以下、パチンコ遊技機に具体化した第1実施形態を図1〜図12にしたがって説明する。以下の説明において、上、下、左、右、前(表)、及び後(裏)は、遊技者から見たときの各方向を示すものとする。
図1及び図2に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、遊技盤11を備えている。遊技盤11は、その前面側(表側)に遊技球が流下する遊技領域12を備えている。パチンコ遊技機10は、遊技盤11の遊技領域12へ遊技球を発射させるときに操作される発射ハンドル13を備えている。パチンコ遊技機10は、装飾ランプ16を備えている。装飾ランプ16は、演出の1つとして、図示しない発光体を発光、点滅、及び消灯する演出(以下、発光演出と示す)を実行する。装飾ランプ16は、パチンコ遊技機10を構成する枠(例えば前枠)や遊技盤11に配置されている。パチンコ遊技機10は、スピーカ17を備えている。スピーカ17は、演出の1つとして、人や動物の声、効果音、及び楽曲などの音声を出力する演出(以下、音声演出と示す)を実行する。
また、パチンコ遊技機10は、情報表示装置22を備えている。情報表示装置22は、パチンコ遊技機10の制御状態を示す各種の情報を表示する。この実施形態において情報表示装置22は、遊技盤11の遊技領域12における左下方に配置されている。そして、この実施形態のパチンコ遊技機10において、情報表示装置22は、図5に示す、第1特別図柄表示部22a、第2特別図柄表示部22b、第1特別保留表示部22c、第2特別保留表示部22d、普通図柄表示部22e、及び普通保留表示部22fを備えている。
第1特別図柄表示部22aは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に第1特別図柄を確定停止表示させる変動ゲームとしての第1特別図柄変動ゲームを表示する。以下の説明では、「第1特別図柄変動ゲーム」を「第1特別ゲーム」と示す場合がある。また、第2特別図柄表示部22bは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に第2特別図柄を確定停止表示させる変動ゲームとしての第2特別図柄変動ゲームを表示する。以下の説明では、「第2特別図柄変動ゲーム」を「第2特別ゲーム」と示す場合がある。
なお、以下の説明では、第1特別図柄変動ゲームと第2特別図柄変動ゲームとを区別しない場合、これらを纏めて「特別ゲーム」と示す場合がある。第1特別図柄及び第2特別図柄は、パチンコ遊技機10において内部的に実行される抽選(後述する大当り抽選)の結果を報知するための図柄である。
本明細書において「変動表示」とは、表示されている図柄の種類が時間の経過とともに変化している状態を意味している。本明細書において「確定停止表示」とは、図柄が確定的に停止表示されており、表示されている図柄の種類が変化しない状態を意味している。図柄について、「確定停止表示」と「導出」とは同じ意味である。第1特別ゲーム及び第2特別ゲームにおいて導出可能な特別図柄には、それぞれ大当り表示結果としての大当り図柄と、はずれ表示結果としてのはずれ図柄とがある。
本実施形態において、第1特別ゲーム及び第2特別ゲームは、同時に実行されない。本実施形態において、第2特別ゲームは、第1特別ゲームに優先して実行される。本実施形態では、大当り抽選に当選した場合、特別ゲームにおいて大当り図柄が導出され、該特別ゲームの終了後、大当り遊技が付与される。詳しくは後述するが、大当り遊技は、遊技者が多数の賞球を獲得し得るため、遊技者にとって極めて有利な状態である。
第1特別保留表示部22cは、保留条件が成立したが未だ実行条件が成立していないことで、その実行が保留されている第1特別ゲームの回数を認識可能な情報を表示する。以下の説明では、保留中の第1特別ゲームの回数を「第1特別保留数」と示す。また、第2特別保留表示部22dは、保留条件が成立したが未だ実行条件が成立していないことで、その実行が保留されている第2特別ゲームの回数を認識可能な情報を表示する。以下の説明では、保留中の第2特別ゲームの回数を「第2特別保留数」と示す。例えば、第1特別保留数及び第2特別保留数の最大数はそれぞれ「4」であり、この場合には最大4回の第1特別ゲームを保留可能であるとともに、最大4回の第2特別ゲームを保留可能である。
普通図柄表示部22eは、所定の図柄を変動表示させ、最終的に普通図柄を確定停止表示させる普通図柄変動ゲームを表示する。以下の説明では、普通図柄変動ゲームを「普通ゲーム」と示す。普通図柄表示部22eに導出可能な普通図柄には、普通当り図柄と、普通はずれ図柄とがある。本実施形態では、普通図柄の当り抽選に当選すると、普通ゲームにおいて普通当り図柄が導出され、該普通ゲームの終了後、普通当り遊技が付与される。詳しくは後述するが、普通当り遊技は、遊技者が第2特別ゲームの保留条件を成立させ易くなることから、遊技者にとって有利な状態である。
普通保留表示部22fは、保留条件が成立したが未だ実行条件が成立していないことで、その実行が保留されている普通ゲームの回数を認識可能な情報を表示する。以下の説明では、保留中の普通ゲームの回数を「普通保留数」と示す。例えば、普通保留数の最大数は「4」であり、この場合には最大4回の普通ゲームを保留可能である。
また、図1に示すように、パチンコ遊技機10は、操作手段である操作ボタン18を備えている。本実施形態において操作ボタン18は、パチンコ遊技機10の前面側(表側)に配置されている。より具体的に言えば、遊技盤11の遊技領域12へ発射される遊技球を主に貯留する貯留皿(上皿)19の上面に配置されている。操作ボタン18は、押しボタン式である。
次に、図2にしたがって遊技盤11の構成を詳しく説明する。
遊技盤11において遊技領域12は、正面視ほぼ円形状に画成されている。遊技盤11は、発射ハンドル13の操作によって発射された遊技球を、遊技領域12へ案内する案内通路23を備えている。案内通路23は、遊技領域12の左方に位置している。また、遊技盤11は、遊技領域12へ打ち出された遊技球が案内通路23へ逆戻りすることを防止する逆戻り防止弁24を備えている。発射ハンドル13の操作によって発射された遊技球は、遊技盤11を正面視したときの左側に位置する案内通路23で案内され、遊技球の通過方向における案内通路23の最下流に位置する逆戻り防止弁24を通過して遊技領域12に到達する。遊技領域12に到達した遊技球は、遊技領域12を流下する。
パチンコ遊技機10は、遊技盤11の遊技領域12のほぼ中央に画像表示部GHを有する演出表示装置25を備えている。演出表示装置25の画像表示部GHは、例えば液晶ディスプレイ型の表示部である。演出表示装置25は、演出の1つとして、所定のキャラクタや文字を模した画像(絵柄)を表示する演出(以下、表示演出と示す)を実行する。
パチンコ遊技機10は、演出表示装置25の下方に、遊技領域12に開口している第1始動口26を備えている。第1始動口26は、常時、遊技球を入球させることができるように開口されている。パチンコ遊技機10は、第1始動口26に入球した遊技球を検知する第1始動センサSE1を備えている(図5に示す)。例えば、第1始動センサSE1は、第1始動口26に入球した遊技球を遊技盤11の裏側へ導く図示しない通路に設けられている。本実施形態では、遊技球が第1始動センサSE1で検知されると、第1特別ゲームの保留条件が成立し得るとともに、賞球の払出条件が成立する。
パチンコ遊技機10は、演出表示装置25の下方であって第1始動口26の右方に、遊技領域12に開口している第2始動口27を備えている。パチンコ遊技機10は、第2始動口27に入球した遊技球を検知する第2始動センサSE2を備えている(図5に示す)。例えば、第2始動センサSE2は、第2始動口27に入球した遊技球を遊技盤11の裏側へ導く図示しない通路に設けられている。本実施形態では、遊技球が第2始動センサSE2で検知されると、第2特別ゲームの保留条件が成立し得るとともに、賞球の払出条件が成立する。
パチンコ遊技機10は、第2始動口27を開閉する第1可変部材28を備えている。第1可変部材28は、遊技球を第2始動口27へ入球させ易い、又は入球させることができる開状態と、遊技球を第2始動口27へ入球させ難い、又は入球させることができない閉状態と、に動作可能である。パチンコ遊技機10は、第1可変部材28を開状態と閉状態とに動作させる第1アクチュエータA1を備えている(図5に示す)。第1可変部材28は、普通当り遊技において、開状態に動作される。
パチンコ遊技機10は、第2始動口27の上方に、遊技領域12に開口している大入賞口29を備えている。パチンコ遊技機10は、大入賞口29に入球した遊技球を検知するカウントセンサSE3を備えている(図5に示す)。例えば、カウントセンサSE3は、大入賞口29に入球した遊技球を遊技盤11の裏側へ導く図示しない通路に設けられている。本実施形態では、遊技球がカウントセンサSE3で検知されると、賞球の払出条件が成立する。
パチンコ遊技機10は、大入賞口29を開閉する第2可変部材30を備えている。第2可変部材30は、所謂大入賞口扉である。第2可変部材30は、遊技球を大入賞口29へ入球させ易い、又は入球させることができる開状態と、遊技球が大入賞口29へ入球させ難い、又は入球させることができない閉状態と、に動作可能である。パチンコ遊技機10は、第2可変部材30を開状態と閉状態とに動作させる第2アクチュエータA2を備えている(図5に示す)。第2可変部材30は、大当り遊技において、開状態に動作される。
パチンコ遊技機10は、大入賞口29の上方に、遊技球が通過(入球)可能なゲート31を備えている。パチンコ遊技機10は、ゲート31を通過する遊技球を検知するゲートセンサSE4を備えている(図5に示す)。本実施形態では、遊技球がゲートセンサSE4で検知されると、普通ゲームの保留条件が成立し得る。
本実施形態のパチンコ遊技機10は、入賞口として、第1始動口26、第2始動口27及び大入賞口29を備えている。なお、パチンコ遊技機10は、第1始動口26、第2始動口27及び大入賞口29とは異なる入賞口を備えていてもよい。「入賞」は、遊技球が入賞口に入球することである。また、パチンコ遊技機10は、釘や風車など、遊技領域12を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための部材を備えている。
パチンコ遊技機10は、アウト口32を備えている。例えば、アウト口32は、遊技領域12の最下流部において、遊技領域12に開口している。本実施形態では、遊技領域12に発射された遊技球のうち、何れの入賞口にも入球しなかった遊技球は、アウト口32から機外へと排出される。なお、パチンコ遊技機10は、複数のアウト口を備えていてもよい。
本実施形態のパチンコ遊技機10において、遊技者は、発射ハンドル13の発射強度の強弱を調整することで、左方の領域及び右方の領域に遊技球を打ち分け、第1始動口26、第2始動口27、大入賞口29、又はゲート31へ遊技球を入球させることが可能となる。具体的には、発射強度を強めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、右打ち)、遊技球は、右方の領域に流下案内され易く、第2始動口27、大入賞口29、又はゲート31へ入球する可能性がある。なお、右打ちは、遊技球を右方の領域へ到達させるために勢いよく発射させる必要があることから、発射強度を最大強度若しくは最大強度よりも若干弱い強度で調整して行う。
一方、発射強度を弱めに調整して遊技球を発射させた場合(所謂、左打ち)、遊技球は、左方の領域に流下案内され易く、第1始動口26へ入球する可能性がある。また、左打ちは、右打ちのときほど遊技球を勢いよく発射させる必要がないので、発射させた遊技球が右方の領域へ到達しない程度の強度に調整して行う。なお、本実施形態の遊技盤11では、右打ちを行った場合、第1始動口26に遊技球が入球し得ないよう、遊技釘などの遊技構成部材によって遊技球の流路が形成されている。なお、遊技構成部材は、右打ちを行ったときには第1始動口26への入球を規制するように配置されていてもよいし、左打ちを行ったときに比べて第1始動口26へ入球し難い(入球する確率を極めて低くする)ように配置されていてもよい。
本実施形態において「左方の領域」とは、遊技盤11を正面視したときに遊技領域12を左右に二等分する中心線Cよりも左側に位置する領域である。また、本実施形態において「右方の領域」とは、遊技盤11を正面視したときに前記中心線Cよりも右側に位置する領域である。パチンコ遊技機10において発射ハンドル13の操作によって発射された遊技球は、遊技盤11を正面視したときの左側に位置する案内通路23で案内され、その案内通路23の最下流に位置する逆戻り防止弁24を通過して遊技領域12に到達される。このため、「左方の領域」とは案内通路23寄りの領域でもあり、その逆に「右方の領域」とは案内通路23から離れた領域でもある。そして、左方の領域を流下する遊技球は、遊技領域12に位置する演出表示装置25(画像表示部GH)の左側をとおり、遊技領域12の最下方に位置するアウト口32へ向かう。左方の領域には、アウト口32へ至る領域内に遊技球が流下する複数の経路が想定される。また、右方の領域を流下する遊技球は、遊技領域12に位置する演出表示装置25(画像表示部GH)の右側をとおり、前記アウト口32へ向かう。右方の領域には、アウト口32へ至る領域内に遊技球が流下する複数の経路が想定される。
次に、パチンコ遊技機10の遊技状態について説明する。
パチンコ遊技機10は、内部抽選(大当り抽選)において大当りに当選する確率(以下、「大当り確率」と示す)が異なる遊技状態として、特別図柄に関する複数の確率状態を備えている。特別図柄に関する複数の確率状態には、低確率状態と、当該低確率状態に比して、大当り確率が高い高確率状態と、がある。高確率状態は、大当り抽選に当選する可能性が低確率状態に比して高まることから、遊技者にとって有利な遊技状態となる。高確率状態は、所謂「確率変動状態(確変状態)」である。
パチンコ遊技機10は、ベース(遊技球の発射数に対する賞球数の割合)が異なる遊技状態として、複数のベース状態を備えている。複数のベース状態には、低ベース状態と、当該低ベース状態に比して、ベースが高い高ベース状態と、がある。本実施形態において、高ベース状態は、低ベース状態に比して、遊技球が第2始動口27へ入球する確率が高まる「入球率向上状態」であって、第2始動口27への遊技球の入球が容易になる「入球容易状態」である。即ち、高ベース状態は、所謂「電サポ状態」である。一方、低ベース状態は、非電サポ状態である。
例えば、高ベース状態は、次に説明する3つの制御のうち任意に選択された1つの制御を実行することにより、又は複数の制御を組み合わせて実行することによって実現できる。1つめの制御は、普通ゲームの変動時間を、低ベース状態のときよりも短くする普通図柄の変動時間短縮制御である。2つめの制御は、普通図柄の当り抽選に当選する確率(普通当り確率)を、低ベース状態のときよりも高確率に変動させる普通図柄の確率変動制御である。
