以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<1.支持体付カードの構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る支持体付カードの展開状態を示す平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る支持体付カードの陳列時(販売時)の状態を示す平面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る支持体付カードのカード隠蔽時の状態を示す平面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る支持体付カードの贈答時の状態を示す平面図である。図5は、図1のA−A線、図2のB−B線に対応する断面図であり、支持体付カードの層構成を示している。図6は、図3のC−C線、図4のD−D線に対応する断面図であり、支持体付カードの層構成を示している。
図1〜図6において、10は支持体付カード、1は支持体、2は接着軽減層、3は吊り下げ用孔、Cはカード、Hは剥離基材、Kは切取予定線、N1、N2は粘着剤層、Oは折曲予定線、Sは接着剤層である。粘着剤層N1は第1の粘着剤層、粘着剤層N2は第2の粘着剤層である。図1〜図6の例では、吊り下げ用孔3を備えた支持体1にカードCを貼付した支持体付カード10を示している。
上述のように、図1は、支持体付カード10の展開状態を示す平面図である。図1(a)は、表面(上層側)から見た平面図、図1(b)は、裏面(下層側)から見た平面図である。図1に示すように、本実施形態では、支持体1は、図面上下方向が長尺の矩形状となっている。支持体1には、支持体1の長手方向と交差する方向に、切取予定線K、折曲予定線Oが形成されている。この切取予定線K、折曲予定線Oにより、支持体1は、第1支持体片1a、第2支持体片1b、第3支持体片1cの3つの支持体片に区分される。本実施形態のように、支持体1が矩形状である場合、切取予定線K、折曲予定線Oは、支持体1の短辺に平行な方向(長辺に直交する方向)に形成されることが、製造上においても使用上においても好ましい。しかし、製造や使用に支障のない範囲で、短辺に平行な方向から傾いて形成されていてもよい。
図1(b)に示すように、第1支持体片1a、第2支持体片1b、第3支持体片1cの、支持体1の長手方向における長さを、それぞれL1、L2、L3とする。これらの長さは必要に応じて適宜設定することができるが、第2支持体片1bの長さL2と第3支持体片1cの長さL3を合わせた長さが、同方向のカードCの長さの2倍より長い必要がある。これは、後に第3支持体片1cを折り曲げてカードCを隠蔽することを可能とするためである。
図1(a)に示すように、カードCは、支持体1の表面に貼付されている。図1(a)の状態では、平面方向においては、カードCは、第2支持体片1bと第3支持体片1cに跨って配置されている。図1(a)においては、カードCに隠れて見えないが、カードCは、その裏面側において、接着剤層Sを介して、第2支持体片1bの一部に貼付されている。後述するように、第3支持体片1cは、折曲予定線Oにより図1(a)において山折りとなる状態で折り曲げられるため、第3支持体片1cは、カードCと離れている必要がある。そのため、カードCは、第3支持体片1cとは接着されていない。
図1(a)(b)に示すように、陳列時に支持体付カード10を吊り下げるための貫通孔である吊り下げ用孔3が、第1支持体片1aに形成されている。吊り下げ用孔3は、折曲予定線Oにより第3支持体片1cが折り曲げられた際に、第3支持体片1cと重ならない位置に形成されている。すなわち、図1に示す吊り下げ用孔3の下端が、支持体1の上端から(L1+L2−L3)以内となる位置に形成されている。吊り下げ用孔3が、第3支持体片1cと重ならない位置に形成されることにより、図2に示すように、カードを前面に出した販売時の状態であっても、吊り下げ用孔3を活用することができる。
図1(a)に示すように、第3支持体片1cの表面には、粘着剤層N2と剥離基材Hが積層されて形成されている。剥離基材Hは、粘着剤層N2を保護する役割を果たしている。粘着剤層N2と剥離基材Hが積層された状態は、両面テープの一方の基材を剥がして貼付した状態と同等である。粘着剤層N2は、折曲予定線Oにより第3支持体片1cが折り曲げられた際に、図1(a)におけるカードCの上端より上の第2支持体片1bの部分に位置するように形成される必要がある。したがって、粘着剤層N2と剥離基材Hの形成位置は、第2支持体片1bの長さL2、第3支持体片1cの長さL3と、カードCの貼付位置によって適宜決定されることになる。
