以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前側に利用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、金融機関の顧客等の利用者との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部4A(図3)が設けられている。入出金口5は、利用者が入金する紙幣が投入されると共に、利用者へ出金する紙幣が排出される部分である。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部8A(図3)が設けられている。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Mを有しており、この記憶部9Mに種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、その内部に紙幣制御部11、入出金部12、搬送部13、鑑別部14、一時保留部15、紙幣収納庫16、リジェクト庫17、取忘収納庫18及び偽券収納庫19が設けられている。
また紙幣入出金機10が取り扱う紙幣には、記番号が付されている。この記番号は、各紙幣に一意に割り当てられた識別番号であり、複数の文字や記号の組み合わせで構成されている。この記番号は、個別の紙幣を特定する場合等に利用される。
紙幣制御部11は、図3に現金自動預払機1全体を含む紙幣入出金機10のブロック構成を示すように、主制御部9と連携しながら、当該紙幣入出金機10を統括的に制御する。紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。
また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11Mを有しており、この記憶部11Mに出金プログラム等の各種プログラムや紙幣に関する情報等の種々の情報を記憶させる。また記憶部11Mは、既に知られている偽券の記番号が記載された偽券記番号リスト(図示せず)を予め記憶している。さらに紙幣制御部11の内部には、照合部11Cが設けられている。この照合部11Cは、2個の記番号を照らし合わせて両者が一致するか否かを判別する。
入出金部12(図2)は、上方が開放された箱状の収容器12Aを中心に構成されている。収容器12Aは、利用者へ受け渡すべき紙幣又は利用者から受け渡される紙幣を前後方向に沿って整列した状態で収容する。この収容器12Aの上方には、開閉可能なシャッタ12Bが設けられている
搬送部13は、図示しないモータ、ローラ、ベルト及びガイド等により紙幣入出金機10内の各部を結ぶような搬送経路を形成している。この搬送部13は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、紙幣の短辺に沿った方向を進行方向として、この搬送経路に沿って搬送する。
鑑別部14は、内部に光学センサ、イメージセンサや磁気センサ等の各種センサを有しており、その内部で紙幣を搬送しながら、各センサによる鑑別結果を得て紙幣制御部11へ供給する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づき、また読み取った記番号を偽券記番号リストと比較すること等により、当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を判別した上で、各紙幣の搬送先を決定する。
一時保留部15は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。因みに一時保留部15は、最大で例えば200枚の紙幣を収納することができる。
紙幣収納庫16(16A、16B、16C及び16D)は、内部に多数の紙幣を集積して収納する。この紙幣収納庫16は、例えば入金取引において、鑑別部14において損傷の程度が小さく再利用可能と鑑別された紙幣が金種ごとに振り分けられ搬送部13により搬送されてくると、これを取り込んで収納する。また紙幣収納庫16は、出金取引において、紙幣制御部11の制御に基づき、指示された枚数の紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
さらに各紙幣収納庫16は、紙幣入出金機10の筐体に対しそれぞれ着脱可能に構成されている。例えば紙幣収納庫16は、収納している紙幣を全て繰り出した場合や1日の営業時間の終了後等に、紙幣入出金機10から取り出され、新たな紙幣が収納された上で、再び紙幣入出金機10に装着される。
リジェクト庫17は、鑑別部14において損傷の程度が大きく再利用すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)を収納する。取忘収納庫18は、利用者が入出金部12から取り忘れた紙幣を収納する。偽券収納庫19は、鑑別部14の鑑別結果を基に偽券と判別された紙幣(すなわち偽券)を収納する。
[1−2.入金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の入金処理について説明する。例えば現金自動預払機1は、利用者と取引処理を行い得る状態、いわゆる運用状態にあるとき、操作表示部6(図1)に所定のメニュー画面(図示せず)を表示した状態で利用者から各種取引処理を開始する操作指示を待ち受けている。
現金自動預払機1の主制御部9は、利用者から入金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し入金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部11は、記憶部11Mから所定の入金プログラムを読み出して実行することにより、入金処理を開始する。
まず紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開いて収容器12A内へ紙幣を投入させる。入出金部12は、利用者により収容器12Aに紙幣が投入された上で、操作表示部6を介して取込開始の操作指示を受け付けると、シャッタ12Bを閉塞し、収容器12Aから紙幣を1枚ずつ取り込んで搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。
鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら、各センサによる検知結果を紙幣制御部11へ通知する。紙幣制御部11は、鑑別部14から得られた鑑別結果や読み取った記番号等を基に、紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を判別した上で、各紙幣の判別結果を基にその搬送先を決定する。
具体的に紙幣制御部11は、正当であり取引すべきと鑑別された紙幣を搬送部13により一時保留部15へ搬送させ収納させる一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送し、利用者へ返却する。
やがて紙幣制御部11は、入出金部12に投入された全ての紙幣を取り込み終えると、鑑別部14から得られた鑑別結果を基に入金額を算出し、これを操作表示部6(図1)に表示して利用者に提示して、入金取引を継続するか否かを問い合わせる。ここで利用者から入金取引を継続する旨の指示を受け付けた場合、紙幣制御部11は、一時保留部15に保留している紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
続いて紙幣制御部11は、搬送部13を制御することにより、紙幣の損傷の程度が小さい紙幣については、これを再利用すべき紙幣として、搬送部13により金種ごとに振り分けた上で紙幣収納庫16へ搬送して収納させる。その一方で紙幣制御部11は、損傷の程度が大きい紙幣を再利用すべきでないリジェクト紙幣としてリジェクト庫17へ搬送して収納させる。また紙幣制御部11は、偽造されたと判断した紙幣(すなわち偽券)を偽券収納庫19へ搬送して収納させる。
一方、紙幣制御部11は、利用者から入金取引を継続しない旨の指示を受け付けた場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を順次繰り出させ、これを搬送部13により入出金部12へ順次搬送して利用者に返却する。紙幣制御部11は、全ての紙幣を収容器12A内に収容すると、シャッタ12Bを開放して紙幣を利用者に取り出させる。
このとき紙幣制御部11は、シャッタ12Bを開放してから所定の待機時間(例えば30秒間)が経過しても収容器12A内に紙幣が残っていた場合、利用者が当該紙幣を取り忘れて立ち去ったものと、すなわち紙幣の取り忘れが発生したものと判断する。続いて紙幣制御部11は、収容器12A内の紙幣を1枚ずつ取り込み、搬送部13により鑑別部14へ搬送して各紙幣を鑑別させた上で、一時保留部15へ搬送した後、全ての紙幣を取忘収納庫18へ搬送して収納させ、次の取引の開始を待ち受ける。
このように紙幣入出金機10は、入金取引において利用者から入金された紙幣を鑑別部14により1枚ずつ鑑別し、正当であり再利用可能な紙幣を金種ごとに振り分けて紙幣収納庫16に収納させる一方、再利用すべきでないリジェクト紙幣や偽券をそれぞれリジェクト庫17や偽券収納庫19に収納させる。
[1−3.出金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機1の主制御部9は、操作表示部6(図1)に上述したメニュー画面を表示した状態で、利用者から出金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し出金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部11は、記憶部11Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4に示す出金処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
