図1は、本発明の一の実施の形態に係る燃料電池システム1の構成を示す図である。燃料電池システム1は、燃料電池を用いて発電を行う発電システムである。燃料電池システム1は、ホットモジュール2と、不純物除去部41と、第1熱交換器42と、ブロワ43と、第2熱交換器44と、凝縮部45と、水蒸気生成部46と、排ガス燃焼部47と、原燃料供給源48と、水供給部31と、昇温装置33とを備える。
ホットモジュール2は、ハウジング21と、改質器22と、複数の燃料電池23と、昇温部24とを備える。ハウジング21は、例えば、略直方体状の筐体である。図1では、燃料電池システム1の一部の構成(例えば、ハウジング21)を断面にて示す。ハウジング21の内面は、断熱性が比較的高い断熱材料(例えば、ロックウール)により形成される。ハウジング21としては、例えば、金属製のコンテナの内面全体を断熱材料により覆ったものが利用される。
ハウジング21の内部空間210には、改質器22、複数の燃料電池23および昇温部24が収容される。昇温部24は、後述する燃料電池システム1の起動運転時に利用される。図1に示す例では、ハウジング21の内部空間210には、12個の燃料電池23が収容される。複数の燃料電池23はそれぞれ、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。各燃料電池23は、例えば、図示省略の複数のセル(単電池)が上下方向に積層されたセルスタックである。燃料電池23の外形は、例えば、略直方体状である。ハウジング21内に収容される複数の燃料電池23の数は、様々に変更されてよい。また、ハウジング21内に収容される燃料電池23は、1つであってもよい。
各燃料電池23の負極(アノード)には燃料ガスが供給され、正極(カソード)には酸化剤ガスが供給される。これにより、各燃料電池23において電気化学反応が生じ、発電が行われる。換言すれば、各燃料電池23は、燃料ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電を行う。燃料電池23における電気化学反応は発熱反応であり、発生した熱は、吸熱反応である改質が行われる改質器22の加熱等に利用される。燃料電池23による発電は、例えば600℃〜1000℃の高温下にて行われる。燃料ガスは、例えば水素ガスである。酸化剤ガスは、例えば酸素である。燃料ガスは、水素ガス以外の様々なガスであってよく、酸化剤ガスも、酸素以外の様々なガスであってよい。
各燃料電池23の負極は、ハウジング21内にて分岐する燃料ガス供給管251を介して改質器22に接続される。改質器22は、原燃料供給管261を介して、ハウジング21外に配置される原燃料供給源48に接続される。原燃料供給管261上には、不純物除去部41および第1熱交換器42が設けられる。不純物除去部41では、原燃料供給源48から改質器22へと供給される原燃料から不純物(例えば、硫黄系不純物や窒素系不純物)が除去される。改質器22は、また、原燃料供給管261から分岐する水蒸気供給管262を介して、ハウジング21外に配置される水蒸気生成部46にも接続される。
改質器22は、原燃料を改質して燃料ガスを含む改質ガスを生成する。原燃料は、例えば、炭化水素系燃料である。原燃料は、炭化水素系燃料以外の様々な燃料であってもよい。原燃料としては、例えば、LPガス、都市ガス、天然ガス、灯油、バイオガスまたはバイオエタノール等が利用される。改質器22では、例えば、水蒸気改質法、部分酸化改質法または自己熱改質法、あるいは、これらの改質法の組み合わせ等により原燃料の改質が行われる。図1に示す例では、改質器22により、原燃料供給源48から供給された原燃料である都市ガスが、水蒸気生成部46から供給された水蒸気を利用して、水蒸気改質法により高温下にて改質され、燃料ガスである水素ガスを含む改質ガスが生成される。改質器22からの改質ガスは、燃料ガス供給管251を介して複数の燃料電池23のそれぞれの負極へと供給される。
複数の燃料電池23のそれぞれの負極から排出されるガスである負極排ガスは、負極排ガス排出管252により集められ、負極排ガス排出管252を介してハウジング21外に排出される。負極排ガスには、燃料ガスである水素ガスが燃料電池23における発電に使用されることにより生成される水蒸気、および、燃料電池23における発電に利用されなかった未利用の燃料ガス等が含まれる。
複数の燃料電池23からの負極排ガスは、ハウジング21外において負極排ガス排出管252により第1熱交換器42へと導かれる。第1熱交換器42では、負極排ガス排出管252を流れる高温の負極排ガスを利用して、原燃料供給源48および水蒸気生成部46から改質器22に供給される原燃料および水蒸気が予備加熱される。
