本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1から図7は、本実施形態に係る紙葉処理装置の構成を示す図であり、図1は、全体構成を示す斜視図、図2は、開閉部材を装置本体の本体フレームに対して開いた状態を示す斜視図、図3および図4は、挿入口から挿入される紙幣の搬送経路を概略的に示した右側面図、図5は、紙幣収容部に配設される押圧板を駆動するための動力伝達機構の概略構成を示す右側面図、図6は、紙幣搬送機構を駆動するための駆動源駆動力伝達機構の概略構成を示す左側面図、図7は、紙葉処理装置の分解斜視図である。
本実施形態の紙葉処理装置1は、例えば、スロットマシンなどの各種の遊技機に組み込み可能に構成されている。この紙葉処理装置1は、主に3つの構造体によって構成されている。すなわち、紙葉処理装置1は、装置本体2と、装置本体2が着脱可能に載置されるスタンド(枠体)2Dと、スタンド2Dに対して着脱可能に装着される紙幣収容部(収容スタッカ;金庫)100とを備えている。この紙幣収容部100は、装置本体2に対して着脱可能であっても良く、例えば、図示されていないロック機構が解除された状態で、前面に設けられた取っ手101を引くことにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。なお、紙葉処理装置1は、本発明の紙葉処理装置に相当する。
本発明における紙葉処理装置1は、紙幣の他に、紙幣と等価値を有する数値情報、クレジット量情報およびその識別情報をバーコードに含ませて紙または合成樹脂などのシートに印刷したものを含む、所謂、紙葉を処理する構成となっている。このようなバーコードを印刷した紙葉は、専用のプリンタによって、図19に示すように、紙幣と同サイズの紙に、一例として上述した情報および各々の紙葉を識別するための識別コードを含んだバーコードを印刷して形成されている。より詳しくは、バーコードに含まれる情報は、上記紙幣と等価値を有する数値情報、クレジット量情報およびその識別コードの他、発行日情報、発行場所情報などの各種情報を含んだバーコードとされても良い。紙葉処理装置1は、後述する紙幣読取器8によって、紙幣の真贋を識別するとともに、そのようなバーコードが印刷された紙葉の真贋を識別するようになっている。すなわち、紙葉処理装置1は、専用のバーコードが印刷された紙葉についても、紙幣と同様に取り扱い処理できるように構成されている。バーコードの真贋判定は、そのバーコードの中に含まれる発行場所データとの照合で行っても良いし、識別コードが発行されたコードであるかなどを元に判定するなど任意である。なお、紙幣読取器8は、本発明の読取部に相当する。
前記装置本体2は、図2に示すように、本体フレーム2Aと、本体フレーム2Aに対して一端部を回動中心として開閉されるように構成された開閉部材2Bとを有している。そして、これら本体フレーム2Aおよび開閉部材2Bは、図3に示すように、開閉部材2Bを本体フレーム2Aに対して閉じたとき、両者の対向部分に紙幣が搬送される隙間(紙幣搬送路3)が形成されるとともに、両者の前面側に、前記紙幣搬送路3を形成する間隙と連通するようにして、紙幣挿入口5が形成されるよう構成されている。なお、前記紙幣挿入口5は、紙幣の短い辺側から装置本体2の内部に挿入できるようにスリット状の開口となっている。
また、前記装置本体2内には、前記紙幣搬送路3に沿って、紙幣を搬送する紙幣搬送機構6(図6参照)と、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知する挿入検知センサ7と、挿入検知センサ7の下流側に設置され、搬送状態にある紙幣の情報を読取る紙幣読取器(第1センサ)8と、この紙幣読取器8に対して、紙幣を正確に位置決めして搬送するスキュー補正機構10と、紙幣が当該スキュー補正機構10を構成する一対の可動片を通過したことを検知する可動片通過検知センサ12と、搬送される紙葉のバーコードが前記紙幣読取器8で読み取れなかったとき、すなわち印刷面が上面側となるように挿入された紙葉のバーコードの読取りを可能にするバーコードセンサ(第2センサ)88と、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知する排出検知センサ18とが設けられている。
以下、上記した各構成部材について、詳細に説明する。前記紙幣搬送路3は、第1搬送路4Aと第1搬送路4Bを備えている。第1搬送路4Aは、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出している。第1搬送路4Bは、前記第1搬送路4Aから下流側に向けて延出し、この第1搬送路4Aに対して所定角度、下方側に向けて傾斜している。この第1搬送路4Bの下流側は、鉛直方向に向けて屈曲している。さらに、この屈曲した下流側端部には、紙幣収容部100に紙幣を排出する排出口3Aが形成されている。この排出口3Aから排出される紙幣は、鉛直方向に向けて、紙幣収容部100の導入口(受入口)103に送り込まれる。
前記紙幣搬送機構6は、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を挿入方向に沿って搬送可能にするとともに、挿入状態にある紙幣を紙幣挿入口5に向けて差し戻し搬送可能とする機構である。この紙幣搬送機構6は、装置本体2内に設置された駆動源であるモータ13(図6参照)と、このモータ13によって回転駆動され、紙幣搬送路3に紙幣搬送方向に沿って所定間隔おいて配設される複数組の搬送ローラ対(14A,14B)、(15A,15B)、(16A,16B)、および(17A,17B)を備えている。
前記搬送ローラ対は、紙幣搬送路3に一部が露出するように設置されている。これら搬送ローラ対は、いずれも紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16Bおよび17Bがモータ13によって駆動されるローラとなっており、上側に設置される搬送ローラ14A,15A,16Aおよび17Aが、これらのローラに対して従動するピンチローラとなっている。なお、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を最初に挟持して奥側に搬送する搬送ローラ対(14A,14B)は、図2に示すように、紙幣搬送路3の中心位置の1箇所に設置されており、その下流側に順次配置される搬送ローラ対(15A,15B)、(16A,16B)、および(17A,17B)については、紙幣搬送路3の幅方向に沿って、所定間隔をおいて2箇所に設置されている。
また、上記した紙幣挿入口5の近傍に配置される搬送ローラ対(14A,14B)については、通常は、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bから離間した状態となっている。したがって、紙幣挿入口5からの紙幣の挿入が挿入検知センサ7によって検知されると、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて下降され、挿入された紙幣を挟持するようになっている。
すなわち、上側の搬送ローラ14Aについては、駆動源であるローラ昇降用モータ70(図8参照)によって、下側の搬送ローラ14Bに対して、当接/離間するように駆動制御される。この場合、スキュー補正機構10によって、挿入された紙幣の傾きを補正する。また、紙幣読取器8に対して位置合わせする処理(スキュー補正処理)が行われる際には、上側の搬送ローラ14Aは、下側の搬送ローラ14Bから離間して紙幣に対する負荷を解除する。スキュー補正処理が終了すると、再び、上側の搬送ローラ14Aが下側の搬送ローラ14Bに向けて駆動され、紙幣を挟持する。なお、駆動源については、モータ以外にもソレノイドなどによって構成されていても良い。
また、前記スキュー補正機構10は、スキューの補正を果たす左右一対の可動片10A(片側のみ図示)を備えている。スキュー補正機構用のモータ40を駆動することにより、スキュー補正機構10は、左右一対の可動片10Aを接近するように移動させる。したがって、この構成により、紙幣に対するスキューの補正処理が成される。
上記した紙幣搬送路3の下側に設置される搬送ローラ14B,15B,16Bおよび17Bは、図6に示すように、モータ13、および各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16Cおよび17Cを介して回転駆動される。すなわち、モータ13の出力軸には駆動プーリ13Aが設置されている。上記した各搬送ローラの駆動軸の端部に設置されるプーリ14C,15C,16Cおよび17Cには、駆動プーリ13Aとの間で駆動ベルト13Bが巻回されている。なお、駆動ベルト13Bには、適所にテンションプーリが係合しているので、このテンションプーリによって駆動ベルト13Bの弛みが防止しされている。
上記した構成により、モータ13が正転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16Bおよび17Bは同期して正転駆動される。したがって、紙幣が挿入方向に向けて搬送される。また、モータ13が逆転駆動されると、前記搬送ローラ14B,15B,16Bおよび17Bは同期して逆転駆動される。したがって、紙幣が紙幣挿入口5側に向けて搬送される。
前記挿入検知センサ7は、紙幣挿入口5に挿入された紙幣を検知した際に検知信号を発生するものであり。挿入検知センサ7から検知信号が発せられると、モータ13が正転駆動され、紙幣を挿入方向に向けて搬送する。本実施形態の挿入検知センサ7は、搬送ローラ対(14A,14B)と、スキュー補正機構10との間に設置されておいる。なお、挿入検知センサ7は、光学式のセンサ、例えば、回帰反射型フォトセンサによって構成されているが、それ以外の非接触式センサまたは機械式のセンサによって構成されていても良い。
また、前記可動片通過検知センサ12は、紙幣の先端が、スキュー補正機構10を構成する左右一対の可動片10Aを通過したことを検知した際に検知信号を発生するものである。可動片通過検知センサから検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、スキュー補正処理が成される。本実施形態の可動片通過検知センサ12は、前記紙幣読取器8の上流側に設置されている。なお可動片通過検知センサ12は、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサ、その他の非接触式センサおよび機械式のセンサによって構成される。
また、前記排出検知センサ18は、通過する紙幣の後端を検知して、紙幣が紙幣収容部100に排出されたことを検知するものである。この排出検知センサ18は、第1搬送路4Bの下流側において、紙幣収容部100の受入口103の直前に配設されている。排出検知センサ18から検知信号が発せられると、モータ13の駆動が停止され、紙幣の搬送処理が終了する。この排出検知センサ18についても、前記挿入検知センサと同様、光学式のセンサ、その他の非接触式センサおよび機械式のセンサによって構成される。
前記紙幣読取器(第1センサ)8は、スキュー補正機構10によってスキューが補正された状態で搬送される紙葉について、その紙葉の情報(画像データ)を読取り、その有効性(真贋)を識別する。本実施形態では、紙幣読取器8は、搬送される紙葉の両面側から光を照射し、その透過光と反射光を受光素子で検知することにより読取を行うラインセンサを備えた構成になっている。投入された紙葉が、バーコードの印刷された紙葉であり、当該バーコードが紙葉の下面側に印刷されている場合には、反射光を利用してラインセンで読み取り、または、バーコードが紙葉の上面に印刷されている場合には、バーコードセンサを利用して当該バーコードを読み取る。紙幣の場合は、ラインセンサを利用して画像を読み取る。また、紙幣読取器8は、前記第1搬送路4Aに設置されている。なお、読取った画像データは、RAM224に記憶される。
本実施形態に係る紙幣の真贋識別処理は、その識別精度を高めるために、搬送される紙幣の表面の印刷領域に、発光部から所定波長の光を照射し、当該紙幣を透過した光の透過光データ、並びに反射した光の反射光データを取得する。これら取得された透過光データおよび反射光データは、予め記憶されている真正紙幣の基準データと比較することで成される。
この場合、真正の紙幣には、照射する光の波長(例えば、可視光や赤外光)によって、取得される画像データが異なる領域があることから、本実施形態では、この点に着目し、複数の光源によって異なる波長(本実施形態では、赤色光および赤外光を照射する)の光を紙幣に照射し、その透過光と反射光を検出することで、真贋の識別精度をより高めるようにしている。すなわち、赤色光と赤外光では、波長が異なることから、波長の異なる複数の光による透過光データや反射光データを紙幣の真贋判定に用いると、真券と偽札との特定領域を通過する透過光や特定領域から反射する反射光では、透過率、反射率がそれぞれ異なるという性質がある。このため、複数の波長の光源を用いることで、紙幣の真贋の識別精度をより高めるようにしている。
なお、具体的な紙幣の真贋識別方法については、紙幣に照射する光の波長や照射領域により、様々な受光データ(透過光データ、反射光データ)を取得できるため、詳細に説明しないが、例えば、紙幣の透かし領域では、異なる波長の光でその領域の画像を見た場合、画像が大きく異なって見えることから、この部分を特定領域とし、当該特定領域における透過光データや反射光データを取得して、予め記憶部(ROM)に記憶してある真券の同じ特定領域における正規データと比較して、識別対象となる紙幣が真券であるか偽札であるかを識別することが考えられる。このとき、金種に応じて特定領域を定めておき、この特定領域における透過光データや反射光データに所定の重み付けを設定して、真贋識別精度のさらなる向上を図ることも可能である。
そして、前記紙幣読取器8は、後述するように、発光部を所定の間隔で点灯制御し、紙幣が通過する際の透過光および反射光をラインセンサによって検知するものであることから、ラインセンサによって、所定の大きさを1単位とした画素に基づいた画像データを取得することが可能となる。この場合、ラインセンサによって取得される画像データは、後述する変換部によって、画素毎に、明るさを有する色情報を含んだデータに変換される。なお、変換部において変換される明るさを有する画素毎の色情報とは、濃淡値すなわち濃度値(輝度値)に対応するものであって、1バイト情報として、その濃度値に応じて、0から255の数値(0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられている。このため、紙幣の所定の領域を抽出し、その領域に含まれる画素情報(濃度値)と、真券の同じ領域の画素情報とを用い、これらを適宜の相関式に代入して演算した相関係数により、真贋を識別することができる。
或いは、上記した以外にも、透過光データや反射光データから、例えばアナログ波形を生成し、この波形の形状同士の比較で、真贋を識別することも可能である。
上述したように、本発明における紙葉処理装置1は、紙幣以外にも、バーコードを印刷した紙葉を処理するよう構成されている。この場合、真贋を識別するに際して、紙幣読取器8における読取りの特性は、紙幣の場合とバーコードを印刷した紙葉の場合とでは異なっている。
例えば、取得される画像の解像度に関しては、紙幣の読取りに要求される解像度と、印刷されたバーコードの読取りに要求される解像度を考慮すると、バーコードは、その線幅が狭いことから、紙幣と比較すると、高い解像度が要求される。換言すれば、紙幣の読取りに適した解像度では、バーコードの細い線幅を明確に識別することはできず、また、バーコードの識別に適した解像度では、紙幣の読取りに際しては、負荷が大きくなって処理速度が低下してしまう。
ところで、受光素子によって得られる画像の解像度については、識別対象物に照射される光の点灯間隔を短くすることで向上することが可能である。このため、本実施形態においては、紙幣を読取る場合と、バーコードを印刷した紙葉を読取る場合とで、発光部からの点灯間隔を変化させることで、それぞれの解像度を変えるようにしている。
また、バーコードを印刷した紙葉は、そのバーコードに赤外光を照射すると吸収して反射しない反面、赤色光に関しては反射するという特徴がある。本実施形態では、上述したように、紙幣の真贋の識別精度を向上するために、異なる波長の光を照射する複数の光源を設置していることに着目し、その複数の光源の中から、バーコードの識別に適した光源を選択し、必要のない光源については、消灯するように制御している。
ここで、紙幣読取器8の構成について、図2および図3を参照して詳細に説明する。
上記した紙幣読取器8は、開閉部材2B側に配設され、搬送される紙幣の上側に赤外光および赤色光を照射可能とした第1発光部80Aを具備した発光ユニット80と、本体フレーム2A側に配設された受発光ユニット81とを有している。
この受発光ユニット81は、紙幣(紙葉)を挟むようにして第1発光部80Aと対向する受光センサを具備した受光部81Aと、受光部81Aの紙幣搬送方向両側に隣接して配設され、赤外光および赤色光を照射可能とした第2発光部81Bとを有している。
前記受光部81Aと対向配置された第1発光部80Aは透過用の光源として機能する。この第1発光部80Aは、図2に示すように、一端に取り付けたLED素子80Bからの光を、内部に設けた導光体80Cを通して発光する合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。このような構成の第1発光部は、受光部81A(受光センサ)と平行にライン状に配設されており、簡単な構成で、搬送される紙幣の搬送路幅方向全体の範囲に対して全体的に均一に照射することが可能となる。
前記受発光ユニット81の受光部81Aは、紙幣搬送路3に対して交差方向に伸延し、かつ、受光部81Aに設けた図示しない受光センサの感度に影響を与えない程度の幅を有する帯状に形成された薄肉の板状に形成されている。なお、前記受光センサは、受光部81Aの厚み方向の中央に、複数のCCD(Charge Coupled Device)をライン状に設けるとともに、このCCDの上方位置に、透過光および反射光を集光させるように、ライン状にグリンレンズアレイ81Cを配置した所謂ラインセンサとして構成されている。このため、真贋判定対象となる紙幣に向けて照射された第1発光部80Aや第2発光部81Bからの赤外光や赤色光の透過光あるいは反射光を受光し、受光データとして、その輝度に応じた濃淡データ(明るさの情報を含んだ画素データ)や、この濃淡データから二次元画像を生成することが可能となっている。
また、受発光ユニット81の第2発光部81Bは反射用の光源として機能する。この第2発光部81Bは、第1発光部80Aと同様、一端に取り付けたLED素子81Dからの光を、内部に設けた導光体81Eを通して全体的に均一に照射可能とした合成樹脂製の矩形棒状体によって構成されている。この第2発光部81Bについても、受光部81A(ラインセンサ)と平行にライン状に配設して構成されている。
前記第2発光部81Bは、例えば45度の仰角で光を紙幣に向けて照射可能としており、紙幣からの反射光を受光部81Aで受光するように配設されている。この場合、第2発光部81Bから照射された光が受光部81Aへ45度で入射するようにしているが、入射角は45度に限定されるものではなく、紙幣の表面に対して濃淡なく均一に光が照射できれば、その設置状態については適宜設定することができる。このため、第2発光部81B、受光部81Aの配置については、紙葉処理装置の構造に応じて、適宜設計変更が可能である。また、前記第2発光部81Bについては、受光部81Aを挟んで両サイドに設置して、両側からそれぞれ入射角45度で光を照射するようにしている。これは、紙幣表面に傷や折皺などがある場合、これら傷や折皺部分に生じた凹凸に光が片側からのみ照射された場合、どうしても凹凸の部分においては光が遮られて陰になってしまう箇所が生じることがある。このため、両側から光を照射することにより、凹凸の部分において陰ができることを防止して、片側からの照射よりも精度の高い画像データを得ることを可能としている。もちろん、第2発光部81Bについては、片方のみに設置した構成であっても良い。
なお、上記した発光ユニット80、受発光ユニット81の構成や配置などは、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変形することが可能である。
また、前記バーコードセンサ(第2センサ)88は、第1搬送路4Aに対して屈曲形成されたる第1搬送路4B、詳細には、搬送ローラ対(16A,16B)と搬送ローラ対(17A,17B)との間に設置されており、光学式の反射型フォトセンサによって構成されている。このバーコードセンサ88は、図2および図3に示すように、第1搬送路4Bの上方側に設置されており、搬送される紙幣や紙葉に対して上面側から光を照射するように構成されている。
このバーコードセンサ(第2センサ)88は、上述したように、搬送される紙葉のバーコードが紙幣読取器(第1センサ)8で読めなかったとき(印刷面が上面側となるように挿入された紙葉)、そのバーコードの読取りを行う機能を有する。また、このバーコードセンサ88については、バーコードの読取り以外の機能を備えていても良い。例えば、後述するように、エスクロ位置に待機している紙幣や、バーコードが印刷された紙葉の移動を監視するような機能を別途、持たせても良い。
上記した紙幣などを収容する紙幣収容部100は、上記した紙幣読取器8で真正と識別された紙幣(バーコードが印刷された紙葉を含む)を順次、積層して収容する。
図3から図6に示すように、紙幣収容部100を構成する本体フレーム100Aは、略直方体形状に構成されている。この紙幣収容部100の前壁102Aの内側には、付勢部(付勢バネ)106の一端が取り付けられ、その他端には、上記した受入口103を介して送り込まれる紙幣を順次、積層する載置プレート105が設けられている。このため、載置プレート105は、前記付勢部106を介して、後述する押圧板115側に向けて付勢された状態になっている。
本体フレーム100A内には、受入口103に連続するように、落下する紙幣をそのまま待機および保持させる押圧待機部108が設けられている。押圧待機部108の載置プレート側の両サイドには、鉛直方向に延出して一対の規制部材110が配置されている。この一対の規制部材110の間には、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されるに際して、押圧板115が通過するように、開口部が形成されている。
また、本体フレーム100A内の両サイド壁には、載置プレート105が付勢部106によって押圧された際、載置プレートが当て付くように、突出壁が形成されている。この突出壁は、載置プレート105上に紙幣が順次、積層されて、前記付勢部106によって載置プレートが付勢された際、最上の紙幣の両サイドを当て付け、積層される紙幣を安定して保持する役目を果たす。
さらに、本体フレーム100A内には、受入口103から押圧待機部108に落下した紙幣を載置プレート105に向けて押圧する押圧板115が配設されている。この押圧板115は、前記一対の規制部材110の間に形成された開口部を往復移動できる程度の大きさに構成されており、この開口部内に入り込んで、紙幣を載置プレート105に押し付ける位置(押圧位置)と、前記押圧待機部108を開放する位置(初期位置)との間で往復駆動される。この場合、押圧板115の押し込み動作によって、紙幣は撓みながら開口部を通過して、載置プレート105上に載置される。
前記押圧板115は、本体フレーム100A内に配設される押圧板駆動機構120を介して、上記したように往復駆動される。押圧板駆動機構120は、押圧板115を図3および図5の矢印A方向に往復移動可能となるように、両端が押圧板115に軸支された一対のリンク部材115A,115Bを備えている。これらのリンク部材115A,115BはX字状に連結されており、それぞれの反対側の端部は、垂直方向(矢印B方向)に移動可能に設置された可動部材122に軸支されている。この可動部材122には、ラックが形成されており、このラックには、押圧板駆動機構120を構成するピニオンが噛合している。
このピニオンには、図5に示すように、押圧板駆動機構120を構成する収容部側ギヤトレイン124が連結されている。この場合、本実施形態においては、図5に示すように、上述した装置本体2内に、駆動源(モータ20)と、このモータ20に順次噛合する本体側ギヤトレイン21が配設されており、紙幣収容部100を装置本体2に装着すると、本体側ギヤトレイン21が収容部側ギヤトレイン124に連結するようになっている。すなわち、収容部側ギヤトレイン124は、ピニオンと同軸上に配設されるギヤ124B、およびこれに順次噛合するギヤ124C,124Dを備えており、紙幣収容部100を装置本体フレーム2Aに対して着脱する際、ギヤ124Dが、本体側ギヤトレイン21の最終ギヤ21Aと噛合、離間するよう構成されている。
この結果、上記した押圧板115は、装置本体2に設けられたモータ20が回転駆動されることにより、本体側ギヤトレイン21、および押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、およびリンク部材115A,115Bなど)を介して、矢印A方向に往復駆動される。
