JP6557039B2 - かつら - Google Patents

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Description

本発明は、ベース部を弧状に反転動作させて、挟持部により自毛を挟持するストッパを保持するためのストッパホルダを備えたかつらに関する。
一般的なかつらは、長期装着型と短期装着型とに大きく分類される。このうち短期装着型のかつらには、かつらベースに設けた反転式のストッパ(ヘアピン)で装着者の自毛に固定するストッパ方式を採用したものある。ストッパ方式のかつらは、装着者自身で簡単に着脱することができるというメリットがある。
従来のストッパ方式のかつらとして、例えば、特許文献1(特開昭53−42970号公報)では、かつらベースの周辺部に、複数の反転式のストッパを取り付けたかつらが提案されている。一般に、反転式のストッパは、かつらベースに縫着されており、装着者の自毛の状態に応じた適切な位置に配置される。
特開昭53−42970号公報 実開昭56−15737号公報 実公平05−19287号公報 特許第3543301号公報 特許第3047295号公報 特許第2943066号公報
装着者の自毛の健康状態を維持するために、ストッパの固定に用いる自毛を定期的に変更する必要がある。このような場合に、特許文献1に開示されているような一般的かつらでは、かつらベースにおけるストッパの取り付け位置を変更していた。しかし、従来のストッパは、かつらベースに縫着されており、ストッパの脱着を繰り返すと、かつらベースの生地が傷んでしまう。
また、ストッパの脱着は、かつらのメンテナンスの際に、かつら専門の縫製技術を備えた技術者が行っており、装着者が、自らの好みに応じてストッパの位置を変更することができない。さらに、かつらベースへのストッパの縫着は、ミシンを用いて行うことができず、技術者は、細かい手作業を駆使して、ストッパを脱着しなければならなかった。
ここで、従来からストッパの取り付け位置を変更可能にしたかつらが、いくつか提案されているが、実用化されたものは極めて少ない。ストッパの取り付け位置を変更可能にしたかつらとして、例えば、特許文献2〜6に開示されているものがある。
特許文献2(実開昭56−15737号公報)には、かつらベースの裏面に一枚の生地を縫着してポケットを形成し、このポケットにスライド式ピンを挟み込んだ構成のかつらが提案されている。しかし、単なるポケットでは、スライド式ピンを十分に保持することができない。スライド式ピンは、自らの挟持力によってポケットに保持されている。このため、ポケットからスライド式ピンが脱落してしまい、装着者の頭部にかつらを安定的に固定することができない。また、単なるポケットでは、一般的な櫛歯状の挟持部を備えた反転式のストッパを保持することができない。
特許文献3(実公平05−19287号公報)には、かつらベースの内周縁に沿って、一本の線状部材からなる多数の連続ループを形成し、任意のループにストッパを係止する構成のかつらが提案されている。この構成によれば、ストッパを繰り返し着脱しても、かつらベースの生地は傷まない。しかし、かつらベースにストッパをしっかりと固定するためには、ストッパをループに縫着しなければならず、ストッパの脱着に要する手間と困難性は、一般的なストッパ方式のかつらと変わらない。
特許文献4(特許第3543301号公報)には、かつらベースの裏面に等間隔の開口部を多数設け、一方、ストッパの左右両側に細い首部を備えた一対の突起を設け、任意に選択した二つの開口部にストッパの突起を着脱自在に係合させる構成のかつらが提案されている。しかし、このかつらには、左右両側に特殊な突起を設けた専用のストッパしか使用することができない。
特許文献5(特許第3047295号公報)及び特許文献6(特許第2943066号公報)には、かつらベースの周縁部を保持するために、ストッパの左右両側に、一対の棒状の突片を設けた構成が提案されている。しかし、このかつらには、左右両側に棒状の突片を設けた専用のストッパしか使用することができない。また、この専用のストッパは、かつらベースの周縁部から外側の方向に脱落しやすい。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、かつらベースを傷めずに、ストッパの取り付け位置を容易に変更することができ、ストッパの保持力が高く、耐久性に優れ、簡単に製造することが可能なストッパホルダを備えたかつらを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明のかつらは、ベース部を弧状に反転動作させて、挟持部により自毛を挟持するストッパを保持するためのストッパホルダを備えたかつらであって、前記ストッパホルダは、前記かつらを構成するかつらベースの裏面側に取り付けられ、少なくとも一枚の繊維生地又は合成樹脂のシート状素材からなり、あらかじめ所定の形状に裁断された前記シート状素材の部分どうしを接着又は縫着することにより、少なくとも対向する二面を有する袋状の保持部が形成され、前記保持部が、前記ストッパの挟持部を除き、少なくとも前記ベース部の両端部を収容して保持する構成としてある。
