以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1には、第1実施形態に係る情報処理システムとしてのゲームシステム10の構成概略図が示されている。ゲームシステム10は、発信装置としてのビーコン装置を複数含むビーコン装置群12、複数のユーザ(ゲームプレイヤ)が使用する複数のユーザ端末14、及びサーバ16を含んで構成されている。ゲームシステム10においては、ビーコン装置群12と各ユーザ端末14との間、及び各ユーザ端末14間は、近距離無線通信18により通信可能となっている。また、各ユーザ端末14とサーバ16との間は、LAN(Local Area Network)あるいはインターネットなどの通信回線20により互いに通信可能となっている。
ビーコン装置群12は、現実世界の各位置に配置されるものである。例えば、ビーコン装置群12は、ゲームイベントが開催されるイベント会場内の各位置に配置される。本実施形態では、各ビーコン装置は、自装置から所定範囲内(発信領域内)において、近距離無線通信18により識別情報としてのビーコンIDを数十〜数百ms間隔で発信し続けるものである。各ビーコンIDは、各ビーコン装置固有のものであり、つまりビーコンIDに基づいてビーコン装置を一意に特定することができる。本実施形態では、ビーコン装置は、近距離無線通信18の方式として、ブルートゥース(登録商標)方式でビーコンIDを発信する。
ビーコン装置群12は複数種類に分類されている。つまり、ビーコン装置群12は複数種類のビーコン装置を含んでいる。本実施形態においては、ビーコン装置の種類として、お宝ビーコン22及びアジトビーコン24が含まれる。お宝ビーコン22及びアジトビーコン24のそれぞれは、複数設けられてよい。ビーコン装置の種類は、各ビーコン装置が発信するビーコンIDに基づいて識別できるものとする。例えば、お宝ビーコン22が発信するお宝ビーコンIDは「TB_idxxx」という文字列を有しており、アジトビーコン24が発信するアジトビーコンIDは「AB_idxxx」という文字列を有しているものとする。各種ビーコン装置の機能・役割については後に説明する。
ユーザ端末14は、携帯(モバイル)端末であり、例えばスマートフォンやタブレット端末、あるいは携帯用ゲーム端末などであってよい。ユーザ端末14は、ビーコン装置群12に含まれるいずれかのビーコン装置からのビーコンIDを受信したときに、受信したビーコンID、及び自己のユーザ端末14を使用するユーザを識別するユーザ識別情報としてのユーザID(以下「自己ユーザID」と記載する)をサーバ16に送信する。ユーザ端末14は複数設けられる。本実施形態では、ゲームシステム10は、ユーザAが使用するユーザ端末A、及び、他のユーザであるユーザBが使用するユーザ端末Bを含む複数のユーザ端末14を含むものとする。
また、ビーコン装置群12同様、各ユーザ端末14が近距離無線通信18により自己ユーザIDを発信し続けるようにしてもよい。このように、ユーザ端末14も発信装置として機能し得る。例えば、ユーザ端末Bは、ユーザBを識別する自己ユーザIDを所定範囲内(ユーザ端末Bは移動し得るから、当該所定範囲も移動し得る)に送信する。そして、ユーザ端末Aは、ユーザ端末Bからの自己ユーザIDを受信したときに、受信したユーザID(以下、他の端末から受信した自己ユーザIDを「受信ユーザID」と記載する)及び自己ユーザIDをサーバ16へ送信する。ユーザ端末14の詳細については、図2を参照して後述する。
サーバ16は、ゲームシステム10において実行されるゲームを実行あるいは管理するコンピュータである。サーバ16内においてゲームのメインプログラムが実行され、適宜各ユーザ端末14に情報を送信することでゲームが進行していく。具体的には、サーバ16は、ユーザAを示す自己ユーザID及びビーコンIDをユーザ端末Aから受信したことをトリガとして、当該ビーコンIDに応じたユーザAに関するゲーム上のイベント(処理)を実行する。あるいは、サーバ16は、ユーザAを示す自己ユーザID及びユーザBを示す受信ユーザIDをユーザ端末Aから受信したことをトリガとして、ユーザBとの関係に応じたユーザAに関するゲーム上のイベントを実行する。処理結果は、各ユーザ端末14に送信される。サーバ16の詳細については、図4を参照して後述する。
ここで、ゲームシステム10で実行されるゲームの概要について説明する。ゲームの基本的な流れとしては、各ユーザはチームに分かれ、現実世界の各位置に概念上配置されたお宝を探索して取得し、取得したお宝を、現実世界のある位置に定められた概念上のアジトへ持ち帰る、というものである。
まず、ユーザAは、ユーザ端末Aを携帯しながらゲームイベント会場の各位置に配置されたお宝ビーコン22を探索する。ゲーム性を高めるために、お宝ビーコン22はユーザから発見しにくい場所に配置されてもよい。そして、ユーザ端末Aがお宝ビーコン22のビーコンID発信領域内に入ると、ユーザ端末Aは当該ビーコンIDを受信する。そして、自己ユーザIDと、受信したビーコンIDとをサーバ16へ送信する。サーバ16は、自己ユーザIDとビーコンIDとを受信すると、サーバ16上において、予めビーコンIDに関連付けられた仮想オブジェクトとしてのお宝(アイテム)を当該自己ユーザIDに関連付ける処理を行う。これにより、ユーザAに当該アイテムが付与されたことになる。
アイテムが付与されたユーザAは、次いで、取得したアイテムをアジトへ持ち帰るために、自分が所属するチームに対応するアジトビーコン24(アジトビーコンA)まで移動する。アイテムを取得してからアジトビーコンA近傍まで帰還する(つまりアジトビーコンAが発信するアジトビーコンIDを受信する)までの間は、他チームに属するユーザBにより当該アイテムが盗まれることにより取得したアイテムを失う可能性がある。
例えば、アイテムを取得したユーザAのユーザ端末Aに対し、ユーザBが使用するユーザ端末Bが所定距離内に近付く(つまりユーザ端末Aが発信するユーザIDをユーザ端末Bが受信する)と、ユーザ端末Bから、自己ユーザID、及びユーザAに対応する受信ユーザIDがサーバ16へ送信される。サーバ16は、当該自己ユーザID及び受信ユーザIDを受信したことをトリガとして、ユーザBによるユーザAが有するアイテムを盗む処理が成功するか否かを決定する判定処理を行い、当該判定処理において成功すると判定すると、ユーザAからアイテムを没収し、当該アイテムをユーザBに付与する処理を行う。
取得したアイテムを途中で盗まれることなく、ユーザ端末AがアジトビーコンAが発信するアジトビーコンIDを受信すると、ユーザ端末Aから自己ユーザID及びアジトビーコンIDとがサーバ16へ送信される。サーバ16は、当該自己ユーザID及びアジトビーコンIDを受信したことをトリガとして、当該アイテムをユーザAが属するチームのアジトに格納する処理を行う。一旦アジトに格納されたアイテムは、他のチームにより没収されることなく、当該チームが取得したものとして確保される。
