JP6557574B2 - 容器及び容器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧空成形等により製造された容器及びその製造方法に関する。
多層構造の樹脂シートを成形することにより製造された容器は、食品、飲料、化粧品、薬品、医薬部外品、洗剤等の種々の内容物の包装容器として広く用いられている。このような容器には、成形性やコスト等を鑑み、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂が使用され得る。
食品や飲料、化粧品、薬品等の包装容器としては、内容物の酸化等の劣化を防止するため、ガスバリア性が求められる。そこで、特許文献1には、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂との積層に供した場合、ガスバリア性に優れたエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物樹脂組成物(EVOH)が記載されている。
一方、上記容器は、樹脂を所定形状に成形して製造される。樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、例えば、熱可塑性樹脂をシート状に押出成形した後、そのシートを再加熱して所望の成形体を得る熱成形法が適用される。
特許文献2には、樹脂の融点以下で成形する固相圧空成形法を用いて深絞り構造を有する容器を製造する方法が記載されている。
特開平8−311276号公報 特開2014−12395号公報
しかしながら、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を外層の基材とし、EVOH等の熱可塑性樹脂を中間層として用いた場合、基材の融点以下、又は融点付近の温度で成形すると、以下のような問題が生じることがある。
まず、中間層として基材よりも高い融点の熱可塑性樹脂を用いた場合、ガスバリア性を高めることができるが、この中間層を延伸することで厚みムラが生じることがある。例えば、延伸時に中間層が融点に達していないと、延伸しにくい状態の中間層を無理に延伸させることとなり、中間層に厚みムラが生じる。このような厚みムラが生じると、容器の透明性が低下し、さらには容器表面の円滑性が失われることがある。
一方、中間層として低い融点の熱可塑性樹脂を用いた場合、延伸は容易になるが、ガスバリア性が低下してしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、中間層の厚みムラを低減し、透明性が高く、かつガスバリア性の高い容器及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る容器は、2つの基材と、中間層とを含む多層構造の樹脂シートにより形成される。
上記2つの基材は、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、外層を構成する。
上記中間層は、第1のガスバリア層と、2つの第2のガスバリア層とを含み、上記2つの基材の間に形成される。
上記第1のガスバリア層は、上記第1の融点よりも高い第2の融点を有する上記第2の熱可塑性樹脂で形成される。
上記2つの第2のガスバリア層は、上記第1の融点よりも低い第3の融点を有する上記第2の熱可塑性樹脂で、上記第1のガスバリア層の両側にそれぞれ形成される。
上記構成によれば、樹脂シートの中間層が多層構造を有しており、基材よりも融点の高い第1のガスバリア層を、基材よりも融点の低い2つの第2のガスバリア層で挟むように構成される。これにより、基材の融点付近の温度に加熱して成形する場合、第2のガスバリア層が基材に追従して容易に延伸する。したがって、仮に融点の高くて延伸しにくい第1のガスバリア層に厚みムラが生じた場合でも、第1のガスバリア層の両側の第2のガスバリア層がこの厚みムラを十分カバーすることができ、中間層全体としての厚みムラを抑制することができる。また、第1及び第2のガスバリア層はいずれも第2の熱可塑性樹脂で形成されておりこれらの層間の界面で屈折率は大きく変化しないことから、容器の透明性を維持することができる。
さらに、融点が高い第1のガスバリア層により、十分なガスバリア性も確保することができる。
例えば、上記容器は、口内径に対する深さの比が1.0以上1.6以下の深絞り形状を有していてもよい。
このような容器は、例えば後述する圧空成形により、基材の融点付近の温度に加熱されて成形されることができる。この容器は、上述のように、基材の融点付近の温度で延伸しても高い透明性を有し、かつ十分なガスバリア性を有する。
具体的には、上記第1の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンであってもよい。
これにより、コストを抑えて高い透明性を有する容器を形成することができる。
また、上記第2の熱可塑性樹脂は、エチレンビニルアルコール共重合体であってもよい。
これにより、容器に高いガスバリア性を付与することができる。
さらに、上記樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、上記2つの基材の合計の質量比が82重量%以上であってもよい。
これにより、樹脂シート全体における基材の割合を十分確保することができ、成形時に、中間層を基材に追従させて延伸させることができる。
より具体的には、上記樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、上記2つの第2のガスバリア層の合計の質量比が2重量%以上4重量%以下であり、上記第1のガスバリア層の質量比が6重量%以上10重量%以下であってもよい。
これにより、中間層全体としての厚みムラをより効果的に抑制することができる。
また、上記第2の融点は、上記第1の融点よりも10℃以上30℃以下高い温度であってもよい。
これにより、中間層全体としての厚みムラをより効果的に抑制することができる。
さらに、上記樹脂シートは、