図1、図2においては、支持体1の表面、裏面、カードCにおける表示を省略しているが、支持体1の表面、裏面、カードCには、文字や絵柄等様々な情報を印刷することが可能である。例えば、支持体1の表面には、カードCを取り外すよう促すメッセージ等を印刷しておくことができる。また、カードCには、一次元コードや二次元コード等のコード情報を印刷しておくことができる。一次元コードとしてはバーコード等を用いることができ、二次元コードとしてはQRコード(登録商標)等を用いることができる。支持体1、カードCへの絵柄等の印刷は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法で行うことができる。カードCのサイズ(寸法)は、適宜設定することができるが、長辺の長さ(図面左右方向)が85.6mm、短辺の長さ(図面上下方向)が54.0mmであることが一般的である。なお、カードとは、広く、所定形状の薄板状もしくはシート状の物体を意味するものであり、特定の形状、材質に限定されるものではない。
図5においては、説明の便宜上、支持体付カード10のサイズ(図面左右方向)に比べて各層の厚さが大きく描かれているが、支持体付カード10はカード状またはシート状であるため、現実には、各層は、より薄く形成されている。例えば、図5における幅(図面左右方向)が、数cm〜数十cmであるのに対して、厚さ(図面上下方向)は、数百μm〜数mm程度である。図5(a)に示す層構成において、現実には、上下の区別はないが、説明の便宜上、図面上側を上層、図面下側を下層と表現することにする。したがって、図5(a)においては、最上層がカードC、最下層が接着軽減層2および粘着剤層N1となっている。
支持体付カード10が変形する様子について説明する。図1および図5(a)に示した状態から、折曲予定線Oにより、図1(a)で山折りとなる方向に第2支持体片1bと第3支持体片1cを折り曲げる。これにより、支持体付カード10は、図2および図5(b)に示すような状態となる。図5においては、層構成を説明するため、支持体付カード10を倒した状態で示しているが、陳列時には、吊り下げ用孔3を上方にして吊り下げることは当然である。
図2において、図2(a)は、第1支持体片1a、第2支持体片1b、カードCの表面から見た平面図、図2(b)は、その反対側である裏面から見た平面図である。図2(a)に示すように、表面から見ると、第3支持体片1cが、第1支持体片1aおよび第2支持体片1bの後方に隠れて見えなくなる。また、図2(b)に示すように、裏面から見ると、第3支持体片1cが、第2支持体片1bを完全に隠し、第1支持体片1aの多くの部分を隠すような状態となる。図2(b)に示すように、第3支持体片1cが折り曲げられた状態であっても、吊り下げ用孔3は覆われておらず、支持体付カード10を吊り下げるために利用することが可能である。
側面から見ると、図5(b)に示すように、矢印方向に第3支持体片1cが折り曲げられることになる。図5(b)から明らかなように、第3支持体片1cが折り曲げられた状態において、第1支持体片1aの裏面に形成された粘着剤層N1は、接着軽減層2に接触する。このとき、平面方向において、粘着剤層N1は、接着軽減層2に覆われた状態となるので、第3支持体片1cと直接接触していない。粘着剤層N1は、第3支持体片1cを折り曲げられた状態で保持しておく程度の接着力は備えているが、接着軽減層2の存在により、剥がされた後で、第3支持体片1c側に接着痕を残さないようにすることができる。
図2および図5(b)に示した状態から、第3支持体片1cを第1支持体片1aから剥がした後、一旦図1および図5(a)に示した状態に戻す。そして、さらに、折曲予定線Oより下方、かつカードCの再下端よりも下方の位置において、先程の折曲予定線Oによる折り曲げとは逆の方向に第3支持体片1cを折り曲げる。したがって、第3支持体片1c内において折り曲げが行われることになる。これにより、支持体付カード10は、図3および図6(a)に示すような状態となる。図3において、図3(a)は、第1支持体片1a、第2支持体片1b、カードCの表面から見た平面図、図3(b)は、その反対側である裏面から見た平面図である。図3(a)に示すように、表面から見ると、第3支持体片1cが、カードCを覆い隠すような状態となる。また、図3(b)に示すように、裏面から見ると、第3支持体片1cの下方が折り曲げられ、第3支持体片1cの一部が、第2支持体片1bおよび第3支持体片1cの後方に隠れて見えなくなる。
