物品を洗浄する工程を実施してもよい。例えば、洗浄工程として水洗の他、酸処理、アルカリ処理、アルカリブラシ洗浄を実施してもよい。また、強化処理工程は、一回である必要はなく、2回以上実施してもよい。
<印刷層>
印刷層は、用途に応じて種々の印刷方法、インキ(印刷材料)により形成されて良い。印刷方法としては、例えば、スプレー印刷、インクジェット印刷やスクリーン印刷が利用される。これらの方法により、面積の広いガラスでも良好に印刷できる。特に、スプレー印刷では、屈曲部を有する屈曲ガラス物品に印刷しやすく、印刷面の表面粗さを調整しやすい。一方、スクリーン印刷では、広い平坦部を有する屈曲ガラス物品に平均厚さが均一になるように所望の印刷パターンを形成しやすい。また、インキは、複数使用してよいが、印刷層の密着性の観点から同一のインキであるのが好ましい。
印刷層を形成するインキは、無機系でも有機系であってもよい。無機系のインキとしては、例えば、SiO、ZnO、B、Bi、LiO、NaO、及びKOから選択される1種以上、CuO、Al、ZrO、SnO、及びCeOから選択される1種以上、Fe、及びTiOからなる組成物、のいずれであってもよい。
有機系のインキとしては、樹脂を溶剤に溶解した種々の印刷材料を使用できる。例えば、樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、オレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリエール等の樹脂からなる群から少なくとも1種を選択して使用してよい。また、溶媒としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤を用いてもよい。例えば、アルコール類としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等を使用でき、エステル類としては酢酸エチル、ケトン類としてはメチルエチルケトンを使用できる。また、芳香族炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン、エクソンモービル社製のソルベッソ100、ソルベッソ150等を使用でき、脂肪族炭化水素系溶剤としてはヘキサン等を使用できる。なお、これらは例として挙げたものであり、その他、種々の印刷材料を使用できる。前記有機系の印刷材料は、透明板に塗布した後、溶媒を蒸発させて形成した樹脂の層により、印刷層が得られる。
印刷層に用いられるインキは、着色剤が含まれてもよい。着色剤としては、例えば、印刷層を黒色とする場合はカーボンブラック等の黒色の着色剤を使用できる。その他、所望の色に応じて適切な色の着色剤を使用できる。
本構成においては、印刷層を、屈曲ガラス100の支持治具10との接触位置に形成してもよい。その場合、屈曲ガラス100の表面に傷や接触痕等が生じても、その部位に印刷層が形成されるため、仮に傷や接触痕等が生じていても視認できなくなる。
次に、アニール工程で屈曲ガラスを支持する支持治具の他の構成例について説明する。
<支持治具の第2構成例>
図6は屈曲ガラスを支持する支持治具の第2構成例の斜視図である。以下の説明において、共通する部材や部位に対して同一の符号を付与して、その説明を省略又は簡略化する。
本構成例の支持治具20は、互いに平行に配置された一対の支持板21A,21Bと、一対の支持板21A,21B同士を連結する連結板23と、支持板21A,21B及び連結板23を固定するベース板14と、を備える。
支持板21A,21Bは、上端部に円弧状の載置面25が形成され、ベース板14に垂直に立設される。載置面25は、屈曲ガラス100の長辺側の両端部の第1主面101を下方から支持する。この載置面25は、屈曲ガラス100の第1主面101と同じ曲面形状であり、屈曲ガラス100のデザイン形状に対応して形成される。また、載置面25は、デザイン形状を近似した形状であってもよい。
この支持板21A,21Bも、第1構成例と同様に、屈曲ガラス100の第1主面である第1主面101の長辺方向端部である最下位置よりも高い位置で第1主面101を支持する。
本構成の一対の支持板21A,21Bは、複数のスリット27が載置面25側から鉛直方向に形成され、複数の支持片28が立設された櫛歯状となっている。よって、支持板21A,21Bの載置面25は、複数の支持片28によって複数の領域に分割され、スリット27の領域分だけ屈曲ガラス100との接触面積が小さくなる。これにより、屈曲ガラス100と支持板21A,21Bとの接触面積が、第1構成例の支持治具10の場合よりも小さくなり、屈曲ガラス100に載置面25が及ぼす影響がより低減される。また、支持片28の高さを適宜調整すれば、多様な屈曲ガラス100の形状に低コストで且つ柔軟に対応できる。更に、予め高さなどを調整した支持片28を組み合わせて支持板21A、21Bとしてもよい。その他の構成及び作用は、第1構成例の支持治具10と同様である。
