1 実施の形態1
1.1 序
実施の形態1は、空調付き住宅、空調システムおよびコントローラに関する。
1.2 住宅
図1は、実施の形態1の空調システムが設置される住宅の1階部分を示す模式図である。
図1に示される住宅1020は、リビングルーム1040、キッチン1041、ホール1042およびトイレ1043を有する。リビングルーム1040、キッチン1041、ホール1042およびトイレ1043の各々が他の種類の部屋に置き換えられてもよい。住宅1020がリビングルーム1040、キッチン1041、ホール1042およびトイレ1043以外の部屋を有してもよい。例えば、住宅1020がダイニングルームを有してもよい。住宅1020がリビングルーム1040、キッチン1041、ホール1042およびトイレ1043の一部または全部を有しない場合もある。住宅1020は、住宅1020が有する一の部屋から住宅1020が有する他の部屋に人が自由に移動できるように構成される。
リビングルーム1040、キッチン1041およびホール1042には、窓1060,1061および1062がそれぞれ形成される。リビングルーム1040には、玄関1063が形成される。ホール1042には、2階へ向かう階段1064が設置される。
1.3 空調付き住宅および空調システム
図2は、実施の形態1の空調付き住宅を示す模式図である。図3は、実施の形態1の空調付き住宅を示すブロック図である。
図2に示される空調付き住宅1000は、住宅1020および空調システム1021を備える。空調付き住宅1000がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。空調システム1021は、図2および3に示されるように、在室センサ1080、在室センサ1081、空調機1082、コントローラ1083および通信経路1084を備える。空調システム1021がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。
在室センサ1080は、リビングルーム1040に設置され、リビングルーム1040の在室状況を検知する。在室センサ1081は、キッチン1041に設置され、キッチン1041の在室状況を検知する。これにより、在室センサ1080および1081は、リビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況を検知する検知機構になる。リビングルーム1040の在室状況は、人がリビングルーム1040に在室しているか否かを示し、在室状態または不在状態となる。キッチン1041の在室状況は、人がキッチン1041に在室しているか否かを示し、在室状態または不在状態となる。リビングルーム1040およびキッチン1041を含む3個以上の部屋の在室状況が検知されてもよい。
空調機1082は、リビングルーム1040に設置され、リビングルーム1040の室温がリビングルーム1040の目標室温に近づくようにリビングルーム1040の空調を行う。
空調付き住宅1000においては、空調機1082が、空調対象部屋であるリビングルーム1040の空調を行い、在室センサ1080が、空調対象部屋であるリビングルーム1040の在室状況を検知し、在室センサ1081が、第1の部屋であるリビングルーム1040と異なり非空調対象部屋である第2の部屋であるキッチン1041の在室状況を検知する。空調対象部屋すなわち第1の部屋がリビングルーム1040以外の部屋であってもよい。第2の部屋がキッチン1041以外の部屋であってもよい。
コントローラ1083は、通信経路1084を介して在室センサ1080および1081の各々に通信可能に接続され、通信経路1084を介して在室センサ1080からリビングルーム1040の在室状況を示す検知信号を受信し、通信経路1084を介して在室センサ1081からキッチン1041の在室状況を示す検知信号を受信する。コントローラ1083は、通信経路1084を介して空調機1082に通信可能に接続され、通信経路1084を介して空調機1082にリビングルーム1040の目標室温を示す制御信号を送信する。これにより、コントローラ1083は、空調機1082を制御する空調制御装置として機能する。
1.4 コントローラ
図4は、実施の形態1の空調システムを示すブロック図である。
コントローラ1083は、図4に示されるように、通信部1100、中央演算処理装置(CPU)1101、メモリ1102、タイマー1104および入力部1105を備える。コントローラ1083がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。CPU1101は、制御アルゴリズムを定義する制御プログラムを実行することにより、条件付き在室率計算部1121、標準パターン計算部1122、制御用在室率計算部1123および目標室温決定部1124として機能する。CPU1101からなる演算装置が他の種類の演算装置に置き換えられてもよい。例えば、CPU1101からなる演算装置が、プログラムを実行しない電子回路からなる演算装置に置き換えられ、条件付き在室率計算部1121、標準パターン計算部1122、制御用在室率計算部1123および目標室温決定部1124が、プログラムを実行しない電子回路により実装されてもよい。
通信部1100は、通信経路1084を介して在室センサ1080および1081の各々に接続され、在室センサ1080からリビングルーム1040の在室状況を示す検知信号を受信し、在室センサ1081からキッチン1041の在室状況を示す検知信号を受信する。これにより、通信部1100は、在室センサ1080および1081からリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況を取得する取得部として機能する。通信部1100は、取得したリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況をメモリ1102に記憶させる。これにより、メモリ1102は、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141を記憶する記憶部として機能する。メモリ1102からなる記憶装置が他の種類の記憶装置に置き換えられてもよい。例えば、メモリ1102からなる記憶装置がハードディスクドライブからなる記憶装置に置き換えられてもよい。
条件付き在室率計算部1121は、メモリ1102からリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141を読み出し、読み出したリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141からリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算し、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率1161をメモリ1102に記憶させる。リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示し、当該条件付き確率の時系列となっている。
標準パターン計算部1122は、メモリ1102からリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140を読み出し、読み出したリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140からリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算し、計算したリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162をメモリ1102に記憶させる。リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162は、人がリビングルーム1040に在室している標準的な確率を示し、当該確率の時系列となっている。
タイマー1104は、時間を計測する。
制御用在室率計算部1123は、タイマー1104に時間の計測をリセットさせ、タイマー1104に時間の計測を開始させ、タイマー1104から計測されている時間を得る。制御用在室率計算部1123は、メモリ1102からリビングルーム1040の条件付き在室率1161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を読み出し、タイマー1104から計測されている時間を得、空調機1082の制御に利用される制御用在室率1180を計算し、計算した制御用在室率1180をメモリ1102に記憶させる。
入力部1105は、使用者1900によるリビングルーム1040の設定室温1200の入力を受け付け、入力されたリビングルーム1040の設定室温1200をメモリ1102に記憶させる。
目標室温決定部1124は、メモリ1102から制御用在室率1180およびリビングルーム1040の設定室温1200を読み出し、リビングルーム1040の目標室温1220を決定し、決定したリビングルーム1040の目標室温1220をメモリ1102に記憶させる。空調機1082が暖房を行う暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220は、制御用在室率1180が低くなるほど低くなる。空調機1082が冷房を行う冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220は、制御用在室率1180が低くなるほど高くなる。したがって、空調機1082の空調熱量は、制御用在室率1180が低くなるほど小さくなる。空調機1082の空調熱量は、暖房時は空調機1082がリビングルーム1040に供給する熱量であり、冷房時は空調機1082がリビングルーム1040から回収する熱量である。空調機1082は、目標室温決定部1124が決定したリビングルーム1040の目標室温1220にしたがってリビングルーム1040の空調を行うため、目標室温決定部1124は、制御用在室率1180が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御を空調機1082に行う制御部として機能する。
通信部1100は、メモリ1102からリビングルーム1040の目標室温1220を読み出し、読み出したリビングルーム1040の目標室温1220を示す制御信号を通信経路1084を介して空調機1082に送信する。
1.5 空調機の制御が実行される前のコントローラの動作
図5は、実施の形態1における空調機の制御が実行される前のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図5に示されるステップS101においては、入力部1105が、リビングルーム1040の設定室温1200の入力があるか否かを判定する。入力がある場合は、処理がステップS102に進められる。入力がない場合は、処理がステップS103に進められる。
ステップS102においては、入力部1105が、入力されたリビングルーム1040の設定室温1200をメモリ1102に記憶させる。
ステップS101およびS102により、リビングルーム1040の設定室温1200が新たに入力された場合は、新たに入力され新たにメモリ1102に記憶されたリビングルーム1040の設定室温1200が空調機1082の制御に利用され、リビングルーム1040の設定室温1200が新たに入力されない場合は、過去に入力されメモリ1102に記憶されているリビングルーム1040の設定室温1200が空調機1082の制御に利用される。
ステップS102に続くステップS103においては、通信部1100が、周期的に更新されるリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況の更新タイミングが到来しているか否かを判定する。更新タイミングが到来している場合は、処理がステップS104に進められる。更新タイミングが到来していない場合は、処理が再びステップS101に進められる。これにより、更新タイミングが到来するまで入力部1105がリビングルーム1040の設定室温1200の入力を繰り返し受け付ける。
ステップS103に続くステップS104においては、通信部1100が、リビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況を受信し、受信したリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況をメモリ1102に記憶させる。このとき、過去にメモリ1102に記憶させられたリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況はある程度の時間が経過するまでメモリ1102から消去されることなくメモリ1102に記憶させられたままである。これにより、メモリ1102には、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141が記憶される。
ステップS104に続くステップS105においては、標準パターン計算部1122が、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算し、ステップS105に続くステップS106においては、標準パターン計算部1122が、計算したリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162をメモリ1102に記憶させる。
ステップS106に続くステップS107においては、条件付き在室率計算部1121が、リビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算し、ステップS107に続くステップS108においては、条件付き在室率計算部1121が、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率1161をメモリ1102に記憶させる。
ステップS108に続くステップS109においては、空調システム1021の運転が終了したか否かが判定される。運転が終了した場合は、処理が終了する。運転が終了していない場合は、処理が再びステップS101に進められる。これにより、空調システム1021の運転が行われている間は、リビングルーム1040の設定室温1200が入力されるたびに空調機1082の制御に利用されるリビングルーム1040の設定室温1200が更新され、リビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況の更新タイミングが到来するたびにリビングルーム1040の在室状況、キッチン1041の在室状況、リビングルーム1040の条件付き在室率1161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が更新される。リビングルーム1040の条件付き在室率1161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162は、必ずしもリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況の更新タイミングが到来するたびに更新される必要はない。このため、リビングルーム1040の条件付き在室率1161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が例えば1日または1ヶ月に1回だけ更新されることも許される。
