以下、本発明に係る医療用コネクタ及び輸液セットの実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には同一の符号を付している。
まず、本発明に係る医療用コネクタの1つの実施形態について説明する。図1は、本実施形態における医療用コネクタ1(以下、単に「コネクタ1」と記載する。)を示す斜視図である。なお、本実施形態のコネクタ1は三方活栓である。
図1示すように、コネクタ1は、ホルダ部材2と、コック部材3と、を備える。コック部材3はホルダ部材2に取り付けられる。以下、ホルダ部材2及びコック部材3の詳細について説明する。
[ホルダ部材2]
図2は図1のI−I断面図である。図3は、ホルダ部材2を示す斜視図である。図1〜図3に示すように、ホルダ部材2は、ホルダ本体4と、複数のポート部7、8及び9と、複数のポート部のうち1つのポート部9に設けられたキャップ部材14及び弁体としての弾性弁体16と、を備える。以下、それぞれ具体的に説明する。
本実施形態のホルダ本体4は略円筒状であり、内部に略円柱状の中空部5を区画している。図1に示すように、この中空部5には、コック部材3が収容される。また、図3に示すように、ホルダ本体4の内壁20には、後述するガイド部70、73の突起受け面72、75が設けられている。ガイド部70、73の詳細は後述する。
本実施形態の複数のポート部7、8及び9は、図1〜図3に示すように、第1ポート部7と、第2ポート部8と、第3ポート部9と、で構成される。いずれもホルダ本体4の外壁に一体で形成され、ホルダ本体4の径方向Bに延在している。また、第1ポート部7、第2ポート部8及び第3ポート部9はいずれも略円筒状の形状を有し、内部に流路を区画している。これらの流路はいずれも一端側でホルダ本体4の中空部5と連通する。更に、第1ポート部7、第2ポート部8及び第3ポート部9はいずれも医療用チューブなどの医療器具と他端側で接続可能である。各ポート部について、以下、具体的に説明する。
第1ポート部7は、ホルダ本体4の周面に設けられている。より具体的に、本実施形態の第1ポート部7は、ホルダ本体4の周面に、ホルダ本体4と一体成型された管状部である。また、第1ポート部7は、内部に中空部5と連通する第1流路10を区画している。更に、第1ポート部7は、例えば、医療用チューブ(図9参照)などの第1医療器具と接続される。なお、薬液等の液体は、第1ポート部7に第1医療器具が接続された状態において、第1医療器具から第1ポート部7の第1流路10を通じてコネクタ1に流入する(図2の付番「81」参照)。従って、コネクタ1を備える輸液セットにおいて、第1ポート部7はコネクタ1の上流ポート部として機能する。
第2ポート部8は、ホルダ本体4を挟んで第1ポート部7と対向する位置で、ホルダ本体4の周面に設けられている。より具体的に、本実施形態の第2ポート部8は、ホルダ本体4の周面に、ホルダ本体4と一体成型された管状部である。また、第2ポート部8は、内部に中空部5と連通する第2流路11を区画している。更に、第2ポート部8は、例えば、医療用チューブなどの第2医療器具と接続される。なお、薬液等の液体は、第2ポート部8に第2医療器具が接続された状態において、コネクタ1から第2ポート部8の第2流路11を通じて第2医療器具に流出する(図2の付番「82」参照)。従って、コネクタ1を備える輸液セットにおいて、第2ポート部8はコネクタ1の下流ポート部として機能する。
第3ポート部9は、ホルダ本体4の周面のうち、第1ポート部7及び第2ポート部8が設けられている位置とは異なる位置の周面に設けられている。より具体的に、本実施形態の第3ポート部9は、ホルダ本体4の周面に、第1ポート部7と第2ポート部8とが設けられた位置から、ホルダ本体4の周面の周方向Cに約90°ずれた位置に、ホルダ本体4と一体成型されている。また、第3ポート部9は、内部に中空部5と連通する第3流路12を区画している。更に、第3ポート部9は、例えば、オスコネクタを有するシリンジや医療用チューブなどの第3医療器具と接続される。なお、例えば、第1ポート部7に第1医療器具が接続され、かつ、第2ポート部8に第2医療器具が接続された状態において、第1医療器具から第1ポート部7の第1流路10を通じてコネクタ1内に流入する薬液等の液体に対して、この液体とは異なる薬液等の液体を第3ポート部9の第3流路12から混注することができる(図2の付番「83」参照)。従って、コネクタ1を備える輸液セットにおいて、第3ポート部9は混注ポート部として機能する。
また、本実施形態の第3ポート部9の先端部には、第3医療器具が挿入可能な挿入口13を区画するキャップ部材14と、この挿入口13を閉塞し、第3ポート部9が区画する第3流路12に第3医療機器を接続させるスリット15を有する、弁体としての弾性弁体16と、が設けられている。
ホルダ部材2のうち弾性弁体16を除く構成要素の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);軟質ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリ−(4−メチルペンテン−1);アイオノマー;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);ブタジエン−スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル;ポリエーテル;ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;ポリアセタール(POM);ポリフェニレンオキシド;変性ポリフェニレンオキシド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリアリレート;芳香族ポリエステル(液晶ポリマー);ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂;などの各種樹脂材料が挙げられる。また、これらのうちの1種以上を含むブレンド体やポリマーアロイなどでもよい。その他に、各種ガラス材、セラミックス材料、金属材料であってもよい。
