JP6541099B2 - ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法及びそれを含むマットの製造方法 - Google Patents

ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法及びそれを含むマットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)(Poly(p-phenylene benzobisoxazole)、以下、「PBO」ということもある。)繊維及びその製造方法に関する。また、当該PBO繊維を含むマット及びその製造方法に関する。
PBOは分子鎖の折れ曲がりが極めて制限された剛直高分子であり、かかる剛直分子鎖によって形成されるPBO繊維は優れた力学的性質及び高耐熱性を有することから、このような高性能を生かすことのできる様々な特殊用途に用いられている。現在市販されているPBO繊維はポリリン酸などの酸を溶媒とする紡糸ドープを紡糸口金から紡出して製造されている。
例えば、特許文献1には、小角X線散乱が二点干渉像を示し、密度が1.55以上であることを特徴とする高弾性率PBO繊維が記載されていて、産業用資材として好適な高強度、高弾性率のPBO繊維が提供されることが記載されている。このPBO繊維は、PBOとポリリン酸からなる紡糸ドープを、特定の紡糸条件で紡糸口金から非凝固性の気体中に押し出して、得られた紡出糸を抽出浴中に導入して糸条が含有するリン酸を抽出した後、乾燥、巻取りを行ない、次いで張力下に熱処理することによって得られると記載されている。
特許文献1に記載されたPBO繊維は、紡糸口金から連続的に押し出された紡出糸を凝固させて得られるものであり、製造工程での糸切れを防止する観点から、細径の繊維を製造することは容易ではなかった。例えば、特許文献1の実施例では、孔数167の紡糸口金から紡糸して、約250デニールのマルチフィラメントを得ている。このときの単糸繊度は約1.5デニールであり、密度1.56として計算すれば、円相当の直径は約12μmとなる。一般に、このような連続紡糸方法では直径10μm以下の単繊維を得ることは容易ではなく、単繊維径が5μm以下の極細繊維を得ることは現実的ではない。
特開平8−325840号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、従来の紡糸方法では製造することのできなかった細いPBO繊維を提供することを目的とするものである。また、そのようなPBO繊維を容易に製造することのできる製造方法を提供することを目的とするものである。さらに、そのようなPBO繊維を含むマット及びその製造方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)が完全に溶解した溶液を、0.2℃/分以上の速度で、第1温度よりも1℃以上低い第2温度まで冷却することにより、長手方向に直交する寸法が1μm以下である繊維を析出させる冷却ステップを備えてなる、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法を提供することによって解決される。ここで、第1温度とは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)が完全に溶解した上記溶液を0.1℃/分の速度で冷却したときに、該溶液が白く濁る温度(℃)のことをいう。
このとき、前記溶液が、硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸、金属ハロゲン化物ルイス酸を含む有機溶媒、からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶媒とする溶液であることが好ましい。前記溶液中のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)の濃度が0.0001〜10重量%であることも好ましい。また、前記冷却ステップにおいて前記溶液を攪拌しながら冷却することも好ましい。
また上記課題は、長手方向に直交する寸法が1nm〜1μmであり、長手方向に沿った寸法が1μm以上であり、アスペクト比が2以上であり、かつ繊維の長手方向に分子鎖が配向している、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維を提供することによっても解決される。
本発明の好適な実施態様は、上記ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維を含むポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)マットである。当該マットの弾性率が1GPa以上であり、破断強さが50MPa以上であり、かつ多孔質であることが好ましい。このマットの好適な製造方法は、複数のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維を加圧してマットを形成する方法であり、より好適には、前記ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の懸濁液を濾別して得られた濾過残を加圧する方法である。このとき、前記懸濁液をホモジナイザー処理してから濾別することが好ましい。また、本発明の好適な実施態様は、前記製造方法により製造された複数のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維を加圧してマットを形成する、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)マットの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、従来の紡糸方法では製造することのできなかった細いPBO繊維を提供することができる。こうして得られるPBO繊維は、繊維方向に分子鎖が配向している。そして、このPBO繊維を含むマットは、多孔質でありながら、高強度、高弾性率であり、耐熱性にも優れている。
