JP6568503B2 - EuドープZnO高効率蛍光体膜の形成方法 - Google Patents

EuドープZnO高効率蛍光体膜の形成方法 Download PDF

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本発明は、EuドープZnO高効率蛍光体膜の形成方法に関する。
近年、電子発光素子の技術分野では、InGaN(インジウム窒化ガリウム)の開発によって青色の発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)の発光強度は昔に比べて飛躍的に増大してきている。しかし、AlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)などを材料として用いる赤色のLEDの発光パワーは、あまり高くできていないことが問題となっている。
そのような背景から、ワイドギャップ半導体にドープしたEu3+(ユウロピウム+3価)イオンからの赤色発光を使う研究が行われており、 将来的に発光素子への応用が考えられている。Eu3+イオンをドープしたZnO(酸化亜鉛)膜は、ホストであるZnO結晶がワイドギャップ半導体であることが特徴である。ワイドギャップ半導体であるため、温度消光(温度が上がると蛍光発光量が低下する現象)の影響を受けにくく、室温においても強い発光が可能である。
従来、ZnO結晶中にドープされたEu3+イオンからの発光については、多くの研究がなされてきた。しかしある程度の発光強度が報告されている論文の大半は、ZnOがナノ結晶、ナノ細線、ナノロッド、ナノニードルなどのナノメータースケールのサイズを有するものである(下記非特許文献1参照)。これらは、ZnOが粉体かあるいは溶液中に分散状態にあって、固体電子光デバイスに用いるのは困難であった。一方、ZnO薄膜中にEu3+イオンをドープして発光させる試みも行われており、一定の発光強度が得られる場合もある(下記非特許文献2参照)。
D. Wang, G. Xing, M. Gao, L. Yang, J. Yang, and T. Wu, J. Phys. Chem. C 115 (2011) 22729. Y. Terai, K. Yamaoka, K. Yoshida, T. Tsuji, and Y. Fujiwara, Physica E 42 (2010) 2834.
価格競争力のある発光素子を製造するには、ZnO薄膜を形成する基板に大面積で安価なシリコン(Si)基板を用いるのが望ましい。たとえばSi基板上にZnO:Eu膜を形成する場合を考える。
固体電子光デバイスとして働かせるには、電流注入による発光を目指す必要がある。その場合の発光は、ZnOホスト結晶の電流注入による励起エネルギーがEu3+イオンへ移動することで生じる。そのメカニズムは、ZnO結晶を光によりバンド間励起してEu3+イオンを光らせる、間接励起によるPL(Photoluminescence:光ルミネセンス)と類似している。しかし、電流励起あるいはバンド間励起による発光は、Eu3+イオンの準位間を直接的に遷移させているわけではない点で異なる。
この電流励起による発光(エレクトロルミネセンス、Electroluminescence:EL)では、励起エネルギーが有効にEu3+へと輸送されることが重要であるが、阻害要因として励起エネルギーの散逸過程がある。それは主にオージェ電子による脱励起機構によるものであって、ZnO薄膜が乗っている基板の特性に影響される。
ZnO薄膜が乗っている基板が電気伝導性であれば、そこから電子が注入されて、ホールと再結合して、励起が緩和する確率が非常に高くなる。この現象は基板に用いるシリコン基板に低抵抗なものを使用すると発光しなくなる、あるいはごく弱い発光しか示さなくなることによって確かめられている。
ZnOナノ結晶がホストの場合においても多くの報告がなされているが、ナノ結晶の電気的な特性は、半導体から絶縁体であるため、基板の電気伝導性の影響を受けやすく、従来EuドープZnOを使用した高効率の蛍光体膜の実現は困難であった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、EuドープZnOを使用した高効率な蛍光体膜の実現およびその形成方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、以下のような構成を備えることを特徴とする。
(発明の構成