また、本体フレーム100Aには、前記受入口103から搬入される紙幣に対して接触可能な搬送部材150が設置されている。この搬送部材150は、搬入される紙幣に接触して、安定して紙幣を押圧待機部108の適正位置(押圧板115で紙幣を押圧した際、紙幣が左右に片寄ることなく、安定して押圧できる位置)に案内する役目を果たす。本実施形態では、この搬送部材は、押圧待機部108に臨むように設置されたベルト状の部材(以下、ベルト150とする)によって構成されている。
この場合、ベルト150は、紙幣に対して搬入方向に沿って延在するように設置されており、搬入方向の両端部に回転可能に支持された一対のプーリ150A,150Bに巻回されている。また、ベルト150は、受入口103の領域に回転可能に支持された軸方向に延出する搬送ローラ150Cと当接しており、受入口103に搬入された紙幣を挟持して、紙幣をそのまま押圧待機部108に案内するようにしている。さらに、本実施形態では、前記ベルト150は、紙幣の両サイドの表面に接触可能となるように、上記した押圧板115を挟むようにして左右一対設けられている。なお、ベルト150は、両端におけるプーリ150A,150Bの巻回以外に、中間位置でテンションプーリを当て付け、弛みを防止するようにしても良い。
前記一対のベルト150は、装置本体2内に設置される上述した複数の搬送ローラを駆動するモータ13によって駆動されるようになっている。具体的には、図6に示すように、モータ13によって駆動される上述した駆動ベルト13Bは、駆動力伝達用のプーリ13Dに巻回されており、このプーリ13Dに順次設置される動力伝達用のギヤトレイン13Eには、受入口103側に回転可能に支持されているプーリ150Aの支軸の端部に設置されたギヤトレイン153が噛合するようになっている。すなわち、紙幣収容部100が装置本体2に装着された際、ギヤトレイン13Eの最終ギヤには、ギヤトレイン153の入力ギヤが噛合するようになっており、一対のベルト150は、モータ13の回転駆動により、上述した紙幣搬送用の搬送ローラ14B,15B,16B,17Bと一体的に回転駆動されるようになっている。
上述したように、紙幣が紙幣挿入口5を介して内部に挿入されると、紙幣は、上記した紙幣搬送機構6によって、紙幣搬送路3内で移動して行く。紙幣搬送路3は、図3に示すように、紙幣挿入口5から奥側に向けて延出した第1搬送路4Aと、前記第1搬送路4Aから下流側に向けて延出し、第1搬送路4Aに対して所定角度傾斜した第1搬送路4Bとを備えており、この第1搬送路4Bには、不正行為などにより、紙幣挿入口5側に向けて紙幣の搬送を阻止するシャッタ部材170が設置されている。
図7に示すように、装置本体2の裏面側には、磁気センサ140、および紙幣情報の書き込みがされるように、紙幣収容部100の上壁102Bに設けられた記憶部104に対して情報の書き込みや読み取りを行うリーダライタ142などが実装された回路基板141を設置したプレート2Fが一体的に取着される。このプレート2Fは、装置本体を構成する本体フレーム2Aとスタンド2Dの表面との間に介在され、両者の間で固定される。
本体フレーム100Aの上壁102Bには、上述したように、記憶部104が取着されている。この記憶部104は、非接触型で装置本体2側から送信される紙幣に関する金額情報およびシリアル番号などを記憶する機能を備えている。また、この記憶部104には、紙幣収容部100を管理するための識別番号が、予め記憶されている。本実施形態では、記憶部104は、RFID(Radio Frequency Identification)タグによって構成されている。
この記憶部104は、絶縁性の材料からなる基板104A上に実装されるICチップ104Bと、同基板104A上にプリントされ、ICチップ104Bに両端が接続されるコイルアンテナ104Cとを備えている。この場合、IDタグによって構成される記憶部104は、電池を持たないパッシブ型によって構成されているが、もちろん、電池を具備したアクティブ型によって構成されていても良い。
記憶部104に対して情報(真正と識別した紙幣情報、紙幣のシリアル番号、および紙幣収容部の識別番号)を書き込むリーダライタは、装置本体2の裏面側に取着されるプレート2Fに設けられた回路基板141上に設けられており、記憶部104に対して所定の間隔をおいて、無線により、紙幣情報(シリアル番号を含む)などを送信する。すなわち、回路基板141上に設けられるリーダライタ142は、詳細に図示しないが、ICチップやLCRなどの受動部品から構成される通信制御部と、通信制御部に接続され、紙幣情報などを記憶部104のコイルアンテナ104cに送信するアンテナと、通信に用いる電磁波の周波数や入出力のインピーダンスを考慮して整合を行うマッチング回路とを備えており、これらは、回路基板141上に実装されている。
次に、上述した紙幣搬送機構6、紙幣読取器8などの駆動部材の駆動を制御する制御部200について、図8に示すブロック図を参照して説明する。
本実施形態に係る紙幣の真贋判定手法は、まず、紙幣、或いは、バーコードを印刷した紙葉(以下、紙葉或いは識別対象物とする)が紙幣搬送機構6によって搬送された状態で、前記受発光ユニット81における第2発光部81Bから識別対象物に光(赤色光)を照射し、その反射光を受光部(ラインセンサ)81Aで受光して紙葉の読取りを実行する。この読取りは、紙葉の搬送処理が行われている間、所定の大きさを1単位とする画素毎に実行され、このようにして読取られた多数の画素(複数の画素)によって構成される画像データは、RAMなどの記憶部に記憶される。なお、ここで記憶される複数の画素によって構成される画像データは、後述するように、変換部によって、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んでおり、1バイト情報として、その濃度値に応じて0から255の数値(0:黒〜255:白)が各画素に割り当てられる。
このように、ラインセンサで得られた画像を、変換部によって明るさを有する色情報(濃度値)を含む画素情報に変換することにより、紙幣、およびバーコードを印刷した紙葉の真贋判定において、共通利用できる受光部および発光部により、識別対象物を判別できるようになり、安価に紙幣、およびバーコードを印刷した紙葉の真贋判定が行えるようになる。
図8のブロック図に示す制御部200は、上記した各駆動装置の動作を制御する制御基板210を備えている。この制御基板210上には、各駆動装置の駆動を制御するとともに、紙幣識別部を構成するCPU(Central Processing Unit)220と、ROM(Read Only Memory)222と、RAM(Random Access Memory)224と、真贋判定部230と、画像データ比較部250が実装されている。
前記ROM222には、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用モータ70など、各種駆動装置の作動プログラムや、真贋判定部230における真贋判定プログラムなどの各種プログラムなど、恒久的なデータが記憶されている。
前記CPU220は、ROM222に記憶されている前記プログラムに従って作動して、I/Oポート240を介して上述した各種駆動装置との信号の入出力を行い、紙葉処理装置の全体的な動作制御を行う。すなわち、CPU220には、I/Oポート240を介して、紙幣搬送機構用のモータ13、押圧板駆動用のモータ20、スキュー補正機構用のモータ40、ローラ昇降用モータ70が接続されており、これらの駆動装置は、ROM222に格納された作動プログラムに従って、CPU220からの制御信号により動作が制御される。また、CPU220には、I/Oポート240を介して、挿入検知センサ7、可動片通過検知センサ12、排出検知センサ18、およびバーコードセンサ88からの検知信号が入力されるようになっている。CPU220は、これら検知信号に基づいて、上記した各種駆動装置の駆動制御が行われる。なお、バーコードセンサ88は、バーコードを印刷した紙葉が上向きの状態で搬送されたとき、そのバーコードの真贋を識別する機能も備えている。
さらに、CPU220には、I/Oポート240を介して、上述した紙幣読取器8における受光部81Aから、識別対象物に照射された光の透過光や反射光に基づく検知信号が入力されるようになっている。
前記RAM224には、CPU220が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶されるとともに、識別対象物である紙幣やバーコードが印刷された紙葉の受光データ(複数の画素によって構成される画像データ)を取得して一時的に記憶する機能を備えている。
前記真贋判定部230は、前記RAM224に格納された識別対象物の受光データに関し、画素毎に、明るさを有する色情報(濃度値)を含んだ画素情報に変換する変換部231と、前記変換部231で変換された画素情報を元にして、搬送された識別対象物が紙幣なのか、バーコードを印刷した紙葉なのかを判別する判別部232と、紙幣や紙葉に関する基準のデータを格納した基準データ記憶部233と、変換部231において濃度値を含む画素データと基準データ記憶部233に格納されている基準データとを比較し、真贋判定の処理を行う判定処理部235と、を備えている。
この場合、本実施形態では、基準データを専用の基準データ記憶部233に記憶させているが、これを上記したROM222に記憶させておいても良い。また、比較対象とされる基準データについては、基準データ記憶部233に予め記憶させても良いが、例えば、真券を、紙幣搬送機構6を通して搬送させながら受光データを取得し、これを基準データとして記憶させても良い。
画像データ比較部250は、真贋判定により「偽」、すなわち、予め真正な紙葉またはクレジットの情報が含まれるバーコードの真偽を判定するデータを用意(記憶部に格納)しておき、このデータとの対比で偽と判定された画像データと、当該判定時点の直前に投入(最後に投入)された紙葉の画像データを比較する比較部251と、判定時の画像データと直前の画像データの比較によって同一であると判定された場合、一致回数を計数する計数器252と、を備えている。計数器252は、カウンタメモリであってもよいし、個別の計数器によって計数した値をRAM224の所定領域に記憶させるようにしてもよい。なお、画像データ比較部250によって比較する画像データは、判定時点の直前の画像データに限定されず、投入した画像データを逐次に記憶し、これら記憶した複数個の画像データと比較してもよい。これによって、真正な紙葉と偽の紙葉とを混在させて投入するようなケースを判定することが可能となる。
さらに、CPU220には、I/Oポート240を介して、上述した紙幣読取器8における第1発光部80Aと、第2発光部81Bが接続されている。これら第1発光部80Aおよび第2発光部81Bは、上記したROM222に格納された動作プログラムに従い、CPU220からの制御信号によって、発光制御回路260を介して、点灯間隔、および消灯が制御される。すなわち、第1発光部80Aおよび第2発光部81Bは、CPU220、ROM222、および発光制御回路260によって構成される発光制御部によって、その点灯状態、並びに消灯が制御される。
具体的には、搬送される識別対象物に対して、第1発光部80A、および第2発光部81Bから所定の点灯間隔(第1の点灯間隔)で光を照射し、それが判別部232において紙幣と判別された場合、そのまま第1発光部80A、および第2発光部81Bからの点灯処理を続行する。また、判別部232において、バーコードを印刷した紙葉と判別された場合、第1発光部80A、および第2発光部81Bにおける赤外光を消灯するとともに、第2発光部81Bにおける赤色光の点灯間隔が短くなるように(第2の点灯間隔)発光制御して照射を続ける。
なお、上述したように、バーコードを読取るに際しては、その線幅の最小幅(0.508mm程度)を識別する必要があり、紙幣を読取る場合と比較して、解像度を向上する(赤色光の点灯間隔を短くする)必要がある。本実施形態では、紙幣を読取るに際して必要とされる解像度(例えば、50dpiとされる)に対して、点灯間隔を1/4(200dpi)にして解像度を高め、バーコードを読取るようにしている。
また、前記バーコードセンサ88については、挿入される紙葉に対し、常時、読取り処理を実行する。
(第1実施形態の紙葉処理)
次に、上述した制御部200によって実行される紙葉処理装置1における紙幣の処理動作について、図9〜図15に示すフローチャートに沿って説明する。
操作者(投入者)が紙幣、或いはバーコードを印刷した紙葉(以下、これらを紙葉と称する)を紙幣挿入口5に挿入する際、紙幣挿入口5の近傍に設置される搬送ローラ対(14A,14B)は、初期状態において離間した状態にある(後述するST18,ST56参照)。また、押圧板115は、押圧板115を駆動する一対のリンク部材115A,115Bが押圧待機部108に位置しており、紙葉が一対のリンク部材115A,115Bによって受入口103から押圧待機部108に搬入できない待機位置に設定されている。すなわち、この状態では、一対の規制部材110の間に形成された開口部に押圧板115が入り込んでいるため、開口部を介して紙幣収容部内に収容されている紙葉を抜き取ることができない状態となっている。
さらに、搬送ローラ対(14A,14B)の下流側に位置するスキュー補正機構10を構成する一対の可動片10Aは、初期状態において、あらゆる紙葉の引き抜きができないように最小幅(例えば一対の可動片10Aの間隔が52mm;後述するST17,ST57参照)に移動した状態にある。
上記した搬送ローラ対(14A,14B)の初期状態では、皺のある紙葉であっても、操作者は容易に挿入することができる。そして、挿入検知センサ7によって紙葉の挿入が検知されると(ST01)、上述した押圧板115の駆動用のモータ20を所定量逆転駆動し(ST02)、押圧板115を初期位置に移動させる。すなわち、挿入検知センサ7によって紙葉の挿入が検知されるまでは、前記押圧板115は、一対の規制部材110の間に形成された開口部に移動された状態となっており、開口部を介して紙葉が通過できないように設定されている。
押圧板115が待機位置から初期位置に移動されると、押圧待機部108は開放状態となり(図5参照)、紙葉は、紙幣収容部100内に搬入可能な状態となる。すなわち、モータ20を所定量逆転駆動することで、押圧板115は、本体側ギヤトレイン21、および押圧板駆動機構120(収容部側ギヤトレイン124、可動部材122に形成されるラック、およびリンク部材115A,115B)を介して、前記待機位置から初期位置に移動される。
また、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させる。これにより、挿入された紙葉は搬送ローラ対(14A,14B)によって挟持される(ST03)。
次いで、紙幣搬送路の開放処理が成される(ST04)。この開放処理は、図12のフローチャートに示すように、上述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを互いに離間する方向に駆動することで成される(ST100)。このとき、一対の可動片10Aの位置を検知する可動片通過検知センサ12によって、一対の可動片10Aが所定位置(最大幅位置)に移動したことが検知されると(ST101)、モータ40の逆転駆動が停止される(ST102)。この搬送路開放処理により、一対の可動片10A内に紙葉が進入できる状態になっている。なお、このST04の前段階では、紙幣搬送路3は、後述する搬送路閉鎖処理(ST17,ST57)によって閉鎖された状態にあるが、このように、紙葉挿入前に紙幣搬送路3を閉じておくことで、例えば、不正目的などで紙幣挿入口から板状の部材を挿入して、ラインセンサなどの素子を破損させることを防止することができる。
図9に戻り、紙幣搬送用のモータ13が正転駆動される(ST05)。紙葉は、搬送ローラ対(14A,14B)によって装置内部に搬送され、スキュー補正機構10よりも下流側に配設されている可動片通過検知センサ12が紙葉の先端を検知すると、紙幣搬送用のモータ13は停止される(ST06,ST07)。このとき、紙葉は、スキュー補正機構10を構成する一対の可動片10A間に位置している。
引き続き、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST08)。このとき、紙葉には、何等、負荷が作用していない状態となる。
そして、この状態でスキュー補正作動処理を行う(ST09)。このスキュー補正作動処理は、上述したスキュー補正機構用のモータ40を正転駆動することにより、一対の可動片10Aが互いに接近する方向に移動する。すなわち、このスキュー補正作動処理は、図13のフローチャートに示すように、上述したモータ40を正転駆動することにより、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動させる(ST110)。この可動片の移動は、制御部200における基準データ記憶部233に登録されている紙幣の最小幅(例;幅62mm)となるまで実行される。これにより、紙幣は、両側に当て付く可動片10Aによって、スキューが補正され、正確な中心位置となるように位置決めされる。
上述したようなスキュー補正作動処理が終了すると、引き続き、搬送路開放処理が実行される(ST10)。これは、上述したスキュー補正機構用のモータ40を逆転駆動することで、一対の可動片10Aを離間する方向に移動することで成される(図12のST100〜ST102参照)。
続いて、図10に示すように、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、上側の搬送ローラ14Aを下側の搬送ローラ14Bに当接するように移動させ、紙葉を搬送ローラ対(14A,14B)に挟持させる(ST11)。その後、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動して紙葉を装置内部に向けて搬送し、紙葉が紙幣読取器8を通過する際に、紙幣読取器8が紙葉の読取処理を開始する(ST12,ST13)。また、これに伴ってバーコードセンサ88が紙葉の読取りを開始する(ST14)。図4には、このときの紙幣の位置が示されている。紙幣Mは、搬送ローラ対(15A,15B)に挟持され、その回転により第1搬送路4Aから3Bへと搬送される。図4は紙幣Mの先端部分がバーコードセンサ88により検知さるところを示している。もっとも、搬送される紙幣を含む紙葉の大きさ(特に搬送方向の長さ)により、紙幣読取器8での読取と、バーコードセンサ88による読取り開始のタイミングは異なってもよい。
紙葉の読取処理においては、まず、紙幣/バーコードの判別処理が実行される(ST15)。この紙幣/バーコードの判別処理は、図14のフローチャートに示すように、まず、その識別対象物が、バーコードが印刷される紙葉の幅と一致するか否かが判別される(ST120)。すなわち、バーコードが印刷される紙葉についても、その幅については、所定国の紙幣(使用される紙幣)と同一に設定されていることから、その幅が一致しない場合、所定国以外の紙幣と判別し、後述する真贋判定処理(ST22)が実行される。
次に、紙幣読取器8は、搬送された識別対象物の所定長を読取る(ST121)。この紙幣読取器8が識別対象物の所定長の読取りに際しては、図16のタイミングチャートに示すように、上記した第1発光部80Aおよび第2発光部81Bを、紙幣の読取り状態に設定する。すなわち、第1発光部80Aおよび第2発光部81Bにおける赤色光と赤外光の透過用の光源と、赤色光と赤外光の反射用の光源からなる4つの光源が、一定の間隔(第1の点灯間隔)で点灯、消灯を繰り返し、しかも、各光源の位相を重ねることなく、2つ以上の光源が同時に点灯することがないように点灯制御する。換言すれば、ある光源が点灯しているときには、他の3つの光源は消灯するように点灯制御する。これにより、本実施形態のように、1つの受光部81Aであっても、各光源の光を一定間隔で検出し、赤色光の透過光および反射光、赤外光の透過光および反射光による識別対象物の印刷領域の濃淡データからなる画像を読取ることができる。
図18のタイミングチャートを用いて、より詳しく説明する。時刻t0において、第2発光部81Bの赤色光が点灯し、少しタイムラグをおいて、時刻t1において受光部(ラインセンサ)81Aが読み取りを開始する。時刻t2において、第2発光部81Bの赤色光が消灯し、直ちにラインセンサ81Aが読み取りを停止する。次に、時刻t3において、第2発光部81Bの赤外光が点灯し、少しタイムラグをおいて、時刻t4においてラインセンサ81Aが読み取りを開始する。時刻t5において、第2発光部81bの赤外光が消灯し、直ちにラインセンサ81Aが読み取りを停止する。そして、時刻t6において、第1発光部80Aの赤色光が点灯し、少しタイムラグをおいて、時刻t7においてラインセンサ81Aが読み取りを開始する。時刻t8において、第1発光部80Aの赤色光が消灯し、直ちにラインセンサ81Aが読み取りを停止する。次に、時刻t9において、第1発光部80Aの赤外光が点灯し、少しタイムラグをおいて、時刻t10においてラインセンサ81Aが読み取りを開始する。時刻t11において、第1発光部80Aの赤外光が消灯し、直ちにラインセンサ81Aが読み取りを停止する。そして、第1の点灯間隔(t12−t0)をおいて再び時刻t12において、第2発光部81Bの赤色光が点灯する。このように、各発光部が同時に発光することがないので、ラインセンサ81Aにおける読み取り精度は向上する。一方、識別対象物は、この間に搬送されるので、読み取り位置が刻々と変わる。このため、点灯間隔が長いと、読み取り間隔も粗くなる。
次いで、上述した判別部232において、所定長読取った識別対象物が、紙幣かバーコードを印刷した紙葉かが判別される(ST122)。すなわち、判別部232では、所定長読取った画像に関し、前記変換部231で変換された画素情報(画素毎に濃度値を含んだ画素情報)を元にして、搬送された識別対象物が紙幣なのか、バーコードを印刷した紙葉なのかを判別する。具体的には、図19の模式図に示すように、識別対象物Sがバーコードを印刷した紙葉であれば、そのバーコードは、紙葉の中央領域に設けられているため、最初の10mm程度、読取った画素情報の平均値を求めると、その平均値は、絵柄や文字の領域が少ない(もしくは存在しない)ことから、白色系の度合いが強まり、紙幣の場合よりも大きくなる。このため、識別対象物を搬送して最初の10mm程度の反射光(赤色光)を取得することで、その識別対象物が紙幣なのか、バーコードを印刷した紙葉なのかを容易に判別することが可能となる。なお、もちろん、透過光を取得することでも、それがバーコードを印刷した紙葉であるか、紙幣であるかを判別することが可能である。
そして、識別対象物が紙幣と判別された場合には、そのまま上記した第1の点灯間隔で第1発光部80Aおよび第2発光部81Bの点灯制御を行い(ST122;YES)、識別対象物がバーコードを印刷した紙葉と判別された場合には(ST122;NO)、第2発光部81Bの点灯間隔を第2の点灯間隔に変更制御する(ST123)。また、ST123の処理に伴い、第1発光部80Aを消灯(透過の赤色光および赤外光の消灯)し、かつ、第2発光部81Bの赤外光を消灯する(ST124)。
すなわち、消灯される光については、バーコードを読取るに際しては不要な光源であるため、消灯制御する。この結果、図17のタイミングチャートに示すように、上記した第2発光部81Bにおける赤色光のみが、点灯間隔が短くなった状態(紙幣の場合と比較すると1/4に点灯制御される)で照射制御され、線幅の細いバーコード情報であっても、解像度を向上した状態で、その情報を読取ることが可能となる。
そして、搬送される紙葉が紙幣読取器8を通過して、紙葉の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知されると(ST16)、紙幣搬送路3の閉鎖処理が実行される(ST17)。この処理においては、まず、図15のフローチャートに示すように、紙葉の後端が、可動片通過検知センサ12によって検知された後、上述したモータ40を正転駆動することで、一対の可動片10Aを、互いに接近する方向に移動する(ST130)。次に、可動片検知センサによって、可動片10Aが所定位置(最小幅位置、例えば52mm)に移動したことが検知されると(ST131)、モータ40の正転駆動が停止される(ST132)。
この搬送路閉鎖処理により、一対の可動片10Aは、挿入可能なあらゆる紙葉の幅よりも狭い最小幅位置(幅52mm)に移動されており、これにより、紙葉の引き抜きを効果的に防止するようにしている。すなわち、このような紙幣搬送路の閉鎖処理を実行することで、挿入された紙葉の幅よりも、可動片10A間の距離が狭くなり、操作者が不正目的で紙葉を挿入口方向に向けて引き抜くなどの行為を効果的に防止することが可能となる。
また、上記した搬送路閉鎖処理(ST17)に引き続いて、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉を挟持可能な状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる搬送ローラ対離間処理が行われる(ST18)。この搬送ローラ対離間処理を行うことで、操作者が誤って紙葉を追加投入(二重投入)しても、紙葉は、搬送ローラ対(14A,14B)による送り動作を受けることはなく、また、ST17において接近した状態にある一対の可動片10Aの前端に突き当たることから、紙葉の二重投入動作を確実に防止することができる。
