JP6544728B2 - 電動化航空機及び電動化航空機の回生電力の制御方法 - Google Patents

電動化航空機及び電動化航空機の回生電力の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、電動駆動モータにより駆動される推進駆動系を有する電動化航空機及び電動化航空機の回生電力の制御方法に関する。
通常、航空機では、降下時の経路角の調整に昇降舵及びスポイラ等の空力デバイスを用い、機体が所望の経路を逸脱しないよう制御する。
これらの空力デバイスは、経路角と対気速度の両方を変化させてしまう。
例えば、図29に示すように、本来実線で示す経路角で進むべきであるが、空力デバイスにより対気速度を操作すると経路角も変わり、その修正を繰り返し行う別途の操作によって、実際には点線で示すような経路となってしまう。
このため、操作が複雑になりがちであり、さらに、突風を受けた場合等にはパイロットのワークロードが著しく増加し安全上の問題を生じる。
これは、既存空力デバイスが機体の抗力だけでなく揚力も変化させてしまい、経路角又は降下率を直接制御できないことが原因である。
一方、電動駆動モータにより駆動される推進駆動系を有する電動化航空機では、推進用プロペラ又はファンを推進だけでなく発電にも用いることが可能であり(特許文献1等参照。)、その際にはプロペラ・ファンには推進時とは反対方向の抗力が発生する。
特許第3942570号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような方式は、電動化航空機において滞空状態を維持できる条件の場合に発電により電力を回収し、滞空するために費やすエネルギー量を小さくして長期間上空に滞空させることを目的とするものであり、推進駆動系によって抗力を制御することは考慮されていない。
仮に、このような方式で抗力を制御しようとした場合、プロペラ又はファンを推進時と逆回転させるために、ピッチ角を大幅に変更し、プロペラ又はファンを反転させる必要があり、動作に時間がかかり、極めて応答性が低いものとなる。
したがって、抗力を制御して経路角及び降下率を速度と独立に、かつ、応答よく制御することは困難である。
また、このような方式では発電電力も小さいものとなり、省エネルギーの観点でも充分ではなかった。
そこで、本発明は、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に、かつ、応答よく制御することができ、各飛行状態において安全に降下時や上昇気流中の発電電力を最大化することが可能な電動化航空機及び電動化航空機の回生電力の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、推進用のプロペラ又はファンと、前記プロペラ又はファンを回転駆動し、前記プロペラ又はファンの回転により発電する電動駆動モータと、前記電動駆動モータの推進系パラメータに基づき前記プロペラ若しくはファンの抗力又は前記電動駆動モータによる発電量を推定する推定部とを具備する。
プロペラ若しくはファンの抗力又は電動駆動モータによる発電量を推定することで、例えば回転数又はトルクの指令値にフィードバックし回生電力量を最大化することができる。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記推定された抗力又は発電電力に基づき前記プロペラ又はファンの回転数及び回転方向を制御する制御部を更に具備する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記プロペラ又はファンが、可変ピッチプロペラ又はファンであり、前記制御部は、前記プロペラ又はファンを発電時と推進時とで同じ回転方向に回転させ、発電時に前記プロペラ又はファンのピッチ角を推進時よりも浅くする又は推進時より回転数を低くするように制御する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記制御部は、前記プロペラ又はファンを推進時と同じ方向に回転させ発電する場合と、推進時と逆方向に回転駆動させる場合を共に含む範囲までトルクを制御する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、主翼又は尾翼に装備された空力デバイスを操作して電動化航空機の対気速度を前記プロペラ又はファンの回転数及び回転方向と独立に制御する機能を有する。
これにより、例えば空域制限などにより経路角がある範囲に指定されている場合、或いは経路角と対気速度が独立に制御できない(対気速度が経路角の関数となる)場合には、機体の状態・構成(例えばフラップの有無等)によっては経路角によって決まる対気速度が、失速速度に対し十分な余裕を確保できない可能性があるが、上記のように独立に制御できることで、滑走路への経路角によらず対気速度を失速速度に対し十分に大きくとった安全な着陸が可能となる。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記電動駆動モータによるモータ出力を操作し、前記電動駆動モータによる発電量をモータ出力の負の値として操作する操作部を更に具備する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部は、前記電動駆動モータの発電電力をモータ回転数の3乗に比例、又は発電時のモータトルクをモータ回転数の2乗に比例させた値として操作する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、対気速度又は動圧を検出する気流検知部をさらに有し、前記操作部によりモータ出力が負の値として操作されたときに、前記検出された対気速度又は動圧に応じて、前記電動駆動モータの出力を増減させる。
ここで、例えばビトー管を用いて動圧を検出することで気流を検知することが可能である。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部は、単一の操作部材からなる。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部は、前記操作部材を所定位置から所定方向及び逆方向に動作可能に構成され、前記操作部材の前記所定方向への動作に対して前記電動駆動モータの出力を増加させ、前記操作部材の前記逆方向への動作に対して前記電動駆動モータの出力を負の値を含んで減少させる。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部材を前記電動駆動モータの出力が負の値を含んで減少させる方向に操作し、同じ方向にさらに操作した場合に、モータを推進状態と逆方向に回転させる領域でモータ出力を増す。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部は、前記操作部材を前記所定位置から前記逆方向に動作させた際に、操作者に付加動作を要求する誤操作防止機構を有する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記操作部は、前記操作部材の位置を検出する複数の操作位置検出センサと、前記複数の操作位置検出センサの出力とを比較して操作位置検出センサのいずれかが不良であることを検知する不良検知機構とを有する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記電動駆動モータによる発電量をモータ出力の負の値として表示する表示部を更に具備する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記表示部は、前記電動駆動モータの発電により回収される回生エネルギーの回収可能な範囲を表示する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記表示部は、その時点で推定される前記電動駆動モータの発電電力の最大値、モータ軸入力の最大値、電流の最大値及びトルクの最大値、発電時の抗力の推定値、機体昇降率の推定値、経路角の推定値及び揚抗比の推定値の少なくとも1つ以上の値又はその加工情報を表示する。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、前記電動駆動モータの温度を検出するためのモータ温度検出手段、当該電動化航空機が搭載するバッテリの温度を検出するためのバッテリ温度検出手段及び前記電動駆動モータより流れる電流を検出するための電流検出手段のうち少なくとも1つを備え、前記表示部は、前記モータ温度検出手段、前記バッテリ温度検出手段及び/又は前記電流検出手段から得られたデータに基づいた表示をする。
