JP6548404B2 - 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法 - Google Patents

多層基板、発光装置および多層基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6548404B2
JP6548404B2 JP2015034513A JP2015034513A JP6548404B2 JP 6548404 B2 JP6548404 B2 JP 6548404B2 JP 2015034513 A JP2015034513 A JP 2015034513A JP 2015034513 A JP2015034513 A JP 2015034513A JP 6548404 B2 JP6548404 B2 JP 6548404B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
dielectric layer
dielectric
light
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015034513A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016157816A (ja
Inventor
圭汰 中村
圭汰 中村
福田 匡広
福田  匡広
加藤 達也
達也 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Electronics Co Ltd
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Electronics Co Ltd
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Electronics Co Ltd, Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Electronics Co Ltd
Priority to JP2015034513A priority Critical patent/JP6548404B2/ja
Publication of JP2016157816A publication Critical patent/JP2016157816A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6548404B2 publication Critical patent/JP6548404B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Led Device Packages (AREA)
  • Insulated Metal Substrates For Printed Circuits (AREA)

Description

本発明は、多層基板、発光装置および多層基板の製造方法に関する。
LED(発光ダイオード)などの発光素子が実装される発光装置の実装基板には、耐熱性および放熱性の観点から、アルミニウムなどの金属製の基板が広く用いられている。こうした発光装置では、発光効率を向上させるために、光反射率の高い銀(Ag)などの金属による光反射層が実装基板上に形成される。しかしながら、銀は空気中の水分や酸素、硫黄などと反応して劣化しやすいため、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)(Al)による高密度の保護層が銀層の直上に設けられる。また、光反射率をさらに高めるために、例えば互いに屈折率が異なる酸化ケイ素(SiO)の層と酸化チタン(TiO)の層で構成された誘電体多層膜が銀層の上に設けられることもある。
例えば、特許文献1に記載の発光装置では、発光素子が実装された基板は、セラミック基板の上面に金膜が配線パターン形成された配線基板であり、発光素子は、金膜の上に接合されてフリップチップ実装され、発光素子が実装された部位を除く金膜の上には、銀膜が製膜され、銀膜の上には、500nm以下の光の反射率を銀膜を単独で用いた場合より高くする誘電体多層膜が製膜されている。この誘電体多層膜は、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ケイ素(SiO)膜および酸化チタン(TiO)膜で構成されている。
特開2011−151339号公報
基板の光反射率をさらに向上させるためには、金属製の光反射層の上に、互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層を繰り返し積層させることが好ましい。しかしながら、光反射層を保護する保護層の上にさらに誘電体層を繰り返し積層させると、その誘電体層に働く応力の蓄積によって、光反射層と保護層との界面で剥離が発生することがある。この剥離は、光反射層の金属原子を保護できるように保護層が高密度で形成されるために、保護層内で外にはじけようとする力が発生して膨らみが生じることや、例えば温度変化による収縮が起きたときに保護層の上下に働く力の釣合いが取れなくなることなどに起因する。
