JP6566480B2 - イチゴ属植物のうどんこ病抵抗性関連マーカーとその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、うどんこ病に対する抵抗性を示すイチゴ属植物系統を選抜することができるうどんこ病抵抗性関連マーカー及びその利用方法に関する。
DNAマーカー(遺伝マーカーや遺伝子マーカーとも称される)の開発により、植物の品種改良において、有用形質や不良形質の有無を迅速に且つ効率的に判別することが可能となっている。DNAマーカーの開発は、シロイヌナズナやイネといったモデル植物のみならず、様々な実用植物においても進捗しており、品種改良において大いに役立っている。
非特許文献1には、日本国内におけるイチゴのうどんこ病菌について、少なくとも2レースが存在することが報告されている。また、非特許文献1には、うどんこ病菌に対する感受性及び抵抗性を調査した結果から、イチゴのうどんこ病抵抗性は少なくとも1つの主働遺伝子によって支配されていることが示唆されている。ただし、非特許文献1は、イチゴについてうどんこ病抵抗性に関連するDNAマーカーを開示或いは示唆するものではない。
非特許文献2には、イチゴ品種「とよのか」×「宝交早生」の交雑個体を用いて連鎖地図を作成し、うどんこ病抵抗性DNAマーカーを選抜したことが開示されている。非特許文献2では、「とよのか」特異的マーカーについて29連鎖群(計109マーカー、全長1451.7cM)「宝交早生」特異的マーカーについて21連鎖群(計88マーカー、全長1205.7cM)が得られたとあり、うどんこ病発病調査の結果からQTL解析を行ったことが開示されている。ただし、非特許文献2によれば、有望と考えられた連鎖群でLOD値は1.22程度である。
非特許文献3には、イチゴうどんこ病への抵抗性が複数の抵抗性遺伝子の集積によること、イチゴうどんこ病罹病性品種「さちのか」と抵抗性を有するF. virginiana(原種)を用いてDNAマーカー137個による全長1360cM、30連鎖群の連鎖地図を作成したことが開示されている。非特許文献3によれば、イチゴうどんこ病の検定結果と連鎖地図を用いたQTL解析により3箇所にQTLが位置づけられたとある。
内田・井上(1998) 植物防疫52:14-17 山元ら(2003) 兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告第51:7-12 千葉・板橋(2008) 宮城県農業・園芸総合研究所成績概要書
ところが、上述したようなイチゴうどんこ病抵抗性に関するDNAマーカー技術は、LOD値や寄与率が高いとは言えず、優れたマーカーとは評価できなかった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、多倍数性で複雑なゲノム構造のイチゴ属植物について多数のDNAマーカーを開発し、これら多数のDNAマーカーを用いることでうどんこ病抵抗性を高精度に判定することができるうどんこ病抵抗性関連マーカー及びその利用方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イチゴ属植物における多数のマーカーを準備し、交雑後代系統における形質発現とマーカーとの連鎖解析によって、うどんこ病抵抗性に連鎖するマーカーを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)イチゴ属植物の染色体における配列番号1に示す塩基配列及び配列番号19に示す塩基配列により挟まれる連続する核酸領域からなる、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカー。
(2)上記核酸領域は、配列番号1〜19からなる群から選ばれるいずれか1の塩基配列又は当該塩基配列の一部を含むことを特徴とする(1)記載のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカー。
(3)上記核酸領域は、イチゴ属植物の染色体における配列番号1に示す塩基配列と配列番号7に示す塩基配列とにより挟み込まれる領域に位置することを特徴とする(1)記載のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカー。
(4)少なくとも一方の親がイチゴ属植物である後代植物の染色体及び/又は当該親のイチゴ属植物の染色体を抽出する工程と、上記で得られた染色体における上記(1)乃至(3)いずれか1に記載のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を判定する工程とを含む、うどんこ病抵抗性が向上したイチゴ属植物系統の製造方法。
(5)上記判定する工程では、上記イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを特異的に増幅するプライマーを用いた核酸増幅反応により当該イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を判定することを特徴とする(4)記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
(6)上記判定する工程では、上記イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーに対応するプローブを備えるDNAチップを使用することを特徴とする(4)記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
(7)上記後代植物は種子又は幼苗であり、当該種子又は幼苗から染色体を抽出することを特徴とする(4)記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
本発明によれば、イチゴ属植物における形質の中でもうどんこ病抵抗性に連鎖する新規なイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを提供することができる。本発明に係るイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用することによって、イチゴ属植物の交配系統におけるうどんこ病抵抗性を検定することができる。これにより、うどんこ病抵抗性が向上した特性を有するイチゴ属植物系統を非常に低コストに識別することができる。
イチゴ属植物染色体のマーカーを得る際に使用したDNAマイクロアレイの製造フローを示す模式図である。 DNAマイクロアレイを使用したシグナル検出の工程を示す模式図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代についてイチゴうどんこ病の発症程度を調査した結果を示す特性図である。 