以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1A乃至図9は、本実施の形態による紙幣釣銭機およびこの紙幣釣銭機を備えた貨幣処理システムを示す図である。このうち、図1Aは、本実施の形態による貨幣処理システムの貨幣釣銭機、棒金収納装置およびPOSレジスタの構成を示す斜視図であり、図1Bは、本実施の形態による紙幣釣銭機の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1Bに示す紙幣釣銭機の内部の構成の概略を示す概略構成図である。また、図3および図4は、図2に示す紙幣釣銭機の紙幣払出部に設けられた収納繰出機構の構成を示す図である。また、図5は、図1Aに示す貨幣処理システムにおける紙幣釣銭機、硬貨釣銭機およびPOSレジスタの制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図6乃至図9は、それぞれ、本実施の形態による紙幣釣銭機の内部の他の様々な構成の概略を示す概略構成図である。
まず、本実施の形態による紙幣釣銭機10を備えた貨幣処理システムの構成について図1Aを用いて説明する。図1Aに示すように、本実施の形態による貨幣処理システムは、上下に並べて配置された硬貨釣銭機70および棒金収納装置80と、これらの硬貨釣銭機70や棒金収納装置80の隣に並べて配置された紙幣釣銭機10と、硬貨釣銭機70や紙幣釣銭機10の上方に設けられたPOSレジスタ72とを備えている。硬貨釣銭機70および紙幣釣銭機10は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。これらの硬貨釣銭機70および紙幣釣銭機10により貨幣釣銭機が構成されている。また、棒金収納装置80は、各金種の棒金硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ72は、硬貨釣銭機70、紙幣釣銭機10および棒金収納装置80の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
次に、紙幣釣銭機10の構成の詳細について説明する。図1Bに示すように、本実施の形態による紙幣釣銭機10は、その前面に開口が設けられた略直方体形状のケーシング12と、ケーシング12の内部から手前側に引き出し可能となっている本体部14とを備えている。具体的には、本体部14の下部には左右一対の引き出しレール16が設けられており、各引き出しレール16に沿って本体部14をケーシング12の内部から手前側に引き出すことができるようになっている。なお、図1Bでは本体部14がケーシング12の内部から引き出されたときの状態が示されているが、紙幣釣銭機10が実際に使用される際には本体部14はケーシング12の内部に収容された状態で紙幣の入出金処理等の様々な処理が行われるようになっている。
図2等に示すように、本体部14には紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部30が設けられている。搬送部30は本体部14の中央位置に配置された周回搬送部30aおよび複数の接続搬送部30bから構成されている。また、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、紙幣回収カセット26および3つの紙幣収納部34、36、38が、それぞれ、周回搬送部30aを外側から取り囲むように配置されている。また、図2等に示すように、複数の接続搬送部30bの各々により、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、紙幣回収カセット26および各紙幣収納部34、36、38と、周回搬送部30aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部30aには識別部32が設けられており、この識別部32は、周回搬送部30aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損等の識別を行うようになっている。
周回搬送部30aは、図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、搬送部30において、周回搬送部30aと各接続搬送部30bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部30aに沿って配置されている。
図1Bおよび図2に示すように、本体部14の前面には、紙幣受入部20の紙幣受入口20aと、紙幣払出部22の紙幣取出口22aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット26は本体部14に対して着脱可能に設置されている。
紙幣受入部20には繰出機構21が設けられており、紙幣受入口20aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると繰出機構21が駆動されることにより紙幣が接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣取出口22aにより本体部14の外部へ放出するようになっている。ここで、紙幣払出部22には、周回搬送部30aから接続搬送部30bを介して当該紙幣払出部22に送られた紙幣を積層状態で集積するとともにこの集積された紙幣を一括して紙幣取出口22aに送ったり1枚ずつ接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出したりするための収納繰出機構40が設けられている。
より詳細には、紙幣釣銭機10において紙幣の出金処理を行う際に、紙幣釣銭機10から払い出されるべき紙幣が全て各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られるまでは各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた紙幣は当該紙幣払出部22に積層状態で集積されるようになっている。そして、紙幣釣銭機10から払い出されるべき紙幣が全て各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、紙幣払出部22に集積された紙幣が収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送られ、操作者はこの紙幣取出口22aから紙幣の束を抜き取ることができるようになる。また、紙幣取出口22aには、紙幣払出部22から紙幣取出口22aに送られた紙幣を検知する紙幣残留検知センサ(図示せず)が設けられている。このような紙幣残留検知センサにより、紙幣払出部22から紙幣取出口22aに送られた紙幣が操作者によって全て抜き取られたときにこのことが検知されるようになる。更に、紙幣払出部22には、当該紙幣払出部22内の紙幣の有無を検知するセンサ(図示せず)も設けられており、このセンサによって紙幣払出部22内に紙幣が存在するか否かが検知されるようになっている。
また、紙幣取出口22aには、当該紙幣取出口22aを選択的に塞ぐシャッタ(図示せず)が設けられていてもよい。このようなシャッタが紙幣取出口22aに設けられている場合には、通常時は紙幣取出口22aがシャッタにより閉止されることにより、操作者は紙幣取出口22aに手を入れることにより紙幣払出部22に集積された紙幣を取り出すことができなくなるためセキュリティ性を高めることができるようになる。そして、紙幣払出部22に集積された紙幣が収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送られる際に、シャッタが紙幣取出口22aを開き、操作者は紙幣取出口22aから紙幣を抜き取ることができるようになる。
また、紙幣払出部22に設けられた収納繰出機構40は、当該紙幣払出部22に集積された紙幣を1枚ずつ接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっている。より詳細には、本実施の形態では、紙幣釣銭機10において精査処理が行われる際に、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出されて識別部32により識別された紙幣は紙幣払出部22に送られてこの紙幣払出部22に集積され、紙幣収納部34、36、38の各々から紙幣払出部22に紙幣が全て送られた後、紙幣払出部22に集積された紙幣は収納繰出機構40により周回搬送部30aに繰り出されて元の紙幣収納部34、36、38に戻されるようになっている。このような収納繰出機構40の構成の詳細については後述する。
出金リジェクト部24は、出金処理時において各紙幣収納部34、36、38から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部32で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、本実施の形態の紙幣釣銭機10では、入金処理時において紙幣受入部20から紙幣釣銭機10の筐体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により識別部32で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部22に返却されるようになっている。
本体部14の前面下部にはカセット収容部が設けられており、このカセット収容部に紙幣回収カセット26が着脱可能に収容されるようになっている。紙幣回収カセット26は本体部14の前面から手前側に引き出すことにより当該本体部14の外部に取り出すことができるようになっており、紙幣回収カセット26を着脱する際に、本体部14をケーシング12から引き出す必要がないためセキュリティ性が高くなる。
