実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、冷媒を循環させる冷媒回路10を有している。冷媒回路10は、圧縮機11、熱源側熱交換器12、減圧装置13及び負荷側熱交換器14が冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。また、冷凍サイクル装置100は、圧縮機11、熱源側熱交換器12及び減圧装置13を収容する熱源ユニット40と、負荷側熱交換器14を収容する負荷ユニット50と、を有している。熱源ユニット40は例えば室外に設置され、負荷ユニット50は例えば室内に設置される。
熱源ユニット40と負荷ユニット50との間は、冷媒配管の一部である液相配管21及び気相配管22を介して接続されている。液相配管21は、熱源ユニット40と負荷ユニット50との間で、主に液冷媒又は二相冷媒を流通させる配管である。気相配管22は、熱源ユニット40と負荷ユニット50との間で、主にガス冷媒を流通させる配管である。液相配管21及び気相配管22は、延長配管、接続配管又は連絡配管等と称される場合がある。
液相配管21及び気相配管22は、冷凍サイクル装置100が据え付けられた際の熱源ユニット40と負荷ユニット50との間の距離に応じた所定の配管長を有している。すなわち、実際の液相配管21及び気相配管22の配管長は、冷凍サイクル装置100が据え付けられる前の段階(例えば、製品出荷段階)では確定していない。液相配管21の配管長と気相配管22の配管長は同程度である。また、液相配管21及び気相配管22のそれぞれの管内径は、冷凍サイクル装置100の仕様によって指定されている。すなわち、液相配管21及び気相配管22のそれぞれの管内径は、冷凍サイクル装置100が据え付けられる前の段階で確定している。
圧縮機11は、吸入した低圧冷媒を圧縮し、高圧冷媒として吐出する流体機械である。圧縮機11の駆動周波数は、後述する制御装置30によって可変に制御される。熱源側熱交換器12は、放熱器(例えば、凝縮器)として機能する高圧側の熱交換器である。熱源側熱交換器12では、内部を流通する冷媒と、外部流体(例えば、送風ファンによって供給される室外空気)との熱交換が行われる。減圧装置13は、高圧冷媒を減圧して低圧冷媒とするものである。減圧装置13としては、例えば開度を調節可能な電子式リニア膨張弁などが用いられる。減圧装置13の開度は、後述する制御装置30によって制御される。負荷側熱交換器14は、蒸発器として機能する低圧側の熱交換器である。負荷側熱交換器14では、内部を流通する冷媒と、外部流体(例えば、送風ファンによって送風される室内空気)との熱交換が行われる。
なお、図1では、熱源側熱交換器12が放熱器として機能し、負荷側熱交換器14が蒸発器として機能する冷媒回路10を例示しているが、冷媒回路10は、熱源側熱交換器12が蒸発器として機能し、負荷側熱交換器14が放熱器として機能するものであってもよい。また、冷媒回路10は、冷媒の流路を切り替える四方弁を備えていてもよい。この場合、四方弁により冷媒の流路が切り替えられることによって、熱源側熱交換器12が放熱器として機能し負荷側熱交換器14が蒸発器として機能する冷房運転と、熱源側熱交換器12が蒸発器として機能し負荷側熱交換器14が放熱器として機能する暖房運転と、の双方が可能になる。
熱源ユニット40には、液相配管21の熱源ユニット40側、すなわち液相配管21の入口部での冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ31が設けられている。冷媒温度センサ31は、例えば、熱源ユニット40から流出して液相配管21に流入する冷媒の温度を検出するものである。冷媒温度センサ31に代えて、液相配管21の熱源ユニット40側での冷媒の圧力を検出する冷媒圧力センサが設けられていてもよい。冷媒温度センサ31又は冷媒圧力センサからは、後述する制御装置30に検出信号が出力される。
また、熱源ユニット40には、外気温度を検出する外気温度センサ33が設けられている。外気温度センサ33は、例えば、送風ファンにより供給される室外空気の流れにおいて熱源側熱交換器12よりも上流側に配置されている。外気温度センサ33からは、後述する制御装置30に検出信号が出力される。
負荷ユニット50には、液相配管21の負荷ユニット50側、すなわち液相配管21の出口部での冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ32が設けられている。冷媒温度センサ32は、例えば、液相配管21から流出して負荷ユニット50に流入する冷媒の温度を検出するものである。冷媒温度センサ32に代えて、液相配管21の負荷ユニット50側での冷媒の圧力を検出する冷媒圧力センサが設けられていてもよい。冷媒温度センサ32又は冷媒圧力センサからは、後述する制御装置30に検出信号が出力される。
制御装置30は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート、タイマー等を備えたマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という場合がある。)を有している。制御装置30は、各種センサ類からの検出信号等に基づいて、圧縮機11及び減圧装置13を含む冷凍サイクル装置100全体の動作を制御する。制御装置30は、熱源ユニット40に設けられていてもよいし、負荷ユニット50に設けられていてもよい。また、制御装置30は、熱源ユニット40に設けられる熱源側制御部と、負荷ユニット50に設けられ、熱源側制御部とデータ通信可能な負荷側制御部と、を備えていてもよい。
次に、冷凍サイクル装置100の冷媒回路10の動作の例について説明する。ここで、本例の冷媒は、熱源側熱交換器12で凝縮するものとする。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、まず熱源側熱交換器12に流入する。熱源側熱交換器12では、内部を流通する冷媒と外部流体(例えば、室外空気)との熱交換が行われ、冷媒の凝縮潜熱が外部流体に放熱される。これにより、熱源側熱交換器12に流入したガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。熱源側熱交換器12から流出した高圧の液冷媒は、減圧装置13に流入し、減圧されて低圧の二相冷媒となる。減圧装置13から流出した低圧の二相冷媒は、液相配管21を経由して負荷ユニット50内の負荷側熱交換器14に流入する。負荷側熱交換器14では、内部を流通する冷媒と外部流体(例えば、室内空気)との熱交換が行われ、冷媒の蒸発潜熱が外部流体から吸熱される。これにより、負荷側熱交換器14に流入した冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒又は二相冷媒となる。また、外部流体は、冷媒の吸熱作用によって冷却される。負荷側熱交換器14から流出した低圧のガス冷媒又は二相冷媒は、気相配管22を経由して熱源ユニット40内の圧縮機11に吸入される。圧縮機11に吸入された冷媒は、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。冷凍サイクル装置100の冷媒回路10では、以上のサイクルが連続的に繰り返される。
次に、冷凍サイクル装置100の圧縮機11に封入される冷凍機油について説明する。以下、冷凍機油のことを単に「油」という場合があり、冷凍機油の量のことを単に「油量」という場合がある。圧縮機11に封入されている冷凍機油の一部は、冷媒と共に圧縮機11から流出し、冷媒回路10の各構成要素で滞留しながら、所定の返油時間で再び圧縮機11に戻る。返油時間とは、圧縮機11から持ち出された油が冷媒回路10の各構成要素で滞留しながら徐々に流動し、圧縮機11に再び流入するまでの時間である。圧縮機11が停止しているときには、冷媒回路10の各構成要素に滞留している油はそのまま滞留し続け、圧縮機11が起動すると返油時間以内に圧縮機11に戻る。圧縮機11から多量の油が持ち出され、かつ返油時間が長く圧縮機11に戻る油の量が少ない場合、圧縮機11内の油の減少により油枯渇が生じる。また、起動時に圧縮機11内の油に寝込んでいる液冷媒が多量にある場合、又は、多量の液冷媒が圧縮機11に流入する場合、圧縮機11内の油の濃度が低下し、油枯渇が生じる。さらに、圧縮機11から流出して冷媒回路10の各構成要素に滞留する油の量が時間の経過とともに増加していくような場合、圧縮機11に戻る油が減少して油枯渇が生じる。
