JP6557759B1 - クーラント循環装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】工作機械の加工に用いられたクーラントからマグネットセパレータによって磁性粉体を除去し、工作機械の加工時に磁性粉体を除去したクーラントを供給するクーラント循環装置において、クーラントを貯留するタンクに泡が生じると磁性粉体等のスラッジの沈降が遅くなり、貯留タンクが大型化する。泡の発生を抑制することにより、小型化が可能なクーラント循環装置を提供する。【解決手段】クリーンタンク38にクーラントが流出する、マグネットセパレータ16の流出口46をクリーンタンク38内のクーラントの液面より低く、またクーラントに浸漬される位置とする。これにより、クーラントがクリーンタンク38に流入する際の泡の発生が抑制され、クリーンタンク38およびクーラント循環装置14の小型化が容易となる。【選択図】図3

Description

本発明は、クーラントからそれに含まれる磁性粉体を除去するためのマグネットセパレータと磁性粉体を除去されたクーラントを貯留するタンクとを備えたクーラント循環装置に関するものである。
自動車部品、ベアリングなどの製造に際して用いられる研削盤、切削盤等の工作機械において、工作機械から排出されるクーラントから、それらの加工によって生じる磁性粉体をマグネットセパレータによって除去し、浄化されたクーラントを、前記工作機械へ再循環して供給するクーラント循環装置が用いられている。例えば、特許文献1および特許文献2に示されたクーラント循環装置においては、工作機械等の加工によって生じる磁性粉体を含んだクーラントは、マグネットセパレータに送られ、前記マグネットセパレータによって磁性粉体を除去し、浄化されたクーラントは、前記マグネットセパレータの開口部から流出し前記マグネットセパレータの下部に設置されているタンクに貯留される。工作機械の作動等によって浄化されたクーラントの供給が必要とされた場合、浄化され前記タンクに貯留されたクーラントがポンプ等によって前記工作機械に供給される。このようなクーラント循環装置によって、クーラントから磁性粉体が適切に除去されるとともに、工作機械の加工時において、浄化されたクーラントが供給される。
特開2002−103172号公報 特開2014−28409号公報
上記のクーラント循環装置において、前記タンクは、マグネットセパレータで完全には除去できなかった磁性粉体を沈降し、磁性粉体が工作機械の加工時に送られることを抑制する機能も持っている。しかし、クーラントは、前記マグネットセパレータの開口部から、前記マグネットセパレータの下部に設置されている前記タンク内に流入し貯留されるが、前記マグネットセパレータの開口部と前記タンクの液面とに高低差すなわち落差が生じているため、クーラントに泡を生じやすくなっている。クーラントに泡が生じ、前記マグネットセパレータで完全には除去できなかった磁性粉体に泡が付着した場合、泡が付着した磁性粉体がクーラント中を浮遊し、クーラントの工作機械への供給時にポンプに吸い込まれることによって、工作機械に供給される虞が生じる。泡が付着した磁性粉体が前記ポンプに吸い込まれることを抑制するために、磁性粉体の泡が消えて磁性粉体が沈降するのを待つには、前記タンクにおいて、クーラントが前記マグネットセパレータから前記タンクへ流入する位置と前記ポンプの吸入口の位置とを離れた場所に設置する必要がある。このため、浄化されたクーラントを貯留するタンクを大きくする必要が生じ、クーラント循環装置の小型化が難しいものとなっている。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、マグネットセパレータによって浄化されたクーラントを貯留するタンクに生じる泡の発生を抑制することにより前記タンクの小型化を可能とし、より小型化されたコンパクトなクーラント循環装置を供給することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)ダーティ液を貯留するダーティ液槽およびクリーン液を貯留するクリーン液槽を含む貯留槽と、前記貯留槽内で回転可能に支持された円筒状外周面を有し前記円筒状外周面に磁力により磁性粉体を吸着するドラムと、前記ダーティ液を前記ドラムの円筒状外周面に沿って案内しクリーン液槽へ導く案内板と、前記ドラムの円筒状外周面に付着した磁性粉体を掻き取る掻取板と、を備えるマグネットセパレータ、および、(b)前記貯留槽の外部に設けられ、前記マグネットセパレータによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