JP6555534B2 - オーバーハング構造体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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本発明は、光造形によるオーバーハング構造体の製造方法及び製造装置に関する。
近年、産業における小型化・低コスト化の潮流において、マイクロ又はナノスケールの微細構造体の需要が拡大している。そのような微細構造体として、例えば,MEMS(Micro Electro Mechanical System)などの微小電気機械素子、μ−TAS(Micro Total Analysis System)等のバイオチップ、フォトニック結晶等の微細光学素子、撥水性に優れた蓮の葉構造や反射光の減衰機能を持つ蚊の目構造を有する部材が挙げられる。こういった微細構造体の形成方法として、リソグラフィ法、インプリント法などがある。また、本出願の共同出願人の一方は、特許文献1において、エバネッセント光を用いて複雑な三次元的形状の部材を作製する方法及び装置を開示している。
特開2005−238650号
従来のリソグラフィ法やインプリント法では、オーバーハング形状の構造体の形成が困難である。また、特許文献1に記載されるエバネッセント光を用いた造形方法は、造形に長時間を要し、造形装置の光学系が複雑である。そこで、本発明の目的は、オーバーハング構造体を短時間で製造する新規な方法及び製造装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、光硬化材料に光照射することによりオーバーハング構造体を製造する方法であって、
光透過性の基材の表面上に光硬化材料を供給して光硬化材料層を形成することと、
光を、前記基材の前記表面の反対側から前記基材と前記光硬化材料層の界面に集光させることにより前記光硬化材料層の一部をオーバーハング形状に硬化させることと、
前記光硬化材料層の未硬化の部分を除去することとを含むオーバーハング構造体の製造方法が提供される。
前記製造方法において、前記基材が、前記光硬化材料層よりも高い屈折率を有してよい。
前記製造方法において、前記光を高開口数対物レンズにより前記基材と前記光硬化材料層の界面に集光させてよい。
前記製造方法において、前記光が、フィルタを通過させて強度分布を制御した光であってよい。また、前記フィルタのマスク部分に対応する凹部を有する3次元のオーバーハング形状を生じさせてよい。
前記製造方法において、前記光が複数の光束を含んでよい。デジタルマイクロミラーデバイスを用いて前記複数の光束を発生させてよい。
前記製造方法において、前記オーバーハング構造体が、前記基材上に形成されている構造体であってよい。
本発明の第2の態様に従えば、光硬化材料に光照射することによりオーバーハング構造体を製造する装置であって、
光透過性の底面を有し、光硬化性材料が充填される容器と、
光を発生させる光源と、
前記容器の底面の外側に配置され、前記光源からの前記光を前記容器の底面を通って前記底面と充填された光硬化材料との界面に集光させる高開口数対物レンズとを備える製造装置が提供される。
前記製造装置において、前記高開口数対物レンズが前記容器の底面と光学オイルを介して密着していてよい。前記高開口数対物レンズ、前記底面及び光学オイルの屈折率は等しくてよい。
前記製造装置は、前記光源と高開口数対物レンズの間の光路中に、光の強度分布を制御するフィルタを備えてよい。
前記製造装置は、前記光源からの光を反射して複数の光束を発生させるデジタルマイクロミラーデバイスを備えてよい。
本発明の構造体の製造方法及び製造装置は、一回の光照射(露光)で基材上にオーバーハング構造体を形成することができるため、短時間でオーバーハング構造体を製造できる。また、本発明の製造方法及び製造装置は、光学系の構成がシンプルである。本発明の製造方法及び光造形装置により得られる構造体は、微小電気機械素子、微細光学素子、バイオチップや、撥水、反射防止、防曇などの種々の機能を有する部材等の製造にきわめて有効である。
