JP6540715B2 - 多孔質構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質構造体およびその製造方法に関する。
検体中の目的物(被測定物)の量などを測定する方法として、複数の孔を有する多孔質構造体をフィルタとして用いて、検体中の目的物を多孔質構造体に捕集し、目的物が捕集された多孔質構造体を測定に供する方法が知られている。
ここで、目的物が大気中に存在するPM2.5、血液中に含まれる小胞体などの流体(検体)中に含まれる微小な物体である場合、微小な目的物を捕集するために、それらの目的物よりも小さな孔を有する多孔質(メッシュ状)構造体が必要となる。
しかし、孔の微細化には技術的に限界がある。また、孔のサイズが製造可能な場合であっても、孔のサイズが小さくなればなる程(例えば、1μm以下)、歩留まり率の低下、製造工程および設備の複雑化などにより、製造コストが高くなるといった問題が生じる。
特許文献1(国際公開第2014/192917号)の段落[0047]および図8、ならびに、特許文献2(実開昭59−10879号公報)には、複数の貫通孔(空隙部)を有する2枚の空隙配置構造体を、一方の空隙配置構造体の空隙部の1つが他方の空隙配置構造体の空隙部の1つのみに部分的に重なるように積層してなる多孔質構造体が開示されている。このようにしてフィルタを作製することで、微小な空隙部を有するフィルタを比較的容易に作製することができる。
なお、特許文献3(特開2010−42349号公報)および特許文献4(特開平11−276820号公報)には、2層の平行に配列された線材群を互いに向きが90°異なるように積層することで網目状構造体を形成し、さらに複数の網目状構造体を互いに網目の位置がずれるように積層することで、より小さな網目が形成されたフィルタ(多孔質構造体)が開示されている。
国際公開第2014/192917号 実開昭59−10879号公報 特開2010−42349号公報 特開平11−276820号公報
特許文献1および2に開示される多孔質構造体のように、2つの空隙配置構造体を積層した場合、個々の空隙配置構造体の空隙部よりも小さな空隙部を形成することができる。しかし、個々の空隙配置構造体の空隙部と比べて、開口率が大きく低下するため、ろ過の効率、または、電磁波測定の効率が低下してしまうといった問題があった。
また、特許文献3および4に開示される多孔質構造体は、平行に配列された線材群の積層体であり、各層において線材群を構成する線材同士は接合していないため、積層体の主面に平行な方向であって線材の横方向からの力に対して強度が低い。また、特許文献3に開示される多孔質構造体は、各層間の線材同士も接合していないため、同方向からの力に対して位置ずれが生じやすい。したがって、これらの多孔質構造体を篩いとして用いる場合、目的物、夾雑物、流体などによる応力によって線材が変形しやすく、多孔質構造体の強度が十分ではないという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑み、微小な開口部を有しつつ、開口率が高く、十分な強度を有する多孔質構造体、および、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する膜状の多孔質構造体であって、
前記第1主面を含み、前記第1主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部を有する膜状の第1層と、
前記第2主面を含み、前記第2主面の法線方向に貫通する複数の第2空隙部を有する膜状の第2層とを備え、
前記第1層と前記第2層とは、直接的または間接的に結合しており、
前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部の各々は前記複数の第2空隙部のうちの2つ以上と重なっており、
前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部の各々は前記複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なっており、
前記複数の第1空隙部と前記複数の第2空隙部とが重なっている部分において、前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔を有している、多孔質構造体に関する。
前記第1層と前記第2層とは離間しており、前記第1層と前記第2層とが連結部を介して間接的に結合していることが好ましい。
前記第2層の前記複数の第2空隙部の少なくとも1つの内部において、前記第2層の表面から前記第1層側に突出する突起を有することが好ましい。
また、本発明は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する膜状の多孔質構造体の製造方法であって、
前記第1主面側に、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部を有する膜状の第1層を形成する第1層形成工程と、
前記第1層の前記第2主面側に、主面の法線方向に貫通する複数の第2空隙部を有する膜状の第2層を形成し、前記第1層と前記第2層とを直接的または間接的に結合させることで、前記多孔質構造体を得る、第2層形成工程とを含み、
前記第2層形成工程において、
前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部の各々は前記複数の第2空隙部のうちの2つ以上と重なり、
前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部の各々は前記複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なり、
前記複数の第1空隙部と前記複数の第2空隙部とが重なっている部分において、前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔が形成されるように、前記第2層を形成する、多孔質構造体の製造方法に関する。