われて前記クリーン液槽から流出したクリーン液を貯留するクリーンタンクを、有するクーラント循環装置において、(c)前記マグネットセパレータの貯留槽の底壁には、前記底壁のうちの前記クリーン液槽に対応する部分に開口する流出口が形成され、(d)前記クリーンタンクは、前記マグネットセパレータの底部を収容し、前記マグネットセパレータの前記クリーン液槽から前記流出口を通して重力により下方へ流出するクリーン液を受けて前記クリーン液を貯留し、前記クリーン液をオーバーフローさせて前記クリーン液の液面を前記流出口より高く設定された一定の液面に維持するオーバーフロー部を備え、(e)記流出口が、前記クリーンタンク内のクリーン液の液面よりも低位置であるとともに、前記クリーンタンク内のクリーン液に浸漬される位置に備えられていることを特徴とする。
第2発明の要旨とするところは、第1発明のクーラント循環装置において、前記クリーンタンクに貯留されたクリーン液の液面は、前記マグネットセパレータの貯留槽内のクリーン液槽に貯留されたクリーン液の液面と同じ高さ位置であることにある。
発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明のクーラント循環装置において、前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントを貯留する前記貯留槽内のダーティ液槽において、前記ドラムの下部に前記貯留槽の底面に対向して設けられた第1整流板部と前記貯留槽の側壁に対向して設けられた第2整流板部とが備えられるとともに、前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントが流体ポンプによって、前記第1整流板部および前記第2整流板部の少なくとも一方に向かって圧送される位置に設けられていることを特徴とする
第1発明によれば、クーラントを貯留する貯留槽と、前記貯留槽内で回転可能に支持された円筒状外周面を有し、前記円筒状外周面に磁力により磁性粉体を吸着するドラムと、を備えるマグネットセパレータとともに、前記マグネットセパレータによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われたクーラントを貯留するクリーンタンク、を有するクーラント循環装置において、前記マグネットセパレータの貯留槽の底壁には、前記底壁のうちの前記クリーン液槽に対応する部分に開口する流出口が形成され、前記クリーンタンクは、前記マグネットセパレータの底部を収容し、前記マグネットセパレータの前記クリーン液槽から前記流出口を通して重力により下方へ流出するクリーン液を受けて前記クリーン液を貯留し、前記クリーン液をオーバーフローさせて前記クリーン液の液面を前記流出口より高く設定された一定の液面に維持するオーバーフロー部を備え、前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われたクーラントが貯留される前記貯留槽内のクリーン液槽から前記クリーンタンクへ流出する前記貯留槽の流出口が、前記クリーンタンク内のクーラントの液面よりも低位置であるとともに、前記クリーンタンク内のクーラントに浸漬される位置に備えられている。これによって、前記マグネットセパレータの前記流出口と前記クリーンタンクの液面とに高低差すなわち落差が生じることが無いことにより、前記マグネットセパレータのクリーン液槽から前記クリーンタンクへのクーラントの移動において、前記クリーンタンク内のクーラントの液面における泡の発生が抑制され、前記クリーンタンクの小型化が可能となるとともに、クーラント循環装置の小型化が可能となる。
第2発明によれば、前記クリーンタンクに貯留されたクリーン液の液面は、前記マグネットセパレータの貯留槽内のクリーン液槽に貯留されたクリーン液の液面と同じ高さ位置である。これによって、前記クリーンタンク内のクーラントの液面における泡の発生が抑制され、前記クリーンタンクの小型化が可能となるとともに、クーラント循環装置の小型化が可能となる
発明によれば、前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントを貯留する前記貯留槽内のダーティ液槽において、前記ドラムの下部に前記貯留槽の底面に対向して設けられた第1整流板部と前記貯留槽の側壁に対向して設けられた第2整流板部とが備えられるとともに、前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントが流体ポンプによって、前記第1整流板部および前記第2整流板部の少なくとも一方に向かって圧送される位置に設けられている。これによって、前記貯留槽内のダーティ液槽における磁性粉体の沈降が抑制されるとともに、前記ドラムの下部は、従来の貯留槽において、有効に用いられていないスペースであり、ここにクーラントを整流化する前記第1整流板部および前記第2整流板部を設けることによって、マグネットセパレータの小型化が可能となる。