図1は、オーバーハング構造体の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、オーバーハング形状を有する硬化物の形成方法を概念的に示す図である。 図3は、計算によって求めた硬化物の断面形状を示す図である。 図4は、計算によって求めた硬化物の別の断面形状を示す図である。 図5は、オーバーハング構造体の製造装置の一実施形態を概念的に示す図である。 図6は、オーバーハング構造体の製造装置の別の実施形態を概念的に示す図である。 図7は、オーバーハング構造体の製造装置のさらなる別の実施形態を概念的に示す図である。 図8Aは、実施例1で用いたフィルタのパターン形状を示す図である。 図8Bは、図8Aのフィルタを用いた場合の硬化物の断面形状の計算結果を示す図である。 図9Aは、実施例2で用いたフィルタのパターン形状を示す図である。 図9Bは、図9Aのフィルタを用いた場合の硬化物の断面形状の計算結果を示す図である。 図10Aは、実施例3で用いたフィルタのパターン形状を示す図である。 図10Bは、図10Aのフィルタを用いた場合の硬化物の断面形状の計算結果を示す図である。 図10Cは、図10Aのフィルタを用いて形成されたオーバーハング構造体のSEM像である。 図10Dは、図10Aのフィルタを用いて形成されたオーバーハング構造体の光学顕微鏡像である。 図11Aは、実施例4で用いたフィルタのパターン形状を示す図である。 図11Bは、図11Aのフィルタを用いた場合の硬化物の断面形状の計算結果を示す図である。 図11Cは、図11Aのフィルタを用いて形成されたオーバーハング構造体のSEM像である。 図11Dは、図11Aのフィルタを用いて形成されたオーバーハング構造体の光学顕微鏡像である。
以下、本発明のオーバーハング構造体の製造方法及び製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願において「オーバーハング構造体」とは、庇(ひさし)のように上方で下方より広がった部分を有する構造を意味する。すなわち、オーバーハング構造体は、オーバーハング部分を含む構造体であり、「オーバーハング部分」とは、図2に示す硬化物210aのように高さ方向(Z方向)においてより下方に位置する部分よりも、XY平面で切断した断面の面積が大きい部分を意味する。
[オーバーハング構造体の製造方法]
オーバーハング構造体の製造方法は、図1に示すように、主に、光透過性の基材上に光硬化材料を供給して光硬化材料層を形成する工程S1と、光硬化材料層の一部をオーバーハング形状に硬化させる工程S2と、光硬化材料層の未硬化部分を除去する工程S3を有する。
<光硬化材料層形成工程>
まず、光透過性の基材の上に光硬化材料を供給して光硬化材料層を形成する(図1の工程S1)。光硬化材料は光により硬化する材料であり、例えばラジカル反応型アクリレート系樹脂、JSR社製KC1162、KC1042等や、カチオン反応型エポキシ系樹脂、AUTEX社製EXGT2014、EXGT2002−1等を用いることができる。後述するように光硬化材料層210内で伝播光300aが半球状に広がるようにするため(図2参照)、光透過性の基材は光硬化材料の屈折率よりも高い屈折率を有する。光透過性の基材としては、例えばカバーガラス等の透明基材を使用することができる。このような光透過性の基材を、以下、単に「基材」という。基材上に光硬化材料を供給する方法としては、任意の方法を用いてよい。例えば、底面が透明基材で構成される容器を用意し、この容器内に光硬化材料を滴下することによって基材上に光硬化材料を供給することができる。そのほか、ドロップコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用してもよい。
<光硬化材料層硬化工程>
次に、光硬化材料層の一部を硬化させて、基材上にオーバーハング形状の硬化物を形成する(図1の工程S2)。
図2に示すように基材194の光硬化材料層210を形成した表面194sの反対側から、表面194s及び光硬化材料層210に向かって光300を照射する。光300の光源としては任意の光源を用いてよく、LED、Arイオンレーザ、He−Cdレーザ等を用いることができる。光300の波長は光硬化材料を硬化することのできる波長であれば特に限定されない。また、光300は任意の偏光状態であってよい。
