本実施形態について説明する。図1は、本実施形態のカメラシステムを示す斜視図である。
図1に示すカメラシステム1は、カメラボディ100、交換レンズ200、及びアダプター300を含む。アダプター300は、カメラボディ100に取り付けられている。交換レンズ200は、アダプター300に対してカメラボディ100とは反対側おいて、アダプター300に取り付けられている。
本実施形態のカメラボディ100は、第1マウント11を含む。第1マウント11は、第1マウント11と寸法が合うマウントを有する交換レンズ等を取り付けることができる。本実施形態の交換レンズ200のマウントは、第1マウント11と寸法が異なる。そのため交換レンズ200は、カメラボディ100に直接的に取り付けることができない。交換レンズ200は、アダプター300を介して間接的に第1マウント11に取り付けることができる。すなわち、アダプター300は、カメラボディ100に直接的に取り付けられるよう第1マウント11と寸法が合うマウントを有している。さらにアダプター300は、カメラボディ100が取り付けられる反対側に、交換レンズ200を直接的に取り付けられるよう第2マウント362を有している。
本実施形態のカメラボディ100は、第1マウント11が配置されている正面12に対して側方を向く側面のうち上部に位置する頂面13と、正面12とは反対側を向く背面14とを有する。本実施形態のカメラボディ100は、頂面13に閃光装置等のアクセサリーを取り付けることができる。
本実施形態において、図1等に示すXYZ直交座標系を設定し、各部の位置関係等を説明することがある。このXYZ直交座標系において、Y軸方向は、交換レンズ200の光軸AXとほぼ平行な方向である。このXYZ直交座標系において、X軸方向及びZ軸方向は、それぞれY軸方向と直交し、かつ互いに直交する方向である。正面12及び背面14は、それぞれ、Y軸方向とほぼ直交している。頂面13は、Z軸方向とほぼ直交している。
図2は、本実施形態のカメラシステムの機能構成を示す図である。図2に示すように、カメラシステム1において、交換レンズ200へ入射した光は、交換レンズ200及びアダプター300を通って、カメラボディ100の撮像素子110へ入射する。カメラシステム1は、交換レンズ200によってカメラボディ100の撮像素子110に形成された像を、カメラボディ100によって撮像することができる。
本実施形態の交換レンズ200は、複数のレンズ201、絞りユニット202(開口絞り)、絞り駆動部材203、レンズ制御部204、第1端子部205、及び鏡筒206を有する。複数のレンズ201は、交換レンズ200へ入射した光を屈折させて、カメラボディ100の撮像素子110の受光面に結像させる。絞りユニット202は、複数のレンズ201を通って撮像素子110へ入射する光の光量を開口率によって変化させる。絞り駆動部材203は、例えば、絞りユニット202と連動する絞りレバーである。絞りユニット202の開口率は、絞り駆動部材203の変位によって変化する。
カメラシステム1は、絞りユニット202の開口率を制御することによって、撮像素子110に対する露光量と被写界深度を制御することができる。鏡筒206は、複数のレンズ201、絞りユニット202、及びレンズ制御部204を収容して保護する。第1端子部205は、鏡筒206に取り付けられている。第1端子部205は、レンズ制御部204に接続されている。第1端子部205は、交換レンズ200がアダプター300に取り付けられた状態(以下、交換レンズ200の着状態という)において、アダプター300の第2端子部330に接続される。本実施形態のレンズ制御部204は、光軸AXとほぼ平行な方向における複数のレンズ201の位置を制御し、複数のレンズ201の焦点位置を制御するフォーカシング制御、及びズーム倍率を制御するズーム制御等を行う。
本実施形態のアダプター300は、可動部材310、駆動装置320、第2端子部330、第3端子部340、及びアダプター制御部350を有する。可動部材310は、駆動装置320によって駆動されることによって、交換レンズ200の絞り駆動部材203を変位させる。第2端子部330及び第3端子部340は、それぞれ、アダプター制御部350に接続されている。第2端子部330は、交換レンズ200の着状態において、交換レンズ200の第1端子部205に接続される。第3端子部340は、アダプター300がカメラボディ100に取り付けられた状態(以下、アダプター300の着状態という)において、カメラボディ100の第4端子部120に接続される。アダプター300については、後に詳しく説明する。
