JP6554102B2 - 発酵プロセス - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年9月22日に出願された米国仮出願第61/880,970号からの優先権を主張するものであり、この内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、化合物を用いた発酵システムの代謝産物プロファイルを変化させるための方法に関する。特に、本発明は、アセト乳酸塩由来の生成物の生成を増加させるための方法に関する。
輸送用バイオ燃料は、ガソリンの魅力的な代替品であり、低濃度混合物として燃料市場に急速に浸透してきている。天然植物源由来のバイオ燃料は、化石資源(ガソリン等)由来のものよりも環境的に持続可能で、それらの使用は、燃料燃焼の結果として、大気中に放出されるいわゆる化石二酸化炭素(CO)ガスのレベルの低減を可能にする。さらに、バイオ燃料は、多くの地域で地元生産することができ、輸入化石エネルギー資源への依存を削減するために役立てることができる。バイオ燃料として使用するのに適しているアルコールとしては、エタノール、ブタノール、及び2,3−ブタンジオールが挙げられる。
エタノールは、世界中において、急速に主要な水素に富む液体輸送用燃料となっている。2002年のエタノールの世界消費量は、108億ガロンと推定された。燃料エタノール産業の世界市場はまた、欧州、日本、米国、及びいくつかの発展途上国におけるエタノールへの関心の増加により、将来急成長すると予測されている。
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオールを含むブタンジオールは、エタノールに優る様々な利点を有すると見なされ得る。エタノールと同様、ブタンジオールは、自動車燃料の添加剤として直接使用することができる。それらはまた、いくつかの潜在的に高い価値及び/または高エネルギー製品に比較的容易に変換することもできる。例えば、2,3−ブタンジオールは、二段階プロセスで、航空燃料として使用することができる8炭素ダイマーに容易に変換することができる。
2,3−ブタンジオールの多用途性は、その二官能性骨格から誘導され、すなわち、2個のヒドロキシル基が隣接C原子上に位置しているので、該分子は、ブタジエン、ブタジオン、アセトイン、メチルエチルケトン等の物質に極めて容易に変換させることが可能となる。これらの化学的化合物は、広範囲の化学工業製品を製造するためのベース分子として使用される。
さらに、2,3−ブタンジオールは、内燃機関の燃料として使用することもできる。それは、いくつかの点でエタノールよりもガソリンに類似している。環境的に持続可能な燃料の製造及び応用への関心が高まるにつれ、2,3−ブタンジオール(しばしばバイオブタノールと称される)を製造するための生物学的プロセスへの関心も高まっている。
一酸化炭素(CO)は、石炭または石油及び石油由来の製品等の有機材料の不完全燃焼の主要副産物である。炭素含有前駆物質を完全燃焼すれば、最終生成物としてCO2と水だけが得られるが、一部の産業プロセスはCO2よりも一酸化炭素の蓄積を促しやすい高温を必要とする。1つの例が製鋼業で、所望のスチール品質を得るのに高温を必要とする。例えば、豪州の鉄鋼産業は、年間500,000トンを超えるCOを生成し、大気中に放出していると報告されている。
さらに、COは合成ガスの主成分でもあり、様々な量のCO及びH2が炭素含有燃料のガス化によって生成されている。例えば、合成ガスは、廃木及び廃木材の有機バイオマスを分解することによって製造され得、燃料及びより複雑な化学製品の製造のために前駆物質を生成する。
大気中へのCO放出は、重大な環境影響をもたらし得る。さらに、排出税の支払いも求められ、工業プラントにかかるコストを増加させる。COは反応エネルギー豊富な分子なので、様々な化学製品の製造のための前駆化合物として使用することができる。しかしながら、この価値ある原料は、2,3−ブタンジオールの製造には利用されてこなかった。
2,3−ブタンジオールが原料を含有する炭水化物の微生物発酵によって生成され得ることが実証されている(Syu MJ,Appl Microbiol Biotechnol 55:10−18(2001),Qin et al.,Chinese J Chem Eng 14(1):132−136(2006))。2,3−ブタンジオールはまた、砂糖大根、トウモロコシ、小麦、及びサトウキビ等の作物由来のバイオマスの微生物発酵によって製造することもできる。しかしながら、これらの炭水化物原料のコストは、人間の食料または動物の飼料としてのそれらの価値によって影響を受け、また、2,3−ブタンジオール製造用のデンプンまたは蔗糖を生産する作物の耕作は、すべての地域で経済的に持続可能ではない。したがって、より少ないコストかつ/またはより豊富な炭素資源を2,3−ブタンジオールに変換するための技術を開発することに関心が寄せられている。
COを含むガス状基質の微生物発酵による2,3−ブタンジオールの生成が実証されている。しかしながら、これらのプロセスによる2,3−ブタンジオールの生成は、副生成物である。エタノールを含む他の生成物の生成は、発酵において好まれる。ブタンジオールは、そのような発酵において生成される他の生成物よりも大きな価値を有する。2,3−ブタンジオールの生成が増加するような方法で発酵に影響を及ぼすことができることが望ましい。増加した2,3−ブタンジオールの生産性が、微生物培養による水素消費の速度に影響されることがこれまでに示されている(国際公開第WO2012131627号)。
経済的に有益な方法で産業用ガス状基質から有益な生成物を生成する能力を増加させることが、当該技術分野において依然として必要とされる。カルボキシド栄養性細菌によるガス状基質の発酵において通常生成される他の生成物の生成と比較して、2,3−ブタンジオールの生成を増強させる必要がある。
本発明は、当該技術分野での必要性への応答を提供する。本発明は、発酵の代謝プロファイルを変化させるための方法を提供する。特に、本発明は、アセト乳酸塩を通してフラックスを増加させるための方法を提供する。ある特定の実施形態において、本発明は、アセト乳酸塩由来の1つ以上の生成物の生成を増加させるための方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ガス状基質の微生物発酵によって2,3−ブタンジオールの生成を増加させるための方法を提供する。本発明は、エタノール及び酢酸等の他の発酵生成物と比較して、2,3−ブタンジオールの生成を増加させるための方法をさらに提供する。
第1の態様において、本発明は、アセト乳酸塩由来の少なくとも1つの生成物の生成を増加させる方法を提供する。本方法は、液体栄養培地中の1つ以上のカルボキシド栄養性酢酸微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供し、少なくとも1つの発酵生成物を生成することを含む。
一実施形態において、本方法は、少なくとも1つの化合物を液体栄養培地に添加することを含む。一実施形態において、少なくとも1つの化合物は、発酵の代謝プロファイルに影響を及ぼす。一実施形態において、液体栄養培地への少なくとも1つの化合物の添加は、炭素の分岐鎖アミノ酸へのフラックスを阻害する。
一実施形態において、本化合物は、アセト乳酸塩を分岐鎖アミノ酸に変換する1つ以上の酵素を阻害する化合物である。一実施形態において、本化合物は、カルボン酸部分を含む。
一実施形態において、本化合物は、2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、アセト乳酸塩、2−オキソ−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2,3−ヒドロキシ−3−メチルブタノエートと構造的に関連する化合物からなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも1つの化合物は、2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートからなる群から選択される。
一実施形態において、少なくとも1つの発酵生成物は、酢酸、エタノール、2,3−ブタンジオール、2−ブタノン、2−ブタノール、アセトイン、イソプロパノール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、プロパンジオール、2−プロパノール、アセトイン、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、ポリ乳酸、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、アセトン、及び脂肪酸からなる群から選択される。
一実施形態において、アセト乳酸塩由来の少なくとも1つの生成物は、2,3−ブタンジオール、2−ブタノン、2−ブタノール、及びアセトインからなる群から選択される。
一実施形態において、アセト乳酸塩由来の少なくとも1つの生成物の生成速度は、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも110%、または少なくとも120%、または少なくとも130%、または少なくとも140%、または少なくとも150%増加する。
第2の態様において、本発明は、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる方法を提供する。一実施形態において、本方法は、液体栄養培地中の1つ以上のカルボキシド栄養性酢酸微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供し、2,3−ブタンジオールを生成することを含む。一実施形態において、発酵は、少なくとも1つの他の発酵生成物を生成する。
一実施形態において、本方法は、液体栄養培地に少なくとも1つの化合物を提供することをさらに含む。一実施形態において、少なくとも1つの化合物は、炭素の分岐鎖アミノ酸へのフラックスを阻害する。
一実施形態において、本化合物は、アセト乳酸塩を分岐鎖アミノ酸に変換する1つ以上の酵素を阻害する化合物である。一実施形態において、本化合物は、カルボン酸部分を含む。
一実施形態において、本化合物は、2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、アセト乳酸塩、2−オキソ−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2,3−ヒドロキシ−3−メチルブタノエートと構造的に関連する化合物からなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも1つの化合物は、2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートからなる群から選択される。
一実施形態において、少なくとも1つの他の発酵生成物は、酢酸、エタノール、2−ブタノン、2−ブタノール、アセトイン、イソプロパノール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、プロパンジオール、2−プロパノール、アセトイン、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、ポリ乳酸、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、アセトン、及び脂肪酸からなる群から選択される。
一実施形態において、少なくとも1つの他の発酵生成物は、少なくともエタノールである。一実施形態において、化合物の添加は、発酵の代謝プロファイルの変化をもたらす。一実施形態において、発酵への化合物の添加は、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる。
一実施形態において、2,3−ブタエンジオール(butaenediol)の生成速度は、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも110%、または少なくとも120%、または少なくとも130%、または少なくとも140%、または少なくとも150%増加する。
第1及び第2の態様の実施形態において、ガス状基質は、CO、CO2、H2、N2、CH4、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態において、ガス状基質は、少なくともCOを含む。
第3の態様において、本発明は、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる方法を提供する。一実施形態において、本方法は、液体栄養培地中の1つ以上のカルボキシド栄養性酢酸微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供し、少なくとも2,3−ブタンジオール及びエタノールを生成することと、1つ以上の手段を用いて培養物を操作して、2,3−ブタンジオールの生成速度を増加させることと、を含む。
一実施形態において、培養物を操作するステップは、発酵への1つ以上の化合物の添加を含む。一実施形態において、本化合物は、アセト乳酸塩を分岐鎖アミノ酸に変換する1つ以上の酵素を阻害する化合物である。一実施形態において、本化合物は、カルボン酸部分を含む。一実施形態において、1つ以上の化合物は、2−HIBA、アセト乳酸塩、2−オキソ−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブタノエートと構造的に関連する化合物からなる群から選択される。一実施形態において、1つ以上の化学的化合物は、2−HIBA、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートからなる群から選択される。
一実施形態において、ガス状基質は、CO2、H2、N2、CH4、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの基質をさらに含む。
一実施形態において、培養物を操作する方法は、2−HIBAを培養物に添加することを含む。一実施形態において、1つ以上のさらなる操作ステップは、2−HIBAを微生物培養物に添加することとともに実行される。一実施形態において、発酵への2−HIBAの添加は、発酵ブロス中の2_HIBAの濃度が所定レベルで維持されるように制御される。ある特定の実施形態において、2−HIBAの濃度は、0.01〜2.0g/L(0.096mM〜19.2mM)で維持される。一実施形態において、2−HIBAの濃度は、0.05mM〜50mMで維持される。
一実施形態において、発酵への2−HIBAの添加は、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる。一実施形態において、2−HIBAの添加は、2,3−ブタンジオールを支持してエタノール対2,3−ブタンジオールの比率を改善する。特定の実施形態において、エタノール対2,3−BDOの比率は、4:1、3:1の、または2:1、または1:1、または1:2である。
一実施形態において、2,3−ブタエンジオール(butaenediol)の生成速度は、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも110%、または少なくとも120%、または少なくとも130%、または少なくとも140%、または少なくとも150%増加する。