また、本発明は、互いに対向する第1主面および第2主面を有する膜状の多孔質構造体であって、
前記第1主面を含み、前記第1主面の法線方向に貫通する少なくとも1つの第1空隙部を有する膜状の第1層と、
前記第2主面を含み、前記第2主面の法線方向に貫通する少なくとも1つの第2空隙部を有する膜状の第2層とを備え、
前記第1層と前記第2層とは離間しており、前記第1層と前記第2層とは、連結部を介して間接的に結合しており、
前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記少なくとも1つの第1空隙部の全てが前記少なくとも1つの第2空隙部と重なっておらず、
前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔を有している、多孔質構造体。
本発明によれば、微小な開口部を有しつつ、開口率が高く、十分な強度を有する多孔質構造体、および、その製造方法を提供することができる。
実施形態1の多孔質構造体の構造を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。 実施形態1の多孔質構造体を構成する第1層および第2層の構造を示す模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。 実施形態1の利点の1つを説明するための模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。 実施形態1の利点の1つを説明するための比較としての模式図である。(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。 実施形態1の多孔質構造体の変形例の構造を示す平面図である。 実施形態1の多孔質構造体の別の変形例の構造を示す平面図である。 実施形態1の多孔質構造体のさらに別の変形例の構造を示す平面図である。 実施形態2の多孔質構造体の構造を示す斜視図である。 実施形態2の多孔質構造体の変形例の構造を示す斜視図である。(a)および(b)は同じ多孔質構造体を示し、視点のみが異なる。 実施形態2の多孔質構造体の別の変形例の構造を示す斜視図である。(a)および(b)は同じ多孔質構造体を示し、視点のみが異なる。 実施形態3の多孔質構造体の構造を示す斜視図である。 実施形態1の多孔質構造体の製造方法を説明するための断面図である。 実施形態2の多孔質構造体の製造方法を説明するための断面図である。 実施形態2の多孔質構造体の製造方法を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の構造を示す模式図である。(a)は第2層側から見た斜視図であり、(b)は第1層側から見た斜視図であり、(c)は(a)に第2金属膜を追記した図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための断面図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための断面図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の構造を示す斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体を構成する第1層および第2層の構造を示す斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。 実施形態4の多孔質構造体の製造方法の別の例を説明するための斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表す。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では実施形態1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
[実施形態1]
(多孔質構造体)
図1を参照して、本実施形態の多孔質構造体は、互いに対向する第1主面11aおよび第2主面12aを有する膜状の多孔質構造体であって、膜状の第1層11と、膜状の第2層12とを備える。
第1層11は、第1主面11aを含み、第1主面11aの法線方向に貫通する複数の第1空隙部101を有している。また、第2層12は、第2主面12aを含み、第2主面12aの法線方向に貫通する複数の第2空隙部102を有している。
図1に示されるように、第1層11と第2層12とは、両者が重なっている部分12bにおいて直接的に結合している。
そして、第1主面の法線方向から見た平面視において、複数の第1空隙部101の各々は複数の第2空隙部102のうちの2つ以上と重なっている。また、第2主面の法線方向から見た平面視において、複数の第2空隙部の各々は複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なっている。
複数の第1空隙部101と複数の第2空隙部102とが重なっている部分において、第1主面11aおよび第2主面12aを貫通する貫通孔103を有している。1つの貫通孔103は、1つの第1空隙部101の一部と1つの第2空隙部102の一部とから構成される。
本実施形態の多孔質構造体においては、このような構成により、第1空隙部101および第2空隙部102よりも小さいサイズの貫通孔103が形成されている。例えば、図1(b)に示されるように、第1空隙部101および第2空隙部102の孔サイズ(図2(b)に示すD)が1.0μm、桟部の幅(図2(b)に示すw)が0.4μm、ピッチ(孔サイズと桟部の幅の合計:図2(b)に示すP)が1.4μmである場合、貫通孔103の孔サイズは0.3μmとなり、ピッチは0.7μmとなる。
なお、桟部とは、第1層11(第2層12)において、第1主面11aの法線方向から見て、第1空隙部101(第2空隙部102)以外の部分のうち、第1層(第2層)の全体の外縁を構成する部分を除いた部分である。本実施形態の第1層および第2層の少なくともいずれかは、桟部に分岐を有している。
