JP6560870B2 - 伸縮性不織布の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は伸縮性不織布の製造方法に関する。
使い捨ておむつ、ナプキン、パンティーライナー等の吸収性物品では、その機能に応じた伸縮性不織布が開発されている。
伸縮性不織布としては種々のものが知られている。特許文献1には、1以上のプロピレン系熱可塑性ポリマーと組み合わせた2以上のプロピレン系エラストマーを含む不織布であって、プロピレン系エラストマーに貼り付きを防止しスリップ性を向上させるスリップ助剤が内添されているものが記載されている。また特許文献2には、スパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布に、柔軟剤を塗布する工程と、柔軟剤が塗布された不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す工程とを具備する不織布の製造方法が開示されている。また特許文献3には、ポリオレフィン樹脂25〜70重量%及び無機充填剤75〜30重量%を含む樹脂組成物をフィルム成形し、得られたフィルムをギア延伸法により機械方向と直交する方向に1.2〜3倍延伸して開孔する多孔性フィルムの製造方法が記載されている。この製造方法では、延伸助剤、分散剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を添加してもよいとされている。
さらに特許文献4には、伸長性・伸長回復性の高い熱可塑性エラストマー繊維を含有し、耐黄変性を有する不織布として、各種安定剤が配合された樹脂組成物からなる繊維を含有する不織布が開示されている。
特開2011−504551号公報 特開2013−007131号公報 WO2002/062559号公報 特開2005−248336号公報
延伸時に弾性樹脂成分が不織布表面に配されていて、不織布の構成繊維に添加剤が内添されているものでは、フィルムに比べて表面積が大きいために添加剤を多量に入れないと添加剤による効果が得られにくい。添加剤を多量に添加した場合には、繊維表面がべたつき、繊維同志の融着阻害により不織布の強度不足が生じる傾向にある。また、積層不織布では延伸時や使用時に積層間の剥離が生じやすくなる場合がある。さらに、接着性の阻害、伸縮特性に劣る、保存安定性に劣る、などの問題を生じる場合がある。
また、延伸ロールに歯溝ロールを用いた延伸加工では、後述するように不織布は歯の表面を滑りながら延伸されていることが判明した。このため、延伸助剤の添加量が少ないと繊維からなる不織布を歯溝延伸加工した際に、不織布の弾性樹脂成分が歯溝に貼り付いて巻き付く場合がある。また、弾性繊維の滑らない部分が過度に延伸され切断を生じる場合がある。
本発明は、延伸時に弾性繊維が破断しにくく、孔あきしにくく、高延伸倍率の延伸加工や高速延伸加工を可能にする伸縮性不織布の製造方法を提供することに関する。
本発明の伸縮性不織布は、弾性樹脂を含む繊維を有し、前記弾性樹脂の成分が繊維表面の一部もしくは全部に存在する不織布を製造する工程と、前記不織布に延伸助剤を塗布する工程と、前記不織布をかみ合わせによる機械的に延伸加工する工程とを有する伸縮性不織布の製造方法を提供する。
本発明の伸縮性不織布の製造方法は、延伸時に弾性繊維が破断しにくく、孔あきしにくい。また高延伸倍率の延伸加工が可能であり、さらに高速延伸加工を可能にする。
本発明に係る伸縮性不織布の製造方法における延伸工程の好ましい一実施形態を模式的に示した斜視図である。 図1に示した延伸加工装置の延伸ロールの部分拡大図である。 図2に示した延伸ロール11、12の噛み合わせ部分の拡大図である。 実施例1の伸縮性不織布を示した図面代用写真である。 比較例2の伸縮性不織布を示した図面代用写真である。
本発明に係る伸縮性不織布の製造方法の好ましい一実施形態について、図1及び図2を参照しながら、以下に説明する。
伸縮性不織布の製造方法は、不織布を製造する不織布製造工程と、その不織布に延伸助剤を塗布する塗布工程、塗布した不織布に延伸加工を施す延伸加工工程を有する。このように、延伸前の不織布に延伸助剤を塗布することで、延伸時に弾性繊維が破断しにくく、孔あきしにくい伸縮性不織布を得る。
不織布は、構成繊維の配向方向をみて、一般的に繊維の配向方向に沿う方向をMD(Machine Direction)方向または長手方向とし、MD方向と直交する方向をCD(Cross Direction)方向または幅方向として、以下に説明する。また、以下の説明では、MD方向(長手方向)の不織布を搬送する方向とロールを周方向に回転させることによりシートを搬送する方向とは同じ方向を意味する。さらに不織布のCD方向(幅方向)とロール回転軸方向とは同じ方向を意味する。
(1)不織布製造工程
不織布製造工程では、スパンボンド不織布、またはスパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布からなる帯状の不織布を作製する。この不織布は、弾性樹脂を含む繊維からなり、この弾性樹脂の成分が繊維表面の一部もしくは全部に存在する。すなわち、弾性繊維は単芯の繊維、もしくは一方側に弾性樹脂を有するサイドバイサイド型の繊維である。また、不織布は弾性繊維と非弾性繊維を混繊したものであってもよい。
不織布には、安価で、破断強度が高く、しかも厚みが薄いという観点から、スパンボンド不織布を好適に用いることができる。
また不織布が積層不織布の場合には、スパンボンドの層をメルトブローンの層の表面及び裏面の両面もしくは一方の面に配した不織布であることが好ましい。
伸縮性不織布は、安価でかつ、良好な肌触り感が得られ、延伸加工性の観点から、その目付は5g/m以上、好ましくは7g/m以上、さらに好ましくは10g/m以上である。そして70g/m以下であり、好ましくは50g/m以下であり、さらに好ましくは25g/m以下である。また、目付が少なすぎると不織布の伸縮性、すなわち、後述する戻り強度が不十分となり、不織布の強度が不足することになる。一方、目付が多すぎると伸長時の強度が高くなり、手では伸ばしにくいものとなる。
伸縮性不織布が有する熱圧着部である複数個の熱融着部は、例えば、エンボス凸ロールとフラットロールなどによる熱圧着により間欠的に形成されたもの、超音波融着により形成されたもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させて形成されたものなどが挙げられる。この中でエンボス凸ロールとフラットロールにより形成されたものが延伸させやすい点で好ましい。
伸縮性不織布となるウエブの具体的な構造としては、例えばメルトブローン法で形成されたウエブや、スパンボンド法で形成されたウエブや、カード法で形成されたウエブ等が挙げられる。
スパンボンド不織布を用いる場合、目付は、5g/m以上であり、好ましくは7g/m以上であり、さらに好ましくは10g/m以上である。そして50g/m以下であり、好ましくは30g/m以下であり、さらに好ましくは20g/m以下である。上記目付とすることが、本発明の不織布に十分な伸縮性を付与する観点及び良好な風合いを付与する観点から好ましい。
スパンボンド不織布の有するエンボスによる複数個の熱融着部は、後述する延伸加工後に最大強度の高いものを得る点、やわらかで風合いの良いものを得る観点から、適宜調整できる。熱融着部の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、楕円、三角形等の任意の形状であってもよい。スパンボンド不織布の一面の表面積に占める熱融着部の合計面積の割合は、延伸加工後に最大強度の高いものを得る点、延伸加工時に孔を開きにくくする観点から、5%以上であり、好ましくは7%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。そして30%以下であり、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは14%以下である。