1.6 空調機の制御が実行される時のコントローラの動作
図6は、実施の形態1における空調機の制御が実行される時のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図6に示されるステップS111においては、制御用在室率計算部1123が、制御用在室率1180を計算し、ステップS111に続くステップS112においては、制御用在室率計算部1123が、計算した制御用在室率1180をメモリ1102に記憶させる。
ステップS112に続くステップS113においては、目標室温決定部1124が、リビングルーム1040の目標室温1220を決定し、ステップS113に続くステップS114においては、目標室温決定部1124が、決定したリビングルーム1040の目標室温1220をメモリ1102に記憶させる。
ステップS114に続くステップS115においては、通信部1100が、決定したリビングルーム1040の目標室温1220を空調機1082に送信する。
ステップS115に続くステップS116においては、空調機1082の運転が終了したか否かが判定される。運転が終了した場合は、処理が終了する。運転が終了していない場合は、処理が再びステップS111に進められる。これにより、空調機1082の運転が行われている間は、制御用在室率1180およびリビングルーム1040の目標室温1220が繰り返し更新される。
1.7 リビングルームの条件付き在室率を利用することの利点
1.7.1 確率変数
図7は、実施の形態1における確率変数を説明する図である。
図7に示される確率変数Aは、リビングルーム1040の在室状況を表現する。図7に示される確率変数Bは、キッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化したという事象の発生状況を表現する。確率変数Aは、在室状態A0または不在状態A1をとる。確率変数Bは、事象が発生した状態B0または事象が発生していない状態B1をとる。事象が発生していない状態B1を確率変数Bがとる場合は、キッチン1041の在室状況が在室状態である状態が継続しているか、またはキッチン1041の在室状況が不在状態である状態が継続している。
空調対象部屋がリビングルーム1040以外の部屋に変更される場合は、確率変数Aにより表現されるものが、リビングルーム1040以外の部屋の在室状況に変更される。確率変数Bにより表現されるものが、キッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化したという事象の発生状況以外に変更されてもよい。例えば、確率変数Bにより表現されるものが、キッチン1041またはキッチン1041以外の部屋の在室状況が不在状態である時間が設定時間以上継続したという事象の発生状況に変更されてもよい。
1.7.2 リビングルームの在室率
人がリビングルーム1040に在室している確率Pは、過去にリビングルーム1040の在室状況が在室状態であった回数を、過去にリビングルーム1040の在室状況が在室状態であった回数および過去にリビングルーム1040の在室状況が不在状態であった回数の合計回数で除することにより得られる。確率変数XがXnをとった回数をN(Xn)で表現するという規約が用いられる場合は、確率Pは、式1に示されるように、確率変数AがA0をとった回数N(A0)を、確率変数AがA0をとった回数N(A0)および確率変数AがA1をとった回数N(A1)の合計回数N(A0)+N(A1)で除することにより得られる。
確率Pは、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を表現する。リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162からは、人がリビングルーム1040に在室する時刻に関する習慣等が把握される。
1.7.3 特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有する場合
図8は、特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有する場合のリビングルームの在室状況の時間履歴を示すタイムチャートである。図9は、実施の形態1における特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有する場合のリビングルームの在室率の標準パターンを示すグラフである。
図9に示されるリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162は、図8に示されるリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140から得られる。図8に示されるように7時頃および19時頃にリビングルーム1040に在室する習慣を人が有する場合は、図9に示されるように7時頃および19時頃に明確なピークを有するリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が得られる。
制御用在室率1180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162であり制御用在室率1180が高くなるほど暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が高くなり冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220が低くなる場合に図9に示されるリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が得られたときは、リビングルーム1040の在室状況が不在状態であるが人がリビングルーム1040に入室する可能性が高いときに、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200に近づけられ、冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200に近づけられる。このため、人がリビングルーム1040に入室した場合にリビングルーム1040の温熱環境が快適な状態になっている可能性が高い。
1.7.4 特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有しない場合
図10は、特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有しない場合のリビングルームの在室状況の時間履歴を示すタイムチャートである。図11は、実施の形態1における特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有しない場合のリビングルームの在室率の標準パターンを示すグラフである。
図11に示されるリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162は、図10に示されるリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140から得られる。図10に示されるように朝方にリビングルーム1040に在室する時刻が日によって異なり夕方にリビングルーム1040に在室する時刻が日によって異なり夕方にリビングルーム1040に在室しないことがある場合は、図11に示されるように明確なピークを有しないリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が得られる。
制御用在室率1180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162であり制御用在室率1180が大きくなるほど暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が高くなり冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220が低くなる場合に図11に示されるリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が得られたときは、リビングルーム1040の在室状況が不在状態であるときに暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200より低く維持され冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200より高く維持される。このため、人がリビングルーム1040に入室した場合にリビングルーム1040の温熱環境が快適な状態になっておらず暖房または冷房が十分に行われ温熱環境が快適な状態になるまでに時間を要する可能性が高い。すなわち、人がリビングルーム1040に在室する時刻が規則性を有しない場合は、あらかじめリビングルーム1040に暖房または冷房を行うことにより温熱環境が不快な状態になることを抑制することが困難である。
1.7.5 キッチンからリビングルームへの移動の規則性
図12は、特定の時刻にリビングルームに在室する習慣を人が有しない場合のリビングルームおよびキッチンの在室状況の時間履歴を示す。図12に示されるリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140は、図10に示されるリビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140と同じものである。
図12に示されるように、特定の時刻にリビングルーム1040に在室する習慣を人が有しない場合でも、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である時刻にかかわらず、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻からリビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻までの時間は、30−60分であり、概ね一定である。すなわち、リビングルーム1040の在室状況が在室状態になる時刻が規則性を有しない場合でも、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻からリビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻までの時間は規則性を有する。この規則性は、キッチン1041で料理を行い、ダイニングルームで食事を行い、リビングルーム1040で過ごすという人の習慣に由来する。
1.7.6 リビングルームの条件付き確率
制御用在室率1180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162からリビングルーム1040の条件付き在室率1161に変化することにより、リビングルーム1040の現実の在室状況が制御用在室率1180により反映される。
確率変数YがYnをとった場合に確率変数XがXnをとる条件付き確率をP(Xn|Yn)で表現するという規約が用いられる場合は、リビングルーム1040の在室状況を表現する確率変数Aは在室状態である場合にA0をとりキッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化したという事象の発生状況を表現する確率変数Bは当該事象が発生した場合にB0をとるから、リビングルーム1040の条件付き在室率1161はP(A0|B0)で表現される。リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、キッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化したという事象の発生状況を表現する確率変数Bを事前の情報として用いて計算される。
キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した場合に必ず人がリビングルーム1040に在室している場合は、リビングルーム1040の条件付き在室率1161を表現するP(A0|B0)は、式2に示されるように1になる。
しかし、一般的には、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した場合に必ず人がリビングルーム1040に在室しているとは限らないため、リビングルーム1040の条件付き在室率1161を表現するP(A0|B0)は、式3に示されるように1未満となる。
1.8 リビングルームの在室率の標準パターンの計算
リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140は、過去のM日分のリビングルーム1040の在室状況の時間履歴を含む。1日分のリビングルーム1040の在室状況の時間履歴は、N個のリビングルーム1040の在室状況を含む。N個のリビングルーム1040の在室状況は、離散的に記録されている。
m日目のn番目の時刻におけるリビングルーム1040の在室状況O(i,m,n)が2値の変数であり不在状態である場合に0をとり在室状態である場合に1をとる場合は、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を表現するPavg(i,n)は、n番目の時刻において式4に示される値をとる。
リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が他の方法により計算されてもよい。例えば、特許第3119082号明細書に記載された技術が援用され、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140が複数のクラスタに分類され、複数のクラスタの各々についてリビングルーム1040の在室率の標準パターンが作成され、その日のリビングルーム1040の在室状況の時間履歴に最も類似するクラスタが複数のクラスタから選ばれ、選ばれたクラスタについて作成されたリビングルーム1040の在室率の標準パターンがその日のリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162とされてもよい。
リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162は、空調機1082の制御が実行される前に計算され、メモリ1102に記憶させられる。