(第1層および第2層)
図2を参照して、本実施形態の多孔質構造体を構成する第1層11および第2層12は、互いに対向する一対の主面を有し、両主面を貫通する複数の空隙部を有している。例えば、複数の該空隙部は、第1層11(第2層12)の第1主面11a(第2主面12a)上の少なくとも一方向に周期的に配置されている。ただし、空隙部は、その全てが周期的に配置されていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、一部の空隙部が周期的に配置され、他の空隙部が非周期的に配置されていてもよい。
第1層11(第2層12)は、好ましくは準周期構造体や周期構造体である。準周期構造体とは、並進対称性は持たないが配列には秩序性が保たれている構造体のことである。準周期構造体としては、例えば、2次元準周期構造体としてペンローズ構造が挙げられる。周期構造体とは、並進対称性に代表される様な空間対称性を持つ構造体のことであり、好ましくは2次元周期構造体である。2次元周期構造体としては、例えば、メッシュフィルタ、2次元回折格子などが挙げられる。
2次元周期構造体としては、例えば、図2に示すようなマトリックス状に一定の間隔で空隙部が配置された膜状構造体(格子状構造体)が挙げられる。図2(a)に示す第1層11(第2層12)は、その第1主面11a(第2主面12a)側からみて正方形の第1空隙部101(第2空隙部102)が、該正方形の各辺と平行な2つの配列方向(図中の縦方向と横方向)に等しい間隔で設けられた膜状構造体である。
第1層11(第2層12)は、少なくともその表面を含む一部が導体で形成されていることが好ましく、多孔質構造体の全体が導体で形成されていることがより好ましい。ここで、導体とは、電気を通す物体(物質)のことであり、金属だけでなく半導体も含まれる。
金属としては、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基などの官能基を有する化合物の官能基と結合することのできる金属や、ヒドロキシ基、アミノ基などの官能基を表面にコーティングできる金属、ならびに、これらの金属の合金が挙げられる。具体的には、ニッケル、金、銀、銅、白金、鉄、クロム、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられ、好ましくはニッケル、金、銀、銅、白金およびクロムであり、さらに好ましくはニッケルおよび金が挙げられる。
また、半導体としては、例えば、IV族半導体(Si、Geなど)や、II−VI族半導体(ZnSe、CdS、ZnOなど)、III−V族半導体(GaAs、InP、GaNなど)、IV族化合物半導体(SiC、SiGeなど)、I−III−VI族半導体(CuInSeなど)などの化合物半導体、有機半導体が挙げられる。
なお、第1層11と第2層12との材料の組み合わせは、特に限定されないが、多孔質構造体全体として均一な特性を得る観点からは、同種の材料の組み合わせであることが好ましい。
また、第1層11と第2層12とは、その空隙部の大きさ、形状、ピッチなどが同一であることが好ましい。この場合、多孔質構造体において、大きさの均一な貫通孔を規則的に配列することができる。これにより、フィルタとしては厳密な篩いを行うことができ、測定デバイスとしては精度の高い測定を行うことができる。
ただし、第1層11と第2層12の材料および空隙部の大きさ、形状、ピッチなどを変えることで、多孔質構造体に特殊な特性を付与してもよい。例えば、第1層11と第2層12のピッチを同一とし、第1層11と第2層12の桟部の幅が異なるようにすることも可能である。第1層11と第2層12の桟部の幅を異なるようにすることにより、貫通孔103の孔サイズを変えることが出来、これにより、より微細で均一な孔径を持つ多孔質構造体を提供することも可能である。また、第1層11と第2層12のうちの一方の桟部の幅を大きくすると、開口率を大きくしつつ多孔質構造体の強度を高めることができる。第1層11と第2層12の桟部の幅を同じにして一方の開口率を小さくすれば、多孔質構造体の強度を高めることができる。
(フィルタ)
本実施形態の多孔質構造体は、流体(検体)中に含まれる目的物を捕集するためのフィルタ(篩い)として用いることができる。
流体は、例えば、気体または液体である。目的物としては、例えば、流体中に含まれる無機物、有機物もしくはそれらの複合物、または、微生物もしくは細胞が挙げられる。なお、目的物は、流体中に存在する状態で形状を有しているものであればよく、固体に限らず、液体、ゾルまたはゲル等であってもよい。
気体中の無機物、有機物もしくはそれらの複合物としては、例えば、大気中のPM(Particle Matter)2.5や、SPM(Suspended Particulate Matter)、PM10、花粉などが挙げられる。なお、PM2.5とは、大気中に浮遊する粒子状物質であり、粒子径が概ね2.5μm以下のものである。
上述の目的物以外にも、例えば以下のような目的物の捕集に、本実施形態の多孔質構造体を適用することができる。
液中の細胞(例えば、直径9μmの略球形のHL60が5×10個含まれた総量1mLのPBS液)を濾過するために、上記実施形態の多孔質構造体を適用することができる。
また、癌の新しい検査方法として、血中の癌細胞由来のエクソソーム(小胞体)を定量する研究が進められている。エクソソームのサイズは数百nm程度であり、白血球、赤血球および他の血液細胞を除去した血液サンプルから、エクソソームのみを捕集(濾過および濃縮)するために、上記実施形態の多孔質構造体を適用することができる。
また、ノロウィルスは培養できないため、発病後、かなりの時間が経過して、ウィルス数が増えないと検査できないという問題があるが、微量なウィルスを多孔質構造体で捕集(濾過および濃縮)できれば、培養不要で迅速な検査が可能になる。このため、上記実施形態の多孔質構造体は、このようなウィルスの選択的な捕集に適用することもできる。
