JP6551292B2 - 熱磁気サイクル装置 - Google Patents

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Description

この明細書における開示は、熱磁気サイクル装置に関する。
特許文献1−3は、熱磁気サイクル装置を開示する。熱磁気サイクル装置は、磁性体の温度特性を利用する。熱磁気サイクル装置に利用される磁性体は、磁気熱量素子と呼ばれる。熱磁気サイクル装置は、例えば、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置として利用することができる。磁気熱量効果型ヒートポンプ装置は、磁気熱量素子に与えられる磁場を変化させる磁場変調装置と、磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を流すための熱輸送装置とを備えている。熱輸送装置は、多様なポンプを備えることができる。特許文献2は、容積形ポンプのひとつであるピストンポンプを例示している。特許文献2は、非容積形ポンプのひとつであるタービンポンプを例示している。従来技術として列挙された先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特開2015−75261号公報 特開2015−124927号公報 特開2016−1101号公報
従来技術の構成では、流路の形状に起因する減圧、ポンプの吸込口における減圧などに起因して、熱輸送媒体がキャビテーションを生じることがある。キャビテーションによって生じた気泡は、装置の性能を低下させることがある。例えば、気泡は熱交換性能を低下させる。別の観点では、気泡はベイパーロックを生じることがある。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、熱磁気サイクル装置にはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、キャビテーションが抑制された熱磁気サイクル装置を提供することである。
ここに開示された熱磁気サイクル装置は、磁気熱量効果を発揮する磁気熱量素子(12)と、磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を流すための通路(11)を区画形成する通路部材(6)と、熱輸送媒体の圧力が熱輸送媒体の飽和蒸気圧(Ps)以上に維持されるように、かつ熱輸送媒体が磁気熱量素子と熱交換するように熱輸送媒体を流す熱輸送装置(16)とを備える。
開示される熱磁気サイクル装置によると、熱輸送装置が熱輸送媒体を流しても、熱輸送媒体の圧力は、熱輸送媒体の飽和蒸気圧を下回らない。この結果、熱輸送媒体のキャビテーションが抑制される。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
第1実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。 第1実施形態の作動を示す波形図である。 第1実施形態の作動を示す波形図である。 第2実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。 第2実施形態の作動を示す波形図である。 第2実施形態の作動を示す波形図である。 第3実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。 第4実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。 第5実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。 第5実施形態のX−X線における断面図である。 第5実施形態の圧力分布を示すグラフである。 第6実施形態に係る熱磁気サイクル装置のブロック図である。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、第1実施形態に係る熱機器1が図示されている。熱機器1は、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2を備える。磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2はMHP(Magneto-caloric effectHeat Pump)装置2とも呼ばれる。MHP装置2は、熱磁気サイクル装置を提供する。
熱機器1は、MHP装置2の高温側に得られる高温と、MHP装置2の低温側に得られる低温との両方、またはいずれか一方を利用する。熱機器1の一例は車両用空調装置である。車両用空調装置は、車両に搭載され、車両の乗員室の温度を調節する。車両用空調装置は、冷房装置および/または暖房装置として利用される。MHP装置2は、車両用空調装置における冷熱供給源、または温熱供給源として利用される。MHP装置2は、除湿装置として利用されることもある。熱機器1は、暖房または冷房のための熱交換器を備えることができる。
この明細書においてヒートポンプ装置の語は広義の意味で使用される。すなわち、ヒートポンプ装置の語には、ヒートポンプ装置によって得られる冷熱を利用する装置と、ヒートポンプ装置によって得られる温熱を利用する装置との両方が含まれる。冷熱を利用する装置は、冷凍サイクル装置とも呼ばれることがある。よって、この明細書においてヒートポンプ装置の語は冷凍サイクル装置を包含する概念として使用される。
