上記の二面囲い式や三面囲い式のストックヤードに貯留物を貯留した場合には、積み上げられた貯留物は、自発的に崩れることのない所定の安息角で、傾斜を有する山のようにして留置される。しかしながら、このような貯留物による傾斜があると、貯留区画の底面側のスペースが大きくとられてしまって、その上方に貯留物を貯留しにくい無駄な空間が生じやすくなり、貯留区画を有効に活用できないという不都合があった。
また、上記特許文献1に記載の貯留ヤードにおいては、駆動装置によってゲートが上下移動する構造であるので、貯留区画に貯留物が貯留された状態だと、貯留物の重量によって、ゲートが押されてしまって、ゲートを上方に移動させにくくなり、貯留物を取出しにくくなる可能性があった。
したがって、本発明の目的は、単位スペース当たりの貯留物の貯留量を増大させることができると共に、貯留区画に貯留物が貯留された状態で可動壁をスムーズに開かせて、貯留物を取出しやすくすることができる、ストックヤード及び貯留物の貯留方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のストックヤードは、背面壁と少なくとも1つの側壁とを有する固定壁で区画されて設けられた、貯留物を貯留するためのものにおいて、前記固定壁の側壁又は背面壁に一側部を回動可能に取付けられ、前記固定壁との間で、仕切られた貯留区画を形成する可動壁と、前記可動壁が閉じた状態で、前記可動壁を固定する可動壁固定手段とを備え、前記可動壁を閉じた状態で、前記可動壁を越えて、前記貯留区画に貯留物を投入可能とされていることを特徴とする。
この発明によれば、可動壁を閉じて、可動壁固定手段で床面に固定することにより、固定壁との間に、仕切られた貯留区画を形成することができる。また、その状態で可動壁を越えて、貯留区画に貯留物を投入することにより、貯留物を高く積み上げても崩れてくることがなく、単位スペース当たりの貯留物の貯留量を増大させることができる。また、貯留区画に貯留した貯留物を取出す場合には、可動壁をショベルローダー等で押さえておき、その状態で可動壁固定手段を外して可動壁を回動可能にすると、貯留区画に積み上げられた貯留物の重量によって可動壁がスムーズに開き、貯留物を取出すことができる。
本発明のストックヤードにおいては、前記固定壁は、前記背面壁と、前記背面壁の両端からほぼ平行に伸びる一対の前記側壁とからなり、一対の前記側壁の間に、前記可動壁が、前記側壁の長さ方向に所定間隔で複数設けられていることが好ましい。
この態様によれば、最も背面壁側に位置する可動壁を閉じた状態で、背面壁と可動壁とで仕切られた貯留区画に貯留物を投入し、その貯留区画が一杯になったら、その次に背面壁に近い可動壁を閉じて新たな貯留区画を形成し、この新たな貯留区画に貯留物を投入するという操作を繰り返すことにより、複数の貯留区画に順次貯留物を投入することができる。また、各貯留区画の奥側の壁と、手前側の壁との距離を、ショベルローダー等で奥方まで投入しやすい距離にすることができる。
本発明のストックヤードにおいては、前記可動壁は、一側部が前記固定壁の側壁又は背面壁に回動可能に取付けられた一対のものからなり、一対の可動壁を互いに閉じることにより、前記固定壁との間で、前記貯留空間を画成するように構成されていると共に、一対の可動壁が閉じた状態で、一対の可動壁どうしを連結する可動壁連結手段と、前記可動壁を床面に対して固定する前記可動壁固定手段とを有していることが好ましい。
この態様によれば、可動壁が一対のものからなるため、一枚の可動壁と比べて、可動壁の回動半径や設置スペースを小さくすることができるので、ストックヤードに貯留区画を複数設けやすくすることができる。
本発明のストックヤードにおいては、前記可動壁は、上下方向に沿って複数枚に分割された分割可動壁からなり、上下方向に隣接する各分割可動壁を互いに連結する分割可動壁連結手段を有し、前記可動壁固定手段は、最も下方に配置された前記分割可動壁に設けられていることが好ましい。
この態様によれば、最初は下方に配置された分割可動壁を閉じて、低い障壁を形成することにより、ショベルローダー等で貯留区画に貯留物を投入する際に、貯留区画の奥方に貯留物を投入しやすくすることができる。そして、貯留物が積み上がるに従って、その上方に配置された分割可動壁を順次閉じていくことにより、閉じられた可動壁によって投入のしやすさを損なわずに、貯留物を高く積み上げることができる。
