以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による特性検出装置および制御装置を適用した燃料噴射システムを図1に示す。
燃料噴射システム1は、図示しない車両に搭載される。燃料噴射システム1は、車両に搭載された内燃機関としてのエンジン10に燃料としてのガソリンを噴射供給する。本実施形態では、エンジン10は、例えば直列4気筒のガソリンエンジンである。
図1に示すように、燃料噴射システム1は、燃料タンク2、燃料ポンプ3、配管4、高圧ポンプ5、配管6、デリバリパイプ20、燃料噴射弁30、特性検出装置100、制御装置101等を備えている。
燃料タンク2は、燃料としてのガソリンを貯留する。燃料ポンプ3は、燃料タンク2に設けられ、燃料タンク2内の燃料を吸入および吐出し、吐出した燃料を、配管4を経由して高圧ポンプ5に供給する。高圧ポンプ5は、例えばエンジン10のカムの回転により駆動し、燃料ポンプ3から供給された燃料を加圧し吐出する。高圧ポンプ5から吐出された燃料は、配管6を経由してデリバリパイプ20に供給される。
デリバリパイプ20は、例えば金属等により形成され、パイプ本体21、カップ22を有している。パイプ本体21は、所定の長さの筒状に形成され、両端部が塞がれている。カップ22は、カップ状に形成されている。カップ22は、パイプ本体21の長手方向に等間隔で並ぶよう4つ設けられている。カップ22は、例えばろう付けまたは溶接等によりパイプ本体21に接合している。カップ22の内側の空間とパイプ本体21の内部とは連通している。
デリバリパイプ20には、4つの燃料噴射弁30が接続される。4つの燃料噴射弁30は、エンジン10の各気筒に対応してエンジン10に設けられる。ここで、4つの燃料噴射弁30のそれぞれに31〜34の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
燃料噴射弁30は、先端に噴孔301を有している。燃料噴射弁30は、図示しないニードルを有している。ニードルは、燃料噴射弁30に駆動信号が入力されていない非通電時、閉弁しており、噴孔301を閉じている。一方、ニードルは、燃料噴射弁30に駆動信号が入力される通電時、開弁し、噴孔301を開く。このように、燃料噴射弁30は、ノーマリークローズタイプの弁装置である。
燃料噴射弁30は、噴孔301とは反対側の端部がカップ22に接続するようにしてデリバリパイプ20に接続される。燃料噴射弁31、32、33、34は、この順で並ぶようにしてカップ22に接続される。なお、燃料噴射弁30は、噴孔301とは反対側の端部近傍に、駆動信号入力用のコネクタ302を有している。
燃料噴射弁30は、噴孔301がエンジン10の燃焼室に露出するよう、デリバリパイプ20とともにエンジン10に設けられる。燃料噴射弁30は、開弁時、デリバリパイプ20内の燃料を噴孔301から燃焼室に噴射する。すなわち、エンジン10は、直噴式のエンジンである。
デリバリパイプ20のパイプ本体21の一方の端部には、配管6が接続されている。これにより、高圧ポンプ5から供給された燃料は、パイプ本体21に流入する。デリバリパイプ20は、高圧ポンプ5から供給された燃料を貯留する。これにより、燃料噴射弁30の閉弁時、デリバリパイプ20および燃料噴射弁30の内部は、比較的高圧に保たれる。また、燃料噴射弁30からは、比較的高圧の燃料が噴射される。
本実施形態では、カップ22の内側に、絞り部23が形成されている。絞り部23は、デリバリパイプ20の内部から燃料噴射弁30の噴孔301までの燃料の流路である燃料流路Frの燃料の流れを絞る。そのため、燃料噴射弁30から燃料が噴射されると、燃料流路Frのうち、絞り部23に対し噴孔301側の部位の圧力は降下するものの、絞り部23に対し噴孔301とは反対側の部位の圧力はほとんど降下しない。
特性検出装置100および制御装置101は、管部材40、50、第1圧力センサ60、第2圧力センサ69、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)70、電子駆動ユニット(以下、「EDU」という。)75等を備えている。
本実施形態では、管部材40は、4つ設けられている。ここで、4つの管部材40のそれぞれに41〜44の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。また、管部材50は、4つ設けられている。ここで、4つの管部材50のそれぞれに51〜54の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
管部材40は、例えば金属等により管状に形成されている。管部材40は、一方の端部が燃料噴射弁30の噴孔301とは反対側の端部近傍に接続される。より詳しくは、管部材40は、一方の端部が燃料噴射弁30のコネクタ302とは反対側に接続される。これにより、管部材40の内部は、燃料噴射弁30の内部に連通可能である。なお、管部材40は、一方の端部が、燃料流路Frのうち、絞り部23に対し噴孔301側の部位に接続される。管部材41、42、43、44の一方の端部は、それぞれ、燃料噴射弁31、32、33、34に接続される(図1参照)。
なお、本実施形態では、燃料噴射弁30がエンジン10に設けられた状態において、管部材40の一方の端部、および、燃料噴射弁30のコネクタ302は、エンジン10の外部に露出している。
本実施形態では、各管部材40(41〜44)は、一方の端部から他方の端部までの長さが同じである。
管部材50は、例えば金属等により管状に形成されている。管部材50は、一方の端部が管部材40に接続されている。より詳しくは、管部材50は、一方の端部が管部材40の一方の端部と他方の端部との間に接続されている。これにより、管部材50の内部は、管部材40の内部に連通し、燃料噴射弁30の内部に連通可能である。管部材51、52、53、54の一方の端部は、それぞれ、管部材41、42、43、44に接続されている(図1参照)。
本実施形態では、各管部材50(51〜54)は、一方の端部から他方の端部までの長さが同じである。
ここで、管部材40(41〜44)は、特許請求の範囲における「第1管部材」に対応している。また、管部材50(51〜54)は、特許請求の範囲における「第2管部材」に対応している。
本実施形態は、第1圧力センサ60を4つ備えている。ここで、4つの第1圧力センサ60のそれぞれに61〜64の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
図1、2に示すように、第1圧力センサ61には、管部材41、42の他方の端部が接続されている。第1圧力センサ61は、接続する2つの管部材40(41、42)間において内部が隔離されている。すなわち、第1圧力センサ61は、内部が2つに隔離されている。そのため、各管部材40(41、42)間は連通しておらず、燃料が各管部材40間を流通することはない。なお、特性検出装置100の使用時、各管部材40の内部は、燃料で満たされている。
第1圧力センサ61は、入力部600、出力部650を有している。本実施形態では、入力部600は、2つ設けられている。ここで、2つの入力部600のそれぞれに601、602の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。入力部601、602は、それぞれ、第1圧力センサ61の2つに隔離された部位に設けられている。入力部601、602のそれぞれには、管部材41、42の他方の端部が接続されている。そのため、入力部601、602のそれぞれには、管部材41、42を経由して、燃料噴射弁31、32の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