特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、10g/L以上の濃度で2,3−BDOを生成することができる。特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、12g/Lを超える、または16g/Lを超える、または20g/Lを超える濃度で2,3−BDOを生成することができる。一実施形態において、微生物は、少なくとも10g/L/日、または少なくとも15g/L/日、または少なくとも20g/L/日、または少なくとも25g/L/日の割合で2,3−ブタンジオールを生成することができる。
特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、10g/L以上の濃度でエタノールを生成することができる。特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、15g/Lを超える、または20g/Lを超える、または30g/Lを超える、または40g/Lを超える濃度でエタノールを生成することができる。
一実施形態において、発酵は、酢酸をさらに生成する。特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、10g/L以下の濃度で酢酸を生成することができる。
第1〜第3の態様の実施形態において、1つ以上のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、クロストリジウム属、ムーレラ属、オキソバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アセトバクテリウム属、ユーバクテリウム属、またはブチリバクテリウム属からなる群から選択される。様々な実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモサム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロムサ・オヴァタ、スポロムサ・シルバセチカ、スポロムサ・スファエロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キウヴィを含む群から選択される。
特定の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムまたはクロストリジウム・リュングダリイである。1つの特定の実施形態において、微生物はクロストリジウム・オートエタノゲナムである。特定の実施形態において、微生物は、寄託番号DSMZ10061またはDSMZ23693の識別特徴を有する。
第4の態様において、本発明は、アセト乳酸塩由来の少なくとも1つの生成物の生成を増加させるための方法を提供し、本方法は、液体栄養培地中の少なくとも1つの組換え酢酸生成カルボキシド栄養性微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供し、少なくとも1つの発酵生成物を生成することを含み、少なくとも1つの組換え微生物は、ピルビン酸塩からアセト乳酸塩への変換を増加させる少なくとも1つの遺伝的修飾を有する。
一実施形態において、少なくとも1つの遺伝的修飾は、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子における不活性化突然変異、及びアセト乳酸シンターゼ遺伝子の過剰発現を提供するように適合される修飾からなる群から選択される。
一実施形態において、組換え微生物は親微生物と比較してアセト乳酸シンターゼの過剰発現を提供するための修飾及びケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子における不活性化突然変異の両方を有し、親微生物と比較してケトール酸レダクトイソメラーゼの活性を減少する。
一実施形態において、少なくとも1つの遺伝的修飾は、アセト乳酸塩の生成の増加をもたらす。一実施形態において、ケトール酸レダクトイソメラーゼの活性の減少は、分岐鎖アミノ酸の生成を阻害する。一実施形態において、アセト乳酸シンターゼ遺伝子の増加した活性は、ピルビン酸塩からアセト乳酸塩への変換の速度を増加させる。
第5の態様において、本発明は、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子における不活性化突然変異を含むカルボキシド栄養性酢酸生成微生物を提供する。
一実施形態において、カルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、ガス状基質の増殖及び/または発酵時、親微生物と比較して、アセト乳酸塩を分岐鎖アミノ酸に変換する能力の低下を有する。
一実施形態において、カルボキシド栄養性微生物は、アセト乳酸シンターゼ遺伝子の過剰発現を提供するように適合される1つ以上の遺伝的修飾をさらに含む。
第6の態様において、本発明は、アセト乳酸シンターゼの活性レベルを増加させるように適合される1つ以上の遺伝的修飾を含む、カルボキシド栄養性酢酸生成微生物を提供する。
一実施形態において、アセト乳酸シンターゼのレベルを増加させるように適合される1つ以上の遺伝的修飾は、内因性異化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、内因性同化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、内因性アセト乳酸シンターゼの外因性異化アセト乳酸シンターゼとの置換、内因性アセト乳酸シンターゼの外因性同化アセト乳酸シンターゼとの置換、及び内因性同化シンターゼのサブユニットの過剰発現からなる群から選択され、当該サブユニットが分岐鎖アミノ酸によるフィードバック阻害に非感受性である。
一実施形態において、微生物は、ガス状基質の増殖及び/または発酵時、親微生物と比較して、より高い生成速度のアセト乳酸塩を有し、及び/または親微生物と比較して、より多量のアセト乳酸塩由来の生成物を生成する。
第4〜第6の態様の特定の実施形態において、親微生物は、カルボキシド栄養性微生物である。様々な実施形態において、カルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム属、ムーレラ属、オキソバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アセトバクテリウム属、ユーバクテリウム属、またはブチリバクテリウム属から選択される。様々な実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモサム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロムサ・オヴァタ、スポロムサ・シルバセチカ、スポロムサ・スファエロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キウヴィを含む群から選択される。
特定の実施形態において、親微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムまたはクロストリジウム・リュングダリイである。1つの特定の実施形態において、親微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムである。特定の実施形態において、親微生物は、寄託番号DSMZ10061またはDSMZ23693の識別特徴を有する。
一実施形態において、ガス基質は、CO、CO2、H2、N2、CH4、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
一実施形態において、親微生物を用いて行われた方法と比較して、本発明のこの態様の方法によって生成されたアセト乳酸塩由来の生成物の量は、少なくとも10%多い、少なくとも20%多い、少なくとも30%多い、少なくとも40%多い、少なくとも50%多い、少なくとも60%多い、少なくとも70%多い、少なくとも80%多い、少なくとも90%多い、少なくとも100%多い、少なくとも110%多い、少なくとも120%多い、少なくとも130%多い、少なくとも140%多い、少なくとも150%多い。一実施形態において、本発明のこの態様の方法によって生成されたアセト乳酸塩由来の生成物の量は、98%多い。
特定の実施形態において、組換えカルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、COを使用して、10g/L以上の濃度で2,3−BDOを生成することができる。特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、12g/Lを超える、または16g/Lを超える、または20g/Lを超える濃度で2,3−BDOを生成することができる。一実施形態において、微生物は、少なくとも10g/L/日、または少なくとも15g/L/日、または少なくとも20g/L/日、または少なくとも25g/L/日の割合で2,3−ブタンジオールを生成することができる。
特定の実施形態において、組換えカルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、COを使用して、10g/L以上の濃度でエタノールを生成することができる。特定の実施形態において、微生物は、COを使用して、15g/Lを超える、または20g/Lを超える、または30g/Lを超える、または40g/Lを超える濃度でエタノールを生成することができる。特定の実施形態において、微生物は、CO2及びH2を使用して、10g/L以下の濃度で酢酸を生成することができる。
特定の実施形態において、組換えカルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、エタノール対2,3−BDOの比率が4:1の、3:1の、または2:1、または1:1、または1:2の、エタノール及び2,3−ブタンジオールを生成する。
本発明はまた、用途の仕様において言及またはそれに指示された部分、要素、及び特性を、個別にまたは集合的に、該部分、要素、または特性のうちの2つ以上の任意またはすべての組み合わせで含み、特定の整数が本明細書に記載され、それが本発明の関連する当該技術分野において既知の等価物を有する場合、このような既知の等価物は、個別に記載されるかのように本明細書に組み込まれると見なされる。
発酵の代謝産物のプロファイルにおける2−HIBA添加の影響を示す。 液体希釈率及び細菌希釈率に基づいた2−HIBAの指数関数的洗い流し曲線を示す。 2−HIBAの濃度が0.5g/L(4.8mM)で維持されるように、2−HIBAを発酵に連続的に添加した場合のバイオリアクタの代謝産物プロファイルを示す。 発酵に連続的に添加した2−HIBAの量が1.0g/L(9.6mM)まで増加した場合のバイオリアクタの代謝産物プロファイルを示す。 2−HIBAの濃度が0.5g/L(4.8mM)で維持されるように、2−HIBAを発酵に連続的に添加した場合のバイオリアクタのガスプロファイルを示す。 発酵に連続的に添加した2−HIBAの量が1.0g/L(9.6mM)まで増加した場合のバイオリアクタのガスプロファイルを示す。 2−HIBAの濃度が、0.5g/L(4.8mM)から1.0g/L(9.6mM)に増加する場合の2リアクタシステムからの代謝産物プロファイルを示す。 エタノール:2,3−BDOの比率において異なる2−HiBA濃度の影響を示す。 培地中の0.05g/L(0.48mM)の2−HIBAを用いた発酵の代謝産物プロファイルを示す。 培地中の0.05g/L(0.48mM)の2−HiBAを用いた発酵のガスプロファイルを示す。 100mg(0.96mM)のHiBAの添加後の分岐鎖アミノ酸及びバイオマスの濃度を示す。 LZ1561の代謝における2−HIBAの影響の概略図。 15mMの2−ヒドロキシ−2メチル酪酸の添加の影響を示す発酵の代謝産物プロファイルを示す。 2−HIBAの添加前及び後のバイオリアクタにおける炭素の相対的なバランスを示す。
本発明は、ガス状基質の微生物発酵による1つ以上の生成物の生成のための方法を提供する。
ガス状基質は、CO、CO2、H2、N2、CH4、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明は、アセト乳酸塩由来の1つ以上の生成物の生成を増加させるための方法を提供する。
定義
「アセト乳酸塩由来の生成物」または「アセト乳酸塩由来生成物」という用語または同様の用語は、本明細書において使用される場合、アセト乳酸塩前駆体を有する発酵生成物を包含することを意図する。これらの生成物としては、2,3−ブタンジオール、2−ブタノン、2−ブタノール、及びアセトインが挙げられるが、これらに限定されない。
「分岐鎖アミノ酸」という用語または同様の用語は、ロイシン、イソロイシン、及びバリンを包含することを意図する。
「2,3−ブタンジオール」という用語は、化合物のすべてのエナンチオ及びジアステレオ形、例えば、(R,R)、(S,S)、及びメソ形、ラセミ形、部分的に立体異性体的に純粋な形及び/または実質的に立体異性体的に純粋な形で含むと解釈されるべきである。
「バイオリアクタ」という用語は、1つ以上の容器及び/または塔もしくは配管からなる発酵装置を含み、連続撹拌槽型反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、細流床反応器(TBR)、バブルカラム(Bubble Column)、ガスリフト発酵槽(Gas Lift Fermenter)、静的ミキサ(Static Mixer)、循環式ループリアクタ、膜反応器、例えば中空繊維膜バイオリアクタ(HFMBR)、または気液接触に適切なその他の容器もしくはその他の装置を含む。本明細書において後で記載されるように、いくつかの実施形態において、バイオリアクタは、第1の増殖リアクタ及び第2の発酵リアクタを含み得る。したがって、バイオリアクタまたは発酵反応への、基質、例えば一酸化炭素を含む基質の添加を参照する場合、必要に応じて、これらのリアクタのいずれかまたは両方への添加を含むことが理解されるべきである。
「ガス状基質」及び/または「基質」という用語は、発酵において炭素源及び任意にエネルギー源として微生物によって使用される化合物または成分を含有する任意のガスを含む。ガス状基質は典型的に、相当割合のCO、CO2、CH4、H2、またはこれらの混合物のいずれかを含有する。
「一酸化炭素を含む基質」という用語及び同様の用語は、一酸化炭素が、例えば増殖及び/または発酵のために細菌の1つ以上の株に利用可能である、任意の基質を含むように理解されるべきである。
「一酸化炭素を含むガス状基質」は、あるレベルの一酸化炭素を含有する任意のガスを含む。ガス状基質は典型的に、主要な割合のCO、好ましくは少なくとも15体積%〜95体積%のCOを含有するであろう。
「CO2を含む基質」は、あるレベルの二酸化炭素を含有する任意の基質流を含む。しかしながら、ガス状基質は、代替形態で提供され得る。例えば、CO2を含有するガス状基質は、液体中に溶解されて提供され得る。本質的には、液体を二酸化炭素含有ガスで飽和し、次いで、その液体をバイオリアクタに添加する。これは、標準的な方法を用いて達成され得る。例として、微生物分散物生成器(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)が、使用され得る。さらなる例として、CO2及びH2を含有するガス状基質は、固体支持体上に吸収され得る。