本実施形態のカメラボディ100は、図1に示すように、レリーズ釦15、第1着脱スイッチ16、及び筐体17(軍艦部)を有する。また、カメラボディ100は、図2に示すように、撮像素子110、第4端子部120、及びカメラ制御部130を有する。
本実施形態のレリーズ釦15は、頂面13に配置されている。カメラボディ100は、レリーズ釦15が操作(半押し又は全押し)されたことを検出して、撮像処理等の各種処理を行う。
本実施形態の第1着脱スイッチ16は、正面12に配置されている。第1マウント11に取り付けられた交換レンズ200又はアダプター300は、第1着脱スイッチ16が操作されることによって、第1マウント11から取り外すことができる。第1着脱スイッチ16は、第1マウント11に配置されたピンと連動する。このピンは、アダプター300の着状態において、光軸AXを中心とする周方向におけるカメラボディ100とアダプター300との相対位置を規制する。すなわち、このピンは、アダプター300の着状態において、アダプター300がカメラボディ100に対して、光軸AXを中心とする周方向に回転しないように相対位置を規制する。
本実施形態の筐体17は、撮像素子110及びカメラ制御部130を収容して保護する。第4端子部120は、筐体17に設けられている。第4端子部120は、アダプター300の着状態において、アダプター300の第3端子部340と接続される。本実施形態のカメラボディ100は、カメラボディ100内の各部やカメラシステム1の各部に電力を供給する電池を有する。
本実施形態の撮像素子110は、二次元的に配列された複数の画素を含む。撮像素子110の各画素は、CCD(Charge Coupled device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の受光素子を含む。撮像素子110の受光素子は、交換レンズ200から各画素へ入射した光の光量に応じた電荷を発生する。撮像素子110は、各画素に入射した光により受光素子に発生した電荷を信号に変換する。撮像素子110は、交換レンズ200を介して撮像素子110の受光面に形成された被写体の像を示す画像信号を生成する。
本実施形態のカメラ制御部130は、レリーズ釦15が操作(半押し又は全押し)されたことを示す操作を検出する。カメラ制御部130は、検出した操作に基づいて、撮像素子110を制御し、撮像処理を実行する。また、カメラ制御部130は、撮像処理を行う上で必要とされる処理を、アダプター300を介して交換レンズ200に実行させる。
本実施形態において、カメラ制御部130は、アダプター制御部350を制御する制御信号と、撮像に必要とされる情報を示す信号とを、第4端子部120及び第3端子部340を介してアダプター制御部350に出力する。アダプター制御部350は、レンズ制御部204を制御する制御信号と、撮像に必要とされる情報を示す信号とを、第2端子部330及び第1端子部205を介してレンズ制御部204に出力する。レンズ制御部204は、撮像に必要とされる情報を示す信号を、第1端子部205及び第2端子部330を介してアダプター制御部350に出力する。
本実施形態のカメラボディ100は、第4端子部120及び第3端子部340を介してアダプター300内の各部に電力を供給する。アダプター300は、カメラボディ100から供給された電力を第2端子部330及び第1端子部205を介して交換レンズ200内の各部に供給する。第1端子部205、第2端子部330、第3端子部340、第4端子部120は、それぞれ、信号が入出力される信号端子と、電力が供給される電源端子と、電源端子と対になる接地端子とを有する。
次に、アダプター300について詳しく説明する。図3は、本実施形態のアダプターを示す斜視図である。図4は、本実施形態のアダプターを示す平面図である。
本実施形態のアダプター300は、第1収容部材360、第2収容部材361、第2マウント362、ピン363、及び第2着脱スイッチ364を有する。