第1熱交換器42を通過した負極排ガスは、負極排ガス排出管252により凝縮部45へと導かれる。凝縮部45では、負極排ガス中の水蒸気が凝縮されて水が生成される。凝縮部45により生成された水は、水供給管451を介して水蒸気生成部46へと供給される。水蒸気生成部46では、水が加熱されて水蒸気が生成される。水蒸気生成部46により生成された水蒸気は、水蒸気供給管262を介して原燃料供給管261へと導かれる。水蒸気供給管262は、第1熱交換器42よりも上流において(具体的には、第1熱交換器24と不純物除去部41との間において)原燃料供給管261に接続される。水蒸気生成部46からの水蒸気は、不純物除去部41を通過した原燃料と共に第1熱交換器42を通過し、改質器22へと供給されて上述の水蒸気改質に利用される。一方、凝縮部45を通過した負極排ガスは、排ガス燃焼部47へと導かれる。
各燃料電池23の正極は、ハウジング21内にて分岐する酸化剤ガス供給管253を介して、ハウジング21外に配置されるブロワ43に接続される。ブロワ43により、酸化剤ガスである酸素ガスを含む空気が、酸化剤ガス供給管253を介して複数の燃料電池23のそれぞれの正極に供給される。
複数の燃料電池23のそれぞれの正極から排出されるガスである正極排ガスは、正極排ガス排出管254により集められ、正極排ガス排出管254を介してハウジング21外へと排出される。複数の燃料電池23からの正極排ガスは、ハウジング21外において正極排ガス排出管254により第2熱交換器44へと導かれる。第2熱交換器44では、正極排ガス排出管254を流れる高温の正極排ガスを利用して、各燃料電池23に供給される空気が予備加熱される。
第2熱交換器44を通過した正極排ガス排出管254は、排ガス燃焼部47よりも手前(すなわち、上流側)の合流点471において、ハウジング21外にて負極排ガス排出管252に合流する。合流点471では、第1熱交換器42および凝縮部45を通過した負極排ガスと、第2熱交換器44を通過した正極排ガスとが合流する。排ガス燃焼部47では、合流後の負極排ガスおよび正極排ガスが燃焼される。これにより、負極排ガスに含まれる未利用の燃料ガス等が燃焼される。排ガス燃焼部47にて発生する燃焼熱は、例えば、水蒸気生成部46における水の加熱や、タービンを利用した発電に利用されてもよい。また、排ガス燃焼部47がハウジング21内に設けられ、排ガス燃焼部47の燃焼熱が改質器22の加熱等に利用されてもよい。排ガス燃焼部47としては、例えば、触媒燃焼器が利用される。
燃料電池システム1の定常運転では、上述のように、複数の燃料電池23のそれぞれにおいて、燃料ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電が行われる。複数の燃料電池23における発電の際に発生した熱は、改質器22に付与される。複数の燃料電池23から改質器22に付与された熱は、改質器22における原燃料の水蒸気改質等に利用される。
また、燃料電池システム1の定常運転では、上述のように、複数の燃料電池23から排出された負極排ガスを利用して、第1熱交換器42において、改質器22に供給される原燃料および水蒸気の予備加熱が行われ、複数の燃料電池23から排出された正極排ガスを利用して、第2熱交換器44において、各燃料電池23に供給される空気の予備加熱が行われる。これにより、燃料電池システム1では、定常運転時にシステム内にて必要とされる熱を、システム外から付与することなく定常運転を行うことができる。さらに、燃料電池システム1では、負極排ガスに含まれる水蒸気を改質器22において行われる水蒸気改質に利用することにより、定常運転時にシステム内にて必要とされる水を、システム外から付与することなく定常運転を行うことができる。換言すれば、定常運転時の燃料電池システム1では、熱自立運転および水自立運転が可能である。
次に、燃料電池システム1の起動運転(いわゆる、コールドスタート)について説明する。燃料電池システム1の起動運転とは、燃料電池システム1の状態を停止状態から、定常的に発電を行う定常運転状態へと変更することである。
燃料電池システム1の起動運転では、水供給部31、昇温装置33および昇温部24が利用される。水供給部31は、水を貯溜するとともに、燃料電池システム1の起動運転の際に、当該水を燃料電池システム1の改質器22に供給する。水供給部31は、例えば、水貯溜部311と、ポンプ312と、起動用水供給管313とを備える。水貯溜部311は、水(例えば、純水)を貯溜するタンクである。水貯溜部311は、起動用水供給管313を介して、燃料電池システム1の水蒸気生成部46に接続される。ポンプ312は、起動用水供給管313上に設けられ、水貯溜部311に貯溜されている水を水蒸気生成部46へと供給する。