側面から見ると、図6(a)に示すように、矢印方向に第3支持体片1cが折り曲げられることになる。図6(a)から明らかなように、第3支持体片1cが折り曲げられた状態において、第3支持体片1cの表面に形成された粘着剤層N2は、第2支持体片1bに接触する。図5の例では、図示の都合上、同一の粘着剤層N2の厚さを、図5よりも図6において厚くして示している。この状態において、図3に示すように、カードCは、第2支持体片1bと第3支持体片1cに挟まれて隠されることになる。図6(a)に示すように、僅かに側面側からカードCの存在を確認することができる。
図3および図6(a)に示した状態から、切取予定線Kに沿って切り取り、第1支持体片1aと第2支持体片1bを分離する。これにより、支持体付カード10は、図4および図6(b)に示すような状態となる。図4において、図4(a)は、第1支持体片1a、第2支持体片1b、カードCの表面から見た平面図、図4(b)は、その反対側である裏面から見た平面図である。図4に示すように、第1支持体片1aが矢印方向に分離され、カードCよりややサイズの大きい支持体本体が残る。粘着剤層N1が露出した第1支持体片1aは分離されるため、残った支持体本体の表面は、滑らかな状態となり、贈答用には好適となる。
支持体1の内側に挟まれるカードCとしては、様々な態様のカードを用いることができる。図1〜図6の例では、図面が繁雑になるのを避けるため、1層の単純な構造で示したが、様々な機能を持った層を追加したカードを採用することもできる。一例としては、特定情報印刷層、隠蔽層を備え、隠蔽層を削ることにより隠蔽されていた特定情報印刷層の内容を視認可能とする、いわゆるスクラッチカードがある。
スクラッチカードの場合、カードCの一方の面には、所定の領域に、特定情報が表現された印刷層である特定情報印刷層(図示省略)が形成されている。特定情報としては、例えば、各カードごとに異なる個別情報を用いることができる。特定情報印刷層を隠蔽層で覆っておき、隠蔽層を削り取ることにより、スクラッチくじなどに用いるスクラッチカードを実現することができる。スクラッチカードとしてのカードCにおいては、特定情報印刷層に重ねて、粘着剤層が形成されている。さらに、粘着剤層に重ねて、シール基材が形成されている。また、シール基材に重ねて、隠蔽層が形成されている。隠蔽層は、特定情報印刷層を隠蔽し、外部からの視認を困難にするための層である。
<2.各層の構成>
カードCの基材としては、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム等のいずれでもよく、用途によって適宜選択すればよい。プラスチックフィルムの場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、ポリ乳酸樹脂などが例示できる。カードCの基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。一例としては、厚さ250μmの乳白ポリエチレンテレフタレートシートを用いることができる。
カードCの基材は、その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
粘着剤層N1は、第3支持体片1cと接着するための層であり、粘着剤層N2は、第2支持体片1bと接着するための層である。粘着剤層N1,N2としては、合成ゴム系粘着剤が最も好ましいが、天然ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤等でも良い。粘着剤層N1,N2を形成するための粘着剤の塗布量・塗布厚は特に限定されないが、好ましくは、塗布量は0.1g/m2〜50g/m2であり、塗布厚は0.1μm〜100μmである。粘着剤の粘度は、1000mPa・s〜10000mPa・s程度が好ましい。粘着剤層N1と粘着剤層N2の素材、厚さは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、粘着剤層N1は、ホットメルト型の粘着剤で形成されることが好ましい。例えば、旭化学合成社製「アサヒタックシリーズ」を用いることができる。
剥離基材Hは、粘着剤層N2を保護するための基材であり、カードCの基材と同様、様々なものを用いることができる。剥離基材Hの粘着剤層N2側の面には、離型剤が塗布されている。この離型剤としては、剥離基材Hが粘着剤層N2から容易に剥離できるような接着性の低い樹脂を使用することが好ましく、シリコーン、フッ素化合物、長鎖アルキルポリマー、アルキド樹脂、やポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のオレフィン系(共)重合体を用いることが最も好ましいが、他にも、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物からなるフィルムでも良い。また、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂等から形成されたフィルムを用いても良い。さらに、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、フィラー等が添加されていても良い。離型剤の塗布量・塗布厚は特に限定されないが、好ましくは、塗布厚は0.1〜10μmである。
