JP6562756B2 - 画像処理装置およびその制御方法 - Google Patents

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本発明は、空間フィルタを利用した画像処理技術に関するものである。
従来から、画像形成を行って出力するに際し、空間フィルタ処理などの局所画像処理が行なわれている。この局所画像処理は、処理対象となる画素(以下、処理画素と呼ぶ)を含む参照領域に含まれるすべての画素を用いて何らかの演算を行う画像処理のことである。例えば、デジタル画像データに対してエッジ強調処理やぼかし処理といった空間フィルタ処理を施す。
このような局所画像処理では、デジタル画像データの上端の画素列について左端から右端まで処理を行ない、その後、上端から2行目の画素列について処理を行い、同様の動作を下端の画素列まで繰り返し実行する手法が利用される場合がある。この手法においては、デジタル画像データの主走査方向の幅が大きくなるにつれて、大きなメモリ容量が必要になる。例えば、A4サイズの画像を、解像度が600dpiのスキャナで読み取り、デジタル画像データに変換した場合、デジタル画像データの幅は4953画素となる。そのため、1画素が3バイト(24ビット)のデータ量である場合に、3画素×3画素の参照領域を持つ局所(近傍)画像処理を行うと、約29Kバイト(4953画素×2ライン×3バイト)のメモリ容量が必要になる。
そこで、画像処理に必要なメモリ容量を低減すべく、デジタル画像データを複数のブロック(タイル)領域に分割し、別々に局所(近傍)画像処理を行うという技術(以下、ブロック処理と呼ぶ)が開示されている(特許文献1)。また、特許文献2では、1枚の画像データの副走査方向に分割して得られる複数のバンド領域に対し、それぞれのバンド領域内の画素を走査して画像処理を行う手法(以下、クロスバンド処理と呼ぶ)が開示されている。更に、特許文献3では、2次元空間フィルタ処理の演算量削減のため、2次元空間フィルタ処理を主走査方向と副走査方向の各々1次元のフィルタに分離して処理する手法(以下、変数分離型フィルタ処理と呼ぶ)が開示されている。
特開平11−259646号公報 特許第4594042号公報 特開2011−97258号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の手法においては、各領域の境界に重なり合う領域(重複領域)があるため、局所画像処理における参照領域を広くすると総転送画素数が増えてしまうという問題がある。例えば、空間フィルタ処理により光学系のボケが発生している画像を回復する場合、図14に示すように、参照領域を光学系のボケと同程度の広がりにしなければ十分な回復性能が得られない。そのため、光学系のボケが大きい場合は、参照領域を広くする必要があり、その結果、総転送画素数が増えてしまう。もしくは、空間フィルタ処理により画像をぼかして撮像系のノイズを除去したい場合、ノイズが大きいほどぼかす範囲を広くする必要がある。そのため、撮像系のノイズが大きい場合は参照領域を広くする必要があり、その結果、総転送画素数が増えてしまう。その際、特許文献3に記載の変数分離型フィルタ処理を用いたとしても重複領域は変わらない。よって、総転送画素数の増加量は変わらない。
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、局所画像処理をより効率的に実行可能とする技術を提供することを目的とする。
上述の問題点を解決するため、本発明に係る画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置において、
前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にN画素(ただしN<M)の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶する記憶手段と、
前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割手段と、
前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ手段と、
前記空間フィルタ手段によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成手段と、
を有し、
前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における列方向の画素群の並び方向である
あるいは、入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置において、
前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にM画素の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶する記憶手段と、
前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割手段と、
前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ手段と、
前記空間フィルタ手段によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成手段と、
を有し、
前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向に対して45度の傾きをもつ方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並びに対して135度の傾きをもつ方向である
本発明によれば、局所画像処理をより効率的に実行可能とする技術を提供することができる。
