以下に添付図面を参照して、スコアブック作成装置、スコアブック作成システム、スコアブック作成方法、プログラムおよび再生方法の実施の形態を詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な数値および外観構成などは、本発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本発明に直接関係のない要素は詳細な説明および図示を省略している。
図1は、実施形態にかかるスコアブック作成システム100の概略構成例を示す模式図である。図1に示すように、スコアブック作成システム100は、スコアブック作成装置120と、1台以上の撮像装置110A,110B,…とを備える。なお、以下において、1台以上の撮像装置110A,110B,…を説明する場合、その撮像装置の符号を110とする。
撮像装置110は、たとえば動画撮影可能なビデオカメラやデジタルカメラなどであってよい。スコアブック作成装置120は、CPU(central processing unit)などの情報処理装置を搭載したパーソナルコンピュータなどであってよい。
スコアブック作成装置120と撮像装置110とは、たとえばデータ通信手段を介してデータ転送可能に接続される。このデータ通信手段は、有線であっても無線であってもよい。データ通信手段には、公衆回線網や移動体通信網やインターネットやLAN(local area network)やBluetooth(登録商標)やUSB(universal serial bus)など、種々のデータ通信手段を適用することができる。
図2は、実施形態にかかるスコアブック作成システム100の概略構成例を示すブロック図である。図2に示すように、撮像装置110は、撮像部111と、検出部112と、内部時計113と、仮タグファイルを記憶する記憶部114と、仮タグ生成部115と、通信インタフェース(I/F)116と、操作部117とを含む。検出部112および仮タグ生成部115は、たとえば撮像装置110が搭載するCPU(central processing unit)などの情報処理装置によって実現されてもよいし、各部の機能を実行する専用チップによって実現されてもよい。
スコアブック作成装置120は、通信I/F121と、スコアを記憶する記憶部122と、映像再生部123と、表示部124と、入力部125と、スコアブック処理部127と、タグID付与部128と、GUI画像生成部129と、内部時計131とを含む。スコアブック処理部127およびタグID付与部128は、たとえばスコアブック作成装置120が搭載するCPUなどの情報処理装置によって実現されてもよいし、各部の機能を実行する専用チップによって実現されてもよい。また、撮像装置110内の内部時計113とスコアブック作成装置120内の内部時計131とは、必ずしも同期されている必要はない。
つづいて、図2に示す各部の動作を、図3に示すタイムチャートを用いて時間の経過に合わせて説明する。本動作では、まず、撮像装置110を用いて実際に野球の試合が撮影される。このとき、投手が画角に含まれる撮影範囲で撮影を行う。撮影開始のタイミングをタイミングT0(=0秒)とする。タイミングT0では、スコアブック作成装置120においてスコアブック作成用のアプリケーション(たとえばスコアブック処理部127およびタグID付与部128)が立ち上げられているとともに、スコアブック作成装置120と撮像装置110との間で通信が確立しているものとする。また、スコアブック作成装置120では、投手による投球直後から入力者によってスコアが入力され始めるものとする。これら構成によって、野球の試合が撮像されている最中に、入力者は並行してスコアブックを入力する。
ここで、スコアブックに記録されるスコアについて、簡単に説明する。スコア(第2の情報)とはスコア情報の集合のことであり、投手の投球(第1の情報)を起点とした一連のイベントを構成する個々のイベントであるスコア情報の集合体のことである。したがって、投手が1球投げるごとに1つのスコアが作成される。例えば、1塁に出塁している状態での打撃結果がライトフライアウトになって1塁走者もタッチアウトになった場合、打者がアウトというスコア情報と、ライトフライというスコア情報と、1塁走者がアウトというスコア情報とから1つのスコアが構成されることになる。