(真贋判定処理)
上記した紙幣搬送路の閉鎖処理とともに、紙幣読取器8が紙葉の後端までデータを読取ると、紙幣搬送用のモータ13を予め特定された所定量だけ駆動し、紙葉を所定位置(エスクロ位置;紙幣読取器8の中心位置から13mm、紙葉の後端が下流側に搬送された位置とされる)で停止させる。このときに、上述した制御部200の真贋判定部230において、基準データ記憶部233に予め記憶されている真正な紙葉から真贋判定用に用意された正規のデータ(辞書データ)を参照し、判定処理部235で紙葉の真贋判定処理を実行する(ST19〜ST22)。なお、この辞書データは、例えば後述するゲームシステム(紙葉処理システム)において、USBまたはネットワークを介して管理サーバから適宜に更新データが送信され、紙弊処理装置内に備わった真贋判定部230のROMなどの記憶部に格納されている当該辞書データが更新される。
なお、このエスクロ位置は、バーコードセンサ88が、バーコードが上向きになって挿入された紙葉のバーコードの読取りが終了し、かつその紙葉を検知できる位置とされている。
そして、処理ステップST22の真贋判定処理において、紙葉が、前記辞書データに基づいて真券であると判定されると(ST23;YES)、引き続き、この状態で紙幣搬送用のモータ13を正転駆動し、紙葉を、紙幣収容部100に向けて搬送する(ST24)。
このST26の処理に際しては、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知しており(ST25)、紙葉の搬送処理の段階(紙葉が移動する時間内)において、紙葉の存在が確認されなければ、それは紙葉の引き抜きなどが行われたと判断し、装置の動作の無効化処理を実行する(ST25;NO、ST32)。また、ST24の処理に際しては、バーコードセンサ88から紙葉の移動する時間が特定されているため、その時間を検知しており(ST26)、その時間が経過した段階で(ST26;YES)、バーコードセンサ88が識別対象物の存在を検知すれば、それは紙葉が詰まったものと判断し、装置の動作の無効化処理を実行する(ST27;YES、ST32)。
そして、ST24の処理における紙葉の搬送に際しては、紙葉の後端が排出検知センサ18によって検知されるまでは紙幣搬送用のモータ13は正転駆動され(ST28)、紙葉の後端が排出検知センサ18によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ13は所定量だけ正転駆動される(ST29,ST30)。
このST29、およびST30における紙幣搬送用のモータ13の正転駆動処理は、紙葉が、装置本体2の紙幣搬送路3の下流側にある排出口3Aから紙幣収容部100の受入口103に搬入され、前記一対のベルト150が、搬入される紙幣の両側表面に接触し、安定して押圧待機部108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙葉の後端が排出検知センサ18によって検知された後、さらに、所定量、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動することで、前記一対のベルト150は、搬入される紙葉に接触しつつ送り方向に駆動され、紙葉を安定した状態で押圧待機部108に案内する。
そして、上記した紙幣搬送用のモータ13が停止した後、紙葉を載置プレート105上に載置すべく押圧板115の駆動処理を実行し(ST31)、押圧処理が終了すると、押圧板115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。
また、上述した処理手順のST23の真贋判定処理において、挿入された紙葉が真正な紙葉(紙幣である場合には、真券)でないと識別された場合、画像データの比較処理(ST40)および返却処理(ST50)を実行する。
(画像データ比較処理)
ST40における画像データ比較処理は、画像データ比較部250の比較部251において実行される。例えば、図21に示すように、比較部251は、前記返却処理が実行されることになる、真正な紙葉でないと判定された場合には、紙葉から読み取られた画像データと、当該判定時点の直前の比較処理時にRAM224に記憶されている紙葉の画像データ(最後に取得された画像データ)を読み出して比較する(ST41からST43)。このとき、比較部251は、例えば、現時点で取得した画像データを二値化処理した後にRAM224に記憶済みの最後に投入された画像データとのパターンマッチングによって画像データ同士の比較処理を実行する。或いは、真正な紙幣の基準画像データと真贋判定時毎に「偽」と判定された画像データとのパターンマッチングなどにより異なる箇所を特異点として抽出してRAM224またはROM222に記憶しておき、次の比較処理時に取得した画像データが、記憶済みの画像データの特異点を含むかどうかを比較する。特異点としては、紙幣の印刷時に生じたモアレなどの発生状態が同じ、或いはモアレを含まない場合は、画像データから抽出および識別可能な画像の位置ズレおよび相違する箇所などがあげられる。
比較部251における比較処理の結果、両画像データが同一であると判定された場合には(ST43;YES)、比較対象の両紙幣が同一であることから「偽」と判定される。このとき、偽札の再投入を繰り返す不正行為を行っている最中である可能性が高い。そこで、比較部251は、一致した画像データと関連付けた検知信号を計数器252に送信する。
計数器252は、比較部251によって「偽」と判定されたときに送信される検出信号を信号種別ごとに計数する(ST44)。すなわち、画像データの比較によって同一画像データが見つかるごとに、その画像データの検知回数が加算され、RAM224の所定領域に記憶される。
さらに、比較部251は、計数器252による計数値と予め設定した設定値(例えば、3回)のそれぞれをRAM224から読み出して比較する(ST45)。比較の結果、計数値が設定値以上(3≦計数値)に達していた場合、報知処理を実行させるために検知信号の送信処理を実行する(ST46;NO)。すなわち、計数値が3回を超える場合、紙葉処理装置1から排出された「偽」と判定済みの紙幣を連続して再投入された可能性が高いので、偽札として判定して検知信号を上位装置に送信する。ここで、上位装置は、例えば複数台の紙葉処理装置1を管理および制御する管理サーバまたは複数参加型のゲーミングマシンが設定されたホールであれば、管理サーバと接続された管理者側の管理装置などである。なお、上位装置に検知信号を送信し、報知処理などを実行可能なシステムについては後述する。
管理装置などの上位装置への検知信号を送信すると、真贋判定により「偽」と判定された画像データの計数値を更新登録する(ST47)。すなわち、検知回数が、3回に更新される。なお、判定時の画像データと同一の画像データが見当たらない場合(ST46;YES)、新規の画像データとして計数値を「1」としてRAM224に計数(記憶)する。同一画像データとして一致した場合であって検出回数が2回目の場合は、計数値を「2」に更新してRAM224に記憶する。
「偽」または「偽札」と判定された画像データの更新登録が完了すると、これらの紙幣の返却処理を実行する(ST50,図11,図12,図15および図22)。返却処理は、搬送路開放処理を実行し(図11のST51,図12のST100〜ST102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ13を逆転駆動し、搬送ローラ対(14A,14B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙葉を、紙幣挿入口5に向けて搬送する(図22のST52,53)。そして、挿入検知センサ7が、紙幣挿入口5に向けて差し戻される紙葉の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ13の逆転駆動を停止するとともに、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST54からST56)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST57,図15のST130からST132参照)するとともに、押圧板115の駆動用のモータ20を所定量正転駆動することで(ST58)、初期位置にある押圧板115を待機位置に駆動し、一連の処理が終了する。
また、図21に示す処理ステップST42の画像データ比較処理において、直前の画像データと投入時の画像データが同一でない場合も画像データの更新登録を行った後に紙葉の返却処理が実行される(図11のST50,図22)。
上記した構成の紙葉処理装置1によれば、紙幣挿入口5から挿入された紙葉は、まず判別部232において、それが紙幣であるか、バーコードを印刷した紙葉であるかが判別される。そして、その判別結果に応じて、発光制御回路260である発光制御部が、ラインセンサにおける解像度を変更することによって、紙幣またはバーコードを印刷した紙葉の真贋判定を実行する。さらに、真贋判定によって紙幣が「偽」と判定された場合、画像データ比較部250によって投入時点にラインセンサによって読み取られた画像データと、紙葉処理装置1に最後に投入された際に読み取った紙幣の画像データが、比較部251によって同一であるかどうかの比較処理を実行する。比較部251によって両画像データが同一と判断された場合、この画像データの一致回数が計数器252によって計数され、計数値と設定値を比較し、計数値が設定値以上であれば偽札として判定する。すなわち、真贋判定によって真正の紙幣として判断されなかった紙幣が連続して投入された場合、何度も当該紙幣を投入して真贋判定の誤判定を狙った不正行為を行っていると判定することができる。
本実施形態は、上記機実施形態に限定されず、以下のような実施形態を開示している。
(1)上記実施形態では、図21に示す処理ステップST45によって同一画像データの検知回数が3回以上になった場合に上位装置に検知信号を送信しているが、検知回数は3回に以上に限定されない。すなわち、3回以上であれば検知回数は、適宜に設定変更することができる。
また、処理ステップST44およびST45を省略し、ST44において紙幣投入時の画像データと最後に投入した画像データとが同じであった場合、ST46の検知信号を送信する報知処理を実行するように構成してもよい。
(2)上記実施形態では、画像データ比較部250は、紙葉処理装置1に紙幣を投入した時点の画像データと最後に投入した時点の画像データを比較した後に、両画像データが同一であった場合、比較部251から送信された検知信号を計数器252に送信していたが、この同一画像データが検出されたタイミングによって計数器で計数するか否かを決めるようにしてもよい。すなわち、同一画像データが間欠的に検出された場合、間欠の時間間隔が長時間になる場合は、計数しないようにする。
例えば、図20の制御部200の構成を示すブロック図において、画像データ比較部250にタイマ253を備える。このタイマ253を備えることによって、以下の処理を実行することが可能となる。なお、画像データ比較部250における処理において同一の処理ステップ(図21のST41からST45)については、詳細な説明を省略し、異なる処理ステップについて詳述する。
図23に示すように、処理ステップST41からST45の処理を実行し、さらに同一画像データの検出回数の比較処理(ST45)後に、タイマ253によって計数される設定時間内に同一画像データが検出された場合、この検知信号を計数器252で計数する処理を実行する(ST45−1)。ここで、真贋判定処理によって「偽」と判定された紙幣が、例えば投入者に視認可能な表示装置に、図27に示すコード0XXのシステムエラーとして表示して実際の偽札の複数回読込みとは異なるエラーが表示され、紙葉処理装置1から排出される場合、操作者は、同じ紙幣を再度投入(2回目)して同じシステムエラーが発生するかどうか確認する可能性が高い。また、投入者は、3回目の投入に際して、システムエラーが解消するかどうかを確認することがある。例えば、同じ偽札を連続して3回投入してみたり、或いは、3回目に他の偽札または真正な紙幣を紙葉処理装置1に投入した後に、最初にシステムエラーが発生した偽札を再々投入(3回目)したりする場合がある。すなわち、システムエラーによって紙葉処理装置1への投入の受付を拒否された紙幣を、拒否された時点から長時間経過した後(数十時間或いは数日)に、同一の投入者によって再投入または再々投入される可能性は低い。したがって、連続的または間欠的に同一画像データが見つかるまでの設定時間を例えば10分以内など予め設定し、紙幣が初めて「偽」と判定され、かつ、画像データが登録された時点からタイマを作動させる。このタイマが作動している時間内に、同一画像データの検出回数が3回となった場合(ST45−1;YES)には、検知信号を上位装置に送信する報知処理を実行する(ST46)。報知処理の実行後に、上記実施例と同様、検知回数の更新処理が実行される(ST47)。
或いは、同一画像データの初回の検出時の時刻をRAM224に記録しておき、3回目の同一画像データが検出された時点で比較部251の演算処理機能またはCPU220によって当該時刻と初回時刻を読み出して検出間隔を算出して求めてもよい。なお、設定時間は、検出回数の1回目から2回目、2回目から3回目までの時間間隔を個々に設定してもよい。
上記構成によれば、同一画像データが検出される時間間隔を数時間または数十時間におよぶ長時間を除く短時間(例えば:1時間以内の数十分単位)に設定することによって、短時間内に連続投入される可能性の高い偽札の検出精度を向上させることができる。
(3)次に、上記第1実施形態の紙葉処理装置1から上位装置に報知信号を送信する全体構成について説明する。なお、本実施形態では、紙葉処理装置1がスロットマシンに備わっており、複数台のスロットマシンから構築された複数参加型のゲーミングマシンを含むゲームシステムにおいて紙幣処理を実行可能にする構成を、紙幣処理システムの例として説明する。
(ゲームシステムの全体構成)
先ず、ゲーミングマシンを含むゲームシステム350の概要について説明する。
図24に示すように、ゲームシステム350は、複数のスロットマシン1010と、各スロットマシン1010に通信回線3001を介して接続された外部制御装置621とを備えている。また、ゲームシステムが構築されるカジノホールには、後述するボーナスゲームの開始や、当該開始に際してのカウントダウン、本日の当籤ランキング、人気台ランキングなどを表示するために用いられる情報表示装置であるキオスク(KIOSK)端末1700が、ゲームシステム1の管理サーバ800(例えば、ボーナスサーバや会員管理サーバ)にネットワークを介して接続されている。なお、ゲームシステム構成する装置などの具体的な構成については後述する。
(真贋判定処理)
図9のフローチャートに示す処理ステップST01において、投入者が、図49に示すスロットマシン1010においてスロットゲームを行っている場合に、紙幣によりクレジットを追加するとき、紙幣がビルエントリー1022に載置され、挿入口1022Aから紙葉処理装置1に送り込まれる。挿入口1022Aは、紙葉処理装置1の紙幣挿入口5と連通されているので、投入された紙葉は、紙葉処理装置内へと送り込まれてゆく。紙葉処理装置1では、図9から図11に示す処理ステップST01からST23までの搬送、真贋判定などの処理が実行される。
(画像データ比較処理)
次に、真贋判定によって、偽と判定された場合に、画像データ比較部250が、図21に示す処理ステップST40からST45までの処理を実行する。すなわち、紙葉から取得された画像データと当該判定時点の直前に取得した画像データと比較し、比較結果により同一画像の検出が3回に達した場合に、紙葉処理装置1から管理サーバ800に検知信号が送信される。なお、同一画像の検出回数の設定値は、オペレータが任意に設定することができる。
(報知処理)
紙葉処理装置1から検知信号を受信した管理サーバ800は、この検知信号に応じたエラー表示コマンド(信号)作成し、検知信号の送信元のスロットマシン1010に備わったPTS端末700および管理装置351に送信する。このとき、管理サーバ800は、PTS端末700に対して送信するエラー表示コマンドAと、管理装置353に対して送信するエラー表示コマンドBとを異なるように作成する。すなわち、PTS端末700には、検知されたエラーと異なるエラーを示すエラー表示コマンドが送信される。なお、キオスク端末1700にも異なるエラー表示コマンドを送信し、係員がキオスク端末1700を操作してエラーの発生を確認可能に構成してもよい。なお、PTS端末700は、紙幣読取器8によって読み取った紙葉の情報および投入者の顔の画像データを記憶し、管理サーバ800に送信する管理装置に相当する。
管理サーバ800は、PTS端末700およびゲームコントローラ1100を介して検知信号と同時に送信されてきた画像データと、管理サーバ800のROMに格納してある市場に流通済みの複数種類の偽札の辞書データの登録画像データを比較する。同一画像データがある場合は、登録コードを含む異なるエラー表示コマンドA,Bを生成して各装置に送信する。
PTS端末700、管理装置351およびキオスク端末1700は、エラー表示コマンドを受信した際に、各表示装置に表示する報知用のエラー表示テーブルをROMなどの記憶装置に格納している。エラー表示テーブルは、例えば、図27に示すように、コード、PTS端末用表示および管理装置用表示からなる。コードは、数値またはアルファベットと数値の組み合わせなどからなる。
コードは、管理サーバ800の偽札の辞書データに登録された偽札コードと同じものである。
PTS端末用表示は、紙幣投入時のエラーを投入者に視認させるためにPTS端末700に備わったLCD719に表示されるので、偽札を検知した報知であることを投入者に気付かれて逃走されないように、検知したエラーとは異なる一般的な「システムエラー」、「紙詰まり」などの表示に変更されている。本実施形態では、複数回にわたって偽札が紙葉処理装置1に投入された場合の報知であるので、図27に示す、コード0XXが選択され、図27に示す、当該コード0XXと「SYSTEM ERROR」の文字がLCD719に表示される。また、タッチパネルであるLCD719の右側の下には、係員を呼び出すためのCALLボタン739が表示される。
なお、図27に示すように、エラー表示テーブルにおいて管理装置用表示は、カジノホール内の管理者によって確認可能なように、偽札の利用を具体的に示す表示態様が列挙されている。例えば、既に市場に流通した偽札の種類、「偽札A」、「偽札B」のように管理装置353の表示装置に表示するとともに、上記実施形態のように登録されていない新規の偽札を検出した場合は、「新種」を表示する。さらに、上述のように、偽札が複数回にわたって投入された場合には、偽札の複数回読込みが、表示装置に表示される。
管理装置353は、管理サーバ800からのエラー表示コマンドBを受信すると、例えば、エラー発生を示す警告が表示装置に表示されたり、或いは、メール形成でエラー発生の通知が管理サーバ800から送信されたりする。このとき、管理装置353を操作して管理サーバ800にアクセスし、管理サーバ800に登録されている図62に示すカジノホール全体のフロアマップ1810を表示装置に表示させることができる。さらに、エラーの発生した位置を具体的に確認できるように、カジノホールの全体を示すフロアマップ1810の表示画面を操作し、図63に示すように、エラー発生した場所を拡大表示することができる。
例えば、フロアマップ1810は、複数台(12台)のスロットマシン1010からなる島が、複数個示されている。このうち、斜めのハッチングを付したブロック1812で示すスロットマシン1010が稼働中であり、白色のブロック1811で示されるスロットマシン1010が非稼働であることを示している。さらに、黒色のブロック1813がエラーの発生したスロットマシン1010を示している。なお、稼働、非稼働およびエラー発生箇所の表示は、この表示形態に限定されず、他の色またはエラー発生箇所を示す符号、記号、文字などを含めた表示に変更してもよい。
なお、キオスク端末1700でもフロアマップ1810およびエラー発生箇所を確認可能なようにしてもよい。
また、エラー発生の検知信号を受信した管理サーバ800は、記憶装置に予め格納されているデータベースを更新し、管理装置353からエラー発生の具体的な内容を確認できるように構成してもよい。例えば、管理サーバ800は、エラー発生の日付、時刻、コード、種類、発生した端末、場所、ゲームマシンの機種および備考欄を有するデータベースを格納している。したがって、管理装置353は、管理サーバ800にアクセスし、これらの情報を図29に示す表示形態で表示装置に表示させることができる。
管理サーバ800からPTS端末700、管理装置353およびキオスク端末1700などの上位装置への報知信号を送信が完了すると、真贋判定により「偽」と判定された画像データの計数値を更新登録する(ST47)。すなわち、検知回数が、3回に更新される。なお、判定時の画像データと同一の画像データが見当たらない場合は、新規の画像データとして登録し計数値を「1」としてRAM224に新規に記憶する。同一画像データとして一致した場合であって検出回数が2回の場合は、計数値を「2」に更新してRAM224に記憶する。
「偽」または「偽札」と判定された画像データの更新登録が完了すると、これらの紙幣返却処理を実行する(図11のST50,図22)。紙幣返却処理は、搬送路開放処理を実行し(図12のST100〜ST102参照)、その後、紙幣搬送用のモータ13を逆転駆動し、搬送ローラ対(14A,14B)の挟持処理を実行した後、エスクロ位置に待機している紙葉を、紙幣挿入口5に向けて搬送する(ST52,ST53)。そして、挿入検知センサ7が、紙幣挿入口5に向けて差し戻される紙葉の後端を検知した際に、紙幣搬送用のモータ13の逆転駆動を停止するとともに、上述したローラ昇降用モータ70を駆動し、紙葉を挟持した状態となっている搬送ローラ対(14A,14B)を離間させる(ST54からST56)。その後、搬送路閉鎖処理を実施(ST57,図15のST130からST132参照)するとともに、押圧板115の駆動用のモータ20を所定量正転駆動することで(ST58)、初期位置にある押圧板115を待機位置に駆動し、一連の処理が終了する。
なお、図21および図23に示す画像データ比較処理において、直前の画像データと投入時の画像データが同一でなかった場合(ST43;NO)も画像データの更新登録(ST47)を行った後に紙葉返却処理が実行される(図11のST50,図22)。
上記実施形態の構成によれば、画像データ比較部250での画像データの比較処理によって、同一画像データの検知回数が3回以上に達すると、検知信号の発信元のスロットマシン1010に備わったPTS端末700、スロットマシン1010と管理サーバ800を介して外部接続された管理装置353およびキオスク端末1700などの上位装置に管理サーバ800からエラー表示コマンドが送信される。しかしながら、PTS端末700には管理装置353とキオスク端末1700とは異なるエラー表示コマンドAが送信される。すなわち、PTS端末700のLCD719に表示されるエラー表示は、偽札とは全く関連性のない一般的なエラー項目と関連付けられているので、このエラー表示を見た投入者は、偽札を利用したことが管理者に知られているにも関わらず、そのことに疑念を抱くことなくエラーを解消させるために、PTS端末700のLCD719に表示されたCLLボタンをタッチして管理者を呼び出すことになる。したがって、管理者は、偽札および偽札として疑わし紙葉を利用した現場で投入者と偽札を直接に確認することができる。
本実施形態は、上記機実施形態に限定されず、以下のような実施形態も開示している。
上記実施形態において、真贋判定時に投入された紙幣が偽と判定されて紙葉処理装置1から検知信号を管理サーバ800に送信する際、偽札を投入した投入者を特定可能な情報を送信するように構成してもよい。
この構成における処理は、図9から11および図30から図31に示すフローチャートおよび図32に示す信号の流れに沿って詳述する。なお、紙葉処理装置1の処理フローは、図9に示す処理ステップST01およびサブルーチンCにおける報知処理が異なる。したがって、同一の処理ステップ(ST02からST32)についてはその処理の説明を省略し、異なる部分の処理ステップについて詳述する。なお、図30は本実施形態の紙葉処理装置で実行される報知前処理の手順を説明するフローチャート、図31は本実施形態の管理サーバで実行される報知後処理の手順を説明するフローチャート、および図32はゲームシステムに紙幣投入処理から報知処理までの各処理時に発せられた信号の流れを示した模式図である。
(画像データ比較処理)
先ず、図32に示す画像データ比較処理(ST500)が実行される。具体的な画像データ比較処理は、図9に示す処理ステップST01からST23までが実行される。処理ステップST23において、投入者がスロットゲームなどを行っているときに、紙幣によりクレジットを追加するとき、紙幣がビルエントリー1022に載置され、挿入口1022Aから紙葉処理装置1に送り込まれる。挿入口1022Aは、紙葉処理装置1の紙幣挿入口5と連通されているので、紙幣挿入口5を紙幣が通過するときに挿入検知センサ7によって検知される(ST01)。その後、紙葉処理装置1は、処理ステップST02からST23までの処理を実行する。この処理過程で紙幣読取器8に備わったラインセンサによって紙幣をスキャンして読み取ったスキャンデータ(画像データ)と挿入検知センサ7からの検知信号が、PTS端末700に送信される。