1.9 リビングルームの条件付き在室率の計算
リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻までに人がリビングルーム1040に在室している確率を示す。設定時間T2は、固定値であってもよいし、使用者1900が変更可能な可変値であってもよい。リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、第1の時刻と第2の時刻との間において値をとるように計算される。これにより、第1の時刻からの経過時間が短くリビングルーム1040の条件付き在室率1161が精度よく計算される場合にのみリビングルーム1040の条件付き在室率1161が空調機1082の制御に利用される。
条件付き在室率計算部1121によるリビングルーム1040の条件付き在室率1161の計算においては、キッチン1041の在室状況の時間履歴1141から、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった回数N2が得られる。
また、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141から、第1の時刻と第1の時刻の時間t後の時刻との間にリビングルーム1040の在室状況が在室状態になったことがある回数n2(t)が得られる。回数n2(t)は、0からT2までの間にあるtの全部のとり得る値の各々について得られる。このため、回数n2(t)が得られることにより、第1の時刻と第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻との間にリビングルーム1040の在室状況が在室状態になったことがある回数n2(T2)もあわせて得られる。
第1の時刻の時間t後の時刻と第2の時刻との間にリビングルーム1040の在室状況が在室状態になる回数はn2(T2)−n2(t)である。このため、リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、第1の時刻の時間t後の時刻において、式5に示されるように回数n2(T2)から回数n2(t)を減じた回数差n2(T2)−n2(t)の第1の回数N2に対する比となる。
リビングルーム1040の条件付き在室率1161が第1の時刻の時間t後の時刻において式5に示される比となる場合は、回数N2に対する回数n2(t)の比が大きくなるほどリビングルーム1040の条件付き在室率1161が第1の時刻の時間t後の時刻においてとる値が小さくなる。これは、回数N2に対する回数n2(t)の比が大きくなるほど、第2の時刻までに人がリビングルーム1040に在室している可能性が低くなることを反映する。
リビングルーム1040の条件付き在室率1161は、空調機1082の制御が実行される前に計算され、メモリ1102に記憶させられる。
1.10 制御用在室率の計算
図13は、実施の形態1における制御用在室率が計算される場合のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図13に示されるステップS121においては、制御用在室率計算部1123が、最新のリビングルーム1040の在室状況が不在状態であるか否かを判定する。在室状況が不在状態でない場合は、処理がステップS122に進められる。在室状況が不在状態である場合は、処理がステップS123に進められる。
ステップS122においては、制御用在室率計算部1123が、1を制御用在室率1180とする。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である場合は、リビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200になる制御が空調機1082に行われる。
ステップS123においては、制御用在室率計算部1123が、最新のキッチン1041の在室状況をその直前のキッチン1041の在室状況と比較し、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こったか否かを判定する。変化が起こっている場合は、処理がステップS124に進められる。変化が起こっていない場合は、処理がステップS127に進められる。処理がステップS127に進められるのは、キッチン1041の在室状況が在室状態である状況が継続している場合またはキッチン1041の在室状況が不在状態である状況が継続している場合である。
ステップS124においては、制御用在室率計算部1123が、タイマー1104に時間の計測をリセットさせ、ステップS124に続くステップS125においては、制御用在室率計算部1123が、タイマー1104に時間の計測を開始させる。これにより、タイマー1104は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻からの経過時間を計測し、制御用在室率計算部1123は、タイマー1104から当該経過時間を得ることができる。
ステップS125に続くステップS126においては、制御用在室率計算部1123が、リビングルーム1040の条件付き在室率1161を制御用在室率1180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻の直後から、リビングルーム1040の条件付き在室率1161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS127においては、制御用在室率計算部1123が、タイマー1104が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー1104が時間を計測中である場合は、処理がステップS128に進められる。タイマー1104が時間を計測中でない場合は、処理がステップS130に進められる。
ステップS128においては、制御用在室率計算部1123が、タイマー1104により計測されている時間が設定時間T2以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T2以下である場合は、処理がステップS126に進められる。時間が設定時間T2以下でない場合は、処理がステップS129に進められる。
ステップS128に続くステップS126においては、先述したように、制御用在室率計算部1123が、リビングルーム1040の条件付き在室率1161を制御用在室率1180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻と第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻との間に、リビングルーム1040の条件付き在室率1161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS129においては、制御用在室率計算部1123が、タイマー1104に時間の計測をリセットさせる。
ステップS129に続くステップS130においては、制御用在室率計算部1123が、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を制御用在室率1180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合は、第2の時刻の後に、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
図13に示されるコントローラ1083の動作によれば、制御用在室率1180は、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合に、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の直後から、リビングルーム1040の条件付き在室率1161になる。リビングルーム1040の条件付き在室率1161になった制御用在室率1180は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態に変化するまで、または第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻まで、リビングルーム1040の条件付き在室率1161のままである。リビングルーム1040の条件付き在室率1161になった制御用在室率1180は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態に変化した場合は1に変化し、第2の時刻の後はリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162に変化する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合にキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の直後から、リビングルーム1040の条件付き在室率1161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。当該制御は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態に変化するまで、または第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻まで、継続される。第2の時刻の後は、当該制御に代えてリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
1.11 目標室温の決定
暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220は、下限値以上であって上限値以下であり、制御用在室率1180が高くなるほど高くなる。暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220の上限値は、リビングルーム1040の設定室温1200である。暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220の下限値は、あらかじめ決定されている。
冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220は、下限値以上であって上限値以下であり、制御用在室率1180が高くなるほど低くなる。冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220の下限値は、リビングルーム1040の設定室温1200である。冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220の上限値は、あらかじめ決定されている。
暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220の下限値および冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220の上限値の各々は、快適性が失われないように決定された固定値であってもよいし、使用者1900が状況によって変更可能な可変値であってもよい。
図14は、実施の形態1における制御用在室率と暖房時のリビングルームの目標室温との関係を示すグラフである。
図14に示される制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係においては、制御用在室率1180が高くなるほど暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が線型的に高くなる。図14に示される制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係によれば、制御用在室率1180が高い場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が上限値であるリビングルーム1040の設定室温1200に近づけられ、空調の快適性が向上し、制御用在室率1180が低い場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が下限値に近づけられ、空調に要するエネルギーが減少する。
図15は、実施の形態1における制御用在室率と暖房時のリビングルームの目標室温との関係を示すグラフである。
図15に示される制御用在室率1180と暖房時のリビングルームの目標室温1220との関係においては、制御用在室率1180と暖房時のリビングルームの目標室温1220との関係を示す線がシグモイド曲線状であり、制御用在室率1180が高くなるほど暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が非線型的に高くなる。図15に示される制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係においては、制御用在室率1180が下限側閾値より小さい場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が下限値に著しく近くなり、制御用在室率1180が上限側閾値より大きい場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が上限値であるリビングルーム1040の設定室温1200に著しく近くなり、制御用在室率1180が下限側閾値以上であって上限側閾値以下である場合は暖房時の制御用在室率1180が高くなるほどリビングルーム1040の目標室温1220が高くなる。図15に示される制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係によれば、制御用在室率1180が高い場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が上限値であるリビングルーム1040の設定室温1200に近づけられ、空調の快適性が向上し、制御用在室率1180が低い場合は、暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が下限値に近づけられ、空調に要するエネルギーが減少する。また、制御用在室率1180が高い場合の空調の快適性を向上する効果が大きくなり、制御用在室率1180が低い場合の空調に要するエネルギーを減少する効果が大きくなる。