上記第1の融点よりも低い第4の融点を有する第3の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、上記2つの基材各々と上記中間層との間にそれぞれ形成された2つの接着層をさらに含んでいてもよい。
これにより、異種材料で形成された基材と中間層とを接着し、これらの層間におけるデラミネーションを防止することができる。
本発明の他の形態に係る容器の製造方法は、
多層構造の樹脂シートを形成するステップと、
上記樹脂シートを圧空成形するステップと、を含む。
上記樹脂シートは、2つの基材と、中間層とを含む。
上記2つの基材は、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、外層を構成する。
上記中間層は、第1のガスバリア層と、2つの第2のガスバリア層とを含み、上記2つの基材の間に形成される。
上記第1のガスバリア層は、上記第1の融点よりも高い第2の融点を有する上記第2の熱可塑性樹脂で形成される。
上記2つの第2のガスバリア層は、上記第1の融点よりも低い第3の融点を有する上記第2の熱可塑性樹脂で、上記第1のガスバリア層の両側にそれぞれ形成される。
圧空成形により、樹脂シートが完全に溶融しない程度の比較的低温で容器を成形することができる。上記樹脂シートによれば、上記低温で延伸した場合の厚みムラを防止することができるため、透明性の高い容器を製造することができる。
また、圧空成形により、延伸時の樹脂シートに適切なテンションを付加することができ、口内径に対する深さの深い深絞り形状の容器を形成することができる。
さらに、融点が高い第1のガスバリア層により、十分なガスバリア性も確保することができる。
例えば、上記圧空成形するステップでは、上記樹脂シートを、上記第1の融点との温度差が10℃以内の温度で軟化させてもよい。
また、上記圧空成形するステップでは、上記圧空成形と同時に上記樹脂シートの成形体を打ち抜いてもよい。
これにより、生産性をより高めることができる。
以上のように、本発明によれば、中間層の厚みムラを低減し、透明性が高く、かつガスバリア性の高い容器及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る容器の一例を示す側断面図である。 上記容器を形成する多層構造の樹脂シートの模式的な拡大断面図である。 上記容器の製造方法を示すフローチャートである。 上記樹脂シートの延伸前の態様を示す模式的な断面図である。 ポリプロピレン(PP)のサンプルと、融点の異なる2つのEVOHのサンプル(EVOHサンプルA,B)の各温度における貯蔵弾性率を示すグラフであり、縦軸は貯蔵弾性率、横軸は温度を示す。 本実施形態の一比較例に係る多層構造の樹脂シートの成形性について説明する図であり、Aは延伸前、Bは延伸後の樹脂シートの断面を模式的に示す。 本実施形態の他の比較例に係る多層構造の樹脂シートの成形性について説明する図であり、Aは延伸前、Bは延伸後の樹脂シートの断面を模式的に示す。 本実施形態のさらに他の比較例に係る多層構造の樹脂シートの成形性について説明する図であり、Aは延伸前、Bは延伸後の樹脂シートの断面を模式的に示す。 本発明の一実施形態に係る樹脂シートの他の態様を示す拡大断面図である。 本実施形態のさらに他の比較例に係る樹脂シートを示す断面図である。 本実施形態の実験例で使用したPPサンプルと、EVOHのサンプル1〜6の各温度における貯蔵弾性率を示すグラフである。 ヘイズ測定の結果を示す棒グラフであり、横軸は各サンプル、縦軸はヘイズの値を示す。 23℃、湿度50%の環境下で酸素透過率を測定した結果を示す。 30℃、湿度80%の高温多湿環境下で酸素透過率を測定した結果を示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[容器の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る容器の一例を示す側断面図である。
容器100は、例えば、食品(特に長期保存食品)、飲料(特に長期保存飲料)、化粧品、薬品、医薬部外製品、洗剤等を内容物とする包装容器である。容器100は、透明性を有し、後述するように高いガスバリア性を有するため、上記内容物の視認性を高めることができるとともに、上記内容物の劣化を防止することができる。
図1に示すように、本実施形態の容器100は、例えば、側面を構成する胴部101と、底部102と、容器内部103とを有し、例えばカップ型の容器として構成される。この容器100は、多層構造の樹脂シート10により形成されており、具体的には樹脂シート10を成形することにより形成される。
胴部101の肉厚(厚み)は、例えば0.1mm以上1.0mm以下である。
容器100は、口内径D1に対する深さD2の比である絞り比が大きい、いわゆる深絞り形状を有する。容器100は、例えば、口内径D1に対する深さD2の比が0.5以上1.6以下、より好ましくは1.0以上1.6以下の深絞り形状を有する。一例として、容器100は、約61mmの口内径D1を有し、約98mmの深さD2を有する。
ここでいう「口内径」は、容器100の開口部の直径をいい、図1に示す断面では、容器内部103の一端から他端までの長さとする。
深絞り形状の容器100は、後述するように、圧空成形により形成され得る。
[樹脂シートの構成]
図2は、多層構造の樹脂シート10の模式的な拡大断面図であり、具体的には、図1に示す容器100の胴部101の中央部分を拡大し、樹脂シート10の厚み方向を図の上下方向に一致するように回転させた図である。
同図に示すように、樹脂シート10は、2つの基材11(基材11a,11b)と、中間層12と、2つの接着層15(接着層15a,15b)とを有する。
以下の説明において、基材11a,11bを総称して基材11と称し、接着層15a,15bを総称して接着層15と称するものとする。
2つの基材11a,11bは、樹脂シート10の外層を構成し、同図に示すように厚み方向に対向している。
中間層12は、ガスバリア性を付与するための層であり、2つの基材11a,11bの間に形成される。ここでいうガスバリア性とは、酸素ガス、水蒸気等の環境中に存するガスに対するバリア性をいう。中間層12は、少なくとも3層の多層構造を有する。