本実施形態の第2収容部材361は、図2に示した駆動装置320の少なくとも一部を収容している。本実施形態の第2収容部材361は、概ね箱状である。第2収容部材361は、交換レンズ200の着状態において、交換レンズ200の光軸AXと交差する方向(−Z方向)を向く面(以下、底面365という)を有する。底面365は、アダプター300を三脚等に固定可能なネジ穴等を有する。第2収容部材361は、底面365とは反対側(+Z方向)を向く面で、第1収容部材360と接合されている。底面365を含む底部366は、第1収容部材360と接合される面を含む天井部367に対して、アダプター300の外部に向かって突出している。底部366は、交換レンズ200の着状態において、天井部367よりも交換レンズ200に向かって(+Y方向へ)突出して配置される。
本実施形態の第1収容部材360は、可動部材310及び第2端子部330と第3端子部340とアダプター制御部350とを収容している。第1収容部材360は、第2収容部材361の底面365が三脚、机等に支持されている状態で、第2収容部材361に支持される。
本実施形態の第1収容部材360は、円筒状である。第1収容部材360の軸方向は、交換レンズ200の着状態において、交換レンズ200の光軸AXとほぼ平行になる。第1収容部材360は、第1開口部368及び第2開口部369を有する。第1開口部368は、アダプター300の着状態においてカメラボディ100を向く方向(−Y方向)に配置される。第2開口部369は、交換レンズ200の着状態において交換レンズ200を向く方向(+Y方向)に配置される。交換レンズ200からアダプター300に入射した光は、第2開口部369を通った後に第1開口部368を通って、カメラボディ100へ入射する。
本実施形態の第2マウント362は、第1収容部材360に取り付けられている。第2マウント362は、アダプター300の着状態において、カメラボディ100とは反対側(+Y方向)を向く面に配置される。本実施形態の第2マウント362は環状である。第2マウント362は、交換レンズ200と接触するマウント面370を有する。マウント面370は、少なくとも一部が平面である。第2マウント362は、交換レンズ200の着状態において、交換レンズ200の光軸AXが第2マウント362の中心を通るように配置される。
本実施形態の第2端子部330は、第2開口部369の内周の近傍に配置されている。第2端子部330の一部は、第2開口部369の内周の内側へ張り出している。第2端子部330は、第2収容部材361との間に第2開口部369を挟むように、配置されている。本実施形態において、光軸AXを中心とする周方向の位置(回転位置)について、第2端子部330の位置を基準(0°)とした角度で示すことがある。この角度は、光軸方向の一側から見て(−Y方向に見て)時計回りを正とし、反時計回りを負とする。
本実施形態のピン363及び第2着脱スイッチ364は、光軸AXを中心とする周方向において、第2端子部330からほぼ90°の回転位置に配置されている。ピン363は、マウント面370の法線方向(Y軸方向)に進退可能である。ピン363は、例えば、マウント面370から突出する第1位置と、マウント面370から突出しない第2位置との間で進退可能である。ピン363は、第2着脱スイッチ364が操作されることによって進退する。
本実施形態のピン363は、交換レンズ200の着状態において第1位置に配置されている場合に、交換レンズ200に設けられた孔部(図示しない)に挿通される。ピン363は、交換レンズ200に設けられた孔部に挿入されている状態において、交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向におけるアダプター300に対する交換レンズ200の相対位置を規制する。すなわち、ピン363は、交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向において、交換レンズ200がアダプター300に対して回転しないようにする。
ピン363は、交換レンズ200の着状態において第2位置に配置されている場合に、交換レンズ200に設けられた孔部に挿入されない。したがって、交換レンズ200は、第2着脱スイッチ364の操作によりピン363が第2位置に配置されている場合に、第2マウント362から取り外すことができる。
図5は、本実施形態の第2マウント362、可動部材310及び駆動装置320を示す平面図である。本実施形態の可動部材310及び駆動装置320は、光軸方向(Y軸方向)から見て第2マウント362と重なる範囲に配置されている。可動部材310及び駆動装置320は、第2マウント362に対して、交換レンズ200とは反対側(−Y方向)に配置されている。図5において、可動部材310及び駆動装置320は、第2マウント362等を透かして模式的に図示されている。