うどんこ病抵抗性に関するQTL解析の結果(「08と−f」における第1連鎖群)を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、うどんこ病発症程度を調査した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、うどんこ病発症程度を調査した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)における、イチゴうどんこ病抵抗性関連マーカーのアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)における、イチゴうどんこ病抵抗性関連マーカーのアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)における、イチゴうどんこ病抵抗性関連マーカーのアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)における、イチゴうどんこ病抵抗性関連マーカーのアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)における、イチゴうどんこ病抵抗性関連マーカーのアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較した結果を示す特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果をまとめた特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB535110を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果をまとめた特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果を示す電気泳動写真である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果をまとめた特性図である。 「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代(A集団)、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代(B集団)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代(E集団)について、マーカーIB522828を特異的に増幅するプライマーを用いたPCRの結果をまとめた特性図である。
以下、本発明に係るイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカー及びその利用方法、特にイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを用いたイチゴ属植物系統の製造方法について説明する。
<イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカー>
本発明に係るイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとは、イチゴ属植物の染色体上に存在する特定の領域であり、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性という形質を判別できる機能を有する。すなわち、既知のイチゴ属植物を用いて得られた後代系統において、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を確認することで、うどんこ病抵抗性を有する系統であるか否かを判断することができる。なお、本発明において、イチゴうどんこ病とは、Ann. Phytopathol. Soc. Jpn. 64:121-l24, l998に記載されるように、Sphaerotheca aphanis(Podosphaera aphanis)が感染することに起因して病班が形成される病気を意味している。
また、本発明において、イチゴうどんこ病とは、特に、「とよのか」、「女峰」、「麗紅」、「ひみこ」、「宝交早生」、「ダナー」、「幸玉」、「はるのか」及び「福羽」の9品種のうち「とよのか」及び「はるのか」に病原性を示さず他の7品種に病原性を示す菌株(レース0、日本植物病理学会報、第63巻、第3号、第226頁参照)の感染を原因とする病気とすることが好ましい。
イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとは、うどんこ病抵抗性が高い形質に連鎖するマーカーの意味である。例えば、特定のイチゴ属植物において、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーが存在していればうどんこ病抵抗性が高い品種と判断できる。特に、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーは、イチゴ属植物のうどんこ病抵抗性といった形質の原因遺伝子(群)に連鎖した領域と考えられる。
ここで、イチゴ属植物とは、バラ科イチゴ属(Fragaria L.)に属する植物の全てを含む意味である。すなわち、イチゴ属植物としては、一般的な栽培イチゴであるオランダイチゴ(Fragaria × ananassa)等の交雑種を挙げることができる。また、イチゴ属植物としては、栽培イチゴの祖先種となるF. virginiana並びにF. chiloensis、エゾクサイチゴ(F. vesca)、ノウゴウイチゴ(F. iinumae)、シロバナノヘビイチゴ(F. nipponica)、F. nilgerrensis、F. nubicola、F. bucharica、F. daltoniana、F. orientalis、F. corimbosa、F. moschata及びF. iturupensis等の野生種を挙げることができる。さらに、イチゴ属植物としては、栽培イチゴ(F. × ananassa)における既知の品種・系統も含む意味である。栽培イチゴにおける既知の品種・系統としては、特に限定されず、日本国内にて使用可能なあらゆる品種・系統、日本国外において使用されている品種・系統等を含む意味である。例えば、栽培イチゴの日本国内育成品種としては、特に限定されないが、とよのか、サンチーゴ、純ベリー、女峰、ピーストロ、リンダモール、とちおとめ、アイストロ、栃の峰、章姫、紅ほっぺ、とちひめ、さちのか、けいきわせ、さがほのか、アイベリー、カレンベリー、レッドパール、さつまおとめ、福岡S6(あまおう)、濃姫、ひのみね及び宝交早生等を挙げることができる。
イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を確認する対象の植物としては、上述したイチゴ属植物、上述したイチゴ属植物を利用した後代系統とすることができる。後代系統は、母本及び父本のいずれか一方が上述したイチゴ属植物であればよく、いわゆる同種交配による系統であっても良いし、種間交雑系統であっても良い。また、後代系統は、いわゆる戻し交配によって得られたものでも良い。
特に、栽培イチゴ(F. × ananassa)を対象として、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を確認することが好ましい。さらに、栽培イチゴの中でも上述した各種の品種・系統を用いた品種改良において、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在・非存在を確認することが好ましい。すなわち、この場合、作出した新品種についてイチゴうどんこ病抵抗性を判別することができる。よって、新品種としては、イチゴうどんこ病抵抗性を有する品種を少なくとも一方の親として得た品種であることが好ましい。
本発明に係るイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーは、イチゴ品種「みやざきなつはるか」から取得した8,218個のマーカー及びイチゴ系統「08と−f」から取得した8,039個のマーカーを含む遺伝子連鎖地図と、イチゴうどんこ病抵抗性データとを用いたQTL(Quantitative Trait Loci)解析によって新たに同定されたものである。QTL解析には、遺伝解析ソフトQTL Cartographer(Wang S., C. J. Basten, and Z.-B. Zeng (2010). Windows QTL Cartographer 2.5. Department of Statistics, North Carolina State University, Raleigh, NC)を使用し、Composite interval mapping(CIM)法を適用している。
