図面を参照して説明する。なお、複数の実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
(第1実施形態)
先ず、図1及び図2に基づき、組電池制御装置100の概略構成について説明する。
組電池制御装置100は、複数の電池ブロック220が直列に接続された組電池200の制御を行うものである。組電池制御装置100は、組電池200の充電及び放電を制御する。また、組電池制御装置100は、組電池200に必要な各種パラメータ(電圧、電流、温度など)を検出し、車両の各種制御を行う自身以外の制御装置へ検出結果等を提供するものである。よって、組電池制御装置100は、電池センサと言い換えることもできる。
組電池制御装置100は、組電池200とともに車両に搭載されている。組電池200は、内燃機関と電動機とを動力源とした所謂ハイブリッド車(プラグインハイブリッド車を含む)や、電動機のみを動力源とした電気車両に搭載され、この電動機に電力供給する電源である。なお、電動機は、走行用電気モータとも言える。
プラグインハイブリッド車に搭載された組電池200は、回生ブレーキにより充電することが可能である。また、発電用モータを備えた車両に搭載された組電池200は、この発電用モータで発電された電力によって充電することも可能である。さらに、プラグインハイブリッド車や電気車両に搭載された組電池200は、所謂充電スタンドにて充電することも可能である。組電池200は、車両の走行に伴って、充放電が繰り返し実行されるものである。また、プラグインハイブリッド車や電気車両に搭載された組電池200は、車両内の走行用電気モータとは異なる電装品や、車両外の電化製品などの電力源としても使用できる。
各電池ブロック220は、図2に示すように、複数の電池セル210が直列に接続されてなるものである。しかしながら、これに限定するものではない。各電池ブロック220は、少なくとも1つの電池セル210を備えていればよい。
組電池制御装置100は、第1監視IC11〜第n監視IC1nと、マイコン20と、通信線30と、絶縁素子40と、記憶装置50と、を備えて構成されている。マイコン20は、特許請求の範囲に記載の制御部に相当する。監視ICは、特許請求の範囲に記載の監視部に相当する。なお、以下においては、第1監視IC11〜第n監視IC1nの夫々を区別する必要がない場合、単に監視ICとも称する。また、組電池制御装置100は、複数の監視ICを備えていればよく、監視ICの個数は限定されない。
第1監視IC11〜第n監視IC1nの夫々は、通信線30を介してマイコン20と通信可能に接続されている。なお、通信線30は、通信経路と称することもできる。第1監視IC11〜第n監視IC1nの夫々は、複数の電池ブロック220の夫々に対して個別に接続されている。つまり、各監視ICの夫々と、複数の電池ブロック220の夫々とは、一対一の対応関係をなしている。各監視ICは、互いに異なる電池ブロック220から電源が供給されている。本実施形態において、各監視ICは、互いに同様の構成を有している。
各監視ICは、組電池200から電力供給されて動作するものである。詳しく言うと、各監視ICは、自身が接続されている電池ブロック220から電力供給されて動作する。また、各監視ICは、自身が接続されている電池ブロック220の電圧をAD変換することで、電池ブロック220の電圧を検出する。そして、各監視ICは、AD変換結果を示すデータを含む通信データをマイコン20へ送信する。以上により、監視ICは、自身に接続された電池ブロック220を監視していると言える。すなわち、監視ICは、監視対象である電池ブロック220と電気的に接続されている。
また、各監視ICは、通信線30を介してマイコン20と通信を行う。詳しく言うと、各監視IC及びマイコン20は、通信線30を介して、通信データ、クロック信号、CRCを送信及び受信する。CRCは、Cyclic Redundancy Checkの略称である。
本実施形態において、第1監視IC11〜第n監視IC1nとマイコン20とは、通信線30を介してリング状に接続されており、通信線30を介して通信方向が一方向となるように通信を行う。本実施形態では、第1監視IC11〜第n監視IC1nのうち、第1監視IC11が通信方向における最上流であり、第n監視IC1nが通信方向における最下流となる例を採用している。例えば、第1監視IC11から送信された通信データは、マイコン20に直接送信されず、第2監視IC12〜第n監視IC1nを介してマイコン20に送信される。このように、第1監視IC11〜第n監視IC1nとマイコン20とは、単方向リングバス接続されていると言える。
マイコン20は、通信線30を介して、通信データを送信するとともに、各監視ICから送信された通信データを受信する。マイコン20が各監視ICへ送信する通信データには、監視ICに対するコマンドを含んでいる。このコマンドは、命令と識別情報とを有している。