一方、本発明の貯留物の貯留方法の第1は、上記ストックヤードを用い、前記可動壁を閉じて、前記可動壁固定手段で、前記可動壁を固定することにより、前記固定壁との間に、仕切られた貯留区画を形成し、前記可動壁を越えて、前記貯留区画に貯留物を投入し、その後、前記可動壁の外側にも貯留物を投入することを特徴とする。
この発明によれば、固定壁と可動壁とで囲まれた貯留区画に貯留物を投入することにより、貯留物を高く積み上げても崩れることを防止でき、貯留区画が一杯になったら、可動壁を背面壁にして可動壁の外側にも貯留物を投入することができ、貯留区画を有効に活用することができる。
本発明の貯留物の貯留方法の第2は、一対の前記側壁の間に、前記可動壁が、前記側壁の長さ方向に所定間隔で複数設けられているストックヤードを用い、前記背面壁に最も近い可動壁を閉じた状態で、背面壁と可動壁とで仕切られた貯留区画に貯留物を投入し、その貯留区画が一杯になったら、その次に前記背面壁に近い可動壁を閉じて新たな貯留区画を形成し、この新たな貯留区画に貯留物を投入するという操作を繰り返すことにより、複数の貯留区画に順次貯留物を投入することを特徴とする。
この発明によれば、複数の貯留区画に順次貯留物を投入することができる。また、各貯留区画の奥側の壁と、手前側の壁との距離を、ショベルローダー等で奥方まで投入しやすい距離にすることができ、貯留区画を有効活用できると共に、貯留するときの作業性や取出すときの作業性を向上させることができる。
本発明の貯留物の貯留方法の第3は、一対の前記側壁の間に、前記可動壁が、前記側壁の長さ方向に所定間隔で複数設けられているストックヤードを用い、貯留物の貯蔵量に応じて必要とされる貯留区画の数を求め、前記貯留区画の数が全貯留区画の数よりも少なくてすむ場合には、前記背面壁から離れた所定の可動壁と、該所定の可動壁に隣接する可動壁と、一対の前記側壁とによって形成される貯留区画を、最初の貯留区画として設定し、この最初の貯留区画から前記貯留物の投入を開始することを特徴とする。
この発明によれば、複数の貯留区画のうち、貯留物の貯蔵量に応じて必要とされる貯留区画の数を求め、前記貯留区画の数が全貯留区画の数よりも少なくてすむ場合には、背面壁から離れた所定の可動壁と、該所定の可動壁に隣接する可動壁と、一対の側壁とによって形成される貯留区画を、最初の貯留区画として設定し、この最初の貯留区画から前記貯留物の投入を開始する。そして、最初の貯留区画が一杯になり、更に貯留物が残存している場合には、最初の貯留区画の可動壁よりも背面壁から離れた可動壁を閉じて新たな貯留区画を形成することで、手前側の貯留区画を有効に活用することができるので、ショベルローダー等の移動量を小さくして、作業性を向上させることができる。
本発明の貯留物の貯留方法の第4は、上下方向に沿って複数枚に分割された分割可動壁を有するストックヤードを用い、最初は下方に配置された前記分割可動壁を閉じて前記貯留区画に貯留物を投入し、貯留物が積み上がるのに応じて、その上方に配置された前記分割可動壁を順次閉じながら、貯留物を投入することを特徴とする。
この発明によれば、最初は下方に配置された分割可動壁を閉じて、低い障壁を形成した状態で、貯留区画に貯留物を投入するので、ショベルローダー等で貯留区画の奥方に貯留物を投入しやすくすることができる。また、貯留物が積み上がるのに応じて、その上方に配置された分割可動壁を順次閉じながら、貯留物を投入することにより、閉じられた可動壁によって投入のしやすさを損なわずに、貯留物を高く積み上げることができる。
本発明によれば、可動壁を閉じて可動壁固定手段で固定することで、貯留区画を形成でき、その状態で貯留区画に貯留物を投入することにより、貯留物を高く積み上げても崩れることがなく、単位スペース当たりの貯留物の貯留量を増大できる。更に、貯留区画に貯留物が一杯になったときには、可動壁を背面壁として、可動壁の外側にも貯留物を貯留することができる。また、貯留区画に貯留した貯留物を取出す場合には、可動壁を押さえた状態で可動壁固定手段を外して可動壁を回動可能にすると、貯留区画に積み上げられた貯留物の重量によって可動壁がスムーズに開き、貯留物を取出すことができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るストックヤード、及び、これを用いた貯留物の貯留方法の、一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態のストックヤード10は、背面壁21と少なくとも1つの側壁23とを有する固定壁20を有し、固定壁20の内側に貯留物5を貯留するためのスペースを提供するものである。なお、貯留物5としては、ペットボトルや、缶、瓶、鉄くず、紙類等のリサイクル可能な資源ごみや、生ごみや家庭用ごみ等の焼却するもの、更には、貨物や商品などを挙げることができ、特に限定はない。また、このストックヤード10は、例えば、廃棄物をリサイクルしたり焼却処理したりすることが可能な廃棄物処理施設に設置して、貯留物を一時的に保管するために用いることができるが、貨物や商品などを一時的に保管する保管庫等に用いることもでき、設置箇所は特に限定されない。