第1実施形態に係る画像処理装置の全体構成を示すブロック図である。 画像処理部の構成を示すブロック図である。 バンド処理におけるバンド領域を説明する図である。 変数分離型フィルタによるバンド処理の動作を説明する図である。 画像データの1方向の解像度を1/2に低減する形態を説明する図である。 第1実施形態におけるフィルタ処理の動作を説明する図である。 第1実施形態における1次元フィルタの構成を示す図である。 空間フィルタ処理が実行される領域を例示的に示す図である。 従来のフィルタ処理による補正後の特性を説明する図である。 第1実施形態に係るフィルタ処理による補正後の特性を説明する図である。 2つの1次元フィルタの一方において解像度を1/4に低減する形態を説明する図である。 2つの1次元フィルタの双方において解像度を1/2に低減する形態を説明する図である。 第3実施形態における1次元フィルタの構成を示す図である。 光学ボケによるボケ範囲と空間フィルタのフィルタ係数の影響範囲との関係を説明する図である。 空間フィルタ回路230の機能構成を説明する図である。
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
(第1実施形態)
本発明に係る画像処理装置の第1実施形態として、原稿を読み取り、読み取り光学系に起因する画像ボケを補正(補償)し画像形成を行う複合機(MFP)を例に挙げて以下に説明する。
<前提技術>
まず、本発明の前提となる背景技術で述べた画像処理の手法について説明する。
・ブロック処理
デジタル画像データを複数のブロック(タイル)領域に分割し、別々に局所(近傍)画像処理を行う手法である。かかる技術では、各ブロック領域間で隙間なく局所(近傍)画像処理を行うために、各ブロック領域が、夫々隣接するブロック領域と、境界で互いに重なり合うようにしている。このようにすれば、メモリの容量をブロック(タイル)領域の大きさで規定することができ、省メモリ化することが可能となる。例えば、解像度が600dpiのA4サイズのデジタル画像データ(主走査方向4969画素×副走査方向7016画素)である。このとき、3画素×3画素の参照領域を持つ空間フィルタ処理を行う場合、ブロック(タイル)領域の大きさを16画素×16画素とすると、メモリ容量は、0.75Kバイト(16画素×16画素×3バイト)になる。
ただし、上述の重なり合う領域の画素は2回又は4回転送されることになる。例えば、3画素×3画素の参照領域に対して空間フィルタ処理を行う場合、総転送画素数は本来のデジタル画像データの画素数である4969画素×7016画素に対し1.31倍となる。また、9画素×9画素の空間フィルタ領域に対して空間フィルタ処理を行う場合には、重なり合う領域がさらに増加し、デジタル画像データの総転送画素数は本来のデジタル画像データの画素数の4倍となる。
・クロスバンド処理
1枚の画像データの副走査方向に分割して得られた複数のバンド領域を、割当てたバンド領域の主走査方向に対して垂直な方向に、バンド領域内の画素を走査して局所(近傍)画像処理を逐次行う手法である。かかる技術では、バンド領域内の画素を画像処理するためのメモリ容量を、バンド領域の主走査方向に対して垂直な方向におけるバンド領域の大きさ(バンド領域の高さ)に依存させることができる。即ち、各バンド領域間で隙間なく局所(近傍)画像処理を行うために、各バンド領域が、夫々隣接するバンド領域と、境界で互いに重なり合うようにしている。上述のブロック処理とは異なり重なり合う領域が網目状になるわけではない。そのため、同一画素の再転送数はブロック処理に比較して少量となり、その結果、総転送画素数も少なくなる。
・変数分離型フィルタ処理
2次元空間フィルタ処理を主走査方向と副走査方向の各々1次元のフィルタに分離し、初めに主走査方向の1次元フィルタ処理を行い、続いて副走査方向の1次元フィルタ処理を行う手法である。参照領域用のメモリ容量は主走査方向または副走査方向の1列分でよいので大幅に削減できる。ただし、縦横の方向に変数分離型フィルタによる鮮鋭性回復処理を行うと、2次元的な光学ボケ特性と異なるため、斜め方向が過補正(斜めリンギングが発生)になってしまう。また、メモリ容量や演算量は抑制できるが、総転送画素数の削減はできない。
<第1実施形態の概要>
第1実施形態では、副走査方向に間引いた画像データ(奇数行画像及び偶数行画像)に対して変数分離型フィルタ処理を行うと共に、2つの1次元フィルタの一方(副走査方向)の参照画素を削減する。この構成により、斜め方向の過補正を低減することが可能となる。また、空間フィルタ処理に使用する画素数が削減されるため総転送画素数の増加を抑制することが可能となる。
<装置構成>
図1は、第1実施形態に係る画像処理装置の全体構成を示すブロック図である。画像読み取り部120は、レンズ122、CCDセンサ124、及びアナログ信号処理部126等を備えて構成される。レンズ122を介しCCDセンサ124に結像された原稿100の画像が、CCDセンサ124によりR(Red),G(Green),B(Blue)のアナログ電気信号に変換される。
アナログ信号に変換された画像情報は、アナログ信号処理部126に入力され、R,G,Bの各色毎に補正等が行われた後にアナログ・デジタル変換(A/D変換)される。デジタル化されたフルカラー信号(以下、デジタル画像信号という)は、画像処理部130に入力される。画像処理部130は、デジタル画像信号に対し、後述する入力補正処理、空間フィルタ処理、色空間変換、濃度補正処理、及び中間調処理を施し、これらの処理が施された後のデジタル画像信号をプリンタ部140へ出力する。プリンタ部140は、たとえば、インクジェットヘッドやサーマルヘッド等を使用したラスタプロッタ等の印刷出力部(図示せず)を備えて構成され、入力されたデジタル画像信号により紙上に画像を記録する。
また、CPU回路部110は、演算制御用のCPU112、固定データやプログラムを格納するROM114、データの一時保存やプログラムのロードに使用されるRAM116、及び外部記憶装置118等を備える。そして、画像読み取り部120、画像処理部130、及びプリンタ部140等を制御し、画像処理装置のシーケンスを統括的に制御する。外部記憶装置118は、画像処理装置が使用するパラメータやプログラムを記憶するディスク等の媒体であり、RAM116のデータやプログラム等は、外部記憶装置118からロードされる構成としても構わない。
