以下に、本発明の実施の形態に係る手乾燥装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図は、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る手乾燥装置の斜視図である。図2は、実施の形態1に係る手乾燥装置の側断面図である。図3は、実施の形態1に係る手乾燥装置の正面パネルを外した状態での正面図である。図4は、実施の形態1に係る手乾燥装置の側面図である。図5は、実施の形態1に係る手乾燥装置の排水タンクの斜視図である。図6は、実施の形態1に係る手乾燥装置の排水タンクの側面図である。図1に示すように、手乾燥装置1の外郭をなす箱体2には、開口部9が設けられている。開口部9は、手乾燥装置1の使用者が、箱体2へ手を挿入するための挿入口である。また、図2に示すように、箱体2の上部には、開口部9から挿入された手乾燥装置1の使用者の手の全体を覆う空間である手乾燥室3が設けられている。
手乾燥室3は、正面側の内壁である前壁3aと、背面側の内壁である後壁3bとが互いに対向している。前壁3a及び後壁3bは、最下部において底面側の内壁である底壁3cによって繋がっている。したがって、手乾燥室3は、側面視においては、上部が開口した有底の断面U字状である。さらに、図1に示すように、手乾燥室3の幅方向における両側面は、開放されている。
上記のように、手乾燥室3の下部は、前壁3a、後壁3b及び底壁3cによって囲まれた空間である。また、手乾燥室3の上部は、前壁3aと後壁3bとが対向し、両側面が開放された空間であり、箱体2の外部から手乾燥室3の中に使用者の手を抜き差しすることができるようになっている。したがって、手乾燥装置1の使用者は、上下方向又は左右方向から自由に手を挿入したり抜去したりすることができる。また、手乾燥室3は上部から下部に向かうに従って、正面側から背面側に向けて若干傾斜している。
また、前壁3a、後壁3b及び底壁3cは、抗菌剤が含浸された樹脂で形成されている。さらに、前壁3a、後壁3b及び底壁3cの表面には、シリコン系若しくはフッ素系の撥水性コーティング又は酸化チタンといった親水性コーティングが施されている。このため、手乾燥室3の前壁3a及び後壁3bに汚れが付着することを抑制するとともに、菌の繁殖を低減することができる。
手乾燥室3において、前壁3aの上部には、空気を噴出する前壁ノズル5aが開口部9付近に設けられており、後壁3bの上部には、空気を噴出する後壁ノズル5bが開口部9付近に設けられている。前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bは、後述する高圧空気流発生装置4で生成された空気流を手乾燥室3内に噴出するノズルであり、互いに対向している。前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bは、正面視において、幅方向に波形状に延びるスリット状の開口穴であり、これらが、幅方向に概ね直線状に配置されている。また、前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bは、先端が水平方向よりも若干下向きに傾斜しており、前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bから噴出される空気の噴射角度は、手乾燥室3における奥側である下部に向かう角度になっている。
手乾燥室3には、手乾燥室3内の手の有無を検知する手検知センサである第1の手検知センサ6と第2の手検知センサ7とが設置されている。前壁3aの前壁ノズル5aの下方の部分には、手の有無を検知する第1発光素子6aが設けられている。前壁3aの手乾燥室3の第1発光素子6aの下方の部分には第2発光素子7aが設けられている。後壁3bには、第1受光素子6bと第2受光素子7bとが設けられている。
