JP6573846B2 - 回転機械の運転状態を診断する診断装置及び診断方法 - Google Patents

回転機械の運転状態を診断する診断装置及び診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転機械の運転状態を診断する技術に関するものである。
従来、省人化、ヒューマンエラーの削減などを目的に、機械製品又はプラントの稼働状態、生産ラインの品質特性などに関する正常又は異常を自動的に診断する様々な手法が考案されている。これらの手法では、基本的に、以下の手順に従って診断が行われる。
まず、診断対象が過去に正常に稼働していた時の時系列データに対してデータマイニング、機械学習、統計処理等の分析手法を適用して、診断に用いる特徴量を計算する特性モデルを学習する。そして、新たに観測される時系列データに対して該特性モデルが計算した特徴量の、正常時の特徴量の確率分布からの外れ度を計算し、その外れ度が予め決定された閾値を超えた場合に異常と判断する。
上述の特性モデルの学習法としては、重回帰分析や主成分分析等の統計学習法なども用いられるが、時系列データを扱う点との親和性の高さから、特許文献1に記載の自己回帰(AR)モデル、ベクトル自己回帰(VAR)モデル等の時系列データ分析手法がしばしば用いられる。
特許文献1に記載の技術は、時系列データに対する自己回帰モデル学習装置並びにそれを用いた外れ値および変化点の検出装置に関する。特に、特許文献1に記載の技術は、データ解析技術およびデータマイニング技術に関わり、順次入力される離散値変量と連続値変量との両者または一方で記述されたデータに対して、その外れ値スコアおよび変化点スコアを計算して、外れ値および変化点を精度よく検出する検出装置に関する。
特許文献1に記載の技術による時系列データに対する外れ値および変化点の検出装置には、実数ベクトル値のデータ列を順次読み込みながら該データ列の発生する確率分布を、自己回帰モデルを用いて学習する装置として、次のような自己回帰モデル学習装置を用いることができる。すなわち、自己回帰モデルの十分統計量を、新たに読み込んだデータを用いて過去のデータを忘却しながら更新するデータ更新装置と、該データ更新装置が更新した十分統計量を読み込み、それを用いて自己回帰モデルのパラメータを計算するパラメータ計算装置とを含むものである。このように、過去のデータを忘却しながら更新する処理を行うので、時系列データを処理するのに適すると共に、その精度を上げることができる。
特開2004−54370号公報
上記特許文献1に記載の技術では、自己回帰モデルを用いた時系列モデリングによって、前記のメカニズムに従った正常又は異常の診断が自動的に実行される。その結果、診断処理の省人化、ヒューマンエラーの削減が期待できる。
しかしながら、本診断手法の適用対象を、空気圧縮機、ガスタービン、蒸気タービンなどの回転機械に限定した場合については、上記特許文献1に記載の技術では、回転機械の運用の特徴が十分に考慮されていない。このため、回転機械の運転状態を精度良く診断できるように改善することが求められている。
本発明は、上記問題を解決するもので、回転機械の運転状態を精度良く診断することができる診断装置及び診断方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、
回転機械の運転状態を診断する診断装置であって、
時系列で前記回転機械を計測した計測値から、自己回帰診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習するための第1運転データを生成し、かつ、前記回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データを生成するデータ前処理部と、
前記第1運転データを用いて、前記モデルパラメータを学習するモデル学習部と、
前記第2運転データと、学習された前記モデルパラメータと、前記自己回帰診断モデルとを用いて、前記特徴量を計算する特徴量計算部と、
前記特徴量に基づき、前記回転機械の運転状態を診断する状態診断部と、
を備え、
前記データ前処理部は、前記計測値が含まれる前記回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する前記第1運転データを生成し、
前記モデル学習部は、前記バッチ情報を用いて前記計測値の時系列の連続性を確保しつつ、前記モデルパラメータを学習するものである。
本発明の第2態様は、
回転機械の運転状態を診断する診断装置に用いられる診断方法であって、
時系列で前記回転機械を計測した計測値から、自己回帰診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習するための第1運転データを生成し、かつ、前記回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データを生成するデータ前処理工程と、
前記第1運転データを用いて、前記モデルパラメータを学習するモデル学習工程と、
前記第2運転データと、学習された前記モデルパラメータと、前記自己回帰診断モデルとを用いて、前記特徴量を計算する特徴量計算工程と、
前記特徴量に基づき、前記回転機械の運転状態を診断する状態診断工程と、
を備え、
前記データ前処理工程では、前記計測値が含まれる前記回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する前記第1運転データが生成され、
前記モデル学習工程では、前記バッチ情報を用いて前記計測値の時系列の連続性を確保しつつ、前記モデルパラメータが学習されるものである。
