(第一の実施形態)
以下、本発明に係る環境試験装置の第一の実施形態について説明する。図1Aは、開閉扉12が開いているときの環境試験装置1の外観図である。図1Bは、開閉扉12が閉じているときの環境試験装置1の外観図である。図1A及び図1Bに示すように、環境試験装置1は、試験槽11、開閉扉12、画像撮影部13、音声取得部14、音声出力部15及び操作表示部16を備えている。
試験槽11は、例えばスマートフォン等の電気機器や電子部品等の試験対象の試料SPを設置するための試料棚17を備え、開口部(図1Aの太枠部)から試料SPを収容可能に構成されている。
開閉扉12は、後述の制御部20による制御の下、図1Aの矢印方向が示す上方又は図1Bの矢印方向が示す下方に自動的にスライドする自動扉によって構成されている。開閉扉12は、下方又は上方にスライドすることで、試験槽11の開口部(図1Aの太枠部)を開閉する。具体的には、開閉扉12は、試験槽11の開口部よりも下方にスライドすることで、図1Aに示すように、試験槽11の開口部を開いた状態(以降、開状態)となる。一方、開閉扉12は、開状態である場合に上方にスライドすることで、図1Bに示すように、試験槽11の開口部を閉じた状態(以降、閉状態)となる。
画像撮影部13は、撮影方向が開閉扉12の周辺を向くように設けられたカメラによって構成され、開閉扉12の周辺の画像(以降、周辺画像)を撮影する。音声取得部14は、マイクによって構成され、開閉扉12の周辺の音声(以降、周辺音声)を取得する。音声出力部15は、スピーカーによって構成され、後述の制御部20による制御の下、指示された音声を出力する。
操作表示部16は、タッチパネル装置によって構成されている。操作表示部16は、後述の制御部20による制御の下、環境試験装置1の操作画面や、操作を案内するメッセージ等の各種情報を表示する。また、操作表示部16は、操作画面内のソフトキーがタッチ操作されると、当該ソフトキーに対応付けられた情報の入力を受け付ける。尚、操作表示部16は、タッチパネル装置に限らず、各種情報を表示可能な液晶ディスプレイ等のモニターと各種情報を入力可能なテンキーやキーボード等のハードキーとを備えて構成してもよい。
次に、環境試験装置1の電気的構成について説明する。図2は、環境試験装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、環境試験装置1は、上記の開閉扉12、画像撮影部13、音声取得部14、音声出力部15及び操作表示部16に加え、施錠機構18、重量計測部19、制御部20、インターフェイス部30、管理部40、及び空気調和装置50を備えている。開閉扉12、画像撮影部13、音声取得部14、音声出力部15、操作表示部16、施錠機構18、重量計測部19、インターフェイス部30、管理部40、及び空気調和装置50と制御部20とは、制御バス等の信号線によって通信可能に接続されている。
施錠機構18は、制御部20による制御の下、開閉扉12をロック及びロック解除する。開閉扉12をロックするとは、開閉扉12が上方又は下方へスライドする動作を禁止して、開閉扉12の位置を固定することを示す。開閉扉12をロック解除するとは、開閉扉12が上方又は下方へスライドする動作を許可することを示す。尚、開閉扉12は、ロック解除されている場合に、手動で上方又は下方へスライドさせることもできる。
重量計測部19は、試料棚17に設置された物体の重量を計測する。具体的には、重量計測部19は、試料棚17(図1A)に設置されたロードセルを備えている。ロードセルは、試料棚17に物体が設置されたことによってロードセルにかかる荷重を検出する。重量計測部19は、ロードセルにより検出された荷重を重量に換算することで、試料棚17に設置された物体の重量を計測する。
制御部20は、所定の演算処理を実行する不図示のCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM等の不図示の不揮発性メモリー、データを一時的に記憶するための不図示のRAM(Random Access Memory)、現在日時を計時する不図示のタイマー回路、及びこれらの周辺回路等を備えている。
制御部20は、不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムをCPUに実行させることにより、認証部21、動作認識部22、試料判断部23、処理部24として動作する。また、制御部20は、RAMの記憶領域の一部を記憶部25として利用する。認証部21、動作認識部22、試料判断部23、処理部24及び記憶部25の詳細については後述する。
インターフェイス部30は、制御部20がLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介してパソコン等の外部装置と通信するための不図示の通信インターフェイス回路を備えている。また、インターフェイス部30は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の外部記憶装置が着脱可能な不図示のコネクター及び制御部20が当該コネクターに装着された外部記憶装置と通信するための不図示の外部インターフェイス回路を備えている。これにより、制御部20は、インターフェイス部30を介して外部装置や外部記憶装置と通信を行うことで、外部装置や外部記憶装置に記憶されている情報にアクセス(情報を共有)することができる。
管理部40は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成されている。管理部40には、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2を記憶するための記憶領域が設けられている。つまり、管理部40は、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2を管理する。図3Aは、管理部40が管理する試験者管理テーブルT1の一例を示す図である。図3Bは、管理部40が管理する試験管理テーブルT2の一例を示す図である。
試験者管理テーブルT1は、環境試験装置1を使用して試験を行う予定の試験者に関する情報を管理するためのテーブルである。具体的には、図3Aに示すように、試験者管理テーブルT1には、試験者を識別するための試験者識別情報と、試験者を表す試験者画像と、試験者の声を表す試験者音声と、が対応付けて登録されている。例えば、図3Aに示す試験者管理テーブルT1には、試験者識別情報「USR1」によって識別される試験者に関する情報として、試験者識別情報「USR1」と試験者画像「IMG1」と試験者音声「VOC1」とが対応付けて登録されている。
