以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施の形態では、画像処理装置がMFP(Multifunction Peripheral)である場合について説明する。画像処理装置は、たとえばプリンター、複写機、またはスキャナーなどのMFP以外のものであってもよい。また以下の実施の形態では、階調値を0〜255の256段階で示しているが、階調値を示す段階の数は任意である。
本明細書では、「高周波網点」とは、色モアレを発生させる可能性のある高い周波数を有する網点を意味している。「高周波網点候補」とは、色モアレを発生させる可能性のある網点の候補を意味している。「モノクロ網点」とは、白および黒のみで構成された高周波網点を意味している。「カラー網点」とは、モノクロ網点以外の高周波網点を意味している。
[第1の実施の形態]
(MFPの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の構成を示す断面図である。
図1を参照して、本実施の形態におけるMFP100(画像処理装置の一例)は、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、およびボックス機能などを備えている。MFP100は、操作パネル1と、スキャナー部2と、フィーダー4と、プリンターエンジン6と、トレー8と、複数の給紙部9などを備えている。
操作パネル1は、MFP100の本体上面の前面側(ユーザが対向する側)に装着されている。操作パネル1は、ユーザーがMFP100を操作するための装置である。スキャナー部2は、原稿を光学的に読取って画像データを得るものである。フィーダー4は、スキャナー部2に原稿を送るものであり、MFP100の本体上面に配置されている。プリンターエンジン6は、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷するものである。トレー8は、プリンターエンジン6によって画像を形成された用紙が排紙される部分であり、MFP100の中央部に配置されている。複数の給紙部9は、プリンターエンジン6に用紙を供給するものであり、MFP100の本体下部に配置されている。
操作パネル1は、MFP100の前に立った状態で操作しやすい様に操作面が斜めに傾斜を付けて取り付けられる。MFP100によっては、車いすの操作者などにも配慮して、操作パネルの角度が可変のものもある。
図2は、MFP100の構成を示すブロック図である。
図2を参照して、MFP100は、システムコントローラー101と、メモリ102と、ネットワークインターフェース103と、出力画像処理部104と、記憶装置105と、撮像部106と、入力画像処理部107などをさらに備えている。システムコントローラー101には、メモリ102、ネットワークインターフェース103、出力画像処理部104、記憶装置105、撮像部106、および入力画像処理部107、操作パネル1、およびプリンターエンジン6の各々が接続されている。
システムコントローラー101は、スキャンジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、およびプリントジョブなどの各種ジョブについて、MFP100全体の制御を行う。システムコントローラー101は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112などを含んでいる。CPU111は、ROM112に記憶された制御プログラムを実行する。ROM112は、MFP100の動作を行うための各種プログラムと、各種固定データなどを格納している。システムコントローラー101は、所定の処理を行うことにより、メモリ102からのデータの読み込みや、メモリ102へのデータの書き込みを行う。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)であり、CPU111が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
ネットワークインターフェース103は、システムコントローラー101からの指示に従って、ネットワークを介して外部機器との通信を行う。プリンターエンジン6は、出力画像処理部104にて処理された印刷データに基づいて用紙などへのプリント処理を行う。特にMFP100がプリンターとして動作する場合、プリンターエンジン6は画像を印刷し、MFP100が複写機として動作する場合、プリンターエンジン6は、撮像部106で読取画像を印刷する。
