JP6562388B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記のトラクション制御の最中に全筒運転から減筒運転への切替時の点火時期のリタード制御が重なった場合、点火時期が過剰に遅角側に制御される可能性があり、エンジンが失火するおそれがある。このような問題は、上記のようなトラクション制御を行う場合に限らず、点火時期をリタードすることによってエンジンのトルクを減少させる制御を行う場合に発生しうる問題である。
トルクダウン手段によって点火時期がリタードされる間は、抑制手段が全筒運転と減筒運転との切替を禁止するので、過剰に点火時期がリタードされるのが抑制される。
このように構成された本発明においては、全筒運転と減筒運転との切替時に、気筒内への吸気量を増大させるので、吸気量が増大するまでの遅れによるエンジン出力の低下が、点火リタード手段による点火時期のリタードによって抑制され、全筒運転と減筒運転との切替時のトルク段差が抑制される。
このように構成された本発明においては、トルクダウン手段は、車両が所定車速以下のときの駆動輪のスリップを低減するためにトルクダウンを実施する。このトルクダウンの実施中には、点火リタード手段による点火時期のリタードが抑制されるので、駆動輪のスリップを低減するためにトルクダウンを実施している間の点火時期の過剰なリタードが抑制される。
したがって、車両が所定車速以下の場合には全筒運転と減筒運転との切替が抑制されるので、トルクダウン手段によってトルクダウンが実施されている場合であっても、過剰に点火時期がリタードされるのが抑制される。
気筒2A〜2Dに設けられた各ピストン15は、クランク角において180°(180°CA)の位相差をもって往復動する。これに対応して、各気筒2A〜2Dにおける点火時期は、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。
具体的には、図2の左側から順に、気筒2Aを第1気筒、気筒2Bを第2気筒、気筒2Cを第3気筒、気筒2Dを第4気筒とすると、4つの気筒2A〜2Dの全てを稼働させる全筒運転時には、第1気筒2A→第3気筒2C→第4気筒2D→第2気筒2Bの順に点火が行われる。
また、減筒運転時には、点火順序が連続しない2つの気筒(本実施形態では第1気筒2Aおよび第4気筒2D)において点火プラグ14の点火動作が禁止され、残りの2つの気筒(即ち第3気筒2C及び第2気筒2B)において交互に点火が行われる。
アクセル開度センサ30(図3)は、アクセルペダルの開度(ドライバがアクセルペダルを踏み込んだ量に相当する)であるアクセル開度を検出する。吸気量センサ31は、吸気通路1を通過する吸気の流量に相当する吸入空気量を検出する。スロットル開度センサ32は、スロットルバルブ5の開度であるスロットル開度を検出する。吸気圧センサ33は、エンジン10に供給される吸気の圧力に相当するインマニ圧(インテークマニホールドの圧力)を検出する。クランク角センサ34は、クランクシャフト16におけるクランク角を検出する。水温センサ35は、エンジン10を冷却する冷却水の温度である水温を検出する。温度センサ36は、エンジン10の気筒2内の温度である筒内温度を検出する。カム角センサ37、38は、それぞれ、吸気バルブ12及び排気バルブ17の閉弁時期を含む動作タイミングを検出する。車速センサ39は、車両の速度(車速)を検出する。車輪速センサ40は、車両の駆動輪の車輪速を検出する。これらの各種センサ30〜40は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S130〜S140をPCM50に出力する。
スリップ判定手段54は、車輪速センサ40から得られる駆動輪の車輪速を監視し、所定車速(例えば時速5〜10km/h)以下において車輪速が所定値以上である場合に駆動輪がスリップしていると判定するように構成されている。
トルクダウン手段55は、スリップ判定手段54によって駆動輪のスリップが発生していると判定された場合に、可変動弁機構18に制御信号を送信して点火プラグ14の点火時期をリタードすることによって、エンジン10のトルクダウンを実施するように構成されている。なお、トルクダウン手段55による点火時期のリタード量は、一定の固定量に設定されている。