また、スパンボンド不織布は、単層のものでもよく、複数層積層されたものでもよい。
伸縮性不織布全体の目付は、その具体的な用途による。例えば、伸縮性不織布を使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の構成部材として用いる場合、伸縮性不織布を構成する層数にかかわらず目付は、10g/m以上であり、好ましくは12g/m以上である。そして70g/m以下であり、好ましくは50g/m以下である。伸縮性不織布は、十分な伸縮力、高い最大強度、高い通気性、適度な隠蔽性及び良好な肌触りを有するため、不織布全体の目付を低いものとすることが可能である。
伸縮性不織布の厚みは、0.5g/cm荷重下において、0.1mm以上、好ましくは0.8mm以上である。そして2.5mm以下、好ましくは1.3mm以下である。この厚みの測定は、レーザ変位計(株式会社キーエンス製、CCDレーザ変位センサLK−080)を用いて、特開2012‐132115号公報に記載の測定方法により測定する。伸縮性不織布の厚みが薄すぎると硬い風合いのものとなり、厚すぎると肌触りの硬いものになり、見た目に通気性が悪いように見える。
伸縮性不織布の最大伸度は、着用物品に用いられる部材としてのフィット性、伸ばしやすさという観点から、100%以上であり、好ましくは200%以上、さらに好ましくは300%以上である。そして着用時の装着のしやすさという観点から、700%以下であり、好ましくは600%以下であり、さらに好ましくは500%以下である。また100%以上700%以下であり、好ましくは200%以上500%以下であり、さらに好ましくは300%以上500%以下である。最大伸度が大きすぎると装着時により大きく伸ばす必要があり、小さすぎると十分な伸び量が得られないため装着しにくいものとなる。
伸縮性不織布の戻り50%のときの伸長時強度は、締め付け力やフィット性という観点から、10cN/50mm以上であり、好ましくは30cN/50mm以上であり、さらに好ましくは50cN/50mm以上である。そして適度な締め付け力を得る点、手などによる伸ばしやすさという観点から、300cN/50mm以下であり、好ましくは200cN/50mm以下であり、さらに好ましくは150cN/50mm以下である。また10cN/50mm以上300cN/50mm以下であり、好ましくは30cN/50mm以上200cN/50mm以下であり、さらに好ましくは50cN/50mm以上150cN/50mm以下である。不織布の戻り50%のときの伸長時強度が大きすぎると着用時の締め付け力が高すぎるものとなり、小さすぎるとフィット性が悪く、おむつなどで胴回りやレッグギャザーにこのような伸縮不織布を用いた場合はずり落ちが生じやすいものとなる。
伸縮性不織布のMD最大強度は、使用時の破れや伸び止まり感を得るという観点から、500cN/50mm以上であり、好ましくは2000cN/50mm以上であり、さらに好ましくは3000cN/50mm以上である。
伸縮性不織布のCD最大強度は、使用時の引っ張りによる破れや指などによる突き抜け時の破れという観点から、500cN/50mm以上であり、好ましくは1000cN/50mm以上であり、さらに好ましくは1500cN/50mm以上である。
上記の諸物性は、以下の方法で測定される。
伸縮性を有する(伸縮性発現後)不織布の伸縮方向(MD方向に伸縮する場合はMD方向に、CD方向に伸縮する場合はCD方向に、両方向に伸縮する場合はより最大伸度の高いMDまたはCD方向のどちらかの方向に)へ200mm、それと直交する方向へ50mmの大きさで矩形の試験片を切り出す。引張り試験機(島津製作所製オートグラフAG-1kNIS)に試験片を装着する。チャック間距離は150mmとする。試験片を不織布の伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させ、そのときの荷重を測定する。そのときの最大点の荷重を最大強度とする。また、上記伸縮方向に加え、これと直行する方向についても試験片を切り出し同様に測定する。
また最大強度点における試験片の長さをBとし、もとの試験片の長さ(上記チャック間距離150mmに相当する)をAとしたとき、{(B−A)/A}×100を最大伸度(%)とする。最大伸度は上記伸縮方向の値とする。
また、上記伸縮方向に100%伸長サイクル試験を行い、100%伸長時強度を100%伸長時の荷重から求める。
さらに、100%伸長後、直ちに同速にて原点に戻して行ったときの戻らない長さ割合を測定し、その値を残留歪とする。
また、戻り途中における50%伸長時の荷重から戻り50%伸長時強度、すなわち戻り強度を求める。
次に、上記不織布に用いられる弾性繊維の詳細について説明する。
弾性繊維は、弾性樹脂を構成成分とするものである。弾性樹脂とは、弾性的な特性を示す樹脂であり、外力を加えて1.5倍に伸ばした後、外力を取り除いて元に戻したとき、直ちにその長さが元の長さの1.25倍以下に戻る樹脂を意味する。
一方、非弾性樹脂とは、非弾性的な特性を示すものであり、外力を加えて1.5倍に伸ばした後、外力を取り除いて元に戻したとき、直ちにその長さが元の長さの1.25倍以下に戻らないものを意味する。
弾性樹脂としては、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどが挙げられる。特に熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維は熱融着させ易いからである。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマー、プロピレン−αオレフィン共重合体等のポリプロピレン系エラストマー、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
非弾性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。PEとしては高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、C4(ブテン-1)、C6(ヘキセン-1)、C8(オクテン-1)をコモノマーとしてチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒で重合された直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、中低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)があげられる。PPとしてはホモポリプロピレン、エチレンコポリマーによるランダムポリプロピレンやブロックポリプロピレン、また、立体規則性の異なるアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックなどこれらの組み合わせからなる低結晶性ポリプロピレンがあげられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などがあげられる。特にPETの中でも低融点のポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらの樹脂は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
弾性繊維において、それを構成する各樹脂に添加剤が添加されている場合、該添加剤の添加量が弾性繊維の質量に対して2質量%以下である場合には以下のように扱う。なお、上記添加剤としては、触媒、重合停止剤、帯電防止剤、劣化防止剤、黄色防止剤、柔軟剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、減粘剤、着色剤などが挙げられる。