試験管理テーブルT2は、試験者管理テーブルT1で管理されている試験者が行う予定の試験に関する情報を管理するためのテーブルである。具体的には、図3Bに示すように、試験管理テーブルT2には、試験を識別するための試験識別情報と、試験の対象となる試料SPを識別するための試料識別情報と、試験を行う試験者を識別するための試験者識別情報と、試験の条件を定めた試験条件情報と、が対応付けて登録されている。試験条件情報には、例えば、試験槽11の内部の空気の温度の目標値である目標温度、試験槽11の内部の空気の湿度の目標値である目標湿度、及び試験時間等が含まれる。例えば、図3Bに示す試験管理テーブルT2には、試験識別情報「TEST1」によって識別される試験に関する情報として、試験識別情報「TEST1」と試料識別情報「SP1」と試験者識別情報「USR1」と試験条件情報「CON1」とが対応付けて登録されている。
尚、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2に登録される各情報は、パソコン等の外部装置において編集された後、当該外部装置からインターフェイス部30を介して、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2に登録される。ただし、これに限らず、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2に登録される各情報は、操作表示部16を用いて編集可能であってもよい。また、試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2を外部装置が備える記憶装置や外部記憶装置に記憶するようにし、管理部40がこれらの外部の記憶装置に記憶された試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2にインターフェイス部30を介してアクセス可能であってもよい。試験者管理テーブルT1及び試験管理テーブルT2に登録された各情報は、当該各情報に対応する試験の終了後、所定のタイミングで削除される。
空気調和装置50は、制御部20による制御の下、試験条件情報において定められた試験の条件に従って試験槽11内の空気の温度及び湿度を調整する。例えば、本実施形態では、試験条件情報において試験時間、目標温度及び目標湿度が定められているとする。この場合、空気調和装置50は、試験条件情報において定められた試験時間の間、試験槽11内の空気の温度及び湿度を、試験条件情報において定められた目標温度及び目標湿度に調節する。
以下、環境試験装置1の動作について説明する。当該説明において、認証部21、動作認識部22、試料判断部23、処理部24、及び記憶部25(図2)の詳細について説明する。
環境試験装置1は、先ず、図4に示す動作を行うことで、作業者が予定された試験者であるか否かを判断する。図4は、作業者が予定された試験者であるか否かを判断する動作の一例を示すフローチャートである。より具体的には、試験を開始する前は、作業者が試験槽11に収容される予定の試料SP(以降、所定試料SP)の試験者であるか否かを判断する。一方、試験を開始した後は、作業者が試験槽11に収容されている所定試料SPの試験者であるか否かを判断する。
以下、図4に示す動作について詳述する。図4に示すように、先ず、認証部21は、画像撮影部13によって撮影された周辺画像を用いて、開閉扉12の周辺に作業者が存在するか否かを認識する(S1)。
具体的には、S1において、認証部21は、公知の画像認識処理を実行することにより、周辺画像に人物を表す画像が含まれているか否かを判断する。そして、認証部21は、周辺画像に人物を表す画像が含まれていると判断した場合、開閉扉12の周辺に作業者が存在すると認識し(S1;YES)、周辺画像に人物を表す画像が含まれていないと判断した場合、開閉扉12の周辺に作業者が存在しないと認識する(S1;NO)。
認証部21は、開閉扉12の周辺に作業者が存在しないと認識した場合(S1;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。一方、認証部21は、開閉扉12の周辺に作業者が存在すると認識した場合(S1;YES)、当該認識した作業者が、管理部40によって管理されている試験者であるか否かを判断する(S2)。
具体的には、S2において、認証部21は、S1で認識した、周辺画像に含まれている人物を表す画像を、作業者を表す画像(以降、作業者画像)として取得する。そして、認証部21は、公知の画像認識処理を実行することにより、作業者画像から認識した作業者の特徴量と、試験者管理テーブルT1(図3A)に登録されている各試験者画像から認識した各試験者の特徴量と、を比較する。そして、認証部21は、当該比較の結果、作業者画像から認識した作業者の特徴量がある特定の試験者画像から認識した試験者(以降、特定試験者)の特徴量と略一致した場合、当該作業者は管理部40によって管理されている試験者であると判断する(S2;YES)。尚、作業者の特徴量が特定試験者の特徴量と略一致するとは、作業者の特徴量が特定試験者の特徴量のうちの所定の割合(例えば、9割)以上の特徴量と一致することを示す。一方、認証部21は、作業者の特徴量が特定試験者の特徴量と略一致しなかった場合、当該作業者は管理部40によって管理されている試験者ではないと判断する(S2;NO)。
S2において、認証部21は、作業者が試験者ではないと判断した場合(S2;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、管理部40によって管理されている試験者ではない作業者によって、開閉扉12のロック及びロック解除が行われることを回避できる。
一方、S2において作業者が試験者であると判断されたとする(S2;YES)。この場合、試料判断部23は、重量計測部19によって計測された重量に基づき、試料SPが試料棚17に設置されているか否かを判断する(S3)。
具体的には、S3において、試料判断部23は、重量計測部19によって計測された重量が所定の閾値重量よりも大きい場合、試料SPが試料棚17に設置されていると判断する(S3;YES)。ここで、閾値重量は、重量計測部19による重量の計測の誤差を考慮して、0グラムよりも僅かに重い重量(例えば、1グラム)に定められている。ただし、これに限らず、閾値重量は0グラムに定めてもよい。一方、S3において、試料判断部23は、重量計測部19によって計測された重量が閾値重量以下の場合、試料SPが試料棚17に設置されていないと判断する(S3;NO)。
S3において、試料SPが試料棚17に設置されていると判断された場合(S3;YES)の動作については後述する。一方、S3において、試料SPが試料棚17に設置されていないと判断された場合(S3;NO)、試験は開始されておらず、S2で試験者であると判断された作業者(以降、現試験者)が、試験を開始するために所定試料SPを試料棚17に設置しようとしていると考えられる。又は、現試験者が、例えば試験の事前に環境試験装置1の使用方法を確認する等の目的で、所定試料SPを持参せずに、開閉扉12の周辺に訪れたと考えられる。したがって、この場合(S3;NO)、認証部21は、現試験者が持っている試料SP(以降、持参試料SP)を特定できるか否かを判断する(S4)。