図2は、一般的な冷凍サイクル装置における延長配管(液相配管又は気相配管)の配管長と冷凍機油の適正油量との関係を示すグラフである。ここで、適正油量とは、対象とする運転条件において圧縮機の信頼性を確保でき、かつ冷凍サイクル装置の性能が最大となる油量のことである。図2に示すように、適正油量は、延長配管の配管長が長くなるほど多くなる。すなわち、延長配管が相対的に長尺であるときの適正油量は、延長配管が相対的に短尺であるときの適正油量よりも多くなる。例えば、延長配管の配管長がL1のときの適正油量をv1とし、延長配管の配管長がL1よりも長いL2(L1<L2)のときの適正油量をv2とすると、油量v2は油量v1よりも多くなる(v1<v2)。
適正油量は、延長配管の配管長だけでなく、運転条件、設置条件及び環境条件等の種々の条件によって異なる。適正油量が多くなる条件の例は以下のとおりである。以下の条件は、油枯渇が生じやすい条件にも該当する。
運転条件:
・圧縮機の起動時、及びデフロスト運転終了時
設置条件:
・冷媒配管の配管長が長いこと
・熱源側熱交換器及び負荷側熱交換器のそれぞれの設置位置に高低差があること(例えば、凝縮器として機能する熱交換器の設置高さが蒸発器として機能する熱交換器の設置高さよりも高いこと)
環境条件:
・外気温度が低いこと(圧縮機内の油に多量の液冷媒が寝込むため)
逆に、適正油量が少なくなる条件の例は以下のとおりである。以下の条件は、油枯渇が生じにくい条件にも該当する。
運転条件:
・冷凍サイクルが安定して動作する定常運転時
設置条件:
・冷媒配管の配管長が短いこと
環境条件:
・外気温度が高いこと
圧縮機の信頼性を確保するためには、冷凍サイクル装置において想定される条件のうち最も適正油量が多くなる条件に合わせて、多量の冷凍機油が圧縮機に封入されていればよい。しかしながらこの場合、上記条件以外の条件で冷凍サイクル装置が用いられるときには、冷凍機油の量が適正油量よりも多くなってしまう。例えば、冷凍サイクル装置において許容される延長配管の配管長が最長でL2であり、油量v2の冷凍機油が圧縮機に封入されているものとする。この場合、実際に据え付けられた冷凍サイクル装置において延長配管の配管長がL1であったときには、冷凍機油が過充填となり、油量(v2−v1)の冷凍機油が余剰油となってしまう。冷凍機油が過充填されていると、圧縮機から冷媒回路に持ち出される油量が増加するため、冷凍サイクル装置の性能が低下してしまう。
一方、冷凍サイクル装置の性能を最大化するためには、最も適正油量が少なくなる条件に合わせて、少量の冷凍機油が圧縮機に封入されていればよい。しかしながらこの場合、上記の条件以外の条件で冷凍サイクル装置が用いられるときには、冷凍機油の量が適正油量よりも少なくなってしまう。これにより、油不足によって圧縮機内の油が枯渇し、圧縮機の信頼性が低下してしまう。油の枯渇を回避するために圧縮機の起動周波数を減少させる制御を行った場合、圧縮機の性能低下や、起動から目標能力達成までの時間の長期化が生じるため、快適性等の冷凍サイクル装置の性能が低下してしまう。
本実施の形態では、条件に応じて適切な制御を行うことにより、冷凍サイクル装置の性能の向上と圧縮機の油枯渇の回避とを両立させている。
図3は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3のステップS1では、液相配管の配管長が規定配管長である場合における液相配管の圧損を算出する。ステップS1は、第1学習運転中に実行される。
第1学習運転は、例えば、冷凍サイクル装置100が据え付けられる前(例えば、製品出荷前)に、第1学習運転用の液相配管及び気相配管を用いて熱源ユニット40と負荷ユニット50とを接続した状態で行われる。第1学習運転用の液相配管及び気相配管の配管長はいずれも、冷媒を追加充填する必要のないチャージレス配管長の範囲で予め決められた規定配管長である。また、第1学習運転用の液相配管及び気相配管の管内径は、それぞれ冷凍サイクル装置100の仕様で指定されているものである。すなわち、第1学習運転用の液相配管及び気相配管のそれぞれの配管内容積は、規定配管長及びそれぞれの管内径に基づいて算出することができる。
ここで、冷房運転時には、液相配管の圧損が暖房運転時よりも大きくなるため、液相配管の圧損の算出が容易になる。したがって、冷凍サイクル装置100が冷房運転及び暖房運転の切替えが可能な構成を有する場合、第1学習運転では冷房運転(例えば、冷房標準運転)を行うようにしてもよい。
第1学習運転用の液相配管の圧損は、冷媒温度センサ31で検出される冷媒配管の入口部での冷媒温度と、冷媒温度センサ32で検出される冷媒配管の出口部での冷媒温度とに基づいて算出される。また、第1学習運転用の液相配管の圧損ΔPと第1学習運転用の液相配管の配管内容積との関係は、以下に示すファニング(Fanning)の式を用いて表すことができる。
ΔP=λ(L/D)(γV2/2)
(λ:管摩擦係数、D:管内径、L:配管長、γ:管内ガス密度、V:管内流速)
以上のようにステップS1では、液相配管の配管長が規定配管長である場合において、液相配管の圧損と、液相配管及び気相配管の配管内容積と、の関係が得られる。
次に、ステップS2では、冷凍サイクル装置100が出荷されて実際に据え付けられた後の液相配管21の圧損を算出する。ステップS2は、第2学習運転中に実行される。
第2学習運転は、例えば、冷凍サイクル装置100が実際に据え付けられた後に、第1学習運転と同様の運転条件で行われる。第2学習運転は、冷凍サイクル装置100の実際の設置条件を記憶するための運転である。液相配管21の圧損は、例えば、冷媒温度センサ31で検出される液相配管21の入口部での冷媒温度と、冷媒温度センサ32で検出される液相配管21の出口部での冷媒温度と、に基づいて算出される。
次に、ステップS3では、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の配管内容積を推定する。液相配管21の実際の配管内容積は、第1学習運転用の液相配管の圧損と第1学習運転用の液相配管の配管内容積との関係と、算出された実際の液相配管21の圧損と、に基づいて推定することができる。気相配管22の実際の配管内容積は、液相配管21及び気相配管22の配管長が同程度であることから、推定された液相配管21の配管内容積に基づいて推定することができる。推定された配管内容積は、後述するステップS5で推定値として用いられる。なお、負荷ユニット50の台数が複数台である場合には、負荷ユニット50毎に配管内容積が推定され、そのうち最も大きい配管内容積が推定値として用いられる。
ステップS4以降は、例えば、第2学習運転が終了した後の冷凍サイクル装置100の起動時及び運転中に繰り返して実行される。
ステップS4では、外気温度センサ33で検出された外気温度を取得する。
次に、ステップS5では、ステップS3で推定された推定値である配管内容積(液相配管21の配管内容積及び気相配管22の配管内容積の少なくとも一方)が閾値容積未満であるか否かを判定する。推定値が液相配管21の配管内容積である場合、閾値容積としては、例えば、第1学習運転用の液相配管の配管内容積を用いることができる。推定値が気相配管22の配管内容積である場合、閾値容積としては、例えば、第1学習運転用の気相配管の配管内容積を用いることができる。推定された配管内容積が閾値容積未満であると判定した場合にはステップS7に進み、推定された配管内容積が閾値容積以上であると判定した場合にはステップS6に進む。
ステップS6では、外気温度が予め設定された閾値温度未満であるか否かを判定する。外気温度が閾値温度未満であると判定した場合にはステップS8に進み、外気温度が閾値温度以上であると判定した場合にはステップS7に進む。