2つの接着層15a,15bは、2つの基材11a,11b各々と中間層12との間にそれぞれ形成される。
(基材)
基材11は、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂で形成される。第1の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂とすることができ、本実施形態において、ポリプロピレンとすることができる。第1の熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いることにより、透明性を有し成形が容易な樹脂シート10を、比較的低コストで形成することができる。
ポリプロピレンとしては、例えばプロピレンのホモポリマーやプロピレン−エチレンのランダム共重合体、ブロック共重合体等を用いることができる。
また、第1の熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合、第1の融点は、約160℃〜約170℃となり得る。
また、第1の熱可塑性樹脂には、それ自体公知の配合剤、例えば顔料、充填剤、酸化防止剤、滑剤、安定剤、紫外線吸収剤等をそれ自体公知の処方に従って配合し得る。
基材11a,11bは、典型的には同一の熱可塑性樹脂で形成され、略同一の厚みで形成される。
基材11は、樹脂シート10全体において他の樹脂層よりも高い質量比を有する。例えば、樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、2つの基材11の合計の質量比が82重量%以上とすることができる。これにより、樹脂シート10中の基材11の割合を十分に確保することができ、圧空成形するステップ(ST2)において、基材11を延伸させることにより中間層12を追従して延伸させることができる。
(接着層)
接着層15は、第1の融点よりも低い第4の融点を有する第3の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成される。この第4の融点は、第2のガスバリア層を形成する第2の熱可塑性樹脂の融点(第3の融点)よりもさらに低くてもよい。低い融点を有する熱可塑性樹脂を用いることで、接着層15の熱可塑性樹脂を十分に溶融させ、接着性を高めることができる。
第3の熱可塑性樹脂としては、例えば、変性したポリプロピレンに不飽和カルボン酸若しくはその無水物をグラフトしたグラフト共重合体を用いることができる。不飽和カルボン酸若しくはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸のようなモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のような多価カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソブチルのような多価カルボン酸のモノエステルがある。これらの中では無水マレイン酸が好ましい。
(中間層)
中間層12は、第1のガスバリア層13と、第1のガスバリア層13の両側の2つの第2のガスバリア層14(第2のガスバリア層14a,14b)とを含む。すなわち、2つの第2のガスバリア層14a,14bは、第1のガスバリア層13を挟んで形成されている。中間層12の3層のガスバリア層13,14a,14bは、いずれも、ガスバリア性を有する第2の熱可塑性樹脂で形成される。
第1のガスバリア層13は、基材11を形成する熱可塑性樹脂の融点(第1の融点)よりも高い第2の融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成される。第2の融点は、例えば、第1の融点よりも10℃以上30℃以下高い温度とすることができる。
第2のガスバリア層14は、第1の融点よりも低い第3の融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成される。本実施形態において、2つのガスバリア層14は、同一の融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成され、略同一の厚みで形成される。
第2の熱可塑性樹脂は、本実施形態において、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)とすることができる。EVOHは、エチレンとビニルアルコールの組成比率によって融点が規定され、一般に、融点が高くなるに従い、ガスバリア性も高くなる傾向を有する。したがって、第1のガスバリア層13と第2のガスバリア層14は、いずれも異なる組成比率を有するEVOHで形成され、かつ、第1のガスバリア層13の方が第2のガスバリア層14よりも高い酸素バリア性を有するEVOHで形成され得る。
なお、中間層12は、3層の構造に限定されず、4層以上に多層化されてもよい。
[容器の製造方法]
図3は、本実施形態に係る容器100の製造方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、本実施形態に係る容器100の製造方法は、多層構造の樹脂シート10を形成するステップ(ST1)と、樹脂シート10を圧空成形するステップ(ST2)とを含む。
まずST1として、2つの基材11a,11b、3つのガスバリア層13,14a,14b、及び2つの接着層15a,15bの各々を構成する熱可塑性樹脂を押出機に供給し、7層構造に押出成形して切断する。押出機の温度、圧力等の条件は、適宜設定することができる。
続いて、ST2の圧空成形について説明する。
図4は、本実施形態に係る延伸前の樹脂シート10を示す模式的な断面図である。
圧空成形は、樹脂シート10を加熱して軟化させ、軟化した樹脂シート10を圧縮空気により延伸して金型に密着させ、所定の形状に成形する方法である。例えば樹脂シート10は、加熱された後、図4中の黒い矢印で示すように面方向に延伸され、成形される。
本ステップの圧空成形は、固相圧空成形であってもよい。固相圧空成形では、樹脂シート10を完全に溶融させずに成形するため、成形後、冷却時間を短縮することができる。さらに、固相圧空成形では、固相圧空成形と同時に樹脂シート10の成形体を打ち抜くことができる。したがって、連続的に大量生産が可能となる。