また、弾性弁体16の材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものであってもよい。
[コック部材3]
次に、コック部材3について説明する。コック部材3は、一部がホルダ本体4の中空部5に収容され、ホルダ本体4の内壁20と摺動しながらホルダ部材2に対して回転することにより複数のポート部(第1ポート部7、第2ポート部8、第3ポート部9)がそれぞれ区画する流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)間の接続状態を変化させる。以下、具体的に説明する。
図4(a)は、図1に示すコネクタ1を構成するコック部材3を示す斜視図である。図4(b)は図4(a)のII−IIの断面図である。図4(a)に示すように、コック部
材3は、コック本体17と、ハンドル部18と、を備える。ハンドル部18は、コック本体17の一方の端部に一体に形成されている。それぞれ具体的に説明する。
コック本体17は、図1に示すように、ホルダ本体4の中空部5内に収容され、中空部5を区画するホルダ本体4の内壁20と摺動しながらホルダ部材2に対して回転する。また、コック本体17は、ホルダ部材2の複数のポート部(第1ポート部7、第2ポート部8、第3ポート部9)がそれぞれ区画する流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)の接続状態を切り換える流路切換部19を有しており、コック本体17が中空部5内でホルダ部材2に対して回転することにより、流路間の接続状態を変化させる。なお、流路間の接続状態は、各流路の開放状態と閉鎖状態とを切り換えることにより変化する。
本実施形態のコック本体17は、ホルダ本体4の中空部5に収容される略円柱状の外形を有しており、コック本体17の外径は、中空部5を区画するホルダ本体4の内壁20の内径と、略等しい長さで構成される。従って、本実施形態のコック本体17は、中空部5に収容された状態において、内壁20と摺動しながらホルダ部材2に対して回転する。また、本実施形態のコック本体17の外周面には、後述するガイド部70、73のうち一方の要素である突起部71、74が設けられている。この突起部71、74は、コック本体17が中空部5内に収容された状態において、ガイド部70、73のうちもう一方の要素である、ホルダ本体4の内壁20に設けられた突起受け面72、75と摺動する。ガイド部70、73の詳細は後述する。
また、コック本体17の流路切換部19は、図4(a)に示すように、コック本体17の中心軸方向Eにおける所定の位置(コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態で、ホルダ本体4の中心軸方向A(図1参照)において、流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)のうち中空部5と繋がる一端と略等しい位置)に備えられている。
流路切換部19は、薬液などの液体の流れをガイドする凸部19aと、各流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)のうち中空部5と繋がる一端を閉鎖することで、当該流路を閉鎖状態にする流路閉鎖部19bと、を備える。より具体的に、本実施形態の流路切換部19の流路閉鎖部19bは、図4(b)に示すように、コック本体17の中心軸方向Eに直交する断面視において、円弧部と円弧部の両端を結ぶ直線部で囲まれた外形を有する。また、本実施形態の凸部19aは、同断面において、直線部から直交する方向に突出する略長方形の外形を有する。
次に、流路閉鎖部19bによる流路の閉鎖について具体的に説明する。流路閉鎖部19bのうち円弧部側の側面は、コック本体17の外周面の一部を構成するものである。そして、上述のように、コック本体17の外径は、中空部5を区画するホルダ本体4の内壁20の内径と略等しい長さで構成されている。すなわち、コック本体17が中空部5に収容された状態において、流路閉鎖部19bがホルダ本体4の内壁20と密着できる状態となっている。従って、ホルダ本体4の周方向Cにおける各流路の位置に、流路閉鎖部19bを位置することにより、流路閉鎖部19bの円弧部側の側面が、当該流路のうち中空部5と繋がる一端を閉鎖することができる。このようにして当該流路を閉鎖状態とすることができる。
一方、流路切換部19の流路閉鎖部19bによって閉鎖されない流路は、接続された状態、すなわち開放状態となる。具体的に、コック本体17の外壁には、コック本体17の中心軸方向Eに直交する断面視において、凸部19aの周囲に略円弧状に広がる円弧溝21が形成されている。流路切換部19の流路閉鎖部19bによって閉鎖されない流路は、この円弧溝21を介して、接続される。
