図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システム1の構成を示す図である。燃料電池システム1は、燃料電池を用いて発電を行う発電システムである。燃料電池システム1は、ホットモジュール2と、不純物除去部41と、第1熱交換器42と、ブロワ43と、第2熱交換器44と、凝縮部45と、水蒸気生成部46と、原燃料供給源48と、水供給部31と、加熱用流体生成部33とを備える。水供給部31および加熱用流体生成部33は、後述する燃料電池システム1の起動運転時に利用される。
ホットモジュール2は、ハウジング21と、複数の燃料電池23と、昇温部24と、ステージ27と、ステージ支持部28とを備える。ハウジング21は、例えば、略直方体状の筐体である。図1では、燃料電池システム1の一部の構成(例えば、ハウジング21)を断面にて示す(後述する図10においても同様)。ハウジング21の内面は、断熱性が比較的高い断熱材料(例えば、ロックウール)により形成される。ハウジング21としては、例えば、金属製のコンテナの内面全体を断熱材料により覆ったものが利用される。
ハウジング21の内部空間210には、複数の燃料電池23、昇温部24、ステージ27およびステージ支持部28が収容される。昇温部24は、後述する燃料電池システム1の起動運転時に利用される。図1に示す例では、ハウジング21の内部空間210には、12個の燃料電池23が収容される。複数の燃料電池23はそれぞれ、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。各燃料電池23は、例えば、図示省略の複数のセル(単電池)が上下方向に積層されたセルスタックである。燃料電池23の外形は、例えば、略直方体状である。
各燃料電池23の負極(アノード)には燃料ガスが供給され、正極(カソード)には酸化剤ガスが供給される。これにより、各燃料電池23において電気化学反応が生じ、発電が行われる。換言すれば、各燃料電池23は、燃料ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電を行う。燃料電池23における電気化学反応は発熱反応であり、発生した熱は、吸熱反応である改質が行われる後述の改質器22(図2および図3参照)の加熱等に利用される。燃料電池23による発電は、例えば600度〜1000度の高温下にて行われる。燃料ガスは、例えば水素ガスであり、酸化剤ガスは、例えば酸素である。燃料ガスは、水素ガス以外の様々なガスであってよく、酸化剤ガスも、酸素以外の様々なガスであってよい。
ハウジング21内において、燃料電池23は複数のステージ27により支持される。各ステージ27は、図1中において左右方向に延びる板状部材である。以下の説明では、図1中の左右方向を、ステージ27の長手方向とも呼ぶ。各ステージ27は、複数の燃料電池23を支持する。また、複数のステージ27は、ステージ支持部28により支持される。図1に示す例では、上下方向に互いに離間して配列される4つのステージ27が、2つのステージ支持部28により左右両側から支持される。各ステージ27は、例えば、3つの燃料電池23を支持する。ステージ27は、例えば、燃料電池23の下面に接し、燃料電池23を下側から支持する。
燃料電池システム1では、ハウジング21内に収容される複数の燃料電池23の数は、様々に変更されてよい。また、1つのステージ27により支持される複数の燃料電池23の数も、様々に変更されてよい。ステージ27の数は、燃料電池23の数等に合わせて様々に変更されてよい。例えば、ステージ27の数は1であってもよく、2以上であってもよい。
図2は、ハウジング21内の一部の燃料電池23および一部のステージ27を示す斜視図である。図2では、ステージ27の断面を示す。図3は、1つのステージ27の長手方向に垂直な断面を拡大して示す図である。図3では、ステージ27上の燃料電池23も併せて示す。後述する図4ないし図9、並びに、図11ないし図17においても同様である。複数のステージ27の構造は、例えば、互いに略同じである。図2および図3に示すように、各ステージ27の内部には、改質器22と、排ガス燃焼部47と、燃料ガス供給流路251と、負極排ガス排出流路252と、酸化剤ガス供給流路253と、正極排ガス排出流路254とが配置される。
図1に示す例では、改質器22、排ガス燃焼部47、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254のそれぞれの数は、ステージ27の数と同じである。具体的には、4つの改質器22と、4つの排ガス燃焼部47と、4つの燃料ガス供給流路251と、4つの負極排ガス排出流路252と、4つの酸化剤ガス供給流路253と、4つの正極排ガス排出流路254とが、ハウジング21内に収容される。
図3に示すように、各ステージ27の内部は、比較的薄くかつ熱伝導性が比較的高い隔壁270により、複数の分割空間271〜276に分割されている。隔壁270は、例えば、金属により形成される薄板状の部材である。分割空間271〜276はそれぞれ、ステージ27の長手方向(すなわち、図1中の左右方向)に延びる略四角柱状の空間である。以下の説明では、分割空間271〜276をそれぞれ、「第1分割空間271」、「第2分割空間272」、「第3分割空間273」、「第4分割空間274」、「第5分割空間275」、「第6分割空間276」と呼ぶ。
第1分割空間271は、ステージ27の内部において最上層(すなわち、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23に最も近い層)に配置される。第1分割空間271は、ステージ27の全幅(すなわち、図3中の左右方向であるステージ27の幅方向全体)に亘って設けられる。第1分割空間271には、改質器22が配置される。換言すれば、改質器22は、ステージ27の内部において最上層に配置される。改質器22は、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23と、ステージ27の上面(すなわち、複数の燃料電池23を支持する電池支持面)を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。
第2分割空間272は、ステージ27の内部において、第1分割空間271の下側に配置され、略水平に広がる隔壁270を挟んで第1分割空間271と上下方向に隣接する。第2分割空間272は、ステージ27の内部において、上側から2番目の層(すなわち、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23に2番目に近い層)に配置される。第2分割空間272は、ステージ27の全幅に亘って設けられる。第2分割空間272には、排ガス燃焼部47が配置される。換言すれば、排ガス燃焼部47は、ステージ27の内部において、上側から2番目の層に配置される。排ガス燃焼部47は、第1分割空間271内の改質器22と、隔壁270を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。