(報知処理)
次に、図32に示す報知処理が実行される。この発報知処理は、以下に説明する報知前処理と報知後処理からなる。
(報知前処理)
図32に示す報知処理(ST501)において、PTS端末700で実行される報知前処理について図30に示すフローチャートに沿って説明する。PTS端末700は、挿入検知センサ7によって紙幣の投入が検知されて送信される検知信号の有無をモニタする(ST61;NO)。PTS端末700が紙葉処理装置1からの検知信号を受信した場合には(ST61;YES)、CPU731から人体検出カメラ制御部722に作動指令を送信する。作動指令を受けた人体検出カメラ制御部722は、人体検出カメラ712、713を作動制御し、投入者を認証可能なように顔が視野に収まるように撮像する(ST62)。撮像した認証画像は、RAM732の所定領域に一時保存される。
PTS端末700は、認証画像を取得した後、次の検出信号が送信されてくるまで待機している。すなわち、PTS端末700は、紙葉処理装置1での真贋判定処理および画像データ比較処理によって投入された紙幣が「偽札」と判定されて発せられる検知信号を受信しない場合には(ST63;NO)、当該処理を終了する。偽札判定結果によって送信された検知信号をPTS端末700が受信した場合には(ST63;YES)、図32に示すように、スロットマシン1010に備わったPTS端末700を介して検知信号と画像データを管理サーバ800に送信する。このとき送信される画像データには、紙幣をスキャンして読み取った画像データと投入者の認証画像データが含まれている。以上でPTS端末700での一連の処理が完了する。
(報知後処理)
次に、PTS端末700から送信され検知信号と画像データを受信した管理サーバ800での報知後処理について、図31に示すフローチャートに沿って詳述する。なお、管理サーバ800は、本発明の同一画像データの一致した計数値および同一画像データを検出する期間をタイマによってカウントし、偽札を判定する制御部に相当する。
管理サーバ800は、PTS端末700から検知信号、画像データ(紙幣にスキャンデータと認証画像データ)を受信したかどうかをモニタする(ST71;NO)。管理サーバ800が検知信号および画像データを受信した場合には(ST71;YES)、管理サーバ800はROMなどの記憶部に格納している偽札の辞書データの登録画像データと受信した紙幣の画像データの比較処理を実行する(ST72)。この辞書データは、市場で流通済みの複数種類の偽札の画像データを含んでいる。
紙幣の画像データと登録画像データとの比較処理の結果、同一の画像データが見つかった場合には(ST73;YES)、管理サーバ800は、辞書データの偽札の登録コードを含む異なる複数個のエラー表示コマンドA,B,Cを生成し(ST75、図32のST502)、PTS端末700、管理装置353およびキオスク端末1700のそれぞれに送信する(ST76)。なお、管理サーバ800が管理装置353にエラー表示コマンドBを送信するとき、認証画像データも一緒に送信してもよい。なお、本実施形態では、キオスク端末1700にもエラー表示コマンドCを送信しているが、キオスク端末1700にエラー表示コマンドを送信しない構成であってもよい。
紙幣の画像データと登録画像データとの比較処理の結果、同一の画像データがない、すなわち、新規の画像データである場合には(ST73;NO)、辞書データの更新処理を実行する(ST74)。この更新処理は、辞書データのデータベースに設けられた項目を自動で記録してゆく。例えば、コード、検出した日付、時刻および画像データなど予め決めた項目である。新種の偽札であるので、コードネームなどは、管理者が後で入力したり、或いは登録内容を適宜に変更したりすることになる。
辞書データの更新登録の処理が完了すると、管理サーバ800は、エラー表示コマンドA,B,Cを生成し(ST75、図32のST502)、PTS端末700、管理装置353およびキオスク端末1700のそれぞれに送信する。なお、上述と同様に、管理サーバ800が管理装置353にエラー表示コマンドBを送信するとき、認証画像データも一緒に送信してもよい。また、キオスク端末1700にエラー表示コマンドCを送信しない構成であってもよい。
エラー表示コマンドAを受信したPTS端末700およびエラー表示コマンドCを受信したキオスク端末1700は、上述と同様のエラー表示を各表示装置に表示する(図32のST503,ST505)。
管理装置353は、上述と同様に表示装置に図29に示すウインドウに偽札に関する情報を表示させる(図32のST504)。或いは、管理サーバ800から認証画像データが送信されてきた場合、図33に示すように、投入者の顔を含む認証画像をウインドウ内の備考欄に追加して表示してもよい。以上で一連の報知処理が完了する。なお、PTS端末700にエラーが表示されているので、このエラーを解消させるためにプレーヤは係員を呼び、このエラーを解消させる(図32のST506)。
この構成によれば、偽札の辞書データに登録されていない新種の偽札または偽札として疑わし紙幣が検出されたとき、投入者の認証画像データが検知信号と一緒にPTS端末700から管理サーバ800を介して管理装置353に送信されるので、管理者側は、管理サーバ800から送信されるエラー表示コマンドなどに基づいて管理装置353に表示されるエラー表示画面から偽札を投入した者および偽札として疑わしい紙葉を投入した者を特定することができる。また、新種の偽札が検出された場合、管理サーバ800に格納されている偽札の辞書データが更新されるので、更新後に当該新種の偽札を検出することができ、ひいては市場に流通していない新種の偽札の利用を未然に防止するのに役立てることができる。
次に、上記ゲームシステムに含まれるいずれかのスロットマシン1010に備わった紙葉処理装置1に投入された紙幣が、偽札として判定された場合の報知処理について、図9から図11および図23に沿って説明する。なお、スロットマシン1010に備わった紙葉処理装置1は、上記実施形態に記載された紙葉処理装置1と同じ構成であるので、同一である処理ステップ(ST1〜ST32)についてはその処理の説明を省略し、異なる部分の処理ステップについて詳述する。すなわち、図11に示す処理フローbから続く処理フローcを主体に図23に示すフローチャートおよび図32に沿って詳述する。
<第2実施形態>
当該実施形態は、上記実施形態において真贋判定を実行したとき、投入した紙幣が「偽」と判定された場合に紙幣を紙葉処理装置1の内部に保持するように構成されている。
なお、本実形態は、図9および図10に示す処理ステップST01から処理ステップST22までの処理は同じであるので、同一処理についてはその説明を適宜に省略し、異なる処理ステップについて説明する。
図10に示す処理ステップST21で紙幣の搬送を一時停止し、その後に処理ステップST22で真贋判定処理を実行する。真贋判定処理によって紙幣が「偽」と判定されると(図34のST23;NO)、搬送路3で紙幣を停止(保持)させた状態で、「偽」と判定された結果の検知信号をPTS端末700から管理サーバ800に送信する(図34のST33)。
管理サーバ800は、検知信号を受信すると、検知信号を送信してきた紙葉処理装置1のPTS端末700にエラー表示コマンドを送信する。このエラー表示コマンドは、真贋判定の判定結果とは異なるエラー表示、例えばシステムエラーをPTS端末700のLCD719に表示させるものである。
エラー表示コマンドを受信したPTS端末700が、LCD719にシステムエラーを表示させた状態でスロットマシン1010の利用が停止されている。プレーヤは、図28に示すLCD719の表示画面に表示されたCALLボタン739をタッチ操作して係員を呼び、システムエラーを解消させる。なお、システムエラーは、紙葉処理装置1の内部に保持している紙幣を係員によって回収させることにより解消される。
この構成によれば、紙葉処理装置1の内部から紙幣を取り出す作業時間などの都合上、係員(管理者)は、投入者に別の真正な紙幣を渡した後で紙葉処理装置1の内部に保持されている紙幣を回収し、「偽」と判定された紙幣を詳細に分析することが可能となる。
なお、この構成において、「偽」と判定された紙幣の画像データをPTS端末700から管理サーバ800に送信し、管理サーバ800の記憶部に記憶された複数枚の紙幣の画像データとの比較処理を実行させてもよい。なお、この記憶部に記憶された画像データは、「偽」と判定された紙幣よりも前に投入された紙幣の画像データである。比較処理によって同一画像が見つかった場合に、管理サーバ800は、比較結果と異なるエラー表示コマンドを検知信号の送信元となるPTS端末700に送信し、判定結果と異なるシステムエラーをLCD719に表示させるとともに、紙葉処理装置1の内部(搬送路3)に紙幣を保持させるように構成すればよい。
上記第2実施形態では、真贋判定処理(ST22)によって「偽」と判定された紙幣を紙葉処理装置1の紙幣収容部100に収容した後に、当該紙幣収容部100から係員が回収するように構成してもよい。例えば、以下のように実施する。
この実施形態は、図9から図11および図21、図23に示す紙葉投入開始から画像データの比較処理までは同一であるので、異なる処理ステップについて詳述する。本実施形態は、図35に示すように、画像データ比較処理(ST40)の後に紙幣搬送処理(ST80)を実行する。
画像データ比較処理によって投入時の紙幣の画像データが、それ以前の画像データと同一、かつ、検知回数が3回目に達した場合、報知処理(図21のST46)および更新処理(ST47)を実行した後に、紙幣収容部100への紙幣の搬送処理を実行する(図35のST80)。すなわち、処理ステップST80では、真正紙幣を搬送する処理ステップST25からST27において各センサなどの作動を停止した状態で紙幣を搬送し、処理ステップST28に移行する。すなわち、紙幣搬送用モータを正転駆動させて紙幣を内部に搬送するときにバーコードセンサ88はOFFにされている。
そして、処理ステップST28に移行した後、紙幣の後端が排出検知センサ18によって検知されるまでは紙幣搬送用のモータ13は正転駆動され、紙幣の後端が排出検知センサ18によって検知されてから、紙幣搬送用のモータ13は所定量だけ正転駆動される(ST29,ST30)。
このST29、およびST30における紙幣搬送用のモータ13の正転駆動処理は、紙幣が、装置本体2の紙幣搬送路3の下流側にある排出口3Aから紙幣収容部100の受入口103に搬入され、前記一対のベルト150が、搬入される紙幣の両側表面に接触し、安定して押圧待機部108に案内される駆動量に対応している。すなわち、紙幣の後端が排出検知センサ18によって検知された後、さらに、所定量、紙幣搬送用のモータ13を正転駆動することで、前記一対のベルト150は、搬入される紙幣に接触しながら送り方向に駆動され、紙幣を安定した状態で押圧待機部108に案内する。
そして、上記した紙幣搬送用のモータ13が停止した後、紙幣を載置プレート105上に載置すべく押圧板115の駆動処理を実行し(ST31)、押圧処理が終了すると、押圧板115は再び待機位置に移動され、その位置で停止される。すなわち、偽札または偽札として疑わしい紙幣が紙幣収容部100に回収される。
なお、同一画像データの検知信号なしに、紙幣搬送用のモータ13が正転駆動した状態で排出検知センサ18によって紙幣の後端が検知された場合には、この検知信号がRAM224に送信され、検知回数が計数される。すなわち、紙幣収容部100に収容された紙幣の枚数が計数される。この計数値は、PTS端末700およびゲームコントローラを介して管理サーバ800に送信され、紙幣収容部100に回収された紙幣が処理枚数(満杯)になったかどうかを管理サーバ800がモニタしている。
紙幣の画像データの比較処理によって同一画像データの検知回数が3回に達して紙葉処理装置1が管理サーバ800に検知信号を送信した後に、管理サーバ800が紙葉処理装置1から計数値を受信した場合、フラグを「ON」にする。すなわち、紙幣収容部100に回収された紙幣から偽札の位置が特定できるように構成されている。
以上で、偽札または偽札として疑わし紙幣を紙葉処理装置1に保持(回収)する一連の処理が終了する。なお、本実施形態では、偽札などを紙幣収容部100に回収しているが、PTS端末700のLCD719にエラー表示をさせた場合には、CALLボタン739のタッチ操作によって投入者から呼び出された係員が紙葉処理装置1からこの紙幣を回収するようにしてもよい。なお、係員による紙幣の回収は、紙葉処理装置1をスロットマシン1010から取り出す必要があり、時間がかかるなどの諸事情を考慮し、投入者には真正な紙幣を手渡し、その後に係員が紙葉処理装置1から紙幣を回収すればよい。
この構成によれば、真贋判定処理により「偽」と判定され、さらに同じ画像データの紙幣が検出され場合には、新種の偽札として疑わしので、この紙幣を紙葉処理装置1の内部に保留させる。すなわち、管理者は、投入者に対して真正な別の紙幣を渡し、新種として疑わしい紙幣を紙葉処理装置1から回収することができるので、当該紙幣を詳細に分析することができる。
また、新種の紙葉(偽札)である場合には、この新しく回収した不正な紙葉によって新種の不正な紙葉を判定する相違点に基づいた画像データが比較元データとして生成されるので、バージョンアップされ比較元データを管理サーバ800の記憶装置および紙葉処理装置1のROM222などに格納してある辞書データに新たに登録することによりバージョンアップ後の不正な紙葉の判定精度を向上させることができる。
<第3実施形態>
この実施形態では、ホール内の全てのスロットマシン1010の紙幣収容部100に回収された紙幣を各紙幣に印刷されたシリアル番号から回収位置を特定し、シリアル番号のトラッキングが可能な紙幣処理システムの構成を例にとって説明する。なお、紙幣収納部100は、本発明の紙葉を収納する収納部に相当する。また、シリアル番号とは、紙幣の場合には、同じ金種で重複しないようにシリアル番号が付されており、これが本発明におけるシリアル番号に相当し、さらに、紙葉が前記金銭的価値を有する情報を含むバーコードの場合においては、バーコード発行時に、そのバーコードに含ませる他のバーコードと重複しないシリアル番号が、これに相当する。なお、本実施形態では、本発明を紙幣に適用した場合について説明する。
紙葉処理装置1の投入口から紙幣が投入されると、紙幣収容部100に収容される前に、紙幣読取器8によって紙幣の画像データが読み取られる。真贋判定部230の真贋判定によって画像データから真正な紙幣と判定された場合に、画像データから金種、シリアル番号などの紙幣情報が取得される。この紙幣情報が、紙葉処理装置1のリーダライタ142によって記憶部104に記憶される。さらに、記憶部104に記憶された紙幣情報と紙幣収容部100ごとに登録された管理用の識別番号(以下、適宜に「ID」と称す)とが関連付けられて紙葉処理装置1から管理サーバ800に送信される。
管理サーバ800は、RAMまたはハードディスクなどの記憶部に紙幣収容部100のIDと紙幣情報を記憶する。
管理サーバ800は、ホール内のスロットマシン1010のレイアウトと当該レイアウト上の各スロットマシン1010に備わった紙幣収容部100のIDを関連付けて記憶させた図62に示すカジノホールの全体のフロアマップ1810のマップデータを記憶部に格納している。すなわち、フロアマップ1810上でスロットマシン1010の位置と紙幣収容部100のIDが確認できるように構成されている。表示装置にフロアマップを表示したとき、図63に示すように、一部のフロアを拡大表示することが可能に構成されている。また、管理サーバ800は、例えばマップデータ上のスロットマシン1010の位置に当該スロットマシン1010ごとに備えられた紙幣収容部100のIDが含まれており、このマップデータのIDとデータベースに含まれるIDとを関連付けて記憶している。
前述したように、シリアル番号を含む紙幣情報と、紙幣収容部100ごとに登録された管理用の識別番号とが関連付けられて紙葉処理装置1から管理サーバ800に送信され記憶部104に記憶するようにしているという処理が実行されている結果、紙幣のシリアル番号に基づいてフロアのマップデータ上での紙幣収納部100への回収位置を特定することが可能になっている。
例えば、本実施形態の紙葉処理システムをカジノに適用した場合、不正行為を働く可能性があるのは、遊技者と店員である。紙幣回収部100は、カジノテーブルにおけるディーラの近くに設置され、適宜タイミングで回収者によって回収されるので、フロア上のどの位置に設置されていた紙幣収納部100で収納された紙幣なのかを特定することは、不正者を発見するために重要な情報である。
また、紙幣が真正な紙幣から偽札にすり替えられることも想定されるが、このような場合であっても、紙幣収納部100に存在するはずの紙幣が記憶部104を参照することによって存在しないことを監視処理することが可能である。したがって、その入れ替えられた紙幣が収納された紙幣収納部100の位置を特定することができる。よって、不正者や不正現場の特定のために、不正行為のあった紙幣収納部100の移動軌跡を監視カメラで追跡すれば、不正行為の発見に寄与することができる可能性がある。
なお、データベースは、管理サーバ800が紙幣情報を受信するごとに、例えば、投入日時、金種、シリアル番号、IDを記録して作成されている。したがって、管理者は、管理装置353から当該データベースにアクセスし、図61に示すように、表示装置にデータベースの情報を表示して確認することができる。
したがって、上記構成によれば、上位装置に相当する管理装置353の表示装置に管理サーバ800に格納されたフロアマップまたはデータベースを表示することにより、スロットマシン1010に投入された紙幣の位置を、紙幣収納部100のIDとの関係から、シリアル番号を通じて確認することができる。換言すれば、管理サーバ800は、複数個の紙幣収容部100に収容されている全ての紙幣をシリアル番号によって管理することができるので、金種のみでは検出することができなかった、紙幣収容部100に回収された後に偽札と真正な紙幣との交換を検出することができる。また、従来の装置およびシステムであれば、紙幣収容部100の真正な紙葉が同一金種の偽札と交換されるといった不正行為があった場合、紙幣収容部内の紙幣を回収することにより紙幣が外部に流通してしまう恐れがあったが、この実施形態によれば、偽札が外部に流出するのを未然に防止することが可能となる。より詳しくは、投入口から紙幣収納部100に投入された紙幣が、当初真正な紙幣であったにも関わらず、途中で、偽札と交換されてしまった場合、管理サーバ800での集計の際に、紙幣収納部100に収納された紙幣のシリアル番号を再度に読み取ることになる。その結果、仮に不正行為があったとすると、投入の際のシリアル番号と集計時のシリアル番号の不一致が判定される。そして、投入の際に存在しなかったシリアル番号の紙幣が偽札である可能性が高いと判定することができる。
第3実施形態は、上記実施形態に限定されず、以下のような実施形態を開示している。
(1)この実施形態は、不正者が不正行為によって入手した紙幣を利用し、ホール内のスロットマシン1010でゲームをプレイした場合、当該不正使用の利用を検出することが可能な構成である。具体的には、上記の第3実施形態において、同一のシリアル番号が存在するか否を判定可能にすればよい。
例えば、管理サーバ800は、図38に示すように、記憶部801およびシリアル番号比較部802を備える。各部の構成については、紙葉処理システムの処理において詳述する。なお、シリアル番号比較部802は、本発明のシリアル番号を比較する比較部に相当する。また、記憶部801は、本発明の投入者の顔の画像とシリアル番号を関連付けて記憶する記憶部に相当する。さらに、管理サーバ800は、本発明の制御部に相当する。
管理サーバ800は、各スロットマシン1010から送信されてくる紙幣情報を記憶部801に記憶する。この紙幣情報には、例えば、紙幣収容部100のID、紙幣を投入した日時、金種およびシリアル番号などが含まれている。管理サーバ800は、紙幣情報を受信して記憶するごとに、記憶部801に記憶部済みシリアル番号をシリアル番号比較部802に読み出し、受信したシリアル番号と比較する。比較の結果、同一のシリアル番号が検出された場合には、管理サーバ800は、不正な紙幣であると判定する。
この構成によれば、紙幣収容部100に収納された真正な紙幣と同じシリアル番号の紙幣が、他のスロットマシンの紙幣収容部100から検出されているので、紙幣収容部100に収容済みの紙幣が、当該紙幣収容部100から不正に抜き取られたものと判定することができる。また、紙幣の回収の際に記憶部に記憶されたシリアル番号と紙幣収容部100に収納されている紙幣のシリアル番号とを比較し、シリアル番号が一致しない場合、その紙幣を管理者側が管理することにより、偽物と疑わしい紙葉を外部へ流通させるのを防止することが可能となる。
(2)この実施形態は、上記(1)の実施形態において、不正な紙幣が検出された場合に、比較結果を報知する場合を例にとって説明する。
管理サーバ800は、各スロットマシン1010から送信されてくる紙幣情報に含まれるシリアル番号を管理サーバ800の記憶部に既に記憶されたシリアル番号と比較する。比較の結果、同一のシリアル番号が見つかった場合には、管理サーバ800は、不正な紙幣と判定し、不正行為の検出を管理するデータベースを更新する。例えば、図61に示すように、投入日時、金種、シリアル番号を記録し、管理装置353からアクセスして閲覧可能にしている。また、管理サーバ800は、不正な紙幣の利用されたスロットマシン1010の位置を図63に示すフロアマップ1810にマーキングしたマップデータを作成する。このマップデータは、例えばHTMLなどによって作成されたマップ画像であって、管理者のみがネットワークを介して閲覧可能にされている。なお、複数台のスロットマシン1010でシリアル番号が異なる不正な紙幣の利用が検出された場合には、異なるシリアル番号ごとにマーキングの色を変更したり、或いは金種などを表示したりして識別可能となるよう適宜に設定変更される。
その後、管理サーバ800は、不正な紙幣の利用を報知するメッセージをメール形式などによって管理装置353に送信する。管理者または係員が管理装置353を操作して報知のメッセージを確認し、管理サーバ800に記憶されたデータベースを参照する。また、管理者などは、データベースの備考欄に添付されたURLを介してフロアマップを表示装置に表示さる。
この構成によれば、不正な紙幣が利用された時間と場所を特定することができる。なお、同じシリアル番号の紙幣が、複数台にわたって利用された場合、位置情報と時間情報をマップデータに反映させ、利用したスロットマシン1010の位置を時系列的に結ぶことにより、行動パターンを解析することもできる。
(3)この実施形態では、スロットマシン1010に装備された紙葉処理装置1の紙幣収容部100に収容されている紙幣が、不正を行う者によって偽札に交換された場合、当該偽札を検出可能な紙幣処理システムの構成を例にとって説明する。
(紙幣処理システムの処理)
次に、紙幣処理システムについて詳述する。図37は、偽札を検出、回収および管理可能な構成の処理の手順を示した処理フローである。なお、上記各実施形態と同一である処理についてはその処理の説明を省略し、異なる部分の処理について詳述する。すなわち、紙葉処理装置1における取得データおよび管理サーバ800での処理が異なるので、装置間の信号およびデータ送信の流れに沿って詳述する。
紙葉処理装置1に紙幣が投入されると(ST2000)、紙幣収容部100に収容される前に、紙幣読取器8によって紙幣の画像データが読み取られる(ST2001)。真贋判定部230の真贋判定によって画像データから真正な紙幣と判定された場合に(ST2002)、画像データから金種、シリアル番号などの紙幣情報が取得される。この紙幣情報が、リーダライタ142によって記憶部104に記憶される(ST2003)。さらに、記憶部104に記憶された紙幣情報と紙幣収容部100ごとに登録された管理用の識別番号(以下、適宜に「ID」と称す)とが関連付けられて紙葉処理装置1から管理サーバ800に送信される。
管理サーバ800は、RAMまたはハードディスクなどの記憶部に紙幣収容部100のIDと関連付けられた全てのシリアル番号を記憶する(ST2004)。
また、紙葉処理装置1において、紙幣収容部100に紙幣が収容されるごとに紙幣の枚数が計数される(ST2005)。紙葉処理装置1は、予め決めた紙幣収容部100に収容可能な枚数の設定値と計数値を比較し、計数値が設定値に達すると(ST2006)、検知信号を管理サーバ800に送信する。管理装置353は、管理サーバ800のデータに基づいて各種情報を表示装置に表示する。
データを受信した管理装置353は、紙幣で満杯になった紙葉処理装置1を管理者に回収させるためのメッセージを表示装置に表示する(ST2007)。例えば、メッセージには、この紙葉処理装置1を備えたスロットマシン1010の位置が特定可能な図62および図63に示すカジノホールのフロアマップなどの位置情報も含まれている。