図2は、画像処理部の構成を示すブロック図である。アナログ信号処理部126から出力されたデジタル画像信号は、バス205を経由して画像処理コントローラ200に入力される。画像処理コントローラ200は、入力インターフェース210、入力補正回路220、空間フィルタ回路230、色空間変換回路240、濃度補正回路250、中間調処理回路260、及び出力インターフェース270を備える。以下、入力補正回路220、空間フィルタ回路230、色空間変換回路240、濃度補正回路250、及び中間調処理回路260について詳細に説明する。
入力補正回路220には、入力インターフェース210を経由してデジタル画像信号215が入力される。このデジタル画像信号215はR,G,Bの輝度信号で構成される。入力補正回路220は、原稿100を読み取るセンサの特性のばらつきや、原稿照明用ランプの配光特性を補正するための処理を行う。
空間フィルタ回路230には、入力補正回路220から出力されたデジタル画像信号(輝度信号R,G,B)225が入力される。空間フィルタ回路230は、第1実施形態の主な特徴部分に該当する回路であり、デジタル画像信号(輝度信号R,G,B)225に対し、平滑化やエッジ強調、光学ボケ補正といった局所(近傍)画像処理を行う。
色空間変換回路240には、空間フィルタ処理回路230から出力されたデジタル画像信号(輝度信号R,G,B)235が入力される。色空間変換処理回路240は、デジタル画像信号235の輝度信号R,G,Bを、濃度信号C(Cyan),M(Magenta),Y(Yellow),K(Black)に変換する。
濃度補正回路250には、色空間変換回路240から出力されたデジタル画像信号(濃度信号C,M,Y,K)245が入力される。濃度補正回路250は、デジタル画像信号(濃度信号C,M,Y,K)245に対し濃度補正を行う。これは、後段の中間調処理回路260で2値化されたときに濃度変化が起きないように、中間調処理の特性を考慮して予め濃度補正を行う必要があるからである。
中間調処理回路260には、濃度補正回路250から出力されるデジタル画像信号(濃度信号C,M,Y,K)255が入力される。中間調処理回路260は、デジタル画像信号(濃度信号C,M,Y,K)255に対しスクリーン処理を行い、2値の中間調表現に変換する。そして、2値デジタル画像信号(印字信号C,M,Y,K)265が、出力インターフェース270とバス275とを経由してプリンタ部140に出力される。
<空間フィルタ回路230の動作>
家庭用プリンタのような低コストの機器では、システムのメインメモリ(図1のRAM116に相当)の容量が小さい。そのため、1枚の画像データを複数のバンド(帯状)領域に分割し、各バンド領域をメインメモリに展開して各種の画像処理を行うことが一般的である。この分割された細長い領域をバンド領域と呼び、バンド領域のデータが展開される記憶領域をバンドメモリと呼び、分割する行為をバンド分割と呼ぶ。バンドメモリは、メインメモリ内に記憶領域として確保されると決まっているわけではなく、システム上のどの記憶領域に確保してもよいが、ここでは、説明を簡潔にするためにバンドメモリをメインメモリ内に確保する場合を例に挙げて説明する。
図3は、バンド処理におけるフィルタ処理の動作を説明する図である。ここで、デジタル画像データの座標系(主走査方向−副走査方向)は、図3(e)に示すように、長さ方向、高さ方向という新たな座標系(バンド領域座標系)を定義し、バンド領域を長さ×高さで表現する。また、バンド領域の長さは、必ずデジタル画像データの主走査方向の幅、もしくは副走査方向の高さの何れかの値となり、バンドの高さは任意の値となる。
バンド処理についてもう少し詳しく説明する。まず、1つ目のバンド領域画像である第1のバンド領域301を、メインメモリ上のバンドメモリに展開して画像処理を行う(図3(a))。次に、第2のバンド領域302を、バンド領域301が展開されたバンドメモリに上書き展開して画像処理を行う(図3(b))。さらに、第3のバンド領域303を、バンド領域302が展開されたバンドメモリに上書き展開して画像処理を行う(図3(c))。以下同様にして、画像データの下方領域まで逐次格納し処理を行う。
なお、バンド領域301〜303の長さ(主走査方向)は同じであるが、高さ(副走査方向)は同じである必要性は無い。メインメモリの記憶領域であるバンドメモリは最も大きいバンド領域によって決定される。また、前述したように、メインメモリ内のバンドメモリは1つの記憶領域に限定されるわけではない。例えば2つのバンドメモリA、Bをメインメモリ内に確保してもよい。このようにした場合には、まず、第1のバンドメモリAにバンド領域301を展開して第1の画像処理を行う。次に、バンド領域301を第1のバンドメモリAから第2のバンドメモリBに移して、第1のバンドメモリAに第2のバンド領域302を展開する。そして、第1のバンド領域301に対して第2の画像処理を行ないながら、並列に第2のバンド領域302に第1の画像処理を行うと良い。バンド領域単位にデジタル画像データを分割して画像処理を行うことで、このようなパイプライン的な画像処理が可能となる。
<空間フィルタ回路230のバンド処理動作>
家庭用プリンタのような低コストの機器では、システムのメインメモリ(図1のRAM116に相当)の容量が小さい。そのため、1枚の画像データを複数のバンド(帯状)領域に分割し、各バンド領域をメインメモリに展開して各種の画像処理を行うことが一般的である。この分割された細長い領域をバンド領域と呼び、バンド領域のデータが展開される記憶領域をバンドメモリと呼び、分割する行為をバンド分割と呼ぶ。バンドメモリは、メインメモリ内に記憶領域として確保されると決まっているわけではなく、システム上のどの記憶領域に確保してもよいが、ここでは、説明を簡潔にするためにバンドメモリをメインメモリ内に確保する場合を例に挙げて説明する。
図15は、空間フィルタ回路230の機能構成を説明する図である。空間フィルタ回路230は、バンド領域分割部2301、画素群座標情報決定部2302、フィルタ係数保持部2303、積和演算部2304、バンド領域合成部2305を備える。
