JP6558675B2 - 乾燥焼成装置及び乾燥焼成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被乾燥物を乾燥させて乾燥品を得る乾燥装置と、被焼成物を焼成して焼成品を得る焼成装置と、を備えた乾燥焼成装置及び該乾燥焼成装置を使用することによって実行される乾燥焼成方法に関する。
一般に、乾燥焼成装置や乾燥焼成方法としては、下記の特許文献1中に開示されているようにハニカム成形体にマイクロ波を照射して乾燥を行う乾燥工程と、その後ハニカム成形体にマイクロ波を照射して焼成を行う焼成工程と、を含み、乾燥工程と焼成工程とを連続して行うことが可能な乾燥焼成方法がある。このものは、マイクロ波を照射してハニカム成形体の乾燥から焼成までを連続して実施することができるが、容器内の被乾燥物をマイクロ波を使用して乾燥焼成させるものではない。
また、下記の特許文献2中に開示されているように乾燥炉と焼成炉とを貫通するコンベアベルトを備えた陶磁器製品取り扱い装置がある。このものは、陶磁器製品をコンベアベルト上を移送して乾燥から焼成までを連続して行うものであるが、容器内の被乾燥物をマイクロ波を使用して乾燥させるものではない。
また、下記の特許文献3中に開示されているように乾燥ラインと焼成ラインとを併設し、乾燥から焼成まで連続移動を可能とした窯業製品の乾燥・焼成システムがある。このものは、皿、カップ等の窯業製品の乾燥・焼成工程の省エネルギー化を図るものであるが、容器内の被乾燥物をマイクロ波を使用して乾燥させるものではない。
一方、例えば排気ガス浄化触媒等に使用されるセリアなどの無機粉末に貴金属を吸着させた粉末(以下、無機触媒粉末という。)を製造する乾燥焼成装置の場合には、被乾燥物ないし被焼成物を容器に収容した状態で乾燥焼成が実行される。
この場合、マイクロ波を使用して容器内の被乾燥物を乾燥するマイクロ波乾燥機では、下記の特許文献4中にも開示されているようにマイクロ波の透過性が高いFRP(不飽和ポリエステル樹脂)等の樹脂材料によって形成された樹脂製容器が使用されており、該樹脂製容器に被乾燥物を収容してマイクロ波乾燥を行い、乾燥品を製造している。
さらに、上記マイクロ波乾燥で得られた乾燥品を上記樹脂製容器から取り出し、耐熱性を有する金属製容器等に移し替えて当該乾燥品を被焼成物として焼成装置に供給して焼成を実行し、焼成品となる無機触媒粉末を製造している。
上記被焼成物の効率的な焼成を実行する場合には、焼成に先立って行われる乾燥装置による乾燥を高温で行うことが望ましい。しかし、上記マイクロ波乾燥機による乾燥を樹脂製容器を使用して例えば300℃を超えるような高温下で行うと、該樹脂製容器に熱変形等が生じてしまう。
特開2013−180412号公報 特開平3−223148号公報 特開平3−197345号公報 特開平5−338705号公報
この場合、被乾燥物を収容する容器を、マイクロ波を透過しないステンレス等の金属製容器に変更すれば、上記高温での加熱に耐えられるようになり容器の熱変形等は生じない。
しかし、被乾燥物を金属製容器に収容して乾燥させると、マイクロ波が金属製容器の内側面や底面で反射するため、該金属製容器の内側面や底面と接する部分の被乾燥物の温度上昇が緩慢になり、被乾燥物を所定の温度に上昇させて所定の水分量にするのに長時間を要することになる。
また、上記乾燥装置によって得られた乾燥品を被焼成物としてその都度、樹脂製容器から金属製容器に移し替える作業は非常に煩わしく、また、移し替える際に樹脂製容器と被乾燥物の温度を作業可能な温度まで下げる必要があり、作業に余計な時間を要し、無駄な熱の廃棄が避けられず、効率的な焼成品の製造を行う上で支障になっていた。
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、被乾燥物を高温で乾燥させたり、被焼成物を高温で焼成させても容器の熱変形等を生じさせることがなく、被乾燥物及び被焼成物の乾燥と焼成を円滑に効率良く実行し得る乾燥焼成装置及び該乾燥焼成装置を使用することによって実行される乾燥焼成方法を提供することにある。
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による乾燥焼成装置は、被乾燥物ないし被焼成物を収容する金属製容器と、
上記金属製容器を搬入・搬出させる2つの開口部を有する乾燥室本体と、上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉シャッターと、上記乾燥室本体に対し搬送方向に沿って複数組配置され、該乾燥室体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、を備える乾燥装置と、
上記金属製容器を搬入・搬出させる2つの開口部を有する焼成室本体と、上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記焼成室本体に遮蔽空間を形成する開閉シャッターと、上記焼成室本体に対し搬送方向に沿って複数組配置され、該焼成室本体内に収容される被焼成物を焼成ヒータで加熱して被焼成物を焼成させる焼成ヒータユニットと、を備える焼成装置と、
被乾燥物を収容した金属製容器を上記乾燥室本体内に搬入し、上記複数組のマイクロ波照射装置の存する各領域を順次移動させるとともに、被焼成物を収容した金属製容器を上記焼成室本体内に搬入し、上記複数組の焼成ヒータユニットの存する各領域を順次移動させる搬送手段と、を具備し、
上記乾燥室本体の内部には、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射口が形成されている部分から、該照射口を取り囲むように金属製容器に向かって延びる垂れ壁が設けられており、
上記垂れ壁の金属製容器側端部は、乾燥室本体の内部において移動する金属製容器の周縁部に臨むように接近状態で設けられていて、
上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項2による乾燥焼成装置は、請求項1記載の乾燥焼成装置において、上記焼成ヒータユニットは、被焼成物を収容している金属製容器の上方に配置される上部ヒータと、金属製容器の下方に配置される下部ヒータと、を備えることによって構成されており、該金属製容器に収容されている被焼成物を上方と下方の二方向から加熱することにより、被焼成物を焼成するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項3による乾燥焼成装置は、請求項1または2記載の乾燥焼成装置において、上記乾燥装置は、上記乾燥室本体内に対して搬送方向に沿って複数組配置され、上記金属製容器の底面部を電熱ヒータによって加熱することで被乾燥物を乾燥させる乾燥ヒータユニットを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項4による乾燥焼成装置は、請求項3記載の乾燥焼成装置において、上記乾燥ヒータユニットは、上記金属製容器の少なくとも底面部に輻射熱を作用させるように配置される複数本の電熱ヒータと、上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面を除く、電熱ヒータの周囲を包むように配置される断熱材と、上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面を除く、上記断熱材の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバーと、を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項5による乾燥焼成装置は、請求項3または4記載の乾燥焼成装置において、上記乾燥ヒータユニットは、上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面付近の温度を計測する熱電対と、上記熱電対によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータのヒータ出力を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項6による乾燥焼成装置は、請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置において、被乾燥物の重量を計測するロードセルと、上記ロードセルによって計測された被乾燥物の重量に基づいて上記マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波出力または乾燥時間を設定する制御装置と、を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項7による乾燥焼成装置は、請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置において、上