(2)好ましくは、上記(1)のかつらにおいて、前記シート状素材が、前記ストッパのベース部よりも広い面積の第1部分と、前記第1部分に連成され、かつ互いに分割された一対の第2部分と、を含み、前記ストッパホルダは、一対の前記第2部分のそれぞれが、前記第1部分の両端側に重複するように折り畳まれた状態で接着又は縫着されることにより、一対の前記保持部が形成された構成にするとよい。
(3)好ましくは、上記(1)のかつらにおいて、前記シート状素材が、前記ストッパのベース部よりも広い面積の第1部分と、前記第1部分の互いに対向する二辺のうちの一辺に連成され、前記第1部分の半分よりも広い面積の第2部分と、前記第1部分の互いに対向する二辺のうちの他の一辺に連成され、前記第1及び第2部分のいずれよりも狭い面積の第3部分と、を含み、前記ストッパホルダは、前記第2部分が、前記第1部分に重複するように折り畳まれるとともに、前記第3部分が、前記第2部分に重複するように折り畳まれた状態で接着又は縫着されることにより、前記ベース部の全体を収容する前記保持部が形成された構成にするとよい。
(4)好ましくは、上記(1)のかつらにおいて、前記ストッパホルダは、前記ストッパのベース部よりも広い面積の二枚の前記シート状素材からなり、二枚の前記シート状素材の一方には、前記ストッパが通過可能なスリットが設けられ、二枚の前記シート状素材が、互いに重ね合せられた状態で接着又は縫着されることにより、前記ベース部の全体を収容する前記保持部が形成された構成にするとよい。
(5)好ましくは、上記(1)のかつらにおいて、前記シート状素材が、前記ストッパのベース部よりも広い面積の第1部分と、前記第1部分に連成され、前記ストッパのベース部よりも広い面積の第2部分と、を含み、前記第1又は第2部分の一方には、前記ストッパが通過可能なスリットが設けられ、前記ストッパホルダは、前記第1及び第2部分が、互いに重ね合せられた状態で接着又は縫着されることにより、前記ベース部の全体を収容する前記保持部が形成された構成にするとよい。
(6)好ましくは、上記(1)のかつらにおいて、前記シート状素材が、前記ストッパのベース部の両端部をそれぞれ覆うことが可能な面積の二枚の前記シート状素材からなり、前記ストッパホルダは、二枚の前記シート状素材のそれぞれが、二つ折りにされた状態で接着又は縫着されることにより、前記ベース部の両端部をそれぞれ収容する一対の前記保持部が形成され、一対の前記保持部どうしが間隔をおいて、弾性を有する帯状体に連結された構成にするとよい。
(7)好ましくは、上記(1)〜(6)のいずれかのかつらにおいて、前記ストッパホルダに、前記ストッパの挟持部に挟持される滑り止めが設けられ、前記滑り止めは、少なくとも前記挟持部に接触する粗面を有する構成にするとよい。
本発明のかつらに設けられたストッパホルダによれば、かつらベースを傷めずに、ストッパの取り付け位置を容易に変更することができる。また、本発明のかつらに設けられたストッパホルダは、ストッパの保持力が高く、耐久性に優れ、簡単に製造することが可能である。
本発明の実施形態に係るかつらを裏面から見た平面図である。 第1実施形態に係るストッパホルダの平面図である。 第1実施形態に係るストッパホルダの製造工程図である。 第2実施形態に係るストッパホルダの製造工程図である。 第3実施形態に係るストッパホルダの製造工程図である。 図6(a)は第4実施形態に係るストッパホルダの平面図、図6(b)、(c)は前記ストッパホルダの二通りの構成を示す分解図である。 図7(a)は第5実施形態に係るストッパホルダの平面図、図7(b)はQ−Q線断面図、図7(c)は前記ストッパホルダの使用状態を示す平面図である。
以下、本発明のかつらの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明のかつらは、ベース部を弧状に反転動作させて、挟持部により自毛を挟持するストッパを保持するためのストッパホルダを備えたかつらであって、ストッパホルダの構成に特徴がある。
<第1実施形態>