「生成物」という用語は、本明細書において使用される場合、微生物発酵によって生成される物質を包含することが意図される。生成物は、アルコール、酸、または他の化学物質を含むことができる。生成物はまた、微生物発酵プロセスによって生成されるガスも含むことができる。
「効率の増加」、「増加した効率」等のような用語は、発酵プロセスに関して使用される場合、発酵を触媒する微生物の増殖速度、高濃度のブタンジオールでの増殖及び/または生成物生成速度、消費された基質の容量当たり生成される所望の生成物の容量、所望の生成物の生成速度または生成レベル、ならびに発酵の他の副生成物と比較した生成された所望の生成物の相対的比率のうちの1つ以上を増加することを含むが、これらに限定されない。
「生産性」または「生産率」という用語は、生成物の容量生産性である。連続システムでは、容積測定生産性は、生成物の定常状態の濃度と液体保持時間の比率として算出される。バッチシステムでは、容積測定生産性は、バッチシステムでの当該濃度を生成するのに必要とされる濃度及び時間として算出される。容積測定生産性は、g/L/日として報告されている。
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「発酵」、「発酵プロセス」、または「発酵反応」等のような語句は、本明細書において使用される場合、プロセスの増殖期及び生成物生合成期の両方を包含することが意図される。
「親微生物」は、本発明の組換え微生物を発生させるために使用される微生物である。親微生物は、天然に存在するもの(すなわち、野生型微生物)、または事前に改変されるが、本発明の対象の酵素のうちの1つ以上を発現もしくは過剰発現しないものであり得る。したがって、本発明の組換え微生物は、親微生物で発現または過剰発現しない1つ以上の酵素を発現または過剰発現するように改変された。
「外因性」という用語は、それらが導入される微生物の外部に由来する核酸を指す。外因性核酸は、それらが(例えば、組換え微生物が由来する親微生物に)導入される微生物、それらが導入される生物とは異なる微生物の株もしくは種を含むが、これらに限定されない任意の適切な源に由来し得るか、または人工的もしくは組換えによって作製され得る。「外因性」は、タンパク質を指すために使用することもできる。これは、組換え微生物が由来する親微生物に存在しないタンパク質を指す。
「内因性」という用語は、組換え微生物及び核酸またはタンパク質に関連して使用される場合、組換え微生物が由来する親微生物に存在する任意の核酸またはタンパク質を指す。
「過剰発現する」、「過剰発現」、ならびに同様の用語及び語句は、本発明に関して使用される場合、同じ条件下で、親微生物のタンパク質の発現レベルと比較して、1つ以上のタンパク質の発現における任意の増加を含むように広く解釈されるべきである。それは、タンパク質が任意の特定のレベルで発現されることを意味するように解釈されるべきではない。
以下の説明は、本発明の特定の実施形態、すなわち、一次基質としてCOを用いた2,3−BDOの生成に注目するが、本発明は、本発明が関連する当業者に既知である、代替的アルコールの生成及び/または酸、ならびに代替的基質の使用に適用可能であり得ることを理解されるべきである。より具体的には、本発明は、CO、CO2、H2、CH4、及びこれらの混合物からなる群から選択されるガス状基質を用いたアセト乳酸塩由来の生成物の生成に適用可能であり得る。
エタノール及び酢酸塩等の生成物を生成するために、一酸化炭素を含むガス状基質の微生物発酵プロセスは、当該技術分野において周知である。そのようなプロセスは、COを含む産業廃ガスから商業的に有用な燃料を生成する手段を提供する。
したがって、本発明者らは、まず、COを含むガス状基質の微生物発酵を通して、高濃度の2,3−ブタンジオールを生成するためのプロセスを考案する。第一段階では、COを含むガス状基質を、液体栄養培地中に懸濁する1つ以上の微生物の培養物を含むバイオリアクタに供給する。ガス状基質を嫌気的に発酵させて、1つ以上のアルコール及び/または1つ以上の酸またはこれらの混合物を生成する。化合物を発酵に提供して、発酵の代謝産物プロファイルを変更する。
本発明者らは、バイオリアクタへの2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)の添加が増加した2,3−BDOの生成を誘発することを実証した。特定の実施形態において、このプロセスは、2,3−BDO及びエタノールを生成する。本発明の方法によって生成された2,3−ブタンジオール対エタノールの比率は、1:10〜10:1である。特定の実施形態において、このプロセスは、1:4、または1:3、または1:2、または1:1、または1:2の比率で、2,3ブタンジオール及びエタノールを生成する。
本発明者らは、発酵への0.01g/L〜2.0g/L(0.096〜19.2mM)の濃度の2−HIBAの添加が2,3−BDOの濃度を著しく増加させることを見出した。2−HIBAの添加はまた、エタノール:2,3−BDOの比率を大幅に改善することも示されている。
本発明者らは、0.01g/L/日〜2.0g/L/日(0.096〜19.2mM/日)の濃度の2−HIBAを、連続様式で発酵システムに添加して、全体的な発酵安定性に影響を及ぼすことなく、エタノール:2,3−BDOの比率を改善することができることを実証している。
2−HIBAの添加後に増加した2,3−ブタンジオールの生成への変化を確認するために、炭素バランス測定を行った。炭素バランスは、エタノール、酢酸塩、及びバイオマスの生成の減少を伴う2,3−ブタンジオールの生成の明らかな増加を示した。図14は、2−HIBAの添加前及び後のバイオリアクタにおける炭素の相対的なバランスを示す。
本発明者らは、2−HIBAが細菌に取り込まれない、または生成物に変換されないことをさらに見出した。2−HIBAは、2,3−BDOの生成を増加させ、発酵によって消費されることなく、エタノール:2,3−BDOの比率を改善することを、本発明者らによって実証された。2−HIBAが発酵によって消費されないため、バイオリアクタを出る2−HIBAを回収し、それをバイオリアクタに戻して、発酵の効率を改善することが可能である。
2−HIBAの添加は、クロストリジウム・オートエタノゲナムの代謝に影響を及ぼす。図12は、クロストリジウム・オートエタノゲナムの代謝における2−HIBAの影響を示す概略図である。天然システムでは、アセトルカテート(Acetolcatate)シンターゼIlvBNの発現及び活性は、分岐鎖アミノ酸合成によって下方制御される。発酵への2−HIBAの添加は、ケトール酸レククトイソメラーゼ(recuctoisomerase)IlvC、分岐鎖アミノ酸生合成を阻害し、これにより、バリン、イソロイシン、及びロイシンの濃度の減少をもたらす。結果として、バリン、イソロイシン、及びロイシンによるIlvBN酵素のフィードバック阻害が解除される。これは、アセト乳酸塩の生成の増加をもたらす。アセト乳酸塩プールの増加は、炭素の2,3−ブタンジオールへの氾濫を引き起こす。アセト乳酸塩及びアセトインの2,3−BDOへの変換は、レート制限されず、2,3−BDOへの変換は、アセト乳酸塩のアセトインへの変換及び/またはアセトインの2,3−BDOへの変換に関与する酵素をさらに上方制御する必要なく、自由に生じる。
2−HIBAは、C4カルボン酸及びアルファヒドロキシ酸である。2−HIBAは、クロストリジウム・オートエタノゲナムによって合成されず、自然界ではめったに見られない、化学的化合物である。
ケトール酸レダクトイソメラーゼは、2−HIBAの存在によって阻害される。2−HIBAと同様の構造的特徴、及びその酵素が作用する基質を有する他の化合物(アセト乳酸塩。2−オキソ−3−ヒドロキシイソバレレート及び2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブタノエート)が、ケトール酸レダクトイソメラーゼへの同様の効果を有するであろうと見られる。ケトール酸レダクトイソメラーゼの阻害剤は、アセト乳酸塩を分岐鎖アミノ酸に変換する1つ以上の酵素を阻害する化合物を含む。典型的には、本化合物は、ケトール酸レダクトイソメラーゼを阻害する。
典型的には、本化合物は、カルボン酸部分を含み、本化合物が、カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子で、ヒドロキシル基またはカルボニル基に置換される。好ましくは、本化合物は、カルボン酸部分を含み、本化合物が、カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子で、ヒドロキシル基に置換される。より好ましくは、本化合物は、カルボン酸部分を含み、本化合物が、カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子で、ヒドロキシル基に置換され、本化合物は、カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子で分岐される。カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子と結合するヒドロキシル基に加えて、カルボン酸部分からアルファ位置の炭素原子と結合する1つまたは2つの非水素置換基があることを意味する。
1つ以上のキラル中心を含む式Iの化合物は、鏡像異性的に純粋な形、または異性体の混合物の形で使用され得る。誤解を避けるために、式Iの化合物は、必要に応じて、その塩及び/または溶媒和物の形で使用することができる。さらに、誤解を避けるために、本発明の化合物は、任意の互変異性形で使用され得る。
典型的な塩形は、金属及びアミン化合物を有する塩を含む。金属を有する塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)及びアルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)を有する塩を含み得る。アミンを有する塩は、アルキルアミン、アラルキルアミン、及び複素環式アミンを有する塩を含み得る。
典型的には、C〜Cアルキル基は、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基、ある状況においては、C〜Cアルキル基である。C〜Cアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、及びヘキシルが挙げられる。メチル、エチル、及びi−プロピル基が好ましい。誤解を避けるために、2つのアルキル部分が式(I)の化合物中に存在する場合、アルキル部分は、同じであっても、異なっていてもよい。典型的には、アルキル部分は、非置換である。
〜Cヒドロキシアルキル基は、典型的には、1つ以上のヒドロキシル(−OH)基によって置換される当該C〜Cアルキル基である。典型的には、それは、1つ、2つ、または3つのヒドロキシル基、好ましくは、1つまたは2つ、より好ましくは、1つのヒドロキシル基によって置換される。典型的には、C〜Cヒドロキシアルキル基は、C〜Cヒドロキシアルキル基、好ましくは、C〜Cヒドロキシアルキル基である。好ましいヒドロキシアルキル基は、−C(OH)(CH基である。典型的には、ヒドロキシアルキル基は、前述のヒドロキシル基以外の基で置換されない。
典型的には、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。好ましくは、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C−Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、分岐鎖Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rはメチル基である。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピル、−C(OH)(CH基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rはメチル基である。
典型的には、Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。好ましくは、Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基である。より好ましくは、Rは、水素原子またはメチルもしくはエチル基である。最も好ましくは、Rは、水素原子またはメチル基である。
典型的には、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基であり、Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C−Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。好ましくは、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rは直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基であり、Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基である。より好ましくは、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基、分岐鎖Cヒドロキシアルキル基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rはメチル基であり、Rは、水素原子またはメチルもしくはエチル基である。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピル、−C(OH)(CH基、または基−(C=O)Rであり、式中、Rはメチル基であり、Rは、水素原子またはメチル基である。
典型的には、R及びRは両方とも、上で定義される基−(C=O)Rではない。典型的には、R及びRは両方とも、上で定義されるC〜Cヒドロキシアルキル基ではない。したがって、典型的には、Rは、上で定義される通りであり、Rは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、好ましくは、水素原子または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基、より好ましくは、水素原子またはメチルもしくはエチル基、最も好ましくは、水素原子またはエチル基である。
ある特定の状況では、R及びRの両方が、アルキル基であることが好ましい場合がある。この場合には、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基であり、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。好ましくは、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基であり、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基であり、Rは、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキル基である。さらにより好ましくは、Rは、メチルまたはエチル基であり、Rは、メチルまたはエチル基である。最も好ましくは、R及びRは、メチル基である。
式Iの特に好ましい化合物は、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、及び2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸である。2−ヒドロキシイソ酪酸は、特に好ましい。したがって、式Iの特に好ましい化合物は、典型的には、以下の化合物から選択される。