ステップS7では、通常運転(第1運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、冷凍サイクル装置100の通常運転が行われる。ここで、通常運転とは、冷凍サイクル装置100の性能や、起動から目標能力達成までの立上り時間の短縮を優先して、圧縮機11の周波数及び減圧装置13の開度を制御する運転のことである。通常運転では性能や快適性が優先されるため、通常運転中には油枯渇等による圧縮機11の信頼性低下が生じ得る。
ステップS8では、油枯渇回避運転(第2運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積以上でありかつ外気温度が閾値未満である場合には、冷凍サイクル装置100の油枯渇回避運転が行われる。ここで、油枯渇回避運転とは、通常運転よりも圧縮機11からの油の流出を抑制する運転のことである。すなわち、油枯渇回避運転の実行中には、圧縮機11から冷媒回路10に流出する油の流量が通常運転の実行中よりも減少する。油枯渇回避運転の具体例は、圧縮機11のタイプや冷媒回路10の構成等によって様々である。例えば、圧縮機11の周波数が低いほど圧縮機11からの油の流出が抑制される場合には、油枯渇回避運転では、圧縮機11が通常運転よりも低い周波数で駆動される。油枯渇回避運転は、主に圧縮機11の起動時及びデフロスト運転終了時に行われる。油枯渇回避運転では、油枯渇の回避が優先されるため、性能や快適性の低下が生じ得る。なお、油枯渇回避運転は、圧縮機11の起動時に油を圧縮機11に多量に流入させること、圧縮機11内で寝込んだ液冷媒を圧縮機11から流出させること、又は、圧縮機11に流入する液冷媒を減少させること、によって行うこともできる。
また、冷凍サイクル装置100は、油回収運転(第3運転モードで行われる運転の一例)を行うことができる。ここで、油回収運転とは、圧縮機11以外の冷媒回路10に滞留した油を回収して圧縮機11に戻す運転のことである。油回収運転は、例えば圧縮機の周波数を通常運転よりも一時的に増加させ、冷媒の流量を増加させることによって行われる。油回収運転は、例えば数時間に1回の実行頻度で、1回あたり所定の実行時間だけ行われる。
本実施の形態では、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積に基づき、油回収運転の実行頻度又は実行時間を変化させるようになっている。図4は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの別の例を示すフローチャートである。図3に示す処理と図4に示す処理とは、互いに組み合わせて実行することができる。
図4のステップS11〜S13については、図3のステップS1〜S3と同様であるので説明を省略する。
図4のステップS14では、図3のステップS5と同様に、推定した配管内容積(液相配管21の配管内容積及び気相配管22の配管内容積の少なくとも一方)が閾値容積未満であるか否かを判定する。配管内容積が閾値容積未満であると判定した場合にはステップS15に進み、配管内容積が閾値容積以上であると判定した場合にはステップS16に進む。
ステップS15では、油回収運転の実行頻度又は実行時間を減少させる制御を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積未満である場合には、配管内容積が閾値容積以上である場合よりも、油回収運転の実行頻度又は実行時間が減少する。
ステップS16では、油回収運転の実行頻度又は実行時間を増加させる制御を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積以上である場合には、配管内容積が閾値容積未満である場合よりも、油回収運転の実行頻度又は実行時間が増加する。
本実施の形態によれば、配管内容積が大きい場合(例えば、液相配管21及び気相配管22が長尺である場合)、負荷ユニット50の台数が複数台である場合、又は外気温度が低い場合などの油枯渇が生じやすい条件を満たす場合には、油枯渇回避運転を行うことができる。また、油枯渇が生じやすい条件を満たす場合には、油回収運転の実行頻度又は実行時間を増加させることができる。したがって、圧縮機11での油枯渇を効果的に抑制でき、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、配管内容積が小さい場合(例えば、液相配管21及び気相配管22が短尺である場合)、又は外気温度が高い場合などの油枯渇が生じにくい条件を満たす場合には、油枯渇回避運転を行わずに通常運転を行うことができる。また、油枯渇が生じにくい条件を満たす場合には、油回収運転の実行頻度又は実行時間を減少させることができる。したがって、冷凍サイクル装置100の性能の向上及び立上り時間の短縮を実現でき、快適性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、負荷ユニット50の台数が複数台である場合、最も配管内容積の大きい延長配管に接続された負荷側熱交換器14での油の滞留による油枯渇を抑制することができるため、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11、熱源側熱交換器12、減圧装置13及び負荷側熱交換器14が冷媒配管を介して接続され、冷媒を循環させる冷媒回路10と、少なくとも圧縮機11を制御する制御装置30と、圧縮機11及び熱源側熱交換器12を収容する熱源ユニット40と、負荷側熱交換器14を収容する負荷ユニット50と、を備えている。熱源ユニット40と負荷ユニット50との間は、冷媒配管の一部である液相配管21及び気相配管22を介して接続されている。制御装置30は、少なくとも圧縮機11を制御する運転モードとして、第1運転モード(例えば、通常運転を行う運転モード)と、圧縮機11から流出する油の流量が第1運転モードよりも少ない第2運転モード(例えば、油枯渇回避運転を行う運転モード)と、を備えている。制御装置30は、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積と外気温度とに基づいて、第1運転モード及び第2運転モードを切り替えるように構成されている。
この構成によれば、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積と外気温度とに基づいて、第1運転モード及び第2運転モードを適切に切り替えることができる。したがって、圧縮機11での油枯渇を効果的に抑制でき、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。例えば、液相配管21及び気相配管22の配管内容積が大きい場合又は外気温度が低い場合などには、第2運転モードを実行することにより、圧縮機11での油枯渇を効果的に抑制できる。一方、液相配管21及び気相配管22の配管内容積が小さい場合又は外気温度が高い場合などには、第1運転モードを実行することにより、冷凍サイクル装置100の性能の向上及び立上り時間の短縮を実現でき、快適性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100において、制御装置30は、液相配管21の熱源ユニット40側での冷媒の温度若しくは圧力と、液相配管21の負荷ユニット50側での冷媒の温度若しくは圧力とに基づいて、液相配管21の圧損を算出するか、又は、気相配管22の熱源ユニット40側での冷媒の温度若しくは圧力と、気相配管22の負荷ユニット50側での冷媒の温度若しくは圧力とに基づいて、気相配管22の圧損を算出し、算出した液相配管21又は気相配管22の圧損と、液相配管又は気相配管(例えば、第1学習運転用の液相配管又は気相配管)の配管長が規定配管長である場合における圧損と配管内容積との関係と、に基づいて、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の実際の配管内容積を推定するように構成されていてもよい。