図1に示すかつら1は、主として、ネット状部材からなるかつらベース10に、人工毛又は人毛である毛髪11を結着し、表面側に引き出した構成となっている。かつらベース10の前部には、装着者の額の生え際に対応する人工皮膚12が配設してある。
かつらベース10の裏面外周のうち、前部を除く両側部から後部に亘る範囲には、複数のストッパホルダ20が取り付けてある。各ストッパホルダ20は、それぞれストッパ3を保持している。図2(b)に示すように、ストッパ3は、弧状に反転動作可能なベース部3Aに、櫛歯状の挟持部3Bを設けた構成になっている。挟持部3Bは、ベース部3Aの反転動作によって、ベース部3Aに圧接した状態、又はベース部3Aから離反した状態になる。挟持部3Bは、ベース部3Aに圧接した状態となったときに装着者の自毛を挟持する。
なお、説明の便宜上、図1の全てのストッパホルダ20が、それぞれストッパ3を保持している。しかし、実際は、装着者の頭部にかつら1を保持するのに十分な数のストッパ3を、適切な位置のストッパホルダ20に保持させればよい。
<<かつらベース>>
本実施形態のかつらベース10は、装着者の頭部に合わせた椀状のネット状部材で構成してある。ネット状部材の材料としては、成型性及び耐熱性等に優れたナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成樹脂が好ましい。但し、綿、麻、絹等の天然繊維からなるネット状部材を用いてもよい。
かつらベース10を構成するネット状部材の色は、これに植設する毛髪11の色と近似した黒色、茶色又は白色などにするとよい。これにより、かつらベース10に結着した毛髪11の結び目が目立たなくなる効果がある。また、かつらベース10を構成するネット状部材のうち、少なくとも人工皮膚12に対応する箇所の色を肌色にしてもよい。
毛髪11は、人工毛又は人毛のいずれを用いてもよい。人工毛の素材としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル又は塩化ビニル系の合成繊維が用いられる。毛髪11の太さは、例えば、細い毛髪として約0.03又は0.04mm程度、太い毛髪として約0.05〜0.10mm程度のものが用いられる。また、毛髪11の強度の指標としては、例えば、かつらベース10に結着する前の直線状態のときの引っ張り強度で約0.80N以上、かつらベース10に結着した状態の引っ張り強度で約0.60N以上のものが好ましい。
<<人工皮膚>>
人工皮膚12は、例えば、ポリウレタンやシリコーン等の合成樹脂からなる肌色のフィルム又はシート、若しくはナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維、綿、麻、絹等の天然繊維からなる目の細かい肌色の織布(メッシュ又はネットを含む)により構成してある。
人工皮膚12は、その周縁部をかつらベース10に縫着してあり、毛髪11の生え際の部分で地肌のように見える役割を果たす。人工皮膚12に、合成樹脂製のフィルム又はシートを用いた場合は、人間の頭皮の質感をリアルに再現することができ、見た目がより自然となる。一方、合成繊維又は天然繊維の織布を用いた場合は、かつら1の通気性が良好となり、耐久性が向上する利点がある。
<<ストッパホルダ>>
図2(a)、(b)において、本実施形態のストッパホルダ20は、あらかじめ所定の形状に裁断された一枚の繊維生地又は合成樹脂のシート状素材で構成してある。シート状素材として、例えば、本実施形態では、かつらベース10と同様のネット状部材を採用している。ストッパホルダ20は、所定形状のシート状素材を折り畳み、左右両側の二箇所を縫着することで(縫着部Sを参照)、対向する二面を有する袋状の保持部を形成している。
図2(b)に示すように、ストッパホルダ20の背面に相当する長方形の第1部分20Aの手前には、一対の三角形状の第2部分20B、20Bが重複している。第1及び第2部分20A、20B、20Bは、互いに対向して袋状の保持部を形成する。また、ストッパホルダ20のほぼ中央には、帯状の滑り止め24が設けてある。本実施形態の滑り止め24は、シート状素材よりも大きな摩擦抵抗を生じさせることが可能な繊維生地、合成樹脂、又は合成樹脂を含浸させた繊維生地などからなる。例えば、素材を問わず、その表面を粗面に加工した帯状体を滑り止め24に用いることができる。
図2(a)に示すように、ストッパホルダ20は、第1部分20Aと第2部分20B、20Bとの間に、ストッパ3のベース部3Aを収容して保持する。ストッパ3のベース部3Aと挟持部3Bとの間には、滑り止め24が介在する。装着者の自毛は、滑り止め24とともにベース部3Aと挟持部3Bとの間に挟持される。