ステップSP1において紙幣制御部11は、主制御部9(図3)と連携しながら、操作表示部6を介して利用者から出金額の入力操作を受け付け、次のステップSP2へ移り入力された出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を決定して、その次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において紙幣制御部11は、決定した金種及び枚数の紙幣を紙幣収納庫16から順次繰り出し、搬送部13により鑑別部14を経由して入出金部12へ搬送させ、次のステップSP4へ移る。ステップSP4において紙幣制御部11は、鑑別部14により搬送中の紙幣を順次鑑別させ、その鑑別結果を取得して記番号を読み取った上で、次のステップSP5へ移る。
因みにこのとき紙幣制御部11は、複数の紙幣が重なって搬送された(すなわち重送された)紙幣のように正常と判別できなかった紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト庫17へ搬送させる。また紙幣制御部11は、偽券と判別された紙幣、すなわち紙幣制御部11が予め記憶している偽券記番号リストと記番号が一致した紙幣については、偽券収納庫19へ搬送させる。
その一方で紙幣制御部11は、正常な紙幣を出金額に相当する金額分だけ入出金部12へ搬送させ、収容器12A内に収容する。以下では、このようにして入出金部12へ搬送された紙幣、すなわち入金額に応じて定められた金種及び枚数の紙幣であり、この出金取引において利用者へ出金すべき紙幣を取引紙幣と呼ぶ。
ステップSP5において紙幣制御部11は、図5に示すように、全ての取引紙幣の記番号を取引記番号リストL1に格納し、この取引記番号リストL1を記憶部11Mに記憶させて、次のステップSP6へ移る。以下、このように記憶させた取引紙幣の記番号を取引記番号と呼ぶ。因みに取引記番号リストL1には、管理上必要となる順序情報に対応付けて、各紙幣の記番号及び金種を表す情報が格納される。
ところで、仮に紙幣収納庫16から繰り出した紙幣の中に偽券記番号リストと記番号が一致する紙幣、すなわち偽券が含まれていたとしても、ステップSP3において偽券収納庫19に収納されるため、入出金部12内の取引紙幣からは既に除外されている。このため、このような偽券の記番号は、取引記番号リストL1には格納されない。
ステップSP6において紙幣制御部11は、照合部11Cにより、各取引記番号を、取引記番号リストL1に格納している他の全ての取引記番号とそれぞれ照合し、次のステップSP7へ移る。これにより紙幣制御部11は、入出金部12に収納している各取引紙幣の記番号を、他の全ての取引紙幣の記番号とそれぞれ比較することになる。因みにこのとき紙幣制御部11は、取引紙幣を金種ごとに分類した上で、同一金種の記番号を比較する。
ステップSP7において紙幣制御部11は、取引記番号の中に他の取引記番号と同一の記番号があったか否か、すなわち取引紙幣の中に互いに同一の記番号が付されたものが含まれていたか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは本来であれば一意に付されており同一の記番号が付された紙幣が存在しないところ、実際の取引紙幣の中に同一の記番号が付された紙幣が存在していることを表す。これは、同一の記番号が付された取引紙幣が新たに偽造された紙幣(偽券)である可能性が高いため、これらの取引紙幣を利用者へ受け渡さずに何らかの異常対応処理を行うべきことを意味している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において紙幣制御部11は、搬送部13を制御することにより、入出金部12内に収容されている取引紙幣、すなわち偽券及び正常な紙幣の双方を含む全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ搬送し、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において紙幣制御部11は、操作表示部6(図1)に所定の通知画面を表示することにより、利用者に対し内部処理で異常が発生したために現在の出金取引を中止する旨、及び出金処理の最初からのやり直しを依頼する旨を通知して次のステップSP11へ移る。
一方、ステップSP7において否定結果が得られると、このことは全ての取引紙幣の記番号が互いに相違しており、取引紙幣に偽券が含まれていないことを表している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP10へ移る。
ステップSP10において紙幣制御部11は、入出金部12のシャッタ12Bを開放させて利用者に収容器12A内の取引紙幣を取り出させ、当該シャッタ12Bを閉塞させた後、次のステップSP11へ移る。
因みに紙幣制御部11は、ステップSP10においてシャッタ12Bを開放してから所定の待機時間(例えば30秒間)が経過しても収容器12A内に紙幣が残っていた場合、入金処理の場合と同様、紙幣の取り忘れが発生したものと判断する。このとき紙幣制御部11は、収容器12A内の紙幣を取り込み、鑑別部14により各紙幣を鑑別させた上で取忘収納庫18へ搬送する。
ステップSP11において紙幣制御部11は、取引記番号リストL1(図5)に格納した状態で記憶部11Mに記憶している取引記番号を全て消去することにより次回の出金取引に備え、次のステップSP12へ移って出金処理手順RT1を終了する。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部11Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機10は、紙幣制御部11により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一の記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機10は、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知できる。すなわち紙幣入出金機10は、例えば新たに偽造され同一の記番号が付されたた紙幣が取引紙幣に含まれていた場合、その記番号と偽券記番号リストとの照合処理ではこれを偽券と判別できないものの、取引記番号を用いた照合処理によりこれが偽券であることを判別できる。この結果、紙幣入出金機10は、偽券の検知精度を従来よりも格段に高めることができる。
また紙幣入出金機10は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、異常対応処理として、全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ搬送して収納させ、運用を継続する。このため紙幣入出金機10は、その後に金融機関の職員や保守作業員等に保守作業を特に行わせること無く新たな取引処理を開始できるため、現金自動預払機1の稼働率を低下させずに済む。
このとき紙幣入出金機10は、全ての取引紙幣を一切出金すること無くリジェクト庫17へ搬送して収納するため、例えば金融機関の職員や保守作業者等に対し、事後的に全ての取引紙幣を参照しながら詳細な状況の確認等を行わせることができる。
また紙幣入出金機10は、1回の取引処理における全ての取引紙幣についてのみ互いの記番号を照合するため、照合対象となる記番号の数を比較的少なく抑え、その照合処理を比較的短い時間で完了することができる。このため紙幣入出金機10は、従来と比較して偽券の検知精度を高めながらも、出金取引における利用者の待ち時間を殆ど増加させることが無い。
さらに紙幣入出金機10は、紙幣収納庫16から繰り出した紙幣の記番号が偽券記番号リストと一致した場合、当該紙幣を予め偽券と判別して偽券収納庫19に収納させて入出金部12へは搬送しないため、これを取引紙幣とはしない。このため紙幣入出金機10は、偽券記番号リストに格納されている、既に偽券と判明している紙幣の記番号を取引記番号リストL1に重複して格納することが無く、紙幣制御部11により重複した照合処理を行わずに済む。
そのうえ紙幣入出金機10は、出金処理において同一の記番号が付された紙幣が含まれており紙幣が出金されなかった場合、利用者に対し、直前の出金取引における操作と異なる操作や作業を行わせること無く、同一の出金取引の手続きを再度行わせれば良いため、操作手順等において混乱させる恐れがない。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、各取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機10は、取引紙幣の中に同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、その記番号と偽券記番号リストとの照合処理ではこれを偽券と判別できないものの、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別できる。このような場合、紙幣入出金機10は、当該取引紙幣を他の全ての取引紙幣と共にリジェクト庫17へ搬送することで、偽券の利用者への受渡を未然に防止できる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部111を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部111は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成され、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部111は、記憶部11Mに代わる記憶部111Mを有している。記憶部111Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態と一部異なる出金プログラムを記憶している。
因みに紙幣入出金機110は、入金取引において、第1の実施の形態と同様の入金プログラムに従って同様の入金処理を実行する。
[2−1.出金処理]