各紙幣収納部34、36、38は、識別部32の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部34、36、38にはそれぞれ繰出機構35、37、39が設けられており、これらの紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣は各繰出機構35、37、39により接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
次に、紙幣払出部22に設けられた収納繰出機構40の構成の詳細について図3および図4を用いて説明する。なお、図3は、紙幣払出部22に紙幣が集積されたときの状態を示す図であり、図4は、紙幣払出部22に集積された紙幣を当該紙幣払出部22から繰り出すときの状態を示す図である。
図3および図4に示すように、収納繰出機構40は、紙幣払出部22内で上下方向に移動自在となっているステージ48を有しており、搬送部30の接続搬送部30bから紙幣払出部22に送られた紙幣はステージ48上に積層状態で集積されるようになっている。また、収納繰出機構40において、ステージ48の下部にはパンタグラフ形状の昇降機構49が設けられており、当該昇降機構49によりステージ48が上下方向に移動させられるようになっている。より詳細には、昇降機構49によりステージ48には常に上向きの力が付勢されるようになっている。また、収納繰出機構40は、ステージ48上に集積された紙幣を上方から下向きに押さえる紙幣押さえ部材46を有している。紙幣押さえ部材46は上下方向に移動自在となっており、紙幣払出部22に紙幣を集積する際には図3に示すように当該紙幣押さえ部材46は後述する搬送ベルト42よりも下方に位置し、一方、紙幣払出部22から紙幣を繰り出すときには図4に示すように紙幣押さえ部材46は後述する搬送ベルト42よりも上方の位置に移動するようになっている。
また、収納繰出機構40において、ステージ48の上方には、当該ステージ48上に集積された紙幣を繰り出すための搬送ベルト42が設けられている。また、ステージ48には、当該ステージ48上に集積された紙幣を繰り出すための複数の駆動ローラ47が設けられている。ここで、紙幣払出部22に集積された紙幣を収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送る際には、図4に示すように紙幣押さえ部材46が搬送ベルト42よりも上方の位置に移動してステージ48上に集積された複数の紙幣のうち最上層にある紙幣が搬送ベルト42に接触した後、ステージ48上の紙幣の束が当該ステージ48と搬送ベルト42との間で挟圧された状態で搬送ベルト42が図4における反時計回りの方向に循環移動するとともに各駆動ローラ47が図4における時計回りの方向に回転することにより、ステージ48と搬送ベルト42との間に位置する紙幣の束が一括して紙幣取出口22aに送られるようになる。一方、紙幣払出部22に集積された紙幣を収納繰出機構40により1枚ずつ接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出す際には、図4に示すように紙幣押さえ部材46が搬送ベルト42よりも上方の位置に移動してステージ48上に集積された複数の紙幣のうち最上層にある紙幣が搬送ベルト42に接触した後、当該搬送ベルト42が図4における時計回りの方向に循環移動することにより、ステージ48上に集積された紙幣のうち最上層にある紙幣が図4における左方向に1枚ずつ繰り出されるようになる。また、図3および図4に示すように、搬送ベルト42にはピンチローラ44および分離ローラ45がそれぞれ当接しており、ステージ48上に集積された紙幣が図4における左方向に繰り出されるときに当該紙幣は搬送ベルト42と分離ローラ45との間に形成されたゲート部により1枚ずつに分離され、また、搬送ベルト42とピンチローラ44との間のニップ部から接続搬送部30bに繰り出されるようになっている。
なお、本実施の形態では、ステージ48に複数の駆動ローラ47を設置する代わりに、搬送ベルト42と同様の構成の搬送ベルト(図示せず)をステージ48に設けてもよい。この場合には、紙幣払出部22に集積された紙幣を収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送る際には、図4に示すように紙幣押さえ部材46が搬送ベルト42よりも上方の位置に移動してステージ48上に集積された複数の紙幣のうち最上層にある紙幣が搬送ベルト42に接触した後、ステージ48上の紙幣の束が当該ステージ48と搬送ベルト42との間で挟圧された状態で搬送ベルト42が図4における反時計回りの方向に循環移動するとともにステージ48に設けられた搬送ベルトが搬送ベルト42と同期して循環移動することにより、ステージ48と搬送ベルト42との間に位置する紙幣の束が一括して紙幣取出口22aに送られるようになる。
次に、本実施の形態による紙幣釣銭機10を備えた貨幣処理システムの制御系の構成について図5を用いて説明する。図5は、図1Aに示す貨幣処理システムにおける紙幣釣銭機10、硬貨釣銭機70およびPOSレジスタ72の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、紙幣釣銭機10、硬貨釣銭機70、POSレジスタ72にはそれぞれ紙幣釣銭機制御部60、硬貨釣銭機制御部70a、POS制御部73がそれぞれ設けられている。ここで、紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部60および硬貨釣銭機70の硬貨釣銭機制御部70aは互いに通信可能となるよう接続されている。また、硬貨釣銭機70の硬貨釣銭機制御部70aおよびPOSレジスタ72のPOS制御部73は互いに通信可能となるよう接続されている。
POSレジスタ72においてPOS制御部73にはカードリーダ74、印字部75、表示部76、操作部77、記憶部78およびインターフェース79がそれぞれ接続されている。カードリーダ74は、操作者のIDカードを読み取ることにより操作者IDや操作者の権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部75は例えばプリンタから構成され、レシートに取引内容を印字したり、紙幣釣銭機10や硬貨釣銭機70の在高等の様々な情報を印字したりするようになっている。また、表示部76は、紙幣釣銭機10や硬貨釣銭機70における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣釣銭機10や硬貨釣銭機70の在高等の情報を表示するようになっている。また、操作部77は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部73に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、記憶部78は、紙幣釣銭機10や硬貨釣銭機70における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣釣銭機10や硬貨釣銭機70の在高等の情報を記憶するようになっている。また、POS制御部73はインターフェース79により硬貨釣銭機70の硬貨釣銭機制御部70aに対して信号の送受信を行うようになっている。
また、硬貨釣銭機70の硬貨釣銭機制御部70aは、当該硬貨釣銭機70の各構成部材の制御を行うようになっている。なお、図5に示す機能ブロック図では、硬貨釣銭機制御部70aにより制御される硬貨釣銭機70の各構成部材の図示を省略している。また、硬貨釣銭機制御部70aにはインターフェース71が接続されており、当該硬貨釣銭機制御部70aはインターフェース71によりPOSレジスタ72のPOS制御部73や紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部60に対して信号の送受信を行うようになっている。
また、紙幣釣銭機10において、紙幣釣銭機制御部60には、インターフェース61、紙幣受入部20に設けられた繰出機構21、搬送部30、識別部32、各紙幣収納部34、36、38に設けられた繰出機構35、37、39、ならびに紙幣払出部22に設けられた収納繰出機構40がそれぞれ接続されている。ここで、識別部32による紙幣の識別結果に係る情報は紙幣釣銭機制御部60に送られるようになっている。また、紙幣釣銭機制御部60は、繰出機構21、搬送部30、各繰出機構35、37、39、収納繰出機構40にそれぞれ指令を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、紙幣釣銭機制御部60はインターフェース61により硬貨釣銭機70の硬貨釣銭機制御部70aに対して信号の送受信を行うようになっている。
次に、このような構成からなる紙幣釣銭機10による入出金処理等の様々な処理内容について以下に説明する。なお、以下に示すような紙幣の処理方法は、紙幣釣銭機制御部60が紙幣釣銭機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、紙幣釣銭機10において入金処理が行われる際の動作について説明する。紙幣釣銭機10の紙幣受入口20aに紙幣が投入されると、紙幣受入部20は、紙幣受入口20aに投入された入金紙幣を一括で取り込んで、接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに紙幣を1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部30aに繰り出された紙幣は当該周回搬送部30aにより搬送され、この際に識別部32により紙幣の識別が行われる。
識別部32により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は、その金種に対応する各紙幣収納部34、36、38に送られ、これらの紙幣収納部34、36、38に収納される。具体的には、紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣は入金リジェクト紙幣として搬送部30により紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22に集積される。そして、紙幣受入口20aに投入された入金紙幣が全て各紙幣収納部34、36、38または紙幣払出部22に送られた後、紙幣払出部22に集積された入金リジェクト紙幣が収納繰出機構40により紙幣取出口22aに送られる。このことにより、操作者は、入金リジェクト紙幣を紙幣取出口22aから取り出して紙幣受入部20の紙幣受入口20aに再投入することができるようになる。