この第1及び第2態様では、時系列で回転機械を計測した計測値から、自己回帰診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習するための第1運転データが生成される。また、時系列で回転機械を計測した計測値から、回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データが生成される。第1運転データを用いて、モデルパラメータが学習される。第2運転データと、学習されたモデルパラメータと、自己回帰診断モデルとを用いて、特徴量が計算される。特徴量に基づき、回転機械の運転状態が診断される。
また、第1及び第2態様では、計測値が含まれる回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する第1運転データが生成される。モデルパラメータは、バッチ情報を用いて、計測値の時系列の連続性を確保しつつ、学習される。したがって、起動から停止までの作動期間が短期間となるような回転機械の運転状態を診断するための診断モデルを、時系列の自己回帰手法を用いて構築する場合であっても、学習データの時系列連続性を確保することができる。このため、十分なモデル精度を得ることができる。その結果、回転機械の運転状態を精度良く診断することができる。
上記第1態様において、例えば、前記モデル学習部は、前記モデルパラメータを学習するための学習行列を作成する行列作成部を含んでもよい。前記行列作成部は、前記学習行列の同一行内には同一の前記バッチ内の前記計測値のみが含まれるように、前記学習行列を作成してもよい。
本態様では、モデルパラメータを学習するための学習行列の同一行内には同一のバッチ内の計測値が含まれるように、学習行列が作成される。したがって、本態様によれば、学習データの時系列の連続性を確保することができる。このため、十分なモデル精度を得ることができる。
上記第1態様において、例えば、前記行列作成部は、複数の前記バッチ内の前記計測値が含まれるように、前記学習行列を作成してもよい。
本態様では、複数のバッチ内の計測値が含まれるように、学習行列が作成される。したがって、本態様によれば、学習汎化のためのデータ量を十分に確保して、学習を実行することができる。このため、十分なモデル精度を得ることができる。
上記第1態様において、例えば、前記回転機械は、空気圧縮機を含んでもよい。
本発明によれば、計測値が含まれる回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する第1運転データが生成され、モデルパラメータは、バッチ情報を用いて、計測値の時系列の連続性を確保しつつ、学習されることから、起動から停止までの作動期間が短期間となるような回転機械の運転状態を診断するための診断モデルを、時系列の自己回帰手法を用いて構築する場合であっても、学習データの時系列連続性を確保することができるため、十分なモデル精度を得ることができるので、回転機械の運転状態を精度良く診断することができる。
本発明の一実施形態の診断装置の構成を概略的に示すブロック図である。 診断装置に含まれるモデル学習部の構成を概略的に示すブロック図である。 前処理運転データの一例を概略的に示す図である。 前処理運転データの一例を概略的に示す図である。 図1に示される診断装置の動作を概略的に示すフローチャートである。 図5のフローチャートの診断モデルの学習処理のサブルーチンを概略的に示すフローチャートである。 学習行列の更新を説明する図である。 図7と異なる学習行列の更新を説明する図である。 図6のループによる学習行列の更新を説明する図である。 本実施形態の学習行列の行とバッチとの関係を説明する図である。 比較例の学習行列の行とバッチとの関係を説明する図である。
(本発明の基礎となった知見)
空気圧縮機、ガスタービン、蒸気タービンなどの回転機械は、使用方針にもよるが、一般的に、起動から停止までの作動時間が短期間(数時間〜数日間)で運用されることが多い。このため、回転機械の運転状態を診断するためには、短期間で起動及び停止が繰り返される運用を前提条件として考慮する必要がある。このような前提条件を考慮しようとすると、上記特許文献1に記載の技術では、以下の問題が生じる虞がある。
すなわち、短期間での起動及び停止の繰り返しにより、時系列データの連続性が保証される期間におけるデータ量が少なくなる。上記特許文献1に記載の技術では、1回のモデル学習に使用できるデータは連続するデータが1セットのみのため、学習に使用するデータが不足することから、所望の精度の診断結果が得られない可能性がある。
以上の考察により、本発明者は、回転機械の運転状態を精度良く診断することができる発明を想到するに至った。
すなわち、本開示の診断装置および診断方法では、短期間で起動及び停止が繰り返される運用を前提条件として有する回転機械の運転状態を診断する診断モデルを学習する際に、短期間の連続の時系列データが複数セット集約される。これによって、アルゴリズム上、時系列データの連続性を損なうことなく、診断モデルの学習を可能にしている。
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ符号が用いられている。
(構成)
図1は、本発明の一実施形態の診断装置100の構成を概略的に示すブロック図である。図2は、診断装置100に含まれるモデル学習部104の構成を概略的に示すブロック図である。
診断装置100は、空気圧縮機1(回転機械の一例)の運転状態を診断する。図1に示されるように、診断装置100は、空気圧縮機1からオンラインで信号を受信する。
診断装置100は、例えばコンピュータであり、中央演算処理装置(CPU)、プログラム及びデータ等を保存するメモリ、周辺回路、表示部120、及び入力部130を含む。メモリは、半導体メモリ、ハードディスク等で構成される。メモリは、運転データベース(DB)103、モデル情報DB105、診断条件DB107、出力ログDB109を含む。