次に、コック本体17の中空部5内におけるホルダ部材2に対する回転と、流路の接続状態との関係、すなわち流路切換部19による流路の開放状態と閉鎖状態との切り換えについて、図2を参照して具体的に説明する。図2に示すように、凸部19aが第3流路12側を向く状態のとき、3つの流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)の全てが開放状態となり、3つの流路は円弧溝21を介して全て接続された状態となる。上記の状態に対して、コック本体17が中空部5内でホルダ部材2に対して反時計回り(図2の左回り、図2の付番「84」参照)に約90°回転すると、凸部19aが第1流路10側を向く状態となる。このとき、流路閉鎖部19bは、ホルダ本体4の周方向Cにおいて、第2流路11の位置に位置する状態となる。これにより第2流路11が閉鎖され、第1流路10と第3流路12のみが開放状態となり、第1流路10と第3流路12とが円弧溝21を介して接続された状態となる。更に、コック本体17が中空部5内でホルダ部材2に対して反時計回りに約90°回転すると、ホルダ本体4の周方向Cにおいて、流路閉鎖部19bが第3流路12の位置に位置することにより、第3流路12が閉鎖され、第1流路10と第2流路11のみが開放状態となり、第1流路10と第2流路11とが円弧溝21を介して接続された状態となる。また更に、コック本体17が中空部5内でホルダ部材2に対して反時計回りに約90°回転すると、ホルダ本体4の周方向Cにおいて、流路閉鎖部19bが第1流路10の位置に位置することにより、第1流路10が閉鎖され、第2流路11と第3流路12のみが開放状態となり、第2流路11と第3流路12とが円弧溝21を介して接続された状態となる。以上のように、コック本体17が中空部5内でホルダ部材2に対して回転することで、流路切換部19は各流路の開放状態と閉鎖状態とを切り換えることができる。
次にハンドル部18について説明する。ハンドル部18は、コック部材3がホルダ部材2に収容されている状態において、ホルダ本体4の中空部5の中心軸O(図1参照)を回転軸として、ホルダ本体4の周方向Cに回転させることができ、また、コック本体17の中心軸方向E(コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態ではホルダ本体4の中心軸方向Aと同じ方向)に移動させることができるように構成されている。
また、本実施形態のハンドル部18は、コック本体17の一方の端部に一体で形成されている。そのため、コック本体17の動きはハンドル部18の動きと連動する。具体的には、コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態において、ハンドル部18を回転することにより、コック本体17を中空部5内でホルダ本体4の周方向Cに回転することができる。また、上記の状態において、ハンドル部18をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動することにより、コック本体17を中空部5内でホルダ部材2に対して、ホルダ本体4の中心軸方向Aに移動することができる。
より具体的に、本実施形態のハンドル部18は3つの把持部23を備え、把持部23はそれぞれ、コック本体17の径方向F(コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態ではホルダ本体4の径方向Bと同じ)に延在する略直方体の形状を有する。また、3つの把持部23のうち1つの把持部23aは、流路切換部19の凸部19aが延在する方向と同じ方向に延在し、残りの2つの把持部23b、23cは、その1つの把持部23aに対しコック本体17の周方向D(コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態ではホルダ本体4の周方向Cと同じ方向)において約90°ずれた位置に配置される。これにより、コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態において、接続されている流路を区画するポート部の方向に把持部23が延在するように構成することが可能となる。例えば、図2に示すような、流路が全て接続されている状態のとき、把持部23a、23b、23cは、第3ポート部9、第2ポート部8、第1ポート部7、が延在する方向をそれぞれ向くように配置されている。なお、本実施形態のハンドル部18はコック本体17に一体で形成されているが、コック本体17に固定されていればよく一体で形成されているものに限られるものではない。
ここで、ハンドル部18をホルダ本体4の中空部5の中心軸Oを回転軸としてホルダ本体4の周方向Cに回転させることで、上述のように、コック部材3のコック本体17が中空部5内でホルダ本体4の周方向Cに回転し、流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)間の接続状態を変化させることができる。また、本実施形態のコネクタ1は、ハンドル部18をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動させて、コック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aにホルダ部材2に対して移動させることで、3つの流路がいずれも接続しない第1の形態と、3つの流路のうち少なくとも2つが接続可能な第2の形態と、に変形することが可能である。
[コネクタ1の形態の変形について]
本実施形態では、コック部材3のコック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態において、コック部材3のハンドル部18をホルダ本体4の中心軸方向Aにホルダ部材2に対して移動することにより、コック部材3のコック本体17がホルダ部材2に対してホルダ本体4の中心軸方向Aに移動して、第1の形態と、第2の形態と、に変形可能である。