接着剤層Sは、支持体1側にカードCを貼付するための層である。接着剤層Sとしては、例えば、ウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、またはこれらの混合物からなる樹脂を使用することができる。接着剤の塗布は、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷法又はコーティング法によって、厚み0.1〜50μm程度に塗布し、貼り合わせ後に、必要に応じて乾燥させる。
支持体1は、カードCを支持するための支持体であり、いわゆる台紙としての役割を果たすものである。支持体1としては、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、ガラス、セラミックス等のいずれでもよく、用途によって適宜選択すればよい。プラスチックフィルムの場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルムなどが例示できる。支持体1は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。
また、支持体1としてプラスチックフィルムを用いる場合は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。支持体1は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。支持体1は、その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
接着軽減層2は、第3支持体片1cの表面に形成され、第1支持体片1aに形成された粘着剤層N1との接着力を軽減する役割を果たしている。接着軽減層2の厚さは、1μm〜10μmであり、好ましくは1μm〜2μmである。接着軽減層2の形成には、粘着剤との接着力を軽減できるものであれば、種々の材料が適用できる。本実施形態では、透明ニスが印刷により塗布されている。透明ニスとしては、例えば、UV硬化型の透明ニスであるDICグラフィック社製ダイキュアクリヤーUV−1601EMを使用することができる。
<3.支持体付カードの製造>
次に、本実施形態に係る支持体付カードの製造方法について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る支持体付カードの製造方法を示すフローチャートである。まず、支持体1に絵柄等の印刷を行う(ステップS1)。絵柄等の印刷は、上述のように公知の印刷法により行うことができる。
次に、支持体1に吊り下げ用孔3の形成を行う(ステップS2)。具体的には、ピナクル(登録商標)刃やビク刃を用いて機械加工することにより形成する。続いて、基材1に切取予定線Kの形成を行う(ステップS3)。切取予定線Kとしてミシン目線を形成する場合には、ミシン目加工機を使用し、ミシン目加工を行う。ミシン目加工は、ミシン胴を備えた加工機や、ピナクル刃を装着したマグネットシリンダーを備えた加工機により行うことができる。続いて、支持体1に折曲予定線Oの形成を行う(ステップS4)。具体的には、押罫を用いて圧力を加えることにより、折り溝となる折曲予定線Oを形成する。
次に、支持体1の表面に、粘着剤層N2および剥離基材Hを積層する(ステップS5)。具体的には、ラベル貼付機を用いて、第3支持体片1cの所定の位置に両面テープを貼付する。続いて、支持体1の裏面に、粘着剤層N1を形成する(ステップS6)。粘着剤層N1の形成は、第1支持体片1aの所定の位置に、公知の塗布方法により粘着剤を塗布することにより行われる。粘着剤層N1の形成のための粘着剤の塗布方法としては、例えば、比較的高速化が可能なグラビア方式やスプレーコート方式、フレキソ方式等によるコーティング等やホットメルト型粘着剤を使用することができる。
次に、支持体1の裏面に、接着軽減層2を形成する(ステップS7)。具体的には、フレキソ印刷機を使用し、第3支持体片1cの裏面に透明ニスの塗布を行う。そして、塗布された透明ニスに対して、紫外線ランプから紫外線を照射して、UV乾燥することにより透明ニスを硬化させる。この結果、図5(a)に示すように、第3支持体片1cの裏面全面に、接着軽減層2が形成される。ステップS2〜S7における処理は必要に応じて適宜順序を変更して行うことができる。