具体的に、上述したQTL解析により、ロッドスコア(LOD score)が所定の閾値(例えば2.5)以上となる領域を上記遺伝子連鎖地図に見いだした。ピークから1LOD下がる領域は約6.8cM(センチモルガン)であり、「08と−f」の第1連鎖群に含まれる領域であった。ここで、「モルガン(M)」は、染色体上の遺伝子間の距離を相対的に示した単位であり、交叉価をパーセントにした値である。イチゴ属植物の染色体において、1cMは、約400kbに相当する。なお、この領域には、ロッドスコアが約7.3のピークが存在しており、当該ピーク位置又はその近傍にイチゴ属植物うどんこ病抵抗性を向上させる形質の原因遺伝子(群)が存在することが示唆される。
この6.8cMの領域には、表1に示す19種類のマーカーがこの順で含まれている。なお、表1において、マーカー名とは、本発明で独自に取得したマーカーに付された名称である。
Figure 0006566480
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すなわち、本発明に係るイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーは、イチゴ属植物の染色体における配列番号1に示す塩基配列及び配列番号19に示す塩基配列により挟まれる連続する核酸領域である。ここで、上記6.8cMの領域に含まれるピークは、配列番号1に示す塩基配列からなるマーカー(IB535110)及び配列番号7に示す塩基配列からなるマーカー(IB713087)により挟み込まれる領域に存在している。
表1に示した6.8cMの領域に含まれる連続した核酸領域を、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとして使用することができる。ここで、核酸領域とは、イチゴ属植物の染色体に存在する他の領域との同一性が95%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、最も好ましくは70%以下となるような塩基配列からなる領域を意味する。イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとなる核酸領域と他の領域との同一性が上記範囲であれば、定法に従って、当該核酸領域を特異的に検出することができる。ここで、同一性の値は、例えばBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出することができる。
また、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとなる核酸領域の塩基長は、少なくとも8塩基長以上、好ましくは15塩基長以上、より好ましくは20塩基長以上、最も好ましくは30塩基長とすることができる。イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとなる核酸領域の塩基長が上記範囲であれば、定法に従って、当該核酸領域を特異的に検出することができる。
特に、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとしては、上記6.8cMの領域に含まれる19種類のマーカーのうち、配列番号1に示す塩基配列と配列番号7に示す塩基配列とにより挟み込まれる領域から選ばれることが好ましい。上記ピークが配列番号1に示す塩基配列と配列番号7に示す塩基配列とにより挟み込まれる領域に存在するためである。
また、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとしては、上記表1に示した19種類のマーカーから選ばれる1種類のマーカーを含む核酸領域とすることもできる。例えば、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとしては、ピークの位置に最も近い配列番号1に示す塩基配列からなるマーカー(IB535110)を含む核酸領域を使用することが好ましい。このとき、マーカーを含む核酸領域の塩基配列は、当該マーカーの塩基配列に基づいて設計したプライマーを用いたインバースPCR等の隣接配列取得法によって特定することができる。
さらに、イチゴ属植物の染色体における配列番号1に示す塩基配列及び配列番号19に示す塩基配列により挟まれる核酸領域から、複数の領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとすることもできる。
さらにまた、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとしては、上記19種類のマーカーそのものを使用することができる。すなわち、配列番号1〜19の塩基配列からなる19個の領域から選ばれる1又は複数の領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとすることができる。例えば、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとしては、ピークの位置に最も近い配列番号1に示す塩基配列からなるマーカー(IB535110)を使用することが好ましい。或いは、例えば、配列番号2の塩基配列からなるマーカー(IB522828)と配列番号3の塩基配列からなるマーカー(IB559302)とで挟み込まれる領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとすることもできる。
<イチゴ属植物におけるマーカーの同定>
本発明では、上述したように、イチゴ品種「みやざきなつはるか」から取得した8,218個のマーカー及びイチゴ系統「08と−f」から取得した8,039個のマーカーからイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを特定した。ここでは、これら8,218個と8,039個のマーカーについて説明する。このマーカーを同定する際には、特開2011-120558号公報や国際公開公報2011/074510に開示された方法を適用したDNAマイクロアレイを使用することができる。
具体的に、当該DNAマイクロアレイに使用するプローブの設計方法は、図1に示すように、先ず、「みやざきなつはるか」或いは「08と−f」からゲノムDNAを抽出する(工程1a)。次に、抽出したゲノムDNAを1又は複数の制限酵素により消化する(工程1b)。なお、図1に示した例では、制限酵素A及び制限酵素Bの2種類の制限酵素をこの順で用いてゲノムDNAを消化している。ここで、制限酵素としては、特に限定されないが、例えば、PstI、EcoRI、HindIII、BstNI、HpaII、HaeIII等を使用することができる。特に制限酵素としては、ゲノムDNAを完全に消化した際に20〜10000塩基長のゲノムDNA断片となるよう、認識配列の出現頻度等を考慮して適宜選択することができる。また、複数の制限酵素を使用する場合、全ての制限酵素を使用した後のゲノムDNA断片が200〜6000塩基長となっていることが好ましい。さらに、複数の制限酵素を使用する場合、処理に供する制限酵素の順序は特に限定されず、また、処理条件(溶液組成や温度等)が共通する場合には複数の制限酵素を同一の反応系で使用しても良い。すなわち、図1に示した例においては、制限酵素A及び制限酵素Bをこの順で使用してゲノムDNAを消化しているが、制限酵素A及び制限酵素Bを同じ反応系で同時に使用してゲノムDNAを消化しても良いし、制限酵素B及び制限酵素Aをこの順で使用してゲノムDNAを消化してもよい。さらに、使用する制限酵素の数は3以上であってもよい。
