JP6547122B2 - 血中中性脂肪上昇抑制用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、血中中性脂肪上昇抑制用組成物に関する。
血液中の脂質は、大きくコレステロール及び中性脂肪に分けられる。コレステロールの構造式は下記式(1)
(1)
に示すとおりの化合物である。コレステロールは血中ではリポタンパク質と複合体を形成し、リポタンパク質の種類によって、LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール(いわゆる、悪玉コレステロール)やHDL(High Density Lipoprotein)コレステロール(いわゆる、善玉コレステロール)などとよばれる。
それに対して、中性脂肪は、その大部分をトリグリセリド(トリアシルグリセロール)が占める。トリグリセリドは、1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した構造をとる。トリグリセリドの一例であるトリパルミチンは、1分子のグリセロールに3分子のパルミチン酸がエステル結合したものであり、下記式(2)
(2)
により示される。
血液中の中性脂肪には、内因性及び外因性のものがある。内因性の中性脂肪は、血中の遊離脂肪酸などから肝臓で合成される。肝臓で合成された中性脂肪はLDLコレステロール(LDLとコレステロールとの複合体)に取り込まれる。
それに対して、外因性の中性脂肪は、飲食品などに含まれる中性脂肪(トリグリセリド)を摂取することにより生成される。すなわち、飲食品などに含まれるトリグリセリドは、消化管組織で消化されて、遊離脂肪酸及びモノグリセリドに分解される。生成した遊離脂肪酸及びモノグリセリドは、小腸内腔内でそれぞれのキャリアタンパク質に結合して小腸絨毛から吸収され、腸管粘膜上皮細胞内で再びトリグリセリドに転換される。このように生成したトリグリセリドは、カイロミクロンを構成し、血液中に入る。したがって、トリグリセリドを含む食事を摂取した際にみられる血中中性脂肪の上昇は、主として、外因性の中性脂肪に起因する。
血液中の脂質値が正常の範囲外である状態を脂質代謝異常症という。脂質代謝異常症は、血液中のLDL(悪玉コレステロール)が多い状態である高LDLコレステロール血症、血液中のHDL(善玉コレステロール)が少ない状態である低HDLコレステロール血症、血液中のトリグリセリド(中性脂肪)が多い状態である高トリグリセリド血症に分類される。脂質代謝異常症は罹患したとしても、痛みなどの自覚症状を伴うことがほとんどない。その結果、脂質代謝異常症の罹患者は、気付かぬうちに症状が進行し、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な疾患を発症する危険性がある。
そのため、脂質代謝異常症の治療又は予防剤の開発が求められてきた。高LDLコレステロール血症の治療又は予防には血液中のLDLコレステロールの低下、低HDLコレステロール血症の予防又は治療には血液中のHDLコレステロールの補充、高トリグリセリド血症の予防又は治療には血液中の中性脂肪の低下がそれぞれ必要である。このうち、血中LDLコレステロール値を低下させ得るものとして、例えば、特許文献1にはマルトビオン酸やマルトビオン酸カルシウムを有効成分として含有することを特徴とする脂質代謝改善用医薬組成物が記載されている。
特許第5695098号公報
特許文献1の実施例4には、マルトビオン酸又はマルトビオン酸カルシウムを正常マウスに摂取させた場合に、当該マウスの血中LDLコレステロール値を低下させ得たことが記載されている。
しかし、脂質の代謝が改善しても、必ずしも血中中性脂肪上昇が抑制できる訳ではない。特に、食事摂取に伴う血中における外因性の中性脂肪の一時的な上昇は、消化管組織からのトリグリセリドの吸収が抑制されなければ、脂質代謝が改善しても抑制できるものではない。この点、特許文献1には、マルトビオン酸及びマルトビオン酸カルシウム摂取による血中中性脂肪の影響について記載がない。特に、特許文献1には、油脂含有物を摂取する系における、マルトビオン酸又はマルトビオン酸カルシウム摂取による血液成分値の変化について記載もなければ示唆もない。
そこで、本発明の目的は、油脂含有物を摂取した場合に、血液中の中性脂肪の上昇を抑制する作用を有する、血中中性脂肪上昇抑制用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、マルトビオン酸やラクトビオン酸などの重合度2以上の澱粉分解物、転移反応物又は乳糖の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸又はそれらの塩やラクトンを含有する組成物は、油脂含有物の前に投与した場合に、血中中性脂肪上昇抑制作用及び早期の血中中性脂肪低下作用を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