制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係が図14または図15に示されるもの以外であってもよい。一般的に言えば、制御用在室率1180と暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係は、制御用在室率1180の関数である暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220を考えた場合に当該関数が単調増加関数となり暖房時のリビングルーム1040の目標室温1220が下限値以上であって上限値であるリビングルーム1040の設定室温1200以下の値をとるように定義される。制御用在室率1180と冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220との関係は、制御用在室率1180の関数であるリビングルーム1040の目標室温1220を考えた場合に当該関数が単調減少関数となり冷房時のリビングルーム1040の目標室温1220が下限値であるリビングルーム1040の設定室温1200以上であって上限値以下の値をとるように定義される。
1.12 運転例
図16は、実施の形態1における空調機の運転例を示すタイムチャートである。図16には、キッチン1041の在室状況の時間履歴1141、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140、参考例となる制御が行われた場合の目標室温1221、制御用在室率1180および実施例となる制御が行われた場合の目標室温1220が示される。
実施例となる制御が行われる場合は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態であるときに、制御用在室率1180が1になる。また、リビングルーム1040の在室状況が不在状態であるときに、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻taとリビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻tbとの間において制御用在室率1180がリビングルーム1040の条件付き在室率1161になり、第2の時刻の後において制御用在室率1180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162になる。このため、図16に示されるように、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である場合にリビングルーム1040の目標室温1220がリビングルーム1040の設定室温1200になり、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合に時刻taと時刻tbとの間においてリビングルーム1040の条件付き在室率1161が高くなるほどリビングルーム1040の目標室温1220が高くなり第2の時刻の後においてリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が高くなるほどリビングルーム1040の目標室温1220が高くなる。
参考例となる制御が行われる場合は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である場合に、制御用在室率1180が1になる。また、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合に、制御用在室率1180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162になる。このため、図16に示されるように、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である場合に、リビングルーム1040の目標室温1221がリビングルーム1040の設定室温1200になり、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合に、リビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が高くなるほどリビングルーム1040の目標室温1221が高くなる。
実施例となる制御が行われる場合のリビングルーム1040の目標室温1220は、時刻taと時刻tbとの間においてリビングルーム1040の条件付き在室率1161が高くなるほどリビングルーム1040の目標室温1220が高くなる点で、参考例となる制御が行われる場合のリビングルーム1040の目標室温1221と相違する。図16に示される空調機1082の運転例においては、時刻taと時刻tbとの間においてリビングルーム1040の条件付き在室率1161が高くリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が低くなっているため、時刻taと時刻tbとの間において実施例となる制御が行われる場合のリビングルーム1040の目標室温1220が高くなり参考例となる制御が行われる場合のリビングルーム1040の目標室温1221が低くなる。したがって、実施例となる制御が行われる場合は人がリビングルーム1040に入室した時にリビングルーム1040の室温は設定室温1200に近くなっているが、参考例となる制御が行われる場合は人がリビングルーム1040に入室した時にリビングルーム1040の室温は設定室温1200に近くなっておらずリビングルーム1040の室温が設定室温1200に近くなるまで時間を要する。このため、実施例となる制御が行われる場合は、参考例となる制御が行われる場合と比較して、快適な温熱環境がリビングルーム1040に入室する人に提供される。
1.13 実施の形態1の利点
実施の形態1によれば、リビングルーム1040の在室状況に影響するキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が空調熱量に反映され、空調熱量がリビングルーム1040の在室状況に適したものに近づく。これにより、空調の快適性が向上し、空調に要するエネルギーが減少する。
2 実施の形態2
2.1 序
実施の形態2は、空調付き住宅、空調システムおよびコントローラに関する。
実施の形態1と実施の形態2との主な相違は、実施の形態1においては、リビングルーム1040の条件付き在室率1161の事前情報がキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化の発生状況であるが、実施の形態2においては、リビングルームの条件付き在室率の事前情報がリビングルームの在室状況が不在状態である時間の閾値超えの発生状況である点にある。
また、実施の形態1と実施の形態2との主な相違は、実施の形態1においては、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化がリビングルーム1040の条件付き在室率1161の利用のトリガーになるが、実施の形態2においては、リビングルームの在室状況の在室状態から不在状態への変化がリビングルームの条件付き在室率の利用のトリガーになる点にもある。
実施の形態1において採用された技術は、上記の主な相違を失わせない限り、実施の形態2においても採用されうる。
2.2 空調システム
図17は、実施の形態2の空調付き住宅を示す模式図である。
図17に示される空調付き住宅2000は、住宅2020および空調システム2021を備える。住宅2020は、リビングルーム2040を有する。空調システム2021は、在室センサ2080、空調機2082、コントローラ2083および通信経路2084を備える。住宅2020およびリビングルーム2040は、それぞれ実施の形態1の住宅1020およびリビングルーム1040と同様のものである。
在室センサ2080は、リビングルーム2040に設置され、リビングルーム2040の在室状況を検知する。これにより、在室センサ2080は、リビングルーム2040の在室状況を検知する検知機構になる。
空調機2082は、リビングルーム2040に設置され、リビングルーム2040の室温がリビングルーム2040の設定室温に近づくようにリビングルーム2040の空調を行う。
コントローラ2083は、通信経路2084を介して在室センサ2080に通信可能に接続され、通信経路2084を介して在室センサ2080からリビングルーム2040の在室状況を示す検知信号を受信する。コントローラ2083は、通信経路2084を介して空調機2082に通信可能に接続され、通信経路2084を介して空調機2082にリビングルーム2040の目標室温を示す制御信号を送信する。これにより、コントローラ2083は、空調機2082を制御する空調制御装置として機能する。
2.3 リビングルームの在室状況
図18は、リビングルームの在室状況の時間履歴を示すタイムチャートである。
図18に示されるリビングルーム2040の在室状況の時間履歴においては、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化およびリビングルーム2040の在室状況の不在状態から在室状態への変化が頻繁に発生している。図18に示されるリビングルーム2040の在室状況の時間履歴は、人のリビングルーム2040への入室および人のリビングルーム2040からの退室が頻繁に行われる場合に得られる。
リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合にリビングルーム2040の設定室温がリビングルーム2040の目標室温とされリビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合にリビングルーム2040の在室率の標準パターンが高くなるほどリビングルーム2040の目標室温2220が高くなる制御が行われる場合にリビングルーム2040の在室状況の時間履歴が図18に示されるものとなったときは、リビングルーム2040の目標室温の変動が頻繁に発生する。このため、リビングルーム2040の室温の変動により空調の快適性が劣化し、空調機2082の発停が増加することにより空調に要するエネルギーが増加する。
この問題を解決する方法としては、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間が短い場合は暖房時にリビングルーム2040の目標室温を低下させず冷房時にリビングルーム2040の目標室温を上昇させない制御を空調機2082に行うことが考えられる。例えば、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間がタイマー等により計測され、計測された時間が閾値を超えない場合はリビングルーム2040の設定室温をリビングルーム2040の目標室温とし、計測された時間が閾値を超える場合は暖房時にリビングルーム2040の目標室温を低下させ冷房時にリビングルーム2040の目標室温を上昇させる制御を空調機2082に行うことが考えられる。
2.4 コントローラ
図19は、実施の形態2の空調システムを示すブロック図である。
コントローラ2083は、図19に示されるように、通信部2100、CPU2101、メモリ2102、タイマー2103および入力部2105を備える。CPU2101は、条件付き在室率計算部2120、標準パターン計算部2122、制御用在室率計算部2123および目標室温決定部2124として機能する。
通信部2100は、通信経路2084を介して在室センサ2080に接続され、在室センサ2080からリビングルーム2040の在室状況を示す検知信号を受信する。これにより、通信部2100は、在室センサ2080からリビングルーム2040の在室状況を取得する取得部として機能する。通信部2100は、取得したリビングルーム2040の在室状況をメモリ2102に記憶させる。これにより、メモリ2102は、リビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140を記憶する記憶部として機能する。
条件付き在室率計算部2120は、メモリ2102からリビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140を読み出し、読み出したリビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140からリビングルーム2040の条件付き在室率2160を計算し、計算したリビングルーム2040の条件付き在室率2160をメモリ2102に記憶させる。リビングルーム2040の条件付き在室率2160は、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示し、当該条件付き確率の時系列となっている。
標準パターン計算部2122は、メモリ2102からリビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140を読み出し、読み出したリビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140からリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162を計算し、計算したリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162をメモリ2102に記憶させる。リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162は、人がリビングルーム2040に在室している標準的な確率を示し、当該確率の時間変化を示す時系列となっている。リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162は、実施の形態1のリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162と同様に計算される。
タイマー2103は、時間を計測する。
制御用在室率計算部2123は、タイマー2103に時間の計測をリセットさせ、タイマー2103に時間の計測を開始させ、タイマー2103から計測されている時間を得る。制御用在室率計算部2123は、メモリ2102からリビングルーム2040の条件付き在室率2160およびリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162を読み出し、タイマー2103から計測されている時間を得、空調機2082の制御に利用される制御用在室率2180を計算し、計算した制御用在室率2180をメモリ2102に記憶させる。
入力部2105は、使用者2900によるリビングルーム2040の設定室温2200の入力を受け付け、入力されたリビングルーム2040の設定室温2200をメモリ2102に記憶させる。
目標室温決定部2124は、メモリ2102から制御用在室率2180およびリビングルーム2040の設定室温2200を読み出し、リビングルーム2040の目標室温2220を決定し、決定したリビングルーム2040の目標室温2220をメモリ2102に記憶させる。暖房時のリビングルーム2040の目標室温2220は、制御用在室率2180が低くなるほど低くなる。冷房時のリビングルーム2040の目標室温2220は、制御用在室率2180が低くなるほど高くなる。したがって、空調機2082の空調熱量は、制御用在室率2180が低くなるほど小さくなる。空調機2082は、目標室温決定部2124が決定したリビングルーム2040の目標室温2220にしたがってリビングルーム2040の空調を行うため、目標室温決定部2124は、制御用在室率2180が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御を空調機2082に行う制御部として機能する。