MHP装置2は、動力源を有する。MHP装置2は、動力源によって機械的に駆動される。動力源は、電動機、内燃機関など回転機器によって提供される。動力源の一例は、車両に搭載された電池によって駆動される電動機である。
MHP装置2は、ハウジング6を備える。ハウジング6は、熱輸送媒体が流れることができる作業室11を形成する。ひとつの作業室11は、軸方向に沿って延びている。ハウジング6は、複数の作業室11を備えることができる。ハウジング6は、作業室11を含む複数の要素を提供するために複数の部分を有する。例えば、ハウジング6は、後述のポンプを提供するためのポンプハウジング、および通路を提供するパイプを含むことができる。
ハウジング6は、磁気熱量素子12を備える。磁気熱量素子12は、MCE(Magneto-Caloric Effect)素子12とも呼ばれる。MHP装置2は、MCE素子12の磁気熱量効果を利用する。MHP装置2は、MCE素子12によって低温端と高温端とを生成する。MCE素子12は、低温端と高温端との間に設けられている。図示の例では、図中の右側が低温端であり、図中の左端が高温端である。MCE素子12は、作業室11内に、熱輸送媒体と熱交換するように配置されている。MCE素子12は、ハウジング6に固定され、保持されている。MCE素子12は、熱輸送媒体の流れ方向に沿って配置されている。ハウジング6は、複数のMCE素子12を備えることができる。ハウジング6は、MCE素子12と熱交換する熱輸送媒体を流すための通路を区画形成する通路部材とも呼ばれる。
MCE素子12は、外部磁場の強弱の変化に応答して発熱と吸熱とを生じる。MCE素子12は、外部磁場の印加により発熱し、外部磁場の除去により吸熱する。MCE素子12は、外部磁場が印加されることによって電子スピンが磁場方向に揃うと、磁気エントロピーが減少し、熱を放出することによって温度が上昇する。また、MCE素子12は、外部磁場が除去されることによって電子スピンが乱雑になると、磁気エントロピーが増加し、熱を吸収することによって温度が低下する。MCE素子12は、常温域において高い磁気熱量効果を発揮する磁性体によって作られている。例えば、ガドリニウム系材料、またはランタン−鉄−シリコン化合物を用いることができる。また、マンガン、鉄、リンおよびゲルマニウムの混合物を用いることができる。MCE素子12には、外部磁場の印加により吸熱し、外部磁場の除去により発熱する素子を利用してもよい。
MHP装置2は、磁場変調装置(MGNT)14と熱輸送装置16とを備える。磁場変調装置14と熱輸送装置16とは、MCE素子12をAMR(Active Magnetic Refrigeration)サイクルの素子として機能させる。磁場変調装置14と熱輸送装置16とは、磁場の増減と、熱輸送媒体の流れ方向とを同期させながら変化させる。
磁場変調装置14は、MCE素子12に印加される磁場を周期的に増減させる。磁場変調装置14は、動力源によって駆動される。磁場変調装置14は、MCE素子12に外部磁場を与えるとともに、その外部磁場の強さを増減させる。磁場変調装置14は、MCE素子12を強い磁界内に置く励磁状態と、MCE素子12を弱い磁界内またはゼロ磁界内に置く消磁状態とを周期的に切換える。磁場変調装置14は、MCE素子12が強い外部磁場の中に置かれる励磁期間、およびMCE素子12が励磁期間より弱い外部磁場の中に置かれる消磁期間を周期的に繰り返すように外部磁場を変調する。磁場変調装置14は、後述する熱輸送媒体の往復的な流れに同期して、MCE素子12への磁場の印加と除去とを繰り返す。磁場変調装置14は、外部磁場を生成するための磁力源、例えば永久磁石、または電磁石を備える。
熱輸送装置16は、MCE素子12が放熱または吸熱する熱を輸送するための熱輸送媒体と、この熱輸送媒体を流すための流体機器とを備える。熱輸送装置16は、MCE素子12と熱交換する熱輸送媒体をMCE素子12に沿って流す装置である。熱輸送装置16は、MCE素子12に沿って熱輸送媒体の往復流を発生させる。熱輸送装置16は、磁場変調装置14による外部磁場の変化に同期して、熱輸送媒体の往復的な流れを発生させる。熱輸送装置16は、磁場変調装置14による磁場の増減に同期して熱輸送媒体の流れ方向を切換える。熱輸送媒体は、不凍液、水、油などの流体によって提供することができる。熱輸送装置16は、動力源によって駆動される。
熱輸送装置16は、ポンプ16a、16bを有する。ポンプ16a、16bは、MCE素子12に沿って熱輸送媒体の往復流を生成する。ポンプ16a、16bは、作業室11およびMCE素子12に対する熱輸送媒体の流れ方向を反転するように切換える。ポンプ16a、16bは、容積型ポンプである。ポンプ16a、16bは、ピストンポンプである。ポンプ16a、16bは、MHP装置2の低温端と高温端とに対向するように配置されている。
ポンプ16aが圧縮行程にあるとき、ポンプ16bは、膨張行程にある。ポンプ16aが膨張行程にあるとき、ポンプ16bは、圧縮行程にある。ポンプ16aとポンプ16bとは、相補的に作動するように配置され、構成されている。ポンプ16aとポンプ16bとは、相補的なポンプ機能を提供するために作動位相がずれるように配置され、構成されている。