第1の手検知センサ6及び第2の手検知センサ7は、ともに透過式のセンサとなっており、手のような遮蔽物が手乾燥室3内に挿入されていない場合、第1発光素子6a及び第2発光素子7aから出射された赤外線は、そのまま第1受光素子6b及び第2受光素子7bに至るため、第1受光素子6b及び第2受光素子7bは、直接赤外線を受光することとなる。このため、第1受光素子6b及び第2受光素子7bにおける赤外線の受光レベルが高い。これに対し、手のような遮蔽物が手乾燥室3内に挿入されている場合、第1発光素子6a及び第2発光素子7aから出射した赤外線は、遮蔽物で遮断されるため、第1受光素子6b及び第2受光素子7bは、直接赤外線を受光することができない。このため、第1受光素子6b及び第2受光素子7bにおける赤外線の受光レベルは、直接赤外線を受光する場合と比較して低くなる。第1受光素子6b及び第2受光素子7bが受光する赤外線の受光レベルに応じた信号に基づいて、後述する制御部31に設けられたマイコンが、手乾燥室3内に手が挿入されているか否かを判定している。
なお、ここでは第1の手検知センサ6及び第2の手検知センサ7は、赤外線を用いた光学式であるとしたが、これに限定されず、例えば静電容量式のセンサで手を検出してもよい。
また、手乾燥室3の底面を構成する底壁3cの幅方向の端部には、手乾燥室3の水を排水する排水口3dが設けられている。排水口3dには、箱体2の上下方向に延び、水を通流する排水路17の上端部が取り付けられている。また、排水路17の下端部には、排水タンク18が接続されている。排水タンク18は、排水路17を通って排水された水を溜めるものである。排水タンク18は、箱体2の底部に取り付けられており、図2に矢印Aで示すように、正面側から着脱可能となっている。また、排水タンク18は、貯水量を増やし、水量の変化に対する水位の変動が小さくなるように、水平投影面の断面積が最大となる形状としてもよい。
排水タンク18は、ドレン水を貯水する貯水部18bと、貯水部18bよりも浅底であって、排水タンク18の水位が設定水位以上になった時にドレン水が流れ込む満水検出部18aとを備えている。貯水部18bには、排水路17の下端部が接続される流入口18cが形成されている。流入口18cは、満水検出部18aから離れた部分に設けられており、ドレン水が満水検出部18aに直接流れ込まないようになっている。
箱体2の内部には、満水検出部18aの上方に箱体2の隔壁で仕切られてドレン導電板21が、水平方向に取り付けられている。すなわち、ドレン導電板21は、排水タンク18内の水面と平行になるように配置されている。ドレン導電板21は、金属製の薄板を材料とし、排水タンク18よりも小さい面積に形成されている。ドレン導電板21には制御回路31aから繋がる電線22が接続されている。電線22は静電容量の変化を制御回路31aへ伝達することが目的であり、芯線のみの単線でも撚線でも問題はない。外部からの電気的ノイズを受けて静電容量の変化を誤検知することを防止するため、ドレン導電板21から制御回路31aまでは、可及的短い経路で結ばれている。
箱体2の内部において、手乾燥室3よりも下方には、図2に示すように、空気流を生成する空気流発生装置である高圧空気流発生装置4が設置されている。高圧空気流発生装置4で高圧化された空気は、図2に示すように、高圧空気流発生装置4の上方に設けられた排気チャンバ10に排出される。排気チャンバ10は、高圧空気流発生装置4の排気側を囲んでいる。排気チャンバ10の上部には、排気チャンバ10内の空気を排出する排気口11が設けられている。排気口11の上方には、高圧空気流発生装置4で生成された後に排気チャンバ10内に排気された高圧空気を加熱する電気ヒータ12が設けられている。排気口11には、箱体2の正面側と背面側とに分岐した通風路である前排気ダクト13a及び後排気ダクト13bが接続されている。前排気ダクト13aは、手乾燥室3の前壁3aよりも手前側を通りつつ、排気口11から上方に延びている。後排気ダクト13bは、手乾燥室3の後壁3bよりも後方を通りつつ、排気口11から上方に延びている。