出力画像処理部104は、画像の印刷を行う場合などに、その画像データの形式を印刷データに変換する変換処理を行う。
記憶装置105は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)である。記憶装置105は、MFP100の動作に関わる各種データなどを記憶する。また記憶装置105は、操作パネル1に表示する画面の画像データを記憶している。
撮像部106は、スキャナー部2を用いて原稿の画像を読み取る。
入力画像処理部107は、撮像部106で画像を読み取った場合などに、画像データの形式を変換する変換処理を行う。また入力画像処理部107は、読取画像への高周波網点の有無を検出する。さらに入力画像処理部107は、読取画像に高周波網点が含まれている場合に、読取画像に対して必要な補正を行う。
操作パネル1は、ユーザーからの各種の指示や、数字・文字・記号といった入力などの操作を受付けるための複数のキーと、表示装置とを含んでいる。操作パネル1の表示装置は、タッチパネルにより入力を検知し、ユーザーによる操作に応じた各種情報や各種操作を受け付けるためのメニュー画面などを表示する。また操作パネル1の表示装置は、ユーザーによりタッチ操作された位置を取得し、取得した位置に応じた入力情報を取得する。
プリンターエンジン6は、おおまかに、トナー像形成部、定着装置、および用紙搬送部などで構成される。プリンターエンジン6は、たとえば電子写真方式で用紙に画像を形成する。トナー像形成部は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙(記録媒体)にカラー画像を形成する。トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(2次転写)する転写部などで構成される。定着装置は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有する。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。用紙搬送部は、給紙ローラー、搬送ローラー、およびそれらを駆動するモーターなどで構成されている。用紙搬送部は、用紙を給紙カセットから給紙して、MFP100の本体内部で搬送する。また、用紙搬送部は、画像が形成された用紙をMFP100の本体内部からトレー8に排出する。
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるスキャナー部2の詳細な構成を示すブロック図である。
図3を参照して、スキャナー部2は、1ラインスキャナー151と、原稿読取コントローラー161と、モーター制御部162と、点灯制御回路163と、ADコンバーター164と、プラテン板165などを含んでいる。
1ラインスキャナー151は、RGB各色の光源151R、151G、および151Bと、受光センサー152とを含んでいる。RGB各色の光源151R、151G、および151Bの各々は、RGB各色の光を原稿MSに対して時分割で照射する。光源151RはR(赤)の光を照射し、光源151GはG(緑)の光を照射し、光源151BはB(青)の光を照射する。受光センサー152は、原稿MSからのRGB各色の反射光を順次受光する。
原稿MSは、プラテン板165上に配置されている。スキャナー部2は、1ラインスキャナー151を図3中横方向に移動させることにより、原稿MSの画像を読み取る。
すなわち、原稿読取コントローラー161は、原稿の読取開始をCPU111から指示されると、モーター制御部162と点灯制御回路163とに動作を指示する。モーター制御部162は、原稿読取コントローラー161からの指示に従い、図示しないモーターを駆動する。1ラインスキャナー151は、モーターによって副走査方向(図3中横方向)に移動される。点灯制御回路163は、RGB各色の光源151R、151G、および151Bの各々を時分割で点灯させる。受光センサー152は、原稿MSからの反射光を順次受光する。ADコンバーター164は、受光センサー152で受光した反射光の強度に応じた信号を出力する。原稿読取コントローラー161は、ADコンバーター164が出力したRGB各色の画像信号を、メモリ102を介して入力画像処理部107に出力する。RGB各色の画像信号は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動を示すものである。
なお、スキャナー部2は、1ラインスキャナーを原稿に対して相対的に移動させることにより、原稿の画像を読み取るものであればよい。スキャナー部2は、1ラインスキャナー151を静止させた状態で、フィーダー4によって搬送されてきた原稿を読み取ってもよい。