本実施形態の可動部材310は、光軸AXを中心とする環のうち、光軸AXを中心とする周方向における所定の角度範囲α[°]を占める部分と概ね同じ形状(三日月形状、円弧形状)である。本実施形態において、角度範囲α[°]は、150°程度である。角度範囲α[°]は、例えば、180°以下でもよいし、120°以下でもよく、90°以下でもよい。可動部材310は、図5に記載の状態から、光軸AXを中心とする周方向に反時計回りに角度(θ1+θ2)[°]だけ回動可能に設けられている。
本実施形態の駆動装置320は、光軸方向(Y軸方向)から見て第2マウント362の内周よりも内側の領域と第2マウント362の外周よりも外側の領域とにまたがる範囲に設けられている。本実施形態の駆動装置320は、概ね−150°の角度位置に配置されている。駆動装置320は、光軸AXを中心とする周方向の所定の角度範囲で可動部材310を回動させる。
可動部材310が反時計回りに最も移動できる位置まで回動している第1状態と、可動部材310が時計回りに最も移動できる位置まで回動している第2状態(後述する最大開口位置)とで、光軸AXを中心とする周方向における可動部材310の一端の回転位置が角度(θ1+θ2)[°]だけ変化する。すなわち、可動部材310が回動可能な第1範囲A1は、光軸AXを中心とする環のうち、光軸AXを中心とする周方向の角度範囲(α+θ1+θ2)[°]に相当する区間である。
なお、可動部材310が時計回りに最も移動できる位置まで回動している第2状態は、交換レンズ200の絞り駆動部材203が最大開口率(開放絞り状態)に対応する位置に位置したときの状態であり、図5に記載の可動部材310の状態は第2状態を示している。可動部材310の第2状態における位置を最大開口位置と称す。可動部材310は、最大開口位置から光軸AXを中心とする周方向に反時計回りに角度(θ1+θ2)[°]回動できる。
本実施形態の第2端子部330は、可動部材310が最も第2端子部330に接近した状態(第2状態)において、光軸方向(Y軸方向)から見た可動部材310が第2端子部330の端子と重ならないように設定されている。すなわち、第2端子部330は、光軸AXを中心とする周方向において、可動部材310が回動可能な第1範囲A1を除く第2範囲A2に配置されている。ピン363は、光軸AXを中心とする周方向において、可動部材310が回動可能な第1範囲A1を除く第2範囲A2に配置されている。
図6は、本実施形態の可動部材310及び駆動装置320を示す斜視図である。図7は、本実施形態の可動部材310及び駆動装置320を示す平面図である。図8は、本実施形態の可動部材310、駆動装置320、及び押え板393を示す平面図である。
図6に示すように、本実施形態の可動部材310は、本体部371、第1接触部372、第1ギア部373、及びフランジ部374を含む。可動部材310は、第1ギア部373(入力部)が駆動装置320から受ける力(伝達されるトルク)によって回動する。本実施形態の可動部材310は、可動部材310の回動により第1接触部372(出力部)が交換レンズ200の絞り駆動部材203に対して力を作用させる(伝達する)ことによって、絞り駆動部材203を変位させる。
本実施形態において、光軸方向(Y軸方向)から見た本体部371の外形は、光軸方向から見た可動部材310の外形と概ね同じである。本体部371は、光軸AXを中心とする環のうち、光軸AXを中心とする周方向における所定の角度範囲α[°]を占める部分と概ね同じ形状である。
本実施形態の本体部371は、光軸方向において+Y方向を向く第1面375と、−Y方向を向く第2面376と、第1面375の外縁と第2面376の外縁とを結ぶ第3面377Aと第4面377Bとを有する。本実施形態の可動部材310は、第1面375を含む第1部材378と、第2面376を含む第2部材379とを含む。本実施形態において、第1部材378及び第2部材379は、それぞれ、樹脂材料を型成形すること等によって形成されている。なお、本体部371は、第1部材378及び第2部材379から形成されるのではなく、樹脂材料を一体形成してもよい。