メモリに保存されたプログラムを実行することにより、CPUは、データ前処理部102、モデル学習部104、特徴量計算部106、状態診断部108として機能し、学習行列作成部104a(図2)、パラメータ計算部104b(図2)として機能する。周辺回路は、データ入力インターフェース(I/F)101と、データ出力I/F110とを含む。
表示部120は、例えば液晶表示パネルを含む。代替的に、表示部120は、有機EL(Electro Luminescence)パネルを含んでもよい。入力部130は、キーボード及びマウスを含んでもよい。表示部120がタッチパネル式の場合には、入力部130は、表示部120のタッチパネルであってもよい。
図1に示される診断装置100は、概略次のような動作を行う。まず、診断装置100のデータ前処理部102は、空気圧縮機1からオンラインで入力された計測信号を診断モデルの学習に適切な形式のデータを生成し、運転DB103に保存する。本実施形態では例えば、診断モデルとして、自己回帰モデル又はベクトル自己回帰モデルを用いる。次に、診断モデルの構築が必要なタイミングと判断された場合は、モデル学習部104は、運転DB103に保存されたデータを基に、診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習する。以上のようにして得られたモデルパラメータは、モデル情報DB105に保存される。
次に、学習した診断モデルを用いた空気圧縮機1の運転状態の診断に関して、診断装置100は以下の動作を行う。まず、データ前処理部102は、診断に用いる特徴量の計算に適切な形式のデータを生成する。このデータと、モデル情報DB105に保存されたモデルパラメータとを用いて、特徴量計算部106は、診断用の特徴量を計算する。次に、状態診断部108は、計算された特徴量を用いて、空気圧縮機1の運転状態が正常であるか異常であるかを判定する。判定結果は、表示部120に表示される。
以下、診断装置100の具体的な構成が説明される。データ入力I/F101は、空気圧縮機1から出力される空気圧縮機1の各部の計測信号10を予め定められた通信周期(例えば1秒)で受信する。
計測信号10は、本実施形態では例えば、空気圧縮機1への吸込み空気圧、空気圧縮機1からの吐出空気圧、空気圧縮機1に潤滑用油を供給するための給油フィルタの前後の差圧、空気圧縮機1から流出する使用済み潤滑用油の不純物を分離する分離フィルタの前後の差圧、給油温度、油回収器の出口温度、空気圧縮機1の主電動機の軸受温度、空気圧縮機1の主電動機の巻線温度、空気圧縮機1のケーシング振動の振幅、温度によって変動する空気圧縮機1のロータ軸の軸方向長さの10種類の信号を含む。
データ入力I/F101は、10種類の計測信号10を例えばパラレルデータとして受信する。データ入力I/F101は、パラレルデータとして受信した10種類の計測信号10を、診断装置100の内部で処理可能な例えばシリアルデータの計測信号11に変換する。データ入力I/F101は、計測信号11をデータ前処理部102に出力する。
データ前処理部102は、入力された計測信号11を診断モデルの学習に適切な形式に変換し、前処理運転データ12(第1運転データの一例)を生成する。データ前処理部102は、生成した前処理運転データ12を運転DB103に出力する。
図3は、前処理運転データ12の一例を概略的に示す図である。前処理運転データ12は、図3に示されるように、日付時刻1201、バッチID1202、時系列データID1203、第1〜第10信号の計測データ1204を含む。
日付時刻1201は、計測データ1204の各レコードが計測された日付および時刻情報を表す。バッチID1202は、計測データ1204の時系列連続性を基準に分類されるバッチを特定する識別子である。本実施形態では、空気圧縮機1における起動から停止までの一連の連続運転中に得られた計測信号がひとつのバッチと定義される。バッチID1202として、時系列順に整数の添字iを用いて識別子が管理される。
時系列データID1203は、予め定められた通信周期毎に入力される計測信号11に時系列順に付与される識別子である。時系列データID1203として、整数の添字jを用いて識別子が管理される。計測データ1204は、計測信号10に含まれる計測値を表す。本実施形態では、上述のように10種類の計測信号10が空気圧縮機1から入力されるので、前処理運転データ12は、第1〜第10信号の10個の計測データ1204を含む。なお、本実施形態では、バッチID1202の最大値はI、時系列データID1203の最大値(つまりバッチiに属するデータの最大値)はJiとする。
図1に戻って、データ前処理部102は、入力された計測信号11を空気圧縮機1の診断に用いる特徴量の計算に適切な形式に変換し、前処理運転データ16(第2運転データの一例)を生成する。データ前処理部102は、生成した前処理運転データ16を特徴量計算部106に出力する。
図4は、前処理運転データ16の一例を概略的に示す図である。前処理運転データ16は、図4に示されるように、日付時刻1201、計測データ1204を含む。すなわち、前処理運転データ16は、前処理運転データ12からバッチID1202及び時系列データID1203を除いた構成になっている。
図1に戻って、データ前処理部102は、データ入力I/F101が新たな計測信号10を受信するたびに、前処理運転データ12,16を順次更新する。運転DB103は、データ前処理部102から出力された前処理運転データ12を保存する。
モデル学習部104は、前処理運転データ12と、モデル情報DB105に保存されているモデル構築情報15とに基づき、モデルパラメータ14を学習する。学習されたモデルパラメータ14は、モデル情報DB105に保存される。