<支持治具の第3構成例>
図7は屈曲ガラスを支持する支持治具の第3構成例の斜視図である。
本構成例の支持治具30は、屈曲ガラス100の第1主面101を下方から支持する一対の支持ピン31A,31Bを有する連結板33と、連結板33を固定するベース板14と、を備える。ベース板14は、連結板33が直立して固定できれば、短縮化又は省略できる。
支持ピン31A,31Bは、屈曲ガラス100の長辺方向の中間部を、短辺方向における両端部で支持する。つまり、一対の支持ピン31A,31Bは、屈曲ガラス100の第1主面101の最下位置となる長辺方向端部よりも高い位置で、屈曲ガラス100を支持する。
本構成の支持治具30は、支持ピン31A,31Bの高さを調整して、屈曲ガラス100の屈曲形状に合わせた支持が可能となる。
なお、屈曲ガラス100の長辺方向の端部は、ベース板14又は他の部材に軽く接触する状態とする。長辺方向の端部がベース板14と接触すると、屈曲ガラス100の支持姿勢が安定して保持される。
このような2点支持の支持治具30によれば、屈曲ガラス100の形状が、例えば、シリンドリカル形状等の単純形状であれば、比較的大きなサイズの屈曲ガラス100であっても簡単な構成で支持できる。また、この支持治具30によれば、屈曲ガラス100の第1主面101への接触面積が第1,第2構成例の場合よりも更に小さくなり、ガラス表面の傷や接触痕等の発生を低減できる。また、支持治具30の構成が簡素化され、コスト抑制効果が高められる。その他の構成及び作用は、第1構成例の支持治具10と同様である。
<支持治具の第4構成例>
図8は屈曲ガラスを支持する支持治具の第4構成例の斜視図である。
本構成の支持治具40は、ベース板14と、ベース板14に立設された複数のピン43と、を備える。複数のピン43の長さは、屈曲ガラス100の第1主面101の形状に倣って、それぞれ異なる長さに調整されている。つまり、複数のピン43は、屈曲ガラス100の曲面形状をそれぞれ異なる位置で支持するように、高さが調整されている。
本構成の支持治具40によれば、複数のピン43の長さを調整すれば、各ピン43の先端を、屈曲ガラス100の3次元的な湾曲形状に応じて簡単に倣わせられる。そのため、屈曲ガラス100の屈曲形状が、複数の異なる方向に湾曲した複曲形状や、凹凸を有する形状などと複雑であっても、ピン43の簡単な長さ調整だけで、屈曲ガラス100を、成形された形状のままで安定して支持できる。
<支持治具の第5構成例>
図9は屈曲ガラスを支持する支持治具の第5構成例の斜視図である。
本構成例の支持治具50は、屈曲ガラス100の第1主面101の形状に倣った形状を有する載置面51を有する。この屈曲ガラス100の載置面51は、点又は線状の微小凸部が形成された凹凸面となっている。屈曲ガラス100は、凹凸面にされた載置面51に、点接触又は線接触で支持される。
載置面51の凹凸面の形状は、上記の他、点状の微小凸部と線状の微小凸部とが混在していてもよい。また、隣接する微小凸部同士の最大間隔は、2〜50mm、好ましくは5〜15mmがよい。最大間隔が狭いほど屈曲ガラス100を安定支持できるが、狭すぎると接触面積が増加して、傷や跡の発生が懸念される。また、最大間隔が広いほど傷や跡の発生を抑制できるが、広すぎると屈曲ガラス100の形状を維持したままの支持が困難になる。そのため、上記範囲に設定するのが好ましい。
本構成の支持治具50によれば、屈曲ガラス100の第1主面101の全面が、載置面51と点接触又は線接触で支持される。このため、接触面積の増加を抑えつつ、屈曲ガラス100の支持点の配置密度を増大できる。よって、支持治具50は、屈曲ガラス100が軟化しても、屈曲ガラス100を自重によって変形させずに、常に安定して支持できる。また本構成の支持治具50に、屈曲ガラス100を載置可能な溝を載置面51に形成してもよく、屈曲ガラス100の端面を支持するような突き当て片を形成してもよい。
<支持治具の第6構成例>
図10は屈曲ガラスを支持する支持治具の第6構成例の正面図(A)と側面図(B)である。
本構成例の支持治具60は、屈曲ガラス100を傾斜して立てかけた状態で支持する。この支持治具60は、ベース板61と、ベース板61に立設された支持ピン63と、支持ピン63の先端に設けられ屈曲ガラス100を支持する支持面を有する支持部65と、固定部材67と、を備える。固定部材67は、ベース板61に固定され、屈曲ガラス100の下端100aが係止される。なお、屈曲ガラス100は、前述したような長辺が湾曲した形状に限らず、図10に示すように、短辺が湾曲した形状であってもよい。