従来のクーラント循環装置の貯留タンク、マグネットセパレータ、およびポンプの配置を説明する図である。 本発明が適用されるクーラント循環装置の貯留タンク、マグネットセパレータ、およびポンプの配置を説明する図である。 図2のマグネットセパレータとクリーンタンクとの要部の構造を説明する図である。 図3のクリーンタンクのオーバーフロー面をA側から見た矢視図である。 図3のマグネットセパレータの貯留槽の底部に設けた流入口からクーラントを流入した場合の流速の分布を、流入口を通る断面で示した図である。 図5のマグネットセパレータにおいて、ドラムの軸方向に移動した位置におけるクーラントの流速の分布を示した図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、従来のクーラント循環装置114のクリーンタンク138、マグネットセパレータ116等の基本的な構成の一例を説明する概略図である。クーラント循環装置114は、工作機械である研削盤112から排出されたクーラントであるダーティ液150を貯留するダーティタンク136、ダーティ液150をマグネットセパレータ116に圧送する第1ポンプ140(流体ポンプに対応する。以降、第1ポンプとする)、ダーティ液150に含まれる磁性粉体を除去するマグネットセパレータ116、マグネットセパレータ116を通過したクーラント、すなわちクリーン液152が貯留されるクリーンタンク138、および、クリーンタンク138に貯留されたクーラントを研削盤112に送出する第2ポンプ142から構成される。マグネットセパレータ116は、貯留槽122と、貯留槽122内に回転可能に支持された磁気ドラム118(ドラムに対応する。以降、磁気ドラムとする)と、貯留槽122へのクーラントの流入口144の近傍に設置されている整流板132とを備えている。矢印で示されている直線は、クーラントの流れを示している。研削盤112から排出されたクーラントは、一旦ダーティタンク136に貯留され、第1ポンプ140によってマグネットセパレータ116の流入口144に圧送される。クーラントの流速vは、貯留槽122の流入口144を通過すると、整流板132と衝突することによって流速vが低下するとともに、磁気ドラム118の回転軸線CLの軸方向に対してクーラントの流速vが均等化される。磁性粉体を含むクーラントは、磁気ドラム118の円筒状の外周面134(円筒状外周面に対応する。以降外周面とする)と案内板130との隙間を経由して貯留槽122の流出口146から流出する。クーラントに含まれる磁性粉体は、磁気ドラム118内部に設置された永久磁石によって磁気ドラム118の外周面134の表面に付着されることで、クーラントから分離、除去される。磁気ドラム118の表面に付着した磁性粉体は、掻取板120によって掻取られ、受け箱148に集められる。磁気ドラム118の外周面134と案内板130との間を通過したクーラントは、流出口146を通過してクリーンタンク138に磁性粉体が除去されたクリーン液152として貯留される。クリーン液152がクリーンタンク138の容量を超えて流入した場合は、曲線を持つ矢印で示されているように、クリーン液152は、オーバーフローしてダーティタンク136に流入する。クリーン液152は、研削盤112の加工時に、送出ポンプ142によって研削盤112に供給される。
図2において、本発明のクーラント循環装置14の一例が示されている。クーラント循環装置14は、研削盤12から排出されたクーラント、すなわちダーティ液50を貯留するダーティタンク36、研削盤12から排出されたダーティ液50に含まれる磁性粉体を除去するマグネットセパレータ16、ダーティタンク36からマグネットセパレータ16にダーティ液50を送出する第1ポンプ40(流体ポンプに対応する。以降、流体ポンプを第1ポンプ40とする)、マグネットセパレータ16によって磁性粉体が除去されたクーラント、すなわち図3で示されているクリーン液52を貯留するクリーンタンク38、およびクリーン液52を研削盤12に送出する第2ポンプ42から構成されている。マグネットセパレータ16は、貯留槽22、貯留槽22内に回転可能に支持された磁気ドラム18(ドラムに対応する、以降、磁気ドラムとする)、磁気ドラム18の円筒状の外周面34(円筒状外周面に対応する。