マイコン20が監視ICに送信する命令は、変換命令と動作命令と電力決定命令とを含んでいる。変換命令は、電池ブロック220の電圧を各監視ICにAD変換させるものである。動作命令は、AD変換結果等を各監視ICに送信させるものである。動作命令は、各監視ICに対して通信データを送信させるための命令であるため、各監視ICからデータを読み出す命令とも言える。よって、動作命令は、読出命令とも言える。電力決定命令は、監視ICの電力を決定するための命令である。
識別情報は、各監視ICに割り当てられた固有の情報である。識別情報は、命令を実行する監視ICの位置を特定するために設けられている。監視ICは、マイコン20から命令とともに送信される識別情報に基づき、受信した命令が自身に対する命令か否かを判定する。識別情報は、識別IDや、単にIDと称することもできる。
マイコン20は、図示しない12V系の電源から電力が供給されている。すなわち、マイコン20は、監視ICの電源である組電池200とは異なる電源から電力が供給されている。マイコン20の電源は、組電池200に対して電圧が低い。そのため、マイコン20は、低圧システムと称することができる。一方、監視ICは、高圧システムと称することができる。
絶縁素子40は、互いに通信を行う対象同士を電気的に絶縁しつつ、通信データを伝達するものである。絶縁素子40は、特許請求の範囲に記載の絶縁通信素子に相当する。絶縁素子40としては、例えば、フォトカプラ、パルストランス、アイソレータを採用することができる。組電池制御装置100に設けられる絶縁素子40は、コスト、性能、及び、基板への搭載し易さ等に応じて選択される。絶縁素子40の性能とは、例えば、通信データを伝達する際の遅延時間の長さである。基板への絶縁素子40の搭載し易さは、絶縁素子40の体格や、形状等によって決定する。
絶縁素子40は、少なくとも、マイコン20及び監視ICの間に設けられる。言い換えると、絶縁素子40は、マイコン20及び監視ICの通信経路上に設けられ、マイコン20及び監視ICとを電気的に絶縁している。すなわち、絶縁素子40は、通信線30を介して、マイコン20及び監視ICと接続されている。以上により、マイコン20は、監視ICと電気的な絶縁を確保しつつ監視ICと通信を行うことができる。
本実施形態において、絶縁素子40は、第1監視IC11とマイコン20との間、及び、第n監視IC1nとマイコン20との間に設けられている。すなわち、他の監視ICを介さずにマイコン20と接続された監視ICと、マイコン20と、の間に絶縁素子40が設けられている。これによれば、低圧システムと高圧システムとを電気的に絶縁することができる。第1監視IC11とマイコン20との間、及び、第n監視IC1nとマイコン20との間には、例えば、絶縁素子40としてフォトカプラ又はアイソレータが設けられる。しかしながら、これに限定するものではない。第1監視IC11とマイコン20との間、及び、第n監視IC1nとマイコン20との間に、パルストランスが設けられてもよい。
また、本実施形態において、絶縁素子40は、監視ICとマイコン20との間に加えて、互いに通信を行う監視IC同士の間にも絶縁素子40が設けられている。互いに通信を行う監視IC同士の間には、例えば、絶縁素子40としてパルストランスが設けられる。しかしながら、これに限定するものではない。互いに通信を行う監視IC同士の間に、フォトカプラ又はアイソレータが設けられてもよい。
マイコン20及び監視ICがリング状に接続された本実施形態において、全ての監視ICの夫々に対して上流側及び下流側の両方には、絶縁素子40が設けられている。また、本実施形態では、互いに通信を行う監視IC同士の間には、2つの絶縁素子40が設けられている。一方、マイコン20及び監視ICの間には、1つの絶縁素子40が設けられている。
絶縁素子40は、通信データを伝達する場合に電力を消費する。絶縁素子40が電力を消費すると、この絶縁素子40が他の絶縁素子40及び監視ICを介さずに接続された監視ICで、電力が消費される。各監視ICは対応する電池ブロック220から電力が供給されているため、絶縁素子40が電力を消費すると、電池ブロック220で電力が消費される。絶縁素子40の消費電力は、この絶縁素子40が接続された監視ICの消費電力の一部と言うこともできる。
絶縁素子40における消費電力の大きさは、通信データのデータ量、及び、絶縁素子40の種類によって決まる。通信データのデータ量は、通信量とも言い換えることができる。一般的に、絶縁素子40における消費電力の大きさは、大きいものから順に、フォトカプラ、パルストランス、アイソレータとされている。