次に、紙幣釣銭機10において出金処理が行われる際の動作について以下に説明する。出金される紙幣の合計金額あるいは金種別の枚数等を含む出金処理の開始指令が紙幣釣銭機制御部60に入力されると、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が、各紙幣収納部34、36、38に対応する各繰出機構35、37、39により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで図2における時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部32により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22に集積される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は出金リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24に搬送され、この出金リジェクト部24に集積される。出金リジェクト部24に集積された出金リジェクト紙幣は、管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機10のケーシング12から本体部14を手前側に引き出すことにより取り出すことができるようになる。そして、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、紙幣取出口22aに設けられたシャッタが開かれ、紙幣払出部22に集積された紙幣が収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送られる。このことにより、操作者は、出金紙幣を紙幣取出口22aから取り出すことができるようになる。
次に、紙幣釣銭機10において精査処理が行われる際の動作について以下に説明する。ここで、精査処理とは、紙幣釣銭機10の本体部14の内部(具体的には、各紙幣収納部34、36、38)に収納されている紙幣の在高を確認するために、各紙幣収納部34、36、38に収納されている全ての紙幣について識別部32により識別および計数を行う処理のことをいう。
精査処理開始の指令が操作者によってPOSレジスタ72の操作部77により入力されて当該POSレジスタ72から紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部60に精査処理開始の指令が送られると、複数の紙幣収納部34、36、38のうちまず紙幣収納部34に収納されている紙幣が繰出機構35により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで図2における時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種等の識別および計数が行われる。識別部32により正常な紙幣であると識別された紙幣は紙幣払出部22に送られ、紙幣払出部22に設けられた収納繰出機構40のステージ48上に集積される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は検査リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24に搬送され、この出金リジェクト部24に集積される。出金リジェクト部24に集積された検査リジェクト紙幣は、管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機10のケーシング12から本体部14を手前側に引き出すことにより取り出すことができるようになる。
そして、紙幣収納部34に収納されている紙幣が全て紙幣払出部22や出金リジェクト部24に送られると、紙幣払出部22に集積された紙幣が収納繰出機構40の搬送ベルト42により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は識別部32により識別および計数が行われることなく紙幣収納部34に戻される。全ての紙幣が紙幣収納部34に戻されると、当該金種(千円)の紙幣の在高が確定する。紙幣収納部34に収納されている紙幣について上述の動作が完了すると、紙幣収納部36、38に収納されている紙幣についても上述の動作が紙幣収納部毎に行われる。このようにして、全ての紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部32により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機10における精査処理が完了する。紙幣釣銭機10において紙幣の精査処理が完了すると、当該紙幣釣銭機10における紙幣の精査処理の結果に係る情報が紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部60からPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10における紙幣の精査処理の結果に係る情報がPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。
なお、本実施の形態では、精査処理開始の指令が操作者によってPOSレジスタ72の操作部77により入力されると、紙幣釣銭機10において上記の紙幣の精査処理が行われるのと並行して、硬貨釣銭機70において硬貨の精査処理が行われるようになっていてもよい。この場合には、紙幣釣銭機10において紙幣の精査処理が完了するとともに硬貨釣銭機70において硬貨の精査処理が完了すると、紙幣釣銭機10における紙幣の精査処理の結果に係る情報のみならず硬貨釣銭機70における硬貨の精査処理の結果に係る情報もPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10における紙幣の精査処理の結果に係る情報に加えて、硬貨釣銭機70における硬貨の精査処理の結果に係る情報もPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。
また、上記の説明では、各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に紙幣が送られる際に識別部32により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、紙幣払出部22から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻される際に識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に紙幣が送られるときおよび紙幣払出部22から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻されるときの両方において識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による紙幣釣銭機10では、紙幣払出部22に集積された紙幣を収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっているため、紙幣釣銭機10において入金処理を行う際に紙幣払出部22を入金一時保留部として使用することができる。紙幣釣銭機10において入金処理時に紙幣払出部22を入金一時保留部として使用したときの紙幣の流れについて以下に説明する。
紙幣釣銭機10において紙幣の入金処理が行われる際に、操作者が紙幣受入部20の紙幣受入口20aに紙幣の束を投入すると、投入された紙幣は繰出機構21により1枚ずつ搬送部30の接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで反時計回りの方向に搬送され、このような紙幣の搬送時に識別部32により当該紙幣の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部32により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣払出部22に送られ、この紙幣払出部22に設けられた収納繰出機構40のステージ48上に集積される。紙幣払出部22では、紙幣が金種混合状態で集積されるようになる。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣は入金リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24に搬送され、この出金リジェクト部24に集積される。出金リジェクト部24に集積された入金リジェクト紙幣は、管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機10のケーシング12から本体部14を手前側に引き出すことにより取り出すことができるようになる。
そして、紙幣受入部20に受け入れられた紙幣が全て紙幣払出部22または出金リジェクト部24に搬送された後、操作者がPOSレジスタ72の操作部77により入金確定(承認)の指令を入力すると、紙幣払出部22に集積された紙幣が搬送ベルト42により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで搬送され、その後その金種に対応する各紙幣収納部34、36、38に送られ、これらの紙幣収納部34、36、38に収納される。具体的には、紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納される。一方、紙幣受入部20に受け入れられた紙幣が全て紙幣払出部22または出金リジェクト部24に搬送された後、操作者がPOSレジスタ72の操作部77により入金確定(承認)の指令の代わりに返却(非承認)の指令を入力すると、紙幣取出口22aに設けられたシャッタが開かれ、紙幣払出部22に集積された紙幣が収納繰出機構40により一括して紙幣取出口22aに送られる。このことにより、操作者は、入金紙幣を紙幣取出口22aから取り出すことができるようになる。