以降外周面とする)の近傍にクーラントを導く、案内板30、貯留槽22に設けられた流入口44、貯留槽22に設けられた流出口46、磁気ドラム18の外周面34に磁気ドラム18内部に設置された永久磁石によって付着された磁性粉体を磁気ドラム18の外周面34から掻取るための掻取板20等から構成されている。なお、掻取板20によって掻取られた磁性粉体は、受け箱48に集められる。マグネットセパレータ16の貯留槽22の下部に設置されているクリーンタンク38には、クリーンタンク38内に貯留されているクリーン液52の図3に図示されている液面であるオーバーフロー面54を設定する仕切板60(オーバーフロー部に対応する。以降、仕切板とする)が固設されおり、オーバーフロー面54は、貯留槽22の流出口46より高く設定されている。
図2において、矢印で示されている直線および曲線は、クーラントの流れを示している。研削盤12から排出されたクーラントは、一旦ダーティタンク36に貯留され、第1ポンプ40によってマグネットセパレータ16の流入口44に圧送される。磁性粉体を含むクーラントは、磁気ドラム18の円筒状の外周面34と案内板30との隙間を経由して貯留槽22の流出口46からクリーンタンク38に流出する。クリーン液52がクリーンタンク38内に固設されている仕切板60を越えると、オーバーフローしたクリーン液52は、オーバーフロー流出口47を介してダーティタンク36に流出する。また、クリーンタンク38内のクリーン液52を研削盤12に供給する場合は、クリーン液52が第2ポンプ42によって研削機12に圧送される。
図3は、図2におけるマグネットセパレータ16およびクリーンタンク38を拡大して示しており、長い破線で示されている磁気ドラム18の回転軸線CL方向から見た図である。貯留槽22は、クーラントの流入口44側のダーティ液槽S1、クーラントの流出口46側のクリーン液槽S2、およびダーティ液槽S1とクリーン液槽S2との間、すなわち磁気ドラム18の長い破線で示されている外周面34と短い破線で示される案内板30の案内部30aとに挟まれた領域である案内路S3とに分けられる。磁気ドラム18の回転軸線CL方向において、ほぼ中央の位置の貯留槽22の底面、すなわち貯留槽底壁22aにクーラントの流入口44が備えられており、第1ポンプ40によって流入口44から送出されるクーラントを、一点鎖線で示される整流板32の第1整流板部32aと衝突させることによって、クーラントの流速vが抑制されるとともに、磁気ドラム18の回転軸線CL方向にたいして均一化されたクーラントの流速vが得られる。なお、整流板32は、第1整流板部32aと第2整流板部32bとから成り、磁気ドラム18の回転軸線CL方向に磁気ドラム18と並行に形成されており、貯留槽22の図3における貯留槽22の手前の側壁22bと奥の側壁22bとに接続されることによってダーティ液槽S1とクリーン液槽S2とが分離されている。また、流入口44を貯留槽側壁22bに開口し、第1ポンプ40から送出されるクーラントを第2整流板部32bと衝突させる位置とすることによっても、上記と同様にクーラントの流速vが抑制されるとともに、磁気ドラム18の回転軸線CL方向にたいして均一化されたクーラントの流速vが得られる。なお、整流板32は、従来の構造においてクリーン液槽S2の一部を構成している磁気ドラム18の下に設置されている。クリーン液槽S2の磁気ドラム18下の部分は特に必要とされていない部分であり、この部分に整流板32を設置しクーラントの整流を行う空間を設置することによって、装置の小型化にも寄与している。案内板30は、案内部30aと斜板部30bとから成り、磁気ドラム18の回転軸線CL方向に磁気ドラム18と並行に形成されており、貯留槽22の図3における手前の側壁22bと奥の側壁22bとに接続されることによってクリーン液槽S2が案内路S3およびダーティ液槽S1と分離されている。クーラントは、整流坂32の第1整流板部32aと衝突した後、案内板30の斜板部30bと並行にダーティ液槽S1を上昇し、案内路S3に流入する。さらにクーラントは案内路S3を通過し、クリーン液槽S2に流入し、流出口46からクリーンタンク38に流出する。マグネットセパレータ16の作動中、ダーティ液槽S1において、流入口44から流入したクーラントが常に上昇する流れを生じることから、磁性粉体等のスラッジの貯留槽22の底壁22aへの堆積が抑制される。