3つめの制御は、1回の普通当り遊技における第1可変部材28の合計開放時間を、低ベース状態のときよりも長くする開放時間延長制御である。なお、開放時間延長制御としては、1回の普通当り遊技における第1可変部材28の開放回数を、低ベース状態のときよりも多くする制御、及び普通当り遊技における第1可変部材28の1回の開放時間を、低ベース状態のときよりも長くする制御のうち、少なくとも一方の制御を行うとよい。
また、高ベース状態は、次に説明する4つめの制御を組み合わせて実現してもよい。4つめの制御は、特別ゲームの平均変動時間を、低ベース状態のときよりも短くする特別図柄の変動時間短縮制御である。特別図柄の変動時間短縮制御を実行する場合、高ベース状態は、所謂「変動時間短縮状態」となる。ここで、特別ゲームの平均変動時間は、予め定めた回数の特別ゲームが実行されたと仮定したときに、予め定めた回数の特別ゲームにおける変動時間の積算時間を、上記予め定めた回数で除算して求めることができる。
次に、パチンコ遊技機10における大当りについて説明する。
図3に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10は、特別図柄の大当り図柄として、複数種類の大当り図柄を備えている。複数種類の大当り図柄は、大当り図柄Zaと大当り図柄Zbと大当り図柄Zcとに分類されている。複数種類の大当り図柄には、それぞれ大当りの種類が定められている。
大当り遊技では、最初に、予め定めたオープニング時間にわたって、大当り遊技の開始を報知するオープニング演出が行われる。大当り遊技では、オープニング時間の経過後に、大入賞口29を開放するラウンド遊技が行われる。ラウンド遊技は、予め定めた上限回数を上限として行われる。1回のラウンド遊技は、予め定めた上限個数の遊技球が入球する第1終了条件、又は予め定めた上限時間が経過する第2終了条件が成立することによって終了される。ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。そして、大当り遊技では、最終回のラウンド遊技が終了すると、予め定めたエンディング時間にわたって、大当り遊技の終了を報知するエンディング演出が行われる。大当り遊技は、エンディング時間の経過に伴って終了される。
大当り図柄Za,Zcには、ラウンド遊技の上限回数として10回が定められている。大当り図柄Zbには、ラウンド遊技の上限回数として4回が定められている。大当り図柄Za,Zbには、大当り遊技終了後の遊技状態として、高確率状態と、高ベース状態と、が定められている。大当り図柄Za,Zbに基づく大当り遊技終了後には、次回の大当り遊技が付与される迄の間、高確率状態と、高ベース状態と、が付与される。大当り図柄Zcには、大当り遊技終了後の遊技状態として、低確率状態と、高ベース状態と、が定められている。大当り図柄Zcに基づく大当り遊技終了後には、低確率状態が付与されるとともに、予め定められた上限回数(例えば100回)の特別ゲームが終了される迄の間、又は上限回数の特別ゲームが終了される前に大当り遊技が付与される迄の間、高ベース状態が付与される。なお、第1特別図柄と第2特別図柄とを用いるパチンコ遊技機10の場合、上限回数は第1特別ゲームと第2特別ゲームとの合算回数である。
本実施形態では、ラウンド遊技の上限回数が多いか少ないかの観点によれば、大当り遊技のラウンド回数を「4回」とした大当り図柄Zbに比して、大当り遊技のラウンド回数を「10回」とした大当り図柄Za,Zcの方が有利である。また、高確率状態が付与されるかの観点によれば、大当り遊技終了後の遊技状態が低確率状態となる大当り図柄Zcに比して、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となる大当り図柄Za,Zbの方が有利である。以上のことから、本実施形態のパチンコ遊技機10における大当り図柄Zaは、最も多くの賞球を獲得できるチャンスが与えられることから、複数種類の大当り図柄の中で最も有利な大当り図柄である。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機10では、図3に示すように、大当り図柄Za〜Zcについて第1特別図柄の大当り図柄として選択される選択率と第2特別図柄の大当り図柄として選択される選択率をそれぞれ定めている。具体的に言えば、大当り図柄Za〜Zcが第1特別図柄として選択される選択率は、大当り図柄Zaが「10%」、大当り図柄Zbが「40%」、大当り図柄Zcが「50%」にそれぞれ設定されている。また、大当り図柄Za〜Zcが第2特別図柄として選択される選択率は、大当り図柄Zaが「45%」、大当り図柄Zbが「5%」、大当り図柄Zcが「50%」にそれぞれ設定されている。そして、パチンコ遊技機10は、第1特別図柄を対象とする大当り抽選と第2特別図柄を対象とする大当り抽選は同一確率で行われるとともに、大当り抽選に当選したときに大当り遊技終了後を高確率状態とするかは同一確率で抽選される。このため、図3に示す大当り図柄の振分けによれば、大当り抽選に当選した場合には第1特別図柄に比して第2特別図柄の方が大当り図柄Zaに当選する割合が高く、第1特別ゲームよりも第2特別ゲームのほうが遊技者に有利である。
次に、本実施形態のパチンコ遊技機10において実行可能な演出の一例について説明する。
本実施形態において実行可能な演出には、演出表示装置25において演出図柄を複数列で変動表示させるとともに、最終的に演出図柄の組み合わせを導出させる変動ゲームとしての演出図柄変動ゲームがある。以下の説明では、演出図柄変動ゲームを「演出ゲーム」と示す。演出図柄は、キャラクタや模様等の装飾が施された図柄(飾り図柄)であって、表示演出を多様化させるためのものである。本実施形態において、演出ゲームは、第1列、第2列、及び第3列の図柄列をそれぞれ所定の方向に変動表示(スクロール表示)させて行われる。
演出ゲームは、特別ゲームの開始に伴って開始され、特別ゲームの終了に伴って終了される。そして、演出ゲームでは、特別ゲームにて導出された特別図柄に応じた演出図柄の組み合わせが導出される。特別ゲームで大当り図柄が導出される場合には、演出ゲームでも、演出図柄による大当りの図柄組み合わせが導出される。例えば、演出図柄による大当りの図柄組み合わせは、全列の演出図柄が同一となる図柄組み合わせである。また、特別ゲームではずれ図柄が導出される場合には、演出ゲームでも、演出図柄によるはずれの図柄組み合わせが導出される。例えば、演出図柄によるはずれの図柄組み合わせは、少なくとも一部列の演出図柄が他列の演出図柄とは異なる図柄組み合わせである。
次に、パチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。
図5に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技盤11の裏側(後方)に主基板40を備えている。主基板40は、各種の処理を行い、該処理の結果に応じて制御信号(制御コマンド)を出力する。また、パチンコ遊技機10は、遊技盤11の裏側(後方)に副基板41を備えている。副基板41は、主基板40から入力した制御信号に基づいて所定の処理を実行する。
まず、主基板40について説明する。
主基板40は、主制御CPU40aと、主制御ROM40bと、主制御RAM40cと、を備えている。主制御CPU40aは、主制御プログラムを実行することにより、各種の処理を行う。
主制御ROM40bは、主制御プログラムや、所定の抽選に用いられる判定値などを記憶している。また、主制御ROM40bは、複数種類の変動パターンを記憶している。変動パターンは、特別ゲームが開始されてから、特別ゲームが終了される迄の変動時間を特定可能な情報である。変動パターンには、大当り抽選に当選した場合に決定される大当り変動パターンと、大当り抽選に当選しなかった場合に決定されるはずれ変動パターンとがある。
主制御RAM40cは、パチンコ遊技機10の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶可能に構成されている。主制御RAM40cが記憶する情報は、例えばフラグ、カウンタ、及びタイマなどである。また、主基板40は、乱数を生成可能に構成されている。例えば、乱数は、ハードウェア乱数として生成されてもよく、ソフトウェア乱数として生成されてもよい。
主制御CPU40aと、各センサSE1〜SE4とは、接続されている。主制御CPU40aは、各センサSE1〜SE4が遊技球を検知した際に出力する検知信号を入力可能に構成されている。主制御CPU40aと、第1特別図柄表示部22a、第2特別図柄表示部22b、第1特別保留表示部22c、第2特別保留表示部22d、普通図柄表示部22e及び普通保留表示部22fとは、接続されている。主制御CPU40aは、第1特別図柄表示部22a、第2特別図柄表示部22b、第1特別保留表示部22c、第2特別保留表示部22d、普通図柄表示部22e及び普通保留表示部22fの各表示内容を制御可能に構成されている。主制御CPU40aと、第1アクチュエータA1及び第2アクチュエータA2とは、接続されている。主制御CPU40aは、第1アクチュエータA1及び第2アクチュエータA2の動作を制御可能に構成されている。
次に、副基板41について説明する。
副基板41と、主基板40とは、接続されている。パチンコ遊技機10では、主基板40から副基板41への一方向に制御信号を出力可能に構成されている。
副基板41は、副制御CPU41aと、副制御ROM41bと、副制御RAM41cと、を備えている。副制御CPU41aは、副制御プログラムを実行することにより、各種の処理(例えば、演出に関する処理)を行う。副制御ROM41bは、副制御プログラムや、抽選に用いられる判定値などを記憶している。副制御ROM41bは、表示演出に関する表示演出データ、発光演出に関する発光演出データ、及び音声演出に関する音声演出データを記憶している。
また、副制御RAM41cは、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる様々な情報を記憶可能に構成されている。副制御RAM41cが記憶する情報は、例えばフラグ、カウンタ、及びタイマなどである。また、副基板41は、乱数を生成可能に構成されている。例えば、乱数は、ハードウェア乱数として生成されてもよく、ソフトウェア乱数として生成されてもよい。
副制御CPU41aと、演出表示装置25とは、接続されている。副制御CPU41aは、演出表示装置25の表示態様を制御可能に構成されている。副制御CPU41aと、装飾ランプ16とは、接続されている。副制御CPU41aは、装飾ランプ16の発光態様を制御可能に構成されている。副制御CPU41aと、スピーカ17とは、接続されている。副制御CPU41aは、スピーカ17の出力態様を制御可能に構成されている。また、副制御CPU41aと、操作ボタン18とは、接続されている。副制御CPU41aは、操作ボタン18の操作信号を入力可能に構成されている。
次に、パチンコ遊技機10において行われる各種の処理について説明する。
最初に、主制御CPU40aが主制御プログラムに基づいて行う各種の処理について説明する。なお、主制御CPU40aは、以下に説明する各種の処理を所定の周期毎(例えば4m秒毎)に割り込み処理として行う。
図6に示す特別図柄入力処理において、主制御CPU40aは、第1始動センサSE1から検知信号が入力されたか否かに基づいて、遊技球が第1始動口26に入球したか否かを判定する(ステップS101)。主制御CPU40aは、遊技球が第1始動口26に入球していない場合(ステップS101:NO)、ステップS105の処理へ移行する。一方、主制御CPU40aは、遊技球が第1始動口26に入球している場合(ステップS101:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第1特別保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(ステップS102)。
主制御CPU40aは、第1特別保留数が上限数未満ではない場合(ステップS102:NO)、ステップS105の処理へ移行する。一方、主制御CPU40aは、第1特別保留数が上限数未満である場合(ステップS102:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第1特別保留数を1加算して更新する(ステップS103)。主制御CPU40aは、ステップS103の処理において、更新後の第1特別保留数を表示するように、第1特別保留表示部22cを制御する。
次に、主制御CPU40aは、主基板40内で生成している乱数を取得し、取得した乱数に基づく乱数情報を主制御RAM40cに記憶させる(ステップS104)。ここで、乱数には、例えば、大当り抽選に用いる乱数、大当り図柄の決定に用いる乱数、変動パターンの決定に用いる乱数が含まれる。主制御CPU40aは、ステップS104の処理において、第1特別ゲーム用の乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序が特定可能となるように記憶させる。本実施形態では、第1特別ゲーム用の乱数情報を主制御RAM40cに記憶させておくことで、第1特別ゲームの実行条件が成立するまで、その実行を保留する。なお、乱数情報は、取得した乱数そのものであってもよく、乱数を所定の手法により加工した情報であってもよい。主制御CPU40aは、ステップS104の処理が終了すると、ステップS105の処理へ移行する。
続いて、主制御CPU40aは、ステップS105の処理において、第2始動センサSE2から検知信号が入力されたか否かに基づいて、遊技球が第2始動口27に入球したか否かを判定する。主制御CPU40aは、遊技球が第2始動口27に入球していない場合(S105:NO)、特別図柄入力処理を終了する。一方、主制御CPU40aは、遊技球が第2始動口27に入球している場合(S105:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第2特別保留数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(ステップS106)。
主制御CPU40aは、第2特別保留数が上限数未満ではない場合(ステップS106:NO)、特別図柄入力処理を終了する。一方、主制御CPU40aは、第2特別保留数が上限数未満である場合(ステップS106:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第2特別保留数を1加算して更新する(ステップS107)。主制御CPU40aは、ステップS107の処理において、更新後の第2特別保留数を表示するように、第2特別保留表示部22dを制御する。