また、本実施の形態による紙幣釣銭機10では、紙幣払出部22に集積された紙幣を収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっているため、紙幣釣銭機10において出金処理を行う際に、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、操作者がPOSレジスタ72の操作部77により出金中止の指令を入力すると、紙幣払出部22に集積された紙幣を各紙幣収納部34、36、38に戻すことができるようになる。また、更に他の例では、紙幣釣銭機10において出金処理を行う際に、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、操作者がPOSレジスタ72の操作部77により出金中止の指令を入力すると、紙幣払出部22に集積された紙幣を出金リジェクト部24に送るようにしてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙幣釣銭機10によれば、精査処理を行う際に、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣を搬送部30により紙幣払出部22に送った後にこの紙幣払出部22に集積された紙幣を搬送部30により各紙幣収納部34、36、38に戻し、この間に搬送部30の周回搬送部30aにより搬送される紙幣を識別部32により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部34、36、38とは別に設けられた紙幣払出部22を用いることにより紙幣収納部34、36、38に収納された紙幣を他の紙幣収納部34、36、38に移す必要がないため、紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態による紙幣釣銭機は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、紙幣釣銭機において、周回搬送部30aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部32とは別に、紙幣の金種および枚数の検出のみを行うような精査処理用の計数部を設けてもよい。このような紙幣釣銭機によれば、紙幣の精査処理を行う際に各紙幣収納部34、36、38から繰り出された紙幣を識別部32に送る必要はなく、代わりに精査処理用の計数部を通過させればよいので、紙幣の精査処理時における紙幣の搬送ルートの自由度を高めることができる。
また、変形例に係る紙幣釣銭機として、紙幣払出部22に収納繰出機構40が設けられる代わりに出金リジェクト部24に収納繰出機構40が設けられたものが用いられてもよい。このような変形例に係る紙幣釣銭機の構成を図6に示す。図6に示す紙幣釣銭機10aを説明するにあたり、図1Bに示す紙幣釣銭機10と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図6に示す紙幣釣銭機10aでは、紙幣払出部22には収納繰出機構40が設けられておらず、紙幣払出部22に集積された紙幣を接続搬送部30bに繰り出すことができないようになっている。すなわち、図6に示す紙幣釣銭機10aでは、紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣取出口22aにより本体部14の外部へ放出する機能のみを有している。
一方、図6に示す紙幣釣銭機10aでは、出金リジェクト部24に収納繰出機構40が設けられている。このことにより、出金リジェクト部24に集積された紙幣を1枚ずつ収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっている。また、出金リジェクト部24には、当該出金リジェクト部24内の紙幣の有無を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサによって出金リジェクト部24内に紙幣が存在するか否かが検知されるようになっている。なお、紙幣払出部22に収納繰出機構40を設けた場合と異なり、出金リジェクト部24に集積された紙幣は収納繰出機構40によりこの出金リジェクト部24から本体部14の外部に放出されることがないため、収納繰出機構40において各駆動ローラ47の設置を省略することができる。
次に、図6に示すような変形例に係る紙幣釣銭機10aにおいて紙幣の精査処理が行われる際の動作について以下に説明する。
精査処理開始の指令が操作者によってPOSレジスタ72の操作部77により入力されて当該POSレジスタ72から紙幣釣銭機10aの紙幣釣銭機制御部60に精査処理開始の指令が送られると、出金リジェクト部24内に出金リジェクト紙幣が存在するか否かがチェックされ、出金リジェクト部24内に出金リジェクト紙幣が存在する場合は、当該紙幣は出金リジェクト部24から繰り出されて識別部32により識別された後に対応する紙幣収納部34、36、38に振り分けられるか、紙幣回収カセット26に送られて回収される。出金リジェクト部24が空の場合、あるいは空になった場合は、複数の紙幣収納部34、36、38のうちまず紙幣収納部34に収納されている紙幣が繰出機構35により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで図6における時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種等の識別および計数が行われる。識別部32により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金リジェクト部24に送られ、出金リジェクト部24に設けられた収納繰出機構40のステージ48上に集積される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は検査リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24以外の箇所、具体的には例えば紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22に集積される。紙幣払出部22に集積された検査リジェクト紙幣は、紙幣釣銭機10aにおける紙幣の精査処理が完了した後、紙幣払出部22から紙幣取出口22aに送られ、操作者は紙幣取出口22aから検査リジェクト紙幣を抜き取ることができるようになる。
そして、紙幣収納部34に収納されている紙幣が全て紙幣払出部22や出金リジェクト部24に送られると、出金リジェクト部24に集積された紙幣が収納繰出機構40の搬送ベルト42により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は識別部32により識別および計数が行われることなく紙幣収納部34に戻される。全ての紙幣が紙幣収納部34に戻されると、当該金種(千円)の紙幣の在高が確定する。紙幣収納部34に収納されている紙幣について上述の動作が完了すると、紙幣収納部36、38に収納されている紙幣についても上述の動作が紙幣収納部毎に行われる。このようにして、全ての紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部32により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機10aにおける精査処理が完了する。紙幣釣銭機10aにおいて紙幣の精査処理が完了すると、当該紙幣釣銭機10aにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報が紙幣釣銭機10aの紙幣釣銭機制御部60からPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10aにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報がPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。
なお、上記の説明では、各紙幣収納部34、36、38から出金リジェクト部24に紙幣が送られる際に識別部32により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、出金リジェクト部24から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻される際に識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部34、36、38から出金リジェクト部24に紙幣が送られるときおよび出金リジェクト部24から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻されるときの両方において識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
また、図6に示すような変形例に係る紙幣釣銭機10aでは、出金リジェクト部24に集積された紙幣を収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっているため、出金リジェクト部24を、紙幣釣銭機10aにおいて紙幣の入金処理を行う際に紙幣受入部20から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を各紙幣収納部34、36、38に送る前に一時的に保留する入金一時保留部や、紙幣釣銭機10aにおいて紙幣の出金処理を行う際に各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣払出部22に送る前に一時的に保留する出金一時保留部として使用することができる。