(低周波網点および高周波網点)
図4は、低周波網点の画像の読み取り結果を模式的に示す図である。図4(a)は、低周波網点を構成する複数の網点PT2の各々の位置と、RGB各色の光の反射位置との関係を模式的に示す図である。図4(b)は、低周波網点の画像を読み取った場合における、RGB各色の反射光の階調値の時間変動を模式的に示す図である。
図4(a)を参照して、低周波網点の画像は、白色の下地と、低周波網点を構成する黒色の複数の網点PT2とで構成されている。低周波網点を構成する複数の網点PT2の各々は、副走査方向に一定の間隔で存在している。複数の網点PT2の各々のサイズは、1ピクセルよりも大きい。複数の網点PT2の各々の間隔は1ピクセルよりも大きい。
図4(b)を参照して、1ラインスキャナー151では、RGB各色の光を原稿に対して照射する位置およびタイミングが互いに異なるため、RGB各色の光の反射位置は互いに異なる。しかし、低周波網点を構成する複数の網点PT2の各々のサイズおよび間隔は、RGB各色の光の反射位置の差と比較して大きいので、RGB各色の光の原稿での反射位置の差は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に影響を及ぼさない。すなわち、1ラインスキャナー151で低周波網点の画像の読み取った場合、1つの画素のRGB各色の反射光の階調値に差は無く、全て鮮鋭(階調値が0または255)になる。
図5は、高周波網点の画像の読み取り結果を模式的に示す図である。図5(a)は、高周波網点を構成する複数の網点PT1の各々の位置と、RGB各色の光の反射位置との関係を模式的に示す図である。図5(b)は、高周波網点の画像を読み取った場合における、RGB各色の反射光の階調値の時間変動を模式的に示す図である。
図5(a)を参照して、高周波網点の画像は、白色の下地と、高周波網点を構成する黒色の複数の網点PT1とで構成されている。高周波網点を構成する複数の網点PT1の各々は、副走査方向に一定の間隔で存在している。複数の網点PT1の各々のサイズは、1ピクセルよりも小さい。複数の網点PT1の各々の間隔は1ピクセルよりも小さい。
図5(b)を参照して、RGB各色の光の反射位置の差は、高周波網点を構成する複数の網点PT1の各々のサイズおよび間隔と比較して大きい。このため、1つの画素のRGB各色の反射光の階調値を比較すると、1つの画素のRGB各色の反射光の階調値に差が生じる。RGB各色の光の反射位置の差は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に影響を及ぼす。RGB各色の反射光の階調値の時間変動を比較すると、鮮鋭な箇所と非鮮鋭な箇所(階調値が0と255との間の値となる箇所)とが発生するタイミングは、RGB各色で互いにずれている。
また、たとえばRの反射光の階調値の時間変動に目を向けると、鮮鋭な箇所と非鮮鋭な箇所(階調値が0と255との間の値となる箇所)とが交互に発生している。GおよびBの反射光の階調値の時間変動も同様のことが言える。
(MFPの動作)
図6は、本発明の第1の実施の形態における入力画像処理部107の詳細な構成を示すブロック図である。
図6を参照して、本実施の形態の入力画像処理部107は、RGB各色の高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bと、RGB各色の周期算出部122R、122B、および122Gと、位相差算出部123と、比較・周期分割部124と、比較器125と、補正部126とを含んでいる。なお、高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、メモリを含んでおり、これらのメモリは、検出すべき網点周期や階調値の時間変動などを一時的に記憶するために用いられる。
スキャナー部2から出力されたRGB各色の画像信号(RGB各色のデータ)は、高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々に入力される。高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、高周波網点候補である読取画像を検出する。
図7は、高周波網点の画像を読み取った場合に、スキャナー部2から出力されるRGB各色の画像信号を模式的に示す図である。図7(a)はRの画像信号を示す図であり、図7(b)はGの画像信号を示す図であり、図7(c)はBの画像信号を示す図である。