図5は、図1のIII−III断面図である。より具体的に、図5は、図2に示すような、流路切換部19の凸部19aが第3流路12側を向き、円弧溝21を介して3つの流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)が全て接続された状態のときのコネクタ1の断面図である。また、図6は、図5に示す状態から、コック部材3がホルダ部材2に対して、第3ポート部9から第2ポート部8へ向かう方向(図2の付番「85」参照)に約45°回転した状態ときの、図5と同断面でのコネクタ1の断面図である。なお、図6に示すコネクタ1は、図5に示すコネクタ1と比較して、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおける、ホルダ本体4に対するコック本体17の位置が異なっている。
まず、コック部材3がホルダ部材2に取り付けられた状態での、ホルダ本体4、第1流路10、第2流路11及びコック本体17の、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおける位置関係について例示説明する。図5に示すように、コック部材3のコック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態で、流路切換部19は、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおいて、第1流路10及び第2流路11のうち中空部5と繋がる一端と略等しい位置に位置している。すなわち、コック本体17の外壁に形成された円弧溝21と、第1流路10及び第2流路11と、が連通している。なお、第1流路10と第2流路11について例示的に説明したが、図5の状態では、第3流路12も円弧溝21と連通している。このように、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおいて、ホルダ部材2とコック部材3とが、円弧溝21と流路の一端とが繋がる位置関係、すなわち、中心軸方向Aにおいて円弧溝21と流路の一端とが略等しい位置にある場合に、円弧溝21を介して、3つの流路のうち少なくとも2つを接続することができる。以下、この3つの流路のうち少なくとも2つを接続可能な形態を、上述したように単に「第2の形態」と記載する。
次に、図5で示した状態から、ハンドル部18をホルダ本体4の中心軸Oに沿ってホルダ本体4の先端方向(図5の下方向)に移動することで、コック部材3のコック本体17をホルダ本体4の中心軸Oに沿ってホルダ本体4の先端方向に移動させる。図6は、更にハンドル部18をホルダ部材2に対して第3ポート部9から第2ポート部8へ向かう方向(図2の付番「85」参照)に約45°回したときのコネクタ1の状態を示している。この状態では、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおいて、流路切換部19は、第1流路10及び第2流路11のうち中空部5と繋がる一端と異なる位置に位置している。すなわち、コック本体17の外壁に形成された円弧溝21と、第1流路10及び第2流路11とが、連通していない。なお、第1流路10と第2流路11について例示的に説明したが、図6の状態では、第3流路12も円弧溝21と連通していない。このように、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおいて、ホルダ部材2とコック部材3とが、円弧溝21と流路の一端とが繋がらない位置関係、すなわち、中心軸方向Aにおいて円弧溝21と流路の一端とが異なる位置にある場合に、円弧溝21がホルダ本体4の周方向Cにおいて任意の位置に位置したとしても、3つの流路をいずれも接続することができない。以下、このような3つの流路がいずれも接続しない形態を、上述したように単に「第1の形態」と記載する。
本実施形態では、上述のように、コネクタ1は、ハンドル部18をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動させることで、コック部材3のコック本体17がホルダ本体4の中心軸方向Aに移動して、第1の形態と、第2と形態と、に変形することができる。より具体的には、図5に示す第2の形態において、ハンドル部18をホルダ本体4の先端方向(図5の下方向)に所定の距離を移動することで、コック本体17がホルダ本体4の先端方向に所定の距離を移動して、コネクタ1が図6に示すような3つの流路がいずれも接続しない形態、すなわち、第1の形態に変形する。逆に、第1の形態において、ハンドル部18をホルダ本体4の基端方向(図6の上方向)に所定の距離を移動することで、コック本体17がホルダ本体4の基端方向に所定の距離を移動して、コネクタ1が図5に示すような3つの流路のうち少なくとも2つが接続可能な形態、すなわち、第2の形態に変形する。
以上のようにすることで、ハンドル部18の操作のような簡易な操作のみで、流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)の接続状態によらず、迅速に、複数の流路がいずれも接続しない状態とすることができる。
なお、本実施形態では、コック本体17がホルダ本体4の先端方向に移動して第2の形態から第1の形態に変形しているが、これに限られるものではなく、例えば、コック本体17がホルダ本体4の基端方向に移動して第2の形態から第1の形態に変形するような構造であってもよい。
[ガイド部について]