記乾燥室本体には、乾燥室本体内に空気を導入する吸気口と、乾燥室本体内の湿気を含んだ空気を乾燥室本体外に排出する排気口と、が備えられていて、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方には、加熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出する送風手段が接続されており、上記吸気口及び排気口には、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない通気口を有するパンチング板が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項8による乾燥焼成装置は、請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置において、上記搬送手段は、上記乾燥装置と焼成装置のそれぞれに各別に設けられており、乾燥装置に設けられる搬送手段と焼成装置に設けられる搬送手段は、連続運転時には同期して作用するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9による乾燥焼成装置は、請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置において、上記搬送手段は、上記乾燥室本体ないし焼成室本体の内部において搬送方向に沿って敷設されている支持レール上に整列配置される複数の金属製容器の全部またはその一部に作用して金属製容器に送り力を付与する係止爪と、上記係止爪を保持して所定ストローク、送り方向と戻し方向とに係止爪を移動させる操作ロッドと、駆動源となる駆動モータと、上記駆動モータの出力軸の回転を上記操作ロッドの送り方向ないし戻し方向の直線運動に変換する揺動クランク機構と、を備え、上記係止爪は、上記操作ロッドに対して回動接続ピンを介して回動可能に接続されており、操作ロッドを戻し方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が解除される係止解除位置に移行し、操作ロッドを送り方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が実行される係止位置に移行するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項10による乾燥焼成装置は、請求項2〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置において、上記焼成ヒータユニットの上部ヒータと金属製容器との間の空隙部に臨むその側方には、熱風吹込みノズルが配置されており、熱風発生器から供給される所定温度の熱風が上記熱風吹込みノズルによって所定流量で上記空隙部に吹き込まれ、焼成によって発生した焼成ガスを伴って焼成室本体の外部に排気されるように構成されていることを特徴とするものである。
そして、上記手段によって以下のような効果が得られる。
まず、本発明の乾燥焼成装置において、被乾燥物ないし被焼成物を収容する容器として金属製容器を適用したから、上述した無機触媒粉末等を製造するに際して、乾燥装置で被乾燥物を高温で乾燥させることが可能になる。そして、この場合容器に熱変形等は生じない。
また、同一の金属製容器を使用して乾燥と焼成の両方を行うことができるから、樹脂製容器から金属製容器に移し替える作業は必要なく、乾燥から焼成への移行が円滑になる。
また、移し替えのために、樹脂製容器と被乾燥物の温度が作業可能な温度まで下がるのを待つ必要がなく、乾燥から焼成への一連の作業が迅速に実行できる。
また、乾燥装置では搬送方向に沿って複数組のマイクロ波照射装置を配置し、焼成装置では搬送方向に沿って複数組の焼成ヒータユニットを配置し、搬送手段によってこれらの各領域を順次移動させるようにしたから、金属製容器を順次移動させながら、被乾燥物の乾燥状態と被焼成物の焼成状態とを段階的に高めて行く、連続的な焼成品の製造が可能になる。
また、焼成ヒータユニットを上部ヒータと下部ヒータを備えることによって構成し、被乾燥物を上方と下方の二方向から加熱して焼成を行うようにした場合には、被乾燥物の焼成が円滑に効率良く実行されるようになる。
また、乾燥装置をマイクロ波照射装置と乾燥ヒータユニットとを備えるマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットによって構成し、これらを被乾燥物の効率的な乾燥が実現できる適所に配置する構成を採用した場合には、マイクロ波照射装置のみでは、乾燥が困難な金属製容器の内側面や底面と接する部分でも良好な被乾燥物の乾燥状態が得られるようになる。したがって、被乾燥物の乾燥効率が向上し、乾燥時間の短縮を図ることが可能になる。
また、乾燥ヒータユニットを電熱ヒータと断熱材と断熱材カバーとを備えることによって構成した場合には、電熱ヒータから放射される輻射熱を、金属製容器の側面部や底面部に作用させて、マイクロ波のみでは乾燥が困難であった部位の乾燥を補填して被乾燥物の良好な乾燥状態を得ることができる。
また、上記電熱ヒータの周囲を断熱材で包むことにより、電熱ヒータから放出される輻射熱を効率良く必要な部位に集中させて作用させることができる。また、断熱材カバーを備えたことにより、上記断熱材の電熱ヒータからの脱落や外部への飛散を防止することができる。
また、上記乾燥ヒータユニットに対して更に熱電対と、電熱ヒータのヒータ出力を制御する制御装置とを備えた場合には、熱電対によって得られた輻射熱の作用面付近の温度情報に基づいて電熱ヒータのON、OFFを切り替えたり、ヒータ出力を微調整することで電熱ヒータの加熱温度が常に一定になるように保つことが可能になる。
また、上記乾燥室本体の内部に、金属製容器側端部が金属製容器の周縁部に臨むように接近させた状態で、マイクロ波照射装置の照射口を取り囲む、垂れ壁を設けた場合には、マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波の外部への飛散を防止して、当該マイクロ波を金属製容器内に導いて被乾燥物の乾燥効率を向上させることが可能になる。
また、上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間に、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を配置した場合には、上記垂れ壁と金属製容器の隙間からマイクロ波が漏洩して垂れ壁の外方空間に回り込む事態が防止される。したがって、マイクロ波の漏洩が一層低減されるようになる。
また、被乾燥物の重量を計測するロードセルと、計測した重量に基づいてマイクロ波出力または乾燥時間を設定する制御装置と、を備えた場合には、所望の乾燥状態が得られるように被乾燥物の重量に基づいた最適なマイクロ波出力と乾燥時間とを設定して被乾燥物の乾燥を実行することが可能になる。
また、吸気口と排気口とを備え、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方に送風手段を接続した構成の乾燥装置を採用した場合には、マイクロ波ないし電熱ヒータの輻射熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出しながらの乾燥が可能になる。
したがって、被乾燥物から発生した蒸気が水分になって被乾燥物に再付着される事態が防止されて効率の良い被乾燥物の乾燥が実行されるようになる。
また、乾燥室本体に対して設けられる吸気口及び排気口に対してパンチング板を設けた場合には、乾燥室本体外へのマイクロ波の漏洩が更に一層、防止されるようになる。
また、搬送手段を、乾燥装置と焼成装置のそれぞれに各別に設けた場合には、被乾燥物の乾燥と被焼成物の焼成とを別々に行うことが可能になる。これにより、乾燥の進捗と焼成の進捗に差がある場合の調整を図ったり、乾燥後の乾燥品を一旦ストックしたり、検査ゾーン等を迂回させてから焼成装置に搬入させる等の搬送形態をとることが可能になる。
また、上記乾燥装置と焼成装置を連続運転する場合には、それぞれの搬送手段を同期して作動させることによって金属製容器を同じストロークと時間で間欠的に移動させることも可能になる。
また、上記搬送手段を、支持レール上に整列配置される金属製容器に送り力を付与する係止爪と、該係止爪を送り方向と戻し方向とに移動させる操作ロッドと、駆動モータと、揺動クランク機構と、を備える構成にし、係止爪を回動させて係止位置と係止解除位置とを切り替えられるように構成した場合には、高温での使用に耐えられ、金属製容器の安定した円滑な送りが可能な搬送手段を提供することが可能になる。
また、焼成ヒータユニットの上部ヒータと金属製容器との間の空隙部に臨む側方に熱風吹込みノズルを配置して、焼成時に該空隙部に熱風を吹き込ませるようにした場合には、被焼成物の焼成温度を低下させることなく、焼成によって発生した有毒な焼成ガスを焼成室本体外に排気して処理設備等に送り、その有毒成分を除去したり、吸着捕捉すること等が可能になる。