記憶装置50は、絶縁素子40の消費電力情報を予め記憶するものである。消費電力情報とは、絶縁素子40が通信データを伝達する際に消費する電力の値を示すものである。本実施形態において、記憶装置50は、各監視ICに対応して複数設けられている。言い換えると、各記憶装置50の夫々、及び、複数の監視ICの夫々は、一対一の対応関係をなしている。また本実施形態では、監視ICとは別に記憶装置50が設けられている。各記憶装置50は、自身に対応する監視ICに対して電気的に接続されている。記憶装置50は、自身に対応する監視ICが接続された絶縁素子40の消費電力情報を記憶している。
図2に示すように、記憶装置50は、抵抗51と、電源52と、グランド53と、を含んで構成されている。記憶装置50は、対応する監視ICにおける少なくとも1つのピンに接続されている。本実施形態において、記憶装置50は、対応する監視ICにおける4つのピンに接続されている。
監視ICの各ピンは、抵抗51を介して電源52と接続されるか、又は、抵抗51を介してグランド53と接続されている。なお、電源52としては、電池セル210、電池セル210の電圧を変換してなる電源、及び、電池セル210を用いていない電源を採用することができる。
監視ICの各ピンは、抵抗51を介して電源52と接続された場合、Highを示す信号が記憶装置50から入力される。これに対し、監視ICの各ピンは、抵抗51を介してグランド53と接続された場合、Lowを示す信号が記憶装置50から入力される。すなわち、監視ICにおける4つのピンの夫々には、デジタル信号が入力される。監視ICの4つのピンに入力される信号をまとめて消費電力情報と言うことができる。言い換えると、監視ICの4つのピンに入力される信号におけるHigh及びLowの組み合わせが、監視ICに接続された絶縁素子40の消費電力を示している。
本実施形態では、組電池制御装置100を、1つのECU60と、複数のSBM61と、に区分けすることができる。言い換えると、組電池制御装置100は、1つのECU60と、複数のSBM61と、を有している。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。SBMは、Satellite Bus bar Moduleの略称である。ECU60及びSBM61の夫々は、基板と、基板に実装された電子部品と、を有している。すなわち、本実施形態において組電池制御装置100は、複数の基板、及び、各基板に実装された電子部品を含んで構成されている。各SBM61は、さらにバスバーを有している。ECU60の基板とSBM61の基板とは、ハーネスを介して互いに接続されている。また、各SBM61の基板同士は、ハーネスを介して互いに接続されている。そのため、通信線30は、ハーネス及び基板の配線を含んでいる。
ECU60は、マイコン20と、第1監視IC11と、第1監視IC11に接続された記憶装置50と、第n監視IC1nと、第n監視IC1nに接続された記憶装置50と、複数の絶縁素子40と、を有している。ECU60では、第1監視IC11とマイコン20との間、第1監視IC11と第2監視IC12との間、第n監視IC1nとマイコン20との間、及び、図示しない第n−1監視ICと第n監視IC1nとの間の夫々に、1つの絶縁素子40が設けられている。すなわち、ECU60では、第1監視IC11の上流側及び下流側の夫々と、第n監視IC1nの上流側及び下流側の夫々と、に1つの絶縁素子40が設けられている。
第1監視IC11の下流側に設けられた絶縁素子40は、ECU60と、ECU60に接続されたハーネスと、を電気的に絶縁している。同様に、第n監視IC1nの上流側に設けられた絶縁素子40は、ECU60と、ECU60と接続されたハーネスと、を電気的に絶縁している。
各SBM61は、1つの監視ICと、この監視ICに接続された記憶装置50と、2つの絶縁素子40と、を有している。各SBM61では、監視ICの上流側及び下流側の夫々に、1つの絶縁素子40が設けられている。絶縁素子40は、自身が設けられたSBM61と、SBM61と接続されたハーネスと、を電気的に絶縁している。
次に、図2に基づき、監視ICの構成及び動作(処理)の一部について説明する。なお、監視ICの処理手順の詳細については下記で説明する。各監視ICは、ロジック回路70と、電圧検出部80と、を有している。本実施形態において、各監視ICは、抵抗値が選択可能な可変抵抗90をさらに有している。
ロジック回路70は、他の監視IC又はマイコン20と通信を行うとともに、電圧検出部80に対してAD変換させる信号を出力する。ロジック回路70は、さらに、可変抵抗90の抵抗値を設定することで監視ICの消費電力を決定する。なお、可変抵抗90では、大きい抵抗値が設定されるほど、値の小さい電流が流れる。よって、可変抵抗90では、大きい抵抗値が設定されるほど、消費電力が小さくなる。