第3分割空間273および第4分割空間274は、ステージ27の内部において、第2分割空間272の下側に配置され、略水平に広がる隔壁270を挟んで第2分割空間272と上下方向に隣接する。第3分割空間273および第4分割空間274は、ステージ27の内部において、上側から3番目の層に配置される。第3分割空間273と第4分割空間274とは、略鉛直に広がる隔壁270を挟んで水平方向に熱交換可能に隣接する。
第3分割空間273の内部空間は、燃料ガス供給流路251として利用される。第4分割空間274の内部空間は、酸化剤ガス供給流路253として利用される。換言すれば、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253は、ステージ27の内部において、上側から3番目の層(すなわち、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23に3番目に近い層)に配置される。燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253は、第2分割空間272内の排ガス燃焼部47と、隔壁270を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。
第5分割空間275は、ステージ27の内部において、第3分割空間273の下側に配置され、略水平に広がる隔壁270を挟んで第3分割空間273と上下方向に隣接する。第6分割空間276は、ステージ27の内部において、第4分割空間274の下側に配置され、略水平に広がる隔壁270を挟んで第4分割空間274と上下方向に隣接する。第5分割空間275および第6分割空間276は、ステージ27の内部において最下層(すなわち、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23から最も遠い層)に配置される。第5分割空間275と第6分割空間276とは、略鉛直に広がる隔壁270を挟んで水平方向に熱交換可能に隣接する。
第5分割空間275の内部空間は、負極排ガス排出流路252として利用される。第6分割空間276の内部空間は、正極排ガス排出流路254として利用される。換言すれば、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254は、ステージ27の内部において、最下層に配置される。負極排ガス排出流路252は、第3分割空間273の内部空間である燃料ガス供給流路251と、隔壁270を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。正極排ガス排出流路254は、第4分割空間274の内部空間である酸化剤ガス供給流路253と、隔壁270を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。
ステージ27の内部に収容された改質器22は、当該ステージ27上の複数の燃料電池23と、排ガス燃焼部47、燃料ガス供給流路251、酸化剤ガス供給流路253、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254との間に位置する。排ガス燃焼部47は、改質器22と、燃料ガス供給流路251、酸化剤ガス供給流路253、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254との間に位置する。
図4ないし図6はそれぞれ、ステージ27の長手方向における3つの異なる位置においてステージ27を長手方向に垂直に切断した断面図である。図4に示すように、改質器22は、排ガス燃焼部47を上下方向に貫通する接続流路277aを介して、燃料ガス供給流路251に接続される。燃料ガス供給流路251は、排ガス燃焼部47および改質器22を上下方向に貫通する接続流路277bを介して、燃料電池23の負極の燃料ガス導入口に接続される。また、酸化剤ガス供給流路253は、排ガス燃焼部47および改質器22を上下方向に貫通する接続流路277cを介して、燃料電池23の正極の酸化剤ガス導入口に接続される。燃料ガス導入口および酸化剤ガス導入口は、例えば、ステージ27に接する燃料電池23の下面に設けられる。
図5に示すように、負極排ガス排出流路252は、燃料ガス供給流路251、排ガス燃焼部47および改質器22を上下方向に貫通する接続流路277dを介して、燃料電池23の負極の負極排ガス排出口に接続される。正極排ガス排出流路254は、酸化剤ガス供給流路253、排ガス燃焼部47および改質器22を上下方向に貫通する接続流路277eを介して、燃料電池23の正極の正極排ガス排出口に接続される。負極排ガス排出口および正極排ガス排出口は、例えば、ステージ27に接する燃料電池23の下面に設けられる。
図6に示すように、負極排ガス排出流路252は、燃料ガス供給流路251を上下方向に貫通する接続流路277fを介して、排ガス燃焼部47に接続される。正極排ガス排出流路254は、酸化剤ガス供給流路253を上下方向に貫通する接続流路277gを介して、排ガス燃焼部47に接続される。
各ステージ27の改質器22は、図1および図2に示すように、原燃料共通供給管261を介して、ハウジング21外に配置される原燃料供給源48に接続される。原燃料共通供給管261上には、不純物除去部41および第1熱交換器42が設けられる。不純物除去部41では、原燃料供給源48から改質器22へと供給される原燃料から不純物(例えば、硫黄系不純物や窒素系不純物)が除去される。各改質器22は、また、第1熱交換器42よりも上流において(具体的には、第1熱交換器24と不純物除去部41との間において)原燃料共通供給管261から分岐する水蒸気供給管262を介して、ハウジング21外に配置される水蒸気生成部46にも接続される。ハウジング21内においては、原燃料共通供給管261は、ステージ支持部28の内部に配置される。
改質器22は、原燃料を改質して燃料ガスを含む改質ガスを生成する。原燃料としては、例えば、LPガス、都市ガス、天然ガス、灯油、バイオガスまたはバイオエタノール等が利用される。改質器22では、例えば、水蒸気改質法、部分酸化改質法、自己熱改質法等により原燃料の改質が行われる。図1に示す例では、改質器22により、原燃料供給源48から供給された原燃料である都市ガスが、水蒸気生成部46から供給された水蒸気を利用して、水蒸気改質法により高温下にて改質され、燃料ガスである水素ガスを含む改質ガスが生成される。