通信部2100は、メモリ2102からリビングルーム2040の目標室温2220を読み出し、読み出したリビングルーム2040の目標室温2220を示す制御信号を通信経路2084を介して空調機2082に送信する。
2.5 確率変数
図7は、実施の形態2における確率変数を説明する図でもある。
図7に示される確率変数Aは、リビングルーム2040の在室状況を表現する。図7に示される確率変数Bは、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間の閾値超えの発生状況を表現する。確率変数Aは、在室状態A0または不在状態A1をとる。確率変数Bは、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間が閾値以上である状態B0またはリビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間が閾値以下である状態B1をとる。
2.6 リビングルームの条件付き在室率
リビングルーム2040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後にリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が制御用在室率2180とされる場合は、リビングルーム2040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後に暖房時のリビングルーム2040の目標室温2220が低くなり冷房時のリビングルーム2040の目標室温2220が高くなる可能性がある。
このことを防止するために、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間が閾値以下である場合は、リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162に代えて、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である時間が閾値以下である場合に人がリビングルーム2040に在室している確率である条件付き確率を示す条件付き在室率P1が制御用在室率2180にされる。確率変数YがYnをとった場合に確率変数XがXnをとる確率である条件付き確率をP(Xn|Yn)であらわすという規約が用いられる場合は、リビングルーム2040の条件付き在室率P1は、式6に示されるものになる。
2.7 リビングルームの条件付き在室率の計算
リビングルーム2040の条件付き在室率2160は、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の設定時間T1後の第2の時刻までに人がリビングルーム2040に在室している確率を示す。設定時間T1は、固定値であってもよいし、使用者2900が変更可能な可変値であってもよい。リビングルーム2040の条件付き在室率2160は、第1の時刻と第2の時刻との間において値をとるように計算される。これにより、第1の時刻からの経過時間が短くリビングルーム2040の条件付き在室率2160を精度よく計算できる場合にのみリビングルーム2040の条件付き在室率2160が空調機2082の制御に利用される。
条件付き在室率計算部2120によるリビングルーム2040の条件付き在室率2160の計算においては、リビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140から、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった回数N1が得られる。
また、リビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140から、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻と第1の時刻の時間t後の時刻との間にリビングルーム2040の在室状況が在室状態になったことがある回数n1(t)が得られる。回数n1(t)は、0からT1までの間にあるtの全部のとり得る値の各々について得られる。このため、回数n1(t)が得られることにより、第1の時刻と第1の時刻の設定時間T1後の第2の時刻との間にリビングルーム2040の在室状況が在室状態になったことがある回数n1(T1)もあわせて得られる。
第1の時刻の時間t後の時刻と第2の時刻との間にリビングルーム2040の在室状況が在室状態になる回数はn1(T1)−n1(t)である。このため、リビングルーム2040の条件付き在室率2160は、第1の時刻の時間t後の時刻において、式7に示されるように回数n1(T1)から回数n1(t)を減じた回数差n1(T1)−n1(t)の回数N1に対する比となる。
リビングルーム2040の条件付き在室率2160が第1の時刻の時間t後の時刻において式7に示される比となる場合は、回数N1に対する回数n1(t)の比が大きくなるほどリビングルーム2040の条件付き在室率2160が第1の時刻の時間t後の時刻においてとる値が小さくなる。これは、回数N1に対する回数n1(t)の比が大きくなるほど、第2の時刻までに人がリビングルーム2040に在室している可能性が低くなることを反映する。
リビングルーム2040の条件付き在室率2160は、空調機2082の制御が実行される前に計算され、メモリ2102に記憶させられる。
2.8 制御用在室率の計算
空調機2082の制御が実行される前に、条件付き在室率計算部2120は、リビングルーム2040の条件付き在室率2160を計算し、計算したリビングルーム2040の条件付き在室率2160をメモリ2102に記憶させ、標準パターン計算部2122は、リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162を計算し、計算したリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162をメモリ2102に記憶させる。メモリ2102に記憶されたリビングルーム2040の条件付き在室率2160およびリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162は、空調機2082の制御が実行される場合に参照される。
図20は、実施の形態2における制御用在室率が計算される場合のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図20に示されるステップS201においては、制御用在室率計算部2123が、最新のリビングルーム2040の在室状況が不在状態であるか否かを判定する。在室状況が不在状態でない場合は、処理がステップS202に進められる。在室状況が不在状態である場合は、処理がステップS203に進められる。
ステップS202においては、制御用在室率計算部2123が、1を制御用在室率2180とする。これにより、リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合は、リビングルーム2040の目標室温2220がリビングルーム2040の設定室温2200になる制御が空調機2082に行われる。
ステップS203においては、制御用在室率計算部2123が、最新のリビングルーム2040の在室状況をその直前のリビングルーム2040の在室状況と比較し、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こったか否かを判定する。変化が起こっている場合は、処理がステップS204に進められる。変化が起こっていない場合は、処理がステップS207に進められる。
ステップS204においては、制御用在室率計算部2123が、タイマー2103に時間の計測をリセットさせ、ステップS204に続くステップS205においては、制御用在室率計算部2123が、タイマー2103に時間の計測を開始させる。これにより、タイマー2103は、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻からの経過時間を計測し、制御用在室率計算部2123は、タイマー2103から当該経過時間を得ることができる。
ステップS205に続くステップS206においては、制御用在室率計算部2123が、当該経過時間に応じて決まるリビングルーム2040の条件付き在室率2160を制御用在室率2180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合は、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻の直後から、リビングルーム2040の条件付き在室率2160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機2082に行われる。
ステップS207においては、制御用在室率計算部2123が、タイマー2103が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー2103が時間を計測中である場合は、処理がステップS208に進められる。タイマー2103が時間を計測中でない場合は、処理がステップS210に進められる。
ステップS208においては、制御用在室率計算部2123が、タイマー2103により計測されている時間が設定時間T1以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T1以下である場合は、処理がステップS206に進められる。設定時間が設定時間T1以下でない場合は、処理がステップS209に進められる。
ステップS208に続くステップS206においては、先述したように、制御用在室率計算部2123が、リビングルーム2040の条件付き在室率2160を制御用在室率2180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合は、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻と第1の時刻の設定時間T1後の第2の時刻との間に、リビングルーム2040の条件付き在室率2160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機2082に行われる。
ステップS209においては、制御用在室率計算部2123が、タイマー2103に時間の計測をリセットさせる。
ステップS209に続くステップS210においては、制御用在室率計算部2123が、リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162を制御用在室率2180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合は、第2の時刻の後に、リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機2082に行われる。
タイマー2103により時間の計測が行われている間にP1≦Pavgとなった場合にPavgが制御用在室率2180とされてもよい。
2.9 運転例
図21は、実施の形態2における空調機の運転例を示すタイムチャートである。図21には、実施例および参考例となる制御が行われた場合のリビングルームの目標室温の時間変化が示される。
実施例となる制御が行われる場合は、リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合に、制御用在室率2180が1になる。また、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合に、リビングルーム2040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した第1の時刻と第1の時刻の設定時間T1後の第2の時刻との間において、制御用在室率2180がリビングルーム2040の条件付き在室率2160になり、第2の時刻の後において、制御用在室率2180がリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162なる。このため、図21に示されるように、リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合に、目標室温が設定室温になる。また、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合に、第1の時刻と第2の時刻との間においてリビングルーム2040の条件付き在室率2160が高くなるほど目標室温が高くなり、第2の時刻の後においてリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が高くなるほど目標室温が高くなる。
参考例となる制御が行われる場合は、リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合に、制御用在室率2180が1になる。また、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合に、制御用在室率2180がリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162になる。このため、図21に示されるように、リビングルーム2040の在室状況が在室状態である場合に、目標室温が設定室温になる。また、リビングルーム2040の在室状況が不在状態である場合に、リビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が高くなるほど目標室温が高くなる。
実施例となる制御が行われる場合のリビングルームの目標室温2220は、第1の時刻と第2の時刻との間においてリビングルーム2040の条件付き在室率2160が高くなるほどリビングルーム2040の目標室温2220が高くなる点で、参考例となる制御が行われる場合のリビングルーム2040の目標室温2221と相違する。図21に示される空調機2082の運転例においては、第1の時刻と第2の時刻との間においてリビングルーム2040の条件付き在室率2160が高くリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が低いため、第1の時刻と第2の時刻との間において実施例となる制御が行われる場合のリビングルーム2040の目標室温2220が高くなっており参考例となる制御が行われる場合のリビングルーム2040の目標室温2221が低くなっている。したがって、実施例となる制御が行われる場合は人がリビングルーム2040に入室した時にリビングルーム2040の室温はリビングルーム2040の設定室温2200に近くなっているが、参考例となる制御が行われる場合は人がリビングルーム2040に入室した時にリビングルーム2040の室温はリビングルーム2040の設定室温2200に近くなっておらずリビングルーム2040の室温がリビングルーム2040の設定室温2200に近くなるまでに時間を要する。このため、実施例となる制御が行われる場合は、参考例となる制御が行われる場合と比較して、快適な温熱環境がリビングルーム2040に入室する人に提供される。