本実施形態の第1接触部372は、本体部371に対して第2マウント362と同じ側(+Y側)において、本体部371の第1部材378に取り付けられている。第1接触部372は、光軸方向において+Y方向から見て(−Y方向に見て)第2マウント362の内周の内側へ張り出している。第1接触部372は、交換レンズ200の着状態において、交換レンズ200の絞り駆動部材203と接触する。交換レンズ200の絞り駆動部材203は、所定の方向(+Y側から見て反時計回り方向)に向かって付勢されており、交換レンズ200の着状態において、この付勢力によって第1接触部372に押しつけられる。第1接触部372は、絞り駆動部材203と接触している状態で本体部371と一体的に回動することによって、光軸AXを中心とする周方向で絞り駆動部材203を変位させる。
図6、図7に示すように、本実施形態の第1ギア部373は、駆動装置320の近傍に配置されている。本実施形態の第1ギア部373は、光軸AXを中心とする周方向の位置(角度位置)について、−180°以上−90°未満の角度範囲に配置されている。本実施形態の第1ギア部373は、本体部371のうち、光軸AXを中心とする放射方向において、外側を向いた第4面377Bに取り付けられている。第1ギア部373は、光軸AXを中心とする放射方向において外側を向いた複数のギア歯を含む。第1ギア部373のピッチ円380の中心は、交換レンズ200の光軸AXとほぼ一致している。第1ギア部373の複数のギア歯は、ピッチ円380の周方向の一部に相当する範囲に配列されている。
本実施形態のフランジ部374は、光軸AXを中心とする周方向において、第1ギア部373とほぼ同じ角度範囲に設けられている。フランジ部374は、本体部371に対して第2マウント362と同じ側(+Y方向)において、本体部371の第1部材378に取り付けられている。本実施形態のフランジ部374は、本体部371から光軸AXを中心とする放射方向の外側に向かって、第1ギア部373の歯先よりも突出している。
本実施形態の駆動装置320は、第2ギア部(動力伝達部)381、第2接触部382、及びアクチュエーター383を含む。
本実施形態の第2ギア部381は、アクチュエーター383から入力された動力を第1ギア部373へ出力する。第2ギア部381は、複数のギアを含む。第2ギア部381は、複数のギアのうちの第1ギア385のギア歯が、第1ギア部373のギア歯と噛み合う第1ギア385は、第1ギア部373に対して、光軸AXを中心とする放射方向に関する外側に配置されている。なお、第2ギア部381に代わり、アクチュエーター383から出力された動力を、摩擦等を利用して第1ギア部373へ伝達する動力伝達部を設けてもよい。
本実施形態の第2接触部382は、環状である。第2接触部382の軸は、第2ギア部381の第1ギア385の回転軸と同軸となるように接続されている。第2接触部382は、第1ギア部373のフランジ部374と接触し、第1ギア部373と第2ギア部381の第1ギア385との間のギャップを形成している。すなわち、光軸AXを中心とする放射方向における第2接触部382及びフランジ部374の寸法及び位置は、第1ギア部373の歯先が第1ギア385の歯元に到達しない状態において、第1ギア部373と第2ギア部381の第1ギア385とが接触するように設定されている。
本実施形態のアクチュエーター383は、電動モーター(ステッピングモーター)を含む。アクチュエーター383は、第2ギア部381と接続されている。アクチュエーター383は、第2ギア部381にトルクを供給し、第2ギア部381の第1ギア385を回転させる。
ここで、交換レンズ200は、各個体における絞り駆動部材203の公差範囲内での位置ズレ(バラツキ)を固有のデータとして有している。前記位置ズレは、交換レンズ200の開放絞り状態における例えばアダプター300のピン363を挿入する孔部に対する相対的な位置ズレであり、交換レンズ200の絞り制御に影響する。前記位置ズレを含む絞り駆動部材203の位置情報は、例えば交換レンズ200の出荷検査時等にレンズ制御部204に記録される。レンズ制御部204は、交換レンズ200をアダプター300に装着した際、第1端子部205及び第2端子部330を介して、前記位置情報をアダプター制御部350に出力する。
図7に示すように、本実施形態のアダプター300は、可動部材310の位置に関する位置情報を検出するセンサー386を含む。センサー386は、可動部材310の位置に関する情報を光学的に検出する。センサー386は、光軸AXを中心とする周方向において、可動部材310が最も時計回りに回動した位置(交換レンズ200の開放絞り状態に対応する位置)にあるか否かを検出する。センサー386は、検出した位置情報をアダプター制御部350に出力する。可動部材310の第1部材378には、センサー386の検出片たる遮光部430が設けられている。