添加剤が弾性繊維の伸縮性に及ぼす効果が小さいため、添加剤は各樹脂成分に含まれるものとして扱う。一方、添加剤の添加量が弾性繊維の質量に対して2質量%を超える場合には、添加剤が弾性繊維の伸縮性に及ぼす効果が大きいため、添加剤は第三成分として扱う。
不織布を構成する弾性繊維の太さは、通気性の高いものを得る、後述する孔あきのしにくい不織布を得るという観点から、8μm以上、好ましくは10μm以上である。そして肌触りの軟らかいものを得る、適度な隠ぺい性のものを得るという観点から、600μm以下、好ましくは400μm以下である。また8μm以上600μm以下、好ましくは10μm以上400μm以下である。このように繊維の太さを上記範囲とすることは、肌触りが良好で、通気性、孔あき、隠蔽性の優れた不織布が得られる点から好ましい。不織布を構成する非弾性繊維の太さは、通気性の高いものを得る、高伸度な不織布を得るという観点から、5μm以上、好ましくは8μm以上である。そして、肌触りの軟らかいものを得る、適度な隠ぺい性のものを得るという観点から、30μm以下、好ましくは20μm以下である。また、5μm以上30μm以下、好ましくは8μm以上20μm以下である。このように繊維の太さを上記範囲とすることは、肌触りが良好で、高伸度で通気性や隠蔽性の優れた不織布が得られる点から好ましい。ここで言う繊維の太さとは、後述する延伸処理を施した後の繊維を以下の測定方法で測定した太さをいう。弾性繊維及び非弾性繊維の測定は、カーボンテープを載せたアルミ製試料台にカットされたサンプルを載せて固定する。必要に応じてサンプル表面に金や白金をスパッタリングし蒸着させる。次に、走査型2次電子顕微鏡(SEM)を用い、およそ50倍〜800倍に拡大したSEM画像から、繊維をランダムに10本選出し、写真撮影を行なう。得られた写真から、繊維の繊維径をそれぞれ10点測定し、それらの平均値を繊維径とする。なお、測定倍率は長さのわかっている既知のもので校正される。
弾性繊維と非弾性繊維の区別は、伸縮性の違い、これらの繊維径の違い、さらに鑑別用染料を用いての染色によって判別することができる。弾性繊維にはメルトフローレート(MFR)が20〜120g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)、質量平均分子量が1万から50万、分子量分布(Mw/Mn)が3以下、の樹脂を用いることが好ましい。
非弾性繊維には、前記非弾性樹脂を用いることができる。
非弾性繊維には前述の樹脂に加えて、各種添加剤を含むことができる。
非弾性繊維にはMFRが15〜100g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)、質量平均分子量が10万から150万、分子量分布(Mw/Mn)が3以下、の樹脂を用いることが好ましい。
上記弾性樹脂を含む弾性繊維は単芯もしくはサイドバイサイド型からなる。これにより弾性繊維において弾性樹脂成分が繊維表面の一部もしくは全部に存在することとなる。ここでいう単芯とはバイコンポーネント繊維のように多成分同士が長手方向に沿ったものを含まない。規則性のない2成分以上の海島構造をした繊維も単芯に含まれる。
単芯の弾性繊維は上記した素材の単芯の繊維となる。非弾性繊維についても、上記した素材の単芯の繊維になる。また弾性繊維と非弾性繊維とが混繊されたタイプの不織布の繊維は単芯に含まれる。
さらに、サイドバイサイド型の弾性繊維は、例えば、弾性成分と非弾性成分とが合わさった形態を有する。繊維の一方の側に弾性成分が配され、他方の側に非弾性成分が配されている。例えば、弾性成分と非弾性成分の組み合わせとして、ポリプロピレンエラストマーとポリプロピレン、ポリプロピレンエラストマーとポリエチレン、ポリエチレンエラストマーとポリエチレン、ポリスチレン系エラストマーとポリプロピレン、等のサイドバイサイド型の繊維が挙げられる。好ましくは、ポリプロピレンエラストマーとポリプロピレン、ポリプロピレンエラストマーとポリエチレン、ポリスチレン系エラストマーとポリプロピレン、等のサイドバイサイド型の繊維が挙げられる。さらに好ましくは、ポリプロピレンエラストマーとポリプロピレン、ポリスチレン系エラストマーとポリポロピレン、等のサイドバイサイド型の繊維が挙げられる。これにより紡糸時に細く延伸しても糸切れしにくく、伸縮性の優れたものが得られる。
または、異なる素材の弾性繊維が配されたものであってもよい。例えば、弾性成分と別の弾性成分の組み合わせとして、ポリプロピレンエラストマーとポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーとポリスチレン系エラストマー、等のサイドバイサイド型の繊維が挙げられる。
上記不織布における弾性成分は、60質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上である。そして、100質量%以下である。100質量%とは、不織布を構成するすべての繊維が弾性成分であることを意味する。
また上記不織布における非弾性成分は、0質量%以上である。そして、40質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。0質量%とは、非弾性繊維を含まないことを意味する。
上記不織布の構成非弾性繊維の繊維径は、延伸加工前において、8μm以上であり、好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは12μm以上である。そして、40μm以下であり、好ましくは35μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。
上記不織布製造工程では、上記のような仕様となる不織布を製造する。
上記不織布は、製造されると、通常は、一旦ロールに巻き取られる。この不織布が巻き取られる前に、不織布の片面もしくは両面に延伸助剤を塗布する塗布工程が施される。
なお、不織布は、延伸助剤塗工後に巻き取られなくてもよく、塗工後、連続して後述する延伸加工されてもよい。その際、延伸助剤を塗布した不織布が濡れていない、言い換えれば、乾いていることが好ましい。
本製造方法では、不織布の構成繊維間の融着が完了してから、次工程の延伸助剤の塗布工程となる。したがって、延伸助剤を塗布する前に加熱工程が終わるので、延伸助剤が加熱されない。そのため、不織布の繊維同志の融着強度が十分に得られる。なお、延伸助剤を塗不織布した後に不織布の構成繊維の融着を行う加熱処理をしたのでは、延伸助剤が阻害して構成繊維間の融着が十分に行えない。
(2)延伸助剤の塗布工程
上記塗布工程は、不織布の片面側または両面側から延伸助剤を塗布する。
延伸助剤の塗布方法は、例えばキスコート法を用いることができる。キスコート法は、塗布液(延伸助剤)溜りにキスロールの半径方向の一部を浸漬させながら回転させ、キスロール周表面に塗布液を載せて、キスロール上に移送された不織布をキスロールに付着させた塗工液に接触させて塗工する方法である。その際、キスロールとバックアップロールの間で不織布がニップされる。不織布を一方向に移動させ、それに合わせて、不織布が接触する位置においてキスロールが不織布の移動方向に回転しているため、順次、不織布に延伸助剤の塗布液が塗布されることになる。キスロールとバックアップロール間で不織布をニップすることで、塗布液がロール間で絞られ、塗布液がキスロール側の不織布面のみならず、バックアップロール側の不織布面にも塗布される。不織布のバックアップロール側よりもキスロール側に多くの塗布液を塗工するには、このニップ圧を下げることによって行うことができる。
不織布への延伸助剤の塗布方法は上記キスコート法に限定されるものではない。グラビア塗工、フレキソ塗工、インクジェット塗工、スプレー塗工など他の塗布方法を用いることもできる。