貯留槽22の中央付近には、磁性粉体を磁気によって吸着する磁気ドラム18が設置されている。この磁気ドラム18と接して、磁気ドラム18に吸着された磁性粉体を押圧することによってクーラントを脱水するための絞りローラ24が短い破線で示されている。絞りローラ24には、絞りローラ24を磁気ドラム18の軸芯方向に押圧する2つの絞りローラ加圧装置26が図3の手前と奥とに備えられており、絞りローラ24によって脱水されたクーラントはダーティ液槽S1に戻っていく。図3には、手前に備えられた絞りローラ加圧装置26の押圧力を均一化するためのバネと押圧力を調整するためのナットとが示されている。絞りローラ24の押圧によって余分なクーラントが除去され、磁気ドラム18の外周面34に吸着している磁性粉体は、外周面34の表面と接触している掻取板20によって掻取られる。掻取板20は、掻取られた磁性粉体が側面、すなわち図3の手前および奥に掻取板20から磁性粉体がこぼれ落ちないように側板21を有している。また、磁気ドラム18を回転駆動する磁気ドラム回転モータ28が備えられている。
クリーンタンク38は、仕切板60を備えており、クリーンタンク38に貯留されたクリーン液52が、仕切板60を越える、すなわちオーバーフローした場合、オーバーフロー流出口47を介してダーティタンク36に流出する。一点鎖線で示されているオーバーフロー面54は、仕切板60によって形成されるクリーンタンク38内のクリーン液52の液面であるとともに、貯留槽22のクリーン液槽S2内の液面ともなっている。これによって、貯留槽底壁22aに設けられた流出口46は、クリーンタンク38のオーバーフロー面54の下、すなわちクーラントに浸漬される位置となり、貯留槽22の流出口46からクーラントがクリーンタンク38内のクーラントの液面に落下することによって生じる泡の発生が抑制される。これによって、マグネットセパレータ16によって除去されずにクリーンタンク38に送られた磁性粉体に泡が付着することによってクリーンタンク38内を浮遊し、第ポンプ42によって研削盤12に送られることが抑制される。また、例えばクリーンタンク38と研削盤12との間に遠心力によってクーラント中の粉体を排出するサイクロン式セパレータを用いた場合においても、粉体が泡を付着することによってサイクロン式セパレータの粉体の排出の能力が低下するため、泡の発生の抑制が重要となる。
図3の左側の波形破断線内には、マグネットセパレータ16によって磁性体粉が除去されたクリーン液52がクリーンタンク38に流出する流出口46が示されており、オーバーフロー面54は、流出口46より高く設定されている。図3の右側の波形破断線内には、クリーンタンク38の奥側に固設されている仕切板60と、その手前側に設置されている、第2ポンプ42のクーラントを圧送するポンプ部42bとが示されている。ポンプ部42bの上部には、ポンプ部42bを駆動するモータ部42aが備えられている。第1ポンプ40によって圧送されるクーラントの量は、第2ポンプ42から研削盤12に圧送されるクーラントの量より多く設定されており、これによって研削盤12にクーラントが供給されている場合においても、クリーンタンク38の液面は、オーバーフロー面54が維持される。
図4は、図3の矢印Aで示される方向から見た貯留槽22およびクリーンタンク38の図であり、磁気ドラム18の外形が破線で示され、その回転軸線CLが一点鎖線でその位置が示されている。第1ポンプ40によって圧送されるクーラントは、貯留槽22の底壁22aに開口された流入口44から貯留槽22に流入する。磁気ドラム18によって磁性粉体が除去されたクーラントは、直線の矢印で示されるように、貯留槽22の底壁22aに開口された流出口46からクリーンタンク38に流出し、破線の矢印で示されるように、貯留槽22の底壁22aの下を経由して、曲線の矢印で示されるように、第2ポンプ42に吸引される。また、クーラントの液面が仕切板60を越える場合は、オーバーフロー流出口47からダーティタンク36に流出する。
図5は、図3に示されたマグネットセパレータ16のクーラントの流速vを解析した一例である。なお、解析の便宜上、ダーティ液槽S1と流入口44とをマグネットセパレータ16の左側に置き、図3と左右対称として示されている。図5において、磁気ドラム18の回転軸線CL方向の略中央に設置されている流入口44の中央を含む断面における、クーラントの液面下におけるクーラントの流速vの分布が示されている。クーラントは、貯留槽底壁22a、貯留槽側壁22b、および磁気ドラム18の部分外周面34a、すなわち円筒状の外周面34においてクーラントと接触している部分、によって形成される空間に保持されている。矢印の長さがクーラントの流速vの大きさを示しており、第1ポンプ40によってダーティ液槽S1に送られるクーラントの流入口44における流速vは例えば3m/sec程度、流入口44の内径は例えば25mmに設定されている。