図3は、バンド処理におけるフィルタ処理の動作を説明する図である。ここで、デジタル画像データの座標系(主走査方向−副走査方向)は、図3(e)に示すように、長さ方向、高さ方向という新たな座標系(バンド領域座標系)を定義し、バンド領域を長さ×高さで表現する。また、バンド領域の長さは、必ずデジタル画像データの主走査方向の幅、もしくは副走査方向の高さの何れかの値となり、バンドの高さは任意の値となる。
バンド処理についてもう少し詳しく説明する。まず、図3(a)に示す第1のバンド領域301を、メインメモリ上のバンドメモリに展開して画像処理を行う。次に、図3(b)に示す第2のバンド領域302を第1のバンド領域301が展開されたバンドメモリに上書き展開して画像処理を行う。さらに、図3(c)に示す第3のバンド領域303を第2のバンド領域302が展開されたバンドメモリに上書き展開して画像処理を行う。最後に、図3(d)に示す第4のバンド領域304を第3のバンド領域303が展開されたバンドメモリに上書き展開して画像処理を行う。
なお、バンド領域301〜303の長さ(主走査方向)は同じであるが、高さ(副走査方向)は同じである必要性は無い。メインメモリの記憶領域であるバンドメモリは最も大きいバンド領域によって決定される。また、前述したように、メインメモリ内のバンドメモリは1つの記憶領域に限定されるわけではない。例えば2つのバンドメモリA、Bをメインメモリ内に確保してもよい。このようにした場合には、まず、第1のバンドメモリAにバンド領域301を展開して第1の画像処理を行う。次に、バンド領域301を第1のバンドメモリAから第2のバンドメモリBに移して、第1のバンドメモリAに第2のバンド領域302を展開する。そして、第1のバンド領域301に対して第2の画像処理を行ないながら、並列に第2のバンド領域302に第1の画像処理を行うと良い。バンド領域単位にデジタル画像データを分割して画像処理を行うことで、このようなパイプライン的な画像処理が可能となる。
図4は、従来の変数分離型フィルタによるバンド処理の動作を説明する図である。図7は、1次元フィルタの構成を示す図である。ここでは、主走査(長さ)方向の1次元フィルタ(積和演算)処理を行い、続いて副走査(高さ)方向の1次元フィルタ処理を行う例を示している。ただし、主走査、副走査方向の処理の順番はどちらが先でも良い。図4(a)において、参照符号400は、画像データの全域を示している。まず、図7(a)に示された1次元フィルタ係数410を用いて、主走査方向(長さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。
図4(a)に示すように、バンド領域の左上端の画素からバンド領域の長さ方向に沿って、1画素ずつ画像処理が実行される。バンド領域の右端の画素まで到達した時点で高さ方向に1画素だけ画像処理する画素を進め、再度バンド領域の左端の画素からバンド領域の長さ方向に沿って1画素ずつ右端まで画像処理が実行される。この一連の画像処理をバンド領域の右下端の画素まで実行し、主走査方向のバンド処理が終了する。図4(a)に示す第1のバンド領域301の処理を終えた後、図4(b)に示すように、第1のバンド領域301に対して、図7(b)に示される1次元フィルタ係数411を用いて、副走査(高さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。
図4(b)に示すように、バンド領域の左上端の画素からバンド領域の高さ方向に沿って、一画素ずつ画像処理が実行される。バンド領域の下端の画素まで到達した時点で長さ方向に1画素だけ画像処理する画素を進め、再度バンド領域の上端の画素からバンド領域の高さ方向に沿って1画素ずつ下端まで画像処理が実行される。この一連の画像処理をバンド領域の右下端の画素まで実行し、副走査方向のバンド処理が終了する。第1のバンド領域301に対する処理を終えた後、図4(c)、図4(d)に示すように、第2のバンド領域302に対して、第1のバンド領域301に対して行ったのと同様の処理を行う。
図8は、空間フィルタ処理が実行される領域を例示的に示す図である。デジタル画像データ400の周辺部は、空間フィルタ処理を施すことができない領域1190が存在する。これは図7(a)及び図7(b)に示される2つの1次元フィルタ係数による参照領域内のすべての画素値を空間フィルタ処理に代入できないことに起因し、領域1190に対しては、原理上、適切な空間フィルタ処理を行うことができない。したがって、各バンド領域(バンド領域301〜304)間で隙間無く局所(近傍)画像処理を行うためには、各バンド領域において、図4(e)に示すような重なり合う画素領域460が必須となる。
上述の図4の例では、4ライン処理するのに8ラインのバンドメモリが必要となる。すなわち、従来の処理では、デジタル画像データを分割して局所(近傍)画像処理するために、総転送画素数がデジタル画像データの総画素数より増加してしまう。総転送画素数の増加率rは、空間フィルタ領域411の高さをfh、バンド領域の高さであるバンド高さBdhとすると、図4の(e)から分かる通り、数式(1)に示す通りとなる。
増加率: r=(Bdh)÷(Bdh−(fh−1)) ・・・(1)
すなわち、従来の処理では、fh=5、Bdh=8であるので、総転送画素数の増加率r=2となり、実際の有効処理領域に対し、2倍の転送が必要となる。
<空間フィルタ回路230のフィルタ処理の詳細>
以下では、第1実施形態における空間フィルタ回路230のフィルタ処理について説明する。ここでは、バンドメモリ高さ方向が従来(図4)と同じ(8ライン)場合について説明する。具体的には、1行毎に間引いた画像に対し、間引いた方向の参照画素を低減した空間フィルタ領域411を用いてフィルタ処理を行う。
図5は、画像データの1方向の解像度を1/2に低減する形態を説明する図である。当該処理は、バンド領域分割部2301、画素群座標情報決定部2302により実行される。なお、ここでは1行おき(2画素ごと)に画素群を抽出し、2つの分割画像(偶数行画像401、奇数行画像402)に分割している。ただし、Kを任意の2以上の正整数として、K行ごとに画素群を抽出し、K個の分割画像に分割してもよい。