この屈曲ガラス100は、凹状の第1主面101を下側に向けてベース板61上に載置され、第1主面101の最下位置P1より上方となる高さ方向中間部が支持部65に当接する。そして、屈曲ガラス100の下端100aが固定部材67によって倒れ止めされる。これにより、屈曲ガラス100は固定部材67と支持部65に当接した状態で支持治具60に支持される。
本構成の支持治具60によれば、屈曲ガラス100を立てかけた状態で支持するため、屈曲ガラス100の水平面内の占有面積が小さくなる。そのため、一度に多数枚の曲面ガラスをアニール処理する場合に、スペース効率が向上して、加熱装置等の設備の小型化を図れる。
<支持治具の第7構成例>
図11は屈曲ガラスを支持する支持治具の第7構成例の正面図(A)と側面図(B)である。
本構成例の支持治具70は、第6構成例の支持治具60と同様に屈曲ガラス100を傾斜して立てかけた状態で支持する。この支持治具70は、ベース板71と、ベース板71に立設された支持ピン73と、支持ピン73の先端に設けられ水平方向に延設されるアーム部材75と、アーム部材75の両端に設けられ、屈曲ガラス100を支持する支持面を有する一対の支持部77A,77Bと、を備える。
屈曲ガラス100は、凹状の第1主面101の背面側となる第2主面107を下側に向けて支持治具70に支持される。そして、第2主面107の最下位置P1より上方となる高さ方向中間部に、一対の支持部77A,77Bが当接することで、屈曲ガラス100が立てかけられた状態で支持される。
本構成の支持治具70によれば、凸状の第2主面107が一対の支持部77A,77Bにより支持されることで、屈曲ガラス100が安定して立てかけられる。
上記のように、各構成例で示す支持治具は、複雑な形状の屈曲ガラスや、設計寸法通りの高精度な形状が求められる屈曲ガラスのアニール処理にも好適に適用できる。
本発明により得られた屈曲ガラスは、内部の残留ひずみや残留応力を緩和され、さらに屈曲ガラスの端面付近も含め残留応力の均一化を達成できる。屈曲ガラスは最終的に車載表示装置のカバーガラスなどに使用されるとき、屈曲ガラスの端面付近と筐体等とを接着剤などを用いて固定することになる。車載表示装置のような車内の温度環境において接着剤が膨張収縮したり、屈曲ガラス自体が膨張収縮することで、屈曲ガラスの端面に不規則な外力が加わることがある。これにより屈曲ガラスの端面が損傷してしまうことが想定される。本発明により得られたガラスは端面付近も残留応力が緩和され、また均一となることから高強度かつ均質な高品質な屈曲ガラスが得られる。
また、従来は、次工程で面取工程や切断工程での加工において、屈曲ガラス内の残留応力や残留ひずみの分布により、損傷しやすく所望の加工を施せないことがあり、多量の不良品となっていたが、本実施形態ではこれを解決できる。また、残留応力があるガラスでは化学強化時に生じる圧縮応力などにより残留応力が影響を受け、化学強化が入りにくいという課題や、屈曲ガラスの形状が変形してしまうという課題があったが、本発明で得られた屈曲ガラスを化学強化すると、形状変形を抑制でき面内で均一に強化され、屈曲ガラスの強度を均質にできる。
屈曲ガラスの残留応力は、「主応力差Σ」という指標で評価できる。主応力差Σは屈曲ガラス面内の任意の点における積分値として、7MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、3MPa以下がさらに好ましい。屈曲ガラスの端面近傍も屈曲部といったそれ以外の部位も主応力差Σを低く、かつ、同水準とでき、切断工程、面取工程、化学強化工程などを経て、高効率で高品質の屈曲ガラスを得られる。屈曲ガラスの主応力差Σの下限は特に制限はない。なお、ここで「屈曲ガラスの端面近傍」とは、端面からある範囲の無端帯状の領域を示し、例えば、10mm以下の幅の領域とできる。
また、主応力差Σを端面近傍も屈曲部なども上限以下で、同水準となることで、形状等の歪みが少なくなり、例えば、後工程の化学強化処理により均質な強度を有する屈曲ガラスを得られる。
なお、「主応力差Σ」は以下のように求められる。屈曲ガラス等の被測定物の主面の任意の点で、位相差φを測定し、被測定物の光弾性定数Eで除することで、主応力差Σを求められる。この主応力差Σは、測定点における最大主応力σmaxの被測定物の厚さt方向積分値∫σmaxdtと、最小主応力積分値∫σmindtとの差の絶対値を意味し、任意の点での応力分布を示唆する。位相差φは、例えば、フォトニックラティス社製のワイドレンジ複屈折評価システム(型番WPA−100)で測定でき、付属のソフトウェアWPA−viewを使用することで主応力差Σを算出できる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