そして、主制御CPU40aは、主基板40内で生成している乱数を取得し、取得した乱数に基づく乱数情報を主制御RAM40cに記憶させる(ステップS108)。ここで、乱数には、例えば、大当り抽選に用いる乱数、大当り図柄の決定に用いる乱数、変動パターンの決定に用いる乱数が含まれる。主制御CPU40aは、ステップS108の処理において、第2特別ゲーム用の乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序が特定可能となるように記憶させる。本実施形態では、第2特別ゲーム用の乱数情報を主制御RAM40cに記憶させておくことで、第2特別ゲームの実行条件が成立するまで、その実行を保留する。主制御CPU40aは、ステップS108の処理が終了した場合、特別図柄入力処理を終了する。
次に、図7に示す特別図柄開始処理について説明する。
特別図柄開始処理において主制御CPU40aは、特別ゲームの実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS201)。主制御CPU40aは、ステップS201の処理において、大当り遊技中ではなく、且つ特別ゲーム中ではない場合に肯定判定とする一方、大当り遊技中、又は特別ゲーム中である場合に否定判定とする。主制御CPU40aは、特別ゲームの実行条件が成立していない場合(ステップS201:NO)、特別図柄開始処理を終了する。一方、主制御CPU40aは、特別ゲームの実行条件が成立している場合(ステップS202:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第2特別保留数が1以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
主制御CPU40aは、第2特別保留数が1以上ではない場合(ステップS202:NO)、主制御RAM40cに記憶されている第1特別保留数が1以上であるか否かを判定する(ステップS203)。主制御CPU40aは、第1特別保留数が1以上ではない場合(ステップS203:NO)、特別図柄開始処理を終了する。
また、主制御CPU40aは、第1特別保留数が1以上である場合(ステップS203:YES)、主制御RAM40cに記憶されている第1特別保留数を1減算して更新する(ステップS204)。主制御CPU40aは、ステップS204の処理において、更新後の第1特別保留数が表示されるように、第1特別保留表示部22cを制御する。また、主制御CPU40aは、更新後の第1特別保留数を特定可能な第1保留数コマンドを出力バッファに設定する。
続いて、主制御CPU40aは、第1特別ゲーム用の乱数情報の中から、最先に記憶された乱数情報を主制御RAM40cから読み出す(ステップS205)。なお、主制御CPU40aは、最先の乱数情報を読み出すと、最先に記憶された乱数情報を主制御RAM40cから消去する。
次に、主制御CPU40aは、ステップS205の処理において読み出した乱数情報と、主制御ROM40bに記憶されている大当り判定値とをもとに、大当りに当選とするか否かを判定する(ステップS206)。ここで、大当りに当選とするか否かの判定は、乱数情報の値と大当り判定値とが一致するか否かにより判定するものとする。なお、大当りに当選とするか否かの判定は、乱数情報の値と大当り判定値とを加算した値が、所定値を超えているか否かにより判定してもよい。
主制御CPU40aは、大当りに当選とする場合(ステップS206:YES)、第1特別ゲームで導出させる大当り図柄と、第1特別ゲームの変動パターンとを決定する(ステップS207)。主制御CPU40aは、ステップS205の処理において読み出した乱数情報を用いた抽選により、大当り図柄や変動パターンを決定する。ステップS207の処理において、主制御CPU40aは、決定した大当り図柄を特定可能な制御情報(以下、特別図柄を特定可能な制御情報を「図柄コマンド」と示す)を生成し、出力バッファに格納する。本実施形態において、出力バッファに格納された制御情報(コマンド)は、次回以降の割り込み処理において副基板41へ出力される。主制御CPU40aは、ステップS207の処理において、決定した変動パターンを特定可能であって、該変動パターンに基づく演出ゲームの開始を指示する制御情報(以下、ゲーム開始コマンドと示す)を生成し、出力バッファに格納する。その後、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理を終了する。
主制御CPU40aは、大当りに当選としないはずれの場合(ステップS206:NO)、第1特別ゲームで導出させるはずれ図柄と、第1特別ゲームの変動パターンとを決定する(ステップS208)。例えば、主制御CPU40aは、ステップS205の処理において読み出した乱数情報を用いた抽選により、はずれ図柄や変動パターンを決定するとよい。主制御CPU40aは、ステップS208の処理において、決定したはずれ図柄を特定可能な図柄コマンドを生成し、出力バッファに格納する。主制御CPU40aは、ステップS208の処理において、決定した変動パターンを特定可能であって、該変動パターンに基づく演出ゲームの開始を指示するゲーム開始コマンドを生成し、出力バッファに格納する。その後、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理を終了する。
主制御CPU40aは、第2特別保留数が1以上である場合(ステップS202:YES)、S204〜S208における第1特別ゲームに関する処理と同様にして、第2特別ゲームに関するステップS209〜S213の処理を行う。
即ち、主制御CPU40aは、主制御RAM40cに記憶されている第2特別保留数を1減算して更新する(ステップS209)。ステップS209の処理において、主制御CPU40aは、更新後の第2特別保留数が表示されるように、情報表示装置22を制御する。また、主制御CPU40aは、更新後の第2特別保留数を特定可能な第2保留数コマンドを出力バッファに設定する。
また、主制御CPU40aは、第2特別ゲームについて大当りに当選とするか否かの判定を行う(ステップS211)。主制御CPU40aは、第2特別ゲームで導出させる特別図柄を決定するとともに、決定した特別図柄を特定可能な図柄コマンドを生成し、出力バッファに格納する(ステップS212,ステップS213)。主制御CPU40aは、第2特別ゲームの変動パターンを決定するとともに、決定した変動パターンを特定可能であって、該変動パターンに基づく演出ゲームの開始を指示するゲーム開始コマンドを生成し、出力バッファに格納する(ステップS212,ステップS213)。その後、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理を終了する。
特別図柄開始処理を終了すると、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理とは別の処理を行うことによって、特別ゲームを実行させる。具体的に、主制御CPU40aは、第1特別ゲームを実行させる場合、第1特別ゲームが開始されるように第1特別図柄表示部22aを制御する。また、主制御CPU40aは、第2特別ゲームを実行させる場合、第2特別ゲームが開始されるように第2特別図柄表示部22bを制御する。また、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理において決定した変動パターンに定められた変動時間を計測する。そして、主制御CPU40aは、変動パターンに定められた変動時間が経過すると、特別図柄開始処理において決定した特別図柄が導出されるように、実行中の特別ゲームに対応する第1特別図柄表示部22a又は第2特別図柄表示部22bを制御する。また、主制御CPU40aは、特別図柄開始処理において決定した変動パターンに定められた変動時間が経過すると、ゲーム終了コマンドを生成し、出力バッファに格納する。
次に、大当り処理について説明する。
大当り処理において主制御CPU40aは、特別図柄開始処理で決定した大当り図柄(即ち、大当りの種類)に基づいて、大当り遊技の種類を特定する。そして、主制御CPU40aは、大当りの特別ゲームの終了後、特定した大当り遊技を付与する制御を開始するとともに、所定の制御情報を出力するための処理を行う。即ち、主制御CPU40aは、大当り処理を実行することにより、大当り遊技を付与する。
主制御CPU40aは、大当りの特別ゲームが終了すると、最初にオープニング演出の実行を指示する情報(以下、オープニングコマンドと示す)を出力バッファに設定する。主制御CPU40aは、オープニング時間が経過すると、ラウンド遊技を実行させるための処理を行う。即ち、主制御CPU40aは、大当り遊技に設定された開放態様(開放パターン)にしたがって、大入賞口29を開放するように、第2アクチュエータA2を制御し、ラウンド遊技を開始させる。主制御CPU40aは、ラウンド遊技を開始させた後、第1終了条件又は第2終了条件が成立すると、大入賞口29が閉鎖されるように第2アクチュエータA2を制御し、ラウンド遊技を終了させる。主制御CPU40aは、このようなラウンド遊技を実行させるための処理を、大当り遊技に定められた上限回数のラウンド遊技が終了するまで繰り返し行う。また、主制御CPU40aは、ラウンド遊技を開始するごとに、ラウンド演出の実行を指示する情報(以下、ラウンドコマンドと示す)を出力バッファに設定する。主制御CPU40aは、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディング演出の実行を指示する情報(以下、エンディングコマンドと示す)を出力バッファに設定する。主制御CPU40aは、エンディング時間が経過すると、大当り遊技を終了する。
次に、主制御CPU40aが行う遊技状態処理について説明する。
主制御CPU40aは、大当り抽選に当選している場合、特別図柄開始処理で決定した大当り図柄に基づいて大当り遊技の終了後に付与する遊技状態を特定する。
主制御CPU40aは、低確率状態の付与を特定した場合、大当り遊技を終了するときに、低確率状態に制御することを特定可能な値を、主制御RAM40cに記憶されている確率状態フラグに設定する。また、主制御CPU40aは、低確率状態であることを特定可能なコマンド(以下、低確率状態コマンドと示す)を出力バッファに設定する。主制御CPU40aは、高確率状態の付与を特定した場合、大当り遊技を終了するときに、高確率状態に制御することを特定可能な値を確率状態フラグに設定する。また、主制御CPU40aは、高確率状態であることを特定可能なコマンド(以下、高確率状態コマンドと示す)を出力バッファに設定する。
主制御CPU40aは、高ベース状態の付与を特定した場合、大当り遊技を終了するときに、高ベース状態に制御することを特定可能な値をベース状態フラグに設定する。また、主制御CPU40aは、遊技状態が高ベース状態であることを特定可能な制御情報(以下、高ベース状態コマンドと示す)を出力バッファに設定する。主制御CPU40aは、上限回数を定めた高ベース状態の付与を特定した場合、上記上限回数に相当する回数を、高ベース状態を付与する特別ゲームの残り回数として主制御RAM40cに記憶させる。
主制御CPU40aは、特別ゲームが実行される毎に、主制御RAM40cに記憶されている残り回数を1減算する。主制御CPU40aは、残り回数が0となった場合、残り回数が0となった特別ゲームの終了に伴って、低ベース状態に制御することを特定可能な値をベース状態フラグに設定する。即ち、主制御CPU40aは、高ベース状態を終了させ、低ベース状態へ移行させる。また、主制御CPU40aは、遊技状態が低ベース状態であることを特定可能な制御情報(以下、低ベース状態コマンドと示す)を出力バッファに設定する。
主制御CPU40aは、大当り遊技が付与された場合、低確率状態に制御することを特定可能な値を確率状態フラグに設定するとともに、低ベース状態に制御することを特定可能な値をベース状態フラグに設定する。また、主制御CPU40aは、大当りの特別ゲームの終了後、低確率状態コマンド及び低ベース状態コマンドを出力バッファに設定する。
次に、普通図柄入力処理について説明する。
普通図柄入力処理において主制御CPU40aは、ゲートセンサSE4から検知信号を入力したか否かに基づいて、遊技球がゲート31を通過(入球)したか否かを判定する。遊技球がゲート31を通過していない場合、主制御CPU40aは、普通図柄入力処理を終了する。一方、遊技球がゲート31を通過した場合、主制御CPU40aは、遊技球がゲート31を通過したことを特定可能な制御情報(以下、ゲート通過コマンドと示す)を生成し、出力バッファに格納する。
次に、主制御CPU40aは、主制御RAM40cに記憶されている普通保留数が上限数(本実施形態では、4)未満であるか否かを判定する。普通保留数が上限数未満ではない場合、主制御CPU40aは、普通図柄入力処理を終了する。普通保留数が上限数未満である場合、主制御CPU40aは、主制御RAM40cに記憶されている普通保留数を1加算して更新する。この場合、主制御CPU40aは、更新後の普通保留数を表示するように、普通保留表示部22fを制御する。この実施形態において主制御CPU40aは、普通保留数が上限数に達している場合にゲートセンサSE4から検知信号を入力しても、その入力に基づいてゲート通過コマンドを生成し、出力バッファに格納する。
次に、主制御CPU40aは、主基板40内で生成している乱数を取得し、取得した乱数に基づく乱数情報を主制御RAM40cに記憶させる。ここで、乱数には、普通当り抽選に用いる乱数を含む。そして、主制御CPU40aは、普通ゲーム用の乱数情報であること、及び乱数情報の記憶順序が特定可能となるように記憶させる。本実施形態では、普通ゲーム用の乱数情報を主制御RAM40cに記憶させておくことで、普通ゲームの実行条件が成立するまで、その実行を保留する。その後、主制御CPU40aは、普通図柄入力処理を終了する。
次に、普通図柄開始処理について説明する。
普通図柄開始処理において主制御CPU40aは、普通ゲームの実行条件が成立しているか否かを判定する。主制御CPU40aは、普通当り遊技中ではなく、且つ普通ゲーム中ではない場合に肯定判定する一方で、普通当り遊技中、又は普通ゲーム中である場合に否定判定する。普通ゲームの実行条件が成立していない場合、主制御CPU40aは、普通図柄開始処理を終了する。