図4に示すように、この実施形態における固定壁20は、背面壁21と、該背面壁21の両端からほぼ平行に伸びる一対の側壁23,23とから構成された、細長い貯留空間Aを有している。
また、図4に示すように、この実施形態では、3枚以上の側壁23が並列して設置されて、各側壁23の間に細長い貯留空間Aが設けられ、それぞれの貯留空間Aに、材質等の異なる貯留物5(例えば、ペットボトルや瓶、缶等)を分別して貯留可能となっている。
なお、固定壁20としては、背面壁21及び一対の側壁23,23からなるものに限らず、背面壁21と少なくとも1つの側壁23とを有していればよく、特に限定はされない(この態様については、図10に示す実施形態で説明する)。
そして、このストックヤード10は、固定壁20の側壁23及び/又は背面壁21に、一側部31を回動可能に取付けられて、固定壁20との間で、仕切られた貯留区画Eを形成する可動壁30を有している。
この実施形態では、図1及び図3に示すように、一側部31がヒンジ部37を介して、一対の側壁23,23の内側に回動可能に取付けられた、いわゆる観音開き構造をなした一対の可動壁30,30からなり、一対の可動壁30,30を閉じることにより、固定壁20との間で貯留区画Eを画成するように構成されている。
また、この実施形態においては、図4に示すように、上記構造をなした一対の可動壁30,30が、一対の側壁23,23の長さ方向に、所定間隔をあけて複数設けられており、複数の貯留区画Eが形成されるようになっている。
更に、図1及び図3に示すように、各側壁23の内側面には、矩形凹状をなした収容凹部25が、側壁23の長さ方向に沿って所定間隔をあけて形成されており、可動壁30を開いたときに、各収容凹部25に可動壁30を収容可能となっている。そのため、可動壁30を開いた状態で、貯留物を取出すときに、貯留物やショベルローダーが可動壁30の端部に引っ掛からないようにされている。
また、図3に示すように、収容凹部25の、背面壁21寄りの周縁部には、ストッパー27が設けられており、可動壁30を閉じたときに、ストッパー27に当接することで、可動壁30の回動角度が規制されるようになっている。
また、各可動壁30の他側部33には、段部35がそれぞれ設けられており、一対の可動壁30,30を閉じると、段部35,35どうしが係合すると共に、可動壁連結手段40によって、一対の可動壁30,30が閉じた状態に保持されるようになっている。
この実施形態の可動壁連結手段40は、図1や図2に示すように、可動壁30,30の外側(背面壁21から離れた面側)に、スライド可能に配置された棒材からなる、いわゆる閂構造をなしているが、一端を一方の可動壁30に上下回動可能に取付けられ、他端を他方の可動壁30に設けた保持金具に挿入可能とされたレバー式のもの等を用いてもよく、その構造は特に限定されない。
なお、一対の可動壁30,30は、段部35,35どうしを係合させる構造以外に、例えば、一方の可動壁30の端部の内側面から薄い板部を延出させ、他方の可動壁30の端部が上記薄い板部に重なるようにしてもよく、あるいは、一対の可動壁30の端部どうしが突き合わされるようにしてもよい。
また、本発明における「可動壁の外側」とは、固定壁20の背面壁21から離れた側を意味し、「可動壁の内側」とは、背面壁21に近い側を意味する。
更に図2に示すように、可動壁30の他側部33の下縁部には、車輪39が固着されており、可動壁30の回動が容易になっている。また、可動壁30の下面には、床面1と可動壁30との隙間を覆うカバー部材43が取付けられており(図2参照)、貯留区画Eに貯留された貯留物5が粉粒体のようなものであっても、可動壁30の外側に流出することを防止できるようになっている。
更に、この実施形態のストックヤード10は、可動壁30が閉じた状態で、該可動壁30を床面1に対して固定するための、可動壁固定手段45を有している。