管理装置351の報知メッセージを確認した係員が、特定されたスロットマシン1010に向かい内部から紙幣収容部100を回収する(ST2008)。係員は、紙幣計数器360(図36参照)に備わった図示しないリーダライタによって記憶部104のIDを読み取り、その後に収容されている紙幣を紙幣計数器360に移し替えて計数させる。この紙幣の計数過程で、紙幣計数器360に備わったラインセンサによって、全ての紙幣のシリアル番号が読み取られる(ST2009)。読み取られた全てのシリアル番号は、取得済みのIDと関連付けられて管理サーバ800に送信される。
管理サーバ800は、紙葉処理装置1から送信されたIDと一致するIDのシリアル番号を記憶部から読み出し、両シリアル番号の比較処理を実行する(ST2010)。比較処理の結果、全てのシリアル番号が一致していた場合には、当該処理を終了する。一致しないシリアル番号が検出された場合または識別不能な紙幣以外の紙葉などが検出された場合には、エラー表示コマンドを作成して管理装置353に送信する(ST2011)。なお、エラー表示コマンドを管理装置353に送信するとき、比較結果であるシリアル番号の照合リストデータも送付する。
エラー表示コマンドを受信した管理装置351は、回収した紙幣に不正な紙幣が紛れていることを表示装置に表示する(ST2012)。このとき、警告メッセージまたは警告メッセージとシリアル番号を含む照合リストなどを表示装置に表示する。管理者または係員は、警告メッセージとともに送信されてきた照合リストを参照し、シリアル番号が一致しない不正な紙幣などを回収する。以上で一連の処理が終了する。
この構成によれば、紙幣計数器360に紙幣を回収するときに、紙幣収容部100に備わった記憶部104に記憶されているシリアル番号と実際に紙幣収容部100に収容されている紙幣とを比較し、一致しない場合には、その紙幣などを管理者が回収して管理することによって、偽札として疑わしい紙幣を外部に流通させるのを未然に防止することができる。
(4)上記第2実施形態と同様に、挿入検知センサ7によって紙幣の投入が検知されたとき、PTS端末700に備わった人体検出カメラ712、713を作動制御し、投入者を認証可能なように顔が視野に収まるように撮像し、取得した認証画像と紙幣のシリアル番号を関連付けて記憶するように構成してもよい。
この構成によれば、不正な紙葉のシリアル番号と当該紙葉を紙葉処理装置に投入した投入者の認証画像とが関連付けて記憶部に記憶されるので、不正を行った者を特定することができる。
(5)この実施形態では、上記ゲームシステムにおいて、複数台のスロットマシン1010のいずれかで新種の偽札または偽札として疑わしい紙幣が検出されたとき、同じ偽札などがホール内の他のスロットマシン1010で検出することが可能な構成である。なお、スロットマシン1010に備わった紙葉処理装置1は、上記各実施形態に記載された紙葉処理装置1と同じ構成であるので、上記各実施形態の同一である処理ステップ(図9から図11などのST01からST31,ST40、ST50)についてはその処理の説明を省略し、異なる部分の処理ステップについて詳述する。すなわち、管理サーバ800の処理が異なるので、図40に示す報知処理を含む管理サーバ800の処理フローおよび図39に示す装置間の信号およびデータ送信の流れに沿って詳述する。
図39に示すように、画像データ比較処理によって投入された紙幣の同一画像データが3回以上検知されると(ST3000)、PTS端末700によって報知前処理が実行された後(ST3001)、紙幣の画像データと検知信号が管理サーバ800に送信される。
図39および図40に示すように、管理サーバ800は、PTS端末700から検知信号および画像データを受信したかどうかをモニタする(ST71;NO)。管理サーバ800が検知信号および画像データを受信した場合には(ST71;YES)、管理サーバ800はROMなどの記憶部に格納している偽札の辞書データの登録画像データと受信した画像データの比較処理を実行する(ST3002,ST72)。この辞書データは、市場で流通済みの複数種類の偽札の画像データを含んでいる。
紙幣の画像データと登録画像データとの比較処理の結果、同一の画像データが見つかった場合には(ST73;YES)、偽札を示すエラーとは異なるエラーを表示させるためのエラー表示コマンドAを生成し、検知信号の送信元のPTS端末700にこのエラー表示コマンドAを送信する(ST75)。なお、管理サーバ800は、管理装置353にエラー表示コマンドBまたは警告メッセージをメール形式など送信し、管理装置353から管理サーバ800にアクセスしてエラーを確認できるように構成してもよい。
紙幣の画像データと登録画像データとの比較処理の結果、同一の画像データが見つからない場合、すなわち、新規の画像データである場合には(ST73;NO)、管理サーバ800は管理サーバ内の記憶部に格納した偽札の辞書データの更新を実行する(ST3003,ST74)。この更新処理は、辞書データのデータベースに設けられた項目を自動で記録してゆく。例えば、コード、検出した日付、時刻および画像データ、およびシリアル番号など予め決めた項目である。新種の偽札であるので、コードネームなどは、管理者が後で入力したり適宜に変更がしたりすることになる。
辞書データの更新登録の処理が完了すると、処理ステップST75において偽札を示すエラーとは異なるエラーを表示させるためのエラー表示コマンドAを生成する(ST3004、ST75)。各エラー表示コマンドAの生成が完了すると、管理サーバ800は、PTS端末700エラー表示コマンドAを送信する。このとき、管理サーバ800は、検知信号を送信してきたPTS端末700を備えたスロットマシン1010にエラー表示コマンドAを送信する。以上で、管理サーバ800における一連の報知後処理が完了する。
辞書データの更新を完了した管理サーバ800は、全てのスロットマシン1010から送信される画像データから登録済みのシリアル番号と同一の紙幣が投入されたかどうかのモニタを開始することができる(ST3005)。
なお、画像データと検出信号を送信してきたスロットマシン1010AのPTS端末700のLCD719には、エラー表示コマンドAに応じたエラーが表示される(ST3004)。このエラー表示によって、プレーヤは、係員を呼び出す(ST3004)。係員は、スロットマシン内部に保留された紙幣に代えて真正な紙幣をプレーヤに渡した後に、エラーの解除処理を行う(ST3006)。
この構成によれば、ホール内に設置された複数台にスロットマシン1010のいずれかで、偽札の辞書データに未登録の偽札または偽札として疑わし紙幣が検出されたとき、この偽札に印刷されたシリアル番号が読み取られる。このシリアル番号と画像データなどと関連付けされ、管理サーバ内の辞書データが更新される。したがって、辞書データの更新登録後に各スロットマシン1010で真贋判定を実行する際、新規に登録したシリアル番号と一致する紙幣があるどうかを管理サーバ800でモニタすることによって、新規の偽札の利用を即時に防止することができる。
<第4実施形態>
この実施形態では、上記ゲームシステムにおいて、多数枚の高額紙幣(例えば、US100ドル紙幣)を一台のスロットマシンに投入し、投入紙幣が真贋判定によって真正な紙幣として判断された場合であるが、投入金額に見合わない少額の掛け金でゲームを数回プレイしてペイアウトして換金するとき、偽札として疑わし紙幣を換金(所謂マネーロンダリング)したものとして管理者に報知する構成である。なお、本実施形態において、管理サーバ800は、本発明の判定部に相当する。
この構成については、図9から図11に示すフローチャートおよび図41から図45のフローチャートなどに沿って説明する。図41はゲームシステムにおける各装置間における信号の流れを示した模式図である。図42はスロットマシンの通常ゲーム処理の手順を示したフローチャートである。図43は払出し開始処理の手順を示したフローチャートである。図44は不正判定処理の手順を示したフローチャートである。図45は払出し処理の手順を示したフローチャートである。
図9および図41に示すようにビルエントリー22を通じて紙葉処理装置1に紙幣の投入が開始されると(ST4000)、処理ステップST22およびST23で真贋判定(ST4001)によって真正と判定され紙幣(真券)は、投入金額が加算された金額情報(ST4002)が、逐次にPTS端末700に送信される。その後に、金銭情報は、PTS端末700からスロットマシン1010に送信されるとともに、ゲームコントローラを介して管理サーバ800にも送信される。
紙幣の投入が完了すると、プレーヤがゲームを開始する(ST4003)。例えば、図42に示す通常ゲーム実行処理が開始される。すなわち、単位ゲームをするのに必要なクレジット数の紙幣が投入されると、スロットマシン1010はゲームの開始を許容する。ここで、開始されるゲームとして通常ゲーム処理を例にとって説明する。
(通常ゲーム実行処理)
上記構成のスロットマシン1010の動作について説明する。スロットマシン1010のメインCPU1071により通常ゲームにおいて実行される処理の一例を示す。なお、スロットマシン1010では、ゲームプログラムなどが読み出され、初期化処理などが行われている。
まず、メインCPU1071は、クレジット要求処理を実行する(ST1001)。メインCPU1071は、紙幣やクレジット数が印刷されたチケットによりクレジットが投入されたか否かを判断する。メインCPU1071は、投入を検出した場合、投入数分のクレジット数をクレジット数カウンタに加算する。また、メインCPU1071は、クレジット数カウンタの値が「0」であるか否かを判断する。メインCPU71は、「0」でないと判断した場合、クレジット数カウンタの値に応じて、BETボタンの操作(BET操作)を受付可能に制御し、ST1002に処理を移す。
メインCPU1071は、BET操作された否かを判定する(ST1002)。この処理においてメインCPU1071は、BETボタンが操作された際にBETスイッチから出力される入力信号を受信したか否かを判定する。メインCPU1071は、BETボタンを操作されていないと判定した場合には(ST1002;NO)、ST1001に処理を戻す。メインCPU1071は、BETボタンを操操作されたと判定した場合には、(ST1002;YES)、ST1003に処理を移す。
BETボタンを操作されたと判定した場合、メインCPU1071は、BET操作に応じて、RAM1073に設けられているBET数記憶領域に格納されている値を更新(BET数カウンタの値を加算、クレジット数カウンタの値を減算)し、スタートボタン1046の操作(スタート操作)を受付可能に制御し、ST1004に処理を移す。
次に、メインCPU1071は、スタートボタン46がONされたか否かを判定する(ST1003)。この処理に置いて、メインCPU71は、スタートボタン46が押圧された際にスタートスイッチ1046Sから出力される入力信号を受信したか否かを判定する。スタートボタン1046がONされていないと判定した場合には(ST1003NO)、ST1001に処理を戻す。なお、スタートボタン46がONされなかった場合(例えば、スタートボタン46がONされずにプレイを終了する旨の指示が入力された場合)には、メインCPU71は、ST1004における減算結果をキャンセルする。
スタートボタン1046がONされたと判定した場合には(ST1004;YES)、スタートボタン1046の操作が行われたことによって発せられた操作信号が例えば計数器252によって計数され(ST4004)、ゲーム数が加算された計数値がRAM1073で受信される(ST1005)。この受信した計数値が、RAM1073の所定のメモリ領域に記憶されるとともに、PTS端末700および管理サーバ800に送信される。
その後に通常ゲーム用シンボル決定処理を実行する(ST1006)。通常ゲーム用シンボル決定処理では、シンボルの停止時におけるコード番号を決定する。例えば、取得した乱数値に基づいて、各シンボル列の停止時におけるコード番号を決定する。
次に、メインCPU1071は、スクロール表示制御処理を行う(ST1007)。この処理は、シンボルのスクロールを開始した後、ST1006において決定されたシンボルで再配置されるように、表示制御する処理である。
次に、メインCPU1071は、ST1006によって決定されたシンボルが再配置されることによって賞が成立したか否かを判定する(ST1008)。
賞が成立したと判定した場合には(ST1008:YES)、メインCPU1071は、払出に係る処理を行う(ST1009)。この処理においてメインCPU1071は、RAM1073に記憶されているオッズデータを参照し、有効ライン上に再配置されたシンボルの個数に基づいて、配当倍率を決定する。オッズデータは、有効ライン上に再配置されたシンボルの個数と、配当倍率との対応関係を示すデータである。なお、2倍ワイルドシンボルが再配置され、これに係るウインが成立している場合には、配当が2倍に乗算される。
賞が成立していないと判定した場合(ST1008:NO)、または、払出処理(ST1009)を実行した後に、メインCPU1071は、フリーゲームがトリガされているか否かを判定する(ST1010)。フリーゲームがトリガされている場合には、フリーゲームが開始される(ST1011)。フリーゲームがトリガされていない場合またはフリーゲームが実行されると、本ルーチンが終了される。
(払出し開始処理:ST4005)
次に、プレーヤがゲームを終了する場合、キャッシュアウトボタン1032が、操作された否かが判定される。キャッシュアウトボタン1032の押圧によって払出確定信号が発せられた場合には(ST1321;YES)、先ず、不正判定処理(ST1322)が実行される。この不正判定処理の実行後に払出し処理が実行される(ST1323)。なお、キャッシュアウトボタン1032と管理サーバ800によって本発明のペイアウトを検出する検出器として機能する。
(不正判定処理)
PTS端末700から送信された払出確定信号を受信した管理サーバ800は、図44に示すように、紙幣投入開始時にPTS端末700を介して紙葉処理装置1から送信され、RAMに記憶しておいた合計金額とROMに予め格納されている設定金額の読み出し処理を実行する(ST1341)。設定金額は、例えばUSドルの場合、投入者が1回に投入する一般的な金額を超える1000万ドルなど高額に設定されている。
管理サーバ800のCPUは、RAMから読み出した合計金額と設定金額の比較処理を実行する。比較の結果、合計金額が設定金額未満の場合には(ST1342;NO)、本ルーチンを終了する。合計金額が設定金額以上の場合(ST1342;NO)、ST1344の処理に移行する。
ST1343において、CPUは、払出し処理時までに計数された実ゲーム数をRAMから読み出すとともに、ROMに予め格納した設定ゲーム数を読み出す読出し処理を実行する。
CPUは、読み出した実ゲーム数と設定ゲーム数の比較処理を実行する。実ゲーム数が設定ゲーム数を超える場合には(ST1344;NO)、管理サーバ800は、異常なしの判定信号をPTS端末700に送信して本ルーチンを終了する。実ゲーム数が設定ゲーム数以下の場合には(ST1344;YES)、ST1347に移行する。
ST1345において、CPUは、さらにゲーム開始前の合計金額とゲーム終了時の残額から合計金額の増減率の算出処理を実行する。例えば、増減率は、増減率={(ゲーム終了時の残額−開始前の投入額)/開始前の投入額}×100によって求めることができる。勿論、この増減率の算出式には本発明は限定されず、増減が数値的に示されるあらゆる式が適用することができる。増減率が算出されると、CPUは、この算出結果とROMに予め格納した基準増減率(例えば、マイナス数%以下)の比較処理を実行する。算出結果が基準増減率を超える場合には(ST1346;NO)、管理サーバ800は、異常なしの判定信号をPTS端末700に送信して本ルーチンを終了する。算出結果が基準増減率以内である場合、管理装置352およびキオスク端末1700などの上位装置に報知信号を送信し、本処理が終了する(ST1347)。
(払出し処理:ST4006)
図45は、払出し処理を示すフローチャートである。先ず、PTS端末700の払出し画面は、図46に示すように、カードボタン740を有しており、このカードボタン740が押圧操作されることによるデータ入力の受け付けが開始される(ST1361)。カードボタン740が押圧されることによって、カード支払い処理が開始される(ST1362)。すなわち、ICカードへの振込み処理(払出し処理ST4007)が開始される。このとき、PTS端末700は、図41に示す管理サーバ800から不正判定処理(ST4008)後の判定信号を受信の有無をモニタしている(ST1363)。PTS端末700が判定信号を所定時間内に受信しなかった場合には(ST1363;NO)、払出し処理が確定し、PTS端末700を介して管理サーバ800とICカードに金額が送信される(ST1364)。この後、本ルーチンが終了される。
不正判定処理(ST4008)の判定結果によって不正であると判定された場合には(ST1363;YES)、報知信号を管理サーバ800から管理装置353に送信する。管理装置353は、検知信号の受信に応じて管理サーバ800の判定結果を参照し(図41のST4009,図45のST1365)、以上で本ルーチンを終了する。本実施形態において、上記各実施形態と同様に、紙幣投入時にPTS端末700に備わった人体検出カメラ712,713によって投入者の顔を視野に収めて撮像した認証画像データを管理サーバ800に送信し、管理サーバ800から報知信号を管理装置353に送信するときに一緒に認証画像データを送信してもよい。なお、PTS端末700のLCD719に「システムエラー」など判定結果とは関連性のないエラーを表示させてもよい。
上記実施形態の構成によれば、スロットマシン1010への一般的な投入金額をはるかに超える金額となる多数枚の紙幣が紙葉処理装置1に投入された場合において、スロットゲームを数回プレイしてICカード500への払出し処理が行われたとき、不正な紙幣を真正な紙幣と同等の価値を有する媒体であるICカード500に換金して持ち出す、所謂マネーロンダリングが行われたと判定することができ、ひいては不正に換金されてICカード500が持ち出されるのを防止するとともに、管理者に不正行為を行った投入者を確認させることができる。
(ゲームシステムの構成)
次に、図24に示すゲームシステム構成する各装置などの具体的な構成について詳述する。
外部制御装置621は、複数のスロットマシン1010を制御するものである。本実施形態において、外部制御装置621は、複数のスロットマシン1010を有する遊技施設に設置されている所謂ホールサーバである。各スロットマシン1010にはそれぞれ固有の識別番号が付されており、外部制御装置621は、識別番号により、各スロットマシン1010から送られてくるデータの出所を判別している。また、外部制御装置621からスロットマシン1010にデータを送信する場合にも、識別番号を用いて送信先を指定している。
なお、ゲームシステム350は、カジノなどの様々な遊技を行うことが可能な1つの遊技施設内に構築されてもよいし、複数の遊技施設間に構築されてもよい。また、1つの遊技施設内に構築される場合には、遊技施設のフロアやセクションごとにゲームシステム350が構築されてもよい。通信回線3001は、有線であっても無線であってもよく、専用回線または交換回線などを採用することが可能である。
図25に示すように、ゲームシステムは、管理サーバブロック、顧客端末ブロック、スタッフ端末ブロックの3つに大別される。管理サーバブロックは、カジノホールサーバ850と、為替サーバ860と、カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ870と、ダウンロードサーバ880と、を有している。
カジノホールサーバ850は、スロットマシン1010が設置されたカジノホール全体を管理するサーバである。為替サーバ860は、為替情報などを基に、為替レートデータを作成するサーバである。カジノ・ホテルスタッフ管理サーバ870は、カジノホール、もしくはカジノホールと関係するホテルのスタッフを管理するサーバである。ダウンロードサーバ880は、例えば、ゲームに関する情報やニュースなどの最新情報をダウンロードして、各種スロットマシン1010のPTS端末700を通してプレーヤに報知するサーバである。
また、管理サーバブロックは、会員管理サーバ810と、ICカード&金銭管理サーバ820と、メガバックスサーバ830と、画像サーバ840と、を有している。
会員管理サーバ810は、スロットマシン1010を遊技するプレーヤの会員情報などを管理するサーバである。ICカード&金銭管理サーバ820は、スロットマシン1010で使用されるICカード500を管理するサーバである。具体的には、ICカード&金銭管理サーバ820は、端数現金データを識別コードに対応させて記憶したり、PTS端末700に端数現金データを出力したり、するサーバである。なお、ICカード&金銭管理サーバ820は、デノミレートデータなども作成、管理している。メガバックスサーバ830は、例えば、複数のカジノホールなどに設置された複数のスロットマシン1010の掛け金の総合計が配当となるゲームであるメガバックスを管理するサーバである。画像サーバ840は、例えば、ゲームに関する画像やニュースなどの最新画像をダウンロードして、各種スロットマシン1010のPTS端末700を通してプレーヤに報知するサーバである。
顧客端末ブロックは、スロットマシン1010と、PTS端末700と、精算機750と、を有している。PTS端末700は、スロットマシン1010に取り付け可能となっており、管理サーバ800と相互通信可能になっている。精算機750は、プレーヤが所有するICカード500に記憶された現金データを換金して精算したり、コインや紙幣Tなどを現金データとしてICカード500に記憶させたりする機械である。
スタッフ端末ブロックは、スタッフ管理端末900と、会員カード発券端末950と、を有している。スタッフ管理端末900は、カジノホールのスタッフが各種スロットマシン1010の管理をする端末である。特に、本実施形態の場合、カジノホールのスタッフは、PTS端末700にストックされたICカード500の数が溜まり過ぎたり、不足したりしていないかを管理する。会員カード発券端末950は、カジノホールでゲームするプレーヤが、会員カードを発券する際に使用する端末である。
PTS端末700は、図26に示すように、PTSシステムに組み込まれている。スロットマシン1010に取り付けられたPTS端末700は、スロットマシン1010のゲームコントローラ1100、ビルバリコントローラ890および紙幣処理コントローラM200と通信可能に接続されている。
PTS端末700は、ゲームコントローラ1100との通信において、音や画像などによるゲームの演出やクレジットデータの更新などを行っている。また、PTS端末700は、ビルバリコントローラ890との通信において、精算時に必要なクレジットデータを送信している。
また、PTS端末700は、管理サーバ800と通信可能に接続されている。PTS端末700は、管理サーバ800との間において、一般通信ラインと追加機能通信ラインの2つのライン間で通信している。
PTS端末700は、一方の一般通信ラインにおいて、例えば現金データや識別コードデータ、プレーヤの会員情報などのデータを通信している。他方の追加機能通信ラインにおいて、PTS端末700は、新たに追加される機能に関する通信をしている。本実施形態の場合、PTS端末700は、追加機能通信ラインにおいて、エクスチェンジ機能と、ICカード機能と、生体認証機能と、カメラ機能と、電波を使用した固体識別をする機能であるRFID(Radio Frequency IDentification)機能と、に関する通信をしている。
以下に上記したゲーミングマシン、紙葉処理装置1、PTS端末700、およびキオスク端末1700の構成および関連する処理について詳述する。
(ゲーミングマシンの概要)
上記のように構成された紙葉処理装置1は、ゲーミングマシンに搭載されている。図47、図48および図24から図26に示すように、ゲーミングマシン300は、複数人参加型の構成にされており、ゲーム端末であるスロットマシン1010の複数台をデータ通信可能にセンターコントローラ621(外部制御装置)に接続する。そして、ゲーミングマシン300は、スロットゲームなどの通常ゲームを各スロットマシン1010で個別に実行可能にしているとともに、各スロットマシン1010間で同期を取って共通ゲームを実行可能にしてもよい。したがって、本実施形態では、共通ゲームが可能な場合を含めて説明する。なお、スロットマシン1010とセンターコントローラ621との接続は、有線および無線のいずれでもよいし、これらの組み合わせでもよい。また、ベット額の単位は、ドルや円、ユーロなどの国や地域の通貨であってもよいし、ゲーミングマシン300を備えたホールや業界だけで使用されるゲームポイントであってもよい。
上記の構成をより具体的に説明すると、ゲーミングマシン300は、外部からの入力が可能なインプットデバイスと、各々個別に通常ゲームを実行するとともに、複数のスロットマシン1010で実行される共通ゲームのプレーを行うために、各種の処理を実行するようにプログラムされた端末コントローラとを有する複数のスロットマシン1010と、複数のスロットマシン1010に対して通信可能に接続され、各種の処理を実行するようにプログラムされたセンターコントローラ621とを有している。