本発明の一形態に係る電動化航空機の回生電力の制御方法は、電動化航空機のプロペラ又はファンを回転駆動し、前記プロペラ又はファンの回転により発電する電動駆動モータの推進系パラメータに基づき前記プロペラ若しくはファンの抗力又は前記電動駆動モータによる発電量を推定し、推定結果に基づき、前記プロペラ又はファンのトルク又は回転数を制御する。
本発明によれば、電動駆動モータの推進系パラメータに基づきプロペラ又はファンの抗力を推定しているので、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に、かつ、応答よく制御することができ、各飛行状態において安全に降下時や上昇気流中の発電電力を最大化することが可能となる。
第1実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図。 回転数、プロペラ抗力の関係のグラフ。 航空機における機体進行方向の力のつり合いの説明図。 第2実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図。 ピッチ角と発電量の関係のグラフ。 ピッチ角、トルク、回転数、発電量の関係のグラフ。 第3実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図。 発電力、プロペラ抗力、ピッチ角の関係のグラフ。 第4実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図。 第5実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図。 操作手段の概略図。 対気速度、回転数、トルクの関係のグラフ。 本発明の第6実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図。 対気速度と進行率との関係を示すグラフ。 第7実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図。 対気速度、回転数、モータ出力の関係のグラフ。 第8実施形態(第10実施形態)に係る電動化航空機の表示システムの説明図。 電動化航空機のモータ出力可能領域に関するデータ群の一例の説明グラフ。 モータ出力の表示の一例の参考図。 利用馬力と電流の関係グラフ。 温度上昇率と電流の関係グラフ。 第9実施形態に係る電動化航空機の表示システムの説明図。 エネルギー回生特性に関するデータ群の一例の説明グラフ。 モータ出力と回生電力の表示の一例の参考図。 充電電力とSOCの関係グラフ。 対気速度、回転数、トルクの関係のグラフ。 モータ出力、回生電力、回生可能範囲の表示の一例の参考図。 総合的な表示の一例の参考図。 航空機の経路角の説明参考図。
本発明の一形態に係る電動化航空機は、プロペラ又はファンを回転駆動し、あるいは、プロペラ又はファンの回転により発電する電動駆動モータと、前記電動駆動モータの電流を検出する電流検出手段と、前記電動駆動モータの回転数を検出する回転数検出手段と、大気密度及び対気速度を検出する気流検出手段と、前記電動駆動モータを制御する駆動制御手段とを有する電動化航空機であって、前記駆動制御手段が、前記電流検出手段で検出した電流から前記電動駆動モータのトルクを推定する駆動力演算部と、前記プロペラ又はファン抗力を推定する抗力演算部と、前記電動駆動モータのトルクあるいは回転数の一方又は両方を変化させる推力制御部とを有し、前記抗力演算部が、あらかじめ記憶されているプロペラ特性に関するデータ群を用いて、前記回転数検出手段で検出された回転数又は前記駆動力演算部において推定されたトルクと前記気流検出手段で検出された対気速度から、前記プロペラ又はファン抗力を推定するように構成されている。
本発明に係る電動化航空機によれば、抗力演算部が、あらかじめ記憶されているプロペラ特性に関するデータ群を用いて、回転数検出手段で検出された回転数又は駆動力演算部において推定されたトルクと気流検出手段で検出された対気速度から、プロペラ又はファン抗力を推定することにより、制御にあたっての機体の諸元に応じた最適な演算を精度よく高速に行うことが可能となる。
また、駆動制御手段がプロペラ又はファン抗力を推定する抗力演算部と、電動駆動モータのトルクあるいは回転数の一方又は両方を変化させる推力制御部とを有することにより、高速で推定されたプロペラ又はファン抗力に応じて、応答性の高い電動駆動モータを制御することで、航空機の抗力のみを応答性よく自由に操作することが可能となる。
駆動制御手段が、前記電動駆動モータの発電時にプロペラ又はファンの抗力を増減することで昇降率又は経路角を制御することにより、速度とは独立に、昇降率又は経路角を応答よく制御することが可能となるとともに、発電した電力を回生することが可能となる。
駆動制御手段が、推進時と発電時でプロペラ又はファンの回転方向を変えない方向に、プロペラ又はファンの回転数又はピッチを変化させることにより、推進と発電との間を連続的に円滑に、かつ、高い応答性で制御することが可能となるとともに、発電効率を向上することが可能となる。
駆動制御手段が、プロペラ又はファンの回転数又はピッチを変化させ、発電電力と昇降率又は経路角を独立に制御することにより、発電効率の最大化を図りつつ、昇降率又は経路角を応答よく制御することが可能となる。
駆動制御手段が、プロペラ又はファンの発生する抗力を変化させるとともに、主翼又は尾翼に装備された空力デバイスを操作して昇降率又は経路角と対気速度を独立に制御する機能を持つことにより、より、正確に昇降率又は経路角を制御可能となるとともに、発電効率の最大化を図りつつ、昇降率又は経路角を応答よく制御することが可能となる。
さらに、ピッチを変化させる制御を加えることにより、さらに、発電効率を向上させることができる。
機体高度検出手段から得られた機体高度、モータ温度検出手段から得られたモータ温度、バッテリ温度検出手段から得られたバッテリ温度又はバッテリ充電状態検出手段から得られたバッテリ充電状態の少なくとも1つに対応して、昇降率又は経路角を制御するように構成されていることにより、降下率や電力の機体の高度や推進系温度、バッテリの充電状態による制約を逸脱せず、機体全体の安全性が向上する。
ここで、通常の航空機では、降下時の経路角の調整に昇降舵及びスポイラ等の空力デバイスを用い、機体が所望の経路を逸脱しないよう制御するが、その操舵は各デバイス個別に行うことが一般的で、その感覚が技量の未熟なパイロットには直感的でない上に、操作物が増える分ワークロードが増加し誤操作のリスクも高まる。
また、経路角及び発電量の制御において、これらの発電に関するパラメータをパイロットが操作する場合、信頼性高くかつワークロードを小さくできることが望ましい。
加えて、推進用プロペラ又はファンを用いて発電を行う場合、発電電力を大きくするとプロペラ又はファンの回転数が不安定になる領域が存在するため、電動駆動モータの制御において一般的なトルク指令値入力のみをパイロットが行う場合には安定に発電を行うことが困難であるとともに、抗力を発生する発電状態に不用意に遷移することのないように注意する必要がある。
加えて、これらのパラメータは対気速度や大気密度などの気流状態や、推進系の運転状態に左右されるだけでなく、降下率や電力の機体の高度、推進系温度やバッテリの充電状態によって安全上要求される制約も存在するため、着陸降下中のパイロットに常に適切な操作入力を要求することはワークロードを増大させる問題を生じうる。