昇温装置33は、起動用原燃料供給管255により、不純物除去部41を介して原燃料供給源48に接続される。昇温装置33は、また、起動用ガス供給管256を介してブロワ43に接続される。昇温装置33は、さらに、起動用水蒸気供給管259を介して水蒸気生成部46に接続される。昇温装置33では、原燃料供給源48からの原燃料(例えば、LPガス、都市ガス、天然ガス、灯油、バイオガスまたはバイオエタノール)、ブロワ43からの酸化剤ガスを含むガス(例えば、空気)、および、水蒸気生成部46からの水蒸気を利用して、高温のガスである昇温ガスが生成される。昇温装置33に供給される原燃料、水蒸気および酸化剤ガスは、昇温ガスの生成に利用される昇温用原燃料、昇温用水蒸気および昇温用酸化剤ガスである。昇温装置33における昇温ガスの生成の詳細については後述する。
昇温装置33により生成された高温の昇温ガスは、昇温ガス供給管257を介して、ハウジング21内の昇温部24へと供給され、昇温部24からハウジング21の内部空間210へと供給される。燃料電池システム1では、昇温部24から内部空間210へと昇温ガスが継続的に供給されることにより、改質器22および複数の燃料電池23が加熱されて昇温される。
続いて、原燃料供給源48からの原燃料が、不純物除去部41を通過して改質器22に供給される。また、水供給部31からの水が水蒸気生成部46に供給され、水蒸気生成部46にて水蒸気とされた後、改質器22に供給される。そして、改質器22により原燃料が水蒸気改質されることにより、燃料ガスを含む改質ガスが生成され、複数の燃料電池23の負極に供給される。一方、ブロワ43からは、複数の燃料電池23の正極に、酸化剤ガスを含む空気が供給される。
これにより、複数の燃料電池23による発電が行われ、発電時に発生する熱により改質器22がさらに加熱される。また、複数の燃料電池23からの負極排ガスから凝縮部45にて生成された水は、水蒸気生成部46へと供給される。
燃料電池システム1では、改質器22および複数の燃料電池23が所定の温度に達し、複数の燃料電池23からの出力が所定の発電量に達して安定するまで、すなわち、燃料電池システム1が定常運転状態となるまで、上述の起動運転が継続される。燃料電池システム1の定常運転が開始され、上述の水自立および熱自立が成立すると、水供給部31から水蒸気生成部46への水の供給が停止される。また、昇温装置33における昇温ガスの生成、および、昇温部24から内部空間210への昇温ガスの供給が停止される。
図2は、昇温装置33の具体的な構造の一例を示す図である。図2では、昇温装置33の構成を破線にて囲む。また、図2では、昇温装置33に接続される他の構成も併せて示す。昇温装置33は、触媒の作用により、火炎を生じる直接燃焼に比べて低温にて燃料を酸化分解する(触媒燃焼させる)触媒燃焼装置である。
昇温装置33は、改質器331と、低温触媒燃焼部332と、高温触媒燃焼部333と、加熱部334とを備える。昇温装置33内の改質器331は、ハウジング21内の改質器22(図1参照)とは別に設けられる。2つの改質器22,331を区別するために、以下の説明では、昇温装置33内の改質器331を「昇温用改質器331」という。昇温用改質器331は、改質器22に比べて小型である。
昇温用改質器331は、起動用原燃料供給管255により、昇温装置33外の不純物除去部41を介して原燃料供給源48に接続される。昇温用改質器331は、また、起動用水蒸気供給管259を介して、昇温装置33外の水蒸気生成部46に接続される。水蒸気生成部46は、上述のように、水供給部31に接続される。低温触媒燃焼部332は、昇温装置33内において、昇温用改質器331および加熱部334に接続される。加熱部334は、起動用ガス供給管256を介して昇温装置33外のブロワ43に接続される。高温触媒燃焼部333は、昇温装置33内において、低温触媒燃焼部332に接続される。
低温触媒燃焼部332は、触媒層を有してガスの触媒燃焼を行う触媒燃焼部である。高温触媒燃焼部333は、低温触媒燃焼部332とは異なる種類の触媒燃焼部である。具体的には、高温触媒燃焼部333は、低温触媒燃焼部332の触媒層とは異なる種類の触媒層を有してガスの触媒燃焼を行うもう1つの触媒燃焼部である。低温触媒燃焼部332の触媒層は、例えば、白金(Pt)を主な触媒として担持し、高温触媒燃焼部333の触媒層は、例えば、パラジウム(Pd)を主な触媒として担持する。低温触媒燃焼部332および高温触媒燃焼部333に担持される触媒は、様々に変更されてよい。加熱部334には、例えば、電気ヒータが設けられる。