図示例の屈曲ガラスは、板面全体が単一の曲率で湾曲した形状であるが、これに限らず、少なくとも一部に屈曲部が存在する形状であってもよい。
屈曲部の曲率半径は、5000mm以下が好ましく、4000mm以下がより好ましく、2000mm以下が更に好ましく、1000mm以下が特に好ましい。本発明は寸法精度がより求められるような曲率半径が小さい屈曲部を有する屈曲ガラスに適している。屈曲部の曲率半径は1mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。曲率半径が下限値以上であると、車載用表示装置等の最終製品に取り付けた屈曲の突起が緩やかになるため、耐衝撃性を確保できる。また、曲率半径が上限値以下であると、ディスプレイの視認性を確保できる。
屈曲部の曲げ深さは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上が更に好ましく、30mm以上が特に好ましい。本発明は寸法精度がより求められるような曲げ深さの深い屈曲部を有する屈曲ガラスに適している。屈曲部の曲げ深さは1000mm以下が好ましく、800mm以下がより好ましく、500mm以下が更に好ましく、200mm以下が特に好ましい。屈曲部の曲げ深さが下限値以上であると、車載用表示装置等の最終製品に取り付けた屈曲の突起が緩やかになるため、耐衝撃性を確保できる。また、屈曲部の曲げ深さが上限値以下であると、ディスプレイの視認性を確保できる。
ここで曲げ深さとは、屈曲部を有する基材の厚さ方向断面視において、2つの下端部を結ぶ線分と、この線分と平行となる直線のうち、屈曲部に接する接線との距離をいう。
屈曲ガラスの厚さ方向断面視において、屈曲部を形成する両端部のそれぞれの接線とその交点において形成される角を「開き角」とすると、開き角は45°以上315°以下が好ましく、90°以上270°以下がより好ましい。
屈曲ガラスは「ひねり構造」を有していてもよい。「ひねり」とは、屈曲部における曲率半径が一定である必要はなく、開き角が一定である必要もない、これら条件により得られる形状を示す。本発明によれば、ひねり構造のような複雑な形状を有する屈曲ガラスについても寸法精度よくアニール処理でき、これにより残留応力などを除去でき、寸法精度が高く、化学強化をしやすい複雑形状の屈曲ガラスが得られる。
被成形体である板状ガラスを成形して屈曲ガラスを得る成形工程において、使用できる成形法としては、真空成形法や圧空成形法などの差圧成形法、自重成形法、プレス成形法などがあり、成形後のガラス形状に応じて、所望の成形法が選択される。また上記方法に関して局所的な加熱によりガラスの一部を曲げる方法が選択できる。
差圧成形法は、板状ガラスを軟化させた状態で表裏面に差圧を与えて、板状ガラスを曲げて金型になじませて、所定の形状に成形する方法である。
真空成形法では、成形後の屈曲ガラスの形状に応じた所定の金型上に板状ガラスを設置し、板状ガラス上にクランプ金型を設置し、板状ガラスの周辺をシールする。その後、金型と板状ガラスとの空間をポンプで減圧することにより、板状ガラスの表裏面に差圧を与えて成形する。
圧空成形法では、成形後の屈曲ガラスの形状に応じた所定の金型上に板状ガラスを設置し、板状ガラス上にクランプ金型を設置し、板状ガラスの周辺をシールする。その後、板状ガラスの上面に対して圧力を圧縮空気によって付与し、板状ガラスの表裏面に差圧を与えて成形する。
なお、真空形成法と圧空成形法は互いに組み合わせて行ってもよい。
自重成形法は、成形後の屈曲ガラスの形状に応じた所定の金型上に板状ガラスを設置した後、板状ガラスを加熱して軟化させて、重力により板状ガラスを曲げて金型になじませて、所定の形状に成形する方法である。
プレス成形法は、成形後の屈曲ガラスの形状に応じた所定の金型(下型、上型)間に板状ガラスを設置し、板状ガラスを軟化させた状態で、上下の金型間にプレス荷重を加えて、板状ガラスを曲げて金型になじませて、所定の形状に成形する方法である。
上述の成形法のうち差圧成形法及び自重成形法は、屈曲ガラスを得る方法として特に好ましい。差圧成形法によれば、屈曲ガラスの第1主面及び第2主面のうち、第2主面は成形金型と接触せずに成形できるため、傷、へこみなどの凹凸状欠点を減らせる。したがって、第2主面を、組立体(アセンブリ)の外側の面、すなわち通常の使用状態において使用者が触れる面とすることが、視認性向上の観点から好ましい。
なお、成形後の屈曲ガラスの形状に応じて、上述の成形法のうち2種以上の成形法を併用してもよい。
被成形体である板状ガラスや屈曲ガラス、屈曲ガラス物品(以下、被加工物と記載)に以下の工程・処理がなされてもよい。
(研削・研磨加工工程)