スコアには、上記に例示したスコア情報の他にも、打者のアクション、野手のアクション、カウントの確定、既に出塁している走者がいる場合はその走者の進塁状況、その他、打者や野手のその他の行動などのスコア情報が含まれ得る。具体的には、スコアには、ストライク、ボール、ファウル、打撃結果、打球の種類、捕球野手、進塁結果などのスコア情報が含まれ得る。打撃結果は、アウト、1塁ヒット、2塁ヒット、3塁ヒット、ホームランなどの情報である。打球の種類は、ゴロ、ライナー、フライ、バントなどの情報であり、さらに細かく分類してもよい。捕球野手は、実際に打球を捕球した野手または野手の守備位置を特定するための情報である。進塁結果は、たとえば‘1塁から2塁’など、出塁していた走者の進塁に関する情報であり、その他に打者や野手のその他の行動などを含めることができる。
1つのスコアに含まれる一連のスコア情報は、たとえばスコアブック処理部127からの指示の下でGUI画像生成部129で生成されて表示部124に表示されたGUI(graphical user interface)に基づいて入力部125を操作することで連続的に入力される。入力者は、一連のスコア情報のすべての入力が終わって確定できる状態になった時点で入力部125から確定操作を入力することで、これら投手の投球を起点とした一連のイベントに関するスコア情報の集合を1つのスコアとして確定させる。
撮像装置110では、撮影者が操作部117の撮影ボタンを押下することによって撮影が開始される。撮影開始により撮像部111で取得された映像データは、記憶部114に蓄積される。
検出部112は、仮タグを生成するタイミングを検出する(たとえば、タイミングT1,T3,T5)。仮タグを生成するタイミングは、撮影者が操作部117のボタンを操作することで検出部112に与えられてもよいし、撮像部111から入力された映像データを検出部112が解析することで検出してもよい。映像データを解析して仮タグを生成するタイミングを検出する場合、検出部112が仮タグを生成するタイミングとして検出するイベントは、投手による投球のタイミングなどであってもよい。また、撮像装置110とは別に、仮タグを生成するタイミングを発生するための外部装置(以下、タグリモコンという)が設けられてもよい。タグリモコンは、スコアブック作成装置120に組み込まれてもよいし、撮像装置110およびスコアブック作成装置120とは別体の通信端末であってもよい。
仮タグ生成部115は、検出部112が仮タグを生成するタイミングを検出した際の時間情報を仮タグ時刻情報として一時的に記憶部114に記憶させる。この動作を「仮タグを生成する」と呼ぶ。
一方、スコアブック作成装置120では、実際の試合を観戦する入力者によって入力部125からスコア情報が入力され、一連のスコア情報の入力が完了したら、入力者によって入力部125に対する確定操作が行われることでスコアが確定される(たとえば、タイミングT2,T4,T6)。ここで、スコアが確定される時刻は、検出部112によって投手の投球が検出された時刻から時間が経過している状態である。
スコアが確定されると、タグID付与部128によってタグIDが発行され、スコアとタグIDとをセットにして記憶部122に記憶される。タグIDには、スコアが確定された時刻情報が含まれる。また、発行されたタグIDは、通信I/F121を介して撮像装置110へ送信され、撮像装置110内の仮タグ生成部115に入力される。仮タグ生成部115では、スコアが確定した時刻の直前の仮タグ時刻情報を記憶部114から特定し、この仮タグ時刻情報と入力されたタグIDとをセットにして記憶部114の仮タグファイルに書き込む。または、仮タグ生成部115は、検出部112が特定した仮タグ時刻情報をレジスタ等に順次登録しておき、スコアブック作成装置120からタグIDを受信した際に、レジスタ等に登録された仮タグ時刻情報であってタグIDとセットにされていない仮タグ時刻情報のうちの最も古い仮タグ時刻情報を、受信したタグIDとセットにして記憶部114の仮タグファイルに書き込んでもよい。
このようにして、投球が検出された時刻から時間が経過した時点で確定されたスコアは、タグIDによってスコア確定のタイミングの直前のタイミングに打たれた仮タグ時刻情報の1つと紐付けられる。すなわち、タグIDは、仮タグ時刻情報とスコアとの組み合わせを特定するための情報である。このタグIDを用いることで、映像データのうちのある打撃結果の起点となる投球時点に、その投球から始まる一連のスコア情報が見かけ上、時間的に遡って紐付けられる。
仮タグ時刻情報が付与された時点から次の仮タグ時刻情報が付与された時点までの映像は、シーンと規定される。それにより、投手の投球から始まる映像ごとにシーンを規定することができる。各シーンは、映像データに含まれる時間情報を用いて仮タグ時刻情報と紐付けられる。この紐付けによって各シーンとタグIDとが紐付くことで、各シーンとスコアとを紐付けることができる。
次に、図2に示す各部の動作を、図4に示す撮像装置110の動作フローおよび図5に示すスコアブック作成装置120の動作フローを用いて詳細に説明する。