したがって、本発明によれば、重合度2以上の澱粉分解物、転移反応物又は乳糖の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸並びにその塩及びそのラクトンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する、血中中性脂肪上昇抑制用組成物が提供される。
好ましくは、本発明において、前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸及びラクトビオン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む。
好ましくは、本発明において、前記糖カルボン酸が、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態で含まれる。
好ましくは、本発明において、前記塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、カリウム塩、亜鉛塩及び銅塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む。
好ましくは、本発明において、前記ラクトンが、マルトビオノラクトン、イソマルトビオノラクトン、マルトトリオノラクトン、イソマルトトリオノラクトン、マルトテトラオノラクトン、マルトヘキサオノラクトン及びラクトビオノラクトンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む。
好ましくは、本発明において、前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用される。
好ましくは、本発明において、前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、油脂含有物を摂取する前に投与される。
好ましくは、本発明において、前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、食事摂取に伴う一時的な血中中性脂肪上昇抑制用組成物である。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、血中中性脂肪の上昇を抑制する作用や血中中性脂肪を低下する作用及びこれらの早期的な作用を有する。本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、このような作用を有することにより、脂質代謝異常症や脂質代謝異常症によってもたらされる疾患、例えば、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を改善、緩和、回復、治療及び予防をすることが期待できる。
図1は、実施例に記載の血中TG濃度を測定した結果を表わした図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、有効成分として、糖カルボン酸並びにその塩及びそのラクトンからなる群から選ばれる1種又はそれらの2種以上を少なくとも含有することを特徴とする。
本発明において糖カルボン酸とは、重合度2以上の澱粉分解物、転移反応物又は乳糖の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものをいい、さらにこれらの塩やラクトンの形態も含む。
具体例としては、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、ラクトビオン酸、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物、デキストリン酸化物等が挙げられる。本発明において好ましく用いられる糖カルボン酸は、マルトビオン酸及びラクトビオン酸並びにそれらの塩である。なお、マルトビオン酸に加え、マルトビオン酸よりも高分子であるマルトトリオン酸やマルトテトラン酸等の糖カルボン酸を含む組成物の場合、摂取後すぐに効果が発揮される点でより好ましい。
本発明で用いられる糖カルボン酸はその形態は問わず、液体、粉末でもよく、遊離の酸のみならず、塩又はラクトンの形態であってもよく、これらを組み合わせてもよい。塩の形態においては、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩などが挙げられる。
糖カルボン酸は、澱粉分解物、転移反応物又は乳糖を化学的な酸化反応により酸化する方法や、澱粉分解物、転移反応物又は乳糖にオリゴ糖酸化能を有する微生物或いは酸化酵素を作用させる反応により製造することができる。糖カルボン酸の具体的な製造方法は、例えば、澱粉分解物であるマルトースや水飴、デキストリン等を原料として工業的規模で化学的に合成する方法として、特開2012−131750号公報に記載されている。