また、不織布の両面に延伸助剤を塗布するには、例えば、上記キスコート法により、延伸助剤の塗布量を多くすることで、不織布の厚さ方向に延伸助剤が浸透し、両面塗布した状態とすることができる。また、塗布液の濃度や粘度を変えることで延伸助剤の転写率を変えることができる。
上記塗布工程において、延伸助剤を不織布の片面に塗布した場合で、延伸助剤が他の材料との接合性を阻害する場合には、片面のみ塗布し、塗られていない面を接合面とすることが好ましい。
また後述する延伸加工では、延伸ロールの歯溝が不織布の両面から当たるため、塗布工程において、延伸助剤を不織布の両面に塗布することがより好ましい。
上記延伸助剤には、アミド化合物、変性シリコーン、フロン系化合物、側鎖を有する炭化水素化合物、鉱油、ワックス類などが挙げられる。
アミド化合物としては、アミンとカルボン酸からなる構造のもの、またはポリアミド化合物であれば特に制限はない。アミノ基及びカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合物のいずれでもよい。
具体的には、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、及びこれらの誘導体が挙げられる。
変性シリコーン系化合物としては、変性シリコーン系化合物、シリコーン系重合体等が挙げられ、なかでも変性シリコーン系化合物としては、アミノ変性シリコーン、ジアミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。肌触り向上の観点から好ましくはアミノ変性シリコーン、ジアミノ変性シリコーンがよい。
フロン系化合物としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素化ポリマーがあげられる。
延伸助剤の塗布量(乾燥後の質量)は、弾性繊維の目付に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上であり、そして、3質量%以下、好ましくは1質量%以下である。上記塗布量とすると、後述する延伸時に弾性繊維の切断が起こりにくく、延伸ロールへの巻き付きが防止されるともに、べたつきやライン中の脱落がなく、他の材料との接合において十分な接合強度が得られる点で好ましい。
上記延伸助剤の溶解パラメータ値と上記弾性樹脂の溶解パラメータ値との差(SP値)は、0.5以上であり、好ましくは1.0以上であり、さらに好ましくは2.0以上である。
したがって、弾性樹脂と相溶性のない延伸助剤を用いることが好ましい。延伸助剤を塗布した後の不織布を保存しているときに、弾性樹脂と延伸助剤との相溶性が高いと、延伸助剤が弾性樹脂内部に入り、延伸助剤による延伸効果が低下するとともに、伸縮特性、強度も低下する。
一般的に弾性樹脂の溶解パラメータ値はポリオレフィン系エラストマーでは7.9〜8.2程度、スチレン系エラストマーでは8.1〜8.7程度、ポリウレタン系エラストマーではおよそ10前後である。延伸助剤としては弾性樹脂の溶解パラメータ値よりも0.5以上小さなものが好ましい。具体的にはアミド化合物、変性シリコーン、フロン系化合物などが好ましい。
溶解パラメータ値は下記により求められる。
δ=√[Σ(Δe1)/Σ(Δv1)]
ここで、Δe1は各単位官能基当たりの凝集エネルギー、Δv1は各単位官能基当たりの分子容を示す。δの単位は√(J/cm)であるが、本明細書では従来慣用的に使用される√(cal/cm)を用いる。換算式は1√(cal/cm)≒2.05√(J/cm)として求められる。尚、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が成立すると仮定し、共重合体の場合は単量体ユニット、またはブレンド物の場合は各成分のSP値の質量比の比例配分により算出し、これを平均SP値として求められる。
また、延伸助剤には、任意成分の添加物として、高級脂肪酸ビスアミド化合物、モンタン酸エステル、モンタン酸金属塩の1種以上が含まれていてもよい。
例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどから選択される1種類以上の金属ステアリン酸塩の好適な量が含まれていてもよい。または、オレイン酸、ステアルアミド、ベヘンアミド、オレアミド、エルクアミド、N,N”−エチレンビスステアルアミド、N,N”−エチレンビスオレアミド、ステリルエルクアミド、エルシルエルクアミド、オレイルパルミトアミド、ステアリルステアルアミド、エルシルステアルアミドなどから選択される1種類以上の脂肪酸アミドの好適な量が含まれていてもよい。または、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナウバ蝋、パラフィン、モンタン蝋、カンデリラ蝋、蜜蝋、オゾケライト、セレシンの1種以上の好適な量が含まれていてもよい。これらの剤は延伸助剤自体に対して50質量%以上含まれることが好ましい。これらの剤は延伸助剤の均一塗布性、付着の安定性を増す点で適宜用いることができる。また、これらの剤は延伸助剤自体に対して100質量%含まれていてもよい。
延伸助剤には、任意成分の添加物として、飽和脂肪酸アミド、飽和エチレン−ビス−アミド、不飽和脂肪酸アミド、不飽和エチレン−ビス−アミド、グリコール、ポリエーテルポリオール、脂肪族炭化水素の酸、芳香族または脂肪族炭化水素のエステル、スチレン−アルファ−メチルスチレン、フッ素含有ポリマー、ケイ素化合物、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸エステル、ステアレートならびにこれらの混合物が含まれていてもよい。これらの剤は延伸助剤自体に対して50質量%以上含まれることが好ましい。これらの剤は延伸助剤の均一塗布性、付着の安定性を増す点で適宜用いることができる。
飽和脂肪酸アミドとしては、パルミトアミド、ステアルアミド、アラキドアミド、ベヘンアミド、ステアリルステアルアミド、パルミチルパルミトアミド、及びステアリルアラキドアミドが挙げられる。
飽和エチレン−ビス−アミドとしては、ステアルアミド−エチル−ステアルアミド、ステアルアミド−エチルーパルミトアミド、及びパルミトアミド−エチル−ステアルアミドが挙げられる。
不飽和脂肪酸アミドとしては、オレアミド、エルカアミド、及びリノレアミドが挙げられる。
不飽和エチレン−ビス−アミドとしては、エチレン−ビス−ステアルアミド、エチレン−ビス−オレアミド、ステアリル−エルカアミド、エルカアミド−エチル−エルカアミド、オレアミド−エチル−オレアミド、エルカアミド−エチル−オレアミド、オレアミド−エチル−エルカアミド、ステアルアミド−エチル−エルカアミド、エルカアミド−エチル−パルミトアミド、及びパルミトアミド−エチル−オレアミドが挙げられる。
グリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールが挙げられる。
脂肪族炭化水素の酸としては、アジピン酸及びセバシン酸が挙げられる。
芳香族または脂肪族炭化水素のエステルとしては、グリセロールモノステアレート、及びペンタエリトリトールモノオレエートが挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系オイル、及びフッ素系ワックスが挙げられる。
ケイ素化合物としては、シリコーンオイル、変性シリコーン及び硬化シリコーンを含むシラン及びシリコーンポリマーが挙げられる。
ステアレートとしては、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
ならびにこれらの混合物が含まれる。