そこで、本発明の一形態は、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に、応答よく制御することができ、降下時や上昇気流中に発電電力を回収することが可能な電動化航空機を、容易に、かつ、各飛行状態において機体の安全を維持しながら操作することが可能な電動化航空機の操作システムを提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る電動化航空機の操作システムは、プロペラ又はファンを回転駆動する電動駆動モータと、前記電動駆動モータを制御する駆動制御手段と、前記駆動制御手段に指令する操作手段とを有する電動化航空機の操作システムであって、前記操作手段が、操作者の操作量と前記電動駆動モータのトルク指令値、回転数指令値、出力指令値、前記プロペラ又はファンの推力指令値のいずれかを対応させて駆動制御手段に指令するように構成され、前記操作手段の操作範囲は、前記駆動制御手段によって制御される前記電動駆動モータの出力が負の値となる指令を含むように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の一形態に係る電動化航空機の操作システムによれば、操作手段が、操作者の操作量と前記電動駆動モータのトルク指令値、回転数指令値、出力指令値、前記プロペラ又はファンの推力指令値のいずれかを対応させて駆動制御手段に指令するように構成され、操作手段の操作範囲は、駆動制御手段によって制御される電動駆動モータの出力が負の値となる指令も含むように構成されていることにより、パイロット等の操作者の操作によって、従来の航空機と同様に推進駆動系の推力の操作ができるとともに、容易に、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に応答よく制御することができる。
また、操作手段を操作して、降下時や上昇気流中に発電電力を目標に制御することも可能となる。
そして、操作手段を操作して推進駆動系の抗力や発電量の制御を行った際にも、経路角及び降下率を速度とは独立に制御されるため、操作者のワークロードを小さくすることができる。
加えて、高度や推進系温度等による降下率や経路角の制約を指令値に反映させることで、不用意な操作によって機体を危険な状態に陥らせることもなく操作者のワークロードも低減できる。
抗力演算部が、あらかじめ記憶されているプロペラ特性に関するデータ群を用いて、回転数検出手段で検出された回転数又は駆動力演算部において推定されたトルクと気流検出手段で検出された対気速度から、プロペラ又はファン抗力を推定するように構成されていることにより、制御にあたっての機体の諸元に応じた最適な演算を精度よく高速に行うことが可能となる。
また、駆動制御手段がプロペラ又はファン抗力を推定する抗力演算部と、電動駆動モータのトルクあるいは回転数の一方又は両方を変化させる推力制御部とを有し、推力制御部が、前記プロペラ又はファンの推力指令値又は前記電動駆動モータの出力指令値を前記電動駆動モータのトルク又は回転数指令値に変換して出力するように構成されていることにより、高速で推定されたプロペラ又はファン抗力に応じて、応答性の高い電動駆動モータを制御することが可能となり、航空機の抗力のみを応答性よく自由に操作することが可能となる。
駆動制御手段は、電動駆動モータの出力が負の値となる指令を受けた際、気流検知手段により検出された対気速度に応じて、電動駆動モータの出力を増減させる機能を有することにより、発電効率を向上することができるとともに、発電時に抗力が大きくなりすぎることを防止でき、操作者が安全に操作をすることが可能となる。
操作手段が、単一の操作部材からなることにより、パイロット等の操作者が容易に操作をすることが可能となるとともに、操縦席内の複雑化を抑制することが可能となる。
操作手段が操作部材を所定位置から所定方向及び逆方向に動作可能に構成され、操作部材の所定方向への動作での駆動制御手段への指令に応じて、駆動制御手段が電動駆動モータの出力を増加させ、操作部材の逆方向への動作での駆動制御手段への指令に応じて、駆動制御手段が電動駆動モータの出力を負の値を含んで減少させることより、所定位置を挟んで所定方向への動作を従来の航空機と同様の推力の増減動作とし、逆方向への動作を抗力の制御又は発電量の制御とすることで、従来の航空機に習熟したパイロット等の操作者でも、容易に操作をすることが可能となる。
操作手段が、操作部材を所定位置から逆方向に動作させた際に、操作者に付加動作を要求する誤操作防止機構を有していることにより、従来の航空機と同様に推力の操作を行っている際に、意図せず不用意に抗力の制御又は発電量の制御に遷移することが防止され、安全に操作することが可能となる。
操作手段が、操作部材の位置を検出する複数の操作位置検出センサと、複数の操作位置検出センサの出力を比較していずれかの操作位置検出センサの不良を検知する検知機構を有することにより、従来の航空機と同様に推力の操作を行っている際に、操作位置検出センサの不良によって、意図せずに従来の飛行機に存在しない抗力の制御又は発電量の制御に遷移することを未然に防止でき、さらに安全性が向上する。
機体高度検出手段から得られた機体高度、モータ温度検出手段から得られたモータ温度、バッテリ温度検出手段から得られたバッテリ温度又はバッテリ充電状態検出手段から得られたバッテリ充電状態の少なくとも1つに対応して、昇降率又は経路角に対応する指令値を調整するように構成されていることにより、降下率や電力の機体の高度や推進系温度、バッテリの充電状態による制約をパイロットの不用意な操作により逸脱することなく、機体全体の安全性が向上する。
ここで、通常の航空機では、降下時の経路角の調整に昇降舵及びスポイラ等の空力デバイスを用いるか、スロットル操作の調整により推進力を制御して機体が所望の経路を逸脱しないよう制御するが、その操舵は各デバイス個別に行うことが一般的で、その感覚が技量の未熟なパイロットには直感的でない上に、操作物が増える分ワークロードが増加し誤操作のリスクも高まる。
また、経路角及び発電量の制御において、これらの発電に関するパラメータをパイロットが操作する場合、信頼性高くかつワークロードを小さくできることが望ましい。
加えて、推進用プロペラ又はファンを用いて発電を行う場合、発電電力を大きくするとプロペラ又はファンの回転数が不安定になる領域が存在するため、電動駆動モータの制御において一般的なトルク指令値入力のみをパイロットが行う場合には安定に発電を行うことが困難であるとともに、抗力を発生する発電状態に不用意に遷移することのないように注意する必要がある。
推進状態か回生状態か、あるいは駆動出力や回生電力などの推進系パラメータやその維持可能時間に加え、発生した抗力に起因する機体の降下率や揚抗比などの飛行性能にかかわるパラメータに関する情報をパイロットに迅速に通知することは効率的な運航及び安全性を高める上で非常に重要である。
一般に航空機の操縦において推進系のパラメータを表示させる際には、パイロットの状況認識を向上させ、誤操作防止や事故防止を考慮した表示方法にさまざまな配慮がなされている。
しかしながら、これらのパラメータは対気速度や大気密度(高度)などの気流状態や、推進系の運転状態に左右されるとともに、降下率や電力の機体の高度や推進系温度による制約に加え、運転状態のモデルが複雑あるいはモデル化の難しい内燃機関推進系ではこれらの情報を平易に通知することは困難であった。
特に将来的に機体システムがより自動化された場合には、認識のミス等を防ぐあるいは効率的な運航ために、現在の運転状態を明確にパイロットに提示する必要がある。
過去のADVTECH機(Advanced Technology機:自動操縦装置とFMS(Flight Management System)を持つ機体)においては、自動操縦装置のモード認識ミスで事故に陥ったケースが多々発生した。
同様に推進系の運転状態の認識を誤り、たとえばエネルギー回生運転をしているにもかかわらず、他の操作物を推進時と同様の操作をすれば機体の抵抗が増す等、安全性が著しく阻害される可能性があるため、パイロットには推進系の運転状態を安全余裕などの情報とともに直感的に認識させる通知方法は非常に重要である。