そこで、本発明は、基台上の金属製の光反射層が使用環境下でその光反射特性を保つようにした上で、その上に積層可能な誘電体層の層数を増やして基板の光反射率を向上させることを目的とする。
本発明の多層基板は、基台と、基台より上に形成された金属製の光反射層と、光反射層の上に形成されて光反射層を保護する第1の誘電体層と、第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された多層膜である第2の誘電体層と、第2の誘電体層の上に形成され上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層と、第3の誘電体層の上に形成された第4の誘電体層とを有することを特徴とする。
上記の多層基板では、第3の誘電体層は、厚さ方向に沿って原子密度が段階的に変化することが好ましい。
上記の多層基板では、第3の誘電体層は、基台に近い下面側から基台とは反対側の上面側にかけて原子密度が高くなることが好ましい。
上記の多層基板では、第4の誘電体層は、互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された多層膜であることが好ましい。
本発明の発光装置は、多層基板と、多層基板上に実装された発光素子とを有し、多層基板は、基台と、基台より上に形成された金属製の光反射層と、光反射層の上に形成されて光反射層を保護する第1の誘電体層と、第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された多層膜である第2の誘電体層と、第2の誘電体層の上に形成され上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層と、第3の誘電体層の上に形成された第4の誘電体層とを有することを特徴とする。
本発明の多層基板の製造方法は、基台より上に金属製の光反射層を形成する工程と、光反射層の上に、イオンアシスト蒸着により、光反射層を保護する第1の誘電体層を形成する工程と、第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層を積層させて多層膜である第2の誘電体層を形成する工程と、第2の誘電体層の上に、イオン電子ビームの運動エネルギーを段階的に変化させたイオンアシスト蒸着により、上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層を形成する工程と、第3の誘電体層の上に第4の誘電体層を形成する工程とを有することを特徴とする。
上記の製造方法における第3の誘電体層を形成する工程では、第3の誘電体層の下面から上面にかけて膜応力が5MPaから15MPaまで変化するように、イオン電子ビームの運動エネルギーを変化させることが好ましい。
上記の多層基板、発光装置および多層基板の製造方法によれば、基台上の金属製の光反射層が使用環境下でその光反射特性を保つようにした上で、その上に積層可能な誘電体層の層数を増やして基板の光反射率を向上させることが可能になる。
発光装置1の上面図および断面図である。 実装基板10、回路基板20、反射枠40の上面図および断面図である。 図1(B)のB部の拡大図である。 実装基板10の多層構造を示す模式的な断面図である。 EB蒸着とIAD蒸着で形成された積層構造の例を示す断面写真である。
以下、図面を参照しつつ、多層基板、発光装置および多層基板の製造方法について説明する。ただし、本発明は図面または以下の実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1(A)〜図1(D)は、発光装置1の上面図および断面図である。発光装置1は、主要な構成要素として、実装基板10、回路基板20、LED素子30、反射枠40および封止樹脂50を有する。図1(A)および図1(B)は、それぞれ、完成品としての発光装置1の上面図およびA−A線断面図を示す。図1(C)および図1(D)は、それぞれ、LED素子30の実装状態を示すために、封止樹脂50を取り除いた状態の発光装置1の上面図およびA−A線断面図を示す。
また、図2(A)および図2(B)は、実装基板10の上面図およびA−A線断面図である。図2(C)および図2(D)は、回路基板20の上面図およびA−A線断面図である。図2(E)および図2(F)は、反射枠40の上面図およびA−A線断面図である。
実装基板10は、多層基板の一例であり、アルミニウム製の基台と、その上に形成された複数の膜で構成される多層構造とを有する。基台上の多層構造の詳細については、図3および図4を用いて後述する。また、実装基板10は、一例として正方形の形状を有し、その上面にLED素子30が実装される平面領域を有する。実装基板10の対角線上で向かい合う2つの頂点付近には、固定用貫通穴11A,11Bが設けられている。
回路基板20は、一例として、実装基板10と同じ大きさの正方形の形状を有し、その中心部には円形の開口部21が形成される。回路基板20にも、対角線上で向かい合う2つの頂点付近には、固定用貫通穴22A,22Bが設けられている。回路基板20は、固定用貫通穴22A,22Bの位置が実装基板10の固定用貫通穴11A,11Bと合うように、その下面が接着シートにより実装基板10上に貼り付けられて固定される。また、回路基板20の上面には、開口部21を取り囲むように配線パターン23が形成される。配線パターン23のうち、固定用貫通穴22A,22Bが設けられていない残りの2つの頂点付近には、接続電極24A,24Bが形成される。接続電極24A,24Bは一方がアノード電極で他方がカソード電極となり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されることによって、発光装置1は発光する。