また、本実施形態における圧空成形は、プラグアシスト圧空成形であってもよい。これにより、アシストプラグを用いて樹脂シート10を予備賦形した後、空気圧を利用して金型のキャビティ表面に樹脂シート10を密着させ、成形することができる。
本実施形態の圧空成形するステップ(ST2)では、樹脂シート10を、後述する基材11を形成する熱可塑性樹脂の融点(第1の融点)との温度差が10℃以内の温度で軟化させる。このような温度範囲を、以下「成形温度領域」と称する。
また、固相圧空成形の場合の成形温度領域は、上記第1の融点より10℃低い温度以上、上記第1の融点以下の温度である。
比較的低い温度によって成形することで、加熱による樹脂シート10の軟化を規制することができる。これにより、成形時に樹脂シート10へより強いテンションを付加することができ、絞り比の大きい深絞り形状のカップ型容器を製造することができる。
このように、熱可塑性樹脂の融点は、容器100の透明性に重要な成形の容易さに関与する。
[熱可塑性樹脂の融点と成形性との関係について]
図5は、ポリプロピレン(PP)のサンプルと、融点の異なる2つのEVOHのサンプル(EVOHサンプルA,B)の各温度における貯蔵弾性率を示すグラフであり、縦軸は貯蔵弾性率、横軸は温度を示す。なお、図中の「Tm」は、融点を示す。貯蔵弾性率は、「粘弾性」ともいわれ、一般に数値の低い材料ほど延伸されやすい。
まず、基材であるPPサンプルの融点及び貯蔵弾性率から、成形温度領域について考察する。
同図の実験で用いたPPサンプルの第1の融点は、169℃である。同図を参照し、PPサンプルの貯蔵弾性率は、第1の融点よりも約10℃低い約160℃から急激に低下する。このため、当該PPサンプルは、約160℃以上の温度で軟化し、延伸が容易になることがわかる。
また、約180℃よりも高い温度では、PPサンプルの貯蔵弾性率が一定となり、溶融状態になると推定される。このため、約180℃よりも高い温度の当該PPサンプルは、非常に延伸しやすいが、成形と同時に樹脂シート10の成形体を打ち抜くことは難しく、冷却させた後打ち抜くこととなる。したがって、当該PPサンプルは、約180℃以下の温度で成形することにより、生産性が向上すると考えられる。
以上より、図5に示すPPサンプルにおける成形温度領域は、例えば、融点との温度差が10℃以内となる約160℃〜約180℃の範囲内とすることができる。
一方、図5に示す各EVOHサンプルについても、やはり融点付近で急激に貯蔵弾性率が低下する。すなわち、各EVOHサンプルも、やはり融点付近で延伸及び熱成形が容易になる。
EVOHサンプルAは、PPサンプルよりも融点が低いため、成形温度領域において既に融点を過ぎている。また、EVOHサンプルAは、成形温度領域において貯蔵弾性率も低く、既に溶融状態になっていて延伸しやすいと考えられる。
一方EVOHサンプルBは、PPサンプルよりも融点が高く、成形温度領域を過ぎても融点に至らない。このため、EVOHサンプルBは、成形温度領域において貯蔵弾性率が高く、延伸しにくいと考えられる。
図6、図7及び図8は、融点の異なる熱可塑性樹脂を含む多層構造の樹脂シートの成形性について説明する図であり、それぞれAは延伸前、Bは延伸後の樹脂シートの断面を模式的に示す。
ここで用いる各樹脂シート20A,20B,20Cは、本実施形態の比較例であって、1層のみの中間層22A,22B,22Cを有する。
なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
まず、図6Aに示すように、樹脂シート20Aは、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂で形成された2つの基材11と、第1の融点よりも低い融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成された1層の中間層22Aと、これらを接着する接着層15とを含む。
この樹脂シート20Aを成形温度領域で加熱し、面方向に延伸しようとすると(図6A中の黒い矢印参照)、延伸しにくい基材11に力が加わり(図6A中の白抜き矢印参照)、より延伸しやすい中間層22Aを基材11に追従して延伸させることができる。このため、図6Bに示すように、中間層22Aに無理な力が加わらず、中間層22Aが均一に延伸される。
この樹脂シート20Aを用いた容器は、厚みムラがほぼないため、中間層22Aと基材11(又は接着層15)との間の界面が平坦に近い。このため、容器に入射した可視光がほぼ平坦な界面で屈折し、容器の透明性が高まると推定される。
続いて、図7Aに示すように、樹脂シート20Bは、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂で形成された2つの基材11と、第1の融点と同程度の融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成された1層の中間層22Bと、これらを接着する接着層15とを含む。
この樹脂シート20Bを成形温度領域で加熱し、面方向に延伸しようとすると(図7A中の黒い矢印参照)、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂が均一に伸びようとする(図7A中の白抜き矢印参照)。このとき、第2の熱可塑性樹脂は、力の作用点との位置関係や接着層15との接着性のわずかな差異等によって、面内位置によって付加される力に差異が生じ、図7Bに示すように、わずかに厚みムラが生じると考えられる。
この樹脂シート20Bを用いた容器は、中間層のわずかな厚みムラによって、中間層22Bと基材11(又は接着層15)との間の界面がわずかな凹凸を有すると考えられる。このため、容器に入射した可視光が上記凹凸を有する界面で屈折又は反射し、容器の透明性が低下すると考えられる。
続いて、図8Aに示すように、樹脂シート20Cは、第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂で形成された2つの基材11と、第1の融点よりも高い融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成された1層の中間層22Cと、これらを接着する接着層15とを含む。