たとえば、表示の認識度合いはパイロットの操作物の動作と関連があり、操作量を表示させる際には「操作の方向と表示の方向の違和感がないこと」、「操作量と表示する際の大きさの違和感がないこと」というHuman Factors Considerationが提案されている。
回生に関する推進系パラメータを表示させる際にも、操作装置の操作方向・操作量と表示の違和感がないようにすることがヒューマンエラーの観点からも必要である。
そこで、本発明の一形態は、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に、応答よく制御することができ、降下時や上昇気流中に発電電力を回収することが可能な電動化航空機を安全に制御するために必要な情報を、誤認を抑制し平易に通知することが可能な電動化航空機の表示システムを提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る電動化航空機の表示システムは、プロペラ又はファンを回転駆動する電動駆動モータと、前記電動駆動モータを制御する駆動制御手段と、情報表示手段とを有する電動化航空機の表示システムであって、前記駆動制御手段が、前記電動駆動モータの出力が負の値となる制御を含むように構成され、前記情報表示手段が、少なくとも、検出又は推定された発電量及びプロペラ又はファン抗力のいずれかあるいは両方の値又はその加工情報を表示することにより、前記課題を解決するものである。
本発明に係る電動化航空機の表示システムによれば、駆動制御手段が、電動駆動モータの出力が負の値となる制御を含むように構成されていることにより、推進駆動系の抗力を制御して経路角及び降下率を速度とは独立に制御したり、降下時や上昇気流中に発電電力を目標に制御することが可能となる。
そして、情報表示手段が、少なくとも、検出又は推定された発電量及びプロペラ又はファン抗力のいずれかあるいは両方の値又はその加工情報を表示することにより、推進駆動系の抗力や発電電力を安全に制御するために必要な情報を、誤認を抑制し平易に通知することが可能となる。
抗力演算部が、あらかじめ記憶されているプロペラ特性に関するデータ群を用いて、回転数検出手段で検出された回転数又は駆動力演算部において推定されたトルクと気流検出手段で検出された対気速度から、プロペラ又はファン抗力を推定するように構成されていることにより、制御にあたっての機体の諸元に応じた最適な演算を精度よく高速に行うことが可能となる。
また、駆動制御手段がプロペラ又はファン抗力を推定する抗力演算部と、電動駆動モータのトルクあるいは回転数の一方又は両方を変化させる推力制御部とを有し、推力制御部が、前記プロペラ又はファンの推力指令値又は前記電動駆動モータの出力指令値を前記電動駆動モータのトルク又は回転数指令値に変換して出力するように構成されていることにより、高速で推定されたプロペラ又はファン抗力に応じて、応答性の高い電動駆動モータを制御することが可能となり、航空機の抗力のみを応答性よく自由に制御することが可能となる。
そして、情報表示手段が表示する値又はその加工情報が、検出又は推定された電流、トルク及び回転数の少なくとも1つ以上の値又はその加工情報を含むことにより、必要な情報を、誤認を抑制し平易に通知することが可能となる。
機体高度検出手段から得られた機体高度、モータ温度検出手段から得られたモータ温度、バッテリ温度検出手段から得られたバッテリ温度又はバッテリ充電状態検出手段から得られたバッテリ充電状態の少なくとも1つに対応して、値又はその加工情報の表示形式を変更するように構成されていることにより、気流状態や、推進系の運転状態、降下率や電力の機体の高度や推進系温度による制約等に応じて表示形式を変更できるため、さらに誤認を抑制し平易に通知することが可能となる。
そのことで、パイロット等の操作者が、推進系や電力系の情報を飛行状態によらず直感的に認識でき、ワークロードが低減されるとともに適切な出力操作を行うことができ、機体全体の安全性が向上する。
情報表示手段が表示する値又はその加工情報が、その時点で推定される前記電動駆動モータの発電電力の最大値、モータ軸入力の最大値、電流の最大値及びトルクの最大値の少なくとも1つ以上の値又はその加工情報を含むことにより、現在の状況に加えて、電力消費や発電量の制御の目標や安全余裕に関する情報も表示可能となり、省エネルギーを考慮して制御する際の安全性がさらに向上する。
そのことで、パイロット等の操作者が、回生電力や電流及び確保すべきそれらの安全余裕に関する情報を認識できることで、ワークロードが低減され、機体全体の安全性が向上する。
情報表示手段が表示する値又はその加工情報が、発電時の抗力の推定値、機体昇降率の推定値及び揚抗比の推定値の少なくとも1つ以上の値又はその加工情報を含むことにより、現在の状況に加えて、推進力や抗力の制御の目標や安全余裕に関する情報も表示可能となり、経路角及び降下率を速度と独立に制御する際の安全性がさらに向上する。
そのことで、パイロット等の操作者が、揚抗比や降下率及び確保すべきそれらの安全余裕に関する情報を認識できることで、燃費性能及び機体制御性能が向上するとともに、機体全体の安全性が向上する。
情報表示手段が電流、モータ又はバッテリの温度時間変化率や閾値に到達するまでの時間を表示することにより、現在の推進系運転状況に加えて、パイロット等の操作者が、推進系の時間的安全余裕に関する情報を認識できることで、機体全体の安全性が向上する。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る電動化航空機について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図である。
図1に示すように、電動化航空機の推進駆動系110は、プロペラ111は電動駆動モータ113により駆動され、あるいは、プロペラ111の回転により電動駆動モータ113が発電するように構成されている。
電動駆動モータ113は、蓄電池等からなる電源115から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源115に電力を供給し、その電力はインバータ114により制御される。
制御部としての駆動制御手段120は、内部に、図2に示すような個々の電動化航空機に特有の回転数Ngen、プロペラ抗力Dpの関係についてのデータ群を持ち、発電時においては、抗力演算部122が、データ群を用いて、回転数検出手段140で検出された回転数又は電流検出手段130で検出した電流で演算した、電動駆動モータの推進系パラメータとしての電動駆動モータ113のトルクと気流検出手段150で検出された対気速度からプロペラの抗力を推定し、推力制御部123からインバータ114に回転数Ngenの指令値を送る。
なお、上記のデータ群に代えて、データ群に近似した関数を持つものであっても勿論構わない。以下に示す各実施形態でも同様である。
ここで、電動駆動モータ113により駆動されるプロペラ111の回転数の応答性及び制御精度は内燃機関に比較して非常に高い。この点は、米国特許明細書第6986688号に詳しく開示されており、この開示の範囲も本明細書の開示の範囲である。
航空機における機体進行方向の力のつり合いは、図3に示すように、
Da:機体抗力
Dp:プロペラ抗力
W:機体重量
θ:経路角
として、
W・sinθ=Dp+Da ・・・(1)
となる。
プロペラ抗力Dpが増加することで経路角θが増加するが、経路角θが大きくない通常の飛行状態では、機体揚力L(=1/2ρV2SCL)はWにほぼ等しく一定である。
プロペラ抗力Dpは既存の空力デバイスと異なり揚力係数CLに影響しない、すなわち対気速度Vに影響しない。
このとき、(1)式から、sinθ≒θの範囲ではプロペラ抗力Dpは経路角θに対し線形であり良好な制御性を有するとともに、対気速度Vを一定にできるので、経路角θに代わり降下率(=Vθ)も直接制御できる。
なお、駆動力演算部121において電流検出手段130で検出した電流からトルクを推定し、推進時には、駆動制御手段120の推力制御部123からからトルクの指令値をインバータ114に送るようにしてもよく、発電時にも、トルクとプロペラ抗力Dpの関係についてのデータ群を持ち、トルクの指令値をインバータ114に送るようにしてもよい。