照射した光300を、基材194の光硬化材料層210を形成した表面(すなわち、基材194と光硬化材料層210の界面)194sの所定領域194fにおいて集光させる。例えば、基材194の表面194sの反対側に高開口数対物レンズを設け、光300を高開口数対物レンズに通すことにより光300を集光させることができる。高開口数対物レンズは、基材194と光学オイルを介して密着させてよく、高開口数対物レンズ、基材及び光学オイルの屈折率は等しくてよい。それにより、光300を所定領域194fにおいて集光させることが容易になる。
基材194と光硬化材料層210の界面194sの所定領域194fにおいて集光した光300は、光硬化材料層210内に半球状に広がって伝播する。光硬化材料層210内に伝播する伝播光300aは、後述の数値計算から示されるように、界面194sの垂線に対してなす角度の大きい方向に進行する成分(界面194sに平行又は平行に近い成分)の強度が極端に小さい。光硬化材料は伝播光300aを吸収して硬化するため、形成される硬化物(光硬化材料層210の硬化した部分)210aは伝播光300aの強度分布に対応する形状を有する。それゆえ、硬化物210aは、半球形状よりも基材194と接する面積が小さいオーバーハング形状を有する。すなわち、硬化物210aは、高さ方向(Z方向)のより下方に位置する部分よりもXY平面で切断した断面の面積が大きいオーバーハング部分を含む形状を有する。また、光硬化材料は伝播光300aの強度分布に対応する形状に硬化するので、光300の一回の照射でオーバーハング形状の硬化物を形成できる。
光300は、界面194s内のどの位置(領域)に集光させてもよく、硬化物210aを形成する所望の位置に集光させてよい。
形成される硬化物210aの形状は、以下の計算により求めることができる。基材194の屈折率をn、光硬化材料層210の屈折率をn、界面194sへの入射角をθ、出射角をφとすると、スネルの法則により、式(1)が成り立つ。
Figure 0006555534
式(1)をフレネルの透過率の式に代入すると、界面194sにおける透過率T(θ)は式(2)で表される。
Figure 0006555534
なお、ここではp偏光の式を用いた。入射光の振幅をEとすると、界面194sを透過した直後の光300aの振幅E(θ)は式(3)で表される。
Figure 0006555534
さらに、界面194sを透過した直後の光300aの強度I(θ)は、式(4)で表される。
Figure 0006555534
光硬化材料層210内の光300aの強度I(r,θ)は、ランバートベールの透過率を用いて、式(5)で表される。さらに、光硬化材料層210内の光エネルギU(r,θ)は、時間tを用いて、式(6)で表される。なお、式(5)、(6)中、αは吸収係数を表し、rは光300を集光させた所定領域194fからの距離を表す。
Figure 0006555534
硬化物210aの形状は、光硬化材料層210内における硬化閾値を超えた光エネルギ分布によって決まる(すなわち、硬化物210aの形状は、光硬化材料層210中において光エネルギが硬化閾値を超える領域の形状に対応する)。硬化閾値に相当する光エネルギをUthとして式(6)に代入すると式(7)が得られ、この式で表されるrが硬化物210aの形状(外形)を規定する。ただし、式(7)中、kは式(8)で表される値である。
Figure 0006555534
例えば、n=1.78、n=1.51、k=3、α=2の場合、式(7)から硬化物210aの断面形状を計算すると図3に示す形状となる。n=1.78、n=1.51、k=100、α=2の場合は、硬化物210aの断面形状は図4に示す形状となる。図3、4において、横軸は基材194の表面194sの面内方向における集光位置(光300を集光させた所定位置)194fからの距離を示し、縦軸は基材194の表面194sからの高さを示している。図3、4に示されるように、硬化物210aは、半球形状よりも基材194と接する面積が小さいオーバーハング形状を有する。
<未硬化部分除去工程>
次いで、光硬化材料を溶解する溶媒を用いて、光硬化材料層210の未硬化の部分を溶解し、除去する(図1の工程S3)。それにより、基材194上に形成されたオーバーハング形状の光硬化材料の硬化物(すなわちオーバーハング構造体)210aが得られる。