アダプター制御部350は、レンズ制御部204から出力された絞り駆動部材203の位置情報に基づき、アクチュエーター383を制御することによって、第2ギア部381の第1ギア385の回転状態を制御する。アダプター制御部350は、第1ギア385の回転状態を制御することによって可動部材310の回転位置を制御し、結果として絞り駆動部材203の変位を制御する。なお、センサー386から出力された位置情報に基づき可動部材310の回転位置を制御することも可能である。
図6、図7に示すように、本実施形態のアダプター300は、可動部材310が光軸AXを中心とする周方向に円滑に回動可能なように、可動部材310を支持する支持ローラー387を有する。本実施形態において、支持ローラー387は、第1支持ローラー387A、第2支持ローラー387B、及び第3支持ローラー387Cを有する。
第1支持ローラー387Aは、可動部材310に対して、光軸AXを中心とする放射方向において内側に配置されている。第1支持ローラー387Aは、光軸AXを中心とする周方向における回転位置に関して、第2ギア部381よりも第1接触部372に近い位置に配置されている。
第3支持ローラー387Cは、可動部材310に対して、光軸AXを中心とする放射方向において外側に配置されている。第3支持ローラー387Cは、第1支持ローラー387Aとの間で可動部材310を挟むように配置されている。
第2支持ローラー387Bは、可動部材310に対して、光軸AXを中心とする放射方向において内側に配置されている。第2支持ローラー387Bは、第1支持ローラー387Aよりも第1ギア部373に近い位置に配置されている。第2支持ローラー387Bは、第2ギア部381との間に可動部材310の第1ギア部373を挟むように配置されている。
本実施形態のアダプター300は、図7に示す保持部材392、及び図8に示す押え板393を含む。保持部材392は、第1収容部材360に固定されている。保持部材392は、押え板393と光軸方向(Y軸方向)において対向している。第1支持ローラー387A、第2支持ローラー387B、第3支持ローラー387C、及び可動部材310は、光軸方向の保持部材392と押え板393との間に配置されている。第1支持ローラー387A、第2支持ローラー387B、及び第3支持ローラー387Cは、それぞれの回転軸の一端が保持部材392に回転可能に支持されており、それぞれの回転軸の他端が押え板393に回転可能に支持されている。
可動部材310は、保持部材392と押え板393との間に、光軸AXを中心とする周方向における回動を妨げない程度のギャップを有して、保持部材392と押え板393とに挟まれている。可動部材310は、保持部材392と押え板393とに挟まれていることによって、光軸方向(Y軸方向)における移動が規制されている。
ところで、アダプターは、可動部材が交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向の全周に設けられている場合に、可動部材を回動させる上で必要とされる駆動装置のパワーが増加し、大型になる可能性がある。また、アダプターは、可動部材が交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向の全周に設けられている場合に、可動部材を支持する機構が複雑になり、アダプターが大型になる可能性がある。
これに対し、本実施形態のアダプター300は、可動部材310が交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向の一部に設けられているので、可動部材310を軽量にすることができる。したがって、アダプター300は、可動部材310を回動させる上で駆動装置320に必要とされるパワーを減らすことができ、装置サイズを小型にすることができる。また、アダプター300は、可動部材310が交換レンズ200の光軸AXを中心とする周方向の一部に設けられているので、可動部材310を支持する機構をシンプルにすることができ、装置サイズを小型にすることができる。
また、可動部材310は、回動に伴って保持部材又は押え板と干渉する程度に、光軸方向における寸法の誤差が生じることがありえる。また、アダプター300は、可動部材310が環状である場合に製造誤差等による当該部材の形状の歪みによって、当該部材の回動が妨げられるおそれがある。