前排気ダクト13aの上端部は、前壁3aに設けられた前壁ノズル5aに接続されている。また、後排気ダクト13bの上端部は、後壁3bに設けられた後壁ノズル5bに接続されている。これにより、高圧空気流発生装置4から排出された高圧空気は、排気チャンバ10、排気口11及び前排気ダクト13aを通り、前壁ノズル5aによって、高速空気に変換される。前壁ノズル5aによって変換された高速空気は、手乾燥室3内に噴出される。また、高圧空気流発生装置4から排出された高圧空気は、排気チャンバ10、排気口11及び後排気ダクト13bを通り、後壁ノズル5bによって高速空気に変換される。後壁ノズル5bによって変換された高速空気は、手乾燥室3内に噴出される。
高圧空気流発生装置4の吸気側においては、箱体2の上下方向に延びる吸気ダクト14の上端部が、高圧空気流発生装置4に接続されている。吸気ダクト14の内壁には、高圧空気流発生装置4から発生する騒音を低減するため、吸音材が貼り付けられている。そして、吸気ダクト14の下端部は、箱体2の底部まで延びており、箱体2の底部において下方に開口した吸気口15に接続されている。また、吸気口15の入り口には、エアフィルタ16が着脱自在に取り付けられている。なお、箱体2の正面には、正面パネル19が取り付けられている。
箱体2の前面には、ランプの点灯状態によって情報を表示する表示部23が設けられている。表示部23において表示される情報には、エアフィルタ16に目詰まりが生じたこと及び排水タンク18が満水となったことを挙げることができるが、これらの情報に限定されない。また、ランプの点灯状態は、消灯、点灯及び点滅を挙げることができ、消灯、点灯及び点滅によって情報を表示することができる。表示部23には発光ダイオードを適用できるが、これに限定されず、白熱電球を用いることもできる。
次に、手乾燥装置1の制御部31について説明する。箱体2の内部において、高圧空気流発生装置4の下方には、制御部31が設けられている。制御部31は、高圧空気流発生装置4及び電気ヒータ12の運転を制御する制御回路31aと、制御回路31aを収納するケース31bと、制御回路31aを保護するカバー31cと、放熱器31dとを備えている。
制御回路31aには、電界効果トランジスタ若しくは絶縁ゲートバイポーラトランジスタといったスイッチング素子、又は電解コンデンサといった比較的大きな電子部品が用いられる。制御回路31a上のスイッチング素子は、高圧空気流発生装置4の駆動時に発熱するため、発生した熱を放熱して、故障を抑制する必要がある。放熱器31dは、制御回路31a上のスイッチング素子で発生した熱を放熱するために、一般的に設置されるものであり、実施の形態1においても、高圧空気流発生装置4の制御回路31aにおいて、放熱器31dをスイッチング素子に密着させている。また、放熱器31dは、吸気ダクト14内に差し込まれた構造となっており、これにより放熱器31dは、高圧空気流発生装置4の動作時に、吸気ダクト14内を通って流れる空気流によって冷却される。なお、放熱器31dは、熱伝導性の良好なアルミニウム製であり、フィン形状をなしている。
制御部31は、手乾燥室3に設けられた第1の手検知センサ6及び第2の手検知センサ7から出された信号に基づいて、高圧空気流発生装置4の運転を制御する。すなわち、制御回路31aは、手乾燥室3内に手があることを第1の手検知センサ6及び第2の手検知センサ7が検知したときに、高圧空気流発生装置4を駆動する。そして、制御部31は、高圧空気流発生装置4で生成された空気流を、手乾燥装置3のうち、前壁3aに設けられた前壁ノズル5a及び後壁3bに設けられた後壁ノズル5bから、手乾燥室3の中に噴出させる。
次に、手乾燥装置1の操作部32について説明する。図4に示すように、箱体2の一方の側面には、外部から操作可能な操作部32が設けられている。実施の形態1においては、操作部32は左側面に設けられているが、右側面に設けられていても良い。操作部32には、開閉可能な扉32dが設けられており、扉32dを開くと内部には手乾燥装置1の電源のオンとオフとを切り替える電源スイッチ32a、高圧空気流発生装置4の動作時の風量を調節する風量調節器32b及び電気ヒータ12のオンとオフとを切り替えるヒータスイッチ32cが取り付けられている。