具体的には、S4において、認証部21は、公知の画像認識処理を実行することにより、周辺画像から人物が持っている物体を表す画像を認識できた場合、当該物体を表す画像に所定の識別用画像が含まれているか否かを判断する。識別用画像とは、環境試験装置1で試験される試料SPに予め付されるラベルを表す画像である。当該ラベルには、試料SPの試料識別情報(図3B)を示す文字列やバーコード等が印字されている。
認証部21は、識別用画像が含まれていると判断した場合、当該識別用画像が表すラベルに含まれている文字列やバーコード等が示す試料識別情報を取得する。これにより、認証部21は、当該取得した試料識別情報によって識別される試料SPを持参試料SPとして特定し、持参試料SPを特定できると判断する(S4;YES)。
例えば、識別用画像が表すラベルに試料識別情報を示す文字列が印字されているとする。この場合、認証部21は、S4において、公知の文字認識処理を実行することにより、識別用画像から認識した文字列を試料識別情報として取得する。また、識別用画像が表すラベルに試料識別情報を示すバーコードが印字されているとする。この場合、認証部21は、S4において、公知の画像認識処理やバーコード復号処理を実行することにより、識別用画像から認識したバーコードが示す試料識別情報を取得する。
一方、認証部21は、周辺画像から人物が持っている物体を表す画像を認識できなかった場合、及び、周辺画像から認識した物体を表す画像に識別用画像が含まれていないと判断した場合、現試験者が試料SPを持っていないと判断する。この場合、認証部21は、持参試料SPを特定できないと判断し(S4;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、管理部40によって管理されている試験者であるが、試料SPを持参していない試験者によって、不要に開閉扉12のロック及びロック解除が行われることを回避できる。
尚、S4の実現方法は上記に限らない。例えば、メモリチップを内蔵した無線タグを試料SPに付し、当該メモリチップに当該試料SPの試料識別情報を記憶するようにしてもよい。これに合わせて、無線通信によって、当該無線タグに内蔵されたメモリチップから試料識別情報を読み出し可能な無線タグリーダを、インターフェイス部30に備えてもよい。
そして、認証部21が、上記無線タグリーダを用いて試料SPに設けられた無線タグから当該試料SPの試料識別情報を取得できた場合、当該取得した試料識別情報によって識別される試料SPを持参試料SPとして特定し、持参試料SPを特定できると判断してもよい。また、認証部21が、当該無線タグリーダを用いて試料識別情報を何ら取得できなかった場合、持参試料SPを特定できないと判断してもよい。
認証部21は、持参試料SPを特定できると判断した場合(S4;YES)、現試験者が所定試料SPの試験者であるか否かを判断する(S5)。
具体的には、S5において、認証部21は、試験者管理テーブルT1(図3A)においてS2で用いた特定の試験者画像に対応付けられている試験者識別情報を、現試験者の試験者識別情報として取得する。例えば、特定の試験者画像が、図3Aに示す試験者管理テーブルT1における試験者画像「IMG1」であるとする。この場合、認証部21は、試験者識別情報「USR1」を現試験者の試験者識別情報として取得する。
そして、認証部21は、試験管理テーブルT2(図3B)において、当該取得した試験者識別情報と同じ試験者識別情報に対応付けられている試料識別情報を、現試験者が試験する予定の所定試料SPの試料識別情報として取得する。例えば、認証部21が、図3Aに示す試験者管理テーブルT1の試験者識別情報「USR1」を取得したとする。この場合、認証部21は、図3Bに示す試験管理テーブルT2において、試験者識別情報「USR1」に対応付けられている試料識別情報「SP1」を所定試料SPの試料識別情報として取得する。
そして、認証部21は、当該取得した所定試料SPの試料識別情報と、S4で特定した持参試料SPの試料識別情報とが一致する場合、現試験者は所定試料SPの試験者であると判断する(S5;YES)。
一方、認証部21は、所定試料SPの試料識別情報と、持参試料SPの試料識別情報とが一致しない場合、現試験者は所定試料SPの試験者ではないと判断し(S5;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、管理部40によって管理されている試験者であるが、所定試料SPとは異なる試料SPを持参した試験者によって、開閉扉12のロック及びロック解除が行われることを回避できる。その結果、当該試験者が所定試料SPとは異なる試料SPを試験槽11に収容して、予定されていない試験を行う虞を回避することができる。
そして、環境試験装置1は、現試験者が所定試料SPの試験者であると判断した後(S5;YES)、図5に示すように動作することで、所定試料SPの試験を開始する。図5は、試験を開始する動作の一例を示すフローチャートである。
具体的には、図5に示すように、動作認識部22は、公知のジェスチャー認識処理を実行することにより、画像撮影部13によって撮影された周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識する(S11)。動作認識部22は、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識しなかった場合(S11;NO)、処理をS11に戻す。
尚、S11において、動作認識部22が、周辺画像から現試験者を認識することができなくなったと判断し、当該判断時点から所定時間(例えば、数分)が経過したとする(S11;作業者不在)。この場合、現試験者は、開閉扉12の周辺から立ち去ったと考えられるので、処理部24は処理を終了する。その後は、S1(図4)から処理が開始される。
S11において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、開閉扉12をロック解除した後、開閉扉12を開状態にするための所定のジェスチャー(以降、扉を開くジェスチャー)であったとする(S11;扉を開く)。扉を開くジェスチャーは、例えば、手を横に振るジェスチャーに定められている。つまり、動作認識部22は、S11において、現試験者が試料SPを持っているか否かによらず、周辺画像から認識した現試験者の手を表す画像が左右に振られたことを認識した場合に、扉を開くジェスチャーを認識する。この場合(S11;扉を開く)、処理部24は、施錠機構18に開閉扉12をロック解除させた後、開閉扉12を下方へスライドさせる。これにより、処理部24は、開閉扉12を開状態にする(S12)。したがって、S12の後、現試験者は、持参した所定試料SPを試料棚17に設置することが可能となる。