以上のように、ゲームシステム10において実行されるゲームは、チーム毎にアイテムを集めていくゲームである。
図2には、ユーザ端末14の構成概略図が示されている。図2を参照しながら、ユーザ端末14の詳細について説明する。なお、ゲームシステム10に含まれる複数のユーザ端末14は、いずれも同様の構成を有しているものとする。
通信部30は、他の装置と通信を行うためのものである。通信部30は、近距離無線通信部32及びネットワーク通信部34を含んで構成される。
近距離無線通信部32は、例えばブルートゥースアダプタなどから構成される。近距離無線通信部32は、無線通信により、ビーコン装置群12からのビーコンID、あるいは他のユーザ端末14からの受信ユーザIDを受信するためのものである。また、近距離無線通信部32は、無線通信により、自己端末を利用するユーザを識別する自己ユーザIDを自己端末から所定範囲内に発信するためのものである。また、近距離無線通信部32は、自己ユーザIDと共に、後述の記憶部36に記憶されているユーザステータス情報38、及び後述の加速度センサ44が取得したユーザ端末14の移動速度を示す情報を発信するようにしてもよい。上述の通り、近距離無線通信部32による無線通信の方式は、ブルートゥース規格に従った通信方式である。
ネットワーク通信部34は、例えばネットワークアダプタなどから構成される。ネットワーク通信部34は、通信回線20を介してサーバ16と通信を行うためのものである。ネットワーク通信部34は、ビーコンIDあるいは受信ユーザIDを近距離無線通信部32が受信したときに、自己ユーザID、及び受信したビーコンIDあるいは受信ユーザIDをサーバ16に送信する。また、ネットワーク通信部34は、サーバ16において実行された処理内容を示す情報をサーバ16から受信する。
記憶部36は、例えばROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)などから構成される。記憶部36には、ゲームシステム10において実行されるゲームに関するクライアントプログラムが記憶される。当該クライアントプログラムにより、サーバ16から送信されてきたゲーム関する各種情報の表示処理、あるいはユーザによるゲームに関する各種指示の入力処理、あるいは、ビーコンIDあるいは受信ユーザIDの受信処理及び送信処理などの処理が実行される。また、記憶部36には、自己ユーザIDが記憶される。自己ユーザIDは、ユーザ端末14にクライアントプログラムがインストールされると共に記憶部36に記憶される。
また、記憶部36には、当該ユーザ端末14を使用するユーザに関する属性を示す情報であるユーザステータス情報38が記憶される。本実施形態においては、ユーザに関する属性とは、ゲームシステム10が提供するゲームにおけるユーザのステータスである。ユーザステータス情報38は、クライアントプログラムがユーザ端末14にインストールされると共に記憶部36に記憶されてよい。ユーザステータス情報38の内容は、ゲームの進行に応じて動的に変動し得る。
図3に、ユーザステータス情報38の内容の例が示されている。図3に示されるように、本実施形態においては、ユーザのステータスには、当該ゲームにおけるユーザのレベルであるプレイヤレベル、当該ゲームにおいてユーザが操作するゲーム内キャラクタのレベルであるキャラクタレベル、当該キャラクタのゲーム内におけるジョブであるキャラクタジョブ、当該キャラクタが有するスキルであるキャラクタスキル、当該ユーザのゲームモード、当該ユーザが所持しているアイテム、当該ユーザが所属するチーム、及び当該ユーザが所属するチームのアジトに格納されたアイテムなどを示す情報が含まれる。もちろん、ユーザステータス情報38として、その他の情報が含まれるようにしてもよい。
ここで、ゲームモードについて説明する。ゲームモードは、基本的にはユーザが任意に切り替えられるものであるが、本実施形態においては、所定の条件を満たした場合に、強制的に設定されるゲームモードも存在する。ユーザがユーザ端末14に対してゲームモードを変更するなどしてゲームモードが切り換えられると、ユーザ端末14からサーバ16に、自己ユーザIDと共に変更後のゲームモードを示すモード切替情報が送信される。
本実施形態では、ゲームモードとして、サーチモード、ゴーホームモード、及びスティールモードの3種類が用意されている。
サーチモードは、お宝ビーコン22を探索する際に用いるゲームモードである。ユーザAがサーチモードを選択した状態において、ユーザ端末Aがお宝ビーコンIDを受信してサーバ16へ送信すると、ユーザAは当該お宝ビーコン22に対応するアイテムを獲得することができる。
ゴーホームモードは、アイテムを獲得してから当該アイテムをアジトへ格納するまでの間に選択されるゲームモードである。本実施形態に係るゲームシステム10においては、一人のユーザは一つのアイテムしか所持できない仕様となっている。したがって、ユーザAがアイテムを獲得すると、ユーザAのゲームモードは自動的にゴーホームモードへ切り換えられる。もちろん、一人のユーザが複数のアイテムを所有できるようしてもよく、その場合は、ユーザの指示によりゴーホームモードに切り替えられるようにしてもよい。ゴーホームモードによれば、ユーザ端末AがアジトビーコンAが発信するアジトビーコンIDを受信してサーバ16へ送信することで、ユーザAが獲得したアイテムをアジトに格納することができる。
スティールモードは、他のユーザが所持しているアイテムを盗むためのモードである。例えば、ユーザBは、スティールモードを選択することで、ユーザAが獲得したアイテムを盗むことができる。ユーザBがスティールモードを選択している場合、ユーザAが発信するユーザIDをユーザBが受信して、ユーザBの自己ユーザIDとユーザAを示す受信ユーザIDがサーバ16に送信されたことをトリガとして、サーバ16においてユーザAの所持アイテムをユーザAから没収し、当該アイテムをユーザBに付与する処理が実行される。つまり、ユーザBは、ユーザAから当該アイテムを盗むことができる。
図2に戻り、表示部40は、例えば液晶パネルなどから構成される。表示部40には、ゲームシステム10で実行されるゲームに関するゲーム画面が表示される。表示部40に表示されるゲーム画面は、サーバ16から送信されてくる情報に応じて適宜変更される。
入力部42は、タッチパネルあるいはボタンなどから構成される。入力部42は、ユーザの指示をユーザ端末14に入力するためのものである。ユーザは、入力部42を用いて、ゲームに関する指示などを入力する。
