JP6578240B2 - 鉄鉱石ペレット製造設備からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量の低減方法 - Google Patents
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Description
上記した環境影響の観点から、大気への悪影響を抑えるため、鉄鋼製造用の原料製造設備における排出ガス中の硫黄酸化物の量を低減することが必要である。排出ガス中硫黄酸化物の量を低減させる技術としては、特許文献1、2に開示されているものがある。
具体的には、同文献に開示の焼結機における顕熱回収並びに排ガス処理方法は、焼結機ウインドボックス後半の排出ガスを、焼結帯上部にフードを介して循環させながら、その一部を乾式冷却設備に他の冷却ガスとともに供給して、出口温度を更に高温にして回収すると共に、ウインドボックスよりの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物を(CaO+SO2+1/2O2→CaSO4)の反応により、焼結鉱に捕捉固定させることを目的としている。
具体的には、同文献に開示のマンガン焼結鉱製造における排ガス硫黄酸化物抑制方法は、マンガン鉱石の焼結鉱を製造する際に、マンガン鉱石にドロマイトなどを焼結原料の0.5〜10(%)配合し、硫黄酸化物をMgSO4(硫酸塩)として、焼結鉱中に捕捉固定することを目的としている。
しかし、焼結鉱中のCaO含有量には製品規格があるので、そのCaO含有量の増減を自由に調整できない。そのため、排出ガス中の硫黄酸化物の量が増加した場合、その排出ガス中の硫黄酸化物の量を調整することができない。
しかし、マンガン焼結鉱中のMgO含有量には製品規格があるので、そのMgO含有量の増減を自由に調整することができない。そのため、排出ガス中の硫黄酸化物の量が増加した場合、その排出ガス中の硫黄酸化物の量を調整することができない。また、鉄鉱石ペレット中のMgO含有量は、マンガン焼結鉱に比べて少ないため、この硫黄酸化物の捕捉固定方法では排出ガスから十分に硫黄酸化物を除去することができない。
本発明の鉄鉱石ペレット製造設備からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量の低減方法は、トラベリンググレート炉、ロータリーキルン炉、クーラーを有し、且つ各設備の排熱を回収して再利用するグレートキルン方式の鉄鉱石ペレット製造設備にて、CaOを含有する微粉を造粒して鉄鉱石ペレットを焼成する過程において、前記鉄鉱石ペレット製造設備から排出される排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量を低減する方法であって、前記クーラーから冷却されて排出される前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)を測定するとともに、前記鉄鉱石ペレット製造設備から排出される前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)を測定して、前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)と、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(1)を求め、前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)を測定するとともに、前記クーラーから排出される前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)を測定して、前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と、前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)との関係(2)を求め、求めた前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)と前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(1)、及び、前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)との関係(2)を用いて、さらに、前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)の関係(3)を求め、求めた前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(3)を用いて、前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される、前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)を低減制御して、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)を低減することを特徴とする。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
本発明の鉄鉱石ペレットを製造する過程で発生する、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量の低減方法について詳しく説明する前に、まず、本発明の適用対象となる鉄鉱石ペレット製造設備1(ペレットプラント)の構成について説明する。
鉄鉱石ペレット製造設備1は、微粉の鉄鉱石を直径13mm程度の大きさの球状に造粒して焼成し、直径11mm程度の大きさの球状の鉄鉱石ペレット(以下において、ペレット鉱と呼ぶこともある)を製造する設備である。
さて、鉄鉱石ペレットを製造するには、まず、原料として用意された鉄鉱石の一部、石灰石、珪石、ドロマイトを乾燥させて微粉砕し、粉砕された原料に適度の水分を均一に添加して混合して湿潤原料とし、粉砕せずに直接使用する微粉の鉄鉱石を加え、調湿処理された湿潤微粉の原料を造粒機に装入し、その造粒機を転動して生ペレットを造粒する。この造粒された生ペレットを鉄鉱石ペレット製造設備1に搬送し、焼成し、製品としての鉄鉱石ペレットを製造する。