第1圧力センサ63には、管部材43、44の他方の端部が接続されている。第1圧力センサ63は、接続する2つの管部材40(43、44)間において内部が隔離されている。すなわち、第1圧力センサ63は、第1圧力センサ61と同様、内部が2つに隔離されている。
第1圧力センサ63は、第1圧力センサ61と同様、2つの入力部600(601、602)、出力部650を有している。入力部601、602は、それぞれ、第1圧力センサ63の2つに隔離された部位に設けられている。第1圧力センサ63の入力部601、602のそれぞれには、管部材43、44の他方の端部が接続される。そのため、入力部601、602のそれぞれには、管部材43、44を経由して、燃料噴射弁33、34の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
第1圧力センサ64には、管部材51、54の他方の端部が接続されている。第1圧力センサ64は、接続する2つの管部材50(51、54)間において内部が隔離されている。すなわち、第1圧力センサ64は、第1圧力センサ61と同様、内部が2つに隔離されている。
第1圧力センサ64は、第1圧力センサ61と同様、2つの入力部600(601、602)、出力部650を有している。入力部601、602は、それぞれ、第1圧力センサ64の2つに隔離された部位に設けられている。第1圧力センサ64の入力部601、602のそれぞれには、管部材51、54の他方の端部が接続される。そのため、入力部601、602のそれぞれには、管部材41、44、51、54を経由して、燃料噴射弁31、34の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
第1圧力センサ62には、管部材52、53の他方の端部が接続されている。第1圧力センサ62は、接続する2つの管部材50(52、53)間において内部が隔離されている。すなわち、第1圧力センサ62は、第1圧力センサ61と同様、内部が2つに隔離されている。
第1圧力センサ62は、第1圧力センサ61と同様、2つの入力部600(601、602)、出力部650を有している。入力部601、602は、それぞれ、第1圧力センサ62の2つに隔離された部位に設けられている。第1圧力センサ62の入力部601、602のそれぞれには、管部材52、53の他方の端部が接続される。そのため、入力部601、602のそれぞれには、管部材42、43、52、53を経由して、燃料噴射弁32、33の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
このように、本実施形態は、第1圧力センサ60を4つ備え、1つの第1圧力センサ60に対し2つの管部材40または管部材50の他方の端部が接続している。
第1圧力センサ61〜64の出力部650は、それぞれ、後述するECU70に電気的に接続されている。出力部650は、入力部601、602のそれぞれに入力された圧力の差圧(ΔP)に対応する信号をECU70に出力する。
具体的には、入力部601、602のそれぞれに入力された圧力をP1、P2とすると、差圧(ΔP)は、下記式1に示すとおりとなる。
ΔP=P1−P2 ・・・式1
このように、本実施形態では、第1圧力センサ60は、所謂差圧センサであり、管部材40の一方の端部に対応する2つの燃料噴射弁30間の噴射弁内圧力の差圧に対応する信号を出力可能である。なお、本実施形態では、第1圧力センサ60の検出可能な圧力の範囲は、例えば0〜1MPaである。
また、第1圧力センサ60の出力部650は、2つの圧力の入力のうち1つの圧力の変化を残りの入力と比較した結果に対応する信号を出力する。
第1圧力センサ60は、より具体的には、内部を2つに隔離する隔離壁に、隔離壁の歪みを検出する素子が設けられている。当該素子は、検出した隔離壁の歪みに対応する信号を、上記差圧に対応する信号として出力部650から出力する。
第1圧力センサ60の出力部650からの信号の出力特性を実線で図3に示す。図3に示すように、第1圧力センサ60の出力部650からの信号の出力特性は、正圧側と負圧側とで点対称である。具体的には、出力部650からの信号の出力特性は、差圧(ΔP)の0と出力P(n)の基準値との交点を中心として点対称となる。そのため、例えば、第1圧力センサ60の入力部601に入力される圧力と入力部602に入力される圧力との差圧(ΔP)が0のとき、出力部650からは、基準値に対応する信号が出力される。また、差圧(ΔP)が負圧側のとき、すなわち、入力部601に入力される圧力よりも入力部602に入力される圧力の方が大きいとき、出力部650からは、基準値よりも小さい値に対応する信号が出力される。一方、差圧(ΔP)が正圧側のとき、すなわち、入力部601に入力される圧力よりも入力部602に入力される圧力の方が小さいとき、出力部650からは、基準値よりも大きい値に対応する信号が出力される。
第2圧力センサ69は、デリバリパイプ20のパイプ本体21に設けられている。第2圧力センサ69は、ECU70に電気的に接続されている。第2圧力センサ69は、パイプ本体21の内部の圧力であるパイプ内圧力に対応する信号をECU70に出力する。なお、第2圧力センサ69は、パイプ内圧力の絶対値に対応する信号をECU70に出力する。また、本実施形態では、第2圧力センサ69の検出可能な圧力の範囲は、例えば0〜100MPaである。
本実施形態では、第1圧力センサ60および第2圧力センサ69は、応答特性が20kHz以上である。
ECU70は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM、EEPROM、入出力手段としてのI/O等を有する小型のコンピュータである。ECU70は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号等の情報に基づき、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、車両の各種装置および機器の作動を制御する。
ECU70は、概念的な機能部として、特性検出部71、オフセット補正部72、制御部73、異常判定部701、出力補正部702を有している。
車両には、クランク角センサ11、スロットルポジションセンサ12、アクセル開度センサ13、圧力センサ14、水温センサ15等の各種センサが設けられている。
クランク角センサ11は、エンジン10のクランクシャフトの回転位置に対応する信号をECU70に出力する。これにより、ECU70は、クランクシャフトの回転位置を検出し、エンジン10の回転数や回転速度等を求めることができる。
スロットルポジションセンサ12は、図示しない吸気通路に設けられたスロットルバルブの回転位置に対応する信号をECU70に出力する。これにより、ECU70は、スロットルバルブの開度を検出することができる。
アクセル開度センサ13は、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダルの開度に対応する信号をECU70に出力する。これにより、ECU70は、アクセルペダルの開度を検出することができる。