一方、普通ゲームの実行条件が成立している場合、主制御CPU40aは、主制御RAM40cに記憶されている普通保留数が1以上であるか否かを判定する。普通保留数が1以上ではない場合、主制御CPU40aは、普通図柄開始処理を終了する。普通保留数が1以上である場合、主制御CPU40aは、主制御RAM40cに記憶されている普通保留数を1減算して更新する。この処理において、主制御CPU40aは、更新後の普通保留数が表示されるように、普通保留表示部22fを制御する。次に、主制御CPU40aは、普通ゲーム用の乱数情報のうち、最先に記憶された乱数情報を主制御RAM40cから読み出す。なお、主制御CPU40aは、最先の乱数情報を読み出すと、最先に記憶された乱数情報を主制御RAM40cから消去する。
次に、主制御CPU40aは、読み出した乱数情報と、主制御ROM40bに記憶されている普通当り判定値とをもとに、普通当りに当選とするか否かを判定する。この処理は、普通当りか否かの普通当り抽選(普通当り判定)に相当する。例えば、上述した普通図柄の確率変動制御を採用する場合、主制御CPU40aは、高ベース状態においては、低ベース状態に比して、普通当りに当選する確率が高くなるように、普通当りに当選とするか否かの判定を行う。
普通当りに当選とする場合、主制御CPU40aは、普通ゲームで導出させる普通当り図柄と、普通ゲームの変動時間とを決定する。例えば、普通図柄の変動時間短縮制御を採用する場合、主制御CPU40aは、低ベース状態においては第1変動時間を決定し、高ベース状態においては第1変動時間よりも短い第2変動時間を決定する。その後、主制御CPU40aは、普通図柄開始処理を終了する。
そして、主制御CPU40aは、普通図柄開始処理とは別の処理を行うことによって、普通ゲームを実行させる。具体的に、主制御CPU40aは、普通ゲームを開始させるとともに、普通図柄開始処理において決定した変動時間が経過したときに、普通図柄開始処理において決定した普通図柄が導出されるように、普通図柄表示部22eを制御する。
次に、普通当り処理について説明する。
普通当りに当選した場合、主制御CPU40aは、普通ゲームが終了すると、第2始動口27の開放パターンを決定するとともに、該決定した開放パターンにしたがって第2始動口27が開放されるように、第1アクチュエータA1を制御する。例えば、上述した開放時間延長制御を採用する場合、主制御CPU40aは、低ベース状態においては第1開放パターンを選択し、高ベース状態においては、第1開放パターンよりも1回の普通当り遊技における第1可変部材28の合計開放時間が長い第2開放パターンを決定する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、低ベース状態であるとき、及び高ベース状態であるときの何れの場合でも普通当り抽選に当選し、低ベース状態において普通当り抽選に当選する当選確率を、高ベース状態において普通当り抽選に当選する当選確率に比して極めて低確率に設定している。このため、低ベース状態及び高ベース状態の何れの状態でも普通当り抽選に当選し、その結果として普通当り遊技において第2始動口27が開放することで入球可能な状態となり得る。つまり、この実施形態のパチンコ遊技機10は、低ベース状態においても第2始動口27への入球が許容されるが、入球する可能性は高ベース状態に比して低く設定されている。
また、主制御CPU40aは、前述した処理の他にも以下に説明する処理を行う。例えば、主制御CPU40aは、保留されている特別ゲームが存在せずにデモンストレーション演出(以下、「デモ演出」と示す)の実行条件が成立した場合、制御情報として待機状態になることを特定可能なデモコマンドを生成する。このデモコマンドは、主制御CPU40aが行うコマンド送信処理によって所定のタイミングで副制御CPU41aに出力される。なお、保留されている特別ゲームが存在しない場合とは、第1特別保留数及び第2特別保留数の何れもが0(零)のときであり、図7の特別図柄開始処理においてステップS203を否定判定したときである。また、主制御CPU40aは、エラーに関する処理なども行う。エラーに関する処理では、パチンコ遊技機10で生じた各種のエラーを検知することによって報知を行わせるなどの処理を行う。
次に、副制御CPU41aが副制御プログラムに基づいて行う各種の処理について説明する。なお、副制御CPU41aは、以下に説明する各種の処理を所定の周期毎(例えば4m秒毎)に行う。
最初に、演出ゲームを実行するための演出図柄変動処理について説明する。
演出図柄変動処理において、副制御CPU41aは、特別図柄を指定する図柄指定コマンドを入力すると、当該図柄指定コマンドにより指定された特別図柄に基づき、演出ゲームで導出させる演出図柄の組み合わせを決定する。副制御CPU41aは、特別図柄の大当り図柄が指定された場合には、演出図柄による大当りの組み合わせを決定する。また、副制御CPU41aは、特別図柄のはずれ図柄が指定された場合には、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに基づき、演出ゲームで導出させる演出図柄のはずれの組み合わせを決定する。
また、副制御CPU41aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該コマンドにより指定された変動パターンに基づき、演出ゲームの演出内容を特定する。そして、副制御CPU41aは、特定した演出内容で演出ゲームが表示されるように演出表示装置25の表示内容を制御する。その後、副制御CPU41aは、ゲーム終了コマンドの入力を契機として、演出ゲームを終了させ、演出図柄の組み合わせを導出させるように演出表示装置25の表示内容を制御する。なお、副制御CPU41aは、変動パターン指定コマンドを入力したことを契機として指定された変動パターンから特定される変動時間を計時し、該変動時間が経過したことを契機に演出ゲームを終了させるようにしてもよい。つまり、主基板40からゲーム終了コマンドを出力せずに、演出ゲームの終了を制御してもよい。
また、図4に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10は、複数種類の演出モードを備えている。なお、図4は、複数種類の演出モードの移行形態を概念的に示しており、演出モードは3種類に限らず、4種類以上備えていてもよい。この実施形態において副制御CPU41aは、予め定めたモード移行条件の成立を契機に演出モードの移行形態を制御する。
本実施形態のパチンコ遊技機10においてモード移行は、大当りに当選したことなどを契機とする遊技状態の変化によって行われる。具体的に言えば、演出モードである通常モードM1は、遊技状態が低確率状態、かつ低ベース状態であるときに滞在する演出モードである。本実施形態において通常モードM1は、大当り遊技も付与されていない通常遊技時に滞在する演出モードである。
また、演出モードである第1有利モードM2は、遊技状態が低確率状態、かつ高ベース状態であるときに滞在する演出モードである。また、演出モードである第2有利モードM3は、遊技状態が高確率状態、かつ高ベース状態であるときに滞在する演出モードである。本実施形態において第1有利モードM2及び第2有利モードM3は、高確率状態又は高ベース状態が付与されていることから、これらの高確率状態又は高ベース状態の何れも付与されていない通常遊技に対して特定遊技時に滞在する演出モードである。
そして、通常モードM1の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Zcに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第1有利モードM2へ移行する。また、通常モードM1の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Za,Zbに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第2有利モードM3へ移行する。
第1有利モードM2の滞在中に、上限回数(例えば100回)の図柄変動ゲームが行われ、高ベース状態の終了条件が成立した場合は、通常モードM1へ移行する。つまり、本実施形態では、第1有利モードM2から通常モードM1への移行は、特定遊技から通常遊技へ代わることに相当し、特定遊技から通常遊技へは特定遊技が開始してからの図柄変動ゲームの実行回数が所定回数である上限回数(例えば100回)に達したことで代わる。また、第1有利モードM2の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Zcに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第1有利モードM2へ移行する。また、第1有利モードM2の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Za,Zbに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第2有利モードM3へ移行する。
第2有利モードM3の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Zcに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第1有利モードM2へ移行する。また、第2有利モードM3の滞在中に大当り抽選に当選し、かつ大当り図柄Za,Zbに基づく大当りに当選した場合、大当り遊技終了後は第2有利モードM3へ移行する。
上記した遊技状態は、主基板40の主制御CPU40aが制御する。そして、主制御CPU40aは、現在の遊技状態を特定可能な制御情報である状態指定コマンドを、所定のタイミングで副制御CPU41aに出力する。この状態指定コマンドは、前述した主制御CPU40aが行う遊技状態処理で出力されるコマンドである。
上記した状態指定コマンドを大当り遊技中ではないときに入力した副制御CPU41aは、モード移行条件が成立したことによって状態指定コマンドで特定される演出モード(図4に示す)へ移行させる。状態指定コマンドを入力した副制御CPU41aは、状態指定コマンドから遊技状態を把握し、その遊技状態を特定可能な情報(モードフラグなど)を副制御RAM41cに記憶する。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機10は、大当り遊技終了後に滞在する演出モードと大当り図柄の種類とが1対1で対応付けられている。このため、副制御CPU41aは、図柄指定コマンドから特定される大当り図柄の種類をもとに図4に示す演出モードの移行を制御してもよい。また、滞在中の演出モードは、例えば副制御CPU41aが枠や遊技盤11に配置されている装飾ランプ16の発光色などの発光態様を異ならせることで報知することができる。また、滞在中の演出モードは、副制御CPU41aが演出表示装置25の画像表示部GHに映し出す背景画像などの画像を制御することで報知することができる。
次に、デモ演出に関する処理を説明する。
副制御CPU41aは、デモコマンドを入力すると、デモ演出を行わせるように演出表示装置25の表示内容を制御する。デモ演出は、予め定めた演出時間が終了するまでを1回として行われる。そして、デモ演出中に終了条件が成立せずに、演出時間が終了した場合は、繰り返しデモ演出を実行させる。デモ演出の終了条件は、第1始動口26又は第2始動口27へ入球し、特別ゲームが開始されることである。デモ演出は、パチンコ遊技機10が待機状態であることを演出表示装置25などの装置を利用して報知し、客寄せ効果を得るための演出である。デモ演出には、演出表示装置25に表示されている飾り図柄にデモ演出用の動作を付加して表示させる図柄表示デモや、パチンコ遊技機10や製造メーカなどを宣伝するデモ演出用の画像(動画)を表示させるムービーデモがある。
また、本実施形態のパチンコ遊技機10には、パチンコ遊技機10の音量を設定する音量設定機能が搭載されている。
音量設定機能には、主に、遊技場の管理者、及びパチンコ遊技機10の開発や販売に携わる従事者に音量設定を許容する第1の機能と、主に遊技者に音量設定を許容する第2の機能と、がある。
最初に、第1の機能について説明する。
第1の機能は、図5に示すように、パチンコ遊技機10の本体内部に設置した設定器(例えば、アナログボリュームスイッチ)33を操作することにより音量設定を行う機能である。パチンコ遊技機10は、図1に示すように、施錠装置34によって施錠されており、施錠装置34を解錠しなければ本体内部にアクセスできないように構成されている。この施錠装置34を解錠するための鍵は、遊技場の管理者などによって管理されており、遊技者は設定器33を操作することはできない。
設定器33は、副基板41に接続されている。そして、設定器33の操作による音量の設定は、パチンコ遊技機10の電源投入前に行うことができ、電源投入後、副制御CPU41aによって設定器33の操作により設定した値が読み込まれるとともに副制御RAM41cに記憶される。この設定器33の操作により設定された音量は、設定器33の設定音量であるとともに、パチンコ遊技機10の音量の基準音量である。
副基板41には、図示しない音再生部が搭載されており、音再生部を通じて所望の音量に調整され、その音量によって所望の音がスピーカ17を介して出力される。音再生部は、副制御ROM41bに記憶されている音データを変換する変換器(例えば、D/A変換器)やアンプ(増幅器)などによって構成されている。
次に、第2の機能について説明する。
第2の機能は、操作ボタン18を操作することにより音量設定を行う機能である。操作ボタン18は、遊技者が操作できるように設置されていることから、本体内部に設置した設定器33とは異なり、遊技者を含む何人も操作を行うことができる。操作ボタン18は、副基板41に接続されている。
第2の機能による音量の設定は、設定器33の設定音量(基準音量)を基準とし、その基準音量に基づいて操作ボタン18の操作により音量を大きくする又は小さくする態様で行うことができる。このように、操作ボタン18の操作により設定される音量は、操作ボタン18の設定音量であるとともに、設定器33の基準音量に基づいて設定される。操作ボタン18の操作は、パチンコ遊技機10の電源が投入されている時に有効とされる。つまり、パチンコ遊技機10の電源が投入されていない状態で操作ボタン18を操作したとしても、操作ボタン18から操作信号は出力されず、音量を設定することはできない。操作ボタン18の操作によって設定された設定音量は、副基板41の副制御RAM41cに記憶される。