樹脂シート20Cを、成形温度領域で、かつ中間層22Cの融点より低い温度で加熱し、延伸しようとした場合、中間層22Cが基材11よりも延伸しにくいため、この延伸しにくい中間層22Cに力が加わる(図8A中の白抜き矢印参照)。これにより、中間層22Cが無理に延伸され、図8Bに示すような大きな厚みムラが生じる。
この樹脂シート20Cを用いた容器は、大きな厚みムラが生じているため、中間層22Bと基材11(又は接着層15)との間の界面が大きな凹凸を有する。このため、容器に入射した可視光が凹凸を有する界面で屈折又は反射し、容器の透明性がより低下すると推定される。さらに、厚みムラが大きくなった場合、樹脂シート20C表面に凹凸が生じ、滑らかな外観を有する容器を形成することができないこともある。
以上の説明から、成形性及び容器の透明性を考慮すれば、中間層を、第1の融点よりも低い融点を有する第2の熱可塑性樹脂で形成すればよいこととなる。
しかしながら、上述のように、融点の低い第2の熱可塑性樹脂はガスバリア性が低く、例えば長期保存食品等の容器に求められるガスバリア機能を十分に発揮することができない。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態においては、中間層12が、第1の融点よりも融点が高い第1のガスバリア層13及び第1の融点よりも融点が低い2つの第2のガスバリア層14a,14bを含む多層構造で構成される。
このため、図4の白抜き矢印を参照し、中間層12の両側の第2のガスバリア層14が上述の中間層22Aと同様に延伸しやすく、内層である第1のガスバリア層13は延伸しにくい。
したがって、図9に示すように、仮に第1のガスバリア層13に厚みムラが生じた場合であっても、第2のガスバリア層14が第1のガスバリア層13の厚みムラをカバーし、中間層12全体における厚みムラを抑制することができる。
また、同一の熱可塑性樹脂の屈折率差は一般に小さいため、可視光は、第1及び第2のガスバリア層13,14の界面では大きく屈折することがないと考えられる。これにより、容器100全体の透明性を高めることができる。
さらに、第1及び第2のガスバリア層13,14が同一種類の熱可塑性樹脂で形成されることから、接着剤を介さずに中間層12を多層化することができる。このことによっても、中間層12の内部における可視光の屈折を抑制することができる。
さらに、第1のガスバリア層13は、融点が高くガスバリア性も高い。この第1のガスバリア層13が容器100を形成する樹脂シート10全体に形成されていることから、容器100のガスバリア性を高めることができる。
ガスバリア性が高いことにより、例えば容器100の内容物となる食品や飲料、化粧品、薬剤等の保存期限を長期化することができる。さらに、内容物の酸化等による色の変化や、容器100内外のガスの透過による内容物の臭いの変化を防止することができる。
加えて、本実施形態の樹脂シート10を用いることにより、第1の融点付近の温度で圧空成形することができる。したがって、上述のように生産性を高めることができるとともに、例えば口内径に対する深さの比が1.0以上1.6以下の深絞り形状を有する容器を成形することができる。
以下、比較例を用いて本実施形態の作用効果をより具体的に説明する。
図10は、本実施形態の比較例に係る樹脂シート30を示す断面図である。
同図に示すように、樹脂シート30は、2つの基材11と、2つの接着層15とを含み、中間層12に替えて中間層32を含む。中間層32は、エチレン含有量の異なる2種類のEVOH(第2の熱可塑性樹脂)をブレンドしたものである。符号32aは、第1の融点より高い第2の融点を有する第2の熱可塑性樹脂であり、符号32bは、第1の融点より低い第3の融点を有する第2の熱可塑性樹脂を模式的に示す。
樹脂シート30では、中間層32の融点や貯蔵弾性率のカーブを第1の熱可塑性樹脂(例えばPP)に適合するように調整し、延伸性を改善できると推測される。
一方、樹脂32aはガスバリア性が高く、樹脂32bはガスバリア性が低いと推定できるが、ガスバリア性の低い樹脂32bが多い領域等からガスが透過する可能性がある。
また、中間層32では、樹脂32a中に樹脂32bがランダムに混合している構成を有し、可視光が拡散反射する可能性がある。また、中間層32内部における可視光の屈折の回数も多くなり得る。したがって、容器の透明性が低下するおそれがある。
一方、本実施形態では、ガスバリア性の高い第1のガスバリア層13が樹脂シート10の層内全体にシート状に形成されていることから、より確実にガスの透過を抑制することができる。さらに、本実施形態によれば、第1のガスバリア層13及び第2のガスバリア層14がいずれも層状に構成されることから、散乱反射を抑制できるとともに、屈折の回数を規制することができる。したがって、比較例と比較しても容器の透明性を高めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[熱可塑性樹脂サンプルの準備]
まず、実験に用いる熱可塑性樹脂サンプルを準備した。
第1の熱可塑性樹脂として、PPのサンプルを準備した。このPPサンプルは、「ノバテック(登録商標)PP シート・押出成形グレード EA9FTD」(日本ポリプロ株式会社製)と「ノバテック(登録商標)PP 射出成形グレード BC8」(日本ポリプロ株式会社製)とを9:1でブレンドした樹脂である。融点(第1の融点)は、169℃であった。
続いて、第2の熱可塑性樹脂として、6種類のEVOHのサンプル(EVOHサンプル1〜6)を準備した。
EVOHサンプル1は、「エバール(登録商標) E171B」(株式会社クラレ製)である。
EVOHサンプル2は、「エバール(登録商標) H171B」(株式会社クラレ製)である。
EVOHサンプル3は、「エバール(登録商標) J171B」(株式会社クラレ製)である。
EVOHサンプル4は、「エバール(登録商標) SP521B」(株式会社クラレ製)である。