好ましい添加剤は、不飽和脂肪酸アミドであり、これらは、Crompton(Kekamide(商標)商品系列)、及びCroda Universal(Crodamide(商標)商品系列)から入手できる。特に好ましいのは、不飽和脂肪酸アミドのエルカアミド及びオレアミドの形のものである。好ましいスリップ剤としては、CH(CHCH=CH(CHCONH(ここで、xは5から15である)の化学構造を有するアミドが含まれる。
特に好ましいアミドには、(1)エルカアミド、(2)オレイルアミド及び(3)オレアミドが挙げられる。
(1)エルカアミドは、CH(CHCH=CH(CH11CONHで表される。これは、シス−13−ドコセノアミドとも呼ばれる。エルカアミドは、Akzo Nobel Amides Co. Ltd.から、ARMOSLIP Eの商用名で市販されている。
(2)オレイルアミドは、CH(CHCH=CH(CHCONHで表される。
(3)オレアミドは、N−9−オクタデセニル−ヘキサデカンアミドとも呼ばれ、CH(CHCH=CH(CHCONHが含まれる。
また別の例として、ステアルアミドを挙げることもできる。
上記延伸助剤は以下のように分析することができる。
<外添剤の分析方法>
メタノールに対し、不織布質量が7質量%から11質量%になるように浸漬後、3分間超音波(周波数28kHz)を掛ける。その後抽出液を乾燥する。それぞれの乾燥物を液体クロマトグラフィー(LC)/質量分析(MS分析)とガスクロマトグラフィー(GC)/MS分析を行う。
<内添剤の分析方法>
外添剤の分析を行うのと同様のサンプルを用いて、ヘキサンに対し、不織布質量が7質量%から11質量%になるように浸漬後、3分間超音波(周波数28kHz)を掛けた後、3時間放置する。それぞれの乾燥物をLC/MS分析とGC/MS分析を行う。市販のおむつなどから分析する場合は、おむつを液体窒素に浸すなどしておむつから伸縮性不織布を取り出し、上記方法により測定する。
上記のように、延伸助剤を不織布の構成繊維の表面に塗布するため、構成繊維に延伸助剤を内添した場合の繊維表面に延伸助剤が浮き出してくるブリードアウトに比べ、繊維表面における延伸助剤の量が多くなる。このため、延伸助剤の効果を引き出しやすくなる。また、一般的に弾性樹脂は非弾性樹脂よりも摩擦係数が高い傾向にあり、弾性繊維を含む不織布を用いていることから、延伸時に非弾性繊維の不織布よりも滑りにくくなる。そのため後述する延伸工程にて不織布と延伸ロールの凸部との滑りが起こりにくくなり、弾性繊維は部分的に高延伸になって破断が生じる。しかし、延伸助剤が弾性繊維表面に塗布されているため、延伸時に弾性繊維が滑りやすくなるので、高延伸過ぎるようなことが起こらない。したがって、弾性繊維の破断も生じない。
上記延伸工程は、延伸助剤を塗布した不織布に機械的な延伸加工を施す。
図1及び図2に示すように、延伸加工装置10は、1対の延伸ロール11、12を備えている。延伸ロール11、12のいずれか一方には、それらを駆動する図示していない駆動手段が接続されている。その駆動手段によって、延伸ロール11、12は矢印RA方向、RB方向に回転される。
上記延伸ロール周面11Sには、ロール軸方向に凸部11Aと凹部11Bとが交互に配され、延伸ロール周面12Sには、ロール軸方向に凸部12Aと凹部12Bとが交互に配されている。これらの凸部及び凹部のピッチはいずれも周囲的な配置である。上記延伸ロール周面11S、12Sは、それぞれの延伸ロール11、12の凸部11A、12Bの先端面を含む面に位置する最大径と凹部11B、12Bの底部面を含む面に位置する最小径との中間位置とする。言い換えれば、歯先円半径と歯元円半径の中間位置とする。そして一方の延伸ロール11の凸部11Aが他方の延伸ロール12の凹部12Bに噛み合い、一方の延伸ロール12の凹部12Bに他方の延伸ロール11の凸部11Aが噛み合って、互いの延伸ロール11、12が回転するものである。不織布30は、延伸ロール11、12間に挟まれるように、延伸ロール11、12の回転によって送られて機械的に延伸加工される。機械的に延伸加工されるとは、凸部11Aとこれに対向して噛み合う凹部12B、及び凸部12Aとこれに対向して噛み合う凹部11Bとの間に不織布30を通して、凹凸部の噛み合わせにより不織布30を延伸加工することを意味する。すなわち、歯車(ギア)、歯溝、噛み合いロール、平板の凹凸などによる延伸加工を意味し、ロール間延伸及びテンター延伸は除く。
また、延伸ロール11、12の上流側には、延伸助剤が塗布された不織布の原反ロール21は回転自在に備えられ、不織布30が矢印C方向に引き出し可能になっている。原反ロール21と上記延伸ロール11、12との間には、1対のインフィードロール13、14が備えられている。インフィードロール13、14のいずれか一方には、それらを駆動する図示していない駆動手段が接続されている。インフィードロール13、14の回転速度を調整することによって、延伸ロール11、12間に供給される不織布30の供給速度が調整される。
さらに延伸ロール11、12の下流側には1対のアウトフィードロール15、16が備えられている。アウトフィールドロール15、16のいずれか一方には、それらを駆動する図示していない駆動手段が接続されている。アウトフィードロール15、16の回転速度を調整することによって、延伸ロール11、12間から送り出された不織布30の送り速度が調整される。そして、不織布30はアウトフィードロール15、16によって矢印D方向に送り出される。
インフィードロール13、14間を通過した不織布は延伸加工前であるため、伸縮性が付与されていない。そのため、不織布のMD方向の1.05倍から1.3倍に伸長される。そのとき、不織布と延伸ロール11、12間の歯溝表面で不織布のすべりが発生する。ここでいう歯溝とは、上記凸部11A(延伸ロール11の歯)と凹部12B(延伸ロール12の溝)、上記凸部12A(延伸ロール12の歯)と凹部11B(延伸ロール11の溝)である。
延伸加工時の歪み速度は、非弾性繊維または弾性繊維の切断(孔あき、伸縮時の戻り強度の低下)が起こりやすくなる観点から上限が決められ、生産性という観点から下限が決められる。したがって歪み速度は、50/s以上に調整されている。好ましくは150/s以上に調整され、さらに好ましくは200/s以上に調整されている。そして、600/s以下に調整されている。好ましくは400以下に調整され、さらに好ましくは400以下に調整されている。
上記歪み速度とは、不織布に付与される単位時間当たりの歪みであり、例えば、1秒当たりの不織布の変形率をいう。この変形率とは、不織布の元の長さに対する伸び率をいう。また変形率の求め方は後述する。
上記延伸加工における延伸倍率は、3.0倍以上であり、好ましくは4倍以上に調整され、さらに好ましくは5倍以上に調整されている。そして、10倍以下であり、好ましくは8倍以下に調整され、さらに好ましくは7倍以下に調整されている。
上記延伸倍率は、機械的延伸倍率に、延伸ロール11、12の周速度Vcとインフィードロール13、14の不織布の送り速度Viの比、Vc/Viとを乗じた値である。
機械的延伸倍率は、不織布と延伸ロールの凸部が滑らないと仮定したときの延伸ロール11、12における不織布の噛み込み時の不織布長さ/元の不織布の長さの比である。
上記周速度Vcは、延伸ロール11、12の凸部11Aと凸部12Aの噛み合い量を1/2にした点を半径とする周速度である。また、不織布の送り速度Viは、インフィードロール13、14表面で不織布が滑らないとすれば、インフィードロール13、14表面における周速度になる。不織布の送り速度Voは、アウトフィードロール15、16表面で不織布が滑らないとすれば、アウトフィードロール15、16表面における周速度になる。インフィードロール13、14の不織布の送り速度Viとアウトフィードロール15、16の不織布の送り速度Voとの速度比は搬送倍率である。
上記Vc/Viは、延伸倍率を高くして高伸度のものを得るという観点から、0.70以上であり、好ましくは0.75以上であり、さらに好ましくは0.80以上である。そして、孔あきやネックインによる幅縮みを防ぐという観点から、1.00以下であり、好ましくは0.90以下であり、さらに好ましくは0.85以下である。そして、0.70以上1.00以下であり、好ましくは0.75以上0.90以下であり、さらに好ましくは0.80以上0.85以下である。