LED素子30は、発光素子の一例であり、回路基板20の開口部21から露出している実装基板10上に実装される。発光装置1は複数のLED素子30を有し、図1(C)では、16個のLED素子30が実装される場合の例を示している。LED素子30の下面は、透明な絶縁性の接着剤などにより、実装基板10の上面に固定される。また、LED素子30は上面に一対の素子電極を有し、図1(B)および図1(D)に示すように、隣接するLED素子30の素子電極は、ボンディングワイヤ31により相互に接続される。開口部21の外周側に位置するLED素子30から出たボンディングワイヤ31は、回路基板20の配線パターン23に接続される。
反射枠40は、開口部21の大きさに合わせて白色の樹脂で構成された円形の枠体であり、回路基板20の上面で配線パターン23と重なる位置に固定される。反射枠40は、LED素子30から側方に出射された光を、発光装置1の上方(LED素子30から見て実装基板10とは反対側)に向けて反射させる。
封止樹脂50は、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色かつ透明な樹脂であり、開口部21に注入されて、LED素子30を一体に被覆し保護する。封止樹脂50には、蛍光体が分散混入される。例えば、LED素子30が青色LEDと緑色LEDである場合には、封止樹脂50には、赤色蛍光体が分散混入される。この場合、発光装置1は、青色LEDからの青色光と、緑色LEDからの緑色光と、それらによって赤色蛍光体を励起させて得られる赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。封止樹脂50は、図1(A)に示した例では円形にモールド成型され、例えば反射枠40により実装基板10上に固定される。
なお、上記の発光装置1は一例であり、本明細書で言う発光装置は、実装基板上に開口部を有する回路基板が貼り合わされたものには限らない。例えば、発光装置は、実装基板10と回路基板20の2種類の基板を含まず、発光素子に電力を供給するための配線パターンが実装基板上に形成されたものでもよい。
また、ボンディングワイヤ31を用いずに、半田バンプを用いて実装基板10上にLED素子30をフリップチップ実装してもよい。この場合、下記で説明する実装基板10の多層構造の上にLED素子30に電力を供給するための配線パターンが形成されるか、または実装基板10上で配線パターンが形成される領域以外に多層構造が形成される。
また、発光素子は、例えばレーザダイオードなど、LED以外のものであってもよい。実装基板10上に実装される発光素子の個数は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
図3は、図1(B)のB部の拡大図である。また、図4は、実装基板10の多層構造を示す模式的な断面図である。
図3では、実装基板10および回路基板20の一部、ならびに実装基板10上に実装された1個のLED素子30を示している。なお、図3および図4は各構成要素の位置関係を模式的に示しており、各構成要素の大きさの関係は必ずしも正確ではない。図3では、回路基板20としては、基材25および接着シート26と、配線パターン23を構成するCu(銅)層、Ni(ニッケル)層およびAu(金)層を示している。また、図3では、反射枠40と封止樹脂50の記載は省略している。
図3および図4に示すように、実装基板10は、下から順に、Al(アルミニウム)基台12、Ag層13、Al層14、誘電体多層膜15、Al層16および誘電体多層膜17を有する。誘電体多層膜15は、交互に積層されたSiO層15AとTiO層15Bを、一例として2層ずつ有する。誘電体多層膜17も、交互に積層されたSiO層17AとTiO層17Bを、一例として2層ずつ有する。Ag層13から誘電体多層膜17までの各層は、例えば、蒸着、スパッタリングまたはメッキ処理などの公知の方法によって均一な厚さに形成される。各層の厚さは、例えば、Ag層13が90〜200nm、Al層14,16がそれぞれ30〜50nm、SiO層15Aが30〜50nm、TiO層15Bが30〜200nm程度である。Ag層13から誘電体多層膜17までの厚さは、例えば1μm程度である。
なお、Ag層13から誘電体多層膜17までの各層は、Al基台12の全面に形成されてもよいし、図3に示すように、回路基板20の開口部21から露出しているAl基台12上にのみ形成されてもよい。すなわち、Ag層13から誘電体多層膜17までの各層は、実装基板10上に回路基板20が固定される前にAl基台12の全面に形成されてもよいし、実装基板10上に回路基板20が固定された後で、開口部21内のAl基台12上にのみ形成されてもよい。図3に示す例では、回路基板20は、その基材25が接着シート26によりAl基台12の上面に貼り付けられている。このように、回路基板20をAl基台12に直接固定すると、実装基板10と回路基板20の密着力が高められる。