以下、図3(a)〜(f)を参照して、本実施形態に係るストッパホルダ20の製造工程を説明し、ストッパホルダ20の構成の詳細を明らかにする。
図3(a)は、ストッパホルダ20を構成するシート状素材の展開図である。本実施形態のストッパホルダ20は、図3(a)に示す所定形状のシート状素材によって構成される。ストッパホルダ20のシート状素材は、全体が略長方形となっている。図中の細い点線で示した折り畳み線を境界にして、シート状素材の下部が第1部分20Aであり、上部が第2部分20Bである。
図3(a)において、第1部分20Aは、ストッパ3のベース部3Aよりも広い面積を有している。第1部分20Aの左右両側には、それぞれ折り返し片22、22が突出している。そして、第1部分20Aの各折り返し片22よりも下側は、折り返し部23となっている。一方、第2部分20Bの横方向の中央には、第1部分20Aとの境界位置に達する縦方向の切り込み21aが設けてある。この切込み21aによって、第2部分20Bは、一対の第2部分片21、21に分割されている。
図3(a)に示すシート状素材からストッパホルダ20を製造する場合は、まず、一対の第2部分片21、21を、それぞれ対角線に沿って半分に折り畳む。これにより、一対の第2部分片21、21は、それぞれ図3(b)に示す三角形状となる。
次いで、図3(b)に示す三角形状の第2部分片21、21を、それぞれ第1部分20Aに重複するように折り畳み、図3(c)に示す状態にする。このとき、各第2部分片21の自由な側辺(図中の垂直な辺)が、それぞれ各折り返し片22の基部に配置される。
引き続き、図3(c)、(d)に示すように、折り返し部23を、第1部分20Aに重複するように2回連続で折り畳む。このとき、折り返し部23の左右の自由な側辺(図中の垂直な辺)が、それぞれ各折り返し片22の基部に配置されるとともに、折り返し部23の左右両側が、各第2部分片21の頂部に重複する。
その後、図3(e)に示すように、第1部分20Aのほぼ中央における各第2部分片21の上に、滑り止め24を載置する。そして、一対の折り返し片22、22を、第1部分20Aに重複するようにそれぞれ折り畳む。これにより、第1部分20Aの左右両側において、各第2部分片21、折り返し部23及び滑り止め24のそれぞれの自由な側辺が、各折り返し片22と第1部分20Aとの間に挟まれる。
最後に、図3(f)に示すように、第1部分20Aの左右両側の二箇所において、各折り返し片22、各第2部分片21、折り返し部23、滑り止め24及び第1部分20Aを縫着する(縫着部Sを参照)。これにより、袋状の保持部を備えたストッパホルダ20が完成する。
<<作用効果>>
上述した本実施形態のストッパホルダ20によれば、複数のストッパ3を、かつらベース10に直接固定しないで強固に保持することができる。したがって、かつらベース10を傷めることなく、複数のストッパ3の位置を簡単かつ迅速に変更することが可能となる。この結果、かつら1の装着者自身が、何ら技量や経験を要することなく、複数のストッパ3を適切な位置に付け替えることができる。
本実施形態のストッパホルダ20では、互いに対向する第1及び第2部分20A、20Bによって、ストッパ3がかつらベース10の周方向に移動することなく保持される。また、ストッパホルダ20の滑り止め24は、その摩擦抵抗によって装着者の自毛をしっかり保持するだけでなく、ストッパ3をストッパホルダ20から脱落させない抜け止めの役割を果たす。この結果、ストッパホルダ20は、かつら1を装着者の頭部に安定的に固定する高い保持力を生じさせる。
本実施形態のストッパホルダ20では、ストッパ3を保持する各第2部分片21を、二重のシート状素材で構成してある。これにより、各第2部分片21の強度が高まり、極めて薄いシート状素材で、高保持力かつ高強度のストッパホルダ20を構成することが可能となる。さらに、各第2部分片21の頂部及び自由な側辺(図中の垂直な辺)に、折り返し部23の左右両側を重複させることにより、これら頂部、自由な側辺の解れが良好に防止され、ストッパホルダ20の耐久性が更に向上する。ストッパホルダ20の耐久性の向上は、その交換を不要とし、これがかつらベース10の長寿命に寄与する。これに加え、本実施形態のストッパホルダ20は、その製造に際して縫着部Sが二箇所で済み、手動又は自動生産のいずれの場合でも簡単に製造することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るストッパホルダについて、図4(a)〜(e)を参照しつつ説明する。