昇温装置33では、原燃料供給源48からの原燃料、および、水蒸気生成部46からの水蒸気が昇温用改質器331に供給される。昇温用改質器331では、水蒸気生成部46からの水蒸気を利用して、原燃料供給源48からの原燃料の水蒸気改質が行われ、燃料ガスが生成される。昇温用改質器331にて生成される燃料ガスは、昇温ガスの生成に利用される昇温用燃料ガスである。昇温装置33では、必要に応じて、昇温用改質器331を加熱する電気ヒータ等の加熱部が設けられてもよい。
昇温用改質器331に供給される原燃料は、上述のように、例えば炭化水素系燃料である。図2に示す例では、原燃料である都市ガスの主成分であるメタンが昇温用改質器331により改質されることにより、燃料ガスである水素ガスが生成される。昇温用改質器331にて生成される燃料ガスは、昇温用改質器331に供給される原燃料よりも燃焼開始温度(すなわち、酸化分解が開始される温度)が低い。昇温用改質器331により、燃料ガスを含む燃焼用ガスが、昇温用燃料ガス配管341を介して、低温触媒燃焼部332へと送出される。昇温用改質器331から低温触媒燃焼部332に供給される燃焼用ガスには、燃料ガス以外に、未改質の原燃料である未改質原燃料が含まれる。
低温触媒燃焼部332には、昇温用改質器331からの燃焼用ガス、および、ブロワ43からの酸化剤ガスを含むガス(例えば、酸素を含む空気)が供給される。昇温用改質器331からの燃焼用ガスの温度は、例えば約500℃〜600℃である。ブロワ43からの空気は、加熱部334にて加熱された後、低温触媒燃焼部332に供給される。加熱部334からの空気の温度は、例えば約80℃である。
加熱部334から低温触媒燃焼部332に供給される空気の流量は、昇温用改質器331から低温触媒燃焼部332に供給される燃焼用ガスの流量よりも大きい。例えば、加熱部334から低温触媒燃焼部332に供給される空気の流量は、昇温用改質器331から低温触媒燃焼部332に供給される燃焼用ガスの流量の20倍以上である。低温触媒燃焼部332に供給されるガス、すなわち、昇温用改質器331からの燃焼用ガスとブロワ43からの空気との混合ガスの温度は、例えば、約120℃〜130℃である。低温触媒燃焼部332に供給されるガスの温度は、原燃料の燃焼開始温度よりも低く、かつ、燃料ガスの燃焼開始温度以上である。図2に示す例では、低温触媒燃焼部332に供給される上記混合ガスの温度は、メタンの燃焼開始温度である約400℃よりも低く、水素ガスの燃焼開始温度である50℃よりも高い。
上述のように、低温触媒燃焼部332に酸化剤ガス(を含む空気)および昇温用改質器331からの燃焼用ガスが導かれることにより、低温触媒燃焼部332が、燃料ガスの燃焼開始温度以上に昇温される。低温触媒燃焼部332の触媒層は、高温触媒燃焼部333の触媒層よりも燃料ガスの触媒燃焼に適した種類の触媒層である。低温触媒燃焼部332では、燃焼用ガスに含まれる燃料ガスが低温触媒燃焼部332にて触媒燃焼される。低温触媒燃焼部332では、燃焼用ガス中の燃料ガスが燃焼されることにより、低温触媒燃焼部332に供給されるガスよりも高温の1次昇温ガスが生成される。
低温触媒燃焼部332により、1次昇温ガスが高温触媒燃焼部333へと送出される。低温触媒燃焼部332から送出される1次昇温ガスには、例えば、燃料ガスの燃焼により生じたガス(例えば、水蒸気)、燃料ガスの燃焼に利用されることなく低温触媒燃焼部332を通過した酸化剤ガス、および、低温触媒燃焼部332を通過した未改質原燃料が含まれる。当該未改質原燃料は、低温触媒燃焼部332における燃料ガスの燃焼により昇温される。なお、低温触媒燃焼部332では、未改質原燃料の一部も触媒燃焼されてよい。低温触媒燃焼部332から高温触媒燃焼部333へと送出される1次昇温ガスの温度は、原燃料の燃焼開始温度(上記例では、約400℃)以上である。燃料電池システム1では、例えば、ブロワ43から低温触媒燃焼部332と高温触媒燃焼部333との間の配管に直接的に接続される酸化剤ガス供給管が設けられ、当該酸化剤ガス供給管を介して高温触媒燃焼部333への酸化剤ガスの供給が行われてもよい。
高温触媒燃焼部333に低温触媒燃焼部332からの1次昇温ガスが導かれることにより、高温触媒燃焼部333が、原燃料の燃焼開始温度以上に昇温される。高温触媒燃焼部333の触媒層は、低温触媒燃焼部332の触媒層よりも原燃料の触媒燃焼に適した種類の触媒層である。高温触媒燃焼部333では、低温触媒燃焼部332から供給された1次昇温ガスに含まれる原燃料(すなわち、低温触媒燃焼部332を通過した未改質原燃料)が、低温触媒燃焼部332よりも高温にて燃焼されることにより、1次昇温ガスよりも高温の2次昇温ガスが生成される。2次昇温ガスには、例えば、原燃料の燃焼により生じたガス(例えば、水蒸気や二酸化炭素)、および、原燃料の燃焼に利用されることなく高温触媒燃焼部333を通過した酸化剤ガスが含まれる。