また、本発明では、プロペラだけでなくファンにも適用できる。ここで、ファンとは、例えば、回転する動翼と動翼の下流に設置された静翼とそれらの外周を覆うダクトからなる推進装置である。
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図である。
図4に示すように、電動化航空機の推進駆動系210は、第1実施形態と同様に、プロペラ211は電動駆動モータ213により駆動され、あるいは、プロペラ211の回転により電動駆動モータ213が発電するように構成されている。
電動駆動モータ213は、蓄電池等からなる電源215から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源215に電力を供給し、その電力はインバータ214により制御される。
本実施形態では、さらに、プロペラ211が可変ピッチ機構212を備えた可変ピッチプロペラであり、可変ピッチ機構212は、離陸時に使用するピッチ角βTOより小さいピッチ角β0までピッチ角βを変化させることのできる機能を有している。
可変ピッチ機構は、プロペラスピナの内側に備えた油圧機構又は電動モータなどの駆動源により、プロペラブレードのピッチ軸を回転させることでβを調整する機構である。
また、駆動制御手段220は発電時においては、推力制御部223からインバータ214に発電力Pgen、可変ピッチ機構212にピッチ角βの目標値信号を送る。
プロペラ211を用いて発電を行う場合、図5に示すように、風車のようにピッチ角βを大きくしプロペラ211が推力を発生する状態とは逆回転させる(逆転)より、ピッチ角βを小さくしプロペラ211が推力を発生する状態と同じ方向に回転させる(正転)方が発電力Pgenの、あるピッチ角βにおける発電力最大値Pgmaxを大きくすることができる。
このため、プロペラ211を推進から発電に切り替えるとき、駆動制御手段220は、図6に示すような特性を用いて、可変ピッチ機構212に対しピッチ角βの目標値を減少させる指令を出し、回転方向を変化させず発電力最大値Pgmaxを大きく保つ。
特にピッチ角βを離陸時に使用するピッチ角βTOより小さいピッチ角β0にすることでより大きな発電力を得ることができる。
なお、推進時には、駆動制御手段220の推力制御部223から回転数あるいはトルクに応じた指令値をインバータ214に送るとともに、可変ピッチ機構212にピッチ角の目標値を送る。
(第3実施形態)
図7は本発明の第3実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図である。
図7に示すように、電動化航空機の推進駆動系310は、第2実施形態と同様に、プロペラ311は電動駆動モータ313により駆動され、あるいは、プロペラ311の回転により電動駆動モータ313が発電するように構成されている。
電動駆動モータ313は、蓄電池等からなる電源315から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源315に電力を供給し、その電力はインバータ314により制御される。
また、プロペラ311は可変ピッチ機構312を備えた可変ピッチプロペラであり、可変ピッチ機構312は、離陸時に使用するピッチ角βTOより小さいピッチ角β0までピッチ角βを変化させることのできる機能を有している。
本実施形態では、駆動制御手段320は、内部に、図8に示すような、個々の電動化航空機に特有の対気速度V、発電力Pgen、プロペラ抗力Dp、ピッチ角βの関係についてのデータ群を持ち、発電時においては、抗力演算部322が、データ群を用いて、回転数検出手段340で検出された回転数又は電流検出手段330で検出した電流で演算した電動駆動モータ313のトルクと気流検出手段350で検出された対気速度からプロペラ抗力を推定し、プロペラ抗力の指示値に応じて推力制御部323からインバータ314に発電力Pgen、可変ピッチ機構312にピッチ角βの目標値信号を送る。
ピッチ角β=β1、プロペラ抗力Dp=Dp0の時、駆動制御手段320はプロペラ抗力Dpを維持しつつピッチ角をβ1→β2に変化させ、その時の対気速度V及びプロペラ抗力Dp0に対し発電力Pgenを最大化する。
なお、推進時には、駆動制御手段320の推力制御部323から回転数あるいはトルクに応じた指令値をインバータ314に送るとともに、可変ピッチ機構312にピッチ角の目標値を送る。
(第4実施形態)
図9は本発明の第4実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系の説明図である。
図9に示すように、第4実施形態に係る電動化航空機の推進駆動系410は、第1実施形態と同様に、プロペラ411は電動駆動モータ413により駆動され、あるいは、プロペラ411の回転により電動駆動モータ413が発電するように構成されている。
電動駆動モータ413は、蓄電池等からなる電源415から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源415に電力を供給し、その電力はインバータ414により制御される。
本実施形態では、駆動制御手段420は、内部に、前述の図2に示すような個々の電動化航空機に特有の回転数Ngen、プロペラ抗力Dpの関係についてのデータ群、及び、対気速度Vと揚抗比L/Dに関するデータ群を持ち、発電時においては、抗力演算部422が、データ群を用いて、回転数検出手段440で検出された回転数又は電流検出手段430で検出した電流で演算した電動駆動モータ413のトルクと気流検出手段450で検出された対気速度からプロペラ抗力を推定し、推力制御部423からインバータ414に回転数Ngenの指令値を送る。
航空機における機体進行方向の力のつり合いは、前述の図3に示すように、
Da:機体抗力
Dp:プロペラ抗力
W:機体重量
θ:経路角
として、
θが小さいとき
θ=1/(L/D)+Da/W
となる。
したがって、スポイラや昇降舵などの既存空力デバイスを使用し揚抗比L/Dを変化させることで対気速度Vを調節した場合、駆動制御手段420はプロペラ抗力Dpを調節し経路角θを所望の値に補正することができる。
また、駆動制御手段420によって既存空力デバイスを変化させるとともに、プロペラ抗力Dpを制御することで、昇降率又は経路角と対気速度を独立に制御しつつ、発電効率を最適化することが可能となる。
なお、推進時には、駆動制御手段420の推力制御部423から回転数あるいはトルクに応じた指令値をインバータ414に送る。
以上のように、本発明によれば、電動化航空機の推進駆動系の高い応答性を活かして、昇降率又は経路角と対気速度を独立に制御し、かつ、発電による回生も可能となる。
さらに、前述の第3実施形態(可変ピッチ機構の制御を含むもの)及び第4実施形態(既存空力デバイスの制御を含むもの)を複合化させ、より精度が高く効率よいものとしてもよい。
また、電流検出手段、回転数検出手段、気流検出手段は、上記実施形態の図に示すようなものに限定されず、機能的に電流、回転数、気流が検知する手段であればいかなるものであってもよく、他のパラメータから演算で検知するものであってもよい。
(第5実施形態)
図10は本発明の第5実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図である。
図10に示すように、電動化航空機の操作システム510は、プロペラ511が電動駆動モータ513により駆動され、あるいは、プロペラ511の回転により電動駆動モータ513が発電するように構成されている。
電動駆動モータ513は、蓄電池等からなる電源515から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源515に電力を供給し、その電力はインバータ514により制御される。
駆動制御手段520は、内部に、図12に示す個々の電動化航空機に特有の対気速度V、プロペラ回転数N、トルクτ(プロペラ抗力)の関係についてのデータ群を持ち、気流検出手段530から得られた対気速度Vを用い、操作部としての操作手段540の操作位置検出センサ541によって指示された抗力指令値Dpに対応したトルク指令値τgenを算出しインバータ514に入力する。