本発明のPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法を示すフローチャート図である。 図1に続く、本発明のPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法を示すフローチャート図である。 PBOマットの作製方法を示す図である。 PBO繊維のSEM写真である。 PBO繊維のTEM写真である。 PBO繊維のTEM写真(電子線回折像付き)である。 ホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマットの光学顕微鏡写真である。 紫外可視分光光度測定のチャートである。 PBOマットの熱重量分析チャートである。 PBOマットのSEM写真である。 PBOマットの貯蔵弾性率の温度依存性を示すグラフである。 PBOマットの面に平行な方向からX線を照射し、マットの厚み方向に反射したX線の回折パターンである。 PBOマットの面に平行な方向からX線を照射し、面内方向に反射したX線の回折パターンである。
本発明の製造方法は、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)の溶液を冷却ステップにて冷却することで、長手方向に直交する寸法が1μm以下であるPBO繊維(PBOナノファイバー)を析出させる、PBO繊維の製造方法である。
本製造方法に用いる原料としてのPBOは、様々なものを用いることができ、特に限定されるものではない。
本製造方法に用いるPBO溶液の調製に用いる溶媒は、PBOを許容しうるよりも変質させたりするものではなく、PBOを十分溶解させると共にPBOの溶解度が温度が低くなるにつれて小さくなるものであればよく何ら限定されるものではない。
本製造方法に用いるPBO溶液のPBO濃度は、あまり低いと本製造方法により得られるPBOが少なくなるし、あまり高いと液晶になったり溶解しなくなったりすることで本製造方法をうまく行うことができなくなるので、これらを両立する範囲とすることが好ましい。通常、下限として好ましくは0.0001重量%以上であり、上限として好ましくは10重量%以下である。なお本発明において、重量%を「wt%」ということがある。
前記冷却ステップでは、前記PBO溶液を第2温度まで冷却する。第2温度は、PBO溶液を冷却することでPBOの固体が析出する温度である第1温度よりも1℃以上低い温度である。冷却ステップにおいてはPBO溶液を第2温度まで冷却することでPBOナノファイバー(PBO繊維)を液中に析出させる。ここで、第1温度とは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)が完全に溶解した上記溶液を0.1℃/分の速度で冷却したときに、該溶液が白く濁る温度(℃)のことをいう。
また、冷却ステップにおいては、撹拌は必ずしも必要ではないが、PBO溶液を素早く均一に冷却するためには撹拌するのが好ましい。
本製造方法において製造されるPBOナノファイバー(PBO繊維)は、長手方向に直交する寸法(長手方向に対する垂直な断面における最大の寸法)が小さい方が、1)比表面積が大きいこと;2)ナノサイズ効果(繊維がナノサイズの太さを持つ(繊維が細い)ことから生じる効果をいい、具体的には、流動する流体の中に繊維が置かれた際に繊維により生じる圧力損失が低いといった「流体力学特性」や、繊維によって光の乱反射が減少するといった「光学特性」、そして繊維の表面積が増加することで界面が増えるといったこと等を挙げることができる。);及び3)分子が配向しやすい、高配向効果(PBOナノファイバー(PBO繊維)が優れた力学的性質及び高耐熱性を有する)の観点から好ましい。当該寸法は1μm以下であり、より好ましくは500nm以下であり、最も好ましくは100nm以下である(下限は特にないが、通常は1nm以上である。)
本製造方法において製造されるPBOナノファイバー(PBO繊維)の用途としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリビニルアルコール及びエポキシ樹脂といった樹脂材料に添加することで補強フィラーとして使用できるし、後述の通り、多孔性のPBOマットの原料とすることもできる。
本製造方法においては、冷却ステップにおける前記溶液の冷却速度は毎分0.2℃以上である。冷却ステップにおける前記溶液(PBO溶液)の冷却速度は、あまり小さいと異なる形態の結晶(PBOナノファイバー(PBO繊維)とは異なるもの)が得られるので、通常、下限として好ましくは毎分40℃以上であり、より好ましくは毎分80℃以上である。