被加工物の少なくとも一方の主面を研削・研磨加工を実施してもよい。成形時に使用する成形型に接触した第1主面を研磨することが好ましい。
(表面処理工程)
被加工物について必要に応じて各種表面処理層を形成する工程を実施してもよい。表面処理層としては、防眩処理層、反射防止処理層、防汚処理層などが挙げられ、これらを併用してもよい。被加工物の第1主面又は第2主面のいずれの面でもよい。これらは成形工程後やアニール工程後に形成されることが好ましいが、防眩処理層については成形工程前でもよい。
[防眩処理層]
防眩処理層とは主に反射光を散乱させ、光源の映り込みによる反射光の眩しさを低減する効果をもたらす層のことである。防眩処理層は被加工物の表面を加工して形成してもよく、別途堆積形成してもよい。防眩処理層の形成方法として、例えば、被加工物の少なくとも一部に化学的(例、エッチング)あるいは物理的(例、サンドブラスト)な方法で表面処理を施し、所望の表面粗さの凹凸形状を形成する方法を使用できる。また、形成方法として、被加工物の少なくとも一部に処理液を塗布あるいは噴霧して、板上に凹凸構造を形成してもよい。
更に熱的な方法により被加工物の少なくとも一部に凹凸構造を形成してもよい。
[反射防止処理層]
反射防止処理層とは反射率低減の効果をもたらし、光の映り込みによる眩しさを低減する他、表示装置に使用した場合には、表示装置からの光の透過率を向上でき、表示装置の視認性を向上できる層のことである。
反射防止処理層が反射防止膜である場合、被加工物の第1主面又は第2主面に形成されることが好ましいが制限はない。反射防止膜の構成としては光の反射を抑制できれば限定されず、例えば、波長550nmでの屈折率が1.9以上の高屈折率層と屈折率が1.6以下の低屈折率層とを積層した構成、もしくは膜マトリックス中に中空粒子や空孔を混在させた波長550nmでの屈折率が1.2〜1.4の層を含む構成とできる。
[防汚処理層]
防汚処理層とは表面への有機物、無機物の付着を抑制する層、又は、表面に有機物、無機物が付着した場合においても、ふき取り等のクリーニングにより付着物が容易に除去できる効果をもたらす層のことである。
防汚処理層が防汚膜として形成される場合、被加工物のいずれかの主面上又はその他表面処理層上に形成されることが好ましい。防汚処理層としては、防汚性を付与できれば限定されない。中でも含フッ素有機ケイ素化合物を加水分解縮合反応により得られる含フッ素有機ケイ素化合物被膜からなることが好ましい。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。例1は本発明の実施例、例2は比較例である。
板には、厚さ2mmで主面の大きさが610mm×294mm四角形の板状ガラス(ドラゴントレイル(登録商標)、旭硝子社製)を用い、以下の手順でそれぞれ屈曲ガラス板を得た。以下、当該ガラス板の一方の主面を第1主面、他方の主面を第2主面と称する。
<例1>
板状ガラスに(1)予熱・成形工程、(2)アニール工程、(3)化学強化工程、の順に以下の手順で行った。
(1)予熱・成形工程
板状ガラスを以下の手順で成形し、屈曲ガラスを得た。
まず、板状ガラスを搬送アームに載置し、この状態で板状ガラスを予熱炉に搬送した。予熱炉では板状ガラスの平衡粘度が約1012.5Pa・sとなるように加熱した(予熱工程)。続いて、予熱した板状ガラスを搬送アームにて所望の屈曲ガラスが得られるような表面形状を有する下型上に載置し、この状態で板状ガラスを軟化炉に搬送した。軟化炉では板状ガラスの平衡粘度が約107.7Pa・s程度となるように加熱した。この状態で安定化した後、板状ガラスが自重で下型の表面形状に沿わせ成形した(成形工程)。これを約5℃/分程度で降温し(冷却工程)、所望の形状を有する屈曲ガラスを得た。この屈曲ガラスは、全体的に屈曲し、曲率半径が1000mmの屈曲部を有していた。なお、屈曲部の屈曲方向をX軸方向、X軸と直交し厚さ方向と平行となる方向をZ軸方向、X軸とZ軸と直交する方向をY軸方向とする。
(2)アニール工程
続いて、得られた屈曲ガラスについて、以下の手順でアニール処理を実施した。得られた屈曲ガラスを、図7に示すような支持治具上に載置し、アニール炉内に搬送した。その後、加熱を開始し、平衡粘度が約1014Pa・s程度となるように、約10℃/分で昇温した(アニール工程における加熱工程)。アニール炉内が所望の温度に安定した後、15分間保持した(アニール工程における保温工程)後、これを約10℃/分で降温し(徐冷工程)、アニールした屈曲ガラス物品を得た。
(3)化学強化工程
アニールした屈曲ガラス物品を450℃に加熱して溶融させた硝酸カリウム塩に2時間浸漬しイオン交換処理した。その後、ガラス板を溶融塩より引き上げ、1時間で室温まで徐冷することで化学強化処理を行った。