Al基台12は、その上にAg層13から誘電体多層膜17までの各層が形成される実装基板10の基台である。基台の材質は、耐熱性および放熱性に優れた金属であることが好ましく、アルミニウムに限らず、銅などの他の金属でもよい。ただし、基台としては、例えばセラミックなど、金属以外の材質のものを使用してもよい。
Ag層13は、金属製の光反射層の一例であり、光反射材として銀(Ag)を含有し、LED素子30から実装基板10側に出射された光を発光装置1の上方に向けて反射させる。光反射材としては、アルミニウムなどの光反射率が高い他の金属を使用してもよいが、金属の中でも熱伝導率および光反射率が最も高い銀を使用することが好ましい。
なお、図3および図4に示す例ではAl基台12の直上にAg層13が形成されているが、Al基台12とAg層13の間に、例えば、Al基台12の表面を絶縁する酸化皮膜層や、Ag層13に含まれる銀(Ag)が熱によって溶融した場合にそのAgが拡散することを防止するバリア層を設けてもよい。
Al層14は、光反射層を保護する第1の誘電体層の一例である。Al層14は、Ag層13とSiO層15AおよびTiO層15Bとの中間の応力を有し、Ag層13とSiO層15AおよびTiO層15Bとの応力の差を緩和(緩衝)するバッファ層として機能する。また、Al層14は、高密度に形成されることで、Ag層13内に水や窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)などが入り込み酸化、硫化などによりAg層13が劣化することを防ぐ保護層として機能する。これにより、Al層14は、実装基板10の使用環境下でAg層13がその光反射特性を保つことを可能にする。
Al層14は、Ag層13の上に、例えば15MPa程度の膜応力を有する膜が得られる条件で、イオンアシスト蒸着(ion assisted deposition)(以下、「IAD蒸着」という)により形成される。以下で、IAD蒸着について、電子ビーム(electron beam:EB)を熱源に用いたEB蒸着と比較して説明する。
図5(A)は、EB蒸着で形成された積層構造の例を示す断面写真である。EB蒸着では、平均自由行程が蒸発源から基板までの距離より長くなるように真空度が設定され、気化した分子が他分子にほとんど衝突することなく基板に衝突するようにして、基板上に結晶成長させる。EB蒸着では、基板の加熱のみで膜質が決定され、基板のダメージを最小限に抑えて成膜することが可能であるが、膜が多孔質になるため、屈折率や膜密度が比較的低くなる。
図5(B)は、IAD蒸着で形成された積層構造の例を示す断面写真である。IAD蒸着は、EB蒸着と同様の原理で、イオン電子ビームを基板に照射しながら蒸着させる方法である。IAD蒸着では、比較的低い温度条件下で、蒸発源から浮遊した材料となる分子に別の分子を衝突させ、材料の分子を加速させて基板に衝突させる。EB蒸着では、膜質は材料となる分子の性質に依存するが、IAD蒸着では、無理に結晶格子を欠陥させて隙間に原子を詰め込むことにより、材料の分子の性質に依存しないアモルファスな膜質の成膜が可能になる。IAD蒸着では、イオン電子ビームの運動エネルギーに応じて、屈折率や膜密度が一定でかつEB蒸着の場合より緻密(高密度)な膜が得られるが、膜が強い応力を有するという特徴がある。
誘電体多層膜15は、第2の誘電体層の一例であり、Al層14の上に、互いに屈折率が異なるSiO層15AとTiO層15Bを積層させて形成される。誘電体多層膜15も、Al層14と同様の条件で、IAD蒸着により高密度に形成される。図4に示した例では、誘電体多層膜15は、Al基台12に近い側から、SiO層15A、TiO層15B、SiO層15A、TiO層15Bという順序で交互に繰り返し積層された4層を有する。ただし、SiO層15AとTiO層15Bの順序は逆でもよいし、SiO層15AとTiO層15Bが交互に積層されていれば、層数は2層でも3層でもよいし、あるいは4層より多くてもよい。SiO層15AとTiO層15Bは、その屈折率差により、LED素子30から実装基板10側に出射された光の反射率を向上させる。SiO層15AとTiO層15Bだけでは反射率は高くないが、Ag層13に加えてこれらを積層させることにより、LED素子30から実装基板10側に出射された光のほぼ100%を反射することが可能になる。
Al層16は、上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層の一例である。Al層14(下側のアルミナ層)は一様の原子密度を有するが、Al層16(上側のアルミナ層)は、厚さ方向に沿って原子密度が段階的に変化する。より詳細には、Al層16では、Al基台12に近い下面側からAl基台12とは反対側の上面側にかけて原子密度が高くなる。図4では、Al層16におけるこの密度差を模式的に示している。そして、Al層16の上面側は、Al層14とほぼ同じ原子密度を有する。なお、このような層内の密度差は、例えばX線回折(XRD)によって結晶内部の原子の配列を調べることにより測定可能である。
上記のような密度差を有することにより、Al層16の下面側では原子が比較的自由に動けるが、Al層16の上面側では原子が動きづらくなる。このため、Al層16は、弾性材の性質(クッション性)を有し、下側の誘電体多層膜15に働く応力を打ち消すバッファ層として機能する。すなわち、Al層16に力が作用したときに、その下面側は動くが上面側は動かないことにより、下側の誘電体多層膜15の応力が上側の誘電体多層膜17に伝わらなくなるため、応力を緩衝する効果が得られる。