次に、制限酵素処理後のゲノムDNA断片に対してアダプターを結合する(工程1c)。ここで、アダプターとは、上述した制限酵素処理によって得られたゲノムDNA断片の両端に結合できるものであれば特に限定されない。アダプターとしては、例えば、制限酵素処理によってゲノムDNAの両末端に形成される突出末端(粘着末端)に対して相補的な一本鎖を有し、詳細を後述する増幅処理の際に使用するプライマーがハイブリダイズしうるプライマー結合配列を有するものを使用することができる。また、アダプターとしては、上記突出末端(粘着末端)に対して相補的な一本鎖を有し、クローニングする際のベクターに組み入れるための制限酵素認識部位を有するものを使用することもできる。
また、複数の制限酵素を使用してゲノムDNAを消化した場合には、各制限酵素に対応する複数のアダプターを準備して使用することができる。すなわち、複数の制限酵素でゲノムDNAを消化した場合に生ずる複数種類の突出末端のそれぞれに対して、相補的な一本鎖を有する複数のアダプターを使用することができる。このとき、複数の制限酵素に対応する複数のアダプターは、共通するプライマーがハイブリダイズできるように共通するプライマー結合配列を有しているものであっても良いし、それぞれ異なるプライマーがハイブリダイズできるように異なるプライマー結合配列を有するものであっても良い。
さらに、複数の制限酵素を使用してゲノムDNAを消化した場合、アダプターとしては、使用した複数の制限酵素のなかから選ばれる1つの制限酵素若しくは、使用した制限酵素のうち一部の制限酵素に対応するアダプターを準備して使用することもできる。
次に、両末端にアダプターが付加されたゲノムDNA断片を増幅する(工程1d)。プライマー結合配列を有するアダプターを使用した場合には、当該プライマー結合配列にハイブリダイズできるプライマーを使用することで上記ゲノムDNA断片を増幅することができる。或いは、アダプターを付加したゲノムDNA断片を、アダプター配列を利用してベクターにクローニングし、当該ベクターにおける所定の領域にハイブリダイズできるプライマーを用いてゲノムDNA断片を増幅することができる。なお、プライマーを用いたゲノムDNA断片の増幅反応としては、一例としてPCRを使用することができる。
また、複数の制限酵素を使用してゲノムDNAを消化するとともに、各制限酵素に対応する複数のアダプターをゲノムDNA断片に連結した場合、複数の制限酵素を用いた処理によって得られたゲノムDNA断片の全てにアダプターが連結されることとなる。この場合、アダプターに含まれるプライマー結合配列を用いて核酸増幅反応を行うことで、得られた全てのゲノムDNA断片を増幅することができる。
或いは、複数の制限酵素を使用してゲノムDNAを消化するとともに、使用した複数の制限酵素のなかから選ばれる1つの制限酵素若しくは、使用した制限酵素のうち一部の制限酵素に対応するアダプターをゲノムDNA断片に連結した場合、得られたゲノムDNA断片のうち、選ばれた制限酵素の認識配列を両末端に有するゲノムDNA断片のみを増幅することができる。
次に、増幅されたゲノムDNA断片の塩基配列を決定し(工程1e)、当該ゲノムDNA断片より短い塩基長を有し、ゲノムDNA断片内の少なくとも一部をカバーする1又は複数の領域を特定し、特定した1又は複数の領域を、栽培いちごにおけるプローブとして設計する(工程1f)。ゲノムDNA断片の塩基配列を決定する方法は、特に限定されず、サンガー法等を適用したDNAシークエンサーを利用した従来公知の方法を使用することができる。ここで、設計する領域としては、上述したように、例えば20〜100塩基長、好ましくは30〜90塩基長、より好ましくは50〜75塩基長とする。
以上のように、栽培いちごから抽出したゲノムDNAを使用して多数のプローブを設計し、設計したプローブの塩基配列に基づいて、担体上にて目的の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成することでDNAマイクロアレイを作製することができる。このように作製したDNAマイクロアレイを使用することで、上述した配列番号1〜19に示した19種類のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを含む8,218個と8,039個のマーカーを同定することができる。
より具体的に、本発明者らは、イチゴ品種「みやざきなつはるか」から取得した8,218個のマーカー、イチゴ系統「08と−f」及びこれらの交配後代系統(147系統)について、上述したDNAマイクロアレイを用いてシグナルデータを取得した。そして、得られたシグナルデータから遺伝子型データを取得し、この遺伝子型データを元にして、遺伝地図作成ソフトウェアAntMap(Iwata H, Ninomiya S (2006) AntMap: constructing genetic linkage maps using an ant colony optimization algorithm. Breed Sci 56: 371-378)を使用し、遺伝距離計算式Kosambiにより染色体におけるマーカーの位置情報を算出した。さらに、取得したマーカーの位置情報をもとに、Mapmaker/EXP ver.3.0(A Whitehead Institute for Biomedical Research Technical Report, Third Edition, January, 1993)により遺伝地図データシートを作成した。その結果、上述した配列番号1〜19に示した19種類のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを含む8,218個と8,039個のマーカーを同定している。
<イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの利用>
イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用することで、うどんこ病抵抗性が未知であるイチゴ属植物(例えば、後代系統)についてうどんこ病抵抗性を示す系統であるか判断することができる。ここで、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用するとは、当該マーカーを含む核酸断片を特異的に増幅する方法を利用する形態、当該マーカーに対応するプローブを有するDNAマイクロアレイを利用する形態を含む意味である。
イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを含む核酸断片を特異的に増幅する方法とは、いわゆる核酸増幅法を利用することを意味する。核酸増幅法としては、目的とする核酸断片を特異的に増幅するように設計したプライマーを使用する方法、プライマーを使用することなく目的とする核酸断片を特異的に増幅する方法が挙げられる。