この実施形態の可動壁固定手段45としては、略L字状に屈曲した棒状をなすと共に、その下端部を、床面1に設けた凹部2に抜き差し可能となるように、上下に移動可能な構造をなしており、可動壁30,30の他側部33側の下縁部外側にそれぞれ設けられている。
そして、可動壁固定手段45,45の下端部が、床面1に設けた凹部2,2にそれぞれ差し込まれると、床面1に対して各可動壁30,30が固定されて、一対の可動壁30,30が閉じた状態に固定される。一方、可動壁固定手段45,45の下端部を、凹部2,2からそれぞれ引き抜くと、床面1に対する可動壁30,30の固定が解除されて、各可動壁30,30を、ヒンジ部37を介して自由に回動できるようになっている。
なお、この可動壁固定手段45としては、上記のL字状の棒のみならず、床面1に対して各可動壁30を固定できる構造であれば、特に限定はされない。
また、図4に示すように、各貯留区画Eの幅方向長さL1、すなわち、一対の側壁23,23どうしの間隔は、3〜8mであることが好ましく、5〜6mであることがより好ましい。更に、各貯留区画Eの奥行き長さL2、すなわち、背面壁21とそれに隣接する可動壁30との間隔、又は、側壁23の長さ方向に隣接して配置された可動壁30,30との間隔は、4〜7mであることが好ましく、4〜5mであることがより好ましい。
そして、このストックヤード10は、一対の可動壁30,30を閉じた状態で、これらの可動壁30,30を越えて、前記固定壁20と可動壁30とで仕切られた貯留区画Eの上方開口部から、該貯留区画Eに貯留物5を投入可能となるように構成されている。
ここで、可動壁30を越えて貯留区画Eに貯留物5を投入可能とは、例えば、バケット4を有するショベルローダー3等の現場で使用する投入手段によって投入することが可能な高さであることを意味する。なお、貯留物5の投入手段としては、ショベルローダー3に限定されず、他の搬送車両であってもよく、更には、人力によって投入することもできる。
また、バケット4を有する搬送車両を用いて貯留物5を投入する場合には、図5(a)に示すように、可動壁30の内側からのバケット4の最大突出量をL3としたとき、前記貯留区画Eの奥行き長さL2に対して、L3:L2=1:1〜1:4となる関係であることが好ましく、L3:L2=1:2〜1:3となる関係であることがより好ましい。
次に、上記構造をなしたストックヤード10の作用効果、及び、同ストックヤード10を用いた、本発明に係る貯留物の貯留方法について説明する。
まず、図3に示すように、ヒンジ部37を介して各可動壁30を回動させて、その段部35,35どうしを係合させて、一対の可動壁30,30を閉じると共に、図2に示すように、閂状の可動壁連結手段40をスライドさせて、一対の可動壁30,30どうしを連結した状態に保持する。それと共に、略L字棒状をなした可動壁固定手段45の下端部を、床面1の凹部2に差し込んで、床面1に対して一対の可動壁30,30を閉じた状態に固定する。こうして、固定壁20と可動壁30との間に、仕切られた貯留区画Eを形成することができる(図1及び図3参照)。
この状態で、図1や図4に示すように、例えば、バケット4に貯留物5を積み込んだショベルローダー3等の搬送車両によって、前記一対の可動壁30,30を越えて、貯留区画Eの上方開口部から、該貯留区画Eに貯留物5を投入する。これによって、貯留区画Eに貯留物5を高く積み上げることができると共に、貯留物5を高く積み上げても崩れることを防止して、単位スペース当たりの貯留物5の貯留量を増大させることができる(図1参照)。
そして、背面壁21から最も近い貯留区画Eに貯留物5が一杯になった場合には、その次に背面壁21に近い一対の可動壁30,30(ここでは背面壁21から2番目に近い配置された可動壁)を回動させて、これらを可動壁連結手段40で連結すると共に、可動壁固定手段45で床面1に対して閉じた状態に固定することによって、固定壁20との間に新たな貯留区画Eが形成されるので、この新たな貯留区画Eに貯留物5を投入することで、背面壁21から2番目に近い可動壁30の外側にも貯留物5が投入されて、貯留物5を積み上げることができる(図5(a)参照)。以後、閉じた回動壁30の次に背面壁21に近い可動壁30を閉じて新たな貯留区画Eを形成し、この貯留区画Eに貯留物5を投入するという操作を繰り返すことで、複数の貯留区画Eに順次貯留物5を貯留することができる。