トラベリンググレート炉2(以降、単にグレート炉2と呼ぶこともある)は、造粒された生ペレットを受け取って、乾燥(DDD)、結晶水の脱離(DHZ)、及び予備焼成(PH)する設備である。生ペレットは、グレート炉2上に均一な厚さに層積みされ、乾燥室5、離水室6、予熱室7の各工程を順次通過し、続くキルン炉3内での転動加熱に耐え得る強度にまで予熱硬化される。
クーラー4は、キルン炉3から排出された焼成ペレットを、下側に配備されたクーラーファン9で大気を強制的に吹き込んで対流させる、強制対流冷却方法によって冷却する設備である。焼成ペレットは、クーラー4によって、後の搬送に支障のない温度にまで冷却され、製品(鉄鉱石ペレット)として搬出される。
本実施形態の排出ガス中の硫黄酸化物の量の低減は、以下に示す4つの手順((i)〜(iv))に従って、鉄鉱石ペレット中のFeO含有量を低減制御することで行う。
(i) クーラー4から排出される、鉄鉱石ペレット中のS含有量を測定するとともに、鉄鉱石ペレット製造設備1からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量を測定し、測定した鉄鉱石ペレット中のS含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係を求める(図2参照)。
(iii) 上記の(i)で求めた鉄鉱石ペレット中のS含有量と排出ガス中の硫黄酸化物の量の関係、及び、(ii)で求めた鉄鉱石ペレット中のFeO含有量と鉄鉱石ペレット中のS含有量の関係を用いて、鉄鉱石ペレット中のFeO含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係を求める (図4参照) 。
次に、本実施形態の排出ガス中の硫黄酸化物の量の低減方法を、具体的に説明する。
まず始めに、グレートキルン方式の鉄鉱石ペレット製造設備1における、各設備2,3,4の排熱を回収して再利用する方式について、本実施形態では、クーラー4からの排熱を回収してキルン炉3に再利用する方式であり、且つCaOを含有する鉄鉱石ペレットを製造する設備の場合を例に挙げて説明している。
鉄鉱石ペレット製造での、通常input-S量は、そのうちの約70%が鉄鉱石由来(FeS2等の形態で存在)であり、残りの約30%が石炭などの燃料由来である。また、通常output-S量は、そのうち約50%が排出ガス中に硫黄酸化物として含まれ、鉄鉱石ペレット製造設備1の煙突10より放出され、残りの約50%がほぼCaSO4として、ペレット鉱中に残留することとなる。
input-S量(kg/h)=output-S量(kg/h)=排出ガス中のS量(kg/h)+ペレット鉱中のS量(kg/h)
また、input-S量については、下式より計算する。
input-S量(kg/h)=input鉱石のS量(kg/h)+input燃料のS量(kg/h)
ただし、input鉱石のS量は、下式より求められる。
なお、上記の各供給量については、ベルトコンベア秤量器にて測定し、S含有量については、各鉱石・各石炭を、例えば燃焼−赤外線吸収法により測定するとよい。
また、input燃料S量は、下式より求められる。
なお、上記の各供給量に関し、石炭については、例えばベルトコンベア秤量器にて測定し、重油については、例えばオーバル式流量計にて測定し、COG(コークス炉ガス:Coke Oven Gas) については、例えばオリフィス式流量計にて測定するとよい。また、各鉱石、各石炭、重油、COGのそれぞれのS含有量については、例えば燃焼−赤外線吸収法により測定するとよい。
output-S量(kg/h)=outputペレット鉱のS量(kg/h)+排出ガス中のSO2量(Nm3/h)/22.4×SO2分子量64
ただし、outputペレット鉱のS量は、下式で計算する。
outputペレット鉱のS量(t/h)=ペレット鉱の製造量(t/h)×ペレット鉱中のS含有量(質量%)
また、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物量の低減のメカニズムにおいては、ペレット鉱が含有するCaOによる、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の吸着反応(CaO+SO2+1/2O2→CaSO4)が重要である。なお、ペレット鉱中のCaO含有量については、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法により測定するとよい。
以上に基づき、測定したクーラー4出口におけるペレット鉱中のS含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係を求める。そのペレット鉱中のS含有量(質量%)と、排出ガス中の硫黄酸化物の量(Nm3/h)の関係の概略を、図2に示す。
(ii) 次いで、キルン炉3からクーラー4に供給される、すなわちクーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量(質量%)を測定するとともに、クーラー4から排出された、すなわちクーラー4出口におけるペレット鉱中のS含有量(質量%)を測定する。
クーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量は通常約7(質量%)である。このペレット鉱中に含有しているFeOは、クーラー4で全て酸化(2FeO・Fe2O3+1/2O2→3Fe2O3)することとなり、クーラー4出口におけるペレット鉱中のFeO含有量は、通常ほぼ0となる。
ここで、FeO酸化発熱反応による温度上昇幅は、(4FeO・Fe2O3+O2=6Fe2O3+388(kcal/kg)-FeO)により、発熱した熱量をペレット鉱比熱で除した値で求められる(388cak/kg:化学便覧 基礎編II-日本化学会編1966年発行-P823-表7より抜粋) 。なお、ペレット鉱の比熱に関しては、カロリーメーターにより、測定した。このクーラー4内におけるペレット鉱の最高温度(Tmax)は、下式に示すように、クーラー4入口におけるペレット鉱温度と、そのペレット鉱中のFeO含有量、すなわちクーラー4内での酸化発熱反応の状況とにより決定される。