以上のように本発明の乾燥焼成装置によると、300℃程度の高温で被乾燥物を乾燥させても、被乾燥物を収容する容器に熱変形等を生じさせることがない。また、金属製容器の内側面や底面と接する部分での被乾燥物の乾燥温度の低下が防止できるから、被乾燥物を効率良く乾燥させることが可能になる。
本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥焼成装置を示す右側面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥焼成装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置を示す右側面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置の内部構造を示す縦断正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥室本体内の金属製容器とその周辺部位を示す縦断正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥室本体内の乾燥ヒータユニットと金属製容器と垂れ壁の位置関係を示す縦断正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥室本体内の金属製容器の支持状態を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥焼成装置に適用する金属製容器を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置に適用するマイクロ波漏洩防止機構の一部を拡大して示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、乾燥装置の搬入側の開口部に設けられる開閉シャッターとマイクロ波漏洩防止機構の一部を拡大して示す側断面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、搬送手段の一部を拡大して示す右側面図(a)と、係止爪の動作を示す説明図(b)(c)である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、搬送手段の一部を拡大して示す平面図(a)と、係止爪の動作を示す説明図(b)(c)である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、焼成装置を示す正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、焼成装置を示す右側面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、焼成装置を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、焼成室本体内の金属製容器とその周辺部位を示す縦断正面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、焼成室本体内の焼成ヒータユニットと金属製容器と熱風吹込みノズルの位置関係を示す縦断正面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す図で、本発明の乾燥焼成方法を構成する各工程を示すブロック図である。
以下、図1〜図19に示す第1の実施の形態を例にとって、最初に本発明の乾燥焼成装置の全体構成の概略について説明し、続いて本発明の要部となる乾燥装置の具体的構成の説明、焼成装置の具体的構成の説明の順で説明する。
次に、図20に基づいて第2の実施の形態として、上記第1の実施の形態の乾燥焼成装置を使用した場合を例にとって、本発明の乾燥焼成方法を構成する各工程の内容を金属製容器の搬送の流れにしたがって説明する。
(1)第1の実施の形態(図1〜図19参照)
(A)乾燥焼成装置の全体構成の概略(図1及び図2参照)
本発明の乾燥焼成装置1は、被乾燥物Aないし被焼成物Dを収容する金属製容器2と、乾燥室本体15内に収容される被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して被乾燥物Aを乾燥させる複数組のマイクロ波照射装置19を備える乾燥装置3と、焼成室本体135内に収容される被焼成物Dを焼成ヒータ152、153で加熱して被焼成物Dを焼成させる複数組の焼成ヒータユニット151を備える焼成装置4と、被乾燥物Aを収容した金属製容器2を乾燥室本体15内に搬入し、複数組のマイクロ波照射装置19の存する各領域を順次移動させるとともに、被焼成物Dを収容した金属製容器2を焼成室本体135内に搬入し、複数組の焼成ヒータユニット151の存する各領域を順次移動させる搬送手段5と、を具備することによって基本的に構成されている。
また、図示の第1の実施の形態による乾燥焼成装置1では、上記乾燥室本体15内には、金属製容器2の底面部2bを電熱ヒータ75の輻射熱によって加熱することで被乾燥物Aを乾燥させる乾燥ヒータユニット71が搬送方向Yに沿って複数組配置されている。
また、上記乾燥室本体15の内部には、マイクロ波照射装置19の照射口25を取り囲んで金属製容器2に向かって延びる垂れ壁93が設けられており、該垂れ壁93の金属製容器2側端部は、乾燥室本体15の内部において移動する金属製容器2の周縁部83に臨むように接近状態で設けられている。
また、本実施の形態では、上記乾燥室本体15の内部を一例として11の領域に区画し、それぞれの領域に一例として4基のマイクロ波照射装置19と、これら4基のマイクロ波照射装置19の4つの照射口25を取り囲む1つの垂れ壁93と、1基の乾燥ヒータユニット71と、を具備するマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUを配置するという構成が採用されている。
また、本実施の形態では、上記焼成室本体135の内部を一例として14の領域に区画し、それぞれの領域に金属製容器2の上方に配置される上部ヒータ152と、金属製容器2の下方に配置される下部ヒータ153と、を備えることによって構成されている焼成ヒータユニット151を各別に配置するという構成が採用されている。
また、本実施の形態では、上記乾燥装置3に至る上流位置に一例としてローラコンベヤによって構成されている搬送コンベヤ6Aが配置されており、この搬送コンベヤ6Aの上流寄りの位置に、原料となる一例として硝酸とレアメタルを混練するミキサー7と、該ミキサー7によって混練されたものを所定量ずつに小分けするために、その重量を計測するロードセル8と、が配置されている。
更に、本実施の形態では、上記焼成装置131の下流位置に冷却装置9が配置されており、該冷却装置9の下流位置に完成した焼成品Eをストックしておくためのストック用の搬送コンベヤ6Bが配置されている。尚、この搬送コンベヤ6Bも前述した搬送コンベヤ6Aと同様、一例としてローラコンベヤによって構成されている。
また、上記冷却装置9は、焼成後の焼成品Eを冷却するための装置で、アングル材等を矩形枠状に組み立てることによって構成される支持架台183の上部に冷却室181を備え、適宜の搬送手段185を設けて、該搬送手段185によって所定ストロークずつ金属製容器2を搬送方向Yに搬送して、上記搬送コンベヤ6B上に搬出できるように構成されている。
尚、上記搬送手段185としては、乾燥装置3や焼成装置4に対して設けられている後述する搬送手段5と同様の機構のものが一例として採用でき、これらの搬送手段5と同期させて駆動させることによって、乾燥、焼成、冷却の各工程間の金属製容器2の移動を連動させて実施することが可能になっている。
この他、図1及び図2に示すように上記ストック用の搬送コンベヤ6Bの一例として右方には、一例として4基の制御ボックス10が設けられている。そして、これらの制御ボックス10に対して設けられている制御装置11によって、上記乾燥装置3、焼成装置4及び搬送手段5を含む各種の制御が実行されている。
尚、上記金属製容器2は、本発明の特徴的構成の一つになっており、一例としてステンレス鋼製で、上面が開放された箱状の容器本体82と、該容器本体82の開放された上面部の周囲に設けられる周縁部83と、を備えることによって基本的に構成されている。
容器本体82は、底面部2bが上面部に比べて幾分、窄まった浅底の角箱状の部材で、底面部2bの内寸が一例として幅600mm、奥行き400mm程度、深さが90mm程度の大きさの部材である。
また、周縁部83は、それぞれ断面門型をした前縁部83aと、後縁部83bと、左側縁部83cと、右側縁部83dを矩形枠状に組み立てることによって構成されており、左右の側縁部83c、83dの幅寸法は、これらと直交する方向に配置される前縁部83a及び後縁部83bに比べて幅広に設定されている。