操作手段540は、図11に示すように、レバースリット544に案内され前後に揺動可能に支持された操作部材であるレバー542と、該レバー542の揺動位置を検出する2個の操作位置検出センサ541とを備えている。
2個の操作位置検出センサ541は、レバー542と一体に回動するプーリ543に掛け回されたワイヤ546の変位を検出するものであり、正負逆に検出するように配置されている。
プロペラ抗力Dpは、2個の操作位置検出センサ541のセンサ出力の差の増加関数で指示される。
また、操作手段540は不良検知機構を有しており、センサ出力の和を監視して、ある値を超えた場合に、いずれかのセンサが故障したと判断する。
パイロット等の操作者は、レバー542を前後に操作して、プロペラ推力T又は抗力Dpを増減する。
レバー542の前後の動作を案内するレバースリット544には所定位置にストッパ部545が設置されている。
この所定位置で、モータ出力P=0(ニュートラル位置)となるように設定され、この位置からP<0の発電状態に遷移する際には、レバー542はストッパ部545で一度止まる構成になっており、この位置でレバー542を横に動かすなどのストッパ部545を通過する別途の動作が要求される。
このことで、操作者の誤操作による意図しない発電状態への遷移を防止することができる。
(第6実施形態)
図13は本発明の第6実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図である。
図13に示すように、この電動化航空機510Aは、プロペラ511Aにより推進する航空機であり、プロペラ511Aはインバータ514Aにより制御される電動駆動モータ513Aにより駆動される。
回生を行う際にインバータ514Aは、回生電力Pgen又は回生トルクτgenを操作装置540Aの操作量に応じて駆動制御手段520Aで生成された目標値に一致するよう制御する。
ある対気速度Uにおいてプロペラの回生する電力Pgenが最大値Pmaxとなるとき、進行率Jは、下記の式で定義される。

J=U/Nd=Jpmax

J:進行率
U:対気速度
:プロペラの回転数
d:プロペラの直径

この進行率Jは、図14に示すように、対気速度Uによらず、プロペラ形状・ピッチ角によって一定の値JPmaxとなる。
この進行率Jの関数であるパワー係数Cは、以下の式で定義される。

pmax=Pmax/ρN d =2πτPmax/ρN d

進行率Jが一定であるため、パワー係数Cも対気速度Uによらず一定(Cpmax)となるため、このときの回生トルクτPmax
τPmax=2πCpmaxρN d
と示されるように、プロペラの回転数Nの2乗に比例し、その結果プロペラの回生する電力の最大値PmaxはNの3乗に比例する。
従って、例えば駆動制御手段520Aからの回生トルクτgenの目標値を上式のτPmaxに操作装置540Aの操作量に応じてτPmaxを上限として比例した或いはそれよりもやや小さい値とすれば、時々刻々変化する対気速度Uを検知しなくとも、回生トルクτgenが回生可能な範囲を逸脱することでプロペラの回転を不安定にすることなく、プロペラの回生する電力Pgenひいてはプロペラの抗力Dの制御範囲を最大化することができる。
以上、対気速度(動圧)によって回生可能な電力が異なるため、対気速度が変化した場合には回生電力が十分でない又はプロペラが不安定な状態となる。このため一般的には対気速度検知手段が必要となると考えられる。しかしながら、この第5実施形態によれば、電動駆動モータ513Aの発電電力をモータ回転数の3乗に比例、又は発電時のモータトルクをモータ回転数の2乗に比例させた値として操作することで、対気速度(動圧)を検知しなくとも、回生電力を最大化することができる。すなわち、この第5実施形態によれば、回生電力が最大となる進行率をとるよう、回生トルクをその時の回転数に合わせ調整することで、対気速度によらず回生電力を最大化できると共に制御可能なプロペラ抗力の範囲も広くとることができる。
(第7実施形態)
図15は本発明の第7実施形態に係る電動化航空機の操作システムの説明図である。
図15に示すように、電動化航空機の操作システム610は、第1実施形態と同様に、プロペラ611は電動駆動モータ613により駆動され、あるいは、プロペラ611の回転により電動駆動モータ613が発電するように構成されている。
電動駆動モータ613は、蓄電池等からなる電源615から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源615に電力を供給し、その電力はインバータ614により制御される。
操作手段640は、前述の図11に示すものと同様なので、図示及び説明は省略する。
駆動制御手段620は、内部に、図16に示す個々の電動化航空機に特有の対気速度V、プロペラ回転数N、モータ出力Pの関係についてのデータ群を持ち、気流検出手段630から得られた対気速度Vを用い、操作手段640の操作位置検出センサ541によって指示された出力指令値Pgenに対応した回転数指令値Ngenを算出しインバータ614に入力する。
例えば対気速度V=25m/sにおいて、プロペラ611のトルクτは回転数N=9rps付近で最小値を取るが、回転数指示値Ngenがこれ未満の時、インバータ614がトルク制御を行う場合には電動駆動モータ613が回転数Ngenを維持できず、最悪プロペラ611が停止してしまう。
加えてプロペラ611に効果的に発電をさせるためには、図16の矢印に示した回転数制御範囲で回転数を維持するのが望ましく、図16に示す不安定領域でプロペラを動作させるメリットは薄い。
これに対応して、駆動制御手段620が対気速度Vの値に応じ、回転数Nの制御範囲を算出し、対応するモータ出力Pの範囲に出力指示値の設定範囲を変化させることでプロペラ611の不安定領域での動作を防止することができる。
以上のように、本発明によれば、電動化航空機の推進駆動系の高い応答性を活かして、昇降率又は経路角と対気速度を独立に制御でき、容易に、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に応答よく制御することができるとともに、操作手段を操作して、降下時や上昇気流中に発電電力を目標に制御することが可能となる。
なお、電流検出手段、回転数検出手段、気流検出手段は、機能的に電流、回転数、気流が検知できる手段であればいかなるものであってもよく、他のパラメータから演算で検知するものであってもよい。
(第8実施形態)
図17は本発明の第8実施形態に係る電動化航空機の表示システムの説明図である。
図17に示すように、電動化航空機の表示システム710は、プロペラ711は電動駆動モータ713により駆動され、あるいは、プロペラ711の回転により電動駆動モータ713が発電するように構成されている。
電動駆動モータ713は、駆動制御手段712により制御されて、蓄電池等からなる電源716から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源716に電力を供給する。
駆動制御手段712は電源716から操作手段714の入力に対応した電力を電動駆動モータ713に供給し、モータ電流Iからトルクτを推定し、別途得られた回転数Nから現在の運用点におけるモータ出力Pを算出する。
また、駆動制御手段712は気流検出手段715から得られた対気速度U、対気密度ρの情報、あらかじめ備えた回転数Nとトルクτに関するデータ群及び、図18に示すモータ出力可能領域に関するデータ群から対気速度U、対気密度ρにおける最大出力点におけるモータ出力Pmaxを推定する。
表示部としての情報表示手段720は現在のモータ出力Pだけでなく、モータ出力Pの最大値Pmaxに対する割合を図19(a)、(b)のように百分率で表示することでパイロットに現在の飛行状態における出力余裕を直感的に通知することができ、効率的かつ安全な飛行をすることができる。
また、航空機の上昇率は利用馬力Pηpに対し線形に増加し、これは図20に示すように電流Iの増加関数であると同時に、図21に示すように、電動駆動モータ713や電源716などは電流Iによって温度上昇率∂T/∂tが大きく変化する。