H 2 O蒸気ガスを反応ガスとして、SiO 2 膜上へスパッタ法によりEuドープZnOを成膜した後に、ポストアニールするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、室温にてEuドープZnO膜をSiO2基板上に成膜した後に、真空中において200℃以上350℃以下の温度においてポストアニールすることで、Eu3+イオンを光学的に活性化することを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
(発明の構成
発明の構成記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、EuドープZnO膜のEu濃度を3.0at.%以上とすることを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
(発明の構成
発明の構成1または2に記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、スパッタ法として、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いる ことを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
(発明の構成
発明の構成1から3のいずれか1項に記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、SiO2膜はシリコン熱酸化膜であることを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
以上記載したように、本発明によれば、EuドープZnOを使用した高効率な蛍光体膜の実現およびその形成方法を提供することが可能となる。
本発明の実施例のZnO:Eu蛍光体膜の構造と形成方法を示す図である。 本発明のEu濃度0.9at.%のZnO:Eu膜試料1を、真空中において200、300、350、400℃でポストアニールした後のPLスペクトルを示す図である。 本発明のEu濃度1.0at.%のZnO:Eu膜試料2を、酸素ガス中において300、400、500、600℃でポストアニールした後のPLスペクトルを示す図である。 本発明のEu濃度3.0at.%のZnO:Eu膜試料3を、真空中において200、300、350、400℃でポストアニールした後のPLスペクトルを示す図である。 本発明のEu濃度4.3at.%のZnO:Eu膜試料4を、酸素ガス中において300、400、500、600℃でポストアニールした後のPLスペクトルを示す図である。 従来のシリコン基板上のZnO:Eu膜を、真空中においてポストアニールした後の、612 nmにおけるEu3+イオンの発光強度のアニール温度とEu濃度依存性を示す図である。 本発明の熱酸化膜上のZnO:Eu膜を、真空中においてポストアニールした後の、612 nmにおけるEu3+イオンの発光強度のアニール温度とEu濃度依存性を示す図である。 従来のシリコン基板上のZnO:Eu膜を、酸素ガス中においてポストアニールした後の、612 nmにおけるEu3+イオンの発光強度のアニール温度とEu濃度依存性を示す図である。 本発明の熱酸化膜上のZnO:Eu膜を、酸素ガス中においてポストアニールした後の、612 nmにおけるEu3+イオンの発光強度のアニール温度とEu濃度依存性を示す図である。 本発明のEu濃度3at.%のZnO:Eu膜の、X線回折パタンを示す図である。
上記の課題を解決するために、本発明におけるZnO:Eu蛍光体膜膜はシリコン基板の上に直接形成するのではなく、絶縁性のSiO2膜の上に形成することを特徴とする。代表的なSiO2膜は、シリコン基板上に形成されたシリコンの熱酸化膜である。このSiO2絶縁膜によってシリコン基板からの影響を排除し、励起エネルギーの散逸を阻止することを確認した。
もともと無機ELデバイスは蛍光体膜の上下を絶縁膜でサンドイッチした構造を有しており、SiO2膜の上に形成することは、無機ELとの相性がよい。定組成のSiO2膜自体は非発光である。しかし、スパッタやCVDによりSiO2膜を形成すると、酸化が完全でないことがあり、Siが析出して可視域発光が生じてしまうことがある。これらの可能性を排除する意味から、SiO2膜はシリコンの熱酸化膜が優れている。
ZnO:Eu膜の成膜には、H2O蒸気ガスを反応ガスとしてスパッタ法を用いる。スパッタの際に酸素(O2)ガスを反応ガスに使うと、プラズマで分解されて生成した酸素原子が過剰な酸化をするが、H2O蒸気を用いることで、適切な酸化還元状態にすることができる。またH2O蒸気ガスが分解した際に放出される水素原子が結晶の欠陥を終端し、ZnOホスト結晶の欠陥準位からの発光を抑制する効果も合わせ持っている。