次に、紙幣入出金機110における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機101において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機110の紙幣制御部111は、記憶部111Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4と対応する図6に示す出金処理手順RT2を開始してステップSP21へ移る。
紙幣制御部111は、ステップSP21〜SP27においてステップSP1〜SP7(図4)と同様の処理を行う。ステップSP27において肯定結果が得られると、このとき紙幣制御部111は、次のステップSP28へ移る。
ステップSP28において紙幣制御部111は、入出金部12内に収容している全ての取引紙幣を一時保留部15へ搬送し、次のステップSP29へ移る。ステップSP29において紙幣制御部111は、一時保留部15に収納している取引紙幣を1枚ずつ鑑別部14へ搬送することにより鑑別させ、その鑑別結果を取得して記番号を読み取った上で、次のステップSP30へ移る。
ステップSP30において紙幣制御部111は、このとき鑑別部14において鑑別した取引紙幣が、他と同一の記番号が付された取引紙幣であるか否か、すなわち偽券記番号リストには未登録であるものの偽券と判別された取引紙幣であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、紙幣制御部111は、次のステップSP31へ移ってこの取引紙幣を搬送部13により偽券収納庫19へ搬送させた後、その次のステップSP33へ移る。
一方、ステップSP30において否定結果が得られると、このことはこの取引紙幣が正常な紙幣であり、次回以降の出金取引において利用者に出金するのに相応しいことを表している。このとき紙幣制御部111は、次のステップSP32へ移り、搬送部13によりこの取引紙幣をその金種に応じた適切な紙幣収納庫16へ搬送させ、その次のステップSP33へ移る。
ステップSP33において紙幣制御部111は、一時保留部15から全ての取引紙幣を偽券収納庫19又は紙幣収納庫16へ搬送したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このとき紙幣制御部111は、残りの取引紙幣を搬送するべく、再度ステップSP29へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP33において肯定結果が得られると、紙幣制御部111は次のステップSP34へ移り、ステップSP9(図4)と同様、操作表示部6(図1)に所定の通知画面を表示することにより、利用者に対し内部の処理で異常が発生したために現在の出金取引を中止する旨、及び出金処理の最初からのやり直しを依頼する旨を通知して次のステップSP36へ移る。
また、ステップSP27において否定結果が得られると、このことは全ての取引紙幣の記番号が互いに相違しており、取引紙幣に偽券が含まれていないことを表している。このとき紙幣制御部111は、次のステップSP35へ移り、ステップSP10(図4)と同様、入出金部12のシャッタ12Bを開閉して利用者に収容器12A内の取引紙幣を取り出させた後、次のステップSP36へ移る。
ステップSP36において紙幣制御部111は、ステップSP11(図4)と同様、記憶部111Mに記憶している取引記番号を全て消去することにより次回の出金取引に備え、次のステップSP37へ移って出金処理手順RT2を終了する。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部111Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機110は、紙幣制御部111により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機110は、第1の実施の形態と同様、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知して、これらの取引紙幣が偽券であることを判別できる。
また紙幣入出金機10は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、異常対応処理として、同一記番号が付されており偽券であった取引紙幣のみを偽券収納庫19へ搬送して収納させる一方、他の正常な取引紙幣を紙幣収納庫16へ戻す。このため紙幣入出金機10は、正常と判別された紙幣を次回以降の出金取引において出金させることができ、紙幣を極力有効に活用できる。
その他の点についても、第2の実施の形態による紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、各取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機110は、取引紙幣の中に新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別でき、この偽券を偽券収納庫19へ収納することで利用者への受渡を未然に防ぐと共に、他の正常な紙幣を紙幣収納庫16へ戻して有効に再利用できる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部211を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部211は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部211は、記憶部11Mに代わる記憶部211Mを有している。記憶部211Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1及び第2の実施の形態と一部異なる出金プログラムを記憶している。
因みに紙幣入出金機210は、入金取引において、第1の実施の形態と同様の入金プログラムに従って同様の入金処理を実行する。
[3−1.出金処理]
次に、紙幣入出金機210における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機201において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機210の紙幣制御部211は、記憶部211Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4及び図6と対応する図7に示す出金処理手順RT3を開始してステップSP41へ移る。
紙幣制御部211は、ステップSP41〜SP51においてステップSP21〜SP31(図6)と同様の処理を行い、次のステップSP53へ移る。一方、ステップSP50において否定結果が得られると、このことはこの取引紙幣が正常であり、利用者へ出金すべき取引紙幣であることを表している。このとき紙幣制御部211は、次のステップSP52へ移って搬送部13によりこの取引紙幣を入出金部12へ搬送し、その次のステップSP53へ移る。
ステップSP53において紙幣制御部211は、ステップSP33(図6)と同様、一時保留部15から全ての取引紙幣を偽券収納庫19又は入出金部12へ搬送したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このとき紙幣制御部211は、残りの取引紙幣を搬送するべく、再度ステップSP49へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP53において肯定結果が得られると、このとき入出金部12は、取引紙幣のうち同一の記番号が付された偽券のみが偽券収納庫19へ搬送され、残りの正常な取引紙幣のみが残された状態、すなわち偽券であった取引紙幣の分だけ出金額よりも少ない金額分の取引紙幣が収納された状態となっている。このとき紙幣制御部211は、次のステップSP54へ移る。
ステップSP54において紙幣制御部211は、出金額から不足している金額に相当する金種及び枚数の紙幣、すなわち記番号が同一であるために偽券として偽券収納庫19へ収納された紙幣に代わる紙幣を、紙幣収納庫16から繰り出させ、搬送部13により鑑別部14を経由して入出金部12へ搬送させて、再度ステップSP44へ戻る。これにより紙幣制御部211は、新たに紙幣収納庫16から繰り出した紙幣についても他の取引紙幣の記番号と照合させる。
また、ステップSP47において否定結果が得られると、このことは入出金部12内に、出金額に相当する金種及び枚数でなり、互いに異なる記番号が付された正常な取引紙幣が収納されていることを表している。このとき紙幣制御部211は、次のステップSP55へ移り、ステップSP35と同様に入出金部12のシャッタ12Bを開閉させて取引紙幣を利用者に取り出させ、次のステップSP56へ移る。
ステップSP56において紙幣制御部211は、ステップSP36(図6)と同様、記憶部211Mに記憶している取引記番号を全て消去することにより次回の出金取引に備え、次のステップSP57へ移って出金処理手順RT3を終了する。
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部211Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機210は、紙幣制御部211により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機210は、第1及び第2の実施の形態と同様、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知して、これらの取引紙幣が偽券であることを判別できる。
また紙幣入出金機210は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、異常対応処理として、同一記番号が付されており偽券と判別した取引紙幣のみを偽券収納庫19へ搬送して収納させる一方、他の取引紙幣を入出金部12に残し、不足額分の紙幣を改めて紙幣収納庫16から繰り出させる。このため紙幣入出金機210は、最終的に出金額に相当する金種及び枚数であり、且つ偽券が含まれない正常な取引紙幣を利用者に出金でき、第1及び第2の実施の形態のように当該利用者に出金取引を再度行わせる必要が無い。