次に、手乾燥装置1の動作について説明する。手乾燥装置1の使用者が、手乾燥装置1の正面側に立ち、手乾燥装置1の上部に設けられた開口部9から、手乾燥室3の中へ濡れた手を挿入する。そして、手乾燥室3の下部に手を進入させていき、挿入された手の指先によって、第2の手検知センサ7における赤外線が遮られると、制御回路31aのマイクロコントローラが、手乾燥室3内に手があると判定する。これにより、マイクロコントローラは、高圧空気流発生装置4に運転開始を指示する。高圧空気流発生装置4が作動すると、エアフィルタ16を通ることによって埃が除去された外部の空気が吸気口15から吸い込まれ、吸気口15から吸い込まれた空気が、吸気ダクト14を通って高圧空気流発生装置4の吸込側に吸い込まれる。高圧空気流発生装置4は、この吸い込まれた空気から、高圧空気を生成する。
図2に示す高圧空気流発生装置4によって高圧化された高圧空気は、高圧空気流発生装置4の排気側から、排気チャンバ10内に排気される。その際、図4に示すヒータスイッチ32cがオンであれば、高圧空気の一部は電気ヒータ12を通過することによって加熱される。そして、電気ヒータ12を通過して加熱された高圧空気と、電気ヒータ12が設けられていない排気口11を通過して加熱されていない高圧空気とは、混合されるとともに、前排気ダクト13a及び後排気ダクト13bに分かれて流れる。前排気ダクト13a及び後排気ダクト13bに分かれて流れた温風の高圧空気は、前壁3aに設けられた前壁ノズル5a及び後壁3bに設けられた後壁ノズル5bによって、高圧空気から高速空気に変換される。そして、前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bによって変換された温風の高速空気が、手乾燥室3内に噴出される。
前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bは、開口部9付近において、手乾燥室3の幅方向に概ね直線状に複数設置されているため、開口部9の付近では、手乾燥室3の幅方向に延びる帯状の高速空気が噴出される。壁ノズル5a及び後壁ノズル5bから噴出した帯状の高速空気が、手乾燥室3内に挿入されている使用者の手首又は手首付近における手の甲及び掌の両面に当たることにより、手の表面に付着している水は、水滴となって吹き飛ばされる。
前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bの噴出方向は、水平方向よりも若干下向きに傾斜して、手乾燥室3の奥側に向かっているため、前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bから噴出される高速空気も、水平方向よりも若干下向きに傾斜して、手乾燥室3の奥側に向かって噴出される。このため、高速空気は、手に対して垂直ではなく、指先方向に向かって傾いた角度で衝突する。従って、前壁ノズル5a及び後壁ノズル5bから噴出する高速空気の多くは、手に衝突した後、手に沿って、手首から指先方向に向かって流れることにより、手に付着した水の多くも、手に沿って、手首から指先方向に向かって流れる。そして、指先に到達した水は、手乾燥室3の底部付近において、指先から剥離され、水滴となって、その多くは、下方、即ち手乾燥室3の底壁3cに向かって吹き飛ばされる。
濡れた手から吹き飛ばされて剥離した水滴は、手乾燥室3の前壁3a又は後壁3bに当たる。そして、前壁3a又は後壁3bに当たった水滴は、手乾燥室3の底部である底壁3cに向かって流下し、手乾燥室3の底壁3cに設けられた排水口3dから、排水路17を通って排水タンク18に回収される。
以上説明した手乾燥の動作を使用者が繰り返すことにより、排水タンク18内のドレン水の水量は次第に増加し、水面が上昇する。