Al層16は、誘電体多層膜15の上に、イオン電子ビームの運動エネルギーを段階的に変化させたIAD蒸着により形成される。その際、例えばAl層16の下面側が5MPa程度の膜応力を有し、下面から上面にかけて膜応力が次第に高くなり、Al層16の上面側が15MPa程度の膜応力を有するように、イオン電子ビームの運動エネルギーを変化させる。なお、Al層16を形成するときに、最初は(すなわち、Al層16の下面については)EB蒸着を使用し、途中からIAD蒸着に切り替えてもよい。これにより、Al層16の上面側は、Al層14とほぼ同じ膜応力を有する。
なお、Al層16は、原子密度が比較的低い下側層と、原子密度が比較的高い上側層との2層構造であってもよい。その際、下側層と上側層のそれぞれの内部では、原子密度が一定であってもよい。また、下側層をEB蒸着で、上側層をIAD蒸着で形成してもよい。
誘電体多層膜17は、第4の誘電体層の一例であり、Al層16の上に、互いに屈折率が異なるSiO層17AとTiO層17Bを積層させて形成される。誘電体多層膜17も、Al層14と同様の条件で、IAD蒸着により高密度に形成される。図4に示した例では、誘電体多層膜17は、Al基台12に近い側から、SiO層17A、TiO層17B、SiO層17A、TiO層17Bという順序で交互に繰り返し積層された4層を有する。ただし、SiO層17AとTiO層17Bの順序は逆でもよいし、SiO層17AとTiO層17Bが交互に積層されていれば、層数は2層でも3層でもよいし、あるいは4層より多くてもよい。
実際には、下側の誘電体多層膜15内の層数を増やすと、応力の蓄積によりAg層13とAl層14との界面において剥離が発生し得る。しかしながら、Al層16により応力を緩衝する効果が得られ、剥離の発生が抑制されるため、さらに上側の誘電体多層膜17が形成可能になる。したがって、実装基板10では、Al層16を設けない場合と比べて、誘電体多層膜15,17を合わせたSiO層とTiO層の層数を増やすことが可能になる。
そして、SiO層とTiO層の層数を増やすことにより、実装基板10では、光反射率がさらに向上する。例えば、実装基板10では、Al層16と誘電体多層膜17を設けない場合と比べて、380〜500nmの青色光の反射率が平均で0.7%程度、380〜780nmの全波長域の反射率が平均で0.2%程度上昇する。したがって、発光装置1は、上記の実装基板10の上に配線形成し、LED素子30を実装し、封止することで、より光反射率の高いLEDパッケージとなる。
また、Al層16を設けることにより、Al基台12上に積層可能な全体の層数が増えることから、膜設計のバリエーションを増やすことも可能になる。このため、例えば、液体中や樹脂中といった空気中以外での光反射率の向上などの特殊な仕様に対応した多層基板も作成可能になる。
なお、上記のAl層16とは反対に、上側のアルミナ層の原子密度(膜応力)は、Al基台12に近い下面側が高く、Al基台12とは反対側の上面側が低くてもよい。この場合でも、下側の誘電体多層膜15の応力を上側の誘電体多層膜17に伝えず、応力を緩衝する効果が得られる。ただし、上側のアルミナ層の下面側の膜応力を高くする場合には、特に誘電体多層膜15を積層させた時点で剥離が発生する限界に近い状態であったときに、応力が高い上側のアルミナ層をさらに積層させることになるため、Ag層13とAl層14の間で剥離が発生しやすくなる。このため、剥離が発生する応力の限界に達する前に上側のアルミナ層を挟む必要があり、上側のアルミナ層の下面側の膜応力を高くする場合には、その反対の場合と比べて誘電体多層膜内の層数に制限が課される。また、上側のアルミナ層の下面側の膜応力を高くする場合には、その反対の場合と比べて層同士の密着性が低下する傾向がある。このため、上記のAl層16のように、上側のアルミナ層では上面側の膜応力を高くする方が好ましい。
また、上記のAl層14は一様の原子密度(膜応力)を有するが、Ag層13の直上のアルミナ層(下側のアルミナ層)も、Al層16と同様に、厚さ方向に沿って原子密度(膜応力)が段階的に変化するものであってもよい。
また、Al層14,16(第1および第3の誘電体層)に相当する2層の材質は、アルミナに限らず、例えばランタンチタン酸塩でもよい。ランタンチタン酸塩としては、例えばLaTiOを主成分とするメルク社製のサブスタンスH4(商品名)を使用してもよい。さらに、Al層14,16に相当する2層で材質を変えてもよい。
また、誘電体多層膜15,17を構成する互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層は、SiO層とTiO層に限らず、別の材質のものでもよい。屈折率が高い方の材質として、例えば、TiやTi、Tiのような組成の異なる酸化チタン(TiO)系薬品か、または五酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)もしくは酸化タングステン(WO)を使用してもよい。また、屈折率が低い方の材質として、例えば、酸化ケイ素(SiO)にアルミナ(Al)もしくはその他の誘電体を混合させた薬品か、またはフッ化マグネシウム(MgF)に代表される各種フッ化物を使用してもよい。また、誘電体多層膜15と誘電体多層膜17で誘電体層の材質を変えてもよい。