本製造方法においては、第1温度から第2温度の差が1℃以上である。第1温度T1から第2温度T2までの温度差(T1−T2)は、あまり小さいと異なる形態の結晶(PBOナノファイバー(PBO繊維)とは異なるもの)が得られるので、通常、下限として好ましくは10℃以上であり、より好ましくは30℃以上である。なお、第1温度T1は、オイルバス中で完全にPBOを溶解後0.1℃/分の速度で降温し、徐冷結晶化物を作製した際に、目視により溶液が白く濁る温度を第1温度T1とした。
本製造方法においては、前記溶液(PBO溶液)が、硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸、金属ハロゲン化物ルイス酸を含む有機溶媒よりなる群より選ばれる1又は2以上の混合物の溶液であることが好ましい。上述の如く、本製造方法に用いるPBO溶液の調製に用いる溶媒は、PBOを許容しうるよりも変質させるものではなく、PBOを十分溶解させることができると共にPBOの溶解度が温度が低くなるにつれて小さくなるものを広く用いることができるが、硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸、金属ハロゲン化物ルイス酸を含む有機溶媒(例えば、AlCl3を含むニトロメタンなど。参考文献:Samson.A.J., Paul.O.J., Macromolecules, 23, 4419-4429 (1990))等のような酸を用いることが好ましい。とりわけ硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸よりなる群より選ばれる1又は2以上の混合物を用いれば、PBOの溶解性が高いので好ましい。
上記製造方法によって好適に製造される本発明のPBOナノファイバー(PBO繊維)は、長手方向に直交する寸法(長手方向に対する垂直な断面における最大の寸法)が小さい方が、1)比表面積が大きいこと;2)ナノサイズ効果(繊維がナノサイズの太さを持つ(繊維が細い)ことから生じる効果をいい、具体的には、流動する流体の中に繊維が置かれた際に繊維により生じる圧力損失が低いといった「流体力学特性」や、繊維によって光の乱反射が減少するといった「光学特性」、そして繊維の表面積が増加することで界面が増えるといったこと等を挙げることができる。);3)分子が配向しやすい、高配向効果(PBOナノファイバー(PBO繊維)が優れた力学的性質及び高耐熱性を有する)の観点から好ましい。具体的には、長手方向に直交する寸法が1μm以下であり、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、最も好ましくは100nm以下である(下限は特にないが、通常は1nm以上である。)。
本発明のPBO繊維は、繊維の長手方向に分子鎖が配向しているものである。これによって、PBO分子鎖の特徴を顕著に表す(例えば、優れた力学的性質及び高耐熱性を有する)という利点が得られる。このように繊維の長手方向に分子鎖が配向するPBO繊維は本製造方法によってうまく製造することができる。例えば、第1温度よりも少し高い温度で等温下に長時間放置してもPBOの固体は析出するが、この場合には、PBO分子鎖は本発明のPBO繊維とは異なる配向を示す。したがって、本発明の製造方法にように、第1温度よりも低い温度まで急速に冷却することが重要である。なお、ここにいう「PBO繊維の長手方向に分子鎖が配向している」ことは、具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られる電子線回折像により判断できる。
本発明のPBO繊維のアスペクト比は2以上である。PBO繊維のアスペクト比は大きい方が、1)比表面積が大きいこと;2)ナノサイズ効果(繊維がナノサイズの太さを持つ(繊維が細い)ことから生じる効果をいい、具体的には、流動する流体の中に繊維が置かれた際に繊維により生じる圧力損失が低いといった「流体力学特性」や、繊維によって光の乱反射が減少するといった「光学特性」、そして繊維の表面積が増加することで界面が増えるといったこと等を挙げることができる。)が得られること;3)分子が配向しやすい、高配向効果(PBOナノファイバー(PBO繊維)が優れた力学的性質及び高耐熱性を有する)が得られること;4)樹脂材料に添加する補強フィラーとして用いた時に顕著に物性が向上すること等から好ましく、かかる点からアスペクト比は好ましくは50以上であり、より好ましくは100以上である。なお、アスペクト比は、PBO繊維の長手方向に沿った長さLと、該長手方向に対する垂直な断面における最大の寸法D(該断面において内部を通過する最も長い線分の長さをいう。)との比率(L/D)をいう。
本発明のPBO繊維の、長手方向に沿った寸法が100nm以上であることが好ましい。PBO繊維の長手方向に沿った寸法Lは大きい方がアスペクト比を増加させる点から好ましく、かかる点から好ましくは1μm以上である。
本発明の好適な実施態様は、上記PBO繊維を含むPBOマットである。当該マットにおいて、弾性率は1GPa以上であることが好ましい。降伏強さが50MPa以上あることも好ましい。破断強さが50MPa以上であることも好ましい。破断伸度が10%以下であることも好ましい。また、多孔質であることも好ましい。