本実施形態のパチンコ遊技機10では、設定器33の設定音量及び操作ボタン18の設定音量のそれぞれが複数段階で音量を設定可能に構成されている。具体的に例示すると、設定器33には3段階の音量が設定でき、操作ボタン18では設定器33の各段階に対して5段階の音量が設定できる。複数段階で音量を設定できるとは、音量の大小を段階的に設定(調整)できることである。例えば、設定器33で設定可能な3段階の音量を、音量の小さい順にMA→MB→MCと規定する。この場合に操作ボタン18では、設定器33の音量の段階であるMAに対して設定可能な音量としてMA1〜MA5の5段階、MBに対して設定可能な音量としてMB1〜MB5の5段階、MCに対して設定可能な音量としてMC1〜MC5の5段階がそれぞれ設定されている。なお、設定器33で設定可能な音量の段階であるMA,MB,MCに対応する音量値は、操作ボタン18で設定可能な5段階の音量に対して最小値に対応する音量値としてもよいし、最大値に対応する音量値としてもよく、さらには中間値に対応する音量値としてもよい。つまり、最小値に対応する場合は操作ボタン18の操作によって音量を5段階に大きくすることができ、最大値に対応する場合は操作ボタン18の操作によって音量を5段階に小さくすることができ、中間値に対応する場合は操作ボタン18の操作によって音量を大きく又は小さくすることができる。
このような音量調整機能を備えたパチンコ遊技機10において副基板41の音再生部は、特定の条件下を除き、設定器33の設定音量と操作ボタン18の操作による設定音量をもとにパチンコ遊技機10の音量を制御する。つまり、パチンコ遊技機10の音量は、設定器33の設定音量を基準音量とし、その基準音量をもとに調整可能な範囲として定めた操作ボタン18の操作による音量設定範囲内で任意に調整することができる。本実施形態のパチンコ遊技機10では、操作ボタン18の操作による音量調整を、演出ゲーム中、及びデモ演出中に許容している。なお、特定の条件下は、パチンコ遊技機10の仕様として、設定器33の設定音量と操作ボタン18の操作による設定音量に依存せずに予め定めた一定音量で音を出力させると定めた場合であり、例えばRAMクリア、主基板エラーなど重要度が高いエラーが発生したときなどである。また、パチンコ遊技機10では、所定の音量リセット条件が成立した場合、操作ボタン18側の設定音量が初期設定音量(デフォルト値)に戻される。音量リセット条件は、パチンコ遊技機10の電源投入時、デモ演出へ移行してからの経過時間が所定の時間に達した時、デモ演出中に音量調整を行ってから所定の時間を経過しても始動条件が成立しなかった時である。
以下、上記のように構成した本実施形態のパチンコ遊技機10における遊技性を説明する。
図2に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10は、第1始動口26へ遊技球を入球させるときには左打ちを行い、第2始動口27、大入賞口29及びゲート31へ遊技球を入球させるときには右打ちを行う盤面構成である。また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、第2始動口27へ遊技球が入球する確率が異なる低ベース状態と高ベース状態を備えている。そして、低ベース状態においては高ベース状態に比して第2始動口27へ入球する可能性は低く設定されている。このため、本実施形態のパチンコ遊技機10において、低ベース状態のときに第2始動口27へ入球させるように右打ちを行うことは、大当り抽選の権利を得るための時間的な効率、及び第2始動口27へ入球する確率が低いことを踏まえると推奨できる遊技性ではない。
具体的に例示すれば、高ベース状態を実現する普通図柄の変動時間短縮制御は、換言すれば低ベース状態であるときには普通図柄の変動時間が平均的に長くなることである。このため、普通当り抽選の結果を導出する普通ゲームの変動時間が長くなることは、普通当り抽選に当選していたときに普通当り遊技が生起されるまでの時間が長くなることに繋がることから、大当り抽選の権利を得るための時間的な効率がよいとは言えない。また、高ベース状態を実現する普通図柄の確率変動制御は、換言すれば低ベース状態であるときには普通当り抽選に当選する確率が低くなることである。このため、普通当り抽選に当選する確率が低くなることは、普通当り遊技が生起される可能性が低いことに繋がることから、第2始動口27へ入球させるチャンスが得られ難く、第2始動口27へ入球する確率が高いとは言えない。また、高ベース状態を実現する第1可変部材28の開放時間延長制御は、換言すれば低ベース状態であるときには第1可変部材28の開放時間が短くなることである。このため、第1可変部材28の開放時間が短くなることは、第2始動口27へ入球する確率が低くなることに繋がり、その結果として大当り抽選の権利を得るための時間的な効率がよいとは言えない。なお、本実施形態のパチンコ遊技機10では、低ベース状態及び高ベース状態を考慮しない前提であれば、図3に示すように、第1特別図柄の大当り抽選に当選するよりも第2特別図柄の大当り抽選に当選した方が大当り図柄Zaの選択率が高く、有利である。
以上のことから、本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技性は、通常モードM1に滞在する通常遊技時、すなわち低ベース状態であるときには常時、遊技球の入球が許容されている第1始動口26へ遊技球を入球させることが推奨される。つまり、左打ちが推奨され、本実施形態において遊技領域12の左方の領域は通常遊技時において遊技球の発射が推奨される第1遊技領域に相当し、遊技領域12の右方の領域は通常遊技時に遊技球の発射を推奨しない第2遊技領域に相当する。一方、本実施形態のパチンコ遊技機10の遊技性は、第1,第2有利モードM2,M3に滞在する特定遊技時、すなわち高ベース状態であるときには遊技球の入球確率が低ベース状態に比して高まる第2始動口27へ遊技球を入球させることが推奨される。つまり、右打ちが推奨され、本実施形態において遊技領域12の右方の領域は特定遊技時に遊技球の発射が推奨される第2遊技領域に相当し、遊技領域12の左方の領域は特定遊技時に遊技球の発射を推奨しない第1遊技領域に相当する。なお、本実施形態のパチンコ遊技機10の盤面構成において大入賞口29は、右打ちによって遊技球を入球させることができるように配置されていることから、大当り遊技中は右打ちが推奨される。
そして、本実施形態のパチンコ遊技機10は、前述したように通常遊技時、特定遊技時、及び大当り遊技時のそれぞれで遊技球の発射が推奨される遊技領域がある。このため、本実施形態のパチンコ遊技機10には、推奨される遊技領域を報知する報知機能を搭載している。
図8(a)は、通常遊技時に推奨される遊技領域(左方の領域)を報知する態様を示す。この態様では、演出表示装置25の画像表示部GHに遊技球の発射が推奨される遊技領域が左方の領域であることを特定可能な報知画像G1を表示することによって行われる。具体的に報知画像G1は、左方の領域を指し示すように左方向を向いた矢印を模した図形画像と「左打ち」の文字画像とを合成して構成されている。
図8(b)は、特定遊技時及び大当り遊技時に推奨される遊技領域(右方の領域)を報知する態様を示す。この態様では、演出表示装置25の画像表示部GHに遊技球の発射が推奨される遊技領域が右方の領域であることを特定可能な報知画像G2を表示することによって行われる。具体的に報知画像G2は、右方の領域を指し示すように右方向を向いた矢印を模した図形画像と「右打ち」の文字画像とを合成して構成されている。
これらの報知画像G1,G2は、所定のタイミングで画像表示部GHに表示され、所定の報知終了条件が成立するまでの間、継続して画像表示部GHに表示される。所定のタイミングは、主に遊技の形態が代わるときである。具体的に言えば、通常遊技から大当り遊技へ代わるとき、特定遊技から大当り遊技へ代わるとき、大当り遊技から特定遊技へ代わるとき、及び特定遊技から通常遊技へ代わるときである。
通常遊技から大当り遊技へ代わるときには、大入賞口29へ遊技球を入球させるために右打ちが推奨され、発射強度の変更(左打ち→右打ちへの変更)を促す目的で報知を行う。通常遊技から大当り遊技へ代わるとき、遊技状態は変更されない(低確率状態、かつ低ベース状態を維持する)。また、特定遊技から大当り遊技へ代わるときには、遊技球の発射が推奨される遊技領域に変更はないが(何れも右打ちが推奨される)、大入賞口29へ遊技球を入球させるために発射強度を変更せずに右打ちを継続させる目的で報知を行う。特定遊技から大当り遊技へ代わるとき、遊技状態は変更される。
大当り遊技から特定遊技へ代わるときには、遊技球の発射が推奨される遊技領域に変更はないが(何れも右打ちが推奨される)、第2始動口27へ遊技球を入球させるために発射強度を変更せずに右打ちを継続させる目的で報知を行う。大当り遊技から特定遊技へ代わるとき、遊技状態は変更される。また、特定遊技から通常遊技へ代わるときには、第1始動口26へ遊技球を入球させるために左打ちが推奨され、発射強度の変更(右打ち→左打ちへの変更)を促す目的で報知を行う。特定遊技から通常遊技へ代わるとき、遊技状態は変更される。
ところで、遊技球の発射領域を打ち分けるパチンコ遊技機10では、前述の報知機能によって遊技球の発射が推奨される遊技領域を報知しても、その報知に気付かない又はその報知を無視して(意図的)、遊技性に即さない遊技が行われる場合が想定される。このため、本実施形態のパチンコ遊技機10では、前述の報知機能に、推奨される遊技領域とは異なる遊技領域へ継続的に遊技球が発射され、予め定めた報知条件が成立した場合に所定の報知を追加して行う機能を備えている。
以下、上記機能について図9及び図10にしたがって詳細に説明する。
なお、所定の報知を追加して行う機能は、特定遊技から通常遊技へ代わった後、前記報知条件が成立した場合に所定の報知を行う機能である。また、本実施形態において報知条件は、遊技盤11の右方の領域に位置するゲート31を通過した遊技球の個数、すなわちゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数に応じて成立する。
図9に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、報知条件が成立した場合の所定の報知の実行態様として、2種類の実行態様を備えている。2種類の報知は、何れも推奨されている遊技領域が左方の領域であって、その左方の領域へ遊技球の発射を促す目的で行われる。そして、2種類の実行態様には、推奨されていない遊技領域へ遊技球を発射させていることを注意する意味合いを持たせた実行態様(以下、「第1左打ち報知」と示す)と、推奨されていない遊技領域へ遊技を発射させていることに対して警告する意味合いを持たせた実行態様(以下、「第2左打ち報知」と示す)とがある。
本実施形態において2種類の実行態様に基づく報知は、何れも画像表示部GHによる報知画像G1の表示(図8(a)に示す)と報知音の出力とによって行われる。そして、表示による報知は共通する報知内容であるが、報知音による報知については第1左打ち報知と第2左打ち報知とで報知内容を異ならせている。具体的に言えば、第1左打ち報知の報知音は「左打ちに戻して下さい」という音声出力であり、第2左打ち報知の報知音は所定の警告音(ビープ音)の出力である。これにより、第1左打ち報知の実行態様よりも、第2左打ち報知の実行態様の方が報知の強度は強くなる。報知の強度は、遊技者にどの程度目立つように実行されているか、という度合いを示している。
本実施形態において第1左打ち報知及び第2左打ち報知で出力される報知音(音声及び警告音)の音量は、音量設定手段である設定器33の操作及び操作ボタン18の操作によって設定された設定音量を問わずに一定音量である。つまり、報知音は、設定音量に依存しない音量で出力される。本実施形態の報知音の音量は、音量設定手段で設定可能な最大音量に定められている。このため、報知音は、設定音量に依存して音量が大小に変化する各種の演出音(演出ゲームに伴う音、大当り遊技の演出に伴う音など)より目立ち易く、遊技者が気付き易いように出力される。
図10は、副基板41の副制御CPU41aによって実行される右打ち検知処理を示している。副制御CPU41aは、所定の制御周期毎(4m秒毎)に右打ち検知処理を実行する。そして、副制御CPU41aは、右打ち検知処理において前記報知条件が成立したかを判定する。
右打ち検知処理において副制御CPU41aは、大当り遊技中ではなく、かつ低ベース状態であるか否かを判定する(ステップS301)。副制御CPU41aは、副制御RAM41cに記憶されている大当り状態フラグの設定値を参照することで大当り遊技中であるかを判定する。また、副制御CPU41aは、副制御RAM41cに記憶されているベース状態フラグの設定値を参照することで低ベース状態であるかを判定する。ステップS301において副制御CPU41aは、現在が通常遊技時(すなわち、通常モードM1の滞在時)であるかを判定している。
そして、副制御CPU41aは、大当り遊技中ではなく、かつ低ベース状態である場合(ステップS301:YES)、ステップS302へ移行する。一方、副制御CPU41aは、大当り遊技ではなく、かつ低ベース状態ではない、すなわち大当り遊技中又は特定遊技時である場合(ステップS301:NO)、右打ち検知処理を終了する。つまり、ステップS301を否定判定する場合、遊技球の発射を推奨している領域が右方の領域であり、所定の報知の実行対象としないことから右打ち検知処理を終了する。
一方、大当り遊技中ではなく、かつ低ベース状態である場合、遊技球の発射を推奨している領域が左方の領域であり、所定の報知の実行対象である。このため、ステップS302へ移行した副制御CPU41aは、所定の報知として第2左打ち報知を既に実行させていないかを判定する。本実施形態において第2左打ち報知は、前述したように通常遊技時に推奨されていない遊技領域へ遊技球を発射させていることに対して警告する意味合いを持つ報知であって、推奨される遊技領域へ遊技球球を発射させること、又は推奨されていない遊技領域への遊技球の発射を止めさせることを強制するものである。このため、ステップS302は、既に実行中の第2左打ち報知を優先し、継続実行されるようにするために右打ち検知処理を中断させるかを選択する処理である。
そして、副制御CPU41aは、第2左打ち報知を実行させている場合(ステップS302:NO)、右打ち検知処理を終了する。一方、副制御CPU41aは、第2左打ち報知を実行させていない場合、すなわち報知が実行されていない、又は第1左打ち報知を実行させている場合、副制御RAM41cに記憶されている右打ち検知処理用のタイマの計数値が0(零)であるかを判定する(ステップS303)。そして、副制御CPU41aは、タイマの計数値が0(零)である場合(ステップS303:YES)、副制御RAM41cに記憶されている右打ち検知処理用の右打ちカウンタを0(零)にリセットする(ステップS304)。その後、副制御CPU41aは、ステップS305に移行する。また、ステップS303においてタイマの計数値が0(零)ではない場合(ステップS303:NO)、ステップS305に移行する。