2.10 実施の形態2の利点
実施の形態2によれば、リビングルーム2040の在室状況に影響するリビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が空調熱量に反映され、空調熱量が現在のリビングルーム2040の在室状況に適したものに近づく。これにより、空調の快適性が向上し、空調に要するエネルギーが減少する。
3 実施の形態3
3.1 序
実施の形態3は、実施の形態1の設定時間T2を置き換える設定時間T2に関する。
実施の形態1と実施の形態3との主な相違は、実施の形態1においては、設定時間T2が固定値または使用者1900が変更可能な可変値であるが、実施の形態3においては、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141から設定時間T2が決定される点にある。
3.2 設定時間T2の決定
条件付き在室率計算部1121により設定時間T2が決定される場合は、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141から、昇順に配列されたM個の時間t(1),t(2),・・・,t(M)が得られる。M個の時間t(1),t(2),・・・,t(M)の各々は、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻からリビングルームの在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻までの時間である。Mは、2以上の整数である。
また、iが1からM−1の各々である場合について、時間t(i+1)から時間t(i)を減じた時間差t(i+1)−t(i)である時間差Δt(i)が得られる。
また、時間差Δt(1)から時間差Δt(M−1)までのうちの最大の時間差である時間差Δt(j)が得られる。
最後に、時間t(j)が設定時間T2にされる。
時間t(i)は、iが小さい場合は1分、5分等の数分程度の短い時間であり、iが大きくなった場合は数10分程度の時間になり、iがさらに大きくなった場合は数時間程度の長い時間になる。数分程度の短い時間である時間t(i)は、キッチン1041からリビングルーム1040への移動に対応する。数時間程度の長い時間であるt(i)は、就寝、外出等による長期的な不在状態に対応する。このため、時間差Δt(j)が最大の時間差であり時間t(1),・・・,t(j)と時間t(j+1),・・・,t(M)とが明確に層別される場合は、時間t(1),・・・,t(j)がキッチン1041からリビングルーム1040への移動に対応し時間t(j+1),・・・,t(M)が長期的な不在状態に対応し、時間t(j)がキッチン1041からリビングルーム1040への移動と長期的な不在とを識別するための閾値となる。したがって、時間t(j)を設定時間T2にすることにより、キッチン1041からリビングルーム1040への移動が行われる場合にリビングルーム1040の条件付き在室率1161が制御用在室率1180とされ在室状況が長期的な不在状態になる場合にリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が制御用在室率1180とされる可能性が高くなり、空調の快適性を向上しながら空調に要するエネルギーを減少させることができる。また、使用者1900の経験への依存がなくなり、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴1140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴1141から適切な設定時間T2が得られる。
4 実施の形態4
4.1 序
実施の形態4は、実施の形態2の設定時間T1を置き換える設定時間T1に関する。
実施の形態2と実施の形態4との主な相違は、実施の形態2においては設定時間T1が固定値または使用者2900が変更可能な可変値であるが、実施の形態4においてはリビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140から設定時間T1が決定される点にある。
4.2 設定時間T1の決定
条件付き在室率計算部2120により設定時間T1が決定される場合は、リビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140から、昇順に配列されたM個の時間t(1),t(2),・・・,t(M)が得られる。M個の時間t(1),t(2),・・・,t(M)の各々は、リビングルーム2040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻からリビングルーム2040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻までの時間である。Mは、2以上の整数である。
また、iが1からM−1の各々である場合について、時間t(i+1)から時間t(i)を減じた時間差t(i+1)−t(i)である時間差Δt(i)が得られる。
また、時間差Δt(1)から時間差Δt(M−1)までのうちの最大の時間差である時間差Δt(j)が得られる。
最後に、時間t(j)が設定時間T1にされる。
時間t(i)は、iが小さい場合は1分、5分等の数分程度の短い時間であり、iが大きくなった場合は数10分程度の時間になり、iがさらに大きくなった場合は数時間程度の長い時間になる。数分程度の短い時間である時間t(i)は、短期的な不在状態に対応する。数時間程度の長い時間であるt(i)は、就寝、外出等による長期的な不在状態に対応する。このため、時間差Δt(j)が最大の時間差であり時間t(1),・・・,t(j)と時間t(j+1),・・・,t(M)とが明確に層別される場合は、時間t(1),・・・,t(j)が短期的な不在状態に対応し時間t(j+1),・・・,t(M)が長期的な不在状態に対応し、時間t(j)が短期的な不在状態と長期的な不在とを識別するための閾値となる。したがって、時間t(j)を設定時間T1にすることにより、リビングルーム2040の在室状況が短期的な不在状態になる場合にリビングルーム2040の条件付き在室率2160が制御用在室率2180とされリビングルーム2040の在室状況が長期的な不在状態になる場合にリビングルーム2040の在室率の標準パターン2162が制御用在室率2180とされる可能性が高くなり、空調の快適性を向上しながら空調に要するエネルギーを減少させることができる。また、使用者2900の経験への依存がなくなり、リビングルーム2040の在室状況の時間履歴2140およびキッチンの在室状況の時間履歴から適切な設定時間T1が得られる。
5 実施の形態5
実施の形態5は、実施の形態1のリビングルーム1040の条件付き在室率1161を置き換えるリビングルーム1040の条件付き在室率1161に関する。
実施の形態1と実施の形態5との主な相違は、実施の形態1においては、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の時間t後の時刻においてリビングルーム1040の条件付き在室率1161が比{n2(T2)−n2(t)}/N2となるが、実施の形態5においては、第1の時刻と第1の時刻の設定時間T2後の第2の時刻との間においてリビングルーム1040の条件付き在室率1161が回数N2に対する回数n2(T2)の比n2(T2)/N2となる点にある。実施の形態5によれば、リビングルーム1040の条件付き在室率1161の計算のために必要な計算量が減少する。
6 実施の形態6
実施の形態6は、実施の形態2のリビングルーム2040の条件付き在室率2160を置き換えるリビングルーム2040の条件付き在室率2160に関する。
実施の形態2と実施の形態6との主な相違は、実施の形態2においては、リビングルーム2040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった第1の時刻の時間t後の時刻においてリビングルーム2040の条件付き在室率2160が比{n1(T1)−n1(t)}/N1となるが、実施の形態6においては、第1の時刻と第1の時刻の設定時間T1後の第2の時刻との間においてリビングルーム2040の条件付き在室率2160が回数N1に対する回数n1(T1)の比n1(T1)/N1となる点にある。実施の形態6によれば、リビングルーム2040の条件付き在室率2160の計算のために必要な計算量が減少する。
7 実施の形態7
7.1 序
実施の形態7は、実施の形態1のコントローラを置き換えるコントローラに関する。
実施の形態1と実施の形態7との主な相違は、実施の形態1においてはリビングルーム1040の条件付き在室率1161の事前情報がキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化の発生状況であるが、実施の形態7においてはリビングルーム1040の条件付き在室率の事前情報がキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化の発生状況およびリビングルーム1040の在室状況が不在状態である時間の閾値超えの発生状況である点にある。
実施の形態1または2において採用された技術は、上記の主な相違を失わせない限り、実施の形態7においても採用されうる。
7.2 コントローラ
図22は、実施の形態7のコントローラを備える空調システムを示すブロック図である。
図22に示されるコントローラ7083は、通信部7100、CPU7101、メモリ7102、タイマー7103、タイマー7104および入力部7105を備える。CPU7101は、条件付き在室率計算部7120、条件付き在室率計算部7121、標準パターン計算部7122、制御用在室率計算部7123および目標室温決定部7124として機能する。
通信部7100は、通信経路1084を介して在室センサ1080および1081の各々に接続され、在室センサ1080からリビングルーム1040の在室状況を示す検知信号を受信し、在室センサ1081からキッチン1041の在室状況を示す検知信号を受信する。これにより、通信部7100は、在室センサ1080および1081からリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況を取得する取得部として機能する。通信部7100は、取得したリビングルーム1040およびキッチン1041の在室状況をメモリ7102に記憶させる。これにより、メモリ7102は、リビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴7141を記憶する記憶部として機能する。
条件付き在室率計算部7120は、メモリ7102からリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140を読み出し、読み出したリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140からリビングルーム1040の条件付き在室率7160を計算し、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率7160をメモリ7102に記憶させる。リビングルーム1040の条件付き在室率7160は、リビングルーム1040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示し、当該条件付き確率の時間変化を示す時系列となっている。リビングルーム1040の条件付き在室率7160は、実施の形態2または6のリビングルーム1040の条件付き在室率2160と同様に計算される。
条件付き在室率計算部7121は、メモリ7102からリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴7141を読み出し、読み出したリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140およびキッチン1041の在室状況の時間履歴7141からリビングルーム1040の条件付き在室率7161を計算し、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率7161をメモリ7102に記憶させる。リビングルーム1040の条件付き在室率7161は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示し、当該条件付き確率の時間変化を示す時系列となっている。リビングルーム1040の条件付き在室率7161は、実施の形態1または5のリビングルーム1040の条件付き在室率1161と同様に計算される。
標準パターン計算部7122は、メモリ7102からリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140を読み出し、読み出したリビングルーム1040の在室状況の時間履歴7140からリビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を計算し、計算したリビングルーム1040の在室率の標準パターン7162をメモリ7102に記憶させる。リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162は、人がリビングルーム1040に在室している標準的な確率を示し、当該確率の時間変化を示す時系列となっている。リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162は、実施の形態1のリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162と同様に計算される。
タイマー7103および7104の各々は、時間を計測する。
制御用在室率計算部7123は、タイマー7103および7104の各々に時間の計測をリセットさせ、タイマー7103および7104の各々に時間の計測を開始させ、タイマー7103および7104の各々から計測されている時間を得る。制御用在室率計算部7123は、メモリ7102からリビングルーム1040の条件付き在室率7160、リビングルーム1040の条件付き在室率7161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を読み出し、タイマー7103および7104の各々から計測されている時間を得、空調機1082の制御に利用される制御用在室率7180を計算し、計算した制御用在室率7180をメモリ7102に記憶させる。