図6および図7を参照して、高周波網点の画像を読み取った場合、RGB各色の画像信号には、鮮鋭な箇所と非鮮鋭な箇所とが連続的に繰り返し出現する。高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、入力した画像信号を平滑化する。平滑化後のRGB各色の画像信号(特徴量の一例)は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に連動する。
図8は、平滑化後のRGB各色の画像信号を模式的に示す図である。図8(a)はRの画像信号を示す図であり、図8(b)はGの画像信号を示す図であり、図8(c)はBの画像信号を示す図である。
図6および図8を参照して、高周波網点の画像を読み取った場合、平滑化後の画像信号では画像信号の周期性が明確になる。これらの周期性は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に、鮮鋭な箇所と非鮮鋭な箇所とが交互に発生していることに起因している。また平滑化後の画像信号の波形の位相は、概略的に見てRGB間でずれている。このずれに起因して読取画像に色モアレが発生する。
ここで、読取画像がモノクロの高周波網点(モノクロ網点)である場合、RGB全ての色の画像信号において周期性が表れる。読取画像が二次色の高周波網点(二次色の色網点)である場合、RGBのうち2色の画像信号において周期性が表れる。読取画像が一次色の高周波網点(一次色の色網点)である場合、RGBのうち1色の画像信号において周期性が表れる。
そこで、高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、入力した画像信号を平滑化し、周期性の有無を判断する。そして高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、入力したRGB各色の画像信号のうち少なくとも1つの色の画像信号に周期性がある場合に、読み取った画像を高周波網点候補として検出する。この場合、高周波網点候補検出部121R、121G、および121Bの各々は、平滑化前および平滑化後のRGB各色の画像信号を、周期算出部122R、122B、および122Gの各々に出力する。
図9は、RGB各色の画像信号の周期を模式的に示す図である。図9(a)はRの画像信号を示す図であり、図9(b)はGの画像信号を示す図であり、図9(c)はBの画像信号を示す図である。
図6および図9を参照して、周期算出部122R、122B、および122Gの各々は、平滑化前または平滑化後のRGB各色の画像信号から、RGB各色の画像信号の周期(網点周期ともいう)を算出(入手)する。周期算出部122RはRの画像信号の周期TRを算出し、周期算出部122GはGの画像信号の周期TGを算出し、周期算出部122BはBの画像信号の周期TBを算出する。周期算出部122R、122B、および122Gの各々は、RGB各色の画像信号が示す階調値が、特定の値を示した時刻と、RGB各色の画像信号が示す階調値が再びその特定の値を示した時刻との時間間隔に基づいて周期を算出する。この特定の値は、RGB各色の画像信号が示す階調値の極大値または極小値であることが好ましい。
周期算出部122R、122B、および122Gの各々は、周期を算出した後、平滑化前および平滑化後のRGB各色の画像信号を、位相差算出部123および比較・周期分割部124の各々に出力する。
図10は、RGB各色の画像信号の周期同士の位相差を模式的に示す図である。図10(a)はRの画像信号を示す図であり、図10(b)はGの画像信号を示す図であり、図10(c)はBの画像信号を示す図である。
図6および図10を参照して、位相差算出部123は、RGB各色の画像信号の位相差を入手する。位相差算出部123は、Rの画像信号が示す階調値が極大となる時刻TMR1と、Gの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻TMGとの差の絶対値を、Rの画像信号とGの画像信号との位相差T1として算出する(但し、時刻TMGは、Gの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻のうち時刻TMR1に最も近い時刻であるものとする)。
また位相差算出部123は、Gの画像信号が示す階調値が極大となる時刻TMGと、Bの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻TMBとの差の絶対値を、Gの画像信号とBの画像信号との位相差T2として算出する(但し、時刻TMBは、Bの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻のうち時刻TMGに最も近い時刻であるものとする)。