本実施形態において報知条件は、ゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数に応じて成立する。そして、ステップS304で記載した右打ちカウンタは、通常遊技時にゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数をカウントする手段である。また、本実施形態では、予め定めたリセット条件の成立によって右打ちカウンタのカウント値を0(零)にリセットする。リセット条件の一つには、ゲートセンサSE4によって遊技球が検知されてから一定時間Tの間に次の遊技球が検知されないことがある。このため、ステップS303で記載したタイマは、前述した一定時間Tを計測する手段である。
本実施形態において副制御CPU41aは、ゲートセンサSE4の検知信号を入力した主制御CPU40aが出力するゲート通過コマンドを入力することにより、ゲートセンサSE4によって遊技球が検知されたか、すなわちゲート31を遊技球が通過したかを把握可能である。なお、ゲート通過コマンドは、ゲートセンサSE4からの検知信号を入力する毎に、その入力時点で普通保留数が上限数未満である場合及び普通保留数が上限数に達している場合の何れでも出力される。このため、右打ちカウントのカウント値は、普通保留数の上限数を超えてカウントされる値である。また、ゲート通過コマンドは、デモ演出中にゲートセンサSE4によって遊技球が検知された場合も出力される。
なお、本実施形態では、右打ちカウンタのリセット条件として、前述した時間経過の条件の他に、第2左打ち報知を実行させた場合に当該第2左打ち報知が終了すること、及び遊技球の発射を推奨する遊技領域が右方の領域になったこと(右打ちになったこと)がある。本実施形態において遊技球の発射を推奨する遊技領域が右方の領域になる場合には、大当り遊技が生起されること、及び特定遊技に代わることである。副制御CPU41aは、遊技球の発射を推奨する遊技領域が右方の領域になったことを主制御CPU40aが出力する各種のコマンドの入力によって把握可能である。
図10の説明に戻り、ステップS305の処理において副制御CPU41aは、ゲート通過コマンドを入力したかを判定する。ステップS305の処理は、通常遊技時においてゲート通過コマンドを入力したかを判定する処理である。ゲート通過コマンドを入力していない場合(ステップS305:NO)、副制御CPU41aは、右打ち検知処理を終了する。一方、ゲート通過コマンドを入力した場合(ステップS305:YES)、副制御CPU41aは、前述した時間経過によるリセット条件を判定するためのタイマに、リセット条件が成立することになる一定時間Tを設定する(ステップS306)。本実施形態において一定時間Tは[3分]に設定されている。タイマの計数値は、所定の制御周期毎(4m秒毎)に減算される。また、副制御CPU41aは右打ちカウンタのカウント値を1加算する(ステップS307)。
次に、右打ちカウンタの加算後の計数値が第1特定値であるかを判定する(ステップS308)。本実施形態では、第1特定値として[10]を設定している。第1特定値は、所定の報知として第2左打ち報知を実行させるための報知条件を成立させる値であって、当該値はゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数に相当する。
右打ちカウンタの計数値が第1特定値ではない場合(ステップS308:NO)、副制御CPU41aは、右打ちカウンタの加算後の計数値が第2特定値であるかを判定する(ステップS310)。本実施形態では、第2特定値として第1特定値[10]よりも小さい数である[2]、[4]、[6]、[8]の複数の値を設定している。第2特定値は、所定の報知として第1左打ち報知を実行させるための報知条件を成立させる値であって、当該値はゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数に相当する。
そして、右打ちカウンタの計数値が第2特定値である場合(ステップS310:YES)、副制御CPU41aは、第1左打ち報知の報知条件の成立によって第1左打ち報知を実行させる。本実施形態において副制御CPU41aは、図9に示したように画像表示部GHによる報知画像G1の表示(図8(a))と報知音の出力(「左打ちに戻して下さい」)によって第1左打ち報知を実行させる。本実施形態では、第1左打ち報知の報知時間を[10(秒)]に設定している。この報知時間は、第1左打ち報知の報知条件が成立してからの経過時間であり、第1左打ち報知の実行中に再度、第1左打ち報知の報知条件が成立したときにはその成立から新たな報知時間分、第1左打ち報知が実行される。つまり、第1左打ち報知は、直近の報知条件が成立した時点から報知時間、継続して実行される。
一方、右打ちカウンタの計数値が第1特定値である場合(ステップS308:YES)、副制御CPU41aは、第2左打ち報知の報知条件の成立によって第2左打ち報知を実行させる。本実施形態において副制御CPU41aは、図9に示したように画像表示部GHによる報知画像G1の表示(図8(a))と報知音の出力(警告音)によって第2左打ち報知を実行させる。本実施形態では、第2左打ち報知の報知時間を[30(秒)]に設定している。この報知時間は、第2左打ち報知の報知条件が成立してからの経過時間である。
本実施形態の右打ち検知処理では、ステップS302において第2左打ち報知の実行中であることを判定したときにはステップS303以降の処理を行わない。このため、第2左打ち報知の実行中、ゲート31を遊技球が通過してゲートセンサSE4によって遊技球が検知された場合であっても、右打ちカウンタの計数値は第1特定値([10])を超えることはない。つまり、第2左打ち報知の報知条件が成立した以降は、右打ちカウンタによる計数は行われない。そして、第2左打ち報知が終了することによって右打ちカウンタのリセット条件が成立した以降、右打ちがさらに継続された場合は、第1左打ち報知の報知条件が成立すれば第1左打ち報知が実行され、第2左打ち報知の報知条件が成立すれば第2左打ち報知が実行される。
なお、右打ちカウンタの計数値が第2特定値ではない場合(ステップS310:NO)、副制御CPU41aは、第1左打ち報知及び第2左打ち報知の何れの報知条件も成立していないことから右打ち検知処理を終了する。つまり、本実施形態において副制御CPU41aは、ゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数が、第2特定値に対応する個数に該当しない数であって、かつ第1特定値に対応する個数に達していないときには報知を実行させない。
本実施形態では、所定の報知として2種類の第1左打ち報知と第2左打ち報知を備えている。そして、第1左打ち報知の報知条件を成立させる遊技球の検知個数と第2左打ち報知の報知条件を成立させる遊技球の検知個数とを異なる個数に設定している。具体的に言えば、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は複数個(2以上の数)であり、第2左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数よりも大きな検知個数である。
したがって、本実施形態では、第2特定値([2]、[4]、[6]、[8])に対応する遊技球の検知個数が所定の報知である第1左打ち報知の報知条件を満たす所定の複数個に相当する。また、第2特定値に対応する遊技球の検知個数は複数種類あり、その複数種類の検知個数は偶数によって規定された連続しない数である。また、本実施形態では、第1特定値([10])に対応する遊技球の検知個数が、第1左打ち報知とは実行態様が異なり、かつ所定の報知である第2左打ち報知の報知条件を満たす特定個数に相当する。また、第1特定値及び第2特定値のそれぞれに対応する遊技球の検知個数は、2以上の所定個数に相当する。
そして、本実施形態では、右打ち検知処理のステップS308〜S311の処理を実行する副制御CPU41aが、ゲート31を通過する遊技球を検知する検知手段(検知センサ)であるゲートセンサSE4の検知結果をもとに所定の報知の実行を制御する報知制御手段として機能する。報知制御手段である副制御CPU41aは、遊技球の検知個数が報知条件を満たす所定の複数個であるときに第1左打ち報知を実行させる。また、報知制御手段である副制御CPU41aは、所定の複数個として定めた数(第2特定値)よりも大きい数(第1特定値)であって報知条件を満たす特定個数に達したときには特定個数に達していないときとは異なる実行態様である第2左打ち報知を実行させる。なお、第1左打ち報知と第2左打ち報知は、図9に示すように別の報知として捉えることもできる。このため、本実施形態において副制御CPU41aは、所定の複数個として定めた数(第2特定値)よりも大きい数(第1特定値)であって報知条件を満たす特定個数に達したときには所定の報知である第1左打ち報知とは別の報知である第2左打ち報知を実行させる報知制御手段とも言える。また、本実施形態では、右打ち検知処理のステップS307の処理を実行する副制御CPU41aが、検知センサであるゲートセンサSE4によって検知された遊技球の検知個数を計数する計数手段として機能する。
次に、図11及び図12にしたがって本実施形態のパチンコ遊技機10の作用、特に報知機能に基づいて各種の報知が実行される態様を説明する。なお、以下に説明する報知機能に基づく各種の報知は、副基板41の副制御CPU41aによって実行が制御される。
図11は、通常遊技(図中の低ベース状態)から大当り遊技に代わり、その大当り遊技終了後に特定遊技(図中の高ベース状態)へ代わった過程において報知が実行される態様を示す。本実施形態では、3種類の大当り図柄Za〜Zcを備えているが、図11に示す過程における大当り遊技は何れの大当り図柄に基づいて生起されていてもよく、報知機能に基づく報知が実行される態様は同一である。
通常遊技時に大当り抽選に当選した場合、大当りの特別ゲームの終了後に大当り遊技が生起される。通常遊技から大当り遊技に代わる場合、遊技球の発射が推奨される遊技領域は、左方の領域から右方の領域に代わる。このため、大当り遊技の開始に伴い、画像表示部GHには報知画像G2が表示されるとともにスピーカ17から報知音(「右打ちして下さい」)が出力され、遊技球の発射が推奨される遊技領域が右方の領域であることを報知する右打ち報知が実行される。
本実施形態において表示による右打ち報知は、大当り遊技が開始してから終了するまでの間、画像表示部GHに継続して報知画像G2を表示させる態様で実行される。また、本実施形態において報知音の出力による右打ち報知は、大当り遊技が開始してから所定時間T1(例えば、3秒)の間、実行される。なお、表示による右打ち報知の時間T2は大当り遊技が開始してから終了するまでの時間が不定であるから不定時間である。
そして、大当り遊技終了後、大当り遊技から特定遊技に代わる場合、特定遊技の開始に伴い、画像表示部GHには報知画像G2が表示されるとともにスピーカ17から報知音(「右打ちして下さい」)が出力され、遊技球の発射が推奨される遊技領域が右方の領域であることを報知する右打ち報知が実行される。このとき、表示による右打ち報知及び報知音の出力による右打ち報知は、何れも所定時間T1の間、実行される。
なお、通常遊技時、大当り遊技時、及び高ベース時は、特別ゲームに伴う演出ゲームの実行中などにおいて演出音が出力される(図中のON)。このとき、出力される演出音の出力は、設定器33の設定音量及び操作ボタン18の操作による設定音量に依存する音量である。また、図中に例示するように、通常遊技時にゲート31を遊技球が通過した場合は、図10に示す右打ち検知処理によって副制御RAM41cの右打ちカウンタの計数値がカウントされる。そして、右打ちカウンタの計数値は、図中に例示するように通常遊技から大当り遊技へ代わり、遊技球の発射を推奨する遊技領域が右方の領域になったことによってリセット条件が成立すると、0(零)にリセットされる。一方、大当り遊技、及び高ベース状態では、右打ちによってゲート31を遊技球が通過する場合もあるが、図10に示す右打ち検知処理によって副制御RAM41cの右打ちカウンタの計数値はカウントされない(つまり、0(零)のまま)。
図12は、大当りに当選することなく特定遊技(図中の高ベース状態)が終了し、特定遊技から通常遊技(図中の低ベース状態)へ代わった過程において報知が実行される態様を示す。
特定遊技から通常遊技に代わる場合、遊技球の発射が推奨される遊技領域は、右方の領域から左方の領域に代わる。このため、通常遊技の開始に伴い、画像表示部GHには報知画像G1が表示されるとともにスピーカ17から報知音(「左打ちして下さい」)が出力され、遊技球の発射が推奨される遊技領域が左方の領域であることを報知する左打ち報知が実行される。このように特定遊技から通常遊技に代わる場合に実行される左打ち報知は、遊技の形態が代わったことのみ、すなわち遊技球の発射が推奨される遊技領域が代わったことのみを条件として実行される。つまり、特定遊技から通常遊技に代わる場合に実行される左打ち報知は、その実行時において遊技球が発射されている遊技領域が左方の領域又は右方の領域の何れの場合であっても実行される。本実施形態では、特定遊技から通常遊技に代わる場合に実行される左打ち報知が、左方の領域への遊技球の発射を促す推奨報知に相当する。また、本実施形態において推奨報知に相当する左打ち報知に基づく報知音の音量は、設定器33の設定音量及び操作ボタン18の操作による設定音量に依存する。なお、表示による左打ち報知及び報知音の出力による左打ち報知は、何れも所定時間T1の間、実行される。
そして、図中に例示するように、通常遊技時にゲート31を遊技球が通過した場合は、図10に示す右打ち検知処理によって副制御RAM41cの右打ちカウンタの計数値がカウントされる。このとき、右打ちカウンタの計数値は、ゲートセンサSE4によって遊技球が検知されてから一定時間Tの間に検知され続けることで累積的に加算される。そして、図10に示す右打ち検知処理によって右打ちカウンタの計数値が第2特定値([2]、[4]、[6]、[8])であることが判定されると、第1左打ち報知が実行される。第1左打ち報知は、図9に示すように表示による報知と報知音による報知とで実行され、これらの報知は報知時間T3(本実施形態では10秒)の間、実行される。
なお、図中に例示するように、右打ちカウンタの計数値として例えば[4]〜[6]の値を取り得るまでの時間が、計数値[4]であるときに実行を開始した第1左打ち報知の報知時間T3よりも短い時間であるとき、第1左打ち報知演出は計数値[6]のときに実行を開始してからさらに報知時間T3の間、実行される。図中の報知時間T4は、計数値[4]のときに実行を開始した第1左打ち報知が実行されていた実行時間Tαに、計数値[6]のときに実行を開始した第1左打ち報知の報知時間T3を加算した時間である。