燃料電池システム1では、高温触媒燃焼部333により、2次昇温ガスが上述の昇温ガスとしてハウジング21(図1参照)内の昇温部24へと送出される。高温触媒燃焼部333から昇温部24へと送出される昇温ガスの温度は、例えば約700℃〜800℃である。燃料電池システム1の起動運転時には、上述のように、昇温部24から内部空間210へと昇温ガスが継続的に供給されることにより、改質器22および複数の燃料電池23が加熱されて昇温される。
以上に説明したように、昇温装置33は、昇温用改質器331と、低温触媒燃焼部332と、高温触媒燃焼部333とを備える。昇温用改質器331は、原燃料を改質して原燃料よりも燃焼開始温度が低い燃料ガスを含む燃焼用ガスを送出する。低温触媒燃焼部332には、酸化剤ガスおよび改質器22からの燃焼用ガスが導かれる。低温触媒燃焼部332は、燃焼用ガスに含まれる燃料ガスを燃焼させて1次昇温ガスを送出する。高温触媒燃焼部333は、低温触媒燃焼部332からの1次昇温ガスにより昇温される。高温触媒燃焼部333は、原燃料を低温触媒燃焼部332よりも高温にて燃焼させて、1次昇温ガスよりも高温の2次昇温ガスを送出する。
これにより、原燃料供給源から触媒燃焼部に原燃料を直接供給して燃焼させるために、当該触媒燃焼部に原燃料の燃焼開始温度(例えば、400℃)以上に加熱された空気等を供給する場合に比べて、加熱部334において空気に供給される熱量を低減することができる。加熱部334が電気ヒータの場合、加熱部334に供給される電力を低減することができる。その結果、昇温装置33への供給熱量を低減しつつ、昇温装置33において高温の昇温ガスを容易に生成することができる。また、加熱部334から低温触媒燃焼部332に供給される比較的大流量の空気の温度を低く抑える(例えば、100℃以下に抑える)ことができるため、加熱部334から低温触媒燃焼部332までの配管の断熱構造を簡素化することができる。その結果、昇温装置33を小型化することができる。
上述のように、昇温装置33の低温触媒燃焼部332は、燃料ガスの触媒燃焼に適した触媒層を有するため、燃料ガスを効率良く燃焼させることができる。その結果、低温触媒燃焼部332から高温触媒燃焼部333に供給される1次昇温ガスを効率良く昇温することができる。また、高温触媒燃焼部333は、原燃料の触媒燃焼に適した触媒層を有するため、原燃料を効率良く燃焼させることができる。その結果、高温触媒燃焼部333から送出される昇温ガスを効率良く昇温することができる。
昇温装置33では、上述のように、昇温用改質器331から低温触媒燃焼部332に供給される燃焼用ガスが未改質原燃料を含み、高温触媒燃焼部333に供給される原燃料が低温触媒燃焼部332を通過した未改質原燃料を含む。これにより、高温触媒燃焼部333への原燃料の供給に係る構造を簡素化することができる。
上述の燃料電池システム1は、定常運転時に原燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器22と、燃料ガスおよび酸化剤ガスを用いて発電を行う燃料電池23と、起動運転時に改質器22および燃料電池23を加熱して昇温させる上述の昇温装置33とを備える。これにより、燃料電池システム1の起動運転の際に、改質器22および燃料電池23の昇温に要する熱量(加熱部334が電気ヒータの場合は、加熱部334に供給する電力)を低減することができる。
燃料電池システム1では、定常運転時に燃料電池23にて使用される原燃料が、起動運転時に昇温装置33にて使用される原燃料と同じである。これにより、燃料電池23に原燃料を供給する構成と、昇温装置33に原燃料を供給する構成とを、部分的に共通化することができる。その結果、燃料電池システム1の構造を簡素化することができる。
図3は、昇温装置の他の好ましい例を示す図である。図3に示す昇温装置33aは、昇温用熱交換器335をさらに備える。その他の構成は、図2に示す昇温装置33と略同様である。昇温用熱交換器335は、ブロワ43から供給される酸化剤を含む空気を加熱する加熱部334に設けられる。図3に示す例では、昇温用熱交換器335は、高温触媒燃焼部333と昇温部24との間に接続される。昇温装置33aでは、高温触媒燃焼部333から送出された2次昇温ガス(すなわち、昇温ガス)は、昇温部24に供給されるよりも前に昇温用熱交換器335に供給される。