また、図6に示すような変形例に係る紙幣釣銭機10aでは、出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部34、36、38から出金リジェクト部24に送られた後、操作者によって紙幣取出口22aから出金紙幣が取り出されると、出金リジェクト部24に集積された出金リジェクト紙幣を当該出金リジェクト部24から周回搬送部30aに繰り出して識別部32により識別し、正常な紙幣は各紙幣収納部34、36、38に戻すことができるようになる。この場合には、出金リジェクト紙幣を出金用の紙幣として再利用することができるようになる。
あるいは、紙幣釣銭機10aにおいて出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部34、36、38から出金リジェクト部24に送られた後、操作者によって紙幣取出口22aから出金紙幣が取り出されると、出金リジェクト部24に集積された出金リジェクト紙幣を紙幣払出部22に送るようにしてもよい。この場合には、紙幣払出部22から紙幣取出口22aに出金リジェクト紙幣を送ることにより操作者は紙幣取出口22aから出金リジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。また、紙幣釣銭機10aにおいて出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部34、36、38から出金リジェクト部24に送られた後、操作者によって紙幣取出口22aから出金紙幣が取り出されると、出金リジェクト部24に集積された出金リジェクト紙幣を紙幣回収カセット26に送るようにしてもよい。この場合には、操作者は紙幣回収カセット26を紙幣釣銭機10aの本体部14から引き出すことにより出金リジェクト紙幣を回収することができるようになる。
以上のように、図6に示すような変形例に係る紙幣釣銭機10aによれば、精査処理を行う際に、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣を搬送部30により出金リジェクト部24に送った後にこの出金リジェクト部24に集積された紙幣を搬送部30により各紙幣収納部34、36、38に戻し、この間に搬送部30の周回搬送部30aにより搬送される紙幣を識別部32により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部34、36、38とは別に設けられた出金リジェクト部24を用いることにより紙幣収納部34、36、38に収納された紙幣を他の紙幣収納部34、36、38に移す必要がないため、紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。
また、別の変形例に係る紙幣釣銭機として、紙幣払出部22や出金リジェクト部24に収納繰出機構40が設けられる代わりに、精査処理用の集積部(精査処理用第1集積部)が紙幣処理機の本体部14とは別に単体で設けられ、このような精査処理用の集積部が、紙幣釣銭機における紙幣払出部22、出金リジェクト部24および紙幣回収カセット26のうち少なくとも何れか一つのものと交換可能になっていてもよい。このような変形例に係る紙幣釣銭機の構成を図7Aに示す。図7Aに示す紙幣釣銭機10bを説明するにあたり、図1Bに示す紙幣釣銭機10と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、図7Aでは、紙幣払出部22と精査処理用の集積部27とが交換可能となっているような態様が図示されている。
図7Aに示すような変形例に係る紙幣釣銭機10bでは、紙幣払出部22には収納繰出機構40が設けられておらず、紙幣払出部22に集積された紙幣を接続搬送部30bに繰り出すことができないようになっている。すなわち、このような変形例に係る紙幣釣銭機10bでは、紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣取出口22aにより本体部14の外部へ放出する機能のみを有している。また、紙幣払出部22、出金リジェクト部24および紙幣回収カセット26のうち少なくとも何れか一つのものは、紙幣釣銭機10bの本体部14から前方に取り外し可能となっている。一方、紙幣払出部22、出金リジェクト部24および紙幣回収カセット26のうち少なくとも何れか一つのものと交換可能になっている精査処理用の集積部27には、当該集積部27に集積された紙幣を1枚ずつ繰り出す収納繰出機構40が設けられている。なお、精査処理用の集積部27に設けられる収納繰出機構40において、駆動ローラ47の設置が省略されてもよい。また、精査処理用の集積部27には、当該集積部27内の紙幣の有無を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサによって精査処理用の集積部27内に紙幣が存在するか否かが検知されるようになっている。
このような紙幣釣銭機10bで紙幣の精査処理を行うにあたり、まず、精査処理用の集積部27と、紙幣釣銭機10bにおける紙幣払出部22、出金リジェクト部24および紙幣回収カセット26のうち何れか一つのものとの交換が行われる。そして、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣は識別部32により識別された後、紙幣払出部22や出金リジェクト部24、紙幣回収カセット26と交換された精査処理用の集積部27に送られるようになる。各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部27に紙幣が全て送られると、当該集積部27に集積された紙幣が収納繰出機構40の搬送ベルト42により1枚ずつ紙幣払出部22に繰り出され、この紙幣払出部22を通過した紙幣が接続搬送部30bから周回搬送部30aに送られる。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は識別部32により識別および計数が行われることなく各紙幣収納部34、36、38に戻される。このようにして、全ての紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部32により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機10bにおける精査処理が完了する。紙幣釣銭機10bにおいて紙幣の精査処理が完了すると、当該紙幣釣銭機10bにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報が紙幣釣銭機10bの紙幣釣銭機制御部60からPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10bにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報がPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。また、紙幣釣銭機10bにおいて紙幣の精査処理が完了すると、精査処理用の集積部27が紙幣釣銭機10bの本体部14から取り出され、紙幣釣銭機10bの本体部14から最初に取り出された紙幣払出部22、出金リジェクト部24または紙幣回収カセット26が本体部14に戻されるようになる。
なお、上記の説明では、各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部27に紙幣が送られる際に識別部32により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、精査処理用の集積部27から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻される際に識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部27に紙幣が送られるときおよび精査処理用の集積部27から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻されるときの両方において識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
以上のように、図7Aに示すような変形例に係る紙幣釣銭機10bによれば、精査処理を行う際に、精査処理用の集積部27と、紙幣釣銭機10bにおける紙幣払出部22、出金リジェクト部24および紙幣回収カセット26のうち何れか一つのものとを交換した後、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣を搬送部30により精査処理用の集積部27に送った後にこの集積部27に集積された紙幣を搬送部30により各紙幣収納部34、36、38に戻し、この間に搬送部30の周回搬送部30aにより搬送される紙幣を識別部32により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部34、36、38とは別に設けられた精査処理用の集積部27を用いることにより紙幣収納部34、36、38に収納された紙幣を他の紙幣収納部34、36、38に移す必要がないため、紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。また、複数の紙幣釣銭機10bに対して1つの精査処理用の集積部27を用いることにより、準備すべき精査処理用の集積部27の数を紙幣釣銭機10bの数よりも少なくすることができるようになる。
また、更に別の変形例に係る紙幣釣銭機として、紙幣払出部22や出金リジェクト部24に収納繰出機構40が設けられる代わりに精査処理専用の集積部28が本体部14に設けられたものが用いられてもよい。このような変形例に係る紙幣釣銭機の構成を図7Bに示す。図7Bに示す紙幣釣銭機10cを説明するにあたり、図1Bに示す紙幣釣銭機10と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図7Bに示す紙幣釣銭機10cでは、紙幣払出部22には収納繰出機構40が設けられておらず、紙幣払出部22に集積された紙幣を接続搬送部30bに繰り出すことができないようになっている。すなわち、図7Bに示す紙幣釣銭機10cでは、紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣取出口22aにより本体部14の外部へ放出する機能のみを有している。