圧力センサ14は、吸気通路に設けられ、吸気通路内の圧力に対応する信号をECU70に出力する。これにより、ECU70は、吸気通路を流れる吸気の圧力、すなわち、吸気圧を検出することができる。
水温センサ15は、エンジン10の冷却水の温度に対応する信号をECU70に出力する。これにより、ECU70は、冷却水およびエンジン10の温度を検出することができる。
ECU70の制御部73は、クランク角センサ11、スロットルポジションセンサ12、アクセル開度センサ13、圧力センサ14、水温センサ15等の各種センサからの信号等の情報に基づき、必要な燃料噴射量を演算し、燃料噴射弁30からの燃料の噴射タイミングおよび噴射時間等に関する指令信号をEDU75に出力する。
EDU75は、ECU70および各燃料噴射弁30のコネクタ302に電気的に接続している。EDU75は、ECU70からの指令信号に基づき駆動信号を生成し、当該駆動信号を燃料噴射弁30に出力する。燃料噴射弁30に駆動信号が入力されると、燃料噴射弁30が開弁し、噴孔301から燃料が噴射される。
上述したECU70およびEDU75の作動により、運転者の意思およびエンジン10の運転状況に応じて燃料噴射弁30から燃料が噴射され、エンジン10の運転が継続する。
なお、本実施形態では、ECU70の制御部73は、噴射タイミングが重ならないよう、燃料噴射弁31、33、34、32の順で燃料が噴射されるよう燃料噴射弁30を制御する。そのため、燃料噴射弁30は、複数が同時に燃料を噴射することがない。なお、一般に、内燃機関の運転時、複数の気筒それぞれに設けられた燃料噴射弁が同時に燃料を噴射することはない。
ところで、燃料噴射弁30は、経年等によりニードル等の部材が摩耗したり噴孔301にデポジットが堆積したりすると、以前と同じ駆動信号を入力しても以前とは異なった作動をしたり噴射される燃料の量が変化したりする場合がある。この場合、燃料噴射弁30の使用開始直後と比べ、燃料噴射弁30からの燃料の噴射タイミングや燃料噴射量が変化し、エンジン10の運転を高精度に制御できなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、特性検出部71は、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射に関する特性である燃料噴射特性を検出する。具体的には、特性検出部71は、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号と、第2圧力センサ69が出力したパイプ内圧力に対応する信号と、に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出する。
より詳細には、特性検出部71は、例えば、燃料噴射弁31に駆動信号が入力され、燃料噴射弁31から燃料が噴射され、第1圧力センサ61および第1圧力センサ64の入力部601に入力される圧力が降下し始めたとき、第1圧力センサ61、64からの信号に基づき、燃料噴射弁31の噴射開始タイミングを検出することができる。
また、特性検出部71は、第2圧力センサ69からの信号に基づく圧力(絶対値P)と、第1圧力センサ60からの信号に基づく圧力(差圧ΔP)との差分(P−ΔP)から、各燃料噴射弁30の噴射弁内圧力(絶対値)を検出することができる。
また、特性検出部71は、例えば、燃料噴射弁31に対する駆動信号の入力が停止し、燃料噴射弁31からの燃料の噴射が停止し、第1圧力センサ61および第1圧力センサ64の入力部601に入力される圧力が噴射開始前に戻ったとき、第1圧力センサ61、64からの信号に基づき、燃料噴射弁31の噴射停止タイミングを検出することができる。
また、特性検出部71は、燃料噴射弁30の噴射開始タイミングおよび噴射停止タイミングから噴射時間を検出し、駆動信号に対する燃料噴射量を検出することができる。
オフセット補正部72は、エンジン10および高圧ポンプ5が作動しデリバリパイプ20内の圧力が所定の圧力以上になっており、かつ、いずれの燃料噴射弁30からも燃料が噴射されていないとき、このときの第1圧力センサ60(61〜64)からの信号の出力が基準値となるよう、第1圧力センサ60からの信号の出力をオフセット補正する。
制御部73は、特性検出部71により検出した燃料噴射弁30の燃料噴射特性に基づき、燃料噴射弁30の作動を制御する。具体的には、制御部73は、検出した燃料噴射弁30の噴射開始タイミング、噴射弁内圧力、噴射停止タイミング、燃料噴射量等の燃料噴射特性に基づき、EDU75に対し出力する指令信号を調整し、各燃料噴射弁30に入力する駆動信号を調整する。そのため、経年等により、燃料噴射弁30の使用開始直後と比べ、駆動信号に対する燃料噴射弁30からの燃料の噴射タイミングや燃料噴射量等の燃料噴射特性が変化したとしても、燃料噴射弁30の使用開始直後と同様、エンジン10の運転を高精度に制御することができる。
ところで、第1圧力センサ60は、経年等により、想定外の異常な信号を出力部650から出力するようになるおそれがある。第1圧力センサ60に、異常な信号を出力する異常または故障が生じると、特性検出部71による燃料噴射弁30の燃料噴射特性の検出精度が低下し、エンジン10の運転を高精度に制御できなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、異常判定部701は、複数の第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、第1圧力センサ60(61〜64)の異常の有無を判定可能である。また、出力補正部702は、複数の第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、異常判定部701により異常であると判定された第1圧力センサ60からの信号の出力を補正する。そして、特性検出部71は、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号、および、出力補正部702により補正された信号に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出する。そのため、複数の第1圧力センサ60のいずれかに異常が生じた場合でも、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を高精度に検出することができる。
以下、ECU70による第1圧力センサ60の異常判定処理および出力補正処理について、図4に基づき説明する。ここで、簡単のため、燃料噴射弁31、32、33、34を、それぞれ、適宜、INJ1、2、3、4とよぶ。また、第1圧力センサ61、62、63、64を、それぞれ、適宜、センサA、B、C、Dとよぶ。
また、INJ1の燃料噴射時にセンサA、Dが検出した圧力変化を、それぞれ、ΔP1A、ΔP1Dとよぶ。また、INJ3の燃料噴射時にセンサB、Cが検出した圧力変化を、それぞれ、ΔP3B、ΔP3Cとよぶ。また、INJ4の燃料噴射時にセンサC、Dが検出した圧力変化を、それぞれ、ΔP4C、ΔP4Dとよぶ。また、INJ2の燃料噴射時にセンサA、Bが検出した圧力変化を、それぞれ、ΔP2A、ΔP2Bとよぶ。