また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100において、制御装置30は、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、第1運転モードを実行し、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積以上であり、かつ外気温度が閾値温度未満である場合には、第2運転モードを実行するように構成されていてもよい。
また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100において、制御装置30は、冷媒回路10に滞留した油を圧縮機11に戻す第3運転モード(例えば、油回収運転を行う運転モード)をさらに備えており、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積未満である場合には、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積以上である場合よりも、第3運転モードの実行頻度又は実行時間を減少させるように構成されていてもよい。
変形例1−1.
本実施の形態の変形例1−1について説明する。本変形例では、液相配管21の入口部及び出口部のヘッド差に基づいて、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差(又は熱源ユニット40と負荷ユニット50との高低差)が推定される。冷媒回路10の構成については、図1に示した構成と同様である。
図5は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5のステップS21では、液相配管の配管長が規定配管長(例えば、チャージレス配管長の範囲内の配管長)であり、かつ熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が規定高低差(例えば、±0m)である場合における液相配管のヘッド差を算出する。
ここで、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差は、負荷側熱交換器14の設置高さに対する熱源側熱交換器12の設置高さを表す値(すなわち、熱源側熱交換器12の設置高さから負荷側熱交換器14の設置高さを減じた値)とした。つまり、熱源側熱交換器12の設置高さが負荷側熱交換器14の設置高さよりも高い場合には、高低差は正の値となる。一方、熱源側熱交換器12の設置高さが負荷側熱交換器14の設置高さよりも低い場合には、高低差は負の値となる。
高低差の正負は、便宜上、高低差が大きくなるほど油枯渇が生じやすくなるように定められたものである。冷凍サイクル装置100が冷房運転及び暖房運転を切替え可能な構成を有する場合において、暖房運転時には、圧縮機11から吐出されたガス冷媒は負荷側熱交換器14に流入する。負荷側熱交換器14が圧縮機11よりも低い位置に設置されている場合には、圧縮機11からガス冷媒と共に吐出された油が圧縮機11に戻りにくくなるため、油枯渇が生じやすくなる。圧縮機11は、熱源側熱交換器12と同程度の高さに設置されている。したがって、熱源側熱交換器12の設置高さが負荷側熱交換器14の設置高さよりも高い場合(高低差が正の値である場合)には、油枯渇が生じやすくなる。逆に、熱源側熱交換器12の設置高さが負荷側熱交換器14の設置高さよりも低い場合(高低差が負の値である場合)には、油枯渇が生じにくくなる。すなわち、上記のように高低差の正負が定められることにより、高低差が大きくなるほど圧縮機11の油枯渇が生じやすくなる。同様に、液相配管のヘッド差は、負荷ユニット50側に対する熱源ユニット40側の高さを表す値とした。
ステップS21は、冷凍サイクル装置100が据え付けられる前(例えば、製品出荷前)に行われる。例えば、ステップS21は、熱源ユニット40と負荷ユニット50とを規定高低差となるように設置し、規定配管長の液相配管及び気相配管(学習用の液相配管及び気相配管)で熱源ユニット40と負荷ユニット50とを接続し、かつ圧縮機11を停止させた状態で行われる。圧縮機11を停止させた状態では、冷媒回路内の冷媒は、高さが高いところから低いところに流れる。このため、熱源ユニット40側と負荷ユニット50側とに高低差がある場合、液相配管の熱源ユニット40側と負荷ユニット50側とには圧力差が生じる。ステップS21では、この状態において、冷媒温度センサ31での検出温度と冷媒温度センサ32での検出温度とに基づき、液相配管の熱源ユニット40側と負荷ユニット50側とのヘッド差を算出する。
ステップS22は、冷凍サイクル装置100が出荷されて実際に据え付けられた後に、圧縮機11を停止させた状態で行われる。ステップS22では、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21のヘッド差を、冷媒温度センサ31での検出温度と冷媒温度センサ32の検出温度とに基づいて算出する。
次に、ステップS23では、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21及び気相配管22の配管内容積と、実際の熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差と、を推定する。実際の液相配管21の配管内容積と、実際の熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差とは、液相配管の配管長及び高低差がそれぞれ規定配管長及び規定高低差であるときの配管内容積及び高低差とヘッド差との関係と、算出された実際の液相配管21のヘッド差と、に基づいて推定することができる。実際の気相配管22の配管内容積は、推定された液相配管21の配管内容積に基づいて推定することができる。なお、負荷ユニット50の台数が複数台である場合には、負荷ユニット50毎に配管内容積及び高低差が推定され、そのうち最も大きい配管内容積及び高低差が推定値として用いられる。
ステップS24以降は、例えば、冷凍サイクル装置100の起動時及び運転中に繰り返して実行される。
ステップS24では、外気温度センサ33で検出された外気温度を取得する。
次に、ステップS25では、推定された配管内容積が閾値容積未満であり、かつ推定された高低差が閾値高低差未満であるか否かを判定する。ステップS5と同様に、閾値容積としては、例えば、規定配管長の液相配管及び気相配管の配管内容積を用いることができる。また、閾値高低差は、例えば、規定高低差又は±0mとすることができる。推定された配管内容積が閾値容積未満であり、かつ推定された高低差が閾値高低差未満であると判定した場合には、ステップS27に進む。推定された配管内容積が閾値容積以上であると判定した場合、又は推定された高低差が閾値高低差以上であると判定した場合には、ステップS26に進む。
ステップS26では、外気温度が予め設定された閾値温度未満であるか否かを判定する。外気温度が閾値温度未満であると判定した場合にはステップS28に進み、外気温度が閾値温度以上であると判定した場合にはステップS27に進む。
ステップS27では、通常運転(第1運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積未満でありかつ高低差が閾値高低差未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、冷凍サイクル装置100の通常運転が行われる。
ステップS28では、油枯渇回避運転(第2運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積以上であるか又は高低差が閾値高低差以上であり、かつ外気温度が閾値未満である場合には、冷凍サイクル装置100の油枯渇回避運転が行われる。