モデル構築情報15は、自己回帰モデルを構成するために必要なモデル次数を含む。モデル次数は、参照する時系列データのステップ数である。つまり、モデル次数は、どれだけの過去のデータまでさかのぼって考慮するかを表す。
モデル構築情報15は、出力変数を特定する情報を含む。モデル構築情報15は、入力変数の組合せを特定する情報を含む。自己回帰モデルを用いる場合には、通常、入力変数の組合せは、出力変数を含む。自己回帰モデルとして、ベクトル自己回帰(VAR)モデルを適用する場合には、モデル構築情報15に含まれるモデルの入力変数の組合せは、複数の入力変数を含む。
出力変数及び入力変数は、それぞれ、計測信号10として入力される10種類の信号のなかから設定される。モデル構築情報15は、出力変数として、例えば、空気圧縮機1からの吐出空気圧を含んでいてもよい。モデル情報DB105は、予め定められた出力変数と、予め定められた入力変数の組合せとを含むモデル構築情報15を保存してもよい。
図2において、モデル学習部104の学習行列作成部104a(行列作成部の一例)は、運転DB103から前処理運転データ12を読み取る。学習行列作成部104aは、モデル情報DB105からモデル構築情報15を読み取る。学習行列作成部104aは、前処理運転データ12に対し、モデル構築情報15を適用し、データの時系列連続性が確保されるように、学習用の行列(以下、「学習行列」と称される)13を作成する。学習行列作成部104aは、作成した学習行列13をパラメータ計算部104bに出力する。
パラメータ計算部104bは、モデル情報DB105からモデル構築情報15を読み取る。パラメータ計算部104bは、入力された学習行列13に対して、モデル構築情報15を適用し、モデルパラメータ14を計算する。パラメータ計算部104bは、計算したモデルパラメータ14を、モデルパラメータ14の学習結果として、モデル情報DB105に保存する。
診断条件DB107は、特徴量計算および状態診断の実行条件パラメータ18を保存する。具体的な実行条件パラメータ18は、状態診断に特徴量の閾値判定を用いる場合の閾値パラメータ、確率検定を用いる場合の有意水準パラメータ等を含む。
特徴量計算部106は、モデルパラメータ14、前処理運転データ16およびモデル構築情報15を用いて、現時点での計測信号に対するモデル特性評価を実行する。特徴量計算部106は、そのモデル特性評価の結果を基に、診断用の実行条件パラメータ18を用いて、診断用の指標である特徴量19を計算する。
状態診断部108は、診断用の実行条件パラメータ18と、特徴量19とを用いて、空気圧縮機1の運転状態を診断し、診断結果20を出力ログDB109及びデータ出力I/F110に出力する。
出力ログDB109は、特徴量計算部106により計算された特徴量19と、状態診断部108の診断結果20とを保存する。データ出力I/F110は、診断結果20を含む、表示部120で表示される形式の表示データ21を生成し、生成した表示データ21を表示部120に出力する。表示部120は、表示データ21を表示する。
(動作)
図5は、図1に示される診断装置100の動作を概略的に示すフローチャートである。診断装置100は、空気圧縮機1から計測信号10を受信し、空気圧縮機1の運転状態を診断し、診断結果を表示部120に表示する。計測信号の通信タイミングおよび診断結果の更新タイミングは、それぞれ、予め定められた通信周期(例えば1秒)および診断周期(例えば2秒)に依存する。一般に、通信周期<診断周期となるのが望ましい。したがって、診断装置100の図5に示される動作は、通信周期毎に実行される。なお、通信周期、診断周期は、診断装置100を含むプラント計装システムの通信速度、演算処理速度に依存して決定されてもよい。以下、図5の各ステップが説明される。
ステップS2000において、診断装置100のデータ入力I/F101は、空気圧縮機1から計測信号10を受信する。データ入力I/F101は、計測信号10を診断装置100において処理可能な形式である計測信号11に変換する。データ入力I/F101は、計測信号11をデータ前処理部102に出力する。
ステップS2010(データ前処理工程の一例)において、データ前処理部102は、計測信号11を診断モデルの学習に必要な形式に整形し、前処理運転データ12を生成する。データ前処理部102は、生成した前処理運転データ12を運転DB103に出力する。データ前処理部102は、計測信号11を、診断に用いる特徴量の計算に必要な形式に整形し、前処理運転データ16を生成する。データ前処理部102は、生成した前処理運転データ16を特徴量計算部106に出力する。
ステップS2020において、運転DB103は、データ前処理部102から入力された前処理運転データ12を保存する。
ステップS2030において、診断装置100のCPUは、診断モデルの学習を実行するか否かを、予め設定された実行条件を基に判定する。本実施形態では例えば、診断装置100のCPUは、一定周期(週単位、月単位など)の経過時に実行条件を満たすと判定して診断モデルの学習を実行する。なお、ユーザが入力部130を用いて所定の入力を行うと、診断装置100のCPUは、実行条件を満たすと判定して診断モデルの学習を実行してもよい。また、十分なモデル精度を獲得するために最低限必要なデータ量を閾値として設定しておいてもよい。この実施形態では、診断装置100のCPUは、運転DB103に蓄積されたデータ量が閾値に満たない場合には診断モデルの学習を実行しないと判定する。
判定の結果、診断モデルの学習を実行する場合には(ステップS2030でYES)、処理はステップS2040に進む。一方、学習を実行しない場合には(ステップS2030でNO)、処理はステップS2060に進む。