典型的には、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基である。好ましくは、Rは、直鎖もしくは分岐鎖C〜Cアルキル基または直鎖もしくは分岐鎖C〜Cヒドロキシアルキル基である。最も好ましくは、Rは、i−プロピルまたは−C(OH)(CHである。式IIの特に好ましい化合物は、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート及び2−ケトイソバレレートである。したがって、式IIの特に好ましい化合物は、典型的には、以下の化合物から選択される。
ケトール酸レダクトイソメラーゼ阻害剤の例としては、ケトβヒドロキシイソバレレート、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシルαメチルブチレート、ヒドロキシイソバレレート、ケトイソバレレート(Arfin et al,Purification and Properties of the Acetohydroxy Acid Isomeroreductase of Salmonella typhimurium.The Journal of Biomedical Chemistry 1969,Vol.244,No.5,pp1118−1127.)、及びオキサリルヒドロキサメート(Aulabaugh et al,Oxalyl Hydroxamates as Reaction−Intermediate Analogues for Ketol−Acid Reductoisomerase,Biochemistry 1990,29,pp 2824−2830.)が挙げられるが、これらに限定されない。IlvC経路をもたらす化合物のさらなる例としては、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートが挙げられる。
発酵について論じられた阻害化合物のうちの1つ以上の添加は、分岐鎖アミノ酸の生成阻害の上記の機序によって、アセト乳酸塩の生成を増加させる。アセト乳酸塩プールの増加は、2,3−ブタンジオールを含む、他のアセト乳酸塩由来の生成物への炭素の増加する流れを引き起こす。
阻害化合物は、分岐鎖アミノ酸の生成における阻害反応を引き起こすのに十分な濃度で液体栄養培地に添加され、アセト乳酸塩由来の他の生成物の生成を増加させる。本化合物は、0.05mM〜50mMの濃度で、連続様式で液体栄養培地に添加され得る。発酵への化合物の添加によって生成されるアセト乳酸塩由来の生成物の量は、化合物を添加しない発酵と比較して、少なくとも10%多い、少なくとも20%多い、少なくとも30%多い、少なくとも40%多い、少なくとも50%多い、少なくとも60%多い、少なくとも70%多い、少なくとも80%多い、少なくとも90%多い、少なくとも100%多い、少なくとも110%多い、少なくとも120%多い、少なくとも130%多い、少なくとも140%多い、少なくとも150%多い。
発酵は、例えば、固定化細胞反応器、ガスリフト反応器、バブルカラム反応器(BCR)、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクタ(HFM BR)、またはトリクルベッド反応器(TBR)等の、任意の好適なバイオリアクタ内で行うことができる。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖リアクタと、増殖リアクタからの発酵ブロスが供給され、かつ発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)の大部分が生成され得る第2の発酵リアクタとを備え得る。本発明のバイオリアクタは、CO、CO2、H2、及びこれらの混合物からなる群から選択されるガス状基質を受容するように適合される。
特定の実施形態において、微生物は、カルボキシド栄養性細菌である。様々な実施形態において、カルボキシド栄養性微生物は、クロストリジウム属、ムーレラ属、オキソバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アセトバクテリウム属、ユーバクテリウム属、またはブチリバクテリウム属から選択される。様々な実施形態において、該微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモサム、ムーレラ・サーモアセチカ、スポロムサ・オヴァタ、スポロムサ・シルバセチカ、スポロムサ・スファエロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キウヴィを含む群から選択される。
特定の実施形態において、微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナムまたはクロストリジウム・リュングダリイである。1つの特定の実施形態において、微生物はクロストリジウム・オートエタノゲナムである。特定の実施形態において、微生物は、寄託番号DSMZ10061またはDSMZ23693の識別特徴を有する。
BCAA合成を阻害するための組換え微生物
本発明の1つの態様は、炭素質のガス状基質を分岐鎖アミノ酸に変換する能力の低下を有するカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の提供である。ケトール酸レダクトイソメラーゼである酵素は、部分的または全体的にその活性を減少させる突然変異によって不活性化され得る。微生物が天然にまたは修飾によって、アセト乳酸塩由来の有用な炭素含有化合物を生成する能力を有する場合、ケトール酸レダクトイソメラーゼの能力を減少させることは、有用な化合物の蓄積をもたらすであろう。
図12を参照すると、アセトルカテート(Acetolcatate)シンターゼIlvBNの発現及び活性は、分岐鎖アミノ酸によって下方制御される。分岐鎖アミノ酸生合成におけるステップを触媒する酵素、ケトール酸レククトイソメラーゼ(recuctoisomerase)IlvCの阻害は、バリン、イソロイシン、及びロイシンの生成の減少をもたらす。結果として、IlvBNをコードする遺伝子の発現が活性化され、分岐鎖アミノ酸によるIlvBN酵素のフィードバック阻害が解除される。これは、アセト乳酸塩の生成の増加をもたらす。アセト乳酸塩プールの増加は、炭素のアセト乳酸塩由来の生成物(2,3−ブタンジオール、アセトイン、2−ブタノール、及び2−ブタノンを含む)への増加したフラックスを引き起こす。
本発明に従って改変され得る微生物には、アセト乳酸塩由来の生成物、例えば、アセトイン、ブタンジオール、ブタノン、及び2−ブタノールを作製し得る任意のものが含まれる。微生物はまた、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子を有しなければならない。ケトール酸レダクトイソメラーゼは、配列番号1に従うアミノ酸配列を有し得る。
不活性化突然変異は、その特定の微生物に対して当該技術分野で既知の任意の手段によって行われ得る。化学変異誘発、トランスポゾン変異誘発、ウイルス変異誘発、インビトロ変異誘発が、例示的な手段である。不活性化突然変異は、ケトール酸レダクトイソメラーゼの活性を部分的に軽減させても、全体的に排除してもよい。これらは、例えば、挿入、欠失、置換、またはナンセンス突然変異であり得る。突然変異は、微生物の酵素活性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%低下し得る。これは、本質的に酵素活性を減少させる、または酵素の量を減少させることによって行われ得る。
ある特定の実施形態において、ケトール酸レダクトイソメラーゼの活性は、例えば、遺伝子ノックアウト等の場合、全体的に不活性化され得る。ケトール酸レダクトイソメラーゼの活性が全体的に不活性化される場合、分岐鎖アミノ酸またはそれらの即時型生物学的前駆体で発酵を補助することが必要である。
アセト乳酸塩合成を増加させるための組換え微生物
本発明の1つの態様は、アセト乳酸シンターゼ活性のレベルを増加させるように適合される1つ以上の遺伝的修飾を含むカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の提供である。ガス状の炭素質基質の増殖及び/または発酵時、微生物は、親微生物と比較して、増加した量のアセト乳酸塩を生成する。アセト乳酸シンターゼは、配列番号2に従うアミノ酸配列を有し得る。
「アセト乳酸シンターゼ」は、異化アセト乳酸シンターゼ酵素及び同化アセト乳酸塩(またはアセトヒドロキシ酸)シンターゼ酵素の両方を含むことが意図される。
アセト乳酸シンターゼのレベルを増加させるように適合される1つ以上の遺伝子修飾は、内因性異化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、外因性異化アセト乳酸シンターゼの発現、外因性同化アセト乳酸シンターゼの発現、内因性同化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、内因性アセト乳酸シンターゼの外因性異化アセト乳酸シンターゼとの置換、内因性アセト乳酸シンターゼの外因性同化アセト乳酸シンターゼとの置換、または内因性同化シンターゼのサブユニットの過剰発現を含み得、当該サブユニットが分岐鎖アミノ酸によるフィードバック阻害に非感受性である。
上記で既に述べた「アセト乳酸シンターゼ活性を増加させるように適合される遺伝的修飾」は、少なくとも、アセト乳酸シンターゼ発現、アセト乳酸塩生合成、アセト乳酸シンターゼ機能、及び/またはアセト乳酸シンターゼ活性のレベルを増加させるあらゆる遺伝的修飾を含むように広く解釈されるべきである。この語句は、例えば、1つ以上のアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子の修飾、アセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子の発現に関与する遺伝的調節要素への修飾、アセト乳酸シンターゼをコードする核酸の導入、アセト乳酸シンターゼ発現、アセト乳酸塩生合成、アセト乳酸シンターゼ機能、及び/またはアセト乳酸シンターゼ活性のレベルを増加させるタンパク質を生成する(またはその発現、活性のレベル、もしくは機能を増加させる)核酸の導入を含むように解釈されるべきである。当業者であれば、アセト乳酸シンターゼ活性の増加を達成させ得る他の遺伝的修飾を容易に理解するであろう。
本明細書と同時に提出され、2014年9月18日に作成されたASCII(テキスト)ファイル名「LT97_ST25.txt」のように同定される、コンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列の一覧は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
修飾され得る微生物としては、クロストリジウム種、C.オートエタノゲナム、C.リュングダリイ、及びC.ラグスダレイ等の酢酸生成カルボキシド栄養性細菌が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る他のカルボキシド栄養性微生物としては、クロストリジウム・カルボキシドビランス(carboxidovirans)、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナム、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム、アセトバクテリウム・ウッディ、アルカリバクルム・バッキ、ブラウティア・プロダクタ、ユーバクテリウム・リモサム、ムーレラ・サーモアセチカ、ムーレラ・サーマウトトロフィカ(thermautotrophica)、スポロムサ・オヴァタ、スポロムサ・シルバセチカ、スポロムサ・スファエロイデス、オキソバクター・フェニジイ、及びサーモアナエロバクター・キウヴィが挙げられる。1つの特定の実施形態において、微生物は、大腸菌、サッカロマイセス・セレビシエ、クロストリジウム・アセトブチリカム、C.ベイジェリンキ、C.サッカロブチリカム(saccharbutyricum)、C.サッカロペルブチルアセトニカム、C.ブチリカム、C.ジオリス、C.クルイベリ、C.パステリアニウム、C.ノビ、C.ディフィシル、C.サーモセラム、C.セルロリチカム、C.セルロボランス、C.フィトフェルメンタンス、ラクトコッカス・ラクティス、枯草菌、バチルス・リケニフォルミス、ザイモモナス・モビリス、クレブシエラ・オキシトカ、肺炎桿菌、コリネバクテリウム・グルタミカム、トリコデルマ・リーゼイ、ラルストニア・ユートロファ、シュードモナス・プチダ、ラクトバチルス・プランタルムからなる群から選択される。本発明に従い修飾され得る他の細菌としては、エシェリヒア属、サッカロマイセス属、クロストリジウム属、バチルス属、ラクトコッカス属、ザイモモナス属、コリネバクテリウム属、ピチア属、カンジダ属、ハンゼヌラ属、トリコデルマ属、アセトバクテリウム属、ラルストニア属、サルモネラ属、クレブシエラ属、パエニバチルス、シュードモナス属、ラクトバチルス属、ロドコッカス属、エンテロコッカス属、アルカリゲネス属、及びブレビバクテリウム属からのものが挙げられる。
本明細書に記載される現時点で好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者にとっては明らかであることに留意すべきである。そのような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱せず、またそれに伴う利点を減少させることなく行われ得る。したがって、そのような変更及び修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
発酵
ガス状基質(上記の背景技術の項で記載されたもの等)からエタノール及び他のアルコールの生成のためのプロセスは既知である。例示的プロセスとしては、例えば、国際公開第WO2007/117157号及び同第WO2008/115080号、ならびに米国特許第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、及び同第5,821,111号に記載されるものが挙げられ、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの嫌気性細菌は、n−ブタノール及びエタノールを含むアルコール、及び酢酸へのガス状基質の発酵を実施することができることが既知であり、本発明のプロセスでの使用に好適である。本発明での使用に好適なこのような細菌の例としては、国際公開第00/68407号、欧州特許第117309号、米国特許第5,173,429号、同第5,593,886号、及び同第6,368,819号、国際公開第98/00558号及び同第02/08438号に記載されるものを含むクロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Liou et al.,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 33:pp2085−2091)、ならびにクロストリジウム・オートエタノゲナム(Abrini et al.,Archives of Microbiology 161:pp345−351)の株等のクロストリジウム属のものが挙げられる。他の好適な細菌としては、ムーレラ種HUC22−1(Sakai et al.,Biotechnology Letters 29:pp1607−1612)を含むムーレラ属の細菌、及びカルボキシドサーマス(Svetlichny,V.A.,et al.(1991),Systematic and Applied Microbiology 14:254−260)属の細菌が挙げられる。これらの公表文献の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、他のカルボキシド栄養性嫌気性細菌は、当業者によって本発明のプロセスで使用され得る。また、本開示を考慮すると、2つ以上の細菌の混合培養物が本発明のプロセスで使用され得ることも理解されるであろう。