各ステージ27の内部では、改質器22からの改質ガスが、図4に示す接続流路277aを介して燃料ガス供給流路251へと導かれる。改質ガスは、燃料ガス供給流路251内において、ステージ27の長手方向に沿う所定の流れ方向へと流れる。図1に示す例では、改質ガスは、図1中の左側から右側へと流れる。燃料ガス供給流路251を流れる改質ガスは、ステージ27上の3つの燃料電池23の負極へと、それぞれ接続流路277b(図4参照)を介して供給される。換言すれば、燃料ガス供給流路251は、ハウジング21内において改質器22からの燃料ガス(を含む改質ガス)を複数の燃料電池23に供給する。
各燃料電池23の負極から排出されるガスである負極排ガスはそれぞれ、図5に示す接続流路277dを介して負極排ガス排出流路252へと導かれる。換言すれば、負極排ガス排出流路252は、複数の燃料電池23から排出された負極排ガスを集める。負極排ガスには、燃料ガスである水素ガスが燃料電池23における発電に使用されることにより生成される水蒸気、および、燃料電池23における発電に利用されなかった未利用の燃料ガス等が含まれる。
負極排ガスは、負極排ガス排出流路252内において、ステージ27の長手方向に沿う上述の所定の流れ方向へと流れる。図1に示す例では、負極排ガスは、図1中の左側から右側へと流れる。すなわち、負極排ガス排出流路252における負極排ガスの流れ方向と、燃料ガス供給流路251における改質ガスの流れ方向とは同じである。図3に示す負極排ガス排出流路252を流れる高温の負極排ガスにより、負極排ガス排出流路252の上側に隔壁270を介して隣接する燃料ガス供給流路251を流れる改質ガスが加熱される。負極排ガス排出流路252を流れる負極排ガスは、図6に示す接続流路277fを介して排ガス燃焼部47へと導かれる。
各ステージ27の酸化剤ガス供給流路253は、図1および図2に示すように、酸化剤ガス共通供給管263を介して、ハウジング21外に配置されるブロワ43に接続される。ハウジング21内においては、酸化剤ガス共通供給管263は、ステージ支持部28の内部に配置される。ブロワ43により、酸化剤ガスである酸素ガスを含む空気が、酸化剤ガス共通供給管263を介して、各ステージ27の酸化剤ガス供給流路253に供給される。
酸化剤ガス供給流路253において、空気は、ステージ27の長手方向に沿う上述の所定の流れ方向へと流れる。図1に示す例では、空気は、図1中の左側から右側へと流れる。酸化剤ガス供給流路253を流れる空気は、ステージ27上の3つの燃料電池23の正極へと、それぞれ図4に示す接続流路277cを介して供給される。換言すれば、酸化剤ガス供給流路253は、ハウジング21内において酸化剤ガス(を含む空気)を複数の燃料電池23に供給する。
各燃料電池23の正極から排出されるガスである正極排ガスはそれぞれ、図5に示す接続流路277eを介して正極排ガス排出流路254へと導かれる。換言すれば、正極排ガス排出流路254は、複数の燃料電池23から排出された正極排ガスを集める。正極排ガスには、燃料電池23における発電に利用されなかった未利用の酸化剤ガス等が含まれる。
正極排ガスは、正極排ガス排出流路254内において、ステージ27の長手方向に沿う上述の所定の流れ方向へと流れる。図1に示す例では、正極排ガスは、図1中の左側から右側へと流れる。すなわち、正極排ガス排出流路254における正極排ガスの流れ方向と、酸化剤ガス供給流路253における空気の流れ方向とは同じである。図3に示す正極排ガス排出流路254を流れる高温の正極排ガスにより、正極排ガス排出流路254の上側に隔壁270を介して隣接する酸化剤ガス供給流路253を流れる空気が加熱される。正極排ガス排出流路254を流れる正極排ガスは、図6に示す接続流路277gを介して排ガス燃焼部47へと導かれる。
燃料電池システム1では、正極排ガス排出流路254における正極排ガスの流れ方向と、燃料ガス供給流路251における改質ガスの流れ方向とも同じである。また、酸化剤ガス供給流路253における空気の流れ方向と、負極排ガス排出流路252における負極排ガスの流れ方向とも同じである。
排ガス燃焼部47では、負極排ガス排出流路252からの負極排ガスと、正極排ガス排出流路254からの正極排ガスとが合流する。排ガス燃焼部47では、合流後の負極排ガスおよび正極排ガスが燃焼される。これにより、複数の燃料電池23からの負極排ガスに含まれる未利用の燃料ガス等が燃焼される。排ガス燃焼部47としては、例えば、触媒燃焼器が利用される。排ガス燃焼部47における燃焼により生じた熱(すなわち、燃焼熱)は、排ガス燃焼部47の上側に隔壁270を介して隣接する改質器22に伝達される。また、排ガス燃焼部47における燃焼熱は、排ガス燃焼部47の下側に隔壁270を介して隣接する燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253内の改質ガスおよび空気にも伝達される。
図1および図2に示すように、各ステージ27の排ガス燃焼部47を通過した排ガスは、排ガス共通排出管264を介して、ハウジング21の外部へと導かれる。ハウジング21の内部においては、排ガス共通排出管264は、ステージ支持部28の内部に配置される。ハウジング21外へと排出された排ガスは、排ガス共通排出管264により第2熱交換器44へと導かれる。第2熱交換器44では、排ガス共通排出管264を流れる高温の排ガスを利用して、ブロワ43から各ステージ27の酸化剤ガス供給流路253へと供給される空気が予備加熱される。
第2熱交換器44を通過した排ガスは、排ガス共通排出管264により第1熱交換器42へと導かれる。第1熱交換器42では、排ガス共通排出管264を流れる高温の排ガスを利用して、原燃料供給源48および水蒸気生成部46から各ステージ27の改質器22に供給される原燃料および水蒸気が予備加熱される。
第1熱交換器42を通過した排ガスは、排ガス共通排出管264により凝縮部45へと導かれる。凝縮部45では、排ガス中の水蒸気が凝縮されて水が生成される。凝縮部45により生成された水は、水供給管451を介して水蒸気生成部46へと供給される。水蒸気生成部46では、水が加熱されて水蒸気が生成される。水蒸気生成部46により生成された水蒸気は、上述のように、水蒸気供給管262を介して原燃料共通供給管261へと導かれ、不純物除去部41を通過した原燃料と共に、各ステージ27の改質器22へと供給されて上述の水蒸気改質に利用される。一方、凝縮部45を通過した排ガスは、燃料電池システム1の外部へと排出される。