EVOHサンプル5は、「エバール(登録商標) L171B」(株式会社クラレ製)である。
EVOHサンプル6は、「エバール(登録商標) M100」(株式会社クラレ製)である。
各EVOHサンプルのエチレン含有量(mol%)、融点(但しカタログに記載の値)、酸素透過度(cc・20μm/m2・day・atm)を、表1に示す。
Figure 0006557574
また、図11は、PPサンプルと、EVOHのサンプル1〜6の各温度における貯蔵弾性率を示すグラフである。図5と同様に、縦軸は貯蔵弾性率、横軸は温度を示す。また、図中の「Tm」は、融点を示す。なお、図5におけるPPサンプルは、上記PPサンプルである。EVOHサンプルAは、上記EVOHサンプル1であり、EVOHサンプルBは、上記EVOHサンプル3である。
同図に示すように、PPサンプルの融点よりも低いEVOHサンプル1は、図5でも説明したように、成形温度領域(約160℃以上180℃以下)で貯蔵弾性率が十分低かった。
また、EVOHサンプル3〜6は、成形温度領域で融点に達しておらず、かつ、成形温度領域でPPサンプルよりも貯蔵弾性率が高かった。
一方、PPサンプルの融点よりも高いEVOHサンプル2は、成形温度領域でPPサンプルよりも貯蔵弾性率が低かった。この結果から、EVOHサンプル2は、成形温度領域で延伸しやすく、第2のガスバリア層14を形成する第2の熱可塑性樹脂候補になると考えられた。
そこで、EVOHサンプル3〜6は第1のガスバリア層樹脂候補、EVOHサンプル1,2は第2のガスバリア層樹脂候補と仮定して、樹脂シートサンプルを作成し、各種試験を行った。
[樹脂シートサンプルの作製]
まず、PPサンプルの基材と、接着層と、EVOHサンプル1又は2の第2のガスバリア層と、EVOHサンプル3から6のうちのいずれか一つの第1のガスバリア層とを押出機に供給し、押出成形することで、シート厚1.8mmの樹脂シートを作製した。
樹脂シートサンプル1〜38の第1及び第2のガスバリア層の層比を、表2に示す。なお、同表には、樹脂シートサンプルの番号(No.)のみを記載している。また、同表に記載の第2のガスバリア層の厚みは、2つの第2のガスバリア層の合計の質量比を記載している。なお、各第2のガスバリア層の厚みは同一とした。
また、表には示していないが、接着層は、1層につき2重量%とした。
同表を参照し、各樹脂シートサンプル1〜38の中間層の各層の質量比は、以下の(i)及び(ii)のいずれかの質量比とした。すなわち、(i)は、樹脂シート全体を100重量%とした場合に中間層全体を10重量%とする、というものであり、(ii)は、樹脂シート全体を100重量%とした場合に第1のガスバリア層の質量比を10重量%とする、というものである。
上記(i)の質量比で中間層を形成した樹脂シートサンプルは、樹脂シートサンプル1〜17であり、上記(ii)の質量比で中間層を形成した樹脂シートサンプルは、樹脂シートサンプル1〜4,18〜38である。
Figure 0006557574
続いて、圧空成形機(汕頭市安平食品包装機械社製 RXC−660S)を用いて、各樹脂シートサンプルを圧空成形した。成形温度は、樹脂シートが固相又は固相に近い状態で圧空成形可能な、160℃、170℃とした。また、金型は、絞り比が約1.4のカップ型容器を成形可能なものを用いた。
これにより、樹脂シートサンプル1〜38から、それぞれ容器サンプル1〜38を作製した。なお、成形後も樹脂シートの各層の質量比は維持されることから、容器サンプルは、同一の番号の樹脂シートサンプルから形成されたものとする。
また、上記容器サンプル1〜38の他、図10を用いて説明した、エチレン含有量の異なる2種類のEVOH(第2の熱可塑性樹脂)をブレンドした中間層を有する容器サンプル39,40を作製した。
容器サンプル39,40で用いた2種類のEVOHは、EVOHサンプル1とEVOHサンプル3である。容器サンプル39の中間層は、EVOHサンプル1を20重量%、EVOHサンプル3を80重量%ブレンドした。容器サンプル40の中間層は、EVOHサンプル1を40重量%、EVOHサンプル3を60重量%ブレンドした。中間層の作製方法は、上述の特許文献1を参照した。容器サンプル39,40においても、上述の容器サンプル1〜38と同様に押出成形した後、圧空成形して作製した。
[厚みムラの測定]
続いて、成形された各容器サンプル1〜40の中間層の厚みムラを測定するため、容器サンプル1〜40を切断し、その断面を200倍程度に拡大し、中間層の厚みを観察した。容器サンプル1〜40の切断部分は、胴部(図1参照)の中央部分であって、厚みが約0.26mmの部分であった。また、必要に応じてEVOHを染色した。
そして、切断部分のうち、容器の高さ方向に1mmの区間を規定し、その区間内における中間層の最大厚みと最小厚みとを算出し、それらの差を厚みムラ指標値として算出した。より詳細には、厚みムラ指標値は、各容器サンプル1〜40について3箇所ずつ最大厚みと最小厚みをそれぞれ算出し、各箇所の最大厚みと最小厚みの差の平均値を算出した。
表3は、(i)の中間層全体を10重量%とした場合の容器サンプル1〜17における、厚みムラ指標値の結果を示す図である。
同表では、第1のガスバリア層が同一のEVOHサンプルで形成されている容器サンプルの結果を太線の枠線で囲っている。当該枠線内の容器サンプルは、第2のガスバリア層を有しない(厚みが0μmの)容器サンプルの厚みムラ指標値を基準として、その数値よりも小さければ厚みムラが改善したと判定され、その数値と同一又はその数値よりも大きければ厚みムラが改善していないと判定される。なお、各枠内における厚みムラ指標値の基準値は、表3中、下線で示している。
Figure 0006557574
まず、第1のガスバリア層がEVOHサンプル3で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1の場合は、第2のガスバリア層の質量比が2重量%でも4重量%でも厚みムラが改善した。
同様に、第1のガスバリア層がEVOHサンプル4〜6で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1の場合は、第2のガスバリア層の質量比が2重量%でも4重量%でも厚みムラが改善した。