本発明の方法で使用される細菌の培養は、嫌気性細菌を用いて基質を培養及び発酵するために当該技術分野において既知であるあらゆるプロセスを用いて行われ得る。例示的な技術は、以下の「実施例」の項で提供される。さらなる例として、発酵のためのガス状基質を用いて以下の物品に一般に記載されるこれらのプロセスには、下記の文献が利用され得る。(i)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactors for synthesis gas fermentations resources.Conservation and Recycling,5;145−165;(ii)K.T.Klasson,et al.(1991).Bioreactor design for synthesis gas fermentations.Fuel.70.605−614;(iii)K.T.Klasson,et al.(1992).Bioconversion of synthesis gas into liquid or gaseous fuels.Enzyme and Microbial Technology.14;602−608;(iv)J.L.Vega,et al.(1989).Study of Gaseous Substrate Fermentation:Carbon Monoxide Conversion to Acetate.2.Continuous Culture.Biotech.Bioeng.34.6.785−793;(vi)J.L.Vega,et al.(1989).Study of gaseous substrate fermentations:Carbon monoxide conversion to acetate.1.Batch culture.Biotechnology and Bioengineering.34.6.774−784;(vii)J.L.Vega,et al.(1990).Design of Bioreactors for Coal Synthesis Gas Fermentations.Resources,Conservation and Recycling.3.149−160、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、微生物または親微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、クロストリジウム・マグナムを含むカルボキシド栄養性クロストリジウムの群から選択される。さらなる実施形態において、微生物は、C.オートエタノゲナム種、C.リュングダリイ種、及びC.ラグスダレイ種、ならびに関連の分離株を含むカルボキシド栄養性クロストリジウムのクラスタからのものである。これらとしては、C.オートエタノゲナムJAI‐1T(DSM10061)(Abrini,Naveau,& Nyns,1994)の株、C.オートエタノゲナムLBS1560(DSM19630)(国際公開第/2009/064200号)の株、C.オートエタノゲナムLBS1561(DSM23693)の株、C.リュングダリイPETCT(DSM13528=ATCC 55383)(Tanner,Miller,& Yang,1993)の株、C.リュングダリイERI‐2(ATCC 55380)(米国特許第5,593,886号)の株、C.リュングダリイC‐01(ATCC 55988)(米国特許第6,368,819号)の株、C.リュングダリイO‐52(ATCC 55989)(米国特許第6,368,819号)の株、C.ラグスダレイP11T(ATCC BAA‐622)(国際公開第2008/028055号)の株、「C.コスカチイ(coskatii)」(米国第20110229947号)及び「クロストリジウム種」(Tyurin & Kiriukhin,2012)等の関連の分離株、またはC.リュングダリイOTA‐1(Tirado‐Acevedo O.Production of Bioethanol from Synthesis Gas Using Clostridium ljungdahlii.PhD thesis,North Carolina State University,2010)等の変異株が挙げられるが、これらに限定されない。これらの株は、クロストリジウムrRNAクラスタI内にサブクラスタを形成し、それらの16S rRNA遺伝子は、約30%の同様の低いGC含有量と99%超同一である。しかしながら、DNA‐DNA再結合及びDNA指紋法の実験は、これらの株が別種に属することを示した(国際公開第2008/028055号)。
上記のクラスタのすべての種は、類似の形態及び大きさを有し(対数増殖細胞が0.5〜0.7×3〜5μmであり)、中温性であり(30〜37℃の最適増殖温度)、厳格な嫌気性生物である(Abrini et al.,1994、Tanner et al.,1993)(国際公開第2008/028055号)。さらに、それらはすべて、同じpH範囲(5.5〜6の最適な初期pHを有するpH4〜7.5)、類似の増殖率を有するガスを含有するCOによる力強い独立栄養増殖、ならびに主発酵の最終生成物としてエタノール及び酢酸、及びある特定の条件下で形成された少量の2,3−ブタンジオール及び乳酸を有する類似の代謝プロファイル等の同じ主要な系統発生特性を共有する(Abrini et al.,1994、Kopke et al.,2011、Tanner et al.,1993)(国際公開第2008/028055号)。インドール生成は、すべて3つの種を同様に用いて観察された。しかしながら、これらの種は、様々な糖類(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸(例えば、グルコン酸、クエン酸)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、または他の基質(例えば、ベタイン、ブタノール)の基質利用において区別している。さらに、これらの種のうちのいくつかは、ある特定のビタミン(例えば、チアミン、ビオチン)への栄養要求性株であることを見出したが、他の種を見出さなかった。ガス摂取に関与するウッド−リュングダール経路遺伝子の組織及び数は、核配列及びアミノ酸配列の違いにかかわらず、すべての種で同じであると見出した(Kopke et al.,2011)。カルボン酸を対応するアルコールに還元することも、これらの微生物の範囲に示された(Perez,Richter,Loftus,& Angenent,2012)。したがって、これらの特性は、C.オートエタノゲナムまたはC.リュングダリイのような1つの微生物に特異ではなく、むしろカルボキシド栄養性エタノール合成クロストリジウムの一般的な特性であり、機序がこれらの株にわたって同様に作用することが予期され得るが、能力の差があり得る(Perez et al.,2012)。
本発明での使用に好適なある例示的な微生物が、クロストリジウム・オートエタノゲナムである。一実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、German Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に識別寄託番号19630で寄託された株の識別特徴を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。別の実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、DSMZ寄託番号DSM10061の識別特徴を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。
発酵は、任意の好適なバイオリアクタで実施され得る。本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖リアクタと、増殖リアクタからの発酵ブロスが提供され、かつ発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)の大部分が生成される第2の発酵リアクタとを備える。
ガス状基質
COを含有する基質
一酸化炭素を含む基質、好ましくは、一酸化炭素を含むガス状基質は、本発明の方法において、発酵反応に使用されて、エタノールを生成する。ガス状基質は、産業プロセスの副生成物として得られる廃ガスでも、燃焼機関(例えば自動車)の排ガスのような他の何らかの提供源から得られる廃ガスでもよい。ある特定の実施形態において、産業プロセスは、製鋼所等の鉄金属製品製造、非鉄製品製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、発電、カーボンブラック製造、アンモニア製造、メタノール製造及びコークス製造からなる群から選択される。これらの実施形態において、CO含有ガスは、それが大気中に放出される前に任意の好都合な方法を用いて産業プロセスから捕捉され得る。
一酸化炭素を含むガス状基質の組成に依存して、それを発酵に導入する前に処理して任意の望ましくない不純物、例えばダスト粒子を除去することも望ましくなり得る。例えば、ガス状基質は、既知の方法を使用して濾過または洗浄され得る。
本発明の他の実施形態において、一酸化炭素を含むガス状基質は、バイオマスのガス化から提供され得る。ガス化のプロセスは、限られた空気または酸素の提供下でバイオマスを部分燃焼することを含む。得られるガスは典型的には、主にCO及びHと、少量のCO、メタン、エチレン及びエタンを含む。例えば、サトウキビから砂糖、またはトウモロコシや穀物からデンプンといった食料の抽出及び加工中に得られるバイオマス副生成物、または林業によって生じる非食料バイオマス廃棄物をガス化して、本発明で使用するのに好適なCO含有ガスを生成することができる。
CO含有基質は典型的には、主要割合のCO、例えば、少なくとも15体積%〜100体積%のCO、40体積%〜95体積%のCO、40体積%〜60体積%のCO、及び45体積%〜55体積%のCOを含有する。特定の実施形態において、基質は、25体積%、または30体積%、または35体積%、または40体積%、または45体積%、または50体積%のCO、または55体積%のCO、または60体積%のCOを含む。特に、H及びCOもまた存在する場合、6%等の低濃度のCOを有する基質もまた、適切となり得る。
ガス状基質はまた、例えば、1体積%〜80体積%、または1体積%〜30体積%のいくらかのCOも含有し得る。一実施形態において、それは、5体積%〜10体積%を含有する。別の実施形態において、ガス状基質は、約20体積%のCOを含有する。
典型的には、一酸化炭素は、発酵反応にガス状態で添加される。しかしながら、本発明は、この状態での基質の添加に限定されると見なされるべきではない。例えば、一酸化炭素は、液体で提供され得る。例えば、液体を一酸化炭素含有ガスで飽和し、次いで、その液体をバイオリアクタに添加してもよい。これは、標準的な方法を用いて達成され得る。例として、微生物分散物生成器(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)が、使用され得る。
本発明の一実施形態において、2つ以上の異なる基質の組み合わせが、発酵反応において使用され得る。
加えて、多くの場合、基質流のCO濃度(またはガス状基質におけるCOの分圧)を増加させ、ひいては、COが基質である発酵反応の効率を増加させることが望ましい。ガス状基質におけるCOの分圧を増加させることは、発酵培地へのCOの質量移動を増加させる。発酵反応を与えるために使用されるガス流の組成は、その反応の効率及び/または費用に対する大きな影響を有し得る。例えば、O2は、嫌気性発酵プロセスの効率を低減し得る。発酵前または後の発酵プロセスの段階における望ましくないまたは不必要なガスの処理は、そのような段階における負担を増加させ得る(例えば、ガス流がバイオリアクタに入る前にガス流を圧縮させる場合、不必要なエネルギーを使用して、発酵において必要とされないガスを圧縮させてもよい)。したがって、基質流、特に、産業源に由来する基質流を処理し、望ましくない成分を除去し、望ましい成分の濃度を増加することが望ましい場合がある。
H2及びCO2を含有する基質
二酸化炭素及び水素を含む基質は、発酵反応において使用し、本発明のある特定の実施形態に従って、酢酸塩を生成する。ガス状基質は、COを含有する基質に関して、上記に論じられるように、産業プロセスの副生成物として得られる廃ガスでもよい。当業者であれば、COを生成するプロセスが論じられたものに限定されないことが理解されよう。CO及びHは、任意の好適な源に由来され得る。CO及びHは、同じ源に由来され得るか、またはあるいは、CO2及びH2は、異なる源に由来され、次いで、混ぜ合わせて、CO2及びH2を含む基質を生成し得る。
CO2及びH2を含む基質は、少なくとも5体積%のCO2、少なくとも10体積%のCO2、少なくとも15体積%のCO2、少なくとも20体積%のCO2、少なくとも30体積%のCO2、または少なくとも40体積%のCO2を含み得る。少なくとも70体積%等のより高い濃度のCO2を有する基質もまた、適切であり得る。
CO2及びH2を含む基質は、少なくとも30体積%のH2、少なくとも40体積%のH2、少なくとも50体積%のH2、少なくとも60体積%のH2、少なくとも70体積%のH2、または少なくとも80体積%のH2を含み得る。約5体積%のH2、または約10体積%のH2、または約15体積%のH2、または約20体積%のH2のようなより低い濃度のH2を有する基質もまた、適切であり得る。
発酵のための源としての産業廃ガス
本発明の他の態様によれば、産業廃ガスが発酵反応に使用され、その際、それに好適なガスを作製するために使用される追加のスクラビングまたは前処理ステップがないかまたはごく最小限である。
廃ガスは、多数の産業プロセスによって生じ得る。本発明は、高容量のCO2/H2を含有する産業煙道ガス等のガス状基質からのエタノール生成を支持することに特に適用可能性を有する。例としては、鉄金属製品製造、非鉄製品製造、精製プロセス、石油精製プロセス、石炭のガス化、バイオマスのガス化、発電、カーボンブラック生成、アンモニア生成、メタノール生成、及びコークス製造中に生成されるガスが挙げられる。ある特定の実施形態において、CO2/H2を含有する基質は、バイオマスまたは都市固形廃棄物のガス化に由来する。本発明の特定の実施形態において、廃ガスは、製鋼プロセス中に発生する。例えば、当業者であれば、製鋼プロセスの様々な段階で生成される廃ガスは、高いCO2及びH2濃度を有することを理解するであろう。
鋼の炭化中に生成される廃ガスは、任意に、水に通して粒状物質を除去した後、廃棄物集積所または廃ガスを大気中に排出するための煙道に送られる。典型的に、このガスは、1つ以上のファンを用いて廃棄物集積所に送り込まれる。
