JP6578665B2 - 液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、媒体を支持する支持台と、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドのメンテナンスに用いられるキャップ等のメンテナンス部とを備えた液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法に関する。
従来から、この種の液体吐出装置として、液体としてインクを吐出する吐出ヘッド(印刷ヘッド)を備えたインクジェット式の印刷装置が知られている。インクジェット式の印刷装置は、搬送される用紙等の媒体を支持する支持台(支持部の一例)と、支持台に支持された媒体にノズルからインクを吐出する吐出ヘッドとを備えている。また、プリンターには、吐出ヘッドのノズルの目詰まりを防止する目的で、印刷の途中や待機時に吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス装置が設けられている(例えば特許文献1等)
例えば特許文献1に記載された印刷装置は、ラインヘッドのインク吐出面に対向した位置にあるときに記録用紙を載置可能になるプラテンユニット(支持部の一例)と、インク吐出面に対向した位置にあるときにインク吐出面と当接可能になるキャップユニット(メンテナンス部の一例)とを備える。プラテンユニット及びキャップユニットを上下に揺動させてプラテンユニット又はキャップユニットをインク吐出面に選択的に対向させることが可能な揺動アームを有する移動機構を備えている。キャップユニットとプラテンユニットとをラインヘッドに対向する位置に、1つの共通のモーターで移動させる構成である。
特開2011−16314号公報
ところで、高い印刷スループットを得るためには、プラテンユニットとキャップユニットとを入れ替える動作を速やかに行う必要がある。ところで、プラテンユニットとキャップユニットの各移動経路はラインヘッド側で接近しており、両者が同時に通ると干渉する干渉領域の存在は避けられない。特許文献1に記載された印刷装置では、1つの共通のモーターで駆動される構成なので、プラテンユニットとキャップユニットとが揺動アームを含む移動機構により互いに干渉しないタイミングに機械的に調整されている。
しかし、プラテンユニットとキャップユニットとを2つの動力源で独立駆動させる構成とした場合、プラテンユニットとキャップユニットとを同時に駆動させると、プラテンユニットとキャップユニットとが干渉する虞がある。一方、プラテンユニットとキャップユニットとを一方を先に移動させてその移動を終えると、次に他方の移動を開始する構成とすると、両者の干渉は回避できるものの、メンテナンス時の両者の入れ替えに要する所要時間が相対的に長くなる。このため、プラテンユニットとキャップユニットとを干渉を回避しつつ高速で入れ替えることが要望されている。なお、ラインプリンターに限らず、シリアルプリンター、さらにはインク以外の液体を吐出する液体吐出装置でも、この種の課題は概ね共通する。
本発明の目的は、支持部とメンテナンス部とを、両者の干渉を回避しつつ比較的速やかに入れ替えることができる液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、前記支持部を移動させる第1動力源と、前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、を備え、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、前記支持部を移動させる第1動力源と、前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、前記支持部と前記メンテナンス部とがそれぞれの移動経路上の起動位置に達したことを検出する位置検出部と、を備え、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が前記起動位置に達したことを前記位置検出部が検出すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
この構成によれば、支持部とメンテナンス部は異なる動力源の動力で入れ替えられる。このため、支持部とメンテナンス部とのそれぞれを独立して制御できるが、所定位置の近くでは両者が干渉する心配がある。制御部は、支持部とメンテナンス部が干渉領域では片方ずつ移動し、支持部の移動動作とメンテナンス部の移動動作とが少なくとも一部の期間で重複するように、各動力源を制御する。よって、動力源の異なる支持部とメンテナンス部とを、両者の干渉を回避しつつ、比較的速やかに入れ替えることができる。
また、上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方が先に前記干渉領域を退避方向に通り、前記一方が退避し終わる前に前記所定位置に向かう移動を開始した他方が後から前記干渉領域を前記吐出ヘッドに近づく方向に通るように、前記支持部と前記メンテナンス部との移動を制御することが好ましい。
この構成によれば、支持部とメンテナンス部とを入れ替えるとき、支持部とメンテナンス部とのうち所定位置から退避する一方が先に干渉領域を退避方向に通り、一方が退避し終わる前に所定位置に向かう移動を開始した他方が後から干渉領域を吐出ヘッドに近づく方向に通る。よって、動力源の異なる支持部とメンテナンス部とを、両者の干渉を回避しつつ、比較的速やかに入れ替えることができる。
上記液体吐出装置では、前記支持部と前記メンテナンス部とをそれぞれの移動経路上の起動位置で検知する検知部を備え、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が前記起動位置に達したことを前記検知部が検知すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることが好ましい。
この構成によれば、支持部とメンテナンス部とを入れ替えるとき、両者のうち所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が起動位置に達したことを検知部が検知すると、所定位置に向かう他方の移動を開始させる。よって、動力源の異なる支持部とメンテナンス部とを、両者の干渉を回避しつつ、速やかに入れ替えることができるうえ、支持部とメンテナンス部との干渉を回避するための特別な速度調整が不要なため、制御部による各動力源の制御が簡単に済む。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、前記支持部を移動させる第1動力源と、前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、前記第1動力源の駆動量を検出する第1エンコーダーの検出信号に基づいて前記支持部の移動経路上の位置を取得するとともに、前記第2動力源の駆動量を検出する第2エンコーダーの検出信号に基づいて前記メンテナンス部の移動経路上の位置を取得する位置取得部と、を備え、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、前記位置取得部が取得した当該一方の移動経路上の位置が起動位置に達すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、前記支持部を移動させる第1動力源と、前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、を備え、前記支持部と前記メンテナンス部のうち少なくとも前記メンテナンス部は平均移動速度が可変に構成され、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部が前記所定位置から移動を開始した時点から、前記メンテナンス部を遅れて退避位置から起動させる起動タイミングを前記メンテナンス部の速度に応じて変更し、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
上記液体吐出装置では、前記支持部と前記メンテナンス部のうち少なくとも前記メンテナンス部は平均移動速度が可変に構成され、前記制御部は、前記支持部が前記所定位置から移動を開始した時点から、前記メンテナンス部を遅れて退避位置から起動させる起動タイミングを前記メンテナンス部の速度に応じて変更することが好ましい。
この構成によれば、支持部とメンテナンス部とを入れ替えるとき、支持部の所定位置からの移動開始時点に対するメンテナンス部の退避位置からの起動タイミニングがメンテナンス部の速度に応じて変更される。よって、少なくともメンテナンス部の平均移動速度が変化しても、動力源の異なる支持部とメンテナンス部とを、両者の干渉を回避しつつ、比較的速やかに入れ替えることができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から移動を開始した一方が前記干渉領域にあるときに、他方の移動を開始させることが好ましい。
この構成によれば、制御部は、支持部とメンテナンス部のうち所定位置から移動を開始した一方が干渉領域にあるときに、他方の移動を開始させる。よって、支持部とメンテナンス部の入れ替えに要する所要時間を一層短く済ませられる。
上記液体吐出装置では、前記メンテナンス部は、前記吐出ヘッドからの液体が溜まる受容部を有し、前記吐出ヘッドから吐出された液体を受けることで前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うことが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部は、吐出ヘッドと対向する所定位置で、吐出ヘッドから吐出された液体を受容部で受けることで、吐出ヘッドのメンテナンスを行う。よって、支持部とメンテナンス部との入れ替えを比較的速やかに行って、吐出ヘッドから吐出された液体を受容部で受けるメンテナンスを比較的速やかに終えることができる。例えば、媒体への液体吐出処理を中断してメンテナンスを行う場合、媒体への液体吐出処理を効率よく行うことができる。
上記液体吐出装置では、前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、前記制御部は、前記メンテナンス部が前記移動領域を上昇するときの最大速度を、前記メンテナンス部に溜まった液量に応じて変化させることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部が移動領域を上昇するときの最大速度は、メンテナンス部に溜まった液量に応じて変化する。よって、メンテナンス部の移動過程で受容部からの液体のこぼれを回避し易くなる。
上記液体吐出装置では、前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも前記第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部が前記移動領域を移動する過程の最大速度をより遅くすることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、メンテナンス部が移動領域を移動する過程の最大速度がより遅くなる。よって、メンテナンス部が移動領域を移動する過程で、メンテナンス部の受容部から液体がこぼれることを回避し易くなる。
上記液体吐出装置では、前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも前記第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部が前記移動領域を移動する過程の最大加速度をより小さくすることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部に溜まった液量が、第1の液量であるときよりも、第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、移動領域を移動する過程の最大加速度がより小さくなる。よって、メンテナンス部が移動領域を移動する過程で、メンテナンス部に溜まった液体がこぼれにくくなる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも、前記第2の液量であるときに、前記メンテナンス部の前記移動領域を移動する過程における鉛直方向の加速度の最大値をより小さくすることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部に溜まった液量が、第1の液量であるときよりも、第2の液量であるときに、メンテナンス部が移動領域を移動する過程における鉛直方向の加速度の最大値がより小さくなる。例えばメンテナンス部の上昇過程で第1の液量であるときよりも第2の液量であるときに、鉛直方向の加速度の最大値がより小さくなる。よって、メンテナンス部が移動領域を移動する過程で、メンテナンス部に溜まった液体がこぼれにくくなる。
上記液体吐出装置では、前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が同じである場合、前記メンテナンス部が前記移動領域を上昇するときの最大速度を、前記メンテナンス部が前記移動領域を下降するときの最大速度よりも小さくすることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部に溜まった液量が同じである場合、メンテナンス部が移動領域を上昇するときの最大速度が、メンテナンス部が移動領域を下降するときの最大速度よりも小さくなる。よって、メンテナンス部に溜まった液体の液量が同じである場合、メンテナンス部の上昇過程でも、下降過程と同様に、液体をこぼれにくくすることができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記メンテナンス部内の液量が、第1の液量であるときよりも第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部の平均移動速度をより遅くすることが好ましい。
この構成によれば、メンテナンス部内の液量が第1の液量であるときよりも第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、メンテナンス部の平均移動速度が遅くなる。よって、メンテナンス部内の液量が第2の液量であるときにも、第1の液量であるときと同様に、メンテナンス部を移動させる過程でメンテナンス部に溜まった液体をこぼれにくくすることができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記吐出ヘッドが前記メンテナンス部に対して液体を吐出する吐出回数を計数し、当該吐出回数から前記液量を取得することが好ましい。
この構成によれば、吐出ヘッドがメンテナンス部に対して液体を吐出する吐出回数から、メンテナンス部内の液量を比較的簡単に取得できる。
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、前記支持部を前記吐出ヘッドと対向する所定位置に配置した状態で、前記吐出ヘッドが前記支持部に支持される媒体に液体を吐出する吐出処理ステップと、前記吐出処理ステップの途中で所定時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える第1移動ステップと、前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとを入れ替える第2移動ステップと、を備え、前記第1及び第2移動ステップでは、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者の干渉しうる一部の移動経路では片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。この方法によれば、上記の液体吐出装置と同様の作用効果を得ることができる。