また、左右の側縁部83c、83dの前端面と後端面は開放されていて、搬入・搬出方向に沿う前述した乾燥室本体5の内部に設けられている支持部81の支持レール81cに対して、前後方向に移動可能な係合状態で上記左右の側縁部83c、83dが設置されるように構成されている。
また、左右の側縁部83c、83dには、一例として平面視門型形状の取っ手85、85が備えられており、これらの取っ手85、85を持って作業者が金属製容器2を移動したり、後述する搬送手段5の係止爪117がこれらの取っ手85、85の一部に係止することによって金属製容器2の乾燥中ないし焼成中の所定ストロークの移動を可能にしている。
(B)乾燥装置の具体的構成(図3〜図14参照)
乾燥装置3は、上記金属製容器2を搬入・搬出させる2つの開口部13A、13Bを有する乾燥室本体15と、上記開口部13A、13Bに開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体15内に遮蔽空間を形成する開閉シャッター17A、17Bと、上記乾燥室本体15に対して搬送方向Yに沿って複数組配置され、該乾燥室本体15内に収容される被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して被乾燥物Aを乾燥させるマイクロ波照射装置19と、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本実施の形態では、上述したように4基のマイクロ波照射装置19と、1基の乾燥ヒータユニット71と、を備えることによって構成されるマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUが図示されており、更にこれらに1つの垂れ壁93を加えたものが一例として11組配置されている。
また、図3〜図14に示す乾燥装置3は、大量の被乾燥物Aを処理できる連続的な乾燥が可能な大型の乾燥装置になっている。
したがって、被乾燥物Aの連続的な乾燥を可能にする構成が備えられた処理能力が大きな乾燥装置3になっており、例えば無機触媒粉末の製造ライン等に好適なマイクロ波・ヒータ併用方式の乾燥装置になっている。
乾燥室本体15は、上記金属製容器2を一例として11個収容できる大きさの搬送方向Yに長い、角筒形状を有しており、その前端面には金属製容器2を搬入するための開口部13Aが形成されていて、一方、その後端面には上記金属製容器2を搬出するための開口部13Bが形成されている。
また、これらの開口部13A、13Bのそれぞれには、開閉シャッター17、17が取り付けられており、上記乾燥室本体15と開閉シャッター17とを備えることによって乾燥室35が構成されている。そして、これらの開口部13A、13Bと開閉シャッター17、17との間には、図11及び図12に示すようなマイクロ波漏洩防止機構31とシール構造23が設けられていることが望ましい。
シール構造23は、図12に示すようにマイクロ波漏洩防止機構31の一例として外周に設けられており、開閉シャッター17を閉塞状態にした時、乾燥室本体15の開口部13の周囲のシール面61に当接する、一例としてリング状のゴムパッキンによって構成されるシール部材21を備えることによって構成されている。
マイクロ波漏洩防止機構31は、上記開口部13と上記シール構造23との中間経路63上に設けられており、上記開口部13側に位置する第1チョーク27と、上記シール構造23側に位置する第2チョーク29と、が向かい合わせになるように周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のシール構造になっている。
具体的には、図12に示すように開閉シャッター17の背面に沿うように配置された遮蔽板65の一端縁から基端部69を垂直に立ち上げ、該基端部69の先端を90°内側に折り曲げることによって先端部67を形成することで断面L字状の第1チョーク27を設けている。
同様に、上記遮蔽板65の他端縁に上記第1チョーク27と同形状、同サイズの第2チョーク29を設け、上記第1チョーク27と第2チョーク29とを対向する位置に配置することによってマイクロ波漏洩防止機構31が構成されている。
尚、上記第1チョーク27の先端部67と第2チョーク29の先端部67との間にはギャップGが形成されており、該ギャップGの中点Oから第1チョーク27及び第2チョーク29のそれぞれの先端部67と基端部69の接続点Bまでの距離L1は、上記中点Oから遮蔽板65側に引いた垂線と遮蔽板65の対向面との接点Cまでの距離L2とほぼ等しく、ともに使用するマイクロ波の波長λの1/4程度の長さになるように設定されている。
因みに、このような寸法設定を採用することによって、上記中間経路63中に上記波長λの1/4の長さの迂回路が形成され、該迂回路での反射波と上記接続点Bから中点Oに向かう波との位相差が上記波長λの1/2になって互いに打ち消し合うことになり、乾燥室25の外部へのマイクロ波の漏洩が防止されるのである。
上記乾燥室本体15の一例として天板上部には、マイクロ波照射装置19におけるマイクロ波発振装置20が取り付けられており、乾燥室本体15の天板部に対して一例として形成されている照射口25から乾燥室本体15の内部に向けてマイクロ波が照射されるように構成されている。
そして、上記照射口25には、一例としてポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))製のシートTが貼設されており、マイクロ波発振装置20から発振されたマイクロ波を通すが、乾燥によって被乾燥物Aから発生した蒸発水分のマイクロ波発振装置20側への進入を防止している。
また、上述した11個に乾燥室本体15を区画した各領域には、一例として可変出力が1.9kwのマイクロ波発振装置20が4基配置されている。尚、図示しないスタラファンと該スタラファンを駆動するためのモータとが適宜配置されていてもよい。
また、搬送方向Yの下流側の3組のマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUのマイクロ波照射装置19には、他のマイクロ波照射装置19よりも長い導波管125が設けられており、これらの導波管125におけるマイクロ波発振装置20寄りの端部には、アイソレータ127が配置されている。そして、このアイソレータ127により乾燥が進んで増大したマイクロ波の反射波がマイクロ波発振装置20側に戻らないようにしている。
尚、上記のように上部が開口する金属製容器2に被乾燥物Aを収容し、マイクロ波発振装置20から金属製容器2に収容した被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射した場合、金属製容器2の金属部に接する部分の温度が上昇し難いことがわかっている。
すなわち、誘電体にマイクロ波電界を加えた場合の誘電体中で熱に変わる電力損失Pは、下記の数式によって求められる。
Figure 0006558675
上記の数式中マイクロ波エネルギーの電界強度Eは、金属面では短絡されているので「0」になる。したがって、金属製容器2内に水分を含んだ被乾燥物を入れ、上部からマイクロ波を照射した場合、該金属製容器2の内側面や底面と接する部分では上式の電界強度Eが 「0」であるため殆ど発熱しなくなることから、被乾燥物Aの温度上昇は金属部では非常に緩慢になり、被乾燥物Aの乾燥ムラが発生し易い。
本実施の形態による乾燥焼成装置1では、上記乾燥室本体15内に、金属製容器2の底面部2bを電熱ヒータ75の輻射熱によって加熱することで被乾燥物Aを乾燥させる乾燥ヒータユニット71が搬送方向Yに沿って複数組配置されている。
上記乾燥ヒータユニット71は、上述した金属製容器2の底面部2bに輻射熱を作用させるように配置される、一例として直棒状をした複数本の電熱ヒータ75と、該電熱ヒータ75から放出される輻射熱の作用面となる上面を除く、電熱ヒータ75の周囲を包むように配置される断熱材77と、上記電熱ヒータ75から放出される輻射熱の作用面となる上面を除く、上記断熱材77の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバー78と、を備えることによって基本的に構成されている。尚、電熱ヒータ75は金属製容器2の底面部2bの幅より長く形成されている場合には、底面部2bと側面部2aに輻射熱を作用させることができる。
また、本実施の形態では、上記電熱ヒータ75の周辺の温度を計測する熱電対73と、該熱電対73によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータ75のヒータ出力を制御する制御装置11と、を更に備えることによって構成されている。
電熱ヒータ75としては、赤外線照射式の電熱ヒータが使用でき、一例として定格出力が0.75kwで最大1000℃程度まで加熱できるものを前後に15本、所定ピッチで並設したものを適用した。