流入口44から流入したクーラントは、第1整流板部32aに衝突し、急速に流速vが減少するとともに、第1整流板部32aおよび第2整流板部32bの内部およびダーティ液槽S1にダーティ液槽S1を上昇する流れが生じるとともに、ダーティ液槽S1内のクーラントを攪拌する流れが生じている。クーラントは、磁気ドラム18の部分外周面34aと案内板30の案内部30aとに挟まれた空間から形成されている案内路S3を略均一な流速vで通過し、クリーン液槽S2において貯留槽22の底壁22aと側壁22bとにおいて強い流速vが生じている。なお、流出口46は、磁気ドラム18の回転軸線CL方向の端部に設置されており、流出口46へのクーラントの流出の状況は示されていない。
図6は、図5と同一のクーラントの流入条件において、磁気ドラム18の回転軸線CL方向に移動した位置における流速vの分布を示している。すなわち、図5で示された流速vの分布が磁気ドラム18の回転軸線CL方向の略中央に設置されている流入口44の中央を通る断面におけるクーラントの流速v分布を示しているのに対し、磁気ドラム18の回転軸線CLの軸方向の中央から離れる位置における流速vの分布を示している。ダーティ液槽S1の第1整流板部32aおよび第2整流板部32bによって形成される空間とそれ以外のダーティ液槽S1とに、ダーティ液槽S1を上昇する流れとともにダーティ液槽S1内のクーラントを攪拌する流れが生じている。クーラントは、磁気ドラム18と案内板30の案内部30aとから形成されている案内路S3を略均一な流速vで通過している。流速vは、図5と比較してやや減少しているが、クリーン液槽S2において貯留槽22の底壁22aと側壁22bとにおいて強い流速vが生じている。なお、図5および図6によって示されるマグネットセパレータ16を実際に使用した実機試験において、マグネットセパレータ16の貯留槽底壁22aにおける磁性粉体を含むスラッジの堆積が抑制されることが確認されている。
本実施例によれば、クーラントを貯留する貯留槽22と、貯留槽22内で回転可能に支持された外周面34を有し、外周面34に磁力により磁性粉体を吸着する磁気ドラム18と、を備えるマグネットセパレータ16とともに、マグネットセパレータ16によって磁性粉体を除去することによる浄化が行われたクーラントを貯留するクリーンタンク38、を有するクーラント循環装置14において、磁気ドラム18によって磁性粉体を除去することによる浄化が行われたクーラントが貯留される貯留槽22内のクリーン液槽S2からクリーンタンク38へ流出する貯留槽22の流出口46が、クリーンタンク38内のクーラントの液面よりも低位置であるとともに、クリーンタンク38内のクーラントに浸漬される位置に備えられている。これによって、マグネットセパレータ16の流出口46とクリーンタンク38の液面とに高低差すなわち落差が生じることが無いことにより、マグネットセパレータ16のクリーン液槽S2からクリーンタンク38へのクーラントの移動において、クリーンタンク38内のクーラントの液面における泡の発生が抑制され、クリーンタンク38の小型化が可能となるとともに、クーラント循環装置14の小型化が可能となる。
また、本実施例によれば、貯留槽22の流出口46が、貯留槽22の貯留槽底壁22aに設置されている。これによって、貯留槽22の構造を単純なものとすることが可能となり、クーラント循環装置14の小型化が容易となるとともに、クーラント循環装置の製造コストの削減が可能となる。
さらに本実施例によれば、クリーンタンク38内のクーラントの液面の最高高さであるオーバーフロー面54を設定する仕切板60がクリーンタンク38に設けられている。これによって、貯留槽22の流出口46とクリーンタンク38内の液面との高低差が一定に保たれることによって、クリーンタンク38内のクーラントの液面に生じる泡が確実に抑制され、クーラント循環装置14の小型化が容易となる。
また、本実施例によれば、磁気ドラム18によって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントを貯留する貯留槽22内のダーティ液槽S1において、磁気ドラム18の下部に貯留槽22の底壁22aに対向して設けられた第1整流板部32aと貯留槽22の側壁22bに対向して設けられた第2整流板部32bとが備えられるとともに、磁気ドラム18によって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントが第1ポンプ40によって、第1整流板部32aおよび第2整流板部32bの少なくとも一方に向かって圧送される位置に設けられている。これによって、貯留槽22内のダーティ液槽S1における磁性粉体の沈降が抑制されるとともに、磁気ドラム18の下部は、従来の貯留槽122において、有効に用いられていないスペースであり、ここにクーラントを整流化する第1整流板部32aと第2整流板部32bとからなる整流板32を設けることによって、マグネットセパレータ16の小型化が可能となる。