化学的な酸化反応としては、例えば、パラジウム、白金、ビスマスなどを活性炭などに担持させた酸化触媒の存在下で、澱粉分解物、転移反応物又は乳糖と酸素とをアルカリ雰囲気下で接触酸化させることにより糖カルボン酸を得る方法が挙げられる。
また、オリゴ糖酸化能を有する微生物を用いた方法としては、例えば、パントエア属、アシネトバクター属、ブルクホルデリア属、アセトバクター属、グルコノバクター属などを用い、澱粉分解物、転移反応物又は乳糖を微生物変換や発酵することにより糖カルボン酸を得る方法が挙げられる。該方法の具体例として、特開2012−5401号公報に記載されている方法が挙げられる。
酸化酵素を用いた方法としては、例えば、前記オリゴ糖酸化能を有する微生物由来の酸化酵素を用いて澱粉分解物、転移反応物又は乳糖からマルトビオン酸等を得る方法や、バチラス・ステアロサーモフィラスやテルモアナエロバクター属由来の転移能の高いシクロデキストリン合成酵素を用い、可溶性澱粉又はマルトオリゴ糖とグルコン酸とからなる基質から転移反応で糖カルボン酸を得る方法が挙げられる。
化学的な酸化反応による製造方法の一例を挙げれば、まず、50℃に保持した20wt%マルトース溶液 100mlに5wt%白金炭素触媒 3gを加え、100mL/minで酸素を吹き込みながら600rpmで攪拌する。次いで反応pHを10N水酸化ナトリウム溶液を滴下することでpH9.0に維持する。次いで酸化反応終了後、遠心分離とメンブレンフィルターろ過により触媒を取り除き、マルトビオン酸ナトリウム溶液を得ることができる。このように得たマルトビオン酸ナトリウム溶液をカチオン交換樹脂又は電気透析により脱塩することで、マルトビオン酸を得ることができる。
また、マルトビオン酸に各種塩類を添加することで、マルトビオン酸塩を調製することが可能であり、マルトビオン酸を用いる場合は脱水操作によりマルトビオノデルタラクトンの調製も可能である。マルトビオノデルタラクトンは水に溶かすと速やかにマルトビオン酸となる。
マルトビオン酸カルシウムの製造法については、例えば、上記の方法で得られたマルトビオン酸溶液に炭酸カルシウムなどのカルシウム源を2:1のモル比となるように添加し溶解させる方法などが挙げられる。カルシウム源としては特に限定されないが、例えば、可食性のカルシウムであり、具体的には卵殻粉末、サンゴ粉末、骨粉末、貝殻粉末などの天然素材や炭酸カルシウム、塩化カルシウムなどの化学合成品などがある。
糖カルボン酸は、後述する実施例に記載があるとおり、予め摂取した油脂含有物の影響によって生じる血中中性脂肪の上昇を抑制する作用や上昇した血中中性脂肪を早期に低下する作用を有する。また、糖カルボン酸は、予め摂取した油脂分の影響だけではなく、糖カルボン酸の摂取と同時又は後に摂取した油脂分の影響を緩和又は低減し得る蓋然性がある。
糖カルボン酸の使用量は、摂取した場合に血中中性脂肪上昇抑制作用を示す程度の量であれば特に限定されず、血中中性脂肪上昇抑制用組成物の種類や形態などに応じて適宜設定できるが、例えば、血中中性脂肪上昇抑制用組成物に対して、0.0001wt%〜100wt%、好ましくは0.001wt%〜50wt%、さらに好ましくは0.01wt%〜30wt%である。血中中性脂肪上昇抑制用組成物が油脂含有物などの血中中性脂肪上昇成分を含む場合は糖カルボン酸の使用量を多くし、糖カルボン酸とは異なるその他の血中中性脂肪上昇抑制成分をさらに含む場合は糖カルボン酸の使用量を減らすことができる。
糖カルボン酸の使用形態は特に限定されず、例えば、液体状の糖カルボン酸そのものや液体状の糖カルボン酸を担体に担持させた状態のものを使用することができる。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、糖カルボン酸を有効成分として含有することにより、血中中性脂肪上昇抑制作用や早期的血中中性脂肪上昇抑制作用を示し得る。ただし、これらの作用のうち、本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、少なくとも血中中性脂肪上昇抑制作用を示すものであればよい。
血中中性脂肪上昇抑制作用は、血液中の中性脂肪の上昇を抑制する作用であれば特に限定されないが、好ましくは油脂含有物を摂取することなどによって生体内に取り込まれた外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制する作用である。また、早期的血中中性脂肪上昇抑制作用は、食事摂取に伴う一時的といった早期的な血液中の中性脂肪の上昇を抑制する作用であれば特に限定されないが、例えば、本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物を摂取した後5分後に油脂含有物を摂取した3時間未満、好ましくは2時間以内、より好ましくは1時間以内で血中中性脂肪上昇抑制がみられる作用である。本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、これらの作用を有することにより、外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用されることや油脂含有物を摂取する前に使用されることが好ましい。