これに対し、本実施形態のアダプター300は、可動部材310が交換レンズ200の光軸AXの周方向の一部に設けられているので、可動部材310の製造誤差等によって可動部材310の回動が妨げられることが防げる。
ここで、可動部材310の駆動系(駆動装置320、及び可動部材310の第1ギア部373を有する)について、図11を参照して説明する。
アクチュエーター383はステッピングモーターで構成されており、アクチュエーター383の出力軸400の軸心が交換レンズ200の光軸AXとほぼ平行となるように配置されている。アクチュエーター383の出力軸400の端部に固定された駆動ギア401には、軸心を光軸AXとほぼ平行に配置した回転軸402の一端に固定された第1減速ギア403が噛み合っている。
回転軸402の他端には第2減速ギア404が固定されており、第2減速ギア404には、軸心を光軸AXとほぼ平行に配置した回転軸406の一端に固定された第3減速ギア405が噛み合っている。
回転軸406の他端には第4減速ギア407が固定されており、第4減速ギア407には、軸心を光軸AXとほぼ平行に配置した回転軸414の一端に固定された第5減速ギア415が噛み合っている。
回転軸414の他端には第6減速ギア416が固定されており、第6減速ギア416には、軸心を光軸AXとほぼ平行に配置した回転軸417の一端に固定された第7減速ギア418が噛み合っている。
回転軸417の他端には前述した第1ギア385が固定されており、第1ギア385には、可動部材310の第1ギア部373が噛み合っている。
本実施形態では、駆動ギア401、第1減速ギア403、第2減速ギア404、第3減速ギア405、第4減速ギア407、第5減速ギア415、第6減速ギア416、第7減速ギア418、第1ギア385、及び第1ギア部373からなる減速ギア列によって、可動部材310とアクチュエーター383とが接続され、当該減速ギア列を介して可動部材310とアクチュエーター383とが直結で駆動する。この駆動系が初期状態にあるか否か(可動部材310が最も時計回りに回動した位置にあるか否か)はセンサー386が検出する。
図9に示すように、交換レンズ200の絞り駆動部材203は、絞りユニット202の開口率が最大開口率(開放状態)から最小開口率に変化する範囲で移動可能となっている。絞り駆動部材203は、図示しない付勢部材からの第2の付勢力により、絞りユニット202の開口率を小さくする方向(+Y方向から見て反時計回り方向)に付勢されている。
可動部材310の第1接触部372は、交換レンズ200の絞り駆動部材203に下側から(+Y方向から見て時計回り方向に)当接している。第1接触部372は、交換レンズ200の絞りの開口率が大きくなるよう絞り駆動部材203を移動させるときには、絞り駆動部材203に働く第2の付勢力に抗して移動することとなる。そして、絞り駆動部材203が最大開口率に対応する位置に位置すると、可動部材310もそれ以上は移動することができない。このときの可動部材310の位置(可動部材310の第2状態)が前述した最大開口位置である。なお、図9において実線は可動部材310が最大開口位置に位置した状態を示し、二点鎖線は可動部材310が最小開口位置に位置した状態を示している。
ここで、アクチュエーター383を駆動して開口率を大きくする方向に可動部材310を移動させていたとする。アクチュエーター383は、アダプター制御部350によって制御されているため、アダプター制御部350から停止指令があるまで駆動を継続する。そして、可動部材310が最大開口位置に達すると、前述したように可動部材310は最大開口位置を越えて移動することはできない。
通常、交換レンズ200の絞り駆動部材203の最大開口率に対応する位置(開放絞り位置)は同一であるが、この場合でも、図10に示すように、前述の如く絞り駆動部材203の基準位置(絶対開放位置)に対する位置バラツキがあるため、可動部材310の最大開口位置にもバラツキが生じる。また、可動部材310自体にも基準位置(絶対開放位置)に対する位置バラツキが生じている。なお、前記絶対開放位置とは、設計上の理想的開放位置を示す。
しかし、予め交換レンズ200の絞り駆動部材203の位置情報をアダプター制御部350に出力すると共に、可動部材310の位置情報もアダプター制御部350に記憶しておき、これらの位置情報を加味して可動部材310を駆動制御することで、可動部材310のオーバーストローク等によるアクチュエーター383の過負荷を抑えた上で、絞り駆動部材203の真の開放絞り位置を基準に可動部材310を正確に駆動させることができる。
