本発明の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る用紙綴じシステム1を模式的に示す正面図である。用紙綴じシステム1は、丁合装置2と用紙綴じ装置21を接続して構成されている。
丁合装置2は、複数の給紙機構3(3a〜3j)が縦方向に並列して配置されている。給紙機構3は、複数の用紙を重ねて積載する給紙台4を有する。給紙台4に積載された用紙束P0の最上位の図示左側の先端部に給紙ローラ5が圧接している。給紙ローラ5には下方からサバキ板6が圧接している。給紙ローラ5が図示時計方向に回転すると、用紙束P0の最上位の用紙Pを送り出し、用紙Pは給紙ローラ5とサバキ板6との間に進入する。2枚以上重なって送り込まれた場合は、2枚目以下の用紙とサバキ板6との摩擦により、2枚目以下の用紙の前進が阻止される。こうして各給紙機構3に積載された用紙束P0の最上位の1枚の用紙Pのみが送り出され、給紙搬送路7を経由して合流搬送路8を下降する。合流搬送路8は各々の給紙機構3から送り出された用紙Pが合流するようになっている。用紙Pはこの合流搬送路8を下降しながら、他の給紙機構3から送り出された用紙と重ねられ、用紙束P1を形成して排出口9から排出される。
図2は用紙綴じ装置21の上面図である。以下、図1と図2を参照して用紙綴じ装置21の構成を説明する。
用紙綴じ装置21は、丁合装置2の排出口9に面して搬入口22を備える。さらにその上方に搬入口23を備える(図2では搬入口22,23付近の、紙束P1搬送面よりも上方の用紙束ガイドを省略して図示しており、搬入口23は一点鎖線で位置のみ図示)。搬入口23は上方に開口しており、ユーザが手で用紙束P1を挿入することができる。搬入口22,23から搬入した用紙束P1は、図示しない駆動源により回転駆動される搬送ローラ対24,25(図2では下方のローラのみ図示)に挟持され、搬送板26上を矢印A1方向(以下、搬送方向という)に搬送される。搬送ローラ対24は搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)に適宜の間隔を置いて2対設けられている。搬送ローラ対25も同様である。搬入口23には用紙束P1の挿入を検知するセンサD1が配置されている。本実施形態ではセンサD1は光軸を用紙束P1が塞ぐことによって用紙束P1の挿入を検知する透過型センサであるが、その他反射型のセンサであっても、用紙束P1に当接するレバーの作動を検知するものであってもよい。
幅方向に離間する搬送ローラ対25の中間部分に、バックジョグ部材27が設けられている。バックジョグ部材27は略水平のガイド部27aと、ガイド部27aの用紙束P1搬送方向下流側(以下単に下流側という場合は、用紙束P1搬送方向の下流側を指すものとする)の端部から下方に折れ曲がったジョグ部27bを有する、板状の部材を逆L字型に曲げたものである。このバックジョグ部材27は、幅方向に計2個設けられている。
2個のバックジョグ部材27の中間部分に、歯付プーリ28が設けられている。歯付プーリ28は搬送ローラ対25の下方のローラを軸支する軸29に軸支されている。この軸29はモータM0により回転駆動される。軸29が回転駆動されると、軸29に固定軸支された搬送ローラ対25が回転し、さらに駆動伝達機構(図示せず)により、搬送ローラ対24も回転する。しかし、歯付プーリ28は軸29に回転自在に軸支されており、軸29の回転力は歯付プーリ28には伝達しない。
一方で用紙綴じ装置21の下流側端部寄りに設けられた軸30に歯付プーリ31が軸支されている。軸30はモータM1により回転駆動される。歯付プーリ31は歯付プーリ28と幅方向で同位置に設けられており、その間に搬送ベルト32が掛けられている。搬送ベルト32は周回する内側面に、歯付プーリ28、31と噛み合う歯が設けられた歯付ベルトである。歯付プーリ31は軸30に固定軸支されているので、モータM1が回転すると、歯付プーリ31が回転し、搬送ベルト32が周回駆動される。搬送ベルト32の外側面には、突起32aが2か所設けられている。2か所の突起32aは、その間の搬送ベルト32の周長が互いに同一になるような位置に設けられている。
搬送ローラ対25に挟持された用紙P1は、バックジョグ部材27のガイド部27aの上方を通過して、搬送ベルト32上を矢印A1方向に搬送され、その先端がストッパ33(停止機構)に当接して停止する。この停止した用紙束P1の位置を、図2に一点鎖線で示す。ストッパ33は、搬送ベルト32上を搬送される用紙束P1の先端が当接するように、搬送ベルト32の上方に突出するように設けられ、用紙束P1を排出する際には図示しない駆動機構により搬送ベルト32の上面から埋没する(図1における一点鎖線の位置となる)。このとき搬送ベルト32の突起32aは、載置した用紙束P1と干渉しない位置にある。ストッパ33の用紙束P1搬送方向上流側(以下単に上流側という場合は、用紙束P1の搬送方向の上流側を指すものとする)には、用紙束P1の存否を検知するセンサD2が配置されている。本実施形態ではセンサD2は光軸を用紙束P1が塞ぐことによって用紙束P1の存在を検知する透過型センサであるが、その他反射型のセンサであっても、用紙束P1に当接するレバーの作動を検知するものであってもよい。
ストッパ33は用紙束P1の搬送方向のサイズに応じて、図示しない駆動機構によって搬送方向の位置が変更できるようになっており、予め、バックジョグ部材27のジョグ部27bからの距離が、用紙束P1の搬送方向の長さ分よりも若干大きくなる位置で用紙束P1を待機する。搬送センサD2もストッパ33とともに移動するように構成されている。
バックジョグ部材27は図示しない駆動機構で搬送方向に往復移動可能に設けられ、ストッパ33に当接して停止した用紙束P1の上流側の端縁にジョグ部27bを少なくとも1回当接させて、ストッパ33との間で用紙束P1の搬送方向の端縁ずれを揃える。
搬送ベルト32の幅方向の一方側(図2における下側)に、サイドジョグ部材34が設けられている。サイドジョグ部材34は、その上面に用紙束P1を受ける水平ガイド面34aと、その水平ガイド面から垂直に上方に立ちあがったジョグ面34bが、搬送方向に長く形成されたL型の部材である。サイドジョグ部材34は、図示しない駆動機構により幅方向に移動可能になっている。
搬送ベルト32の幅方向の他方側(図2における上側)に、ガイド部材35が設けられている。ガイド部材35は、その上面に用紙束P1を受けるように水平かつ搬送方向に長く形成された板状の部材である。
ガイド部材35の幅方向のさらに他方側に、綴じユニット36が設けられている。綴じユニット36は、ベース板37と、このベース板37上に着脱可能に支持された2個のステープラ38(38A,38B)を有する。ステープラ38は用紙束P1の綴じ対象領域(幅方向の他方側寄りの端縁付近の部分)にコの字型の針を打ち込んで綴じる針綴じ機構として機能するもので、針綴じ位置38a(38Aa、38Ba)において、用紙束P1に綴じ針を打ち込むようになっている。
このステープラ38をベース板37から取外し、代わりに無針綴じ機構138(138A,138B)が装着可能になっている。無針綴じ機構は、用紙束P1を針で綴じるのではなく、用紙束P1を加工して互いに綴じるための加工刃を有するものである。このステープラ38、無針綴じ機構138の詳細については後述する。
2個のステープラ38の中間部分、ステープラ38Aの上流側、ステープラ38Bの搬送方向下流側の部分に、用紙束P1の端縁を受けるガイド板39を各々備える。ガイド板39は、その上面に用紙束P1を受ける水平ガイド面39aと、その水平ガイド面から垂直に上方に立ちあがった垂直ガイド面39bを備える。
この垂直ガイド面39bと、サイドジョグ部材のジョグ面34bとの距離が、用紙束P1の搬送方向の長さ分よりも若干大きくなる位置で用紙束P1を待機する。