以下、組電池制御装置100において監視ICの消費電力を決定する処理を、電力決定処理と示す。電力決定処理は、各電池ブロック220間の電池容量のばらつきを抑えるために各監視ICで消費させる電力の大きさを組電池制御装置100が決定する処理である。
ロジック回路70は、データ送受信部71、AD制御部72、情報取得部73、記憶部74、及び、抵抗設定部75を有している。データ送受信部71は、絶縁素子40を介して、他の監視IC又はマイコン20と通信データの送受信を行う。データ送受信部71は、他の監視IC又はマイコン20から変換命令を受信すると、AD制御部72へ信号を出力する。
AD制御部72は、データ送受信部71から信号が入力されると、電圧検出部80に対してAD変換させる信号を出力する。電圧検出部80は、AD制御部72からの信号に基づき電池ブロック220の電圧をAD変換することで、電池ブロック220の電圧を検出する。電圧検出部80は、AD変換器及びマルチプレクサを含んで構成されている。電圧検出部80によるAD変換結果は、電圧検出部80からロジック回路70に出力され、記憶部74に格納される。
情報取得部73は、記憶装置50と電気的に接続されている。データ送受信部71は、他の監視IC又はマイコン20から電力決定命令が入力されると、情報取得部73へ信号を出力する。情報取得部73は、データ送受信部71から信号が入力されると、記憶装置50から消費電力情報を取得する。詳しく言うと、情報取得部73は、自身が設けられた監視ICの記憶装置50が接続された各ピンに、電源52及びグランド53のどちらが接続されているかを読み取る。言い換えると、情報取得部73は、自身が設けられた監視ICの記憶装置50が接続された各ピンに、High又はLowのどちらが入力されているかを読み取る。
本実施形態では、消費電力情報が、監視ICに接続された2つの絶縁素子40の消費電力の情報を含んでいる。本実施形態の組電池制御装置100では、絶縁素子40として、フォトカプラ、アイソレータ、及び、パルストランスの3通りの素子を採用する。そのため、監視ICに接続された2つの絶縁素子40の組み合わせとしては、9通りの接続構成が考えられる。よって、消費電力情報は、上記9通りの絶縁素子40の接続構成のうちの1つの接続構成を示している。情報取得部73は、特許請求の範囲に記載の取得部に相当する。
記憶部74は、情報取得部73が取得した消費電力情報を格納する。記憶部74としては、例えばレジスタを採用することができる。記憶部74には、消費電力情報に対応するものであって、可変抵抗90の抵抗値を設定するための抵抗設定情報が予め格納されている。抵抗設定情報は、絶縁素子40における消費電力の各値に対して、可変抵抗90の抵抗値が割り当てられたものである。詳しく言うと、抵抗設定情報は、監視ICに対する絶縁素子40の9通りの各接続構成に対して、互いに異なる抵抗値が割り当てられたものである。抵抗設定情報では、監視ICに接続された2つの絶縁素子40の消費電力が小さいほど、小さい抵抗値が割り当てられている。
抵抗設定部75は、可変抵抗90と接続されている。抵抗設定部75は、消費電力情報及び抵抗設定情報に基づき、可変抵抗90の抵抗値を設定する。詳しく言うと、抵抗設定部75は、消費電力情報が示す値に対して割り当てられた抵抗設定情報の抵抗値を、可変抵抗90の抵抗値に設定する。
可変抵抗90は、ロジック回路70の動作に応じて電力を消費するものである。そのため、ロジック回路70が動作した場合に可変抵抗90へ電流が流れるように、ロジック回路70に対して可変抵抗90が電気的に接続されている。詳しく言うと、ロジック回路70が他の監視ICやマイコン20と通信を行う場合や、ロジック回路70が電圧検出部80にAD変換させる信号を出力する場合等に、可変抵抗90が電力を消費する。本実施形態では抵抗設定部75及び可変抵抗90が、特許請求の範囲に記載の電力消費部に相当する。
本実施形態の組電池制御装置100では、上流側及び下流側に接続された2つ絶縁素子40の消費電力の和が、少なくとも2つの監視ICの間で互いに異なっている。言い換えると、組電池制御装置100において消費電力が互いに異なる複数種類の絶縁素子40が設けられることによって、複数の電池ブロック220同士の間に消費電力の違いが生じている。すなわち、組電池200では、複数の電池ブロック220として、小消費ブロックと、絶縁素子40の消費電力によって小消費ブロックに較べて消費電力が大きい大消費ブロックと、が設けられている。絶縁素子40の消費電力とは、通信データを伝達する際において、電池ブロック220が電力供給している監視ICの上流側及び下流側の両方に接続された絶縁素子40で消費される電力の和である。