特に電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いることで、反応ガスの高い分解効率が得られ、効率的に水素原子やOH基をZnO:Eu膜中に取り込むことができる。得られたZnO:Eu膜は真空中あるいは酸素ガス中にてポストアニールすることで、Eu3+イオンを活性サイトへ収め、効率的な蛍光体膜として機能するようにできる。その最適なポストアニール温度を実験的に決定した。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の有効性を実証するために、種々のEu含有量やポストアニール温度でZnO:Eu蛍光体膜の試料を作成し、その発光特性を調べた。
(蛍光体膜の構造と形成方法)
図1に、本発明の実施例のZnO:Eu蛍光体膜の構造と形成方法の概略を示す。
まず、図1(a)に示すようなシリコン基板1上に周知の手法による熱酸化を行い、図1(b)にあるように、SiO2の熱酸化膜2を形成する。
次に、図1(c)にあるように、以下に示す方法でSiO2の熱酸化膜2の上にZnO:Eu蛍光体膜3をスパッタ形成した後、基板を切断してEu含有量の異なる複数の蛍光体膜の試料として、それぞれ所定の温度でポストアニール(PostAnneal)する。
ZnO:Eu試料は、Znに対して1at.%(原子%、以下同様とする) のEuを含有するZnOターゲットからの電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタと、Eu2O3ターゲットからのRFマグネトロンスパッタを同時に行うことで作製した。ZnOターゲットにEu含有率の高いものを使用すれば、ECRスパッタのみで高Eu濃度のZnO:Eu蛍光体膜3を成膜することも可能である。
アルゴンガスによりプラズマを生成し、膜中に取り込まれる酸素原子を補うため、0.02-0.03 PaのH2O蒸気ガスを添加した。H2O分子の一部はプラズマにより分解して、原子状水素やOHとなり、ZnO結晶中に取り込まれる。ZnO成膜のためのマイクロ波パワーは500 W、ZnOターゲットに印加するRFのパワーは500 Wに設定した。これらのスパッタ法は室温にて行うことが可能である。
各試料のZnO膜のEu含有量は、RFマグネトロンスパッタパワーを20、30、40 Wと変化させることと、基板上の位置に依存するEu濃度分布により調節した。
具体的には、4インチシリコン基板1上に形成した厚み1μmのSiO2熱酸化膜2の上へ、ZnO:Eu膜3を前述のようにスパッタ成膜した。成膜後、基板を18 mm角に切断して、Eu含有量の異なる複数の試料を得て、真空中あるいは1気圧の酸素ガス中で温度を変えてポストアニールした。
こうして4インチ基板上の各領域から得られたEu含有量とポストアニール環境、温度の異なる複数の蛍光体膜の試料について、Eu3+イオンからの発光強度やX線回折パタンのEu濃度依存性を得た。発光測定は、波長325 nmのHe-Cdレーザーで励起して、360-700 nmの紫外から赤色の波長域のPL(発光)スペクトルを取得した。
(Eu濃度、ポストアニール環境とPLスペクトル)
(試料1)
図2は、熱酸化膜上にZnO:Eu(1at.%)ターゲットだけで電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ成長して得られた、本発明のEu濃度0.9at.%のZnO:Eu蛍光体膜試料1を、真空中(Vacuum)において異なる4つの温度(200、300、350、400℃)でポストアニールした後のPL(発光)スペクトルである。
なお、以下図5まで同様であるが、各アニール温度別の4本のスペクトルのグラフは、見やすさのため光強度(Intensity)の基準レベル(各グラフの右端下部の線で示す)をずらして重ねて表示している。
図2ではアニール温度が200、300、350℃の場合に、595 nmに5D07F1、612 nmに5D07F2に帰属できるEu3+イオンの発光線が観測されている。
左端にZnOのバンド端発光も同時に観測されているが、Eu3+イオンからの発光の方が強い。590 nmを中心とするブロードな発光は、ZnOのOH終端に由来すると推測される。また675 nmを中心とするブロードな発光も見られるが、対応するZnOの欠陥は不明である。
この実験結果から、200℃以上、350℃以下の温度にて真空中でポストアニールすると、Eu3+イオンが光学的に活性化されることが分かる。400℃において急にEu3+イオンからの発光が観測されなくなったのは、HあるいはOHが脱離してしまって、Eu3+イオンを光学的に活性な状態に保てなくなったためと考えられる。