更に、この屈曲ガラス物品をアルカリ溶液(商品名:サンウォッシュTL−75、ライオン社製)に4時間浸漬してアルカリ処理を施した。
以上より、同条件にて5枚の屈曲ガラス物品を得た(ガラスサンプルA)。
<例2>
(2)アニール工程を実施せず、それ以外については例1と同様の手順で、板状ガラスに(1)予熱・成形工程、及び(3)化学強化工程を実施した。以上より、同条件にて5枚の屈曲ガラスを得た(ガラスサンプルB)。
[評価方法]
各種評価は以下に示す分析方法により行った。
〔ガラスの評価:表面圧縮応力(CS)及び表面圧縮応力層の深さ(DOL)〕
ガラスサンプルの表面圧縮応力(CS)及び表面圧縮応力層の深さ(DOL)(以降、応力分布と記載)は、折原製作所社製のガラス表面応力計装置(FSM−6000LE)により測定した。
CS及びDOLの測定はガラスサンプル面内において中心付近及び左右端面付近の、計3点について実施した。DOLについては面内のバラつきを示す面内平均偏差σ及びDOL面内平均値に対する面内平均偏差σの割合として求められる変動割合も算出した。
以上の結果を表1に示した。同条件で作製した複数のガラスサンプルについては、例えばガラスサンプルAの1枚目、2枚目をそれぞれA−1、A−2のように表記した。
Figure 0006583371
〔ガラスの評価:主応力差〕
ガラスサンプルの主応力差は、フォトニックラティス社製のワイドレンジ複屈折評価システム(型番WPA−100)により測定した。
主応力の測定はガラスサンプル面内において、ガラスサンプルの主面のうち、下型と接触していない面について測定を実施した。測定はX軸方向とY軸方向での主応力差をそれぞれ100mmの測定長で実施した。ガラスサンプルAのうちA−1を、ガラスサンプルBのうちB−1について測定を実施し、その結果を図12に示した。
図12に示すように、アニール処理したガラスサンプルAでは主応力差が、X軸方向及びY軸方向ともに5MPa以下となった。一方で、アニール処理を実施していないガラスサンプルBでは、主応力差がX軸方向及びY軸方向ともに10MPa程度と高く、また測定箇所によるバラつきも大きかった。このことから、アニール処理により面内の残留応力が全面的に除去できたことが分かった。
ガラスサンプルAでは圧縮応力層深さDOLの面内バラつきを小さくできた。これは面内の残留応力を均一に除去できたためである。
また、表1に示すようにガラスサンプルAは、ガラスサンプルBよりも表面圧縮応力CSが高くなった。これは、ガラスサンプルBは化学強化工程でイオン交換処理を実施してもガラスサンプルBに残存していた残留応力が緩和し、これに伴い化学強化層の残留応力も緩和するため、表面圧縮応力CSの値が低くなったと考えられる。なお、得られたガラスサンプルAのヤング率は全て50GPa以上と高い値であった。
以上より、高温での加熱処理を行った屈曲ガラスに残留した残留応力をアニール処理により除去でき、緩和しにくい均質な化学強化層を形成した屈曲ガラス物品が得られた。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持する、ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、屈曲ガラスの変形を抑制しつつ、熱処理できる。
(2) 前記熱処理工程が、アニール工程である、(1)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、アニール処理中の屈曲ガラスの変形を抑制しつつ、アニール処理によって屈曲ガラス内部の残留ひずみや残留応力を除去できる。
(3) 板状ガラスを成形型に接触させて前記屈曲ガラスを得る成形工程を更に有し、
前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスにおける成形型に接触していた面を前記支持治具に支持させる、(1)又は(2)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、後工程において主面を研磨・研削する場合、第1面について重点的に研磨をすればよいなど、後工程負荷を低減できる。
(4) 前記熱処理工程は、前記成形工程において前記屈曲ガラスが、平衡粘性が1012.5Pa・sから、1020Pa・sまでの領域を、5℃/分以上の冷却速度で冷却された後に実施する、(3)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、熱処理工程前に、屈曲ガラスが5℃/min以上の速い冷却速度で冷却され、屈曲ガラス内部に残留ひずみや残留応力が生じていても、容易に残留ひずみや残留応力を除去できる。