ポンプ16aとポンプ16bとは、同じ要素を有する。ポンプ16aの要素に関する説明は、ポンプ16bにも妥当する。ポンプ16aは、ピストン21と、クランク22と、コンロッド23と、ピン24とを有する。ピストン21は、ハウジング6によって提供されるシリンダ内を往復移動可能である。ピストン21は、ピン24によってコンロッド23に連結されている。クランク22の回転は、コンロッド23およびピン24を介してピストン21に伝達され、ピストン21を往復移動させる。クランク22およびコンロッド23は、ピストン21を往復駆動する駆動機構を提供する。図示の例では、クランク22が時計周り方向に回転する。
熱輸送装置16によって、作業室11の中には、熱輸送媒体の往復流が生成される。作業室11の中に配置されたMCE素子12は、熱交換のために比較的大きい圧力損失を発生する。この結果、MCE素子12の両端における熱輸送媒体には、圧力差が生じる。ポンプ16a側の端部における熱輸送媒体の圧力は、P1で示されている。ポンプ16b側の端部における熱輸送媒体の圧力は、P2で示されている。言い換えると、MCE素子12の一端における熱輸送媒体の圧力はP1で示されている。MCE素子12の他端における熱輸送媒体の圧力はP2で示されている。
図2において、典型的な正常作動状態における熱輸送媒体の圧力PRS(MPa)の変化が示されている。MCE素子12の一端において、圧力P1は、正弦波に近い波形で変化している。MCE素子12の他端において、圧力P2は、正弦波に近い波形で変化している。図中下段には、時刻t0、t1、t2、t3、t4におけるピストン21の位置が図示されている。
図中には、熱輸送媒体の飽和蒸気圧Psが図示されている。ここに図示される飽和蒸気圧Psは、作業室11の中の熱輸送媒体のうちで、最もキャビテーションを発生しやすい条件下にある熱輸送媒体の飽和蒸気圧である。作業室11の中の熱輸送媒体は、低温端において低温となり、高温端において高温となる。一般的に、熱輸送媒体が高温になるほど熱輸送媒体の飽和蒸気圧は高くなる。よって、高温端において熱輸送媒体の圧力が飽和蒸気圧を下回りやすいと考えられる。図中における飽和蒸気圧Psは、高温端において熱輸送媒体がとることのある最高温度における飽和蒸気圧である。
飽和蒸気圧Psは、低温端と高温端とのそれぞれに対応して設定されてもよい。例えば、圧力P1が高温端における圧力を示し、圧力P2が低温端における圧力を示す場合、低温端の飽和蒸気圧は、図示される飽和蒸気圧Psより低い場合がある。なお、図中には、説明を簡単にするために、ひとつの飽和蒸気圧Psだけが図示されている。また、圧力P1、および圧力P2の両方が、共通の飽和蒸気圧Psと対比されている。
以上に述べたように、飽和蒸気圧Psは、熱輸送媒体の材料と、MHP装置2において想定される熱輸送媒体の最高温度とに応じて設定される。熱輸送媒体は、飽和蒸気圧Psを下回るとキャビテーションを発生する。熱輸送媒体として水が用いられ、熱輸送媒体の最高温度が100℃である場合、飽和蒸気圧Psは、標準大気圧である。水が100℃であるときに、高温端における水の圧力が標準大気圧を下回ると、水は沸騰する、すなわちキャビテーションを生じる。
熱輸送装置16は、熱輸送媒体の圧力が熱輸送媒体の飽和蒸気圧Ps以上に維持されるように、熱輸送媒体を流す。熱輸送装置16は、熱輸送媒体がMCE素子12と熱交換するように熱輸送媒体を流す。熱輸送媒体には、予圧Ppが加えられている。これにより、熱輸送媒体の圧力が熱輸送媒体の飽和蒸気圧Ps以上に維持される。熱輸送媒体は、飽和蒸気圧Psより予圧Ppだけ高い圧力に加圧されている。熱輸送媒体は、加圧状態で作業室11を含む通路内に封入されている。熱輸送装置16は、この予圧Ppを維持するように構成されている。
予圧Ppは、熱輸送媒体の圧力を、飽和蒸気圧Psより高く調節している。ポンプ16a、ポンプ16bが静止状態にあるとき、熱輸送媒体の圧力は、静止圧力Ps+Ppである。よって、予圧Ppは、ポンプ16bが静止状態にあるときに観測可能である。熱輸送媒体は、大気圧下において、MHP装置2の中に注入され、さらに、標準大気圧を上回る圧力に加圧されて封止されている。
MHP装置2が作動すると、圧力P1、P2は、最高圧力PHと最低圧力PLの間で変化する。正常な作動状態において、圧力P1、P2は、圧力差ΔPの間で変化する。予圧Ppは、MHP装置2が正常に機能しているときの振幅ΔP/2より大きい(Pp>ΔP/2)。予圧Ppは熱輸送装置16が通常作動において生成する圧力の振幅ΔP/2以上である。最低圧力PLは、PL=Ps+Pp−ΔP/2で表される。予圧Ppによって、Ps+Pp−ΔP/2>Psが実現されている。
図示されるように、正常な作動状態において、最低圧力PLは、飽和蒸気圧Psを上回る圧力に維持されている。正常な作動状態において、最低圧力PLは、飽和蒸気圧Psを下回ることはない。これにより、熱輸送媒体はキャビテーションの発生を抑制しながら作業室11内を流れる。正常な作動状態における最低圧力PLは、飽和蒸気圧Psよりも十分に高く設定されている。正常な作動状態における最低圧力PLと飽和蒸気圧Psとの差は、流路形状または局所的な高温部などに起因する局所的なキャビテーションを抑制するように設定されている。例えば、熱輸送媒体の流れが曲げられる部分では、キャビテーションが生じやすい。この実施形態では、予圧Ppは、局所的な減圧に起因するキャビテーションを抑制するように設定されている。正常な作動状態において、最低圧力PLは、飽和蒸気圧Psをいつでも上回っている。