なお、クーラー4入口におけるペレット鉱の温度に関しては、キルン炉3からクーラー4へ供給されるペレットを、例えば放射温度計にて測定するとよい。
ところで、測定対象となるクーラー4に供給されるペレット鉱は、SをCaSO4の形態でペレット鉱表面に保有している。
このペレット鉱のS分解反応は、吸熱反応であるため、クーラー4内でペレット鉱温度が最高温度に上昇すると、S脱離反応(CaSO4→CaO+SO2+1/2O2(吸熱反応))が進行し、Sがペレット鉱から排出ガスへ放出される(移行する)こととなる。
以上に基づき、測定したクーラー4入口でのペレット鉱中のFeO含有量と、クーラー4出口におけるペレット鉱中のS含有量との関係を求める。そのペレット鉱中のFeO含有量(質量%)と、ペレット鉱中のS含有量(質量%)との関係の概略を図3に示す。
(iii) さらに、(i)で求めたクーラー4出口でのペレット鉱中のS含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係、及び、(ii)で求めたクーラー4入口でのペレット鉱中のFeO含有量と、クーラー4出口でのペレット鉱中のS含有量との関係を用いて、クーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量(質量%)と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)の関係を求める。
(iv) 上記の(iii)で整理して求めたクーラー4入口におけるペレット鉱石中のFeO含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係を用いて、キルン炉3からクーラー4に供給される、ペレット鉱中のFeO含有量(質量%)を制御して、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)を低減する。
但し、このクーラー4入口におけるペレット鉱石中のFeO含有量と、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量との関係は、input-S量が一定、鉄鉱石ペレット製造量も一定ということが前提である。
なお、マグネタイト系鉄鉱石とは、マグネタイト(FeO・Fe2O3など)を多量に含有する鉄鉱石の総称である。また一般には、FeOを20(質量%)以上含有する鉄鉱石をマグネタイト系鉄鉱石と定義している。また、ヘマタイト系鉄鉱石とは、ヘマタイトFe2O3を多量に含有する鉄鉱石の総称である。
ところで、マグネタイト系鉄鉱石を含む原料を用いてペレット鉱を製造するにあたっては、クーラー4に供給されるペレット鉱にFeOが多量に含有されていると、クーラー4出口において、ペレット鉱中のS含有量が減少し、一方で硫黄酸化物の量が多くなる。したがって、鉄鉱石ペレット製造設備1の煙突10から外部に放出される排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量も多くなってしまう虞がある。
ペレット鉱中のFeO含有量は、トラベリンググレート炉2〜ロータリーキルン炉3〜クーラー4の工程を進むにつれて、酸化反応(2FeO・Fe2O3+1/2O2→3Fe2O3)により、低下する。
さらに、クーラー4内でFeO酸化反応が進行するため、クーラー4出口でのペレット鉱中のFeO含有量は1(質量%)以下にまで低下することとなる。
・マグネタイト系鉄鉱石の配合率を調整することで、ペレット原料中のFeO含有量を制御する方法。
・粉コークスの配合率を調整することで、ペレット原料中のFree-C含有量を調整し、グレート炉2、及びキルン炉3におけるC燃焼反応量(C+O2→CO2)を調整することで、FeO酸化反応量を制御する方法。例えば、ペレット原料中のFree-C含有量を0.3%以上から0.1%以下に調整する。なお、Free-C含有量は、例えば燃焼−赤外線分析法により測定するとよい。
このように、(i)〜(iv)に沿って、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量が所定値を下回るように、クーラー4入口におけるペレット鉱石中のFeO含有量を制御する。
[実施例]
以下に、本発明の排出ガス中の硫黄酸化物の量の低減方法の実施例について、図を基に説明する。
本実施例においては、グレートキルン式の鉄鉱石ペレット製造設備1でおこなった。
グレート炉2については、幅:4.716m×有効焼成長さ:63.3m(20.75WB)=有効焼成面積:298m2であり、3室に分割されており、低温側から、乾燥室(5)6.75WB−離水室(6)5WB−予熱室(7)9WB、また3室ともに下方吸引方式である。
クーラー4については、円形ドーナツ状であって、平均直径:17.0m×パレット幅:2.5mであり、有効冷却面積:119m2、高温側面積の85m2分は冷却後の排熱をキルン炉3に導入して再利用し、低温側面積34m2分は冷却後の排熱を粉砕設備に導入し再利用している。クーラー4の回転数は、通常1.8〜2.3(rph)である。
まず、クーラー4出口から排出されるペレット鉱を採取し、そのペレット鉱中のS含有量(質量%)を測定した。
ペレット鉱中のS含有量とペレット鉱の製造量より、outputペレット鉱のS量を計算した。
排出ガス中のSO2量(Nm3/h)=排出ガス量(Nm3/h)×排出ガス中のSO2濃度(ppm)
ただし、排出ガス量については、排出ガスダクトにて、オリフィス流量計を用いて風量を測定した。また、排出ガス中のSO2濃度については、排出ガスダストに設置している連続式SO2分析計(赤外線吸収法)により測定した。
図5に示すように、outputペレット鉱のS量が増加すると、排出ガス中のSO2量が低下することとなる。
その水冷したペレット鉱中のFeO含有量を測定する。なお、ペレット鉱中のFeO含有量については、滴定法により測定した。