続いて、別途作成されたカードCを支持体1の表面に接着する(ステップS8)。具体的には、カードCの裏面と第2支持体片1bの表面を接着剤により接着する。これにより、接着剤層Sが形成される。接着剤層Sの平面方向の範囲および形状、すなわち接着剤の塗布範囲および形状は、任意に設定することができる。カードCは、後に顧客により支持体1から剥離されるため、剥離容易なように、直径1cm程度の円形状に塗布することができる。この結果、図1、図5(a)に示したような、支持体付カード10が得られる。
図1、図5(a)に示した支持体付カード10から、手作業によって、折曲予定線Oから、第3支持体片1cを折り曲げる。そして、第3支持体片1cの裏面を粘着剤層N1と接着させる。これにより、支持体付カード10は、図2、図5(b)に示したような形態に変形する。
一方、図2、図5(b)に示したような形態の支持体付カード10までを一貫して製造するようにしてもよい。この場合、上記支持体付カード10の製造方法のステップS8において、カードCを支持体1に接着した後、折曲予定線Oによる折加工を行い、粘着剤層N1と接着させる。
<4.カードの製造例>
上述のように、カードCとしては、1層構造の単純なものを用いることもできる。しかし、近年用いられているPOSA(Point of Sales Activation)カード等では、カードを有効化(Activation)するために、バーコード等のコード情報を印刷しておくとともに、カード面にID等の特定情報を印刷し、隠蔽しておく必要がある。いわゆるスクラッチカードの形態のカード構造となる。このような特定情報を隠蔽したカードを用いる場合について、その製造方法について説明しておく。
まず、カードCに特定情報印刷層を形成する。特定情報印刷層の形成は、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法により行うことができる。特定情報としては、カードごとに異なる個別情報であることが多いため、インクジェット印刷で行うことが好ましい。
次に、粘着剤層、シール基材、隠蔽層からなる隠蔽シールの製造を行う。まず、シール基材の一方の面に、隠蔽層を形成する。具体的には、シール基材の一方の面に、隠蔽性の高い銀インキを、公知の印刷方法もしくは塗布方法により印刷もしくは塗布する。例えば、シルク印刷機を用いてスクリーン印刷法により銀インキをベタ印刷することにより塗布する。
続いて、隠蔽層が形成された面と反対側のシール基材の面に、粘着剤層を形成する。粘着剤層における粘着剤の塗布量や塗布厚は特に限定されないが、好ましくは、塗布量は0.1g/m2〜50g/m2であり、塗布厚は0.1μm〜50μmである。粘着剤層の形成のための粘着剤の塗布方法としては、支持体1における粘着剤層N1と同様、グラビア方式やスプレーコート方式、フレキソ方式等によるコーティング等を使用することができる。
次に、シール貼付機を用いて、粘着剤層、シール基材、隠蔽層からなる隠蔽シールを、粘着剤層をカードC側に向けた状態で貼付する。この際、カードC上の特定情報印刷層が形成された箇所を覆う位置に位置合わせしながら、隠蔽シールを貼付する。
これにより、カードCに形成された特定情報印刷層は、隠蔽層を備えた隠蔽シールにより隠蔽されることになる。この状態で、カードCが流通しても、特定情報印刷層を外部から視認することはできない。そのため、特定情報が漏洩することを防止することができる。
シール基材は、隠蔽層を備えた隠蔽シールの基材となるものである。シール基材は、カードCを支持体1に貼付するまでの間、所定の領域における特定情報印刷層を保護する保護層としての機能も有している。シール基材としては、耐熱性、機械的強度、耐溶剤性等を有するものであれば、用途に応じて種々の材料を適用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルムなどが例示できる。シール基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系のフィルムが、耐熱性、機械的強度が高いため、好適に用いられる。
また、シール基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。シール基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。シール基材の厚さは、通常、2.5μm〜50μm程度とすることができるが、好ましくは2.5μm〜12μm、より好ましくは4μm〜6μmである。
シール基材は、その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