ゲーミングマシン300の端末コントローラは、インプットデバイスのスタート操作の入力により通常ゲームを実行する第1の処理と、センターコントローラ621からのゲーム開始指令により共通ゲームを実行する第2の処理と、センターコントローラ621からのゲーム結果情報に基づいて共通ゲームのゲーム結果を判定する第3の処理とを少なくともの実行可能になっている。
ゲーミングマシン300のセンターコントローラ621は、ゲーム実行条件を満たすスロットマシン1010に対してゲーム開始指令を所定のタイミングで出力する第1の処理と、共通ゲームのゲーム結果の決定を行う第2の処理と、第2の処理において決定されたゲーム結果をゲーム結果情報として順に各スロットマシン1010に出力する第3の処理とを少なくとも実行可能になっている。
ここで、『ゲーム実行条件』とは、共通ゲームに参加する資格を有するための条件であり、例えば、通常ゲームのベット額の累積値が最低ベット額以上であったり、通常ゲームのゲーム数が最低ベット回数以上であるなどの条件である。なお、『ゲーム実行条件』は、共通ゲームを開始する直前に、プレーヤの意思より条件を満たすことが可能にされている。例えば、通常ゲームのベット額の累積値が最低ベット額未満であることが原因でゲーム実行条件を満たしていない場合には、共通ゲームを開始する直前に、最低ベット額とベット額の累積値との差分が支払われたり、所定の条件成立額の支払いが行われることによって、ゲーム実行条件を満たした状態にされる。また、通常ゲームのゲーム回数の不足であれば、不足分に対応する額の支払いであったり、所定の条件成立額の支払いが行われることによって、ゲーム実行条件を満たした状態にされる。
また、ゲーム開始指令を出力する所定のタイミングは、いずれか1つのスロットマシン1010において共通ゲーム開始条件が成立したときである。ここで、『共通ゲーム開始条件』は、ベット額情報の累積値や通常ゲームのゲーム数の累積値などである。なお、本実施形態においては、スロットマシン1010とは別に、センターコントローラ621を備えたゲーミングマシン300を用いて説明するが、これに限定されるものではない。ゲーミングマシン300は、1以上のスロットマシン1010がセンターコントローラ621の機能を備え、スロットマシン1010同士が相互にデータ通信可能に接続された構成にされていてもよい。
上記の『スロットマシン1010』は、ゲーミングマシン300におけるゲーム端末の一種である。なお、本実施形態においては、スロットマシン1010をゲーム端末の一例として説明するが、これに限定されるものではなく、何らかの通常ゲームを独立して実行可能な端末コントローラを備えた機種をゲーム端末として適用できる。
本実施形態における『通常ゲーム』は、スロットマシン1010により実行される。通常ゲームは、複数のシンボル501を再配置するスロットゲームである。なお、通常ゲームは、スロットゲームに限定されるものではなく、スロットマシン1010などのゲーム端末において独立して実行可能なゲームであればよい。
スロットゲームにおけるシンボル501(図57参照)の再配置は、ディスプレイ614のシンボル表示領域614Aにおいて行われる。スロットゲームは、遊技価値のベットを条件として、シンボル501を再配置し、再配置されたシンボル501に応じた通常配当を付与する通常ゲームを実行する処理と、通常ゲームにおいてシンボル501が所定条件で再配置された場合、通常ゲームよりも大きなペイアウト率となる条件でシンボル501を再配置し、再配置されたシンボル501に応じたボーナス配当を付与するボーナスゲームを実行する処理と、レスキュー開始条件が成立した場合、レスキュー処理を実行する処理とを有している。
『シンボル501』は、特定シンボル503と通常シンボル502とで複数のシンボル501を構成している。すなわち、シンボル501は、特定シンボル503および通常シンボル502の上位概念である。特定シンボル503は、図57に示すように、ワイルドシンボル503Aとトリガシンボル503Bとを含む。ワイルドシンボル503Aは、任意の種類のシンボル501として代用することが可能なシンボルである。トリガシンボル503Bは、少なくともボーナスゲームの実行を開始させるトリガとなるシンボルである。すなわち、トリガシンボル503Bは、通常ゲームからボーナスゲームに移行させるトリガとなり、ボーナスゲームの実行を開始してから所定時間を置いて特定シンボル503を段階的に増加させるトリガとなる。さらに、トリガシンボル503Bは、ボーナスゲームにおいて特定シンボル503を増加、すなわち、トリガシンボル503Bおよびワイルドシンボル503Aの少なくとも一方の特定シンボル503を増加させるトリガとなる。なお、トリガシンボル503Bは、ボーナスゲームにおいてボーナスゲームのゲーム数を増加させるトリガとされてもよい。
『遊技価値』とは、コイン、紙幣Tまたはこれらに相当する電子的な有価情報である。なお、本発明における遊技価値は、特に限定されるものではなく、例えば、メダル、トークン、電子マネー、チケットなどの遊技媒体であってもよい。チケットは、特に限定されるものではなく、例えば、後述のバーコード付きチケットなどであってもよい。
『ボーナスゲーム』とは、フィーチャーゲームと同義である。本実施形態におけるボーナスゲームは、フリーゲームを繰り返すゲームとして説明しているが、ボーナスゲームは、通常ゲームよりも有利な遊技状態であれば、どのような種類のゲームであってもよい。また、プレーヤにとって有利な遊技状態、すなわち、通常ゲームより有利な遊技状態であれば、他のボーナスゲームを合わせて採用してもよい。例えば、ボーナスゲームは、通常ゲームより多くの遊技価値を獲得し得る状態、通常ゲームより高い確率で遊技価値を獲得し得る状態、通常ゲームより遊技価値の消費数が少なくなる状態などの各種の状態を単独や組み合わせて実現されてもよい。
『フリーゲーム』とは、通常ゲームよりも遊技価値のベットを少なく実行可能であるゲームのことである。『遊技価値のベットを少なく実行可能』は、ベットが“0”の場合を含む。したがって、『フリーゲーム』は、遊技価値のベットを条件とすることなく実行され、再配置されたシンボル501に応じた量の遊技価値を支払うゲームのことであってもよい。換言すれば、『フリーゲーム』とは、遊技価値の消費を前提とせずに開始されるゲームであってもよい。これに対し、『通常ゲーム』は、遊技価値のベットを条件として実行され、再配置されたシンボル501に応じた量の遊技価値を支払うゲームのことである。換言すれば、『通常ゲーム』とは、遊技価値の消費を前提として開始されるゲームのことである。
『再配置』とは、シンボル501の配置が解除された後、再びシンボル501が配置される状態を意味する。『配置』とは、シンボル501が外部のプレーヤに対して目視により確認可能な状態であることを意味する。
『再配置されたシンボル501に応じた通常配当』とは、再配置されたウィニングコンビネーションに対応する通常配当を意味する。また、『再配置されたシンボル501に応じたボーナス配当』とは、再配置されたウィニングコンビネーションに対応するボーナス配当を意味する。なお、『ウィニングコンビネーション』とは、賞を成立させることを意味する。
『通常ゲームよりも大きなペイアウト率となる条件』は、フリーゲームの実行やワイルドシンボルやトリガシンボルの増加や置換されたシンボルテーブルを用いてのゲームの実行などが例示される。
また、ゲーミングマシン300は、さらに、全てのスロットマシン1010の操作位置から視認可能な位置に設けられた共通ディスプレイ701を有しており、センターコントローラ621が、共通ゲーム開始条件が成立するまでの状態を、共通ディスプレイ701に表示してもよい。尚、『操作位置』とは、スロットマシン1010を操作するプレーヤの目線位置である。この構成を有したゲーミングマシン300によれば、共通ゲーム開始条件が成立するまでの状態が共通ディスプレイ701に表示されることによって、共通ゲームが開始されるまでの待ち時間を各プレーヤに予想させることができる。
(ゲーミングマシン300の機能フロー:スロットマシン)
上記のように構成されたゲーミングマシン300は、スロットマシン1010と、スロットマシン1010にデータ通信可能に接続された外部制御装置621(センターコントローラ)とを有している。外部制御装置621は、ホール内に設置された複数のスロットマシン1010にデータ通信可能に接続されている。
スロットマシン1010は、図47に示すように、BETボタン601とスピンボタン602とディスプレイ614とを有しているとともに、これらの各部を制御するゲームコントローラ1100を有している。なお、BETボタン601とスピンボタン602は、インプットデバイスの一種である。さらに、スロットマシン1010は、外部制御装置621とのデータ通信を可能にする送受信部652を有している。
上記のBETボタン601は、プレーヤの操作によりBET額を受け付ける機能を有している。スピンボタン602は、プレーヤの操作、すなわち、スタート操作により通常ゲームなどのゲームの開始を受け付ける機能を有している。ディスプレイ614は、各種のシンボル501や数値、記号などの静止画情報および演出映像などの動画情報を表示する機能を有している。ディスプレイ614は、シンボル表示領域614A、映像表示領域614Bおよび共通ゲーム表示領域614Cを有している。
シンボル表示領域614Aは、図57に示すシンボル501を表示する。映像表示領域614Bは、ゲーム進行中に実行される各種の演出映像情報を動画や静止画により表示する。共通ゲーム表示領域614Cは、例えばジャックポットゲームなどの共通ゲームを表示する。
ゲームコントローラ1100は、コイン投入・スタートチェック部603と、通常ゲーム実行部605と、ボーナスゲーム開始判定部606と、ボーナスゲーム実行部607と、乱数値抽出部615と、シンボル決定部612と、演出用乱数値抽出部616と、演出内容決定部613と、スピーカ617と、ランプ618と、入賞判定部619と、払い出し部620と、を有している。
通常ゲーム実行部605は、BETボタン601の操作を条件として通常ゲームを実行する機能を有している。ボーナスゲーム開始判定部606は、通常ゲームにおいて再配置されたシンボル501の組み合わせに基づいてボーナスゲームを実行するか否かを判定する。すなわち、ボーナスゲーム開始判定部606は、トリガシンボルが所定条件で再配置されたときに、ボーナスゲームに当籤したと判定し、次回の単位ゲームからボーナスゲームを実行するようにボーナスゲーム実行部607に処理を移行する機能を有している。
ここで、『単位ゲーム』とは、BETの受付開始から賞成立となり得る状態までの一連の動作である。例えば、通常ゲームの単位ゲームは、BETを受け付けるBETタイムと、停止されたシンボル501を再配置するゲームタイムと、配当を付与する払出処理の払出タイムと、をそれぞれ1回含む状態である。尚、通常ゲームにおける単位ゲームは、単位通常ゲームと言う。
ボーナスゲーム実行部607は、スピンボタン602の操作だけでフリーゲームを複数のゲーム数で繰り返すボーナスゲームを実行する機能を有している。
シンボル決定部612は、演出用乱数値抽出部616からの乱数値を用いて、再配置の対象となるシンボル501を決定する機能と、決定したシンボル501をディスプレイ614のシンボル表示領域614Aに再配置する機能と、シンボル501の再配置情報を入賞判定部619に出力する機能と、シンボル501の再配置の状態に基づいて演出指定信号を演出用乱数値抽出部616に出力する機能と、を有している。
演出用乱数値抽出部616は、シンボル決定部612から演出指令信号を受けた場合に、演出用乱数値を抽出する機能と、演出用乱数値を演出内容決定部613に出力する機能と、を有している。演出内容決定部613は、演出用乱数値を用いて演出内容を決定する機能と、決定した演出内容の映像情報をディスプレイ614の映像表示領域614Bに出力する機能と、決定した演出内容の音声・発光情報をスピーカ617およびランプ618に出力する機能と、を有している。
入賞判定部619は、ディスプレイ614において再配置された表示状態であるシンボル501の再配置情報が得られた場合に、入賞の有無を判定する機能と、入賞したと判定したときに入賞役に基づいて払い出し量を算出する機能と、払い出し量に基づいた払い出し信号を払い出し部620に出力する機能と、を有している。払い出し部620は、コインやメダル、クレジットなどの形態で遊技価値をプレーヤに払い出す機能を有している。また、払い出し部620は、後述するPTS端末700に挿入されたICカード500に記憶されたクレジットデータに、払い出されるクレジットに応じたクレジットデータを加算する機能を有している。
さらに、ゲームコントローラ1100は、各種のBET額データを記憶する図示しない記憶部を有している。記憶部は、ハードディスク装置やメモリなどのデータを書き替え可能に記憶する装置である。
さらに、ゲームコントローラ1100は、共通ゲーム実行部653を有している。共通ゲーム実行部653は、通常ゲームでBETされたBET額に基づいたBET額情報を単位ゲーム毎に外部制御装置621に出力する機能と、外部制御装置621からのゲーム開始指令により共通ゲームを実行する機能と、共通ゲームに対してBET可能な共通ゲーム用のBET額データに対応するBET額についてBETボタン601によるBET入力を受け付ける機能と、を有している。
また、ゲームコントローラ1100は、PTS端末700と接続されている。PTS端末700は、図51に示すように、LCD719やマイク704・705、人体検出カメラ712・713(本発明の撮像装置に相当する)などが一体となったユニットであり、ゲームコントローラ1100および紙幣処理コントローラM200と相互通信することによって、例えばゲームの演出をする機能や紙葉処理装置M1における紙幣Tの払出しを操作可能にする機能を有する。PTS端末700には、カード挿入口706が設けられており、ICカード500を挿入できるようになっている。これにより、プレーヤは、カード挿入口706にICカード500を挿入して、ICカード500に記憶されたクレジットをスロットマシン1010で使用することができる。なお、PTS端末700の機械構成については、後述する。
また、ゲームコントローラ1100は、PTS端末700からクレジットデータを受信した際、ディスプレイ614のクレジット表示を更新する。さらに、ゲームコントローラ1100は、ゲームの精算があった場合に、PTS端末700に精算クレジットデータを出力する。
また、ゲーミングマシン300を構成する複数のスロットマシン1010がそれぞれ有するPTS端末700は、管理サーバ800と通信可能に接続されており、画像のダウンロードやICカード500やクレジットの管理を一括している。なお、管理サーバ800は、本発明の管理装置に相当する。
(ゲーミングマシン300の機能フロー:外部制御装置)
上記のように構成されたゲーミングマシン300は、外部制御装置621に接続されている。外部制御装置621は、各スロットマシン1010の動作状況や各種のゲーム設定値の変更などの処理を遠隔操作および遠隔監視する機能を備えている。さらに、外部制御装置621は、ゲーム端末毎に共通ゲーム開始条件を判定し、何れかのゲーム端末において共通ゲーム開始条件を満足する判定結果を得たときに共通ゲームを複数のスロットマシン1010で実行する機能を有している。
詳細に説明すると、図48に示すように、外部制御装置621は、共通ゲーム開始部6213と、ゲーム端末選択部6215と、送受信部6217とを有している。共通ゲーム開始部6213は、スロットマシン1010から単位ゲーム毎に送信されるベット額情報の累積値に基づいて共通ゲーム開始条件が成立するか否かを判定する機能と、複数のスロットマシン1010に対してゲーム開始指令を出力する機能と、共通ゲーム開始条件が成立するまでの状態を共通ディスプレイ701に表示する機能とを有している。
なお、共通ゲーム開始条件が成立するか否かの判定は、ベット額情報の累積値に基づいて行うことの他、単位ゲームの繰返しにより増加する全ての累積値に基づいて行うことができる。例えば、通常ゲームのゲーム回数や通常ゲームのゲーム時間などを累積値としてもよい。
さらに、共通ゲーム開始部6213は、通常ゲームの繰返しにより増加する累積値がゲーム実行条件を満たすスロットマシン1010に対してゲーム開始指令を出力する機能を有している。これにより、共通ゲーム開始部6213は、累積値が最低設定値未満であるスロットマシン1010に対して共通ゲームに参加する資格を付与しないため、プレーヤに対して通常ゲームを積極的に繰り返そうという意識を持たせることを可能にする。
さらに、共通ゲーム開始部6213は、スタート操作が行われない未入力時間を監視し、未入力時間がタイムアウト時間以上のスロットマシン1010を除いたスロットマシン1010に対してゲーム開始指令を出力する機能を有している。これにより、共通ゲーム開始部6213は、通常ゲームがタイムアウト時間以上に亘って実行されていないスロットマシン1010に対して、プレーヤが不在であると判定することが可能になり、ひいては、このようなスロットマシン1010に対する共通ゲームの実行を回避することを可能にする。
ゲーム端末選択部6215は、複数のスロットマシン1010の中から特定のスロットマシン1010を選択し、特定のスロットマシン1010に対して共通ゲーム開始指令信号を出力する機能を有している。送受信部6217は、スロットマシン1010との間でデータを送受信可能にする機能を有している。
(スロットマシンの機械構成)
図49を参照して、スロットマシン1010の全体構造について説明する。
スロットマシン1010では、遊技媒体として、コイン、紙幣Tまたはこれらに相当する電子的な有価情報が用いられる。特に、本実施形態では、ICカード500に記憶された現金データなどのクレジット関連データおよび紙幣Tが用いられている。
スロットマシン1010は、キャビネット1011と、キャビネット1011の上側に設置されたトップボックス1012と、キャビネット1011の前面に設けられたメインドア1013と、を備えている。
メインドア1013には、下側画像表示パネル1141(ディスプレイ614)が設けられている。下側画像表示パネル1141は、透明液晶パネルにより形成されている。下側画像表示パネル1141が表示する画面では、中央部に表示窓1150を有している。表示窓1150は、5列、4行の20個の表示ブロック1028により構成されている。各列の4個の表示ブロック28は、擬似リール1151〜1155を形成している。各擬似リール1151〜1155は、4個の表示ブロック1028が全体的に速度を変更しながら下方向に移動表示されることによって、各表示ブロック1028に表示されたシンボル501を縦方向に回転させた後に停止する再配置を行うことを可能にしている。
ここで、図57に示すように、表示窓1150の左側および右側には、ペイライン発生列が左右対称に配置されている。プレーヤ側から見て左側のペイライン発生列は、25個のペイライン発生部65L(65LA、65LB、65LC、65LD、65LE、65LF、65LG、65LH、65LI、65LJ、65LK、65LL、65LM、65LN、65LO、65LP、65LQ、65LR、65LS、65LT、65LU、65LV、65LW、65LX、65LY)を有している。
一方、右側のペイライン発生列は、25個のペイライン発生部65R(65RA、65RB、65RC、65RD、65RE、65RF、65RG、65RH、65RI、65RJ、65RK、65RL、65RM、65RN、65RO、65RP、65RQ、65RR、65RS、65RT、65RU、65RV、65RW、65RX、65RY)を有している。
ペイライン発生部65Lは、何れかのペイライン発生部65Rとペアを形成している。各ペイライン発生部65Lから、当該ペイライン発生部65Lとペアの関係にあるペイライン発生部65Rへと向かう線であるペイラインLが予め規定されている。なお、図57では、説明を行いやすくするために、ペイラインLを1個しか描いていないが、本実施形態では、ペイラインLは25個規定されている。
上記のペイラインLは、ペイライン発生部65L・65R間を結ぶことにより有効化される。それ以外の場合は、無効化されている。ペイラインLの有効数は、BET額に基づいて決定される。最大のBET額であるMAXBETの場合においては、最大数である25個のペイラインLが有効化される。有効化されたペイラインLは、各シンボル501についての各種のウィニングコンビネーションを成立させる。ウィニングコンビネーションの詳細については後述する。
なお、本実施形態では、スロットマシン1010が所謂ビデオスロットマシンである場合について説明しているが、本発明のスロットマシン1010は、所謂機械式リールを一部の擬似リール1151〜1155に代用してもよい。
さらに、図49に示すように、下側画像表示パネル1141の前面には、タッチパネル1069が設けられていて、プレーヤはタッチパネル1069を操作して各種の指示を入力することができる。タッチパネル1069から入力信号がメインCPU1071(図49を参照)に対して送信される。
下側画像表示パネル1141の下方には、コントロールパネル1030が配置されている。コントロールパネル1030は、各種ボタンをはじめ、コインをキャビネット1011内に受け入れるコインエントリー1021と、ビルエントリー1022とを備えている。ビルエントリー1022は、機内に収容された紙葉処理装置1に接続されている。
具体的には、コントロールパネル1030は、図50に示すように、リザーブボタン1031とキャッシュアウトボタン1032とゲームルールボタン1033とを向かって左側領域の上段に配置し、1−BETボタン1034と2−BETボタン1035と3−BETボタン1037と5−BETボタン1038と10−BETボタン1039とを左側領域の中段に配置し、プレイ2LINESボタン1040とプレイ10LINESボタン1041とプレイ20LINESボタン1042とプレイ40LINESボタン1043とMAX LINESボタン1044とを左側領域の下段に配置した態様で備えている。
さらに、コントロールパネル1030は、コインエントリー1021およびビルエントリー1022を向かって右側領域の上段に配置し、ギャンブルボタン1045とスタートボタン1046とを右側領域の下段に配置した態様で備えている。
上記のリザーブボタン1031は、席を離れたりする際や遊技施設の係員に両替を要求する際に用いられる操作ボタンである。キャッシュアウトボタン1032は、各種ゲームにおいて取得したクレジットに関するクレジットデータをPTS端末700に挿入されたICカード500に記憶されたクレジットデータに加算する、所謂精算ボタンである。また、キャッシュアウトボタン1032は、精算を紙幣で行うか否かをPTS端末700に表示や音声出力し、プレーヤに問い合わせる機能を備えている。ゲームルールボタン1033は、ゲームの操作方法などが不明な場合に押圧されるボタンであり、ゲームルールボタン1033が押圧されると、後述する上側画像表示パネル1131や下側画像表示パネル1141に各種のヘルプ情報が表示される。
1−BETボタン1034は、1回押圧する毎に、各有効ペイラインLに対して、プレーヤの現在所有するクレジットが1ずつBETされるボタンである。2−BETボタン1035は、各有効ペイラインLに対して、2BETでゲームを開始するためのボタンである。また、3−BETボタン1037は、各有効ペイラインLに対して、3BETでゲームを開始するためのボタンである。また、5−BETボタン1038は、各有効ペイラインLに対して、5BETでゲームを開始するためのボタンである。また、10−BETボタン1039は、各有効ペイラインLに対して、10BETでゲームを開始するためのボタンである。したがって、1−BETボタン1034、2−BETボタン1035、3−BETボタン1037、5−BETボタン1038、10−BETボタン11039の押圧により、有効ペイラインLの1ライン毎にBETされるBET数が決定する。
プレイ2LINESボタン1040は、押圧により、ペイラインLを有効化するボタンである。これにより、有効化されたペイラインLの本数が「2」となる。プレイ10LINESボタン1041は、押圧により、ペイラインLを有効化するボタンである。これにより、有効化されたペイラインの本数が「10」となる。プレイ20LINESボタン1042は、押圧により、ペイラインLを有効化するボタンである。これにより、有効化されたペイラインLの本数が「20」となる。プレイ40LINESボタン1043は、押圧により、ペイラインLを有効化するボタンである。これにより、有効化されたペイラインLの本数が「40」となる。さらに、MAX LINESボタン1044は、押圧により、ペイラインLを有効化するボタンである。これにより、有効化されたペイラインLの本数が最大の「50」となる。
ギャンブルボタン1045は、ボーナスゲームが終了した後などにギャンブルゲームに移行させたりする際に用いられる操作ボタンである。ここで、ギャンブルゲームとは、獲得したクレジットを使用して行われるゲームである。
スタートボタン1046は、シンボル501のスクロールを開始する際に用いられるボタンである。また、このスタートボタン1046は、ボーナスゲームを開始させたり、ボーナスゲームで獲得した配当をクレジットに加算したりするためのボタンとしても機能する。コインエントリー1021は、コインをキャビネット1011内に受け入れるものである。ビルエントリー1022は、キャビネット1011内の紙葉処理装置1で取り扱われる紙幣を外部(例えば、プレーヤ)から取り扱い可能にするように形成されている。