加速度センサ44は、ユーザ端末14の加速度を計測するものであり、ユーザ端末14の移動速度を計測するためのものである。ユーザ端末14の移動速度を計測するセンサとしては、加速度センサ44に代えて、例えばユーザ端末14の位置を計測する位置センサであるGPS(Global Positioning System)センサを設けるようにしてもよい。GPSセンサにおいて定期的に位置情報を取得するようにしておくことで、複数の位置情報と、各位置情報が計測された時刻とに基づいてユーザ端末14の移動速度が計測可能となる。なお、本明細書における「速度」とはベクトル量であり、つまり速さ及び方向を示すものであるとする。
制御部46は、例えばCPU(Central Processing Unit)あるいはマイクロコントローラなどから構成される。制御部46は、記憶部36に記憶されたクライアントプログラムに従って、ユーザ端末14の各部を動作させるものである。また、制御部46は、クライアントプログラムによって、受信状態検出部48、受信成立条件設定部50、及び、受信成立条件判定部としての受信判定部52としても機能する。
受信状態検出部48は、近距離無線通信部32における、ビーコン装置からのビーコンIDの受信状態を検出するものである。受信状態とは、近距離無線通信部32が受信したビーコンIDの受信強度、同一のビーコンIDを連続して受信した期間である受信期間、同一のビーコンIDを連続して受信した回数である受信回数などを含むものである。受信期間は、各ビーコンIDを受信したときの時刻をそれぞれ取得しておき、各ビーコンIDを受信した時刻に基づいて算出される。
ビーコン装置が発信する識別情報を乗せる電波は、当該ビーコン装置に近付くほど電波強度が強くなる。したがって、ビーコン装置とユーザ端末14とがより近い位置にいる程、近距離無線通信部32における受信強度が強くなる。つまり、受信強度は、ユーザ端末14とビーコンIDとの間の距離を示す指標となる。また、上述のように、ビーコン装置は、数十から数百ms間隔でビーコンIDを発信し続けるから、ユーザ端末14がビーコン装置の発信領域内にいる時間が長い程、受信期間及び受信回数が大きくなる。つまり、受信期間及び受信回数は、ユーザ端末14がビーコン装置の発信領域内(つまりビーコン装置の近傍)に滞在した時間を示す指標となる。
同様に、受信状態検出部48は、近距離無線通信部32における、他のユーザ端末14からのユーザIDの受信状態を検出するものである。他のユーザ端末14との関係においても、受信強度は、ユーザ端末14と他のユーザ端末14との間の距離を示す指標となり、また、受信期間及び受信回数は、ユーザ端末14がユーザ端末14との発信領域内(つまり他のユーザ端末14の近傍)に滞在した時間を示す指標となる。
受信成立条件設定部50は、ユーザ端末14を使用するユーザに関する属性に基づいて、ビーコンID又は受信ユーザIDを当該ユーザ端末14が受信したと判定するための受信成立条件を設定する。当該受信成立条件は、上記の受信強度、受信期間、受信回数、あるいは、これらの組み合わせによって定められる。例えば、受信強度が閾値強度以上である、閾値強度以上の識別信号を閾値受信期間受信し続けた、あるいは、閾値強度以上の識別信号を閾値受信回数以上受信した、などである。
受信成立条件設定部50は、当該ユーザ端末14を使用するユーザに関する属性に基づいて、受信成立条件のうち、閾値強度、閾値受信期間、あるいは閾値受信回数などの、ユーザ端末14がビーコンID又は受信ユーザIDを受信したと判定するための閾値を設定する。本実施形態においては、ユーザに関する属性とは、ゲームシステム10が提供するゲームにおける当該ユーザのステータスである。より詳しくは、当該ユーザのステータスとは、記憶部36に記憶されたユーザステータス情報38が示すものである。受信成立条件設定部50における処理の詳細については後述する。
受信判定部52は、受信状態検出部48が検出したビーコンID又は受信ユーザIDの受信状態が、受信成立条件設定部50が設定した受信成立条件を満たすか否かを判定する。受信判定部52がビーコンID又は受信ユーザIDの受信状態が受信成立条件を満たすと判断すると、制御部46は、記憶部36に記憶された自己ユーザIDと、受信したビーコンID又は受信ユーザIDをネットワーク通信部34を介してサーバ16へ送信する。
図4には、サーバ16の構成概略図が示されている。図4を参照しながら、サーバ16の詳細について説明する。
通信部60は、例えばネットワークアダプタなどから構成される。通信部60は、通信回線20を介して各ユーザ端末14と通信を行うためのものである。具体的には、通信部60は、各ユーザ端末14から、自己ユーザID、ビーコンID、及び受信ユーザIDを受信する。また、通信部60は、サーバ16におけるゲーム上の処理内容を示す情報を各ユーザ端末14に送信する処理を行う。
記憶部62は、例えばハードディスク、ROM、あるいはRAMなどから構成される。記憶部62には、ゲームシステム10で実行されるゲームに関するメインプログラムが記憶される。当該メインプログラムは、ゲームシステム10で実行されるゲームの主な処理を行うものであり、メインプログラムにより当該ゲームが進行される。
また、記憶部62には、当該ゲームに関する処理において適宜参照される各種DB(データベース)が記憶される。具体的には、図4に示される通り、ユーザDB64及びアイテムDB66が記憶される。
ユーザDB64においては、ゲームシステム10に含まれる各ユーザ端末14に記憶されているユーザステータス情報38がまとめて記憶される。つまり、ユーザDB64には、ゲームシステム10が提供するゲームに参加する各ユーザのゲーム内におけるステータスがまとめて記憶される。図5に、ユーザDB64の内容の例が示されている。図5に示される通り、ユーザDB64においては、各ユーザのユーザIDとステータスが関連付けられて記憶される。ユーザDB64に含まれる各情報のうち、ユーザIDについては、ユーザ端末14においてユーザがクライアントプログラムをインストールした時点でユーザ端末14から送信される情報に基づいてユーザDB64に追加される。それ以外の情報(ユーザのステータス)については、ゲームの進行に応じて後述の制御部68により適宜更新される。
アイテムDB66においては、お宝ビーコンIDと、アイテムを識別するアイテムIDとが関連付けられて記憶される。図5に、アイテムDB66の内容の例が示されている。図5に示されるように、本実施形態では、1つのお宝ビーコンIDに1つのアイテムIDが関連付けられているが、1つのお宝ビーコンIDに複数のアイテムIDが関連付けられていてもよい。