燃料電池システム1の定常運転では、上述のように、ステージ27に支持される複数の燃料電池23のそれぞれにおいて、燃料ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電が行われる。複数の燃料電池23における発電の際に発生した熱は、図3に示すステージ27内の最上層にて複数の燃料電池23と隣接する改質器22に伝達される。複数の燃料電池23から改質器22に付与された熱は、改質器22における原燃料の水蒸気改質等に利用される。
燃料電池システム1の定常運転では、複数の燃料電池23から負極排ガス排出流路252へと排出された負極排ガスの熱が、燃料ガス供給流路251を流れる改質ガスに伝達される。これにより、各燃料電池23に供給される改質ガスの加熱が行われる。また、複数の燃料電池23から正極排ガス排出流路254へと排出された正極排ガスの熱が、酸化剤ガス供給流路253を流れる空気に伝達される。これにより、各燃料電池23に供給される空気の加熱が行われる。さらに、排ガス燃焼部47から排出された排ガスを利用して、第1熱交換器42において、改質器22に供給される原燃料および水蒸気の予備加熱が行われ、第2熱交換器44において、酸化剤ガス供給流路253に供給される空気の予備加熱が行われる。
このように、燃料電池システム1では、定常運転時に発生する熱を利用して、定常運転時にシステム内にて必要とされる熱をシステム外から付与することなく定常運転を行うことができる。さらに、燃料電池システム1では、排ガスに含まれる水蒸気を改質器22において行われる水蒸気改質に利用することにより、定常運転時にシステム内にて必要とされる水を、システム外から付与することなく定常運転を行うことができる。換言すれば、定常運転時の燃料電池システム1では、熱自立運転および水自立運転が可能である。
次に、燃料電池システム1の起動運転(いわゆる、コールドスタート)について説明する。燃料電池システム1の起動運転とは、燃料電池システム1の状態を停止状態から、定常的に発電を行う定常運転状態へと変更することである。
燃料電池システム1の起動運転では、水供給部31、加熱用流体生成部33および昇温部24が利用される。水供給部31は、水を貯溜するとともに、燃料電池システム1の起動運転の際に、当該水を燃料電池システム1の改質器22に供給する。水供給部31は、例えば、水貯溜部311と、ポンプ312と、起動用水供給管313とを備える。水貯溜部311は、水(例えば、純水)を貯溜するタンクである。水貯溜部311は、起動用水供給管313を介して、燃料電池システム1の水蒸気生成部46に接続される。ポンプ312は、起動用水供給管313上に設けられ、水貯溜部311に貯溜されている水を水蒸気生成部46へと供給する。
加熱用流体生成部33は、起動用原燃料供給管255により、不純物除去部41を介して原燃料供給源48に接続される。加熱用流体生成部33は、また、起動用ガス供給管256を介してブロワ43に接続される。加熱用流体生成部33では、原燃料供給源48から供給される原燃料(例えば、LPガス、都市ガス、天然ガス、灯油、バイオガスまたはバイオエタノール)が、ブロワ43から供給されるガス(例えば、空気)を利用して燃焼され、比較的高温のガス(以下、「加熱用ガス」という。)が生成される。図1に示す例では、加熱用流体生成部33として触媒燃焼器が利用される。そして、加熱用流体生成部33において、原燃料である都市ガスが酸化されて加熱用ガスが生成される。
加熱用流体生成部33により生成された加熱用ガスは、加熱用流体供給管257を介して、ハウジング21内の昇温部24へと供給され、昇温部24からハウジング21の内部空間210へと供給される。燃料電池システム1では、昇温部24から内部空間210へと加熱用ガスが継続的に供給されることにより、各ステージ27内の改質器22、および、各ステージ27に支持される複数の燃料電池23が昇温される。
続いて、原燃料供給源48からの原燃料が、不純物除去部41を通過してハウジング21内へと導かれる。また、水供給部31からの水が水蒸気生成部46に供給され、水蒸気生成部46にて水蒸気とされた後、ハウジング21内へと導かれる。ハウジング21内では、原燃料および水蒸気が、原燃料共通供給管261を介して各ステージ27内の改質器22に供給される。そして、改質器22により原燃料が水蒸気改質されることにより燃料ガスを含む改質ガスが生成され、各ステージ27の燃料ガス供給流路251を介して複数の燃料電池23の負極に供給される。一方、各ステージ27内の酸化剤ガス供給流路253には、ブロワ43から酸化剤ガス共通供給管263を介して酸化剤ガスを含む空気が供給される。当該空気は、酸化剤ガス供給流路253から複数の燃料電池23の正極に供給される。
これにより、複数の燃料電池23による発電が行われ、発電時に発生する熱により改質器22がさらに加熱される。また、複数の燃料電池23からの排ガスから凝縮部45にて生成された水は、水蒸気生成部46へと供給される。
燃料電池システム1では、改質器22および複数の燃料電池23が所定の温度に達し、複数の燃料電池23からの出力が所定の発電量に達して安定するまで、すなわち、燃料電池システム1が定常運転状態となるまで、上述の起動運転が継続される。燃料電池システム1の定常運転が開始され、上述の水自立および熱自立が成立すると、水供給部31から水蒸気生成部46への水の供給が停止され、昇温部24から内部空間210への加熱用ガスの供給が停止される。
以上に説明したように、燃料電池システム1は、ハウジング21と、複数の燃料電池23と、ステージ27と、改質器22と、燃料ガス供給流路251と、負極排ガス排出流路252と、酸化剤ガス供給流路253と、正極排ガス排出流路254とを備える。複数の燃料電池23は、ステージ27により支持される。ステージ27の内部には、改質器22、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254が配置される。
これにより、ステージ27内の各構成がステージ27の外部に配置される場合に比べ、ハウジング21を小型化することができる。その結果、燃料電池システム1を小型化することができる。また、上記各構成を支持する架台等をハウジング21内に設ける必要がなく、ハウジング21の外部で各ステージ27に複数の燃料電池23等を据え付けた後に複数のステージ27等を組み立てることにより、燃料電池システム1の製造やメンテナンスを簡素化することができる。