図5(a)において、参照符号400は、画像データの全域を示している。まず、画素群座標情報決定部2302は、デジタル画像データ400の偶数行目の画素を偶数行画像401に割り当て、奇数行目の画素を奇数行画像402に割り当てる。この時、割り当てる行数は16(=8×2)行分となる。
偶数行画像401、奇数行画像402の割り当てを終えた後、バンド領域分割部2301は、図5(b)に示すように偶数行画像401を抜き出し、バンド領域301のデータとして、バンドメモリに展開する。ここで、バンドメモリの高さBdhは、従来の場合(図4)と同様に”8”である。偶数行画像401は、画像データ400が1行毎に間引かれたものであり、高さ方向の解像度は、画像データ400に比較して1/2となる。この、偶数行画像401に対して、1次元フィルタ処理を行うことにより、総転送画素数の削減が実現するが詳細は図6を参照して後述する。
偶数行画像401への1次元フィルタ処理を終えた後、バンド領域分割部2301は、図5(c)に示すように奇数行画像402を抜き出し、バンド領域301のデータとして、バンドメモリに展開する。ここでも、バンドメモリの高さBdhは、”8”である。奇数行画像402も、画像データ400が1行毎に間引かれたものであり、高さ方向の解像度は、画像データ400に比較して1/2となる。この、奇数行画像402に対しても、偶数行画像401と同様に1次元フィルタ処理を行うことにより、総転送画素数の削減が実現するが、詳細は後述する。
図6は、第1実施形態におけるフィルタ処理の動作を説明する図である。上述のように第1実施形態においては、画像データ400が1行毎に間引かれたデータ(偶数行画像401、奇数行画像402)に対してフィルタ処理を行う。そのため、高さ方向のフィルタ係数(高さfh=N画素)は、図7(b)の係数に対して解像度が1/2であるフィルタ係数412(図7(c))を用いる(Nは正整数)。なお、長さ方向のフィルタ係数(長さfw=M画素)は、従来と同様にフィルタ係数410(図7(a))を用いる(Mは正整数)。これらのフィルタ係数は、図15におけるフィルタ係数保持部2303などの記憶部に保持されている。
積和演算部2304は、バンド領域301に格納された偶数行画像401に対し、1次元フィルタ係数410を用いて、主走査方向(長さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。図6(a)に示すように、バンド領域の左上端の画素からバンド領域の長さ方向に沿って、一画素ずつ画像処理が実行される。バンド領域の右端の画素まで到達した時点で高さ方向に1画素だけ画像処理する画素を進め、再度バンド領域の左端の画素からバンド領域の長さ方向に沿って一画素ずつ右端まで画像処理が実行される。この一連の画像処理をバンド領域の右下端の画素まで実行し、偶数行画像401に対する主走査方向のバンド処理が終了する。
図6(a)に示す処理を終えた後、積和演算部2304は、偶数行画像401に対し、1次元フィルタ係数412を用いて、副走査(高さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。図6(b)に示すように、バンド領域の左上端の画素からバンド領域の高さ方向に沿って、一画素ずつ画像処理が実行される。バンド領域の下端の画素まで到達した時点で長さ方向に1画素だけ画像処理する画素を進め、再度バンド領域の上端の画素からバンド領域の高さ方向に沿って一画素ずつ下端まで画像処理が実行される。この一連の画像処理をバンド領域の右下端の画素まで実行し、偶数行画像401に対する副走査方向のバンド処理が終了する。
偶数行画像401に対する処理を終えた後、積和演算部2304は、図6(c)に示すように、バンド領域301に格納された奇数行画像402に対し、1次元フィルタ係数410を用いて、主走査方向(長さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。なお、図6(c)の処理は、上述の図6(a)の処理と同様であるため説明は省略する。
図6(c)に示す処理を終えた後、積和演算部2304は、図6(d)に示すように、奇数行画像402に対し、1次元フィルタ係数412を用いて、副走査(高さ方向)の1次元フィルタ処理を行う。なお、図6(d)の処理は、上述の図6(b)の処理と同様であるため説明は省略する。この一連の画像処理を実行し、奇数行画像402に対する副走査方向のバンド処理が終了する。
図6(a)〜(d)に示す処理を終えた、偶数行画像401、奇数行画像402について、バンド領域合成部2305は、間引かれた画像を元の画像400の座標に戻す。すなわち、フィルタ処理が適用された2個の処理後分割画像を合成して、第1のバンド領域301に対するフィルタ処理後画像を生成する。生成されたデータは、色空間変換回路240に入力される。第1のバンド領域301に対する処理を終えた後、第2のバンド領域302に対して、第1のバンド領域301に対して行ったのと同様の処理を行う。
上述のように、処理対象の画像(偶数行画像401、奇数行画像402)、フィルタ係数412は、双方ともに、高さ方向の解像度は1/2でなる。高さ方向の解像度が1/2となることは、高さ方向の高周波成分の制御性能が従来に比較し悪化する。ただし、図7(c)と図7(a)のフィルタ係数が及ぼす空間的な範囲は同じであるため、低周波成分の制御性能は略同等となる。すなわち、図7(c)に示すフィルタ係数412は、高周波成分に対する制御は難しいが低周波成分に対する制御は容易である。人間の視覚特性においては、高周波画像成分は低周波画像成分に比較し感度が低いことが知られている。そのため、図7(c)に示すフィルタ係数412によるフィルタ処理でも、従来のフィルタ係数(図7(b))と略同じ性能となることが期待できる。
<効果>
・斜め方向の過補正の低減
図7(c)に示すフィルタ係数412は、従来のフィルタ係数である図7(b)に比較してより適切なフィルタ効果が期待できる。これは、システムの周波数特性の劣化として、画像読み取り部120の空間周波数的な劣化を補正するフィルタ(積和演算)処理を考えると理解しやすい。通常、画像読み取り部120は、レンズ122、CCDセンサ124などにより構成される。ここで、レンズ122を介しCCDセンサ124に結像された原稿100の画像は、空間周波数的な劣化が発生することが知られている。