S12の後、動作認識部22は、S11と同様、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識する(S13)。動作認識部22は、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識しなかった場合(S13;NO)、処理をS13に戻す。
尚、S13において、動作認識部22が、周辺画像から現試験者を認識することができなくなったと判断し、当該判断時点から所定時間が経過したとする(S13;作業者不在)。この場合、処理部24は、開閉扉12を上方へスライドさせることにより、開閉扉12を閉状態にした後、施錠機構18に開閉扉12をロックさせる(S17)。これにより、現試験者が、試料棚17に試料SPを設置後、開閉扉12を開状態にしたまま、開閉扉12の周辺から立ち去ったとしても、当該立ち去った時点から所定時間が経過した後、迅速に開閉扉12を閉状態にすることができる。その結果、現試験者の不在時に試料SPが持ち去られる虞を低減することができる。
S13において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、開閉扉12を閉状態にした後、開閉扉12をロックするための所定のジェスチャー(以降、扉を閉じるジェスチャー)であったとする(S13;扉を閉じる)。扉を閉じるジェスチャーは、例えば、開閉扉12が開状態であるときに手を横に振るジェスチャーに定められている。つまり、動作認識部22は、S13において、開閉扉12が開状態である場合に、周辺画像から認識した現試験者の手を表す画像が左右に振られたことを認識したときに、扉を閉じるジェスチャーを認識する。この場合(S13;扉を閉じる)、処理部24は、S17と同様、開閉扉12を上方へスライドさせることにより、開閉扉12を閉状態にした後、施錠機構18に開閉扉12をロックさせる(S16)。これにより、現試験者が、S12の後、試料棚17に試料SPを設置した後、扉を閉じるジェスチャーを行った場合に、開閉扉12を迅速に閉状態にすることができる。
次に、試料判断部23は、S3と同様、重量計測部19によって計測された重量に基づき、試料SPが試料棚17に設置されているか否かを判断する(S18)。
S18において、試料SPが試料棚17に設置されていないと判断された場合(S18;NO)、現試験者が、S12の後、試料棚17に試料SPを設置せずに扉を閉じるジェスチャーを行って、試験を開始することを意図的に辞めたと考えられる。したがって、この場合、処理部24は処理を終了する。その後は、S1(図4)から処理が開始される。
一方、S18において、試料SPが試料棚17に設置されていると判断された場合(S18;YES)、現試験者が、S12の後、試料棚17に試料SPを設置して、扉を閉じるジェスチャーを行ったと考えられる。この場合、動作認識部22は、S11、S13と同様、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識する(S19)。動作認識部22は、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識しなかった場合(S19;NO)、処理をS19に戻す。
尚、S19において、動作認識部22が、周辺画像から現試験者を認識することができなくなったと判断し、当該判断時点から所定時間が経過したとする(S19;作業者不在)。この場合、現試験者が試料棚17に試料SPを設置し、試験を開始する準備だけ行って、開閉扉12の周辺から立ち去ったと考えられる。したがって、この場合、処理部24は処理を終了する。その後は、S1(図4)から処理が開始される。
S19において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、扉を開くジェスチャーであったとする(S19;その他、S20;扉を開く)。この場合、現試験者が、S12の後に所定試料SPを試料棚17に設置したが、所定試料SPを設置し直す等の目的で、再び開閉扉12を開状態にすることを望んでいると考えられる。したがって、この場合、処理部24は、再び開閉扉12を開状態にするために、処理をS12に戻す。その後は、S12以降の処理が行われる。
または、S19において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、試験を開始するための所定のジェスチャー(以降、試験開始ジェスチャー)であったとする(S19;その他、S20;試験開始)。この場合、S12の後、現試験者が所定試料SPを試料棚17に設置し、S18で当該所定試料SPの設置が確認された後、現試験者が試験を開始しようとして、試験開始ジェスチャーを行ったと考えられる。したがって、この場合、処理部24は、試験を開始する(S21)。
具体的には、処理部24は、S21において、試験管理テーブルT2(図3B)から、S5で認証部21が取得した所定試料SPの試料識別情報に対応付けられている試験条件情報を取得する。そして、処理部24は、空気調和装置50に、当該取得した試験条件情報において定められた試験時間の間、試験槽11内の空気の温度及び湿度を、当該取得した試験条件情報において定められた目標温度及び目標湿度に調節させる処理を開始させる。
試験が開始されると(S21)、現試験者による環境試験装置1の操作は一旦終了したと考えられる。したがって、この場合、処理部24は処理を終了する。その後は、S1(図4)から処理が開始される。
図4に参照を戻す。試験が開始された後、S1から処理が開始され、S2において作業者が管理部40によって管理されている試験者であると判断された後、S3が行われたとする。この場合、試験が開始されているので、当該S3では、所定試料SPが試料棚17に設置されていると判断される(S3;YES)。この場合、認証部21は、現試験者(S2で試験者と判断された作業者)が、試験槽11に収容されている所定試料SPの試験者であるか否かを判断する(S6)。
具体的には、S6において、認証部21は、S5と同様、試験者管理テーブルT1(図3A)においてS2で用いた特定の試験者画像に対応付けられている試験者識別情報を、現試験者の試験者識別情報として取得する。そして、認証部21は、試験管理テーブルT2(図3B)において、当該取得した試験者識別情報と同じ試験者識別情報に対応付けられている試料識別情報を、現試験者が試験する予定の所定試料SPの試料識別情報として取得する。