制御部68は、例えばCPUなどから構成される。制御部68は、記憶部62に記憶されたメインプログラムに従って、サーバ16の各部を動作させるものである。制御部68がメインプログラムを実行することで、ゲームシステム10が提供するゲームが進行する。制御部68は、メインプログラムによって処理実行部70としても機能する。
処理実行部70は、ユーザ端末14がビーコンID又は受信ユーザIDを受信したと判定され、ユーザ端末14から自己ユーザID、及びビーコンID又は受信ユーザIDを受信した場合に、受信したビーコンID又は受信ユーザIDに応じたゲーム上の処理を実行する。
例えば、ユーザ端末AからユーザID「user_A」及びお宝ビーコンID「TB_id001」を受信した場合、処理実行部70は、ユーザAにアイテムを付与する処理を行う。具体的には、まず、処理実行部70は、アイテムDB66を参照し、受信したお宝ビーコンID「TB_id001」に対応するアイテムを特定する。アイテムDB66が図6に示す内容であれば、アイテムID「item_id001」が特定される。また、アイテムDB66において、お宝ビーコンID「TB_id001」に複数のアイテムIDが関連付けられている場合、処理実行部70は、複数のアイテムIDから1つのアイテムIDを選択する処理を行う。当該選択処理は、例えば抽選処理などによって実現される。
次いで、処理実行部70は、ユーザDB64において、ユーザID「user_A」に対応する所持アイテムにアイテムID「item_id001」を関連付ける処理を行う。これにより、ユーザAにアイテムID「item_id001」が示すアイテムが付与されたことになる。アイテム付与後、処理実行部70は、アイテムを獲得したことを通知する情報をユーザ端末Aに送信する。当該情報を受けたユーザ端末Aは、それに基づいてユーザ端末Aにおけるユーザステータス情報38の所持アイテム欄を更新し、また、アイテムを獲得したことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。
また、例えば、ユーザ端末AからアジトビーコンIDを受信した場合、処理実行部70は、ユーザAが所持しているアイテムをアジトに格納する処理を行う。具体的には、処理実行部70は、ユーザDB64を参照し、ユーザID「user_A」に関連付けられている所持アイテムを所持アイテム欄からアジト格納アイテム欄に移動する処理を行う。これにより、ユーザAが獲得したアイテムが、ユーザAが所属するチームのアジトに格納される。これにより、当該アイテムはユーザAが所属するチームのものとして確定する。アイテムをアジトに格納後、処理実行部70は、アイテムがアジトに格納されたことを通知する情報をユーザ端末Aに送信する。当該情報を受けたユーザ端末Aは、それに基づいてユーザ端末Aにおけるユーザステータス情報38の所持アイテム欄に記憶されていたアイテムIDをアジト格納アイテム欄に移動させる。また、また、アイテムがアジトに格納されたことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。なお、ユーザAがアイテムを獲得した後、他のユーザに盗まれるなどして、ユーザAがアイテムを所持していない場合は、上記処理は実行されない。また、当然ながら、ユーザ端末Aが、ユーザAが所属するチーム以外のアジトビーコンIDを受信した場合は上記処理は実行されない。
また、例えば、ユーザ端末BからユーザAを示す受信ユーザIDを受信した場合、処理実行部70は、ユーザBによるユーザAが所持するアイテムに対する盗む処理を実行する。具体的には、処理実行部70は、ユーザDB64のうち、受信ユーザIDとして受信したユーザID「user_A」に関連付けられている所持アイテムの関連付けを解除した上で、自己ユーザIDとして受信したユーザID「user_B」に当該アイテムを関連付ける処理を行う。これにより、ユーザAから当該アイテムが没収された上で、当該アイテムがユーザBに付与される。つまり、ユーザAの所持アイテムがユーザBにより盗まれたことになる。
上記盗む処理に先立って、処理実行部70は、ユーザBの盗む行為が成功するか否かを判定する処理を行ってもよい。当該判定処理は、例えば、予め定められた確率条件に基づいて決定されてよい。盗む行為が成功したと判定された場合に上記盗む処理が実行され、盗む行為が失敗したと判定された場合は上記盗む処理を実行しない。
本実施形態では、アイテムが盗まれた後、ユーザAがアジトビーコンAまで帰還するまで、アイテムが盗まれたことをユーザAに通知しない。つまり、処理実行部70は、アイテムが盗まれた後、ユーザ端末AからアジトビーコンAが発信するアジトビーコンIDを受信したことをトリガとして、アイテムが盗まれたことを通知する画面をユーザ端末Aの表示部40に表示させるための画面情報をユーザ端末Aに送信する。
本実施形態に係るゲームシステム10の構成概略については以上の通りである。以下、ユーザ端末14の受信成立条件設定部50における受信成立条件の設定処理の詳細について説明する。
上述の通り、本実施形態において、受信成立条件設定部50は、記憶部36に記憶されたユーザステータス情報38(図3参照)に基づいて、受信成立条件のうち、閾値強度、閾値受信期間、あるいは閾値受信回数を設定する。
例えば、受信成立条件設定部50は、ユーザAのプレイヤレベルあるいはユーザAが操作するキャラクタレベルが高い程、ユーザ端末Aにおける受信成立条件において閾値強度を低く設定する。逆に、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが低い程、閾値強度を高く設定する。これにより、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが高い程、ビーコン装置からより遠い位置で当該ビーコン装置が発信するビーコンIDを受信したと判定される。つまり、ユーザ端末Aがあるビーコン装置に近付いた場合に、より早期にビーコンIDの受信が判定される。これにより、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが高い程、ユーザはアイテムをより早期に獲得することができ、また、より早期に獲得したアイテムをアジトに格納することができる。プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが低い場合は、その逆であり、ビーコンIDを受信したと判定されるまで、ユーザ端末Aは、ビーコン装置により近付く必要がある。