ステップS2040(モデル学習工程の一例)において、モデル学習部104は、運転DB103に保存されている前処理運転データ12と、モデル情報DB105に保存されているモデル構築条件15とを用いて、診断モデルを学習する。なお、この診断モデルの学習の詳細な処理内容については、図6のフローチャートを用いて次に説明される。
図6は、図5のフローチャートの診断モデルの学習処理(ステップS2040)のサブルーチンを概略的に示すフローチャートである。図7は、学習行列Aの更新を説明する図である。図8は、学習行列Bの更新を説明する図である。
図6のステップS4000において、モデル学習部104の学習行列作成部104aは、運転DB103から前処理運転データ12を読み込み、モデル情報DB105からモデル構築情報15を読み込む。モデル構築情報15は、上述のように、診断モデルを構成するために必要なモデル次数Nと、出力変数を特定する情報とを含む。また、モデル構築情報15は、入力変数の組合せ情報Mを含む。なお、診断モデルとして、ベクトル自己回帰(VAR)モデルを適用する場合には、入力変数の組合せ情報Mの大きさ|M|、つまり入力変数の個数は2以上の整数であり、VARモデル以外の場合には、入力変数の組合せ情報Mの大きさ|M|は1である。
ステップS4010において、学習行列作成部104aは、診断モデルの学習に使用する2種類の学習行列A、Bを初期化する。つまり、学習行列作成部104aは、学習行列A、Bとして、空の行列を作成する。
ステップS4020において、学習行列作成部104aは、後述する学習行列A、Bの作成処理において使用する、バッチID1202(図3)のカウンタiを初期化する。つまり、学習行列作成部104aは、i=1とする。
ステップS4030において、学習行列作成部104aは、後述する学習行列A、Bの作成処理において使用する、時系列データID1203(図3)のカウンタjを初期化する。つまり、学習行列作成部104aは、j=1とする。
ステップS4040において、学習行列作成部104aは、前処理運転データ12のバッチID1202(図3)が「i」のバッチに属する、[j,j+N−1]の範囲の計測データ1204(図3)を用いて、学習行列Aに追加する行ベクトル候補Xi,jを作成する。ここで、行ベクトル候補Xi,jは、以下の式(1)で表される。式(1)の右辺の要素であるベクトルxi,jは、以下の式(2)で表される。
ここで、式(2)のベクトルの要素xi,j,mは、バッチID1202が「i」のバッチに属する時系列データID1203が「j」の時刻における、m番目の入力変数(つまり入力変数に含まれる計測信号のm番目のデータ)を意味する。すなわち、mは、診断モデルの入力変数を表す添字である。上述のように、診断モデルとして自己回帰モデルの一種のVARモデルを用いる場合には、入力変数の組合せ情報Mの大きさ|M|は2以上の整数となる。一方、VARモデル以外の自己回帰モデルを用いる場合には.入力変数の組合せ情報Mの大きさ|M|は1となり、mも1となる。
ステップS4050において、学習行列作成部104aは、カウンタjがJi−N+1以下であるか否かを判定する。ここで、バッチID1202が「i」のバッチに属する時系列データの個数(バッチiのレコード数)をJiとする。カウンタjがJi−N+1以下であれば(ステップS4050でYES)、学習行列作成部104aは、処理をステップS4060に進める。一方、カウンタjがJi−N+1以下でなければ(ステップS4050でNO)、学習行列作成部104aは、処理をステップS4090に進める。
ステップS4060において、学習行列作成部104aは、ステップS4040で作成した行ベクトル候補Xi,jを学習行列Aに追加して学習行列Aを更新する。学習行列Aの更新処理は、図7に示されるように、更新前の学習行列700の末尾に行ベクトル候補Xi,jを追加することにより行われる。
ステップS4070において、学習行列作成部104aは、学習行列Bを更新する。学習行列Bの更新処理は、図8に示されるように、更新前の学習行列800の末尾に、バッチID1202が「i」のバッチに属するj+N番目の出力変数yの値yi,j+Nを追加することにより行われる。ここで、出力変数yは、行ベクトル候補Xi,jの各要素と同様に前処理運転データ12に含まれ、モデル構築情報15により特定される、診断モデルの出力変数となる計測データ1204(図3)である。
ステップS4080において、学習行列作成部104aは、カウンタjを1加算して、処理をステップS4040に戻す。
ステップS4090において、学習行列作成部104aは、カウンタiがバッチ数I以下であるか否かを判定する。カウンタiがバッチ数I以下であれば(ステップS4090でYES)、学習行列作成部104aは、処理をステップS4100に進める。一方、カウンタiがバッチ数I以下でなければ(ステップS4090でNO)、学習行列作成部104aは、処理をステップS4110に進める。
ステップS4100において、学習行列作成部104aは、カウンタiを1加算して、処理をステップS4030に戻す。
上記ステップS4030〜S4100のループを繰り返し実行することにより、最終的に得られた学習行列Aは、以下の式(3)のように表記される。学習行列Bは、以下の式(4)のように表記される。式(4)から分かるように、学習行列Bは、厳密に言うと、ベクトルである。
ステップS4110において、モデル学習部104のパラメータ計算部104bは、得られた学習行列A、Bを含む学習行列13を用いて、モデルパラメータθを以下の公知の式(5)を用いて最小二乗法により計算して、図6の処理を終了する。
図9は、図6のステップS4040〜S4080のループによる学習行列Aの更新を説明する図である。図10は、本実施形態の学習行列Aの行とバッチとの関係を説明する図である。図11は、比較例の学習行列A1の行とバッチとの関係を説明する図である。