また、誘電体多層膜15は実装基板の反射率を向上させるために複数の誘電体層で構成されることが好ましいが、誘電体多層膜17に相当する箇所は、1層のみの誘電体層で構成されていてもよい。すなわち、上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層の上に形成された第4の誘電体層は、多層膜でなくてもよい。
また、誘電体多層膜17の上にさらに別のAl層を設けてもよい。すなわち、アルミナ層は3層以上でもよく、この場合には、3層目のAl層の上にさらに別の誘電体多層膜を設けて、実装基板10よりもさらにSiO層とTiO層の層数を増やすことが可能になる。
1 発光装置
10 実装基板
12 Al基台
13 Ag層
14,16 Al
15,17 誘電体多層膜
15A,17A SiO
15B,17B TiO
20 回路基板
30 LED素子
40 反射枠
50 封止樹脂

Claims (6)

  1. 基台と、
    前記基台より上に形成された金属製の光反射層と、
    前記光反射層の上に形成されて前記光反射層を保護する第1の誘電体層と、
    前記第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された光反射性の多層膜である第2の誘電体層と、
    前記第2の誘電体層の上に形成され上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層と、
    前記第3の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された光反射性の多層膜である第4の誘電体層と、を有し、
    前記第3の誘電体層は、厚さ方向の全体にわたって同じ材料で構成され、厚さ方向に沿って原子密度が段階的に変化する、
    ことを特徴とする多層基板。
  2. 前記第3の誘電体層は多層構造を有し、前記多層構造を形成する各層の内部では原子密度が一定である、請求項1に記載の多層基板。
  3. 前記第3の誘電体層は、前記基台に近い下面側から前記基台とは反対側の上面側にかけて原子密度が高くなる、請求項1または2に記載の多層基板。
  4. 多層基板と、
    前記多層基板上に実装された発光素子と、
    を有し、
    前記多層基板は、
    基台と、
    前記基台より上に形成された金属製の光反射層と、
    前記光反射層の上に形成されて前記光反射層を保護する第1の誘電体層と、
    前記第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された光反射性の多層膜である第2の誘電体層と、
    前記第2の誘電体層の上に形成され上面と下面で原子密度が異なる第3の誘電体層と、
    前記第3の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層が積層して形成された光反射性の多層膜である第4の誘電体層と、を有し、
    前記第3の誘電体層は、厚さ方向の全体にわたって同じ材料で構成され、厚さ方向に沿って原子密度が段階的に変化する、
    ことを特徴とする発光装置。
  5. 基台より上に金属製の光反射層を形成する工程と、
    前記光反射層の上に、イオンアシスト蒸着により、前記光反射層を保護する第1の誘電体層を形成する工程と、
    前記第1の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層を積層させて光反射性の多層膜である第2の誘電体層を形成する工程と、
    前記第2の誘電体層の上に、イオン電子ビームの運動エネルギーを段階的に変化させたイオンアシスト蒸着により、上面と下面の間で厚さ方向に沿って原子密度が段階的に変化する第3の誘電体層を厚さ方向の全体にわたって同じ材料で形成する工程と、
    前記第3の誘電体層の上に互いに屈折率が異なる複数種類の誘電体層を積層させて光反射性の多層膜である第4の誘電体層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする多層基板の製造方法。
  6. 前記第3の誘電体層を形成する工程では、前記第3の誘電体層の下面から上面にかけて膜応力が5MPaから15MPaまで変化するように、イオン電子ビームの運動エネルギーを変化させる、請求項に記載の製造方法。
JP2015034513A 2015-02-24 2015-02-24 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法 Active JP6548404B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034513A JP6548404B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015034513A JP6548404B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016157816A JP2016157816A (ja) 2016-09-01