一方、第1のガスバリア層がEVOHサンプル3で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル2の場合は、第2のガスバリア層の質量比を2重量%とすると厚みムラは改善せず、第2のガスバリア層の質量比を4重量%とすると厚みムラは若干改善した。
同様に、第1のガスバリア層がEVOHサンプル4〜6で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル2の場合は、第2のガスバリア層の質量比を4重量%とすると厚みムラは若干改善した。
以上の結果より、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1であれば、第1のガスバリア層のサンプルによらず、厚みムラが改善した。すなわち、第1のガスバリア層が6重量%以上8重量%以下であり、第2のガスバリア層が2重量%以上4重量%以下であれば、中間層の厚みムラが改善することが確認された。
一方、第2のガスバリア層がEVOHサンプル2の場合、第1のガスバリア層が6重量%で第2のガスバリア層が4重量%であれば厚みムラは改善するものの、EVOHサンプル1と比較すると劣る結果であった。
なお、容器サンプル39,40についても、同様に厚みムラ指標値を測定した。その結果、容器サンプル39の厚みムラ指標値は10μm、容器サンプル40の厚みムラ指標値は8μmであった。これらの結果を表3に示す容器サンプル1の結果(24μm)と比較すると、いずれも厚みムラが改善していた。
一方、表4は、(ii)の第1のガスバリア層の質量比を10重量%に固定した場合のサンプル18〜38における、厚みムラ指標値の結果を示す表である。
同表では、第1のガスバリア層が同一のEVOHサンプルで形成されている容器サンプルの結果を太線の枠線で囲っている。当該枠線内の容器サンプルは、第2のガスバリア層を有しない(厚みが0μmの)容器サンプルの厚みムラ指標値を基準として、その数値よりも小さければ厚みムラが改善したと判定され、その数値と同一又はその数値よりも大きければ厚みムラが改善していないと判定される。
なお、各枠内における厚みムラ指標値の基準値は、表4中、下線で示している。
Figure 0006557574
まず、第1のガスバリア層がEVOHサンプル3で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1の場合は、第2のガスバリア層の質量比を2重量%及び4重量%とすると厚みムラが改善した。しかしながら、第2のガスバリア層の質量比を6重量%以上とすると厚みムラが改善しなかった。
同様に、第1のガスバリア層がEVOHサンプル4〜6で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1の場合は、第2のガスバリア層の質量比を2重量%及び4重量%とすると厚みムラが改善したが、第2のガスバリア層の質量比を6重量%以上とすると厚みムラが改善しなかった。
一方、第1のガスバリア層がEVOHサンプル3〜6で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル2の場合は、第2のガスバリア層の質量比を4重量%としても厚みムラは改善しなかった。
以上の結果より、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1であって、第1のガスバリア層が10重量%であり、第2のガスバリア層が2重量%以上4重量%以下であれば、中間層の厚みムラが改善することが確認された。
一方で、第2のガスバリア層がEVOHサンプル1であっても、第2のガスバリア層の質量比を6重量%以上とすると厚みムラが改善しなかった。これは、基材の質量比が少ないことに起因していると推測される。すなわち、延伸の際には外層の基材に力が加わり中間層へとその力が伝達するが、基材の厚みが薄いと、中間層に十分に力が加わらず、中間層の延伸が難しくなったものと推測される。
そこで、本実験例において中間層の厚みムラが改善し得る基材の厚みを算出する。
厚みムラが改善していた、第2のガスバリア層の質量比が10重量%、第2のガスバリア層の質量比が4重量%、接着層(2層の合計)の質量比が4重量%の場合、2つの基材の合計質量比は、82重量%である。したがって、本実験例においては、樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、2つの基材の合計の質量比が82重量%以上であれば、中間層の厚みムラが改善できると考えられる。
一方、第2のガスバリア層がEVOHサンプル2の場合は、第1のガスバリア層の質量比によらず、厚みムラが改善しないことが確認された。
EVOHサンプル2は、第1の融点(169℃)よりも高い融点(173℃)を有するが、成形温度領域においてPPサンプルよりも貯蔵弾性率が低いため、第2のガスバリア層の候補として用いられた。しかしながら、EVOHサンプル2は、表3及び表4に示した結果から、中間層を多層にした場合の厚みムラの改善効果が十分でないことが確認された。
したがって、第2のガスバリア層を構成する熱可塑性樹脂の条件としては、成形温度領域においてPPサンプル(基材)の貯蔵弾性率よりも低いことよりも、PPサンプルの第1の融点よりも低い融点を有することが重要であることが示唆された。
[ヘイズ測定]
続いて、使用する容器サンプル1〜40のうちの一部のサンプルを使用し、ヘイズ(曇度)測定を行った。
測定対象は、容器サンプル1(比較例1)、容器サンプル39(比較例2)、容器サンプル40(比較例3)、容器サンプル5(実施例1)、容器サンプル9(実施例2)、容器サンプル19(実施例3)である。
また、ヘイズ測定は、ヘイズメータを用い、プラスチック透明性の全光線透過率の試験方法(JIS K7361)、プラスチック透明材料のヘイズの求め方(JIS K7136)、プラスチックの光学的試験方法(JIS K7105)の規格に準拠して測定した。また、測定後、各サンプルの3箇所で測定されたヘイズの平均値を算出した。
図12は、ヘイズ測定の結果を示す棒グラフであり、横軸は各サンプル、縦軸はヘイズの値を示す。