また、燃料噴射弁30に入力される駆動信号がオンになってから、センサA、B、C、Dから出力される信号が立ち下がったときまでの時間である噴射開始タイミングを、それぞれ、TvA_down、TvB_down、TvC_down、TvD_downとよぶ。また、燃料噴射弁30に入力される駆動信号がオンになってから、センサA、B、C、Dから出力される信号が立ち上がったときまでの時間である噴射開始タイミングを、それぞれ、TvA_up、TvB_up、TvC_up、TvD_upとよぶ。
図4に示す一連の処理S100は、例えばイグニッションキーがオンになると開始される。
S101では、ECU70は、INJ1から燃料を噴射したときのセンサA、センサBが検出した圧力変化(ΔP1A、ΔP1D)、および、噴射開始タイミング(TvA_down、TvD_down)を計測し、EEPROM等に記録し、比較する。その後、処理は、S102へ移行する。
S102では、ECU70は、S101で比較したΔP1AとΔP1Dとの間、および、TvA_downとTvD_downとの間に閾値を超える相違があったか否かを判断する。閾値を超える相違があった場合(S102:YES)、処理はS103へ移行する。一方、閾値を超える相違はなかった場合(S102:NO)、処理は一連の処理S100を抜ける。
S103では、ECU70は、EEPROM等に記録してある過去の計測記録値に基づき、ΔP1AとΔP2Aとを比較し、TvA_downとTvA_upとを比較する。その後、処理はS104へ移行する。
S104では、ECU70は、INJ1の燃料噴射特性とINJ2の燃料噴射特性とを比較する。その後、処理はS105へ移行する。
S105では、ECU70は、S104で比較した結果を考慮しつつ、S103で比較した結果に異常な相違があったか否かを判断する。異常な相違があった場合(S105:YES)、処理はS106へ移行する。一方、異常な相違はなかった場合(S105:NO)、処理はS107へ移行する。
S106では、ECU70は、センサA、すなわち、第1圧力センサ61に異常が生じていると判定し、第1圧力センサ61の出力を、正常時と同様になるよう補正する。その後、処理は一連の処理S100を抜ける。
S107では、ECU70は、EEPROM等に記録してある過去の計測記録値に基づき、ΔP1DとΔP4Dとを比較し、TvD_downとTvD_upとを比較する。その後、処理はS108へ移行する。
S108では、ECU70は、INJ1の燃料噴射特性とINJ4の燃料噴射特性とを比較する。その後、処理はS109へ移行する。
S109では、ECU70は、S108で比較した結果を考慮しつつ、S107で比較した結果に異常な相違があったか否かを判断する。異常な相違があった場合(S109:YES)、処理はS110へ移行する。一方、異常な相違はなかった場合(S109:NO)、処理はS111へ移行する。
S110では、ECU70は、センサD、すなわち、第1圧力センサ64に異常が生じていると判定し、第1圧力センサ64の出力を、正常時と同様になるよう補正する。その後、処理は一連の処理S100を抜ける。
S111では、ECU70は、センサB、Cも併せて第1圧力センサ60相互のフォルトチェックを実施する。その後、処理は、S112へ移行する。
S112では、ECU70は、S111でのフォルトチェックにより異常が認められた第1圧力センサ60の出力を、正常時と同様になるよう補正する。その後、処理は、一連の処理S100を抜ける。
S102、S106、S110、S112の後、処理が一連の処理S100を抜けたとき、イグニッションキーがオンの場合、ECU70は、一連の処理S100を再開する。すなわち、一連の処理S100は、イグニッションキーがオンの間、繰り返し実行される処理である。
ECU70は、S102〜S111において異常判定部701として機能し、S106、S110、S112において出力補正部702として機能する。
ECU70は、INJ3、INJ4、INJ2から燃料噴射したとき、上記一連の処理S100と同様の処理を実行する。これにより、各第1圧力センサ60の異常の有無を判定し、異常の生じた第1圧力センサ60からの信号の出力を補正することができる。
次に、本実施形態による特性検出装置100の作動例を図5に基づき説明する。ここで、第1圧力センサ61、62、63、64からの信号の出力を、それぞれ、出力A、B、C、Dとする。
時刻t1で燃料噴射弁31に入力される駆動信号がONになると、時刻t2で燃料噴射弁31が開弁し、燃料噴射弁31の噴孔301からの燃料の噴射が開始される。これにより、時刻t2以降、出力A、Dは、それぞれ、基準値より小さくなる。
時刻t3で燃料噴射弁31に入力される駆動信号がOFFになると、時刻t4で燃料噴射弁31が閉弁し、燃料噴射弁31の噴孔301からの燃料の噴射が停止する。これにより、時刻t4で、出力A、Dは、それぞれ、基準値に戻る。
ここで、時刻t2〜t4における出力Aの最小値と基準値との差分(ΔP1A)は、燃料噴射弁31から燃料を噴射したときの燃料噴射弁31の噴射弁内圧力(第1圧力センサ61の入力部601に入力される圧力)と燃料噴射弁32の噴射弁内圧力(第1圧力センサ61の入力部602に入力される圧力)との差圧(ΔP)に対応している。
また、時刻t2〜t4における出力Dの最小値と基準値との差分(ΔP1D)は、燃料噴射弁31から燃料を噴射したときの燃料噴射弁31の噴射弁内圧力(第1圧力センサ64の入力部601に入力される圧力)と燃料噴射弁34の噴射弁内圧力(第1圧力センサ64の入力部602に入力される圧力)との差圧(ΔP)に対応している。
本実施形態では、ECU70は、例えば時刻t4以降に、上述の一連の処理S100により第1圧力センサ60の異常判定処理および出力補正処理を行う。具体的には、ECU70は、S101において、センサA、Dが検出した圧力変化であるΔP1A、ΔP1D、および、時刻t1から時刻t2までの時間であるTvA_down、TvD_downを計測し、EEPROM等に記録し、比較する。その後、S102〜S112の処理を適宜実行し、各第1圧力センサ60に異常があった場合は、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正する。
そして、特性検出部71は、時刻t1から時刻t2までの時間(TvA_down、TvD_down:補正された場合は補正後の値)に基づき、燃料噴射弁31の噴射開始タイミングを検出する。また、特性検出部71は、時刻t2から時刻t4までの時間に基づき、燃料噴射弁31の噴射停止タイミングを検出する。また、特性検出部71は、燃料噴射弁31の噴射開始タイミングおよび噴射停止タイミングから噴射時間を検出し、センサA、Dが検出した圧力変化(ΔP1A、ΔP1D:補正された場合は補正後の値)に基づき、駆動信号に対する燃料噴射量を検出する。
時刻t5で燃料噴射弁33に入力される駆動信号がONになると、時刻t6で燃料噴射弁33が開弁し、燃料噴射弁33の噴孔301からの燃料の噴射が開始される。これにより、時刻t6以降、出力Bは基準値より大きくなり、出力Cは基準値より小さくなる。
時刻t7で燃料噴射弁33に入力される駆動信号がOFFになると、時刻t8で燃料噴射弁33が閉弁し、燃料噴射弁33の噴孔301からの燃料の噴射が停止する。これにより、時刻t8で、出力B、Cは、基準値に戻る。