目的とする核酸断片を特異的に増幅するプライマーとは、核酸増幅法によって、上述のように定義されたイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを含む核酸断片を増幅できるオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーを使用する核酸増幅法としては、特に限定されず、PCR(Polymerase Chain Reaction)法に代表される核酸断片を増幅させるものであればどのようなものでもかまわない。例えば、PCR法以外に、RCA(Rolling Circle Amplification)法、CPT(Cycling Probe Technology)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic Acids)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplificaton of DNA)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic acid Sequence-based Amplification method)法、及びTMA(Transcription mediated amplification method)法等の公知の方法が例示できるが、これらに限定されるものではない。
これら核酸増幅反応のうち例えばPCR法を利用する場合、イチゴ属植物の染色体におけるイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを挟み込むように一対のプライマーを設計する。また、LAMP法を利用する場合、イチゴ属植物の染色体におけるイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを挟み込むように4種類のプライマーを設計する。
プライマーを使用しない核酸増幅法としては、特に限定されないが、LCR(Ligase Chain Reaction)法を挙げることができる。ただし、LCR法においても、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを含む核酸断片にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを設計する。
以上のように、核酸増幅法によれば、検査対象のイチゴ属植物に上記イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーが存在している場合、当該マーカーを含む核酸断片を増幅産物として得ることができる。言い換えると、検査対象のイチゴ属植物から抽出した染色体を鋳型とした核酸増幅法によって所期の核酸断片が増幅された場合には、当該検査対象のイチゴ属植物がうどんこ病抵抗性を有すると判断することができる。
増幅された核酸断片を検出するには、特に限定されないが、増幅反応後の溶液をアガロース電気泳動にかけ、Ethidium BromideやSYBR Greenなどの蛍光性インターカレーターを結合させ特異的な蛍光を観察する方法、核酸増幅反応の溶液に蛍光性インターカレーターを添加し、増幅反応後の蛍光検出を行う方法、蛍光標識されたプライマーを用いて核酸増幅反応を行い、増幅反応後の蛍光検出を行う方法等を挙げることができる。
なお、核酸増幅法を利用してイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを検出する場合、当該マーカーを含む増幅断片の塩基長は、核酸増幅方法の原理等によっても異なるが、例えば30〜10000塩基長とすることができ、50〜5000塩基長とすることが好ましく、70〜2000塩基長とすることがより好ましい。
また、イチゴ属植物におけるうどんこ病抵抗性を判定する際、複数のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを検出しても良い。すなわち、イチゴ属植物の染色体における配列番号1に示す塩基配列及び配列番号19に示す塩基配列により挟まれる核酸領域から選ばれる複数の領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとし、これら複数のイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを検出しても良い。例えば、配列番号1〜19の塩基配列からなる19個の領域から選ばれる複数の領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとし、これら複数の領域を検出しても良い。
一例としては、配列番号1の塩基配列からなる領域(IB535110)と配列番号2の塩基配列からなる領域(IB522828)とをそれぞれイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとし、これら各領域を核酸増幅法により増幅してイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存否を確認することができる。或いは、一例として配列番号2の塩基配列からなる領域(IB522828)と配列番号3の塩基配列からなる領域(IB559302)とで挟み込まれる領域をイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとし、この領域を核酸増幅法により増幅してイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存否を確認することができる。
一方、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーに対応するプローブを有するDNAマイクロアレイを利用する形態において、当該プローブとは、上述のように定義されたイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーに対して、ストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドを意味する。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、上述のように定義されたイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの塩基配列又はその相補鎖の少なくとも連続する10塩基、15塩基、20塩基、25塩基、30塩基、35塩基、40塩基、45塩基、50塩基又はそれ以上の塩基長の部分領域若しくは全領域として設計することができる。なお、このプローブを有するDNAマイクロアレイとしては、ガラスやシリコーン等の平面基板を担体とするマイクロアレイや、マイクロビーズを担体とするビーズアレイ、或いは中空繊維の内壁にプローブを固定する3次元マイクロアレイ等の如何なるタイプのマイクロアレイであってもよい。
以上のように作製されたDNAマイクロアレイを使用することで、後代系統等に代表されるうどんこ病抵抗性の表現型が未知のイチゴ属植物について、うどんこ病抵抗性に優れるという表現型を示す系統であるか判断することができる。なお、上述したDNAマイクロアレイを使用する方法以外であっても、従来公知の手法を用いて上述したイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを検出して、供試イチゴ属植物についてうどんこ病抵抗性に優れるという形質を有する系統であるか判断してもよい。DNAマイクロアレイを使用する方法以外の方法としては、例えば、上述したプローブを用いた、いわゆるFISH(fluorescence in situ hybridization)法を適用することができる。