以上のように、本発明の貯留物の貯留方法によれば、可動壁30を閉じて、可動壁固定手段45で、可動壁30を床面1に固定することにより、固定壁20との間に仕切られた貯留区画Eを形成し、可動壁30を越えて、貯留区画Eに貯留物5を投入し、貯留区画Eが一杯になったら、可動壁30を新たな背面壁にして、当該可動壁30の外側にも貯留物5を投入することができるので、貯留物5の貯留量を増大させることができる。
また、本発明の貯留物の貯留方法の好ましい態様によれば、背面壁21に最も近い可動壁30を閉じた状態で、背面壁21と可動壁30とで仕切られた貯留区画Eに貯留物5を投入し、その貯留区画Eが一杯になったら、その次に背面壁21に近い可動壁30を閉じて新たな貯留区画Eを形成し、この新たな貯留区画Eに貯留物5を投入するという操作を繰り返すことにより、複数の貯留区画Eに順次貯留物を投入することができる(図5(a)参照)。
そして、複数の可動壁30によって、複数の貯留区画Eを設けることにより、各貯留区画Eにおける奥行き長さL2(図4参照)を比較的短くすることができるので、ショベルローダー3のバケット4等によって、各貯留区画Eの奥方まで貯留物5を投入しやすくすることができると共に、貯留するときの作業性や取出すときの作業性を向上させることができる。
そして、所定の貯留区画Eに積み上げた貯留物5を取出したい場合には、例えば、次のようにして行うことができる。
まず、図5(b)に示すように、ショベルローダー3のバケット4等によって、一対の可動壁30,30の他側部33,33側を押えておく。この状態で、可動壁連結手段40による、一対の可動壁30,30どうしの連結状態を解除すると共に、可動壁固定手段45による、可動壁30と固定壁20との固定状態を解除して、ショベルローダー3を後退させることで、図6に示すように、貯留区画Eに貯留された貯留物5の重量によって、一対の可動壁30,30が内側から押されてスムーズに開いて、一対の可動壁30,30の他側部33,33の隙間から貯留物5が飛び出るため、この貯留物5をショベルローダー3のバケット4で掬って、例えば、廃棄物処理施設の所定箇所(リサイクル処理施設や焼却施設等)に搬送することができる。
このように、このストックヤード10によれば、特許文献1の貯留ヤードとは異なり、回動可能とされた可動壁30を用いたので、上記のような貯留物5の取出し時に、可動壁30をショベルローダー3等で押えておき、可動壁固定手段45を解除して可動壁30を回動可能するだけの簡単作業によって、貯留物5の重量によって可動壁30をスムーズに開くことができ、貯留物5の取出し作業性を向上させることができる。
また、この実施形態においては、前記固定壁20は、背面壁21と、該背面壁21の両端からほぼ平行に伸びる一対の側壁23,23とから構成され、該一対の可動壁30,30が、一対の側壁23,23の長さ方向に、所定間隔をあけて複数設けられているので、上述した方法によって、複数の貯留区画Eに順次貯留物を投入することができると共に、各貯留区画Eの奥側の壁と、手前側の壁との距離を、ショベルローダー3等で奥方まで投入しやすい距離にすることができる。
更に、この実施形態においては、可動壁として、一対の可動壁30,30を有するものであるため、一枚の可動壁と比べて、各可動壁30の回動半径や設置スペースを小さくすることができ(図3参照)、ストックヤード10に貯留区画Eを複数設けやすくすることができる(図4参照)。
また、貯留物の貯留方法としては、次のような方法も採用することができる。これについて図7を参照して説明する。
まず、貯留物5の貯蔵量に応じて必要とされる貯留区画Eの数を求める。そして、貯留区画Eの数が全貯留区画の数よりも少なくてすむ場合には、図7に示すように、背面壁21から離れた所定の可動壁30(ここでは背面壁21に最も近い可動壁)と、該所定の可動壁30に隣接する可動壁30(ここでは背面壁21から2番目に近い可動壁)と、一対の側壁23,23とによって形成される貯留区画Eを、最初の貯留区画Eとして設定し、この最初の貯留区画Eから貯留物5の投入を開始する。
そして、最初の貯留区画Eが一杯になり、更に貯留物5が残存している場合には、最初の貯留区画Eの可動壁30(ここでは背面壁21から2番目に近い可動壁)よりも背面壁21から離れた可動壁30(ここでは背面壁21から3番目に近い可動壁)を閉じて新たな貯留区画Eを形成することで、手前側の貯留区画Eを有効に活用することができるので、ショベルローダー3等の移動量を小さくして、作業性を向上させることができる。