隠蔽層は、接着剤により剥離することが可能な層であって、カードCに設けられた特定情報印刷層を隠蔽するための層である。隠蔽層は、隠蔽性の高いインキを印刷することにより形成される。具体的には、隠蔽性の高い顔料が、比較的多量にバインダ樹脂中に分散したものであって、必要に応じて、着色の目的で、染料もしくは通常の顔料が配合されたインキであってもよい。
隠蔽層を構成する隠蔽性の高い顔料としては、銀粉末、アルミニウム粉末、黄銅粉末、もしくは銅粉末等の金属系粉末、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、カーボンブラック、もしくは樹脂粉末等を使用することができる。また、隠蔽層を構成するバインダ樹脂としては、上記の隠蔽性の高い顔料を保持し、基材との接着性の良好なものを選択して用い、例えば、天然ゴム、もしくは塩酸ゴム等のゴム系天然樹脂、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロ二トリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、アクリル、塩化ビニル、もしくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を使用する。
例えば、金属粉をインキ化した銀インキなどをオフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法で形成すればよく、隠蔽性をあげるために複数回印刷してもよい。本実施形態で用いる隠蔽性のあるインキとしては、接着剤により剥離される性質をもつタイプのものが好ましい。隠蔽層を形成するための塗布量・塗布厚は特に限定されないが、好ましくは、塗布厚は0.1μm〜10μmである。
<5.支持体付カードの使用>
図2、図5(b)に示したような支持体付カード10は、吊り下げ用孔3をフックに掛けて吊り下げることにより店舗内に陳列される。陳列された状態では、図5(b)のように、側面側からカードの存在を知ることはできるが、基本的には、カード面を視認することができない。カードCがPOSAカードである場合は、購入時にPOSレジスタに接続されたバーコードリーダーで、カードCに印刷されたバーコードを読み取ることで、カードCが有効化される。
支持体付カード10を店舗で購入した利用者は、図2および図5(b)に示した状態から、第3支持体片1cを第1支持体片1aから剥がした後、一旦図1および図5(a)に示した状態に戻す。そして、剥離基材Hを剥がして、粘着剤層N2を表出させる。さらに、折曲予定線Oより下方、かつカードCの再下端よりも下方の位置において、先ほどの折曲予定線Oによる折り曲げと逆の方向に第3支持体片1cを折り曲げる。したがって、第3支持体片1c内において折り曲げが行われることになる。これにより、支持体付カード10は、図3および図6(a)に示すような状態となる。上述のように、第2支持体片1bの長さL2と第3支持体片1cの長さL2を合わせた長さが、同方向のカードCの長さの2倍より長いため、支持体1によりカードCを完全に覆って隠蔽することを可能となる。
図3および図6(a)に示した状態から、利用者は、切取予定線Kに沿って切り取り、第1支持体片1aと第2支持体片1bを分離する。これにより、支持体付カード10は、図4および図6(b)に示すような状態となる。この状態の支持体付カード10は、カードの両面を完全に覆って保護したものとなり、両側面は、封がなされていないものの簡易的な封筒形状となる。この状態の支持体付カード10を贈り物として他者に渡すことができる。
図4および図6(b)に示したような支持体付カード10を受け取った受取人は、粘着剤層N2を剥がして開封し、接着剤層SからカードCを剥がすことによりカードCを取得することができる。カードCが、隠蔽層を備えたカードである場合は、隠蔽層をコイン等で削り、特定情報を視認可能な状態として、特定情報を知ることができる。カードCがPOSAカードである場合は、取得した特定情報を、コンピュータネットワークを介して、所定のコンピュータに登録することにより、有効化されたカードCを特定することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第3支持体片1cのカードが接着された面と同一の面に接着軽減層2が形成されるようにしたが、粘着剤層N1による粘着剤が、あまり残らないタイプのものであれば、必ずしも接着軽減層2を形成する必要はない。
また、上記実施形態では、第1支持体片1aに、支持体を吊り下げるための貫通孔である吊り下げ用孔を形成したが、支持体付カードを積層または立て掛けて陳列する場合には、必ずしも、吊り下げ用孔を形成する必要はない。