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、前記第1及び第2移動ステップでは、制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が起動位置に達したことを位置検出部が検出すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、前記第1及び第2移動ステップでは、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方を駆動させる駆動源の駆動量を検出するエンコーダーの検出信号に基づいて当該一方の移動経路上の位置を取得し、当該一方が前記移動経路上の起動位置に達すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、前記第1及び第2移動ステップでは、前記支持部が前記所定位置から移動を開始した時点から、前記メンテナンス部を遅れて退避位置から起動させる起動タイミングを前記メンテナンス部の平均移動速度に応じて変更し、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる。
一実施形態におけるプリンターを示す側断面図。 支持台とキャップの駆動制御装置を示す斜視図。 支持台が上昇しキャップが下降した状態の駆動制御装置を示す側面図。 支持台が下降しキャップが上昇した状態の駆動制御装置を示す側面図。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 (a)〜(c)は、昇降機構の動作を説明する模式図。 支持台とキャップの移動経路を示す模式図。 支持台とキャップの移動タイミングの一例を説明する模式図。 支持台とキャップの移動タイミングの一例を、時間とX方向位置との関係で説明するグラフ。 支持台とキャップの移動タイミングの他の一例を説明する模式図。 支持台とキャップの移動タイミングの他の一例を、時間とX方向位置との関係で説明するグラフ。 支持台とキャップの制御を説明するタイミングチャート。 (a),(b)は、キャップの上昇過程における液面の傾きを説明する模式側面図。 (a),(b)は、キャップの下降過程における液面の傾きを説明する模式側面図。 キャップ内の液体の振り子モデルを示す模式図。 キャップの移動に伴うキャップ内の液体の挙動を示す振り子モデルを説明する模式図。 キャップ上昇過程における時間に対する液面変位hをインク量別に示すグラフ。 キャップ上昇過程における水平方向加速度と鉛直方向加速度との変化の様子を示すグラフ。 キャップ下降過程における時間に対する液面変位hをインク量別に示すグラフ。 キャップ下降過程における水平方向加速度と鉛直方向加速度との変化の様子を示すグラフ。 キャップ上昇過程におけるキャップ移動速度に応じた最大液面変位hmaxをインク量別に示すグラフ。 キャップ下降過程におけるキャップ移動速度に応じた最大液面変位hmaxをインク重量別に示すグラフ。 キャップ内のインクがこぼれない上昇過程の限界速度と下降過程の限界速度とをインク量とキャップ移動速度との関係で示すグラフ。 キャップを制御するときのエンコーダー移動量(モーター回転数)に対するキャップの位置と速度とを示すグラフ。 フラッシング制御ルーチンを示すフローチャート。 フラッシング制御の一部を示すフローチャート。 フラッシング制御の一部を示すフローチャート。
以下、液体吐出装置の一実施形態として、液体の一例であるインクを吐出する吐出ヘッドを備え、媒体の一例である用紙にインクを吐出して文字や図形などを含む画像を印刷(記録)するインクジェット式のプリンターについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置の一例としてのプリンター11は、略直方体の筐体12と、図1に一点鎖線で示す搬送経路13に沿って用紙14を搬送する搬送部15とを備える。さらに、搬送経路13沿いには、用紙14を支持する支持部の一例としての支持台17と、搬送経路13を挟んで支持台17に対向する吐出ヘッド18とが定置されている。なお、図1において、用紙14が支持台17と吐出ヘッド18との間に挟まれた領域を搬送経路13に沿って搬送される方向を「搬送方向F」、「搬送方向F」と交差(特に直交)し支持台17と吐出ヘッド18との各々の長手方向(図1における紙面直交方向)と一致する方向を「幅方向W」と呼ぶものとする。
吐出ヘッド18は、幅方向Wに亘って複数のインク滴を同時に吐出可能な所謂ラインヘッドであって、その下方に所定のギャップを隔てて支持台17に支持されつつ搬送される用紙14に向かってインクを吐出して印刷を行う。なお、以下の説明では、搬送経路13において支持台17と吐出ヘッド18との間の位置を印刷位置19という。また、搬送方向Fは、印刷位置19を通るときの用紙14の搬送方向を指す。
そして、搬送経路13は、印刷位置19よりも搬送方向の上流側の第1供給経路21及び第2供給経路22と、印刷位置19よりも搬送方向の下流側の第3供給経路23、分岐経路24、及び排出経路25とにより構成されている。
第1供給経路21は、筐体12の底部に挿抜可能に備えられた用紙カセット27と、印刷位置19とを結ぶ経路である。用紙カセット27に積層状態で収容された用紙群のうち、最上位の用紙14がピックアップローラー28により送り出され、その送り出された用紙14は、分離ローラー29によって1枚ずつ分離される。さらに、分離された用紙14は搬送方向の下流側に位置する各ローラー対31,33,34によって印刷位置19へ給送される。
第2供給経路22は、筐体12の一側面に備えられたカバー12aを開けることによって露出する挿入口12bから挿入された用紙14を、各ローラー対32〜34によって印刷位置19まで搬送する。
第3供給経路23は、印刷位置19で印刷された用紙14を排出後に反転させてローラー対33まで戻す反転用の経路であり、両面印刷時の用紙14の反転に使用される。すなわち、印刷位置19よりも下流側には分岐機構36が設けられ、分岐機構36によって排出経路25から分岐した分岐経路24には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐ローラー対37が設けられている。
排出経路25は、印刷済みの用紙14が排出される排出口38と、印刷位置19とを結ぶ経路である。この排出経路25を通って排出口38から排出された用紙14は、載置台39上に積層状態に排出される。そして、排出経路25には、少なくとも1つ(本実施形態では6個)の搬送系のローラー対40〜45が設けられている。さらに、第3供給経路23にも搬送系のローラー対46,47が設けられている。これらの搬送系の各ローラー対40〜47は、少なくとも一面が印刷済みの用紙14を挟持して搬送する。
すなわち、搬送系の各ローラー対40〜47は、駆動源の駆動力に基づいて回転する円柱状の駆動ローラー48と、駆動ローラー48の回転に伴って従動回転する歯付きローラー49とにより構成されている。また、歯付きローラー49は、駆動ローラー48と対をなさずに単独でも設けられている。歯付きローラー49は、第3供給経路23、分岐経路24、排出経路25において、用紙14の印刷が施された面である印刷面と対向する側に設けられている。一方、駆動ローラー48は、用紙14の印刷が施されていない非印刷面、もしくは両面印刷された用紙14では先に印刷された面と対向する側に設けられている。
そして、本実施形態では、各ローラー28,29及びローラー対31〜35、分岐機構36、ローラー対37,40〜47により、搬送部15が構成されている。また、吐出ヘッド18は不図示の調整機構により高さ位置を調整することにより、吐出ヘッド18と搬送経路13との隙間の大きさの調整が可能となっている。本実施形態のプリンター11は、搬送された用紙14に吐出ヘッド18からインクを吐出して印刷を行うとともに、印刷中に吐出ヘッド18に対するメンテナンスを行う図2に示す印刷ユニット50を備えている。
図2に示すように、印刷ユニット50は、長尺板状の支持台17と、ラインヘッドからなる同図に二点鎖線で示す吐出ヘッド18(ヘッドユニット)と、吐出ヘッド18のノズル開口面(図2では底面)をキャッピング可能なキャップ51(キャップユニット)と、支持台17及びキャップ51を移動させる移動機構52とを備える。吐出ヘッド18は、複数の単位ヘッド181(図3、図4参照)が一列又は複数列に配列されてなる、所謂マルチヘッドタイプのラインヘッドからなる。キャップ51は、複数の単位ヘッド181ごとに各々のノズル開口面に当接可能な複数のキャップ部53を有している。本実施形態では、複数の単位ヘッド181は一列に配列されているため、キャップ51を構成する複数のキャップ部53は単位ヘッド181に対応して一列に配置されている。
吐出ヘッド18を搬送方向Fに挟む両側のうち上流側には搬送ローラー対34が、その下流側には排出ローラー対40が、それぞれ搬送方向Fと交差する幅方向Wに軸方向を一致させる向きで配置されている。両ローラー対34,40は、不図示の動力伝達機構(輪列等)を介して動力源となる搬送モーター54と動力伝達可能な状態に接続されている。両ローラー対34,40は、搬送モーター54の動力により回転する。搬送モーター54には、その回転量に比例する数のパルスを有するパルス信号を出力可能なエンコーダー55が設けられている。
支持台17は、搬送方向Fに搬送ローラー対34と排出ローラー対40との間の位置に、その上面(支持面)が吐出ヘッド18(単位ヘッド181)のノズル開口面と対向する状態に配置されている。支持台17は、吐出ヘッド18がインク滴を吐出して印刷の対象となる用紙の想定最大幅(想定最大用紙幅)に亘って用紙14を支持可能な長さを少なくとも有している。支持台17の上面にはその長手方向に所定の間隔で複数のリブ17Aが突出している。印刷中の用紙14は複数のリブ17Aに支持された状態で搬送方向Fに搬送される。一方、キャップ51は、吐出ヘッド18を構成する複数の単位ヘッド181の個々に対応する複数のキャップ部53を有している。複数のキャップ部53は、複数の単位ヘッド181と同様の配列パターンで列状に配置された状態で一体に取り付けられている。
本実施形態の印刷ユニット50には、支持台17とキャップ51とのうち、吐出ヘッド18と対向する所定位置(一例として上昇位置)に配置される一方を入れ替え可能な移動機構52が設けられている。移動機構52は、用紙14の搬送経路よりも下方、すなわち図2に示す印刷時の支持位置に配置された支持台17よりも下方に配設されている。移動機構52は、支持台17を移動させる第1動力源の一例である第1モーター61と、キャップ51を移動させる第2動力源の一例である第2モーター62とを備える。両モーター61,62は共に、正転と逆転が可能な電動モーターである。第1モーター61には、その回転量に比例する数のパルスを有するパルス信号を出力可能なエンコーダー63が設けられている。また、第2モーター62には、その回転量に比例する数のパルスを有するパルス信号を出力可能なエンコーダー64が設けられている。
移動機構52は、支持台17とキャップ51とを昇降可能に支持する支持フレーム56を備える。支持フレーム56は、底板57と、底板57の幅方向Wの両側に対向して配置された一対の側板58とを有する。一対の側板58には、支持台17を所定の移動経路に沿って案内可能な所定形状の長孔からなる第1カム孔65(ガイド孔)と、キャップ51を所定の移動経路に沿って案内可能な所定形状の長孔からなる第2カム孔66とが形成されている。
図3、図4に示すように、移動機構52は、第1モーター61の回転動力によりボールねじ機構71を介してスライド移動するスライダー72(以下、「支持台側スライダー72」ともいう。)を備える。支持台17は、スライダー72に対して一対のリンク機構73(いずれも図3、図4を参照)を介して昇降可能に支持されている。リンク機構73には、第1カム孔65に沿って案内されるピン73Aが第1カム孔65に挿入された状態で設けられている。第1カム孔65はカムとして機能し、ピン73Aはカムフォロアとして機能する。そして、第1カム孔65とピン73Aとにより、カム機構67が構成される。
また、図3、図4に示すように、移動機構52は、第2モーター62の回転動力によりボールねじ機構74を介してスライド移動するスライダー75(以下、キャップ側スライダー75ともいう。)を備える。キャップ51は、スライダー75に対して一対のリンク機構76を介して昇降可能に支持されている。リンク機構76には、第2カム孔66に沿って案内されるピン76Aが第2カム孔66に挿入された状態で設けられている。第2カム孔66はカムとして機能し、ピン76Aはカムフォロアとして機能する。第2カム孔66とピン76Aとにより、カム機構68が構成される。
そして、第1モーター61の駆動により、支持台側スライダー72が搬送方向Fと平行な方向にスライド移動する過程で、リンク機構73のピン73Aが第1カム孔65に沿って案内されることで、支持台17は途中で水平方向の移動を伴って昇降可能となっている。また、第2モーター62の駆動により、キャップ側スライダー75が搬送方向Fと平行な方向にスライド移動する過程で、リンク機構76に第2カム孔66に挿入された状態で設けられたピン76Aが第2カム孔66に沿って案内されることで、キャップ51は途中で水平方向の移動を伴って昇降可能となっている。
図2〜図4に示すように、支持台17が、吐出ヘッド18と所定のギャップを隔てて対向する支持位置PPに配置された状態では、キャップ51は吐出ヘッド18と対向しない退避位置HP2(図3参照)に配置される。また、キャップ51が吐出ヘッド18と所定のギャップを隔てて対向するフラッシング位置FP(図4参照)に配置された状態では、支持台17は吐出ヘッド18と対向しない退避位置HP2に配置される。
図3に示すように、吐出ヘッド18を構成する各単位ヘッド181の搬送経路13と対向するノズル開口面182には、インクを吐出する複数のノズル183が形成されている。例えば複数の単位ヘッド181が幅方向Wに一列に配置された構成では、複数の単位ヘッド181は、ノズル列方向が搬送方向Fに対してなす角度が鋭角となる斜めの姿勢で互いに平行に配置されている。キャップ51を構成するキャップ部53は、単位ヘッド181のノズル開口面182に接触してノズル183が臨む密閉空間を形成する。
図4に示すように、キャップ部53は、上側が開口した有底矩形箱状のキャップホルダー511と、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の圧縮ばね512により上方に付勢された状態でキャップホルダー511に対してスライド可能な状態で係合された有底矩形箱状のキャップ形成部材513とを備えている。キャップ形成部材513の上端部には、ゴムなどの可撓性材料よりなる矩形枠状のキャップ枠514(リッド部)が固定されている。
次に、図3及び図4を参照して、移動機構52の詳細を説明する。
図3及び図4に示すように、移動機構52は、支持台17を移動させる第1移動機構52Aと、キャップ51を移動させる第2移動機構52Bとを備える。まず第1移動機構52Aについて説明する。第1移動機構52Aは、第1モーター61の出力回転をスライダー72の直線運動に変換するボールねじ機構71を備える。ボールねじ機構71は、第1モーター61の駆動軸と不図示のカップリングを介して同軸に連結されたスクリュー軸77と、スクリュー軸77が複数個のボール(図示せず)を介して螺入されたスライダー72とを備える。スライダー72は、第1モーター61が正転駆動されると、スクリュー軸77の正転によって図4に示す第1位置から図3に示す第2位置まで往動し、第1モーター61が逆転駆動されると、スクリュー軸77の逆転によって第2位置から第1位置まで復動する。