図9の例では、バッチID1202が「i」のバッチに属する時系列データ数Jiは100であり、モデル次数Nは10である。図6のステップS4040において、[j,j+N−1]の範囲の時系列データを用いて、行ベクトル候補が作成される。
図9において、カウンタjがj=1からj=Ji−N+1=91までの間、図6のステップS4050でYESと判断される。したがって、バッチID1202が「i」のバッチに属する時系列データによって、91行の学習行列が得られる。
j=Ji−N+2=92になると、図9に示されるように、N(=10)個目の時系列データは、このバッチのデータではない。このとき、図6のステップS4050でNOと判断される。したがって、バッチID1202が「i」のバッチに属する時系列データを用いる学習行列Aの更新は終了する。
このように、図6のステップS4040〜S4080のループの処理によって、本実施形態の式(3)に示される学習行列Aにおいて、図10に示される同一バッチ内の連続する時系列データ1000は、行単位で区切られる。
これによって、本実施形態によれば、データの連続性が保証され、モデルパラメータを適切に学習することができる。また、データの連続性が保証されるため、所望のモデル精度を得るために必要十分なサイズの学習データを、データの不連続性を考慮せずに用いることができる。これは、特に、短期間で起動と停止とを繰り返す空気圧縮機1のような回転機械の計測信号10(前処理運転データ12)を用いる場合でも、所望の精度を有する診断モデルを学習できることを意味する。
起動及び停止が頻繁に繰り返される空気圧縮機1以外の、起動及び停止が頻繁に繰り返されない機械では、大量の連続する時系列データを容易に得ることができる。このため、バッチの違いを考慮する必要が無い。
これに対して、本実施形態の空気圧縮機1のように、起動及び停止が頻繁に繰り返される回転機械では、バッチの相違を考慮しないと、図11に示されるように、同一行内に異なるバッチに属するデータが含まれることとなる。この場合、図11の位置1010でデータが不連続になるため、モデルパラメータを適切に学習できない。
図5に戻って、ステップS2050において、パラメータ計算部104bは、計算されたモデルパラメータ14(つまり式(5)のモデルパラメータθ)を、診断モデルの学習結果として、モデル情報DB105に保存する。
ステップS2060において、特徴量計算部106は、前回の診断を実行した時から予め設定された診断周期を経過しているか否かを判定する。診断周期が経過していれば(ステップS2060でYES)、処理はステップS2070に進められる。一方、診断周期が経過していなければ(ステップS2060でNO)、処理はステップS2000に戻る。なお、診断装置100の初回起動後であって、診断モデルの学習結果が保存されている場合には、処理は無条件にステップS2070に進められてもよい。
ステップS2070(特徴量計算工程の一例)において、特徴量計算部106は、データ前処理部102から入力される前処理運転データ16と、モデル情報DB105に保存されているモデル構築情報15及びモデルパラメータ14(つまり式(5)のモデルパラメータθ)とを用いて、現時点での計測信号に対するモデル特性評価を実行する。具体的には、特徴量計算部106は、時刻tにおける診断モデルの出力変数の予測値y(t)を、式(6)、(7)、(8)によって求める。
ここで、式(6)のベクトルZ(t)は、時刻tにおける自己回帰ベクトルを表す。式(7)のベクトルx(t−n)は、時刻t−nにおける入力変数のベクトルを表す。式(8)のベクトルの要素x(t−n)は、時刻t−nにおける入力変数mの値を表す。また、nは、時刻nから過去の時刻を参照するための引数であり、正の整数で与えられる。
特徴量計算部106は、その特性評価結果を基に、診断条件DB107に保存されている実行条件パラメータ18を用いて、診断用の指標である特徴量19を計算する。具体的には、特徴量計算部106は、上記式(6)、(7)、(8)によって求めた出力変数の予測値y(t)と、時刻tにおける出力変数の実測値との誤差(モデル予測誤差)と、実行条件パラメータ18とを基に、特徴量19を計算する。特徴量19を計算するときの実行条件パラメータ18は、例えば該モデルの学習時に使用した正常時のデータから求めた、出力変数の平均値および標準偏差などが含まれる。
特徴量計算部106は、出力変数の予測値y(t)と、時刻tにおける出力変数の実測値との誤差(モデル予測誤差)を特徴量19としてもよい。特徴量計算部106は、上記モデル予測誤差を用いて、別の特徴量19を計算してもよい。
ステップS2080(状態診断工程の一例)において、状態診断部108は、特徴量計算部106により計算された特徴量19と、診断条件DB107に保存された実行条件パラメータ18とを用いて、空気圧縮機1の運転状態を診断する。状態診断部108は、診断結果20をデータ出力I/F110に出力する。
特徴量19が例えば上記モデル予測誤差の場合には、実行条件パラメータ18は、閾値である。状態診断部108は、モデル予測誤差が閾値より大きい場合には、空気圧縮機1は異常であると診断する。状態診断部108は、モデル予測誤差が閾値以下の場合には、空気圧縮機1は正常であると診断する。
ステップS2090において、データ出力I/F110は、診断結果20を含む表示データ21を表示部120に適合する形式で生成する。データ出力I/F110は、生成した表示データ21を表示部120に出力する。表示部120は、入力された表示データ21を表示する。
ステップS2100において、特徴量計算部106は、特徴量19を出力ログDB109に保存する。状態診断部108は、診断結果20を出力ログDB109に保存する。
ステップS2110において、診断装置100は、動作を終了するか否かを判定する。終了する場合は(ステップS2110でYES)、図5の動作を終了する。一方、終了しない場合は(ステップS2110でNO)、処理はステップS2000に戻る。