当該マットの好適な製造方法は、複数のPBO繊維を加圧してマットを形成するPBOマットの製造方法である。製造するPBOマットの形状に合わせて複数のPBO繊維を敷き詰めたものを加圧することで、該複数のPBO繊維同士を接合させPBOマットを形成することができる。これにより、特に接着剤を用いることなく、極めて強度の高い、多孔質のマットを得ることができる。
好適な製造方法は、PBO繊維の懸濁液を濾別して得られた濾過残を加圧する方法である。このとき、当該懸濁液をホモジナイザー処理してから濾別することが好ましく、減圧濾過することも好ましい。ホモジナイザー処理することによって均質な懸濁液を得ることができ、結果として、凝集のない均質なマットを製造することができる。また、ホモジナイザー処理することによって、得られるマットの弾性率、降伏強さ、破断強さ及び破断伸度のいずれもが向上する。
本発明のPBOマットは、複数のPBOナノファイバーが互いに絡まって形成されているので多数の微細穴を有することからフィルター(例えば、高温にて使用されるフィルター)として用いることや、空隙内に高分子を含浸させて高分子複合体として用いることができる。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げる。しかしながら、これら実施例によって本発明は何ら制限されるものではない。
図1は、本発明のPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法を示すフローチャート図である。図1を参照して、本製造方法について説明する。
まず、用いるPBO試料(A)を準備する。本製造方法に用いるPBO試料(A)は、いかなるPBOを用いてもよく、例えば、自ら合成したPBOを用いても、又は市販されているPBOを用いてもよい。PBOの合成は既報(例えば、J.F.Wolf, F.E.Arnold, Macromolecules, 14, 909 (1981))に従い、ポリリン酸を重合溶媒に用い、下の(化1)の通り、4,6−ジアミノレゾルシノールとテレフタル酸とを縮合重合させることで調製できる。また、市販されているPBOとしては、例えば、東洋紡績株式会社製の商品名「ザイロン」等を用いてもよい。ここではPBO試料(A)として、自ら合成したPBO(固有粘度10.7[dL/g]、重量平均分子量16600、重合度71、平均分子鎖長73[nm])を用いた。
かかるPBO試料(A)を100mgを100mlのナスフラスコ11に装入した後、56.25gの98重量%の硫酸(B)をナスフラスコ11へ注入した(ステップS1)。PBO試料(A)及び98重量%硫酸(B)を装入したナスフラスコ11を窒素雰囲気下(硫酸の吸湿防止目的)で120℃のオイルバス13に入れて加熱し(ステップS3)、ナスフラスコ11中のPBO試料(A)を完全に溶解させた。ステップS3によりPBO試料(A)を完全に溶解させた後、43.75gの90重量%の硫酸(C)をナスフラスコ11へ注入し(ステップS5)、ナスフラスコ11中の硫酸濃度を94.5重量%及びPBO濃度を0.1重量%とした(こうすることでナスフラスコ11中にはPBOの析出が観察された。)。ステップS5によりナスフラスコ11中にPBOが析出したので、再びナスフラスコ11を窒素雰囲気下(硫酸の吸湿防止目的)で120℃のオイルバス13に入れて加熱し(ステップS7)、ナスフラスコ11中のPBOを完全に溶解させた。
ここにPBO試料(A)をまず98重量%の硫酸(B)に溶解(ステップS1、S3)させた後、90重量%の硫酸(C)に溶解(ステップS5、S7)させて硫酸濃度94.5重量%及びPBO濃度0.1重量%としたのは、PBOの劣化(分子量低下)を抑えつつPBOを短時間で硫酸に溶解させるためである(94.5重量%の硫酸にPBOを初めから溶解させると長時間を要し、120℃の硫酸中にPBOが長時間存すると分子量の低下が著しい。)。
ステップS7によりPBOを完全に溶解させたナスフラスコ11を窒素雰囲気下(硫酸の吸湿防止目的)で氷浴15に入れて急冷した(ステップS9)。ステップS9におけるナスフラスコ11中の冷却速度を増加させるため、氷浴15中でナスフラスコ11を振りつつ冷却した。ステップS9におけるナスフラスコ11中の冷却速度は100℃/分であった。なお、氷浴15は、ここではナスフラスコ11を冷却するのに供される前に水500gと氷600gとを混合して調製したが、この氷浴の量やそれを調製する水と氷の割合は、ステップS7にてPBOを完全に溶解させたナスフラスコ11を十分冷却できるものであればよく特に限定されるものではない。ステップS9により急冷されたナスフラスコ11中にはPBO繊維(PBOナノファイバー)の析出が観察された。
図2は、図1のフローチャートに引き続き、本発明のPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法を示すフローチャート図である。図2を参照して、本製造方法について説明する。
1.5リットルの蒸留水21を装入したビーカー23を氷浴25に入れ、蒸留水21を冷却及び撹拌しつつ、ステップS9により急冷されPBOが析出したナスフラスコ11中の内容物12を蒸留水21中に滴下した(ステップS11。内容物12に含まれる硫酸の希釈熱によりPBOが溶解等しないように氷浴25により冷却する。)。なお、氷浴25は、ここではビーカー23を冷却するのに供される前に、水500gと氷600gとを混合して調製したが、この氷浴の量やそれを調製する水と氷の割合はビーカー23を十分冷却できるものであればよく特に限定されるものではない。また、PBOが析出したナスフラスコ11中の内容物12を蒸留水21中に滴下(ステップS11)するのは、得られたPBOを水相に分散させるためのものである(なお、ステップS11においてはPBOの形態変化は生じない。)。