図3及び図4に示すように、リンク機構73は、スライダー72と支持台17との間に介在して両者を相対移動可能に連結する一対の第1リンク部材81,82を有している。一対の第1リンク部材81,82の基端部はスライダー72に軸部81a,82aを介して回動可能に連結され、その先端部が支持台17に軸部81b、81bを介して回動可能に連結されている。一対の第1リンク部材81,82のうち支持台17の退避位置側に配置された一方のリンク部材81にはその長手方向の略中央位置にピン73Aが固定され、このピン73Aが第1カム孔65に挿入されている。第1カム孔65は、退避位置HP1側の一端部から水平に延びる水平案内部65aと、水平案内部65aの他端部から斜め上方へ延びる斜状案内部66bとを有する。
第1モーター61が正転駆動され、スライダー72が第1位置から第2位置まで往動するとき、ピン73Aが水平案内部65aに案内される過程で支持台17は水平に移動し(水平移動過程)、ピン73Aが斜状案内部65bに案内される過程で支持台17は斜め上方へ移動する(水平鉛直移動過程)。ピン73Aが斜状案内部65bの終点に到達した段階では、リンク部材81,82はまだ斜めに傾く姿勢角にあり、さらにスライダー72が往動側へ移動することにより、一対のリンク部材81,82は図3に示すほぼ直立状態に起き上がり、この起き上がり過程で支持台17はほぼ鉛直方向に上昇する(鉛直移動過程)。このように支持台17は、退避位置HP1から支持位置PPまで上昇移動する過程で、水平方向に移動する水平移動過程と、水平方向と鉛直方向との両方に変位しつつ斜めに上昇する水平鉛直移動過程(斜状移動過程)と、ほぼ鉛直方向に上昇する鉛直移動過程とをとる。また、支持台17が支持位置PPから退避位置HP1まで下降移動する過程では、上昇時と逆の経路を辿り、支持台17は、ほぼ鉛直方向に下降する鉛直移動過程と、斜めに下降する水平鉛直移動過程(斜状移動過程)と、水平方向に移動する水平移動過程とをとる。
次に第2移動機構52Bについて説明する。第2移動機構52Bは、第2モーター62の出力回転をスライダー75の直線運動に変換するボールねじ機構74を備える。ボールねじ機構74は、第2モーター62の駆動軸と不図示のカップリングを介して同軸に連結されたスクリュー軸78と、スクリュー軸78が複数個のボール(図示せず)を介して螺入されたスライダー75とを備える。スライダー75は、第2モーター62が正転駆動されると、スクリュー軸78の正転によって図3に示す第1位置から図4に示す第2位置まで往動し、第2モーター62が逆転駆動されると、スクリュー軸78の逆転によって第2位置から第1位置まで復動する。
図3及び図4に示すように、リンク機構76は、スライダー75とキャップ51との間に介在して両者を相対移動可能に連結する一対の第2リンク部材83,84を有している。一対の第2リンク部材83,84の基端部はスライダー75に軸部83a,84aを介して回動可能に連結され、その先端部がキャップ51に軸部83b、84bを介して回動可能に連結されている。一対の第2リンク部材83,84のうちキャップ51の退避位置側に配置された一方のリンク部材83にはその長手方向の略中央位置にピン76Aが固定され、このピン76Aが第2カム孔66に挿入されている。また、第2カム孔66は、退避位置HP2側の一端部から水平に延びる水平案内部66aと、水平案内部66aの他端部から斜め上方へ延びる斜状案内部66bとを有する。
第2モーター62が正転駆動されてスライダー75が第1から第2位置へ往動するとき、ピン76Aが水平案内部66aに案内される過程でキャップ51は水平に移動し(水平移動過程)、ピン76Aが斜状案内部66bに案内される過程でキャップ51は斜め上方へ移動する(水平鉛直移動過程)。ピン76Aが斜状案内部66bの終点に到達した段階では、一対のリンク部材83,84はまだ斜めに傾く姿勢角にあり、さらにスライダー75が往動側へ移動することにより、一対の第2リンク部材83,84は図4に示すほぼ直立状態に起き上がる。この起き上がり過程で、キャップ51はほぼ鉛直方向に上昇する(鉛直移動過程)。このようにキャップ51が退避位置HP2からフラッシング位置FPまで上昇する過程で、キャップ51は水平方向に移動する水平移動過程と、水平方向と重力方向との両方に変位しつつ斜めに上昇する水平鉛直移動過程(斜状移動過程)と、ほぼ鉛直方向に上昇する鉛直移動過程とをとる。また、キャップ51がフラッシング位置FPから退避位置HP2まで下降する過程では、上昇時と逆の経路を辿り、キャップ51は、ほぼ鉛直方向に下降する鉛直移動過程と、斜めに下降する水平鉛直移動過程(斜状移動過程)と、水平方向に移動する水平移動過程とをとる。
次に、図5を参照して、プリンター11の電気的構成について説明する。図5に示すように、プリンター11に備えられた制御部の一例としてのコントローラー90には、入力系として、搬送系のエンコーダー55、第1エンコーダー63、第2エンコーダー64、第1センサー85及び第2センサー86が電気的に接続されている。また、コントローラー90には、出力系として、吐出ヘッド18、搬送モーター54、第1モーター61及び第2モーター62が電気的に接続されている。
エンコーダー55は、搬送モーター54の回転量に比例する数、すなわち用紙14の搬送距離に比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。また、第1エンコーダー63は、第1モーター61の回転量に比例する数、すなわち支持台17の移動量に比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。また、第2エンコーダー64は、第2モーター62の回転量に比例する数、すなわちキャップ51の移動量に比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。
図5に示す第1センサー85は、支持台17が移動経路上の第1位置(起動位置)にあることを検知する例えば位置センサーであって、支持台17が支持位置PPから退避位置HP1側へ移動する途中に第1位置に到達したときに、支持台17に固定された被検知部(図示せず)を検知し、検知信号を出力する。キャップ51を退避位置HP2からフラッシング位置FPへ移動させる際の起動時期は、支持台17が第1位置に到達した時点となる。第1センサー85は、支持台17が第1位置に達した時を、キャップ51を退避位置HP2から起動させる起動時期として検知する。
図5に示す第2センサー86は、キャップ51が移動経路上の第2位置(起動位置)にあることを検知する例えば位置センサーであって、キャップ51がフラッシング位置FPから退避位置HP2側へ移動する途中に第2位置に到達したときに、キャップ51に固定された被検知部(図示せず)を検知し、検知信号を出力する。支持台17を退避位置HP1から支持位置PPへ移動させる際の起動時期は、キャップ51が第2位置に到達した時点となる。第2センサー86は、キャップ51が第2位置に到達した時を、支持台17を退避位置HP1から起動させる起動時期として検知する。
図5に示すコントローラー90は、コンピューター91、ヘッド駆動回路92及びモーター駆動回路93〜95を備えている。コンピューター91は、印刷制御中に、各モーター駆動回路93〜95を介して搬送モーター54、第1モーター61及び第2モーター62を駆動制御する。詳しくは、コンピューター91は、各モーター駆動回路93〜95にそれぞれの指令値(例えばPWM(pulse width modulation)指令値)を出力することにより、モーター54,61,62を指令した回転速度かつ指令した駆動量だけ駆動させる。
また、図5に示すコンピューター91は、CPU(中央処理装置)、ASIC(Application Specific IC(特定用途向けIC))、RAM及び不揮発性メモリー(いずれも図示せず)を備えている。不揮発性メモリーには、フラッシング制御ルーチン(図25参照)を含む各種のプログラム、支持台17及びキャップ51を移動させるときの速度プロファイルを規定する速度制御データ等の必要な参照データや設定データ等が記憶されている。RAMには、CPUが実行するプログラムや各種の演算結果等のデータが一時的に記憶される。CPUは、不揮発性メモリーから読み出したプログラムを実行することで、プリンター11内の印刷ユニット50が行う印刷処理、支持台17の支持位置PPへの移動及び支持位置PPからの退避、キャップ51のフラッシング位置FPへの移動及びフラッシング位置FPからの退避などを制御する。
図5に示すように、コンピューター91は、プログラムを実行することで内部に構築される各種の機能部分を備えている。すなわち、コンピューター91は、機能部分として、主制御部101、ヘッド制御部102、液量測定部103、搬送制御部104、第1制御部105及び第2制御部106を備えている。
主制御部101は、各部102〜106にそれぞれが担当する処理又は制御を指示するとともに、印刷上必要な各種制御を司る。主制御部101はタイマー111を備えている。タイマー111は、前回のフラッシング実施時点からの経過時間を計時する。主制御部101は、タイマー111の計時時間が設定時間に達したことでフラッシング条件が成立すると、フラッシング実施時期(所定時期の一例)になったと把握する。
ヘッド制御部102は、吐出ヘッド18にノズル183からインク滴を吐出させる吐出制御を行う。また、ヘッド制御部102は、印刷中に定期又は不定期に印刷とは関係のないインク滴を吐出ヘッド18の全ノズル183から吐出するフラッシング(空吐出)を行わせる。フラッシングでノズル183内の増粘インクや気泡等が排出されることで、印刷中に吐出頻度の少ないノズル183の目詰まりを防止し、印刷品質の低下を抑える。
主制御部101は、タイマー111の計時時間が設定時間に達してフラッシング実施時期(所定時期の一例)になると、第1制御部105及び第2制御部106に、支持位置PPにある支持台17を退避位置HP1へ退避させるとともに、退避位置HP2にあるキャップ51をフラッシング位置FPへ移動させる入れ替え制御を指示する。すなわち、主制御部101は、支持台17とキャップ51との間で吐出ヘッド18と対向する所定位置(上昇位置)に配置されるものを入れ替える入替え制御を、第1及び第2制御部105,106に指示する。また、主制御部101は、第1及び第2制御部105,106から、支持台17とキャップ51との入れ替えを完了した旨の入替え完了通知を受け付けると、ヘッド制御部102にフラッシング(空吐出)の実施を指示する。すなわち、主制御部101は、キャップ51が吐出ヘッド18のノズル開口面182と対向するフラッシング位置FPに配置されるまで待ってから、ヘッド制御部102にフラッシングの実施を指示する。
液量測定部103は、キャップ51に溜まった液量(インク量)を測定する。本例のキャップ51は、吸引ポンプ88にチューブを通じて接続されている。本例では、搬送モーター54が吸引ポンプ88の動力源を兼ね、搬送モーター54を例えば用紙14を搬送するときの回転方向と逆方向に回転させることで、吸引ポンプ88を駆動し、キャップ51に溜まったインクを廃液タンク89へ排出する。液量測定部103は、吸引ポンプ88が駆動されてキャップ51内の液体(インク)が空になる度にリセットされる不図示のカウンターを備え、このカウンターによりフラッシング回数(空吐出回数)を計数し、その計数値によりキャップ51に溜まった液量を測定する。このように液量測定部103は、キャップ51内の液体が空になる度にリセットされるカウンターが計数したフラッシング回数により、キャップ51に溜まった液量を測定する。ここで、フラッシングでは、吐出ヘッド18の全てのノズル183から同じ液量のインクが同じ回数吐出されるので、キャップ51内の液量は、フラッシング回数に比例する。また、複数のキャップ部53内の液量はすべて同じとみなすことができるので、液量測定部103が測定した液量は、各キャップ部53に溜まった液量を示す。
図5に示す搬送制御部104は、モーター駆動回路93を介して搬送モーター54を駆動制御し、搬送部15を構成する各ローラー対33,34,40等を回転駆動させて、用紙14を搬送させる。搬送制御部104は、吐出ヘッド18からインク滴が吐出される印刷中の用紙14が、そのときの印刷モードに応じた所定速度で搬送されるように搬送モーター54を速度制御する。また、搬送制御部104は、主制御部101から吸引ポンプ88の駆動させる指示を受け付けると、吸引ポンプ88を駆動させる回転方向に搬送モーター54を駆動させる。この吸引ポンプ88の駆動によりキャップ51に溜まった液体(廃インク)は廃液タンク89に排出される。また、吸引ポンプ88の駆動によりキャップ51に溜まった液体が排出される度に、主制御部101は液量測定部103にその旨を通知する。液量測定部103は、この通知を受け付ける度に液量カウンターをリセットする。このため、液量カウンターには、キャップ51に溜まった現在の液量に相当する計数値が計数される。
図5に示す第1制御部105は、支持台17の動力源である第1モーター61を駆動制御し、支持台17の移動を制御する。第1制御部105は、支持台17の位置を取得するための位置カウンター112と、支持台17の起動タイミングを決める各種の演算を行う演算部113と、演算した起動タイミングに達したことを取得する起動カウンター114とを備える。
ここで、本実施形態では、支持台17とキャップ51のうち吐出ヘッド18のノズル開口面182と対向する所定位置(上昇位置)に配置された側である一方の移動を先に開始し、その一方が退避位置に到達するまでの途中の起動位置に達すると、他方の移動を開始させる。そして、本実施形態では、一方が起動位置に達したことを取得する方法として、支持台17とキャップ51とのうち所定位置から下降する側の一方が起動位置に達したことをセンサーに検知させる第1の方法と、速度と距離のデータから起動位置を演算し、所定位置から下降する側の一方がその起動位置に達しかどうかを監視する第2の方法とがある。
第1の方法では、第1制御部105は、キャップ51がフラッシング位置FPから退避位置HP2側へ移動する移動経路の途中に第2位置に到達して第2センサー86から検知信号を入力すると、支持台17の退避位置HP1から支持位置PPへ向かう移動を開始させる。すなわち、第1制御部105は、キャップ51のフラッシング位置FPからの下降中に第2センサー86から検知信号を入力すると、モーター駆動回路94を介して第1モーター61の駆動を開始させ、支持台17の退避位置HP1からの移動を開始させる。支持台17の移動開始後、第1制御部105は、所定の速度プロファイルに従って第1モーター61を速度制御する。また、第1制御部105は、第2の方法のときに、演算部113及び起動カウンター114を用いる。
位置カウンター112は、第1エンコーダー63からのパルス信号のパルスエッジを計数する。第1制御部105は、退避位置HP1に到達した支持台17が不図示のストッパーに当たって第1モーター61にかかる負荷(例えば電流値)が閾値を超えたことをもって支持台17が退避位置HP1に達したことを検知すると、位置カウンター112をリセットする。このため、位置カウンター112は、支持台17の退避位置HP1を原点とする支持台17の移動経路上の現在位置(以下、「支持台位置P1」ともいう。)を示すエンコーダー移動量EM1を計数値として計数する。よって、第1制御部105は、位置カウンター112の計数値であるエンコーダー移動量EM1に基づいて支持台位置P1を取得できる。
また、第2の方法のときに、第1制御部105は、演算部113及び起動カウンター114を用いる。演算部113は、支持台17の起動タイミングを決めるキャップ51の起動位置を演算する。この起動位置は、移動途中に下降中のキャップ51との干渉を回避できるタイミングとなるよう演算される。演算部113は、この演算に用いるキャップ51の移動速度等の情報はコンピューター91内のメモリーから読み出す。