図4(e)は、全ての製造工程が完了した本実施形態のストッパホルダ30を示している。図1に示すストッパホルダ20と同様に、複数のストッパホルダ30が、かつらベース10の裏面外周のうち、前部を除く両側部から後部に亘る範囲に取り付けられる。複数のストッパホルダ30の一部又は全部に、ストッパ3が保持される。以下、本実施形態のストッパホルダ30の製造工程を説明し、ストッパホルダ30の構成の詳細を明らかにする。
図4(a)は、ストッパホルダ30を構成するシート状素材の展開図である。本実施形態のストッパホルダ30は、図4(a)に示す所定形状のシート状素材によって構成される。図中の細い点線で示した折り畳み線を境界にして、シート状素材の下部が第1部分30Aであり、上部が第2部分30Bである。ストッパホルダ30のシート状素材は、四角形状の第1部分30Aに、長円形状の第2部分30Bを連成した構成となっている。
図4(a)において、第1部分30Aは、ストッパ3のベース部3Aよりも広い面積を有している。第1部分30Aの下辺側の部分は、折り返し部33となっている。一方、第2部分30Bは、第1部分30Aよりも広い面積を有する。第2部分30Bの横方向の中央には、第1部分30Aとの境界位置に達する縦方向の切り込み31aが設けてある。この切込み31aによって、第2部分30Bは、一対の第2部分片31、31に分割されている。
ここで、本実施形態では、第2部分30Bが長円形状となっているので、これを切込み31aによって分割すると、各第2部分片31のそれぞれに、半円形状の輪郭32aを有する装飾部32が連成される。装飾部32の輪郭32aは、シート状素材をヒートカットすることにより所定形状に形成してある。
図4(a)に示すシート状素材からストッパホルダ30を製造する場合は、まず、一対の第2部分片31、31を、それぞれ対角線(第2部分片31が四角形であると仮定した場合の対角線)に沿って半分に折り畳む。これにより、一対の第2部分片31、31は、それぞれ図4(b)に示す三角形状となる。そして、図4(b)に示すように、下辺側の折り返し部33を、第1部分30Aに重複するように折り畳む。
引き続き、図4(c)に示すように、折り畳んだ状態の折り返し部33を、第1部分30Aに縫着する(縫着部Sを参照)。そして、三角形状の第2部分片31、31を、それぞれ第1部分30Aに重複するように折り畳み、図4(d)に示す状態にする。このとき、折り畳んだ状態の第2部分片31、31が、それぞれ折り返し部33の両端部に重複する。
その後、図4(e)に示すように、折り返し部33の上に滑り止め34を載置する。このとき、滑り止め34は、折り返し部33の全部に重複するとともに、その両端部が第2部分片31、31の各頂部に重複する。最後に、第1部分30Aの左右両側の二箇所において、滑り止め34、第2部分片31、31及び第1部分30Aの全てを縫着する。これにより、袋状の保持部を備えたストッパホルダ30が完成する。
<作用効果>
上述した本実施形態のストッパホルダ30によれば、複数のストッパ3を、かつらベース10に直接固定しないで強固に保持することができる。したがって、かつらベース10を傷めることなく、複数のストッパ3の位置を簡単かつ迅速に変更することが可能となる。この結果、かつら1の装着者自身が、何ら技量や経験を要することなく、複数のストッパ3を適切な位置に付け替えることができる。
本実施形態のストッパホルダ30では、互いに対向する第1及び第2部分30A、30Bによって、ストッパ3がかつらベース10の周方向に移動することなく保持される。また、ストッパホルダ30の滑り止め34は、その摩擦抵抗によって装着者の自毛をしっかり保持するだけでなく、ストッパ3をストッパホルダ30から脱落させない抜け止めの役割を果たす。この結果、ストッパホルダ30は、かつら1を装着者の頭部に安定的に固定する高い保持力を生じさせる。
本実施形態のストッパホルダ30では、ストッパ3を保持する各第2部分片31を、二重のシート状素材で構成してある。これにより、各第2部分片31の強度が高まり、極めて薄いシート状素材で、高保持力かつ高強度のストッパホルダ30を構成することが可能となる。さらに、各第2部分片31の頂部に、滑り止め34の両端部をそれぞれ重複させることにより、これら頂部の解れが良好に防止され、ストッパホルダ30の耐久性が更に向上する。ストッパホルダ30の耐久性の向上は、その交換を不要とし、これがかつらベース10の長寿命に寄与する。これに加え、本実施形態のストッパホルダ30は、その製造に際して縫着部Sが三箇所で済み、手動又は自動生産のいずれの場合でも簡単に製造することができる。