本発明の特定の実施形態において、鋼の脱炭中に生成される廃ガスの少なくとも一部は、好適な導管手段によって発酵システムに転用される。例として、パイプまたは他の移送手段を製鋼所の廃ガス集積所に接続して、廃ガスの少なくとも一部を発酵システムに振り向けることができる。さらに、廃ガスの少なくとも一部を発酵システムに転用するために1つ以上のファンを使用することができる。本発明の特定の実施形態において、導管手段は、鋼の脱炭中に生成される廃ガスの少なくとも一部を発酵システムに提供するように適合される。バイオリアクタにガスを供給するための制御及び手段は、本発明に関連する分野の当業者に容易に明らかであろう。
製鋼所は、鋼及びその後の廃ガスを実質的に連続的に生成するように適合させることができるが、このプロセスの特定の態様は間欠的な場合がある。典型的には、鋼の脱炭は、数分から数時間続くバッチプロセスである。したがって、導管手段は、鋼の脱炭中に生成されるガス等の廃ガスの少なくとも一部を、その廃ガスが所望の組成を有していると判定される場合に発酵システムに振り向けるように適合させることができる。
発酵プロセスに使用されるバイオリアクタの内容物のpHは、必要に応じて調整され得る。適切なpHは、本発明に関連する技術分野の当業者に理解されるように、使用される栄養培地及び微生物を考慮して、特定の発酵反応に必要とされる条件に応じて異なるであろう。1つの好ましい実施形態において、クロストリジウム・オートエタノゲナムを利用するCO2を含有するガス状基質の発酵では、pHは、約4.5〜6.5に調整され得る。さらなる例としては、ムーレラ・サーモアセチカを用いる酢酸生成の場合のpH5.5〜6.5、クロストリジウム・アセトブチリカムを用いるブタノール生成の場合のpH4.5〜6.5、及びカルボキシドサーマス・ハイグロゲナフォルマンスを用いる水素生成の場合のpH7が挙げられる。当業者であれば、バイオリアクタを所要pHに維持するための好適な手段は周知であろう。しかしながら、例として、NaOH等の塩基水溶液及びH2SO4等の酸水溶液が発酵培地のpHの上げ下げ及び所望pHの維持に使用することができる。
本発明のさらなる利点は、廃ガスを発酵反応に利用する前にそのガスに対して実施されるスクラビング及び/または他の処理プロセスがないかまたはごく最小限であるため、そのガスが産業プロセスに由来する追加の材料を含有し、その追加の材料が少なくとも一部、発酵反応のための供給原料として使用され得るという点である。
天然ガス由来の合成ガスもまた、発酵プロセスに使用してもよい。天然ガス流を改質して、合成ガスを生成するための多くの既知の方法がある。合成ガスの最終用途は、最適な合成ガス特性を決定することができる。改質方法の種類、及び使用された動作条件は、合成ガスの濃度を決定する。したがって、合成ガスの組成は、触媒の選択、改質装置を動作させる温度及び圧力、ならびに天然ガス対CO、HO、及び/もしくはO、またはCO、HO、及びOの任意の組み合わせに応じて異なる。当業者であれば、多くの改質技術を用いて、所望の組成物を用いて合成ガスを得ることができることを理解されよう。
流のブレンド
発酵反応.発酵反応の効率、アルコール生成、及び/または全体的な炭素捕捉を改善するために、CO及びH2を含む改質された基質流を1つ以上のさらなる流とブレンドすることが望ましい場合がある。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のいくつかの実施形態において、カルボキシド栄養性細菌は、下記に従ってCOをエタノールに変換する。
6CO+3HO→COH+4CO
しかしながら、H2の存在下では、全体的な変換は次の通りであり得る。
6CO+12H→3COH+3H
したがって、高いCO含有量を有する流を、CO及びH2を含む改質された基質流とブレンドして、CO:H2の比率を増加させ、発酵効率を最適化することができる。例として、製鋼所からの排ガス等の産業廃棄流は、高いCO含有量を有するが、最小量のH2を含むか、またはH2を含まない。したがって、CO及びH2を含む1つ以上の流を、COを含む廃水流とブレンドした後、ブレンドされた基質流を発酵槽に提供することが望ましい場合がある。発酵の全体的な効率、アルコール生産性、及び/または全体的な炭素捕捉は、ブレンドされた流中のCO及びH2の化学量論に依存する。しかしながら、特定の実施形態において、ブレンドされた流は、実質的に20:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、または1:2のモル比でCO及びH2を含み得る。
加えて、発酵の異なる段階で特定の比率のCO及びH2を提供することが望ましい場合がある。例えば、比較的高いH2含有量(例えば、1:2のCO:H2)を有する基質流は、開始時の発酵段階及び/または急速微生物増殖期に提供されてもよい。しかしながら、増殖期が緩徐化し、それにより培養物が実質的に安定した微生物密度で維持されるようになると、CO含有量は増加し得る(少なくとも1:1または2:1以上等、その場合H2濃度は0以上であり得る)。
流のブレンドはまた、特にCOを含む廃水流が間欠的な性質である場合、さらなる利点を有し得る。例えば、COを含む間欠廃水流は、CO及び任意にH2を含む実質的に連続した改質された基質流とブレンドされ、発酵槽に提供され得る。本発明の特定の実施形態において、実質的に連続した改質された基質流の組成及び流速は、実質的に連続した組成及び流速の基質流を発酵槽に提供することを維持するために、間欠流に従って変えることができる。
培地
1つ以上の微生物及び基質の増殖からエタノール及び/または酢酸塩への発酵を生じさせるために、基質に加えて、好適な栄養培地は、バイオリアクタに供給される必要があることが理解されるであろう。栄養培地は、使用される微生物を増殖させるのに十分なビタミン及びミネラル等の成分を含有する。ほんの一例として、クロストリジウム・オートエタノゲナムの増殖に適している嫌気性培地は、例えば、Abriniら(Clostridium autoethanogenum,sp.Nov.,An Anaerobic Bacterium That Produces Ethanol From Carbon Monoxide;Arch.Microbiol.,161:345−351(1994))によって記載されるように、当該技術分野で既知である。以下の本明細書の「実施例」の項は、好適な培地のさらなる例を提供する。
バイオリアクタ
発酵は、例えば、固定化細胞反応器、ガスリフト反応器、バブルカラム反応器(BCR)、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクタ(HFM BR)、またはトリクルベッド反応器(TBR)等の、任意の好適なバイオリアクタ内で行うことができる。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクタは、微生物が培養される第1の増殖リアクタと、増殖リアクタからの発酵ブロスが供給され、かつ発酵生成物(例えば、エタノール及び酢酸塩)の大部分が生成され得る第2の発酵リアクタとを備え得る。本発明のバイオリアクタは、CO2、H2、及び任意に、COを含有する基質を受容するように適合される。
発酵
ガス状基質からエタノール及び他のアルコールの生成のためのプロセスは既知である。例示的なプロセスとしては、例えば、国際公開第2007/117157号、同第2008/115080号、同第2009/022925号、同第2009/064200号、米国第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、及び同第5,821,111号に記載されるものが挙げられ、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
発酵条件
発酵は、望ましくは、基質からエタノール及び/または酢酸塩への発酵を生じさせるために、適切な条件下で行われるべきである。考慮されるべき反応条件としては、温度、培地流量、pH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽リアクタを使用する場合)、植菌レベル、基質レベルが制限的にならないことを確保するバイオリアクタへの基質の導入の最大基質濃度及び速度、ならびに生成物抑制を回避するための最大生成物濃度が挙げられる。
最適な反応条件は部分的に、使用される特定の微生物によって異なる。しかしながら、一般に、発酵は、周囲圧力より高い圧力で行われることが好ましい。高められた圧力での操作により、気相から液相へのCO移動速度の著しい増加が可能になり、その液相でCOは、微生物によってエタノール生成のための炭素源として取り込まれる。これは、ひいては、バイオリアクタが大気圧より高い圧力で維持される場合、滞留時間(バイオリアクタ中の液体体積÷流入ガス流量として定義される)を削減することができることを意味する。
また、所定のCOから生成物への変換速度は一部、基質の滞留時間の関数であり、所望の滞留時間を達成することは、ひいては、バイオリアクタの必要容量を決定し、加圧システムの使用は、必要なバイオリアクタの容量、その結果として、発酵装置の資本コストを大きく削減することができる。米国特許第5,593,886号に付与された実施例によれば、リアクタの容量は、リアクタの動作圧力の増加に線形比例して減少され得、すなわち、10気圧の圧力で操作されるバイオリアクタには、1気圧の圧力で操作されるリアクタの容量の10分の1のみが必要である。
ガスから生成物への発酵を高圧で行うことの利点はまた、他の箇所でも記載されている。例えば、国際公開第02/08438号は、30psig及び75psigの圧力下で行われたガスからエタノールへの発酵で、それぞれ150g/l/日及び369g/l/日のエタノール生産性が得られたことが記載されている。しかしながら、類似の培地及び流入ガス組成を用いて大気圧で行われた例となる発酵では、1日あたり1リットルにつき10〜20分の1のエタノールを生成することが見出された。
COを含む基質の嫌気性発酵に適している発酵条件の例は、国際公開第2007/117157号、同第2008/115080号、同第WO2009/022925号、及び同第WO2009/064200号に詳細されている。それらの中に報告されている発酵条件は、本発明の方法に従って容易に修飾され得ることが理解される。
発酵生成物
本発明の方法は、様々な炭化水素生成物のうちのいずれかを生成するために使用することができる。これは、アルコール、酸、及び/またはジオールを含む。より具体的には、本発明は、ブチレート、プロピオネート、カプロン酸塩、エタノール、プロパノール、ブタノール、2,3−ブタンジオール、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、及びエチレンを生成するための発酵に適用可能であり得る。一実施形態において、本発明は、プロパノール及びブタノールが挙げられるが、これらに限定されない、アルコールを生成するために使用することができる。次いで、アルコール(複数可)を酢酸塩と反応させて、酢酸プロピルまたは酢酸ブチルを含む生成物(複数可)を生成することができる。当業者であれば、本発明が言及されるアルコール及び生成物に限定されず、任意の適切なアルコール及びまたは酸が生成物を生成するために使用することができることを理解されよう。
これらの及び他の生成物は、プラスチック、製剤、及び農薬等の他のプロセスの宿主に対して価値があり得る。一実施形態において、発酵生成物は、ガソリンの範囲の炭化水素(8炭素)、ディーゼルの炭化水素(12炭素)、またはジェット燃料の炭化水素(12炭素)を生成するために使用される。
本発明の方法はまた、イソプロパノールを含むが、これに限定されない、他の生成物の、好気性発酵、嫌気性または好気性発酵に適用することもできる。本発明の方法はまた、イソプロパノールを含むが、これに限定されない、他の生成物の、好気性発酵、及び嫌気性または好気性発酵に適用することもできる。
本発明はまた、発酵によって生成された炭化水素生成物の少なくとも一部が、流を改質するプロセスに再使用されることも提供する。CH以外の炭化水素が触媒を越える流と反応させて、H及びCOを生成することができるため、これを行われ得る。特定の実施形態において、エタノールは、流改質プロセスのための原材料として使用するために再利用される。さらなる実施形態において、炭化水素原材料及び/または生成物は、プレ改質装置を通過させた後に、流改質プロセスに使用される。プレ改質装置の通過は、水素生成の効率を増加させ、流改質炉の必要とされる容量を削減することができる流改質プロセスの流改質ステップを部分的に完了する。
本発明の方法はまた、イソプロパノールを含むが、これに限定されない、他の生成物の、好気性発酵、及び嫌気性または好気性発酵に適用することもできる。
より具体的には、本発明は、エタノール及び/または酢酸塩への発酵に適用可能であり得る。次いで、これらの生成物は、一緒に反応させて、エステルを含む化学的生成物を生成することができる。本発明の一実施形態において、発酵により生成されたエタノール及び酢酸塩は、一緒に反応させて、酢酸エチルを生成する。酢酸エチルは、表面コーティング及びシンナーを含む溶媒の生成等の他のプロセスの宿主に対して、ならびに製剤、香味剤、及び香料の製造において価値があり得る。
生成物回収
発酵反応の生成物は、既知の方法を用いて回収され得る。例示的な方法としては、国際公開第07/117157号、国際公開第08/115080号、米国第6,340,581号、米国第6,136,577号、米国第5,593,886号、米国第5,807,722号、及び米国第5,821,111号に記載のものが挙げられる。しかしながら、簡潔に、単なる例として、エタノールは、分別蒸留または蒸発、及び抽出発酵等の方法によって、発酵ブロスから回収され得る。
発酵ブロスからのエタノール蒸留により、エタノールと水の共沸混合物(すなわち、エタノール95%及び水5%)が得られる。無水エタノールは、その後、同じく当該技術分野において周知である分子篩エタノール脱水技術を用いて得られ得る。
抽出発酵手順は、エタノールを希釈発酵ブロスから回収するための、発酵生物に対する低い毒性リスクを示す水混和性溶媒の使用を含む。例えば、オレイルアルコールは、このタイプの抽出プロセスにおいて使用され得る溶媒である。オレイルアルコールは、発酵槽内に連続的に導入され、その後、この溶媒は、発酵槽の上部での層の形成を増大させ、これは、連続的に抽出され、遠心分離を通して提供される。次いで、水及び細胞は、容易にオレイルアルコールから分離され、発酵槽に戻されるが、エタノールが投入された溶媒は、フラッシュ蒸発ユニット内に提供される。エタノールのほとんどは蒸発及び濃縮されるが、オレイルアルコールは不揮発性であり、発酵において再利用するために回収される。
発酵反応において副生成物として生成され得る酢酸塩もまた、当該技術分野において既知の方法を使用して、発酵ブロスから回収され得る。
例えば、活性炭フィルタを含む吸着システムが使用され得る。この場合、まず、好適な分離ユニットを使用して、微生物細胞が発酵ブロスから除去されることが好ましい。生成物回収のための細胞不含発酵ブロスを生成する多くの濾過ベースの方法が、当該技術分野において既知である。次いで、透過物を含有する細胞不含エタノール及び酢酸塩を、活性炭を含有するカラムに通して酢酸塩を吸着させる。塩(酢酸塩)形態よりも酸形態(酢酸)の酢酸塩は、活性炭によってより容易に吸着される。したがって、発酵ブロスを活性炭カラムに通す前に、発酵ブロスのpHを3未満に下げて、酢酸塩の大部分を酢酸形態に変換するのが好ましい。