起動カウンター114は、下降過程のキャップ51の位置を第2制御部106から取得し、キャップ51が支持台17を起動させるべき起動位置に達するまでの残り移動量を設定し、第2制御部106から取得するキャップ51の移動量に応じて残り移動量を示す計数値をカウントダウンする。第1制御部105は、起動カウンター114の計数値が「0」(零)に達すると、モーター駆動回路94を介して第1モーター61の駆動を開始させることで、支持台17の退避位置HP1からの移動を開始させる。支持台17の移動開始誤、第1制御部105は、第1モーター61を所定の速度プロファイルに従って速度制御する。
また、図5に示す第2制御部106は、キャップ51の動力源である第2モーター62を駆動制御し、キャップ51の移動を制御する。このとき、キャップ51内の液量に応じてキャップ51の移動速度を制御する。詳しくは、キャップ51に溜まった液量が多いほど、キャップ51の移動速度を遅くする。但し、キャップ51の水平移動過程の速度は変化させず、液量が多いほど、水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程の速度を小さくする。これにより、キャップ51内の液量が多いほど、キャップ51の上昇過程における平均移動速度は遅くなる。第2制御部106は、キャップ51の位置を取得するための位置カウンター115と、キャップ51の起動タイミング及びキャップ51の平均移動速度を決める各種の演算を行う演算部116と、演算した起動タイミングに達したことを取得する起動カウンター117とを備える。
第1の方法では、第2制御部106は、支持台17が支持位置PPから退避位置HP1側へ移動する移動経路の途中に第1位置に到達して第1センサー85から検知信号を入力すると、キャップ51の退避位置HP2からフラッシング位置FPへ向かう移動を開始させる。すなわち、第2制御部106は、支持台17の支持位置PPからの下降中に第1センサー85から検知信号を入力すると、モーター駆動回路95を介して第2モーター62の駆動を開始させ、キャップ51の退避位置HP2からの移動を開始させる。キャップ51の移動開始後、第2制御部106は、キャップ51内の液量に応じて選択した速度プロファイルに従って第2モーター62を速度制御する。また、第2制御部106は、第2の方法のときに、演算部116及び起動カウンター117を用いる。
位置カウンター115は、第2エンコーダー64からのパルス信号のパルスエッジを計数する。第2制御部106は、退避位置HP2に到達したキャップ51が不図示のストッパーに当たって第2モーター62にかかる負荷(例えば電流値)が閾値を超えたことをもってキャップ51が退避位置HP2に達したことを検知すると、位置カウンター115をリセットする。このため、位置カウンター115は、キャップ51の退避位置HP2を原点とするキャップ51の移動経路上の現在位置(以下、「キャップ位置P2」ともいう。)を示すエンコーダー移動量EM2を計数値として計数する。よって、第2制御部106は、位置カウンター115の計数値であるエンコーダー移動量EM2に基づいてキャップ位置P2を取得できる。
また、第2の方法のときに、第2制御部106は、演算部116及び起動カウンター117を用いる。演算部116は、キャップ51の起動タイミングを決める支持台17の起動位置を演算する。また、演算部116は、キャップ51の上昇過程では、キャップ51に溜まった液量に応じたキャップ51の移動速度を演算する。本実施形態では、キャップ51の上昇過程において、キャップ51の水平移動過程の速度は変化させず、キャップ51内の液量が多いほど、水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程の速度を小さくする。つまり、キャップ51内の液量が多いほど、キャップ51の平均移動速度を小さくする。このとき、キャップ51内の液量に応じてキャップ51の移動速度が変化することを考慮して起動位置を演算する。この起動位置は、移動途中にキャップ51が下降中の支持台17との干渉を回避できるタイミングとなるよう演算される。なお、演算部116は、この演算に用いる支持台17の移動速度等の情報はコンピューター91内のメモリーから読み出す。
起動カウンター117は、第1制御部105から支持台17の現在位置を取得し、支持台17がキャップ51を起動させるべき起動位置に達するまでの残り移動量を設定し、第1制御部105から取得した支持台17の移動量に応じて残り移動量を示す計数値をカウントダウンする。第2制御部106は、起動カウンター117の計数値が「0」(零)に達すると、モーター駆動回路95を介して第2モーター62の駆動を開始させることで、キャップ51の退避位置HP2からフラッシング位置FPに向かう移動を開始させる。キャップ51の移動開始後、第2制御部106は、第2モーター62を、キャップ51内の液量に応じて選択した速度プロファイルに従って速度制御する。
なお、本実施形態では、位置検出用のセンサー85,86及びエンコーダー63,64の信号により、支持台位置及びキャップ位置を取得できる。このため、センサー85,86がチャタリングや故障等で検知しないときでも位置カウンター112,115により起動位置をできる。また、カップリングの故障等の何らかの原因でエンコーダー63,64が正確な信号を出力しなくなっても、センサー85,86の検知信号によって少なくとも起動位置を把握できる。
次に図6を参照して、支持台17及びキャップ51の運動について説明する。なお、図6では、退避位置から水平方向へ離れる方向をX方向、鉛直方向に上昇する方向をY方向とする。退避位置HP1,HP2をXY座標系の原点(0,0)とする。
図6に示すように、上昇過程と下降過程で、前述の水平移動過程、水平鉛直移動過程、鉛直移動過程の3種類の運動をする。すなわち、上昇過程では、図6(a)に示す水平移動過程で、支持台17及びキャップ51は、退避位置HP1,HP2からスライダー72,75が往動してリンク機構73,76の傾きが一定のまま水平方向Xのみに移動する。この水平移動過程は、ピン73A,76Aが水平案内部65a,66a(図3、図4参照)に案内される過程に相当する。支持台17及びキャップ51は、原点(0,0)から座標(x1,0)まで移動する。
次に、図6(b)に示す水平鉛直移動過程では、支持台17及びキャップ51は、さらにスライダー72,75がX方向に往動してリンク機構73,76が起き上がりながら水平方向Xと鉛直方向Yとの両方向に変位しつつ斜め上方へ移動する。この水平鉛直移動過程は、ピン73A,76Aが斜状案内部65b,66b(図3、図4参照)に案内される過程に相当する。支持台17及びキャップ51は、座標(x1,0)から座標(x2,y1)まで移動する。
さらに図6(c)に示す鉛直移動過程では、支持台17及びキャップ51は、さらにスライダー72,75がX方向に往動してリンク機構73,76の起き上がり動作を伴いながらほぼ鉛直方向Yに上昇する。この鉛直移動過程は、リンク機構73,76がカム孔65,66の終点に当たったピン73A(図3参照),76A(図4参照)を中心にほぼ直立状態に起き上がる過程に相当する。支持台17及びキャップ51は、座標(x2,y1)から座標(x2,y2)まで移動する。
一方、下降過程では、図6に破線矢印で示すように、支持台17及びキャップ51は、上昇過程と逆の経路で移動する。すなわち、支持台17及びキャップ51は、図6(c)に示す鉛直移動過程でほぼ鉛直方向に下降し、図6(b)に示す水平鉛直移動過程で斜め下方へ下降し、さらに図6(a)に示す水平移動過程で水平方向に移動する。支持台17及びキャップ51は、鉛直移動過程で座標(x2,y2)から座標(x2,y1)までほぼ鉛直に下降し、水平鉛直移動過程で座標(x2,y1)から座標(x1,0)まで斜めに下降し、さらに水平移動過程で座標(x1,0)から原点(0,0)まで水平に移動する。
次に、図7を参照して、支持台17とキャップ51の移動経路及びそれぞれの起動位置を検出する各センサー85,86の位置設定について説明する。図7に示すように、支持台17とキャップ51の移動経路は、第1退避位置HP1と第2退避位置HP2とのそれぞれから水平移動過程で互いに接近する水平方向に延び、水平鉛直移動過程でさらに接近しつつ水平方向と鉛直方向上方との両方向に変位しつつ延び、さらに鉛直移動過程ではほぼ一定の接近距離を保つ状態で鉛直方向に延びている。
印刷中は、支持台17が支持位置PPかつキャップ51が第2退避位置HP2にあり、この印刷中にフラッシング実施時期になると、支持台17を支持位置PPから第1退避位置HP1へ退避させる下降動作と、キャップ51を第2退避位置HP2からフラッシング位置FPに移動させる上昇動作とを含む第1入れ替え動作が行われる。また、フラッシング時は、支持台17が第1退避位置HP1かつキャップ51がフラッシング位置FPにあり、フラッシングを終了すると、キャップ51をフラッシング位置FPから第2退避位置HP2に退避させる下降動作と、支持台17を第1退避位置HP1から支持位置PPに移動させる上昇動作とを含む第2入れ替え動作が行われる。
図7に示すように、支持台移動経路MP1とキャップ移動経路MP2には、支持台17とキャップ51が同時に移動すると両者が干渉する干渉領域IAが存在する。このため、本実施形態では、入れ替え動作の過程で、支持台17とキャップ51が干渉領域IAで併存して干渉することを回避するべく、支持台17とキャップ51とのうち少なくとも一方の起動タイミングを調整する。
本実施形態では、センサー85,86の検知信号に基づいて起動タイミングを調整する。すなわち、第1入れ替え動作時は、支持台17とキャップ51のうち先に起動して下降を開始した支持台17が所定位置に達したことを第1センサー85が検知したときを、第2退避位置HP2から移動を開始するキャップ51の起動タイミングとしている。また、第2入れ替え動作時は、支持台17とキャップ51のうち先に起動して下降を開始したキャップ51が所定位置に達したことを第2センサー86が検知したときを、支持台17が第1退避位置HP1から移動を開始するべき起動タイミングとしている。
図7では、第1及び第2センサー85,86の設定位置として、2つの例を示している。1つめは、支持台17とキャップ51のうち上昇位置から下降する相手側が干渉領域IAを通り過ぎるのを待ってから起動させる起動タイミングに設定した例である。この場合、各センサー85,86は、支持台17及びキャップ51のうち下降する相手側が干渉領域IAを通り過ぎた図7に二点鎖線で指す白丸の位置で相手側の被検知部を検知できる位置に設定されている。また、2つめは、支持台17とキャップ51のうち上昇位置から下降する相手側が干渉領域IAにあるうちに起動させる起動タイミングに設定した例である。この場合、各センサー85,86は、支持台17及びキャップ51のうち下降する相手側が干渉領域IA内の図7に実線で指す黒丸の位置で相手側の被検知部を検知できる位置に設定されている。
図8は、1つめの例を説明するものである。図8に示すように、支持台17が上昇位置(支持位置PP)から下降して干渉領域IAを通り過ぎた図8に実線で示す起動位置で第1センサー85に検知された時点で、キャップ51は同図に実線で示す退避位置(第2退避位置HP2)から上昇位置に向かって移動を開始する。
図9は、図8における支持台17とキャップ51との移動タイミングを、X方向位置と時間との座標系で示したものである。図9に示すように、支持台17が上昇位置(支持位置PP)から移動を開始した時刻Toから、支持台17が第1センサー85に検知される時刻Tsまでの待機時間ΔTwを待った後、キャップ51は退避位置(第2退避位置HP2)から上昇位置に向かって移動を開始する。図9から分かるように、支持台17とキャップ51とは入れ替え動作の全域で、支持台17とキャップ51は同じ時刻に異なる位置に存在するため、干渉することはない。そして、キャップ51の起動時刻Tsから支持台17が退避位置に到達して停止する停止時刻Teまでの重複期間ΔTopで、支持台17とキャップ51とが同時に移動する。つまり、支持台17の移動動作とキャップ51の移動動作とが一部の期間ΔTopで重複する。このため、支持台17とキャップ51とが入れ替え動作にかかる所要時間を、重複期間ΔTopの分だけ短く済ませることができる。この1つめの例では、図9に示すように、支持台17とキャップ51とが同じ時刻で最接近した距離が相対的に長く、この距離をまだ短くする余裕がある。この距離をさらに短くする制御を行うのが、2つめの例となる。
図10は、2つめの例を説明するものである。図10に示すように、支持台17が上昇位置(支持位置PP)から下降して干渉領域IA内の図10に実線で示す起動位置に達したことを第1センサー85に検知された時点で、キャップ51は同図に実線で示す退避位置(第2退避位置HP2)から上昇位置に向かって移動を開始する。
図11は、図10における支持台17とキャップ51との移動タイミングを、X方向位置と時間との座標系で示したものである。図11に示すように、支持台17が上昇位置(支持位置PP)から移動を開始した時刻Toから、支持台17が第1センサー85に検知される時刻Tsまでの待機時間ΔTwを待った後、キャップ51は退避位置(第2退避位置HP2)から上昇位置に向かって移動を開始する。図11から分かるように、支持台17とキャップ51とは入れ替え動作が行われる全域で、同じ時刻に異なる位置に存在するため、干渉することはない。特にこの例では、図11に示すように、支持台17とキャップ51とが同じ時刻で最接近した距離が、1つめの例に比べ短くなっており、支持台17とキャップ51は干渉しない範囲内でかなり接近する。
そして、キャップ51の起動時刻Tsから支持台17が退避位置HP1に到達して停止した停止時刻Teまでの重複期間ΔTopで、支持台17とキャップ51とが同時に移動する。つまり、支持台17の移動動作とキャップ51の移動動作とが一部の期間ΔTopで重複する。この重複期間ΔTopは、1つめの例よりも長くなっている。このため、1つめの例よりも重複期間ΔTopが長くなる分だけ、支持台17とキャップ51との入れ替え動作にかかる所要時間が一層短くなる。
なお、図8〜図11では、支持台17が支持位置PPから下降しキャップ51が第2退避位置HP2からフラッシング位置FPまで上昇する第1入れ替え動作を説明したが、キャップ51がフラッシング位置FPから下降し支持台17が第1退避位置HP1から支持位置PPまで上昇する第2入れ替え動作についても、同様に重複期間ΔTopの分だけ入れ替え所要時間を短くすることができる。
次に、図12を参照して、印刷中に実施されるフラッシング動作について説明する。印刷中は、支持台17が支持位置PPに配置され、キャップ51は第2退避位置HP2に配置されている。この支持位置PPに配置された支持台17上を搬送される用紙14に対して吐出ヘッド18がインク滴を吐出することで、用紙14に文書又は画像等が印刷される。
前回のフラッシング実施時点からの経過時間が設定時間を超え、フラッシング条件が成立すると、図12に示すように、シーケンス上のフラッシング開始タイミングとなる。このため、フラッシング条件が成立すると、第1モーター61が逆転駆動し、支持台17は支持位置PPから退避位置HP1まで下降する。この支持台17の下降途中で所定位置に達した支持台17を検知した第1センサー85が検知状態になると、第2モーター62が正転駆動される。この結果、キャップ51が第2退避位置HP2からフラッシング位置FPまで上昇する。キャップ51がフラッシング位置FPに到達すると、第2モーター62の駆動は停止される。こうして支持台17とキャップ51とをフラッシング時の配置状態に入れ替える第1入れ替え動作が終了する。
こうしてキャップ51がフラッシング位置FPに配置されると、コントローラー90は、吐出ヘッド18を制御して印刷中のフラッシングを行う。すなわち、吐出ヘッド18の全ノズルから印刷とは関係のないインクを吐出する。例えば印刷中においては、印刷に使用されない不使用ノズルが存在する場合がある。インクが吐出されない不使用ノズル内のインクは、キャップがなされない状態で空気にさらされているので、印刷中は次第に増粘する。しかし、印刷中に定期的にフラッシングが実施され、不使用ノズル内のインクがリフレッシュされるので、増粘インクに起因するノズル目詰まり等を防止したり、その発生頻度を低減したりすることができる。よって、ノズル目詰まり等に起因する印刷不良を低減できる。