DNAマイクロアレイを使用する方法をより詳細に説明する。図2に示すように、先ず供試イチゴ属植物からゲノムDNAを抽出する。この供試イチゴ属植物とは、後代系統等のうどんこ病抵抗性の表現型が未知のイチゴ属植物及び/又は後代系統を作製する際に使用した親のイチゴ属植物のことであり、うどんこ病抵抗性に優れるといった形質を有するか判定する対象となるイチゴ属植物である。
次に、抽出したゲノムDNAを、上記<イチゴ属植物におけるマーカーの同定>の欄で説明したDNAマイクロアレイを作製する際に使用した制限酵素で消化して複数のゲノムDNA断片を調整する。次に、得られたゲノムDNA断片と、DNAマイクロアレイを作製する際に使用したアダプターとを連結する。次に、両末端にアダプターが付加されたゲノムDNA断片を、DNAマイクロアレイを作製する際に使用したプライマーを用いて増幅する。これにより、DNAマイクロアレイを作製する際の工程1dで増幅したゲノムDNA断片に対応する、供試イチゴ属植物由来のゲノムDNA断片を増幅することができる。
この工程においては、アダプターが付加されたゲノムDNA断片のうち、所定のゲノムDNA断片を選択的に増幅してもよい。例えば、複数の制限酵素に対応する複数のアダプターを使用した場合には、特定のアダプターが付加されたゲノムDNA断片を選択的に増幅することができる。また、複数の制限酵素でゲノムDNAを消化した場合、得られたゲノムDNA断片のうち、所定の制限酵素に対応する突出末端を有するゲノムDNA断片のみにアダプターを付加することで、アダプターが付加されたゲノムDNA断片を選択的に増幅することができる。このように、所定のゲノムDNA断片を選択的に増幅することで濃縮させることができる。
次に、増幅したゲノムDNA断片に標識を付加する。標識としては、従来公知の如何なる物質を使用しても良い。標識としては、例えば蛍光分子、色素分子、放射性分子等を使用することができる。なお、本工程は、ゲノムDNA断片を増幅する工程において標識を有するヌクレオチドを用いることで省略することができる。上記工程において標識を有するヌクレオチドを用いてゲノムDNA断片を増幅することで、増幅されたDNA断片が標識化されるためである。
次に、標識を有するゲノムDNA断片を所定の条件下でDNAマイクロアレイに接触させ、DNAマイクロアレイに固定されたプローブと標識を有するゲノムDNA断片とをハイブリダイズさせる。このとき、ハイブリダイズさせる際には高いストリンジェンシー条件とすることが好ましい。このような高いストリンジェンシー条件とすることによって、供試イチゴ属植物にイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーが存在しているか否かを、より高精度に判定することができる。なお、ストリンジェンシー条件は、反応温度及び塩濃度で調節することができる。すなわち、より高温とすることでより高いストリンジェンシー条件となり、またより低い塩濃度でより高いストリンジェンシー条件となる。例えば、50〜75塩基長のプローブを使用する場合、ハイブリダイゼーション条件としては、40〜44℃、0.2%SDS、6×SSCの条件とすることでより高いストリンジェンシー条件とすることができる。
また、プローブと標識を有するゲノムDNA断片とのハイブリダイズは、標識に基づいて検出することができる。すなわち、上述した標識を有するゲノムDNA断片とプローブのハイブリダイズ反応の後、未反応のゲノムDNA断片等を洗浄し、その後、プローブに対して特異的にハイブリダイズしたゲノムDNA断片の標識を観察する。例えば、標識が蛍光物質である場合にはその蛍光波長を検出し、標識が色素分子であればその色素波長を検出する。より具体的には、通常のDNAマイクロアレイ解析に使用している、蛍光検出装置やイメージアナライザー等の装置を使用することができる。
以上のように、核酸増幅法を利用する方法或いはDNAマイクロアレイを使用する方法により、供試イチゴ属植物が上述したイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを有するか否か判断することができる。ここで、上述したように、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーはうどんこ病抵抗性に優れるという形質に連鎖するため、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーが存在していれば、うどんこ病抵抗性に優れる品種・系統と判断できる。
特に、上述した方法では、供試イチゴ属植物を実際のうどんこ病抵抗性試験を実施可能な程度まで成長させる必要はなく、例えば後代系統の種子や当該種子を発芽させた幼苗を使用することができる。したがって、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用することによって、供試イチゴ属植物を生育させるための圃場やその他、生育のためのコストを大幅に削減することができる。また、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用することによって、実際にうどんこ菌の原因微生物(Sphaerotheca aphanis)を感染させる必要がなく、大規模専用温室や専用圃場、外部との隔離施設など設備等にかかるコストを削減できる。
特に、イチゴ属植物の新品種作出に際して、先ず、交配により数万種類の交配種を作製した後、実生選抜に先立って若しくは実生選抜に代えて、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーを利用した判断を行うことが好ましい。これにより、実際の圃場において栽培する個体数を大幅に削減することができ、イチゴ属植物の新品種作出に係る手間やコストを大幅に削減することができる。
或いは、イチゴ属植物の新品種作出に際して、先ず、交配に使用する親品種におけるイチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーの存在の有無を判定し、うどんこ病抵抗性に優れた親品種を選抜することもできる。うどんこ病抵抗性に優れた親品種を優先的に使用して後代系統を作出することで、うどんこ病抵抗性に優れた後代系統が高頻度に出現すると期待できる。これにより、優良な系統を栽培する数を大幅に削減することができ、イチゴ属植物の新品種作出に係る手間やコストを大幅に抑制することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
1.DNAマイクロアレイ用プローブの作成
(1)材料
イチゴ品種「みやざきなつはるか」と「08と−f」を用いた。
(2)制限酵素処理
これらイチゴ品種それぞれについて、Dneasy Plant Mini kit(QIAGEN社)を使用してゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNA(150ng)を制限酵素PstI(NEB社、5unit)で37℃、1時間処理した。
(3)アダプターライゲーション
(2)で処理したゲノムDNA断片(150ng)にPstI配列アダプター(5’-CACGATGGATCCAGTGCA-3’(配列番号20)、5’-CTGGATCCATCGTGCA-3’(配列番号21))とT4 DNA Ligase(NEB社、200 unit)を加え、16℃で1時間、その後55℃で20分間、その後37℃で30分間の条件でライゲーション反応を行った。次に、処理したサンプルに制限酵素BstNI(NEB社、6 unit)を添加、60℃で1時間処理した。