図4に示す撮像装置110の動作は、撮像装置110を操作する操作者によって開始される。一方、図5に示すスコアブック作成装置120の動作は、入力者がスコアブック作成装置120のスコアブック作成アプリケーションを立ち上げることで開始される。その際、スコアの入力者は、試合会場の全体を見渡せて、打球やすべての選手の動きを観察できるような位置で入力することが好ましい。ベンチなどのような試合会場を横から見る位置よりも、全体を俯瞰できるようなバックネット裏、スタンド席などが好ましい。
まず、撮像装置110の動作を説明する。図4のステップS001では、撮影者が撮像装置110の操作部117を操作することによって、試合開始時に撮像装置110による撮影が開始される。
ステップS002では、撮影が継続中であるか否かが確認される。撮影が継続中であるか否かの撮像ステータスは、たとえば撮像部111が保持している。撮影が継続されている、つまり、撮影継続中の場合は、ステップS003に進む。撮影が継続していない場合は、ステップS007へ進む。なお、撮影が一時停止中の場合は、撮影が再開されるか、撮影が停止されるかのどちらかを検出するまで、撮影が維持されているかを確認し続ける。
ステップS003では、撮像装置110の検出部112が仮タグを生成するタイミングを検出する。上述したように、仮タグを生成するタイミングは、撮影者が操作部117のボタンを操作することで検出部112に与えられてもよいし、撮像部111から入力された映像データを検出部112が解析することで検出してもよいし、タグリモコンなどの外部装置から検出部112に与えられてもよい。また、ステップS003において仮タグを生成するタイミングが検出されなかった場合は、ステップS002に戻って撮影継続中であるか否かが確認される。
映像データを解析して仮タグを生成するタイミングを検出する場合、検出部112は、たとえば映像データから解析された投手による投球フォームを検出し、投球フォームのレファレンスとの合致度を評価することで投球を検出してもよい。もしくは、投手と捕手とを横から撮影し、球の軌跡の延長線が投手に重なり、捕手付近以外でバウンドしていない場合を検出して投球を検出してもよい。
映像データの解析による投手の投球を検出することに代えて、スピードガンを用いて投手の捕手へ向けて投げられる球速の出力信号を検出することで投球が検出されてもよい。もしくは、所定の速度で閾値を設定し、閾値以上の速度を検出した場合に投球が検出されてもよい。スピードガンを用いることで、撮像装置110の撮像範囲に投手が含まれなくとも投球を検出することができ、スコアブックのスコアに含まれるそれぞれのスコア情報と映像データのシーンを紐付けることができる。
また、映像データを解析して仮タグを生成するタイミングを検出する場合、検出部112は、投手が投げた球種や球速などの情報も併せて検出してもよい。これらの検出された情報は、スコアブック作成装置120へ送信され、スコアブック作成装置120においてスコア情報に含められてもよい。
ステップS004では、撮像装置110の仮タグ生成部115は、ステップS003で検出部112が仮タグを生成するタイミングを検出したら、このタイミングの検出をトリガとして仮タグを生成する。仮タグの生成では、仮タグ生成部115は、仮タグを生成するタイミングが検出された際の時間情報を内部時計113から特定し、その時間情報を仮タグ時刻情報として一時的に記憶部114に記憶させる。時間情報は、たとえば撮影の開始からの経過時間であってもよいし、現在時刻であってもよい。また、仮タグ時刻情報は、たとえばタイムスタンプの形式であってもよい。
一方で、スコアブック作成装置120側では、入力者による投球ごとのスコアの入力作業が進行している。投球ごとのスコアの入力作業が完了すると、スコアブック作成装置120から撮像装置110へスコアの確定が通知される(図5のステップS016参照)。図4のステップS005では、撮像装置110はスコアブック作成装置120からスコアの確定通知を受信するまで待機し(ステップS005;NO)、スコアの確定通知を受信した場合(ステップS005;YES)、ステップS006の処理を実行する。
ここで、投手の投球が検出されないなど、何らかの理由で仮タグを生成するタイミングが検出されないままスコア確定がなされた場合について説明する。仮タグを生成するタイミングが検出されないと紐付けるべき紐付け先の仮タグ時刻情報がない。そこで、(1)スコアが確定された時点、または、(2)スコアが確定された時点から所定の時間遡った時点、または、(3)1つ前のスコア確定時から所定の時間経過した時点、の3パターンのうちいずれかの方法で新たに仮タグ時刻情報を打つ。ただし、(3)は、撮影開始後、最初のスコア確定時点では、1つ前のスコアが確定された時点というものが無いので、(1)か(2)で仮タグを打つ。このようにすることで、仮タグを生成するタイミングが検出されないままスコアが確定した場合にでも仮タグ時刻情報を付与することができる。