さらに紙幣入出金機210は、第2の実施の形態と同様、同一の記番号が付された取引紙幣、すなわち偽券のみを偽券収納庫19へ搬送して収納させる一方、他の正常な紙幣を入出金部12に残して最終的に出金させるため、正常な紙幣をできる限り有効に活用できる。
そのうえ紙幣入出金機210は、不足額分の紙幣を紙幣収納庫16から繰り出した際にも、当該紙幣の記番号を読み取り他の出金紙幣の記番号と照合する。このため紙幣入出金機210は、例えば同一の記番号が付された紙幣が紙幣収納庫16に大量に収納されている場合にも、繰り出す度にこれらが偽券であることを検知でき、またその度に偽券収納庫19に収納できるので、この偽券を誤って利用者に出金することを確実に防止できる。
その他の点についても、第3の実施の形態による紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、各取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機210は、取引紙幣の中に新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別でき、この偽券を偽券収納庫19へ収納することで利用者への受渡を未然に防ぐと共に、これによる不足分を他の紙幣により補って出金額分の正常な取引紙幣を出金することができる。
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機310(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部311を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部311は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部311は、記憶部11Mに代わる記憶部311Mを有している。記憶部311Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1〜第3の実施の形態と一部異なる出金プログラムを記憶している。
因みに紙幣入出金機310は、入金取引において、第1の実施の形態と同様の入金プログラムに従って同様の入金処理を実行する。
[4−1.出金処理]
次に、紙幣入出金機310における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機301において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機310の紙幣制御部311は、記憶部311Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4と対応する図8に示す出金処理手順RT4を開始してステップSP61へ移る。
紙幣制御部311は、ステップSP61〜SP67においてステップSP1〜SP7(図4)と同様の処理を行う。ステップSP67において肯定結果が得られると、このとき紙幣制御部311は、次のステップSP68へ移る。
ステップSP68において紙幣制御部311は、入出金部12内に収容している全ての取引紙幣、すなわち偽券を含む全紙幣をそれぞれ元の紙幣収納庫16へ搬送して収納させ、次のステップSP69へ移る。これにより紙幣収納庫16は、この出金取引を開始する前の状態に戻る。
ステップSP69において紙幣制御部311は、ステップSP9(図4)と同様、操作表示部6(図1)に所定の通知画面を表示することにより、利用者に対し内部の処理で異常が発生したために現在の出金取引を中止して現金自動預払機301の運用を停止する旨、及び他の現金自動預払機の利用を依頼する旨等を通知し、次のステップSP72へ移って出金処理手順RT4を終了する。因みにこの場合、紙幣制御部311は、記憶部311Mに記憶している取引記番号を消去せずに保持している。
一方、ステップSP67において否定結果が得られると、このことは全ての取引紙幣の記番号が互いに相違しており、取引紙幣に偽券が含まれていないことを表している。このとき紙幣制御部311は、次のステップSP70へ移り、ステップSP10(図4)と同様、入出金部12のシャッタ12Bを開閉して利用者に収容器12A内の取引紙幣を取り出させた後、次のステップSP71へ移る。
ステップSP71において紙幣制御部311は、ステップSP11(図4)と同様、記憶部311Mに記憶している取引記番号を全て消去することにより次回の出金取引に備え、次のステップSP72へ移って出金処理手順RT4を終了する。
[4−2.動作及び効果]
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部311Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機310は、紙幣制御部311により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機310は、第1〜第3の実施の形態と同様、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知して、これらの取引紙幣が偽券であることを判別できる。
また紙幣入出金機310は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、異常対応処理として、偽券を含む全ての取引紙幣を元の紙幣収納庫16へ搬送して収納させ、利用者に異常が発生したことを通知した上で現金自動預払機301全体の運用を停止する。
これにより紙幣入出金機310は、同一の記番号が付されており新たに偽券と判別された紙幣そのものが利用者の手に渡ることを未然に防止できる。これに加えて紙幣入出金機310は、この偽券が収納されていた紙幣収納庫16にさらに同一の記番号が付された偽券が収納されている可能性があるところ、このようなさらなる偽券についても利用者の手に渡ることを未然に防止できる。
さらに紙幣入出金機310は、偽券を元の紙幣収納庫16に戻した状態、すなわち当該紙幣収納庫16から繰り出す前に収納されていた状態を保持でき、また記憶部311Mに取引記番号を記憶しているので、金融機関の職員や保守作業員等に、偽券が収納されていた状態の紙幣収納庫16を調査させることができる。
その他の点についても、第4の実施の形態による紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、各取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機310は、取引紙幣の中に新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別でき、全ての取引紙幣を紙幣収納庫16へ戻した状態で運用を停止することにより利用者への受渡を未然に防ぐと共に、偽券が紙幣収納庫16に収納されていた状態を金融機関の職員等に容易に調査させることができる。
[5.第5の実施の形態]
第5の実施の形態による現金自動預払機401(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機410を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機410(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部411を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部411は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部411は、記憶部11Mに代わる記憶部411Mを有している。記憶部411Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1〜第4の実施の形態と一部異なる出金プログラムを記憶している。
因みに紙幣入出金機410は、入金取引において、第1の実施の形態と同様の入金プログラムに従って同様の入金処理を実行する。
[5−1.出金処理]
次に、紙幣入出金機410における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機401において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機410の紙幣制御部411は、記憶部411Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4、図7及び図8と対応する図9に示す出金処理手順RT5を開始してステップSP81へ移る。
紙幣制御部411は、ステップSP81〜SP88においてステップSP61〜SP68(図8)と同様の処理を行い、次のステップSP89へ移る。ステップSP89において紙幣制御部411は、取引紙幣を収納した紙幣収納庫16、すなわち偽券が収納されている紙幣収納庫16を入金専用に設定し、次のステップSP90へ移る。
ステップSP90において紙幣制御部411は、出金可能な紙幣収納庫16、すなわちステップSP89において入金専用に設定された紙幣収納庫16とは異なる紙幣収納庫16から、ステップSP62において決定した金種及び枚数の紙幣を順次繰り出す。これと共に紙幣制御部411は、搬送部13により鑑別部14を経由して入出金部12へ搬送させ、再度ステップSP84へ戻ることにより、新たに紙幣収納庫16から繰り出した紙幣についても他の取引紙幣の記番号と照合させる。
一方、ステップSP87において否定結果が得られると、このとき紙幣制御部411は、ステップSP55、SP56及びSP57(図7)と同様の処理を行うことにより、利用者に出金額の取引紙幣を取り出させ、記憶部411Mに記憶している取引記番号を全て消去した上で、出金処理手順RT5を終了する。
[5−2.動作及び効果]