図6は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの別の例を示すフローチャートである。図5に示す処理と図6に示す処理とは、互いに組み合わせて実行することができる。図6のステップS31〜S33については、図5のステップS21〜S23と同様であるので説明を省略する。
図6のステップS34では、図5のステップS25と同様に、推定された配管内容積が閾値容積未満であり、かつ推定された高低差が閾値高低差未満であるか否かを判定する。配管内容積が閾値容積未満であり、かつ高低差が閾値高低差未満であると判定した場合には、ステップS35に進む。一方、配管内容積が閾値容積以上であるか、又は高低差が閾値高低差以上であると判定した場合には、ステップS36に進む。
ステップS35では、油回収運転の実行頻度又は実行時間を減少させる制御を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積未満であり、かつ高低差が閾値高低差未満である場合には、油回収運転の実行頻度又は実行時間が減少する。
ステップS36では、油回収運転の実行頻度又は実行時間を増加させる制御を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積以上であるか、又は高低差が閾値高低差以上である場合には、油回収運転の実行頻度又は実行時間が増加する。
以上説明したように、本変形例に係る冷凍サイクル装置100では、負荷側熱交換器14の設置高さに対する熱源側熱交換器12の設置高さを熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の高低差としたとき、制御装置30は、さらに熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の高低差に基づいて、第1運転モード及び第2運転モードを切り替えるように構成されている。
また、本変形例に係る冷凍サイクル装置100では、制御装置30は、冷媒回路10に滞留した油を圧縮機11に戻す第3運転モード(例えば、油回収運転を行う運転モード)をさらに備えており、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の高低差が閾値高低差未満である場合には、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の高低差が閾値高低差以上である場合よりも、第3運転モードの実行頻度又は実行時間を減少させるように構成されている。
本変形例によれば、既に述べた本実施の形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。すなわち、本変形例によれば、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が大きい場合において、油枯渇を効果的に抑制できる。したがって、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
また、本変形例によれば、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が小さい場合には、油回収運転の実行頻度又は実行時間を減少させることができる。したがって、冷凍サイクル装置100の性能の向上及び立上り時間の短縮を実現でき、快適性を向上させることができる。
変形例1−2.
本実施の形態の変形例1−2について説明する。本変形例では、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報に基づいて、液相配管21及び気相配管22の配管内容積と、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差と、が推定される。
図7は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。図7に示すように、熱源側熱交換器12には、GPS受信機34(位置検出部の一例)が取り付けられている。GPS受信機34は、熱源側熱交換器12の3次元的な位置を検出し、熱源側熱交換器12の3次元的な位置情報を制御装置30に出力する。負荷側熱交換器14には、GPS受信機35(位置検出部の一例)が取り付けられている。GPS受信機35は、負荷側熱交換器14の3次元的な位置を検出し、負荷側熱交換器14の3次元的な位置情報を制御装置30に出力する。GPS受信機34、35は、それぞれ熱源ユニット40及び負荷ユニット50に取り付けられていてもよい。
図8は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8のステップS41では、液相配管の配管長が規定配管長(例えば、チャージレス配管長の範囲内の配管長)であり、かつ熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が規定高低差(例えば、±0m)である場合における熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報を取得する。ステップS41は、図5のステップS21と同様に、冷凍サイクル装置100が据え付けられる前(例えば、製品出荷前)に行われる。例えば、ステップS41は、熱源ユニット40と負荷ユニット50とを規定高低差となるように設置し、規定配管長の液相配管及び気相配管で熱源ユニット40と負荷ユニット50とを接続した状態で行われる。
液相配管の配管長が規定配管長である場合における液相配管及び気相配管の配管内容積は、液相配管及び気相配管のそれぞれの管内径と規定配管長とを用いて算出される。これにより、ステップS41では、液相配管の配管長が規定配管長である場合における液相配管及び気相配管の配管内容積と、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報と、の関係が得られる。また、ステップS41では、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差と、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報と、の関係が得られる。
ステップS42は、冷凍サイクル装置100が出荷されて実際に据え付けられた後に行われる。ステップS42では、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報を取得する。
次に、ステップS43では、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21及び気相配管22の配管内容積と、実際の熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差と、を推定する。実際の液相配管21の配管内容積と、実際の熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差とは、液相配管の配管長及び高低差がそれぞれ規定配管長及び規定高低差であるときの配管内容積及び高低差と熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報との関係と、実際の熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報と、に基づいて推定することができる。実際の気相配管22の配管内容積は、推定された液相配管21の配管内容積に基づいて推定することができる。なお、負荷ユニット50の台数が複数台である場合には、負荷ユニット50毎に配管内容積及び高低差が推定され、そのうち最も大きい配管内容積及び高低差が推定値として用いられる。
ステップS44以降は、例えば、冷凍サイクル装置100の起動時及び運転中に繰り返して実行される。
ステップS44では、外気温度センサ33で検出された外気温度を取得する。