目的物を「捕集する」とは、例えば、フィルタの孔に物理的に目的物を保持することや、目的物が吸着しやすいように修飾されたフィルタの表面に直接的または間接的に目的物を付着させることをいう。
フィルタとして用いられる多孔質構造体の貫通孔103の大きさは、目的物を捕集できる大きさであれば特に限定されないが、例えば、物理的に目的物が通過できないか、または通過し難い大きさであることが好ましい。ここで、目的物が「通過し難い大きさ」とは、目的物が部分的に変形しうるもの(有核細胞など)の場合は、目的物の変形能が無い部分の大きさ未満の大きさを意味する。目的物の全体が変形する場合は、貫通孔103の大きさは、目的物の20分の1以下の大きさであることが好ましい。なお、多孔質構造体をフィルタとして用いる場合は、多孔質構造体の貫通孔103の大きさがフィルタの孔の大きさに相当する。
開口率(第1空隙部101または第2空隙部102を含む多孔質構造体の主面の面積に対する貫通孔103の合計面積の比率)は、多孔質構造体を通過する流体の流速を高める観点から3%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
本実施形態の多孔質構造体では、第1主面の法線方向から見た平面視において、複数の第1空隙部の各々は複数の第2空隙部のうちの2つ以上と重なっている。また、第2主面の法線方向から見た平面視において、複数の第2空隙部の各々は複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なっている。そして、複数の第1空隙部と複数の第2空隙部とが重なっている部分において、第1主面および第2主面を貫通する貫通孔を有している。
これにより、特許文献1および2に開示される多孔質構造体のように、一方の空隙配置構造体の空隙部の1つが他方の空隙配置構造体の空隙部の1つのみに部分的に重なっている場合に比べて、空隙部のうち貫通孔を構成する部分の比率を高めやすくなる。したがって、本実施形態の多孔質構造体は、特許文献1および2に開示されるような多孔質構造体よりも、開口率の低下を抑制し、ろ過の効率、電磁波測定の効率などの低下を抑制することができる。
なお、多孔質構造体の強度保証の観点からは、開口率が80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
開口率は、例えば、第1層11および第2層12における図2(b)にDで示される空隙部の開口サイズとPで示される空隙部の格子間隔(ピッチ)を調整することや、第1層11と第2層12との配置を調整することによって、制御することができる。
多孔質構造体の厚みは、必要な機械的強度を維持できる範囲で、薄い方が好ましい。多孔質構造体の厚みが厚くなると、一般に流体を通過させた際の圧力損失が大きくなる。多孔質構造体の圧力損失が大きくなると、流速が遅くなったり、流体を流すことが困難になったりするため、処理効率が低下するといった問題があるからである。
なお、上述の特許文献3および4に開示される多孔質構造体は、平行に配列された線材群の積層体であるため、2層から構成される網目より小さな網目を形成するためには、少なくとも4層の線材群を積層する必要がある。このような積層体(多孔質構造体)は、厚みが厚くなるという問題があった。
これに対して、本実施形態の多孔質構造体は、これらの半分の層数で微小な貫通孔を形成できる。したがって、本実施形態の多孔質構造体およびその製造方法は、微小な貫通孔を有し、かつ厚みの薄い多孔質構造体を得る上で有利である。
第1層11および第2層12の厚みは、特に限定されないが、空隙部のサイズが微小になる場合は、加工性などの観点から0.5μm〜10μmとすることが好ましい。
フィルタとして用いられる多孔質構造体の表面は、目的物が吸着しやすいような修飾が施されていてもよい。なお、この表面修飾によって化学的に目的物を捕集できる範囲であれば、多孔質構造体の貫通孔103の大きさは、物理的に目的物が通過できるような大きさであってもよい。
目的物が吸着しやすいような修飾とは、例えば、目的物と親和性の高い物質によるコーティングが挙げられる。他にも、多孔質構造体の表面にホスト分子を結合する修飾を施し、該ホスト分子に目的物が結合されるようにしてもよい。ここで、ホスト分子とは、目的物を特異的に結合させることのできる分子などであり、ホスト分子と目的物の組み合わせとしては、例えば、抗原と抗体、糖鎖とタンパク質、脂質とタンパク質、低分子化合物(リガンド)とタンパク質、タンパク質とタンパク質、一本鎖DNAと一本鎖DNAなどが挙げられる。
本実施形態の多孔質構造体は、フィルタとして用いたときに、図2に示されるような平面的な空隙配置構造体に比べて、目詰まりを生じ難いという利点を有している。この点について、図3と、比較としての図4を参照して以下に説明する。
図3に、本実施形態の多孔質構造体(図1参照)を用いて、目的物9を捕集した状態を示す。図3では、貫通孔103の開口部のうち、目的物9によって閉塞される閉塞部分103aと、目的物9によって閉塞されない開口部分103bとを示している。
なお、本実施形態の多孔質構造体の利点の1つは、第1層11の第1空隙部101や第2層12の第2空隙部102のサイズでは、捕集できない微小なサイズの目的物を捕集するために貫通孔103を用いる点にある。したがって、ここでの目的物9の大きさは、第1空隙部101および第2空隙部102のサイズより小さく、貫通孔103のサイズより大きいものとしている。
また、比較として、図4に、図3の貫通孔103と同じ大きさの貫通孔109を有する1層構造の空隙配置構造体(図2参照)を用いて、図3と同じ大きさの目的物9を捕集した状態を示す。図4では、貫通孔109の開口部のうち、目的物9によって閉塞される閉塞部分109aと、目的物9によって閉塞されない開口部分109bとを示している。