活性炭に吸着された酢酸は、当該技術分野において既知の方法を使用した溶出により回収され得る。例えば、エタノールを使用して、結合した酢酸塩を溶出してもよい。ある特定の実施形態において、発酵プロセスにより生成されたエタノール自体を使用して、酢酸塩を溶出してもよい。エタノールの沸点は78.8℃であり、酢酸の沸点は107℃であるため、エタノール及び酢酸塩は、蒸留等の揮発性に基づく方法を使用して互いから容易に分離され得る。
発酵ブロスから酢酸塩を回収するための他の方法もまた、当該技術分野において既知であり、使用され得る。例えば、米国特許第6,368,819号及び同第6,753,170号は、発酵ブロスから酢酸の抽出に使用され得る溶媒及び共溶媒システムを説明している。エタノールの抽出発酵に関して説明されたオレイルアルコールベースのシステムと同様に、米国特許第6,368,819号及び同第6,753,170号に記載されるシステムは、酢酸生成物を抽出するために、発酵された微生物の存在下または非存在下のいずれかで発酵ブロスと混合され得る水非混和性溶媒/共溶媒を説明している。次いで、酢酸生成物を含有する溶媒/共溶媒は、蒸留によりブロスから分離される。次いで、第2の蒸留ステップを使用して、溶媒/共溶媒系から酢酸を精製することができる。
発酵反応の生成物(例えばエタノール及び酢酸塩)は、発酵バイオリアクタからブロスの一部を連続的に除去し、ブロスから(好都合には濾過により)微生物細胞を分離し、同時または逐次的にブロスから1つ以上の生成物を回収することにより、発酵ブロスから回収され得る。上述の方法を使用して、エタノールの場合、蒸留により好都合に回収され得、酢酸塩は、活性炭上への吸着により回収され得る。分離された微生物細胞は、好ましくは、発酵バイオリアクタに戻される。エタノール及び酢酸塩が除去された後に残る細胞不含透過物もまた、好ましくは、発酵バイオリアクタに戻される。細胞不含透過物がバイオリアクタに戻される前に、栄養培地を補充するために追加の栄養物(ビタミンB等)が細胞不含透過物に添加されてもよい。また、活性炭への酢酸の吸着を高めるためにブロスのpHが上述のように調整された場合、pHは、バイオリアクタに戻される前に、発酵バイオリアクタ内のブロスのpHと同様のpHに再調整されるべきである。
バイオリアクタから回収されたバイオマスは、バイオマス生成物、好ましくはメタンを生成するために、消化物において嫌気性消化を行い得る。このバイオマス生成物は、流改質プロセスのための原材料として使用されても、補助的加熱を生成して、本明細書に定義される反応のうちの1つ以上に送り込むために使用されてもよい。
概要
本発明の実施形態は、例として記載されている。しかしながら、一実施形態で必要な特定のステップまたは段階が、別の実施形態において必要でない場合があることが理解されるべきである。反対に、特定の実施形態の説明に含まれるステップまたは段階は、具体的に記載されない実施形態において任意に有利に利用されてもよい。
本発明は、任意の既知の移行手段によってシステム(複数可)を通ってまたはその周囲を移動し得るあらゆる種類の流を参照して広範に記載されるが、ある特定の実施形態において、基質及び/または排気流は、ガス状である。当業者であれば、特定の段階が好適な導管手段等によって連結されるか、または流をシステム全体にわたって受容するか、もしくは流すように構成可能であり得ることを理解するであろう。ポンプまたは圧縮装置は、特定の段階への流の送達を促進するために提供されてもよい。さらに、圧縮装置は、1つ以上の段階、例えばバイオリアクタに提供されるガスの圧力を上昇させるために使用され得る。上記に論じられるように、バイオリアクタ内のガスの圧力は、その中で行われる発酵反応の効率に影響を与え得る。したがって、圧力は、発酵の効率を改善するように調整され得る。一般的な反応に対する好適な圧力は、当該技術分野において既知である。
加えて、本発明のシステムまたはプロセスは任意に、プロセスの全体効率を改善するために他のパラメータを調節及び/または制御するための手段を含み得る。1つ以上のプロセッサは、プロセスの特定のパラメータを調節及び/または制御するためにシステムに組み込まれ得る。例えば、特定の実施形態は、基質及び/または排気流(複数可)の組成を監視するための判定手段を含んでもよい。加えて、特定の実施形態は、基質流(複数可)が特定の段階に好適な組成を有すると判定手段が判定する場合、特定のシステム内の特定の段階または要素へのその流の送達を制御するための手段を含み得る。例えば、ガス状基質流が発酵反応に有害であり得る低レベルのCO2もしくはH2または高レベルのO2を含む場合、基質流は、バイオリアクタから離れて迂回されてもよい。本発明の特定の実施形態において、システムは、基質流の行き先及び/または流量を監視及び制御するための手段を含み、それにより所望または好適な組成を有する流が特定の段階に送達され得るようにする。
加えて、プロセスにおける1つ以上の段階の前またはその間に特定のシステム構成要素または基質流(複数可)を加熱または冷却することが必要であり得る。このような例では、既知の加熱または冷却手段が使用され得る。例えば、熱交換器は、基質流を加熱または冷却するために用いられてもよい。
さらに、システムは、特定の段階の操作または効率を改善するために1つ以上の前/後処理ステップを含み得る。例えば、前処理ステップは、粒状物質及び/または長鎖炭化水素もしくはタールをガス状基質流から除去するための手段を含み得る。行われ得る他の前または後操作は、例えば、バイオリアクタ生産段階等の特定の段階からの所望の生成物(複数可)の分離(例えば、蒸留によるエタノールの除去)を含む。
ここで、本発明を以下の実施例を参照して、単なる例として説明する。

実施例
材料及び方法
バイオリアクタ培地調製:
C.オートエタノゲナムDSM23693を用いた発酵を1.5Lのバイオリアクタ中で、37℃で行った。表1に従って、培地を調製した。嫌気性を得るために、反応容器に窒素を散布した。植菌前に、ガスを、H(3%)、N(30%)、CO(47%)、及びCO(20%)を含有する製鋼所ガスまたは純ガス(50%のCO、18〜40%のCO、バランスNを含む)のいずれかに交換した。ガス流を、初めに、67ml/分/Lに設定し、中間対数期間中、200ml/分まで増加させるが、撹拌は、200rpmから800に増加させた。NaSを、バイオリアクタ内に、0.25ml/時で投与した。OD600が1.5に達した時点で、バイオリアクタは、希釈率2.0〜1.6d−1及び細菌の希釈率0.9〜0.6d−1で、連続モードに切り替えられた。連続モード時、ガス及び撹拌は、900〜950rpm及び800〜900ml/分に調節された。NaSを、1.0ml/時に増加した。
サンプリング及び分析手順:
液体培養サンプルを、発酵の持続時間を通して異なる間隔で採取した。これらのサンプルを使用して、600nmでの光学密度(分光光度計)、ならびに基質及び生成物のレベル(高性能液体クロマトグラフィー−HPLC)を構築した。HPLCを、通常、使用して、酢酸塩、エタノール、及び2,3−ブタンジオールのレベルを定量化した。入力及び出力ガス組成を、ガスクロマトグラファー(GC)を用いて分析し、培養によるCO及びHの消費量及びCO生成量の測定を可能にした。
実施例1:
2−HIBAの影響は、2,3−BDOの生成において最適化された単一のリアクタシステム上で調査された。これは、この化学物質が高性能システム上に有するであろう影響を究明し、全体的な発酵の安定性を妨げないであろう好適な濃度に関する情報を得るために行われた。0.5g/L(4.8mM)の2−HIBAを、7.95日目に発酵槽に添加し、この添加からの結果を図1に示す。2−HIBAの添加により、発酵の代謝産物プロファイルが変化し、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる一方、エタノール、酢酸塩、及びバイオマスの生成を減少させた。
2,3−BDOの濃度は、6g/Lから12g/Lに増加し、比率は4:1から1.4:1の低比率に下がった。エタノール及びバイオマスの濃度が添加の結果として減少したが、この添加により、ガス取り込みに対して有害な影響を及ぼさないことを示した。リアクタの液体流出について、2−HIBAの濃度を監視した。この結果を図2に示す。曲線は、この初期流出が希釈率1.8日−1と同様の倍率で生じる一方、2−HIBAの全体的な流出が細菌希釈率0.7日−1と一致したことを示す。これらの結果は、2−HIBAがリアクタ内で変換されないことを示す。2−HIBAは、細菌希釈率に従って、発酵槽から洗い出す。2−HIBAが細菌によって消費されないことを示すため、このことは、重要である。
実施例2:
2つのリアクタシステムを使用して、代謝産物プロファイルにおける連続的な2−HIBA添加の影響を試験した。初めに、0.5g/L/日(4.8mM/日)の2−HIBAをR2のみに添加し、これにより、2,3−BDOの生成は増加したが、比率のみが1.9:1の低比率に下がった。次いで、2−HIBAの連続添加を、0.5g/L/日(4.8mM/日)でR1に行った。2−HIBAが細菌によって変換されないため、R1への添加は2,3−BDOの全体的な生成を著しく増加し得ると仮定した。これは、改善された2,3−BDO濃度に伴って、2−HIBAがR1からR2(液体の流れを通して)に移動されるため、R1及びR2の両方の濃度を改善させることによって達成され得る。この連続添加からの結果を図3〜6に示す。2,3−BDO濃度は、R1では5.7g/Lから14g/L、R2では16g/Lから21g/Lに増加した(図3及び4を参照のこと)。エタノール:2,3−BDOの比率は、R1では1:1、R2では1.3:1まで下がり、8日間安定した状態を保った。比率の改善は、2,3−BDO濃度の増加及びエタノール生成の減少の結果として達成された。
経時的に、2−HIBA添加後のエタノール濃度は改善されたが、一方、2,3−BDOの濃度は安定した状態を保ち、これにより、システムの全アルコール生産性を改善させる効果があった。ガスデータ(図5及び6)に示されるように、2−HIBAの添加は、CO及び水素の取り込みに悪影響を受けなかった。すべてのパラメータを表1及び2に要約する。表2は、8日間の安定した操作にわたる連結した2つの発酵槽システムにおけるR1及びR2の代謝産物の平均を示す。表3は、8日間の安定した操作にわたる連結した2つの発酵槽システムにおけるR1及びR2のガスデータの平均を示す。発酵システムは、撹拌をもたらしたR1制御ユニットにおける機械の故障、温度及びpH制御システムの故障、ならびに発酵の失敗により安定性を失った。
実施例3:
実施例2において得られた結果は、2,3−BDOの全体的な力価を改善することを目的として繰り返された。この実験において、2−HIBAの濃度を1g/L/日(9.6mM/日)まで増加した。上記の実験において得られた結果と同様に、ガスの取り込みは、悪影響を受けず、R2におけるエタノール:2,3−BDO比は、1.3:1で7日間安定した状態を保った。1g/L/日(9.6mM/日)の添加は、全体的な2,3−BDO濃度の改善をもたらし、これは、23.9g/Lまで達した(図7を参照のこと)。
実施例4:
最低濃度の決定は、2,3−ブタンジオの生成に対する影響を認めないために必要であった。
実施例1〜3において、0.5g/L〜1g/L(4.8〜9.6mM)の濃度を試験し、これにより、2,3−ブタンジオール及びエタノールの生成に対する著しい影響を受けることを示した。同じ効果を得るのに必要とされる最低濃度を理解するために、使用された濃度を、一例では、0.1g/L(0.96mM)まで、別例では、0.05g/L(0.48mM)まで引き下げた。両方の発酵は、酢酸塩を最小限に抑え、エタノールの生成を最大限にするようにガスを増加させた。さらなるCOを、ガス流にブレンドさせ、2,3−BDOの生成を最大限にし、使用されたガスブレンドは、Nバランスを含む50%のCO、35%のCO、1.5%のHであった。希釈率及び細菌希釈率は、それぞれ、1.8日−1及び0.8日−1に調整した。安定したデータが回収された時点で、培地を通して連続的な2−HIBAの添加を開始し、代謝産物濃度に対して得られた影響を観察した。各例における添加前及び後のデータの要約を表4に示す。両方の例では、2−HIBAの添加前の比率は、2:1であり、エタノール:2,3−BDO比に対して得られた影響は、使用された2−HIBAの濃度に比例した。0.1g/L(0.96mM)が使用された第1の例では、比率が1:1まで改善し、濃度が半分になった場合には(第2の例では)、この反応は、わずか1.5:1の比率の改善であった。
2つのさらなる実験において、0.01g/L〜0.1g/L(0.096、0.24、0.48、0.72、0.96mM)の濃度を添加し、代謝産物に対する影響を観察した。さらに、発酵は、ガス流にブレンドされたCOを用いて酢酸塩を最小限に抑え、エタノールの生成を最大限にするようにガスを増加させ、2,3−BDOの生成を最大限にした。希釈率及び細菌希釈率は、それぞれ、1.8日−1及び0.9日−1に調整した。使用されたガスブレンドは、Nバランスを含む42%のCO、35%のCO、1.5%のHであった。4つの例すべてからのデータの照合は、安定した発酵に添加した0.05g/L(0.48mM)ごとに、エタノール:2,3−BDO比が0.5単位減少することを示す。これらの結果を図8に示す。これらの結果は、2−HiBAの影響が出発エタノール:2,3−ブタンジオール比と無関係であることを示し、0.01g/L(0.096mM)ほど低い濃度が、2,3−ブタンジオールの生成に影響を与えることも示す。
実施例5:
2−HIBAが増殖に悪影響を与えるかどうかを確認するために、0.05g/L(0.48mM)の2−HIBAの存在下で、発酵を開始した。増殖時、5.0日目までに、撹拌が最大950rpm及びガス流れ800ml/分に達するように、ガス及び撹拌を増加した。この時点で、希釈率は、1.8日−1であり、細菌希釈率は、0.85日−1であった。2−HIBAの存在は、発酵の増殖に対しては影響がなかったが、どれだけ素早く低いエタノール:2,3−ブタンジオール比を達し得るかにおいて大きく影響を及ぼした。2.0日までに、エタノール:2,3−BDO比が2:1に達し、次いで、継続して、ゆっくりと減少し、最終的には、17g/Lの平均エタノール濃度及び15.5g/Lの2,3−ブタンジオール濃度で、比率は、1.1:1に達した。この発酵に対する結果を図9及び図10に示す。これらの結果は、増殖に悪影響を与えずに、発酵培地中の2−HIBAを、1:1の範囲内でエタノール:2,3−BDO比を得るのに十分な0.05g/L(0.48mM)で添加することが可能であることを示す。
実施例6:
2−HIBA遺伝子発現
LZ1561の代謝における2−HIBAの影響を理解するために、サンプルを遺伝子発現分析のために採取した。リアクタをバッチとして開始し、1日後、D=1.4日−1で連続的にした。酢酸塩を最小限に抑え、エタノール及び2,3−BDOの生成を最大限にするために、ガス流れ及び撹拌を調整した。7日目までに、エタノール:2,3−BDO比は、5:1未満であり、ガスは、5〜6mol/L/日の標的COの取り込みに達した。9.6日目に、2−HIBAを含まない安定したデータを示す、サンプルを遺伝子発現分析のために採取した。10.78日目に、0.5g/L(4.8mM_の2−HIBAを注入物として、培地瓶に添加を通して、発酵に添加した。2−HIBAの添加後、代謝産物において特徴的な反応が見られ、これには、2,3−BDOの増加に伴って、酢酸塩、エタノール、及びバイオマスの減少が含まれた。13.8日目に、安定した2−HIBAの添加を示す、別の遺伝子発現サンプルを採取した。表5は、データが遺伝子発現分析のために回収された2つの時点を示す。2−HIBAの添加前、エタノール:2,3−BDO比は4:1であり、添加後、この比率は、1.5:1に達した。小サブセットの遺伝子は、著しく上方制御または下方制御されることが見出され、これらの遺伝子を表6及び表7に示す。この分析における結果は、2−HIBAが分岐鎖アミノ酸生合成経路(BCAA)と相互作用することを非常に明らかに示した。これらの結果から、2−HIBAの作用モードを提案し、これを、図11に例示し、説明する。