サイドジョグ部材34は図示しない駆動機構で幅方向に往復移動可能に設けられ、ストッパ33に当接して停止した用紙束P1の側縁に少なくとも1回当接させて、垂直ガイド面39bとの間で用紙束P1の幅方向の端縁ずれを揃える。
バックジョグ部材27、サイドジョグ部材34により揃えられ、ステープラ38または無針綴じ機構138で綴じられた後、搬送ベルト32が周回駆動開始する。すると突起32aが用紙束P1の上流側端部を押して、用紙束P1を下流側に搬送する。用紙束P1は排紙ローラ対40に挟まれて排出口41からスタッカ42に排出される。スタッカ42では、用紙束P1が排紙されるたびに、その前に処理完了して既に蓄積された用紙束P1の上に重なって順次積載されていく。
図3はこの用紙綴じ装置21の外装カバーとのその開閉構造を示す図である(図1及び図2においては外装カバーは図示省略している)。図3(a)は上面図である。図3(a)に示すように用紙綴じ装置21は、ストッパ33で停止した用紙束P1の停止位置の上面側を覆う第1カバー51と、綴じユニット36の部分の上面側を覆う第2カバー52とを有し、第1カバー51の図示下方に、ユーザの各種入力や、LED等による情報表示を行う操作パネル111を有する(図2では図示省略)。
第1カバー51及び第2カバー52はともに、上面側に開放可能である。第1カバー51は、支点51aを中心に上方に旋回可能に、第2カバー52は支点52aを中心に上方に旋回可能に設けられている。図3(b)は図3(a)の矢印B方向から見た図であり、第1カバー51が開放された状態を示す。図3(c)は図3(a)の矢印C方向から見た図であり、第2カバー52が開放された状態を示す。図3(b)に示すように、第1カバー51の自由端側に磁石51bが設けられ、本体側にはこの磁石51bが近接したことを検知する磁気近接センサ51cが設けられている。この磁気近接センサ51cにより、第1カバー51が開いているのか、閉じているのかを検知可能になっている。同様に、図3(c)に示すように、第2カバー52の自由端側にも磁石52bが設けられ、本体側に磁気近接センサ52cを有し、第2カバー52が開いているのか、閉じているのかを検知可能になっている。なお本実施例では磁石51b、52bと磁気近接センサ51c、52cによって第1、第2カバー51、52の開閉を検知しているが、その他の種類のセンサ、例えば光学センサやマイクロスイッチ等を用いても良いことはもちろんである。
図4はステープラ38(針綴じ機構)を示す図であり、下流側から見た図である。ステープラ38は用紙束P1の綴じ対象領域を収容する凹部61を有する。この凹部61の上方には上下動可能にドライバユニット62が設けられ、下方にはクリンチャ63が設けられている。ドライバユニット62は長穴65に沿って上下移動可能なピン64に支持されている。ドライバユニット62は図示しないガイド機構により垂直に上下動するようになっている。ピン64はレバー66の一端の長穴66aが係合し、レバー66の他端の長穴66bには、回転ホイール67の端面に立設されたピン68が挿通されている。レバー66は支点69を中心に回動可能になっている。
ステープラ38はモータM2(図示省略)、その回転駆動力を回転ホイール67に伝達する伝達機構(図示省略)を有する。レバー66は図4の実線位置で用紙束P1を待機し、綴じ指令を受けると、モータM2が回転して駆動力が回転ホイール67に与えられる。モータM2は回転ホイール67が1回転する間だけ駆動する。回転ホイール67が1回転すると、レバー66はいったん一点鎖線の位置に回動してから、元の実線位置に戻る。こうしてドライバユニット62が一往復上下動して、綴じ針の打ち込みが行われる。ドライバユニット62の上下動と同期して、打ち込まれたコの字型の針の脚を曲げるために、クリンチャ63も動作する。クリンチャ63にも伝達機構(図示省略)によりモータM2から駆動が伝達される。クリンチャ63の動きの詳細については後述する。なおレバー66と回転ホイール67は同形状のものがドライバユニット62の上流側と下流側の双方に備えられ、ピン64はドライバユニット62の上流側と下流側で支持されている。
綴じ針はカートリッジ70に収容されている。カートリッジ70は上方からステープラ38に着脱可能であり、直方体のケース内に綴じ針が多数収容されている。ケース内の針がなくなると、綴じ針を収容した新しいカートリッジ70に交換することができる。
図5はステープラ38の綴じ針が打ち込まれる機構を、図4と同方向、及び図4における左側方から見た模式図である。カートリッジ70内には、金属の細長い針を予め使用する長さに切断したものを一列に多数接着した針シートS0が積層して収容されている。そのうちの最下位の針シートS0が、ローラ71により図示右方に送り出される。
図5(a)に示すように、ドライバユニット62は、中央に打ち込み部材72、その両サイドに成形部材73を有する。打ち込み部材72、成形部材73は綴じ針1本分の厚さを有する金属板で形成されている。その厚さ方向に隣接して重なるように、ストッパ部材74が設けられる。ストッパ部材74は、打ち込み部材72、成形部材73よりも下方にのび、下端が綴じ針の存在する方向に曲がって突き出した形になっている。
ローラ71で送り出された針シートS0は、その先端がストッパ部材74に当接して停止する。このとき針シートS0の最先の針S1は、ストッパ部材74の突き出し部分の上面74a上にある。ストッパ部材74の幅は綴じ針S1の長さよりも短いので、綴じ針S1はストッパ部材74の両側からはみ出した形になる。また、突き出し部分74aの突き出し量は綴じ針1本の幅と同一であるので、最先の綴じ針S1だけが突出し部分74a上にある状態になる。
ステープラ38のモータM2が動作して回転ホイール67が回転し、レバー66が回動してドライバユニット62が下降すると、図5(b)に示すように、打ち込み部材72と成形部材73とが共に下降し、先に成形部材73が綴じ針S1に当接する。綴じ針S1の中央部分はストッパ部材74の突き出し部分74aに乗っているので、成形部材73により綴じ針S1の両端部分が下方に曲げられてコの字型に成形される。その後、図5(c)に示すように、打ち込み部材72が綴じ針S1を押し下げるとともに、図示しない機構により連動してストッパ部材74が退避する。打ち込み部材72は綴じ針S1をさらに押し下げて用紙束P1を貫通させる。綴じ針S1は貫通したその裏側でクリンチャ63により内側に曲げられる。クリンチャ63は2つの曲げ部材63aと、この曲げ部材63aを押し上げるドライバ63bと、ドライバ63bを上下動させる駆動機構(図示せず)で構成され、綴じ針S1が用紙束P1を貫通した時に、ドライバ63bが上昇して曲げ部材63aを押し上げ、綴じ針S1の脚を内側に曲げるようになっている。
綴じ針S1の打ち込みを繰り返すと、その分最下位の針シートS0が短くなるので、最下位の針シートS0の針送り出し方向上流側の端(以下「後端」という)が図示右方に移動する。最下位の針シートS0の後端が、上方に収容されている針シートS0の針送り出し方向下流側の端(以下「前端」という)の下方を通過すると、次位の針シートS0が下降する。ローラ71は最下位の針シートS0の後端を、上方の針シートS0の前端を通過するまで送り出すとともに、下降してきた次位の針シートS0をも送り出せるように、カートリッジ70に収容されている針シートS0の束の前端の下方に位置している。下降した次位の針シートS0の前端は、1枚前の針シートS0の後端に当接して押し出すので、針の打ち込みを継続的に行うことができる。回転ホイール67が1回転すると、ドライバユニット62及びドライバ63bが上下動して綴じ針S1を打ち込むとともに、次位の針を送るためにローラ71が回転するように、ローラ71にも駆動伝達機構(図示省略)によりモータM2から駆動が伝達される。