図3と図4との比較から明らかなように、本実施形態の多孔質構造体の場合(図3)は、比較的大きなサイズの開口部分103bが維持されることが分かる。また、図3(b)および図4(b)のような平面視における違いだけでなく、図3(a)における側面方向においても、貫通孔103の開口が維持されるため、図3の場合、図4に比べて流体が貫通孔103を通過し易いことが分かる。
このように、本実施形態の多孔質構造体においては、貫通孔103の周囲の立体構造により、1層構造の空隙配置構造体よりも貫通孔103の開口が広く維持され易いため、目詰まりを生じ難いという利点を有している。
(測定デバイス)
また、目的物を捕集した多孔質構造体(フィルタ)に電磁波を照射し、多孔質構造体の電磁波特性を用いて目的物の量または特性を測定するための測定デバイスとして用いることができる。
多孔質構造体の電磁波特性を用いた測定方法としては、種々公知の機構を用いることができるが、例えば、FT−IR(フーリエ変換赤外分光法)などの赤外分光法、テラヘルツ時間領域分光法(THz−TDS)が挙げられる。
測定に用いられる電磁波は、例えば、フィルタの構造に応じて散乱を生じさせることのできる電磁波であり、具体的には、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などである。電磁波の周波数は、特に限定されないが、好ましくは1GHz〜1PHzであり、さらに好ましくは20GHz〜200THz(テラヘルツ波)である。
また、電磁波としては、例えば、所定の偏波方向を有する直線偏光の電磁波(直線偏波)や無偏光の電磁波(無偏波)を用いることができる。直線偏光の電磁波としては、例えば、短光パルスレーザを光源としてZnTe等の電気光学結晶の光整流効果により発生するテラヘルツ波や、半導体レーザから出射される可視光や、光伝導アンテナから放射される電磁波等が挙げられる。無偏光の電磁波としては、高圧水銀ランプやセラミックランプから放射される赤外光等が挙げられる。
図5〜図7に、本実施形態の多孔質構造体の変形例を示す。図5に示す変形例は、第1層11および第2層12が、正六角形の空隙部を有するハニカム状の構造を有している。また、図6に示す変形例は、第1層11および第2層12が、円形の空隙部を有するハニカム状の構造を有している。これらの変形例において、一方の層の1つの空隙部が他方の層の3つの空隙部と重なるように2層が積層されている。
なお、本実施形態の多孔質構造体は、上記の形状に限定されず、他にも正三角形、正八角形などの空隙部を有する第1層11および第2層12から構成されていてもよい。
図7に示す変形例は、第1層11および第2層12の構造は、上記実施形態と同様であるが、一方の層の1つの空隙部が他方の層の2つの空隙部と重なるように2層が積層されている。なお、図1に示す上記実施形態の多孔質構造体では、一方の層の1つの空隙部が他方の層の4つの空隙部と重なるように2層が積層されている。
(多孔質構造体の製造方法)
本実施形態の多孔質構造体の製造方法は、基本的に、
多孔質構造体の一方の主面である第1主面11a側に、第1層11を形成する第1層形成工程と、
多孔質構造体の他方の主面である第2主面12a側に、第2層12を形成すると同時に、第1層11と第2層12とを直接的に結合させることで、多孔質構造体を得る、第2層形成工程とを含む。
以下、各工程について図12を参照して説明する。
(第1層形成工程)
本工程では、第1金属膜31上に堆積法により第1層11を所定のパターニングで形成する。
まず、図12(a)を参照して、基板2を用意する。基板2は、特に限定されないが、例えば、Siからなる。
次に、図12(b)を参照して、基板2上に、スパッタリングによりTi膜及びCu膜をこの順序で製膜し、Ti膜及びCu膜からなる積層膜(第1金属膜31)を形成する。この第1金属膜31は、後の工程でエッチングによって除去される層であるが、第1層を形成する際に、Niのめっきに際してのシード層としても機能する。
第1金属膜31の厚みは、特に限定されないが、後の工程で部分的に除去されるものであるため、本実施形態の多孔質構造体を得られる範囲内で薄い方が好ましい。具体的には、例えば、第1金属膜31の厚みは、100〜600nmであることが好ましい。なお、例えば、Ti膜の厚みは20nm程度とすればよく、Cu膜の厚みは200nm〜500nm程度とすればよい。
次に、図12(c)を参照して、第1金属膜31上に第1レジスト41を形成する。例えば、この第1レジスト41は、フォトリソグラフィー法により形成することができる。第1レジスト41は、第1層が形成される部分に相当する位置に、開口を有するようにパターニングされ、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部101を有する膜状の第1層11が形成されるようにパターニングされる。
次に、図12(d)を参照して、第1レジスト41の開口において露出した第1金属膜31の表面上に、第1層11(Ni膜)をめっき法により形成する。このようにして、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部101を有する膜状の第1層11が形成される。
(第2層形成工程)
本工程では、第1層11上に堆積法により第2層12を所定のパターニングで形成し、多孔質構造体を得る。
まず、図12(e)を参照して、第1金属膜31と同様にして、第1レジスト41上にTi膜及びCu膜からなる積層膜(第2金属膜32)を形成する。この第2金属膜32は、後の工程でエッチングによって部分的に除去される層であるが、第2層を形成する際に、Niのめっきに際してのシード層としても機能する。
次に、図12(f)を参照して、第2金属膜32上に、第2レジスト42を形成する。第2レジスト42は、第2層が形成される部分に相当する位置に、開口を有するようにパターニングされ、主面の法線方向に貫通する複数の第2空隙部を有する膜状の第2層が形成されるようにパターニングされる。