さらに位相差算出部123は、Bの画像信号が示す階調値が極大となる時刻TMBと、Rの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻TMR2との差の絶対値を、Bの画像信号とRの画像信号との位相差T3として算出する(但し、時刻TMR2は、Rの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻のうち時刻TMBに最も近い時刻であるものとする)。
ところで、RGの画像信号には周期が発生しており、Bの画像信号には周期が発生していない場合、位相差算出部123は、Gの画像信号とBの画像信号との位相差T2、およびBの画像信号とRの画像信号との位相差T3を算出することができない。この場合、位相差算出部123は、Gの画像信号が示す階調値が極大となる時刻TMGと、Rの画像信号が示す階調値が極大値となる時刻TMR2との差の絶対値を、Gの画像信号とRの画像信号との位相差T4を、位相差T1とともに算出する。
位相差算出部123は、算出した位相差を比較器125に出力する。
なお、位相差算出部123は、上述のようにRGB各色の極大値を用いて位相差を算出する代わりにRGB各色の極小値を用いて位相差を算出してもよい。
比較・周期分割部124は、1ラインスキャナー151が原稿に対して照射するRGBの色の数で、RGB各色の画像信号の周期TR、TG、およびTBの各々を分割した値Lを算出する。ここでは、1ラインスキャナー151は原稿に対して3色の光を照射するので、算出する値Lは、値TR/3、TG/3、およびTB/3の各々に等しくなる。時分割方式のスキャナーで読み取った画像がモノクロ網点である場合、画像信号の波形の位相は1/N(Nは、読み取りの際に原稿に照射する光の色空間の数、RGBの場合には3)ずつずれることが分かっている。このため、値L(=TR/3、TG/3、およびTB/3)は、高周波網点がモノクロ網点か否かを判断する基準となる。
比較・周期分割部124は、算出した値Lを比較器125に出力する。
比較器125は、位相差T1、T2、およびT3と、値Lとの差に基づいて、高周波網点候補の画像に高周波網点が含まれているか否かを判断する。また比較器125は、高周波網点候補の画像に高周波網点が含まれている場合に、その高周波網点がモノクロ網点であるかカラー網点であるかを判断する。具体的な判断方法は以下の通りである。
(a) 周期がRGB全ての色の画像信号に発生し、位相差が周期の1/3にほぼ等しい場合(つまり、位相差T1が値TR/3およびTG/3にほぼ等しく、位相差T2が値TG/3およびTB/3にほぼ等しく、位相差T3が値TB/3およびTR/3にほぼ等しい場合)、比較器125は、読取画像にモノクロ網点が含まれていると判断する。
(b) 周期がRGBのうち2色の画像信号に発生し、位相差が周期の1/3および2/3にほぼ等しい場合(つまり、RGに周期が発生しており、位相差T1が値TR/3およびTG/3に近く、位相差T4が値2TR/3および2TG/3に近い場合)、比較器125は、読取画像に二次色の色網点が含まれていると判断する。
(c) 周期がRGBのうち1色の画像信号に発生している場合、比較器125は、読取画像に一次色の色網点が含まれていると判断する。
(d) 上記(a)〜(c)のいずれにも該当しない場合、比較器125は、読取画像に網点が含まれていないと判断する。
補正部126は、読取画像に対して判断結果に応じた補正を行う。補正部126は、読取画像にモノクロ網点が含まれていると判断した場合(高周波網点がモノクロ網点であると判断した場合)、読取画像をモノクロ画像として補正を行う。また補正部126は、読取画像に二次色または一次色の色網点が含まれていると判断した場合(高周波網点がカラー網点であると判断した場合)、周期の平均値を用いて読取画像の補間処理を行う。
(フローチャート)
図11は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図11を参照して、CPU111は、読み取った原稿の画像である読取画像のRGB各色の画像信号(データ)が入力されると(S1)、読取画像が高周波網点候補を含んでいるか否かを判別する(S3)。
ステップS3において、読取画像が高周波網点候補を含んでいないと判別した場合(S3でNO)、CPU111は、読取画像が高周波網点を含んでいないと判断し(S17)、処理を終了する。