JP6548404B2 true JP6548404B2 (ja) 2019-07-24

Family

ID=56826339

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015034513A Active JP6548404B2 (ja) 2015-02-24 2015-02-24 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6548404B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6658787B2 (ja) * 2017-12-22 2020-03-04 日亜化学工業株式会社 発光装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0779049A (ja) * 1993-09-06 1995-03-20 Fujitsu Ltd 誘電体反射膜及びその製造方法
US6391400B1 (en) * 1998-04-08 2002-05-21 Thomas A. Russell Thermal control films suitable for use in glazing
JP4351678B2 (ja) * 2003-09-22 2009-10-28 株式会社村上開明堂 銀鏡およびその製造方法
JP5285300B2 (ja) * 2008-02-25 2013-09-11 Hoya株式会社 光学部材
JP2010040842A (ja) * 2008-08-06 2010-02-18 Nec Electronics Corp 半導体レーザ
JP5505005B2 (ja) * 2009-12-22 2014-05-28 豊田合成株式会社 発光装置
JP2014024265A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Jvc Kenwood Corp 画像表示装置のコンバイナの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016157816A (ja) 2016-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6564206B2 (ja) 発光装置
JP5915504B2 (ja) 半導体発光素子
KR101487612B1 (ko) 반도체 발광 소자 및 그 제조 방법
TWI495164B (zh) 發光裝置
JP6381327B2 (ja) Led発光装置およびその製造方法
US8487334B2 (en) Semiconductor light emitting diode chip and light emitting device using the same
US9466768B2 (en) Semiconductor light emitting device with a light-reflecting face
JP6176224B2 (ja) 半導体素子及びそれを備える半導体装置、並びに半導体素子の製造方法
US10910536B2 (en) Light emitting element
JP2007335793A (ja) 半導体発光素子及びその製造方法
US9991434B2 (en) Semiconductor device with metal-bonded heat dissipator and manufacturing method for the same
JP5743806B2 (ja) 窒化物半導体発光素子、窒化物半導体発光装置、及び窒化物半導体発光素子の製造方法
US20130240937A1 (en) Semiconductor light-emitting diode chip, light-emitting device, and manufacturing method thereof
JP6855787B2 (ja) 発光素子
KR20150078296A (ko) 신뢰성이 향상된 발광 소자
JP2012525693A (ja) 反射層系を備えたオプトエレクトロニクス半導体
JP6265227B2 (ja) 配光部材の製造方法、発光装置の製造方法、配光部材、及び発光装置
TWI769337B (zh) 發光裝置
JP6548404B2 (ja) 多層基板、発光装置および多層基板の製造方法
WO2014024347A1 (ja) 赤外光源
JP6582738B2 (ja) 発光素子及び発光装置
KR101378948B1 (ko) 반도체 발광소자
JP2015153793A (ja) 半導体発光素子とその製造方法および発光装置
JP2008192825A (ja) 半導体発光素子
JP5745250B2 (ja) 発光デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190625

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6548404

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250