(5) 前記熱処理工程は、前記屈曲ガラスを平衡粘性が1012.5〜1017Pa・sの範囲になるまで加熱する、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、屈曲ガラス内部の残留ひずみや残留応力をより確実に除去できる。
(6) 前記熱処理工程は、前記屈曲ガラスを所望の温度に加熱する加熱工程と徐冷工程とを含む(1)〜(5)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、アニール温度に加熱された後、徐冷されるので、屈曲ガラス内の残留ひずみや残留応力の発生を抑制できる。
(7) 前記徐冷工程後、前記屈曲ガラスの少なくとも一部を面取りする面取工程を有する、(6)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、面取加工により屈曲ガラスの縁部を滑らかにできる。また、縁部の微細な傷を除去できる。
(8) 前記面取工程は、前記屈曲ガラスの前記端面を面取りする、(7)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、端面が滑らかとなって屈曲ガラスの寸法精度が高められ、また、操作者のハンドリング性を向上できる。よって、屈曲ガラスの商品価値を向上できる。
(9) 前記徐冷工程後、前記屈曲ガラスの少なくとも一部を切断する切断工程を有する、(6)〜(8)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、設計形状に合わせて、屈曲ガラスの外観や寸法を調整できる。
(10) 前記切断工程は、前記屈曲ガラスの前記端面を含む周縁部を切断する、(9)に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
この屈曲ガラス物品の製造方法によれば、例えば、アニール処理の際、支持治具により保持されて屈曲ガラスの表面に傷や接触痕等が生じた場合でも、この傷や接触痕等を生じた周縁部を除去できる。
(11) 第1主面と第2主面と端面とを有し、少なくとも一部に屈曲部を備えた屈曲ガラス物品であって、
前記屈曲ガラス物品は化学強化ガラスを備え、
前記第1主面又は前記第2主面における、圧縮応力深さDOLの面内平均値に対する、DOLの面内平均偏差の割合として求められる変動割合が3%以下である屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、圧縮応力の面内偏差が小さく、均質な強度が得られる。
(12) 前記いずれかの主面において積分された主応力差が5MPa以下である、(11)に記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、画像の乱れが小さく綺麗であり、かつ長期的な破損を防ぐことができる。
(13) 第1主面と第2主面と端面とを有し、少なくとも一部に屈曲部を備えた屈曲ガラス物品であって、
前記端面近傍のいずれかの主面において積分された主応力差が5MPa以下であることを特徴とする、屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、切断工程、面取工程、化学強化工程などを経て、損傷などを抑制でき高効率で高品質となる。
(14) 前記屈曲部のいずれかの主面において積分された主応力差が5MPa以下である、(13)に記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、屈曲部も端面付近も低い主応力差で均一となり、歪みが少なくなる。
(15) 化学強化ガラスを備える、(13)または(14)に記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、機械的強度の高い屈曲ガラス物品が得られる。
(16) ヤング率が45GPa以上である、(11)〜(15)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、均質な強度が得られ設計通りの形状が得られる。
(17) ヤング率が90GPa以下である、(11)〜(16)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、押圧などでガラスに負荷がかかっても変形を抑制でき、ガラスの形状精度を維持できる。
(18) 前記屈曲部の曲率半径が5000mm以下である、(11)〜(17)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、曲率半径が小さい屈曲部を有するが、アニール処理により残留応力などを除去でき、寸法精度が高い状態で維持でき、均一な化学強化をしやすくなる。