すなわち、可動部材310の第1接触部372は、絶対開放位置に対する誤差εA(初期位置検出用のセンサーの組み込み位置誤差や可動部材310自体の寸法誤差等で生じる)を有し、この誤差εAがアダプター制御部350に記憶される。また、絞り駆動部材203も、絶対開放位置に対する誤差εL(組み込み位置誤差や寸法誤差等で生じる)を有し、この誤差εLがレンズ制御部204に記憶される。
そして、交換レンズ200の装着時には、アダプター制御部350が誤差εLを受け取り、「交換レンズ200の絞り位置」=「可動部材310の駆動基準位置(最大開口位置)からの駆動量(設計値)」+「誤差εA」+「誤差εL」として絞り制御が行われる。
アダプター制御部350は、交換レンズ200の絞り制御のために、第1接触部372の最大開口位置を駆動基準位置として、そこから第1接触部372を絞り指令値Fに対応した位置まで移動させる。アダプター制御部350は、第1接触部372を絞り指令値Fに対応した位置に移動させるために、アクチュエーター383(ステッピングモーター)をパルス制御して可動部材310を回転させる。
例えば、1Avの駆動量を12パルスとすると、開放絞りから2Av絞る場合には、アクチュエーター383を絞り込み方向に(m+24)パルス駆動し、絞り込まれた状態をアクチュエーター383であるステッピングモーターのディテントトルクによって保持する。なお、前記mは開放絞りからの駆動量を補正する補正項であり、駆動装置320のギア列の連動誤差を補正する。
さらに、この状態から3Av絞り込む場合には、アクチュエーター383を絞り込み方向に36パルス駆動する。
続けて、1Av開く場合には、アクチュエーター383を絞りの開放側に(12+n)パルス駆動する。なお、前記nは駆動方向の違いを補正する補正項であり、駆動装置320における連動誤差を補正する。
次に、アダプター300の電源オンと電源オフのときの可動部材310の動作について説明する。
アダプター300が電源オフのとき、第1接触部372は絞り駆動部材203から離間した退避位置に位置している。
カメラボディ100の図示しない電源スイッチがオンされると、アダプター300の電源がオンとなる。
電源を供給されたアダプター300のアダプター制御部350は、交換レンズ200からレンズデータ(絞り駆動部材203の位置情報を含む)を取得し、第1接触部372の初期化処理を実行する。この初期化処理は、絞り駆動部材203の設計上の開放絞り位置(絶対開放位置)に対し、交換レンズ200の個体差による絞り駆動部材203の位置ズレ及び可動部材310自体の位置ズレを加味した実際の開放絞り位置を見出し、この開放絞り位置に応じた第1接触部372の最大開口位置を絞り制御の基準位置とする処理である。
この後、アダプター制御部350は、前述したように、第1接触部372の最大開口位置を基準位置として、絞り指令値Fに応じてアクチュエーター383を制御し、第1接触部372を絞り込み方向に移動させる絞り制御を実行する。
一方、カメラボディ100の図示しない電源スイッチがオフされると、アダプター制御部350は、アクチュエーター383を駆動して第1接触部372(可動部材310)を前記退避位置まで移動させるようにアクチュエーター383を制御する。その後、アダプター300の電源がオフされる。
このように、本実施形態のアダプター300は、交換レンズ200がもつ個体毎の絞り駆動部材203の位置情報及び可動部材310自体の位置情報を用いて、可動部材310の真の最大開口位置を設定することで、交換レンズ200の絞り制御を正確に行うことができる。また、絞り駆動部材203の位置情報を記憶したレンズ制御部204とアダプター制御部350とを通信可能に接続するのみでよく、可動部材310の可動又は停止の状態を検出するセンサー等の検出手段を不要にしてコストダウンを図ることができる。
なお、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で他の形態を採用することができる。
例えば、絞り駆動部材の設計上の開放絞り位置が異なる交換レンズを用いる場合にも、絞り駆動部材の標準の開放絞り位置に対する差分を含めた位置情報を用いることで、可動部材の最大開口位置を設定することが可能である。
また、アダプターに対する交換レンズの取り付け誤差を検出してこれを前記位置情報に加味することで、可動部材の最大開口位置をより正確に設定することも可能である。