なお、光硬化材料層硬化工程において、透過率の異なる領域を含むパターンが形成されたフィルタに通過させた光を基材194と光硬化材料層210の界面194sの所定領域194fに集光させてもよい。フィルタは、例えば相対的に周囲よりも透過率の低いマスク部分を有してよい。フィルタを通過した光は、フィルタのパターンに対応する強度分布を有し、例えばマスク部分に対応する位置における強度が低い。光硬化材料層中に伝播する光は集光前の光の強度分布に応じた(すなわちフィルタのパターンに応じた)強度分布を有する。そのため、後述する実施例で示すように、形成される硬化物210aはフィルタのパターンに応じた形状、例えばフィルタのマスク部分に対応する部分が凹んだ形状となる。ゆえに、フィルタのパターン形状によって所望の形状のオーバーハング構造体を形成することができる。
また、光硬化材料層硬化工程において基材194を介して光硬化材料層210に照射する光300は複数の光束であってもよく、複数の光束のそれぞれを基材194と光硬化材料層210の界面194sの異なる領域に集光させてよい。それにより、各光束を集光させた領域上に硬化物(オーバーハング構造体)を形成できる。ゆえに、一度に複数の光束を照射することにより、基材194上に複数のオーバーハング構造体を一括(同時に)形成できる。複数の光束は、例えば光源で発生させた光をデジタルマイクロミラーデバイスで反射させたり、複数の光ファイバーを用いたりすることにより生じさせることができる。この方法では大面積の基材上に多数のオーバーハング構造体を一括形成することも可能である。なお、用途によっては、複数の光束を順次(時間差を持たせて)照射してもよい。
さらに、上記フィルタと複数の光束を組み合わせてもよい。すなわち、フィルタに複数の光束を通過させ、これら複数の光束をそれぞれ基材194と光硬化材料層210の界面194sの異なる領域に集光させてもよい。それにより、一回の光照射で、基材上にフィルタのパターンに応じた形状のオーバーハング構造体を複数個形成することができる。ゆえに、この製造方法により、一回の光照射で基材上に所望の形状のオーバーハング構造体を所望の数だけ形成することができる。なお、前述のように複数の光束を順次(時間差を持たせて)照射する場合には、光束ごとにフィルタを使い分けてもよい。
[構造体の製造装置]
上記オーバーハング構造体の製造方法に用いることができる製造装置の一実施形態を図5に示す。図5の製造装置100は、主に、光300を発生させる光源110と、リレー光学系150と、高開口数対物レンズ136と、光硬化材料を充填するための容器190とを備える。製造装置100において、光源110から発生した光300は、リレー光学系150を通過して高開口数対物レンズ136に入射する。高開口数対物レンズ136を通過した光300は、容器190の底面194を通過し、容器190の底面194の容器内部における表面(内側表面)194sの所定領域194fにおいて集光する。
リレー光学系150は複数のレンズ151a、151b、151cと、ビームスプリッタ153を有する。リレー光学系150は、図5に示した構成に限定されず、光源110からの光300を高開口数対物レンズ136に導くことができる構成であれば、任意の数、任意の種類の光学素子で構成されてよい。
容器190は側壁192と底面194から構成される。容器190の底面194は、製造装置100によって製造されるオーバーハング構造体を支持する基材となる。底面194は光透過性の材料から構成され、例えばカバーガラス等から構成されてよい。
高開口数対物レンズ136は、容器190の底面194の外側に配置され、容器190の底面194と光学オイル134を介して密着している。高開口数対物レンズ136は、例えば、ガラスから形成され得る。光硬化材料層210内で伝播光300aが半球状に広がるようにするためには、高開口数対物レンズ136の開口数(NA)が光硬化材料の屈折率以上であることが必要であり、かつ光硬化材料との界面で入射光が全反射しないようする観点から、例えば1.5〜1.7程度であってよい。また、高開口数対物レンズ136、容器190の底面(基材)194及び光学オイル134の屈折率は等しくてよい。それにより、光300を所定領域194fにおいて集光させることが容易になる。