上述のように、ステージ27の内部に、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254が配置されることにより、複数の燃料電池23への給排気構造を簡素化することができる。また、負極排ガス排出流路252は、燃料ガス供給流路251と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、負極排ガスを利用して、燃料電池23に供給される燃料ガス(を含む改質ガス)を効率良く加熱することができる。正極排ガス排出流路254は、酸化剤ガス供給流路253と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、正極排ガスを利用して、燃料電池23に供給される酸化剤ガス(を含む空気)を効率良く加熱することができる。さらに、ステージ27の内部に改質器22が配置されることにより、複数の燃料電池23から放出される熱により、改質器22を効率良く加熱することができる。
このように、燃料電池システム1では、燃料電池システム1の構造を簡素化しつつ、複数の燃料電池23に係る排熱(すなわち、負極排ガスおよび正極排ガスの有する熱、および、複数の燃料電池23から放出される熱)を有効利用することができる。また、燃料電池システム1を小型化することができる。
上述のように、燃料ガス供給流路251における改質ガスの流れ方向と、負極排ガス排出流路252における負極排ガスの流れ方向とは同じである。これにより、燃料ガス供給流路251、燃料電池23および負極排ガス排出流路252を通過するガスの圧損を低減することができる。また、酸化剤ガス供給流路253における空気の流れ方向と、正極排ガス排出流路254における正極排ガスの流れ方向とは同じである。これにより、酸化剤ガス供給流路253、燃料電池23および正極排ガス排出流路254を通過するガスの圧損を低減することができる。その結果、燃料電池システム1の駆動に必要なエネルギーを低減することができ、燃料電池システム1のランニングコストを低減することができる。
上述のように、改質器22は、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254と、複数の燃料電池23との間に位置する。これにより、複数の燃料電池23から放出される熱、並びに、負極排ガスおよび正極排ガスの有する熱を利用して、改質器22を効率良く加熱することができる。また、改質器22は、ステージ27に支持された複数の燃料電池23と、ステージ27の電池支持面を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、複数の燃料電池23から放出される熱を利用して、改質器22をさらに効率良く加熱することができる。
燃料電池システム1は、排ガス燃焼部47をさらに備える。排ガス燃焼部47は、複数の燃料電池23からの負極排ガスに含まれる未利用の燃料ガスを燃焼させる。排ガス燃焼部47は、負極排ガス排出流路252と共にステージ27の内部に配置される。排ガス燃焼部47は、ステージ27の内部にて改質器22と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。改質器22は、複数の燃料電池23と排ガス燃焼部47との間に位置する。これにより、複数の燃料電池23から放出される熱、並びに、排ガス燃焼部47における燃焼熱を利用して、改質器22をより一層効率良く加熱することができる。
また、排ガス燃焼部47は、燃料ガス供給流路251と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、排ガス燃焼部47における燃焼熱を利用して、燃料電池23に供給される燃料ガス(を含む改質ガス)の加熱を効率良く行うことができる。さらに、排ガス燃焼部47は、酸化剤ガス供給流路253と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、排ガス燃焼部47における燃焼熱を利用して、燃料電池23に供給される酸化剤ガス(を含む空気)の加熱を効率良く行うことができる。
図7は、ステージ27の他の好ましい例を示す断面図である。図7に示す例では、燃料ガス供給流路251と負極排ガス排出流路252との間の隔壁270が、凹凸部278を備える。凹凸部278は、例えば、薄板状の隔壁材料の一部を燃料ガス供給流路251に向けて突出させ、当該隔壁材料の他の一部を負極排ガス排出流路252に向けて突出させることにより形成される。凹凸部278の形状は様々に変更されてよく、例えば、隔壁270は、上下方向に波打つ波板状とされてもよい。
燃料ガス供給流路251と負極排ガス排出流路252との間の隔壁270に凹凸部278が設けられることにより、当該隔壁270の表面積が増大する。これにより、負極排ガス排出流路252と燃料ガス供給流路251との間に熱交換効率が向上する。その結果、負極排ガス排出流路252内の負極排ガスにより、燃料ガス供給流路251内の燃料ガス(を含む改質ガス)を、より一層効率良く加熱することができる。
図7に示す例では、酸化剤ガス供給流路253と正極排ガス排出流路254との間の隔壁270も、凹凸部278を備える。これにより、当該隔壁270の表面積が増大し、正極排ガス排出流路254と酸化剤ガス供給流路253との間に熱交換効率が向上する。その結果、正極排ガス排出流路254内の正極排ガスにより、酸化剤ガス供給流路253内の酸化剤ガス(を含む空気)を、より一層効率良く加熱することができる。
燃料電池システム1では、各ステージ27の内部における改質器22、排ガス燃焼部47、燃料ガス供給流路251、酸化剤ガス供給流路253、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254の配置は、様々に変更されてよい。
例えば、図3に示す燃料ガス供給流路251の下側に正極排ガス排出流路254が配置され、酸化剤ガス供給流路253の下側に負極排ガス排出流路252が配置されてもよい。この場合、燃料ガス供給流路251内の改質ガスは、燃料ガス供給流路251と隔壁270を挟んで熱交換可能に上下方向に隣接する正極排ガス排出流路254内の正極排ガスにより加熱される。また、酸化剤ガス供給流路253内の空気は、酸化剤ガス供給流路253と隔壁270を挟んで熱交換可能に上下方向に隣接する負極排ガス排出流路252内の負極排ガスにより加熱される。燃料ガスおよび酸化剤ガスの加熱の効率化という観点からは、これらの隔壁270にも、凹凸部278が設けられることが好ましい。