図3は、比較例における熱輸送媒体の圧力変化を示す。圧力P1、P2が飽和蒸気圧Psを下回ろうとする場合が図示されている。例えば、ポンプ16a、16bが、最低圧力Piを発生するように、異常な高速で運転される場合が図示されている。図示の例では、Ps+Pp−ΔP/2>Psが実現されていない。図示の例では、Ps+Pp−ΔP/2<Psが実現されている。
圧力P1および圧力P2の一方が、飽和蒸気圧Psを下回ろうとする場合、熱輸送媒体はキャビテーションを生じる。このため、作業室11内には気泡が発生する。図中には、キャビテーションが発生している期間Tcavが図示されている。作業室11内に発生した気泡は、熱輸送媒体の圧力の低下を妨げる。この結果、熱輸送媒体の圧力は、飽和蒸気圧Psにクランプされる。一方、反対側の圧力は、やや高くなる。例えば、圧力P1が飽和蒸気圧Psを下回ろうとすると、圧力P1は飽和蒸気圧Psにクランプされる。一方、反対側の圧力P2は、やや高くなる。同様に、圧力P2が飽和蒸気圧Psを下回ろうとすると、圧力P2は飽和蒸気圧Psにクランプされ、圧力P1は、やや高くなる。
以上に述べた実施形態によると、熱輸送媒体の圧力は、熱輸送媒体の飽和蒸気圧Ps以上に加圧されている。言い換えると、熱輸送媒体は、MHP装置2が作動している間中、熱輸送装置16が通常作動において生成する圧力の振幅ΔP/2以上の予圧Ppだけ、飽和蒸気圧Psよりも高い圧力に加圧されている。MHP装置2が正常に作動している間中、熱輸送媒体の圧力は、飽和蒸気圧Psを下回らない。これにより、キャビテーションが抑制された熱磁気サイクル装置が提供される。熱輸送媒体のキャビテーションが抑制されるから、気泡に起因する性能低下、ベイパーロック等の不具合が抑制される。別の観点では、安定的に機能を発揮できる熱磁気サイクル装置が提供される。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、予圧Ppによってキャビテーションが抑制されている。これに加えて、この実施形態では、過剰な減圧を抑制するための圧力維持機構が設けられている。圧力維持機構は、熱輸送媒体の圧力が飽和蒸気圧Ps以上に維持されるように、通路内における熱輸送媒体の減圧を抑制する。圧力維持機構は、熱輸送装置16に起因する熱輸送媒体の過剰な減圧を抑制する。圧力維持機構は、ポンプ16a、16bの吸入ポートにおける減圧のような位置に起因する減圧、および/またはポンプ16a、16bの吸入行程における減圧のようなポンプ運転行程に起因する減圧を抑制する。圧力維持機構は、キャビテーションを抑制する手段を提供する。
図4に図示されるように、ポンプ16a、16bは、圧力維持機構231を備える。圧力維持機構231は、ピストン21を駆動する駆動機構に設けられている。圧力維持機構231は、ピストン21とピン24とを連結する連結機構によって提供されている。ピストン21は、スロット232を備える。スロット232は、ピストン21の移動方向に沿って延びている。スロット232は、その長さ方向に沿ってピストン21から分離したピン24の移動を許容する。スロット232は、所定の幅BLにわたるピストン21の自由移動を許容する。
圧力維持機構231は、所定の幅BLにわたるピストン21の自由移動を許容する。圧力維持機構231は、クランク22の回転位置により規定されるピストン21の通常位置に対して、幅BLにわたるピストン21の自由移動を許容する。圧力維持機構231は、ピストンを所定の幅BLにわたって、駆動機構から浮動可能とする浮動機構によって提供されている。圧力維持機構231は、遊び機構とも呼ぶことができる。
圧力維持機構231は、背圧機構を備える。背圧機構は、ピストン21に通路から作用する熱輸送媒体の圧力に抗して、ピストン21を通路に向けて押す背圧を生成する。背圧機構は、ピストン21の背面に大気圧Patmを導入する。ピストン21の自由移動は、ピストン21に加えられる熱輸送媒体の圧力P1と、ピストン21の背後に加えられる背圧Patmとによって設定されている。背圧Patmは、ピストン21の背面に大気圧Patmを導入する機構と、大気圧Patmとによって与えられる。背圧機構は、ピストン21に大気圧Patmを作用させるように構成されており、ピストン21は、熱輸送媒体の圧力と大気圧Patmとが平衡するように駆動機構から浮動する。
圧力維持機構231は、熱輸送媒体の圧力P1と大気圧Patmとによって規定される移動速度でピストン21が移動することを許容する。この実施形態でも、熱輸送媒体は、予圧Ppによって大気圧Patmを上回るように加圧されている。このため、ピストン21は、圧力P1と大気圧Patmとの圧力差に依存した移動速度で移動しようとする。この移動速度は、圧力差速度と呼ぶことができる。圧力維持機構231は、ピン24が圧力差速度を上回る速度で移動しようとする場合に、ピストン21の自由移動を許容する。特に、圧力維持機構231は、ピン24が圧力差速度を上回る速度でピストン21を引こうとする場合に、ピストン21の自由移動を許容する。
圧力維持機構231は、ピストン21の背圧を設定するために多様な機構を用いることができる。例えば、大気圧Patmに加えて、スプリングによる付勢力を利用してもよい。また、所定圧力の気体を封入した圧力室を用いてもよい。さらに、ピストン21とピン24との間にスプリングなどの弾性部材を配置してもよい。また、圧力維持機構231は、ピストン21を駆動する駆動機構の多様な部位に設けることができる。例えば、コンロッド23に圧力維持機構231を設けてもよい。