また、パターニングは、第1主面の法線方向から見た平面視において、複数の第1空隙部101の各々は複数の第2空隙部102のうちの2つ以上と重なり、かつ、第2主面12aの法線方向から見た平面視において、複数の第2空隙部102の各々は複数の第1空隙部101のうちの2つ以上と重なるように設計される。これにより、複数の第1空隙部101と複数の第2空隙部102とが重なっている部分において、第1主面11aおよび第2主面12aを貫通する貫通孔103が形成される。
なお、本実施形態において、第2レジスト42は、第1レジスト41と同じ形状であり、配置される位置のみが第1レジスト41とは異なる。
次に、図12(g)を参照して、第2レジスト42の開口において露出した第2金属膜32の表面上に、第2層12(Ni膜)をめっき法により形成する。
次に、図12(h)を参照して、第2レジスト42を剥離法(溶解剥離)により除去する。
次に、図12(i)を参照して、第2金属膜32をエッチングにより部分的に除去する。エッチング方法としては、例えば、金属膜を溶解するエッチング液に上記の工程で得られた多孔質構造体の前駆体を浸漬する方法が挙げられる。なお、エッチング液は、例えば、純水を用いたリンスによって洗浄し、その後に乾燥が行われる。
次に、図12(j)を参照して、第1レジスト41を剥離法により除去する。
上記の工程によって、図12(k)に示されるように、第1層11および第2層12(第2金属膜32の残部を含む)から構成される多孔質構造体を得ることができる。
[実施形態2]
図8を参照して、本実施形態の多孔質構造体は、第1層11と第2層12とが離間しており、第1層11と第2層12とが連結部13を介して間接的に結合している点で、実施形態1とは異なる。
このように、第1層11と第2層12とが、連結部13を介して間接的に結合することで、多孔質構造体の主面に垂直な方向に連通した貫通孔103だけでなく、多孔質構造体の主面に平行な方向に連通した連通孔104が形成される。したがって、流体が、多孔質構造体の主面に垂直な方向だけでなく、平行な方向にも流れることが可能となる。これにより、本実施形態の多孔質構造体は、実施形態1よりもさらに目詰まりを生じ難くなるという利点を有している。
なお、本実施形態の多孔質構造体において、連結部13は、第1層11および第2層12とからなる一体物である。本実施形態の多孔質構造体は、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13および第2層12が一体的に形成されてなるものであることが好ましい。ただし、これに限定されず、例えば、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13を形成し、その後、連結部13上に第2層12を形成してもよい。
図13を参照して、本実施形態の多孔質構造体の製造方法は、図13(d)に示されるように、第1層11を第1レジスト41の厚みよりも薄く形成する点で実施形態1とは異なる。これにより、図13(e)に示されるように凹部13aが形成される。
この凹部13aが、第2レジスト42によって形成された凹部13bと交差する部分(図13(f)および図14(f)参照)に、図13(g)に示すめっき工程において連結部13が形成されることになる。
なお、図14(d)〜(f)は、図13(d)〜(f)に対応する図である。また、図13(d)〜(f)は、図14(d)〜(f)のA−A’断面に相当する。
図9および図10に、本実施形態の多孔質構造体の変形例を示す。図9に示す変形例は、第1層11および第2層12が、正六角形の空隙部を有するハニカム状の構造を有している。また、図10に示す変形例は、第1層11および第2層12が、円形の空隙部を有するハニカム状の構造を有している。なお、これらの変形例においても、第1層11と第2層12とが、連結部13を介して間接的に結合している。
[実施形態3]
図11を参照して、本実施形態の多孔質構造体は、第1層11の複数の第1空隙部101の少なくとも1つの内部において、第2層12の表面から第1層11側に突出する突起14を有する点で、実施形態2とは異なる。
このような突起14を有していることで、貫通孔103を通過できない大きな夾雑物等が停滞した際でも、微小な目的物や流体が貫通孔103を通過し易い状態を作ることができる。
なお、本実施形態の多孔質構造体は、実施形態2の多孔質構造体の製造方法と同様にして製造することができ、図13における(f)の工程で、第2層12を形成する為の第2レジスト42を突起14が形成できる様にパターニングすることで、第2層12の表面に突起14を形成することができる。
[実施形態4]
図15、図30および図31を参照して、本実施形態の多孔質構造体について説明する。なお、図15は、図30において点線で囲まれた領域Rに相当する部分のみに相当する拡大図である。
本実施形態の多孔質構造体では、実施形態2と同様に、第1層11と第2層12とが離間しており、連結部13を介して間接的に結合している。なお、第2層12は、矩形状の複数の分離部121から構成されており、複数の分離部121の間に位置する格子状の1つの第2空隙部102を有している。しかし、本実施形態の多孔質構造体は、主に、第1主面11aの法線方向から見た平面視において、第1空隙部101の全てが第2空隙部102と重なっていない点で、実施形態1とは異なる。
そして、本実施形態では、第1主面11aの法線方向から見た平面視において、第1空隙部101と第2空隙部102とが重なっていない部分の一部に連結部13が設けられている。これにより、本実施形態の多孔質構造体は、第1空隙部101と第2空隙部102とを第1主面11aに平行な方向に連通させるための連通孔104を有している。このように、本実施形態の多孔質構造体は、第1主面11aおよび第2主面12aを貫通する貫通孔(第1空隙部101、連通孔104および第2空隙部102を含む貫通孔)を有している。
本実施形態においては、実施形態2のような多孔質構造体の主面に垂直な方向に連通した貫通孔103を有していないため、流体は必ず、多孔質構造体の主面に平行な方向に連通した連通孔104を通過する。このため、連通孔104の大きさを調整することで、流体中の所望の大きさの目的物を濾過することができる。ここで、連結部13の厚みは比較的容易に高精度な調整が可能であるため、連通孔104の第1層11および第2層12の積層方向の長さを微小に調整することができる。したがって、本実施形態においては、この連通孔104の積層方向の長さを調整することで、より微小な目的物を濾過することが可能となる。