以上の構成において、第5の実施の形態による現金自動預払機401の紙幣入出金機410は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部411Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機410は、紙幣制御部411により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機410は、第1〜第4の実施の形態と同様、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知して、これらの取引紙幣が偽券であることを判別できる。
また紙幣入出金機410は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、異常対応処理として、偽券を含む全ての取引紙幣を元の紙幣収納庫16へ搬送して収納させ、
当該紙幣収納庫を入金専用に設定した上で、他の紙幣収納庫16から新たな紙幣を繰り出させて取引紙幣とし、一連の処理を繰り返す。
これにより紙幣入出金機410は、同一の記番号が付されており新たに偽券と判別された紙幣そのものが利用者の手に渡ることを未然に防止できる。これに加えて紙幣入出金機410は、第4の実施の形態と同様、この偽券が収納されていた紙幣収納庫16にさらに同一の記番号が付された偽券が収納されている可能性があるところ、このようなさらなる偽券についても利用者の手に渡ることを未然に防止できる。
さらに紙幣入出金機410は、偽券を元の紙幣収納庫16に戻して入金専用とすることで、当該紙幣収納庫16から繰り出す前に収納されていた状態も保持できるので、第4の実施の形態と同様、金融機関の職員や保守作業員等に、偽券が収納されていた状態の紙幣収納庫16を調査させることができる。
そのうえ紙幣入出金機410は、他の紙幣収納庫16から新たな紙幣を繰り出して新たな取引紙幣とすることにより、第3の実施の形態と同様、最終的に出金額に相当する金種及び枚数であり、且つ偽券が含まれない正常な取引紙幣を利用者に出金でき、第1、第2及び第4の実施の形態のように当該利用者に出金取引を再度行わせる必要が無い。
その他の点についても、第5の実施の形態による紙幣入出金機410は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第5の実施の形態による現金自動預払機401の紙幣入出金機410は、各取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機410は、取引紙幣の中に新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別でき、全ての取引紙幣を紙幣収納庫16へ戻して入金専用とし、他の紙幣収納庫16から改めて紙幣を繰り出すことにより、利用者に偽券を受け渡すことを未然に防ぎつつ、運用を継続して出金額に応じた正当な紙幣を出金することができる。
[6.第6の実施の形態]
第6の実施の形態による現金自動預払機501(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機510を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機510(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部511を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部511は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部511は、記憶部11Mに代わる記憶部511Mを有している。記憶部511Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態と一部異なる出金プログラム及び入金プログラムを記憶している。
[6−1.取引記番号リスト]
この第6の実施の形態では、取引記番号リストL1では無く、図5と対応する図10に示すように、紙幣入出金機510(図2)に設けられた4個の紙幣収納庫16(16A〜16D)とそれぞれ対応して、4個の取引記番号リストL2(L2A〜L2D)が記憶部511Mに記憶されている。
取引記番号リストL2は、第1の実施の形態による取引記番号リストL1(図5)と同様、取引記番号(すなわち取引紙幣の記番号)が格納される。ただし取引記番号リストL2には、現金自動預払機501と利用者との間で出金取引が行われる度に、すなわち紙幣入出金機510が出金処理を行う度に、取引記番号が消去されること無く追加されていく。換言すれば、取引記番号リストL2には、現在及び過去の取引における取引記番号が格納されている。
また他の観点から見れば、取引記番号リストL2は、現在までに紙幣収納庫16から繰り出された紙幣の記番号が記録されていることになる。このため、仮にこれらの取引記番号と同一の記番号が付された紙幣が今後繰り出された場合、この記番号が付された紙幣は偽券である可能性が高い。
因みに取引記番号リストL2には、各紙幣の金種を表す情報が格納されない。これは、各紙幣収納庫16に収納すべき紙幣の金種が予め割り当てられており、1の取引記番号リストL2に取引記番号が格納される取引紙幣の金種が全て同一となるためである。
また紙幣入出金機510は、筐体における各紙幣収納庫16の装着箇所にそれぞれ所定のセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサは、紙幣収納庫16が当該筐体から取り外されたことや当該筐体に装着されていること等を検知し、その検知結果を紙幣制御部511へ通知する。
紙幣制御部511は、このセンサからの通知を基に、筐体から紙幣収納庫16が取り外されたことを認識すると、この紙幣収納庫16と対応付けられている取引記番号リストL2を初期化し、格納されている取引記番号を全て消去する。すなわち紙幣制御部511は、紙幣収納庫16から一度繰り出された紙幣が流通過程を経て当該紙幣収納庫16に再度収納される可能性がある場合に、取引記番号リストL2を初期化することになる。
また紙幣制御部511は、入金取引において利用者から入金された全ての紙幣を鑑別部14により鑑別させており、得られた鑑別結果を基に、各紙幣の記番号も認識している。このとき紙幣制御部511は、入金された紙幣の記番号を取引記番号リストL2の取引記番号と照合し、一致した場合にはこの取引記番号を当該取引記番号リストL2から消去する。これにより取引記番号リストL2は、紙幣収納庫16から確実に繰り出された紙幣の記番号のみが格納されることになる。
このように紙幣制御部511は、4個の紙幣収納庫16とそれぞれ対応する4個の取引記番号リストL2を記憶部511Mに記憶させ、出金取引が行われる度に取引記番号を追加する一方、筐体からの紙幣収納庫16の着脱及び入金取引が行われる際に、取引記番号リストL2の初期化や取引記番号の消去を行うようになっている。
[6−2.出金処理]
次に、紙幣入出金機510における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機501において利用者との間で出金取引が行われる場合、紙幣入出金機510の紙幣制御部511は、記憶部511Mから出金プログラムを読み出して実行することにより、図4と対応する図11に示す出金処理手順RT6を開始してステップSP101へ移る。
紙幣制御部511は、ステップSP101〜SP104においてステップSP1〜SP4(図4)と同様の処理を行い、次のステップSP105へ移る。ステップSP105において紙幣制御部511は、全ての取引紙幣の記番号を取引記番号として取引記番号リストL2(図10)に追加して格納し、この取引記番号リストL2を記憶部511Mに記憶させて、次のステップSP106へ移る。
ステップSP106において紙幣制御部511は、照合部11Cにより、各取引紙幣の記番号(すなわち取引記番号)を、取引記番号リストL2に格納された他の全ての取引記番号とそれぞれ照合し、次のステップSP107へ移る。これにより紙幣制御部511は、入出金部12に収納している各取引紙幣の記番号を、これまで同一の紙幣収納庫16から繰り出した全ての紙幣の記番号及び現在入出金部12に収納している他の全ての取引紙幣の記番号とそれぞれ比較することになる。
その後紙幣制御部511は、ステップSP107〜SP110において、ステップSP7〜SP10(図4)とそれぞれ同様の処理を行い、次のステップSP111へ移って出金処理手順RT6を終了する。すなわち紙幣制御部511は、出金処理手順RT6においてステップSP11(図4)に相当する処理を行わないため、記憶部511Mの取引記番号リストL2に記憶している取引記番号を次回以降の出金取引における照合処理で利用できる。
[6−3.動作及び効果]
以上の構成において、第6の実施の形態による現金自動預払機501の紙幣入出金機510は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを新たな取引記番号として取引記番号リストL2(図10)に追加して記憶部511Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機510は、紙幣制御部511により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、紙幣収納庫16からこれまでに繰り出された紙幣を対象として同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機510は、現在の取引紙幣に加えて過去の取引紙幣も含めて、すなわち第1〜第5の実施の形態よりも広い範囲で、取引紙幣の記番号が他と一致するか否かを基に、この取引紙幣が偽券であるか否かを判別できる。
例えば紙幣入出金機510は、紙幣収納庫16に同一の記番号が付された紙幣(すなわち偽券)が複数収納されており、これらが複数回の出金取引に分かれて繰り出される場合にも、記番号を基に当該紙幣が偽券であることを検知できるので、第1〜第5の実施の形態と比較して、偽券の検知精度をさらに高めることができる。