あるいは、受信成立条件設定部50は、ユーザAのプレイヤレベルあるいはユーザAが操作するキャラクタレベルが高い程、ユーザ端末Aにおける受信成立条件において、閾値受信期間を短く、閾値受信回数を小さく設定する。逆に、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが低い程、閾値受信期間を長く、閾値受信回数を大きく設定する。これにより、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが高い程、ビーコン装置の発信領域内にいる時間がより短くても当該ビーコンIDが発信するビーコンIDを受信したと判定される。つまり、ユーザ端末Aがあるビーコン装置の発信領域外から当該ビーコン装置の発信領域内へ入った場合に、より早期にビーコンIDの受信が判定される。これにより、プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが高い程、ユーザはアイテムをより早期に獲得することができ、また、より早期に獲得したアイテムをアジトに格納することができる。プレイヤレベルあるいはキャラクタレベルが低い場合は、その逆であり、ビーコンIDを受信したと判定されるまで、ユーザ端末Aは、ビーコン装置の発信領域内により長く待機する必要がある。
受信成立条件設定部50は、ユーザAが操作するゲーム上のキャラクタのジョブに応じて、受信成立条件における閾値を決定してもよい。例えば、ユーザAが操作するキャラクタのジョブが、お宝発見を得意とするトレジャーハンターである場合は、ユーザ端末Aにおけるお宝ビーコンIDの受信成立条件において、他のジョブよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する。これにより、ジョブがトレジャーハンターであれば、他のジョブに比してより早期にアイテムを獲得することができる。
あるいは、ユーザBが操作するキャラクタのジョブが、盗みを得意とする盗賊である場合は、ユーザ端末Bにおける受信ユーザIDの受信成立条件において、他のジョブよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、又は、閾値受信回数をより小さく設定する。これにより、ジョブが盗賊であれば、他のジョブに比してより早期に他のユーザ(例えばユーザA)からアイテムを盗むことができる。
また、キャラクタのジョブにはジョブレベル設定があってもよく、ジョブレベルに応じて受信成立条件における閾値を決定してもよい。例えば同じトレジャーハンターであっても、ジョブレベル1の場合に比して、ジョブレベル10の場合の方が、お宝ビーコンIDの受信成立条件において、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定してもよい。
受信成立条件設定部50は、ユーザAが操作するキャラクタのスキルに応じて、受信成立条件における閾値を決定してもよい。例えば、ユーザAが操作するキャラクタが、お宝発見が得意なことを示す探索スキルを有している場合は、ユーザ端末Aにおけるお宝ビーコンIDの受信成立条件において、他のジョブよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する。これにより、キャラクタが探索スキルを有していれば、当該スキルを有していない場合に比してより早期にアイテムを獲得することができる。
また、キャラクタのスキルにはレベル設定があってもよく、スキルのレベルに応じて受信成立条件における閾値を決定してもよい。例えば同じ探索スキルであっても、探索スキルレベル1の場合に比して、探索スキルレベル10の場合の方が、お宝ビーコンIDの受信成立条件において、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定してもよい。
受信成立条件設定部50は、ユーザAのゲームモードに応じて、受信成立条件における閾値を決定してもよい。例えば、ユーザAのゲームモードがサーチモードである場合には、お宝ビーコンIDの受信成立条件において、他のゲームモードよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する。その一方で、ユーザAのゲームモードがサーチモードである場合には、アジトビーコンID及び受信ユーザIDの受信成立条件においては、閾値強度をかなり高く、閾値受信期間をかなり長く、閾値受信回数をかなり長く、あるいは、アジトビーコンID及び受信ユーザIDを受信不可とする設定をしてもよい。同様に、ユーザAのゲームモードがゴーホームモードである場合には、アジトビーコンIDの受信成立条件において、他のゲームモードよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する一方、お宝ビーコンID及び受信ユーザIDの受信成立条件においては、受信不可あるいはそれに近い設定をしてもよい。また、ユーザAのゲームモードがスティールモードである場合には、受信ユーザIDの受信成立条件において、他のゲームモードよりも閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する一方、お宝ビーコンID及びアジトビーコンIDの受信成立条件においては、受信不可あるいはそれに近い設定をしてもよい。このように、ユーザAのステータスと、ビーコン装置の種類(属性)との関係に応じて受信成立条件が設定されてもよい。
また、ユーザ端末Bの受信成立条件設定部50は、ユーザ端末Aが発信するユーザIDを受信するか否かを判定するための受信成立条件を、ユーザAのステータスとユーザBのステータスとの関係に応じて設定してもよい。この場合は、ユーザ端末AからユーザIDと共にユーザAのユーザステータス情報38が発信され、ユーザ端末Bは、ユーザ端末AからユーザAのユーザID及びユーザステータス情報38を受信するものとする。例えば、ユーザAのキャラクタレベルが「50」であり、ユーザBのキャラクタレベルがそれよりも高い「100」である場合は、当該受信成立条件において、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する。一方、ユーザAのキャラクタレベルが「50」であり、ユーザBのキャラクタレベルがそれよりも低い「15」である場合は、当該受信成立条件において、閾値強度をより高く、閾値受信期間をより長く、閾値受信回数をより大きく設定する。