(試料2)
図3は、図2と同様な条件で成膜した本発明のEu濃度1.0at.%の蛍光体膜試料2について、酸素(O2)ガス中において図2より高めの4つの温度(300、400、500、600℃)でポストアニールした後のPLスペクトルである。アニール温度が400、500℃の場合において、図2と同様なEu3+イオンからの発光が観測されている。
図3において、図2に比べて高いアニール温度が最適条件になったのは、アニール雰囲気(環境)の違いによる。ポストアニールの役割は、成膜時に酸化されすぎた結晶を部分的に還元することである。これによりEu3+イオンをZn2+イオンの格子点位置に置換し、バンドギャップ励起してZnO結晶中に広がった励起エネルギーが有効にEu3+イオンへと伝達される環境ができあがる。
真空中でアニールするとZnOからは一方的に酸素原子が抜けるが、酸素ガス中アニールの場合は、出て行く酸素と気相から膜中に入ってくる酸素が平衡状態になる。脱離過程が優勢になるためには、より高い温度が必要である。
(試料3)
図4は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタに加えてEu2O3ターゲットからのRFマグネトロンスパッタも同時に行い形成した、本発明のEu濃度が3.0 at.%のZnO:Eu膜試料3を、真空中において図2と同じ低めの異なる4つの温度でポストアニールした後のPLスペクトルである。
従来のシリコン基板を用いた場合、Eu濃度が3.0 at.%になると濃度消光によって発光強度が減少する。しかし、熱酸化膜(SiO2)を基板に用いる本発明の図4の蛍光体膜試料3の場合には、特に300℃でのアニール後、3000カウントと高いEu3+イオンからの発光を観測している。このように、高Eu濃度においても濃度消光が影響せず、さらに高い発光強度が実現できる点は、絶縁性に優れた熱酸化膜(SiO2)を基板に用いる本発明の大きなメリットである。
(試料4)
図5は、図4と同様のスパッタ膜法で作成した、Eu濃度が更に高い4.3at.%の、本発明のZnO:Eu膜試料4を、酸素ガス中において図3と同じ高めの異なる4つの温度でポストアニールした後のPLスペクトルである。400、500、600℃においてEu3+イオンからの発光が観測されている。特に500℃でのアニール後には、Eu3+イオンから3500カウントもの強い発光が実現している。
よって、シリコン熱酸化膜上に形成され、濃度消光が影響しない本発明のZnO:Eu蛍光体膜の場合は、いずれの試料においてもEu3+イオンによる効率的な発光が可能であり、特にEu濃度が3.0 at.%以上の高Eu濃度において、真空アニールでも酸素中アニールであっても、適切なアニール温度に設定すれば、強い発光を実現できることが分かった。
(Eu濃度とポストアニール環境、温度の条件)
次に、図6〜9に、比較例として従来のシリコン(Si)基板上、および本発明の熱酸化膜(SiO2)上で成膜した2種類のZnO:Eu膜について、2種類のポストアニール環境(VacuumとO2)で比較する。各図は、おのおの4つの成膜条件(Eu濃度)の試料について、ポストアニール温度(グラフの横軸:Temperature)を変えて、612nmにおける発光強度(グラフの縦軸:Intensity)をプロットしたグラフである。
(真空中でのポストアニール)
ポストアニールを真空中で行った場合が図6と図7であり、図6が従来のシリコン(Si)基板、図7が本発明の熱酸化膜(SiO2)上の場合のグラフである。
図6の比較例の従来のシリコン(Si)基板上の場合では、Eu濃度にもよるが概ねポストアニール温度が200℃において発光強度が最大になっており、その値は400-700カウント程度である。
一方、図7の本発明の熱酸化膜(SiO2)上の場合には、アニール温度300℃において発光強度がほぼ最大になっており、その値は800カウント程度からEu濃度3.0at.%においては3000カウントにまで達している。図6の従来のシリコン(Si)基板上の場合と比べると、明らかにポストアニール温度の広い範囲(200〜350℃)において、本発明の熱酸化膜上のZnO:Eu膜の方の発光強度が大きい。
(酸素中でのポストアニール)
同様に、ポストアニールを酸素中で行った場合が図8と図9であり、図8が従来のシリコン(Si)基板上の場合、図9が本発明の熱酸化膜(SiO2)上の場合のグラフである。
図8の比較例の従来のシリコン基板上の場合では、500℃ のアニール温度にて、600-900カウント程度の最大値を取っている。