ECU70は、例えば時刻t8以降に、上述の一連の処理S100と同様の処理により第1圧力センサ60の異常判定処理および出力補正処理を行う。具体的には、ECU70は、S101と同様の処理において、センサB、Cが検出した圧力変化であるΔP3B、ΔP3C、および、時刻t5から時刻t6までの時間であるTvB_up、TvC_downを計測し、EEPROM等に記録し、比較する。その後、S102〜S112と同様の処理を適宜実行し、各第1圧力センサ60に異常があった場合は、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正する。
そして、特性検出部71は、時刻t5から時刻t6までの時間(TvB_up、TvC_down:補正された場合は補正後の値)に基づき、燃料噴射弁33の噴射開始タイミングを検出する。また、特性検出部71は、時刻t6から時刻t8までの時間に基づき、燃料噴射弁33の噴射停止タイミングを検出する。また、特性検出部71は、燃料噴射弁33の噴射開始タイミングおよび噴射停止タイミングから噴射時間を検出し、センサB、Cが検出した圧力変化(ΔP3B、ΔP3C:補正された場合は補正後の値)に基づき、駆動信号に対する燃料噴射量を検出する。
時刻t9で燃料噴射弁34に入力される駆動信号がONになると、時刻t10で燃料噴射弁34が開弁し、燃料噴射弁34の噴孔301からの燃料の噴射が開始される。これにより、時刻t10以降、出力C、Dは基準値より大きくなる。
時刻t11で燃料噴射弁34に入力される駆動信号がOFFになると、時刻t12で燃料噴射弁34が閉弁し、燃料噴射弁34の噴孔301からの燃料の噴射が停止する。これにより、時刻t12で、出力C、Dは、基準値に戻る。
ECU70は、例えば時刻t12以降に、上述の一連の処理S100と同様の処理により第1圧力センサ60の異常判定処理および出力補正処理を行う。具体的には、ECU70は、S101と同様の処理において、センサC、Dが検出した圧力変化であるΔP4C、ΔP4D、および、時刻t9から時刻t10までの時間であるTvC_up、TvD_upを計測し、EEPROM等に記録し、比較する。その後、S102〜S112と同様の処理を適宜実行し、各第1圧力センサ60に異常があった場合は、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正する。
そして、特性検出部71は、時刻t9から時刻t10までの時間(TvC_up、TvD_up:補正された場合は補正後の値)に基づき、燃料噴射弁34の噴射開始タイミングを検出する。また、特性検出部71は、時刻t10から時刻t12までの時間に基づき、燃料噴射弁34の噴射停止タイミングを検出する。また、特性検出部71は、燃料噴射弁34の噴射開始タイミングおよび噴射停止タイミングから噴射時間を検出し、センサC、Dが検出した圧力変化(ΔP4C、ΔP4D:補正された場合は補正後の値)に基づき、駆動信号に対する燃料噴射量を検出する。
時刻t13で燃料噴射弁32に入力される駆動信号がONになると、時刻t14で燃料噴射弁32が開弁し、燃料噴射弁32の噴孔301からの燃料の噴射が開始される。これにより、時刻t14以降、出力Aは基準値より大きくなり、出力Bは基準値より小さくなる。
時刻t15で燃料噴射弁32に入力される駆動信号がOFFになると、時刻t16で燃料噴射弁32が閉弁し、燃料噴射弁32の噴孔301からの燃料の噴射が停止する。これにより、時刻t16で、出力A、Bは、基準値に戻る。
ECU70は、例えば時刻t16以降に、上述の一連の処理S100と同様の処理により第1圧力センサ60の異常判定処理および出力補正処理を行う。具体的には、ECU70は、S101と同様の処理において、センサA、Bが検出した圧力変化であるΔP2A、ΔP2B、および、時刻t13から時刻t14までの時間であるTvA_up、TvB_downを計測し、EEPROM等に記録し、比較する。その後、S102〜S112と同様の処理を適宜実行し、各第1圧力センサ60に異常があった場合は、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正する。
そして、特性検出部71は、時刻t13から時刻t14までの時間(TvA_up、TvB_down:補正された場合は補正後の値)に基づき、燃料噴射弁32の噴射開始タイミングを検出する。また、特性検出部71は、時刻t14から時刻t16までの時間に基づき、燃料噴射弁32の噴射停止タイミングを検出する。また、特性検出部71は、燃料噴射弁32の噴射開始タイミングおよび噴射停止タイミングから噴射時間を検出し、センサA,Bが検出した圧力変化(ΔP2A、ΔP2B:補正された場合は補正後の値)に基づき、駆動信号に対する燃料噴射量を検出する。
このように、ECU70は、第1圧力センサ60に異常があった場合はその出力を補正した上で、特性検出部71により燃料噴射弁30の噴射開始タイミング、噴射停止タイミング、燃料噴射量等の燃料噴射特性を検出する。
次に、本実施形態の出力補正部702により補正可能な第1圧力センサ60の出力について、図6に基づき説明する。
第1圧力センサ60からの信号の出力特性は、経年等により、ゲインが変化することがある。図6に示すように、経年等により、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が、差圧0に対し正圧側と負圧側とで異なる割合でゲイン変化した場合(破線参照)、すなわち、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が正圧側と負圧側とで点対称でなくなった場合、差圧P(a)での出力誤差が正圧側と負圧側で異なったものとなる。この場合、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を高精度に検出できなくなるおそれがある。
本実施形態の特性検出装置100では、1つの燃料噴射弁30に対し2つの第1圧力センサ60の負圧側の入力部601、正圧側の入力部602がそれぞれ対応するよう設けられているため、燃料噴射弁30からの燃料噴射時、2つの第1圧力センサ60の負圧側または正圧側の圧力変化を同時に検出することができる(図5参照)。そのため、図6に示すように、経年等により正圧側と負圧側とでゲイン変化率が異なる異常な出力特性(破線)になったとしても、上述の一連の処理S100により、異常な出力特性(破線)が正常な出力特性(実線)となるよう第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
なお、図6に一点鎖線で示すように、経年等により、第1圧力センサ60の出力特性が負圧側から正圧側にかけて一律に変化した場合は、上述のオフセット補正部72により第1圧力センサ60からの信号の出力をオフセット補正する。
以上説明したように、(1)本発明は、デリバリパイプ20内の燃料を噴孔301からエンジン10に噴射する複数の燃料噴射弁30の燃料噴射に関する特性である燃料噴射特性を検出する特性検出装置100であって、管部材40、50と第1圧力センサ60と特性検出部71と異常判定部701と出力補正部702とを備えている。
管部材40は、一方の端部が燃料噴射弁30の内部に連通可能に設けられる。管部材40は、複数設けられている。
第1圧力センサ60は、1つに対し2つの管部材40または管部材50の他方の端部が接続するよう設けられ、管部材40、50の内部の圧力を検出することで、対応する燃料噴射弁30の内部の圧力である噴射弁内圧力に対応した信号を出力可能である。第1圧力センサ60は、複数設けられている。
特性検出部71は、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出する。