ステップS3において、読取画像が高周波網点候補を含んでいると判別した場合(S3でYES)、CPU111は、RGB各色の画像信号の周期(網点周期)を算出する(S5)。次にCPU111は、1ラインスキャナー151が原稿に対して照射する色の数(読取色数)で、RGB各色の画像信号の周期(網点周期)を分割した値Lを算出する(S7)。続いてCPU111は、RGB各色の画像信号の位相差を入手する(S9)。次にCPU111は、少なくとも1つの色の画像信号で周期が算出できたか否かを判別する(S10)。
ステップS10において、RGB全ての色の画像信号で周期が算出できないと判別した場合(S10でNO)、CPU111は、読取画像が高周波網点を含んでいないと判断し(S17)、処理を終了する。
ステップS10において、少なくとも1つの色の画像信号で周期が算出できたと判別した場合(S10でYES)、CPU111は、値Lと、入手した位相差との差の絶対値が閾値より小さいか否かを判別する(S11)。なお、この閾値は1/3より小さい値であることが好ましい。
ステップS11において、値Lと、入手した位相差との差の絶対値が閾値より小さいと判別した場合(S11でYES)、CPU111は、読取画像にモノクロ網点が含まれていると判断し(S13)、ステップS19の処理へ進む。
ステップS11において、値Lと、入手した位相差との差の絶対値が閾値より大きいと判別した場合(S11でNO)、CPU111は、読取画像にカラー網点(二次色または一次色の色網点)が含まれていると判断し(S15)、ステップS19の処理へ進む。
ステップS19において、CPU111は、高周波網点の種類に応じた補正処理を読取画像に対して行い(S19)、処理を終了する。
本実施の形態では、読取画像中の網点の階調値の時間変動を監視し、その位相差が、時分割方式の原理に従っていた場合には高周波網点であると判別する。これにより、読み取りの際に解像度を上げる必要がなくなり、1ラインスキャナーの動作速度(パフォーマンス)の低下を抑制することができる。その結果、画像への色モアレの発生の有無を適切に検知することができる。
[第2の実施の形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態における入力画像処理部107の詳細な構成を示すブロック図である。
図12を参照して、本実施の形態の入力画像処理部107は、特徴量変化監視部131と、周期性判定部138とを含んでいる。特徴量変化監視部131は、平滑化処理部132と、階調変動監視部133と、微分フィルター部134と、変化量変動監視部135と、DR(Dynamic Range)算出部136と、DR変動監視部137とを含んでいる。なお、階調変動監視部133、変化量変動監視部135、およびDR変動監視部137の各々は、メモリを含んでおり、これらのメモリは、処理対象となるデータを一時的に記憶するために用いられる。
スキャナー部2から出力されたRGB各色の画像信号(RGB各色のデータ)は、特徴量変化監視部131に入力される。特徴量変化監視部131は、特徴量の連続的な変化とその周期性を監視する。特徴量変化監視部131は、特徴量から周期性を検出した場合に、周期性判定部138に通知する。周期性判定部138は、特徴量の周期性の有無に基づいて、入力されたRGBの画像信号に対応する読取画像を高周波網点候補として検出する。
具体的には、平滑化処理部132は、RGB各色の画像信号を平滑化する。平滑化後のRGB各色の画像信号(特徴量の一例)は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に連動する。平滑化処理部132は、平滑化後のRGB各色の画像信号を階調変動監視部133に出力する。階調変動監視部133は、平滑化後のRGB各色の画像信号を監視する。
周期性判定部138は、階調変動監視部133が監視する平滑化後のRGB各色の画像信号のいずれかに周期性が発生した場合に、その画像信号に対応する読取画像を高周波網点候補として検出する。
微分フィルター部134は、RGB各色の画像信号を時間で微分する。微分後のRGB各色の画像信号(特徴量の一例)は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に連動する。微分フィルター部134は、微分後のRGB各色の画像信号を変化量変動監視部135に出力する。変化量変動監視部135は、微分後のRGB各色の画像信号を監視する。周期性判定部138は、変化量変動監視部135が監視する微分後のRGB各色の画像信号のいずれかに周期性が発生した場合に、その画像信号に対応する読取画像を高周波網点候補として検出する。