またさらに、本実施形態のストッパホルダ30は、第2部分片31、31のそれぞれに装飾部32、32を連成した構成としてある。これら装飾部32を任意の輪郭32aとすることで、ストッパホルダ30のデザインの自由度を拡大することが可能となる。これに加え、シート状素材をヒートカットすることにより、各装飾部32の輪郭32aを所定形状に形成することで、これら輪郭32aの解れが良好に防止される。これにより、各装飾部32の輪郭32aを複雑な形状にデザインすることが可能となり、デザインされた形状を長期に亘って維持することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るストッパホルダについて、図5(a)〜(f)を参照しつつ説明する。
図5(e)、(f)は、全ての製造工程が完了した本実施形態のストッパホルダ40を示している。図1に示すストッパホルダ20と同様に、複数のストッパホルダ40が、かつらベース10の裏面外周のうち、前部を除く両側部から後部に亘る範囲に取り付けられる。複数のストッパホルダ40の一部又は全部に、ストッパ3が保持される。以下、本実施形態のストッパホルダ40の製造工程を説明し、ストッパホルダ40の構成の詳細を明らかにする。
図5(a)は、ストッパホルダ40を構成するシート状素材の展開図である。本実施形態のストッパホルダ40は、図5(a)に示す所定形状のシート状素材によって構成される。ストッパホルダ40のシート状素材は、全体が略長方形となっている。図中の細い点線で示した折り畳み線を境界にして、シート状素材の中央部が第1部分40A、下部が第2部分40B、上部が第3部分40Cになっている。
図5(a)において、第1部分40Aは、ストッパ3のベース部3Aよりも広い面積を有している。第2部分40Bは、第1部分40Aの互いに対向する折り畳み線のうちの一方に連成されている。第2部分40Bの下辺側は、折り返し部42となっている。この折り返し部42を含めると、第2部分40Bの面積は、第1部分40Aの面積よりも広い。第3部分40Cは、第1部分40Aの互いに対向する折り畳み線のうちの他方に連成されている。第3部分40Cの上辺側は、折り返し部41となっている。この折り返し部41を含めても、第3部分40Cの面積は、第1及び第2部分40A、40Bのいずれの面積よりも狭い。図5(f)に示すように、第1及び第2部分40A、40Bは、互いに対向して袋状の保持部を形成する。第3部分40Cは、第1及び第2部分40A、40Bよって形成された袋状の保持部の開口を覆う蓋になる。
図5(a)に示すシート状素材からストッパホルダ40を製造する場合は、まず、上辺側の折り返し部41を、第3部分40Cに重複するように折り畳む。これと同様に、下辺側の折り返し部42を、第2部分40Bに重複するように折り畳む。
次いで、図5(b)に示すように、折り畳んだ状態の折り返し部41を、第3部分40Cに縫着する(縫着部Sを参照)。これと同様に、折り畳んだ状態の折り返し部42を、第2部分40Bに縫着する(縫着部Sを参照)。そして、第2部分40Bを、第1部分40Aに重複するように折り畳み、図5(c)に示す状態にする。
引き続き、図5(c)に示すように、第3部分40Cを、第1部分40Aの上の第2部分40Bに重複するように折り畳み、図5(d)に示す状態にする。そして、第2部分40Bの上面における第3部分40Cの手前に、滑り止め43を載置する。
最後に、図5(e)に示すように、第1部分40Aの左右両側の二箇所において、第3部分40C、滑り止め43、第2部分40B及び第1部分40Aを縫着する。これにより、図5(f)に示す袋状の保持部を備えたストッパホルダ40が完成する。
図5(f)において、第1及び第2部分40A、40Bより形成された袋状の保持部には、図2(b)に示すストッパ3のベース部3Aの全体が収容される。ストッパ3の挟持部3Bは、互いに重複する第2部分40Bと第3部分40Cとの間から外部に露出する。ベース部3Aと挟持部3Bとの間には、滑り止め43及び第2部分40Bが介在する。
<<作用効果>>
上述した本実施形態のストッパホルダ40によれば、複数のストッパ3を、かつらベース10に直接固定しないで強固に保持することができる。したがって、かつらベース10を傷めることなく、複数のストッパ3の位置を簡単かつ迅速に変更することが可能となる。この結果、かつら1の装着者自身が、何ら技量や経験を要することなく、複数のストッパ3を適切な位置に付け替えることができる。