フラッシング終了後、第2モーター62が逆転駆動され、キャップ51がフラッシング位置FPから第2退避位置HP2まで下降する。このキャップ51の下降途中で所定位置に達したキャップ51を検知した第2センサー86に検知状態になると、第1モーター61が正転駆動される。支持台17は第1退避位置HP1から支持位置PPまで上昇する。こうして第2入れ替え動作が終了し、支持台17とキャップ51は印刷時の元の配置状態に復帰する。
次に、図13及び図14を参照して、キャップ51の速度制御について説明する。図13に示すように、キャップ51を移動させるときは、通常、その内部にインクが溜まっている。本実施形態では、フラッシング回数が所定回数を超える度に、ページの切り替え時(給排紙時)又は印刷ジョブ終了時点に、吸引ポンプ88を駆動させてキャップ51内の廃インクを吸引して廃液タンク89へ排出する。このため、キャップ51内のインク量はその時々で変化する。
ところで、図13及び図14に示すように、キャップ51内にインクが溜まっていると、上昇過程と下降過程との少なくとも一方でキャップ51に溜まったインクがこぼれる虞がある。図13に示す上昇過程では、水平移動過程でインク200の液面201が進行方向と反対側が高くなる斜めに傾き、図13(a)に示す水平鉛直移動過程で液面201が水平移動過程の傾きから反対側の傾き(進行方向側が高くなる傾き)に変化しようとして傾きを小さくし水平を経て反対側が高くなる傾きになる。そして、図13(b)に示す鉛直移動過程でその液面201の反対側への傾きを増しながらキャップ51は上昇する。そして、キャップ51がフラッシング位置FPに達して停止すると、液体200が慣性で上方へ移動しようとして、図13(b)に実線で示すように液面201がさらに大きく傾き、このときキャップ51に溜まったインク200がこぼれる虞がある。
このため、本実施形態では、キャップ51の上昇過程においては、キャップ51の移動速度をキャップ51内のインク量に応じて変化させる。詳しくは、キャップ51内のインク量が多くなるほど、その移動過程の少なくとも一部でキャップ51の移動速度を相対的に低くしてキャップ51の平均移動速度を遅くするようキャップ51を速度制御する。本例では、インク200がこぼれる可能性の低い水平移動過程では、インク量に依らずキャップ51の最大移動速度を一定とし、水平鉛直移動過程と鉛直移動過程での最大移動速度を、インク量が多いほど低速側に変化させる。
一方、図14に示すように、フラッシングが終わった後、キャップ51は図14(b)に示す上昇位置(フラッシング位置FP)から下降する。上昇位置ではキャップ51内のインク200は水平な液面201を保つ。そして、図14(b)に示す上昇位置からの下降過程において、まず鉛直移動過程でその下降中の加速度及び重力加速度によってインク200は真下に押し付けられ、図14(a)に示す水平鉛直移動過程で液面201は若干斜めに傾き、水平移動過程でもその液面201の傾きを少し増す程度である。このため、キャップ51の下降過程では、上昇過程に比べ、液面201の最大傾き角が相対的に小さく、キャップ51内のインクがこぼれにくい。このため、本実施形態では、キャップ51の下降過程では、キャップ51の移動速度をインク量に依らず同じとすることで、インク量に依らず同じ平均移動速度になるようキャップ51を速度制御する。
次に、図15を参照して、キャップに溜まった液体の液面変位をシミュレーションする振り子モデルについて説明する。図15に示すように、この振り子モデルでは、キャップ51に溜まった質量mの液体200(インク)の運動を、質量mの重り301を付けた振り子300の運動とみなす。まず、キャップ51の移動開始前の停止状態では、液体200の液面201は図15に破線で示す水平状態にある。キャップ51が吐出ヘッド側へ移動するときは、液体の振り子300は進行方向と反対側(退避位置側)に揺れ、液面201は振り子300の振れ角θ1に等しい同図に実線で示す角度θ1に傾く。また、キャップ51が退避位置側へ移動するときは、液体の振り子300は、進行方向と反対側(吐出ヘッド側)へ揺れ、液面201は振り子300の振れ角θ2に等しい同図に二点鎖線で示す角度θ2に傾く。
ここで、液体がこぼれるか否かは、キャップ51の進行方向(液体の揺れ方向)両側の内壁面515,516の位置における液面変位に依存する。水平な液面を基準(0(零))にすると、両側の内壁面での液面変位はプラスとマイナスが逆になるだけで絶対値は同じとみなせ、ここでは、キャップ51の退避位置側の内壁面515のものを液面変位hとする。キャップ51が吐出ヘッド側へ移動する過程で液面201が図15に実線で示す向きに傾いたときは、液面変位hはプラス側の値をとり、一方、キャップ51が退避位置側へ移動する過程で液面201が図15に二点鎖線で示す向きに傾いたときは、液面変位hはマイナスの値をとる。
次に、図16を参照して、液面変位をシミュレーションする振り子モデルの詳細を説明する。図16に示すように、振り子モデルにおいて、液体を粘性体と考えると、振り子300の重り301が、ダッシュポット302を介してキャップ51の内壁面515に接続されているのと等価である。液面変位h、振れ角θ、キャップ51の受容部の中心距離L、等価粘性係数c、キャップ内の液体質量m、重力加速度g、等価振り子長さl、キャップ51の水平方向の加速度α、キャップ51の鉛直方向上向き(反重力方向)の加速度βとする。
運動方程式は、以下の(1)式及び(2)式で表わされる。
上記運動方程式を解くと、液面変位hは、次式で与えられる。
上記(3)式において、「s」はラプラス演算子である。
キャップ51からの液体のこぼれを抑えるためには、液面変位hを小さくする必要がある。上記(3)式から、液面変位hを小さくするためには、水平方向の加速度αと鉛直方向の加速度βとを小さくする必要がある。また、キャップ51の上昇所要時間を短くするためには、水平移動速度の定速度(最高速度)を高速とし、水平移動過程の終期で減速して水平鉛直移動過程に入る前に水平方向の加速度αを小さくする。この減速は、水平鉛直移動過程へ移行したときの鉛直方向の加速度βを小さくするのに寄与する。
次に、図17〜図20を参照して、振り子モデルにおける液面変位のシミュレーション結果について説明する。図17は上昇過程における液面変位hの変化の様子を示し、図18は上昇過程における水平方向の加速度αと鉛直方向の加速度βgとの変化の様子をそれぞれ示す加速度曲線A1,B1である。また、図19は下降過程における液面変位hの変化の様子を示し、図20は下降過程における水平方向の加速度αと鉛直方向の加速度βgの変化の様子をそれぞれ示す加速度曲線A2,B2である。図18及び図20における加速度α,βgは、第2モーター62を駆動させてキャップ51を通常の定速度(高速度V1)で移動させたときの計測値(図18では実線)であり、これら計測した加速度α,βgを用いて、液面変位hをシミュレーションした結果が、図17及び図19の各グラフである。図17及び図19に示すように、キャップ51内のインク量(インク質量)は、0.3g、0.5g、0.7g、0.8gの4種類とした。なお、鉛直方向の加速度βgは、鉛直方向上側(反重力方向)をプラスとし、この中に重力加速度gも含まれ、(g+β)値に相当する。
図17及び図19に示すグラフでは、横軸が時間(秒)、縦軸が液面変位h(mm)である。これらのグラフでは、キャップ51の退避位置側の内壁面515の位置における液面変位hを、水平な液面を基準面(0(零))とし、基準面からの上昇変位をプラス、下降変位をマイナスで示している。
まず、図17及び図18を参照して、上昇過程の液面変位hについて説明する。同図に示すように、キャップ51の上昇過程では、まず水平移動過程で始動時に水平方向にプラスの加速度αが加わって、液面変位hはプラス側へ上昇する。次に、水平鉛直移動過程では、水平方向の加速度αがマイナスになりかつ鉛直方向の加速度βgが重力加速度よりも大きくなって、液面変位hは下降し始める。さらに鉛直移動過程では水平方向の加速度αが0(零)になりかつ鉛直方向の加速度βgが重力加速度よりも小さくなり、液面変位hはさらに大きく下降する。そして、キャップ51が上昇し終わったフラッシング位置FPで停止した後、液面変位hは、液体の慣性でさらに下降し、マイナス側に最大値となる。その後、揺れ戻しにより液面変位hは上昇に転じた後、プラスとマイナスの揺れを交互に繰り返しながら徐々に減衰する。このように液面変位hは、キャップ51がフラッシング位置FPに停止した直後に、マイナス側で最大液面変位hmaxをとる。このとき、キャップ51の吐出ヘッド側の内壁面516の位置では、液面変位がプラス側で最大液面変位hmaxをとる。図17のグラフに示された上昇過程の液面変位曲線H1〜H4から分かるように、インク量(インク質量)が、0.3g,0.5g,0.7g,0.8gと多くなるほど、最大液面変位hmaxは大きくなる。
次に、図19及び図20を参照して、下降過程の液面変位hについて説明する。同図に示すように、キャップ51の下降過程では、まず鉛直移動過程で液体に鉛直方向に重力加速度よりも小さな加速度βgが加わり、液面が水平を保ち、液面変位hは「0(零)」に保たれる。次に、水平鉛直移動過程では水平方向にマイナスの加速度αが加わりかつ鉛直方向に重力加速度よりも大きな加速度βgが加わって、キャップ51内の液体が吐出ヘッド側へ移動するため、液面変位hは下降し始める。さらに水平移動過程では水平方向の加速度αが0(零)になりかつ鉛直方向の加速度βgが重力加速度のみになり、液面変位hは液体の慣性によりさらに少し下降する。そして、キャップ51が退避位置HP2に停止する手前の減速で水平方向にプラスの加速度αが加わり、液面変位hは上昇に転じる。そして、キャップ51が下降し終わった退避位置HP2で停止した後、液面変位hは、液体の慣性でさらに上昇し、最大値をとる。その後、揺れ戻しにより液面変位hは下降に転じた後、液面はマイナスとプラスの揺れを交互に繰り返しながら徐々に減衰する。このように下降過程で液面変位hは、キャップ51が退避位置HP2に停止した直後にプラス側で最大液面変位hmaxをとる。図19のグラフに示された下降過程の液面変位曲線H1〜H4から分かるように、インク量(インク質量)が、0.3g,0.5g,0.7g,0.8gと多くなるほど、最大液面変位hmaxは大きくなる。
次に、図21及び図22を参照して、キャップ51内のインク量とキャップ51の移動速度とが異なる複数の条件の下で行った最大液面変位hmaxのシミュレーション結果について説明する。図21及び図22に示すグラフは、インク量が異なる複数の条件の下でシミュレーションを行って得られたキャップ移動速度Vcp(cm/秒)と最大液面変位hmax(mm)との関係を示す。図21はキャップ51の上昇過程、図22はキャップ51の下降過程である。なお、キャップ内のインク量を、0.3g、0.5g、0.7g、0.8gとし、キャップ移動速度Vcpをその使用範囲内の13cm/秒、35cm/秒、40cm/秒、50cm/秒とした。
まず、図21を参照して、キャップ51の上昇過程における最大液面変位hmaxについて説明する。図21に示すグラフから分かるように、最大液面変位hmaxは、キャップ移動速度Vcpが速いほど、かつキャップ51内のインク量が多いほど、大きくなっている。そして、インク量が0.7gと0.8gのときには、それぞれ速度35cm/秒以上、25cm/秒以上になると、それぞれの最大液面変位hmaxが限界変位(図21における破線)を超え、キャップ51からインクがこぼれることになる。このため、キャップ51内のインク量が0.7g以上のときには、限界変位を超えない範囲にキャップ移動速度Vcpを抑える必要がある。すなわち、キャップ移動速度Vcpの使用範囲で、最大液面変位hmaxが限界変位を超えるインク量(図21の例では0.7g以上)のときには、最大液面変位hmaxが限界変位を超えない範囲にキャップ移動速度Vcpを抑える必要がある。そのため、本例では、キャップ51の上昇過程では、インク量が0.7g未満である場合は、キャップ移動速度Vcp(最大速度)を通常時の高速度V1とし、インク量が0.7g以上である場合は、キャップ移動速度Vcpを高速度V1よりも低速の制限速度V2に設定している。
次に、図22を参照して、キャップ51の下降過程における最大液面変位hmaxについて説明する。図22に示すグラフから分かるように、下降過程における最大液面変位hmaxは、キャップ移動速度Vcpが速いほど、かつキャップ51内のインク量が多いほど大きくなっているものの、上昇過程に比べ最大液面変位hmaxは相対的に小さい。そのため、キャップ移動速度Vcp及びインク量の各使用範囲で、最大液面変位hmaxが限界変位(図22における破線)を超えることがない。従って、下降過程では、キャップ移動速度Vcpを低く抑える必要がない。そのため、本例では、キャップ51の上昇過程では、キャップ移動速度Vcp(最大速度)を通常時の高速度V1に設定している。
次に、図23を参照して、キャップ51内のインク量と、インクがこぼれないキャップの限界速度との関係について説明する。図23に示すグラフにおいて、横軸がキャップ内のインク量(g)、縦軸がキャップ移動速度Vcp(cm/秒)である。同グラフにおいて、実線が上昇過程における限界速度Vmaxを示す限界速度曲線VC1であり、一点鎖線が下降過程における限界速度Vmaxを示す限界速度曲線VC2である。このグラフから分かるように、限界速度Vmaxは、インク量が多くなるほど、低速になる。また、インク量が同じであれば、上昇過程の限界速度Vmax方が下降過程の限界速度Vmaxよりも低くなる。このため、本例では、インク量が同じであれば、上昇過程におけるキャップ51の最大速度を、下降過程におけるキャップ51の最大速度よりも低く抑える。
次に、図24を参照して、コントローラー90内のコンピューター91が、上昇過程でキャップ移動速度Vcpを限界速度Vmax以下に抑えるキャップ51の速度制御について説明する。コンピューター91は、支持台17及びキャップ51の位置を、それぞれの退避位置HP1,HP2を原点とするエンコーダー移動量EM(モーター回転数)で管理する。なお、このグラフにおけるエンコーダー移動量EMは、支持台17についてはエンコーダー移動量EM1を指し、キャップ51についてはエンコーダー移動量EM2を指す。
図24における上段のグラフは、エンコーダー移動量EM(EM1,EM2)に対する支持台17及びキャップ51のX方向(水平方向)の位置(同図の一点鎖線)とY方向(鉛直方向)の位置(同図の実線)とを示す。前述のとおり、支持台17及びキャップ51は、水平移動過程では退避位置HP(エンコーダー移動量「0」)からX方向のみに変位し、水平鉛直移動過程ではX方向及びY方向の両方に変位し、さらに鉛直移動過程ではX方向の位置をほぼ保ちつつY方向のみに変位する。なお、水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程の領域は、鉛直方向の変位成分を有する(つまり鉛直方向の変位成分が零ではない)移動領域の一例に相当する。
図24の下段に示すグラフは、エンコーダー移動量EMに対する支持台17及びキャップ51の速度を示す。支持台17は、実線で示すように、上昇過程(水平移動、水平鉛直移動、鉛直移動)の全域において、定速領域の定速度が高速度V1に設定された通常速度プロファイルに従って移動する。この速度制御は、コンピューター91(第1制御部105)が、支持台17の現在位置を示すその時々のエンコーダー移動量EM(EM1)を基に通常速度プロファイルデータを参照して得た目標速度に応じた指令値をモーター駆動回路94に出力することで行われる。このように支持台17の速度制御には、通常速度プロファイルデータのみが用いられる。