次に、ステップS45では、推定された配管内容積が閾値容積未満であり、かつ推定された高低差が閾値高低差未満であるか否かを判定する。ステップS5と同様に、閾値容積としては、例えば、規定配管長の液相配管及び気相配管の配管内容積を用いることができる。また、閾値高低差は、例えば、規定高低差又は±0mとすることができる。推定された配管内容積が閾値容積未満であり、かつ推定された高低差が閾値高低差未満であると判定した場合には、ステップS47に進む。推定された配管内容積が閾値容積以上であると判定した場合、又は推定された高低差が閾値高低差以上であると判定した場合には、ステップS46に進む。
ステップS46では、外気温度が予め設定された閾値温度未満であるか否かを判定する。外気温度が閾値温度未満であると判定した場合にはステップS48に進み、外気温度が閾値温度以上であると判定した場合にはステップS47に進む。
ステップS47では、通常運転(第1運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積未満でありかつ高低差が閾値高低差未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、冷凍サイクル装置100の通常運転が行われる。
ステップS48では、油枯渇回避運転(第2運転モードで行われる運転の一例)を行う。すなわち、配管内容積が閾値容積以上であるか又は高低差が閾値高低差以上であり、かつ外気温度が閾値未満である場合には、冷凍サイクル装置100の油枯渇回避運転が行われる。
図9は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの別の例を示すフローチャートである。図8に示す処理と図9に示す処理とは、互いに組み合わせて実行することができる。図9のステップS51〜S53については図8のステップS41〜S43と同様であり、図9のステップS54〜S56は図6のステップS34〜S36と同様である。
以上説明したように、本変形例に係る冷凍サイクル装置100は、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置を検出する位置検出部(例えば、GPS受信機34、35)をさらに備えている。制御装置30は、熱源側熱交換器12及び負荷側熱交換器14の位置情報と、液相配管又は気相配管の配管長が規定配管長である場合における熱源側熱交換器及び負荷側熱交換器の位置情報と配管内容積との関係と、に基づいて、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の実際の配管内容積を推定するように構成されている。
本変形例によれば、既に述べた本実施の形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。すなわち、本変形例によれば、液相配管21及び気相配管22の配管内容積と、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差とを、学習運転を行うまでもなく推定することができる。したがって、冷凍サイクル装置100の据付け時間を短縮することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置について説明する。図10は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100は、実施の形態1の冷凍サイクル装置100と同様の構成に加えて、油分離器15、返油管16及び返油調整弁17をさらに有している。
油分離器15は、冷媒回路10において圧縮機11の吐出側に設けられている。油分離器15は、圧縮機11から吐出される流体をガス冷媒と油とに分離し、ガス冷媒を冷媒回路10の例えば熱源側熱交換器12側に流出させるとともに、油又は油濃度の高い混合液を油流出口から流出させるものである。
返油管16は、油分離器15の油流出口と圧縮機11の吸入側との間を、圧縮機11を経由せずに接続する配管である。油分離器15の油流出口から流出した油又は混合液は、返油管16を通って圧縮機11に返油される。
返油調整弁17は、返油管16に設けられている。返油調整弁17の開度は、制御装置30によって制御される。返油調整弁17の開度が制御されることにより、返油管16を通って油分離器15から圧縮機11の吸入側に返油される油又は混合液の流量が調整される。
図11は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11のステップS61では、例えば実施の形態1と同様の手順により、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21及び気相配管22の配管内容積を推定する。ステップS61では、例えば実施の形態1と同様の手順により、実際の熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差を併せて推定してもよい。
ステップS62以降は、例えば、冷凍サイクル装置100の起動時及び運転中に繰り返して実行される。
ステップS62では、外気温度センサ33で検出された外気温度を取得する。
ステップS63では、圧縮機11の起動、又はデフロスト運転の終了(例えば、通常運転の再開)からの経過時間を取得する。
ステップS64では、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積と、外気温度とに基づいて、後述するステップS64での判定に用いられる規定時間を調節する。規定時間は、配管内容積が大きいほど長く設定されるとともに、外気温度が低いほど長く設定される。これは、配管内容積が大きく外気温度が低いほど、圧縮機11での油枯渇が生じやすいためである。例えば、配管内容積が閾値内容積以上であり、かつ外気温度が閾値温度よりも低い場合には、規定時間は相対的に長い第1時間に設定される。また例えば、配管内容積が閾値内容積未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、規定時間は第1時間よりも短い第2時間に設定される。
ステップS61で熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が推定された場合には、当該高低差にも基づいて規定時間を調節してもよい。規定時間は、例えば、高低差が大きいほど長く設定される。これは、高低差が大きいほど油枯渇が生じやすいためである。例えば、配管内容積が閾値内容積以上であり、高低差が閾値高低差以上であり、かつ外気温度が閾値温度よりも低い場合には、規定時間は相対的に長い第1時間に設定される。また例えば、配管内容積が閾値内容積未満である場合、高低差が閾値高低差未満である場合、又は外気温度が閾値温度以上である場合には、規定時間は第1時間よりも短い第2時間に設定される。
ステップS65では、圧縮機11の起動、又はデフロスト運転の終了からの経過時間が規定時間未満であるか否かを判定する。経過時間が規定時間未満であると判定した場合にはステップS66に進み、経過時間が規定時間以上であると判定した場合にはステップS67に進む。
ステップS66では、返油調整弁17の開度を第1開度に設定する。すなわち、圧縮機11の起動又はデフロスト運転の終了からの経過時間が規定時間に達するまでの期間には、返油調整弁17の開度が第1開度に設定される。第1開度は、油分離器15から圧縮機11への返油量が多くなるように、相対的に大きい開度(例えば、全開開度)となっている。
ステップS67では、返油調整弁17の開度を第2開度に設定する。すなわち、圧縮機11の起動又はデフロスト運転の終了からの経過時間が規定時間に達した後の期間には、返油調整弁17の開度が第2開度に設定される。第2開度は、油分離器15から圧縮機11への返油量が減少し、余剰油が油分離器15に滞留又は貯留されるように、第1開度よりも小さい開度(例えば、中間開度)となっている。