そして、認証部21は、試験の開始前に行ったS5で取得した所定試料SPの試料識別情報と、S6で取得した所定試料SPの試料識別情報と、が一致する場合、試験者は所定試料SPの試験者であると判断する(S6;YES)。尚、試験の開始前に行ったS5で取得した所定試料SPの試料識別情報は、認証部21が、試験の開始前に行ったS5で現試験者が所定試料SPの試験者であると判断した場合に、記憶部25等に記憶しておけばよい。
一方、認証部21は、試験の開始前に行ったS5で取得した所定試料SPの試料識別情報と、S6で取得した所定試料SPの試料識別情報と、が一致しない場合、試験者は所定試料SPの試験者ではないと判断し(S6;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、管理部40によって管理されている試験者であるが、現在試験中の試料SPの試験者とは異なる試験者によって、開閉扉12のロック及びロック解除が行われることを回避できる。その結果、当該異なる試験者によって、開閉扉12のロック解除が行われた後、開閉扉12が開状態にされ、試験槽11から試料SPが持ち出される虞を解消することができる。
そして、環境試験装置1は、現試験者が所定試料SPの試験者であると判断した場合(S6;YES)、図6に示すように動作することで、試験を停止、再開、及び継続する。図6は、試験を開始した後の動作の一例を示すフローチャートである。
具体的には、図6に示すように、動作認識部22は、S11と同様、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識する(S31)。動作認識部22は、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識しなかった場合(S31;NO)、処理をS31に戻す。つまり、処理部24によって空気調和装置50が制御され、試験が行われている場合に、S31においてジェスチャーが認識されなかったときは(S31;NO)、当該試験は停止されずに継続される。
尚、S31において、動作認識部22が、周辺画像から現試験者を認識することができなくなったと判断し、当該判断時点から所定時間が経過したとする(S31;YES、S32;その他、S35;作業者不在)。この場合、現試験者は、開閉扉12の周辺から立ち去ったと考えられるので、処理部24は処理を終了する。その後は、S1(図4)から処理が開始される。
S31において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、扉を開くジェスチャーであったとする(S31;YES、S32;その他、S35;扉を開く)。この場合、処理部24は、施錠機構18に開閉扉12をロック解除させた後、開閉扉12を下方へスライドさせることにより、開閉扉12を開状態にする(S36)。これにより、現試験者は、所定試料SPを試料棚17から取り出すことが可能となる。
S36の後、動作認識部22は、S31と同様、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識する(S37)。動作認識部22は、周辺画像から現試験者のジェスチャーを認識しなかった場合(S37;NO)、処理をS37に戻す。
尚、S37において、動作認識部22が、周辺画像から現試験者を認識することができなくなったと判断し、当該判断時点から所定時間が経過したとする(S37;作業者不在)。又は、S37において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、扉を閉じるジェスチャーであったとする(S37;扉を閉じる)。これらの場合、処理部24は、開閉扉12を上方へスライドさせることにより、開閉扉12を閉状態にした後、施錠機構18に開閉扉12をロックさせ(S38)、処理を終了する。
これにより、現試験者が、S36の後、開閉扉12を開状態にしたまま、開閉扉12の周辺から立ち去ったとしても、当該立ち去った時点から所定時間が経過した後、迅速に開閉扉12を閉状態にすることができる。その結果、現試験者の不在時に試料SPが持ち去られる虞を低減することができる。また、作業者が、S36の後、扉を閉じるジェスチャーを行った場合に、迅速に開閉扉12を閉状態にすることができる。つまり、現試験者が、S36の後、意図して試料SPを持ち出さない限り、試料SPは持ち出されなくなる。
S31において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、試験を停止するための所定のジェスチャー(以降、試験停止ジェスチャー)であったとする(S31;YES、S32;試験停止)。試験停止ジェスチャーは、例えば、試験中に手を縦(上下)に振るジェスチャーに定められている。つまり、動作認識部22は、S31において、処理部24によって空気調和装置50が制御され、試験が行われている場合に、周辺画像から認識した現試験者の手を表す画像が上下に振られたことを認識したときに、試験停止ジェスチャーを認識する。この場合(S31;YES、S32;試験停止)、処理部24は、空気調和装置50の制御を停止することによって試験を停止し(S33)、処理をS31に戻す。
または、S31において、動作認識部22が認識したジェスチャーが、試験を再開するための所定のジェスチャー(以降、試験再開ジェスチャー)であったとする(S31;YES、S32;試験再開)。試験再開ジェスチャーは、例えば、試験の停止中に手を縦(上下)に振るジェスチャーに定められている。つまり、動作認識部22は、S31において、処理部24による空気調和装置50の制御が停止され、試験が停止されている場合に、周辺画像から認識した現試験者の手を表す画像が上下に振られたことを認識したときに、試験再開ジェスチャーを認識する。この場合(S31;YES、S32;試験再開)、処理部24は、試験を再開させ(S34)、処理をS31に戻す。
具体的には、処理部24は、S34において、S21で取得した試験条件情報において定められた試験時間の間、試験槽11内の空気の温度及び湿度を、当該取得した試験条件情報において定められた目標温度及び目標湿度に調節させる処理を開始させる。
第一の実施形態の構成によれば、周辺画像から認識した作業者が試験槽11に収容される試料SPの試験者であるか否かが、作業者画像と試験者画像との比較結果に基づき判断される。これにより、体調不良等によって作業者の声が通常時と異なることや装置周辺の騒音が大きいこと等が原因で、作業者の声を適切に認識できないような状況であっても、作業者画像と試験者画像との比較結果に基づき、適切に前記判断を行うことができる。
そして、第一の実施形態の構成によれば、作業者が所定試料SPの試験者であると判断された場合、当該作業者である所定試料SPの試験者は、ジェスチャー(身振り)によって開閉扉12をロック及びロック解除できる。これにより、所定試料SPの試験者は、所定試料SPを持っていることで手の自由がきかない場合でも、所定試料SPを持ったまま開閉扉12をロック解除(又はロック)するためのジェスチャーをすることで、所定試料SPを別の場所に退避する手間をかけずに、開閉扉12をロック解除(又はロック)できる。