ステップS11において内容物12が蒸留水21により希釈された希釈物は、メンブレンフィルター(メルク株式会社(以前の日本ミリポア株式会社を吸収合併)社製、型番JAWP04700)を用いた減圧濾過と蒸留水希釈を交互に行うことで中性になるまで洗浄された(ステップS13)。ステップS13の最後の減圧濾過における濾過残27としてPBOは回収された。
濾過残27は、100gの蒸留水29に投入(ステップS15)された後、濾過残27が懸濁した蒸留水29にホモジナイザー処理(ホモジナイザー照射)を行った(ステップS17)。ホモジナイザー処理は具体的にはIKA社製の商品名「ULTRA-TURRAX」を用いて30分間行った。
ステップS17によりホモジナイザー処理された懸濁液中の固体を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した(ステップS19)。具体的な手順は次の通りである。まず、SEM用の試料台に導電性テープで雲母板を固定し、そのへき開面上に該懸濁液を滴下した。デシケーター内で乾燥後、イオンコーター(株式会社エイコー社製、型番IB−3)を用いて2mAで15分間、表面に金コーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の型番JSM−6320F)を用いて加速電圧5kVで観察を行った。図4に得られたSEM写真を示す。また、カーボン膜の厚さが15〜20nmに作製されたイーエムジャパン株式会社製の商品名「カーボン20支持膜」に該懸濁液を白金線ループを用いて乗せ、デシケーター内で乾燥させた。その後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の型番JEM−2000EX II)を用いて加速電圧200kVで観察を行った。図5に得られたTEM写真を示す。
図4のSEM写真及び図5のTEM写真から、上記の懸濁液中には約50nmの太さ(長手方向に対して垂直方向に沿った寸法)の繊維(PBO繊維)が多数存していることが明らかになった。また、かかる繊維の長さ(長手方向に沿った寸法)は約7μmであり、該繊維のアスペクト比(長さ/太さ)は約130であった。なお、これらPBO繊維(PBOナノファイバー)の太さ(約50nm)及び長さ(約7μm)は、TEM写真に基づき測定した。また、TEMで測定した電子線回折像を図6に示す。図6に示された電子線回折像を解析したところ、PBOの分子鎖が結晶の長さ方向(繊維の長さ方向)に沿って配向していることが分かった。
ホモジナイザー処理を行って得たPBO繊維(PBOナノファイバー)の比表面積を、株式会社島津製作所社製、GEMINI2370を用い、150℃で15分間脱気を行った後、窒素ガス流量25ml/minの条件で測定した。その結果、PBOマットの比表面積は88.4[m2/g]であり、高い比表面積を有することがわかった。
ステップS17によりホモジナイザー処理された懸濁液をメンブレンフィルター(メルク株式会社(以前の日本ミリポア株式会社を吸収合併)社製、型番JAWP04700)を用いて減圧濾過した(ステップS21)。減圧濾過(ステップS21)によりメンブレンフィルター31上の濾残33としてPBOを回収した。
このPBOの濾残33を用い、図3に示す工程によってPBOマットを作製した。減圧濾過(ステップS21)により得られたメンブレンフィルター31上の濾残33をメンブレンフィルター35(メンブレンフィルター31と同一物)とメンブレンフィルター31とで挟む(ステップS31)。ステップS31により濾残33(PBO)をサンドイッチ状に挟んだ一対のメンブレンフィルター31、35は、一対の濾紙37a、37b(濾紙37a、37bはいずれも同じものであり、具体的にはアドバンテック東洋株式会社の定性濾紙No.2を用いた。)により挟まれた後、さらに一対のアルミニウム製の平板部材39a、39b(平板部材39a、39bはいずれも同じ厚み2mmの正方形状の主表面を有するアルミニウム板により形成されている。)により挟まれた(ステップS33)。
ステップS33により形成された濾残33(PBO)を一対のメンブレンフィルター31、35、一対の濾紙37a、37bそして一対のアルミニウム製の平板部材39a、39bにより挟んだサンドイッチ状のもの41は、真空加熱プレス機(株式会社井元製作所製、型番IMC-11FD)により60℃まで昇温した後、減圧下(雰囲気の圧力:大気圧よりも0.1MPa減圧し、0.1MPaG(ゲージ圧)とした。)にて60℃を保ったままプレス圧10MPaの圧力を1時間かけた(ステップS35)。ステップS35の後、サンドイッチ状のもの41を真空加熱プレス機から取り外し、濾残33(PBO)により形成されたPBOマット43を取り出した。PBOマット43はひび割れも観察されず平らなものであった。
PBOマット43は、紫外可視分光光度測定(ステップS51)、引張試験(ステップS53)、見かけ密度測定(ステップS55。この測定結果から空隙率を算出した。)、熱重量分析(ステップS57)及び走査型電子顕微鏡(SEM)観察(ステップS59)にかけられた。