入力部7105は、使用者7900によるリビングルーム1040の設定室温7200の入力を受け付け、入力されたリビングルーム1040の設定室温7200をメモリ7102に記憶させる。
目標室温決定部7124は、メモリ7102から制御用在室率7180およびリビングルーム1040の設定室温7200を読み出し、リビングルーム1040の目標室温7220を設定し、設定したリビングルーム1040の目標室温7220をメモリ7102に記憶させる。暖房時のリビングルーム1040の目標室温7220は、制御用在室率7180が低くなるほど低くなる。冷房時のリビングルーム1040の目標室温7220は、制御用在室率7180が低くなるほど高くなる。したがって、空調機1082の空調熱量は、制御用在室率7180が低くなるほど小さくなる。空調機1082は、目標室温決定部7124が決定したリビングルーム1040の目標室温7220にしたがってリビングルーム1040の空調を行うため、目標室温決定部7124は、制御用在室率7180が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御を空調機1082に行う制御部として機能する。
通信部7100は、メモリ7102からリビングルーム1040の目標室温7220を読み出し、読み出したリビングルーム1040の目標室温7220を示す制御信号を通信経路1084を介して空調機1082に送信する。
7.3 制御用在室率の計算
空調機1082の制御が実行される前に、条件付き在室率計算部7120は、リビングルーム1040の条件付き在室率7160を計算し、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率7160をメモリ7102に記憶させ、条件付き在室率計算部7121は、リビングルーム1040の条件付き在室率7161を計算し、計算したリビングルーム1040の条件付き在室率7161をメモリ7102に記憶させ、標準パターン計算部7122は、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を計算し、計算したリビングルーム1040の在室率の標準パターン7162をメモリ7102に記憶させる。設定時間T1は、実施の形態2または4の設定時間T2と同様に決定される。設定時間T2は、実施の形態1または3の設定時間T1と同様に決定される。
図23および24は、実施の形態7における制御用在室率が計算される場合のコントローラの動作を示すフローチャートである。
図23に示されるステップS701においては、制御用在室率計算部7123が、最新のリビングルーム1040の在室状況が不在状態であるか否かを判定する。在室状況が不在状態でない場合は、処理がステップS702に進められる。在室状況が不在状態である場合は、処理がステップS703に進められる。
ステップS702においては、制御用在室率計算部7123が、1を制御用在室率7180とする。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態である場合は、リビングルーム1040の目標室温7220がリビングルーム1040の設定室温7200になる制御が空調機1082に行われる。
ステップS703においては、制御用在室率計算部7123が、最新のリビングルーム1040の在室状況をその直前のリビングルーム1040の在室状況と比較し、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態への変化が起こったか否かを判定する。変化が起こっている場合は、処理がステップS704に進められる。変化が起こっていない場合は、処理がステップS707に進められる。
ステップS704以降においては、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後の処理が実行される。
ステップS704においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103に時間の計測をリセットさせ、ステップS704に続くステップS705においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103に時間の計測を開始させる。これにより、タイマー7103は、リビングルーム1040の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻からの経過時間を計測し、制御用在室率計算部7123は、タイマー7103から当該経過時間を得ることができる。
ステップS705に続くステップS706においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7160である条件付き在室率P1を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である場合は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後から、リビングルーム1040の条件付き在室率7160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS707においては、制御用在室率計算部7123が、最新のキッチン1041の在室状況をその直前のキッチン1041の在室状況と比較し、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こったか否かを判定する。変化が起こっている場合は、処理がステップS708に進められる。変化が起こっていない場合は、処理がステップS720に進められる。
ステップS708以降においては、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後の処理が実行される。
ステップS708においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104に時間の計測をリセットさせ、ステップS708に続くステップS709においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104に時間の計測を開始させる。これにより、タイマー7104は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった時刻からの経過時間を計測し、制御用在室率計算部7123は、タイマー7104から当該経過時間を得ることができる。
ステップS709に続くステップS710においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー7103が時間を計測中でない場合は、処理がステップS711に進められる。タイマー7103が時間を計測中である場合は、処理がステップS712に進められる。
ステップS710に続くステップS711においては、制御用在室率計算部7123が、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7161である条件付き在室率P2を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻からの経過時間が計測されていない場合は、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後から、リビングルーム1040の条件付き在室率7161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS712においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103により計測されている時間が設定時間T1以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T1以下である場合は、処理がステップS713に進められる。時間が設定時間T1以下でない場合は、処理がステップS715に進められる。
ステップS713においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104により計測されている時間が設定時間T2以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T2以下である場合は、処理がステップS714に進められる。時間が設定時間T2以下でない場合は、処理がステップS719に進められる。
ステップS714においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の条件付き在室率7160および条件付き在室率7161のうちの最大の条件付き在室率を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておらずキッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻から設定時間T2が経過していない場合は、リビングルーム1040の条件付き在室率7160および条件付き在室率7161のうちの最大の条件付き在室率が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS715においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103に時間の計測をリセットさせ、ステップS715に続くステップS716においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104により計測されている時間が設定時間T2以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T2以下である場合は、処理がステップS711に進められる。時間が設定時間T2以下でない場合は、処理がステップS717に進められる。
ステップS716に続くステップS711においては、制御用在室率計算部7123が、キッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7161である条件付き在室率P2を制御用在室率7180にする。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておりキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過していない場合は、リビングルーム1040の条件付き在室率7161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS717においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104に時間の計測をリセットさせる。
ステップS717に続くステップS718においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておりキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過している場合は、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS719においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104に時間の計測をリセットさせる。
ステップS719に続くステップS706においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7160である条件付き在室率P1を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておらずキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過している場合は、リビングルーム1040の条件付き在室率7160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS720以降においては、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後でもなくキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した直後でもない場合の処理が実行される。
ステップS720においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7104が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー7104が時間を計測中である場合は、処理がステップS721に進められる。タイマー7104が時間を計測中でない場合は、処理がステップS722に進められる。
ステップS721においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー7103が時間を計測中である場合は、処理がステップS712に進められる。タイマー7103が時間を計測中でない場合は、処理がステップS716に進められる。
ステップS721からステップS712に処理が進められることにより、タイマー7103および7104の各々が時間を計測している場合は、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておらずキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過していないときは、制御用在室率7180が、リビングルーム1040の条件付き在室率7160および条件付き在室率7161のうちの最大の条件付き在室率になり、リビングルーム1040の条件付き在室率7160および条件付き在室率7161のうちの最大の条件付き在室率が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。また、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておりキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過していない場合は、制御用在室率7180がキッチン1041の在室状況が不在状態から在室状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7161である条件付き在室率P2になり、リビングルーム1040の条件付き在室率7161が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。また、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておらずキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過している場合は、制御用在室率7180がリビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7160である条件付き在室率P1になり、リビングルーム1040の条件付き在室率7160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。また、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過しておりキッチン1041の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T2が経過している場合は、制御用在室率7180がリビングルーム1040の在室率の標準パターン7162になり、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162が小さくなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS722においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103が時間を計測中であるか否かを判定する。タイマー7103が時間を計測中でない場合は、処理がステップS718に進められる。タイマー7103が時間を計測中である場合は、処理がステップS723に進められる。