図4は、本発実施形態に係る車両の制御装置において運転モードを切り替える場合のエンジンの運転領域を概念的に示したマップである。図4は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸にエンジン負荷を示している。この図4に示すように、相対的にエンジン回転数が低く且つエンジン負荷が低い範囲に、減筒運転を行う減筒運転領域Aが設定されており、この減筒運転領域を除く範囲に、全筒運転を行う全筒運転領域Bが設定されている。運転状態判別手段56は、このようなマップを参照して、現在のエンジン回転数及びエンジン負荷が減筒運転領域A及び全筒運転領域Bのいずれに含まれるかを判別する。
ここで、減筒運転を行う場合、上記のように吸気量増大手段57によって気筒2A〜2Dへの吸気量を増大させるが、気筒2A〜2D内への吸気量が実際に増大するまでには一定の時間がかかるため、遅れが生じる。そこで、本実施形態では、この遅れに起因して発生する可能性のあるエンジン10のトルク段差を抑制するため、点火リタード手段58は、吸気量増大手段57による吸気量の増大制御の開始と同時に、点火プラグ14の点火時期のリタード、つまり遅角側に移動させる制御を開始するように構成されている。また、点火リタード手段58による点火時期のリタードは、吸気量増大手段57による吸気量の増大制御の終了とともに終了するように構成されている。なお、本実施形態では、点火時期のリタード量は、時間にともなって比例的に増大するように設定されている。
図5は、本実施形態に係る車両の制御装置のエンジン制御処理のフローチャートである。図5のエンジン制御処理は、車両のイグニッションがオンにされ、エンジンの制御装置に電源が投入された場合に起動され、繰り返し実行される。また、このエンジン制御処理は、基本的には、車両の走行中に実行される。
エンジン10の運転状態が全筒運転領域Bにある場合には、PCM50は、全筒運転から減筒運転への切替の要求はないと判断し(ステップS4においてNO)、スリップ判定手段54で駆動輪の車輪速が所定値未満になってトラクション制御の要求が終了したか否かを判断する(ステップS14)。ステップS4及びステップS14において、PCM50は、トラクション制御の要求が終了するまで、全筒運転から減筒運転への切替の要求がないかを監視する。
本実施形態においては、抑制手段53が、トルクダウン手段55によるトルクダウンの実施中は、全筒運転と減筒運転の切替を禁止するように構成されているので、この抑制手段53が全筒運転から減筒運転への切替を禁止する(ステップS5)。その結果、全筒運転から減筒運転への切替は行われない。
まず、吸気量増大手段57が、スロットルバルブ5の開度を増大させて、気筒2A〜2Dへの新気充填量(吸気量)の増大を開始する(ステップS9)。また、点火リタード手段58は、気筒2A〜2Dへの新気充填量の増大制御の開始と同時に、点火プラグ14の点火時期をリタード(遅角)させる(ステップS10)。
PCM50は、各気筒2A〜2Dへの新気充填量を監視し(ステップS11)、新気充填量が所定値に達すると、可変動弁機構18によって点火プラグ14の点火時期をアドバンス(進角)させて、点火時期を、点火リタード手段58による点火時期の遅角制御の開始前の点火時期に戻す(ステップS12)。
そしてPCM50は、閉弁保持機構20によって第1気筒2A及び第4気筒2Dの吸気バルブ12及び排気バルブ17を閉じ、閉弁状態を保持し、これにより減筒運転を開始する(ステップS13)。
図6は、本実施形態に係る車両の制御装置の作用を説明するためのタイムチャートである。この図6では、各気筒2A〜2Dへの吸気量と、点火プラグ14の点火時期のタイムチャートを示す。まず、トラクション制御が開始されると、点火プラグの点火時期が遅角側に変更される。トラクション制御の継続中は、この遅角された点火時期が維持される。
このトラクション制御中の時間t1に、全筒運転から減筒運転への切替要求があった場合、抑制手段53によって減筒運転への切替が禁止されているため、減筒運転のための吸気量の増大及び点火時期のリタードは開始されず、トラクション制御のために遅角された点火時期が維持される。
抑制手段53が、トラクション制御中は、全筒運転と減筒運転との切替を禁止するので、トルクダウン手段による点火時期のリタードに加えて減筒運転への切替時の点火時期のリタードが重なることがない。