本実施形態のストッパホルダ40では、互いに対向する第1及び第2部分40A、40Bによって、ストッパ3のベース部3Aの全体が保持される。また、ストッパホルダ40の第3部分40Cが、第1及び第2部分40A、40Bよって形成された袋状の保持部の開口を覆う蓋になり、ストッパ3をストッパホルダ40から脱落させない抜け止めの役割を果たす。この結果、ストッパホルダ40は、かつら1を装着者の頭部に安定的に固定する高い保持力を生じさせる。
これに加え、本実施形態のストッパホルダ40は、図5(a)に示すような、単純な長方形状のシート状素材を二方向に折り畳み、四箇所を縫着(縫着部Sを参照)するだけで簡単に製造することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るストッパホルダについて、図6(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図6(a)、(b)において、本実施形態に係るストッパホルダ50は、ストッパ3のベース部3Aよりも広い面積の二枚のシート状素材50A、50Bを互いに重ね合せた状態で縫着し、袋状の保持部を形成した構成となっている。二枚のシート状素材50A、50Bによって形成された袋状の保持部には、ストッパ3のベース部3Aの全体が収容される。
図6(b)に示すように、一方のシート状素材50Aには、ストッパ3が通過可能なスリット51が設けてある。ストッパホルダ50内にストッパ3のベース部3Aが収容されたとき、このスリット51からストッパ3の挟持部3Bが外部に露出する。このスリット51の両端には、円孔52、52がそれぞれ連成してある。各円孔52は、スリット51の両端に掛かる負担を分散させ、スリット51の両端におけるシート状素材50Aの亀裂を防止する。
ここで、ストッパホルダ50の表面を構成する一方のシート状素材50Aは、少なくともストッパ3の挟持部3Bに接触する部分に滑り止め加工を施すことが好ましい。本実施形態では、シート状素材50Aに合成樹脂を含浸させて、その表面を粗面53にしている。例えば、二枚のシート状素材50A、50Bに同様の薄いネット状部材を用い、少なくとも一方のシート状素材50Aの表面に滑り止め加工を施した構成にするとよい。
なお、本実施形態に係るストッパホルダ50は、図6(c)に示すように一枚のシート状素材によって構成することも可能である。図6(c)に示す一枚のシート状素材は、ストッパ3のベース部3Aよりも広い面積の第1及び第2部分50A、50Bを有する。これら第1及び第2部分50A、50Bを互いに重ね合せた状態で縫着することで、袋状の保持部が形成される。図6(c)に示す一枚のシート状素材は、第1及び第2部分50A、50Bの表面全体に滑り止め加工が施されている。
<<作用効果>>
上述した本実施形態のストッパホルダ50によれば、複数のストッパ3を、かつらベース10に直接固定しないで強固に保持することができる。したがって、かつらベース10を傷めることなく、複数のストッパ3の位置を簡単かつ迅速に変更することが可能となる。この結果、かつら1の装着者自身が、何ら技量や経験を要することなく、複数のストッパ3を適切な位置に付け替えることができる。
本実施形態のストッパホルダ50では、二枚又は一枚のシート状素材の互いに対向する二面(50A、50B)によって、ストッパ3のベース部3Aの全体が保持される。この結果、ストッパホルダ50は、かつら1を装着者の頭部に安定的に固定する高い保持力を生じさせる。
また、本実施形態のストッパホルダ50は、二枚又は一枚のシート状素材を重ね合せた状態で縫着するだけで簡単に製造することができる。さらに、二枚又は一枚のシート状素材の輪郭を任意の形状に裁断することで、ストッパホルダ50の外形を自由にデザインすることが可能となる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るストッパホルダについて、図7(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
図7(a)において、本実施形態に係るストッパホルダ60は、ストッパ3のベース部3Aの両端部をそれぞれ覆うことが可能な面積の二枚のシート状素材(図中の符号60A、60Bを参照)を含む。各シート状素材は、それぞれが長方形となっており、長方形の長手方向の中心線で二つ折りした状態で、両端部の二箇所を縫着してある。これにより、図7(b)に示すように、第1部分60Aと第2部分60Bとが互いに対向する袋状の保持部を形成した構成となっている。
図7(a)に示すように、第1及び第2部分60A、60Bによって形成された一対の袋状の保持部は、所定間隔をおいて配置してあり、弾性を有する帯状体61の両端部にそれぞれ連結してある。前記の所定間隔とは、ストッパ3のベース部3Aの横幅よりも短い長さである。このような構成により、図7(b)に示すように、二枚のシート状素材からなる保持部に、ストッパ3のベース部3Aの両端部を収容すると、ベース部3Aが、帯状体61の収縮力を受けた状態で強固に保持される。