断熱材77としては、高温での使用に耐えられる無機繊維断熱材である綿状またはシート状のセラミックファイバーが一例として適用できる。また、断熱材カバー78としては、一例としてステンレス鋼板によって容器状に成形された図示のような形状のカバーが適用できる。
因みに、断熱材77を設けることで、電熱ヒータ75から放出される輻射熱を効率良く必要な部位に集中させて作用させることが可能になり、断熱材カバー78を設けることで、上記断熱材77の電熱ヒータ75からの脱落や外部への飛散を防止することが可能になる。
また、上記電熱ヒータ75と金属製容器2の底面部2bの下面との間には、10mm程度の隙間を設けることが望ましい。このような隙間を設けることで、金属製容器2の底面部2bの過剰な温度上昇を防止するとともに、該底面部2bと該底面部2bに連なる側面部2aとに作用させる必要な輻射熱が得られるようにしている。
熱電対73は、最大で1000℃程度まで加熱できる電熱ヒータ75周辺の高温の温度を計測できる種々のタイプの温度計が適用できる。
そして、該熱電対73と上記電熱ヒータ75から延びる配線74は、一例として乾燥室本体15の底板部に形成した開口を通って乾燥室本体15の外部に引き出されて、上述した制御ボックス10内の制御装置11に接続される。
上記乾燥ヒータユニットを71を備えることによって、電熱ヒータ75から放射される輻射熱を、金属製容器2の側面部2aや底面部2bに作用させて、マイクロ波のみでは乾燥が困難であった部位の乾燥を補填して被乾燥物Aをムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることが可能になる。
また、本実施の形態では、上記照射口25が形成されている乾燥室本体15の天板部から、該照射口25を取り囲むように下方に延びる垂れ壁93が設けられている。
垂れ壁93は、一例としてステンレス鋼製の角筒状の部材によって形成されており、該垂れ壁93の金属製容器2側端部となる下端部は、金属製容器2の周縁部83に臨むように接近状態で設けられている。
また、上記乾燥室本体15の底板部には、上述した金属製容器2や乾燥ヒータユニット71等を支持するための支持部材が設けられている。そして、該支持部材の一部が金属製容器2を支持するための支持部81になっており、該支持部81は、乾燥室本体15の内部を上下に仕切る中央部が開口された支持板81aと、該支持板81aの開口部に臨むように立ち上げられている左右に位置する支持の部材の上面に敷設されている、搬送方向Yに沿って延びる支持レール81cと、を備えることによって一例として構成されている。
また、上記支持部81によって支持される金属製容器2の周縁部83と、上述した垂れ壁93の下端部のフランジ部95と、の間には、上述した開口部13と開閉シャッター17との間に設けられていたのと同様のダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構31Bが設けられている。
尚、上述したマイクロ波漏洩防止機構31Bと金属製容器2の周縁部83との間の隙間は、10mm程度に設定されており、垂れ壁93内への空気の進入は許容するが、垂れ壁93外へのマイクロ波の漏洩を防止し得る寸法になっている。
尚、図示は省略するが、金属製容器2の左右の側縁部83c、83dと、これらと係合する支持レール81cとの間に同様のダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を設けることも可能である。
また、上記乾燥室本体15の下方には、金属製容器2の搬送方向Yに長い、アングル材等を矩形枠状に組み立てることによって構成される支持架台33が設けられている。そして、この支持架台33の後方からその内部、更に乾燥室本体15の上方空間を利用して、上述した11組のマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUに対応した位置に同じく11組の排風ユニットWが設けられている。
上記排風ユニットWは、上記支持架台33の後方に配置される送風手段の一例である吸気用熱風ファン103とヒータ105と、該吸気用熱風ファン103から延び、上記支持架台33の内部を通って上記乾燥室本体15の一例として底板部に形成されている吸気口106に対して接続されている送風ダクト107と、を備えている。
一方、乾燥室本体15の一例として天板部には排気口109が形成されており、該排気口109に対して接続される排気風量調整ダンパ111と、一例として上方から後方にかけて延びる排風ダクト113と、を備えることによって排風ユニットWが構成されている。
そして、上記吸気口106は上記垂れ壁93の外側に位置しており、上記排気口109は上記垂れ壁93の内側に位置している。これにより、吸気口106から乾燥室本体15内に流入した空気は、上記垂れ壁93の下端部に取り付けられている、上述したマイクロ波漏洩防止機構31Bと金属製容器2の周縁部83との間の隙間を通って垂れ壁93の内部に流入し、上記排気口109を通って乾燥室本体15外に排気されるように構成されている。
また、上記吸気口106及び排気口109には、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない口径2mm程度の通気口を有するパンチング板57が設けられており、乾燥室本体15外へのマイクロ波の漏洩を更に多重的に防止している。
また、上記吸気口106には、送風ダクト107が乾燥室本体15の外方に張り出すように取り付けられており、該送風ダクト107の適宜の位置には、図示しない金網が取り付けられていて、乾燥室本体15内への異物の混入を防止している。
また、上記排風ダクト113の適宜の位置にも図示しない金網が取り付けられていて、乾燥室本体15内への異物の混入を防止している。また、上記排風ダクト113の端部には図示しない排気集合ダクトが接続されており、該排気集合ダクトには送風手段の一例である図示しない排風機が接続されている。
また、上記乾燥装置3に対して設けられる搬送手段5Aは、上記支持レール81c上に整列配置されている複数(一例として11個)の金属製容器2を搬送方向Yに沿って移動させるための手段である。そして、本実施の形態では、一例として金属製容器2の取っ手85に2ヶ所ずつ作用して該金属製容器2に送り力Fを付与する一例として三角形板状の係止爪117と、これらの係止爪117を保持して所定ストローク、送り方向Y1と戻し方向Y2とに一体に移動させる2本の操作ロッド119と、駆動源となる駆動モータ121と、該駆動モータ121の出力軸の回転を一例としてチェーン駆動伝達機構を介して上記操作ロッド119の送り方向Y1ないし戻し方向Y2の直線運動に変換する揺動クランク機構123と、を備えることによって構成されている。
なお、搬送手段5Aとしては、上記の実施の形態のものに限られず、例えば、チェーンコンベヤを利用した搬送手段等を採用することも可能である。
(C)焼成装置の具体的構成(図15〜図19参照)
焼成装置4は、上記金属製容器2を搬入・搬出させる2つの開口部133A、133Bを有する焼成室本体135と、上記開口部133A、133Bに開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記焼成室本体135に遮蔽空間を形成する開閉シャッター137、137と、上記焼成室本体135に対し搬送方向Yに沿って複数組配置され、該焼成室本体135内に収容される被焼成物Dを焼成ヒータ152、153で加熱して被焼成物Dを焼成させて焼成品Eを得る焼成ヒータユニット151と、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本実施の形態では、焼成ヒータユニット151は、被焼成物Dを収容している金属製容器2の上方に配置される上部ヒータ152と、金属製容器の下方に配置される下部ヒータ153と、の2つの焼成ヒータを備えることによって構成されており、該金属製容器2に収容されている被焼成物Dを上方と下方の二方向から加熱することにより、被焼成物Dを焼成するように構成されている。
上記焼成ヒータユニット151は、本実施の形態では一例として14組設けられており、これらの焼成ヒータユニット151は、焼成室本体135の内部空間を搬送方向Yに沿って14に区画した各領域に各別に配置されている。
また、図15〜図19に示す焼成装置4は、大量の被焼成物Dを処理できる連続的な焼成が可能な大型の焼成装置になっている。
したがって、被焼成物Dの連続的な焼成を可能にする構成が備えられた処理能力が大きな焼成装置4になっており、例えば無機触媒粉末の製造ライン等に好適なヒータ加熱方式の焼成装置になっている。
焼成室本体135は、上記金属製容器2を一例として14個収容できる大きさの搬送方向Yに長い、角筒形状を有しており、その前端面には金属製容器2を搬入するための開口部133Aが形成されており、一方、その後端面には上記金属製容器2を搬出するための開口部133Bが形成されている。