また、第一の実施形態の構成によれば、所定試料SPの試験者ではないと判断された作業者が開閉扉12をロック解除するためのジェスチャーをしたとしても開閉扉12はロック解除されない。これにより、所定試料SPの試験者とは異なる作業者が開閉扉12を開くことを防止できる。その結果、所定試料SPの試験者とは異なる作業者が、試験槽11から所定試料SPを持ち出すことを防止できる。
また、第一の実施形態の構成によれば、重量計測部19によって計測された重量に基づき、試料棚17に試料SPが設置されているか否かが判断される。これにより、例えば、試験を開始する直前に当該判断を行うことで、試料SPが設置されていない状態で試験を開始することを回避できる。また、例えば、試験者が試料SPを試験槽11に収容する前に当該判断を行うことで、他の試験者が試験槽11に収容した試料SPが残っていることを把握することができる。
(第二の実施形態)
本発明に係る環境試験装置は、相乗り試験を実行可能な環境試験装置にも適用することができる。相乗り試験とは、試料SPの試験が行われている場合に、他の試料SPを更に試料棚17に設置し、当該試料SPの試験と同じ試験の条件で、当該試料SPの試験と当該他の試料SPの試験とを同時に行う試験である。以下、本発明に係る環境試験装置を、相乗り試験を実行可能な環境試験装置に適用した第二の実施形態について説明する。尚、第二の実施形態において、第一の実施形態と同一構成のものは同一の符号を付し、特筆しない限り、説明を省略する。
図7は、環境試験装置1の電気的構成の他の一例を示すブロック図である。図7に示すように、第二の実施形態における環境試験装置1は、更に、環境センサー60を備えている。また、制御部20は、不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムをCPUに実行させることにより、更に、試験判断部26として動作する。環境センサー60は、試験槽11内に取り付けられ、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度を検出する。試験判断部26の詳細については後述する。
以下、第二の実施形態における環境試験装置1の動作について説明する。当該説明の中で、試験判断部26の詳細について説明する。図8は、作業者が予定された試験者であるか否かを判断する動作の他の一例を示すフローチャートである。図9は、試験を開始する動作の他の一例を示すフローチャートである。図10は、試験を開始した後の動作の他の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、S3において試料SPが試料棚17に設置されていると判断された場合(S3;YES)、試験判断部26は、処理部24によって試験が行われており、且つ、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が、試験中に開閉扉12を開状態にするために必要な所定の条件(以降、開扉条件)を満たしているか否かを判断する(S41)。これにより、試験判断部26は、S2で試験者であると判断された現試験者が、相乗り試験を行う可能性があるか否かを判断する。
具体的には、試験槽11の内部の空気の温度が所定の第一閾値以下であり、且つ、試験槽11の内部の空気の湿度が所定の第二閾値以下であることが、開扉条件として定められているとする。この場合、S41において、試験判断部26は、環境センサー60によって検出された試験槽11の内部の空気の温度が第一閾値以下であり、且つ、環境センサー60によって検出された試験槽11の内部の空気の湿度が第二閾値以下である場合、開扉条件を満たしていると判断する。一方、試験判断部26は、環境センサー60によって検出された試験槽11の内部の空気の温度が第一閾値を超えている場合、又は、環境センサー60によって検出された試験槽11の内部の空気の湿度が第二閾値を超えている場合、開扉条件を満たしていないと判断する。尚、開扉条件は、これに限らず、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度に関連する他の条件であってもよい。そして、S41の具体的な判断方法を開扉条件に応じて適宜変更してもよい。
S41において、試験判断部26は、処理部24によって試験が行われ、且つ、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていると判断した場合(S41;YES)、現試験者が相乗り試験を行う可能性があると判断する。この場合、認証部21は、S4と同様にして、現試験者が持っている持参試料SPを特定できるか否かを判断する(S42)。
S42において、認証部21が持参試料SPを特定できないと判断した場合(S42;NO)、現試験者は、相乗り試験を行うために、試料棚17に試料SPを設置するスペースが存在するか否かを確認する等の目的で所定試料SPを持参せずに、開閉扉12の周辺に訪れたと考えられる。この場合(S42;NO)、認証部21は、現試験者が、試験槽11に収容されている所定試料SPの試験者であるか否かを判断する(S6)。
尚、第一の実施形態で説明したように、当該S6において、認証部21は、現試験者が所定試料SPの試験者ではないと判断した場合(S6;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、現在試験中の試料SPの試験者とは異なる試験者によって相乗り試験が行われることを回避できる。
一方、S6において、現試験者が所定試料SPの試験者であると判断された場合(S6;YES)、環境試験装置1は、図10に示すように動作することで、試験及び相乗り試験を停止、再開、及び継続する。図10に示す動作の詳細については後述する。
また、試験判断部26は、S41において、処理部24によって試験が行われていないと判断した場合(S41;NO)、試験が行われていないので、現試験者が相乗り試験を行う可能性はないと判断する。また、試験判断部26が、S41において、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていないと判断したとする(S41;NO)。この場合、試験判断部26は、試験中に開閉扉12を開くことができない状態であるので、現試験者が相乗り試験を行う可能性はないと判断する。このように、S41において、現試験者が相乗り試験を行う可能性はないと判断された場合(S41;NO)、S6以降の処理が行われる。
一方、S42において、認証部21が持参試料SPを特定できると判断した場合(S42;YES)、現試験者は、相乗り試験を開始するため、S42で特定した特定試料SPを持参し、試料棚17に設置しようとしていると考えられる。この場合(S42;YES)、認証部21は、現試験者が所定試料SPの試験者であるか否かを判断する(S5)。