また、各ユーザが所属しているチームに応じて、他のユーザ端末14からの受信ユーザIDを受信するか否かを判定するための受信成立条件が設定されてもよい。この場合も、各ユーザ端末14からユーザIDと共に各ユーザのユーザステータス情報38が発信されているものとする。例えば、ユーザAがAチームに所属しており、ユーザBがBチームに所属しており、ユーザCがCチームに所属している場合であって、AチームはBチームに対して強く、BチームはCチームに対して強く、CチームはAチームに対して強いというような設定がされている場合を考える。このとき、ユーザ端末Aにおけるユーザ端末Bからの受信ユーザIDに対する受信成立条件においては、閾値強度がより低く、閾値受信期間がより短く、閾値受信回数がより小さく設定される一方、ユーザ端末Bにおけるユーザ端末Aからの受信ユーザIDに対する受信成立条件においては、閾値強度がより高く、閾値受信期間がより長く、閾値受信回数がより大きく設定される。また、ユーザ端末Aにおけるユーザ端末Cからの受信ユーザIDに対する受信成立条件においては、閾値強度がより高く、閾値受信期間がより長く、閾値受信回数がより大きく設定される一方、ユーザ端末Cにおけるユーザ端末Aからの受信ユーザIDに対する受信成立条件においては、閾値強度がより低く、閾値受信期間がより短く、閾値受信回数がより小さく設定される。
受信成立条件設定部50は、その他のユーザのステータス(例えばユーザの装備や所持アイテムなど)に応じて受信成立条件を設定するようにしもてもよい。
また、ユーザ端末Aの受信成立条件設定部50は、ユーザAのステータスに代えて、ユーザ端末Aとビーコン装置又はユーザ端末Bとの相対速度に基づいて、ユーザ端末Aにおける受信成立条件を設定するようにしてもよい。
ユーザ端末Aとビーコン装置又はユーザ端末Bとの相対速度に基づいて受信成立条件を設定することで、予め固定的に受信成立条件が設定されている場合に比して、ゲームにおける興趣性をより向上させることができる。
まず、ユーザ端末Aとビーコン装置との間の関係を考える。この場合、ビーコン装置は移動しないため、ユーザ端末Aとビーコン装置との相対速度は、ユーザ端末Aの移動速度ということになる。本実施形態では、受信成立条件設定部50は、ユーザ端末Aの移動速度が小さい程、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する一方、ユーザ端末Aの移動速度が大きい程、閾値強度をより高く、閾値受信期間をより長く、閾値受信回数をより大きく設定する。
上述の通り、ビーコン装置、特にお宝ビーコン22は、ゲーム性を向上させる観点から、ユーザから発見されにくい位置に配置される。お宝ビーコン22に対するユーザ端末Aの相対速度(つまりユーザ端末Aの移動速度)が低いということは、ユーザAはお宝ビーコン22に気付いている可能性が高いと言える。一方、お宝ビーコン22に対するユーザ端末Aの相対速度が高いということは、ユーザAはお宝ビーコン22に気付いておらず、単に当該お宝ビーコン22の近傍を通過しただけの可能性が高いと言える。したがって、本実施形態では、お宝ビーコン22に気付いているであろうユーザによりアイテムを付与しやすくするために、ユーザ端末Aの移動速度が小さい程、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定している。
次に、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの間の関係を考える。この場合は、ユーザ端末Bから、ユーザBを示すユーザIDと共に、ユーザBのユーザステータス情報38及びユーザ端末Bの移動速度を示す情報が発信されており、ユーザ端末Aはこれらの情報を受信するものとする。ユーザ端末Aの受信成立条件設定部50は、受信したユーザ端末Bの移動速度とユーザ端末Aの加速度センサ44が取得したユーザ端末Aの移動速度に基づいて、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの間の相対速度を演算する。そして、演算された相対速度に基づいて、受信成立条件を設定する。本実施形態では、受信成立条件設定部50は、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの間の相対速度が小さい程、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定する一方、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの間の相対速度がより大きい程、閾値強度をより高く、閾値受信期間をより長く、閾値受信回数をより大きく設定する。
本実施形態に係るゲームにおいては、アイテムを獲得したユーザは、当該アイテムをいち早くアジトへ格納する必要がある。したがって、アイテムを獲得したユーザBは、走ってユーザ端末BをアジトビーコンBの近傍まで運ぶ必要がある。このとき、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの間の相対速度が小さい程、閾値強度をより低く、閾値受信期間をより短く、閾値受信回数をより小さく設定されることで、ユーザAが歩いている、あるいは止まっている(つまりユーザ端末Bの速度が低い、あるいは0である)ことを前提とするならば、ユーザBの走る速度(つまりユーザ端末Bの移動速度)がより早ければ、ユーザ端末Aにおけるユーザ端末BからのユーザIDの受信成立条件がより受信しにくい条件となり、それだけユーザBのアイテムがユーザAに盗まれにくくなる。もちろん、盗む側としてのユーザAがユーザBの走る速度と同じくらいの速度でユーザBを追いかけた場合には、ユーザ端末Aにおけるユーザ端末BからのユーザIDの受信成立条件がより受信しやすい条件となり、ユーザAはユーザBのアイテムを盗み得る。
もちろん、ユーザ端末Aとビーコン装置又はユーザ端末Bとの相対速度に加えて、ユーザAのユーザステータスに基づいて、ユーザ端末Aにおける受信成立条件を設定するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態においては、各ユーザのユーザステータスに基づいて、ビーコンID又は受信ユーザIDを受信したと判定するための受信成立条件が変動する。あるいは、ユーザ端末14とビーコン装置又は他のユーザ端末14との間の相対速度に基づいて、受信成立条件が変動する。例えば、単にあるビーコン装置に所定距離近付けば、必ず当該ビーコン装置からのビーコンIDを受信したと判定されるのではなく、ユーザステータスによっては、かなり遠い位置からでも当該ビーコンIDを受信可能となるし、逆にかなり近づかないと当該ビーコンIDを受信できなくもなり得る。これにより、本実施形態のようなゲームシステム10においては、ゲーム性がより向上される。特に、上述の通り、ユーザステータスは、ゲームの進行に応じて動的に変動するものであるから、受信成立条件も動的に変動することになる。ゲームの進行に応じた受信成立条件の変動は、ゲーム性をさらに向上させる。