ここで、本実施形態の診断装置100の診断モデルとしてVARモデルが適用される場合の具体例が説明される。この場合の診断モデルおよび学習行列は、以下のように説明される。
空気圧縮機1の計測信号10の計測値が前処理運転データ12に含まれる。このため、式(2)に示したベクトルxi,jを構成する信号の種類は、上述のように、空気圧縮機1への吸込み空気圧、空気圧縮機1からの吐出空気圧、空気圧縮機1に潤滑用油を供給するための給油フィルタの前後の差圧、空気圧縮機1から流出する使用済み潤滑用油の不純物を分離する分離フィルタの前後の差圧、給油温度、油回収器の出口温度、空気圧縮機1の主電動機の軸受温度、空気圧縮機1の主電動機の巻線温度、空気圧縮機1のケーシング振動の振幅、温度によって変動する空気圧縮機1のロータ軸の軸方向長さを含む10種類である。
すなわち、式(1)に示したベクトル候補Xi,jは、上記10種類の各信号からなるベクトルの、バッチiに属する時刻jからj+N−1までのN個の連続時系列データから構成され、最終的に学習行列Aを構成する。
同様に、学習行列Bにおいては、空気圧縮機1の計測信号10のうちから1項目が出力変数yとして選択され、学習行列Bを構成する。
また、このような学習行列A、Bを用いて式(5)によって求められたモデルパラメータθは、本実施形態においては以下の意味を有するものと解釈できる。すなわち、空気圧縮機1のある計測信号(診断モデルの出力変数)の将来の計測値を予測する際に用いられる、該計測信号を含む他の計測信号から任意に選んだ計測信号群(診断モデルの入力変数)の、過去のN時刻前までの計測値と、該出力変数との因果関係の強さを表す。例えば、診断モデルの出力変数として空気圧縮機1の吐出空気圧を選択し、診断モデルの入力変数として、空気圧縮機1の吐出空気圧および吸込空気圧を選択し、モデル次数Nを2とした場合に、式(6)は、以下の式(9)のように書き下される。
ここで、式(9)において、p out(t)は、吐出空気圧の時刻tにおける予測値である。pout(t−1)、pout(t−2)は、それぞれ、時刻tから1時刻前及び2時刻前の吐出空気圧の計測値である。pin(t−1)、pin(t−2)は、それぞれ、時刻tから1時刻前及び2時刻前の吸込み空気圧の計測値である。
モデルパラメータθ out、θ in、θ out、θ inは、それぞれ、4種類の信号pout(t−1)、pout(t−2)、pin(t−1)、pin(t−2)の過去の計測値に対する重み付け係数となっている。すなわち、モデルパラメータは、診断モデルの出力変数を予測するための、各入力変数の出力変数との因果関係の強さと言い換えることができる。
以上説明されたように、本実施形態によれば、診断装置100の学習方法によって、空気圧縮機1の計測信号から選んだ任意の計測信号を、該計測信号を含む計測信号群の過去の計測値を用いて、その因果関係を考慮した式(9)で示される線形演算によって予測する診断モデルが提供される。
(その他)
(1)上記実施形態では、診断装置100は、空気圧縮機1の運転状態を診断しているが、空気圧縮機に限られず、一般的な回転機械を診断対象としてもよい。
診断装置100は、例えば回転機械の一例であるガスタービンの運転状態を診断してもよい。この場合、計測信号として、燃料の流量、動翼の振動の振幅、燃焼器に送り込まれる燃焼用空気の圧力、燃焼器における燃焼ガスの温度、燃焼ガスの流量、タービン軸の軸受温度、発電電力などを含んでもよい。
また、診断装置100は、例えば回転機械の一例である蒸気タービンの運転状態を診断してもよい。この場合、計測信号として、蒸気流量、蒸気温度、蒸気圧力、ケーシング振動の振幅、タービン軸の軸受温度、発電電力などを含んでもよい。
(2)上記実施形態では、空気圧縮機1から入力される計測信号10は、空気圧縮機1への吸込み空気圧、空気圧縮機1からの吐出空気圧、空気圧縮機1に潤滑用油を供給するための給油フィルタの前後の差圧、空気圧縮機1から流出する使用済み潤滑用油の不純物を分離する分離フィルタの前後の差圧、給油温度、油回収器の出口温度、空気圧縮機1の主電動機の軸受温度、空気圧縮機1の主電動機の巻線温度、空気圧縮機1のケーシング振動の振幅、温度によって変動する空気圧縮機1のロータ軸の軸方向長さを含む10種類としている。しかし、計測信号10は、これら10種類を全て含まなくてもよい。計測信号10は、これらのうち少なくとも1つを含んでいればよい。
(3)上記実施形態において、空気圧縮機1の空気圧縮方式は、特定の方式に限られない。例えば、ピストン往復運動によりシリンダ容積を変化させ圧縮するレシプロ方式でもよく、ケーシング内のスクリュローター回転によって圧縮するスクリュ方式でもよく、インペラの遠心力によって圧縮するターボ方式でもよい。
(4)上記実施形態では、診断モデルとして、自己回帰(AR)モデル又はベクトル自己回帰(VAR)モデルの例を示したが、これに限られない。診断モデルとして、自己回帰移動平均(ARMA)モデル、外部入力付自己回帰(ARX)モデル、外部入力付自己回帰移動平均(ARMAX)モデル、自己回帰和分移動平均(ARIMA)モデルのいずれかを用いてもよい。
(5)上記実施形態において、ユーザは、入力部130を用いて、計測信号10として入力される10種類の信号のなかから、所望の信号を出力変数として選択してモデル構築条件15を生成し、生成したモデル構築条件15をモデル情報DB105に登録可能に構成してもよい。また、ユーザは、入力部130を用いて、計測信号10として入力される10種類の信号のなかから、所望の信号を入力変数として選択してモデル構築条件15を生成し、生成したモデル構築条件15をモデル情報DB105に登録可能に構成してもよい。この実施形態によれば、空気圧縮機1の機能、仕様、経時的な運転特性などの変化に対応して、モデル構築条件15を適宜調整することにより、診断モデルの精度を最適に維持することができる。