このため、推進系の温度Tを適切な範囲に保つ上で、時々刻々変化する温度Tに応じて電流Iやモータ出力Pの許容値あるいはある一定時間維持可能な値の範囲をパイロットに通知することは、安全余裕を把握する上で非常に重要である。
しかし、一般に航空機は機体の安全を確保する上で離陸後ある高度Hthまで早急に上昇しなければならず、このとき推進系は温度Tによらず最大出力を維持する必要がある。
そこで、機体高度検出手段717から得られた機体高度Hの情報から、機体高度H>Hthであるときは、図19(a)から温度Tによってモータ出力Pあるいは電流Iの維持可能な値の範囲が変化する図19(c)のように切り替えることで、どの飛行状態においても推進系出力の安全余裕がパイロットにとって明確になり、意図せず温度超過に陥るなどの不具合を防止することができる。
(第9実施形態)
図22は本発明の第9実施形態に係る電動化航空機の表示システムの説明図である。
図22に示すように、電動化航空機の表示システム810は、電動駆動モータ813と内燃機関830とのハイブリッド型の航空機の表示システム810であり、プロペラ811は電動駆動モータ813あるいは内燃機関830により駆動され、プロペラ811の回転により電動駆動モータ813が発電するように構成されている。
内燃機関830は、操作手段814により制御され、電動駆動モータ813は、駆動制御手段812により制御されて、蓄電池等からなる電源816から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源816に電力を供給する。
駆動制御手段812はプロペラ811を用いて発電した場合には操作手段814の入力に対応した電力を電動駆動モータ813から電源816へ充電するとともに、モータ電流Iからトルクτを推定し、別途得られた回転数Nから現在の運用点におけるモータ出力Pを算出する。
また、駆動制御手段812は気流検出手段815から得られた対気速度U、対気密度ρの情報、あらかじめ備えた回転数Nとトルクτに関するデータ群及び図23に示すプロペラ811のエネルギー回生特性に関するデータ群から対気速度U、対気密度ρにおける最大回生出力(電力)Pmaxを推定する。
情報表示手段820は現在のモータ出力Pだけでなく、モータ出力Pの最大値Pmaxに対する割合を図24(a)のように百分率で表示することでパイロットに現在の飛行状態における回生電力の余裕を直感的に通知することができ、効率的に飛行かつワークロードを軽減できる。
また、一般にプロペラ811及び電動駆動モータ813を用いて回生した電力を電源816に充電する場合、電源816のState Of Charge(SOC)が高い場合には過充電を避けるため、安全上充電電力Pinを、図25に示すように、SOCが低い場合に比べ小さく抑える必要があるが、このような充電電力Pinの許容範囲はSOCをモニタしているだけではパイロットには容易に把握することができず、不用意な操作により意図せぬ過充電状態を発生させる危険がある。
こういった事態を避けるため、本発明では駆動制御手段812は電圧や電流量などから電源816のSOCをモニタし、充電電力Pinの許容範囲を図24(b)のように赤あるいは黄(図では制約上、グレースケールで表す)などの色で明示し、時々刻々変化するSOCの値によりこれらの表示を変化させることで、どの飛行状態においても回生電力の安全余裕をパイロットに直感的に通知することができ、上記危険を防止することができる。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態に係る電動化航空機の表示システムは、図17に示した第8実施形態と同様である。
電動化航空機の表示システム910は、図17に示したように、第8実施形態と同様に、プロペラ711は電動駆動モータ713により駆動され、あるいは、プロペラ711の回転により電動駆動モータ713が発電するように構成されている。
電動駆動モータ713は、駆動制御手段712により制御されて、蓄電池等からなる電源716から供給される電力により駆動され、あるいは、発電により電源716に電力を供給する。
駆動制御手段712はプロペラ711を用いて発電した場合には操作手段714の入力に対応した電力を電動駆動モータ713から電源716へ充電するとともに、モータ電流Iからトルクτを推定し、別途得られた回転数Nから現在の運用点におけるモータ出力Pを算出する。
また、駆動制御手段712は気流検出手段715から得られた対気速度V、対気密度ρの情報、あらかじめ備えた回転数Nとトルクτに関するデータ群及び図26に示す回転数N、プロペラ抗力Dpの関係についてのデータ群を持ち、発電時においては電動駆動モータ713に回転数N又はトルクτの指令値を送りプロペラ抗力Dpを算出する。
図3に示したように、航空機100の降下時にエネルギー回生をした場合の機体進行方向の力のつり合いは、
Da:機体抗力、W:機体重量、θ:経路角として、
Wsinθ=Dp+Da
となり、プロペラ抗力Dpが増加することで経路角θが増加するが、経路角θが極端に大きくない通常の飛行状態では、プロペラ抗力Dpは揚力Lに影響しない、すなわち対気速度Vに影響しない。
このとき、次の式1から、プロペラ抗力Dpは経路角θに対し線形であり、プロペラ抗力Dpを算出することで経路角θを即座に推定できる。
推定された経路角θに基づき、降下率Vθを表示させパイロットに応答よくフィードバックすることで機体を安全に制御できる。
また、航空機が着陸降下する際、一般にはある高度Hth以下では、安全上降下率Vθがある値以下を維持するよう要求されており、パイロットが不用意にプロペラ抗力Dpすなわち降下率Vθを増して意図せず高度を失うことのないように、プロペラ抗力Dp、降下率Vθ又はこれらに対応した回生電力Pshなどの制限値をパイロットに明確に通知する必要がある。
そこで本実施形態では、駆動制御手段712は機体高度検出手段717から得た高度情報に基づき、回生電力Pshの許容範囲を図27(a)、(b)のように赤あるいは黄(図では制約上、グレースケールで表す)などの色で明示し、時々刻々変化する高度によりこれらの表示を変化させることで、どの飛行状態においても回生電力Pshの安全余裕をパイロットに直感的に通知することができ、上記危険を防止することができる。
さらに、本発明に係る表示システムにおける、電動推進系の運転状態を総合的に表示する情報表示手段の一実施例を、図28に示す。
左上方には、電動駆動モータの出力の状態を「PWR」(プラス領域:推力制御)、「NTL」(中立)及び「RGN」(マイナス領域:回生制御あるいはプロペラ効力制御)のいずれであるかを表示している。
左下方には、モータ温度、バッテリ温度及び冷却水温度の実際値を表示している。
中央のメーター表示では、電動駆動モータの出力(PWR)、バッテリ容量(Battery)及び充電状態(FLW)のグラフを表示している。
電動駆動モータの出力(PWR)のグラフでは、マイナス領域(回生領域)において、現在の値(現在の回生量)の他に、安全に回生できる最大値も表示され、回生可能範囲を容易に認識できる。
この表示では、次のような処理がなされる。
まず、対地高度との関係では、回生の出力値は対地高度の増加関数であり、SOCの減少関数である。
すなわち、高度が高ければ高い程、SOCが低ければ低い程、回生可能範囲が広がり、可能範囲が広い。
また、昇降率との関係では、回生の出力値は、水平飛行中のプラスの昇降率(上昇気流)の増加関数である。
そこで、回生可能範囲を以下の計算式で計算し、その範囲を表示する。
回生可能範囲[%]=Psh/Pref(h,SOC,VS)×100
Psh:出力
Pref:出力制限値
h:対地高度
VS:水平飛行中のプラスの昇降率(上昇気流)
以上のように、本発明によれば、電動化航空機の推進駆動系の高い応答性を活かして、昇降率又は経路角と対気速度を独立に制御でき、容易に、推進駆動系の抗力を操作して経路角及び降下率を速度とは独立に応答よく制御することができるとともに、安全に制御するために必要な情報を、誤認を抑制し平易に通知することが可能となる。