尚、第一の実施形態で説明したように、当該S5において、認証部21は、試験管理テーブルT2(図3B)から、現試験者の試験者識別情報に対応付けられている所定試料SPの試料識別情報を取得する。そして、認証部21は、当該取得した所定試料SPの試料識別情報と、S42で特定した持参試料SPの試料識別情報とが一致する場合、現試験者が所定試料SPの試験者であると判断し、一致しない場合、現試験者が所定試料SPの試験者ではないと判断する。
S5において、認証部21は、現試験者が所定試料SPの試験者ではないと判断した場合(S5;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、管理部40によって管理されている試験者であるが、所定試料SPとは異なる試料SPを持参した試験者によって、開閉扉12のロック及びロック解除が行われることを回避できる。その結果、当該試験者が所定試料SPとは異なる試料SPを試験槽11に更に収容して、予定されていない相乗り試験を行う虞を回避することができる。
一方、S5において、現試験者が所定試料SPの試験者であると判断された場合(S5;YES)、試験判断部26は、処理部24によって試験が行われているか否かを判断する(S44)。S44において試験が行われていないと判断された場合(S44;NO)、S11(図9)以降の処理が行われる。一方、S44において試験が行われていると判断された場合(S44;YES)、試験判断部26は、実行中の試験の条件と、持参試料SPに対する試験の条件と、が一致するか否かを判断する(S45)。
具体的には、S45において、試験判断部26は、試験管理テーブルT2(図3B)において、S5で取得された現試験者の試験者識別情報とS42で特定した持参試料SPの試料識別情報とに対応付けられている試験条件情報を、持参試料SPに対する試験の条件を示す試験条件情報として取得する。そして、試験判断部26は、当該取得した試験条件情報が示す試験の条件と、S21(図9)で試験の開始時に取得された試験条件情報が示す試験の条件と、が一致するか否かを判断する。
尚、S5で取得された現試験者の試験者識別情報は、認証部21がS5で現試験者が所定試料SPの試験者であると判断した場合に、記憶部25等に記憶しておけばよい。また、S21で試験の開始時に取得された試験条件情報は、処理部24がS21で試験を開始した場合に、記憶部25等に記憶しておけばよい。
S45において、試験判断部26は、実行中の試験の条件と持参試料SPに対する試験の条件とが一致しないと判断した場合(S45;NO)、処理をS1に戻す。その後は、S1以降の処理が行われる。これにより、当該持参試料SPを更に試験棚17に設置した後、当該持参試料SPに対する所定の試験の条件とは異なる条件で相乗り試験が行われることを回避できる。その結果、当該持参試料SPに対して誤った試験が行われることを回避できる。
一方、S45において、実行中の試験の条件と持参試料SPに対する試験の条件とが一致すると判断された場合(S45;YES)、相乗り試験を行うことができると考えられる。この場合、環境試験装置1は、図9に示すように動作することで、相乗り試験を開始する。
図9に示す動作は、S11において動作認識部22が認識したジェスチャーが扉を開くジェスチャーであった場合(S11;扉を開く)の動作が、第一の実施形態で説明した図5に示す動作と異なっている。具体的には、図9に示すように、S11において、動作認識部22が認識したジェスチャーが扉を開くジェスチャーであった場合(S11;扉を開く)、試験判断部26は、S41(図8)と同様の判断方法で、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしているか否かを判断する(S51)。
そして、S51において、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていると判断された場合(S51;YES)、S12が行われる。これにより、開閉扉12が開状態にされるので、現試験者は、相乗り試験を行うために、持参試料SPを試料棚17に更に設置することができる。
一方、S51において、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていないと判断された場合(S51;NO)、S12は行われず、環境試験装置1は、図10に示すように動作することで、試験及び相乗り試験を停止、再開、及び継続する。これにより、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていない場合に、開閉扉12が開状態になることを回避することができる。
図10に示す動作は、S35において動作認識部22が認識したジェスチャーが扉を開くジェスチャーであった場合(S35;扉を開く)の動作が、第一の実施形態で説明した図6の動作と異なっている。具体的には、図10に示すように、S35において、動作認識部22が認識したジェスチャーが扉を開くジェスチャーであった場合(S35;扉を開く)、試験判断部26は、S41(図8)と同様の判断方法で、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしているか否かを判断する(S61)。
そして、S61において、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていると判断された場合(S61;YES)、S36が行われる。これにより、開閉扉12が開状態にされるので、現試験者は、試料棚17から、相乗り試験の対象の試料SPを取り出すことが可能となる。
一方、S61において、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていないと判断された場合(S61;NO)、S36は行われず、処理はS31に移行する。これにより、試験槽11の内部の空気の温度及び湿度が開扉条件を満たしていない場合に、開閉扉12が開状態になることを回避することができる。その結果、例えば試験槽11の内部から熱風が吹き出たり、試料SPが高温になっていること等が原因で、相乗り試験の対象の試料SPを取り出そうとしている試験者が負傷する虞を軽減することができる。
(変形実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
(1)上記実施形態では、S2(図4、図8)において、認証部21は、作業者画像と試験者画像との比較結果に基づき、作業者が試験者であるか否かを判断していた。しかし、これに代えて、認証部21が、S2(図4、図8)において、作業者画像と試験者画像との比較結果、及び、周辺音声から認識した作業者の声を示す作業者音声と試験者管理テーブルT1(図3A)に登録されている各試験者音声との比較結果に基づき、作業者が試験者であるか否かを判断してもよい。