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100では、冷媒回路10は、圧縮機11の吐出側に設けられた油分離器15と、油分離器15で分離された油を圧縮機11に返油する返油管16と、返油管16に設けられた返油調整弁17と、をさらに有している。制御装置30は、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積と外気温度とに基づいて規定時間を調節し、圧縮機11の起動又はデフロスト運転の終了からの経過時間が規定時間に達するまでの期間には、返油調整弁17の開度を第1開度に設定し、経過時間が規定時間に達した後の期間には、返油調整弁17の開度を第1開度よりも小さい第2開度に設定するように構成されている。
本実施の形態によれば、配管内容積が小さい場合(例えば、液相配管21及び気相配管22が短尺である場合)などにおいて、余剰油を油分離器15に滞留又は貯留させることができる。これにより、圧縮機11内の油面が過度に上昇してしまうことを防ぐことができ、圧縮機11から油が持ち出される量を減少させることができる。したがって、圧縮機11及び冷凍サイクル装置100の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、圧縮機11の起動直後及びデフロスト運転の終了直後において、油分離器15から圧縮機11への返油量を増加させることができる。これにより、圧縮機11での油枯渇を抑制できるため、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置について説明する。図12は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。なお、実施の形態1又は2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図12に示すように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100は、実施の形態2の冷凍サイクル装置100と同様の構成に加えて、余剰油を貯留する油容器18をさらに有している。油容器18は、返油管16のうちの油分離器15と返油調整弁17との間に設けられている。
図13は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13のステップS71、S73〜S78は、図11のステップS61〜S67と同様である。
ステップS72以降は、例えば、冷凍サイクル装置100の起動時及び運転中に繰り返して実行される。
ステップS72では、圧縮機11の運転を継続するか否かを判定する。圧縮機11の運転を継続する場合にはステップS73に進み、圧縮機11の運転を終了する場合にはステップS79に進む。
ステップS79では、返油調整弁17の開度を全閉に設定する。
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100では、冷媒回路10は、返油管16のうちの油分離器15と返油調整弁17との間に設けられた油容器18をさらに有している。
本実施の形態によれば、定常運転時に余剰油を油容器18に貯留することができる。これにより、圧縮機11内の油面が過度に上昇してしまうことを防ぐことができ、圧縮機11から油が持ち出される量を減少させることができる。したがって、定常運転時の圧縮機11及び冷凍サイクル装置100の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、余剰油を油分離器15ではなく油容器18に貯留することができる。したがって、油分離器15での分離効率の低下を防止でき、定常運転時の冷凍サイクル装置100の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、油分離器15で分離された油又は混合液を油容器18に一旦貯留することによって、油濃度のより高い混合液を圧縮機11に返油することができる。したがって、圧縮機11の起動直後及びデフロスト運転の終了直後において、油濃度のより高い混合液を圧縮機11に返油することにより、圧縮機11での油枯渇をより効果的に抑制でき、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
変形例3−1.
本実施の形態の変形例3−1について説明する。本変形例では、圧縮機11の運転を停止する前又はデフロスト運転を終了する前に、油貯留運転(第4運転モードで行われる運転の一例)が行われる。ここで、油貯留運転とは、圧縮機11以外の冷媒回路10に滞留した油を回収して油容器18に貯留する運転のことである。
図14は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。図14に示すように、熱源側熱交換器12には、冷媒温度センサ36が取り付けられている。冷媒温度センサ36は、放熱器として機能する熱交換器(本例では、熱源側熱交換器12)の二相部の冷媒温度を検出し、検出信号を制御装置30に出力するものである。冷媒温度センサ36に代えて、二相部の冷媒圧力を検出する冷媒圧力センサが設けられていてもよい。なお、負荷側熱交換器14が放熱器として機能する場合には、負荷側熱交換器14の二相部の冷媒温度又は冷媒圧力を検出する冷媒温度センサ又は冷媒圧力センサが設けられていてもよい。また、図示を省略しているが、圧縮機11の吐出配管には、吐出温度センサが取り付けられている。吐出温度センサは、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度を検出し、検出信号を制御装置30に出力するものである。
図15は、本変形例に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13に示した処理と図15に示す処理とは、互いに組み合わせて実行することができる。図15に示す処理は、圧縮機11の運転を停止するとき又はデフロスト運転を終了するとき(例えば、圧縮機11の運転停止指令又はデフロスト運転終了指令を外部から受信したとき)に実行される。例えば実施の形態1と同様の手順により、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21及び気相配管22の配管内容積が既に推定されているものとする。
図15のステップS81では、返油調整弁17の開度を全閉に設定する。これにより、油貯留運転が開始される。
次に、ステップS82では、圧縮機11から吐出される吐出冷媒の温度と、放熱器として機能する熱交換器に二相部の冷媒温度と、に基づいて、吐出冷媒の過熱度を演算する。
次に、ステップS83では、吐出冷媒の過熱度が予め設定された閾値過熱度よりも大きいか否かを判定する。吐出冷媒の過熱度が閾値過熱度よりも大きいと判定した場合にはステップS85に進み、吐出冷媒の過熱度が閾値過熱度以下であると判定した場合にはステップS84に進む。
ステップS84では、吐出冷媒の過熱度が閾値過熱度よりも大きくなるように、各アクチュエータ(例えば、圧縮機11の周波数及び減圧装置13の開度)を制御する。吐出冷媒の過熱度が閾値過熱度よりも大きくなるまで、ステップS82〜S84の処理が繰り返される。
ステップS85では、液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積に基づいて、油貯留運転の実行時間を調節する。熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差が推定されている場合には、配管内容積だけでなく高低差にも基づいて油貯留運転の実行時間を調節してもよい。
ステップS86では、油貯留運転が開始されてからの経過時間が上記実行時間を経過した後、又は、ステップS83で吐出冷媒の過熱度が閾値過熱度よりも大きいと判定されてからの時間が上記実行時間を経過した後、圧縮機11の運転を停止(又は、デフロスト運転を終了して暖房運転を開始)する。
その後、圧縮機11を再び起動する際には、外気温度に基づいて返油調整弁17の開度を調整する。例えば、外気温度が低いほど返油調整弁17の開度が大きくなるようにする。そして、圧縮機11を起動させた後の経過時間が所定時間以上となった場合、返油調整弁17の開度を減少させて返油量を減少させ、再び余剰油を油容器18に貯留させる。