図6は無針綴じ機構138のうち、用紙束P1の下流側に位置する無針綴じ機構138Aを示す斜視図、図7はその正面図、図8は図7の左側から見た側面図である。
無針綴じ機構138Aは、用紙束P1の綴じ対象領域を収容する凹部81を有する。凹部81は、用紙束P1の上面に対向する上面ガイド82A、用紙束P1の下面側にあって用紙束P1が載置される下面ガイド83A、凹部の奥側の面であって用紙束P1の端縁をガイドする奥側ガイド84により形成されている。奥側ガイド84の用紙束P1が当接するガイド面84aは、ガイド板39の垂直ガイド面39b(図2参照)と、幅方向で同じラインに形成されている。
凹部81の上方には、第1昇降ブロック85と、これに支持された紙押さえ86、スリット刃88、切込刃ユニット89とが配置されている。
図9は第1昇降ブロック85と、これに支持された各部材を下方から見た図である。図7、9に示すように、上流側から順に切込刃ユニット89、スリット刃88が配置され、さらにその下流側に、切込刃ユニット89、スリット刃88が配置されているラインに対して幅方向に振り分けて紙押さえ86が2個配置されている。2個の紙押さえ86は互いに同一形状、同一構造である。
第1昇降ブロック85はその下面側に凹部85aが形成されている。紙押さえ86はその凹部85aの底面から上面側へ設けられた貫通孔85bに挿通された軸86aと、軸86aの下端に設けられ、軸86aよりも若干径の大きい半球形状の押さえ部86bと、軸86aの上端に設けられ、貫通孔85bよりも径の大きなストッパ86cと、押さえ部86bと凹部85aの底面との間に介装されたバネ86dとを備える。軸86aは貫通孔85d内を軸方向に移動自在であるが、バネ86dの付勢力により、ストッパ86cが第1昇降ブロック85の上面に係止された位置で静止している。
図10(a)は切込刃ユニット89を示す正面図、図10(b)はその左側面図である。図7,9,10に示すように、切込刃ユニット89は、切込刃89aと、その内側に保持された押圧片89b、押圧片89bを回転自在に支持する支持軸89c、押圧片89bが支持軸89cを中心に図10(a)における反時計方向に旋回する方向に付勢するバネ89dを有する。
切込刃89aは、U字状に曲げられ、下端のエッジが斜めに形成され、かつ厚み方向に尖って形成されている。支持軸89cは第1昇降ブロック85の凹部85aの幅方向の両側面に支持され、切込刃89aを貫通し、その内側の押圧片89bを回転自在に支持している。押圧片89bは切込刃89aの内側に配置され、支持軸89cが貫通した基部89b−1と、基部89b−1の下方に鉤状に形成された鉤部89b−2が形成されている。バネ89dは圧縮バネであり、凹部85aの下面に形成されたバネ孔85cと、押圧片89bの図示左肩部に突起状に形成されたバネ受け部89b−3との間に嵌挿されている。このバネ受け部89b-3の下方には、係合部89b−4が形成されている。
図11(a)はスリット刃88を示す正面図、図11(b)はその左側面図である。図7,9,11に示すように、スリット刃88は、上下に長い板状の部材の両端部が同方向に鈍角に曲げられ、下端エッジ88aが尖頭形に形成され、かつ厚み方向にも尖って形成されている。刃の中央よりもやや下方寄りに四角形状の係合穴88bが形成されている。
図6,7,8に戻る。第1昇降ブロック85は、その上流側と下流側に立設されたフレーム90、91の間に設けられている。フレーム90、91は、上面ガイド82Aの上流側と下流側の端から垂直に立ち上がって形成されている。
第1昇降ブロック85にはピン92が水平方向に挿通されている。ピン92はレバー93の一端の長穴93aが係合し、レバー93の他端の長穴93bには、回転ホイール94の端面に立設されたピン95が挿通されている。レバー93は支点96を中心に回動可能になっている。レバー93は図8の実線位置で用紙束P1を待機し、綴じ指令を受けると、無針綴じ機構138が備えるモータM3(図示省略)が回転して駆動力が回転ホイールに与えられ、回転ホイール94が1回転し、レバー93はいったん一点鎖線の位置に回動してから、元の実線位置に戻る。こうして第1昇降ブロック85がフレーム90、91の間を一往復上下動する。なおレバー93と回転ホイール94は同形状のものが第1昇降ブロック85の上流側と下流側の両方に備えられ、ピン92は第1昇降ブロック85の上流側と下流側で支持されている。
フレーム91と下流側のレバー93との間に第2昇降ブロック97が設けられている。第2昇降ブロック97には第1昇降ブロック85と同様に、ピン92が挿通され、第1昇降ブロック85と同時同方向に上下動する。ガイド部材98は上下動する第2昇降ブロック97をガイドする部材であって、コの字形状に曲げられ、さらにその先端が内側に曲げられた板状部材で形成され、フレーム91に固定されている。フレーム91とガイド部材98には縦長のスリットが形成され、そこにピン92が挿通されているので、ピン92の上下動が可能になっている。第2昇降ブロック97には上下方向に2個の貫通孔97aが穿たれ、この貫通孔97aに軸99が各1本ずつ計2本挿通されている。2本の軸99の下端には水平な板形状の補助ガイド100が固定されている。2本の軸99の上端には、貫通孔97aよりも径の大きなストッパ101と、補助ガイド100と第2昇降ブロック97の下面との間に介装されたバネ102とを備える。軸86aは貫通孔85d内を軸方向に移動自在であるが、バネ86dの付勢力により、ストッパ86cが第1昇降ブロック85の上面に係止された位置で静止している。
回転ホイール94が回転して第2昇降ブロック97が下降すると、補助ガイド100も下降し、その下面であるガイド面100aが、フレーム91に固定されたL字形状のストッパ103に当接して、それ以上下方に移動しないようになっている。すなわちガイド面100aがストッパ103に当接した位置が下降位置となる。
図12は上面ガイド82Aと、補助ガイド100を下側から見た図である。図中、一点鎖線L1は、奥側ガイド84のガイド面84a及びガイド板39の垂直ガイド面39bのライン、すなわち用紙束の端縁を揃える基準ラインを示す。矢印A1が用紙束の搬送方向である。
上面ガイド82Aには、切込刃89aが通るための第1上側開口82Aaと、スリット刃88が通るための第2上側開口82Abと、紙押さえ86が通るための第3上側開口82Acを有する。第2上側開口82Abは上面ガイド82Aの下流側の端縁からから切り欠いて形成され、上方に立ちあがったフレーム91の下端部まで連続して形成されている(図6,8も参照)。補助ガイド100のガイド面100aは、上面ガイド82Aの下流側に幅方向に長く形成された第1ガイド面100bと、この第1ガイド面100bから上流側に突出して、第2上側開口82Abの下流側の一部をふさぐように設けられた第2ガイド面100cとを有している。
図13は下面ガイド83Aを上側から見た図である。下面ガイド83Aには、切込刃89aとスリット刃88が通るための下側開口83Aaを有している。下側開口83Aaは、下流側端部がいったん幅広になったあと、漸次幅が縮小する矢印のような形状となっている。
図14乃至図18は、無針綴じ機構138Aが用紙束P1を綴じる時の動作を、図8,9におけるA−A断面で示す図であり、図19はこの綴じ動作により用紙束P1に形成される綴じ部の外観を示す図である。
図14は第1昇降ブロック85及び第2昇降ブロック97がともに最上位の待機位置にある状態を示す。用紙束P1は上面ガイド82Aと下面ガイド83Aとの間にあり、下面ガイド83A上に載置されている。紙押さえ86、スリット刃88、切込刃89aはすべて上面ガイド82Aよりも上方に位置している。