同図に示すように、中間層がEVOHサンプル3の単層である比較例1が、最もヘイズが高かった。このことから、中間層が単層であり厚みムラの大きい比較例1では、透明性が低下していることが確認された。
そして、中間層がEVOHサンプル1,3をブレンドすることにより形成された比較例2,3では、比較例1よりはヘイズが改善しているものの、実施例1〜3のヘイズよりは高かった。これは、ブレンドされた樹脂によって拡散反射が生じるためと推測される。
中間層を多層化した実施例1〜3は、比較例1〜3と比較して、ヘイズが改善しており、透明性が高いことが確認された。これは、中間層の厚みムラが改善したためであると考えられる。特に、第2のガスバリア層の合計質量比を4重量%とした実施例2,3では、中間層の厚みムラが大きく改善していたことに伴い(表3,4参照)、高い透明性を有することが確認された。
[酸素透過率の測定]
最後に、実施例1,2と比較例2,3とを窒素置換BOX内にて限りなく酸素濃度を0%にした状態で容器開口部をアルミシール材で完全密封し、容器内酸素濃度を経時で測定(N=3 平均値)し、酸素バリア性について評価した。
容器内酸素濃度は、酸素濃度計(PBI Dansensor社製 Chek Mate9900)を用いて測定した。
図13は、23℃、湿度50%の環境下で保存したサンプルの容器内酸素濃度を測定した結果を示し、図14は、30℃、湿度80%の高温多湿環境下で保存したサンプルの容器内酸素濃度を測定した結果を示す。
同表に示すように、図13では、保存日数が長くなるにつれて、比較例2,3よりも実施例1,2の方が容器内酸素濃度が低いという結果が得られた。また、融点の高い第1のガスバリア層(EVOHサンプル3)の質量比が高いサンプルほど容器内酸素濃度が低いことが確認された。
また、図14では、中間層においてEVOH1,3が同一の質量比を有する実施例1と比較例2間、実施例2と比較例3間でそれぞれ比較すると、多層化した実施例1及び2の方がいずれも容器内酸素濃度が低いという結果が得られた。したがって、融点の高いEVOHを融点の低いEVOHで挟み込む多層化した中間層によって、EVOHをブレンドするよりも酸素バリア性が高まることが確認された。
10…樹脂シート
11,11a,11b…基材
12…中間層
13…第1のガスバリア層
14,14a,14b…第2のガスバリア層
15,15a,15b…接着層
100…容器

Claims (11)

  1. 第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、外層を構成する2つの基材と、
    前記第1の融点よりも高い第2の融点を有する2の熱可塑性樹脂で形成された第1のガスバリア層と、前記第1の融点よりも低い第3の融点を有する前記第2の熱可塑性樹脂で、前記第1のガスバリア層の両側にそれぞれ形成された2つの第2のガスバリア層とを含み、前記2つの基材の間に形成された中間層と
    を含む多層構造の樹脂シートにより形成された容器。
  2. 請求項1に記載の容器であって、
    口内径に対する深さの比が1.0以上1.6以下の深絞り形状を有する
    容器。
  3. 請求項1又は2に記載の容器であって、
    前記第1の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンである
    容器。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の容器であって、
    前記第2の熱可塑性樹脂は、エチレンビニルアルコール共重合体である
    容器。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の容器であって、
    前記樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、前記2つの基材の合計の質量比が82重量%以上である
    容器。
  6. 請求項5に記載の容器であって、
    前記樹脂シート全体の質量を100重量%としたときに、前記2つの第2のガスバリア層の合計の質量比が2重量%以上4重量%以下であり、前記第1のガスバリア層の質量比が6重量%以上10重量%以下である
    容器。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の容器であって、
    前記第2の融点は、前記第1の融点よりも10℃以上30℃以下高い温度である
    容器。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の容器であって、
    前記樹脂シートは、
    前記第1の融点よりも低い第4の融点を有する第3の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、前記2つの基材各々と前記中間層との間にそれぞれ形成された2つの接着層をさらに含む
    容器。
  9. 第1の融点を有する第1の熱可塑性樹脂でそれぞれ形成され、外層を構成する2つの基材と、
    前記第1の融点よりも高い第2の融点を有する2の熱可塑性樹脂で形成された第1のガスバリア層と、前記第1の融点よりも低い第3の融点を有する前記第2の熱可塑性樹脂で、前記第1のガスバリア層の両側にそれぞれ形成された2つの第2のガスバリア層とを含み、前記2つの基材の間に形成された中間層と
    を含む多層構造の樹脂シートを形成し、
    前記樹脂シートを圧空成形する
    容器の製造方法。
  10. 請求項9に記載の容器の製造方法であって、
    前記圧空成形するステップでは、前記樹脂シートを、前記第1の融点との温度差が10℃以内の温度で軟化させる
    容器の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載の容器の製造方法であって、
    前記圧空成形するステップでは、前記圧空成形と同時に前記樹脂シートの成形体を打ち抜く
    容器の製造方法。
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