負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254は、必ずしも、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253の下側に配置される必要はない。例えば、排ガス燃焼部47の下側に燃料ガス供給流路251および負極排ガス排出流路252が配置され、燃料ガス供給流路251の下側に正極排ガス排出流路254が配置され、負極排ガス排出流路252の下側に酸化剤ガス供給流路253が配置されてもよい。この場合、燃料ガス供給流路251内の改質ガスは、燃料ガス供給流路251と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254内の負極排ガスおよび正極排ガスにより加熱される。また、酸化剤ガス供給流路253内の空気は、酸化剤ガス供給流路253と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254内の負極排ガスおよび正極排ガスにより加熱される。燃料ガスおよび酸化剤ガスの加熱の効率化という観点からは、これらの隔壁270にも、凹凸部278が設けられることが好ましい。
あるいは、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254が、排ガス燃焼部47の下側に隣接して配置され、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254の下側に、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253が隣接して配置されてもよい。
また、図8に示すように、排ガス燃焼部47の下側において、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254が、上下方向の略同じ位置に水平方向に隣接して配置されてもよい。燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254の水平方向における配置順序は特に限定されるものではない。ただし、負極排ガスまたは正極排ガスによる燃料ガスの加熱の効率化という観点からは、燃料ガス供給流路251は、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254の少なくとも一方と隣接することが好ましい。また、負極排ガスまたは正極排ガスによる酸化剤ガスの加熱の効率化という観点からは、酸化剤ガス供給流路253は、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254の少なくとも一方と隣接することが好ましい。
図9に示すように、ステージ27の最上層に改質器22が配置され、上側から2番目の層に負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254が配置され、上側から3番目の層に燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253が配置され、最下層に排ガス燃焼部47が配置されてもよい。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システム1aを示す図である。燃料電池システム1aでは、図1に示す燃料電池システム1から第1熱交換器42、第2熱交換器44、加熱用流体生成部33および昇温部24が省略される。燃料電池システム1aのその他の構成は、図1に示す燃料電池システム1と略同様であり、以下の説明では、燃料電池システム1aの対応する構成に同符号を付す。
燃料電池システム1aの定常運転の際には、各燃料電池23に供給される改質ガスおよび空気は、上記と同様に、各ステージ27の内部において加熱される。具体的には、図3に示す燃料ガス供給流路251内の改質ガスが、負極排ガス排出流路252内の高温の負極排ガス、および、排ガス燃焼部47における燃焼熱により加熱される。また、酸化剤ガス供給流路253内の空気が、正極排ガス排出流路254内の高温の正極排ガス、および、排ガス燃焼部47における燃焼熱により加熱される。これにより、第1熱交換器42および第2熱交換器44(図1参照)における予備加熱を行うことなく、燃料電池23に供給される改質ガスおよび空気を、所望の温度まで加熱することができる。改質ガスおよび空気の加熱の効率化という観点からは、燃料ガス供給流路251と負極排ガス排出流路252との間の隔壁270、および、酸化剤ガス供給流路253と正極排ガス排出流路254との間の隔壁270に、上述の凹凸部278が設けられることが好ましい。また、排ガス燃焼部47と燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253との間の隔壁270にも、凹凸部278が設けられてもよい。
燃料電池システム1aの起動運転の際には、各ステージ27の内部に配置される排ガス燃焼部47が、各ステージ27内の改質器22、および、各ステージ27に支持される複数の燃料電池23を昇温する起動昇温部の役割を果たす。燃料電池システム1aの起動運転時には、原燃料供給源48から起動用原燃料供給管255により導かれた原燃料と、ブロワ43から起動用ガス供給管256により導かれた空気とが合流し、合流後の流体(以下、「昇温用流体」という。)が、昇温用流体供給管258によりハウジング21の内部空間210へと導かれる。昇温用流体は、ハウジング21内に導かれる前に、ヒータや他の加熱手段により加熱されてもよい。
昇温用流体供給管258は、ハウジング21の内部において、ステージ支持部28の内部に配置され、各ステージ27内の排ガス燃焼部47に接続される。昇温用流体は、昇温用流体供給管258により、各ステージ27の排ガス燃焼部47(図3参照)へと供給される。各ステージ27では、排ガス燃焼部47により昇温用流体(すなわち、原燃料と空気との混合流体)が燃焼され、燃焼熱により、各ステージ27内の改質器22(図3参照)および各ステージ27上の複数の燃料電池23の昇温が行われる。
燃料電池システム1aでは、排ガス燃焼部47が、起動運転時における改質器22および燃料電池23の昇温、および、定常運転時における未利用の燃料ガス等の燃焼に利用される。これにより、ハウジング21内に設けられる構成を減少させることができ、ハウジング21を小型化することができる。その結果、燃料電池システム1aを小型化することができる。また、第1熱交換器42および第2熱交換器44が省略されることにより、燃料電池システム1aの構造を簡素化することができる。
燃料電池システム1aの起動運転の際には、原燃料共通供給管261、改質器22および燃料電池23等を経由した原燃料、並びに、酸化剤ガス共通供給管263および燃料電池23等を経由した空気が、排ガス燃焼部47に供給されてもよい。この場合、排ガス燃焼部47において原燃料および空気が合流して昇温用流体となる。