(4)PCR増幅
(3)で得られた、BstNI処理後のサンプル(15ng)にPstI配列アダプター認識プライマー(5’-GATGGATCCAGTGCAG-3’(配列番号22))とTaq polymerase(タカラバイオ社、PrimeSTAR、1.25unit)を加え、PCR(98℃を10秒間、55℃を15秒間、72℃を1分間、30サイクル後、72℃で3分間処理後、4℃で保存)でDNA断片を増幅した。
(5)ゲノムシークエンス取得
(4)においてPCR増幅したゲノムDNA断片について、Hiseq2000、Miseq(Illumina社)により塩基配列情報を取得した。
(6)プローブ設計及びDNAマイクロアレイの作成
(5)のゲノムシークエンス情報をもとに50〜60bpのプローブを設計した。設計したプローブの塩基配列情報をもとに、これらプローブを有するDNAマイクロアレイを作製した。
2.シグナルデータ取得
(1)材料
イチゴ品種「みやざきなつはるか」、「08と−f」及びこれらの交雑後代147系統を用いた。
(2)制限酵素処理
これらイチゴ品種及び交雑後代からそれぞれゲノムDNAをDneasy Plant Mini kit(QIAGEN社)により抽出した。抽出したゲノムDNA(150ng)を制限酵素PstI(NEB社、6unit)で37℃、1時間処理した。
(3)アダプターライゲーション
(2)で処理したゲノムDNA断片(150ng)にPstI配列アダプター(5’-CACGATGGATCCAGTGCA-3’(配列番号20)、5’-CTGGATCCATCGTGCA-3’(配列番号21))とT4 DNA Ligase(NEB社、200 unit)を加え、16℃で1時間、その後55℃で20分間、その後37℃で30分間の条件でライゲーション反応を行った。次に、処理したサンプルに制限酵素BstNI(NEB社、6 unit)を添加、60℃で1時間処理した。
(4)PCR増幅
(3)で得られたBstNI処理後のサンプル(15ng)にPstI配列アダプター認識プライマー(5’-GATGGATCCAGTGCAG-3’(配列番号22))とTaq polymerase(タカラバイオ社PrimeSTAR、1.25unit)を加え、PCR(98℃を10秒間、55℃を15秒間、72℃を1分間を1サイクルとして30サイクル実施後、72℃で3分間処理後、4℃で保存)でゲノムDNA断片を増幅した。
(5)ラベル化
上述した(4)で増幅したDNA断片をカラム(QIAGEN社)で精製後、 NimbleGen Arrays User’s Guideに従い、NimbleGen One-Color DNA Labeling Kit(ロシュ・ダイアグノステックス社)を用いラベル化した。
(6)ハイブリ・シグナル検出
(5)のラベル化サンプルと、上記1.で作製したDNAマイクロアレイとを用いて、アジレントIn-situ オリゴDNAマイクロアレイ キット アレイCGH(aCGH)法に従いハイブリ処理をし、各サンプルのシグナルを検出した。
3、イチゴうどんこ病抵抗性のQTLの同定、および選抜マーカーの選定
(1)遺伝地図データシート作成
「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代147系統のシグナルデータから、「みやざきなつはるか」型の8,218マーカー及び「08と−f」型の8,039マーカーの遺伝子型データを取得した。遺伝子型データをもとに、遺伝地図作成ソフトAntMap ((Iwata H, Ninomiya S 2006) AntMap: constructing genetic linkage maps using an ant colony optimization algorithm. Breed Sci 56: 371-378)を用い、遺伝距離計算式Kosambiによりマーカーの遺伝地図データを取得した。
(2)イチゴうどんこ病表現型データの取得
「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代種子をハウス内で育苗し(147系統)、次年度の春季に野外圃場に定植して、夏季にイチゴうどんこ病の発症程度を調査した(図3)。罹病性個体については、微、中、激の3段階で、発症程度を評価した。
なお、本例で使用したうどんこ病菌は、岩手県盛岡市に土着している菌を自然感染させた。
(3)量的形質 (quantitative trait loci:QTL)の解析
上記(1)で得られた遺伝地図データ及び上記(2)で得られたうどんこ病検定試験データ(うどんこ病発症程度)をもとに、遺伝解析ソフトQTL Cartographer (Wang S., C. J. Basten, and Z.-B. Zeng (2010). Windows QTL Cartographer 2.5. Department of Statistics, North Carolina State University, Raleigh, NC)を使い、Composite interval mapping (CIM)法により、QTL解析を行った。LODの閾値は2.5を用いた。その結果、「08と-f」の第1連鎖群のマーカーIB535110からIB726514の区間内にLOD値7.3のイチゴうどんこ病抵抗性に関する遺伝子の存在を確認した(表2、図4)。
(4)選抜マーカーの選定
第1連鎖群の0cM〜6.83cMの区間にあるイチゴうどんこ病抵抗性遺伝子領域周辺のマーカーを選抜マーカーとして選定した(図4、表1)。
Figure 0006566480
なお、表2において効果の欄は、本QTLが、うどんこ病発症程度(無0、微1、中2、激3)に及ぼす影響をあらわしている。すなわち、効果の数値が負である場合、うどんこ病発症程度を小さくする方向に作用し、当該QTLはうどんこ病抵抗性が向上する形質に連鎖することを意味している。
そして、図4に示すように、当該ピークの近傍に位置するマーカーは、うどんこ病抵抗性を向上させる機能を有する原因遺伝子(群)と連鎖して遺伝するため、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性関連マーカーとして使用できることが示された。すなわち、図4に示した19種類のマーカーは、イチゴ属植物うどんこ病抗性関連マーカーとして使用できることが明らかとなった。
4.未知系統の選抜
(1)イチゴうどんこ病表現型データの取得
上記3.(2)イチゴうどんこ病表現型データの取得で記載した系統とは別に、「みやざきなつはるか」と「08と−f」との交雑後代種子をハウス内で育苗し(50系統:以降A集団とする)、秋季に野外圃場に定植して、翌年の夏季にイチゴうどんこ病の発症程度を調査した。また、「みやざきなつはるか」と「おおきみ」との交雑後代種子(42系統:以降B集団とする)、及び「みやざきなつはるか」と「09s E-b 45e」との交雑後代種子(42系統:以降E集団とする)についても同様に育苗、定植し、うどんこ病発症程度を調査した(図5−1及び5−2)。
(2)ゲノムDNAの抽出
新たに、イチゴ品種「みやざきなつはるか」、「08と−f」及びA集団について、Dneasy Plant Mini kit(QIAGEN社)によりゲノムDNAを抽出した。
(3)制限酵素処理及びアダプターライゲーション
抽出したゲノムDNA(150ng)を制限酵素PstI(NEB社、5unit)で37℃、1時間処理後、PstI処理したサンプルにPstI配列アダプター(5’-CACGATGGATCCAGTGCA-3’(配列番号20)、5’-CTGGATCCATCGTGCA-3’(配列番号21))とT4 DNA Ligase(NEB社、200 unit)を加え、16℃で1時間処理後、55℃で20分、その後、37℃で30分処理した。処理したサンプルに制限酵素BstNI(NEB社、6 unit)を添加、60℃で1時間処理した。