図4に戻り説明する。スコアブック作成装置120からスコアの確定通知とともにタグIDを受信すると、撮像装置110は、受信したタグIDを仮タグ生成部115に入力する。ステップS006において、仮タグ生成部115は、生成された仮タグ時刻情報とタグIDとをセットにして仮タグファイルに書き込み、ステップS002に戻る。
以上のような映像データおよびそれに付随する仮タグ時刻情報およびタグIDの蓄積を試合を通じて実行することで、1試合分の映像データおよび仮タグファイルが撮像装置110の記憶部114に記憶される。
ステップS007では、撮像装置110は、撮影が継続中ではないことから(ステップS002;NO)、記憶部114に蓄積された映像データおよび仮タグファイルを閉じて完成させる。
つづいて、スコアブック作成装置120の動作を説明する。図5のステップS011では、入力者がスコアブック作成装置120の入力部125を操作することによって、スコアの入力作業が開始される。
ステップS012では、撮像装置110での撮影が継続中であるか否かが確認される。撮影が継続中であるか否かの撮像ステータスは、スコアブック処理部127が撮像装置110の撮像部111へ問い合わせを行うことで確認される。撮影が継続されている、つまり、撮影継続中の場合は、ステップS013に進む。撮影が継続していない場合は、ステップS018へ進む。なお、撮影が一時停止中の場合は、撮影が再開されるか、撮影が停止されるかのどちらかを検出するまで、撮影が維持されているかを確認し続ける。
ステップS013では、スコアブック処理部127は、入力部125から入力された投球ごとのスコア情報を受け付ける。投手の投球を起点とした一連のイベントに対するスコア情報の入力が完了すると、入力者は、入力部125から確定操作を入力する。これに対し、スコアブック処理部127は、受け付けたスコア情報の集合を投手の投球を起点とした一連のイベントに対するスコアとして確定させる(ステップS014;YES)。
このようにしてスコアが確定されると、ステップS015において、タグID付与部128がタグIDを発行する。スコアブック処理部127は、タグID付与部128からタグIDを取得すると、取得したタグIDをスコアの確定通知とともに撮像装置110へ通知する(ステップS016)。また、スコアブック処理部127は、取得したタグIDと入力されたスコアとをセットにして記憶部122に蓄積し(ステップS017)、ステップS012に戻る。
以上のようなスコアおよびタグIDの蓄積を試合を通じて実行することで、1試合分のスコアとタグIDとのセットを含むスコアブックがスコアブック作成装置120の記憶部122に蓄積される。
ステップS018では、スコアブック処理部127は、撮影が継続中ではないことから(ステップS012;NO)、記憶部122のスコアブックを閉じて完成させる。
以上のようにして、撮影された映像のうちのすべての投球時点に仮タグ時刻情報が付与されて仮タグファイルに仮タグ時刻情報とタグIDとが記憶され、さらに、投球を起点とする一連のスコア情報(すなわち、スコア)がタグIDと対応づけられることで、スコアブックの投球ごとのスコアと映像データのシーンとが紐付けられる。
なお、以上の説明では、仮タグ時刻情報とスコアとの紐付けにタグIDを用いたが、これに限られるものではない。たとえば、タグIDの代わりに内部時計113および131より取得した時間情報(撮影開始または映像データの先頭からの時間、もしくは時刻情報)が用いられてもよい。その場合、時間情報の前後関係に基づいて互いに紐付けされる仮タグ時刻情報とスコアとの組み合わせを特定できるため、タグID付与部128およびスコアブック作成装置120から撮像装置110へタグIDを送信するための構成ならびにその動作を省略できる。
また、本実施形態では、仮タグファイルとスコアブックとを別個のデータとして記憶したが、仮タグファイルとスコアブックとの両方をまとめたタグデータを生成してもよい。
仮タグファイルとスコアブックとを1つのタグデータにまとめる場合、図4のステップS007において、記憶部114に蓄積された仮タグファイルが通信I/F116を介してスコアブック作成装置120へ送信される。スコアブック作成装置120では、仮タグファイルに含まれる仮タグ時刻情報とスコアブックに含まれるスコアとをタグIDを基にして紐付けしてタグデータを生成する。
このようにして生成されたタグデータに含まれる情報には、タグID、仮タグ時刻情報、球種、球速、スコア、スコア確定時刻などの情報が含まれる。生成されたタグデータは、スコアブック作成装置120の記憶部122に記憶される。