この構成において高開口数対物レンズ136、光学オイル134及び容器190の底面194は、1つの固体浸レンズ(固浸レンズ)130を構成することと等価となる。なお、ここで「固体浸レンズ」という語を用いているのは、高開口数対物レンズ136に光学オイル(液体)134が接しているものの露光対象である光硬化材料層210に接している部分(すなわち容器190の底面194)が固体であることによる。容器190の底面194の内側表面194sは、固体浸レンズ130の焦平面(固体浸レンズ130の焦点深度内)に位置する。製造装置100は、底面194の内側表面194sが固体浸レンズ130の焦平面に位置するように高開口数対物レンズ136の位置等を調整する機構(不図示)を備えてもよい。光学オイルに代えて他の高屈折率流体を用いてもよい。なお、固体浸レンズ130の高開口数対物レンズ136及び光学オイル134に代えて固浸レンズ(超半球レンズ)そのものを用いてもよい。
光300の光路中に、光300の照射時間を制御するためのシャッター(不図示)を設けてもよい。
装置100において、光源110から出射された光300は、複数のレンズ151a、151b、151cを通過した後、ビームスプリッタ153により一部が反射されて高開口数対物レンズ136に向かう。
次いで、光300は固体浸レンズ130に入射し、容器190の底面194の内側表面194sの所定領域194fにおいて集光され、容器190内の光硬化材料層210中に伝播する。光硬化材料層210中の伝播光300aにより、光硬化材料層210の一部が硬化する。それにより、容器190内の光硬化材料層210中に、伝播光300aの強度分布に対応する形状を有する硬化物が形成される。
図6に示す製造装置200のように、光300の経路中にフィルタ155を設けてもよい。フィルタ155は、透過率の異なる領域を含む任意のパターンを有してよく、例えば相対的に周囲よりも透過率の低いマスク部分を有してよい。フィルタ155のパターンは、形成する硬化物(オーバーハング構造体)の形状に応じた所望のパターンにしてよい。フィルタ155を通過した後の光301は、フィルタ155のパターンに対応する強度分布を有し、例えばマスク部分に対応する位置における強度が低い。光硬化材料層210中の伝播光301aは光301の強度分布に応じた強度分布を有する。そのため、伝播光301aにより光硬化材料を硬化させて形成される硬化物は、フィルタ155のパターンに対応する形状、例えばフィルタのマスク部分に対応する部分が凹んだ形状となる。
また、図7に示す製造装置400のように、光300の経路中にデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)157を設けてもよい。DMD157は、複数の可動式のマイクロミラーが配列されている素子であり、光300を複数の点光源に変換する。各マイクロミラーの角度を制御することにより、図7に示すように、DMD157に入射した光300を選択的に反射して複数の光束302、303を生じさせることができる。複数の光束302、303は、固体浸レンズ130を通過した後、容器190の底面194の内側表面194sの所定領域195f、196fにおいてそれぞれ集光する。そのため、各所定領域195f、196f上にそれぞれ伝播光302a、303aが生じ、硬化物が形成される。そのため、製造装置400において、各マイクロミラーを制御して所望の数の光束を光硬化材料層210に照射することにより、所望の数のオーバーハング構造体を基材上に形成することができる。また、DMD157の各マイクロミラーを制御することにより、光300を所望の形状に変換することもできる。この場合、形成されるオーバーハング構造体は、DMD157によって変換された光の形状に対応する形状となる。さらに、製造装置400はフィルタ155とDMD157の両方を備えてもよい。このような製造装置400は、一度の光300の照射(一回の露光)で、フィルタ155のパターンに応じた形状を有するオーバーハング構造体を所望の数だけ形成することができる。
なお、製造装置100、200、400はさらに、光源110、リレー光学系150の各光学部品、高開口数対物レンズ136、フィルタ155、DMD157、シャッター(不図示)等を制御する制御部(不図示)を備えてもよい。