一方、図7Bに示す紙幣釣銭機10cでは、精査処理専用の集積部28が接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに接続されており、この精査処理専用の集積部28に収納繰出機構40が設けられている。このことにより、精査処理専用の集積部28に集積された紙幣を1枚ずつ収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっている。なお、紙幣払出部22に収納繰出機構40を設けた場合と異なり、精査処理専用の集積部28に集積された紙幣は収納繰出機構40によりこの集積部28から本体部14の外部に放出されることがないため、収納繰出機構40において各駆動ローラ47の設置を省略することができる。
次に、図7Bに示すような変形例に係る紙幣釣銭機10cにおいて紙幣の精査処理が行われる際の動作について以下に説明する。
精査処理開始の指令が操作者によってPOSレジスタ72の操作部77により入力されて当該POSレジスタ72から紙幣釣銭機10cの紙幣釣銭機制御部60に精査処理開始の指令が送られると、複数の紙幣収納部34、36、38のうちまず紙幣収納部34に収納されている紙幣が繰出機構35により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで図7Bにおける時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種等の識別および計数が行われる。識別部32により正常な紙幣であると識別された紙幣は精査処理専用の集積部28に送られ、集積部28に設けられた収納繰出機構40のステージ48上に集積される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は検査リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24に搬送され、この出金リジェクト部24に集積される。出金リジェクト部24に集積された検査リジェクト紙幣は、管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機10cのケーシング12から本体部14を手前側に引き出すことにより取り出すことができるようになる。
そして、紙幣収納部34に収納されている紙幣が全て精査処理専用の集積部28や出金リジェクト部24に送られると、集積部28に集積された紙幣が収納繰出機構40の搬送ベルト42により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は識別部32により識別および計数が行われることなく紙幣収納部34に戻される。全ての紙幣が紙幣収納部34に戻されると、当該金種(千円)の紙幣の在高が確定する。紙幣収納部34に収納されている紙幣について上述の動作が完了すると、紙幣収納部36、38に収納されている紙幣についても上述の動作が紙幣収納部毎に行われる。このようにして、全ての紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部32により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機10cにおける精査処理が完了する。紙幣釣銭機10cにおいて紙幣の精査処理が完了すると、当該紙幣釣銭機10cにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報が紙幣釣銭機10cの紙幣釣銭機制御部60からPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10cにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報がPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。
なお、上記の説明では、各紙幣収納部34、36、38から精査処理専用の集積部28に紙幣が送られる際に識別部32により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、精査処理専用の集積部28から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻される際に識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部34、36、38から精査処理専用の集積部28に紙幣が送られるときおよび精査処理専用の集積部28から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻されるときの両方において識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
また、図7Bに示すような変形例に係る紙幣釣銭機10cでは、集積部28に集積された紙幣を収納繰出機構40により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに繰り出すことができるようになっている。このため、集積部28を、精査処理専用のものとしてではなく、紙幣釣銭機10cにおいて紙幣の入金処理を行う際に紙幣受入部20から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を各紙幣収納部34、36、38に送る前に一時的に保留する入金一時保留部や、紙幣釣銭機10cにおいて紙幣の出金処理を行う際に各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣払出部22に送る前に一時的に保留する出金一時保留部として使用することができる。
以上のように、図7Bに示すような変形例に係る紙幣釣銭機10cによれば、精査処理を行う際に、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣を搬送部30により精査処理専用の集積部28に送った後にこの集積部28に集積された紙幣を搬送部30により各紙幣収納部34、36、38に戻し、この間に搬送部30の周回搬送部30aにより搬送される紙幣を識別部32により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部34、36、38とは別に設けられた精査処理専用の集積部28を用いることにより紙幣収納部34、36、38に収納された紙幣を他の紙幣収納部34、36、38に移す必要がないため、紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。
また、更に別の変形例に係る紙幣釣銭機として、紙幣釣銭機の本体部に精査処理用の集積部(精査処理用第2集積部)が着脱自在となっているようなものが用いられてもよい。このような変形例に係る紙幣釣銭機の構成を図8に示す。図8に示す紙幣釣銭機10dを説明するにあたり、図1Bに示す紙幣釣銭機10と同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図8に示す紙幣釣銭機10dでは、精査処理用の集積部29が紙幣釣銭機10dの本体部14における紙幣払出部22に着脱自在となっており、このような精査処理用の集積部29には収納繰出機構40が設けられている。また、精査処理用の集積部29には、当該集積部29内の紙幣の有無を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサによって精査処理用の集積部29内に紙幣が存在するか否かが検知されるようになっている。なお、精査処理用の集積部29に設けられる収納繰出機構40において、駆動ローラ47の設置が省略されてもよい。このような紙幣釣銭機10dにおいて紙幣の入金処理や出金処理が行われるときには、紙幣払出部22から精査処理用の集積部29が取り外され、紙幣払出部22から紙幣取出口22aに送られた紙幣を操作者は当該紙幣取出口22aから抜き取ることができるようになる。
一方、紙幣釣銭機10dにおいて紙幣の精査処理が行われるときには紙幣払出部22に精査処理用の集積部29が取り付けられ、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣は識別部32により識別された後、紙幣払出部22を通って精査処理用の集積部29に送られるようになる。そして、各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部29に紙幣が全て送られると、当該集積部29に集積された紙幣が収納繰出機構40の搬送ベルト42により1枚ずつ紙幣払出部22に繰り出され、この紙幣払出部22を通った紙幣が接続搬送部30bから周回搬送部30aに送られる。そして、周回搬送部30aに送られた紙幣は識別部32により識別および計数が行われることなく各紙幣収納部34、36、38に戻される。このようにして、全ての紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部32により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機10dにおける精査処理が完了する。紙幣釣銭機10dにおいて紙幣の精査処理が完了すると、当該紙幣釣銭機10dにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報が紙幣釣銭機10dの紙幣釣銭機制御部60からPOSレジスタ72のPOS制御部73に送られる。このことにより、紙幣釣銭機10dにおける紙幣の精査処理の結果に係る情報がPOSレジスタ72の表示部76で表示されたり印字部75によりレシート等に印字されたりするようになる。