図49に示すように、メインドア1013の下部前面、すなわち、コントロールパネル1030の下方には、コインを受け入れるためのコイン受入口1018と、スロットマシン1010のキャラクタなどが描かれたベリーガラス1132と、が設けられている。
トップボックス1012の前面には、上側画像表示パネル1131が設けられている。上側画像表示パネル1131は、液晶パネルからなり、ディスプレイを構成する。上側画像表示パネル1131は、演出にかかる画像や、遊技の内容の紹介やルールの説明を示す画像が表示される。また、トップボックス1012には、スピーカ1112およびランプ1111が設けられている。スロットマシン1010では、画像の表示、音の出力および光の出力によって演出が実行される。
上側画像表示パネル1131の下方には、データ表示器1174と、キーパッド1173と、が設けられている。データ表示器1174は、蛍光ディスプレイやLEDなどからなり、例えば、PTS端末700から挿入されたICカード500から読み取った会員データや、プレーヤによってキーパッド1173を介して入力されたデータを表示するものである。キーパッド1173は、データを入力するためのものである。
(PTS端末の機械構成)
図51は、ゲーミングマシンに組み込まれているPTS端末700を示す図である。PTS端末700は、ゲーミングマシンとの間で共通化されたデータインターフェイスを用いてデータのやりとりを行うことによって、様々なメーカの様々なタイプのゲーミングマシンに組み込むことが可能である。
PTS端末700は、下側画像表示パネル1141とコントロールパネル1030との間に取り付けられている。PTS端末700は、図51に示すように、タッチパネル機能を有したLCD719を備えている。LCD719は、PTS端末700の中央部に配置されている。LCD719は、ゲームを演出する演出画像を表示する。さらに、LCD719は、会員の情報や会員向けの情報およびシステムエラーなどを表示する。
PTS端末700の上部には、図51に示すように、人体検出カメラ712・713と、マイク704・705と、バスレフ型(バス・レフレックス型)のスピーカ707・708とが配置されている。
人体検出カメラ712・713は、カメラ機能によって、プレーヤの有無を検出し、後述するユニットコントローラ730に信号を出力する。マイク704・705は、プレーヤが音声によってゲームに参加したり、音声認識によるプレーヤの認証をしたりするのに使用される。スピーカ707・708は、音声によるゲームの演出をし、また、ICカード500の抜き忘れによる報知音を出力する。さらに、スピーカ707・708は、挿入されたICカード500の認証が失敗した場合においても、報知音を出力する。なお、スピーカ707・708は、LCD719の裏側からダクトで音を前方(プレーヤ側)にステレオで聞こえるように設置されているため、省スペースで設置することができる。
また、PTS端末700には、LED709とカード挿入口706とが設けられている。LED709は、複数色に点灯することによって、後述するカードスタッカー714に溜まったICカード500の残数を報知する。具体的には、LED709は、ICカード500の残数が5枚以下の場合、黄色に点灯し、6〜24枚の場合、青色に点灯し、25枚以上の場合、緑色に点灯する。なお、ICカード500の残数が0枚、もしくは30枚の場合、LED709は、灰色に点灯するとともに、実行中のゲームが停止されるようになっている。これにより、例えば、LED709が黄色に点灯していた場合、カジノホールのスタッフがICカード500の残数が少ないことを即座に判断して、ICカード500を補充することができる。一方、例えば、LED709が緑色に点灯していた場合、カジノホールのスタッフがICカード500の残数がいっぱいであることを即座に判断して、ICカード500を抜き取ることができる。なお、ICカード500を補充する場合は、それぞれのスタッフのみが所有するICカード500をカード挿入口706から挿入することで補充できる。一方、ICカード500を抜き取る場合は、カード挿入口706から補充カードと呼ばれるカードを1枚挿入することにより、補充カードとともに、10枚のICカード500が排出されるようになっている。このように、スタッフが管理サーバ上で各スロットマシン1010のICカード500の残数を確認したり、実際にスロットマシン1010のメインドア1013を開けて確認したりする必要がないため、セキュリティの向上に繋がる。
カード挿入口706は、ICカード500を挿入もしくは取り出せる機構を有する。ICカード500は、表示部510が上方で、かつ、カード挿入口706とは反対に向くように挿入される。また、ICカード500は、プレーヤがゲーム中においては、完全に内部に入っているが、精算時には表示部510が露出するように、排出される。これにより、プレーヤは、更新された現金データなどのクレジット関連データを確認することができる。さらに、ICカード500は、プレーヤがゲーム中においても完全に内部に入らずに、表示部510が露出するように保持されていてもよい。これにより、プレーヤは、ゲーム中においてクレジットが更新される様を常に確認することができる。なお、クレジットの精算時において、人体検出カメラ712・713を用いてプレーヤがいないことが検出された場合、ICカード500は内部に引き込まれて、カードスタッカー714に保管されるようになっている。これにより、例えば、残りクレジットが少ないことを表示部510で確認したプレーヤが、わざとICカード500を残して席を立った場合でも、ICカード500が長時間挿入されたままになることがない。なお、本実施形態の場合、カードスタッカー714は、30枚まで保管することができるようになっている。
上述したように、本実施形態のPTS端末700は、マイク機能、カメラ機能、スピーカ機能、表示機能、などを有する各種装置が、一体となって一つのユニットを形成しているため、省スペース化を実現している。これにより、例えば、それぞれの機能が単品で設置されることによって、LCDをプレーヤの方に向けると、スピーカがプレーヤの方に向けて設置できないなどの不都合を生じることがない。
(スロットマシンの電気構成)
次に、図52を参照して、スロットマシン1010が備える回路の構成について説明する。
ゲーミングボード1050は、内部バスによって互いに接続されたCPU1051、ROM1052およびブートROM1053と、メモリカード1054に対応したカードスロット1055と、GAL(Generic Array Logic)1056に対応したICソケット1057と、を備えている。
メモリカード1054は、不揮発性メモリからなり、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを記憶している。ゲームプログラムには、遊技進行に係るプログラム、画像や音による演出を実行するためのプログラムが含まれている。また、上記ゲームプログラムには、シンボル決定プログラムが含まれている。シンボル決定プログラムは、表示ブロック28に再配置されるシンボルを決定するためのプログラムである。
また、ゲームプログラムには、表示ブロックの各シンボル列の各シンボルと、コードNo.と、乱数値との対応関係を示す通常ゲーム用シンボルテーブルを示す通常ゲーム用シンボルテーブルデータ、表示ブロックの各シンボル列の各シンボルと、コードNo.と、乱数値との対応関係を示すボーナスゲーム用シンボルテーブルを示すボーナスゲーム用シンボルテーブルデータ、シンボル列決定テーブルを示すシンボルNo.決定テーブルデータ、コードNo.決定テーブルを示すコードNo.決定テーブルデータ、ワイルドシンボル増加数決定テーブルを示すワイルドシンボル増加数決定テーブルデータ、トリガシンボル増加数決定テーブルを示すトリガシンボル増加数決定テーブルデータ、ペイラインL上に再配置されたシンボルの種類および個数と、配当量との対応関係を示すオッズデータ、などが含まれている。
また、カードスロット55は、メモリカード54を挿抜可能なように構成されており、IDEバスによってマザーボード1070に接続されている。したがって、カードスロット1055からメモリカード1054を抜き取り、メモリカード1054に別のゲームプログラムを書き込み、そのメモリカード1054をカードスロット1055に差し込むことにより、スロットマシン1010で行われるゲームの種類や内容を変更することができる。
GAL1056は、OR固定型アレイ構造を有するPLD(Programmable Logic Device)の一種である。GAL1056は、複数の入力ポートと出力ポートとを備えており、入力ポートに所定の入力があると、対応するデータを出力ポートから出力する。
また、ICソケット1057は、GAL1056を着脱可能なように構成されており、PCIバスによってマザーボード1070に接続されている。メモリカード1054を別のプログラムが書き込まれたものに差し替えるか、または、メモリカード1054に書き込まれたプログラムを別のものに書き換えることによって、スロットマシン1010で行われる遊技の内容を変更することができる。
内部バスによって互いに接続されたCPU1051、ROM1052およびブートROM1053は、PCIバスによってマザーボード1070に接続されている。PCIバスは、マザーボード1070とゲーミングボード1050との間の信号伝達を行うとともに、マザーボード1070からゲーミングボード1050への電力供給を行う。
ROM1052には、認証プログラムが記憶される。ブートROM1053には、予備認証プログラムおよびCPU1051が予備認証プログラムを起動するためのプログラム(ブートコード)などが記憶されている。
認証プログラムは、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを認証するためのプログラム(改竄チェックプログラム)である。予備認証プログラムは、上記認証プログラムを認証するためのプログラムである。認証プログラムおよび予備認証プログラムは、対象となるプログラムが改竄されていないことの認証を行う手順(認証手順)に沿って記述されている。
マザーボード1070は、市販の汎用マザーボード(パーソナルコンピュータの基本部品を実装したプリント配線板)を用いて構成され、メインCPU1071と、ROM(Read Only Memory)1072と、RAM(Random Access Memory)1073と、通信インターフェイス1082と、を備えている。なお、マザーボード1070は、本実施形態におけるゲームコントローラ1100に相当する。
ROM1072は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、メインCPU1071により実行されるBIOS(Basic Input/Outpu System)などのプログラムと恒久的なデータとが記憶されている。メインCPU1071によってBIOSが実行されると、所定の周辺装置の初期化処理が行われる。また、ゲーミングボード50を介して、メモリカード1054に記憶されているゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムの取込処理が開始される。なお、本発明に置いて、ROM1072は、内容の書き換えが可能なものであってもよく、不可能なものであってもよい。
RAM1073には、メインCPU1071が動作する際に用いられるデータやシンボル決定プログラムなどのプログラムが記憶される。例えば、前述のゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムや認証プログラムの取込処理を行った際、これらを記憶することができる。また、RAM1073には、上記プログラムを実行する際の作業用の領域が設けられている。例えば、遊技回数、BET数、払出数、クレジット数などを管理するカウンタを記憶する領域や、抽籤により決定したシンボル(コードナンバー)を記憶する領域などが設けられている。
通信インターフェイス1082は、通信回線301を介して、サーバなどの外部制御装置621および紙葉処理装置M1との通信を行うためのものである。また、マザーボード1070には、後述するドアPCB(Printed Circuit Board)1090および本体PCB1110が、それぞれUSBによって接続されている。また、マザーボード1070には、電源ユニット1081が接続されている。さらに、マザーボード1070には、PTS端末700がUSBによって接続されている。
電源ユニット1081からマザーボード1070に電力が供給されると、マザーボード1070のメインCPU1071が起動するとともに、PCIバスを介してゲーミングボード1050に電力が供給されてCPU1051が起動される。
ドアPCB1090および本体PCB1110には、スイッチやセンサなどの入力装置や、メインCPU1071により動作が制御される周辺装置が接続されている。
ドアPCB1−90には、コントロールパネル1030、リバータ1091、コインカウンタ1092Cおよび冷陰極管1093が接続されている。
コントロールパネル1030には、前述の各ボタンに対応して、とリザーブスイッチ1031S、キャッシュアウトボタンスイッチ1032Sと、ゲームルールスイッチ1033Sと、1−BETスイッチ1034Sと、2−BETスイッチ1035Sと、3−BETスイッチ1037Sと、5−BETスイッチ1038Sと、10−BETスイッチ1039Sと、プレイ2LINESスイッチ1040Sと、プレイ10LINESスイッチ1041Sと、プレイ20LINESスイッチ1042Sと、プレイ40LINESスイッチ1043Sと、MAX LINESスイッチ1044Sと、ギャンブルスイッチ1045Sと、スタートスイッチ1046Sと、が設けられている。各スイッチは、対応するボタンがプレーヤによって押されたことを検出し、メインCPU1071に対して信号を出力する。
コインエントリー1036の内部には、リバータ1091およびコインカウンタ1092Cが設けられている。そして、リバータ1091によってコインエントリー1036に投入されたコインの適否を識別し、正規のコイン以外のものは、コイン払出口から排出する。また、コインカウンタ1092Cによって、受け入れられた正規のコインを検出し、その枚数をカウントする。
リバータ1091は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて動作するものであり、コインカウンタ1092Cによって選別された適正なコインを、ホッパー1113またはキャッシュボックス(図示せず)に振り分ける。ホッパー113がコインで満たされていない場合はホッパー1113に、ホッパー1113がコインで満たされている場合はキャッシュボックスに振り分けられる。
冷陰極管1093は、上側画像表示パネル1131および下側画像表示パネル1141の背面側に設置されるバックライトとして機能するものであり、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて点灯する。
本体PCB1110には、ランプ1111、スピーカ1112、ホッパー1113、コイン検出部1113S、タッチパネル1069、ビルエントリー1022、グラフィックボード1130、キースイッチ1173Sおよびデータ表示器1174が接続されている。
ランプ1111は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて点灯する。スピーカ1112は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいてBGMなどの音を出力する。
ホッパー1113は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて動作し、指定された払出数のコインをコイン払出口から図示しないコイントレイに払い出す。コイン検出部1113Sは、ホッパー1113により払い出されるコインを検出し、メインCPU1071に対して信号を出力する。
タッチパネル1069は、下側画像表示パネル1141上でプレーヤの指などが触れた位置を検出し、その検出した位置に対応した信号をメインCPU1071に対して出力する。
ビルエントリー1022は、紙幣Tの適否を識別するとともに正規の紙幣Tをキャビネット1011内の紙葉処理装置1に受け入れるものである。そして、キャビネット1011内に投入された紙幣はコイン枚数に換算され、換算されたコイン枚数に相当するクレジットがプレーヤの所有クレジットとして加算される。
グラフィックボード1130は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、上側画像表示パネル1131および下側画像表示パネル1141のそれぞれにより行う画像の表示を制御する。グラフィックボード1130は、画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを記憶するビデオRAMなどを備えている。尚、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、メモリカード1054から読み出されてRAM1073に記憶されたゲームプログラム内に含まれている。
また、グラフィックボード1130は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、画像データを生成するVDP(Video Display Processor)や、VDPによって生成される画像データを一時的に記憶するビデオRAMなどを備えている。なお、VDPによって画像データを生成する際に用いられる画像データは、メモリカード1054から読み出されてRAM1073に記憶されたゲームプログラム内に含まれている。
キースイッチ1173Sは、キーパッド1173に設けられており、キーパッド1173がプレーヤによって操作されたとき、所定の信号をメインCPU1071へ出力する。
データ表示器1174は、メインCPU1071から出力される制御信号に基づいて、カードリーダ1172が読み取ったデータや、プレーヤによってキーパッド1173を介して入力されたデータを表示する。
(PTS端末の電気構成)
次に、図53を参照して、PTS端末700が備える回路の構成について説明する。
PTS端末700を制御するPTSコントローラ720は、ユニットコントローラ730を中心として各種機能部が接続されており、CPU731と、通信部734と、ROM733と、RAM732と、を有する。
CPU731は、後述するROM733に格納された各種プログラムを実行したり、演算したりする。特に、CPU731は、クレジット更新プログラムを実行して、ゲームコントローラ1100から取得したクレジットデータを現金データに換算し、管理サーバ800内の端数現金データと合算して、ICカード500に送信する。
また、CPU731は、人体検出作動プログラムを実行して、ゲームコントローラ1100から取得したクレジットデータに基づくクレジット数が”0”でなかった場合、人体検出カメラ712・713を用いてカードスタッカー714へICカード500を取り込むか否かを判定する。
また、CPU731は、認証プログラムを実行して、ICカード500内の識別コードと管理サーバ800内の識別コードとを照合する。
また、CPU731は、音声制御プログラムを実行して、認証結果に基づき、後述する音声制御回路部724を制御する。ここでの音声制御とは、認証失敗の場合、CPU731が、後述する音声制御回路部724を制御して、スピーカ707・708から認証失敗の報知をする制御のことである。通信部734は、ゲームコントローラ1100および紙幣処理コントローラM200との通信を可能にしている。
また、CPU731は、デバイスプログラムを実行して、LCD719、マイク704・705、スピーカ707・708を作動制御する。さらに、CPU731は、LED制御プログラムを実行して、ICカード500の残り枚数によって、LED718を点灯制御する。
ROM733は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、CPU731により実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、ROM733には、ゲームコントローラ1100からの指令によって、ICカード500に記憶されたクレジットデータを書き換えるクレジット更新プログラムと、人体検出作動プログラムと、認証プログラムと、音声制御プログラムと、デバイスプログラムと、LED制御プログラムと、を有する。
RAM732には、ROM733に記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。例えば、RAM732は、ゲームコントローラ1100からの信号に基づいて、更新するクレジットデータを記憶する。また、RAM732は、人体検出カメラ712・713によってプレーヤを検出した時刻とその時点からカウントする時間とを記憶する。
また、ユニットコントローラ730には、人体検出カメラ制御部722と、LCD駆動部723と、音声制御回路部724と、残カード認識入力部727と、カード吸入排出駆動部726と、カード検出入力部725と、LED駆動部728と、変復調部721と、に接続されている。
人体検出カメラ制御部722は、ユニットコントローラ730からの指令に基づき、人体検出カメラ712・713を作動制御する。
LCD駆動部723は、ユニットコントローラ730からの指令に基づき、LCD719を作動制御する。
音声制御回路部724は、ユニットコントローラ730からの指令に基づき、マイク704・705およびスピーカ707・708を作動制御する。
残カード認識入力部727は、残カード認識センサ717によるカードスタッカー714に溜まったICカード500の残数を判定する信号をユニットコントローラ730に入力する。ここで、残カード認識センサ717は、例えば、図示しない赤外線検出機構などを用いて、カードスタッカー714に溜まったICカード500の残数を判定する機能を有する。
カード吸入排出駆動部726は、ユニットコントローラ730からの指令に基づき、カード吸入排出機構716を駆動制御する。ここで、カード吸入排出機構716は、ICカード500を内部に取り込む機構、および外部に排出する機構、を有する。
カード検出入力部725は、カード検出センサ715からの信号をユニットコントローラ730に入力する。ここで、カード検出センサ715は、挿入されたICカード500から現金データや識別コードなどの各種データを取得する。
LED駆動部728は、ユニットコントローラ730からの指令に基づき、LED718を点灯させるために駆動制御する。
変復調部721は、アンテナ702からの高周波信号をユニットコントローラ730が制御できる信号に変換する一方、アンテナ702を介してユニットコントローラ730からの信号をICカード500に送信できる信号に変換する。
なお、前述のユニットコントローラ730と、カード吸入排出駆動部726と、カード検出入力部725と、変復調部721と、を併せて、カードユニット制御コントローラとも呼称する。
(ICカードの電気構成)
次に、図53および図54を参照して、ICカード500が備える回路の構成について説明する。
ICカード500は、アンテナ507と、電源制御回路504と、変復調回路508と、表示書き込みIC505と、表示ドライバ506と、表示部510と、を有する。
アンテナ507は、PTS端末700が有するアンテナ702を介して各種信号を送受信する。
電源制御回路504は、第2昇圧回路531と第3昇圧回路532を有している。第2昇圧回路531は、アンテナ507からの信号を、後述する変復調回路508が処理できる電圧まで昇圧する。第3昇圧回路532は、電源からの電圧を、後述する表示ドライバ506を駆動する電圧まで昇圧する。
変復調回路508は、発信器521と検波回路522とを有している。発信器521は、ある特定周波数の信号を出力し、アンテナ507から受信した信号とミキシングすることによって、後述する表示書き込みIC505が処理できる信号に変換する。検波回路522は、アンテナ507から受信した信号を検波する。
表示書き込みIC505は、CPU553と、クレジットデータメモリ552と、表示コントローラ551と、を有する。
CPU553は、現金データ書き換え更新プログラムを実行して、PTS端末700から取得した現金データに基づき、クレジットデータメモリ552に記憶された現金データを書き換え更新する。
また、CPU553は、表示コントローラ551を制御して、クレジットデータメモリ552に記憶された現金データを表示用のデータとして使用させ、後述する表示ドライバ506を介して表示部510に表示させる。
クレジットデータメモリ552は、前述の現金データ書き換え更新プログラム、現金データ、識別コード、表示用の現金データ、などのクレジット関連データと、を記憶する。なお、クレジットデータメモリ552が記憶するクレジット関連データは、演算用にも表示用にも使用される。
表示コントローラ551は、CPU553制御信号に基づき、クレジットデータメモリ552に記憶された表示用のクレジットデータを取得して、表示ドライバ506を介して表示部510に表示させる。