DR算出部136は、RGB各色の画像信号に基づいて、1つの画素からのRGB各色の反射光の階調値と、その画素と隣接する画素からのRGB各色の反射光の階調値との差(周辺階調の差分)を算出する。周辺階調の差分(特徴量の一例)は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に連動する。DR算出部136は、周辺階調の差分をDR変動監視部137に出力する。DR変動監視部137は、RGB各色の周辺階調の差分を監視する。周期性判定部138は、DR変動監視部137が監視するRGB各色の周辺階調の差分のいずれかに周期性が発生した場合に、その画像信号に対応する読取画像を高周波網点候補として検出する。
周期性判定部138は、特徴量が特定の値を示した時刻と、特徴量が再びその特定の値を示した時刻との時間間隔に基づいて周期を計算することにより、周期性の発生の有無を判断してもよい。
なお、特徴量変化監視部131が監視する特徴量は、RGB各色の反射光の階調値の時間変動を平滑化したもの、RGB各色の反射光の階調値の時間変動を時間で微分したもの、および1つの画素からのRGB各色の反射光の階調値と、その画素と隣接する画素からのRGB各色の反射光の階調値との差のうち少なくともいずれか1つであればよい。
図13は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図13を参照して、CPU111は、読取画像のRGB各色の画像信号(データ)が入力されると(S1)、特徴量の連続的な変化を監視する(S101)。続いてCPU111は、特徴量に周期性が発生したか否かを判断し、周期性が発生した場合に、その画像信号に対応する読取画像を高周波網点候補として検出する(S103)。次にCPU111は、読取画像が高周波網点候補を含んでいるか否かを判別する(S3)。
ステップS3において、読取画像が高周波網点候補を含んでいると判別した場合(S3でYES)、CPU111は、図11のフローチャートのステップS5以降の処理を行う。
ステップS3において、読取画像が高周波網点候補を含んでいないと判別した場合(S3でNO)、CPU111は、ステップS1の処理へ進む。
なお、上述以外のMFP100の動作および構成は、第1の実施の形態の場合と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、RGB各色の反射光の階調値の時間変動に連動する特徴量の連続的な変化を検出し、特徴量の周期性の有無に基づいて高周波網点候補を検出するので、画像への色モアレの発生の有無をより適切に検知することができる。
[第3の実施の形態]
図14は、本発明の第3の実施の形態における入力画像処理部107の詳細な構成を示すブロック図である。図15は、本発明の第3の実施の形態において入力画像処理部107がRGB各色の画像信号に対して行う処理を模式的に示す図である。なお、説明の便宜のため、図15ではRGB各色の画像信号を、線の違いにより区別してまとめて示している。図15の横軸は時間である。
図14および図15を参照して、本実施の形態の入力画像処理部107は、除去部141と、傾き算出部142と、傾き加算部143と、判断部144と、補正部145とを含んでいる。
スキャナー部2から出力されたRGB各色の画像信号(RGB各色のデータ、図15(a))は、除去部141に入力される。除去部141は、RGB各色の画像信号から高周波成分を除去する。高周波成分除去後のRGB各色の画像信号は、図15(b)のようになる。除去部141は、高周波成分除去後のRGB各色の画像信号を傾き算出部142に出力する。
傾き算出部142は、高周波成分除去後のRGB各色の画像信号を時間で微分することにより、RGB各色の画像信号の単位時間当たりの変化量(傾き)を算出する。RGB各色の画像信号の単位時間当たりの変化量の時間変化は、図15(c)のようになる。傾き算出部142は、RGB各色の画像信号の単位時間当たりの変化量を傾き加算部143に出力する。
傾き加算部143は、RGB各色の画像信号の単位時間当たりの変化量を加算することで、変化量の総和(傾きの総和)を算出する。変化量の総和の時間変化は図15(d)のようになる。読取画像がモノクロ網点を含んでいる場合には、変化量の総和は小さくなる。これは、RGB各色の画像信号に位相差が発生し、RGB各色の画像信号が互いに打ち消し合うためである。傾き加算部143は、変化量の総和を判断部144に出力する。
判断部144は、変化量の総和に基づいて、読取画像がモノクロ網点を含んでいるか否かを判断する。判断部144は、変化量の総和が閾値より小さい場合には、読取画像がモノクロ網点を含んでいると判断し、判断結果を補正部145に出力する。読取画像がモノクロ網点を含んでいる場合、判断部は補正部145へ出力を行わず、その事実をユーザーなどに通知してもよい。