次に回転ホイール94が回転開始し、レバー93が回動してピン92を下降させる(図8も参照)。すると図15に示すように第1昇降ブロック85が下降し、スリット刃88が第2上側開口82Abを、切込刃89が第1上側開口82Aaを通って用紙束P1を貫通する。図19(a)はこの時の用紙束P1を示している。切込刃89は用紙束P1にU字型の切込P1aを形成する。この切込P1aで形成された舌片P1bが、押圧片89bの鉤部89b−2により下方に折り曲げられる。スリット刃88は用紙束P1に、スリット刃88と同形状のスリットP1cを形成する。紙押さえ86は第3上側開口82Acを通って押さえ部86bを用紙束P1上面に当接させる。第1昇降ブロック85がなおも下降すると、バネ86dが圧縮されるので、このバネ圧で用紙束P1を下面ガイド83Aに対して押さえつける。この構造により、切込刃89aによる切込P1aの形成時と、その後押圧片89bによる舌片P1bの折り曲げの際に、用紙束P1を押圧しているので、安定した切込が可能である。
ピン92の下降により第2昇降ブロック97も下降し、補助ガイド100が下降してストッパ103に当接する下降位置となる。なおも第2昇降ブロック97が下降するが、バネ102が圧縮して補助ガイド100は下降位置のままである。下降位置においては、補助ガイド100のガイド面100bは、上面ガイド82Aの下面と面一になっている。スリット刃88は、第2上側開口82Abのうち、補助ガイド100の第2ガイド面100cでふさがれていない部分を通過するようになっている。
続いて図16に示すように、ピン92、第1昇降ブロック85、第2昇降ブロック97がさらに下降すると、押圧片89bの係合部89b−4が上面ガイド82Aの第1上側開口82Aaと第2上側開口82Abとの間の部分に当接して押圧片89bが支持軸89cを中心に図示時計方向に回動する。すると押圧片89bの鉤部89b−2が舌片P1bを折り曲げて持ち上げながら、舌片P1bとともにスリット刃88の係合穴88bに挿入される。バネ受け部89b−3は上昇してバネ89dを圧縮変形させる。
続いて図17に示すように、ピン92、第1昇降ブロック85、第2昇降ブロック97が上昇開始する。押圧片89bの係合部89b−4が上面ガイド82Aから離れると、バネ89dの付勢力により押圧片89bは支持軸89cを中心に図示反時計方向に回動するので、鉤部89b−2がスリット刃88の係合穴88bから抜ける。このとき用紙束P1の舌片P1bは係合穴88bの下辺に引っかかる。その状態でスリット刃88が上昇するので、舌片P1bは係合穴88bの下辺に持ち上げられ、舌片P1bがスリットP1cに挿入され、用紙束P1の上方に抜ける。この時、下方から挿入して上方に抜けようとする力により用紙束P1全体が持ち上げられて、上面ガイド82Aに接するようになる。用紙束P1は、舌片P1bがスリットP1cに挿入されるとき、その上流側は上面ガイド82Aに、下流側は補助ガイド100の第2ガイド面100bに係合して上昇が阻止されるので、スリット刃88はスムーズに舌片P1bをスリットP1に挿入して、上方へ抜けることができる。
続いて図18に示すように、ピン92、第1昇降ブロック85、第2昇降ブロック97がさらに上昇して待機位置に戻ると、スリット刃88は第2上側開口82Abを、切込刃89は第1上側開口82Aaを、紙押さえ86は第3上側開口82Acを各々通って、上面ガイド82Aよりも上方の待機位置に戻る。また、補助ガイド100も上昇して待機位置に戻るので、第2上側開口82Abは、上面ガイド82Aの下流側の端部が開放状態となる。図19(b)はこの時の用紙束P1aを示している。舌片P1bがスリットP1cに完全に挿入され、舌片P1bの自由端側は下流側斜め上方に向いた状態になっている。このようにして用紙束P1の無針綴じが完了する。
その後用紙束P1は下流側に搬出されるが、第2上側開口82Abは上面ガイド82Aの下流側の端から切り欠いて形成されており、補助ガイド100も上昇しているので、舌片P1bが上面ガイド82Aの第2上側開口82Abの下流側のエッジにも補助ガイド100にも引っかかることが無く、スムーズに搬出できる。
図20は上流側に配置された無針綴じ機構138Bを示す正面図、図21は下流側から見た側面図である。上流側の無針綴じ機構138Bは、下流側の無針綴じ機構138Aに対し、紙押さえ86、スリット刃88、切込刃ユニット89の配置順と向きが、用紙束P1の搬送方向に対して逆向きになっている。また、無針綴じ機構138Bには、第2昇降ブロック97に相当する部材が存在せず、従って、ガイド部材98、軸99、補助ガイド100、ストッパ101、バネ102、ストッパ103に相当する部材も存在しない。
図22は無針綴じ機構138Bの上面ガイド82Bを下側から見た図である。無針綴じ機構138Aと同様に、第1上側開口82Ba、第2上側開口82Bb、第3上側開口82Bcが形成されているが、その配置順序は無針綴じ機構138Aとは搬送方向A1に対して逆向きになっている。また、第2上側開口82Bbは上面ガイド82Bの上流側の端縁に抜けることなく、上面ガイド82Bの下面にのみ形成されている。
図23は無針綴じ機構138Bの下面ガイド83Bを上側から見た図である。無針綴じ機構138Aの下面ガイド83Aと同様に矢印状形状の下側開口83Baを有するが、用紙束P1の搬送方向の向きが逆向きになっている。
以上の相違点を除いて、無針綴じ機構138Bの機構は無針綴じ機構138Aと同一である。無針綴じ機構138Bで用紙束P1を綴じると、綴じた部分の形状は無針綴じ機構138Aで綴じた綴じ部分に対して、用紙束P1の搬送方向で逆向きの形状、すなわち舌片P1bの自由端が上流側を向いていることになる。
図24は本発明の用紙綴じシステム1の制御系を示す制御ブロック図である。用紙綴じシステム1は、丁合装置2、用紙綴じ装置21を各機構を制御するための制御部110を備える。
制御部は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、用紙綴じシステム1に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。用紙綴じシステム1には操作パネル111も設けられている。操作パネル111は、ユーザが各種の設定入力行うことが可能な入力部として機能し、また、スタート入力により装置内へ用紙を送り込むための指令を発する送り込み指令部としても機能する。さらに制御部110から送られてくる情報をユーザが視認できるようにLED等を点灯させて表示する表示部としても機能する。
図24に示すように、制御部110には、操作パネル111に適宜表示される各種スイッチを介した操作入力、磁気近接センサ51c、磁気近接センサ52c、センサD1、センサD2を含む各検出センサからの検出信号が入力される。
制御部110は、それらのスイッチ・センサ入力に基づいて搬送制御、綴じ制御等のための所定の演算処理を実行し、搬送ローラ対24、25を駆動するモータM0、搬送ベルト32を駆動するモータM1、ステープラ38を駆動するモータM2(ステープラ38Aを駆動するモータM2A、ステープラ38Bを駆動するモータM2B)、無針綴じ機構138を駆動するモータM3(無針綴じ機構138Aを駆動するモータM3A,無針綴じ機構138Bを駆動するモータM3B)等に制御指令信号を出力する。また、制御部110は、丁合処理の設定画面、丁合状況、給紙状況、エラー報知等を操作パネル111に表示させる。