ICカード500は、通信IC509を有する。通信IC509は、第1昇圧回路543と、発信器546と、検波回路545と、送信制御部544と、CPU542と、認証用メモリ541と、を有する。第1昇圧回路543は、PTS端末700から取得した端末側の認証データを後述するCPU542が処理できる電圧まで昇圧する。
発信器546は、ある特定周波数の信号を出力し、アンテナ507から受信した信号とミキシングすることによって、CPU542が処理できる信号に変換する。検波回路522は、アンテナ507から受信した信号を検波する。
CPU542は、認証ルーチンプログラムを実行して、PTS端末700からの認証要求があった際、後述する認証用メモリ541に記憶された識別コードをPTS端末700に送信する。認証用メモリ541は、CPU542が使用する認証ルーチンプログラムと、識別コードと、を記憶する。
(シンボル、コンビネーションなど)
上記スロットマシン1010の表示窓1150に表示されるシンボル301は、22個のシンボルによりシンボル列を形成している。各シンボル列を構成するシンボルには、図55に示すように、0〜21の何れかのコード番号が付与される。各シンボル列は、『JACKPOT 7』、『BLUE 7』、『BELL』、『CHERRY』、『STRAWBERRY』、『PLUM』、『ORANGE』、および『APPLE』のシンボルが組み合わされて構成されている。
シンボル列の内の3個の連続したシンボルは、各表示窓1150の上段・中段・下段のそれぞれに表示(配置)されることによって、表示窓1150において5列3行のシンボルマトリクスを構成している。シンボルマトリクスを構成するシンボルは、BETボタンが押下された後にスタートボタンが押下されてゲームが開始されると、スクロールを開始する。スクロールが開始されてから所定時間が経過すると、各シンボルのスクロールが停止する(再配置)。
また、各シンボルについて、各種のウィニングコンビネーションが予め定められている。ウィニングコンビネーションは、ペイライン上で停止したシンボルのコンビネーションがプレーヤにとって有利な状態になるコンビネーションのことである。有利な状態とは、ウィニングコンビネーションに応じたコインが払い出される状態、コインの払出数がクレジットに加算される状態、ボーナスゲームが開始される状態などのことである。
具体的には、ペイライン上に『APPLE』のシンボルのコンビネーションが停止したときにボーナストリガとなり、遊技状態が通常ゲームからボーナスゲームへ移行する。また、通常ゲームにおいて、ペイライン上に『CHERRY』のシンボルのコンビネーションが停止した場合には、1BET当たり20枚のコイン(有価価値)の払い出しが行われる。また、通常ゲームにおいて、ペイライン上に『PLUM』のシンボルのコンビネーションが停止した場合には、1BET当たり5枚のコインの払い出しが行われる。
なお、ボーナスゲームは、通常ゲームよりも有利な遊技状態である。また、プレーヤにとって有利な遊技状態、すなわち、通常ゲームより有利な遊技状態であれば、他のボーナスゲームを合わせて採用してもよい。例えば、通常ゲームより多くのコインを獲得し得る状態、通常ゲームより高い確率でコインを獲得し得る状態、通常ゲームよりコインの消費数が少なくなる状態、フリーゲームなどを他のボーナスゲームとして採用することができる。
(配当管理テーブル)
図56は、ウィニングコンビネーションに基づいて付与される配当を管理する配当管理テーブルである。この配当管理テーブルは、メインCPU1071のROM1072に記憶されており、配当の情報が、ウィニングコンビネーションの種類に対応付けられている。例えば、「BELL」のウィニングコンビネーションに対応する配当は、「10」である。「BLUE 7」のウィニングコンビネーションに対応する配当は、「40」である。なお、本実施の形態では、通常ゲームおよびフリーゲームにおける配当は同額に設定される。
(スロットゲームの表示状態)
上記のスロットマシン1010の動作過程における下側画像表示パネル1141の表示状態の一例を具体的に説明する。
図57は、下側画像表示パネル1141における通常ゲームの表示画面である通常ゲーム画面の一例を示している。
具体的に説明すると、通常ゲーム画面は、中央部に配置され、5列の擬似リール1151〜1155を有した表示窓1150と、表示窓1150を中心として左右対称に配置されたペイライン発生部65L・65Rとを有している。
表示窓1150の上方には、クレジット数表示部400と、端数現金表示部403と、BET数表示部401と、ワイルドシンボル数表示部415と、トリガシンボル数表示部416と、ペイアウト表示部402と、が配置されている。これらの各部400・401・415・416・402は、プレーヤから見て左端から右端にかけて順に配置されている。
クレジット数表示部400は、クレジット数を表示する。端数現金表示部403は、端数現金を表示する。BET数表示部401は、今回の単位ゲームにおけるBET額を表示する。ワイルドシンボル数表示部415は、今回の単位ゲームにおけるワイルドシンボル503Aの個数を表示する。これにより、通常ゲームにおいては、5個のワイルドシンボル503Aが存在することを、予めプレーヤに報知することができる。トリガシンボル数表示部416は、今回の単位ゲームにおけるトリガシンボル503Bの個数を表示する。これにより、通常ゲームにおいては、5個のトリガシンボル503Bが存在することを、予めプレーヤに報知することができる。ペイアウト表示部402は、ウィニングコンビネーションとなったときのコインの払出数を表示する。
一方、表示窓1150の下方には、ヘルプボタン410と、ペイテーブルボタン411と、BET単位表示部412と、ストック表示部413と、フリーゲーム数表示部414と、が配置されている。これらの各部410・411・412・413・414は、プレーヤから見て左端から右端にかけて順に配置されている。
ヘルプボタン410は、プレーヤの押圧操作によりヘルプモードを実行可能にしている。ヘルプモードは、プレーヤに対してゲームに関係する疑問を解消するための情報を提供するモードである。ペイテーブルボタン411は、プレーヤの押圧操作により配当内容を表示する配当表示モードを実行可能にしている。配当表示モードは、プレーヤに対してウィニングコンビネーションと配当倍率との関係を示す説明画面を表示するモードである。
BET単位表示部412は、現時点におけるBET単位(支払い単位)を表示する。これにより、BET単位表示部412は、プレーヤに対して例えば1セント単位でゲームに参加できることを認識可能にしている。
ストック表示部413は、ボーナスゲームの繰り越し数を表示する。ここで、『繰り越し数』とは、ボーナスゲームが終了したときに、引き続いてボーナスゲームを実行可能な残りの回数を意味する。すなわち、ストック表示部413に『3』と表示されていれば、現在のボーナスゲームが終了した後に、3回連続してボーナスゲームを繰り返すことが可能になる。なお、通常ゲームにおいては、“0”が表示される。
フリーゲーム数表示部414は、ボーナスゲームの繰返し数と総数とを表示する。すなわち、フリーゲーム数表示部414に『0 of 0』と表示されていれば、フリーゲームの総数が0回、すなわち、ボーナスゲームでないことを示す。また、『5 of 8』と表示されていれば、フリーゲームの総数が8回のボーナスゲームにおいて、5回目のフリーゲームであることを示す。
(スロットマシン1010の処理動作:起動処理)
次に、スロットマシン1010において行われる起動処理について説明する。
スロットマシン1010に電源が投入されると、図58に示す起動処理ルーチンが、マザーボード1070およびゲーミングボード1050で実行される。なお、本実施形態においては、メモリカード1054がゲーミングボード1050のカードスロット1055に差し込まれ、GAL1056がICソケット1057に取り付けられているものとする。
まず、電源ユニット1081において電源スイッチの投入(電源の投入)が行われると、マザーボード1070およびゲーミングボード1050が起動される。マザーボード1070およびゲーミングボード1050が起動されると、それぞれ別個の処理が並行して行われる。すなわち、ゲーミングボード1050において、CP1071は、ブートROM1053に格納されている予備認証プログラムを読み出す処理と、予備認証プログラムによる予備認証を行う処理とを実行する。なお、予備認証とは、予備認証プログラムに従ってマザーボード1070への取込前に、予め認証プログラムの改寛が行われていないことを確認および証明する処理である(A1)。
一方、マザーボード1070において、メインCPU1071が、ROM1072に格納されているBIOSを実行する。この結果、BIOSに組み込まれている圧縮データがRAM1073に展開される(B1)。そして、メインCPU1071は、RAM1073に展開されたBIOSを実行し、各種周辺装置の診断と初期化とを行う(B2)。
この後、メインCPU1071は、ROM1072に格納されている認証プログラムの読み出しを、PCIバスを介して行うとともに、読み出した認証プログラムをRAM243に記憶させる(B3)。このとき、メインCPU1071は、BIOSの標準BIOSの機能に従ってADDSUM方式(標準チェック機能)によるチェックサムを取る。これにより、認証プログラムが間違いなくRAM1073に格納されるか否かの確認が行われる。
次に、メインCPU1071は、IDEバスに接続されている部材を確認する。この後、メインCPU1071は、カードスロット1055に差し込まれているメモリカード1054に対してIDEバスを介してアクセスし、メモリカード1054から、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを読み出す。この場合、ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムを構成するデータが4バイトずつ読み出される。続いて、メインCPU241は、RAM243に記憶された認証プログラムに従い、読み出したゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムの改竄が行われていないことを確認および証明する認証を行う(B4)。
認証処理が正常に終了すると、メインCPU1071は、認証対象となった(認証された)ゲームプログラムおよびゲームシステムプログラムをRAM1073に書き込んで記憶させる(B5)。
次に、メインCPU1071は、ICソケット1057に取り付けられているGAL1056に対してアクセスし、GAL1056から、ペイアウト率設定用データを読み込み、RAM1073に書き込んで記憶させる(B6)。この後、メインCPU1071は、ゲーミングボード1050のROM1052に格納されている国識別情報を読み出すとともに、読み出した国識別情報をRAM1073に記憶させる処理を行う(B7)。
以上の認証処理が実行された結果、メインCPU1071は、プログラムやデータが正常であるか否かを判定する(B8)。正常でない場合には(B8,NO)、スロットマシン1010を特定するID情報を含む異常信号が図示しない集中監視装置に出力される。集中監視装置は、異常信号に基づいて異常状態のスロットマシン1010を特定し、スロットマシン1010の近傍に待機している係員に対して異常対応の処理を行うように指示するとともに、異常の発生日時や発生場所などの異常履歴情報を記憶する(B18)。この後、スロットマシン1010のスピーカ1112が出音し、発光部であるランプ1111が発光することによって、異常状態が報知される。この後、マザーボード1070における本ルーチンが終了される。
一方、正常である場合には(B8,YES)、スロットマシン1010に備えられたセンサ類の動作が順番にチェックされる(B9)。そして、全てのセンサ類が正常に動作するか否かが判定される(B10)。少なくとも一つのセンサ類に異常がある場合には(B10,NO)、上述のB18およびB19が実行された後、本ルーチンが終了される。
一方、全てのセンサ類が正常である場合には(B10,YES)、続いて、全ての駆動機構の動作が順番にチェックされる(B11)。そして、全ての駆動機構が正常に動作するか否かが判定される(B12)。少なくとも一つの駆動機構に異常がある場合には(B12,NO)、上述のB18およびB19が実行された後、本ルーチンが終了される。一方、全ての駆動機構が正常である場合には(B12,YES)、続いて、全ての電飾の動作が順番にチェックされる(B13)。そして、全ての電飾が正常に動作するか否かが判定される(B14)。少なくとも一つの電飾に異常がある場合には(B14,NO)、上述のB18およびB19が実行された後、本ルーチンが終了される。
一方、全ての電飾が正常である場合には(B14,YES)、正常に起動したことを示す起動信号が図示しない集中監視装置などに出力される(B15)。この後、通常ゲーム処理が実行され(B16)、本ルーチンが終了される。通常ゲーム処理の詳細を以下に説明する。
(キオスク端末の構成)
図59は、本発明の一実施形態に係るゲームシステム1で使用されうるキオスク(KIOSK)端末1700を示している。キオスク端末1700は、主に、ホールで行われているゲームに関する情報、例えば、ボーナスサーバで行われるボーナスゲームの開始や、当該開始に際してのカウントダウン、本日の当籤ランキング、人気台ランキングなどを表示するために用いられる情報表示装置であり、ゲームシステムのサーバ(例えば、ボーナスサーバや会員管理サーバ)にネットワークを介して接続されうる。
キオスク端末1700は、タッチパネル機能を有したLCD1201を備える。LCD1201は、例えば24インチ(約60.96cm)液晶表示装置であり、上述の通り、このLCDには、ホールで行われているゲームに関する情報などが表示される。なお、この例では、LCD1201がタッチパネル機能を有するように構成されるが、キーボードやマウスといった他の入力装置によって指示入力を行うようにしてもよい。
さらに、キオスク端末1700は、LCD1201の上下に、それぞれモーションセンサ1202、1203を備えている。モーションセンサ1202、1203は、例えば、カメラであり、モーションセンサ1202、1203により撮像された映像を用いて、キオスク端末1700のユーザや、通路を通行する顧客の行動を解析する。
キオスク端末1700はまた、タッチユニット1204を備えており、非接触ICカードやNFCによる通信機能を備えた携帯電話やスマートフォンとデータ通信を行うことが可能なRFIDモジュールを含んでいる。会員は、その会員と紐付けられた会員カード(ICカード)をこのタッチユニット1204にかざすことによりログインすることができ、そこで会員用のメニュー画面や、その会員に関する情報を、LCD1201に表示させることができる。会員の情報は、例えば、会員管理サーバから取得される。また、タッチユニット1204の他に、あるいはタッチユニット1204に替えて、磁気カードのような情報記録媒体に記憶された情報を読み取るための情報記録媒体読取装置を備えるようにしてもよい。この場合、ICカード500の代わりに、磁気カードを会員カードとすることができる。
また、ホールのスタッフは、スタッフのICカード500をかざすことによってログインし、スタッフ用のメニュー画面などをLCD1201に表示させることができる。
さらに、キオスク端末1700には、ICカード1500を挿入または取り出すことができるカード挿入口1205が設けられている。カード挿入口1205には、イジェクトボタンが設けられている。また、カード挿入口1205に対応するキオスク筐体の内部には、カードユニット1230が設けられており、カード挿入口1205は、カードユニット1230の一部として構成されている。
会員カードがカード挿入口1205から挿入された場合、会員用のメニュー画面や、その会員に関する情報を、LCD1201に表示させることができる。また、カードユニット1230は、限定カードやリワードカードの発券、回収を行うことができる。
また、キオスク端末1700は、チケットプリンタ1206を備えている。チケットプリンタ1206は、チケットやクーポンの発行、回収を行うことができ、紙幣識別器の機能を有するようにすることもできる。
さらに、キオスク端末1700は、VoIPによる通話で用いられる受話器1207を備えている。キオスク端末1700のユーザは、受話器1207を介して、他のキオスク端末1700のユーザやゲーミングマシンのプレーヤと会話することができる。また、着信LED1208は、VoIPによる通話の着信があった場合に、発光するよう制御される。
キオスク端末1700はまた、ユーザが(会員登録やテキストチャットで)データを入力するのに使用するキーボード1209とテンキーパッド1210を備え、さらに、テンキーパッド1210の両側には、覗き防止のLED板1211が設けられている。
さらに、キオスク端末1700には、QRコード(登録商標)を読み取らせるためのQRコードスキャナ1212が設けられており、携帯電話などに宛てたメールに添付されるQRコードを読み取らせる。
この他、キオスク端末1700は、LCDやLEDなどの制御を行う制御部を収納した収納部213を備えている。
(キオスク端末の回路構成)
次に、図60を参照して、キオスク端末1700が備える回路の構成について説明する。
キオスク端末1700を制御するキオスク端末コントローラ1220は、CPU1221、ROM1222、およびRAM1223を有する。
CPU1221は、キオスク端末の各構成部の実行制御を行うとともに、ROM1222に格納された各種プログラムを実行したり、演算したりする。
ROM1222は、フラッシュメモリなどのメモリデバイスからなり、CPU1221により実行される恒久的なデータが記憶されている。例えば、VoIPによる通話制御プログラムなどが記憶されうる。
RAM1223は、ROM1222に記憶された各種プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶する。
外部記憶装置1224は、例えばハードディスク装置のような記憶装置であり、CPU1221で実行されるプログラムや、CPU1221で実行されるプログラムが利用するデータを記憶する。
ネットワークI/F(インターフェイス)1225は、ボーナスサーバ、会員管理サーバ、モニタリングサーバなどの各種情報を送信するサーバやPTS端末700とのデータ通信を実現する。
LCD制御部1226は、LCD1201に、上述したゲーム情報などの情報を表示させるよう制御する。また、LCD1201はタッチパネル機能を備えており、ユーザからの操作がCPU1221に送信される。また、LCD制御部1226は、モニタリングサーバで生成されたフロアマップが表示されるようにLCD1201を制御可能である。
モーションセンサ制御部1227は、モーションセンサ(例えば、カメラ)1202、1203から受信したユーザなどの画像を取得し、必要に応じて所定の画像処理を施し、処理後のデータをCPU1221に送信する。モーションセンサ制御部1227は、モーションセンサ1202、1203から撮像情報を取得し、モニタリングサーバからの取得要求に応じて、撮像情報をモニタリングサーバに送信可能である。
タッチユニット制御部1228は、タッチユニット1204における、ICカード500や携帯電話のタッチ操作に伴うデータ送受信を制御する。タッチユニット制御部1228は、非接触R/W(リーダライタ)制御部1228Aを備えている。
非接触R/W制御部1228Aは、タッチユニット1204でICカード500や携帯電話のタッチ操作があったか否かを判定し、タッチ操作があった場合に、タッチユニット1204から読み取り結果などを取得する。タッチユニット1204は、ICカード500や携帯電話との間でNFCなどによりデータ送受信を行うためのアンテナ部を有する。
また、ICカード制御部1229は、ICカード500の挿入、排出、データの読み取りなどを制御する。ICカード制御部1229は、ICカードR/W(リーダライタ)制御部1229A、ICカード吸入排出制御部1229Bを備える。
ICカードR/W制御部229Aは、カードユニット1230を制御して、ICカード500に記憶されている識別コードなどを読み取る。カードユニット1230は、ICカード500にNFCなどによりデータを書き込むためのアンテナ部を有する。
ICカード吸入排出制御部1229Bは、ICカード500の吸入および排出の制御を行う。ユーザによってカード挿入口1205にICカード500が挿入されると、ユーザがログオフするまで、ICカード500をカードユニット1230の中に保持するよう制御する。また、イジェクトボタンが押された場合に、ICカード500の排出を行う。
チケットプリンタ制御部1231は、チケットプリンタ/ビルバリ1232を制御して、チケットやクーポンの発行、回収、および紙幣の識別などを行う。チケットプリンタ制御部1231は、プリンタ制御部1231Aとビルバリ制御部1231Bを有する。
音声制御部1233は、受話器1207に含まれるマイク1234、およびスピーカ1235を使用して、音声入出力を行う。音声制御部1233は、DSP1233A、およびLED制御部1233Bを備える。DSP1233Aは、マイク1234からの音声入力とスピーカ1235からの音声出力に関し、所定の音声信号処理を行って制御する。LED制御部1233Bは、VoIP通話などによる着信信号に基づいて、着信LED1208を発光させるよう制御する。
入力制御部1236は、ユーザからのキーボード1209の入力やテンキーパッド1210の入力を信号化してCPU1221に送信する。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されず、以下の構成も開示している。
(1)上記各実施形態の紙葉処理装置1では投入される紙葉が紙幣とバーコードであるが、紙幣は、紙葉処理装置1が設置された領地の通貨に限定されず、複数国の通貨が利用可能な構成にも適用することができる。すなわち、複数国の通貨の紙幣が利用可能なマルチカレンシーにも適用することができる。
(2)上記各実施形態は、画像データの比較処理を紙葉処理装置内で実行しているが、画像データ比較部250をPTS端末700または管理サーバ800に持たせて、紙葉処理装置外で実行可能に構成してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各構成などの具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
また、上述した詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明した。本発明は、上述した詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は多様である。また、本明細書において用いた用語および語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法などを推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で均などな構成を含むものであるとみなされなければならない。また、要約書の目的は、特許庁および一般的公共機関や、特許、法律用語または専門用語に精通していない本技術分野に属する技術者などが本出願の技術的な内容およびその本質を簡易な調査で速やかに判断し得るようにするものである。従って、要約書は、請求の範囲の記載により評価されるべき発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、本発明の目的および本発明の特有の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献などを充分に参酌して解釈されることが望まれる。
上述した詳細な説明は、コンピュータで実行される処理を含むものである。以上での説明および表現は、当業者が最も効率的に理解することを目的として記載している。本明細書では、1の結果を導き出すために用いられる各ステップは、自己矛盾がない処理として理解されるべきである。また、各ステップでは、電気的または磁気的な信号の送受信、記録などが行われる。各ステップにおける処理では、このような信号を、ビット、値、シンボル、文字、用語、数字などで表現しているが、これらは単に説明上便利であるために用いたものであることに留意する必要がある。また、各ステップにおける処理は、人間の行動と共通する表現で記載される場合があるが、本明細書で説明する処理は、原則的に各種の装置により実行されるものである。また、各ステップを行うために要求されるその他の構成は、以上の説明から自明になるものである。
なお、本実施形態に例示される本発明によれば、投入された紙葉と、直前の紙葉との情報(スキャナを利用した得た画像情報)を比較して同一かどうかを判定するようにしているので、仮に、真偽判定を行えないような新たな紙葉である紙幣が投入された場合であっても、投入されたシリアル番号と前に投入されたシリアル番号が同じであった場合、前の紙葉は金庫に入ってしまうが、次の紙葉を金庫に収める際に、または、その前に管理装置などの上位装置にアラート信号を送信して大量の新たな偽札への対応にも対応できる可能性がある利点がある。