図5は、正常な作動状態の一例を示す。熱輸送媒体は、飽和蒸気圧Psより予圧Ppだけ高い圧力をもつようにあらかじめ加圧されて作業室11内に封入されている。図示の例では、飽和蒸気圧Psは、標準大気圧Patmよりやや低い。圧力P1、P2は、飽和蒸気圧Psを下回ることはない。クランク22を含む駆動機構によるピン24の移動速度は、圧力差速度を上回ることはない。よって、ポンプ16a、16bが膨張行程にあるときも、ピン24はスロット232の端部に接触しながら移動する。
図6は、比較例における熱輸送媒体の圧力変化を示す。圧力P1および圧力P2の一方が、ピストン21の背圧である大気圧Patmを下回ろうとすると、ピストン21は、ピン24から離れて移動する。この結果、熱輸送媒体の圧力は大気圧Patmにクランプされる。この実施形態では、背圧を規定する大気圧Patmは飽和蒸気圧Psより高いから、圧力P1および圧力P2は、飽和蒸気圧Psを下回ることがない。この結果、キャビテーションが抑制される。この実施形態によると、ピストン21の自由移動によってキャビテーションが抑制される。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、熱輸送媒体が予圧Ppだけ加圧されている。これに加えて、この実施形態では、アキュムレータが設けられている。
図7に図示されるように、MHP装置2は、作業室11に連通するアキュムレータ333、334を備える。アキュムレータ333、334は、MCE素子12の両方の端部において通路に連通している。アキュムレータ333、334は、ポンプ16a、16bの吸入部において通路に連通しているともいえる。アキュムレータ333、334は、作業室11内の熱輸送媒体を所定の加圧状態に継続的に維持する。アキュムレータ333、334は、作業室11内の熱輸送媒体を、常時、飽和蒸気圧Psよりも予圧Ppだけ高い圧力に維持する。アキュムレータ333は、主としてMCE素子12の一端における熱輸送媒体の圧力P1を上記与圧状態に維持する。アキュムレータ334は、主としてMCE素子12の他端における熱輸送媒体の圧力P2を与圧状態に維持する。この実施形態によると、アキュムレータ333、334によって安定的にキャビテーションを抑制することができる。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、ポンプ16bに代えて、圧力ダンパ435が設けられている。
図8に図示されるように、MHP装置2は、作業室11を含む通路の一端にポンプ16aを有する。ポンプ16aは、作業室11の一端において熱輸送媒体を流入、流出させることにより、MCE素子12に沿って熱輸送媒体の往復流を生成する。
MHP装置2は、作業室11の他端に圧力ダンパ435を有する。圧力ダンパ435は、作業室11の他端に設けられている。圧力ダンパ435は、ポンプ16aによって生成される熱輸送媒体の圧力の増減に応答して他端における容積を増減させる。圧力ダンパ435は、可変容積機構とも呼ぶことができる。圧力ダンパ435は、アキュムレータとも呼ぶことができる。
圧力ダンパ435は、ピストン436と、ピストン436を作業室11に向けて付勢する背圧機構437とを有する。背圧機構437は、スプリングを有する。背圧機構437は、スプリングと大気圧Patmによってピストン436を作業室11に向けて付勢する。背圧機構437は、ピストン436に背圧を与える。背圧は、熱輸送媒体の圧力が飽和蒸気圧Ps以上に維持されるように、与えられている。背圧は、ピストン436によって熱輸送媒体を加圧する方向へ向けて与えられている。背圧機構437は、気体の圧力によってピストン436を付勢するガススプリングによって提供されてもよい。
ポンプ16aが移動させる熱輸送媒体の容積は、ポンプ有効容積と呼ぶことができる。圧力ダンパ435が吸収可能な容積変動は、ダンパ有効容積と呼ぶことができる。ダンパ有効容積は、ポンプ有効容積以上である。この結果、ピストン21とピストン436とは相補的に移動する。アキュムレータ333は、MCE素子12の一方の端部において通路に連通している。アキュムレータ333は、能動的に容積を変化させるポンプ16aの吸入部において通路に連通している。この実施形態では、受動的に容積を変化させる圧力ダンパ435の吸入部にはアキュムレータは設けられていない。
さらに、圧力ダンパ435は、熱輸送媒体を所定の圧力に加圧し続ける。圧力ダンパ435は、熱輸送媒体を、飽和蒸気圧Psより予圧Ppだけ高い圧力に加圧する。この実施形態でも、安定的にキャビテーションを抑制することができる。
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、容積型のポンプ16a、16bが用いられている。これに代えて、非容積型のポンプが用いられてもよい。この実施形態におけるMHP装置2については、特開2016−1101号の記載を参照により導入することができる。
図9において、熱機器1は、熱交換器3、4を有する。熱交換器3は、低温端または高温端の一方に得られる温度を利用する熱交換器である。熱交換器4は、低温端または高温端の他方に得られる温度を利用する熱交換器である。図示される実施形態では、熱輸送媒体が熱交換器3、4に供給されることによって冷房および/または暖房が提供されている。MHP装置2は、動力源としてのモータ(MTR)5を有する。モータ5は、磁場変調装置14および熱輸送装置16を駆動する。モータ5は、ポンプ516aを駆動するように連結されている。ポンプ516aは、非容積型のポンプである。ポンプ516aは、一方向へ熱輸送媒体を流す一方向ポンプである。ポンプ516aは、ベーンポンプ、タービンポンプなどによって提供可能である。