続いて、以上のようにして映像データに紐付けされたスコアブックを利用して映像データにおける目的のシーンを再生する際の流れを、以下に図面を用いて詳細に説明する。図6は、記憶部122に蓄積されたスコアブックを用いてスコアブック処理部127が作成して表示部124に表示されたスコアブックの一例を示す図である。図7は、図6に示すスコアブックを用いて呼び出されて表示部124に再生された映像の一例を示す図である。
まず、操作者が入力部125からスコアブックの表示指示を入力すると、スコアブック処理部127は、記憶部122よりスコアブックのデータを取得し、取得したデータに基づいてGUI画像生成部129が生成したスコアブックを表示部124に表示する。それにより、表示部124には、たとえば本実施の形態では、図6に示すようなスコアブック140が表示される。
スコア欄141は左にストライク、ボールなどのスコア情報であるボールカウントが表示される。ストライクカウントが中抜き丸記号、ボールカウントが中塗り丸記号で表示される。スコア欄141の右側にはスコア情報である進塁状況が表示される。スコア欄141右側のひし形部分にはスコア情報であるアウトのカウントが表示される。ひし形部分を中央にしてまわりを取り巻くように、右下、右上、左上、左下にそれぞれマスが配置される。中央のひし形の辺に平行な直線が各マスに引かれた場合に進塁したことを示す。つまり、右下のマスに直線が引かれている場合はスコア情報として1塁への進塁を示す。同様にして、右上のマスに直線が引かれている場合は2塁への進塁を、左上のマスに直線が引かれている場合は3塁への進塁を、左下のマスに直線が引かれている場合は本塁への進塁のスコア情報を、それぞれ示す。
右下のマスには、打球を捕球した野手を示す番号が表示される。本実施の形態では、守備位置を一意に識別可能なように予め与えられた情報として、ピッチャーを‘1’、キャッチャーを‘2’、ファーストを‘3’、セカンドを‘4’、サードを‘5’、ショートを‘6’、レフトを‘7’、センターを‘8’、ライトを‘9’とした場合を例示する。
図6においては、背番号5の打者1は、ストライク1401、ボール1402、ボール1403のカウントののち、ライト9が捕球するヒットによって1塁へ進塁したことを直線1404と捕球者番号1405で示し、1塁への進塁が完了した後にアウト1406になったことを示している。また、背番号8の打者2は、ストライク1407、ストライク1408、ボール1409のカウントののち、ショート6が捕球するヒットによって1塁へ進塁したことを直線1410と捕球者番号1411で示している。ここで1塁への進塁記録が2人分あるが、これは、アウト1406と併せて、打者2のヒットによってショート6が捕球し、打者2は1塁へ進塁できたが、打者1は2塁へ進塁できずにアウト1406になったことを示している。ここで、1401〜1411がスコア情報となる。
以下、上記のスコア情報を基にして、スコアを利用して目的のシーンを再生する際の流れを説明する。
図7に、打者の打席におけるすべてのスコアと再生された映像の表示の一例を示す。映像データ再生画面150は、映像データ再生表示部151と打席情報152に分けて表示される。映像データ再生表示部151には、再生される映像が表示される。打席情報152には、打者の打席におけるすべてのスコアが表示される(1501〜1504)。操作者がこれらのスコアのうち1つを選択することで、映像データ再生表示部151に、操作者によって選択された打席情報152のスコアに該当するシーンの冒頭、つまり投球場面からの映像が再生される。
以上のように、実施形態によれば、スコアブックにおける各打席のスコアと、その打席の映像データとをリンクさせることが可能となるため、スコアブックから所望の映像を容易に確認することが可能となる。その結果、野手の連携状況や走者の進塁状況など、各打席の詳細な情報を容易に得ることが可能となる。
スコアブック作成システムの別の実施形態を図8に示す。スコアブック作成システム200は、映像再生部123と、スコアブック処理部127と、タグID付与部128と、内部時計131と、検出部112と、仮タグ生成部115と、を含むスコアブック作成装置220と、撮像部111と操作部117とを含む撮像装置210とから構成される。記憶部122は、撮像部111から送られた映像データと、仮タグ生成部115によって作成された仮タグと、スコアブック処理部127によって生成されたスコアと、スコアが確定されてタグID付与部128によって発行されたタグIDと、を蓄積して記憶する。それぞれのブロックは、前述の対応する符号のブロックと同じ動作をする。相違点は、通信I/F116および121を含まないことである。