制御部110からは、ステープラ38(38A,38B)と接続するための束線112(112A、112B)が接続され、束線112にはその先端にコネクタ113(113A、113B)を備える。以下ステープラ38A及び無針綴じ機構138Aとの接続について説明するが、ステープラ38B及び無針綴じ機構138Bについても同様に構成される。コネクタ113Aには、ステープラ38Aまたは無針綴じ機構138Aのいずれかに接続された束線が接続される。束線112Aには、ステープラ38Aとの接続を認識するための信号線112Aa、無針綴じ機構138Aとの接続を認識するための信号線112Ab、ステープラ38AのモータM2A,または無針綴じ機構138AのモータM3Aに駆動信号を送信するための信号線112Acを有する。ステープラ38Aには信号線112Aaと、無針綴じ機構138Aには信号線112Abと各々信号線が接続されるように各コネクタに配線されている。したがって、ステープラ38Aが接続されている場合は、信号線112Aaが接続を認識し、無針綴じ機構138Aが接続されている場合は、信号線112Abが接続を認識するように、ステープラ38、無針綴じ機構138Aの各コネクタのピンに信号線が配線されている。制御部110においては、各々の信号線が接続を認識すると、その信号線が接続されているポートがHigh(以下Hという)となり、接続が認識されなければLow(以下Lという)となる。制御部110は、信号線112Aa、信号線112Abの各々のポートがH,Lであればステープラ38が接続されており、L,Hであれば無針綴じ機構138が接続されていると認識する。
なお図示省略したが、制御部110には丁合装置2に係る各種設定の入力の受付及び表示やアクチェータ類に係る処理も行う。
図25は操作パネル111を示す図である。操作パネル111には上部にアイコン111a、111b、111c、111dが表示されており、各々のアイコンの下方に隣り合って3LED111e、111f、111g、111hが設けられている。さらにその下方に3個のキー111i、111j、111kを備える。
アイコン111aは、用紙束P1の上流側端の1か所を綴じる「肩綴じ」を示す。アイコン111bは、用紙束P1の下流側端の1か所を綴じる「逆肩綴じ」を示す。アイコン111cは、用紙束P1に対して2か所綴じを行う「平綴じ」を示す。本実施形態の用紙綴じ装置1は肩綴じ、逆肩綴じ、平綴じの3つの綴じ形態のうちの1つを選択可能であり、LED111e、111f、111gのうち、選択中の綴じ形態に相当するLEDが点灯する。その下方にキー111iを押すたびに肩綴じ、逆肩綴じ、平綴じの各モードに切り替わり、該当するLEDが点灯する。
アイコン111dは無針綴じを示す。制御部110は信号線112A,113Aにより、ステープラ38と無針綴じ機構138のいずれが装着されているのかを認識する。綴じ形態が肩綴じである場合は、上流側のステープラ38Bを認識するとLED111hが消灯し、上流側の無針綴じ機構138Bを認識するとLED111hが点灯する。綴じ形態が逆肩綴じである場合は、下流側のステープラ38Aを認識するとLED111hが消灯し、下流側の無針綴じ機構138Aを認識するとLED111hが点灯する。2か所の綴じ機構の一方がステープラで、他方が無針綴じ機構であると認識された場合(ステープラ38Aと無針綴じ機構138B、あるいは無針綴じ機構138Aとステープラ38Bが装着されていた場合)は、平綴じは選択できない。すなわちキー111iを押すたびに、肩綴じ、逆肩綴じのいずれかに切り替わる。
キー111kはスタートキーである。キー111kを押下すると用紙綴じシステム1が動作開始し、再度押下すると停止する。従ってキー111kは用紙綴じ装置内へ用紙を送り込むための指令を発する送り込み指令部として機能する。なお、操作パネル111はこのような形式に限られず、液晶タッチパネル等が採用されてもよい。
この構成により、ユーザはLED111hが点灯しているか否かで、選択した綴じ形態において、針綴じが行われるのか無針綴じが行われるのか判断することができ、ユーザの目的と相違する場合には、該当する綴じ機構を交換する。また、平綴じを選択しようとしてもできない場合、いずれか一方の綴じ機構を交換することによって、同じ用紙束P1に同時に針綴じと無針綴じがなされることを防ぐことができる。
図26は本発明の第1実施形態に係る用紙綴じシステム1の動作を示すフローチャートである。キー111kが押下されると(S01のY)、モータM0及び丁合装置2のメインモータ(図示省略)が駆動開始し(S02)、続いて丁合装置2において丁合処理が行われる(S03)。丁合処理においては、各給紙機構3から積載されている用紙束P0のうち最上位の1枚を送り出し、合流搬送路8において重ね合わせて用紙束P1を形成し、用紙綴じ装置21に送り込む、ということを行う。
用紙綴じ装置21に送り込まれた用紙束P1は搬送ローラ対24、25によって下流側へ搬送される。用紙束P1の下流側端縁がセンサD2に検知されると(S04のY)、直後に用紙束P1の下流側端縁がストッパ33に当接するので、そのタイミングでモータM0が停止し(S05)、ジョグ動作を行って用紙束P1を揃える(S06)。ジョグ動作においては、バックジョグ部材27が往復駆動されて用紙束P1の上流側端に少なくとも1回当接し、ストッパ33との間で用紙束P1の搬送方向を揃えるとともに、サイドジョグ部材34が往復駆動されて用紙束の幅方向一端側に少なくとも1回当接し、ガイド部材35との間で用紙束P1の幅方向を揃える。
続いて、綴じ動作が行われ(S07)、用紙束P1が綴じられる。綴じ動作においては、モータM2またはM3が所定量駆動して停止する。その所定量は、回転ホイール67、94が1回転する量である。肩綴じモードにおいては、上流側のステープラ38BのモータM2Bまたは無針綴じ機構138BのモータM3Bが駆動される。逆肩綴じモードにおいては、下流側のステープラ38AのモータM2Aまたは無針綴じ機構138AのモータM3Aが駆動される。平綴じモードにおいては、ステープラ38A,38Bの両方、あるいは無針綴じ機構138A、138Bの両方が駆動される。ステープラ38が駆動された場合は綴じ針S1が用紙束P1に打ち込まれ、無針綴じ機構138が駆動された場合は、用紙束P1にU字型の切込P1aとスリットP1cが形成され、切込P1aから切り起こされた舌片P1bがスリットP1cに挿入されることにより、綴じが行われる。
次にストッパ33が搬送ベルト32の下方に埋没するとともに、モータM1が回転駆動を開始し、搬送ベルト32が周回駆動を開始する。すると突起32aが用紙束P1の上流側端縁に当接して下流側へ移動しながら押し出して、用紙束P1が排出される。モータM1が所定量回転すると排出完了と判断し(S09のY)、モータM1を停止させるとともに、ストッパ33をもとの位置に戻し(S10)て処理完了する。丁合装置2から連続的に後続の用紙束P1が送り込まれるように設定されている場合は、次の用紙束P1が送り込まれるたびに、予めモータM0の駆動を再開させておくとともに、S04以降の処理を繰り返し行う。
図27は無針綴じ機構138により平綴じを行ったとき、排出された用紙束P1の積載状態を示す図である。無針綴じ機構138により平綴じが行われた用紙束P1は、2か所の綴じ部の舌片P1bの自由端が互いに外側を向いた形になっている。この用紙束P1がスタッカ42に下方から順次積み重ねられる。すなわち用紙束P1の下流側の綴じ部の舌片P1bの自由端側が向いている方向に、排出口41から排出される。このとき、排出される用紙束P1の下流側端縁は、既に積載されている用紙束P1のうち最上位の用紙束P1の下流側の綴じ部に当接するが、舌片P1bが下流側を向いているため、排出される用紙束P1の下流側端縁が、最上位の用紙束P1の舌片P1bに引っかかることなく積み重ねることができる。最上位の用紙束P1の上流側の舌片P1bは上流側を向いているが、排出される用紙束P1の下流側端縁は飛び越える。したがって舌片の向きを対称形状とし、綴じ後の美観の良い無針綴じを行いながら、スタッカ42における引っ掛かりを防ぐことができる。