なお、上記の説明では、各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部29に紙幣が送られる際に識別部32により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、精査処理用の集積部29から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻される際に識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部34、36、38から精査処理用の集積部29に紙幣が送られるときおよび精査処理用の集積部29から各紙幣収納部34、36、38に紙幣が戻されるときの両方において識別部32により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
また、図8に示す紙幣釣銭機10dでは、紙幣払出部22に精査処理用の集積部29が取り付けられたときに、本体部14から収納繰出機構40の搬送ベルト42や紙幣押さえ部材46に動力が伝達されることによって搬送ベルト42は精査処理用の集積部29に収納された紙幣を接続搬送部30bに繰り出すようになっていてもよい。この場合には、精査処理用の集積部29に収納繰出機構40の動力源を設ける必要がなくなるため、当該集積部29の小型化や軽量化を図ることができるようになる。なお、他の態様の集積部29として、当該集積部29の内部に収納繰出機構40の動力源が設けられたものが用いられてもよい。
また、図8に示す紙幣釣銭機10dでは、各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22を介して精査処理用の集積部29に紙幣が送られた後、この集積部29に集積された紙幣は紙幣受入部20(または紙幣受入口20a)に戻されるようになっていてもよい。この場合には、集積部29から紙幣受入部20に戻された紙幣は、当該紙幣受入部20に設けられた繰出機構21により接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに送られるようになる。このような構成の紙幣釣銭機10dによれば、収納繰出機構40のような紙幣を1枚ずつ繰り出すことができる機構を精査処理用の集積部29に設ける必要はなく、代わりに、集積部29に集積された紙幣を一括して紙幣受入部20に送るような機構を当該集積部29に設けるだけでよい。
以上のように、図8に示すような変形例に係る紙幣釣銭機10dによれば、精査処理を行う際に、紙幣払出部22に精査処理用の集積部29を取り付けた後、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣を搬送部30により紙幣払出部22を介して精査処理用の集積部29に送った後にこの集積部29に集積された紙幣を搬送部30により各紙幣収納部34、36、38に戻し、この間に搬送部30の周回搬送部30aにより搬送される紙幣を識別部32により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部34、36、38とは別に設けられた精査処理用の集積部29を用いることにより紙幣収納部34、36、38に収納された紙幣を他の紙幣収納部34、36、38に移す必要がないため、紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。また、複数の紙幣釣銭機10dに対して1つの精査処理用の集積部29を用いることにより、準備すべき精査処理用の集積部29の数を紙幣釣銭機10dの数よりも少なくすることができるようになる。
なお、図8に示す紙幣釣銭機10dでは、精査処理用の集積部29が紙幣釣銭機10dの本体部14における紙幣払出部22に着脱自在となっている例について説明したが、精査処理用の集積部29が紙幣釣銭機10dの本体部14における紙幣払出部22以外の処理部(例えば、紙幣受入部20、出金リジェクト部24、紙幣回収カセット26等)に着脱自在となっていてもよい。この場合には、紙幣釣銭機10dにおいて紙幣の精査処理が行われるときに、紙幣受入部20、出金リジェクト部24または紙幣回収カセット26に精査処理用の集積部29が取り付けられ、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣は識別部32により識別された後、紙幣受入部20、出金リジェクト部24または紙幣回収カセット26を通って精査処理用の集積部29に送られるようになる。
また、更に別の変形例に係る紙幣釣銭機として、図9に示すような構成のものが用いられてもよい。図9に示す紙幣釣銭機110は、略直方体形状の筐体114を備えており、筐体114の前面(図9における左側の側面)には、筐体114の外部から内部に紙幣を入金するための入金部120と、筐体114の内部から外部に紙幣を出金するための出金部122と、筐体114の内部に収納されている紙幣を回収するための紙幣回収カセット126がそれぞれ設けられている。また、これらの入金部120、出金部122および紙幣回収カセット126には搬送部130が接続されており、当該搬送部130は筐体114内で紙幣を1枚ずつ搬送するようになっている。また、搬送部130には、当該搬送部130により搬送される紙幣の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部132が設けられている。また、筐体114の内部において、搬送部130には3つの紙幣収納部134、136、138が接続されており、各紙幣収納部134、136、138は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。また、筐体114の内部において、搬送部130には出金リジェクト部124が接続されている。また、紙幣釣銭機110には、当該紙幣釣銭機110の各構成部材の制御を行う制御部160が設けられている。このような紙幣釣銭機110の各構成部材について以下に詳述する。
入金部120には繰出機構(図示せず)が設けられており、当該入金部120に1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると繰出機構が駆動されることにより入金部120に投入された紙幣が搬送部130に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、入金部120には、当該入金部120の入金口を選択的に塞ぐシャッタ120aが設けられており、シャッタ120aが開いたときにのみ操作者は入金部120に紙幣を投入することができるようになっている。
出金部122は、各紙幣収納部134、136、138から搬送部130を介して当該出金部122に送られた紙幣を、出金口を介して筐体114の外部へ放出するようになっている。また、出金部122には、当該出金部122の入金口を選択的に塞ぐシャッタ122aが設けられており、シャッタ122aが開いたときにのみ操作者は出金部122から紙幣を取り出すことができるようになっている。
紙幣釣銭機110の筐体114の前面下部にはカセット収容部が設けられており、このカセット収容部に紙幣回収カセット126が着脱可能に収容されるようになっている。紙幣回収カセット126は筐体114の前面から手前側に引き出すことにより当該筐体114の外部に取り出すことができるようになっている。
上述したように、各紙幣収納部134、136、138は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば紙幣収納部134には千円札が収納され、紙幣収納部136には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部138には一万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部134、136、138にはそれぞれ繰出機構(図示せず)が設けられており、これらの紙幣収納部134、136、138に収納されている紙幣は各繰出機構により搬送部130に1枚ずつ繰り出されるようになっている。
出金リジェクト部124は、出金処理時において各紙幣収納部134、136、138から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部132で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。
図9に示す紙幣釣銭機110では、出金リジェクト部124に収納繰出機構140が設けられており、出金リジェクト部124に収納された紙幣を収納繰出機構140により当該出金リジェクト部124から搬送部130に繰り出すことができるようになっている。ここで、出金リジェクト部124に設けられた収納繰出機構140の構成は、上述した収納繰出機構40の構成と略同一となっているが、収納繰出機構140において、収納繰出機構40における各駆動ローラ47の設置を省略することができる。また、出金リジェクト部124には、当該出金リジェクト部124内の紙幣の有無を検知するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサによって出金リジェクト部124内に紙幣が存在するか否かが検知されるようになっている。
このような図9に示す紙幣釣銭機110では、紙幣の精査処理を行う際に出金リジェクト部124が用いられるようになっている。図9に示す紙幣釣銭機110において紙幣の精査処理を行う際の動作について以下に説明する。