(4)DNA断片の増幅
上記(3)にてBstNI処理したサンプル(15ng)にPstI配列アダプター認識プライマー(5’-GATGGATCCAGTGCAG-3’(配列番号22))とTaq polymerase(タカラバイオ社、PrimeSTAR、1.25 unit)を加え、PCR(98℃を10秒間、55℃を15秒間、72℃を1分間を1サイクルとして30サイクル実施後、72℃で3分間処理後、4℃で保存)でDNA断片を増幅した。
(5)ラベル化
上記(4)にて増幅したDNA断片をカラム(QIAGEN社)で精製後、 NimbleGen Arrays User’s Guideに従い、NimbleGen One-Color DNA Labeling Kit(ロシュ・ダイアグノステックス社)を用いラベル化した。
(6)ハイブリ・シグナル検出
上記(6)で蛍光標識したサンプルと上記1.で作成したアレイを用い、アジレントIn-situ オリゴDNAマイクロアレイ キット アレイCGH (aCGH) 法に従いハイブリ処理をし、各サンプルのシグナルを検出した。
(7)選定した選抜マーカーの検定
上記A集団中で、イチゴうどんこ病抵抗性遺伝子領域周辺のマーカーを選定し(表1)、選抜マーカーとしたものでアレイシグナル値とA集団の表現型とを比較すると90.0%〜98.0%一致していた(図6−1〜6−5)。なお、図6−1〜6−5において、高いアレイシグナル値には下線を付した。これらの結果から、表1に示したマーカーを利用することで、うどんこ病抵抗性に優れる系統、劣る系統の選抜が可能と考えられた。
5.PCRベースマーカーよる選抜・検定1
(1)ゲノムDNAの抽出
イチゴ品種「みやざきなつはるか」、「08と−f」、「おおきみ」、「09s E-b 45e」、A集団(51系統、)B集団(42系統)及びE集団(42系統)について、Dneasy Plant Mini kit(QIAGEN社)によりゲノムDNAを抽出した。
(2)プライマー作製
PCRプライマー解析ソフトPrimer3を使い、IB535110の配列情報(配列番号1)から、IB535110を識別するプライマーを作製した(35110_v1F: ACACATATATGAATCGGAGCCA(配列番号23)、35110_v1R: GCTCAAGATGCTCAATCGAA(配列番号24))。
(3)PCR増幅と選抜マーカーの検定
交雑後代A集団、B集団、E集団のゲノムDNA(15 ng)に、上記プライマー(35110_v1F及び35110_v1R)とTaq polymerase(タカラバイオ社、Tks Gflex DNA Polymerase、1.25 unit)を加え、PCR(94℃で1分間、98℃で10秒間、60℃で15秒間、68℃で30秒間を1サイクルとして30サイクル実施後、4℃で保存)で増幅した。PCR増幅したDNA断片は、TapeStation D1000(アジレント社)により確認した。A集団、B集団及びE集団について行った結果を図7−1及び7−2、図8−1及び8−2並びに図9−1及び9−2にそれぞれ示した。なお、図7−1〜図9−2において、Mのレーンは「みやざきなつはるか」を示し、Zのレーンは「08と−f」を示している。また、これらの結果を図10−1及び10−2にまとめて示した。なお、図10−1及び10−2において下線は、表現型とPCRベースマーカーの結果とが一致しなかった場合を示している。図7−1〜図10−2に示したように、バンドパターンと表現型の一致率は非常に高く(98.5%)、IB535110を特異的に増幅するプライマーを用いた核酸増幅方法により、うどんこ病抵抗性に優れる系統、劣る系統の選抜ができることが明らかとなった。
6.PCRベースマーカーよる選抜・検定2
(1)ゲノムDNAの抽出
イチゴ品種「みやざきなつはるか」、「08と−f」、「おおきみ」、「09s E-b 45e」、A集団(51系統、)B集団(42系統)及びE集団(42系統)について、Dneasy Plant Mini kit(QIAGEN社)によりゲノムDNAを抽出した。
(2)プライマー作製
PCRプライマー解析ソフトPrimer3を使い、IB522828の配列情報(配列番号2)から、 IB522828を識別するプライマーを作製した(22828_v6F:CTTTGACGCCTACTGCATTA (配列番号25)、22828_v6R:GGTTGGGCTTCGTTAAATCT(配列番号26))。
(3)PCR増幅と選抜マーカーの検定
交雑後代A集団、B集団、E集団のゲノムDNA(15 ng)に、上記プライマー(22828_v6F及び22828_v6R)とTaq polymerase(タカラバイオ社、Tks Gflex DNA Polymerase、1.25 unit)を加え、PCR(94℃で1分間、98℃で10秒間、60℃で15秒間、68℃で30秒間を1サイクルとして30サイクル実施後、4℃で保存)で増幅した。PCR増幅したDNA断片は、TapeStation D1000(アジレント社)により確認した。A集団、B集団及びE集団について行った結果を図11−1〜11−3、図12−1及び12−2並びに図13−1及び13−2にそれぞれ示した。なお、図11−1〜図13−2において、Mのレーンは「みやざきなつはるか」を示し、Zのレーンは「08と−f」を示し、Oのレーンは「おおきみ」を示している。また、これらの結果を図14−1及び14−2にまとめて示した。なお、図14−1及び14−2において下線は、表現型とPCRベースマーカーの結果とが一致しなかった場合を示している。図11−1〜図14−2に示したように、バンドパターンと表現型の一致率は非常に高く(98.5%)、IB522828を特異的に増幅するプライマーを用いた核酸増幅方法により、うどんこ病抵抗性に優れる系統、劣る系統の選抜ができることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. イチゴ属植物の染色体における配列番号1〜19からなる群から選ばれる1つの塩基配列における少なくとも15塩基以上の連続する核酸であって、イチゴ属植物うどんこ病抵抗性を判別できる機能を有する単離された核酸
  2. 少なくとも一方の親がイチゴ属植物である後代植物の染色体及び/又は当該親のイチゴ属植物の染色体を抽出する工程と、
    上記で得られた染色体における配列番号1〜19からなる群から選ばれる1つの塩基配列における少なくとも15塩基以上の連続する核酸の存在・非存在を判定する工程とを含む、うどんこ病抵抗性が向上したイチゴ属植物系統の製造方法。
  3. 上記判定する工程では、上記核酸を特異的に増幅するプライマーを用いた核酸増幅反応により当該核酸の存在・非存在を判定することを特徴とする請求項2記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
  4. 上記判定する工程では、上記核酸に対応するプローブを備えるDNAチップを使用することを特徴とする請求項2記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
  5. 上記後代植物は種子又は幼苗であり、当該種子又は幼苗から染色体を抽出することを特徴とする請求項2記載のイチゴ属植物系統の製造方法。
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