また、これらの開口部133A、133Bのそれぞれには、開閉シャッター137、137が取り付けられており、上記焼成室本体135と開閉シャッター137とを備えることによって焼成室147が構成されている。尚、開閉シャッター137としては、上述した乾燥装置3において使用した開閉シャッター17と同様の構成のものが使用可能である。
焼成ヒータユニット151は、上述した金属製容器2の上方と下方に10mm程度の隙間を隔てて対向的に配置される複数本の電熱ヒータ155と、該電熱ヒータ155から放出される輻射熱の作用面となる対向面を除く、電熱ヒータ155の周囲を包むように配置される断熱材157と、上記電熱ヒータ155から放出される輻射熱の作用面となる対向面を除く、上記断熱材157の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバー158と、を備えることによって基本的に構成されている。
また、焼成ヒータユニット151には、上記電熱ヒータ155の周囲の温度を計測する図示しない熱電対が設けられており、該熱電対によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータ155のON、OFFを切り替えたり、ヒータ出力を微調整して、常に加熱温度が300℃程度になるように制御している。
電熱ヒータ155としては、赤外線照射式の電熱ヒータが使用でき、一例として定格出力が0.75kwで最大1000℃程度まで加熱できるものを前後に18本、所定ピッチで並設したものを適用した。
断熱材157としては、高温での使用に耐えられる無機繊維断熱材である綿状またはシート状のセラミックファイバーが一例として適用できる。また、断熱材カバー158としては、一例としてステンレス鋼板によって容器状に成形された図示のような形状のカバーが適用できる。
因みに、断熱材157を設けることで、電熱ヒータ155から放出される輻射熱を効率良く必要な部位に集中させて作用させることが可能になり、断熱材カバー158を設けることで、上記断熱材157の電熱ヒータ155からの脱落や外部への飛散を防止することが可能になる。
また、金属製容器2の上下に配置される上部ヒータ152及び下部ヒータ153と、金属製容器2の上面と下面と、の間には、10mm程度の隙間を設けることが望ましい。このような隙間を設けることで、金属製容器2ないし被焼成物Dの過剰な温度上昇を防止している。
また、上記焼成ヒータユニット151の上部ヒータ152と金属製容器2の隙間にできる空隙部Jに臨むようにその側方には、熱風吹込みノズル171が配置されている。そして、熱風発生器173から供給される所定温度の熱風が上記熱風吹込みノズル171によって所定流量で上記空隙部Jに吹き込まれ、焼成によって発生した焼成ガスを伴って排気ダクト179から焼成室本体135の外部に向けて排気されるように構成されている。
上記熱風吹込みノズル171は、図19に示すように金属製容器2の大きさに合わせて開口幅が設定される広口の偏平なノズルで、熱風発生器173によって発生された約300℃の熱風を約0.9m3/minの流量で送風ダクト175に送って上記熱風吹込みノ ズル171から上記空隙部Jに向けて吹き込ませるようにしている。
そして、本実施の形態では、熱風発生器173は、焼成室本体135内の4つ目〜14個目の領域については1基ずつ、焼成室本体135内の上流側の1つ目〜3つ目の領域については、上記のものより小型のものが3基ずつ、計20基が一例として配置されている。
そして、これらの熱風発生器173で発生した熱風は、送風ダクト175を通って、途中ヒータ177で加熱されることによって熱風の温度が維持され、上記各領域の空隙部Jに臨んでいる14個の各熱風吹込みノズル171に供給される。
また、上記焼成室本体135の下方には、金属製容器2の搬送方向Yに長い、アングル材等を矩形枠状に組み立てることによって構成される支持架台143が設けられている。
また、上記焼成室本体135の底板部の上方には、上述した金属製容器2や下部ヒータ153等を支持するための支持部材が設けられており、上記焼成室本体135の天板部の下方には、上述した上部ヒータ152等を吊持状態で支持するための支持部材が設けられている。
そして、焼成室本体135の底板部の上方に設けられている支持部材の一部が金属製容器2を支持するための支持部161になっており、該支持部161は、焼成室本体135の内部を上下に仕切る中央部が開口された支持板161aと、該支持板161aの開口部に臨むように立ち上げられている左右に位置する支持部材の上面に敷設されている、搬送方向Yに沿って延びる支持レール161cと、を備えることによって一例として構成されている。
また、上記支持架台143には、上記乾燥装置3に対して設けられている搬送手段5Aと同様の構成を有する搬送手段5Bが設けられている。そして、乾燥装置3に対して設けられている搬送手段5Aと、焼成装置4に対して設けられている搬送手段5Bは、乾燥焼成装置1の連続運転時には同期して作動するように構成されている。
尚、焼成装置4に対して設けられている搬送手段5Bの具体的構成については、既に説明した乾燥装置3に対して設けられている搬送手段5Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
(2)第2の実施の形態(図20参照)
本発明の乾燥焼成方法は、金属製容器2に被乾燥物Aを収容して搬入側の開口部13Aから乾燥装置3の乾燥室本体15内に搬入する乾燥準備工程S1と、上記乾燥室本体15内に搬入された金属製容器2を搬出側の開口部13Bに向けて搬送する被乾燥物搬送工程S2と、上記乾燥室本体15内を搬送される被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して乾燥させるマイクロ波乾燥工程S3と、上記乾燥装置3によって乾燥された乾燥品D(被焼成物Dと同じ符号を使用する)を被焼成物Dとして搬入側の開口部133Aから焼成装置4の焼成室本体135内に搬入する焼成準備工程S5と、上記焼成室本体135内に搬入された金属製容器2を搬出側の開口部133Bに向けて搬送する被焼成物搬送工程S6と、上記焼成室本体135内を搬送させる被焼成物Dを上部ヒータ152と下部ヒータ153を備える焼成ヒータユニット151によって上方と下方の二方向から加熱して焼成品Eを得る焼成工程S7と、を備えることによって基本的に構成されている。
そして、本発明では、上記各工程は、金属製容器2に被乾燥物Aを収容して上記乾燥室本体15内に搬入してから上記焼成室本体135外に搬出するまで同一の金属製容器2を順次移動させることによって実行されるように構成されている。
また、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態による乾燥焼成装置1を使用して無機触媒粉末を製造する場合の乾燥焼成方法を示している。
これに伴い、本実施の形態では、乾燥室本体15内を搬送される被乾燥物Aに対して乾燥ヒータユニット71による輻射熱を作用させて乾燥させるヒータ乾燥工程S4と、焼成後の焼成品Eを冷却する冷却工程S8と、冷却後の焼成品Eをストックするストック工程S9と、を更に備えた構成が一例として採用されている。
以下、該乾燥焼成方法を構成している各工程の内容について(a)乾燥の準備と、(b)乾燥の実行と、(c)焼成の準備と、(d)焼成の実行と、(e)その他の処理の5段階に分けて具体的に説明する。
(a)乾燥の準備
まず、ミキサー7に原料となる硝酸とレアメタルを入れて混練し、ロードセル8によって重量を計測して所定量ずつ被乾燥物Aを、搬送コンベヤ6A上に整列されている金属製容器2内に収容する。尚、この時の被乾燥物Aの固形物は一例として約7kg、水分は約9kgである。
次に、搬入側の開口部13Aを閉塞している開閉シャッター17を拡開方向に駆動して開け、搬送手段5Aの駆動モータ121を駆動して乾燥室本体15内に向けて上記被乾燥物Aが収容された金属製容器2を所定ストローク移動させる。
即ち、上記駆動モータ121が駆動を開始すると、駆動モータ121の出力軸の回転がチェーン駆動伝達機構を介して揺動クランク機構123に伝達される。そして、該揺動クランク機構123によって直線運動に変換された力が操作ロッド119に伝達され、該操作ロッド119は係止爪117を一体に伴って送り方向Y1に所定ストローク移動する。
これに伴い、乾燥室本体15の搬入側の開口部13Aの手前の位置に待機していた金属製容器2に係止爪117が作用して送り力Fが付与される。具体的には、係止爪117が回動接続ピン118を中心に回動して係止位置に移行することで取っ手85に係止されるようになって上記金属製容器2に送り力Fが付与される。
そして、上記金属製容器2は、拡開状態の搬入側の開口部13Aを通って乾燥室本体15内に進入し、乾燥室本体5内の上流側の最初の乾燥領域に移動して停止する。
次に、開閉シャッター17を閉塞方向に移動させて搬入側の開口部13Aを閉める。尚、この時、搬出側の開口部13Bは開閉シャッター17によって閉塞された状態のままである。