次に、キャップ51の上昇過程における速度制御は以下のように行われる。コンピューター91(第2制御部106)は、キャップ移動速度Vcpを限界速度Vmax以下に制限する必要のない通常時は、実線で示すように、上昇過程(水平移動、水平鉛直移動、鉛直移動)の全域において、支持台17の速度制御と同様に、定速領域の定速度が高速度V1に設定された通常速度プロファイルに従って移動させる。すなわち、コンピューター91が、キャップ51の現在位置を示すその時々のエンコーダー移動量EM(EM2)を基に通常速度プロファイルデータを参照して得た目標速度に応じた指令値をモーター駆動回路95に出力することで行われる。
一方、キャップ51を限界速度Vmax以下に抑える必要のある条件が成立した速度制限制御時は、コンピューター91(第2制御部106)は、キャップ51を、図24の下段のグラフにおける一点鎖線で示すような速度制限制御用の速度プロファイルに従って移動させる。すなわち、コンピューター91は、キャップ51を、水平移動過程で高速度V1まで上昇させ、水平移動過程内に設定された減速開始位置EMdから高速度V1から制限速度V2まで減速させる。そして、水平鉛直移動過程へは制限速度V2で移行する。水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程では、キャップ51を制限速度V2で定速移動させ、その後、鉛直移動過程の終期で減速開始位置に達すると、キャップ51を制限速度V2から減速させてフラッシング位置FPに停止させる。コンピューター91は、その時々のキャップ位置を示すエンコーダー移動量EM(EM2)を基に、速度制限用の速度プロファイルデータを参照して得た目標速度に応じた指令値をモーター駆動回路95に出力することで、キャップ51の速度制限制御を行う。
すなわち、鉛直方向の変位成分を有する水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程の移動領域では、キャップ51が上昇するときの最大速度を、キャップ51に溜まったインク量に応じて変化させている。すなわち、この移動領域では、インク量が第1のインク量(例えば0.7g未満)のときにキャップ51の最大速度を高速度V1とし、第1のインク量よりも多い第2のインク量(例えば0.7以上)のときにキャップ51の最大速度を、高速度V1よりも低速な制限速度V2にしている。なお、この移動領域において、インク量に応じてキャップ51の最大速度を3段階以上の複数段階に変化させてもよいし、さらにこぼれない閾値未満のインク量を除く範囲で又はインク量の使用範囲で、インク量に応じてキャップ51の最大速度を連続的に変化させてもよい。これらの場合でも、最大速度の異なる2つのインク量(第1の液量と第2の液量)を任意に選択した場合、第1の液量であるときのキャップ51の最大速度よりも、第1の液量よりも多い第2の液量であるときのキャップ51の最大速度が、より小さくなる。さらに、図24のグラフから分かるように、キャップ51のインク量が、第1の液量であるときよりも第2の液量であるときに、キャップ51の平均移動速度をより遅くしている。
また、上記の移動領域に移行する前にインク量が第1のインク量のときに高速度V1から、第2のインク量のときの制限速度V2に減速させてから、制限速度V2で移動領域に移行する。そのため、この移動領域では、インク量が第1のインク量であるときのキャップ51の鉛直方向の加速度βの最大値(図18の下段のグラフ中の実線)よりも、第2のインク量であるときのキャップ51の鉛直方向の加速度βの最大値(同グラフ中の二点鎖線)が、より小さくなる。なお、ここでいう加速度βのとは、図18のグラフでは、重力加速度gを除いた鉛直方向の加速度の大きさ(絶対値)をいう。
さらに図18の上段のグラフにおける水平方向の加速度αと、下段のグラフにおける鉛直方向の加速度β(重力加速度を除いた値)とを合成したキャップ51の加速度については、次のことが言える。すなわち、この移動領域では、インク量が第1のインク量であるときのキャップ51の最大加速度(図18のグラフ中の実線の合成値の最大値)よりも、第2のインク量であるときのキャップ51の最大加速度(同グラフ中の二点鎖線の合成値の最大値)が、より小さくなる。
また、図24において、キャップ51の下降過程は、上段のグラフのキャップ51の位置は逆の経路を辿り、下段のグラフは同じようにフラッシング位置FP(EM=980)から高速度V1まで加速して高速度V1で定速移動した後、減速開始位置から減速して退避位置HP2(EM=0)に停止する。このため、上記の移動領域では、キャップ51に溜まったインク量(液量)が同じである場合(例えば0.7gのとき)、キャップ51が上昇するときの最大速度を、キャップ51が下降するときの最大速度よりも小さくなっている。
次に、プリンター11の作用を説明する。以下、図25等を参照して、印刷中にフラッシング実施時期(メンテナンス実施時期の一例)になると実施されるフラッシング制御について説明する。コンピューター91は、例えばプリンター11の電源オン中において少なくとも印刷中は、図25にフローチャートで示されたプログラムを実行する。
プリンター11は、例えば不図示のホスト装置(例えばパーソナルコンピューターや携帯端末)から印刷ジョブを受け付けると、印刷処理(液体吐出処理の一例)を開始する。すなわち、プリンター11は、搬送モーター54を駆動して給送した用紙14を一定速度で搬送し、印刷ジョブに含まれる印刷データに従って吐出ヘッド18を制御して、搬送中の用紙14に対してノズル183からインク滴を吐出することで、印刷データに基づく文書又は画像を用紙14に印刷する。
この印刷中は、図3に示すように、支持台17は、吐出ヘッド18と所定のギャップを隔てた支持位置PPに配置され、搬送中の用紙14を支持する。また、この印刷中において、キャップ51は、第2退避位置HP2に退避している。
以下、図25等を参照して、コンピューター91が実行するフラッシング制御ルーチンについて説明する。
まずステップS11では、フラッシング実施時期であるか否かを判定する。印刷中は、主制御部101がタイマー111により前回のフラッシング実施時点からの経過時間を計時しており、その計時時間が設定時間に達してフラッシング条件が成立すると、フラッシング実施時期であると判断する。フラッシング実施時期であればステップS12に進み、フラッシング実施時期でなければ、フラッシング実施時期になるまで待機する。なお、フラッシング時期になると、吐出ヘッド18のインクの吐出も停止される。
ステップS12では、第1モーター61を駆動して、まず支持台17を支持位置PPから第1退避位置HP1へ移動させる。すなわち、第1制御部105が、通常速度プロファイルを選択し、その選択した通常速度プロファイルに従って、位置カウンター112が計数するエンコーダー移動量EM1に応じた目標速度を指令して第1モーター61を速度制御する。この結果、第1モーター61は一定速度で逆転駆動され、支持台17は支持位置PPからほぼ高速度V1で下降する。
次のステップS13では、キャップ内のインク量を取得する。すなわち、液量測定部103がフラッシング回数を計数したその計数値に基づくインク量を取得する。
ステップS14では、インク量に応じた速度モードを決定する。すなわち、第2制御部106が、インク量に応じて通常速度モードか制限速度モードかを決定し、その決定した速度モードに対応する速度制御データ(速度プロファイルデータ)を選択する。第2制御部106が、インク量が例えば0.3g、0.5gなど0.7g未満のときには、通常速度プロファイルデータを選択し、インク量が例えば0.7g、0.8gなど0.7g以上のときには、最大速度を制限速度V2以下に抑える速度制限用の速度プロファイルデータを選択する。
ステップS15では、第1センサーがオン(ON)したか否かを判断する。つまり、先に支持位置PPから移動を開始した支持台17が第1位置(キャップ起動位置)に達して第1センサー85がオンしたか否かを判断する。第1センサー85がオンすればステップS16に進み、第1センサー85がオンしなければオンするまで待機する。
ステップS16では、第2モーターを駆動して、キャップを第2退避位置HP2からフラッシング位置FPへ移動させる。すなわち、第2制御部106は、第2モーター62を正転駆動させ、先に選択した速度プロファイルに従って、位置カウンター115が計数するエンコーダー移動量EM2に応じた目標速度を指令して第2モーター62を速度制御する。ここで、図7に示すように、支持位置PPから下降を開始した支持台17が、同図に実線又は二点鎖線の引き出し線で示す第1位置(キャップ起動位置)に達して第1センサー85がオンすると、キャップ51の第2退避位置HP2からの移動を開始する。そのため、キャップ51はその上昇途中で下降する支持台17と干渉領域IAで干渉することはない。つまり、先に支持位置PPから移動を開始した支持台17が干渉領域IAを退避方向に通り過ぎてから、支持台17が退避位置HP1に到達する前に移動を開始したキャップ51が干渉領域IAを吐出ヘッド18へ近づく方向に通り過ぎる。このとき、センサー85,86が、図8の位置でも図10の位置でも、図9及び図11に示すように、支持台17が上昇位置(支持位置PP)から移動を開始してから、キャップ51は退避位置から待機時間ΔTwだけ遅れて移動を開始し、支持台17の移動動作とキャップ51の移動動作とが重複期間ΔTopの間だけ重複する。なお、本実施形態では、ステップS11〜S16の処理が、「第1移動ステップ」の一例に相当する。
ステップS17では、フラッシング位置に到達したか否かを判断する。キャップ51がフラッシング位置FPに到達すればステップS18に進み、フラッシング位置FPに到達していなければ到達するまで待機する。
ステップS18では、フラッシングを実施する。すなわち、ヘッド制御部102が吐出ヘッド18を制御してノズル183から印刷とは関係のないインク滴を、フラッシング位置FPに配置されたキャップ51内に吐出する。この結果、ノズル183内の増粘インクが排出され、ノズル183の目詰まりが予防又は解消される。なお、本実施形態では、ステップS18の処理が、「メンテナンスステップ」の一例に相当する。
次のステップS19では、インク量の計数処理を行う。すなわち、液量測定部103が液量カウンターの計数値に、フラッシング1回分の計数値を加算する。こうして液量カウンターは現在のキャップ51内の液量(インク量)を示す計数値となる。
ステップS20では、第2モーター62を駆動して、キャップ51をフラッシング位置FPから第2退避位置HP2へ移動させる。すなわち、第2制御部106が、通常速度プロファイルに従って、位置カウンター115が計数するエンコーダー移動量EM2に応じた目標速度を指令して第1モーター61を速度制御する。この結果、第2モーター62は一定速度で逆転駆動され、キャップ51はフラッシング位置FPからほぼ高速度V1で下降する。
次のステップS21では、第2センサーがオン(ON)したか否かを判断する。つまり、先にフラッシング位置FPから移動を開始したキャップ51が第2位置(支持台起動位置)に達して第2センサー86がオンしたか否かを判断する。第2センサー86がオンすればステップS22に進み、第2センサー86がオンしていなければオンするまで待機する。
ステップS22では、第1モーター61を駆動して、支持台17を第1退避位置HP1から支持位置PPへ移動させる。すなわち、第1制御部105は、第1モーター61を正転駆動させ、通常速度プロファイルに従って、位置カウンター112が計数するエンコーダー移動量EM1に応じた目標速度を指令して第1モーター61を速度制御する。なお、本実施形態では、ステップS20〜S22の処理が、「第2移動ステップ」の一例に相当する。
ここで、図7に示すように、フラッシング位置FPから下降を開始したキャップ51が、同図に実線又は二点鎖線の引き出し線で示す第2位置(支持台起動位置)に達して第2センサー86がオンすると、支持台17の第1退避位置HP1からの移動を開始する。そのため、支持台17はその上昇途中で下降するキャップ51と干渉領域IAで干渉することはない。つまり、先にフラッシング位置FPから移動を開始したキャップ51が干渉領域IAを退避方向に通り過ぎてから、キャップ51が退避位置HP2に到達する前に移動を開始した支持台17が干渉領域IAを吐出ヘッド18へ近づく方向に通り過ぎる。このとき、センサー85,86が、図8の位置でも図10の位置でも、図8〜図11に示す例と支持台17とキャップ51との入れ替えが逆になるだけである。このため、キャップ51が上昇位置(フラッシング位置FP)から移動を開始してから、支持台17は退避位置HP1から待機時間ΔTwだけ遅れて移動を開始し、支持台17の移動時期とキャップ51の移動時期とが重複期間ΔTopの間だけ重複する。こうして印刷中のフラッシングが終了すると、フラッシングのために一時中断していた印刷が再開される。
次に、支持台17及びキャップ51の起動タイミングを決める第2の方法について説明する。キャップ51の起動タイミングを決める支持台17の第1位置(キャップ起動位置)を演算する場合、コンピューター91は、図26及び図27に示すフローチャートに従って次の制御を行う。なお、支持台17及びキャップ51の起動タイミングを決める処理が異なるだけなので、図26及び図27では図25の例と異なる処理の一部のみを示す。また、この例では、第1センサー85及び第2センサー86は、想定される起動位置よりも少なくとも演算所要時間を見込んだ分だけ上昇位置側に位置設定されている。なお、センサー85,86を無くすことも可能である。
図25におけるステップS11〜S14の処理を終え、支持台17が支持位置PPからの移動(退避)を開始した後、まず図26に示すステップS31において、キャップ51の起動タイミングを決める支持台17のキャップ起動位置を演算する。コンピューター91の演算部116は、第1センサー85が支持台17を検知する検知位置EMsと、支持台17が干渉領域IAを通過し終わる出口位置EMoutと、支持台17の移動速度V1とを基に、支持台17が検知位置EMsから出口位置EMoutまでの移動に要する所要時間T1(=(EMout−EMs)/V1)を演算する。また、演算部116は、キャップ51が退避位置HP2からそのときのインク量から決まるキャップ移動速度Vcpで移動を開始したキャップ51が干渉領域IAの入口位置EMinに達するまでの所要時間T2(=EMin/Vcp)を演算する。そして、両所要時間T1,T2と支持台17の移動速度V1とを用いて、エンコーダー移動量換算値の距離d(=V1・(T1−T2))を演算し、出口位置EMoutから距離dだけ上昇位置(支持位置PP)側の位置としてキャップ起動位置EMstrt(=EMout−d)を算出する。そして、検知位置EMsからキャップ起動位置EMstrtまでの移動量(距離)を、残り移動量ΔREM(=EMstrt−EMs)として演算し、起動カウンター117にその残り移動量ΔREMに相当する計数値をセットする。なお、出口位置EMoutと入口位置EMinは、両位置に支持台17とキャップ51が位置しても両者が干渉しない最も上昇位置側の位置である。
次のステップS15では、第1センサーがオンしたか否かを判断する。第1センサー85が、検知位置に到達した支持台17を検知してオンすると、起動カウンター117の計数(カウントダウン)を開始する。この結果、以後、起動カウンター117の計数値は、支持台17の移動と共にその移動量相当の値が減算されることで減少する。
次のステップS32では、支持台17がキャップ起動位置に到達したか否かを判断する。第2制御部106は、起動カウンター117の計数値(残り移動量)が0(零)になったか否かの判定をもって、支持台がキャップ起動位置に到達したか否かを判断する。支持台17がキャップ起動位置に到達していなければ到達するまで待機する。一方、支持台17がキャップ起動位置に到達すればステップS16に進む。