異常判定部701は、複数の第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、第1圧力センサ60の異常の有無を判定可能である。
出力補正部702は、複数の第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、異常判定部701により異常であると判定された第1圧力センサ60からの信号の出力を補正する。
このように、本実施形態では、異常判定部701により第1圧力センサ60の異常の有無を判定し、異常であると判定した第1圧力センサ60からの信号の出力については出力補正部702により補正した上で、特性検出部71により燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出する。そのため、第1圧力センサ60に異常が生じたとしても、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を高精度に検出することができる。その結果、検出した燃料噴射特性に基づき、燃料噴射弁30の作動を高精度に制御することができる。
また、本実施形態では、第1圧力センサ60は、1つに対し2つの管部材40または管部材50の他方の端部が接続するよう設けられる。そのため、一方の端部が複数の燃料噴射弁30それぞれに対応するよう管部材40または管部材50を設け、各管部材40または管部材50の他方の端部に第1圧力センサ60を設けることとした場合、上記従来技術のように圧力センサを各燃料噴射弁それぞれに設ける場合と比べ、構成を簡単にすることができる。これにより、製造コストを低減することができる。
また、(2)本実施形態では、管部材40の一方の端部は、デリバリパイプ20の内部から燃料噴射弁30の噴孔301までの燃料の流路である燃料流路Frのうち、噴孔301から燃料を噴射したときに圧力が降下する部位に接続している。そのため、第1圧力センサ60により、噴射弁内圧力を精度よく検出することができる。
また、(3)本実施形態では、管部材40の一方の端部は、燃料流路Frのうち、燃料流路Frの燃料の流れを絞る絞り部23に対し噴孔301側の部位に接続している。つまり、管部材40の一方の端部は、燃料流路Frのうち、噴孔301から燃料を噴射したときに圧力が降下する部位に接続している。そのため、第1圧力センサ60により、噴射弁内圧力を精度よく検出することができる。
また、(4)本実施形態では、デリバリパイプ20は、燃料噴射弁30の噴孔301とは反対側の端部に接続するカップ22を有している。絞り部23は、カップ22に形成されている。
また、(5)本実施形態では、デリバリパイプ20の内部の圧力であるパイプ内圧力に対応する信号を出力可能な第2圧力センサ69をさらに備えている。
特性検出部71は、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号と、第2圧力センサ69が出力したパイプ内圧力に対応する信号と、に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出する。
また、(6)本実施形態では、1つの第1圧力センサ60は、複数の管部材40または管部材50それぞれを経由して接続する2つの燃料噴射弁30間の噴射弁内圧力の差圧に対応する信号を出力可能である
このように、本実施形態では、デリバリパイプ20内の圧力を検出可能な第2圧力センサ69を備えることにより、第1圧力センサ60を差圧センサとすることができる。この場合、第1圧力センサ60では圧力の絶対値を検出する必要がないため、第1圧力センサ60として、圧力の検出可能範囲が狭いものを用いることができる。これにより、製造コストを低減することができる。また、第1圧力センサ60として差圧センサを用いることにより、噴射弁内圧力の測定レンジを拡大することができる。これにより、噴射弁内圧力の検出精度を向上することができる。
また、(7)本実施形態では、第1圧力センサ60からの信号の出力特性は、正圧側と負圧側とで点対称である。そのため、オフセット補正部72によるオフセット補正等、第1圧力センサ60からの信号の出力の補正が容易である。これにより、燃料噴射特性の検出精度を向上することができ、制御部73により燃料噴射弁30を高精度に制御することができる。
また、(9)本実施形態では、1つの第1圧力センサ60は、接続する2つの管部材40または管部材50間において内部が隔離されている。具体的には、第1圧力センサ60は、2つの管部材40または管部材50間において内部が2つに隔離されている。そのため、各管部材40間(管部材41と管部材42との間、管部材43と管部材44との間)および各管部材50間(管部材51と管部材54との間、管部材52と管部材53との間)は連通しておらず、燃料が各管部材40または各管部材50間を流通することはない。これにより、燃料噴射弁30からの燃料噴射時の圧力脈動が別の燃料噴射弁30側に伝達するのを抑制することができる。したがって、第1圧力センサ60による圧力の検出精度を向上することができる。
また、燃料が各管部材40または各管部材50間を流通することはないため、燃料噴射弁30から燃料が噴射されるとき以外、各管部材40および各管部材50内の圧力は、略同じに保たれる。そのため、管部材40および管部材50内の圧力が比較的高圧になると想定される場合でも、第1圧力センサ60として、圧力の検出可能範囲が狭いものを用いることができる。これにより、製造コストを低減することができる。
また、(10)本実施形態では、同一の第1圧力センサ60に接続している2つの管部材40または管部材50は、一方の端部から他方の端部までの長さが同じである。そのため、各入力部600に伝達する圧力脈動の位相差を低減することができる。これにより、第1圧力センサ60による圧力の検出精度を向上することができる。
また、(12)本実施形態は、エンジン10が作動しているときに第1圧力センサ60からの信号の出力をオフセット補正するオフセット補正部72をさらに備えている。具体的には、オフセット補正部72は、エンジン10および高圧ポンプ5が作動しデリバリパイプ20内の圧力が所定の圧力以上になっており、かつ、いずれの燃料噴射弁30からも燃料が噴射されていないとき、このときの第1圧力センサ60からの信号の出力が基準値となるよう、第1圧力センサ60からの信号の出力をオフセット補正する。そのため、デリバリパイプ20内の圧力が変化しても、第1圧力センサ60により圧力を高精度に検出することができる。
また、(13)本実施形態では、第1圧力センサ60は、応答特性が20kHz以上である。そのため、第1圧力センサ60は、圧力を高精度に検出することができ、噴射時間が短い燃料噴射弁30の燃料噴射に係る圧力変化を検出するのに好適である。
また、(14)本実施形態では、燃料噴射弁30は、複数が同時に燃料を噴射することがない。そのため、1つの第1圧力センサ60により複数の燃料噴射弁30内の圧力を検出することができ、第1圧力センサ60を差圧センサとすることができる。
また、(16)本実施形態では、管部材(40、50)は、一方の端部が燃料噴射弁30に接続し他方の端部が第1圧力センサ60に接続する第1管部材としての管部材40、および、一方の端部が管部材40(第1管部材)に接続し他方の端部が第1圧力センサ60に接続する第2管部材としての管部材50を含む。管部材として管部材40および管部材50を用いることで、上述した第1実施形態の構成を実現することができる。