なお、電流、回転数、トルク等の検出機構や、気流検出手段、機体高度検出手段は、機能的に検知できる手段であればいかなるものであってもよく、他のパラメータから演算で検知するものであってもよい。
100 ・・・ 電動化航空機
110、210、310、410 ・・・ 推進駆動系
111、211、311、411 ・・・ プロペラ
212、312 ・・・ 可変ピッチ機構
113、213、313、413 ・・・ 電動駆動モータ
114、214、314、414 ・・・ インバータ
115、215、315、415 ・・・ 電源
120、220、320、420 ・・・ 駆動制御手段
121、221、321、421 ・・・ 駆動力演算部
122、222、322、422 ・・・ 抗力演算部
123、223、323、423 ・・・ 推力制御部
130、230、330、430 ・・・ 電流検出手段
140、240、340、440 ・・・ 回転数検出手段
150、250、350、450 ・・・ 気流検出手段
510、510A、610 ・・・ 操作システム
511、511A、611 ・・・ プロペラ
513、613 ・・・ 電動駆動モータ
514、514A、614 ・・・ インバータ
515、515A、615 ・・・ 電源
520、520A、620 ・・・ 駆動制御手段
530、630 ・・・ 気流検出手段
540、540A、640 ・・・ 操作装置
541 ・・・ 操作位置検出センサ
542 ・・・ レバー(操作部材)
543 ・・・ プーリ
544 ・・・ レバースリット
545 ・・・ ストッパ部
546 ・・・ ワイヤ
710、810、910 ・・・ 表示システム
711、811 ・・・ プロペラ
712、812 ・・・ 駆動制御手段
713、813 ・・・ 電動駆動モータ
714、814 ・・・ 操作手段
715、815 ・・・ 気流検出手段
716、816 ・・・ 電源
717、817 ・・・ 機体高度検出手段
720、820 ・・・ 情報表示手段
830 ・・・ 内燃機関

Claims (16)

  1. 推進用の可変ピッチのプロペラ又はファンと、
    前記プロペラ又はファンを回転駆動し、前記プロペラ又はファンの回転により発電する電動駆動モータと、
    前記プロペラ又はファンを発電時と推進時とで同じ回転方向に回転させ、発電時に前記プロペラ又はファンのピッチ角を推進時よりも浅く、かつ、より大きな発電力を得るために離陸時に使用するピッチ角より浅くするように制御する制御部と
    を具備する電動化航空機。
  2. 推進用の可変ピッチのプロペラ又はファンと、
    前記プロペラ又はファンを回転駆動し、前記プロペラ又はファンの回転により発電する電動駆動モータと、
    前記プロペラ又はファンを発電時と推進時とで同じ回転方向に回転させ、発電時に前記プロペラ又はファンのピッチ角を推進時よりも浅くする又は推進時より回転数を低くするように制御する制御部と
    前記電動駆動モータによるモータ出力を操作し、前記電動駆動モータのトルク又は発電電力をモータ出力の負の値として操作する操作部と
    を具備する電動化航空機。
  3. 請求項1又は2に記載の電動化航空機であって、
    前記制御部は、前記プロペラ又はファンを推進時と同じ方向に回転させ発電する場合と、推進時と逆方向に回転駆動させる場合を共に含む範囲まで前記電動駆動モータのトルクを制御する
    電動化航空機。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電動化航空機であって、
    主翼又は尾翼に装備された空力デバイスを操作して電動化航空機の対気速度を前記プロペラ又はファンの回転数及び回転方向と独立に制御する機能を有する
    電動化航空機。
  5. 請求項に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部は、前記電動駆動モータの発電電力をモータ回転数の3乗に比例、又は発電時のモータトルクをモータ回転数の2乗に比例させた値として操作する電動化航空機。
  6. 請求項又は5に記載の電動化航空機であって、
    対気速度又は動圧を検出する気流検知部を更に有し、
    前記操作部によりモータ出力が負の値として操作されたときに、前記検出された対気速度又は動圧に応じて、前記電動駆動モータの出力を増減させる
    電動化航空機。
  7. 請求項2、5、6のうちいずれか1項に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部は、単一の操作部材からなる
    電動化航空機。
  8. 請求項7に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部は、前記操作部材を所定位置から所定方向及び逆方向に動作可能に構成され、
    前記操作部材の前記所定方向への動作に対して前記電動駆動モータの出力を増加させ、
    前記操作部材の前記逆方向への動作に対して前記電動駆動モータの出力を負の値を含んで減少させる
    電動化航空機。
  9. 請求項8に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部材を前記電動駆動モータの出力が負の値を含んで減少させる方向に操作し、同じ方向にさらに操作した場合に、モータを推進状態と逆方向に回転させる領域でモータ出力を増す
    電動化航空機。
  10. 請求項8又は9に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部は、前記操作部材を前記所定位置から前記逆方向に動作させた際に、操作者に付加動作を要求する誤操作防止機構を有する
    電動化航空機。
  11. 請求項7〜10のうちいずれか1項に記載の電動化航空機であって、
    前記操作部は、前記操作部材の位置を検出する複数の操作位置検出センサと、前記複数の操作位置検出センサの出力とを比較して操作位置検出センサのいずれかが不良であることを検知する不良検知機構とを有する
    電動化航空機。
  12. 請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の電動化航空機であって、
    前記電動駆動モータのトルク又は発電電力をモータ出力の負の値として表示する表示部
    を更に具備する電動化航空機。
  13. 請求項12に記載の電動化航空機であって、
    前記表示部は、前記電動駆動モータの発電により回収される回生エネルギーの回収可能な範囲を表示する
    電動化航空機。
  14. 請求項12又は13に記載の電動化航空機であって、
    前記表示部は、その時点で推定される前記電動駆動モータの発電電力の最大値、モータ軸入力の最大値、電流の最大値及びトルクの最大値、発電時の抗力の推定値、機体昇降率の推定値、経路角の推定値及び揚抗比の推定値の少なくとも1つ以上の値又はその加工情報を表示する
    電動化航空機。
  15. 請求項12〜14のうちいずれか1項に記載の電動化航空機であって、
    前記電動駆動モータの温度を検出するためのモータ温度検出手段、当該電動化航空機が搭載するバッテリの温度を検出するためのバッテリ温度検出手段及び前記電動駆動モータより流れる電流を検出するための電流検出手段のうち少なくとも1つを備え、
    前記表示部は、前記モータ温度検出手段、前記バッテリ温度検出手段及び/又は前記電流検出手段から得られたデータに基づいた表示をする電動化航空機。
  16. 推進用の可変ピッチのプロペラ又はファンを回転駆動し、前記プロペラ又はファンの回転により発電する電動化航空機にあって、
    前記プロペラ又はファンを発電時と推進時とで同じ回転方向に回転させ、
    発電時に前記プロペラ又はファンのピッチ角を推進時よりも浅く、かつ、より大きな発電力を得るために離陸時に使用するピッチ角より浅くするように制御する
    電動化航空機の回生電力の制御方法。
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