実施例7:
2−HIBA添加時のBCAA生成の監視
2−HiBAが分岐鎖アミノ酸生成を妨げるさらなる証拠を導き出すために、これらのアミノ酸の濃度を2−HIBAの添加前及び後に直接監視した。図11は、2−HIBAの添加直後の、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの濃度がバイオマスと同様に減少する、結果を例証する。経時的に、バイオマス濃度は、横ばいの状態であり、イソロイシンの濃度は、2−HIBA添加前の値よりも依然として低いままであるロイシン及びバリンの濃度によって回復すると思われる。このデータは、2,3−BDOの生成が分岐鎖アミノ酸経路の妨害により増加することを示す遺伝子発現データを協調すると思われる。
他の既知の阻害剤の添加
2−ヒドロキシ−2−メチルブチレートを、2,3−ブタンジオールの生成に最適化された発酵に添加した。この化学物質は、2−HiBAに対するその構造相関性及びilvCの既知の阻害剤として参考文献中のその参照に基づいて選択された。2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸(15mM)の単一添加を13.2日目に安定したリアクタに行い、代謝産物プロファイルにおける結果を観察した。結果を図13に示す。添加は、2,3−ブタンジオールの生成を増加させ、エタノール:2,3−BDO比を減少させると思われる。
実施例8:
アセト乳酸塩から2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブチレートへの減少したフラックス
アセト乳酸塩から2,3−ジヒドロキシ−3−メチルブチレートへのフラックスを阻害するために、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子を除去する。これは、ClosTronシステムを用いて遺伝子破壊によって達成され得る(Heap et al 2007)。
ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子が微生物増殖にとって不可欠である分岐鎖アミノ酸の生合成のために必要とされる遺伝子であるため、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子のノックアウトは、補足の分岐鎖アミノ酸の存在下で、発酵を操作することを必要とする。分岐鎖アミノ酸の生合成のための経路が上方制御され、活性になるように、分岐鎖アミノ酸を制限するレベルで添加する。
あるいは、天然ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子(配列番号1)を、上述の機序によって除去し、天然遺伝子よりも低い活性を有する外因性ケトール酸レダクトイソメラーゼを、微生物に挿入する。外因性ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子は、宿主においてより低い活性を有する別の生物からの相同酵素または活性の低下を有する天然酵素の突然変異体のいずれかであり得る。活性を低下させる活性部位への突然変異は、大腸菌において特定され(Tyagi et al 2005)、主要な残基は、C.オートエタノゲナムにおいて観察され、これらの突然変異は、活性低下を伴って天然酵素の突然変異体を発生させるように複製させることが可能である。天然遺伝子の除去及び活性が低い遺伝子との置換は、分岐鎖アミノ酸に関してアセト乳酸塩からのフラックスを低下させる株をもたらす。利用可能なアセト乳酸塩のプールは、結果として増加する。
実施例9
ピルビン酸塩から2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ケトブチレート(アセト乳酸塩)へのフラックスの増加
ピルビン酸塩から2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ケトブチレート(アセト乳酸塩)へのフラックスを増加させるために、天然異化アセト乳酸シンターゼを過剰発現する。
天然異化アセト乳酸シンターゼ遺伝子(alsS)(配列番号2)を、pMTL83155のNdeI及びNheI部位にクローン化し(国際公開第2013185123A1号)、過剰発現プラスミドを発生させ、これは、ホスホトランスアセチラーゼ−酢酸塩キナーゼオペロンのプロモーター領域の制御下でalsSを発現する。
過剰発現プラスミドは、別の微生物からの異化アセト乳酸シンターゼ、天然同化アセト乳酸シンターゼ、または別の微生物からの同化アセト乳酸シンターゼを用いて同様に生成され得る。
別の微生物からの異化アセト乳酸シンターゼまたは別の微生物からの同化アセト乳酸シンターゼのいずれかの使用が、ピルビン酸塩に関してより高い親和性及びより高速な反応速度論を有し得ると見なされる。別の微生物からの同化アセト乳酸シンターゼは、フィードバック阻害に対して非感受性であると特定される酵素であり得る。また、フィードバック阻害に対して非感受性である小サブユニットの同化アセト乳酸シンターゼ突然変異が過剰発現されると見なされる。
過剰発現プラスミドは、クロストリジウム・オートエタノゲナムに導入される。これにより、ピルビン酸塩からアセト乳酸塩のフラックスを増加させるように適合されるC.オートエタノゲナム株をもたらす。
本発明は、不要な実験をすることなく読者が本発明を実践することを可能にするために、ある特定の好ましい実施形態を参照して本明細書に記載された。当業者であれば、本発明が具体的に記載されたもの以外の多くの変形及び修正に実践され得ることを理解するであろう。本発明は、そのようなすべての変形及び修正を含むことが理解されるべきである。さらに、表題、見出し等が本文献の読者の理解に役立つために提供されるものであり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての出願、特許、及び公表文献の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
より具体的には、当業者には理解されるように、本発明の実施形態の実装は、1つ以上のさらなる要素を含み得る。その様々な態様において本発明を理解するのに必要なそのような要素のみが特定の実施例または説明に示され得る。しかしながら、本発明の範囲は、記載された実施形態に限定されず、1つ以上の追加のステップ及び/もしくは1つ以上の代わりのステップを含むシステム及び/もしくは方法、ならびに/または1つ以上のステップを省略するシステム及び/もしくは方法を含む。
本明細書においていずれかの先行技術への言及は、先行技術があらゆる国において努力傾注分野の共通の一般的知識の一部を形成していることの承認、またはいかなる形態の示唆でもなく、またそのようなものとして解釈されるべきではない。
本明細書及び以下のあらゆる請求項を通じて、特に文脈上必要としない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」等の用語は、排他的意味とは反対に包括的意味、すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。

Claims (18)

  1. なくとも1つの発酵生成物の生成を増加させる方法であって、
    a.液体栄養培地中の少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供することと
    b.少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物の培養物を発酵させ、少なくとも1つの発酵生成物を生成することと、
    2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートからなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を前記液体栄養培地に添加することにより、炭素の分岐鎖アミノ酸へのフラックスを阻害することと、
    を含
    それにより、少なくとも1つの発酵生成物の生成を増加させる、方法。
  2. 前記少なくとも1つの発酵生成物が、酢酸、エタノール、2,3−ブタンジオール、2−ブタノン、2−ブタノール、アセトイン、イソプロパノール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、プロパンジオール、2−プロパノール、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、ポリ乳酸、3−ヒドロキシブチレート、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、アセトン、及び脂肪酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 記少なくとも1つの発酵生成物が、2,3−ブタンジオールである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ガス状基質が、CO、CO、CH、H、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記酢酸生成カルボキシド栄養性微生物が、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、クロストリジウム・ラグスダレイ、クロストリジウム・カルボキシジボランス、クロストリジウム・ドラケイ、クロストリジウム・スカトロゲネス、クロストリジウム・アセチカム、クロストリジウム・フォルミコアセチカム、及びクロストリジウム・マグナムからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  6. 2,3−ブタンジオールの生成を増加させる方法であって、
    a.液体栄養培地中の少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物の培養物を含むバイオリアクタに、COを含むガス状基質を提供すること、
    b.少なくとも1つの酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物の培養物を発酵させ、ガス状基質から少なくとも2,3−ブタンジオールを生成することと、
    2−ヒドロキシイソ酪酸(2−HIBA)、2−ヒドロキシル−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシブチレート、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ケト−3−ヒドロキシイソバレレート、及び2−ケトイソバレレートからなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を前記液体栄養培地に添加することにより、炭素の分岐鎖アミノ酸へのフラックスを阻害することと、
    を含
    それにより、2,3−ブタンジオールの生成を増加させる、方法。
  7. 前記培養物が、酢酸、エタノール、2−ブタノン、2−ブタノール、アセトイン、イソプロパノール、乳酸塩、コハク酸塩、メチルエチルケトン(MEK)、プロパンジオール、2−プロパノール、イソブタノール、シトラマル酸塩、ブタジエン、ポリ乳酸、3−ヒドロキシブチレート、イソブチレン、3−ヒドロキシプロピオネート(3HP)、アセトン、及び脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1つの生成物をさらに生成する、請求項に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの化合物が2−HIBAである、請求項に記載の方法。
  9. 2,3−ブタンジオールが、1日当たり少なくとも10g/Lの速度で生成される、請求項に記載の方法。
  10. 前記培養物が、エタノール対2,3−ブタンジオールの比率が、4:1〜1:2、エタノールをさらに生成する、請求項に記載の方法。
  11. 液体栄養培地中の少なくとも1つの組換え酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物の培養物を含むバイオリアクタにガス状基質を提供し、少なくとも1つの発酵生成物を生成することを含発酵方法であって、
    前記少なくとも1つの組換え酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物が、なくとも1つの遺伝的修飾を有
    前記少なくとも1つの遺伝的修飾が、ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子における不活性化、及び/又はアセト乳酸シンターゼ遺伝子の過剰発現である、方法。
  12. ケトール酸レダクトイソメラーゼ遺伝子における不活性化突然変異を含親微生物と比較して、より多量の2,3−ブタンジオールを生成することができる、酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物。
  13. COを含む基質の増殖及び/または発酵時、前記微生物が、親微生物と比較して、分岐鎖アミノ酸を生成する低減された能力を有する、請求項12に記載の酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物
  14. 前記微生物が、クロストリジウム・オートエタノゲナム、クロストリジウム・リュングダリイ、及びクロストリジウム・ラグスダレイからなる群から選択される、請求項12に記載の酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物
  15. 過剰発現されたアセト乳酸シンターゼ遺伝子をさらに含む、請求項12に記載の酢酸生成カルボキシド栄養性クロストリジウム属微生物
  16. アセト乳酸シンターゼの活性レベルを増加させるように適合される1つ以上の遺伝的修飾を含む、酢酸生成カルボキシド栄養性酢酸生成クロストリジウム属微生物。
  17. COを含む基質の増殖及び/または発酵時、前記微生物が、親微生物と比較して、より多量の2,3−ブタンジオールを生成する、請求項16に記載の酢酸生成カルボキシド栄養性酢酸生成クロストリジウム属微生物。
  18. アセト乳酸シンターゼのレベルを増加させるように適合される前記1つ以上の遺伝的修飾が、内因性異化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、内因性同化アセト乳酸シンターゼの過剰発現、外因性異化アセト乳酸シンターゼの発現、外因性同化アセト乳酸シンターゼの発現、内因性アセト乳酸シンターゼの外因性異化アセト乳酸シンターゼとの置換、内因性同化シンターゼのサブユニットの過剰発現からなる群から選択され、前記サブユニットが分岐鎖アミノ酸によるフィードバック阻害に非感受性である、請求項16に記載の酢酸生成カルボキシド栄養性酢酸生成微生物クロストリジウム属
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