なお、本実施形態の多孔質構造体において、連結部13は、第1層11および第2層12とからなる一体物である。本実施形態の多孔質構造体は、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13および第2層12が一体的に形成されてなるものであることが好ましい。ただし、これに限定されず、例えば、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13を形成し、その後、連結部13上に第2層12を形成してもよい。
(多孔質構造体の製造方法1)
本実施形態の多孔質構造体の製造方法として、堆積法により、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13および第2層12を一体的に形成する方法の一例について、主に図16および図17を参照して説明する。なお、図16は、図21および図23に示すA−A’断面に相当する模式図である。図17の左列の図は、図21および図23に示すA−A’断面に相当する模式図であり、右列の図は、図24に示すB−B’断面に相当する模式図である。
まず、図16(a)を参照して、基板2を用意する。基板2は、特に限定されないが、例えば、Siからなる。なお、基板2の表面(図の上側の表面)には、図示しない導電性膜(Cu膜など)が積層されている。この導電性膜は、後の工程でエッチングによって除去される層であるが、第1層を形成する際に、Niのめっきに際してのシード層としても機能する。
次に、図16(b)および図18を参照して、基板2上に、スパッタリングによりCuからなる第1金属膜31を形成する。なお、この第1金属膜31は、最終的にはエッチングによって除去される膜である。
次に、図16(c)および図19を参照して、第1金属膜31上に第1レジスト41を形成する。例えば、この第1レジスト41は、フォトリソグラフィー法により形成することができる。第1レジスト41は、第1層が形成される部分に相当する位置に、開口を有するようにパターニングされ、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部101を有する膜状の第1層11が形成されるようにパターニングされる。
次に、図16(d)および図20を参照して、第1レジスト41の開口において露出した第1金属膜31をエッチングにより部分的に除去する。エッチング方法は、実施形態1と同様である。
次に、図16(e)を参照して、第1レジスト41の開口において露出した基板2(導電性膜)の表面上に、第1層11(Ni膜)をめっき法により形成する。このようにして、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部101を有する膜状の第1層11が形成される。なお、第1空隙部は複数でなくてもよく、少なくとも1つでよい。その後、図16(f)および図21を参照して、第1レジスト41を剥離法(溶解剥離)により除去する。
次に、図16(g)および図22を参照して、第1金属膜31と同様にして、第1層11および第1金属膜31上にCuからなる第2金属膜32を形成する。この第2金属膜32は、後の工程でエッチングによって部分的に除去される層であるが、第2層を形成する際に、Niのめっきに際してのシード層としても機能する。
次に、図17(h)、(h2)および図23を参照して、第2金属膜32上に、第2レジスト42を形成する。第2レジスト42は、第2層12の第2空隙部102および連結部13を合わせた形状に相当する位置に、開口を有するようにパターニングされる。
次に、図17(i)、(i2)および図24を参照して、第2金属膜32をエッチングにより除去する。その後、図17(j)、(j2)および図25を参照して、第2レジスト42を除去する。
次に、図17(k)および図26を参照して、第2金属膜32上に、第3レジスト43を形成する。第3レジスト43は、第2層12の第2空隙部102と同様の形状にパターニングされる。なお、本実施形態において、第2層12は、格子状の1つの第2空隙部102を有するものであるが、複数の第2空隙部を有するものであってもよい。
次に、図17(l)および図27を参照して、第3レジスト43の開口において露出した第2金属膜32および第1層11の表面上に、Ni膜をめっき法により形成する。これにより、Niからなる連結部13と第2層12とが同時に形成される(図30参照)。その後、図17(m)および図28を参照して、第3レジスト43を除去する。
次に、図17(n)および図29を参照して、第2金属膜32および第1金属膜をエッチングにより除去する。さらに、基板2の表面の導電性膜をエッチングにより除去することにより、図17(o)および図30に示されるような本実施形態の多孔質構造体を得ることができる(第1層の構造については図31の分解斜視図参照)。
(多孔質構造体の製造方法2)
さらに、本実施形態の別の多孔質構造体の製造方法として、堆積法により、第1層11を形成した後に、第1層11上に連結部13および第2層12を一体的に形成する方法の別の例について、主に図32〜図40を参照して説明する。
まず、上記「多孔質構造体の製造方法1」と同様に、図16(a)〜(f)および図18〜21を参照して説明した工程を実施する。
次に、図32を参照して、図21に示される状態の第1層11および第1金属膜31上に、第2レジスト42を形成する。
次に、図33を参照して、第1金属膜31と同様にして、第1層11、第1金属膜31および第2レジスト42上に、Cuからなる第2金属膜32を形成する。その後、図34を参照して、第2レジスト42を剥離(リフトオフ)する。