MHP装置2は、複数の作業室11を区画するロータ7を有する。複数の作業室11は、周方向に沿って仕切られている。作業室11にはMCE素子12が配置されている。ロータ7は、複数の作業室11と複数のMCE素子12とを有する複数の素子ベッドを提供する。ロータ7は、モータ5によって回転されるようにモータ5と連結されている。MHP装置2は、ステータ8を有する。ハウジング6とステータ8は、永久磁石13を有する。永久磁石13は、複数の作業室11のうちの、周方向における一部だけに磁場を供給するように配置されている。MHP装置2は、熱輸送媒体の通路を切り換えるための弁機構18、19を有する。弁機構18、19は、ハウジング6とロータ7との間に設けられている。弁機構18、19は、作業室11内における熱輸送媒体の流れ方向を切り換える。弁機構18、19は、ロータ7の回転に同期して通路を切り換える。この実施形態では、ロータ7の回転に同期して磁場の変動と、熱輸送媒体の流れ方向の切り換えとが提供される。
磁場変調装置14は、ロータ7と永久磁石13とによって提供されている。磁場変調装置14は、MCE素子12に沿って第1方向に熱輸送媒体が流れるときに、MCE素子12が強い磁場の中に位置付けられるように、MCE素子12を第1位置に位置付ける。第1方向は、低温端から高温端に向かう方向である。磁場変調装置14は、作業室11の一端がポンプ516aの吸入口に連通し、作業室11の他端がポンプ516aの吐出口に連通するときに、その作業室11の中のMCE素子12が強い磁場の中に置かれるようにMCE素子12を第1位置に位置付ける。
磁場変調装置14は、MCE素子12に沿って第1方向とは反対の第2方向に熱輸送媒体が流れるときに、MCE素子12が弱い磁場またはゼロ磁場の中に位置付けられるように、MCE素子12を第2位置に位置付ける。第2方向は、高温端から低温端に向かう方向である。磁場変調装置14は、作業室11の一端がポンプ516aの吐出口に連通し、作業室11の他端がポンプ516aの吸入口に連通するときに、MCE素子12が弱い磁場またはゼロ磁場の中に置かれるようにMCE素子12を第2位置に位置付ける。
熱輸送装置16は、ポンプ516a、ロータ7、弁機構18、19、および通路によって提供されている。弁機構18、19は、ひとつの作業室11およびひとつのMCE素子12に関する熱輸送媒体の流れ方向を反転させるように、作業室11に対して熱輸送媒体の流路を切換える。弁機構18、19は、通路とポンプ516aとの接続関係を切換えている。言い換えると、弁機構18、19は、ポンプ516aによって生成される熱輸送媒体の一方向の流れ通路の中における作業室11の配置を流れ方向に関して反転させる。
弁機構18、19は、ポンプ516aを含む環状の流路の中における往路と復路とにひとつの作業室11を交互に位置付ける。弁機構18、19は、ひとつの作業室11およびひとつのMCE素子12と、ポンプ516aを含む環状の通路との接続関係を少なくとも2つの状態に切換える。第1の状態は、作業室11の一端がポンプ516aの吸入口に連通し、作業室11の他端がポンプ516aの吐出口に連通した状態である。第2の状態は、作業室11の一端がポンプ516aの吐出口に連通し、作業室11の他端がポンプ516aの吸入口に連通した状態である。弁機構18、19は、MCE素子12に対して熱輸送媒体を往復的に流すように、通路を切換える通路切換機構を提供する。
具体的には、弁機構18、19は、ひとつの作業室11およびMCE素子12を第1位置と第2位置とに交互に位置付ける。弁機構18、19は、第1位置にあるMCE素子12に沿って第1方向に熱輸送媒体を流すように、そのMCE素子12を収容する作業室11を流れ経路に連通させる。弁機構18、19は、第2位置にあるMCE素子12に沿って第1方向とは反対の第2方向に熱輸送媒体を流すように、そのMCE素子12を収容する作業室11を流れ経路に連通させる。弁機構18、19は、MCE素子12に対して熱輸送媒体を往復的に流すように、ポンプ516aを含む熱輸送媒体の流れ経路と、MCE素子12、すなわち作業室11との接続状態を切換える。
弁機構18、19は、ひとつのMCE素子12が第1位置にあるときに、そのMCE素子12に沿って第1方向に熱輸送媒体が流れるように、そのMCE素子12を収容する作業室11と流路とを接続する。弁機構18、19は、ひとつのMCE素子12が第1位置にあるときに、そのMCE素子12を収容する作業室11の一端とポンプ516aの吸入口とを連通し、他端とポンプ516aの吐出口とを連通する。
弁機構18、19は、ひとつのMCE素子12が第2位置にあるときに、そのMCE素子12に沿って第1方向とは反対の第2方向に熱輸送媒体が流れるように、そのMCE素子12を収容する作業室11と流路とを接続する。弁機構18、19は、ひとつのMCE素子12が第2位置にあるときに、そのMCE素子12を収容する作業室11の一端とポンプ516aの吐出口とを連通し、他端とポンプ516aの吸入口とを連通する。