上記のような事象は、ゲート31に対して短時間で遊技球が連続的に入球することによって起こり得る。つまり、パチンコ遊技機10において遊技盤11の遊技領域12には、釘や風車など遊技球の動きに変化を与える部材が配設されており、これらの部材との衝突によって遊技球は打ち出された時の勢いを維持せず、流下する速度が減速されるとともに例えばゲート31へ到達する時間も様々に変化する。このため、遊技球は、所定の発射間隔(1分間に100球)で打ち出されるが、遊技盤11の盤面構成によってその発射間隔よりも短い間隔で例えばゲート31を通過する可能性がある。このため、ゲート31に対して短時間で遊技球が連続的に入球する事象は十分に起こり得る。
そして、図10に示す右打ち検知処理によって右打ちカウンタの計数値が第1特定値([10])であることが判定されると、第2左打ち報知が実行される。第2左打ち報知は、図9に示すように表示による報知と報知音による報知とで実行され、これらの報知は報知時間T5(本実施形態では30秒)の間、実行される。
なお、通常遊技時は、特別ゲームに伴う演出ゲームの実行中などにおいて演出音が出力される。この演出音は、第1左打ち報知が実行されているときには設定器33の設定音量及び操作ボタン18の操作による設定音量に依存する音量で出力される(図中のON)。一方、演出音は、第2左打ち報知が実行されているときには第2左打ち報知における報知音の出力が優先され、第2左打ち報知の報知時間T5の経過時までは消音される(図中のOFF)。
そして、第2左打ち報知が実行されている間は、ゲート31への遊技球の通過が発生しても、図10に示す右打ち検知処理によって右打ちカウンタの計数値はカウントされない。右打ちカウンタの計数値は、図中に例示するように報知時間T5の経過によって第2左打ち報知が終了することによってリセット条件が成立すると、0(零)にリセットされる。また、右打ちカウンタの計数値は、図中に例示するように、ゲートセンサSE4によって遊技球が検知されてから一定時間Tの間に次の遊技球が検知されなかった場合、時間経過に基づくリセット条件の成立によって0(零)にリセットされる。
なお、通常遊技時に第1特別保留数及び第2特別保留数の何れもが0(零)の場合、パチンコ遊技機10ではデモ演出が行われる。この場合のデモ演出は、通常遊技時、すなわち遊技状態が低確率状態、かつ低ベース状態であるときに実行されている。このため、通常遊技時に移行したデモ演出中に報知条件が成立した場合には、図12を用いて説明したときと同様、成立した報知条件に基づく第1左打ち報知又は第2左打ち報知が実行される。
また、ゲート31への遊技球の通過によって普通ゲームの保留条件が成立した場合には、普通ゲームの始動条件の成立によって普通ゲームが開始され、普通当りに当選しているときには普通当り遊技が行われる。そして、普通当り遊技中において第2始動口27へ遊技球が入球し、第2特別ゲームの保留条件が成立すると、第2特別ゲームが実行される。このように通常遊技時に第2特別ゲームが実行される場合であっても、報知条件が成立したときには、図12を用いて説明したときと同様、成立した報知条件に基づく第1左打ち報知又は第2左打ち報知が実行される。また、普通保留数は普通ゲームの始動条件が成立することで1減算されることから、通常遊技時にゲート31へ遊技球を通過させれば普通保留数は上限数に達する場合もある。このように通常遊技時に普通保留数が上限数に達している場合、及び普通保留数が上限数未満である場合の何れでも、図12を用いて説明したときと同様、成立した報知条件に基づく第1左打ち報知又は第2左打ち報知が実行される。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)通常遊技時に遊技球の発射が推奨される遊技領域とは異なる遊技領域に遊技球が発射されている場合には報知を実行させる。具体的に言えば、通常遊技時にゲート31を通過した遊技球の個数(ゲートセンサSE4の検知個数)が、報知条件を満たす個数になった場合に、第1左打ち報知又は第2左打ち報知を実行させる。そして、第1左打ち報知と第2左打ち報知は異なる実行態様で実行される。このように実行態様が異なる報知を実行させることで報知に変化を生じさせ、通常遊技時に遊技球の発射が推奨される遊技領域とは異なる遊技領域に遊技球を発射させていることを遊技者に分かり易く報知することができる。したがって、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(2)また、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数と第2左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は異なる個数であり、第2左打ち報知の報知条件を満たす検知個数を第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数に比して大きくしている。このため、通常遊技時にゲート31を通過した遊技球の個数の増加によって報知の実行態様を変化させるので、分かり易い報知を実現でき、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(3)特に、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は複数種類あることから、第2左打ち報知の報知条件が満たされるまでに第1左打ち報知が複数回実行されることになる。このため、第1左打ち報知によって報知が実行されている事実を遊技者に認識させた上で、実行態様が異なる第2左打ち報知が実行されることになり、報知の変化を遊技者に認識させ易い。したがって、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(4)また、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は、所定の複数個に設定されているので、1球目の通過に基づく第1左打ち報知の実行を規制することができる。特定遊技から通常遊技へ代わることによって右打ちから左打ちに発射強度を変更した当初は、遊技者の意に反して遊技球がゲート31を通過する可能性がある。このため、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数を所定の複数個に設定することで、第1左打ち報知が実行されるまでの間に裕度期間を設けることができる。したがって、遊技者の意に反して遊技球がゲート31を通過したにも拘わらず、報知が実行されることによる不快感を遊技者に与えないようにすることができる。
(5)また、第1左打ち報知の報知条件を満たす複数種類の検知個数は連続しない数であるので、不連続的な報知になる可能性が高い。つまり、遊技球を連続して発射させている場合でも、報知は断続的に実行される可能性が高く、報知のON/OFFというようにメリハリを付けることができる。このため、報知が実行されていることを遊技者に認識させ易い。したがって、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(6)また、複数種類の検知個数を連続しない数とすれば、第1左打ち報知が実行されない状況(実施形態では、1,3,5,7,9球目の各奇数目)が作り出される。このため、遊技者の意に反して遊技球がゲート31を通過してしまった場合などにおいて第1左打ち報知が何度も実行されることによる不快感を遊技者に与えないようにすることができる。
(7)また、第2左打ち報知は第1左打ち報知よりも報知の強度を強めている。このため、第1左打ち報知を注意としての位置付けとすれば、第2左打ち報知は警告としての位置付けになる。このため、報知の変化を遊技者に認識させ易い。したがって、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(8)特に、第1左打ち報知の報知条件を満たす検知個数は複数種類あることから、第1左打ち報知を複数回実行させても、遊技球を発射させる遊技領域を依然として変更しない遊技者に対して、遊技領域を変更することに対しての強制力を強めることができる。
(9)パチンコ遊技機10は、稼働中に特定遊技から通常遊技へ代わる状況が何度も到来する場合がある。このため、右打ちカウンタのリセット条件を設定することで、特定遊技から通常遊技へ代わる度に同一条件下で第1左打ち報知及び第2左打ち報知の実行を制御することができる。
(10)そして、リセット条件には、ゲートセンサSE4で遊技球が検知されてから一定時間Tの間に次の遊技球が検知されないことを含む。一定時間Tの間、次の遊技球が検知されない場合は、遊技者が既に推奨される遊技領域へ遊技球を発射させていると判断することもできる。このため、このような時間経過によるリセット条件を設定すれば、右打ちカウンタの計数値が何時までもリセットされずに放置されることを防ぐことができる。
(11)特定遊技から通常遊技へ代わったときには推奨報知としての左打ち報知を一義的に実行させる。これにより、遊技の形態の変化によって遊技球の発射が推奨される遊技領域にも変化が生じたことを遊技者に認識させることができる。このような全ての遊技者を対象とした報知を実行させつつ、報知条件を満たしたときには第1左打ち報知及び第2左打ち報知を実行させるので、パチンコ遊技機10の報知機能を充実させることができる。
(12)第1左打ち報知及び第2左打ち報知を構成する報知音の音量は、設定器33の設定音量及び操作ボタン18の操作による設定音量を問わずに一定音量である。このため、例えば遊技者や遊技場の管理者が音量調整機能によって音量を小さく設定している場合でも、遊技者に対して分かり易く報知を実行させることができる。したがって、遊技性に即した遊技を遊技者に好適に推奨できる。
(13)第1左打ち報知及び第2左打ち報知を構成する報知音の音量は、設定器33及び操作ボタン18の操作により設定可能な最大音量である。このため、遊技者に第1左打ち報知及び第2左打ち報知を認識させ易くすることができる。したがって、遊技者に対して分かり易く報知を実行させることができる。
(14)一方で、推奨報知である左打ち報知の音量は、設定器33や操作ボタン18の操作により設定された音量に依存する。このため、通常の演出音と同様の扱いとすることができ、遊技者の好みに応じて音量を設定させることができる。つまり、遊技性を十分に理解している遊技者に、必要以上に目立って左打ち報知が実行されることがなく、そのように報知が実行されることによる不快感を遊技者に与えないようにすることができる。
(15)第2左打ち報知を実行させる場合は、演出音を消音させる。このため、第2左打ち報知を構成する報知音を目立たせ、第2左打ち報知が実行されていることを認識させ易くすることができる。つまり、第2左打ち報知を構成する報知音は他の音が消音された状態で実行されることから、第2左打ち報知の警告感をより強めることができる。また、周囲で遊技する遊技者や遊技場の管理者にも、遊技性に即した遊技が行われていないことを告げることもできる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図13(a),(b)に示すように、第1左打ち報知を構成する表示による報知の実行態様と、第2左打ち報知を構成する表示による報知の実行態様を異なる態様としてもよい。具体的に例示すれば、第1左打ち報知のときには、図13(a)に示すように図8で説明した報知画像G1と同様の報知画像G3を表示させるとともに、第2左打ち報知のときには、図13(b)に示すように報知画像G3に比して表示面積が大きい報知画像G4を表示させてもよい。報知画像G4のように画像表示部GHの画像表示面積に占める割合を大きくすれば、第2左打ち報知が実行されていることを遊技者に認識させ易くできる。それに加え、報知画像G4の表示面積を大きくすることは、画像表示部GHに画像表示される表示演出の視認性を低下させることに繋がる。このため、報知画像G4の表示面積を大きくすることは、通常遊技において右打ちを止めさせる抑止力になり得る。なお、本別例のように報知画像G3,G4の表示面積を異ならせることは報知の実行態様を異ならせることであり、第2左打ち報知の報知画像G4は第1左打ち報知の報知画像G3に比して報知の強度を強くしていることになる。
・第1左打ち報知と第2左打ち報知を実行する報知手段を変更してもよい。例えば、第1左打ち報知と第2左打ち報知を報知音の出力のみによって実現してもよい。また、第1左打ち報知と第2左打ち報知を実行させる報知手段の種類を変更することによって実現してもよい。例えば、第1左打ち報知を表示による報知のみとし、第2左打ち報知を表示による報知に加え、報知音による報知としてもよい。また、第1左打ち報知を表示による報知とし、第2左打ち報知を報知音による報知としてもよい。つまり、第1左打ち報知を実行する報知手段と第2左打ち報知を実行する報知手段は、全ての報知手段を同一としてもよいし、一部の報知手段を同一又は一部の報知手段が異なるようにしてもよいし、全ての報知手段を異なるようにしてもよい。なお、複数の液晶(メイン液晶とサブ液晶)を備え、第1左打ち報知をサブ液晶で実行させる一方で第2左打ち報知をメイン液晶で実行させる場合は、液晶というカテゴリーにおいては同一の報知手段として定義付けてもよいし、メイン液晶とサブ液晶というように装置の種類というカテゴリーにおいては異なる報知手段として定義付けてもよい。
・また、第1左打ち報知と第2左打ち報知を実行する報知手段として、例えば枠や遊技盤11に設けられた発光装置としての装飾ランプ16を採用してもよい。また、第1左打ち報知と第2左打ち報知を実行する報知手段として、可動体を採用してもよい。そして、第1左打ち報知と第2左打ち報知は、表示装置、装飾ランプ、スピーカ、及び可動体の何れか1つの装置で実行させてもよいし、これらの装置を任意に組み合わせて実行させてもよい。
・第1左打ち報知と第2左打ち報知の強度を異ならせることは、様々な手法によって実現可能である。例えば、第1左打ち報知の報知時間よりも第2左打ち報知の報知時間を長くすることで実現可能である。また、表示による報知であれば、前述した別例のように表示面積を変更すること、報知画像の色合いを変更すること、報知画像を点滅表示させる場合には点滅間隔を変更すること、又は報知画像に合成される文字画像を変更することなどによって実現可能である。色合いを変更することには、例えば、薄い色から濃い色に変更することを含む。点滅間隔を変更することには、例えば、点滅間隔を長い間隔から短い間隔に変更することを含む。文字画像を変更することには、例えば注意の意味合いである第1左打ち報知では「左打ちに戻して下さい」というように要請するような画像とし、警告の意味合いである第2左打ち報知では「左方の領域に打て」というように命令するような画像としてもよい。
・また、上記別例において報知音の出力による報知であれば、音量を変更すること、音質を変更すること、などによって報知の強度を異ならせることができる。音量を変更することには、音量の大小を含む。音質を変更することには、例えば低音重視の報知と高音重視の報知とを含む。