測定したクーラー4入口でのペレット鉱中のFeO含有量と、クーラー4出口でのペレット鉱中のS含有量をX-Yグラフにプロットし、最小2乗法により1次関数近似を行い、その関係を求めた。クーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量(質量%)と、クーラー4出口におけるペレット鉱中のS含有量(質量%)の関係を、図6に示す。
最後に、得られたoutputペレット鉱のS量、排出ガス中のSO2量、クーラー4入口でのペレット鉱中のFeO含有量と、クーラー4出口でのペレット鉱中のS含有量を整理した上で、クーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量と、排出ガス中に含まれるSO2量をX-Yグラフにプロットし、最小2乗法により1次関数近似を行い、その関係を求めた。
図7に示すように、クーラー4入口におけるペレット鉱中のFeO含有量(質量%)が低下すると、排出ガス中のSO2量(Nm3/h)が低下することとなる。
以上より、例えばペレット原料中のFree-C含有量を通常0.3(質量%)以上から0.1(質量%)以下に低減させると、図1に示すように、グレート炉2、及びキルン炉3における、FeOの酸化反応を促進させて、そのキルン炉3からクーラー4に供給されるペレット鉱中のFeO含有量を低減し、クーラー4内のペレット鉱の温度を下げ(図1の(A))、(CaSO4→CaO+SO2+1/2O2)の反応を減らして、クーラー4出口におけるペレット鉱中のS含有量を増加させることで、排出ガス中のSO2量を低減することができる。
対して、表1のデータNo.24(実施例)を参照すると、クーラー4入口でのペレット鉱中のFeO含有量が2.5(質量%)と分析されると、クーラー4出口でのペレット鉱中のS含有量は0.068(質量%)と測定され、排出ガス中のSO2量が42(Nm3/h)と計算される。
表2に、本発明の適用有無の操業データを示す。図8に、本発明の適用有無での排出ガス中のSO2量の変化を示す。
以上に述べた鉄鉱石ペレット製造設備1からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物量の低減方法を用いることで、CaOを含有する鉄鉱石ペレットを製造するグレートキルン方式の製造設備1において、その製造設備1に排出ガス脱硫設備等を設置することなく、製造設備1からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物を効果的に低減することができる。また、input-S量が増加した場合でも、排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量を上昇させることなく、操業することができる。
2 グレート炉(トラベリンググレート炉)
3 キルン炉(ロータリーキルン炉)
4 クーラー
5 乾燥室
6 離水室
7 予熱室
8 キルンバーナー
9 クーラーファン
10 煙突
Claims (1)
- トラベリンググレート炉、ロータリーキルン炉、クーラーを有し、且つ各設備の排熱を回収して再利用するグレートキルン方式の鉄鉱石ペレット製造設備にて、CaOを含有する微粉を造粒して鉄鉱石ペレットを焼成する過程において、前記鉄鉱石ペレット製造設備から排出される排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量を低減する方法であって、
前記クーラーから冷却されて排出される前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)を測定するとともに、前記鉄鉱石ペレット製造設備から排出される前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)を測定して、
前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)と、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(1)を求め、
前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)を測定するとともに、前記クーラーから排出される前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)を測定して、
前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と、前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)との関係(2)を求め、
求めた前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)と前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(1)、及び、前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と前記鉄鉱石ペレット中のS含有量(質量%)との関係(2)を用いて、さらに、前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)の関係(3)を求め、
求めた前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)と前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)との関係(3)を用いて、前記ロータリーキルン炉から前記クーラーに供給される、前記鉄鉱石ペレット中のFeO含有量(質量%)を低減制御して、前記排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量(Nm3/h)を低減する
ことを特徴とする鉄鉱石ペレット製造設備からの排出ガス中に含まれる硫黄酸化物の量の低減方法。
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