ところで紙幣入出金機510では、例えば筐体から紙幣収納庫16が取り外されて金融機関の職員等により紙幣が装填された際に、この紙幣収納庫16から過去の出金取引において出金され取引記番号リストL2に記番号が記憶された紙幣が、その後の流通過程を経て偶然に当該紙幣収納庫16に再び装填されることが起こり得る。
この点において紙幣入出金機510は、記憶部511Mに記憶している取引記番号リストL2の管理として、紙幣収納庫16が筐体から取り外された際に、当該取引記番号リストL2を初期化して全ての取引記番号を消去する。これにより紙幣入出金機510は、このような紙幣を誤って偽券と判断することを未然に防止できる。
また紙幣入出金機510は、例えば利用者との出金取引において紙幣を出金し、当該利用者が引き続きこの紙幣を使って振込等の入金取引を行う場合が起こり得る。この場合、取引記番号リストL2には、出金取引において紙幣収納庫16から繰り出された取引紙幣の記番号が、取引記番号として格納されている。また紙幣入出金機510では、入金取引において入金された紙幣は、紙幣収納庫16に収納され、再利用されてその後の出金取引で出金される。そうすると紙幣入出金機510では、このように再び取引紙幣として出金される紙幣の記番号が、取引記番号リストL2に格納されている取引記番号と一致してしまうため、正常な紙幣であるにも拘わらず、偽券と判別されるおそれがある。
この点において紙幣入出金機510は、記憶部511Mに記憶している取引記番号リストL2の管理として、入金取引において入金された紙幣の記番号が取引記番号リストL2に格納している取引記番号と一致した場合には、この取引記番号を取引記番号リストL2から消去する。これにより紙幣入出金機510は、このように出金後に入金されて再度出金される紙幣についても、誤って偽券と判断することを未然に防止できる。
その他の点についても、第6の実施の形態による紙幣入出金機510は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第6の実施の形態による現金自動預払機501の紙幣入出金機510は、取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を、紙幣収納庫16からこれまでに繰り出した紙幣の記番号である取引記番号と比較することで、これらの紙幣の間で同一記番号の有無を確認する。これにより紙幣入出金機510は、現在の取引紙幣の中に、又は過去の取引紙幣との間で、新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、これが偽券であることを判別でき、この偽券を含む全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ収納することで、利用者への受渡を未然に防ぐことができる。
[7.第7の実施の形態]
第7の実施の形態による現金自動預払機601(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機610を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機610(図2及び図3)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11に代わる紙幣制御部611を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部611は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部611は、記憶部11Mに代わる記憶部611Mを有している。記憶部611Mは、記憶部11Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第1の実施の形態と一部異なる出金プログラム及び入金プログラムを記憶している。
因みに紙幣入出金機610は、出金取引において、第1の実施の形態と同様の出金プログラムに従って同様の出金処理を実行する。
[7−1.入金処理]
次に、紙幣入出金機610における紙幣の入金処理について説明する。現金自動預払機601において利用者との間で入金取引が行われる場合、紙幣入出金機610の紙幣制御部611は、記憶部611Mから入金プログラムを読み出して実行することにより、図12に示す入金処理手順RT7を開始してステップSP121へ移る。
ステップSP121において紙幣制御部611は、入出金部12のシャッタ12Bを開放して利用者に紙幣を収容器12A内へ投入させる。さらに紙幣制御部611は、主制御部9(図3)と連携しながら操作表示部6を介して紙幣の読取を開始する入力指示を受け付けると、シャッタ12Bを閉塞して次のステップSP122へ移る。因みにこの実施の形態では、このとき収容器12Aに投入された紙幣を取引紙幣と呼ぶ。
ステップSP122において紙幣制御部611は、入出金部12の収容器12Aに投入された取引紙幣を搬送部13により鑑別部14を経由して一時保留部15へ搬送させ、次のステップSP123へ移る。ステップSP123において紙幣制御部611は、鑑別部14により搬送中の紙幣を順次鑑別させてその鑑別結果を取得し、記番号を読み取った上で、次のステップSP124へ移る。
因みにこのとき紙幣制御部611は、このとき複数の紙幣が重なって搬送された(すなわち重送された)紙幣のように正常と判別できなかった紙幣を入金リジェクト紙幣として再び入出金部12へ搬送し、利用者へ返却させる。また紙幣制御部611は、偽券と判別された紙幣、すなわち紙幣制御部611が予め記憶している偽券記番号リストと記番号が一致した紙幣については、偽券収納庫19へ搬送させる。
ステップSP124において紙幣制御部611は、ステップSP5(図4)と同様、全ての取引紙幣の記番号を取引記番号として取引記番号リストL1(図5)に格納し、この取引記番号リストL1を記憶部611Mに記憶させて、次のステップSP125へ移る。
ステップSP125において紙幣制御部611は、ステップSP6(図4)と同様、照合部11Cにより、各取引記番号を取引記番号リストL1に格納している他の全ての取引記番号とそれぞれ照合し、次のステップSP126へ移る。これにより紙幣制御部611は、やはり第1の実施の形態と同様、入出金部12に収納している各取引紙幣の記番号を、他の全ての取引紙幣の記番号とそれぞれ比較することになる。
ステップSP126において紙幣制御部611は、ステップSP7(図4)と同様、取引記番号の中に他の取引記番号と同一の記番号があったか否か、すなわち取引紙幣の中に互いに同一の記番号が付されたものが含まれていたか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは、この同一の記番号が付された取引紙幣が偽券であるため、この取引紙幣を次回以降の出金取引において再利用すべきで無く、また犯罪の早期解決や抑止の観点からこの取引紙幣を利用者へ返却するべきでも無いことを意味している。このとき紙幣制御部11は、次のステップSP127へ移る。
ステップSP127において紙幣制御部611は、一時保留部15から全ての取引紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送させ、次のステップSP128へ移る。ステップSP128において紙幣制御部611は、図示しない通信処理部を介して所定の情報を送信することにより金融機関の職員や警備員等に取引紙幣を偽券と判別した旨を通知すると共に、主制御部9(図2)と連携して現金自動預払機601の運用、すなわち全ての取引処理を停止して次のステップSP130へ移る。
一方、ステップSP126において否定結果が得られると、このことは全ての取引紙幣の記番号が互いに相違しており、少なくとも記番号の観点からは偽券である可能性が無いことを表している。このとき紙幣制御部611は、次のステップSP129へ移る。
ステップSP129において紙幣制御部611は、一時保留部15に収納している紙幣を1枚ずつ鑑別部14へ搬送して再度鑑別させ、その鑑別結果を基に金種や損傷の程度を判別した上で、金種ごとの紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ搬送させ、次のステップSP130へ移る。
ステップSP130において紙幣制御部611は、ステップSP11(図4)と同様、取引記番号リストL1(図5)に格納した状態で記憶部611Mに記憶している取引記番号を全て消去することにより次回の入金取引に備え、次のステップSP131へ移って入金処理手順RT7を終了する。
[7−2.動作及び効果]
以上の構成において、第7の実施の形態による現金自動預払機601の紙幣入出金機610は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを取引記番号として取引記番号リストL1に格納して記憶部611Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機610は、紙幣制御部611により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機610は、入金取引においても、第1の実施の形態と同様、取引紙幣の中に同一の記番号が付されたものが複数含まれていた場合、このことを検知して、これらの取引紙幣が偽券であることを判別できる。
また紙幣入出金機610は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、金融機関の職員や警備員等へ通知すると共に、直ちに現金自動預払機601の運用を停止する。これにより紙幣入出金機610は、金融機関の職員や警備員から利用者に説明を求める等、偽券を利用した犯罪の解決や抑止に繋げることができる。
さらに紙幣入出金機610は、取引紙幣の中に同一記番号の紙幣が複数含まれていた場合、全ての紙幣を入出金部12へ搬送してシャッタ12Bを閉塞したままとする。これにより紙幣入出金機610は、偽券を含む取引紙幣を利用者に返却すること無く、犯罪の証拠として保全することができ、且つ金融機関の職員等の操作によりシャッタ12Bを開放させるだけで、取引紙幣を直ちに取り出させることができる。
また紙幣入出金機610は、第1の実施の形態と同様、1回の取引処理における全ての取引紙幣についてのみ互いの記番号を照合するため、照合対象となる記番号の数を比較的少なく抑え、その照合処理を比較的短い時間で完了することができる。