本発明の技術的範囲はいかなる理論や憶測にも拘泥されるわけではないが、一般的にいわれていることとして、内因性の血中中性脂肪上昇抑制作用と外因性の血中中性脂肪上昇抑制作用との間には次のような違いがある。すなわち、内因性の血中中性脂肪とは、肝臓で合成され血中に放出される中性脂肪のことである。内因性の血中中性脂肪の上昇抑制作用は、肝臓における中性脂肪の合成経路を阻害すること、又は肝臓で合成された中性脂肪を多く含む血中のVLDLなどを異化して排泄することにより達成される。それに対して、外因性の血中中性脂肪は、油脂含有物を消化及び分解したものを腸から取り込み及び再合成して血中に入った中性脂肪のことをいう。外因性の血中中性脂肪の上昇抑制作用は、腸からの取込みを阻害することにより達成される。このように、内因性の血中中性脂肪及び外因性の血中中性脂肪は合成組織や合成メカニズムが相違し、これらの上昇を抑制する作用機構もまた相違することから、内因性の血中中性脂肪の上昇を抑制し得たとしても、外因性の血中中性脂肪の上昇を抑制し得るとは限らず、その逆もまたいえることである。
さらに、内因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用される血中中性脂肪上昇抑制用組成物(内因性血中中性脂肪上昇抑制用組成物)と、外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用される血中中性脂肪上昇抑制用組成物(外因性血中中性脂肪上昇抑制用組成物)とは、その血中中性脂肪上昇抑制効果において差異がある。すなわち、内因性血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、空腹時における血中中性脂肪の上昇を抑制するものであり、長期間の継続摂取によってはじめて発揮し、摂取を続ける限りにおいて永続的なものである。一方、外因性血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、油脂含有物の摂取に伴う血中中性脂肪の上昇を抑制し、その効果は単回摂取によって即時的に発揮されるものであり、一過性のものである。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用されることが好ましいことから、一過性の血中中性脂肪上昇抑制用組成物という態様をとり得る。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、上記作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。例えば、特別な処理を加えることなく種々の目的に利用してもよい。本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物を経口用として用いる場合、剤形は特に限定されないが、例えば、血中中性脂肪上昇抑制剤、血中中性脂肪上昇抑制用の医薬品などの形態をとり得る。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物の成人1日の摂取量は特に限定されず、摂取者の血中中性脂肪の程度や摂取態様に応じて適宜設定され得るが、例えば、糖カルボン酸の質量換算で、摂取者の体重を基準として、0.1〜5,000mg/kgであり、好ましくは1〜2,000mg/kgであり、より好ましく10〜1,000mg/kgである。
上述したとおり、本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物の利用形態は特に限定されないが、例えば、経口用血中中性脂肪上昇抑制用組成物とすることができる。本発明の経口用血中中性脂肪上昇抑制用組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。本発明の経口用血中中性脂肪上昇抑制用組成物の形態としては、例えば、経口摂取に適した形態、具体的には液状、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状などの各形態が挙げられる。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば、液状体の形態である場合、この液状体をそのまま、又は水などで希釈するなどして、飲むことにより経口摂取することができる。摂取者の好みなどに応じて、このような液状物と他の固体物とを混ぜて経口摂取してもよい。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、糖カルボン酸のみを単一成分とすることができ、又は糖カルボン酸とその他の成分とを組み合わせたものとすることができる。その他の成分としては特に限定されないが、例えば、増粘剤、光沢剤、製造用剤などをその他の成分として用いることができる。これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料などをその他の成分として用いることができる。その他の成分の含有量は、本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物の形態などに応じて適宜選択することができる。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、その血中中性脂肪上昇抑制作用や早期の血中中性脂肪低下作用により、これを摂取することは、脂質代謝異常症や脂質代謝異常症によってもたらされる疾患、例えば、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを罹患する者及びそのリスクがある者に対しての健康維持に有用である。また、直接的及び間接的に血中中性脂肪上昇に起因するその他の疾患、例えば、高血圧症、メタボリックシンドローム、狭心症、間歇性跛行症、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの生活習慣病などを罹患する者及びそのリスクがある者に対しての健康維持に有用である。さらには、本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、中高年者や運動不足者に有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
以下のとおりに、マルトビオン酸、マルトビオン酸塩及びラクトビオン酸塩の血中中性脂肪(TG)値上昇抑制作用を評価した。
(1)被験物質
マルトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会社製)、ラクトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会社製)及びマルトオリゴ糖酸化物(サンエイ糖化株式会社製)を用いた。なお、マルトオリゴ糖酸化物中(HPLC法;固形分換算)には、マルトビオン酸 67.2wt%に加えて、グルコン酸 0.7wt%、マルトトリオン酸 24.4wt%及びマルトテトラオン酸(重合度4)以上のマルトオリゴ糖酸化物 約7.7wt%を含む。また、マルトオリゴ糖酸化物の水分(常圧乾燥法)は32.9%であった。マルトビオン酸カルシウム及びラクトビオン酸カルシウムは純品相当のものを用いた。
(2)被験試料
純水を溶媒として、各被験物質が下記表1に記載の濃度になるように調製して、被験試料とした。
また、被験試料に続いて投与する脂質エマルジョンを次のとおりに調製した。すなわち、大豆油(和光純薬工業株式会社製) 100g/L、レシチン、卵製(和光純薬工業株式会社製) 12g/L及びグリセリン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製) 22.5g/Lとして10%(W/V)大豆油エマルジョンとなるように、まず、レシチンを50mL遠沈管に入れ、純水を適量(5mL程度)加えてボルテックスにてよく混合した。次いで、同じ遠沈管に、大豆油及びグリセリンを加えた。次いで、純水で30mLにまでフィル・アップし、ボルテックスにてよく混合した。次いで、超音波ホモジナイザー(VP−5S;TAITEC)にて、氷冷しながら10分間超音波処理した。処理後の溶液を脂質エマルジョンとした。脂質エマルジョンは投与開始の約20分前まで冷蔵保存した。投与前に室温に戻し、調製した脂質エマルジョンを一つのビーカーにまとめ、スターラーでよく混合した。
(3)被験動物
7週齢の雄性SD系ラット(日本クレア株式会社から入手)を、試験環境下で8日間馴化した。飼育環境として、照明時間は12時間とし、ケージは木材チップ(ソフトチップ;日本エスエルシー株式会社)を床じきとしたポリカーボネイト製平底ケージ(W260×D420×H180mm;日本クレア株式会社)を用いた。収容個体数は、1ケージあたり2〜3匹とした。
馴化期間において、給餌方法は原則として自由摂取とした。飼料はMF固形飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を用い、飲水は水道水を用いた。このようにして、試験には8週齢のラットを用いた。
(4)試験手順
被験動物を、試験前日から14時間程度絶食させ、被験試料投与前(0分)の血中TG濃度及び体重がほぼ均一になるように、各群が7匹になるように群分けした(優先順位:血中TG濃度>体重)。体重測定には、電子天秤(DH−R1500N;新光電子株式会社)を用いた。
馴化と同様の飼育方法にて、被験動物を飼育した。群分け時の体重に基づいて、被験試料をゾンデを用いて5mL/kgにて強制経口投与した。次いで、被験試料を投与した5分後に、群分け時の体重に基づいて、脂質エマルジョンをゾンデを用いて15mL/kg(油換算:1.5mL/kg)にて強制経口投与した。脂質エマルジョンの投与前(0)、投与1、2、3、4及び6時間後に尾静脈より血液を採取した。採取した血液から得られた血清を用いて、血中TG濃度を測定した。