(b)乾燥の実行
次に、マイクロ波照射装置19と乾燥ヒータユニット71とを駆動し、約5分間、被乾燥物Aの重量等に基づいて定められる所定の出力でのマイクロ波乾燥と、約300℃の乾燥温度でのヒータ乾燥と、を同時に実行する。更に、排風ユニットWを駆動し、乾燥室本体15内にヒータ105によって所定の温度(例えば200℃程度)に加熱された所定流量(例えば5.5m3/min程度)の空気を取り込んで乾燥によって発生した乾燥室本 体15内の蒸気を結露させないよう、排風ダクト113に接続される図示しない排気集合ダクトの上流位置での温度が約80℃、相対湿度が100%より僅かに低い湿度(結露しない限界の湿度)になるように設定して排気風量調整ダンパ111によってその風量を調整しながら排風ダクト113から外部に排出する。
尚、送風ダクト107を通って乾燥室本体15内に送られてきたヒータ105によって加熱された空気は、図7に示すように乾燥室本体15内の支持部材間の隙間を通って、支持部81の上方空間に流入し、更に垂れ壁93と金属製容器2との間の隙間を通って垂れ壁93の内方空間に流入する。そして、垂れ壁93内において発生した蒸気を伴って、上記排気口109から排風ダクト113を通って外部に排出される。
また、上記の乾燥時間を利用して、搬送手段5Aの駆動モータ121を逆方向に回転させて操作ロッド119を戻し方向Y2に移動させる。これに伴い、上記係止爪117は回動接続ピン118を中心に所定の角度回動し係止解除位置に至る。以下、同様の動作を所定回数繰り返すと、被乾燥物Aは搬送方向Yの最下流位置の乾燥領域に到達し、同じく約5分間のマイクロ波乾燥とヒータ乾燥とが同時に実行される。したがって、本実施の形態では、トータルの乾燥時間が約55分となる。
尚、上述したように一例として11に区画した各領域での水分の蒸発量は一様でなく、最初の1つ目と2つ目の領域で被乾燥物A中の水分を常温から沸点まで昇温させる(したがって蒸発量は僅か)。次の3つ目の領域から蒸発が活発になり、4つ目〜7つ目位の領域で蒸発が最も活発になる。そして、8つ目の領域から蒸発が激減し、最後の11個目の領域でその水分量を0にすることを目標にしている。
また、本実施の形態では、乾燥前の被乾燥物Aの重量を上述したロードセル8によって計測し、該計測した重量に基づいてマイクロ波出力またはマイクロ波の照射時間を設定している。したがって、被乾燥物Aの重量が10%少なければマイクロ波の照射時間を10%短くして4.5分にしたり、マイクロ波出力を10%小さくする等、設定を変えて乾燥を実行する。一方、電熱ヒータ75は、熱電対73で計測した温度情報に基づいてヒータ出力のON、OFFの切り替えとヒータ出力の微調整を行い、常時約300℃の乾燥温度が保持されるようにしている。
(c)焼成の準備
上記乾燥終了後、搬出側の開口部13Bを閉塞していた開閉シャッター17を開け、搬送手段5Aの駆動モータ121を駆動して金属製容器2を所定ストローク、搬送方向Yに移動させる。これにより、乾燥室本体15内の最下流位置の乾燥領域に存していた金属製容器2は、搬出側の開口部13Bを通って乾燥室本体15の外部に搬出される。
そして、必要に応じて乾燥品Dの乾燥状態や外観等が検査され、良品と判断された乾燥品Dは被焼成物Dとして焼成室本体135内に搬入される。即ち、搬入側の開口部133Aを閉塞している開閉シャッター137を開け、搬送手段5Bの駆動モータ121を駆動して、金属製容器2を所定ストローク移動させて焼成室本体135内の最初の焼成領域に至らせる。金属製容器2の所定ストロークの移動後、開閉シャッター137を閉めて上記搬入側の開口部133Aを閉塞状態にする。
(d)焼成の実行
次に、焼成ヒータユニット151を駆動して約300℃の焼成温度を保って、約5分間、ヒータ加熱を実施して焼成を実行する。焼成ヒータユニット151を駆動すると上部ヒータ152と下部ヒータ153から輻射熱が被焼成物Dに作用するようになり、該被焼成物Dを上方と下方の二方向から加熱する。
また、この時、熱風発生器173が同時に駆動し、熱風発生器173によって発生された熱風は、送風ダクト175を通り、途中、ヒータ177で約300℃の温度に保たれた状態で約0.9m3/minの流量で熱風吹込みノズル171から空隙部Jに向かって吹き込まれる。
そして、上記空隙部Jに吹き込まれた熱風によって、被焼成物Dから発生する有毒な焼成ガスは、排気ダクト179を通って焼成室本体135の外部に排気されて、有毒ガスを除去したり吸着捕捉するための適宜の処理が実行される。
また、上記の焼成時間を利用して、搬送手段5Bの駆動モータ121を逆方向に回転させて操作ロッド119を戻し方向Y2に移動させる。これに伴い、上記係止爪117は上記と逆方向に回動して係止解除位置に至る。
以下、同様の動作を焼成領域の数の分、所定回数繰り返すと、被焼成物Dは搬送方向Yの最下流位置の焼成領域に到達し、同じく約5分間のヒータ加熱の実行後、開閉シャッター137を開けて焼成室本体135の搬出側の開口部133Bから焼成室本体135の外部に搬出する。したがって、本実施の形態では14の焼成領域があるから、トータルの焼成時間は約70分となる。
(e)その他の処理
以上で、被焼成物Dの焼成が終了し、焼成品Eである無機触媒粉末が得られる。焼成室本体135から搬出された金属製容器2は、次工程の冷却工程S8で冷却された後、搬送手段185によって搬送方向Yに送られ、ストック工程S9においてストック用の搬送コンベヤ6B上に順次ストックされて行く。
そして、このようにして構成される第1の実施の形態による乾燥焼成装置1と、第2の実施の形態による乾燥焼成方法によれば、被乾燥物Aを高温で乾燥させたり、被焼成物Dを高温で焼成させても容器に熱変形等を生じさせることがない。
また、乾燥時の容器の内側面や底面と接する部分の被乾燥物Aの乾燥温度の低下を防止して被乾燥物Aをムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることが可能になる。
また、焼成時に上方と下方の二方向からのヒータ加熱により効率の良い焼成が実行されるようになる。
また、同一の金属製容器を使用して乾燥と焼成の両方を行うことができるから、樹脂製容器から金属製容器に移し替える作業は必要なく、乾燥から焼成への移行が円滑になる。
また、移し替えのために、樹脂製容器と被乾燥物の温度が作業可能な温度まで下がるのを待つ必要がなく、乾燥から焼成への一連の作業が迅速に実行できる。
また、乾燥装置では搬送方向に沿って複数組のマイクロ波照射装置を配置し、焼成装置では搬送方向に沿って複数組の焼成ヒータユニットを配置し、搬送手段によってこれらの各領域を順次移動させるようにしたから、金属製容器を順次移動させながら、被乾燥物の乾燥状態と被焼成物の焼成状態とを段階的に高めて行く、連続的な焼成品の製造が可能になる。
尚、本発明の乾燥焼成装置1及び乾燥焼成方法は、上記の実施の形態のものに限定されずその発明の要旨内での変更が可能である。
例えば、乾燥ヒータユニット71ないし焼成ヒータユニット151の加熱源として採用した赤外線照射式の電熱ヒータ75、155に代えて、他のタイプの電熱ヒータ、ガスバーナ、IH(induction heating)ヒータ、蒸気加熱を利用したヒータ等を採用したり、これらタイプの違う複数のヒータを併用して使用することが可能である。
また、マイクロ波発振装置20の容量や数、電熱ヒータ75、155の出力の大きさや数や配置は、乾燥そして焼成する被乾燥物Aないし被焼成物Dの量や種類あるいは乾燥室本体15ないし焼成室本体135の大きさ等の違いに応じて適宜調整可能である。また、上述した金属製容器2の大きさも上記説明の中で明記した大きさに限らず、適宜変更することが可能である。更に、金属製容器2の形状も浅底の円筒形状にする等、他の形状であっても構わない。
また、上記実施の形態において複数設けた搬送手段5A、5B、185を搬送方向Yに長い単一の搬送手段5によって構成することも可能である。
また、上記乾燥焼成方法の各工程は、金属製容器に被乾燥物を収容して上記乾燥室本体内に搬入してから上記焼成室本体外に搬出するまで同一の金属製容器を順次移動させることによって実行されるものであり、この移動形式は一定時間ごと間欠的に移動させるほか、連続的に移動させることによって実行されるものでもよい。
本発明の乾燥焼成装置及び乾燥焼成方法は、高温での乾燥と焼成を行っている無機触媒粉末等の製造ライン等で利用でき、特に容器の熱変形等を防止し、乾燥と焼成とを円滑に効率良く実施したい場合に利用可能性を有する。
1 乾燥焼成装置
2 金属製容器
2a 側面部
2b 底面部
3 乾燥装置
4 焼成装置
5 搬送手段
6 搬送コンベヤ
7 ミキサー
8 ロードセル
9 冷却装置
10 制御ボックス
11 制御装置
13 開口部
15 乾燥室本体
17 開閉シャッター
19 マイクロ波照射装置
20 マイクロ波発振装置
21 シール部材
23 シール構造
25 照射口
27 第1チョーク
29 第2チョーク