図8に示すスコアブック作成装置220は、スコアに対応するタグIDと、仮タグファイルに含まれるタグIDとによって紐づけられたスコアに対応するシーンの起点から再生することができる。記憶部122は、スコアブック作成装置220の外部にあり、映像データ、仮タグ、スコア、及び、タグIDを記憶する。記憶部122は、スコアブック作成装置220の内部にあってもよい。また、記憶部122は、撮像装置210に搭載されて映像データと仮タグとタグIDとを記憶する記憶部と、スコアブック作成装置220に搭載されてスコアとタグIDとを記憶する記憶部とに置き換えられてもよい。
以下に、上述した実施形態によって作成される仮タグファイルのデータ構造例について説明する。図9は、上述において図4を用いて説明した撮像装置110の動作によって作成される仮タグファイルのデータ構造例を示す模式図である。図9に示すように、仮タグファイルには、仮タグ時刻情報とタグIDとが対応づけて記憶されている。仮タグ時刻情報は、上述において例示したような撮影の開始からの経過時間や現在時刻など、映像のどのシーンの先頭であるかを特定できる情報であればよい。
つぎに、上述した実施形態によって作成されるスコアブックのデータ構造例について説明する。図10は、上述において図5を用いて説明したスコアブック作成装置120の動作によって作成されるスコアブックのデータ構造例を示す模式図である。図10に示す例では、2回表の5番打者から9番打者までのスコアが部分的に示されている。
図10に示すように、スコアブックのデータ構造は複数の打席レコードから構成される。打席レコードは、スコアが確定されるごとに1つ作成され、インデックスとして打席レコード番号が昇順で付与される。打席レコードには、次のようなスコア情報が記録される。たとえば、イニング、イニングの表/裏、打順および打者を識別するための個人ID、“打者スコア情報”、“走者スコア情報”および“タグID”の情報が登録されている。つまり、各打席レコードに1つのスコアが登録されたデータ構造を有している。個人IDは、各プレイヤーを個別に識別するための情報であり、不図示のテーブル等によって該当するプレイヤーの氏名等の情報と関連づけられている。
打者スコア情報は、上述したスコア情報における打者のアクション、野手のアクション、カウントの確定、既に出塁している走者がいる場合はその走者の進塁状況、その他、打者や野手のその他の行動などのスコア情報に該当する。その他の行動などのスコア情報とは、通常のスコアとは分けて記録した方がよいイレギュラーなイベント、つまり、打者妨害、守備妨害、振り逃げ、ボークなどを示す。
走者スコア情報は、上述したスコア情報における進塁結果のスコア情報に該当する。この走者スコア情報は、打者の打席レコード内にたとえば各塁の走者ごとにスコアに登録される。また、走者スコア情報には、各塁の走者が誰であるかを特定するための個別IDも含まれている。つまり、打席レコードには、当該打者以外の走者のスコアが記録されている。
図11は、図10に示すスコアブックのデータの打席レコードを基に作成されて表示部124に表示されるスコアブック(GUI画像)の一例を示す図である。ここで、図11における打順が“5”である打者のスコア欄を例に、映像を再生する操作者が選択可能な項目について説明する。図12は、図11における打順が“5”である打者のスコア欄を拡大した図である。図12に示すスコア欄には、投球結果1601〜1603と、打撃結果1604と、打球方向(または捕球野手)1605とが、打席レコード番号“A005”の打者スコア情報を基に表示される。さらに、打席レコード番号“A011”の走者スコア情報を基にした1塁から2塁への進塁情報1606と、打席レコード番号“A012”の走者スコア情報を基にした2塁から3塁への進塁情報1607と、打席レコード番号“A018”の走者スコア情報を基にした3塁からホームへの進塁情報1608と、同じく打席レコード番号“A018”の走者スコア情報を基にしたその他のスコア情報1609とが、表示される。このようにして、打順が“5”である打者の1打席分のスコア情報が他の打者に関する打席レコードの記録を基にして表示される。投球結果1601〜1603では、ストライクやボールやファウルなどの情報が時系列に沿って黒丸や白丸などの記号で示されている。打撃結果1604では、1塁ヒット、2塁ヒット、3塁ヒット、ホームラン等の打撃結果が斜線によって示されている。打球方向1605では、打球の方向が捕球した野手やその守備位置などによって示されている。その他のスコア情報1609では、当該打順5の打者がホームに生還したという情報や当該打者がアウトになったという情報などが示されている。図12の場合は、当該打順が“5”の打者がホームに生還したという情報を意味する。