ここで、もし仮に、抑制手段53によって、トラクション制御中の減筒運転への切替を禁止しない場合、図6に点線で示すように、時間t1において吸気量の増大が開始され、それと同時に点火時期のリタードが開始される。このとき、トラクション制御のために時間t1よりも前から既に点火時期がリタードされているため、時間t1以降は点火時期は更にリタードされることになる。吸気量の増大及び点火時期のリタードが時間t3まで続くと、図6に示すように、点火時期はリタード限界を超える場合がある。
本実施形態では、トルクダウン手段による点火時期のリタード制御中は、減筒運転への切替のための点火リタード手段58による点火時期のリタードが禁止されるので、過剰に点火時期がリタードされるのが防止され、エンジン10の失火を防止することができる。
前述の実施形態では、抑制手段は、全筒運転と減筒運転との切替を禁止することによって、点火リタード手段による点火時期のリタードを禁止するように構成されていたが、これに限らず、抑制手段は、直接、点火リタード手段による点火時期のリタードを禁止するように構成されていてもよい。
抑制手段は、全筒運転と減筒運転との切替を禁止するものに限らず、例えば減筒運転への切替時の点火時期のリタード量の上限を低減したり、減筒運転への切替のための減筒運転領域を狭める等の制御により、全筒運転と減筒運転との切替を抑制するように、あるいは点火リタード手段による点火時期のリタード量を抑制するように構成されていてもよい。要するに、抑制手段は、トルクダウン手段によるトルクダウンの実施中に、点火リタード手段による点火時期のリタードを抑制するように構成されていればよい。
14 点火プラグ
53 抑制手段
55 トルクダウン手段
57 吸気量増大手段
58 点火リタード手段
Claims (4)
- 複数の気筒を備え且つ前記複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転及び前記複数の気筒のうち一部の気筒において燃焼を行う減筒運転が可能なエンジンと、
前記エンジンの燃焼室に臨む位置に設けられた点火プラグと、
所定の車両要求に基づいて、前記点火プラグの点火時期をリタードすることにより前記エンジンのトルクダウンを実施するトルクダウン手段と、
を備えた車両の制御装置であって、
前記全筒運転と前記減筒運転との切替時のトルク段差を抑制するために、前記点火プラグの点火時期をリタードする点火リタード手段と、
前記トルクダウン手段による前記トルクダウンの実施中に、前記全筒運転と前記減筒運転との切替を禁止する抑制手段と、を備える、
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 前記全筒運転と前記減筒運転との切替時に、前記点火リタード手段による点火時期のリタードに合わせて前記気筒内への吸気量を増大させるように構成される、
請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記トルクダウン手段は、前記車両が所定車速以下のときの駆動輪のスリップを低減するために前記エンジンのトルクダウンを実施するように構成される、
請求項1または請求項2に記載の車両の制御装置。 - 複数の気筒を備え且つ前記複数の気筒の全てにおいて燃焼を行う全筒運転及び前記複数の気筒のうち一部の気筒において燃焼を行う減筒運転が可能なエンジンと、
前記エンジンの燃焼室に臨む位置に設けられた点火プラグと、
前記車両が所定車速以下のときに、駆動輪のスリップを低減するために前記点火プラグの点火時期をリタードすることにより前記エンジンのトルクダウンを実施するトルクダウン手段と、
を備えた車両の制御装置であって、
前記全筒運転と前記減筒運転との切替時のトルク段差を抑制するために、前記点火プラグの点火時期をリタードする点火リタード手段と、
前記車両が前記所定車速以下のときには、前記全筒運転と前記減筒運転との切替を禁止する抑制手段と、を備える、
ことを特徴とする車両の制御装置。
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JP2017052235A JP6562388B2 (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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