図26に戻る。キー111kが押下されていない状態で(S01のN)、センサD1が用紙束P1を検知した場合(S21のY)、挿入口23に用紙束P1が挿入されたことになる。このとき、キー111jが押下されていなければ(S22のN)、モータM0の回転駆動を開始する(S23)。その後はS04に進み、キー111kを押下したときと同様の処理が、挿入口23に挿入された用紙束P1に対して行われる。
S22においてキー111jが押下されていたら(S22のY)、針頭出しモードに入り、針頭出し動作を行う(S100)。これに対し、S100の針頭出し動作以外の、通常の綴じ処理を行うモードを通常モードという。すなわちキー111jを押下した状態で用紙束P1を挿入口23に挿入すると、針頭出し動作を行うことになる。
図28は図26のS100における針頭出し動作の詳細を示すフローチャートである。S100の針頭出し動作に入ると、モータM0が駆動開始し(S101)、搬送ローラ対24、25を駆動して用紙束P1を下流側へ搬送する。用紙束P1の下流側端縁がセンサD2に検知されると(S102のY)、直後に用紙束P1の下流側端縁がストッパ33に当接するので、そのタイミングでモータM0が停止し(S103)、ジョグ動作を行って用紙束P1を位置決めする(S104)。ジョグ動作は図26におけるS06と同一である。
この状態で、キー111iが押下されると(S105のY)、上流側のステープラ38Bが装着されているか否かを、信号線112Baが接続を認識しているか否かによって判断する(S106)。接続されていたら(S106のY)、上流側のステープラ38BのモータM2Bを所定量駆動させて停止し(S107)、S108に進む。その所定量は、回転ホイール67が1回転する量である。キー111iが押下されなければ(S105のN)、S106、S107を飛ばしてS108に進む。次にキー111jが押下されると(S108のY)、下流側のステープラ38Aが装着されているか否かを、信号線112Aaが接続を認識しているか否かによって判断する(S109)。接続されていたら(S109のY)、下流側のステープラ38AのモータM2Aが所定量駆動して停止し(S110)、S111に進む。その所定量は、回転ホイール67が1回転する量である。キー111jが押下されなければ(S108のN)、S108.S109を飛ばしてS111に進む。次に磁気近接センサ51cがOFF、すなわち、第1カバー51が開かれたことが検知され(S111のY)ると、針頭出し動作は終了する(S115)。近接センサ51cがOFFにならない(S111のN)場合、キー111kが押下されると(S112のY)、ストッパ33が搬送ベルト32の下方に埋没するとともに、モータM1が回転駆動を開始し(S113)、搬送ベルト32が周回駆動を開始する。すると突起32aが用紙束P1の上流側端縁に当接して下流側へ移動しながら押し出して、用紙束P1が排出される。モータM1が所定量回転すると排出完了と判断し(S114のY)、モータM1を停止させるとともに、ストッパ33をもとの位置に戻す(S115)。その後針頭出し動作は終了する。針頭出し動作が終了したら、針頭出しモードは終了する。
S106においてステープラ38Bが接続されていない(信号線112Baが接続を認識していない)場合(S106のN)は、S107をスキップする。同様に、S109においてステープラ38Aが接続されていない(信号線112Aaが接続を認識していない)場合(S109のN)は、S110をスキップする。
この動作により、針頭出しモードにおいては、ユーザが操作パネル111において、キー111jを押下しながら用紙束P1を挿入口23から挿入すると、用紙束P1は下流側端縁がストッパ33に当接するまで搬送され、ストッパ33に当接した位置で位置決めされる。その後ユーザがキー111iを押すたびに、ステープラ38Bで綴じ動作が1回行われ、キー111jを押すたびに、ステープラ38Aで綴じ動作が1回行われる。操作パネル111は用紙綴じ装置21の幅方向の一方側サイド(図3(a)における下側サイド)に設けられているので、キー111iが上流側に、キー111jが下流側に位置するので、操作するキー111i、jの互いの位置関係と、その操作により駆動するステープラ38B、38Aの位置関係とが一致しているので、右側のステープラ38Bを駆動するには右側のキー111i、左側のステープラ38Aを駆動するのは左側のキー111jを押下すればよいので、操作がわかりやすい。また、ステープラ38A,あるいは38Bが装着されていない場合は、キー操作を無効とし、仮に無針綴じ機構138A、138Bが接続されていても綴じ動作を行わない。無針綴じ機構138A、138Bは針を使わないため、針頭出し動作が不要だからである。
綴じ針を使い切ってカートリッジ70が空になった場合、新しいカートリッジ70を挿入する。この時、新しいカートリッジ70は、最下位の針シートS0を含めて綴じ針がカートリッジ70内に収容されている。針綴じを行うには、最下位の針シートS0の最先の綴じ針S1がストッパ部材74に当接するまで送り出さなければならない(図5参照)。従って、綴じ動作を複数回行ってローラ71を駆動し、最下位の針シートS0の送り出しを行う必要がある(針頭出し)。最先の綴じ針S1がストッパ部材74に達しないうちは、綴じ動作を行っても用紙束P1に針が打たれることはないので、針が出てくるまで綴じ動作を繰り返す。
本発明は上記のような針頭出しモードを有しているので、新しい針カートリッジ70を装着した後、ユーザがキー111jを押しながら用紙束P1を手で挿入することにより針頭出しモードに入り、挿入した用紙束P1は綴じを行う位置で停止する。この状態でキー111i、111jを押すことにより、ステープラ38A,38Bに対して綴じ動作を複数回行わせることができるので、用紙束P1に実際に針が打ち込まれるまで、キー111iまたはキー111jの押下を繰り返すことにより、容易に針の頭出しを行うことができる。なお、針頭出しの際に挿入する用紙は必ずしも束である必要はなく、用紙を1枚だけ挿入して行うことも可能である。
また、本発明の用紙綴じ装置21はストッパ33で停止した用紙束P1の停止位置の上面側を覆う第1カバー51と、綴じユニット36の部分の上面側を覆う第2カバー52とを有し、第1カバー51の開閉を検知する磁気近接センサ51cと、第2カバーの開閉を検知する磁気近接センサ52cを有しており(図3参照)、図26では省略されているが、通常モードの場合は、少なくともいずれか一方のカバーが開かれたことが検知されると、装置は動作を停止する。しかし針頭出しモードにおいては、第2カバーが開かれた状態(磁気近接センサ52cがOFFとなっている状態)でも針頭出し動作を行うことができるので、ユーザはステープラ38で綴じ針が打たれているか否かを視認しながら針頭出しを行うことができる。
ユーザは綴じ針が出てきたことを確認すると、第1カバー51を開いて用紙を取り出すか、排紙操作を行って用紙束P1をスタッカ42へ送り出す。第1カバー51が開かれると、磁気近接センサ51cでこれを検知し、針頭出しモードを終了させる。キー111kを押下すると用紙束P1が送り出され、針頭出しモードを終了させる。このように、手動または自動で用紙束P1を装置外に出すと、針頭出しモードが終了するので、ユーザは特段の操作を行うことなく、通常モードでの用紙綴じ処理を開始することができる。
なお、ステープラ38A,38Bが装着されていない場合(無針綴じ機構138A,138Bが装着されている場合を含む)、キー111jが押された状態でセンサD1が用紙束P1を検知しても、針頭出しモードに入らないように制御しても良い。