血中TG濃度は、尾静脈から採取した血液を室温で30分以上静置した後、室温、5分、12000rpmの条件で遠心分離(センテック3200;株式会社久保田製作所)し、血清を採取した。得られた血清を用いて、市販のキット(トリグリセリド−Eテストワコー;和光純薬工業株式会社)を用いて血中TG濃度を測定した。直ちに測定できない場合は、測定まで−30℃下にて保存した。
なお、被験動物には、試験前日から試験終了までの間は絶食状態とし、試験終了後はMF固形飼料を自由摂取させた。また、水道水を自由摂取させた。ただし、試験時は、脂質エマルジョン投与から4時間後の採血終了までの間は絶水状態とした。
(5)血中TG濃度測定結果
脂質エマルジョンの投与前(0)、投与1、2及び3時間後の血中TG濃度の測定結果の平均値及び標準偏差の推移を表2及び図1に示す。コントロール群と比較して、被験物質群では投与1時間後から血中TG濃度の低下傾向がみられた。特に、マルトビオン酸2000群、マルトビオン酸Ca2000群及びラクトビオン酸Ca2000群では、投与2時間後において、顕著な血中TG濃度の低下がみられた。また、投与3時間後以降は、被験物質の間で血中TG濃度に明らかな差異はみられなくなった。これらの結果から、マルトオリゴ糖酸化物、マルトビオン酸カルシウム及びラクトビオン酸カルシウムは脂質エマルジョン投与に伴う血中TG濃度の急激な上昇を抑制する作用を有し、投与1時間後という早期において脂質エマルジョン投与の影響を緩和して血中TG濃度を低下する作用を有することがわかった。
以上のとおり、マルトオリゴ糖酸化物(マルトビオン酸)、マルトビオン酸カルシウム及びラクトビオン酸カルシウムには血中中性脂肪の上昇を抑制する作用を有することが分かった。また、驚くべきことに、該作用は中性脂肪上昇成分を投与した後、早期にみられることから、マルトオリゴ糖酸化物(マルトビオン酸)、マルトビオン酸カルシウム及びラクトビオン酸カルシウムは食事摂取に伴う一時的な血中TG濃度上昇抑制作用を有することがわかった。このようなマルトオリゴ糖酸化物(マルトビオン酸)、マルトビオン酸カルシウム及びラクトビオン酸カルシウムによって血中TG濃度の上昇を抑制できるという事象は、本発明者らによって初めて見出された非常に特異な現象である。
本発明の血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、血中中性脂肪上昇抑制作用及び早期の血中中性脂肪低下作用を有することから、油脂含有物を摂取した際に血中中性脂肪上昇抑制の上昇に不安を抱える者の健康維持に有用である。したがって、本発明は、直接的及び間接的に血中中性脂肪上昇に起因する疾患、例えば、脂質代謝異常症、高血圧症、メタボリックシンドローム、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、間歇性跛行症、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などの生活習慣病に関係する疾病や症状を、緩和、改善、回復、予防又は治療することができるものであることから、これらの疾病や症状に纏わる医療費の低減や労働力低下の解消など、国民経済全体に資するものである。

Claims (5)

  1. マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸及びラクトビオン酸並びにその塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する、血中中性脂肪上昇抑制用組成物。
  2. 前記塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、カリウム塩、亜鉛塩及び銅塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の血中中性脂肪上昇抑制用組成物。
  3. 前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、外因性の中性脂肪による血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用される、請求項1又は2に記載の血中中性脂肪上昇抑制用組成物。
  4. 前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、油脂含有物を摂取する前に投与される、請求項1〜のいずれか1項に記載の血中中性脂肪上昇抑制用組成物。
  5. 前記血中中性脂肪上昇抑制用組成物は、食事摂取に伴う一時的な血中中性脂肪上昇抑制用組成物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の血中中性脂肪上昇抑制用組成物。
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