次に、ガイド部70について説明する。ガイド部70は、コック部材3がホルダ部材2に対して回転することにより、コック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動することができる。ガイド部70は、コック部材3を回転する力を、コック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動する力に変換するものである。本実施形態では、ガイド部70は、ホルダ部材2及びコック部材3に設けられている。
コネクタ1は、コック部材3がホルダ部材2に対して回転することにより、3つの流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)のうち少なくとも2つが接続されている第1接続状態から、この第1接続状態で接続されている複数の流路と少なくとも1つが異なる2つ以上の流路が接続されている第2接続状態に変化する間に、3つの流路がいずれも接続しない状態となる。なお、第1接続状態及び第2接続状態とは、いずれも上述した第2の形態に該当するものである。
上述のように、コック部材3のコック本体17がホルダ本体4の中空部5内で、ホルダ部材2に対して回転することにより、3つの流路(第1流路10、第2流路11、第3流路12)間の接続状態が変化する。本実施形態では、第1流路10と第2流路11と第3流路12とが全て接続された状態、第1流路10と第3流路12とが接続された状態、第1流路10と第2流路11とが接続された状態、及び第2流路11と第3流路12とが接続された状態、の4パターンの接続状態がある。従って、図2に示す状態からコック本体17をホルダ本体4の周方向Cの一方向(図2の付番「84」参照)に回転させることで、接続状態は、約90°毎に順に、第1流路10と第2流路11と第3流路12とが全て接続された状態、第1流路10と第3流路12とが接続された状態、第1流路10と第2流路11とが接続された状態、第2流路11と第3流路12とが接続された状態、に変化する。
ここで、説明の便宜上、これらの接続状態のうちの任意の1つの接続状態を「第1接続状態」とする。また、この第1接続状態と隣り合う別の任意の接続状態(第1接続状態からコック本体17をホルダ本体4の周方向Cのいずれかの方向に90°回転したときの状態)を「第2接続状態」とする。
本実施形態のコネクタ1は、コック本体17がホルダ部材2に対して回転することにより、流路の接続状態が第1接続状態から第2接続状態に変化する間に、3つの流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)がいずれも接続しない状態、すなわち第1の形態となる。ここで、流路の接続状態が第1接続状態から第2接続状態に変化する間に、3つの流路がいずれも接続しない第1の形態となることを以下「ハーフロック」と記載する。本実施形態では、ガイド部70、73によりこれを実現している。以下、代表してガイド部70について詳細を説明する。
ガイド部70は、突起部71と突起受け面72と、を備える。突起部71はホルダ部材2及びコック部材3の一方に設けられ、突起受け面72は他方に設けられている。本実施形態では、突起部71はコック部材3に、突起受け面72はホルダ部材2に設けられている。より具体的に、突起部71は、コック部材3のコック本体17の外壁に、突起受け面72は、ホルダ部材2のホルダ本体4の内壁20に、それぞれ設けられている。
図7(a)は、ホルダ部材2の断面図である。図7(b)は、突起受け面72による突起部71の移動を説明する概念図である。
突起部71は、図4(a)、図7(b)に示すように、突起受け面72と当接して、摺動可能な摺動部71aを備える。
突起受け面72は、ホルダ本体4の周方向Cに向かうにつれてホルダ本体4の中心軸方向Aに位置が変化する。コック部材3がホルダ部材2に対して回転することにより、突起部71が突起受け面72と摺動してコック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動させることができる。
突起受け面72は、図7(a)に示すように、ホルダ本体4の内壁20に設けられた断差面であり、この断差面はホルダ本体4の中心軸方向Aに対して傾斜する斜面により構成されている。この斜面は、ホルダ本体4の周方向Cに向かうにつれてホルダ本体4のいずれか一方の端部に漸次、近づくように設けられている。摺動部71aがかかる斜面と摺動することで、突起受け面72は、コック本体17を、ホルダ本体4のいずれか一方の端部、すなわち先端4aまたは基端4bに、近づくように移動できる。つまり、突起受け面72は、コック本体17をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動できる。
具体的に、本実施形態では、突起受け面72としての斜面はホルダ本体4の周方向Cにジグザグ状(つづら折り状)に設けられている。より具体的に、突起受け面72は、ホルダ本体4の周方向Cの一方向(図7(a)の付番「C1」参照)に向かうにつれてホルダ本体4の基端4bに漸次近づく、所定の長さを有する第1斜面72aと、ホルダ本体4の周方向Cの上述した一方向と同じ方向(図7(a)の付番「C1」参照)に向かうにつれてホルダ本体4の先端4aに漸次近づく、所定の長さを有する第2斜面72bと、がホルダ本体4の周方向Cに順次連続することにより構成されている。第1斜面72aと第2斜面72bとは、ホルダ本体4の基端4b側の端で、山型状に接続され、1つのパターンを形成している。このパターンが、ホルダ本体4の周方向Cにおいて4つ設けられており、山型状の頂部が中心角約90°毎に配置されている。