続いて本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と実質的に同一の部品や制御等には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本発明の第2の実施形態においては、第1の実施形態における針頭出し動作(図26のS100)に代えて、針頭出し動作(S200)を行う。図29はこの針頭出し動作(S200)を示すフローチャートである。
図29に示すように、第2の実施形態に係る針頭出し動作(S200)においては、キー111iが押下され(S105のY)、ステープラ38Bが接続されている場合(S106のY)、そのキー111iの押下が、針頭出しモードに入ってから第1回目の押下か否かを判断する(S206)。第1回目でなければ(S206のN)、第1の実施形態と同様に、モータM2Bを所定量すなわち、回転ホイール67が1回転する量だけ回転する(S107)。第1回目であれば(S206のY)、モータM2Bを所定量、所定回数だけ駆動する(S207)。すなわち、ホイール67が所定回数だけ回転させるということであり、すなわち綴じ動作を所定回数だけ行わせるということである。所定量回転していったん停止、という動作を所定回数繰り返しても良いし、ホイール67を連続的に所定回数回転させるように動作させても良い。
また、キー111jが押下された場合(S108のY)も同様に、ステープラ38Aが接続されていれば(S109のY)、そのキー111jの押下が、針頭出しモードに入ってから第1回目の押下か否かを判断し(S209)、第1回目であれば(S206のY)、モータM2Aを所定量、所定回数だけ駆動する(S210)。第1回目でなければ(S206のN)、モータM2Aを所定量回転し、回転ホイール67を1回転させる(S110)。その他のステップは第1実施形態と同一である。
この第2の実施形態によれば、キー111i、キー111jの押下が針頭出しモードに入ってから第1回目であった場合は、ステープラ38は自動的に所定の複数回、例えば3回の綴じ動作を行う。針頭出し動作は最先の綴じ針S1がストッパ部材74に達するまで綴じ動作を繰り返さなければならないが、針頭出し動作に入ってから第1回目は、最先の綴じ針S1がストッパ74から大きく離れている可能性が高い。したがって、確実に複数回の綴じ動作が必要になる。実際に何回目で最先の綴じ針S1がストッパ74に到達し、針が打たれるようになるかは、カートリッジ70を装着した時の最下位の針シートS0の先端の位置のバラつきや、ローラ71と針シートS0とのすべり等により、一定しない。しかし第2の実施形態では、最低限確実に必要な綴じ回数を予め予測して定めておき、第1回目のキー操作ではその回数分自動的に綴じ動作を行うので、頭出しの手間を軽減することができる。例えば針が打たれるまでの綴じ動作の回数がおおむね5〜7回の範囲でばらつく場合、所定回数を4回と定めれば、第1回目のキー操作で自動的に4回の綴じ動作が行われる。5回目以降は1回のキー操作につき1回の綴じ動作が行われるので、1回ごとに針が打たれているか否かを確認すればよい。また、この第2の実施形態において、「所定回数」を予めユーザが設定できるようにしてもよい。
続いて本発明の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と実質的に同一の部品や制御等には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本発明の第3の実施形態においては、第1の実施形態における針頭出し動作(図26のS100)に代えて、針頭出し動作(S300)を行う。図30はこの針頭出し動作(S300)を示すフローチャートである。
図30に示すように、第3の実施形態に係る針頭出し動作(S300)においては、キー111iが押下され(S105のY)、ステープラ38Bが接続されている場合(S106のY)、ステープラ38Bのカートリッジ70が交換直後であるのか否かが判断される(S306)。交換直後であれば(S306のY)、第1の実施形態と同様に、モータM2Bを所定量すなわち、回転ホイール67が1回転する量だけ回転する(S107)。交換直後でなければ(S306のN)、S107をスキップする。
また、キー111jが押下された場合(S108のY)も同様に、ステープラ38Aが接続されていれば(S109のY)、ステープラ38Aのカートリッジ70が交換直後であるのか否かを判断し(S309)、交換直後でなければ(S309のN)S110をスキップする。
カートリッジ70が交換直後であるか否かは、カートリッジ70が装着されているか否かを検知するスイッチあるいはセンサ類(図示省略)を設け、いったんカートリッジ70が取り外されたことが検知され、その後再び装着されたことが検知されたとき、その交換されたステープラ38が綴じ動作を行わないうちに、針頭出しモードに入ったかどうかで判断すればよい。また、カートリッジ70内の綴じ針が無くなったことを検知するセンサを設け、針頭出しモードにおいては、その直前に綴じ針が無くなったことが検知されたステープラ38についてのみ、頭出し動作を可能としてもよい。また、綴じ針が無くなったことが検知され、且つその後にカートリッジ70の交換が検知されたステープラ38のみ、その直後の頭出しモードにおいて、頭出し動後を可能としてもよい。
この第3の実施形態によれば、2つのステープラのうちの一方のカートリッジ70を交換した直後に針頭出しモードに入った場合、カートリッジ70が交換されなかった方のステープラ38は、キー111i又は111jのうち該当するキーを押下しても綴じ動作を行わない。したがって、確実に頭出しを行うべき対象であるステープラ38についてのみ、頭出し動作を行うことができ、無駄打ちを防止できるというメリットがある。
続いて本発明の第4の実施形態を説明する。第1の実施形態と実質的に同一の部品や制御等には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本発明の第4の実施形態においては、第1の実施形態における針頭出し動作(図26のS100)に代えて、針頭出し動作(S400)を行う。図31はこの針頭出し動作(S400)を示すフローチャートである。
図31に示すように、第4の実施形態に係る針頭出し動作(S400)においては、モータM0が駆動停止して(S103)、ジョグ動作した(S104)後、モータM2A,M2Bが各々所定量駆動して停止させる。その所定量は、回転ホイール67が1回転する量である。すなわちステープラ38A,38Bに1回綴じ動作を行わせる。次にS105に進み、以下は第1の実施形態と同一である。
この第4の実施形態によれば、針頭出しモードに入った時、第1回目の針打ちは自動で行うことになるので、その分、キー操作による綴じ動作の回数が少なくてすむというメリットがある。
続いて本発明の第5の実施形態を説明する。第1の実施形態と実質的に同一の部品や制御等には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本発明の第5の実施形態においては、第1の実施形態における針頭出し動作(図26のS100)に代えて、針頭出し動作(S500)を行う。図32はこの針頭出し動作(S500)を示すフローチャートである。
図32に示すように、第5の実施形態に係る針頭出し動作(S500)においては、キー111iが押下され(S105のY)、ステープラ38Bが接続されている場合(S106のY)、前回のモータM2B駆動から所定時間経過しているか否かが判断される(S506)。所定時間経過後であれば(S506のY)、第1の実施形態と同様に、モータM2Bを所定量すなわち、回転ホイール67が1回転する量だけ回転する(S107)。所定時間経過していなければ(S506のN)、S107をスキップする。