・また、上記別例において発光による報知であれば、発光させる発光体の数を変更すること、発光色を変更すること、などによって報知の強度を異ならせることができる。発光体の数を変更することには、発光させる発光体の個数の多少を含む。つまり、発光させる発光体の個数を多くすれば発光量を増加させることができる。発光色を変更することには、例えば薄い色から濃い色に変更することを含む。また、上記別例において可動体による報知であれば、動作させる可動体の数を変更すること、動作させる可動体の種類を変更すること、などによって報知の強度を異ならせることができる。
・報知条件を満たすことによって実行される報知は継続的(連続的)に実行する場合に限らず、断続的に実行してもよい。つまり、実施形態の報知を例示すれば、1回の報知条件の成立によって表示による報知と報知音の出力による報知を、断続的に複数回実行させてもよい。また、第1左打ち報知は継続的に実行し、第2左打ち報知は断続的に複数回実行させてもよい。また、実施形態のように第1左打ち報知と第2左打ち報知を実行する報知手段が複数存在する場合において、全部又は一部の報知手段による報知を断続的に実行させてもよい。
・第1左打ち報知の報知条件を満たす遊技球の検知個数(第2特定値)を変更してもよい。例えば、検知個数の種類を1〜3種類及び5種類以上から任意に設定してもよい。また、検知個数を[1]を除く奇数個としてもよい。また、検知個数として複数種類の個数を設定する場合において、その個数を連続しない数とするときには数間の差を2以上としてもよい。また、検知個数として複数種類の個数を設定する場合において、その個数を連続する数としてもよい。
・第2左打ち報知の報知条件を満たす遊技球の検知個数(第1特定値)を変更してもよい。
・第1左打ち報知は、報知条件が成立した遊技球の検知個数に応じて実行態様を異ならせてもよい。例えば、表示による報知であれば、最初の報知を「左打ちをして下さい」とし、次の報知を「まだ左打ちするの」とし、さらに次の報知を「何時まで左打ちをするの」というように変化させてもよい。また、報知音の出力による報知であれば、検知個数の増加に伴って音量を上げてもよい。また、報知条件が成立する遊技球の検知個数のうち、所定の個数を超えてから実行態様を変化させてもよい。
・通常遊技時に遊技球の発射を推奨しない遊技領域(実施形態では右方の領域)を流下する遊技球を検知する検知手段を変更してもよい。例えば、前記遊技領域を流下する遊技球を検知する専用の検知手段(検知センサ)としてもよい。また、一般入賞口などゲート31以外に入球した遊技球を検知する検知手段を兼用してもよい。
・第2左打ち報知を実行させている場合の演出音は、その音量を下げるようにしてもよい。
・パチンコ遊技機には、遊技盤11の左方の領域と右方の領域のそれぞれにゲートを配置したものがある。この種のパチンコ遊技機では、通常遊技時に左方の領域のゲートを通過し、普通当りに当選したときに選択される第2始動口27の第1可変部材28の開放パターンとしてショート開放パターンとロング開放パターンとを備える。このような開放パターンを備えることで、通常遊技時において第2始動口27へ入球する確率を高めることが可能である。このため、このような仕様のパチンコ遊技機において第2始動口27へ遊技球を入球させる際に左打ちから右打ちに変更させる場合は、通常遊技時における第1左打ち報知及び第2左打ち報知の実行対象から外してもよい。つまり、第2始動口27へ遊技球を入球させるために右打ちを行った結果、右方の領域のゲート31を遊技球が通過し、ゲートセンサSE4で検知されても、報知条件を満たすかの判定に用いる遊技球の検知個数としてはカウントしない。
・第2左打ち報知は、遊技球の検知個数が所定の複数個(第2特定値に相当する個数)を超えた場合にその後の検知個数(第1特定値に相当する個数)に応じて実行される報知として捉えることもできる。また、第2左打ち報知は、遊技球の検知個数が所定数(第1左打ち報知の報知条件を満たす数よりも大きな数)を超えたときに実行される報知として捉えることもできる。そして、第2特定値のうち最も大きい値と第1特定値との差を2以上としてもよい。
・第1左打ち報知及び第2左打ち報知の音量は、設定器33の設定音量及び操作ボタン18の操作による設定音量のうち最大音量を超える音量としてもよい。つまり、第1左打ち報知及び第2左打ち報知の音量である一定音量は、パチンコ遊技機10において出力可能な最大音量としてもよい。例えば、このような最大音量は、RAMクリア、主基板エラーなど重要度の高いエラーが発生したときのエラー音の音量として用いられる。
・第1左打ち報知を構成する報知音の音量と第2左打ち報知を構成する報知音の音量を異なる音量としてもよい。例えば、第1左打ち報知を構成する報知音の音量を設定器33及び操作ボタン18の操作によって設定可能な最大音量とし、第2左打ち報知を構成する報知音の音量をパチンコ遊技機10において出力可能な最大音量としてもよい。
・推奨報知として実行される左打ち報知の実行態様を変更してもよい。例えば、左打ち報知を表示による報知のみとしてもよいし、報知音の出力による報知のみとしてもよい。また、発光による報知としてもよいし、表示、音及び発光を任意に組み合わせた報知としてもよい。
・通常遊技時における普通当り抽選の当選確率を0(零)としてもよい。この場合、通常遊技時には普通当り抽選に当選しないことから第2始動口27へ入球させることはできない。しかし、このような仕様のパチンコ遊技機であっても、実施形態のように報知条件が満たされた場合に第1左打ち報知及び第2左打ち報知を実行させることは、遊技性に即した遊技を遊技者に推奨する目的において有効な手段となり得る。
・実施形態は、通常遊技時に右打ちを行い、特定遊技時に左打ちを行う仕様のパチンコ遊技機にも適用することができる。つまり、この仕様のパチンコ遊技では、第1左打ち報知を第1右打ち報知として実行するとともに、第2左打ち報知を第2右打ち報知として実行すればよい。
・図10に示す右打ち検知処理は、主基板40の主制御CPU40aに実行させてもよい。そして、主制御CPU40aは、右打ち検知処理のステップS309において副基板41に第2左打ち報知の実行を指示する制御コマンドを出力し、ステップS311において副基板41に第1左打ち報知の実行を指示する制御コマンドを出力する。また、図10に示す右打ち検知処理を主制御CPU40aが実行する場合、ステップS305の処理はゲートセンサSE4の検知信号を入力したかの判定となる。
・副制御CPU41aは、遊技の形態が代わったときに主制御CPU40aが出力する左打ち指定コマンド及び右打ち指定コマンドを入力することにより、遊技球の発射を推奨する遊技領域を報知してもよい。
・主制御CPU40aは、大当り遊技を除く低ベース状態においてゲートセンサSE4の検知信号を入力したことにより、ゲート通過コマンドを副制御CPU41aへ出力してもよい。
・パチンコ遊技機10に例えば遊技場で管理されているホールコンピュータを接続できる接続手段(外部接続手段)を備えている場合、報知条件の成立によって報知が実行されたことを特定可能な信号を出力してもよい。この場合、第1左打ち報知及び第2左打ち報知のそれぞれが実行される毎に外部出力してもよいし、第1左打ち報知では外部出力せずに、第2左打ち報知では外部出力するようにしてもよい。この別例によれば、遊技場の管理者にホールコンピュータを通じて報知が実行されたことを知らせることができる。例えば、接続手段が主基板40に接続されている場合には、図10に示す右打ち検知処理を主制御CPU40aに実行させてもよい。
・大当りの種類は任意に変更してもよい。また、大当りの種類によって大当り遊技終了後に付与される高確率状態、高ベース状態の付与条件を変更してもよい。
・パチンコ遊技機10を、遊技球が特定領域を通過することを契機に大当り遊技を付与する遊技機(所謂1種2種混合機)に具体化してもよい。
・確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機10として、次回の当りに当選するまで高確率状態を付与する仕様や、転落抽選に当選するまで高確率状態を付与する仕様(転落機)、あるいは予め定めた回数分の図柄変動ゲームが終了するまで高確率状態を付与する仕様(ST機)がある。また、確率変動機能を搭載したパチンコ遊技機には、遊技球が特定領域を通過することを契機に高確率状態を付与する仕様(V確変機)がある。実施形態のパチンコ遊技機10は、これらの何れの仕様のパチンコ遊技機に具体化してもよい。また、パチンコ遊技機10は、上記した転落機とV確変機を混合させた仕様のパチンコ遊技機であってもよい。
・なお、上記した別例におけるST機では、高確率状態の終了によって特定遊技から通常遊技へ代わることとしてもよい。また、上記した別例における転落機では、高ベース状態の終了によって特定遊技から通常遊技へ代わることとしてもよい。なお、転落機において高ベース状態が終了する条件には、特定遊技が開始してからの図柄変動ゲーム(特別ゲーム)の実行回数が予め定めた上限回数に達したことを条件とする場合がある。この条件によって特定遊技から通常遊技へ代わる場合は、上限回数に達する前に転落抽選に当選し、低確率状態へ移行している場合である。また、転落機において高ベース状態が終了する条件には、前記上限回数を超えても転落抽選に当選していないときに転落抽選に当選したことを条件とする場合がある。この場合、高ベース状態は、上限回数を超える不定回数の間、維持されることになる。このため、前記不定回数を特定遊技が開始してからの図柄変動ゲーム(特別ゲーム)の実行回数が所定回数に達したことで特定遊技から通常遊技へ代わる場合の所定回数としてもよい。
・副基板41をサブ統括基板とし、副基板41とは別に演出表示装置25を専門に制御する表示制御基板、装飾ランプ16を専門に制御する発光制御基板、スピーカ17を専門に制御する音声制御基板を設けてもよい。このようなサブ統括基板とその他の演出を制御する基板を含めて副基板としてもよい。なお、サブ統括基板を設ける場合、図10の右打ち検知処理はサブ統括基板で行う。そして、サブ統括基板のCPUは、右打ち検知処理のステップS309において表示制御基板と音声制御基板のそれぞれに第2左打ち報知の実行を指示する制御コマンドを出力し、ステップS311において表示制御基板と音声制御基板のそれぞれに第1左打ち報知の実行を指示する制御コマンドを出力する。
・また、上記別例においてサブ統括基板は、表示制御基板、発光制御基板及び音声制御基板のそれぞれとは別の基板である必要はなく、例えば表示制御基板をサブ統括基板として機能させてもよいし、音声制御基板をサブ統括基板として機能させてもよい。
・また、単一の基板に主基板40の主制御CPU40aと副基板41の副制御CPU41aとを搭載してもよい。また、上記の別例において、表示制御基板、発光制御基板、及び音声制御基板を任意に組み合わせて単数の基板、若しくは複数の基板としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記所定の複数個には、複数種類の個数を含み、前記複数種類の個数は連続しない数である。
(ロ)前記報知制御手段は、前記遊技球の検知個数が、前記所定の複数個に該当しない数であって、かつ前記特定個数に達していないときには前記所定の報知を実行させない。
(ハ)遊技盤には通常遊技時において遊技球の発射が推奨される第1遊技領域と、前記通常遊技時においては遊技球の発射を推奨しない第2遊技領域とがあり、遊技球の発射が推奨される遊技領域が前記第1遊技領域であるときに前記第2遊技領域に遊技球が発射され、報知条件が成立した場合には所定の報知を行う遊技機において、前記第2遊技領域を流下する遊技球を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果をもとに前記所定の報知の実行を制御する報知制御手段と、を備え、前記報知制御手段は、前記検知手段によって検知された遊技球の検知個数が前記報知条件を満たす所定の複数個であるときに前記所定の報知を実行させ、前記検知個数が所定数を超えたときには前記所定数に達していないときとは異なる実行態様で前記所定の報知を実行させる、又は前記所定の報知に代えて別の報知を実行させる遊技機。
(ニ)遊技盤には通常遊技時において遊技球の発射が推奨される第1遊技領域と、前記通常遊技時においては遊技球の発射を推奨しない第2遊技領域とがあり、遊技球の発射が推奨される遊技領域が前記第1遊技領域であるときに前記第2遊技領域に遊技球が発射され、報知条件が成立した場合には報知音を出力させる遊技機において、前記第2遊技領域を流下する遊技球を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果をもとに前記報知音の出力を制御する報知制御手段と、前記遊技機の音量を複数段階で設定可能な音量設定手段と、を備え、前記報知制御手段は、前記検知手段によって検知された遊技球の検知個数が前記報知条件を満たす2以上に定めた所定個数であるときに前記報知音を出力させ、前記報知条件が成立したときに出力される前記報知音の音量は前記音量設定手段の設定音量を問わずに一定音量である遊技機。
(ホ)前記一定音量は、予め定めた最大音量である前記技術的思想(ニ)に記載の遊技機。
(ヘ)前記第2遊技領域は特定遊技時に遊技球の発射が推奨され、前記特定遊技から前記通常遊技へ代わる場合、前記報知制御手段は、前記第1遊技領域への遊技球の発射を促す推奨報知を実行させ、前記推奨報知は、当該推奨報知の実行時において遊技球が発射されている遊技領域が前記第1遊技領域又は前記第2遊技領域の何れの場合であっても実行される前記技術的思想(ニ)又は(ホ)に記載の遊技機。
(ト)前記推奨報知が実行される場合には報知音が出力され、前記特定遊技から前記通常遊技へ代わったときに出力される前記報知音の音量は前記音量設定手段の設定音量に基づく音量である前記技術的思想(ヘ)に記載の遊技機。
(チ)遊技盤には通常遊技時において遊技球の発射が推奨される第1遊技領域と、前記通常遊技時においては遊技球の発射を推奨しない第2遊技領域とがあり、遊技球の発射が推奨される遊技領域が前記第1遊技領域であるときに前記第2遊技領域に遊技球が発射され、報知条件が成立した場合には報知音を出力させる遊技機において、前記第2遊技領域を流下する遊技球を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果をもとに前記報知音の出力を制御する報知制御手段と、前記遊技機の音量を複数段階で設定可能な音量設定手段と、を備え、前記報知制御手段は、前記検知手段によって検知された遊技球の検知個数が前記報知条件を満たす2以上に定めた所定個数であるときに前記報知音を出力させ、前記報知音の音量は前記音量設定手段による設定を不能とした遊技機。