補正部145は、読取画像がモノクロ網点を含んでいると判断した場合に、読取画像に対して必要な補正を行う。
図16は、本発明の第3の実施の形態におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図16を参照して、CPU111は、読取画像のRGB各色の画像信号(データ)が入力されると(S201)、RGB各色の画像信号から高周波成分を除去し(S203)、RGB各色の画像信号の傾きを算出する(S205)。続いてCPU111は、RGB各色の画像信号の傾きの総和を算出する(S207)。次にCPU111は、傾きの総和が閾値未満であるか否かを判別する(S209)。
ステップS209において、傾きの総和が閾値未満であると判別した場合(S209でYES)、CPU111は、読取画像がモノクロ網点を含んでいると判断する(S211)。その後CPU111は、判断結果を出力し(S215)、処理を終了する。
ステップS209において、傾きの総和が閾値未満でないと判別した場合(S209でNO)、CPU111は、読取画像がモノクロ網点を含んでいない(読取画像が網点を含んでいない、または読取画像がカラー網点を含んでいる)と判断する(S213)。その後CPU111は、判断結果を出力し(S215)、処理を終了する。
本実施の形態の変形例として、入力画像処理部107は、読取画像に孤立点(網点を構成する1つの点)が存在しない場合には、モノクロ網点か否かを判断しないようにしてもよい。これにより、読取画像がモノクロ網点を含んでいるか否かの判断の精度を向上することができ、銀塩写真などの孤立点を含まない原稿の画像(網点で構成されず、色モアレが発生しない画像)が読取画像である場合に、不要な処理を省略することができる。
図17は、本発明の第3の実施の形態の変形例におけるMFP100の動作を示すフローチャートである。
図17を参照して、CPU111は、読取画像のRGB各色の画像信号(データ)が入力されると(S201)、読取画像から孤立点を検出する(S301)。続いてCPU111は、図15のステップS203からステップS207の処理を行う。
ステップS207において、RGB各色の画像信号の傾きの総和を算出した後、CPU111は、読取画像が孤立点を含んでいるか否か(読取画像中に孤立点が存在するか否か)を判別する(S303)。
ステップS303において、読取画像が孤立点を含んでいると判別した場合(S303でYES)、CPU111は、読取画像が網点で構成されていると判断し(S305)、図15のステップS209以降の処理を行う。
ステップS303において、読取画像が孤立点を含んでいないと判別した場合(S303でNO)、CPU111は、読取画像が網点で構成されていないと判断する(S307)、この場合CPU111は、読取画像がモノクロ網点を含んでいるか否かを判断せずに、図15のステップS215の処理へ進む。
本実施の形態において、入力画像処理部107は、第1の実施の形態の場合と同様に、RGB各色の画像信号に連動する特徴量の連続的な変化を検出し、連続的な変化から高周波成分を除去してもよい。また入力画像処理部107は、第2の実施の形態の場合と同様に、RGB各色の画像信号を平滑化したもの、RGB各色の画像信号を時間で微分したもの、および1つの画素のRGB各色の反射光の階調値と原稿における隣接する画素からのRGB各色の反射光の階調値との差のうち少なくともいずれか1つを、上記の特徴量としてもよい。
なお、上述以外のMFP100の動作および構成は、第1の実施の形態の場合と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態では、読取画像がモノクロ網点を含む場合に、RGB各色の画像信号に位相差が発生し、RGB各色の画像信号が互いに打ち消し合う性質を利用して、読取画像への色モアレの発生の有無が検知される。これにより、読み取りの際に解像度を上げる必要がなくなり、1ラインスキャナーの動作速度(パフォーマンス)の低下を抑制することができる。その結果、画像への色モアレの発生の有無を適切に検知することができる。加えて、1周期分の画像信号を一時的にメモリに保存する必要がなくなり、回路規模の増加を抑止することができる。
[その他]
1ラインスキャナーは、色空間を構成する複数の色の光を原稿に対して時分割で照射し、原稿からの前記複数の色の各々の反射光を順次受光するものであればよく、照射する光の色空間はRGB以外のものであってもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。