(19) 前記屈曲部がひねり構造を有する、(11)〜(18)のいずれか一つに記載の屈曲ガラス物品。
この屈曲ガラス物品は、ひねり構造のような複雑な形状を有するが、アニール処理により残留応力などを除去でき、寸法精度が高い状態で維持でき、均一な化学強化をしやすくなる。
10,20,30,40,50,60,70 支持治具
15,51 載置面(支持部)
65,77A,77B 支持部
100 屈曲ガラス
101 第1主面
103 周縁部
105 端面

Claims (8)

  1. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    前記熱処理工程は、アニール工程であり、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持する、ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  2. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    板状ガラスを成形型に接触させて前記屈曲ガラスを得る成形工程を更に有し、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスは、前記屈曲ガラスにおける成形型に接触していたいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、前記屈曲ガラスのいずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持する、ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  3. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    板状ガラスを成形型に接触させて前記屈曲ガラスを得る成形工程を更に有し、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスは、前記屈曲ガラスにおける成形型に接触していたいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、前記屈曲ガラスのいずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持し、
    前記熱処理工程は、前記成形工程において前記屈曲ガラスが、平衡粘性が10 12.5 Pa・sから、10 20 Pa・sまでの領域を、5℃/分以上の冷却速度で冷却された後に実施する、ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  4. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持し、
    前記熱処理工程は、前記屈曲ガラスを平衡粘性が10 12.5 〜10 17 Pa・sの範囲になるまで加熱する、
    ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  5. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持し、
    前記熱処理工程は、前記屈曲ガラスを所望の温度に加熱する加熱工程と徐冷工程とを含み、
    前記徐冷工程後、前記屈曲ガラスの少なくとも一部を面取りする面取工程を有する、
    ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  6. 前記面取工程は、前記屈曲ガラスの前記端面を面取りする、請求項に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
  7. 第1主面と第2主面と端面とを有する屈曲ガラスに、熱処理を実施する熱処理工程を含む屈曲ガラス物品の製造方法であって、
    前記熱処理工程において、前記屈曲ガラスはいずれか一方の主面を下側にして支持治具に支持され、
    前記支持治具は、いずれか一方の主面の最下位置よりも高い位置で、いずれか一方の主面又は端面の少なくとも一部を支持し、
    前記熱処理工程は、前記屈曲ガラスを所望の温度に加熱する加熱工程と徐冷工程とを含み、
    前記徐冷工程後、前記屈曲ガラスの少なくとも一部を切断する切断工程を有する、
    ことを特徴とする屈曲ガラス物品の製造方法。
  8. 前記切断工程は、前記屈曲ガラスの前記端面を含む周縁部を切断する、請求項に記載の屈曲ガラス物品の製造方法。
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