また、(17)本実施形態による制御装置101は、上述の特性検出装置100と制御部73とを備えている。制御部73は、特性検出装置100により検出した燃料噴射弁30の燃料噴射特性に基づき、燃料噴射弁30の作動を制御する。そのため、経年等により、燃料噴射弁30の使用開始直後と比べ、燃料噴射特性が変化したとしても、燃料噴射弁30の使用開始直後と同様、燃料噴射弁30の作動およびエンジン10の運転を高精度に制御することができる。また、上述のように、特性検出装置100は、構成を簡単にすることができる。そのため、制御装置101の構成も簡単にでき、製造コストを低減することができる。
また、(18)本実施形態では、制御部73は、複数の燃料噴射弁30が互いに異なる時間に燃料を噴射するよう制御する。そのため、1つの第1圧力センサ60により複数の燃料噴射弁30内の圧力を検出することができ、第1圧力センサ60を差圧センサとすることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による特性検出装置および制御装置を図7に示す。第2実施形態は、管部材50、第1圧力センサ60の構成等が第1実施形態と異なる。
第2実施形態は、第1実施形態で示した管部材51、54、第1圧力センサ64を備えていない。すなわち、第2実施形態は、管部材50を2つ(52、53)備え、第1圧力センサ60を3つ(61、62、63)備えている。
本実施形態による特性検出装置100の作動例を図8に示す。ここで、第1圧力センサ61、62、63からの信号の出力を、それぞれ、出力A、B、Cとする。
図8に示すように、本実施形態では、燃料噴射弁31から燃料が噴射されたとき(時刻t2)、出力Aのみ、基準値から立ち下がる。また、燃料噴射弁33から燃料が噴射されたとき(時刻t6)、出力Bは基準値から立ち上がり、出力Cは基準値から立ち下がる。また、燃料噴射弁34から燃料が噴射されたとき(時刻t10)、出力Cのみ、基準値から立ち上がる。また、燃料噴射弁32から燃料が噴射されたとき(時刻t14)、出力Aは基準値から立ち上がり、出力Bは基準値から立ち下がる。
本実施形態では、例えば時刻t8または時刻t16以降、第1実施形態で示した一連の処理S100と同様の処理を実行することにより、出力Bと出力C(時刻t8)または出力Aと出力B(時刻t16)および過去計測記録値に基づき、各第1圧力センサ60(61、62、63)の異常の有無を判定し、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
次に、本実施形態の出力補正部702により補正可能な第1圧力センサ60の出力について、図9に基づき説明する。
本実施形態では、燃料噴射弁31、33のそれぞれに対しては1つの第1圧力センサ60の負圧側の入力部601、または、正圧側の入力部602しか対応していないため、第1圧力センサ60の出力特性が経年等により正圧側と負圧側とでゲイン変化率が異なる異常な出力特性(図6の破線参照)になった場合は、出力を補正できない。しかしながら、本実施形態では、図9に示すように、経年等により、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が、差圧0に対し正圧側と負圧側とで同じ割合でゲイン変化した場合(破線参照)、すなわち、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が正圧側と負圧側とで点対称のまま変化した場合は、当該出力特性が変化した第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
なお、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が、図9に示すように変化した場合、差圧P(a)での出力誤差は正圧側と負圧側で同じになるものの、ゲインが変化しているため、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を高精度に検出できなくなるおそれがある。本実施形態では、第1圧力センサ60からの信号の出力特性が図9に示すように変化した場合でも、第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
以上説明したように、第2実施形態は、第1実施形態と比べ、管部材50および第1圧力センサ60の数を低減している。そのため、構成をより一層簡単にしつつ、第1実施形態と同様、各第1圧力センサ60の異常の有無を判定し、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による特性検出装置および制御装置を図10に示す。第3実施形態は、適用対象のエンジン10、管部材40、50、第1圧力センサ60の構成等が第1実施形態と異なる。
第3実施形態では、特性検出装置100および制御装置101を適用するエンジン10は、3つの気筒を有している。すなわち、エンジン10は、直列3気筒エンジンである。
デリバリパイプ20は、3つのカップ22を有している。3つのカップ22のそれぞれに燃料噴射弁30が接続される。3つの燃料噴射弁30は、エンジン10の各気筒に対応してエンジン10に設けられる。ここで、3つの燃料噴射弁30のそれぞれに31〜33の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
本実施形態では、管部材40は、3つ設けられている。ここで、3つの管部材40のそれぞれに41〜43の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。管部材41、42、43の一方の端部は、それぞれ、燃料噴射弁31、32、33に接続される。
本実施形態では、管部材50は、1つ設けられている。管部材50は、一方の端部が管部材42の一方の端部と他方の端部との間に接続されている。これにより、管部材50の内部は、管部材42の内部に連通し、燃料噴射弁32の内部に連通可能である。
本実施形態は、第1圧力センサ60を2つ備えている。ここで、2つの第1圧力センサ60のそれぞれに61、62の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
第1実施形態と同様、第1圧力センサ61の入力部601、602には、それぞれ、管部材41、42の他方の端部が接続されている。そのため、第1圧力センサ61の入力部601、602のそれぞれには、管部材41、42を経由して、燃料噴射弁31、32の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
第1圧力センサ62の入力部601には、管部材50の他方の端部が接続されている。第1圧力センサ62の入力部602には、管部材43の他方の端部が接続されている。そのため、第1圧力センサ62の入力部601、602のそれぞれには、管部材42、50、43を経由して、燃料噴射弁32、33の内部の圧力である噴射弁内圧力が入力される。
本実施形態では、燃料噴射弁31から燃料が噴射されたとき、第1圧力センサ61からの出力のみ変化する。燃料噴射弁32から燃料が噴射されたときは、第1圧力センサ61からの出力、および、第1圧力センサ62からの出力が変化する。燃料噴射弁33から燃料が噴射されたときは、第1圧力センサ62からの出力のみ変化する。