MHP装置2は、アキュムレータ538を有する。アキュムレータ538は、ポンプ516aの吸入部において通路に連通している。アキュムレータ538は、熱輸送媒体が飽和蒸気圧Psよりも予圧Ppだけ加圧された状態を維持する。
図10において、図9のX−X断面における通路の対応関係が示されている。ロータ7が回転することにより、複数の作業室11は、弁機構18が提供する複数のポートに順に連通する。これにより、弁機構18は、複数の作業室11における熱輸送媒体の流れ方向を切り換える。同時に、ロータ7が回転することにより、複数の作業室11は、永久磁石13に近い位置と、永久磁石13から離れた位置とを順に通過する。これにより、永久磁石13は、作業室11内のMCE素子12に磁場を供給する状態と、作業室11内のMCE素子12に磁場を供給しない状態とを切り換える。
図11は、熱輸送媒体の通路上の複数の位置Pa−Pgにおける熱輸送媒体の圧力PRSを示す。実線EMB5は、この実施形態の圧力を示す。熱輸送媒体は、予圧Ppだけ加圧されている。熱輸送媒体は、位置Paと位置Pbとの間において、ひとつの作業室11を通過する。作業室11において比較的大きい圧力損失が発生する。熱輸送媒体は、位置Pbと位置Pcとの間において、熱交換器4を通過する。熱交換器4においても圧力損失が発生する。熱輸送媒体は、位置Pcと位置Pdとの間においても、他のひとつの作業室11を通過する。この作業室11においても、比較的大きい圧力損失が発生する。熱輸送媒体は、位置Pdと位置Pfとの間において、熱交換器3を通過する。熱交換器3においても圧力損失が発生する。熱輸送媒体は、位置Pfを通過して、位置Pgに到達する。熱輸送媒体は、位置Pgからポンプ516aによって加圧され、再び位置Paへ供給される。
図示されるように、予圧Ppによって、熱輸送媒体の圧力は、飽和蒸気圧Psを上回るように維持されている。これによりキャビテーションが抑制される。一方、予圧Ppがない場合、破線CMPで示されるように、熱輸送媒体の圧力は、飽和蒸気圧Psを下回る場合がある。この場合、キャビテーションが発生する。
この実施形態では、一方向ポンプ516aの吸入部における熱輸送媒体の圧力が飽和蒸気圧Ps以上に維持されている。この実施形態によると、非容積型のポンプ516aが用いられる場合でも、予圧Ppはキャビテーションを抑制する。
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、MHP装置2は、通路の一方の端部に設けられたひとつのポンプ516aを有する。これに代えて、MHP装置2は、通路の両方の端部に設けられた複数のポンプを有していてもよい。
図12において、MHP装置2は、ポンプ616bを有する。ポンプ616bは、熱交換器4と弁機構19との間に設けられている。ポンプ616bは、非容積型のポンプである。MHP装置2は、ひとつの作業室11に熱輸送媒体を流すためのポンプ516aを有する。さらに、MHP装置2は、他の作業室11に熱輸送媒体を流すためのポンプ616bを有する。ポンプ516a、616bは、比較的圧力損失が大きい作業室11の上流に配置されている。この実施形態でも、熱輸送媒体は予圧Ppだけ加圧されている。よって、ポンプ516a、616bは、熱輸送媒体の圧力低下を抑制する。熱輸送媒体の圧力が飽和蒸気圧を下回ることが抑制される。
図11に戻り、この実施形態による各部への圧力は、一点鎖線EMB6によって示されている。熱輸送媒体は、位置Pcの後にポンプ616bによって加圧される。熱輸送媒体は、ポンプ616bを通過した後に、作業室11を通過する。熱輸送媒体の圧力は作業室11における圧力損失によって低下するが、飽和蒸気圧を下回ることはない。この実施形態でもキャビテーションが抑制される。
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
例えば、上記実施形態では、熱機器1として車両用空調装置が例示されている。これに代えて、熱機器1は、住宅用の空調装置でもよい。また、熱機器1は、水を加熱する給湯装置でもよい。また、上記実施形態では、室外の空気を主要な熱源とするMHP装置2を説明した。これに代えて、水、土などの他の熱源を主要熱源として利用してもよい。
上記実施形態では、熱磁気サイクル装置として、MHP装置2を例示した。これに代えて、熱磁気サイクル装置は、熱磁気エンジン装置でもよい。例えば、上記実施形態のMHP装置2の磁場変化と熱輸送媒体の流れとの位相を調節することにより熱磁気エンジン装置を提供することができる。
上記実施形態では、作業室11とMCE素子12とを有するロータ7が回転する構成を採用した。ロータ7は、素子ベッドでもある。これに代えて、素子ベッドと磁場変調装置14との間の相対的な回転と、素子ベッドと流路切換機構18との間の相対的な回転とを提供するための多様な構成を採用することができる。例えば、素子ベッドを静止させておき、永久磁石13を含む磁場変調装置を素子ベッドに対して相対的に回転移動させてもよい。これにより、ひとつのMCE素子12に与えられる磁場を変動させることができる。また、素子ベッドを静止させておき、弁機構18、19を提供する部材を素子ベッドに対して相対的に回転させてもよい。
上記実施形態では、熱輸送媒体は、作業室11内に充填されるときに加圧されている。よって、MHP装置2が作動しているときと停止しているときとの両方において加圧されている。これに代えて、熱輸送媒体は、MHP装置2が作動しているときにだけ、予圧Ppだけ加圧されてもよい。例えば、MHP装置2停止しているときには、熱輸送媒体の圧力を大気圧に減圧してもよい。このような構成は、熱輸送媒体の漏れを抑制し、シール機構の簡単化を可能とする。