また、本実施形態においては、ユーザステータスに基づいて、ビーコン装置及び他のユーザ端末14を含む発信装置の種類に応じて受信成立条件が設定される。例えば、ジョブがトレジャーハンターの場合は、特にお宝ビーコン22からのビーコンIDの受信成立条件がより受信し易い条件となるが、アジトビーコン24及び他のユーザ端末14からのビーコンID及び受信ユーザIDの受信成立条件は、ジョブがトレジャーハンター以外の場合と同等である、などである。このようにすることで、お宝ビーコン22からのビーコンIDをより受信しやすくするため(つまりより早期にお宝を獲得するために)ユーザステータスであるジョブをトレジャーハンターに変更する、などといったゲーム上の選択肢が豊かになる。
以下、図7〜図8に示すフローチャートに従って、第1実施形態におけるゲームシステム10の処理の流れについて説明する。
図7には、ユーザ端末Aがお宝ビーコンIDを受信することで、ユーザAがアイテムを獲得する場合の処理の流れが示されている。
ステップS10において、ユーザ端末Aを携帯したユーザAがお宝ビーコン22の発信領域内に進入することで、ユーザ端末Aがお宝ビーコン22からのお宝ビーコンIDを受信する。
ステップS12において、ユーザ端末Aの受信成立条件設定部50は、ユーザ端末Aの記憶部36に記憶されたユーザステータス情報38に基づいて、受信設定条件を設定する。ここでは、簡単のため、受信強度がxxdBm以上であるという条件が設定されたとする。
ステップS14において、ユーザ端末Aの受信状態検出部48は、ユーザ端末Aの近距離無線通信部32におけるお宝ビーコンIDの受信状態を検出する。そして、ユーザ端末Aの受信判定部52は、当該受信状態がステップS12で設定された受信設定条件を満たすか否かを判定する。ここでは、受信状態検出部48は、お宝ビーコンIDの受信強度を検出し、受信判定部52は、検出された受信強度がxxdBm以上であるか否かを判定する。受信成立条件を満たす場合はステップS16に進み、受信成立条件を満たさない場合は、間欠的にステップS14の処理(つまり受信状態判定処理)を繰り返す。例えば受信成立条件が受信回数である場合などには、何回目かのステップS14の処理で受信成立条件を満たすと判定される場合がある。なお、予め決められた回数、受信状態判定処理を行っても受信成立条件を満たさない場合は、処理を終了する。
ステップS16において、ユーザ端末Aの制御部46は、ユーザAを示す自己ユーザIDと、受信したお宝ビーコンIDをサーバ16へ送信する。
ステップS18において、サーバ16の処理実行部70は、アイテムDB66を参照し、受信したお宝ビーコンIDに対応したアイテムIDを特定する。
ステップS20において、処理実行部70は、ステップS18で特定したアイテムをユーザAに付与する処理を行う。具体的には、ユーザDB64において、ユーザAを示すユーザIDにステップS18で特定したアイテムIDを関連付ける処理を行う。
ステップS22において、処理実行部70は、ユーザAに当該アイテムが付与されたことを通知するための情報(ステップS18で特定されたアイテムIDを含む)をユーザ端末Aに送信する。
ステップS24において、当該情報を受信したユーザ端末Aの制御部46は、ユーザステータス情報38を更新する。具体的には、受信したアイテムIDを所持アイテム欄に書き込む処理を行う。
ステップS26において、ユーザ端末Aの制御部46は、ユーザAが当該アイテムを獲得したことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。
図8には、アイテムを獲得したユーザAがアジトビーコンAまで帰還するまでの処理であって、帰還途中にユーザBにより所持アイテムを盗む行為が行われる場合の処理の流れが示されている。図8の例では、ユーザ端末Bにおける受信成立条件は、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの相対速度に基づいて設定されるものとする。なお、繰り返すが、ユーザ端末Bにおける受信成立条件は、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの相対速度、及び、ユーザBのユーザステータスに基づいて、さらにはユーザAのユーザステータスをも考慮して設定されてもよい。
ステップS30において、ユーザ端末Aは、ユーザAを示すユーザIDと、ユーザ端末Aの加速度センサ44が取得したユーザ端末Aの移動速度を示す速度情報を発信領域内に発信する。
ステップS32において、ユーザ端末Bを携帯したユーザBがユーザ端末Aの発信領域内に進入することで、ユーザ端末BがユーザAを示す受信ユーザID及び速度情報を受信する。
ステップS34において、ユーザ端末Bの受信成立条件設定部50は、ユーザ端末Aから受信したユーザ端末Aの移動速度を示す速度情報、及び、ユーザ端末Bの加速度センサ44が取得したユーザ端末Bの移動速度を示す速度情報に基づいて、ユーザ端末Aとユーザ端末Bとの相対速度を演算する。そして、ユーザ端末Bの受信成立条件設定部50は、演算された相対速度に基づいて受信設定条件を設定する。ここでは、簡単のため、受信強度がxxdBm以上であるという条件が設定されたとする。
ステップS36において、ユーザ端末Bの受信状態検出部48は、ユーザ端末Bの近距離無線通信部32における受信ユーザIDの受信状態を検出する。そして、ユーザ端末Bの受信判定部52は、当該受信状態がステップS34で設定された受信設定条件を満たすか否かを判定する。ここでは、受信状態検出部48は、受信ユーザIDの受信強度を検出し、検出された受信強度がxxdBm以上であるか否かを判定する。受信成立条件を満たす場合はステップS38に進み、受信成立条件を満たさない場合は、間欠的にステップS36の処理を繰り返す。予め決められた回数、受信状態判定処理を行っても受信成立条件を満たさない場合は、処理を終了する。
ステップS38において、ユーザ端末Bの制御部46は、ユーザBを示す自己ユーザIDと、ユーザAを示す受信ユーザIDをサーバ16へ送信する。
ステップS40において、サーバ16の処理実行部70は、ユーザAの所持アイテムをユーザAから没収し、当該アイテムをユーザBに付与する処理を行う。具体的には、ユーザDB64において、ユーザAを示すユーザIDに関連付けられている所持アイテムを「なし」とし、当該アイテムをユーザBを示すユーザIDの所持アイテムとして関連付ける処理を行う。
ステップS42において、処理実行部70は、ユーザAに所持アイテムが没収された(盗まれた)ことを通知するための情報をユーザ端末Aに送信する。
ステップS44において、処理実行部70は、ユーザBに、ユーザAからアイテムを盗んだことを通知するための情報をユーザ端末Bに送信する。