31 マイクロ波漏洩防止機構
33 支持架台
35 乾燥室
57 パンチング板
61 シール面
63 中間経路
65 遮蔽板
67 先端部
69 基端部
71 乾燥ヒータユニット
73 熱電対
74 配線
75 電熱ヒータ
77 断熱材
78 断熱材カバー
81 支持部
81a 支持板
81c 支持レール
82 容器本体
83 周縁部
83a 前縁部
83b 後縁部
83c 左側縁部
83d 右側縁部
85 取っ手
93 垂れ壁
95 フランジ部
103 吸気用熱風ファン(送風手段)
105 ヒータ
106 吸気口
107 送風ダクト
109 排気口
111 排気風量調整ダンパ
113 排風ダクト
117 係止爪
118 回動接続ピン
119 操作ロッド
121 駆動モータ
123 揺動クランク機構
125 導波管
127 アイソレータ
133 開口部
135 焼成室本体
137 開閉シャッター
143 支持架台
145 焼成室
151 焼成ヒータユニット
152 上部ヒータ(焼成ヒータ)
153 下部ヒータ(焼成ヒータ)
155 電熱ヒータ
157 断熱材
158 断熱材カバー
161 支持部
161a 支持板
161c 支持レール
171 熱風吹込みノズル
173 熱風発生器
175 送風ダクト
177 ヒータ
179 排気ダクト
181 冷却室
183 支持架台
185 搬送手段
A 被乾燥物
G ギャップ
O 中点
B 接続点
C 接点
L 距離
D 乾燥品(被焼成物)
E 焼成品
S1 乾燥準備工程
S2 被乾燥物搬送工程
S3 マイクロ波乾燥工程
S4 ヒータ乾燥工程
S5 焼成準備工程
S6 被焼成物搬送工程
S7 焼成工程
S8 冷却工程
S9 ストック工程
T シート
Y 搬送方向
Y1 送り方向
Y2 戻し方向
U マイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニット
W 排風ユニット
F 送り力
J 空隙部

Claims (10)

  1. 被乾燥物ないし被焼成物を収容する金属製容器と、
    上記金属製容器を搬入・搬出させる2つの開口部を有する乾燥室本体と、上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉シャッターと、上記乾燥室本体に対し搬送方向に沿って複数組配置され、該乾燥室体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、を備える乾燥装置と、
    上記金属製容器を搬入・搬出させる2つの開口部を有する焼成室本体と、上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記焼成室本体に遮蔽空間を形成する開閉シャッターと、上記焼成室本体に対し搬送方向に沿って複数組配置され、該焼成室本体内に収容される被焼成物を焼成ヒータで加熱して被焼成物を焼成させる焼成ヒータユニットと、を備える焼成装置と、
    被乾燥物を収容した金属製容器を上記乾燥室本体内に搬入し、上記複数組のマイクロ波照射装置の存する各領域を順次移動させるとともに、被焼成物を収容した金属製容器を上記焼成室本体内に搬入し、上記複数組の焼成ヒータユニットの存する各領域を順次移動させる搬送手段と、を具備し、
    上記乾燥室本体の内部には、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射口が形成されている部分から、該照射口を取り囲むように金属製容器に向かって延びる垂れ壁が設けられており、
    上記垂れ壁の金属製容器側端部は、乾燥室本体の内部において移動する金属製容器の周縁部に臨むように接近状態で設けられていて、
    上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とする乾燥焼成装置。
  2. 上記焼成ヒータユニットは、被焼成物を収容している金属製容器の上方に配置される上部ヒータと、金属製容器の下方に配置される下部ヒータと、を備えることによって構成されており、該金属製容器に収容されている被焼成物を上方と下方の二方向から加熱することにより、被焼成物を焼成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の乾燥焼成装置。
  3. 上記乾燥装置は、上記乾燥室本体内に対して搬送方向に沿って複数組配置され、上記金属製容器の底面部を電熱ヒータによって加熱することで被乾燥物を乾燥させる乾燥ヒータユニットを備えていることを特徴とする請求項1または2記載の乾燥焼成装置。
  4. 上記乾燥ヒータユニットは、上記金属製容器の底面部に輻射熱を作用させるように配置される複数本の電熱ヒータと、
    上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面を除く、電熱ヒータの周囲を包むように配置される断熱材と、
    上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面を除く、上記断熱材の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバーと、を備えていることを特徴とする請求項3記載の乾燥焼成装置。
  5. 上記乾燥ヒータユニットは、上記電熱ヒータから放出される輻射熱の作用面付近の温度を計測する熱電対と、
    上記熱電対によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータのヒータ出力を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項3または4記載の乾燥焼成装置。
  6. 被乾燥物の重量を計測するロードセルと、上記ロードセルによって計測された被乾燥物の重量に基づいて上記マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波出力または乾燥時間を設定する制御装置と、を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置。
  7. 上記乾燥室本体には、乾燥室本体内に空気を導入する吸気口と、乾燥室本体内の湿気を含んだ空気を乾燥室本体外に排出する排気口と、が備えられていて、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方には、加熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出する送風手段が接続されており、
    上記吸気口及び排気口には、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない通気口を有するパンチング板が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置。
  8. 上記搬送手段は、上記乾燥装置と焼成装置のそれぞれに各別に設けられており、乾燥装置に設けられる搬送手段と焼成装置に設けられる搬送手段は、連続運転時には同期して作用するように構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置。
  9. 上記搬送手段は、上記乾燥室本体内ないし焼成室本体の内部において搬送方向に沿って敷設されている支持レール上に整列配置される複数の金属製容器の全部またはその一部に作用して金属製容器に送り力を付与する係止爪と、
    上記係止爪を保持して所定ストローク、送り方向と戻し方向とに係止爪を移動させる操作ロッドと、
    駆動源となる駆動モータと、
    上記駆動モータの出力軸の回転を上記操作ロッドの送り方向ないし戻し方向の直線運動に変換する揺動クランク機構と、を備え、
    上記係止爪は、上記操作ロッドに対して回動接続ピンを介して回動可能に接続されており、操作ロッドを戻し方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が解除される係止解除位置に移行し、操作ロッドを送り方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が実行される係止位置に移行するように構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置。
  10. 上記焼成ヒータユニットの上部ヒータと金属製容器との間の空隙部に臨むその側方には、熱風吹込みノズルが配置されており、熱風発生器から供給される所定温度の熱風が上記熱風吹込みノズルによって所定流量で上記空隙部に吹き込まれ、焼成によって発生した焼成ガスを伴って焼成室本体の外部に排気されるように構成されていることを特徴とする請求項2〜のいずれかに記載の乾燥焼成装置。
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