なお、ステップS17によりホモジナイザー処理の効果を確認するためホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマット43も作製し同様にこれらの測定等を行った。ホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43はPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集がなくPBOが均一に分布していたのに対し、ホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマット43はところどころにPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集部分が存していた。ホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマット43の光学顕微鏡写真を図7に示す。図7は、明るい部分(PBO繊維(PBOナノファイバー)が均一に分布)と暗い部分(PBO繊維(PBOナノファイバー)が凝集)とが存在しているが、ホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43の光学顕微鏡写真(不図示)においては明るい部分(PBO繊維(PBOナノファイバー)が均一に分布)のみが存在した。
紫外可視分光光度測定(ステップS51)は、紫外可視分光光度測定装置として株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の紫外・可視分光光度計(U-1900)を用い、波長340〜800nmの光の透過率を測定した。得られたチャートを図8に示す。図8(a)はホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43(PBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集がなくPBO繊維(PBOナノファイバー)が均一に分布していた)に関する測定結果を示し、図8(b)はホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマット43(ところどころにPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集部分が存していた)のPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集部分に関する測定結果を示している。図8が示す通り、PBOマット43のうちPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集がなく均一な部分における光の透過率は10〜15%(図8(a))であり、PBOマット43のうちPBO繊維(PBOナノファイバー)の凝集部分における光の透過率は0%(図8(b))であった。
引張試験(ステップS53)は、PBOマット43から主表面が20mm×5mmの長方形状をなす短冊状試験片を切り出し用いた。5mm×5mmの正方形状の濾紙を一対準備し、一対の正方形状の濾紙のうち一方をその一辺が短冊状試験片の主表面がなす長方形の一対の短辺のうち一辺に沿うよう貼り付けると共に一対の正方形状の濾紙のうち他方をその一辺が短冊状試験片の主表面がなす長方形の一対の短辺のうち他辺に沿うよう貼り付けることで、短冊状試験片を用いて有効長10mm(20mm−2×5mm)の引張用試料を作製した。その後、引張用試料を40℃で8時間熱真空乾燥して引張用試料が含んでいる水分を除去した。乾燥後の引張用試料を引張試験機(株式会社今田製作所製、型番SV−201NA)を用いて毎分4mmの速度で引張試験を行い、弾性率、降伏強さ、破断強さ及び破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
表1においては、上段の「ホモジナイザー未処理」がホモジナイザー処理(ステップS17)を行わない場合のPBOマット43の測定結果を示し、下段の「ホモジナイザー処理」がホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43の測定結果を示している。「ホモジナイザー処理」の方が、弾性率、降伏強さ、破断強さ及び破断伸度のいずれにおいても「ホモジナイザー未処理」を大幅に上回っており、ホモジナイザー処理(ステップS17)がPBOマット43の物性を向上させるのに有効であった。
見かけ密度測定(ステップS55)は、PBOマット43から引張試験の試験片と同様に主表面が20mm×5mmの長方形状をなす短冊状試験片を切り出し、その試験片を40℃で8時間乾燥させ、乾燥後に試験片の重量および体積を測定した。この重量と体積から見かけ密度(重量/体積)を算出した。測定の結果、ホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43の見かけ密度は1.1±0.1[g/cm3]であり、この見かけ密度から算出した空隙率は28.7±4.2[%]であった。なお、見かけ密度から空隙率を算出する方法は、PBOの密度が1.54[g/cm3]であることを用いて、[1−(見かけ密度/1.54)]×100により空隙率を算出した。
ホモジナイザー処理を行って得たPBOマット43の比表面積を、株式会社島津製作所社製、GEMINI2370を用い、150℃で15分間脱気を行った後、窒素ガス流量25ml/minの条件で測定した。その結果、PBOマットの比表面積は42.6[m2/g]であり、高い比表面積を有することがわかった。