ステップS46において、ステップS42でサーバ16から送信された情報を受信したユーザ端末Aの制御部46は、ユーザステータス情報38を更新する。具体的には、所持アイテム欄を「なし」にする処理を行う。
ステップS48において、ステップS42でサーバ16から送信された情報を受信したユーザ端末Aの制御部46は、ユーザステータス情報38を更新する。具体的には、所持アイテム欄を「なし」にする処理を行う。
ステップS50において、ユーザ端末Aの制御部46は、所持アイテムを盗まれたことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。
ステップS52において、ユーザ端末Aは、アジトビーコンAからアジトビーコンIDを受信して、ユーザAを示す自己ユーザID及び受信したアジトビーコンIDをサーバ16に送信する。なお、ここでもユーザ端末Aにおいて、アジトビーコンIDの受信状態が受信成立条件を満たすか否かの判定が行われるが、ここでは詳細な説明は省略する。
ステップS54において、ユーザ端末AからアジトビーコンIDを受信したサーバ16は、ユーザ端末Aに対して、所持アイテムが盗まれたことをユーザAに通知することを指示する通知指示信号を送信する。なお、ユーザAがアジトビーコンAに帰還してくるまでにアイテムを盗まれておらず、アイテムを維持している場合は、ユーザ端末AからアジトビーコンIDを受信したサーバ16は、ユーザDB64を更新して、ユーザAの所持アイテムをアジト格納アイテムとする処理を行う。そして、アイテムがアジトへ格納されたことをユーザAに通知するための通知指示信号をユーザ端末Aに送信する。
ステップS56において、サーバ16からの通知指示を受けたユーザ端末Aの制御部46は、所持アイテムを盗まれたことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。
第1実施形態は以上の通りである。なお、上記第1実施形態においては、アイテムDB66及び処理実行部70をサーバ16が有しているが、これらもユーザ端末14が所持するようにしてもよい。この場合、受信判定部52がビーコンID又は受信ユーザIDを受信したと判定した場合に、ユーザ端末14内においてゲーム上の処理が実行される。そして、その処理の結果を示す結果情報がサーバ16へ送信される。サーバ16は、各ユーザ端末14から送られてくる結果情報に基づいてゲームを進行させる。
<第2実施形態>
図9には第2実施形態におけるユーザ端末80の構成概略図が、図11には第2実施形態におけるサーバ90の構成概略図が示されている。第1実施形態においては、受信成立条件設定部50及び受信判定部52をユーザ端末14が有していたが、第2実施形態は、サーバ90の制御部92が、受信成立条件設定部94及び受信判定部96の機能を発揮することとしたものである。上記各部の詳細は第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図9に示される通り、第2実施形態におけるユーザ端末80の制御部82は、受信成立条件設定部及び受信判定部としての機能を発揮しない。また、第2実施形態においては、必ずしもユーザ端末80においてユーザステータス情報38が記憶される必要はない。
第2実施形態においては、第1実施形態においてユーザ端末14で実施されていた処理がサーバ90で実施される。詳しくは、ビーコンID又は受信ユーザIDを受信したユーザ端末80は、自己ユーザID、及び受信したビーコンID又は受信ユーザIDと共に、ビーコンID又は受信ユーザIDの受信状態(これはユーザ端末Aの受信状態検出部48により取得される)を示す受信状態情報をサーバ90へ送信する。サーバ90の受信成立条件設定部94は、受信した自己ユーザIDとユーザDB64(自己ユーザIDが示すユーザのステータス)に基づいて受信成立条件を設定する。サーバ90の受信判定部96は、受信した受信状態情報が当該受信成立条件を満たすか否かを判定する。そして、受信判定部96が受信した受信状態情報が当該受信成立条件を満たすと判定した場合に、処理実行部70は、受信したビーコンID又は受信ユーザIDに応じた処理を実行する。
以下、図11に示すフローチャートに従って、第2実施形態における処理の流れについて説明する。
ステップS60において、ユーザ端末Aを携帯したユーザAがお宝ビーコン22の発信領域内に進入することで、ユーザ端末Aがお宝ビーコン22からのお宝ビーコンIDを受信する。
ステップS62において、ユーザ端末Aの制御部82は、ユーザAを示す自己ユーザID、受信したお宝ビーコンID、及び、ユーザ端末Aの受信状態検出部48が取得したお宝ビーコンIDの受信状態を示す受信状態情報をサーバ90へ送信する。なお、制御部82は、ユーザ端末Aの近距離無線通信部32がお宝ビーコンIDを受信し続ける限り、間欠的にこれらの情報をサーバ90に送信し続ける。
ステップS64において、サーバ90の受信成立条件設定部94は、ユーザDB64を参照し、受信した自己ユーザIDが示すユーザ(ここではユーザA)のステータスを特定する。そして、特定したステータスに基づいて受信設定条件を設定する。ここでは、簡単のため、受信強度がxxdBm以上であるという条件が設定されたとする。
ステップS66において、サーバ90の受信判定部96は、ユーザ端末Aから受信した受信状態情報が示す受信状態が、ステップS64で設定された受信設定条件を満たすか否かを判定する。ここでは、受信判定部96は、受信状態情報のうち、お宝ビーコンIDの受信強度がxxdBm以上であるか否かを判定する。受信成立条件を満たす場合はステップS68に進み、受信成立条件を満たさない場合は、間欠的にステップS66の受信状態判定処理を繰り返す。
ステップS68において、サーバ90の処理実行部70は、アイテムDB66を参照し、受信したお宝ビーコンIDに対応したアイテムIDを特定する。
ステップS70において、処理実行部70は、ステップS68で特定したアイテムをユーザAに付与する処理を行う。具体的には、ユーザDB64において、ユーザAを示すユーザIDにステップS68で特定したアイテムIDを関連付ける処理を行う。
ステップS72において、処理実行部70は、ユーザAに当該アイテムが付与されたことを通知するための情報(ステップS68で特定されたアイテムIDを含む)をユーザ端末Aに送信する。
ステップS74において、当該情報を受信したユーザ端末Aの制御部82は、ユーザAが当該アイテムを獲得したことをユーザAに通知するための画面を表示部40に表示させる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。