光300の一部は、容器190の底面194の内側表面194sにおいて反射されるが、この反射光を結像レンズ(不図示)によりCCD(不図示)上に結像させることにより、集光された光300の強度分布を観察できる。結像レンズ及びCCDは、ビームスプリッタ153を透過した反射光がCCD上に結像するように、図5〜7におけるビームスプリッタ153の下方に設置してよい。ビームスプリッタ153を透過した反射光の光路はミラー等によって折り曲げられてもよい。
実施例1
図8Aに示すフィルタを使用した場合の硬化物(オーバーハング構造体)の形状をシミュレーションにより計算した。図8Aに示すフィルタは、透過率の異なる同心円をから構成され、黒色部分は透過率0%、濃灰色部分は透過率25%、淡灰色部分は透過率50%、白色部分は透過率100%である。n=1.78、n=1.51、k=3、α=1として、上述の式(7)により硬化物の断面形状を計算した結果を図8Bに示す。硬化物の形状はフィルタのパターンに対応する複雑な形状となる。
実施例2
図9Aに示すフィルタを使用した場合の硬化物の形状をシミュレーションにより計算した。図9Aにおいて黒色部分は透過率0%、濃灰色部分は透過率25%、淡灰色部分は透過率50%、白色部分は透過率100%である。n=1.78、n=1.51、k=3、α=1として、上述の式(7)により硬化物の断面形状を計算した結果を図9Bに示す。硬化物の形状はフィルタのパターンに対応する複雑な形状となる。
実施例3
図10Aに示すフィルタを使用した場合の硬化物の形状をシミュレーションにより計算した。図10Aにおいて黒色部分は透過率5%、白色部分は透過率85%である。n=1.78、n=1.51、k=100、α=1として、上述の式(7)により硬化物の断面形状を計算した結果を図10Bに示す。硬化物の形状はフィルタのパターンに対応する複雑な形状となることが予想された。
光硬化材料として共栄社化学株式会社製DPE−6AにBASF社製Irgacure784を5wt%加えて混合した樹脂を作製した。次いで、基材(オリンパス社製Apo100xOHR−CG)上に光硬化材料を滴下塗布した。波長470nmのLED光源を用い、アパーチャにより径を2μmとした光を基材、光学オイル(オリンパス社製Apo100xOHR−CG−SP)及び高開口数対物レンズ(オリンパス社製Apo100xOHR)からなる固体浸レンズ(開口数1.65、屈折率1.78)を通して基材と光硬化材料層の界面で集光させた。光路中には図10Aに示したフィルタを設けた。
30秒間光を照射した後、エタノールにより光硬化材料層の未硬化の部分を溶解除去した。得られたオーバーハング構造体(硬化物)のSEM像を図10Cに、光学顕微鏡像を図10Dに示す。硬化物は、中心に形成された凸部と、中心の凸部を囲む二層の環状の凸部を有しており、図10Bに示した計算結果とよく一致していた。また、図10C、10Dに示されるように、硬化物はオーバーハング形状を有していた。
実施例4
図11Aに示すフィルタを使用した場合の硬化物の形状をシミュレーションにより計算した。図11Aにおいて黒色部分は透過率5%、白色部分は透過率85%である。n=1.78、n=1.51、k=100、α=1として、上述の式(7)により硬化物の断面形状を計算した結果を図11Bに示す。硬化物の形状はフィルタのパターンに対応する複雑な形状となることが予想された。
図10Aに示すフィルタの代わりに図11Aに示すフィルタを用いた以外は実施例3と同様の装置を用い、光硬化材料層を硬化させた。光硬化材料としては、実施例3と同様の樹脂を用いた。
1秒間光を照射し後、実施例3と同様にして光硬化材料層の未硬化の部分を溶解除去した。得られたオーバーハング構造体(硬化物)のSEM像を図11Cに、光学顕微鏡像を図11Dに示す。硬化物において、硬化物と基材との接触部から4つの柱状の凸部が放射状に延在しており、図11Bに示した計算結果とよく一致していた。また、図11C、11Dに示されるように、硬化物はオーバーハング形状を有していた。