熱重量分析(ステップS57)は、熱重量分析装置として株式会社リガク製、Thermo Plus、型番TG8120を用い、ホモジナイザー処理(ステップS17)を行った場合のPBOマット43を窒素雰囲気下において10℃/分の昇温速度で900℃まで加熱し、熱重量分析を行った。この結果を図9に示す。PBOマット43の10%重量減少時の温度は650℃(5%重量減少時の温度は610℃)であり、高い耐熱性を有することが明らかになった。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察(ステップS59)は、SEM用の試料台に導電性テープでPBOマット43(ホモジナイザー処理(ステップS17)有り)を固定した。デシケーター内で乾燥後、イオンコーター(株式会社エイコー社製、型番IB−3)を用いて2mAで15分間、表面に金コーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の型番JSM−6320F)を用いて加速電圧5kVで観察を行った。図10に得られたSEM写真を示す。図10(a)はPBOマット43の表面を観察したものでありPBOマット43の表面のところどころからPBO繊維(PBOナノファイバー)が突出している状態が観察され、図10(b)はPBOマット43の縁部を観察したものでありPBOマット43が多数のPBO繊維(PBOナノファイバー)により形成されていることを示している。また、これら図10(a)及び図10(b)のいずれにおいても、PBO繊維(PBOナノファイバー)の幅(PBO繊維(PBOナノファイバー)の長手方向に対して垂直方向に沿った寸法)は61±20[nm]であった。
このように多数のPBO繊維(PBOナノファイバー)により形成されるPBOマット43は、ステップS9におけるPBO硫酸溶液の急冷により析出するPBO繊維(PBOナノファイバー)を真空加熱プレス(ステップS35)することで容易かつ確実に作製することができると共に、極めて優れた耐熱性(例えば、10%重量減少時の温度が650℃以上、5%重量減少時の温度が600℃以上)及び力学的性質(例えば、弾性率が1GPa以上、降伏強さが50MPa以上、破断強さが50MPa以上、破断伸度が10%以下)を有する多孔質のものであった。
ホモジナイザー処理を行って得たPBOマット43の熱機械分析を、日立ハイテク社製、TMA/SSを用いて行った。窒素流量50ml/min下、49mN荷重の下で、300℃まで5℃/minで昇温し、線熱膨張係数を算出した。その結果、PBOマットの面内方向の線熱膨張係数は1.42×10-5[K-1]であり、熱変動に対する寸法安定性に優れていることが分かった。
ホモジナイザー処理を行って得たPBOマット43の粘弾性率測定を、ORENTEC社製RHEOVIBRON (DDV-01FP-AO)を用いて行った。測定温度25℃〜400℃、昇温速度3℃/min、測定温度間隔3.0℃、周波数10Hz、静的張力0.1Nの条件で、PBOマットの面内方向の粘弾性率測定を行った。測定によって得られた、PBOマットの貯蔵弾性率の温度依存性を示すグラフを図11に示す。図11に示されるように、少なくとも400℃までは弾性率が大きく低下しないことがわかった。
ホモジナイザー処理を行って得たPBOマット43の熱拡散率測定を、BETHEL社製、Thermowave Analyzer TA-LTを用いて行った。その結果、面内方向の熱拡散率は5.36±0.38×10-6[m2/s]であり、厚み方向の熱拡散率は0.29±0.04×10-6[m2/s]であり、面内方向の熱拡散率が厚み方向の熱拡散率の約14倍もあり、測定方向により熱拡散率が大きく異なることが分かった。例えばステンレスの熱拡散率が約4×10-6[m2/s]であることを考慮すれば、本発明のマットは、多孔質の樹脂材料としては極めて大きな面内方向の熱拡散率を有することがわかる。したがって、面内方向に熱を拡散させることのできる電子基板などとして有用であると考えられる。
ホモジナイザー処理を行って得たPBOマット43のX線回折測定を、株式会社リガク社製X線回折装置Mini Flexを用いて行った。測定は、測定開始角度4°、測定終了角度50°、サンプリング幅0.01、スキャン速度2°/minの条件で行った。マットの面に平行な方向からX線を照射(すなわち、マットの断面にX線を照射)しマットの厚み方向に反射したX線の回折パターンを図12に示す。また、マットの面に平行な方向からX線を照射(すなわち、マットの断面にX線を照射)し、面内方向に反射したX線の回折パターンを図13に示す。このことから、PBO繊維及びPBOの分子鎖が、面内方向に高度に配向していることがわかった。
以上説明したように、上の実施例にて説明したPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法は、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)の溶液(ここではステップS7によりPBOを完全に溶解させたナスフラスコ11中のPBO溶液)を、PBOの固体が析出する温度である第1温度(ここでは80℃)以下の温度である第2温度(ここでは0℃)まで冷却することで、長手方向に直交する寸法が1μm以下(ここでは約50nm)であるPBOナノファイバーを析出させる冷却ステップ(ステップS9)を備えてなる、PBOナノファイバーの製造方法である。