次に、ガイド部70によるコック部材3のホルダ本体4の中心軸方向Aの移動について説明する。図7(b)は、コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容されているときの突起部71と突起受け面72との位置関係を示す。図7(b)に示すように、摺動部71aは突起受け面72と当接している。コック本体17が周方向Cの一方向(図7(b)の付番「R1」参照)に回転することにより、摺動部71aが突起受け面72から押圧され、突起部71は突起受け面72に沿って移動する(図7(b)の付番「S1」参照)。これにより、コック本体17はホルダ本体4の基端方向(図7(b)の付番「A1」参照)に移動する。このようにして、ガイド部70は、コック本体17がホルダ本体4の中空部5内でホルダ本体4に対して回転することにより、コック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動する。
ここで、上述したように、コネクタ1は、コック本体17がホルダ本体4の中心軸方向Aに移動することにより、上述した第1の形態(図6参照)と、第2の形態(図5参照)と、に変形する。本実施形態では、2つのガイド部70及び73により、第1の形態から第2の形態への変形と、第2の形態から第1の形態への変形と、の両方を実現している。
なお、以下では、説明の便宜上、ガイド部70とガイド部73とを区別するために、ガイド部70を「第1ガイド部70」と、ガイド部73を「第2ガイド部73」と、記載する。
第2ガイド部73は、第1ガイド部70と同様、突起部74と、突起受け面75と、を備える。なお、第1ガイド部70の突起部71及び突起受け面72と区別するため、以下では、第1ガイド部70の突起部71、突起受け面72を「第1突起部71」、「第1突起受け面72」と、第2ガイド部73の突起部74、突起受け面75を「第2突起部74」、「第2突起受け面75」と、それぞれ記載する。
第2突起部74は、コック部材3のコック本体17の外壁に、第2突起受け面75は、ホルダ部材2のホルダ本体4の内壁20に、それぞれ設けられている。また、第2突起受け面75は、第1突起受け面72と同様に、ホルダ本体4の周方向Cに向かうにつれてホルダ本体4の中心軸方向Aに位置が変化し、コック部材3がホルダ部材2に対して回転することにより、第2突起部74が摺動してコック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動させることができる。
また、図4(a)に示すように、第2突起部74は、コック本体17の外壁の周方向Dにおいて、第1突起部71と略等しい位置であって、ホルダ本体4の中心軸方向Aにおいて、第1突起部71と異なる位置に設けられている。また、第2突起受け面75は、第1突起受け面72と同様に、ホルダ本体4の内壁20に設けられた断差面であり、この断差面はホルダ本体4の中心軸方向Aに対して傾斜する斜面により構成されている。また、第2突起受け面75の斜面により形成されるパターンの配置は、ホルダ本体4の周方向Cにおいて、第1突起受け面72の斜面により形成されるパターンの配置と同じである(図3、図7(a)参照)。第1ガイド部70と第2ガイド部73との関係について説明する。
第1ガイド部70及び第2ガイド部73は、第1ガイド部70によるコック部材3のホルダ本体4の中心軸方向Aにおける移動の向き(以下、「第1移動の向き」と記載する。)と、第2ガイド部73によるコック部材3のホルダ本体4の中心軸方向Aにおける移動の向き(以下、「第2移動の向き」と記載する。)と、が互いに逆向きであり、かつ、コック部材3がホルダ本体4の周方向Cの一方向に回転する際、第1移動と第2移動とが順次発生するように配置されている。以下、具体的に説明する。
図8(a)、(b)は、第1ガイド部70による第1移動と、第2ガイド部73による第2移動と、の関係を示す概略図である。第1ガイド部70及び第2ガイド部73は、コック本体17がホルダ本体4の中空部5に収容された状態において、第1突起部71が第1突起受け面72に、第2突起部74が第2突起受け面75に、それぞれ当接している。コック部材3のコック本体17をホルダ本体4の周方向Cの一方向に回転させると、第1ガイド部70による第1移動と、第2ガイド部73による第2移動と、が順次発生する。
より具体的に、図8(a)に示すように、コック本体17がホルダ本体4の周方向Cの一方向(図8(a)の付番「R1」参照)に回転すると、第1突起部71が第1突起受け面72の第1斜面72aと摺動する。かかる摺動により、第1突起部71の摺動部71aは第1突起受け面72から押圧され、第1突起部71は第1突起受け面72の第1斜面72aに沿って移動し(図8(a)の付番「S1a」参照)、コック本体17がホルダ本体4の基端方向(図8(a)の付番「A1」参照)に移動する。この移動を「第1移動」とする。第1移動が発生している間、第2突起部74の摺動部71aは、第2突起受け面75の第1斜面72aから押圧されず、第2突起部74は第1移動に追従して移動する。つまり、第1移動が発生している間、第2ガイド部73はホルダ本体4の中心軸方向Aの移動に寄与しない。
一方、図8(b)に示すように、コック本体17がホルダ本体4の周方向Cの一方向(図8(b)の付番「R1」参照)に回転すると、第2突起部74が第2突起受け面75の第2斜面72bと摺動する。かかる摺動により、第2突起部74の摺動部71aは第2突起受け面75から押圧され、第2突起部74は第2突起受け面75の第2斜面72bに沿って移動し(図8(b)の付番「S1b」参照)、コック本体17がホルダ本体4の先端方向(図8(b)の付番「A2」参照)に移動する。この移動を「第2移動」とする。第2移動が発生している間、第1突起部71の摺動部71aは、第1突起受け面72から押圧されず、第1突起部71は第2移動に追従して移動する。つまり、第2移動が発生している間、第1ガイド部70はホルダ本体4の中心軸方向Aの移動に寄与しない。