そして、ステップS16では、第2モーター62を駆動して、キャップ51を第2退避位置HP2からフラッシング位置FPへ移動させる。この結果、干渉領域IAを先に通り抜けた下降中の支持台17が干渉領域IAの出口位置EMoutから出たときに、上昇中のキャップ51が入口位置EMinから干渉領域IAへ入るので、両者は干渉しない。なお、本実施形態では、ステップS31,S15,S32,S16の処理が、「第1移動ステップ」の一例に相当する。
次に、フラッシング終了後のキャップ51と退避状態の支持台17とを入れ替えるとき、コンピューター91は、図27にフローチャートで示す以下の制御を行うことで、支持台17を起動させる。
図25におけるステップS17〜S20の処理を終え、キャップ51がフラッシング位置FPからの移動(退避)を開始した後、まず図27に示すステップS41において、支持台17の起動タイミングを決めるキャップ51の支持台起動位置を演算する。コンピューター91の演算部113は、第2センサー86がキャップ51を検知する検知位置EMsと、キャップ51が干渉領域IAを通過し終わる出口位置EMoutと、キャップ51の移動速度Vcp(例えばVcp=V1)とをメモリーから取得する。そして、演算部113は、検知位置EMsと出口位置EMoutと移動速度Vcpとを基に、キャップ51が検知位置EMsから出口位置EMoutまでの移動に要する所要時間T1(=(EMout−EMs)/Vcp)を演算する。また、演算部113は、退避位置HP1から移動速度V1で移動を開始した支持台17が干渉領域IAの入口位置EMinに達するまでの所要時間T2(=EMin/V1)を演算する。そして、両所要時間T1,T2とキャップ移動速度Vcpとを用いて、距離d(=Vcp・(T1−T2))を演算し、出口位置EMoutから距離dだけ上昇位置(フラッシング位置FP)側の位置として支持台起動位置EMstrt(=EMout−d)を算出する。そして、検知位置EMsから支持台起動位置EMstrtまでの移動量(距離)を、残り移動量ΔREM(=EMstrt−EMs)として演算し、起動カウンター114にその残り移動量ΔREMに相当する計数値をセットする。なお、出口位置EMoutと入口位置EMinは、両位置にキャップ51と支持台17が位置しても両者が干渉しない最も上昇位置側の位置である。
次のステップS21では、第2センサーがオンしたか否かを判断する。第2センサー86が、検知位置に到達したキャップ51を検知してオンすると、起動カウンター114の計数(カウントダウン)を開始する。この結果、以後、起動カウンター114の計数値は、キャップ51の移動と共にその移動量相当の値が減算されることで減少する。
次のステップS42では、キャップが支持台起動位置に到達したか否かを判断する。第1制御部105は、起動カウンター114の計数値(残り移動量)が0(零)になったか否かの判定をもって、キャップ51が支持台起動位置に到達したか否かを判断する。キャップ51が支持台起動位置に到達していなければ到達するまで待機する。一方、キャップ51が支持台起動位置に到達すればステップS22に進む。
そして、ステップS22では、第1モーターを駆動して、支持台を第1退避位置から支持位置へ移動させる。この結果、干渉領域IAを先に通り抜けた下降中のキャップ51が干渉領域IAの出口位置EMoutから出たときに、上昇中の支持台17が入口位置EMinから干渉領域IAへ入るので、両者は干渉しない。なお、本実施形態では、ステップS41,S21,S42,S22の処理が、「第2移動ステップ」の一例に相当する。
なお、上記の例では、第1センサー85及び第2センサー86がオンしたときを、残り移動量の減算開始位置としたが、センサー85,86を無くし、減算開始位置に達したか否かの判断は位置カウンターの計数値に基づいて行ってもよい。起動位置を演算するタイミングは、フラッシング実施時期以後で、支持台17又はキャップ51が想定される起動位置に到達する時点よりも少なくとも演算所要時間だけ前であって、その演算が支持台17及びキャップ51が起動位置に到達するまでに間に合えば適宜変更できる。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)支持台17とキャップ51(メンテナンス部の一例)とは、コントローラー90により制御される各々異なる第1モーター61及び第2モーター62の動力で入れ替えられる。このため、支持台17とキャップ51とをそれぞれ相手側から独立して制御できるが、上昇位置PP、FPの近くで各々の移動経路が接近している干渉領域IAでは両者が干渉する心配がある。コントローラー90は、支持台17とキャップ51が干渉領域IAでは片方ずつ移動し、支持台17の移動動作とキャップ51の移動動作とが少なくとも一部重複するように、各モーター61,62を制御する。よって、動力源の異なる支持台17とキャップ51とを、両者の干渉を回避しつつ比較的速やかに入れ替えることができる。よって、印刷中のフラッシング時期に、支持台17とキャップ51を速やかに入れ替えてフラッシング位置FPに配置されたキャップ51に吐出ヘッド18からインク滴を吐出するフラッシングを実施し、その後、支持台17とキャップ51とを印刷時の元の配置位置に速やかに戻し、次の印刷を速やかに開始することができる。このため、フラッシング時に支持台17とキャップ51との入れ替え動作が伴う割に、高い印刷スループットを得ることができる。
(2)支持台17とキャップ51とを入れ替えるとき、支持台17とキャップ51とのうち上昇位置PP,FPから退避する一方が先に干渉領域IAを退避方向に通り、一方が退避し終わる前に上昇位置PP,FPに向かう移動を開始した他方が後から干渉領域IAを吐出ヘッド18に近づく方向に通るように、各モーター61,62が制御される。よって、動力源の異なる支持台17とキャップ51とを、両者の干渉を回避しつつ比較的速やかに入れ替えることができる。
(3)支持台17とキャップ51とを各々の移動経路上の起動位置で検知する検知部の一例として第1センサー85及び第2センサー86を設けた。そして、支持台17とキャップ51とを入れ替えるとき、両者のうち上昇位置PP,FPから退避する一方の移動を先に開始させ、その一方が上昇位置PP,FPからの移動途中で起動位置に達したことがセンサー85,86(検知部の一例)により検知されると、他方の退避位置から上昇位置PP,FPに向かう移動が開始される。よって、動力源の異なる支持台17とキャップ51とを、両者の干渉を比較的確実に回避しつつ、比較的速やかに入れ替えることができる。また、支持台17とキャップ51との干渉を回避するための特別な速度調整が不要なため、支持台17及びキャップ51を移動させるときにモーター61,62を変速させることなく一定速度で駆動させればよいので、コントローラー90によるモーター制御が簡単に済む。
(4)支持台17とキャップ51のうち少なくともキャップ51を速度が可変な構成とした。そして、コントローラー90は、支持台17を退避位置HP1から上昇位置PPまで移動させるときの起動タイミニングをキャップ51の速度に応じて変更する。よって、動力源の異なる支持台17とキャップ51とを入れ替えるときに、両者のうち少なくとも一方の速度が変化しても、両者の干渉を比較的確実に回避しつつ、入れ替え所要時間を相対的に短く抑えることができる。
(5)支持台17とキャップ51との各々の移動経路の一部には、支持台17とキャップ51とが干渉可能な干渉領域IAが存在する。コントローラー90は、支持台17とキャップ51のうち一方が干渉領域IAにあるときに、他方の移動を開始させる。よって、支持台17とキャップ51の入れ替え所要時間を一層短く済ませることができる。
(6)キャップ51は、吐出ヘッド18と対向するフラッシング位置FPで、吐出ヘッド18から吐出されたインクをキャップ部53で受けることで、吐出ヘッド18のメンテナンスとしてフラッシング(空吐出)を行う。よって、支持台17とキャップ51との入れ替えを比較的速やかに行って、吐出ヘッド18から吐出されたインクをキャップ部53で受けることで行われるメンテナンスを、比較的速やかに終えることができる。例えば、用紙14等の媒体へのインクの吐出を中断してフラッシング等のメンテナンスを行う場合、メンテナンスを速やかに終えることで、用紙14への印刷処理(液体吐出処理の一例)を効率よく行うことができる。
(7)キャップ51の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域(水平鉛直移動領域及び鉛直移動領域)を含み、キャップ51は、吐出ヘッド18からのインクが溜まるキャップ部53を有する。コントローラー90は、キャップ51の少なくともキャップ51の鉛直方向への変位成分を有する移動領域における速度を、キャップ51に溜まったインク量に応じて変化させる。よって、水平鉛直移動過程及び鉛直移動過程でキャップ51内のインクがこぼれにくくなる。
(8)メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有さない第1移動領域と、鉛直方向の変位成分を有する第2移動領域とを含む。コントローラー90は、キャップ51に溜まったインク量が第1の液量であるときよりも第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、キャップ51が水平鉛直移動領域及び鉛直移動領域(第2移動領域の一例)を移動する過程の最大速度がより遅くなる。よって、キャップ51が第2移動領域を移動する過程で、キャップ51のキャップ部53からインクがこぼれることを回避し易くなる。
(9)キャップ51に溜まったインク量が、第1の液量であるときよりも、第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、第2移動領域を移動する過程の最大加速度をより小さくする。よって、キャップ51が水平鉛直移動領域及び鉛直移動領域(第2移動領域の一例)を移動する過程で、キャップ51に溜まったインクがこぼれにくくなる。
(10)コントローラー90は、キャップ51に溜まったインク量が第1の液量であるときよりも、第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、キャップ51の上昇過程における水平鉛直移動領域及び鉛直移動領域(第2移動領域の一例)を移動する過程の少なくとも鉛直方向成分の最大加速度をより小さくする。よって、キャップ51の上昇過程でも、キャップ51に溜まったインクがこぼれにくくなる。
(11)移動機構による移動経路の少なくとも一部は鉛直方向に変位し、コントローラー90は、キャップ51に溜まった液量が同じである場合、キャップ51の上昇過程における鉛直方向の最大速度を、キャップ51の下降過程における鉛直方向の最大速度よりも小さくする。よって、キャップ51に溜まったインク量が同じである場合、キャップ51の上昇過程でも、下降過程と同様に、インクをこぼれにくくすることができる。
(12)コントローラー90は、キャップ51内のインク量が、第1の液量であるときよりも、前記第1の液量よりも多い第2の液量のときに、キャップ51の平均移動速度をより遅くする。よって、キャップ51内のインク量が第2の液量のときにも、第1の液量のときと同様に、キャップ51を移動させる過程でキャップ51に溜まったインクをこぼれにくくすることができる。
(13)コントローラー90は、吐出ヘッド18がキャップ51に対してインクを吐出する吐出回数を計数し、その計数した吐出回数からキャップ51内のインク量を取得する。よって、吐出ヘッド18がキャップ51に対してインクを吐出する吐出回数から、キャップ51内のインク量を比較的簡単に取得できる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・前記実施形態では、支持台17とキャップ51との各移動動作を一部重複させたが、支持台とキャップとの干渉領域での干渉を回避できる限りにおいて、各移動動作の全期間を重複させてもよい。例えば支持台17とキャップ51とを、同時に移動を開始させるとともに、途中の干渉領域で片方ずつ移動させつつ、入れ替えを終了した各位置で同時に停止させる。
・前記実施形態において、キャップ51を退避させる度に液体を排出する吸引動作を行い、メンテナンス部が常に空の状態で退避位置から所定位置に移動する構成でもよい。この構成によれば、メンテナンス部に溜まった液量に応じた速度調整が不要になるので、制御が簡単になるうえ、入れ替え所要時間を常に短くすることができる。また、メンテナンス部内の液量が閾値(例えば0.7g)以上になると、退避位置において吸引動作を行ってメンテナンス部の受容部を空にしてもよい。
・前記実施形態では、キャップ51の移動速度及び加速度を、キャップ51に溜まったインク量に応じて変化させたが、キャップ51に溜まったインク量に依らず速度及び加速度を変化させない構成としてもよい。例えば想定される最大液量でもこぼれない速度及び加速度で常にメンテナンス部を移動させればよい。
・検知部は、センサーとエンコーダーとのうち少なくとも一方であればよい。前記実施形態において、エンコーダーを廃止して、検知部をセンサー85,86だけとしたり、センサー85,86を廃止して、検知部をエンコーダーだけとしたりしてもよい。支持台とメンテナンス部とのうち一方をセンサーで検知し、他方をエンコーダーで検知してもよい。また、支持台とメンテナンス部との両方を、エンコーダーで検知してもよい。
・検知部は、支持台とメンテナンス部とのうち少なくとも一方を、所定位置から退避する過程における干渉領域内の位置で検知してもよい。特に支持台とメンテナンス部との両方を、所定位置から退避する過程における干渉領域内の位置で検知することが好ましい。すなわち、支持台及びメンテナンス部を干渉領域内の位置で検知できる位置に検知部を設ける。この構成によれば、支持台とメンテナンス部との入れ替えに要する所要時間を相対的に短く抑えることができる。
・キャップ51の下降過程においても、キャップ51内の液量(インク量)に応じてキャップ51の移動速度を変化させてもよい。例えばキャップ51内の液量(インク量)が多いほどキャップ51の移動速度を遅くする。
・キャップ51の上昇過程でも、キャップ移動速度を、どのインク量でもインクがこぼれない速度範囲内の一定速度に設定して、インク量に応じてキャップ移動速度を変化させる制御を廃止してもよい。
・支持台17とキャップ51の各移動経路のうち少なくとも一方において、水平移動領域を廃止してもよい。例えば水平鉛直領域と鉛直移動領域のみで構成したり、水平鉛直移動領域のみで構成したりしてもよい。また、退避位置から移動を開始してまず鉛直方向の変位を伴った移動過程があり、上昇位置に到達する手前で水平移動過程があってもよい。要するに、移動対象物が水平方向のみに変位する領域と、水平方向と鉛直方向との両方に変位する領域と、鉛直方向のみに変位する領域とのうち少なくとも1つの領域を含む移動経路であればよく、この場合、各領域が、移動経路上に幾つどの位置にどの順番に存在してもよい。例えば水平方向のみに移動する領域からなる移動経路であってもよい。また、支持部とメンテナンス部とで各々の移動経路の長さや形状が異なってもよい。さらに、支持部とメンテナンス部とが配置される吐出ヘッドのノズル開口面と対向する所定位置が、下降位置とし、支持部とメンテナンス部とを退避位置と下降位置との間で移動させてもよい。また、支持部とメンテナンス部のうち一方の所定位置が上昇位置であり、他方の所定位置が下降位置であってもよい。このように移動対象物が退避位置から所定位置に向かう移動過程は、上昇過程、下降過程、水平移動過程のうちから任意に選択でき、また、支持部とメンテナンス部とで移動過程の組合せも任意に選択できる。
・支持台17とキャップ51とを入れ替えるとき、両者の移動を同時に開始してもよい。このように両者の移動を同時に開始しても、例えば両者のうち少なくとも一方の速度を調整すれば、干渉領域での両者の干渉を回避することができる。