また、実施例にて説明したPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法においては、冷却ステップ(ステップS9)における前記溶液(ステップS7によりPBOを完全に溶解させたナスフラスコ11中のPBO溶液)の冷却速度が毎分0.2℃以上である(ここでは毎分100℃であった)。実施例にて説明したPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法においては、第1温度(ここでは80℃)から第2温度(ここでは0℃)の差が1℃以上である(ここでは80℃)。
実施例にて説明したPBO繊維(PBOナノファイバー)の製造方法においては、前記溶液(ステップS7によりPBOを完全に溶解させたナスフラスコ11中のPBO溶液)が、硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸、金属ハロゲン化物ルイス酸を含む有機溶媒よりなる群より選ばれる1又は2以上の混合物の溶液である(ここでは硫酸の溶液である)。
実施例にて製造されたPBO繊維(PBOナノファイバー)は、長手方向に直交する寸法が500nm以下であるPBOナノファイバーであった(ここでは約50nm)。実施例にて製造されたPBO繊維(PBOナノファイバー)は、PBOナノファイバーの長手方向に分子鎖が配向しているものであった。実施例にて製造されたPBO繊維(PBOナノファイバー)は、アスペクト比が2以上であった(ここでは約130)。実施例にて製造されたPBO繊維(PBOナノファイバー)は、長手方向に沿った寸法が2nm以上であった(ここでは約7μm)。
上述のステップS35は、実施例にて製造された複数のPBO繊維(PBOナノファイバー)(濾残33が該当)を加圧してマット(PBOマット43)を形成するPBOのマット(PBOマット43)の製造方法である。このPBOのマット(PBOマット43)は複数のPBOナノファイバーが互いに絡まって形成されているので多数の微細穴を有することからフィルター(例えば、高温にて使用されるフィルター)として用いることや、空隙内に高分子を含浸させて高分子複合体として用いることができる。
11 ナスフラスコ
12 内容物
13 オイルバス
15 氷浴
21 蒸留水
23 ビーカー
25 氷浴
27 濾過残
29 蒸留水
31、35 メンブレンフィルター
33 濾残
37a、37b 濾紙
39a、39b 平板部材
41 サンドイッチ状のもの
43 PBOマット

Claims (5)

  1. ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)が完全に溶解した溶液を、0.2℃/分以上の速度で、第1温度よりも1℃以上低い第2温度まで、撹拌しながら冷却することにより、繊維を析出させる冷却ステップと、前記繊維が析出した液を、冷却及び撹拌している水中に滴下することにより、該繊維が水相に分散した懸濁液を得るステップと、前記懸濁液を減圧濾過と蒸留水希釈とを交互に行うことで中性になるまで洗浄するステップと、最後の減圧濾過における濾過残を蒸留水に投入するステップと、前記濾過残が懸濁した蒸留水をホモジナイザー処理するステップとを備えてなる、長手方向に直交する寸法が1nm〜1μmであり、長手方向に沿った寸法が1μm以上であり、アスペクト比が2以上であり、かつ繊維の長手方向に分子鎖が配向している、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法。
    ここで、第1温度とは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)が完全に溶解した上記溶液を0.1℃/分の速度で冷却したときに、該溶液が白く濁る温度(℃)のことをいう。
  2. 前記溶液が、硫酸、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ポリリン酸、金属ハロゲン化物ルイス酸を含む有機溶媒、からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶媒とする溶液である、請求項1に記載のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法。
  3. 前記溶液中のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)の濃度が0.0001〜10重量%である、請求項1又は2に記載のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により製造された複数のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維を加圧してマットを形成する、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)マットの製造方法。
  5. 弾性率が1GPa以上であり、破断強さが50MPa以上であり、かつ多孔質であるマットを形成する、請求項に記載のポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)マットの製造方法
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