燃料電池システム1,1aでは、各ステージ27の内部に配置される構成は、様々に変更されてよい。例えば、図11に示すように、ステージ27の内部に排ガス燃焼部47は設けられず、改質器22、燃料ガス供給流路251、酸化剤ガス供給流路253、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254が、ステージ27の内部に設けられてもよい。この場合、排ガス燃焼部47は、例えば、ハウジング21の内部または外部に設けられる。図11に示す例では、ステージ27内の最上層に配置された改質器22の下側に、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254が隣接して配置される。換言すれば、改質器22は、複数の燃料電池23と、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254との間に位置する。燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253は、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254の下側に隣接して配置される。
図11に示す例では、負極排ガス排出流路252を流れる高温の負極排ガス、および、正極排ガス排出流路254を流れる高温の正極排ガスにより、燃料ガス供給流路251内の改質ガス、および、酸化剤ガス供給流路253内の空気を効率良く加熱することができる。また、負極排ガス排出流路252内の高温の負極排ガス、正極排ガス排出流路254内の高温の正極排ガス、および、ステージ27に支持される複数の燃料電池23から放出される熱により、改質器22を効率良く加熱することができる。
図12に示す例では、ステージ27の内部に改質器22および排ガス燃焼部47は設けられず、燃料ガス供給流路251、酸化剤ガス供給流路253、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254が、ステージ27の内部に設けられる。換言すれば、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253のうち一方の供給流路および他方の供給流路と、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254のうち一方の排出流路および他方の排出流路とが、ステージ27の内部に配置される。この場合、改質器22は、例えばハウジング21の内部に配置され、排ガス燃焼部47は、例えばハウジング21の内部または外部に設けられる。
図12に示す例では、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253が、ステージ27内の最上層に配置される。燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253は、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23と、ステージ27の電池支持面を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。また、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254は、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253の下側に隣接して配置される。そして、負極排ガス排出流路252を流れる高温の負極排ガス、正極排ガス排出流路254を流れる高温の正極排ガス、および、ステージ27に支持される複数の燃料電池23から放出される熱により、燃料ガス供給流路251内の改質ガス、および、酸化剤ガス供給流路253内の空気を効率良く加熱することができる。
ステージ27の内部には、必ずしも、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254の全てが設けられる必要はない。例えば、図13に示す例では、燃料ガス供給流路251がステージ27内の最上層に配置され、負極排ガス排出流路252が燃料ガス供給流路251の下側に隣接して配置される。燃料ガス供給流路251は、ステージ27上に配置された複数の燃料電池23と、ステージ27の電池支持面を挟んで上下方向に熱交換可能に隣接する。これにより、燃料ガス供給流路251内の改質ガスを、負極排ガス排出流路252を流れる高温の負極排ガス、および、ステージ27に支持される複数の燃料電池23から放出される熱により効率良く加熱することができる。燃料ガス供給流路251および負極排ガス排出流路252に代えて、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254が、ステージ27の内部に配置されてもよい。
このように、燃料電池システム1,1aでは、燃料ガス供給流路251および酸化剤ガス供給流路253のうち一方の供給流路と、負極排ガス排出流路252および正極排ガス排出流路254のうち一方の排出流路とが、ステージ27の内部に配置されてもよい。これにより、上記と同様に、ハウジング21を小型化することができ、その結果、燃料電池システム1,1aを小型化することができる。また、燃料電池システム1,1aの製造やメンテナンスを簡素化することができる。さらに、複数の燃料電池23への給排気構造を簡素化することもできる。当該一方の排出流路は、上記一方の供給流路と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する。これにより、一方の排出流路を流れる高温のガス(すなわち、負極排ガスまたは正極排ガス)を利用して、一方の供給流路を流れるガス(すなわち、改質ガスまたは空気)を効率良く加熱することができる。換言すれば、燃料電池システム1,1aの構造を簡素化しつつ、複数の燃料電池23に係る排熱を有効利用することができる。
上述のように、ステージ27内に一方の供給流路と一方の排出流路とが配置される場合、一方の供給流路におけるガスの流れ方向と、一方の排出流路におけるガスの流れ方向とは、同じであることが好ましい。これにより、上記と同様に、一方の供給流路、燃料電池23および一方の排出流路におけるガスの圧損を低減することができる。その結果、燃料電池システム1,1aの駆動に必要なエネルギーを低減することができ、燃料電池システム1,1aのランニングコストを低減することができる。後述する図14ないし図16における例においても同様である。