また、キー111jが押下された場合(S108のY)も同様に、ステープラ38Aが接続されていれば(S109のY)、前回のモータM2A駆動から所定時間経過しているか否かが判断され(S509)、所定時間経過後でなければ(S509のN)S110をスキップする。
針頭出し動作においては、綴じ針が打たれるまでの間、同じキーを複数回押下することになるが、針が打たれた後にさらに綴じ動作を行うと、既に針が存在する位置にさらに後続の針を打とうとするため、針詰まりを起こす。この第5の実施形態によれば、キー111iまたは111jを押下して綴じ動作を行った後、同じキーを押下しても、所定時間経過しなければ綴じ動作を行わない。したがってユーザは連続的にキー押下を繰り返していても、針が打たれたときに、そのことを認識する前に続けて綴じ動作を行ってしまうことにより針詰まりが発生してしまうのを防ぐことができる。
またこの第5の実施形態において、針頭出しモードに入ってから所定回数までは、前回の綴じ動作から所定時間経過後でなくても次回の綴じ動作を許容し、所定回数に達した後は、前回の綴じ動作から所定時間経過後でなければ次回の綴じ動作を行わないようにしてもよい。そうすれば、最初に針が打たれるまでの操作時間を短縮することができる。また、針頭出しモードに入ってから第1回目のキー操作の場合には所定回数自動的に綴じ動作させ、2回目のキー操作以後は、1回のキー操作につき1回の綴じ動作を行うとともに、前回の綴じ動作から所定時間経過後でなければ次回の綴じ動作を行わないようにしてもよい。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
上記の各実施形態では、センサD1により用紙束P1の挿入が検知されたときに、キー111jが押下されていた時に針頭出しモードに入ると記載したが、押下するのはキー111i、キー111kでもよく、その他の部分に設けられているキーでも良いことはもちろんである。
またキー111jあるいはその他のキーが押下された状態で、丁合装置2を駆動させ、丁合装置2の給紙機構3のいずれかから用紙を送り込んだ時に、針頭出しモードに入るようにしてもよい。この場合、搬入口22にセンサを設け、そのセンサが用紙束P1を検知したとき、あるいは丁合装置2のスタートスイッチの押下駆動開始操作がなされたときに、キー111jあるいはその他のキーが押下されていた時に、針頭出し動作を行うようにすればよい。本変形例によれば、針頭出しの際に手動で用紙または用紙束P1を挿入する手間を省き、自動的に用紙を送り込むことができる。
このように、用紙綴じ装置21内に用紙束P1を送り込むための指令を発した時、あるいは送り込まれる用紙束P1を、ストッパ33によって停止する前に検知したときに、特定のキー操作等、制御部が認識可能な操作がユーザによりなされた場合に、針頭出しモードに入るようにすればよい。
また、用紙束P1を挿入する前に、操作パネル等でユーザにより通常モードとするか、針頭出しモードとするかを選択可能としてもよい。
また、いずれかのステープラ38でカートリッジ70の交換が検知された場合、特段ユーザが操作することなく、あるいは所定のスイッチ類を押す等の簡単な操作により、針頭出しモードに入るようにしても良い。また、カートリッジ70から綴じ針が無くなったことが検知された時点で、針頭出しモードに入るようにしてもよい。このとき、カートリッジ70を交換した方のステープラ38のみ、綴じ動作を行うことが可能であるようにしてもよい。これらの変形例によれば、カートリッジ70の交換または針無が検知されることによって、針頭出し動作が必要な際にユーザの特段の操作なく、あるいはごく簡単な操作で針頭出しモードとすることができる。
また、上記実施形態では、磁気近接センサ51cがOFF、すなわち第1カバー51が開かれることによって、針頭出しモードから通常モードに戻るようになっているが、これに限られず、磁気近接センサ51cがOFFになってから再びON,すなわち、いったん開かれた第1カバー51が再度閉じられたときに、針頭出しモードから通常モードに戻るようにしても良い。第1カバー51が閉じられたとき、センサD2が用紙束P1を検知したままであった場合は、通常モードに戻すとともに、その用紙束P1を排出する動作を行ってもよい。そうすれば、すぐに続けて通常の綴じ処理を開始することができる。
また、磁気近接センサ51cがOFFすなわち第1カバー51が開かれてから、センサD2が用紙束P1を検知しなくなったときに、針頭出しモードから通常モードに戻るようにしても良い。すなわち、内部の用紙束P1が取り除かれたことを検知したときに、通常モードに戻るということである。そうすれば、頭出しが完了しないうちに第1カバー51を開いてしまった場合でも、用紙束P1を取り出さずに再度第1カバー51を閉じれば、針頭出しモードを継続することができる。
上記実施形態では、針頭出し動作の際の綴じ動作を行わせるために、用紙綴じ装置21の操作パネル111におけるキー操作により行っているが、これに限られず、丁合装置2に設けた操作パネルのキーにより行っても良いし、ステープラ38そのものか、その近傍に設けられたスイッチにより行っても良いし、有線又は無線で用紙綴じ装置21または丁合装置2と通信可能な、用紙綴じ装置21とも丁合装置2とも別体のスイッチにより行っても良い。なお、センサD1により用紙束P1の挿入が検知されたときに、これらのスイッチ類が操作されていた時に、針頭出しモードに入るようにしても良い。
上記第4の実施形態において、ジョグ動作した(S104)後、モータM2A,M2Bのいずれか、その直前にカートリッジ70内の針無の検知、カートリッジ70の交換の検知の、いずれか一方または両方が検知された方のステープラ38のモータM2のみを駆動するようにしてもよい。この変形例によれば、カートリッジ70の交換が行われなかった方のステープラ38の無駄打ちを無くすことができる。さらにこの場合、駆動対象のモータM2を、回転ホイール67が複数回転する量だけ駆動してもよい。そうすれば、その後のキー操作の回数を、より少なくすることができる。
上記実施形態では、針頭出しモードの場合、第2カバー52を開いても針頭出し動作が継続可能としたが、第2カバー52を透明の部材で形成してもよい。そうすれば、第2カバー52を閉じたまま針が打たれたか否かを観察しながら針頭出し動作が可能であるので、より安全性の高い装置が得られる。
上記実施形態では、通常モード、針頭出しモードのいずれにおいてもストッパ33に用紙束P1を当接させて停止させているが、この形態に限られず、例えば単に搬送ベルトを停止させることにより停止させてもよいし、搬送ベルトに設けた突起に当接させて停止させてもよい。また、通常モード、針頭出しモードの各々で異なる停止機構を利用して用紙束P1を停止させてもよい。要するに針頭出しモードにおいては、ステープラ38の綴じ位置に用紙束P1が存在するように、用紙束P1を停止させればよい。
上記実施形態では、針頭出しモードにおいてはストッパ33に用紙束P1を当接させて停止させてジョグ動作(S104)で位置決めし、綴じ動作を行っているが、針頭出しモードにおけるジョグ動作はバックジョグ部材27は動作させず、サイドジョグ部材34だけを動作させるようにしても良い。サイドジョグ部材34によりジョグ面34bと垂直ガイド面39bとの間で用紙束P1を位置決めすれば、ステープラ38の綴じ部分に用紙束P1は存在するからである。また、サイドジョグ部材34を動作させなくても用紙束P1が綴じ位置に存在するように用紙束P1を搬入できる場合は、サイドジョグ部材34によるジョグ動作も必ずしも必要ではない。
上記実施形態では第1昇降ブロック85と第2昇降ブロック97とを別体として備えているが、これを一体として、一つの昇降ブロックで形成してもよい。すなわち1つの昇降ブロックが第1昇降機構と第2昇降機構とを兼ねる構成であり、このような構成も本発明の範囲に含まれる。