図9は、従来の変数分離型フィルタのフィルタ処理による補正後の特性を説明する図である。また、図10は、第1実施形態に係るフィルタ処理による補正後の特性を説明する図である。図9(a)及び図10(a)は、CCDセンサ124により得られた、RGB信号のG成分の空間周波数特性の一例を示す図である。一般的に、レンズ等の光学的なボケは等方的に周波数劣化が生じる。そのため、fx(0度方向)、fy(90度方向)、fxy(45度方向)の各方向について同じような周波数劣化が生じる。
ところで、上述の光学的なボケを、従来の1次元フィルタの組合せ(図7(a)と図7(b))で補正(回復)する場合を考える。図7(a)及び図7(b)に示した、横縦方向の1次元フィルタは、fx・fy方向の周波数応答の調整が可能であるが、斜め方向fxyの周波数応答の調整は難しい。具体的には、縦横(0度・90度方向)の1次元フィルタを用いると、fxy方向の周波数応答は、fxの周波数応答、fyの周波数応答の積となることが知られている。図7(a)(b)のフィルタは、鮮鋭劣化を補正するフィルタのため、周波数応答値は1.0以上で、高周波領域ほど大きな値となる。この結果、図9(c)に示されるように、fxyの周波数応答値は、fx、fyに比べて応答が大きくなってしまい、この周波数応答値の大きさは、特に高周波領域で顕著となってしまう。その結果、ノイズの増幅や、リンギング、色ずれなどの弊害が発生しやすいものとなっていた。
次に、図10を参照して第1実施形態で使用する2つの1次元フィルタ係数で補正(回復)する場合を考える。図7(a)及び図7(c)に示した、横縦方向の1次元フィルタ(積和演算)処理においても、fx・fy方向の周波数応答の調整が可能であるが、斜め方向fxyの周波数応答の調整は難しい。
しかしながら、上述のように、fy方向のフィルタ係数は、解像度的に1/2となっている。そのため、高周波成分における周波数応答は、折り返し(エイリアシング)が生じ、高周波の応答値が低下する形状となる。この結果、図10(c)に示されるように、fxの周波数応答とfyの周波数応答の積として示されるfxy方向の周波数応答は、従来(図9)に比較して、高周波の応答値が抑制されることになる。
このように第1実施形態におけるフィルタ処理では、fxy方向の高周波成分における過補正を抑制することが可能となる。これにより、ノイズの増幅や、リンギング、色ずれなどの弊害が発生しにくい処理となっている。なお、fy方向の高周波成分の応答値は1.0を下回っているが、上述の通り人間の視覚上鈍感な成分領域であるため問題となりにくい。
・総転送画素数の増加率
図4(e)を参照して説明した従来の処理と同様の理由で、デジタル画像データ401、402の周辺部は、空間フィルタ処理を施すことができない領域が存在する。各バンド領域(バンド領域301、302)間で隙間無く画像処理を行うためには、図6(e)に示すような重なり合う画素領域460が必須となる。
ただし、第1実施形態(図6)における例(fh=3、Bdh=8)では、6ライン処理するのに8ラインのバンドメモリで充分であることがわかる。すなわち、第1実施形態においては、数式(1)を用いて総転送画素数の増加率rを計算すると、r=1.33となり、実際の有効処理領域に対し、1.33倍の転送で済むことが分かる。すなわち、従来の変数分離型フィルタでは、4ライン処理するのに8ラインのバンドメモリが必要であり、総転送画素数の増加率r=2であったため、第1実施形態では、増加率rを抑制可能であることが分かる。
数式(1)より、Bdhが一定の場合、増加率rは、フィルタの高さfhが減るに従って減少し”1”に近づくことが分かる。そのため、第1実施形態では従来の変数分離型フィルタに比較し総転送画素数が低減されることが分かる。
以上説明したとおり第1実施形態によれば、1行おきに間引いた画像データに対し、変数分離型フィルタによる処理を行う。特に、2つの方向の1次元フィルタのうち、当該間引いた方向については解像度が低減されたフィルタ係数を用いる。この構成により、従来の変数分離型フィルタに比較し、斜め方向の過補正の低減や総転送画素数の低減を実現することが可能となる。
(変形例)
上述の説明においては、偶数行画像401及び奇数行画像402を、順次バンドメモリに展開して個別にフィルタ(積和演算)処理を行う例を示した。具体的には、図6(a)〜(d)のように、偶数行画像、奇数行画像それぞれに対して、主走査1次元フィルタ処理、副走査1次元フィルタ処理の2回(計4回)のフィルタ(積和演算)処理を行う例を示した。
しかしながら、図5(d)のように、偶数行画像401及び奇数行画像402を、1つのバンド領域のデータとして、バンドメモリに展開しても良い。具体的には、処理の偶数行画像401を左側に、奇数行画像402を右側に配置するようなバンドメモリを展開してもよい。このとき、偶数行画像401に対する処理と奇数行画像402に対する処理との間で相互に影響がないように、中央領域に無効画像領域403を挿入するとよい。このような無効画像領域403を用いれば、偶数行画像401の左端、奇数行画像402の右端においても特別な処理をしなくてすむ。
この様にすれば、バンドメモリへの展開を1回で済ますことが出来る。また、偶数行画像、奇数行画像が1枚の画像として展開されるため、主走査1次元フィルタ処理、副走査1次元フィルタ処理の計2回のフィルタ(積和演算)処理を行うだけですむ。
また、第1実施形態においては、バンドメモリの高さBdh=8、従来の変数分離型フィルタの高さfh=5、本発明のフィルタの高さfh=3の例を示した。ただし、これらの値に限定されるものではない。例えば、Bdh=16、従来の変数分離型フィルタの高さfh=9、本発明のフィルタの高さfh=5としてもよい。この場合も、
従来: r=16÷(16−(9−1))=2
本発明: r=16÷(16−(5−1))=1.33
となり、66%の総転送画素数を削減することができる。