上記の実施例において、クリーンタンク38内のクーラントの液面、すなわちオーバーフロー面54は、仕切板60の高さによって設定されるものであったが、特にこれに限らず、例えば、液面センサ等によってクーラントの液面が検知され、予め定められた所定の高さにクーラントの液面の高さが制御、保持されるものであっても良い。
また、上記の実施例において、第1整流板部32aは、クーラントを整流できるのであれば特に貯留槽底壁22aと平行である必要は無く、また曲線からなる面であっても良い。第1整流板部32bも貯留槽側壁22bと平行である必要は無く、また曲線からなる面であっても良い。同様に、第1整流板部32aと第1整流板部32bとが直角以外の角度を有するものであっても良い。
さらに、上記の実施例において、第1ポンプ40を流体ポンプとしたが、回転、往復運動等を用いてクーラントを所定の圧力で圧送することが可能なポンプであれば良く、特に特定の種類の流体ポンプでなくとも良い。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
14:クーラント循環装置
16:マグネットセパレータ
18:磁気ドラム(ドラム)
22:貯留槽
22a:貯留槽底壁(貯留槽の底面)
22b:貯留槽側壁
32a、b:第1整流板部、第2整流板部
34:外周面(円筒状外周面)
40:第1ポンプ(流体ポンプ)
46:流出口
54:オーバーフロー面
60:仕切板(オーバーフロー部)
S1:ダーティ液槽
S2:クリーン液槽

Claims (3)

  1. ダーティ液を貯留するダーティ液槽およびクリーン液を貯留するクリーン液槽を含む貯留槽と、前記貯留槽内で回転可能に支持された円筒状外周面を有し前記円筒状外周面に磁力により磁性粉体を吸着するドラムと、前記ダーティ液を前記ドラムの円筒状外周面に沿って案内しクリーン液槽へ導く案内板と、前記ドラムの円筒状外周面に付着した磁性粉体を掻き取る掻取板と、を備えるマグネットセパレータ、および、前記貯留槽の外部に設けられ、前記マグネットセパレータによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われて前記クリーン液槽から流出したクリーン液を貯留するクリーンタンクを、有するクーラント循環装置において、
    前記マグネットセパレータの貯留槽の底壁には、前記底壁のうちの前記クリーン液槽に対応する部分に開口する流出口が形成され、
    前記クリーンタンクは、前記マグネットセパレータの底部を収容し、前記マグネットセパレータの前記クリーン液槽から前記流出口を通して重力により下方へ流出するクリーン液を受けて前記クリーン液を貯留し、前記クリーン液をオーバーフローさせて前記クリーン液の液面を前記流出口より高く設定された一定の液面に維持するオーバーフロー部を備え、
    記流出口が、前記クリーンタンク内のクリーン液の液面よりも低位置であるとともに、前記クリーンタンク内のクリーン液に浸漬される位置に備えられている
    ことを特徴とするクーラント循環装置。
  2. 前記クリーンタンクに貯留されたクリーン液の液面は、前記マグネットセパレータの貯留槽内のクリーン液槽に貯留されたクリーン液の液面と同じ高さ位置である
    ことを特徴とする請求項1のクーラント循環装置。
  3. 前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントを貯留する前記貯留槽内のダーティ液槽において、前記ドラムの下部に前記貯留槽の底面に対向して設けられた第1整流板部と前記貯留槽の側壁に対向して設けられた第2整流板部とが備えられるとともに、
    前記ドラムによって磁性粉体を除去することによる浄化が行われる前のクーラントが流体ポンプによって、前記第1整流板部および前記第2整流板部の少なくとも一方に向かって圧送される位置に設けられている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2のクーラント循環装置。
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