一方、図9の本発明の熱酸化膜上の場合では、すでに400℃ のアニール温度にて図8と同様な発光強度が得られており、特にEu濃度4.3at.%のときに500℃のアニール後には、3500カウントという非常に高い値を記録している。図8の比較例のシリコン基板上の場合では、4.3at.%においても濃度消光によって、発光強度は200カウント以下に留まっているのと対照的である。
以上の結果から、本発明ではシリコン熱酸化膜上へZnO:Eu膜を成膜することで、真空中においては200℃以上350℃以下にて、酸素ガス中においては400℃以上500℃以下にてポストアニールすることで最大発光強度を得られることが明らかになった。
さらに、本発明では濃度消光の影響が無いので、ZnO:Eu膜のEu濃度を望ましくは、真空中においてポストアニールする場合には3at.%以上、酸素ガス中においてポストアニールする場合には4at.%以上の高Eu濃度とすることができる。
シリコン熱酸化膜の代わりに化学的気相法(CVD)で形成したSiO2膜も、Siの析出などが無ければ同様に利用可能である。
(ZnO:Eu膜のX線回折パタン)
図10に、本発明のEu濃度3.0 at.%のZnO:Eu膜の、X線回折パタンを示す。厚さ1μmの熱酸化膜を透過してきたシリコン基板からの、右の2θ=70°付近のSi(400)ピーク以外には、左の2θ=35°付近のZnO(002)ピークが強く観測されている。ZnO(103)ピークも出現しているが非常に弱いので、ほぼ完全にc軸配向したZnO結晶であることを示している。
2θ=20°付近のブロードで弱い回折信号は、結晶性の低いZn(OH)2からの寄与と考えられる。この結果から、熱酸化膜上へ形成した場合あっても、ZnO:Eu膜はc軸配向した良い結晶性を保ち、それが強いEu3+イオンからの発光に繋がっているものと思われる。
シリコン基板と、シリコン基板上のSiO2膜と、SiO2膜上のc軸配向した結晶性を保つEuドープZnO膜とからなるEuドープZnO蛍光体膜により、高効率の発光が実現されている。
以上に見たように、本発明ではシリコンの熱酸化膜上へ成膜することで、濃度消光の少ない高効率のZnO:Eu膜が得られる。特に、真空中においてポストアニールする場合には3at.%以上、酸素ガス中においてポストアニールする場合には4at.%以上の高Eu濃度においても強い発光強度が得られる。従来のシリコン基板上では、成膜条件やアニール条件を最適な状態に合わせた場合、1at.%で最大の発光強度になるが、このような低いEu濃度に最適化するようなプロセスの制御はより難しい。
さらにシリコン熱酸化膜は無機ELデバイスにおける絶縁膜としての機能も有している。その際はSiO2膜厚として300 nm程度が標準的であるが、この膜厚であっても、シリコン基板からのキャリア注入による脱励起は防止できる。
以上記載したように、本発明によれば、EuドープZnOを使用した高効率の蛍光体膜を実現する形成方法を提供することが可能となる。
1 シリコン(Si)基板
2 熱酸化膜(SiO2
3 ZnO:Eu蛍光体膜

Claims (4)

  1. H 2 O蒸気ガスを反応ガスとして、SiO 2 膜上へスパッタ法によりEuドープZnOを成膜した後に、ポストアニールするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、
    室温にてEuドープZnO膜をSiO2基板上に成膜した後に、真空中において200℃以上350℃以下の温度においてポストアニールすることで、Eu3+イオンを光学的に活性化することを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
  2. 請求項記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、EuドープZnO膜のEu濃度を3.0at.%以上とすることを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
  3. 請求項1または2に記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、スパッタ法として、電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いることを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のEuドープZnO蛍光体膜の形成方法において、SiO2膜はシリコン熱酸化膜であることを特徴とするEuドープZnO蛍光体膜の形成方法。
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