なお、転送画素数を効率的に削減するには、バンドメモリの長さ方向を考慮すると、効果を得やすい。具体的には、Bdhがより小さいほうが、数式(1)における総転送画素数の増加率rを抑制することが出来ることを考慮して、間引く方向を決定するとよい。
また、上述の説明では、縦横のどちらか一方の解像度を低減する(間引く)事例を示したが、縦横双方の解像度を低減する(間引く)処理を行っても良い。この様にすれば、総転送画素数の増加率rの抑制に更なる効果が得られる。
図12は、2つの1次元フィルタの双方において解像度を1/2に低減する形態を説明する図である。すなわち、この場合は、間引き処理により4つの画像401〜404が得られる。そして、4つの画像401〜404それぞれに対し、解像度が1/2に低減された縦横2つのフィルタ係数を用いて処理することになる。
すなわち、L列ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより得られるK個の分割画像を、L列ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K×L個の2次分割画像に分割してもよい。この場合、K×L個の2次分割画像それぞれに対して、2つの1次元フィルタを順次適用する。そして、フィルタ処理が適用されたK×L個の処理後2次分割画像を合成して、第1のバンド領域301に対するフィルタ処理後画像を生成する。
(第2実施形態)
第2実施形態では副走査方向に間引きする他の形態について説明する。すなわち、上述の第1実施形態では、副走査方向を1行おきの画像(すなわち副走査方向に1/2解像度の画像)に対して1次元フィルタ処理を行った。ただし、1/2解像度に限定されるものではない。
図11は、2つの1次元フィルタの一方において解像度を1/4に低減する形態を説明する図である。すなわち、4行ごとの画素列に対して1次元フィルタを行う形態を例示的に示している。具体的には、入力画像400に対して、(n+1)行目(nは0以上の整数)の画素列による画像401、(n+2)行目の画素列による画像402、(n+3)行目の画素列による画像403、(n+4)行目の画素列による画像404を生成する。そして、画像401〜404のそれぞれに対して、2つの方向(0度・90度方向)の1次元フィルタ処理を行う。この時、1次元フィルタ処理における、フィルタ係数も、解像度低減方向(高さ方向)の解像度が1/4となるフィルタを用いる。
バンドメモリにおける高さ16、従来の変数分離型フィルタのフィルタ高さfh=9の場合で説明する。この時、従来の変数分離型フィルタのフィルタ係数が及ぼす空間的な範囲が同じとなる本発明のるフィルタ高さはfh=3となる。すなわち、解像度が1/4(4行間隔)の場合、フィルタ高さfh=3とすれば、従来の変数分離型フィルタのフィルタ高さfh=9と、低周波成分の制御は略同等の性能となる。
なお、高さ方向の解像度が1/4となるため、高さ方向の高周波成分の制御性能が従来あるいは第1実施形態の変数分離型フィルタよりも悪化する。しかしながら、第1実施形態で説明した人間の視覚特性により、人間にとっては従来のフィルタ高さfh=9と略同じと感じられる画像が得られることが期待できる。
また、このとき、総転送画素数の増加率rは以下のようになる。
従来: r=16÷(16−(9−1))=2
本発明: r=16÷(16−(3−1))=1.14
すなわち、増加率を80%以上抑制できる。また、高周波領域の過補正も第1実施形態に比較しさらに抑制できる。
以上説明したように、第2実施形態では、第1実施形態に比較し、総転送画素数の増加率rを更に抑制することが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、主走査方向に対して斜めとなる2つの1次元フィルタを用いる形態について説明する。すなわち、上述の実施形態では、入力画像データにおいて画素の並びに沿った2つの方向の1次元フィルタを使用したが、他の方向の1次元フィルタを用いることも可能である。以下の説明では、入力画像データにおける行方向(あるいは列方向)の画素群の並び方向(主走査方向)に対して45度・135度の傾きが設定された直交する2つの1次元フィルタを用いる例について説明する。
図13は、第3実施形態における1次元フィルタの構成を示す図である。すなわち、画素の並びに対して45度方向に設定された2つの1次元フィルタを使用する。具体的には、従来のフィルタ係数(図13(a)及び(b))に対して解像度が低減されたフィルタ係数(図13(c)及び(d))を用いる。図12(b)〜(e)に示すような解像度低減(間引き)を行った4つのバンド画像それぞれに対して、このフィルタ係数によるフィルタ処理を行うことで、総転送画素数の増加率rを抑制することが可能となる。具体的には、総転送画素数の増加率rは以下のようになる。
従来: r=8÷(8−(5−1))=2
本発明: r=8÷(8−(3−1))=1.33
すなわち、増加率を60%以上抑制できる。
ところで、斜め方向にフィルタを設定したことにより、斜め方向(fxy及びfyx)方向の周波数応答の調整が可能となる一方、縦横方向(fx及びfy)の周波数応答の調整は難しくなる。ただし、斜め方向の解像度を低減したフィルタ係数を用いることにより、縦横方向(fx及びfy)の高周波領域での応答値が抑制される。そのため、ノイズの増幅や、リンギング、色ずれなども抑制することが可能である。
なお、上述の説明においては、2つの1次元フィルタの方向を、主走査方向に対して、それぞれ45度・135度の方向となるように設定した。すなわち、互いに直交するよう構成した例について説明した。しかしながら、使用する2つの1次元フィルタは、直交する必要は無い。たとえば、主走査方向に対してそれぞれ90度及び135度の傾きを有する2つの方向のフィルタ(図7(c)及び図13(c))を利用してもよい。
以上説明したように、第3実施形態では、処理対象の画像データにおける画素の並びに対し斜め方向となる2つの1次元フィルタを使用した。これにより、斜め方向の周波数特性を直接制御可能となると共に、従来に比較し総転送画素数の増加率rを抑制することが可能となる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