Vc/Viが1未満の場合、不織布と延伸ロール11、12は滑っている状態になる。すなわち、延伸状態かつ折れしわ(凸部11Aと凸部12Aによる折れ込みによる折れしわ)が発生する状態になる。不織布に伸縮性を付与する点から、この状態が好ましい。Vc/Vi=(1/機械的延伸倍率)の場合、延伸されずに100%折れしわが生じ、非延伸となる。したがって、Vc/Viは上記範囲が好ましい。
歪み速度は次のように求められる。図2における不織布30と凸部11A(または凸部12A)が接しはじめた点からロール11とロール12の中心O11、O12間を結んだ直線Lcと不織布30とが交わる点までの円弧長さをLとする。変形時間T(s)は円弧長さLをVcで割った値で求められる。次に延伸ロール11と延伸ロール12が噛み合い状態において、図3に示すように、凸部11のトップランド面端辺11Dと、それと対向する凸部12のトップランド面端辺12D間の不織布30の部分的な延伸倍率を最大延伸倍率とする。最大延伸倍率は不織布の滑りがないと仮定し、また、凸部11Aが凹部12Bの中心に位置すると仮定して、凸部11のトップランド面端辺11Dと凸部12のトップランド面端辺12Dの間の距離を元の不織布長さで割ることによって求める。歪み速度は変形率/T=Vc/Vi・最大延伸倍率(倍)/Tとして求められる。なお、図3では、各端辺11D、11E、12D、12Eはいずれも歯幅方向の辺であり、その位置をわかり易くするために黒丸で示した。
上記の伸縮性不織布の製造方法は、延伸時に不織布の弾性繊維が破断しにくくなり、孔あきしにくくなる。また高延伸倍率の延伸加工が可能であり、さらに高速延伸加工が可能になる。
上記不織布の製造工程で不織布を形成した後に延伸助剤を不織布に塗布しているので、内添により不織布の構成繊維に延伸助剤を添加していない。したがって、不織布の製造工程で200℃を超える高温にて樹脂を加熱溶融させて繊維成形する際に延伸助剤が樹脂に内添されていないため、延伸助剤が分解や黄変などの熱劣化を受けにくい。また、繊維同志を熱融着させても、その後に塗布される延伸助剤に融着時の熱が加わらない。繊維融着前の繊維表面に延伸助剤がないため融着強度の高いものが得られる。そのため、延伸後の不織布は、繊維の最大強度、不織布の伸縮時の戻り強度、保存安定性に優れ、べたつきがなく、熱劣化による黄変がない。
また上記伸縮性不織布には延伸助剤が塗布されることから、延伸加工時に不織布に生じる静電気の発生が防止され、延伸したときの摩擦による不織布の繊維切れが防止される。
さらに延伸助剤を片面塗布した場合は、他の不織布との非接合面側に延伸助剤を塗布することで、接合強度を下げないことができる。
伸縮性不織布は、おむつなどの履きやすさのため、より伸び易いものが求められている。しかし、従来は伸縮性不織布の強度と孔あきに改善の余地があった。そこで、上記のごとく延伸倍率を規定することにより、延伸倍率を上げても繊維の切断が起こりにくくなる効果が得られた。
上記延伸助剤の不織布に対する付着量はマクロ的に周期的に変化していることが好ましい。具体的には、上記延伸助剤の付着量には大小があり、該付着量の大小が順番に繰り返し配置されており、付着量が少ない部分が同じ間隔で存在する。
延伸工程において延伸ロールの凸部に当たる弾性繊維部分は延伸倍率が部分的に低くなり、逆に凸部11のトップランド面端辺11Dと凸部12のトップランド面端辺12D間の弾性繊維部分が積極的に延伸され延伸倍率が高くなる。そのため、積極的に伸ばされた高延伸部分は永久歪み(およそ10%から30%)が残り、延伸加工前の弾性繊維に比べ延伸助剤の単位面積あたりの付着量が減少する。延伸倍率が部分的に低い箇所は延伸助剤の単位面積あたりの付着量の低下が少ない。そのため、不織布に対する延伸助剤の付着量がマクロ的に周期性を有する。これにより、マクロ的な摩擦係数の変化が生じ肌触りの良いものが得られる。また凸部の付着量が多いため、走行時の摩擦が低く、搬送性に優れる。
また、得られた不織布は伸長させた状態で、他の不織布、フィルム、紙等と、熱的に接合したり、接着剤による接合をしたりして用いてもよい。他の不織布としては、伸長性不織布、伸縮性不織布、非伸長性不織布及び非伸縮性不織布などが挙げられる。フィルムとしては、透湿性フィルム、非透湿性フィルム、開孔フィルム、伸長性フィルム及び伸縮性フィルムなどが挙げられる。紙には、クレープを有する伸長性の紙を含む。熱的に接合する方法としては、ヒートエンボス、超音波シール及び熱風吹きつけによる融着などが挙げられる。この接合や接着は、間欠的なパターンで行ってもよく、全面的に行ってもよい。また、得られた不織布を伸長させた状態で、布、不織布、フィルム又は紙と縫製することもできる。
このようにして得られた本発明の不織布は、例えば使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の構成部材として好適に用いられる。具体的には、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(表面シート、サブレイヤー等を含む)や、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート、立体ギャザー、等として用いることができる。また、生理用ナプキンのウイングを形成するシート等として用いることができる。更に、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。またこれらの用途以外に、その良好な風合いや、伸縮性、通気性等の利点を生かし、医療用使い捨て衣類や清掃シート、眼帯、マスク、包帯等の各種の用途に用いることもできる。
本発明の伸縮性不織布の製造方法により製造された伸縮性不織布は、一例として、そのMD方向がおむつの横方向(装着時)になるようにして、おむつの伸縮性バックシートとして用いることが好適である。得られたおむつは伸縮しないバックシートを用いたものに比べ、大きく伸ばすことができ、はかせやすく、装着時のフィット性に優れ、おむつ全体が伸縮するため動きやすいものとなった。上記伸縮性不織布は上記以外の伸縮性を要する不織布に適用することが好適である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の伸縮性不織布の製造方法を開示する。
<1>
弾性樹脂を含む繊維を有し、前記弾性樹脂の成分が繊維表面の一部もしくは全部に存在する不織布を製造する工程と、
前記不織布に延伸助剤を塗布する工程と、
かみ合わせによる機械的に延伸加工する工程と
を含む伸縮性不織布の製造方法。
<2>
前記不織布はスパンボンド不織布、またはスパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布である<1>記載の伸縮性不織布の製造方法。
<3>
前記不織布は弾性繊維と非弾性繊維を混繊したものである<1>または<2>に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<4>
前記弾性樹脂は、熱可塑性エラストマーまたはゴムである<1>から<3>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<5>
前記不織布における弾性成分は、60質量%以上100質量%以下である<1>から<4>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<6>
前記延伸助剤の塗布方法は、キスコート法、グラビア塗工、フレキソ塗工、インクジェット塗工またはスプレー塗工である<1>から<5>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<7>