以上説明したように、本変形例に係る冷凍サイクル装置100では、制御装置30は、返油調整弁17を閉状態にして油容器18に油を貯留する第4運転モード(例えば、油貯留運転を行う運転モード)をさらに備えており、圧縮機11を停止させる前又はデフロスト運転を終了する前に第4運転モードを実行し、第4運転モードの実行時間を液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積に基づいて調節するように構成されている。
本変形例によれば、既に述べた本実施の形態の効果に加えて、以下の効果が得られる。すなわち、本変形例によれば、圧縮機11の運転を停止する際には、油容器18内に油を貯留する油貯留運転が実行される。これにより、圧縮機11の停止時に貯留した油を、圧縮機11の次の起動時に返油することができるため、圧縮機11の信頼性を向上させることができる。
また、本変形例によれば、液相配管21及び気相配管22の配管内容積や熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差に基づいて油貯留運転の実行時間を調節できるため、無駄な油貯留運転が実行されるのを回避することができ、冷凍サイクル装置100の性能を向上させることができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る冷凍サイクル装置について説明する。図16は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の構成を示す冷媒回路図である。なお、実施の形態1又は2と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図16に示すように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100は、実施の形態1の冷凍サイクル装置100と同様の構成に加えて、圧縮機11内での液冷媒の寝込みの有無を判定する寝込み判定部37と、圧縮機11のシェルを加熱して圧縮機11内の液冷媒を追い出す加熱部38と、をさらに有している。
寝込み判定部37は、例えば、特開2011−144966号公報に記載されているような構成を有している。すなわち、寝込み判定部37は、停止中の圧縮機11内のモータに判定用の電圧を印加し、モータの入力電圧と入力電流とに基づいてモータの巻き線インピーダンスを推定し、巻き線インピーダンスに基づいて巻き線温度を推定する。また、寝込み判定部37は、吐出圧力センサ又は吸入圧力センサの検出値に基づいて圧縮機11内の冷媒の飽和温度を算出するとともに、飽和温度に基づいて閾値温度を算出する。寝込み判定部37は、巻き線温度が閾値温度よりも低い場合には、巻き線が液冷媒に浸っている状態、すなわち寝込み状態であると判定し、巻き線温度が閾値温度以上である場合には、寝込み状態ではないと判定する。寝込み判定部37には、制御装置30の機能ブロックの一部が含まれている。
加熱部38は、停止中の圧縮機11のシェルを加熱する構成を有している。加熱部38は、例えば、圧縮機11に設けられたケースヒータや、圧縮機11のモータが回転しない条件でモータに通電して巻き線の温度を上昇させる拘束通電手段などによって構成されている。加熱部38の作動によって圧縮機11のシェルが加熱されると、圧縮機11内で寝込んだ液冷媒は蒸発し、圧縮機11から追い出される。これにより、圧縮機11内の油面を低下させることができるため、圧縮機11が起動する時の油の持ち出し量を減少させることができる。
図17は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の制御装置30で実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17に示す処理は、例えば、圧縮機11の停止中に実行される。例えば実施の形態1と同様の手順により、冷凍サイクル装置100が据え付けられた後の実際の液相配管21及び気相配管22の配管内容積と、熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差と、が既に推定されているものとする。
図17のステップS91では、寝込み判定部37から、圧縮機11内における冷媒寝込みの有無の情報を取得する。
ステップS92では、圧縮機11が冷媒寝込み状態であるか否かを判定する。圧縮機11が冷媒寝込み状態であると判定した場合にはステップS93に進み、圧縮機11が冷媒寝込み状態でないと判定した場合にはステップS95に進む。
ステップS93では、推定された配管内容積が閾値容積以上であり、かつ推定された高低差が閾値高低差以上であるか否かを判定する。ステップS5と同様に、閾値容積としては、例えば、規定配管長の液相配管及び気相配管の配管内容積を用いることができる。また、閾値高低差は、例えば、規定高低差又は±0mとすることができる。推定された配管内容積が閾値容積以上であり、かつ推定された高低差が閾値高低差以上であると判定した場合には、ステップS94に進む。推定された配管内容積が閾値容積未満であると判定した場合、又は推定された高低差が閾値高低差未満であると判定した場合には、ステップS95に進む。
ステップS94では、加熱部38を作動させ、圧縮機11のシェルを加熱する。これにより、圧縮機11内で寝込んだ液冷媒を蒸発させ、圧縮機11内の油面を低下させることができる。したがって、圧縮機11が起動するときの油の持ち出し量を減少させ、油枯渇を回避することができる。
ステップS95では、加熱部38を作動させない。これにより、圧縮機11が寝込み状態である場合、圧縮機11が起動するときの油の持ち出し量を減少させることはできない。しかしながら、配管内容積が閾値容積未満である場合、又は高低差が閾値高低差未満である場合には、圧縮機11から持ち出された油が戻りやすくなっているため、加熱部38を作動させて圧縮機11内の液面を低下させるまでもなく、油枯渇は生じにくい。
以上説明したように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100は、圧縮機11内での液冷媒の寝込みの有無を判定する寝込み判定部37と、圧縮機11を加熱する加熱部38と、をさらに備えている。制御装置30は、圧縮機11内で液冷媒の寝込みが発生しており、かつ液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積以上である場合には、加熱部38を作動させ、圧縮機11内で液冷媒の寝込みが発生していない場合、又は液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積が閾値容積未満である場合には、加熱部38を作動させないように構成されている。
本実施の形態によれば、配管内容積が閾値容積未満である場合、又は高低差が閾値高低差未満である場合などの油枯渇が生じにくい条件を満たす場合には、加熱部38を作動させないようにすることができる。したがって、圧縮機11の電力消費量を削減することができる。
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、液相配管21の圧損に基づいて液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積を推定しているが、気相配管22の圧損に基づいて液相配管21及び気相配管22の少なくとも一方の配管内容積を推定するようにしてもよい。気相配管22の圧損は、例えば、気相配管22の入口部での冷媒の温度又は圧力と、気相配管22の出口部での冷媒の温度又は圧力と、に基づいて算出される。
また、上記実施の形態では、液相配管21の入口部及び出口部のヘッド差に基づいて熱源側熱交換器12と負荷側熱交換器14との高低差を推定しているが、気相配管22の入口部及び出口部のヘッド差に基づいて当該高低差を推定するようにしてもよい。
また、上記の各実施の形態や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。