以上のように、第1突起部71が、第1突起受け面72の第1斜面72aと摺動する間、第1移動が発生し、第2突起部74が、第2突起受け面75の第2斜面72bと摺動する間、第2移動が発生する。また、上述のように、第1斜面72a及び第2斜面72bは、ホルダ本体4の周方向Cに順次連続している。従って、コック本体17をホルダ本体4の周方向Cの一方向に回転することにより、第1移動及び第2移動が順次発生し、コック本体17はホルダ本体4に対してホルダ本体4の中心軸方向Aの双方向に順次移動する。
上述のように、コック本体17がホルダ本体4に対してホルダ本体4の中心軸方向Aに移動することにより、コネクタ1は、第1の形態と、第2の形態と、に変形する。従い、コネクタ1は、コック本体17をホルダ本体4の周方向Cの一方向に回転することにより、コック本体17はホルダ本体4に対してホルダ本体4の中心軸方向Aの双方向に順次移動して、第1の形態と、第2の形態と、に変形する。
より具体的に、第1突起部71及び第2突起部74が、第1斜面72a及び第2斜面72bのうちホルダ本体4の基端4b側の端に位置するとき、コネクタ1は第2の形態となる。また、第1突起部71及び第2突起部74が、第1斜面72a及び第2斜面72bのうちホルダ本体4の先端4a側の端に位置するとき、第1の形態となる。従って、第1突起部71が、第1突起受け面72の第1斜面72aを、ホルダ本体4の先端4a側の端から基端4b側の端まで移動することにより、コネクタ1は第1の形態から第2の形態に変形する。また、第2突起部74が、第2突起受け面75の第2斜面72bを、ホルダ本体4の基端4b側の端から先端4a側の端まで移動することにより、コネクタ1は第2の形態から第1の形態に変形する。
コック本体17がホルダ本体4の周方向Cの一方向(図7(a)の付番「C1」参照)に回転して、第1突起部71及び第2突起部74が、第2斜面72bのうちホルダ本体4の基端4b側の端から、第1斜面72a及び第2斜面72bのうちホルダ本体4の先端4a側の端を経由して、第1斜面72aのうちホルダ本体4の基端4b側の端まで一連に移動することにより、コネクタ1は順に第2の形態、第1の形態、第2の形態、に変形する。
また、上述のように、第1斜面72a及び第2斜面72bで形成されるパターンがホルダ本体4の周方向Cにおいて4つ設けられている。第1突起部71及び第2突起部74が、山型状の各頂部に位置するとき、コネクタ1は、第2の形態としてそれぞれ上述した4つの接続状態となる。以上のように構成することにより、第2の形態の1つとしての第1接続状態から、第2の形態の1つとしての第2接続状態に変化する間に、コネクタ1は第1の形態となることができる。
ここで、第1斜面72a及び第2斜面72bが接続する頂部が中心角約90°毎に配置されている。すなわち、第1突起部71が、第1突起受け面72の第1斜面72aを、ホルダ本体4の先端4a側の端から基端4b側の端に移動すること、及び第2突起部74が、第2突起受け面75の第2斜面72bを、ホルダ本体4の基端4b側の端から先端4a側の端に移動することは、コック本体17をホルダ本体4の周方向Cに45°回転することに相当する。従って、コック本体17をホルダ本体4の周方向Cのいずれか一方向に回転することにより、約45°おきに、第1の形態と第2の形態とを変更できる。
更に具体的に、本実施形態では、コック本体17を一方向に回転することで、コネクタ1は、約45°おきに順に、第2の形態の1つのとして流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)が全て接続された状態、第1の形態すなわちハーフロック状態、第2の形態の1つとして第1流路10と第3流路12とが接続された状態、第1の形態、第2の形態の1つのとして第1流路10と第2流路11とが接続された状態、第1の形態、及び第2の形態の1つのとして第2流路11と第3流路12とが接続された状態、第1の形態、に変化する。
以上のようにすることで、流路間の接続状態の切り換えを行う操作であるハンドル部18の回転操作のような簡易な操作のみで、複数の流路がいずれも接続しない状態とすることができる。なお、図8(a)、(b)では、回転方向である一方向として図の左方向を取り上げて説明したが、逆の方向(図の右方向)を一方向として回転しても同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、第1突起部71及び第2突起部74がコック部材3に、第1突起受け面72及び第2突起受け面75がホルダ部材2にそれぞれ設けられているが、突起部がホルダ部材2及びコック部材3の一方に設けられ、他方に突起受け面が設けられていればよく、例えば、第1突起部71及び第2突起部74をホルダ部材2に、第1突起受け面72及び第2突起受け面75をコック部材3にそれぞれ設ける構成であってもよい。あるいは、第1突起部71をコック部材3に、第2突起部74をホルダ部材2に、それぞれ設ける構成や、その逆の構成であってもよい。