前記延伸加工時の歪み速度が50/s以上400/s以下である<1>から<6>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<8>
前記延伸加工時の歪み速度は、50/s以上600/s以下に調整されている<1>から<6>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<9>
前記延伸加工時の延伸倍率が3.0倍以上10.0倍以下である<1>から<8>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<10>
前記延伸加工における延伸倍率は、3.0倍以上10.0倍以下であり、好ましくは4倍以上8倍以下に調整され、さらに好ましくは5倍以上7倍以下に調整されている<1>から<8>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<11>
前記延伸助剤が前記不織布の少なくとも片面に塗布される<1>から<10>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<12>
前記延伸助剤を不織布の両面に塗布する<1>から<11>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<13>
前記延伸助剤の前記不織布に対する付着量が周期的に変化している<1>から<12>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<14>
前記延伸助剤の前記不織布に対する高延伸部分の付着量が低延伸部分の付着量より少ない<1>から<13>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<15>
前記延伸助剤の溶解パラメータ値と前記弾性樹脂の溶解パラメータ値との差が0.5以上を有する<1>から<14>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<16>
前記延伸助剤の溶解パラメータ値と前記弾性樹脂の溶解パラメータ値との差(SP値)は、0.5以上であり、好ましくは1.0以上であり、さらに好ましくは2.0以上である<1>から<15>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<17>
前記延伸助剤は、アミド化合物、変性シリコーン、フロン系化合物、側鎖を有する炭化水素化合物、鉱油、またはワックス類である<1>から<16>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<18>
前記延伸助剤が、脂肪酸アミド、変性シリコーン、フッ素含有ポリマーまたはそれらの混合物からなる<1>から<17>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<19>
前記延伸助剤は、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、またはこれらの誘導体である<1>から<18>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<20>
前記弾性樹脂を含む繊維が単芯もしくはサイドバイサイド型である<1>から<19>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
<21>
前記弾性樹脂を含む繊維の弾性成分と別の弾性成分の組み合わせは、ポリプロピレンエラストマーとポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーとポリスチレン系エラストマーのサイドバイサイド型の繊維である<1>から<20>のいずれか1に記載の伸縮性不織布の製造方法。
以下に、上述の伸縮性不織布の製造方法により伸縮性不織布を製造した実施例、及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
メルトフローレート(MFR)が60g/10分のエチレンコポリマーからなるポリプロピレン系エラストマー(SP値7.9)をスパンボンド法により、ノズル径0.4mm、紡糸温度260℃で押出した。MFRは、JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。この押出したフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して牽引し、平均単糸繊度19μmの長繊維ウエブを調製した。
次に、得られたウエブを、フラットロールとエンボスロールの間に通して温度135℃と線圧1000N/cmで繊維同士を接着し、目付が17g/mのスパンボンド不織布を得た。エンボスロールのエンボスパターンは、オーバル形状(楕円、長軸0.8mm、短軸0.6mm)であり、横ピッチ2.6mm、縦ピッチ1.6mmに千鳥配列され、圧着面積率が18%である。
次に、キスロール法によりステアリン酸アミド(SP値9.9)からなる延伸助剤を不織布の両面に塗布した。延伸助剤と弾性樹脂のSP値の差は2.0とし、塗布量は、不織布に対して0.8質量%とした。
その後、延伸助剤を塗布した不織布に延伸加工を施した。延伸加工は、歯型状の一対の噛み合い歯を用いて、不織布が最も伸縮する方向であるMD方向に延伸倍率を5.0倍まで延伸することにより行った。延伸時の歪み速度を320/sとした。その結果、延伸加工性は良好(評価A)であった。
このようにして、目的とする伸縮性不織布を得た。
[実施例2]
延伸倍率を4.0倍、延伸時の歪み速度を90/sにして延伸を行った以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[実施例3]
弾性樹脂に単芯のポリプロピレン系エラストマー(SP値7.9)を80質量%、非弾性樹脂のホモポリプロピレン(SP値8.0)を20質量%にして繊維径が25μmのウエブを作製した以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[実施例4]
延伸助剤にステアリン酸アミドの代わりに変性シリコーン(SP値7.6)を用い、SP値の差を0.3とした以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[実施例5]
延伸助剤にステアリン酸アミドの代わりにポリテトラフルオロエチレン(SP値6.2)を用い延伸助剤と弾性樹脂のSP値の差を1.9とした以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[実施例6]
弾性繊維の形態をサイドバイサイド構造とし、サイドバイサイド構造の一方側に弾性樹脂としてポリプロピレン系エラストマーを80質量%、他方側に非弾性樹脂としてホモポリプロピレンを20質量%にして、繊維径が17μmのウエブを作製した以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[実施例7]
第2のウエブとしてエチレンを4質量%含むランダムポリプロピレンを用いてスパンボンド法により成形した。その上に第1のウエブとして実施例1と同様の方法で第2のウエブ上に直接、弾性繊維をスパンボンド法により成形し、実施例1と同様の方法でエンボス加工を行った。その後延伸助剤をキスロール法により、キスロール面側に弾性繊維側面がくるようにしキスロールとバックアップロールのニップ圧を下げて不織布の片面のみ塗布した。これ以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[比較例1]