進塁情報1606〜1608では、当該打順5の打者がどの打順の打者によって各塁へ進塁したかを示す情報が括弧書きで示されている。なお、図12に示す例では、括弧内の数字が進塁の要因となった打者の打順を示している。これらの進塁情報1606〜1608を生成するためのスコア情報は、図10に示す打順が“5”のスコアから特定されるスコア情報ではなく、進塁の要因となった括弧内の数字の打者の打席レコードに記録されている走者情報から特定されるスコア情報である。すなわち、表示部124に表示されるスコアブックの各スコア欄における進塁情報1606〜1608は、該当の打順のスコアのみならず、該当の打順以降で再び同じ打順が現れるよりも前までの他の打者の打席レコードを参照して作成される。具体的には、該当打順5以降で再び打順5が現れるよりも前までの他の打者の打席レコードの走者スコア情報から、当該打順5の打者の個人IDと同じ個人IDを持つ走者スコア情報をすべて特定し、この特定した走者スコア情報を用いて打順5の打者のスコア欄が作成される。
また、図12で説明したこれらのスコア情報(1601〜1609)は、操作者が映像を再生するために選択可能な項目である。したがって、スコア情報(1601〜1609)のいずれかが選択された際には、そのスコア情報が含まれるスコアに対応づけられたタグIDから仮タグ時刻情報を特定して、該当のシーンの投球シーンから再生が開始される。たとえば、スコア情報1606が選択された場合は、当該スコア情報が含まれる打席レコード“A011”のスコアに対応付けられたタグID“TAG0021”で特定されるシーンの投球シーンから再生が開始される。ただし、各スコア欄、たとえばスコア欄の外枠内部であってスコア情報(1601〜1609)が表示された部分以外の領域が選択された場合には、その選択されたスコア欄が該当する打席の先頭のシーンから再生が開始されてよい。
図13は、図7に示した映像データ再生画面の変形例を示す図である。図13に示すように、再生画面には、図7で例示した表示内容とは別に、現在どのシーンを再生しているかを示す情報1701や、現在再生中の打席(またはシーン)をループして再生するか否かを選択するためのループ再生ボタン1702等が表示されてもよい。ループ再生ボタン1702が操作者によって選択状態にされている場合は、映像データ再生表示部151には該当の打席(またはシーン)がループして再生される。
現在どのシーンを再生しているかを示す情報1701は、たとえば打席情報152に表示されたスコア1501〜1504のうちのどのシーンを現在、映像データ再生表示部151で再生しているかを示す情報を、三角形等のマークで示している。したがって、映像データ再生表示部151で再生しているシーンが次のシーンに切り替わった際には、現在どのシーンを再生しているかを示す情報1701が指し示すスコアも次のスコア情報に切り替わる。なお、現在どのシーンを再生しているかを示す情報1701の他に、表示部124に表示されているスコアブックにおいて該当するスコア情報(1601〜1609)についても、強調表示などの手法によって、現在どのシーンが再生されているかを操作者に明示してもよい。
つぎに、スコアブックを用いて目的の打席を頭出し再生する際の動作を、図面を用いて詳細に説明する。図14は、実施形態にかかる再生動作の一例を示すフローチャートである。なお、映像の頭出し再生は、スコアブック作成装置120や撮像装置110、その他のパーソナルコンピュータ等、種々の情報処理装置で実行されてよい。ただし、再生を実行する装置は、映像データと仮タグファイルとスコアブックとを記憶した1以上の記憶領域にアクセス可能であるように構成されているものとする。この構成には、ネットワーク上のファイルシステムやサーバ・クライアント型の情報処理システムやクラウドコンピューティングなどが含まれ得る。以下の説明では、スコアブック作成装置120が映像データと仮タグファイルとスコアブックとを保持しており、スコアブック作成装置120で映像を再生する場合を例に挙げる。
図14に示すように、頭出し再生動作では、スコアブック処理部127は、記憶部122に記憶されたスコアブックを読み出し(ステップS101)、読み出したスコアブックを用いてGUI画像生成部129が生成したスコアブックのGUI画像を表示部124に表示する(ステップS102)。つぎに、スコアブック処理部127は、操作者が表示されたスコアブックに対してスコア(またはスコア情報)を選択するまで待機し(ステップS103;NO)、入力部125を用いてスコアの選択が入力されると(ステップS103;YES)、選択されたスコアに該当するスコアを記憶部122内のスコアブックから特定する(ステップS104)。