次に、図35を参照して、第2金属膜32上に、第3レジスト43を形成する。第3レジスト43は、第2層12の複数の第2空隙部102(図37参照)と同様の形状にパターニングされる。
次に、図36を参照して、第3レジスト43の開口において露出した第2金属膜32および第1層11の表面上に、Ni膜をめっき法により形成する。これにより、Niからなる連結部13と第2層12とが同時に形成される(図37参照)。その後、図37を参照して、第3レジスト43を除去する。
その後、図37を参照して、第3レジスト43を除去する。なお、第2層12は、開口を有する矩形状の複数の分離部122から構成されており、複数の分離部122の間に位置する格子状の1つの第2空隙部102aと、分離部122の開口に相当する複数の第2空隙部102bとを有している。
次に、図38を参照して、第1金属膜31と同様にして、第2層12上にCuからなる第2金属膜32を形成する。
次に、図39を参照して、第2層12と同様にレジストを用いて、Niめっき膜を形成する。これによりNiからな第3層13と連結部13aとが同時に形成される。さらに、レジストを用いてNiからなる蓋部15を形成する。
その後、第2金属膜32および第1金属膜31を除去する。さらに、基板2の表面の導電性膜をエッチングにより除去することにより、多孔質構造体を得ることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
101 第1空隙部、102,102a,102b 第2空隙部、103,109 貫通孔、104 連通孔、11 第1層、11a 第1主面、12 第2層、12a 第2主面、121,122 分離部、13,13a 連結部、14 突起、15 蓋部、2 基板、31 第1金属膜、32 第2金属膜、33 第3金属膜、41 第1レジスト、42 第2レジスト、9 目的物。

Claims (4)

  1. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する膜状の多孔質構造体であって、
    前記第1主面を含み、前記第1主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部を有する膜状の第1層と、
    前記第2主面を含み、前記第2主面の法線方向に貫通する複数の第2空隙部を有する膜状の第2層とを備え、
    前記第1層と前記第2層とは離間しており、前記第1層と前記第2層とが連結部を介して間接的に結合しており、
    前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部の各々は前記複数の第2空隙部のうちの2つ以上と重なっており、
    前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部の各々は前記複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なっており、
    前記複数の第1空隙部と前記複数の第2空隙部とが重なっている部分において、前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔を有しており、前記貫通孔は、前記第1層の前記複数の第1空隙部を設けた以外の部分と前記第2層の前記複数の第2空隙部を設けた以外の部分とによって画定されており、
    さらに前記多孔質構造体の主面に平行な方向に連通した連通孔を有しており、
    前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部は2つの配列方向に等しい間隔で設けられており、
    前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部は2つの配列方向に等しい間隔で設けられている、多孔質構造体。
  2. 前記第1層の前記複数の第1空隙部の少なくとも1つの内部において、前記第2層の表面から前記第1層側に突出する突起を有する、請求項1に記載の多孔質構造体。
  3. 互いに対向する第1主面および第2主面を有する膜状の多孔質構造体の製造方法であって、
    前記第1主面側に、主面の法線方向に貫通する複数の第1空隙部を有する膜状の第1層を形成する第1層形成工程と、
    前記第1層の前記第2主面側に、主面の法線方向に貫通する複数の第2空隙部を有する膜状の第2層を形成し、離間した前記第1層と前記第2層とを連結部を介して間接的に結合させることで、前記多孔質構造体を得る、第2層形成工程とを含み、
    前記第2層形成工程において、
    前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部の各々は前記複数の第2空隙部のうちの2つ以上と重なり、
    前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部の各々は前記複数の第1空隙部のうちの2つ以上と重なり、
    前記複数の第1空隙部と前記複数の第2空隙部とが重なっている部分において、前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔は、前記第1層の前記複数の第1空隙部を設けた以外の部分と前記第2層の前記複数の第2空隙部を設けた以外の部分とによって画定され、さらに前記多孔質構造体の主面に平行な方向に連通した連通孔が形成され、さらに前記第1主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第1空隙部は2つの配列方向に等しい間隔で設けられ、かつ、前記第2主面の法線方向から見た平面視において、前記複数の第2空隙部は2つの配列方向に等しい間隔で設けられるように、前記第2層を形成する、多孔質構造体の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の多孔質構造体を用いた細胞の濾過方法。
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