110 CPU回路部; 120 画像読み取り部; 130 画像処理部; 140 プリンタ部; 301,302 バンド領域; 410,412 フィルタ係数

Claims (6)

  1. 入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置であって、
    前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にN画素(ただしN<M)の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶する記憶手段と、
    前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割手段と、
    前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ手段と、
    前記空間フィルタ手段によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成手段と、
    を有し、
    前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における列方向の画素群の並び方向である
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記分割手段は、更に、前記K個の分割画像を、L列ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K×L個の2次分割画像に分割し、
    前記空間フィルタ手段は、前記K×L個の2次分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用し、
    前記生成手段は、前記空間フィルタ手段によるフィルタ処理が適用されたK×L個の処理後2次分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置であって、
    前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にM画素の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶する記憶手段と、
    前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割手段と、
    前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ手段と、
    前記空間フィルタ手段によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成手段と、
    を有し、
    前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向に対して45度の傾きをもつ方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並びに対して135度の傾きをもつ方向である
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置の制御方法であって、
    前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にN画素(ただしN<M)の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶部に記憶する記憶工程と、
    前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割工程と、
    前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ工程と、
    前記空間フィルタ工程によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成工程と、
    を含み、
    前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における列方向の画素群の並び方向である
    ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
  5. 入力画像を複数のバンド領域画像に分割し、各バンド領域画像をバンドメモリに逐次格納して画像処理を行なう画像処理装置の制御方法であって、
    前記入力画像における第1の方向にM画素、該第1の方向と異なる第2の方向に1画素の参照領域を有する第1のフィルタ係数と、前記第1の方向に1画素、前記第2の方向にM画素の参照領域を有する第2のフィルタ係数と、を記憶部に記憶する記憶工程と、
    前記バンドメモリに格納されたバンド領域画像を、K行ごとの画素群をそれぞれ異なる位相で抽出することにより、K個の分割画像に分割する分割工程と、
    前記K個の分割画像それぞれに対して、前記第1のフィルタ係数を利用した1次元フィルタ及び前記第2のフィルタ係数を利用した1次元フィルタを順次適用する空間フィルタ工程と、
    前記空間フィルタ工程によるフィルタ処理が適用されたK個の処理後分割画像を合成して前記バンド領域画像に対するフィルタ処理後画像を生成する生成工程と、
    含み、
    前記第1の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並び方向に対して45度の傾きをもつ方向であり、前記第2の方向は、前記入力画像における行方向の画素群の並びに対して135度の傾きをもつ方向である
    ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
  6. コンピュータを、請求項1乃至の何れか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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