図8及び図9には、本発明に係るストックヤード、及び、これを用いた貯留物の貯留方法の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態におけるストックヤード10Aは、可動壁の構造が前記実施形態と異なっている。
すなわち、この実施形態における可動壁は、上下方向に沿って複数枚に分割された分割可動壁30Aからなる。この実施形態では、左右一対の分割可動壁30A,30Aが、上下方向に沿って3枚にそれぞれ分割された構造をなしており、合計で6枚の分割可動壁30Aを有している。なお、左右の分割可動壁30Aは、2枚や4枚に分割にされていてもよく、上下方向に沿って複数枚に分割されていれば、特に限定はされない。
また、左右に配置された分割可動壁30A,30Aの外側には、前記実施形態と同様に、可動壁連結手段40が設けられている。更に、上から1段目に配置された左右の分割可動壁30A,30A、及び、上から2段目に配置された左右の分割可動壁30A,30Aの、他側部33側の下縁部外側に、前記実施形態の可動壁固定手段45と同様の、略L字状棒状をなした分割可動壁固定手段50が上下に移動可能にそれぞれ設けられている。
これに対応して、上から2段目に配置された左右の分割可動壁30A,30Aの他側部33側の上縁部、及び、上から3段目に配置された左右の分割可動壁30A,30Aの他側部33側の上縁部には、前記分割可動壁固定手段50の下端部が挿入されるホルダ51がそれぞれ設けられている。したがって、上方の分割可動壁30Aの分割可動壁固定手段50の下端部が、下方の分割可動壁30Aのホルダ51に挿入されて係合することで、上下方向に隣接して配置された分割可動壁30A,30Aどうしが互いに連結されるようになっている。
また、上下方向に複数枚に分割配置された分割可動壁30Aのうち、最も下方に配置された一対の分割可動壁30A,30Aの、他側部33側の下縁部外側には、前記可動壁固定手段45,45がそれぞれ設けられている。
この実施形態のストックヤード10Aは、次のようして用いることができる。
まず、最初は下方に配置された一対の分割可動壁30A,30Aを閉じて、可動壁固定手段45によって床面1に対して固定して、貯留区画Eを形成し、該貯留区画Eに貯留物5を投入する。その後、更に貯留物5を積み上げたい場合には、下方の分割可動壁30Aよりも上方の、一対の分割可動壁30A,30Aを閉じて、可動壁連結手段40で左右の分割可動壁30A,30Aを連結すると共に、各分割可動壁連結手段50,50によって、下方の分割可動壁30A,30Aに対して固定する。これにより、貯留区画Eの容積が増大するので、更に貯留物5を投入して積み上げることが可能となる。この作業を繰り返して、下方から上方に向かって、分割可動壁30Aを順次閉じながら、貯留物5を貯留していくのである。
上記のように、このストックヤード10Aを用いた本発明に係る貯留物の貯留方法によれば、最初は下方に配置された分割可動壁30Aを閉じて、低い障壁を形成するので、ショベルローダー3等で貯留区画Eに貯留物5を投入する際に、貯留区画Eの奥方に貯留物5を投入しやすくすることができる。また、貯留物5が積み上がるに従って、その上方に配置された分割可動壁30Aを順次閉じていくことにより、閉じられた分割可動壁30Aによって投入のしやすさを損なわずに、貯留物5を高く積み上げることができ、作業効率を上昇させることができる。
図10には、本発明に係るストックヤード、及び、これを用いた貯留物の貯留方法の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態におけるストックヤード10Bは、固定壁20Bの構造が前記実施形態と異なっている。
すなわち、この実施形態の固定壁20Bは、背面壁21と、その一端から背面壁21に対して直角に伸びる一枚の側壁23とからなる。そして、この側壁23に、図示しないヒンジ部37を介して、可動壁30の一側部31が回動可能に取付けられている。また、前記背面壁21の他端に、図示しないヒンジ部37を介して、可動壁30の一側部31が回動可能に取付けられている。
したがって、図10に示すように、一対の可動壁30,30を閉じると、ストックヤード10Bの角部に、貯留区画Eが形成されて、貯留物5を投入して積み上げることができるようになっている。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。