ステップS722に続くステップS718においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、タイマー7103および7104の各々が時間を計測していない場合は、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS723においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103により計測されている時間が設定時間T1以下であるか否かを判定する。時間が設定時間T1以下である場合は、処理がステップS706に進められる。時間が設定時間T1以下でない場合は、処理がステップS724に進められる。
ステップS723に続くステップS706においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した場合のリビングルーム1040の条件付き在室率7160である条件付き在室率P1を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、タイマー7104が時間を計測しておらずリビングルーム1040の在室状況が不在状態から在室状態に変化した時刻から設定時間T1が経過していない場合は、リビングルーム1040の条件付き在室率7160が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
ステップS724においては、制御用在室率計算部7123が、タイマー7103に時間の計測をリセットさせる。
ステップS724に続くステップS718においては、制御用在室率計算部7123が、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162を制御用在室率7180とし、処理が終了する。これにより、タイマー7104が時間を計測しておらずリビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した時刻から設定時間T1が経過している場合は、リビングルーム1040の在室率の標準パターン7162が低くなるほど空調熱量が小さくなる制御が空調機1082に行われる。
図23に示されるコントローラ7083の動作によれば、リビングルーム1040の在室状況が在室状態から不在状態に変化した場合はリビングルーム1040の在室状況が不在状態である時間の閾値超えの発生状況がリビングルーム1040の条件付き在室率7160の事前情報とされ、リビングルーム1040の在室状況が不在状態である状態が継続している場合は、キッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化の発生状況がリビングルーム1040の条件付き在室率7161の事前情報とされる。
実施の形態7によれば、キッチン1041の在室状況の変化およびリビングルーム1040の在室状況の継続時間を併用してリビングルーム1040の条件付き在室率を決定できる。
8 実施の形態8
実施の形態8は、実施の形態1の条件付き在室率計算部1121および標準パターン計算部1122をそれぞれ置き換える条件付き在室率計算部1121および標準パターン計算部1122に関する。
実施の形態1と実施の形態8との主な相違は、実施の形態1においては、条件付き在室率計算部1121が時間帯、平日および休日の別ならびに曜日を考慮せずにリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算し、標準パターン計算部1122が時間帯、平日および休日の別ならびに曜日を考慮せずにリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算するが、実施の形態8においては、条件付き在室率計算部1121が、時間帯、平日および休日の別または曜日によってリビングルーム1040の条件付き在室率1161が異なるようにリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算し、標準パターン計算部1122が、時間帯、平日および休日の別または曜日によってリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が異なるようにリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算する点にある。これにより、時間帯、平日および休日の別または曜日に適した空調機1082の制御が行われる。
図25は、各曜日の帰宅時刻の分布を示すグラフである。図25のグラフは、月曜日から金曜日までが出勤日であり土曜日および日曜日が休日であり水曜日が定時退社日であり水曜日には他の出勤日より早く帰宅が可能である場合の各曜日の帰宅時刻の分布を示す。
図25に示される各曜日の帰宅時刻の分布からは、帰宅時刻の分布が互いに類似している曜日が同じグループに属するように月曜日から日曜日までが分類された場合に、月曜日、火曜日、木曜日および金曜日が第1のグループに属し、水曜日が第2のグループに属し、土曜日および日曜日が第3のグループに属することを把握できる。
このため、第1のグループ、第2のグループおよび第3のグループの各々である各グループについて各グループに属する曜日の帰宅時間の分布が反映されたリビングルームの在室率の標準パターンを計算することにより、リビングルームの在室状況をより正確に反映するリビングルームの在室率の標準パターンが得られる。
図26は、月曜日および月曜日以外の曜日の各々のキッチンおよびリビングルームの在室率の標準パターンを示すグラフである。図26に示される月曜日のキッチンおよびリビングルームの在室率の標準パターンからは、月曜日においてはキッチンの在室状況が在室状態から不在状態に変化した後にリビングルームの在室状況が在室状態にならないが、月曜日以外の曜日においてはキッチンの在室状況が在室状態から不在状態に変化した後にリビングルームの在室状況が在室状態になることを把握できる。
このため、月曜日について月曜日のキッチンおよびリビングルームの在室状況の時間履歴が反映されたリビングルームの条件付き在室率を計算し月曜日以外の曜日について月曜日以外の曜日のキッチンおよびリビングルームの在室状況の時間履歴が反映されたリビングルームの条件付き在室率を計算することにより、リビングルームの在室状況をより正確に反映するリビングルームの条件付き在室率が得られる。
実施の形態8によれば、リビングルームの設定室温をリビングルームの目標室温にすることが望まれる状況においてリビングルームの設定室温から遠い室温をリビングルームの目標室温にすることが抑制され、リビングルームの設定室温から遠い室温をリビングルームの目標室温にすることが許される状況においてリビングルームの設定室温に近い室温をリビングルームの目標室温にすることが抑制される。したがって、空調の快適性が向上し、空調に要するエネルギーが減少する。
実施の形態2の条件付き在室率計算部2120、実施の形態7の条件付き在室率計算部7120および実施の形態7の条件付き在室率計算部7121の各々が時間帯、平日および休日の別または曜日によってリビングルームの条件付き在室率が異なるようにリビングルームの条件付き在室率を計算する条件付き在室率計算部に置き換えられてもよい。
実施の形態2の標準パターン計算部2122および実施の形態7の標準パターン計算部7122の各々が時間帯、平日および休日の別または曜日によってリビングルームの在室率の標準パターンが異なるようにリビングルームの在室率の標準パターンを計算する標準パターン計算部に置き換えられてもよい。
9 実施の形態9
実施の形態9は、実施の形態1の在室センサ1081および条件付き在室率計算部1121をそれぞれ置き換える在室センサ1081および条件付き在室率計算部1121に関する。
実施の形態1と実施の形態9との主な相違は、実施の形態1においては、在室センサ1081により検知される在室状況が専らキッチン1041に人が在室しているか否かを示すが、実施の形態9においては、在室センサ1081により検知される在室状況がキッチン1041の在室人数を含む点にある。
また、実施の形態1と実施の形態9との主な相違は、実施の形態1においては、条件付き在室率計算部1121がキッチン1041の在室状況の在室状態から不在状態への変化が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示すリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算するが、実施の形態9においては、条件付き在室率計算部1121がキッチン1041の在室人数の減少が起こった場合に人がリビングルーム1040に在室している確率である条件付き確率を示すリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算する点にもある。
キッチン1041の在室人数は、人のキッチン1041への入室および人のキッチン1041からの退室を検知することにより特定される。人のキッチン1041への入室および人のキッチン1041からの退室は、例えば、人のキッチン1041への入室および人のキッチン1041からの退室をカメラで撮影し、撮影により得られた画像を記録し、記録された画像を解析することにより検知される。特定されたキッチン1041の在室人数は、時系列をなす。キッチン1041の在室人数の減少は、キッチン1041からの人の退室を示す。
実施の形態1によれば、人がキッチン1041から退室したが当該人以外の人が依然としてキッチン1041に在室している場合は、キッチン1041の在室状況が在室状態である状態が継続され、人がキッチン1041から退室したことを検知できない。これに対して、実施の形態9によれば、人がキッチン1041から退室したが当該人以外の人が依然としてキッチン1041に在室している場合でも、人がキッチン1041から退室したことを検知でき、実施の形態1において事前情報として利用できない退室を事前情報として利用できる。
10 実施の形態10
実施の形態10は、実施の形態1の在室センサ1080、在室センサ1081、条件付き在室率計算部1121および標準パターン計算部1122をそれぞれ置き換える在室センサ1080、在室センサ1081、条件付き在室率計算部1121および標準パターン計算部1122に関する。
実施の形態1と実施の形態10との主な相違は、実施の形態1においては、在室センサ1080により検知される在室状況がリビングルーム1040に在室する人を識別する情報を含まず、在室センサ1081により検知される在室状況がキッチン1041に在室する人を識別する情報を含まないが、実施の形態10においては、在室センサ1080により検知される在室状況がリビングルーム1040に在室する人を識別する情報を含み、在室センサ1081により検知される在室状況がキッチン1041に在室する人を識別する情報を含む点にある。
また、実施の形態1と実施の形態10との主な相違は、実施の形態1においては、条件付き在室率計算部1121が人を考慮せずにリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算するが、実施の形態10においては、条件付き在室率計算部1121が複数の人の各々についてリビングルーム1040の条件付き在室率1161を計算する点にもある。
また、実施の形態1と実施の形態10との主な相違は、実施の形態1においては、標準パターン計算部1122が人を考慮せずにリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算するが、実施の形態10においては、標準パターン計算部1122が複数の人の各々についてリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162を計算する点にもある。
部屋に入室する人または部屋から退出する人の識別は、例えば、部屋に入室する人または部屋から退室する人の顔をカメラで撮影し、撮影により得られた顔画像を記録し、記録された顔画像を解析することにより行われる。
実施の形態10によれば、住宅1020が有する一の部屋から住宅1020が有する他の部屋への複数の人の各々の移動が検知され、リビングルーム1040の条件付き在室率1161が複数の人の各々について計算され、複数の人の各々の行動に適した空調機1082の制御が行われる。
実施の形態10においては、条件付き在室率計算部1121が複数のリビングルーム1040の条件付き在室率を計算し、標準パターン計算部1122が複数のリビングルーム1040の在室率の標準パターンを計算する。また、目標室温決定部7124が空調機1082の制御に利用するリビングルーム1040の条件付き在室率1161は、複数のリビングルーム1040の条件付き在室率のうちの最大の条件付き在室率であり、目標室温決定部7124が空調機1082の制御に利用するリビングルーム1040の在室率の標準パターンは、複数のリビングルーム1040の在室率の標準パターンのうちの最大の標準パターンである。これにより、最も起こる可能性が高い在室状況に適した空調機1082の制御が行われる。
実施の形態10によれば、複数の人の各々についてリビングルーム1040の条件付き在室率1161およびリビングルーム1040の在室率の標準パターン1162が計算され、複数の人の各々の行動を反映してリビングルーム1040の目標室温1220が設定され、空調の快適性が向上し空調に要するエネルギーが減少する。実施の形態2または7において同様の変形が行われてもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。