本実施形態では、第1実施形態で示した一連の処理S100と同様の処理を実行することにより、各第1圧力センサ60(61、62)の異常の有無を判定し、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
以上説明したように、第3実施形態は、管部材40、50、第1圧力センサ60の数を低減し構成を簡単にしつつ、3気筒エンジンに適用され、各第1圧力センサ60の異常の有無を判定し、異常があった第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による特性検出装置および制御装置を図11に示す。第4実施形態は、部材点数等が第1実施形態と異なる。
第4実施形態は、接続部材80をさらに備えている。接続部材80は、エンジン10に搭載される燃料噴射弁30の数に対応するよう、4つ設けられている。ここで、4つの接続部材80のそれぞれに81〜84の符号を付し、以下、適宜、区別して説明する。
接続部材80は、例えば金属等により筒状に形成されている。
接続部材81の外壁に、管部材41の一方の端部が接続されている。そのため、管部材41の内側の空間は、接続部材81の内側の空間に連通している。
接続部材82の外壁に、管部材42の一方の端部が接続されている。そのため、管部材42の内側の空間は、接続部材82の内側の空間に連通している。
接続部材83の外壁に、管部材43の一方の端部が接続されている。そのため、管部材43の内側の空間は、接続部材83の内側の空間に連通している。
接続部材84の外壁に、管部材44の一方の端部が接続されている。そのため、管部材44の内側の空間は、接続部材84の内側の空間に連通している。
本実施形態では、接続部材81〜84と管部材41〜44と管部材51〜54と第1圧力センサ61〜64とにより、1つのサブアッシーを構成している。
接続部材81は、燃料噴射弁31の噴孔301とは反対側の端部とデリバリパイプ20のカップ22とを接続するよう設けられる。そのため、第1圧力センサ61の入力部601および第1圧力センサ64の入力部601には、燃料噴射弁31の噴射弁内圧力が入力される。
接続部材82は、燃料噴射弁32の噴孔301とは反対側の端部とデリバリパイプ20のカップ22とを接続するよう設けられる。そのため、第1圧力センサ61の入力部602および第1圧力センサ62の入力部601には、燃料噴射弁32の噴射弁内圧力が入力される。
接続部材83は、燃料噴射弁33の噴孔301とは反対側の端部とデリバリパイプ20のカップ22とを接続するよう設けられる。そのため、第1圧力センサ63の入力部601および第1圧力センサ62の入力部602には、燃料噴射弁33の噴射弁内圧力が入力される。
接続部材84は、燃料噴射弁34の噴孔301とは反対側の端部とデリバリパイプ20のカップ22とを接続するよう設けられる。そのため、第1圧力センサ63の入力部602および第1圧力センサ64の入力部602には、燃料噴射弁34の噴射弁内圧力が入力される。
第4実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(15)本実施形態は、接続部材80をさらに備えている。接続部材80には、管部材40の一方の端部が接続されている。接続部材80は、燃料噴射弁30の噴孔301とは反対側の端部とデリバリパイプ20とを接続する。本実施形態では、接続部材81〜84と管部材41〜44と管部材51〜54と第1圧力センサ61〜64とにより、1つのサブアッシーを構成することができる。そのため、管部材40を接続するための穴を燃料噴射弁30に形成する等、燃料噴射弁30の改造や変更をする必要がない。これにより、特性検出装置100および制御装置101の汎用性を高めることができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、管部材40の一方の端部を燃料噴射弁30の噴孔301とは反対側の端部近傍に接続する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、管部材40の一方の端部を、燃料噴射弁30の噴孔301とは反対側の端部近傍以外の部位、例えば燃料噴射弁30の噴孔301側の端部近傍に接続することとしてもよい。この場合、第1圧力センサ60による圧力の検出精度をより向上することができる。
また、本発明の他の実施形態では、燃料流路Frの燃料の流れを絞る絞り部23は、カップ22に限らず、燃料噴射弁30の内部や接続部材80の内側等に形成されていてもよい。この場合、管部材40の一方の端部は、燃料流路Frのうち絞り部23と噴孔301との間の部位に接続されることが望ましい。
また、本発明の他の実施形態では、第2圧力センサ69を備えないこととしてもよい。この場合、第1圧力センサ60として、検出可能な圧力の範囲が例えば0〜100MPaであって、各管部材40の内部の圧力、すなわち、噴射弁内圧力の絶対値を検出可能なものを用いれば、第1圧力センサ60が出力した噴射弁内圧力に対応する信号に基づき、燃料噴射弁30の燃料噴射特性を検出することができる。
また、(8)本発明の他の実施形態では、第1圧力センサからの信号の出力特性は、正圧側と負圧側とで点対称でなくてもよい。本発明では、第1圧力センサからの信号の出力特性が、経年等により異常な出力特性になったとしても、上述の一連の処理S100により、異常な出力特性が正常な出力特性となるよう第1圧力センサ60の出力を補正することができる。
また、本発明の他の実施形態では、同一の第1圧力センサ60に接続している2つの管部材40、50は、一方の端部から他方の端部までの長さが同じでなくてもよい。
また、(11)本発明の他の実施形態では、第1圧力センサ60から複数の管部材40、50それぞれを経由する第2圧力センサ69までの複数の経路のそれぞれの距離は、同じであってもよい。この場合、各第1圧力センサ60および第2圧力センサ69に伝達する圧力脈動の位相差を低減することができる。これにより、第1圧力センサ60および第2圧力センサ69による圧力の検出精度を向上することができる。
また、本発明の他の実施形態では、オフセット補正部72を備えていなくてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第1圧力センサ60および第2圧力センサ69は、応答特性が20kHzより小さくてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、第1、2、4実施形態で示したデリバリパイプ20、燃料噴射弁30、管部材40、50、第1圧力センサ60および第2圧力センサ69からなる組を、例えばV型8気筒エンジンの両バンクそれぞれに設けることとしてもよい。また、第3実施形態で示したデリバリパイプ20、燃料噴射弁30、管部材40、50、第1圧力センサ60および第2圧力センサ69からなる組を、例えばV型6気筒エンジンの両バンクそれぞれに設けることとしてもよい。また、両バンクに設けたデリバリパイプ20のパイプ本体21同士を配管等で接続し、2つの第2圧力センサ69のうち一方の第2圧力センサ69を省略してもよい。
また、本発明は、複数の燃料噴射弁が同時に燃料を噴射することがないのであれば、気筒数が2以上のどのようなエンジンにも適用することができる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。