さらに紙幣入出金機610は、入金された紙幣の記番号が偽券記番号リストと一致した場合、当該紙幣を予め偽券と判別して偽券収納庫19に収納させて他の紙幣とは明確に区別し、これを取引紙幣とはしない。このため紙幣入出金機610は、第1の実施の形態と同様、偽券記番号リストに格納されている、既に偽券と判別している紙幣の記番号を取引記番号リストL1に重複して格納することが無く、紙幣制御部611により重複した照合処理を行わずに済む。
以上の構成によれば、第7の実施の形態による現金自動預払機601の紙幣入出金機610は、取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を他の取引記番号と比較することで、取引紙幣内において同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。これにより紙幣入出金機610は、取引紙幣の中に新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、その記番号と偽券記番号リストとの照合処理ではこれを偽券と判別できないものの、取引記番号同士の照合処理によりこれが偽券であることを判別でき、現金自動預払機601の運用を停止させることで、再利用されて他の利用者へ出金されることを未然に防止できる。
[8.第8の実施の形態]
第8の実施の形態による現金自動預払機701(図1)は、第7の実施の形態による現金自動預払機601と比較して、紙幣入出金機610に代わる紙幣入出金機710を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機710(図2及び図3)は、第7の実施の形態による紙幣入出金機610と比較して、紙幣制御部611に代わる紙幣制御部711を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
紙幣制御部711は、第7の実施の形態による紙幣制御部611と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部711は、記憶部611Mに代わる記憶部711Mを有している。記憶部711Mは、記憶部611Mと同様、各種プログラムや鑑別情報等の種々の情報を記憶するものの、第7の実施の形態と一部異なる出金プログラム及び入金プログラムを記憶している。
[8−1.取引記番号リスト]
この第8の実施の形態では、第6の実施の形態と同様、紙幣入出金機710(図2)に設けられた4個の紙幣収納庫16(16A〜16D)とそれぞれ対応して、4個の取引記番号リストL2(L2A〜L2D)が記憶部711Mに記憶されている。
取引記番号リストL2には、入金取引における取引記番号(すなわち取引紙幣の記番号)が格納される。また取引記番号リストL2には、現金自動預払機701と利用者との間で入金取引が行われる度に、すなわち紙幣入出金機710が入金処理を行う度に、取引記番号が消去されること無く追加されていく。換言すれば、取引記番号リストL2には、第6の実施の形態と同様に、現在及び過去の取引における取引記番号が格納されている。
また他の観点から見れば、取引記番号リストL2は、現在までに紙幣収納庫16に収納された紙幣の記番号が記録されていることになる。このため、仮にこれらの取引記番号と同一の記番号が付された紙幣が今後収納された場合、この記番号が付された紙幣は偽券である可能性が高い。
また紙幣入出金機710は、第6の実施の形態による紙幣入出金機510と同様、筐体における各紙幣収納庫16の装着箇所にそれぞれ所定のセンサ(図示せず)が設けられている。このセンサは、紙幣収納庫16が当該筐体から取り外されたことや当該筐体に装着されていること等を検知し、その検知結果を紙幣制御部711へ通知する。
紙幣制御部711は、このセンサからの通知を基に、筐体から紙幣収納庫16が取り外されたことを認識すると、この紙幣収納庫16と対応付けられている取引記番号リストL2を初期化し、格納されている取引記番号を全て消去する。すなわち紙幣制御部711は、紙幣収納庫16に一度収納された紙幣が金融機関の職員等により取り出され、流通過程を経て当該紙幣収納庫16に再度収納される可能性がある場合に、取引記番号リストL2を初期化することになる。
また紙幣制御部711は、出金取引において利用者から入金された全ての紙幣を鑑別部14により鑑別しており、各紙幣の記番号も認識している。このとき紙幣制御部711は、出金した紙幣の記番号を取引記番号リストL2に格納している取引記番号と照合し、一致した場合にはこの記番号を取引記番号リストL2から消去する。これにより取引記番号リストL2は、紙幣収納庫16に確実に収納されている紙幣の記番号のみが格納されることになる。
このように紙幣制御部711は、4個の紙幣収納庫16とそれぞれ対応する4個の取引記番号リストL2を記憶部711Mに記憶させ、入金取引が行われる度に取引記番号を追加する一方、筐体からの紙幣収納庫16の着脱及び出金取引が行われる際に、取引記番号リストL2の初期化や取引記番号の消去を行うようになっている。
[8−2.入金処理]
次に、紙幣入出金機710における紙幣の入金処理について説明する。現金自動預払機701において利用者との間で入金取引が行われる場合、紙幣入出金機710の紙幣制御部711は、記憶部711Mから入金プログラムを読み出して実行することにより、図13に示す入金処理手順RT8を開始してステップSP141へ移る。
紙幣制御部711は、ステップSP141〜SP143においてステップSP121〜SP123(図12)と同様の処理を行い、次のステップSP144へ移る。ステップSP144において紙幣制御部711は、全ての取引紙幣の記番号を取引記番号として取引記番号リストL2(図10)に追加して格納し、この取引記番号リストL2を記憶部711Mに記憶させて、次のステップSP145へ移る。
ステップSP145において紙幣制御部711は、照合部11Cにより、各取引記番号(すなわち各取引紙幣の記番号)を、取引記番号リストL2に格納された他の全ての取引記番号とそれぞれ照合し、次のステップSP146へ移る。これにより紙幣制御部711は、一時保留部15に収納している各取引紙幣の記番号を、これまで紙幣収納庫16に収納した全ての紙幣の記番号及び現在一時保留部15に収納している他の全ての取引紙幣の記番号とそれぞれ比較することになる。
その後紙幣制御部711は、ステップSP146〜SP149において、ステップSP126〜SP129(図12)とそれぞれ同様の処理を行い、次のステップSP151へ移って入金処理手順RT8を終了する。すなわち紙幣制御部711は、入金処理手順RT8においてステップSP130(図12)に相当する処理を行わないため、記憶部711Mの取引記番号リストL2に記憶している取引記番号を次回以降の入金取引における照合処理で利用できる。
[8−3.動作及び効果]
以上の構成において、第8の実施の形態による現金自動預払機701の紙幣入出金機710は、鑑別部14により全ての取引紙幣の記番号を読み取り、これらを新たな取引記番号として取引記番号リストL2(図10)に追加して記憶部711Mに記憶させる。さらに紙幣入出金機710は、紙幣制御部711により、各取引記番号を他の取引記番号とそれぞれ比較することで、これまでに紙幣収納庫16に収納された紙幣を対象として同一記番号が付された紙幣の有無を確認する。
これにより紙幣入出金機710は、現在の取引紙幣に加えて過去の取引紙幣も含めて、すなわち第7の実施の形態よりも広い範囲で、取引紙幣の記番号が他と一致するか否かを基に、この取引紙幣が偽券であるか否かを判別することができる。
すなわち紙幣入出金機710は、同一の記番号が付された紙幣(すなわち偽券)が複数の入金取引に分かれて投入される場合にも、記番号同士の照合結果を基に当該紙幣が偽券であることを検知できるので、第7の実施の形態と比較して、偽券の検知精度をさらに高めることができる。
また紙幣入出金機710は、第6の実施の形態と同様、記憶部711Mに記憶している取引記番号リストL2の管理として、紙幣収納庫16が筐体から取り外された際に、当該取引記番号リストL2を初期化して全ての取引記番号を消去する。これにより紙幣入出金機710は、過去の入金取引において入金された紙幣が流通過程を経て再び入金された場合に誤って偽券と判断することを未然に防止できる。
さらに紙幣入出金機710は、記憶部711Mに記憶している取引記番号リストL2の管理として、出金取引において出金された紙幣の記番号が取引記番号リストL2に格納している取引記番号と一致した場合には、この取引記番号を取引記番号リストL2から消去する。これにより紙幣入出金機710は、入金後に出金されて再度入金される紙幣についても、誤って偽券と判断することを未然に防止できる。
その他の点についても、第8の実施の形態による紙幣入出金機710は、第7の実施の形態による紙幣入出金機610と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第8の実施の形態による現金自動預払機701の紙幣入出金機710は、取引紙幣の記番号を読み取って得られた各取引記番号を、紙幣収納庫16にこれまで収納した紙幣の記番号である取引記番号と比較することで、これらの紙幣の間で同一記番号の有無を確認する。これにより紙幣入出金機710は、取引紙幣の中に、又は過去の取引紙幣との間で、新たに偽造され同一の記番号が付された偽券が複数含まれていた場合、これが偽券であることを判別でき、現金自動預払機701の運用を停止させることで、再利用されて他の利用者へ出金されることを未然に防止できる。
[9.他の実施の形態]
なお上述した第1〜第5及び第7の実施の形態においては、現在の出金取引又は入金取引における全ての取引紙幣を対象とし、第6の実施の形態においては、現在の取引紙幣及び紙幣収納庫16から過去に繰り出した取引紙幣を対象とし、第8の実施の形態においては、現在の取引紙幣及び紙幣収納庫16へ過去に収納した取引紙幣を対象として、記番号を照合する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば照合処理に要する時間等を考慮して、過去5回分の出金取引又は入金取引における全ての取引紙幣を対象とし、或いは直近の500枚の出金取引又は入金取引における取引紙幣を対象とする等、種々の範囲の取引紙幣を対象として記番号を照合しても良い。この場合、少なくとも現在の取引紙幣を全て含む範囲であることが望ましい。