排水タンク18の水量を静電容量により検出するにあたり、実施の形態1に係る手乾燥装置1の排水タンク18の水量を検知する構成をコンデンサに置き換えて説明する。実施の形態1に係る手乾燥装置1においては、ドレン導電板21が一方の電極、グラウンドである接地面が他方の電極、排水タンク18に貯まるドレン水が誘電体、排水タンク18の水位が電極間に挿入される誘電体の厚さに置き換えることができる。ここで、静電容量C0、誘電率ε0、平板面積S、平板間隔dのコンデンサの平板間に、平板面積Sは同じで比誘電率εr、厚さxの誘電体を挟んだ場合の静電容量Cは、下記式(1)で表される。
誘電体であるドレン水が排水タンク18内に無い状態からドレン水が溜まって水位が上昇することは、上記式(1)におけるxが増加することに相当するため、静電容量Cの値は増加する。排水タンク18の水面が満水状態に近づくにつれ、すなわちドレン導電板21と排水タンク18の水面との距離が短くなるにつれ、水位の増分が同じであっても静電容量Cの値は大きく変化するようになる。これにより、制御回路31aは、ドレン導電板21に生ずる静電容量に基づいて、排水タンク18内のドレン水の水位が設定水位に達したことを検知する。設定水位を満水状態での水位にすることにより、制御回路31aは満水状態を検出することが可能となる。すなわち、制御回路31aは、ドレン導電板21により連続的に検出された排水タンク18の水量変化にともなう静電容量Cの値が、予め設定された閾値を上回った場合に排水タンク18内の水量が満水状態であると判断する。
しかし、実際には、静電容量Cは、満水状態に近づくにつれ上昇するものの、水位上昇にともなう静電容量の増分は、満水近くでも大きく変化はしない。製造、設置及び使用環境のばらつきにより、静電容量C0、誘電率ε0、平板面積S及び平板間隔dが変わるため、排水タンク18内の水位と静電容量Cとの関係も状態により変わる。よって、排水タンク18の満水状態を判断する静電容量Cの閾値に対して、水量にばらつきが生じる。満水近くの静電容量Cの変化量が小さい場合、検知する水量のばらつきが大きくなり、場合によっては満水検知の遅れにより水漏れが発生することが考えられる。満水検知の遅れに起因する水漏れを防止するためには、静電容量Cの閾値を満水状態から離れた位置で告知するように設定する必要があるが、その場合は満水からほど遠い早い段階で満水を告知する場合もある。
実施の形態1に係る手乾燥装置1は、図5及び図6に示すように、排水タンク18の一部に設けられている満水検出部18aは、貯水部18bよりも底が浅いため、排水タンク18の水位が低い時には満水検出部18aにドレン水は流れ込まず、満水に近づいた後に満水検出部18aに水が流れ込む。
図7は、実施の形態1に係る手乾燥装置の排水タンク内の水位と静電容量との関係を示す図である。図7に黒丸印で示すように、満水検出部18aを有する排水タンク18は、静電容量Cが満水近くで急激に変化する。また、平板面積S及び平板間隔dのコンデンサの静電容量Cは、C=εS/dで表されるが、図7に白抜き三角印で示す満水検出部18a無しの構造と比較することによっても明らかなように、満水検出部18a有りの構造とすることにより、ドレン導電板21の近くに誘電体であるドレン水が挿入されて平板間隔dが小さくなったと見なすことができるため、静電容量Cの絶対値も増える。 静電容量Cの閾値を、満水検出部18aに水が流れ込んだ際に取る値に設定すれば、検知する水量のばらつきを小さく抑えることができるようになる。これにより、静電容量Cの閾値をより満水状態に近い位置に設定でき、満水状態を精度良く検出することが可能となる。
制御回路31aが、排水タンク18内の水量が満水状態であると判断した場合、表示部23を点灯又は点滅させることにより満水状態であることを使用者に告知して、排水タンク18に溜まったドレン水を廃棄するメンテナンスを促すことができる。また、送風を停止して排水タンク18からのオーバフローを防止し、周囲環境を衛生的に保つことができる。
なお、制御回路31aに無線通信可能なデバイスを搭載しておけば、排水タンク18が満水状態となったことを設備管理者に知らせ、ドレン水の廃棄作業を促すことが可能となる。すなわち、制御回路31aが、排水タンク18内のドレン水の水位が設定水位に達したことを無線通信方式で他の機器へ通知する無線通信部を備えることにより、設備管理者は、表示部23の表示状態を直接確認しなくても排水タンク18内のドレン水が満水となったことを認識可能となる。