あるいは、昇温用熱交換器335は、高温触媒燃焼部333と昇温部24との間ではなく、ホットモジュール2(図1参照)に接続されてもよい。この場合、高温触媒燃焼部333から昇温部24を介してハウジング21内に供給された昇温ガスが、ハウジング21内を循環した後、昇温用熱交換器335に供給される。これにより、改質器22および燃料電池23を、より効率良く昇温させることができる。
加熱部334では、昇温用熱交換器335を通過する高温の昇温ガスにより、ブロワ43から低温触媒燃焼部332に供給される空気が予め加熱される。換言すれば、昇温装置33aでは、低温触媒燃焼部332に供給される前の酸化剤ガス(を含む空気)が、高温触媒燃焼部333からの2次昇温ガス(すなわち、昇温ガス)を利用して加熱される。このように、昇温ガスが有する熱を、起動運転時におけるハウジング21内の改質器22および燃料電池23(図1参照)の加熱のみならず、低温触媒燃焼部332に供給される酸化剤ガスの予熱にも利用することにより、昇温装置33aへの供給熱量をさらに低減することができる。これにより、加熱部334に設けられる電気ヒータ等の負荷を低減することができる。
図4は、昇温装置の他の好ましい例を示す図である。図4に示す昇温装置33bは、回避配管342をさらに備える。その他の構成は、図2に示す昇温装置33と略同様である。昇温装置33bでは、低温触媒燃焼部332が、昇温用改質器331に原燃料を供給する原燃料供給源48と、昇温用改質器331を避けて設けられる回避配管342を介して接続される。したがって、高温触媒燃焼部333は、低温触媒燃焼部332および回避配管342を介して、昇温用改質器331を避けて原燃料供給源48と接続される。回避配管342は、例えば、不純物除去部41と昇温用改質器331との間の起動用原燃料供給管255から分岐し、昇温用改質器331と低温触媒燃焼部332との間の昇温用燃料ガス配管341に接続される。
原燃料供給源48からの原燃料は、不純物除去部41および回避配管342を介することにより、昇温用改質器331を避けて低温触媒燃焼部332に供給され、低温触媒燃焼部332を通過して高温触媒燃焼部333に供給される。すなわち、高温触媒燃焼部333に供給される原燃料は、回避配管342を介して、昇温用改質器331を通過することなく供給される原燃料を含む。このため、昇温用改質器331を通過する原燃料の流量を低減することができる。これにより、昇温用改質器331にて加熱される原燃料の流量を低減し、その結果、必要に応じて昇温用改質器331に供給される熱量(昇温用改質器331の加熱に電気ヒータが用いられる場合は、供給される電力)を低減することができる。
また、高温触媒燃焼部333に供給される原燃料には、図2に示す昇温装置33と同様に、昇温用改質器331を通過した未改質原燃料も含まれる。これにより、高温触媒燃焼部333への原燃料の供給に係る構造を簡素化することもできる。高温触媒燃焼部333に供給された原燃料(すなわち、回避配管343を介して供給された原燃料、および、昇温用改質器331を介して供給された未改質原燃料)は、高温触媒燃焼部333において低温触媒燃焼部332よりも高温にて燃焼される。これにより、1次昇温ガスよりも高温の2次昇温ガスが生成され、2次昇温ガスが、高温触媒燃焼部333から昇温ガスとして昇温部24へと送出される。
図5は、昇温装置の他の好ましい例を示す図である。図5に示す昇温装置33cは、高温触媒燃焼部333と昇温部24との間に配置される他の高温触媒燃焼部336をさらに備える。昇温装置33cは、また、図4に示す回避配管342とは異なる他の回避配管343、および、起動用ガス供給管256から分岐する分岐配管256aを備える。その他の構成は、図2に示す昇温装置33と略同様である。
以下の説明では、高温触媒燃焼部333と高温触媒燃焼部336とを容易に区別するために、高温触媒燃焼部333および高温触媒燃焼部336をそれぞれ、「第1高温触媒燃焼部333」および「第2高温触媒燃焼部336」という。第2高温触媒燃焼部336は、例えば、第1高温触媒燃焼部333と同じ種類の触媒燃焼部であり、第2高温触媒燃焼部336の触媒層は第1高温触媒燃焼部333の触媒層と同じ種類である。第2高温触媒燃焼部336は、第1高温触媒燃焼部333とは異なる種類の触媒燃焼部であってもよい。
昇温装置33cでは、第1高温触媒燃焼部333から送出された高温の2次昇温ガスが、第2高温触媒燃焼部336へと導かれる。第2高温触媒燃焼部336は、第1高温触媒燃焼部333からの2次昇温ガスにより加熱される。