また上述した第1の実施の形態においては、取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、異常対応処理として、全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ搬送する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、異常対応処理として、例えば偽券収納庫19や予め専用に割り当てた1個の紙幣収納庫16等、他の種々の収納庫に収納しても良い。要は、取引紙幣を正常な紙幣と明確に区別し得る状態で収納できれば良い。第2及び第3の実施の形態における同一記番号の紙幣(すなわち偽券)の収納箇所についても同様である。さらには、第7の実施の形態と同様に、全ての取引紙幣を入出金部12へ搬送して現金自動預払機1の運用を停止しても良い。第2〜第6の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、偽券記番号リストを用いた偽券の判別処理を行い、偽券を取引紙幣から除外した後で取引記番号リストL1に取引記番号を格納することにより、当該取引記番号リストL1に偽券記番号リストと重複した記番号を格納しない場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば取引記番号が偽券記番号リストに登録されていたとしても、当該取引記番号(すなわち偽券であることが判明している紙幣の記番号)を敢えて取引記番号リストL1に格納して照合処理を行うようにしても良い。この場合、偽券をより確実に判別することができる。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、紙幣を出金すること無く出金取引を終了し、利用者に出金取引の手続きを最初からやり直させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ搬送した後、再び出金額の紙幣を紙幣収納庫16から繰り出して同様の処理を繰り返すことで、最終的に出金額の紙幣を出金するようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第6の実施の形態においては、紙幣を繰り出した紙幣収納庫16(例えば16A)と対応付けられている取引記番号リストL2(例えばL2A)の取引記番号を対象として照合処理を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば当該取引紙幣と同一金種の紙幣が収納される他の紙幣収納庫16Bと対応付けられている取引記番号リストL2Bの取引記番号を対象に加えて、照合処理を行っても良い。第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第6の実施の形態においては、取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、異常対応処理として、第1の実施の形態と同様に全ての取引紙幣をリジェクト庫17に収納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、異常対応処理として、例えば第2の実施の形態と同様に、同一の記番号が付された取引紙幣のみを偽券収納庫19へ搬送すると共に他の取引紙幣を紙幣収納庫16へ戻しても良く、或いは第3の実施の形態と同様に、出金額に対する不足額分の紙幣を紙幣収納庫16から追加的に繰り出して最終的に出金額の取引紙幣を利用者に出金するようにしても良い。
さらに上述した第6の実施の形態においては、各紙幣収納庫16から繰り出した紙幣の記番号を取引記番号リストL2に格納し、また第8の実施の形態においては、各紙幣収納庫16に収納された紙幣の記番号を取引記番号リストL2に格納した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第6及び第8の実施の形態を組み合わせても良い。この場合、繰り出した紙幣の記番号を格納するための繰出取引記番号リストL2と、収納された紙幣の記番号を格納するための収納取引記番号リストL2とを互いに独立に用意すれば良い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、異常対応処理として、全ての取引紙幣を入出金部12へ搬送する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、異常対応処理として、例えば第1の実施の形態と同様、全ての取引紙幣をリジェクト庫17や偽券収納庫19等の種々の箇所へ搬送して収納させても良い。第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第7の実施の形態においては、取引紙幣に同一の記番号が付された紙幣が含まれていた場合、異常対応処理として、全ての取引紙幣を入出金部12へ搬送して現金自動預払機601の運用を停止する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、異常対応処理として、例えば第1の実施の形態と同様、全ての取引紙幣をリジェクト庫17へ搬送して運用を継続しても良く、或いは第2の実施の形態と同様に同一の記番号が付された紙幣(すなわち偽券)を偽券収納庫19へ収納させる一方、他の正常な紙幣を金種ごとの紙幣収納庫16へ搬送して収納させても良い。第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金取引において紙幣収納庫16から繰り出し入出金部12へ搬送した取引紙幣を対象として同一記番号の有無を確認する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入出金部12から利用者が紙幣を取り出さずに立ち去ってしまった場合、すなわち取忘紙幣が発生した場合に、この取忘紙幣を対象として同一記番号の有無を確認しても良い。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、現金自動預払機1において出金取引及び入金取引の双方を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば現金自動預払機1において入金取引を行わず、出金取引のみを行うようにしても良い。第2〜第6の実施の形態についても同様である。特に第6の実施の形態においては、入金取引を行わない場合、取引記番号リストL2から入金された紙幣の記番号を削除する必要が無い。
さらに上述した第7の実施の形態においては、現金自動預払機601において出金取引及び入金取引の双方を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば現金自動預払機601において出金取引を行わず、入金取引のみを行うようにしても良い。第8の実施の形態についても同様であり、出金取引を行わない場合、取引記番号リストL2から出金された紙幣の記番号を削除する必要が無い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、取引記番号リストL1に記番号と共に金種を表す情報を格納する場合について述べた(図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば記番号の体系が金種ごとに相違する場合や記番号の一部に金種を表す情報が含まれている場合等に、金種を表す情報を格納しないようにしても良い。第2〜第5及び第7の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10の紙幣制御部11により出金処理を実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部9単独又は当該主制御部9及び紙幣制御部11の協働により出金処理を実行しても良い。この場合、取引記番号リストL1については、紙幣制御部11の記憶部11Mに限らず、主制御部9の記憶部9Mに記憶させても良い。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金プログラムを紙幣制御部11の記憶部11Mに予め記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部9の記憶部9Mに記憶させておいても良く、また図示しないネットワークを介してサーバ等と接続されている場合に、当該サーバ等からダウンロードして取得しても良く、さらには図示しないインタフェースを介してUSB(Universal Serial Bus)メモリのような着脱型の記憶手段から読み出して取得しても良い。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者との間で媒体としての紙幣を取引する現金自動預払機1に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口に設置され紙幣の入金処理や出金処理を行う装置(いわゆるテラーマシン)、両替機や自動販売機、さらには各種金券や証券等であって一意の識別番号が付された媒体を利用者との間で授受する種々の装置に本発明を適用しても良い。第2〜第8の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、読取部としての鑑別部14及び紙幣制御部11と、比較部としての紙幣制御部11と、異常対応部としての搬送部13及びリジェクト庫17とによって媒体取引装置としての紙幣入出金機10を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる読取部と、比較部と、異常対応部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。