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明してきたが、本発明のオーバーハング構造体の製造方法及び製造装置は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で適宜改変することができる。例えば、オーバーハング構造体の製造装置において、各種光学部品の配置が本願の図面に示された配置と異なっていてもよい。また、上記製造方法及び製造装置において、高開口数対物レンズを用いて光を集光させているが、高開口数対物レンズに代えて集光可能な任意の光学部材(光学素子)を用いてよい。本発明の製造方法及び製造装置で得られるオーバーハング構造体は、微小電気機械素子、バイオチップ、微細光学素子や、光反射部材、光散乱部材、絶縁部材、電極パターン部材、導電部材、防曇部材、断熱部材、防汚部材、光導波部材、誘電部材、無反射部材、低反射部材、偏光機能部材、光回折部材、親水部材、撥水部材等の種々の機能を有する部材として用いることができる。
100、200、400 オーバーハング構造体の製造装置
110 光源
130 固体浸レンズ
136 高開口数対物レンズ
150 リレー光学系
155 フィルタ
157 DMD
190 容器
194 基材(容器底面)
210 光硬化材料層
300 光
300a 伝播光

Claims (13)

  1. 光硬化材料に光照射することによりオーバーハング構造体を製造する方法であって、
    光透過性の基材の表面上に光硬化材料を供給して光硬化材料層を形成することと、
    光を、前記基材の前記表面の反対側から前記基材と前記光硬化材料層の界面に前記光硬化材料層内で伝播光が半球状に広がるように集光させることにより前記光硬化材料層の一部を一回の光照射でオーバーハング形状に硬化させることと、
    前記光硬化材料層の未硬化の部分を除去することとを含むオーバーハング構造体の製造方法。
  2. 前記基材が、前記光硬化材料層よりも高い屈折率を有する請求項1に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  3. 前記光を高開口数対物レンズにより前記基材と前記光硬化材料層の界面に集光させる請求項1又は2に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  4. 前記光が、フィルタを通過させて強度分布を制御した光である請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  5. 前記フィルタのマスク部分に対応する凹部を有する3次元のオーバーハング形状を生じさせる請求項4に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  6. 前記光が、複数の光束を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  7. デジタルマイクロミラーデバイスを用いて前記複数の光束を発生させる請求項6に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  8. 前記オーバーハング構造体が、前記基材上に形成されている構造体である請求項1〜7のいずれか一項に記載のオーバーハング構造体の製造方法。
  9. 光硬化材料に光照射することによりオーバーハング構造体を製造する装置であって、
    光透過性の底面を有し、光硬化性材料が充填される容器と、
    光を発生させる光源と、
    前記容器の底面の外側に配置され、前記光源からの前記光を前記容器の底面を通って前記底面と充填された光硬化材料との界面に集光させる高開口数対物レンズとを備える製造装置。
  10. 前記高開口数対物レンズが前記容器の底面と光学オイルを介して密着している請求項9に記載の製造装置。
  11. 前記高開口数対物レンズ、前記底面及び光学オイルの屈折率が等しい請求項10に記載の製造装置。
  12. 前記光源と高開口数対物レンズの間の光路中に、光の強度分布を制御するフィルタを備える請求項9〜11のいずれか一項に記載の製造装置。
  13. 前記光源からの光を反射して複数の光束を発生させるデジタルマイクロミラーデバイスを備える請求項9〜12のいずれか一項に記載の製造装置。
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