・メンテナンス部はキャップに限定されない。キャップ、フラッシングボックス等の受容部及びワイパーのうち少なくとも1つであればよい。例えばメンテナンス部はワイパーでもよい。また、キャップ51はフラッシングボックス(受容部)を兼ねたうえクリーニングにも使用したが、待機中のキャッピング機能のみを有するキャップ、クリーニングに使用されるのみのキャップ、フラッシングボックスとして使用されるのみのキャップ(受容部)のいずれか1つでもよい。要するにキャップは、キャッピング機能、フラッシングボックス機能、クリーニング機能のうち少なくとも1つの機能を備えれば足りる。
・移動機構は、リンク機構に限らず、リンク機構、クランク機構、カム機構及びピストン機構などの公知の複数の機構のうち少なくとも1つを含む機構であればよい。
・動力源を支持台17とキャップ51とで異ならせたが、共通の動力源を使用してもよい。この場合、クラッチを介して支持台17とキャップ51の起動タイミングをずらしたり、変速機構を介して支持台17とキャップ51のうち少なくともキャップ51の速度を変化させたりしてもよい。この構成によっても、キャップ51の速度制限制御を行えば、キャップ51からのインクのこぼれを回避しつつ、支持台17とキャップ51との入れ替えを速やかに行うことができる。
・前記実施形態では、液体吐出装置の一例としてラインプリンターに適用したが、キャリッジ(又は吐出ヘッド)を移動させながら吐出ヘッドのノズルからインクを吐出して媒体に印刷する走査式の印刷装置に適用してもよい。例えばキャリッジが走査方向に移動可能なシリアル式プリンターや、キャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターに適用してもよい。この種の走査式の印刷装置に適用した場合も、支持台とキャップの入れ替えを速やかに行って、フラッシング等のメンテナンスを速やかに終え、ひいては印刷所要時間を短く済ませることができる。
・プリンター11のコントローラー90内に構築されるヘッド制御部、液量測定部、搬送制御部、第1制御部及び第2制御部などの各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されたり、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・媒体は、用紙14に限定されず、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。
・液体吐出装置は、インクジェット式の印刷装置(プリンター)に限定さない。例えば、ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出する液体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置であってもよい。なお、「液体」とは、例えば無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む。
11…液体吐出装置及び印刷装置の一例としてのプリンター、14…媒体の一例としての用紙、17…支持部の一例としての支持台、18…吐出ヘッド、181…単位ヘッド、50…印刷ユニット、51…メンテナンス部の一例としてのキャップ、53…受容部の一例としてのキャップ部、61…第1動力源の一例としての第1モーター、62…第2動力源の一例としての第2モーター、52…移動機構、54…搬送モーター、85…検知部の一例としての第1センサー、86…検知部の一例としての第2センサー、90…制御部の一例としてのコントローラー、90…制御部の一例を構成するコンピューター、200…液体の一例としてのインク、201…液面、W…幅方向、F…搬送方向、IA…干渉領域、ΔTop…期間の一例としての重複期間、α…水平方向の加速度、β…鉛直方向の加速度、V1…最大速度の一例としての高速度、V2…最大速度の一例としての制限速度。

Claims (17)

  1. 媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
    前記媒体を支持可能な支持部と、
    前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、
    前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、
    前記支持部を移動させる第1動力源と、
    前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、
    前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、
    前記支持部と前記メンテナンス部とがそれぞれの移動経路上の起動位置に達したことを検出する位置検出部と、を備え、
    前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が前記起動位置に達したことを前記位置検出部が検出すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記位置検出部は、前記支持部と前記メンテナンス部とをそれぞれの移動経路上の前記起動位置に達したときに検知する検知部を備え、
    前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が前記起動位置に達したことを前記検知部が検知すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
    前記媒体を支持可能な支持部と、
    前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、
    前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、
    前記支持部を移動させる第1動力源と、
    前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、
    前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、
    前記第1動力源の駆動量を検出する第1エンコーダーの検出信号に基づいて前記支持部の移動経路上の位置を取得するとともに、前記第2動力源の駆動量を検出する第2エンコーダーの検出信号に基づいて前記メンテナンス部の移動経路上の位置を取得する位置取得部と、を備え、
    前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、前記位置取得部が取得した当該一方の移動経路上の位置が起動位置に達すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させることを特徴とする液体吐出装置。
  4. 媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    前記媒体に液体を吐出する吐出ヘッドと、
    前記媒体を支持可能な支持部と、
    前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部と、
    前記支持部と前記メンテナンス部とを前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替えるときの移動を可能にする移動機構と、
    前記支持部を移動させる第1動力源と、
    前記メンテナンス部を移動させる第2動力源と、
    前記第1動力源及び第2動力源を制御して、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替える制御部と、を備え、
    前記支持部と前記メンテナンス部のうち少なくとも前記メンテナンス部は平均移動速度が可変に構成され、
    前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部が前記所定位置から移動を開始した時点から、前記メンテナンス部を遅れて退避位置から起動させる起動タイミングを前記メンテナンス部の速度に応じて変更し、前記支持部と前記メンテナンス部とが一緒に通ると両者が干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とを片方ずつ移動させるとともに、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させることを特徴とする液体吐出装置。
  5. 前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部とを入れ替えるとき、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方が先に前記干渉領域を退避方向に通り、前記一方が退避し終わる前に前記所定位置に向かう移動を開始した他方が後から前記干渉領域を前記吐出ヘッドに近づく方向に通るように、前記第1及び第2動力源を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から移動を開始した一方が前記干渉領域にあるときに、他方の移動を開始させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記メンテナンス部は、前記吐出ヘッドからの液体が溜まる受容部を有し、前記吐出ヘッドから吐出された液体を受けることでメンテナンスを行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、
    前記制御部は、前記メンテナンス部が前記移動領域を上昇するときの最大速度を、前記メンテナンス部に溜まった液量に応じて変化させることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
  9. 前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、
    前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも前記第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部が前記移動領域を移動する過程の最大速度をより遅くすることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、
    前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも前記第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部が前記移動領域を移動する過程の最大加速度をより小さくすることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  11. 前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が第1の液量であるときよりも、前記第2の液量であるときに、前記メンテナンス部の前記移動領域を移動する過程における鉛直方向の加速度の最大値をより小さくすることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記メンテナンス部の移動経路は、鉛直方向の変位成分を有する移動領域を含み、
    前記制御部は、前記メンテナンス部に溜まった液量が同じである場合、前記メンテナンス部が前記移動領域を上昇するときの最大速度を、前記メンテナンス部が前記移動領域を下降するときの最大速度よりも小さくすることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  13. 前記制御部は、前記メンテナンス部内の液量が、第1の液量であるときよりも前記第1の液量よりも多い第2の液量であるときに、前記メンテナンス部の平均移動速度をより遅くすることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  14. 前記制御部は、前記吐出ヘッドが前記メンテナンス部に対して液体を吐出する吐出回数を計数し、当該吐出回数から前記液量を取得することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  15. 吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、
    前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、
    前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、
    前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、
    前記第1及び第2移動ステップでは、制御部は、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方が起動位置に達したことを位置検出部が検出すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる、ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
  16. 吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、
    前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、
    前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、
    前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、
    前記第1及び第2移動ステップでは、前記支持部と前記メンテナンス部のうち前記所定位置から退避する一方の移動を先に開始させ、当該一方を駆動させる駆動源の駆動量を検出するエンコーダーの検出信号に基づいて当該一方の移動経路上の位置を取得し、当該一方が前記移動経路上の起動位置に達すると、前記所定位置に向かう他方の移動を開始させることにより、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる、ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
  17. 吐出ヘッドの液体の吐出対象である媒体を支持可能な支持部と、前記吐出ヘッドに対するメンテナンスが可能なメンテナンス部とを、前記吐出ヘッドと対向する所定位置に対して入れ替え可能に構成された液体吐出装置の制御方法であって、
    前記支持部が前記所定位置に配置された状態の下で、メンテナンス実施時期になると、前記支持部と前記メンテナンス部との配置位置を入れ替える第1移動ステップと、
    前記メンテナンス部が前記吐出ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスステップと、
    前記メンテナンスを終えた後、前記支持部と前記吐出ヘッドとの配置位置を入れ替える第2移動ステップと、を備え、
    前記第1及び第2移動ステップでは、前記支持部が前記所定位置から移動を開始した時点から、前記メンテナンス部を遅れて退避位置から起動させる起動タイミングを前記メンテナンス部の平均移動速度に応じて変更し、前記支持部と前記メンテナンス部とを両者が一緒に通ると干渉しうる干渉領域では、前記支持部と前記メンテナンス部とのうち前記所定位置から退避する一方を先に通すことで片方ずつ移動させつつ、前記支持部の移動動作と前記メンテナンス部の移動動作とを少なくとも一部の期間で重複させる、ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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