(6)上記実施形態において、ユーザは、入力部130を用いて、任意の実行条件パラメータ18を診断条件DB107に登録可能に構成してもよい。この実施形態によれば、空気圧縮機1の機能、仕様、経時的な運転特性などの変化に対応して、実行条件パラメータ18を適宜調整することにより、診断性能を最適に維持することができる。
(7)上記実施形態において、表示部120が音出力機能を備え、データ出力I/F110は、異常であることを示す診断結果20が状態診断部108から入力された場合には、その旨を表す警告音を表示部120から出力させてもよい。この実施形態によれば、異常であるとの診断結果をユーザが視覚的に加えて聴覚的に確認することができ、空気圧縮機1の異常に対して適切に対処することが可能となる。
(8)上記実施形態では、診断装置100は、運転DB103、モデル情報DB105、診断条件DB107、出力ログDB109を含んでいるが、これに限られない。例えば診断装置100の外部に記憶装置を設け、この記憶装置が運転DB103、モデル情報DB105、診断条件DB107、出力ログDB109を含むように構成してもよい。
(9)本発明においては、診断装置100内の処理は、上述の専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを診断装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを診断装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。
診断装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピーディスク、光磁気ディスク、CD−ROMなどの移設可能な記録媒体の他、診断装置100に内蔵されたハードディスクドライブ(HDD)などの記憶部を指す。さらに、診断装置100にて読取可能な記録媒体は、通信網を介してプログラムを送信する場合のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの(伝送媒体もしくは伝送波)、その場合のサーバとなる診断装置100内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含む。
1 空気圧縮機
102 データ前処理部
104 モデル学習部
104a 学習行列作成部
106 特徴量計算部
108 状態診断部

Claims (5)

  1. 回転機械の運転状態を診断する診断装置であって、
    時系列で前記回転機械を計測した計測値から、自己回帰診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習するための第1運転データを生成し、かつ、前記回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データを生成するデータ前処理部と、
    前記第1運転データを用いて、前記モデルパラメータを学習するモデル学習部と、
    前記第2運転データと、学習された前記モデルパラメータと、前記自己回帰診断モデルとを用いて、前記特徴量を計算する特徴量計算部と、
    前記特徴量に基づき、前記回転機械の運転状態を診断する状態診断部と、
    を備え、
    前記データ前処理部は、前記計測値が含まれる前記回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する前記第1運転データを生成し、
    前記モデル学習部は、前記バッチ情報を用いて前記計測値の時系列の連続性を確保しつつ、前記モデルパラメータを学習する、
    診断装置。
  2. 前記モデル学習部は、前記モデルパラメータを学習するための学習行列を作成する行列作成部を含み、
    前記行列作成部は、前記学習行列の同一行内には同一の前記バッチ内の前記計測値のみが含まれるように、前記学習行列を作成する、
    請求項1に記載の診断装置。
  3. 前記行列作成部は、複数の前記バッチ内の前記計測値が含まれるように、前記学習行列を作成する、
    請求項2に記載の診断装置。
  4. 前記回転機械は、空気圧縮機を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断装置。
  5. 回転機械の運転状態を診断する診断装置に用いられる診断方法であって、
    時系列で前記回転機械を計測した計測値から、自己回帰診断モデルの特性を規定するモデルパラメータを学習するための第1運転データを生成し、かつ、前記回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データを生成するデータ前処理工程と、
    前記第1運転データを用いて、前記モデルパラメータを学習するモデル学習工程と、
    前記第2運転データと、学習された前記モデルパラメータと、前記自己回帰診断モデルとを用いて、前記特徴量を計算する特徴量計算工程と、
    前記特徴量に基づき、前記回転機械の運転状態を診断する状態診断工程と、
    を備え、
    前記データ前処理工程では、前記計測値が含まれる前記回転機械の起動から停止までの作動期間をバッチとして特定するバッチ情報を有する前記第1運転データが生成され、
    前記モデル学習工程では、前記バッチ情報を用いて前記計測値の時系列の連続性を確保しつつ、前記モデルパラメータが学習される、
    診断方法。
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