一方の供給流路におけるガスの流れ方向と、一方の排出流路におけるガスの流れ方向とが同じである場合、当該一方の排出流路は、必ずしも当該一方の供給流路と隔壁270を挟んで熱交換可能に隣接する必要はない。例えば、図14に示すように、ステージ27の内部に、燃料ガス供給流路251と負極排ガス排出流路252とが、上下方向の略同じ位置にて水平方向に離間して配置されてもよい。また、酸化剤ガス供給流路253と正極排ガス排出流路254とも、上下方向の略同じ位置にて水平方向に離間して配置されてもよい。図14に示す例では、3つの板状部材279a〜279cを上下方向に積層することによりステージ27が形成される。板状部材279aと板状部材279bとの間の2つの間隙が、燃料ガス供給流路251および負極排ガス排出流路252である。また、板状部材279bと板状部材279cとの間の2つの間隙が、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254である。
図15に示す例では、ステージ27の内部に、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252および改質器22が配置される。改質器22は、ステージ27内の最上層に配置され、負極排ガス排出流路252は改質器22の下側に隣接して配置され、燃料ガス供給流路251は負極排ガス排出流路252の下側に隣接して配置される。換言すれば、ステージ27の内部に、一方の供給流路、一方の排出流路および改質器22が配置され、改質器22が、複数の燃料電池23と当該一方の排出流路との間に位置する。これにより、複数の燃料電池23から放出される熱、および、一方の排出流路を流れる高温のガスを利用して、改質器22を効率良く加熱することができる。
図16に示す例では、ステージ27の内部に、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、改質器22および排ガス燃焼部47が配置される。改質器22は、ステージ27内の最上層に配置され、排ガス燃焼部47は改質器22の下側に隣接して配置される。燃料ガス供給流路251は排ガス燃焼部47の下側に隣接して配置され、負極排ガス排出流路252は燃料ガス供給流路251の下側に隣接して配置される。
換言すれば、ステージ27の内部に、一方の供給流路、一方の排出流路、改質器22および排ガス燃焼部47が配置され、改質器22が、複数の燃料電池23と排ガス燃焼部47との間に位置する。一方の排出流路は負極排ガス排出流路252である。負極排ガス排出流路252を通過した負極排ガスが、排ガス燃焼部47へと導かれ、負極排ガス中の未利用の燃料ガスが燃焼されることにより、改質器22を効率良く加熱することができる。なお、図16に示す例から改質器22が省略され、ステージ27の内部に排ガス燃焼部47と、燃料ガス供給流路251と、負極排ガス排出流路252とが配置されてもよい。
図17に示す例では、ステージ27の内部に、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254は設けられず、改質器22と、排ガス燃焼部47とが配置される。改質器22は、ステージ27内の最上層に配置され、排ガス燃焼部47は改質器22の下側に隣接して配置される。これにより、複数の燃料電池23から放出される熱、および、排ガス燃焼部47における燃焼熱を利用して、改質器22を効率良く加熱することができる。なお、図17に示す例から排ガス燃焼部47が省略され、ステージ27の内部に改質器22のみが配置されてもよい。この場合、複数の燃料電池23から放出される熱を利用して、改質器22を効率良く加熱することができる。図14ないし図17に示す例においても、燃料電池システム1,1aの構造を簡素化しつつ、複数の燃料電池23に係る排熱を有効利用することができる。
上記燃料電池システム1,1aは、様々な変更が可能である。
燃料電池システム1,1aでは、複数のステージ27が上下方向に配列される場合、一のステージ27の上面上に支持される複数の燃料電池23に対し、例えば、当該一のステージ27の上側に位置する他のステージ27から燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給され、当該複数の燃料電池23から当該他のステージ27へと負極排ガスおよび正極排ガスが排出されてもよい。
燃料電池システム1,1aでは、複数の燃料電池23は、必ずしも各ステージ27の上面上に支持される必要はない。例えば、ステージ27は、複数の燃料電池23の側方に設けられ、各燃料電池23の側面に接して各燃料電池23を側方から支持してもよい。この場合、ステージ27の側面が電池支持面になる。また、燃料電池23の燃料ガス導入口、酸化剤ガス導入口、負極排ガス排出口および正極排ガス排出口は、例えば、燃料電池23の側面に設けられる。ステージ27は、複数の燃料電池23の上側に設けられ、各燃料電池23の上面に接して各燃料電池23を上側から支持してもよい。この場合、ステージ27の下面が電池支持面になる。また、燃料電池23の燃料ガス導入口、酸化剤ガス導入口、負極排ガス排出口および正極排ガス排出口は、例えば、燃料電池23の上面に設けられる。このように、ステージ27が複数の燃料電池23の側方または上方に配置される場合、複数の燃料電池23を下方から支持する架台が、ステージ27とは別に設けられてもよい。
図3に示すステージ27内では、燃料ガス供給流路251、負極排ガス排出流路252、酸化剤ガス供給流路253および正極排ガス排出流路254のそれぞれにおけるガスの流れ方向は、異なっていてもよい。
燃料電池システム1,1aの起動運転時には、改質器22に原燃料とは異なる起動用材料が供給されてもよい。起動用材料としては、例えば、窒素、水素、LPガス、都市ガスまたはバイオエタノール等が使用される。
燃料電池システム1,1aでは、排ガス燃焼部47からの排ガスに含まれる水蒸気を、凝縮部45にて水として取り出した上で水蒸気生成部46に供給しているが、水蒸気を含む当該排ガスの一部が、ガス状のまま改質器22へと供給されてもよい。この場合であっても、定常運転時の水自立運転の実現が可能である。
図1に示す燃料電池システム1の起動運転では、改質器22および燃料電池23の加熱は、必ずしも昇温部24からの加熱用ガスにより行われる必要はなく、他の様々な構成により、改質器22および燃料電池23が加熱されてもよい。例えば、ハウジング21内に設けられた電気ヒータにより、改質器22および燃料電池23が加熱されてもよい。
燃料電池システム1では、定常運転の際に、必ずしも熱自立運転が行われる必要はなく、昇温部24からハウジング21の内部空間210に加熱用ガスが継続的に供給されてもよい。また、燃料電池システム1,1aでは、定常運転の際に、必ずしも水自立運転は行われる必要はなく、水供給部31から水蒸気生成部46に水が継続的に供給されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。