つぎにスコアブック処理部127は、特定したスコアを含む打席に該当する全てのスコア(すなわち、特定したスコアを含む打席レコードに記録されているイニングと打順に該当する打席レコード番号が隣接する打席レコードから得られる全てのスコア)を読み出して(ステップS105)、読み出した全スコアを用いて図13に例示するような映像データ再生画面150を生成し(ステップS106)、生成した映像データ再生画面150を表示部124に表示する(ステップS107)。ただし、ステップS107では、映像データ再生表示部151には未だ映像が再生されていない。また、ステップS105において特定されるスコアは、選択されたスコアを含む打席に該当する全てのスコアに限られず、たとえば選択されたスコアを含む打席に該当するスコアのうち、選択されたスコア以降の全スコア等であってもよい。
つぎにスコアブック処理部127は、ステップS105で読み出した全スコアにおける先頭のスコアのタグIDを用いて仮タグファイルより仮タグ時刻情報を特定する(ステップS108)。つぎにスコアブック処理部127は、特定した仮タグ時刻情報に基づいて該当するシーン(選択されたスコアを含む打席の先頭シーンまたは選択されたスコアに対応するシーン)の頭出しをするように映像再生部123に指示し(ステップS109)、頭出しされたシーンからの映像を表示部124の映像データ再生画面150における映像データ再生表示部151に再生する(ステップS110)。
つぎにスコアブック処理部127は、該当の打席の再生が終了するまでに(ステップS113;YES)、表示部124に表示されたスコアブックに対するスコアの選択が入力されたか否か(ステップS111)と、映像再生の割り込み終了を受け付けたか否か(ステップS112)とを判断する。スコアブックに対するスコアの選択が入力された場合(ステップS111;YES)、スコアブック処理部127は、ステップS104へリターンし、選択されたスコアに該当するスコアを記憶部122内のスコアブックから特定して(ステップS104)、以降の動作を実行する。また、映像再生の割り込み終了を受け付けた場合(ステップS112;YES)、スコアブック処理部127は、表示部124に表示されている映像データ再生画面150を閉じて本動作を終了する。
スコアブックに対するスコアの選択が入力されず(ステップS111;NO)、また、映像再生の割り込み終了も受け付けず(ステップS112;NO)に、該当の打席の再生が終了した場合(ステップS113;YES)、スコアブック処理部127は、映像データ再生画面150のたとえば打席情報152におけるループ再生ボタン1702が選択状態であるか否かを判断し(ステップS114)、選択状態である場合(ステップS114;YES)、ステップS110へリターンして頭出しされたシーンからの再生を再度実行し、以降の動作を繰り返す。一方、ループ再生ボタン1702が選択状態でなかった場合(ステップS114;NO)、スコアブック処理部127は、映像データの末尾まで再生が終了したか否かを判断し(ステップS115)、映像データの末尾まで再生が完了していない場合(ステップS115;NO)、今回再生した打席に対応するスコアのうちの最後のスコアの次にスコアブックに登録されているスコアを特定する(ステップS116)。つづいてスコアブック処理部127は、ステップS105へリターンし、以降の動作を実行することで、次の打席のシーンを再生する。一方、映像データの末尾まで再生が完了した場合(ステップS115;YES)、スコアブック処理部127は、表示部124に表示されている映像データ再生画面150を閉じて本動作を終了する。
以上のように、上述した実施形態によれば、スコアブックにおける各打席のスコアと、そのスコアに関連する打席の映像データとをリンクさせることが可能となるため、スコアブックから所望の映像を容易に確認することが可能となる。その結果、野手の連携状況や走者の進塁状況など、各打席の詳細な情報を容易に得ることが可能となる。
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、本発明の実施形態において、打席レコードはスコアが確定されるごとに生成されたが、打順ごとにまとめて同じ打席レコードを付与し、1つの打席レコードに複数のスコアが含まれるようにしてもよい。これによって、打席ごとのスコアの抽出が容易になる。
本発明の実施形態として野球を例にして説明したが、本発明は、同様の試合進行をするソフトボール、キックベース、ティーボール、などにも適用できる。ここで、投手が存在しないティーボールでは、バッティングティーに置かれたボールが打者によって打たれた瞬間を検知して仮タグを打つことで本発明を実施できる。