<<作用効果>>
上述した本実施形態のストッパホルダ60によれば、複数のストッパ3を、かつらベース10に直接固定しないで強固に保持することができる。したがって、かつらベース10を傷めることなく、複数のストッパ3の位置を簡単かつ迅速に変更することが可能となる。この結果、かつら1の装着者自身が、何ら技量や経験を要することなく、複数のストッパ3を適切な位置に付け替えることができる。
本実施形態のストッパホルダ60では、ストッパ3のベース部3Aが、帯状体61の収縮力を受けた状態で強固に保持される。この結果、ストッパホルダ60は、かつら1を装着者の頭部に安定的に固定する高い保持力を生じさせる。これに加え、本実施形態のストッパホルダ60は、長方形のシート状素材を二つ折りにした状態で縫着するだけで簡単に製造することができる。
<その他の変更>
本発明のかつらは、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上述した各実施形態のストッパホルダは、図面に示した形状に限定されるものではなく、任意の形状に変更することが可能である。また、上述した各実施形態では、縫着によってストッパホルダを形成することとしたが、縫着に限らず、接着や熱溶着などの固着手段を適用してもよい。
1 かつら
10 かつらベース
11 毛髪
12 人工皮膚
20、30、40、50、60 ストッパホルダ
20A、30A、40A、50A、60A 第1部分
20B、30B、40B、50B、60B 第2部分
21、31 第2部分片
21a、31a 切り込み
22 折り返し片
23、33、41、42 折り返し部
24、34、43 滑り止め
32 装飾部
32a ヒートカット
40C 第3部分
51 スリット
52 円孔
53 粗面
61 帯状体
S 縫着部
3 ストッパ
3A ベース部
3B 挟持部

Claims (3)

  1. ベース部を弧状に反転動作させて、挟持部により自毛を挟持するストッパを保持するためのストッパホルダを備え
    前記ストッパホルダは、
    前記かつらを構成するかつらベースの裏面側に取り付けられ、
    少なくとも一枚の繊維生地又は合成樹脂のシート状素材からなり、
    あらかじめ所定の形状に裁断された前記シート状素材の部分どうしを接着又は縫着することにより、少なくとも対向する二面を有する袋状の保持部が形成され、
    前記保持部が、前記ストッパの挟持部を除き、少なくとも前記ベース部の両端部を収容して保持するかつらであって
    前記シート状素材が、
    前記ストッパのベース部よりも広い面積の第1部分と、
    前記第1部分に連成され、かつ互いに分割された一対の第2部分と、を含み、
    前記ストッパホルダは、
    一対の前記第2部分のそれぞれが、前記第1部分の両端側に重複するように折り畳まれた状態で接着又は縫着されることにより、一対の前記保持部が形成された構成であることを特徴とするかつら。
  2. ベース部を弧状に反転動作させて、挟持部により自毛を挟持するストッパを保持するためのストッパホルダを備え、
    前記ストッパホルダは、
    前記かつらを構成するかつらベースの裏面側に取り付けられ、
    少なくとも一枚の繊維生地又は合成樹脂のシート状素材からなり、
    あらかじめ所定の形状に裁断された前記シート状素材の部分どうしを接着又は縫着することにより、少なくとも対向する二面を有する袋状の保持部が形成され、
    前記保持部が、前記ストッパの挟持部を除き、少なくとも前記ベース部の両端部を収容して保持するかつらであって、
    前記シート状素材が、
    前記ストッパのベース部の両端部をそれぞれ覆うことが可能な面積の二枚の前記シート状素材からなり、
    前記ストッパホルダは、
    二枚の前記シート状素材のそれぞれが、二つ折りにされた状態で接着又は縫着されることにより、前記ベース部の両端部をそれぞれ収容する一対の前記保持部が形成され、
    一対の前記保持部どうしが間隔をおいて、弾性を有する帯状体に連結された構成であることを特徴とするかつら。
  3. 前記ストッパホルダに、前記ストッパの挟持部に挟持される滑り止めが設けられ、前記滑り止めは、少なくとも前記挟持部に接触する粗面を有する、請求項に記載のかつら。
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