JP6546461B2 - 透明断熱材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また前記反射性機能膜の厚みは、5〜50nmであることが好ましい。
金属窒化物又は金属酸窒化物を含むセラミックス薄膜を成膜する工程と、
チタン又はチタン合金の窒化物からなる反射性機能膜を成膜する工程とを含み、
当該反射性機能膜の上下に前記セラミックス薄膜が積層された3層膜が形成される、透明断熱材料の製造方法に関する。
前記セラミックス薄膜を成膜する工程と、前記反射性機能膜を成膜する工程とは、20℃〜50℃で行われることが好ましい。
本発明の透明断熱材料に用いられる透明な基材としては、本発明の効果を得られる限り特に制限されないが、例えば、透光性の良好な各種の高分子フィルム及び/又はシート(いわゆるプラスチックフィルムやシート)、各種ガラス等を用いることができる。フィルムやシートを構成する高分子は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
図1に示す透明断熱材料は、プラスチックの基材シートB上に積層された3層の積層膜を有し、積層膜は、例えば窒化チタンである反射性機能膜RMの上下両側を、例えば屈折率の高い(屈折率2.1)窒化アルミニウム薄膜であるセラミックス膜CMで挟み込んだ構造である。
本発明の透明断熱材料は、大略的には、基材上に順次、セラミックス薄膜と反射性機能膜とを成膜することで製造される。セラミックス薄膜と反射性機能膜の成膜方法としては、真空蒸着法やスパッタ法等の物理的蒸着(PVD)法、や化学的蒸着(CVD)法等が挙げられる。より好ましい成膜方法として、PVD法の一種であるNew Magnetic Hollow-cathode V型スパッタ法(N-MHVスパッタ法ということもある。)があり、かかる方法によれば、優れた反射性機能膜とセラミックス薄膜とを安定的に形成することができる。
基材シートとして、100mm×100mm×100μmのPETフィルム(波長500nmの可視光透過率92%)を脱脂・洗浄・乾燥した。当該フィルム上に、図2に示すN-MHVスパッタ装置によって、所定の薄膜を成膜した。各種の薄膜は次の条件で成膜した。
アルミニウムAl(純度5N)、125mm×300mmをターゲットとして用いた。
当該Alをターゲットホルダーに設置し、前記PETフィルムを基板ホルダーにセットした。続いて真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気した後、スパッタガスであるアルゴンガス及び反応ガスである窒素ガスを順次供給して、真空チャンバー内を、アルゴンガス0.3Pa、窒素ガス0.15Paとした。スパッタ電力は500Wとし、所望の膜厚に応じてスパッタ時間を調整し、所定の膜厚の窒化アルミニウム薄膜を得た。
チタンTi(純度5N)、125mm×300mmをターゲットとして用いた。
当該Tiをターゲットホルダーに設置し、1.により窒化アルミニウム薄膜を表面に成膜したPETフィルムを基板ホルダーにセットした。続いて真空チャンバー内を10−5Pa以下に真空排気した後、スパッタガスであるアルゴンガス及び反応ガスである窒素ガスを順次供給して、真空チャンバー内を、アルゴンガス0.3Pa、窒素ガス0.15Paとした。スパッタ電力は500Wとし、所望の膜厚に応じてスパッタ時間を調整し、所定の膜厚の窒化チタン薄膜を得た。
上記の成膜条件に基づき、AlN(30nm)/TiN(10nm)/AlN(30nm)の積層膜を作成した。AlN30nm薄膜の成膜(スパッタリング)時間は10分、TiN10nm薄膜の成膜(スパッタリング)時間は2分とした。
基材シート側のAlN膜を50nm(スパッタリング時間17分)、TiNの上のAlN膜を40nm(スパッタリング時間13分)とする以外は実施例1と同様に、積層膜を作成した。
反射性機能層として、窒化チタンの代わりにAgPd(Pdドープ量2wt%)を用いた以外は実施例1の成膜条件と同様に積層膜を作成した。
反射性機能層として、窒化チタンの代わりにAgPd(Pdドープ量2wt%)を用いた以外は実施例2の成膜条件と同様に積層膜を作成した。
公知のITO/Ag/ITO/Ag/ITO5層積層膜を含む透明断熱材料を用いた。
実施例1、2、比較例1、2及び参考例の透明断熱材料の可視光透過率(波長550nmでの透過率(%))及び赤外線透過率(波長1000nmでの透過率(%))を下表1に示す。透過率の測定は、朝日分光株式会社製、分光光度計HUS−100Sを用い、各基材でのリファレンスにて行った。
実施例2、比較例2及び参考例の透明断熱材料について、65℃×95%RHの高温高湿環境テストを実施し、白化・黒化等の膜の変質が生じるまでの膜変質発生時間を測定した。結果を表2に示す。
2 真空チャンバー
3 スパッタ電力供給用電源
4 基板ホルダー
5 排気装置
6 ガス供給装置
6’ スパッタガス導入供給口
6’’ 反応ガス供給口
10a,10b ターゲット
10a’,10b’ スパッタ面(対向面)
11a,11b ターゲットホルダー
12a,12b バッキングプレート
20a,20b ターゲット間磁場発生手段
30a,30b 補助磁場発生手段
K プラズマ発生空間
B 基材シート
B’ 被成膜面
RM 反射性機能膜
CM セラミックス薄膜
Claims (12)
- 透明な基材と、
当該透明な基材上に設けられた、反射性機能膜と、当該反射性機能膜の上下に積層されたセラミックス薄膜と、からなる3層膜と、
からなる透明断熱材料であって、
前記反射性機能膜が、チタン又はチタン合金の窒化物薄膜であり、
前記セラミックス薄膜が、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むセラミックス薄膜である、
透明断熱材料。 - 前記反射性機能膜と前記セラミックス薄膜とからなる3層膜の厚みが、45〜250nmである、請求項1に記載の透明断熱材料。
- 波長550nmにおける可視光透過率が75%以上である、請求項1又は2に記載の透明断熱材料。
- 前記透明な基材が、高分子フィルム又はシートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 前記チタン又はチタン合金の窒化物薄膜が、窒化チタン膜、もしくは、チタン中にジルコニウム又はハフニウムを0〜99wt%含有する合金の窒化物膜である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 前記反射性機能膜が、チタン、又は、チタン中にジルコニウム及び/又はハフニウムを0〜99wt%含有するチタン材料を、反応性スパッタ法により成膜して得られた膜である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 前記反射性機能膜の厚みが5〜50nmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 前記セラミックス薄膜が、窒化アルミニウム膜である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 前記セラミックス薄膜の厚みが20〜100nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明断熱材料。
- 透明な基板上に、N-MHVスパッタ法を用いて、
金属窒化物又は金属酸窒化物を含むセラミックス薄膜を成膜する工程と、
チタン又はチタン合金の窒化物からなる反射性機能膜を成膜する工程とを含み、
当該反射性機能膜の上下に前記セラミックス薄膜が積層された3層膜が形成される、
透明な基板と3層膜とからなる透明断熱材料の製造方法。 - 前記セラミックス薄膜が、窒化アルミニウム膜である、
請求項10に記載の透明断熱材料の製造方法。 - 請求項10又は11のいずれかに記載の製造方法によって製造された、透明断熱材料。
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