第2高温触媒燃焼部336は、昇温用改質器331に原燃料を供給する原燃料供給源48と、昇温用改質器331、低温触媒燃焼部332および第1高温触媒燃焼部333を避けて設けられる回避配管343を介して接続される。回避配管343は、例えば、不純物除去部41と昇温用改質器331との間の起動用原燃料供給管255から分岐し、第1高温触媒燃焼部333と第2高温触媒燃焼部336との間に接続される。また、第2高温触媒燃焼部336は、加熱部334およびブロワ43と、分岐配管256aを介して接続される。分岐配管256aは、例えば、加熱部334と低温触媒燃焼部332との間の配管から分岐し、第1高温触媒燃焼部333と第2高温触媒燃焼部336との間に接続される。分岐配管256aは、ブロワ43と加熱部334との間の起動用ガス供給管256から分岐し、第1高温触媒燃焼部333と第2高温触媒燃焼部336との間に接続されてもよい。
原燃料供給源48からの原燃料は、不純物除去部41および回避配管343を介することにより、昇温用改質器331、低温触媒燃焼部332および第1高温触媒燃焼部333を避けて第2高温触媒燃焼部336に供給される。すなわち、第2高温触媒燃焼部336に供給される原燃料は、回避配管343を介して、昇温用改質器331、低温触媒燃焼部332および第1高温触媒燃焼部333を通過することなく供給される原燃料を含む。このため、昇温用改質器331を通過する原燃料の流量を低減することができる。これにより、昇温用改質器331にて加熱される原燃料の流量を低減し、その結果、必要に応じて昇温用改質器331に供給される熱量を低減することができる。
第1高温触媒燃焼部333から送出される2次昇温ガス中では、第1高温触媒燃焼部333における燃焼により、原燃料および酸化剤ガスが減少している。そこで、昇温装置33cでは、第1高温触媒燃焼部333からの2次昇温ガスに、回避配管343を介して原燃料が補充され、分岐配管256aを介して酸化剤ガス(例えば、空気に含まれる酸素)が補充された上で、第2高温触媒燃焼部336へと供給される。これにより、第2高温触媒燃焼部336における原燃料の燃焼を効率良く行うことができる。
第2高温触媒燃焼部336に供給された原燃料は、第2高温触媒燃焼部336において低温触媒燃焼部332よりも高温にて燃焼される。これにより、1次昇温ガスよりも高温の3次昇温ガスが生成され、3次昇温ガスが、第2高温触媒燃焼部336から昇温ガスとして昇温部24へと送出される。3次昇温ガスは、2次昇温ガスよりも高温であってもよい。なお、昇温装置33cでは、第1高温触媒燃焼部333から送出される2次昇温ガスに酸化剤ガスを補充する必要がない場合、分岐配管256aは省略されてもよい。
図6は、昇温装置の他の好ましい例を示す図である。図6に示す昇温装置33dは、図5に示す構成に加えて、昇温用熱交換器335aをさらに備える。その他の構成は、図5に示す昇温装置33cと略同様である。昇温用熱交換器335aは、ブロワ43から供給される酸化剤を含む空気を加熱する加熱部334に設けられる。図6に示す例では、昇温用熱交換器335aは、第2高温触媒燃焼部336と昇温部24との間に接続される。昇温装置33dでは、第2高温触媒燃焼部336から送出された3次昇温ガス(すなわち、昇温ガス)は、昇温部24に供給されるよりも前に昇温用熱交換器335aに供給される。
あるいは、昇温用熱交換器335aは、第2高温触媒燃焼部336と昇温部24との間ではなく、ホットモジュール2(図1参照)に接続されてもよい。この場合、第2高温触媒燃焼部336から昇温部24を介してハウジング21内に供給された昇温ガスが、ハウジング21内を循環した後、昇温用熱交換器335に供給される。
加熱部334では、昇温用熱交換器335aを通過する高温の昇温ガスにより、ブロワ43から低温触媒燃焼部332および第2高温触媒燃焼部336に供給される空気が予め加熱される。換言すれば、昇温装置33dでは、低温触媒燃焼部332および第2高温触媒燃焼部336に供給される前の酸化剤ガス(を含む空気)が、第2高温触媒燃焼部336からの3次昇温ガス(すなわち、昇温ガス)を利用して加熱される。このように、昇温ガスが有する熱を、起動運転時におけるハウジング21内の改質器22および燃料電池23(図1参照)の加熱のみならず、低温触媒燃焼部332および第2高温触媒燃焼部336に供給される酸化剤ガスの予熱にも利用することにより、昇温装置33dへの供給熱量をさらに低減することができる。これにより、加熱部334に設けられる電気ヒータ等の負荷を低減することができる。
上述の昇温装置33,33a〜33dおよび燃料電池システム1では、様々な変更が可能である。