弾性繊維95質量%に対し延伸助剤の変性シリコーンを5質量%内添し、SP値の差が0.3で、繊維径22μmのウエブを作製した以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[比較例2]
弾性繊維95質量%に対し延伸助剤の変性シリコーンを5質量%内添し、SP値の差が0.3で、繊維径22μmのウエブを作製した以外は実施例2と同様にして伸縮性不織布を得た。得られた伸縮性不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
[比較例3]
延伸助剤を塗布しないこと以外は実施例2と同様にして不織布を得た。得られた不織布について実施例1と同様の測定及び評価を行った。
得られた伸縮性不織布について表1に示す物性の測定を行った。測定方法は先に述べた通りである。また、得られた伸縮性不織布について、弾性繊維の切断の有無、外観評価、耐光性、肌触り及び肌触り評価は、下記の基準で評価した。それらの結果を表1に示す。
<延伸加工性の測定>
延伸助剤が塗布された不織布は、一旦ロールに巻き取られる。この場合、巻出し原反の保存が重要となる。保存品の測定は、40℃、80%RHの環境下に3ヶ月間、ロール状に巻かれたサンプルを保存し、その後歯溝延伸加工を施し、実施品及び比較品を得て、歯溝ロールへの貼り付き、巻出し原反のブロッキングの評価を行った。その評価方法は、歯溝ロールへの貼り付き、巻出し原反のブロッキングが生じないものを延伸加工性に優れているとして「A」と評価し、歯溝ロールへの貼り付き、巻出し原反のブロッキングが生じるものを延伸加工性に劣るとして「B」と評価した。その評価結果を表1の「延伸加工性」の項目に示した。
<弾性繊維の切断の有無>
延伸加工後の伸縮性不織布をフリーにした(伸ばさない)状態で試験片の100mm×100mmについて、目視で観察し、弾性繊維の切断の有無を調べた。弾性繊維が切断されているものがない場合には「A」と評価し、弾性繊維の切断が10箇所以下の場合には「B」と評価し、弾性繊維の切断が11箇所以上あるものを「C」と評価した。
<外観評価>
延伸加工後の伸縮性不織布を1.5倍に伸ばした状態で、100mm×100mmについて目視観察し、直径に換算して1mm角を超える孔が開口している箇所がない場合には「A」と評価し、1mm角以上、2mm角以下の孔が存在している場合には「B」と評価し、2mm角を超える孔が存在している場合には「C」と評価した。
<耐光性>
延伸加工後の伸縮性不織布を試験片に、カーボンアークによる紫外線を96時間照射した。試験片を白色台紙上に置き、第1ウエブ側面側について紫外線照射前後のb値を日本電色製NF333色差計により測定し、その変化量として紫外線照射前後のb値の差をΔb値として評価した。白色台紙のb値は1.0以上3.0以下のものを用いた。Δb値が高いほど試料が黄変したことを意味する。
<肌触り>
肌触りは、成人3人の評価者により1点から5点までの5段階評価にて行い、平均点を求めることにより行った。評価基準は、好ましいもの(やわらかでベタツキのないもの)を5点、やや好ましいものを4点、普通なものを3点、やや好ましくないものを2点、好ましくないもの(硬いものやベタツキのあるもの)を1点とした。
表1に示した結果から明らかなように、各実施例1から実施例7は、いずれの評価項目においても優れているという結果(評価「A」)を得た。具体的には、弾性繊維の切断はなく、孔あきもなく、黄変も生じないという「優れている」という評価であった。また肌触りは4点以上であり、肌触り評価は優れた評価結果「A」であった。このように、各実施例1から7では、延伸時に弾性繊維が破断しにくく、孔あきしにくく、優れた肌触りを得ることの両立が図れた。実施例1から7の代表例として図5に実施例1の伸縮性不織布の写真を示す。また高延伸倍率の延伸加工が可能であり、さらに高速延伸加工が可能である。
また、不織布の製造工程で不織布を形成した後に延伸助剤を不織布に塗布しており、内添により不織布の構成繊維に延伸助剤を添加していない。したがって、不織布の製造工程で繊維同志を熱融着させても、その後に塗布される延伸助剤に融着時の熱が加わらない。そのため、延伸後の不織布は、繊維の最大強度、不織布の伸縮時の戻り強度、保存安定性に優れ、べたつきがなく、熱劣化による黄変がない。
一方、比較例1及び2は、延伸助剤を弾性繊維に内添しているため、弾性繊維の切断、孔あき、黄変が生じていた。さらに比較例1では、不織布に破れが生じていた。比較例2では、図6に示すように、伸縮性不織布に孔あき(写真において黒く見える部分)が生じた。また比較例3は、延伸助剤が塗布されていないため、延伸加工時に不織布が巻き付き、延伸加工ができなかった。
10 延伸加工装置
11,12 延伸ロール
11A,12A 凸部
11B,12B 凹部
11D,11E 凸部11のトップランド面端辺
12D,12E 凸部12のトップランド面端辺
11S,12S 延伸ロール周面
13,14 インフィードロール
15,16 アウトフィードロール
30 不織布

Claims (8)

  1. 弾性樹脂を含む繊維を有し、前記弾性樹脂が繊維表面の一部もしくは全部に存在する不織布を製造する工程と、
    前記弾性樹脂を含む繊維の表面に延伸助剤を塗布する工程と、
    凸部と該凸部に対向して噛み合う凹部との間に前記不織布を通して、前記凸部と前記凹部との噛み合わせにより前記不織布を機械的に延伸加工する工程と
    を有し、
    前記延伸加工によって得られた伸縮性不織布を伸長させない状態で該伸縮性不織布の試験片の100mm×100mmについて、弾性繊維の切断部が10箇所以下である伸縮性不織布の製造方法。
  2. 弾性樹脂を含む繊維を有し、前記弾性樹脂が繊維表面の一部もしくは全部に存在する不織布を製造する工程と、
    前記不織布に延伸助剤を塗布する工程と、
    凸部と該凸部に対向して噛み合う凹部との間に前記不織布を通して、前記凸部と前記凹部との噛み合わせにより前記不織布を機械的に延伸加工する工程と
    を有し、
    前記弾性樹脂が熱可塑性エラストマー又はゴムである伸縮性不織布の製造方法。
  3. 弾性樹脂を含む繊維を有し、前記弾性樹脂が繊維表面の一部もしくは全部に存在する不織布を製造する工程と、
    前記不織布に延伸助剤を塗布する工程と、
    凸部と該凸部に対向して噛み合う凹部との間に前記不織布を通して、前記凸部と前記凹部との噛み合わせにより前記不織布を機械的に延伸加工する工程と
    を有し、
    前記延伸加工によって得られた伸縮性不織布の戻り50%のときの伸長時強度が50cN/50mm以上である伸縮性不織布の製造方法。
  4. 前記延伸加工時の歪み速度が50/s以上400/s以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の伸縮性不織布の製造方法。
  5. 前記延伸加工時の延伸倍率が3.0倍以上10.0倍以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の伸縮性不織布の製造方法。
  6. 前記延伸助剤の前記不織布に対する付着量が周期的に変化している請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮性不織布の製造方法。
  7. 前記延伸助剤の溶解パラメータ値と前記弾性樹脂の溶解パラメータ値との差が0.5以上を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の伸縮性不織布の製造方法。
  8. 前記延伸助剤が、脂肪酸アミド、変性シリコーン、フッ素含有ポリマーまたはそれらの混合物からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の伸縮性不織布の製造方法。
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