紙幣釣銭機110に設けられた制御部160に精査処理開始の指令が送られると、出金リジェクト部124内に出金リジェクト紙幣が存在するか否かがチェックされ、出金リジェクト部124内に出金リジェクト紙幣が存在する場合は、当該紙幣は出金リジェクト部124から繰り出されて識別部132により識別された後に対応する紙幣収納部134、136、138に振り分けられるか、紙幣回収カセット126に送られて回収される。出金リジェクト部124が空の場合、あるいは空になった場合は、複数の紙幣収納部134、136、138のうちまず紙幣収納部134に収納されている紙幣が1枚ずつ搬送部130に繰り出され、当該搬送部130により搬送される。この際に、識別部132により紙幣の金種等の識別および計数が行われる。識別部132により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金リジェクト部124に送られ、当該出金リジェクト部124に集積される。一方、識別部132による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は検査リジェクト紙幣として搬送部130により出金リジェクト部124以外の箇所、具体的には例えば出金部122に搬送され、この出金部122に集積される。出金部122に集積された検査リジェクト紙幣は、紙幣釣銭機110における紙幣の精査処理が完了した後、当該出金部122に設けられたシャッタ122aが開くことにより、操作者は出金部122から検査リジェクト紙幣を抜き取ることができるようになる。
そして、紙幣収納部134に収納されている紙幣が全て出金部122や出金リジェクト部124に送られると、出金リジェクト部124に集積された紙幣が収納繰出機構140により1枚ずつ搬送部130に繰り出され、当該搬送部130により搬送される。そして、搬送部130により搬送される紙幣は識別部132により識別および計数が行われることなく紙幣収納部134に戻される。全ての紙幣が紙幣収納部134に戻されると、当該金種(千円)の紙幣の在高が確定する。紙幣収納部134に収納されている紙幣について上述の動作が完了すると、紙幣収納部136、138に収納されている紙幣についても上述の動作が紙幣収納部毎に行われる。このようにして、全ての紙幣収納部134、136、138に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部132により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機110における精査処理が完了する。
なお、上記の説明では、各紙幣収納部134、136、138から出金リジェクト部124に紙幣が送られる際に識別部132により識別および計数が行われるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。他の態様として、出金リジェクト部124から各紙幣収納部134、136、138に紙幣が戻される際に識別部132により識別および計数が行われるようになっていてもよく、あるいは、各紙幣収納部134、136、138から出金リジェクト部124に紙幣が送られるときおよび出金リジェクト部124から各紙幣収納部134、136、138に紙幣が戻されるときの両方において識別部132により識別および計数が行われるようになっていてもよい。
また、図9に示すような変形例に係る紙幣釣銭機110では、出金リジェクト部124に集積された紙幣を収納繰出機構140により搬送部130に繰り出すことができるようになっているため、出金リジェクト部124を、紙幣釣銭機110において紙幣の入金処理を行う際に入金部120から搬送部130に繰り出された紙幣を各紙幣収納部134、136、138に送る前に一時的に保留する入金一時保留部や、紙幣釣銭機110において紙幣の出金処理を行う際に各紙幣収納部134、136、138から搬送部130に繰り出された紙幣を出金部122に送る前に一時的に保留する出金一時保留部として使用することができる。
また、図9に示すような変形例に係る紙幣釣銭機110では、出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部134、136、138から出金リジェクト部124に送られた後、操作者によって出金部122から出金紙幣が取り出されると、当該出金リジェクト部124から出金リジェクト紙幣を搬送部130に繰り出して識別部132により識別し、正常な紙幣は各紙幣収納部134、136、138に戻すことができるようになる。この場合には、出金リジェクト紙幣を出金用の紙幣として再利用することができるようになる。
あるいは、紙幣釣銭機110において出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部134、136、138から出金リジェクト部124に送られた後、操作者によって出金部122から出金紙幣が取り出されると、出金リジェクト部124に集積された出金リジェクト紙幣を出金部122に送るようにしてもよい。この場合には、操作者は出金部122から出金リジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。また、紙幣釣銭機110において出金処理を行う際に、出金リジェクト紙幣が各紙幣収納部134、136、138から出金リジェクト部124に送られた後、操作者によって出金部122から出金紙幣が取り出されると、出金リジェクト部124に集積された出金リジェクト紙幣を紙幣回収カセット126に送るようにしてもよい。この場合には、操作者は紙幣回収カセット126を紙幣釣銭機110の筐体114から引き出すことにより出金リジェクト紙幣を回収することができるようになる。
以上のように、図9に示すような変形例に係る紙幣釣銭機110によれば、精査処理を行う際に、各紙幣収納部134、136、138に収納されている紙幣を搬送部130により出金リジェクト部124に送った後にこの出金リジェクト部124に集積された紙幣を搬送部130により各紙幣収納部134、136、138に戻し、この間に搬送部130により搬送される紙幣を識別部132により識別するようになっている。この場合には、精査処理を行う際に紙幣収納部134、136、138とは別に設けられた出金リジェクト部124を用いることにより紙幣収納部134、136、138に収納された紙幣を他の紙幣収納部134、136、138に移す必要がないため、紙幣収納部134、136、138に収納されている紙幣が多い場合でも確実に精査処理を行うことができ、また複数の金種の紙幣が混合してしまうことを防止することができる。
また、図9に示すような変形例に係る紙幣釣銭機110において、出金リジェクト部124に収納繰出機構140を設置する代わりに、出金部122に収納繰出機構140を設置してもよい。この場合には、紙幣の精査処理を行う際に出金リジェクト部124ではなく出金部122が用いられるようになる。具体的には、紙幣釣銭機110に設けられた制御部160に精査処理開始の指令が送られると、複数の紙幣収納部134、136、138のうちまず紙幣収納部134に収納されている紙幣が1枚ずつ搬送部130に繰り出され、当該搬送部130により搬送される。この際に、識別部132により紙幣の金種等の識別および計数が行われる。識別部132により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金部122に送られ、当該出金部122に集積される。一方、識別部132による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は検査リジェクト紙幣として搬送部130により出金リジェクト部124に搬送され、この出金リジェクト部124に集積される。出金リジェクト部124に集積された検査リジェクト紙幣は、紙幣釣銭機110における紙幣の精査処理が完了した後、操作者が筐体104の扉(図示せず)を開いて当該筐体104の内部にアクセスすることにより出金リジェクト部124から検査リジェクト紙幣を抜き取ることができるようになる。そして、紙幣収納部134に収納されている紙幣が全て出金部122や出金リジェクト部124に送られると、出金部122に集積された紙幣が収納繰出機構140により1枚ずつ搬送部130に繰り出され、当該搬送部130により搬送される。そして、搬送部130により搬送される紙幣は識別部132により識別および計数が行われることなく紙幣収納部134に戻される。全ての紙幣が紙幣収納部134に戻されると、当該金種(千円)の紙幣の在高が確定する。紙幣収納部134に収納されている紙幣について上述の動作が完了すると、紙幣収納部136、138に収納されている紙幣についても上述の動作が紙幣収納部毎に行われる。このようにして、全ての紙幣収納部134、136、138に収納されている紙幣について上述の動作が行われて識別部132により紙幣の識別および計数が行われると、紙幣釣銭機110における精査処理が完了する。
また、図1乃至図9に示すような各紙幣釣銭機以外の構成の紙幣釣銭機として、紙幣の入金処理を行う際に筐体の内部に投入された紙幣を紙幣収納部に送る前に一時的に保留する入金一時保留部や、紙幣の出金処理を行う際に紙幣収納部から搬送部に繰り出された紙幣を出金部に送る前に一時的に保留する出金一時保留部が、入金部や出金部とは別に設けられたものが用いられてもよい。この場合には、紙幣の精査処理を行う際に、紙幣収納部から搬送部に繰り出された紙幣が入金一時保留部や出金一時保留部に送られた後、これらの入金一時保留部や出金一時保留部から紙幣が元の紙幣収納部に戻されるようになっていてもよい。また、これらの入金一時保留部や出金一時保留部と、精査処理用の集積部(精査処理用第1集積部)とが交換可能となっていてもよい。また、これらの入金一時保留部や出金一時保留部に、精査処理用の集積部(精査処理用第2集積部)が取付可能となっていてもよい。
また、図1乃至図9に示すような各紙幣釣銭機以外の構成の紙幣釣銭機として、紙幣の入金処理を行う際に識別部により正常な紙幣ではないと識別された入金リジェクト紙幣が集積される入金リジェクト部が入金部や出金部とは別に設けられたものが用いられてもよい。この場合には、紙幣の精査処理を行う際に、紙幣収納部から搬送部に繰り出された紙幣が入金リジェクト部に送られた後、この入金リジェクト部から紙幣が元の紙幣収納部に戻されるようになっていてもよい。また、この入金リジェクト部と、精査処理用の集積部(精査処理用第1集積部)とが交換可能となっていてもよい。また、この入金リジェクト部に、精査処理用の集積部(精査処理用第2集積部)が取付可能となっていてもよい。