昇温装置33,33a〜33dでは、低温触媒燃焼部332と高温触媒燃焼部333とが異なる種類の触媒燃焼部であれば、低温触媒燃焼部332の触媒層が担持する触媒と、高温触媒燃焼部333の触媒層が担持する触媒とは、必ずしも異なっている必要はない。例えば、高温触媒燃焼部333の触媒層が、低温触媒燃焼部332の触媒層が担持する触媒と同じ種類の触媒を担持してもよい。この場合、例えば、低温触媒燃焼部332の触媒層における触媒の担持量と、高温触媒燃焼部333の触媒層における触媒の担持量とが異なることにより、低温触媒燃焼部332と高温触媒燃焼部333とが異なる種類の触媒燃焼部となってもよい。また、例えば、低温触媒燃焼部332および高温触媒燃焼部333の触媒層が複数種類の触媒を担持する場合、複数種類の触媒の担持割合が異なることにより、低温触媒燃焼部332と高温触媒燃焼部333とが異なる種類の触媒燃焼部となってもよい。
昇温装置33,33a〜33dでは、例えば、低温触媒燃焼部332および高温触媒燃焼部333は、1つの筐体内に設けられてもよい。また、図5および図6に示す昇温装置33c,33dでは、例えば、低温触媒燃焼部332、第1高温触媒燃焼部333および第2高温触媒燃焼部336が、1つの筐体内に設けられてもよい。
図3に示す昇温装置33aでは、高温触媒燃焼部333と昇温部24との間に第2高温触媒燃焼部336が設けられてもよい。この場合、例えば、高温触媒燃焼部333から送出された2次昇温ガスのうち、一部が昇温用熱交換器335へと供給され、残りが第2高温触媒燃焼部336へと送出される。
図4に示す昇温装置33bでは、回避配管342は、昇温用改質器331と低温触媒燃焼部332との間ではなく、低温触媒燃焼部332と高温触媒燃焼部333との間に接続されてもよい。昇温装置33bでは、高温触媒燃焼部333と昇温部24との間に第2高温触媒燃焼部336が設けられてもよい。また、当該第2高温触媒燃焼部336が、回避配管343を介して原燃料供給源48に接続されてもよい。昇温装置33bでは、昇温用改質器331において、原燃料供給源48から供給される原燃料のおよそ全量が、燃料ガスに改質されてもよい。この場合、昇温用改質器331から低温触媒燃焼部332に供給される燃焼用ガスには、未改質の原燃料である未改質原燃料は含まれない。
昇温装置33,33a〜33dは、ホットモジュール2に接続される水供給部31、原燃料供給源48およびブロワ43とは異なる他の水供給部、他の原燃料供給源および他のブロワに接続され、他の水供給部、他の原燃料供給源および他のブロワから昇温装置33,33a〜33dに水蒸気、原燃料および酸化剤ガスが供給されてもよい。また、昇温装置33,33a〜33dに供給される原燃料および酸化剤ガスは、ホットモジュール2に供給される原燃料および酸化剤ガスと異なる種類のものであってもよい。なお、上述のように、ホットモジュール2に接続される水供給部31、原燃料供給源48およびブロワ43から、水蒸気、原燃料および酸化剤ガスを昇温装置33,33a〜33dに供給することにより、燃料電池システム1の構造を簡素化することができる。
昇温用改質器331における原燃料の改質は、部分酸化改質法または自己熱改質法により行われてもよい。また、昇温用改質器331では、例えば、水蒸気改質法、部分酸化改質法および自己熱改質法のいずれかを組み合わせることにより、原燃料の改質が行われてもよい。
燃料電池システム1の起動運転時には、改質器22に原燃料とは異なる起動用材料が供給されてもよい。起動用材料としては、例えば、窒素、水素、LPガス、都市ガスまたはバイオエタノール等が使用される。
燃料電池システム1では、排ガス燃焼部47からの排ガスに含まれる水蒸気を、凝縮部45にて水として取り出した上で水蒸気生成部46に供給しているが、水蒸気を含む当該排ガスの一部が、ガス状のまま改質器22へと供給されてもよい。この場合であっても、定常運転時の水自立運転の実現が可能である。
燃料電池システム1では、定常運転の際に、必ずしも熱自立運転が行われる必要はなく、昇温部24からハウジング21の内部空間210に昇温ガスが継続的に供給されてもよい。また、燃料電池システム1では、定常運転の際に、必ずしも水自立運転は行われる必要はなく、水供給部31から水蒸気生成部46に水が継続的に供給されてもよい。
昇温装置33,33a〜33dは、必ずしも、燃料電池システム1の起動運転時における改質器22および燃料電池23の昇温に使用される必要はなく、燃料電池システム1以外の様々な装置に設けられ、当該装置の構成の昇温に使用されてもよい。昇温装置33,33a〜33dは、また、様々な対象物の昇温に単独で使用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。