本実施形態では、第1突起受け面72及び第2突起受け面75は山型状により構成されているが、斜面の位置がホルダ本体4の中心軸方向Aに変化するものであればよく、例えば、略正弦波状で構成されていてもよい。また、斜面がホルダ本体4の周方向Cに順次連続する構成に限られるものではなく、例えば、第1突起受け面72及び第2突起受け面75のうち、上述したような、コック部材3のホルダ本体4の中心軸方向Aの移動に寄与しない部分、を取り除いた構成でもよい。具体的には、第1突起受け面72が、間隔をあけて配置された第1斜面72aのみで構成され、第2突起受け面75が、間隔をおいて配置された第2斜面72bのみで構成されたものもよい。
本実施形態では、第2突起部74は、コック本体17の外壁の周方向Dにおいて、第1突起部71が設けられている位置と略等しい位置に設けられているが、異なる位置に設けられていてもよい。この場合、上述した第1移動及び第2移動が順次繰り返し発生するように、第2突起受け面75としての斜面の配置を、本実施形態の第2突起受け面75としての斜面の配置と異なるようにすればよい。
また、第1突起部71、第2突起部74の形状は、それぞれ第1突起受け面72、第2突起受け面75に摺動できるものであればよく、上述の形状に限らず、例えば、円形、四角形、多角形、などの形状であってもよい。また、本実施形態では、第1ガイド部70及び第2ガイド部73は、一対の第1突起部71及び第1突起受け面72と、別の一対の第2突起部74及び第2突起受け面75と、の2組で構成されているが、1組でもよく、または3組以上設けてもよい。また、ガイド部を設けず、手動でコック部材3をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動させる構成であってもよい。
[流路切換部19の凸部19aについて] 上述した流路切換部19の凸部19aは、第1ポート部7が区画する第1流路10と、第2ポート部8が区画する第2流路11と、第3ポート部9が区画する第3流路12とが接続している状態のとき、第1流路10からコネクタ1内に流入する薬液等の液体を第3ポート部9側に案内する。具体的に、図2に示すような、3つの流路(第1流路10、第2流路11及び第3流路12)が全て接続された状態のとき、凸部19aは、第1流路10からコネクタ1内に流入する薬液等の液体の流れを第3ポート部9側に案内する。
流路切換部19がこのような凸部19aを備えることにより、第1流路10に流入する薬液等の液体は、第3流路12側を通り、第2流路11に流出する。このため、第3流路12側の周辺で液体が停滞してしまうことを抑制できる。以上のようにして、液体の停滞を抑制でき、かつ、上述したようなハーフロックが容易にできるコネクタ1を提供することができる。
[コネクタ1を備える輸液セット]
最後に、本発明の1つの実施形態として、コネクタ1を備える輸液セット110について説明する。図9は輸液セット110を示す図である。なお、図9で示す輸液セット110は、上述したコネクタ1としての三方活栓を備えるものであるが、これに代えて、4つ以上のポート部を備える医療用活栓としてもよい。ここでは、説明の便宜上、コネクタ1としての三方活栓を備える輸液セット110について説明する。
輸液セット110は、図9において図示しない輸液バッグから、図9において同じく図示しない留置針までを接続する輸液ラインを形成するものである。具体的に、輸液セット110は、複数の輸液チューブ111と、輸液バッグから供給される輸液剤の流量を視認可能な点滴筒112と、輸液チューブ111内の輸液剤の流量を調整するクレンメ113と、輸液ラインに存在する空気を排出(又は供給)するエアベントフィルタ114と、輸液チューブ111を閉塞するクランプ115と、を備える。
本実施形態では、コネクタ1が、クレンメ113とエアベントフィルタ114との間に設けられている。コネクタ1は、点滴筒112から下流側に延在する第1輸液チューブ111aと、エアベントフィルタ114の上流側に延在する第2輸液チューブ111bとの間を流通可能に接続することで輸液ラインのメインラインの流路の一部を構成する。より具体的に、本実施形態では、コネクタ1の第1ポート部7が、第1医療器具としての第1輸液チューブ111a(医療用チューブ)と接続されている。また、コネクタ1の第2ポート部8は、第2医療器具としての第2輸液チューブ111b(医療用チューブ)と接続されている。
また、コネクタ1の第3ポート部9には、第3医療器具としての、オスコネクタを先端に備える第3輸液チューブ111c(医療用チューブ)が接続され、輸液ラインのサブラインが構成されている。従って、コネクタ1内において、輸液ラインのメインラインとサブラインとが繋がっている。
コネクタ1のハンドル部18を回転させることにより、第1ポート部7が区画する第1流路10、第2ポート部8が区画する第2流路11及び第3ポート部9が区画する第3流路12の間で接続関係を切り換えることができる。また、コネクタ1は、ハンドル部18を回転させることにより、上記の3つの流路がいずれも接続しない第1の形態としてのハーフロック状態と、3つの流路のうち少なくとも2つが接続する第2の形態と、に変形可能である。なお、三方活栓には上述のガイド部が設けられていない構成でもよく、その場合は、ハンドル部18をホルダ本体4の中心軸方向Aに移動し、コック本体17をホルダ本体4に押し込みまたはホルダ本体4から引き抜くことで、第1の形態と第2の形態とを変更できる。
なお、本実施形態では、コネクタ1を、クレンメ113とエアベントフィルタ114との間に設けたが、この位置に限られるものではなく、所望の位置に設けることが可能である。また、本実施形態の輸液セット110は、コネクタ1を1つのみ備える構成であるが、複数設ける構成としてもよい。
本発明は、上述した実施形態で特定された構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。