図8に図示される実施形態では、容積型のポンプ16aが用いられている。これに代えて、非容積型のポンプ516a、616aと、流路切換機構としての弁機構18、19が用いられてもよい。また、図4に図示される実施形態における圧力維持機構231は、図7または図8に図示される実施形態に採用されてもよい。
1 熱機器、 2 磁気熱量効果型ヒートポンプ(MHP)装置、
3、4 熱交換器、 5 動力源(電動機)、 6 ハウジング、
7 ロータ、 8 ステータ、 11 作業室、
12 磁気熱量(MCE)素子、 13 永久磁石、 14 磁場変調装置、
16 熱輸送装置、 16a、16b ポンプ、 18、19 弁機構、
21 ピストン、 22 クランク、 23 コンロッド、 24 ピン、
231 圧力維持機構、 232 スロット、
333、334 アキュムレータ、
435 ダンパ機構、 436 ピストン、 437 背圧機構、
516a ポンプ、 538 アキュムレータ、
616b ポンプ。

Claims (12)

  1. 磁気熱量効果を発揮する磁気熱量素子(12)と、
    前記磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を流すための通路(11)を区画形成する通路部材(6)と、
    前記熱輸送媒体の圧力が前記熱輸送媒体の飽和蒸気圧(Ps)以上に維持されるように、かつ前記熱輸送媒体が前記磁気熱量素子と熱交換するように前記熱輸送媒体を流す熱輸送装置(16)とを備える熱磁気サイクル装置。
  2. 前記熱輸送媒体は、前記飽和蒸気圧(Ps)よりも予圧(Pp)だけ高い圧力に加圧されており、前記予圧は前記熱輸送装置が通常作動において生成する圧力の振幅(ΔP/2)以上である請求項1に記載の熱磁気サイクル装置。
  3. さらに、前記熱輸送媒体の圧力が前記飽和蒸気圧(Ps)以上に維持されるように、前記通路内における前記熱輸送媒体の減圧を抑制する圧力維持機構(231、333、334、437、538)を備える請求項1または請求項2に記載の熱磁気サイクル装置。
  4. 前記熱輸送装置は、往復移動可能なピストン(21)と、前記ピストンを往復駆動する駆動機構(22、23)とを備え、前記磁気熱量素子に沿って前記熱輸送媒体の往復流を生成するピストンポンプ(16a、16b)を有し、
    前記圧力維持機構は、前記ピストンを所定の幅(BL)にわたって浮動可能とする浮動機構(231)を備える請求項3に記載の熱磁気サイクル装置。
  5. 前記熱輸送装置は、前記ピストンに前記通路から作用する前記熱輸送媒体の圧力に抗して、前記ピストンを前記通路に向けて押す背圧機構を備える請求項4に記載の熱磁気サイクル装置。
  6. 前記背圧機構は、前記ピストンに大気圧(Patm)を作用させるように構成されており、前記ピストンは、前記熱輸送媒体の圧力と前記大気圧とが平衡するように前記駆動機構から浮動する請求項5に記載の熱磁気サイクル装置。
  7. 前記熱輸送装置は、
    前記通路の一端に設けられ、当該一端において前記熱輸送媒体を流入、流出させることにより、前記磁気熱量素子に沿って前記熱輸送媒体の往復流を生成するポンプ(16a、16b、516a、516b)と、
    前記通路の他端に設けられ、前記熱輸送媒体の圧力の増減に応答して前記他端における容積を増減させる可変容積機構(435)とを備え、
    前記圧力維持機構は、前記熱輸送媒体の圧力が前記飽和蒸気圧(Ps)以上に維持されるように前記可変容積機構に背圧を与える背圧機構(437)を備える請求項3に記載の熱磁気サイクル装置。
  8. 前記熱輸送装置は、
    前記通路における前記磁気熱量素子の一方の端部に、または両方の端部に設けられており、前記熱輸送媒体を一方向に流す一方向ポンプ(516a、616b)と、
    前記磁気熱量素子に対して前記熱輸送媒体を往復的に流すように、前記通路と前記一方向ポンプとの接続関係を切換える通路切換機構(18、19)とを備え、
    前記一方向ポンプの吸入部における前記熱輸送媒体の圧力が前記飽和蒸気圧(Ps)以上に維持されている請求項3に記載の熱磁気サイクル装置。
  9. さらに、前記通路内における前記熱輸送媒体を加圧状態に維持するアキュムレータ(333、334、538)を備える請求項1から請求項8のいずれかに記載の熱磁気サイクル装置。
  10. 前記アキュムレータは、前記磁気熱量素子の一方の端部、もしくは両方の端部において前記通路に連通しているか、または、前記熱輸送装置に設けられ前記熱輸送媒体を流すポンプの吸入部において前記通路に連通している請求項9に記載の熱磁気サイクル装置。
  11. 前記磁気熱量素子は、外部磁場の強弱により発熱と吸熱とを生じる磁気熱量素子であり、
    さらに、前記磁気熱量素子に高温端と低温端とを生成するように、前記磁気熱量素子に印加される前記外部磁場を変調する磁場変調装置(14)とを備える請求項1から請求項10のいずれかに記載の熱磁気サイクル装置。
  12. 前記熱輸送媒体の圧力は、大気圧(Patm)以上に維持されている請求項1から請求項11のいずれかに記載の熱磁気サイクル装置。
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