具体的には、当該S2において、認証部21は、上記実施形態で説明したS2と同様、作業者画像と試験者画像との比較結果に基づいて作業者が試験者であると判断した場合に、更に、公知の音声認識処理を実行することにより、音声取得部14によって取得された周辺音声に人物の声が含まれているか否かを判断してもよい。
そして、認証部21は、周辺音声に人物の声が含まれていると判断した場合は、周辺音声に含まれている人物である作業者の声を表す音声(以降、作業者音声)と、試験者管理テーブルT1(図3A)に登録されている、上記特定の試験者画像に対応する試験者音声(以降、特定の試験者音声)と、を取得してもよい。そして、認証部21は、公知の声紋比較処理を実行することにより、作業者音声から認識した作業者の声紋と、特定の試験者音声から認識した試験者の声紋と、が一致する場合は、当該作業者は試験者であると判断し(S2;YES)、一致しない場合は当該作業者は試験者でないと判断してもよい(S2;NO)。
一方、認証部21は、周辺音声に人物の声が含まれていないと判断した場合は、作業者画像と試験者画像との比較結果に基づく判断結果のみに従って、作業者が試験者であると判断してもよいし、周辺音声に人物の声が含まれていると判断するまで、処理を待機してもよい。
(1)の変形実施形態の構成によれば、作業者画像と試験者画像との比較結果だけでなく、作業者音声と試験者音声との比較結果にも基づいて、作業者が試験者であるか否かが判断される。これにより、作業者画像と試験者画像との比較結果だけに基づき前記判断を行う場合よりも、前記判断の精度を向上できる。
(2)開閉扉12は、制御部20による制御の下、下方(図1Bの矢印方向)又は上方(図1Aの矢印方向)に自動的にスライドする自動扉に限らず、開閉扉12がロック解除された状態で、開閉扉12や操作表示部16によって表示されたソフトキー等の予め指定された箇所が作業者によって触れられたときに、下方又は上方に自動的にスライドする半自動式の扉によって構成してもよい。
(3)制御部20が試料判断部23として動作しないようにして、S3(図4、図8)及びS18(図5、図9)を省略してもよい。これに合わせて、認証部21は、S2(図4、図8)において作業者が試験者であると判断した場合(S2;YES)、S21(図5、図9)が行われていないときは処理をS4に移行し、S21(図5、図9)が行われていたときは処理をS6に移行するようにしてもよい。
(4)動作認識部22は、認証部21によって第一の周辺画像から認識した第一作業者が所定試料SPの試験者であると判断された場合に、第一の周辺画像とは異なる第二の周辺画像から認識した第二作業者と前記第一作業者とが異なるときは、第二作業者のジェスチャーを認識しないようにしてもよい。
例えば、本構成は以下のように実現すればよい。認証部21が、S5(図4、図8)において現試験者が所定試料SPの試験者であると判断した場合に(S5;YES)、当該S5の直前のS2で周辺画像(第一の周辺画像)から取得した現試験者(第一作業者)を表す作業者画像を第一作業者画像として記憶部25に記憶すればよい。
そして、S11、S13及びS19(図5、図9)、並びにS31及びS37(図6、図10)のそれぞれにおいて、動作認識部22が、先ず、公知の画像認識処理を実行することにより、周辺画像(第二の周辺画像)に人物を表す画像が含まれていると判断した場合に、当該人物(第二作業者)を表す画像を第二作業者画像として取得すればよい。そして、動作認識部22が、公知の画像認識処理を実行することにより、当該取得した第二作業者画像から認識した第二作業者の特徴量と、記憶部25に記憶されている第一作業者画像から認識した作業者の特徴量と、を比較すればよい。
そして、動作認識部22が、当該比較の結果、第二作業者画像から認識した第二作業者の特徴量が第一作業者画像から認識した第一作業者の特徴量と略一致した場合に、第二作業者と第一作業者とは同一人物であると判断し、他の場合、第二作業者と第一作業者とが異なると判断すればよい。そして、動作認識部22が、第二作業者と第一作業者とが異なると判断した場合は、公知のジェスチャー認識処理を実行しないようにすればよい。
(4)の変形実施形態の構成によれば、第一作業者が試料の試験者であると判断された場合、第一作業者とは異なる第二作業者が開閉扉12をロック解除するためのジェスチャーをしたとしても、当該ジェスチャーは認識されない。これにより、第一作業者が開閉扉12の周辺に存在しない間に、第二作業者が開閉扉12をロック解除して開閉扉12を開くことを防止できる。その結果、所定試料SPの試験者とは異なる第二作業者が、試験槽11から所定試料を持ち出すことを防止できる。
また、(4)の変形実施形態の構成によれば、第二作業者画像と、第一作業者が試験者画像を用いて所定試料SPの試験者であると判断された場合に記憶部25に記憶された、試験者画像よりも後に撮影された第一作業者画像と、の比較結果に基づき、第二作業者と第一作業者とが異なるか否かが判断される。このため、試験者画像よりも、現在の第一作業者により近い第一作業者画像に基づいて、第二作業者が現在の第一作業者と異なるか否かを精度良く判断できる。
または、(4)の変形実施形態の構成は、以下のように実現してもよい。S11、S13及びS19(図5、図9)並びにS31及びS37(図6、図10)のそれぞれにおいて、動作認識部22が、先ず、公知の画像認識処理を実行することにより、周辺画像(第二の周辺画像)に人物を表す画像が含まれていると判断した場合に、当該人物(第二作業者)を表す画像を第二作業者画像として取得してもよい。
そして、動作認識部22が、公知の画像認識処理を実行することにより、第二作業者画像から認識した作業者の特徴量と、試験者管理テーブルT1(図3A)において、S5で認証部21が取得した現試験者(第一作業者)の試験者識別情報と対応付けられている試験者画像から認識した試験者の特徴量と、を比較してもよい。そして、動作認識部22が、当該比較の結果、第二作業者画像から認識した作業者の特徴量が、試験者画像から認識した第一作業者の特徴量と略一致した場合に、第二作業者と第一作業者とは同一人物であると判断し、他の場合、第二作業者と第一作業者とが異なると判断してもよい。そして、動作認識部22が、第二作業者と第一作業者とが異なると判断した場合は、公知のジェスチャー認識処理を実行しないようにすればよい。
本構成によれば、第二作業者画像と試験者画像との比較結果に基づき、第二作業者と第一作業者とが異なるか否かが判断される。これにより、上述のように、環境試験装置1に記憶部25を更に設けて、第一作業者が所定試料SPの試験者であると判断された場合に第一作業者画像を記憶部25に記憶し、第二作業者画像と第一作業者画像との比較結果に基づき前記判断を行う場合よりも、簡易な処理で前記判断を行うことができる。