また、ドレン導電板21は排水タンク18の面積より小さく形成し、排水タンク18の面内で上方に配置することで、排水タンク18の装着時に差し込みが不十分であっても、正しく差し込まれた場合と同じ静電容量Cの検出が可能な構成となっている。
なお、満水検出部18aは、排水タンク18の平面視での周縁に接するように設けられていなくてもよい。すなわち、排水タンク18の平面視での周縁に接しないように満水検出部18aを設けても良い。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る手乾燥装置の排水タンクの斜視図である。図9は、実施の形態2に係る手乾燥装置の排水タンクの側面図である。実施の形態2に係る手乾燥装置の排水タンク18は、満水検出部18a1が形成されている。満水検出部18a1の底面は、貯水部18b側が高い傾斜面となっている。図8及び図9に示す排水タンク18は、左端及び後端が低くなるように満水検出部18a1の底面が傾斜しており、左端かつ後端の部分で満水検出部18a1の底面の高さが最も低くなっている。
満水検出部18a1の底面に貯水部18b側が高くなる傾斜を設けることにより、表面張力で、満水検出部18a1に水が流れ込みにくくなることを緩和し、また、満水検出部18a1への水の流れ込みを急激に生じさせることが可能となる。
図10は、実施の形態2に係る手乾燥装置の排水タンク内の水位と静電容量との関係を示す図である。排水タンク18内の水位と静電容量との関係は、図10の黒丸印のようになる。図10に白抜き三角印で示す満水検出部18a1無しの構造と比較することによっても明らかなように、満水検出部18a1有りの構造とすることにより、静電容量が急激に立ち上がる水位位置が早くなり、満水近くでの静電容量の変化も大きくなる。
上記の説明においては、満水検出部18a1は、左端かつ後端の部分の高さが最も低くなっているが、貯水部18b側が高くなる傾斜を備えていれば良い。
実施の形態2に係る手乾燥装置は、静電容量の急激な変化が生じる水位を目標水位に合わせやすく、また静電容量の変化量も大きくなり、静電容量の閾値の設定の幅も広く取れる。したがって、実施の形態2に係る手乾燥装置は、より安定して満水状態を精度良く検出することが可能になる。
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る手乾燥装置の排水タンクの側面図である。実施の形態3に係る手乾燥装置は、排水タンク18に貯水部18bよりも浅底の満水検出部18a1を設けており、満水検出部18a1の下方には、満水検出部18a1の底面と対向して遮蔽板24を配置し、遮蔽板24とドレン導電板21で満水検出部18a1を挟む構成となっている。ここで、遮蔽板24は、面積及び厚さが十分な導体である。
図12は、実施の形態3に係る手乾燥装置の排水タンク内の水位と静電容量との関係を示す図である。排水タンク18内の水位と静電容量との関係は、図12の黒丸印のようになる。図12に白抜き三角印で示す満水検出部18a1及び遮蔽板24無しの構造と比較することによっても明らかなように、満水検出部18a1及び遮蔽板24有りの構造とすることにより、ドレン導電板21の近くに誘電体であるドレン水が挿入された状態となって静電容量の絶対値が増え、満水近くでの静電容量の変化も大きくなる。したがって、静電容量の閾値の設定の幅も広く取れるため、より安定して満水状態を精度良く検出することが可能となる。
上記の説明では、底面が傾斜した満水検出部18a1を有する排水タンク18と遮蔽板24とを組み合わせた構造について説明したが、実施の形態1と同様の底面が傾斜していない満水検出部18aを備えた排水タンク18と遮蔽板24とを組み合わせても同様の効果が得られる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。