小消費ブロックが電力供給する監視ICでは、大消費ブロックが電力供給する監視ICよりも、可変抵抗90の値が大きく設定される。言い換えると、抵抗設定部75は、自身が設けられた監視ICの監視対象である電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、自身が設けられた監視ICの可変抵抗90に対して小さい抵抗値を設定する。
言い換えると、抵抗設定情報及び消費電力情報は、電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、この電池ブロック220が電力供給する監視ICにおいて可変抵抗90の消費電力が大きくなるように設定されている。すなわち、小消費ブロックから電力供給される監視ICに設けられた抵抗設定部75は、大消費ブロックに対する小消費ブロックの消費電力が小さいほど、可変抵抗90に対して小さい抵抗値を設定する。
本実施形態では、各電池ブロック220において通信データを伝達する際の絶縁素子40での消費電力に対して可変抵抗90の消費電力を加えた値が均一となるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値が設定される。言い換えると、抵抗設定情報及び消費電力情報は、各電池ブロック220において通信データを伝達する際の絶縁素子40での消費電力に対して可変抵抗90の消費電力を加えた値が均一となるように設定されている。これにより、各監視ICで消費される電力が均一となるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値が設定される。
なお、監視IC、及び、この監視ICの上流及び下流に設けられた絶縁素子40をまとめて、監視システムと称することもできる。組電池制御装置100が電力決定処理を行うことで、各監視システムにおける消費電力のばらつきが抑制される。
次に、図3に基づき、電力決定処理の処理手順について説明する。
例えば、各監視IC及びマイコン20に電源が入力されると、組電池制御装置100は電力決定処理を開始する。マイコン20は、電力決定処理が開始されると、各監視ICに電力決定命令を送信する。
各監視ICは、マイコン20からの電力決定命令を受信すると、先ず、上記したようにデータ送受信部71が情報取得部73に信号を出力する。そして、情報取得部73は、記憶装置50から消費電力情報を取得する(S10)。情報取得部73は、取得した消費電力情報を記憶部74に格納する。
次に、抵抗設定部75は、記憶部74に格納された消費電力情報及び抵抗設定情報に応じて、可変抵抗90の抵抗値を決定する(S11)。そして、抵抗設定部75は、可変抵抗90の抵抗値を、S11で決定した抵抗値に設定する(S12)。組電池制御装置100は、監視ICがS12の処理を行った後、電力決定処理を終了する。
次に、図4〜図6に基づき、マイコン20及び監視ICにおける消費電力について説明する。
図4〜図6では、マイコン20及び監視ICが通信する場合において、各監視ICで電力が消費されるタイミング、及び、消費電力の大きさを示している。図4〜図6では、各ブロックにおける縦の幅が、監視ICにおける消費電流の大きさを示している。言い換えると、各ブロックにおける縦の幅が、監視ICにおける消費電力の大きさを示している。よって、図4〜図6では、各ブロックにおける面積が、監視ICにおける消費エネルギーの大きさに対応する値となっている。
なお、各監視ICが送受信する通信データのデータ量は、互いに同じ量とする。すなわち、各監視ICにおいて、通信データを送受信する場合に可変抵抗90以外で消費される電力は、互いに同じ値とする。言い換えると、各監視ICの動作に伴い消費される電力のうちの絶縁素子40及び可変抵抗90以外で消費される電力は、互いに同じ値とする。
図4〜図6では、監視ICにおいて通信データを送信する処理で消費される電力を白いブロックで示している。以下、監視ICが通信データを送信する処理を送信処理と示す。本実施形態において、監視ICにおいて通信データを送信することで消費される電力とは、監視ICの動作に伴い消費される電力のうちの、絶縁素子40及び可変抵抗90以外で消費される電力を示している。
また、監視ICにおいて絶縁素子40により消費される電力を示すブロックに斜線のハッチングを施している。なお、各監視ICに対して上流側及び下流側に設けられた絶縁素子40による消費電力を互いに異なるブロックで示している。さらに、図5及び図6では、監視ICにおいて可変抵抗90により消費される電力を示すブロックにドットのハッチングを施している。なお本実施形態では、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数を4個とする。しかしながら、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数は、これに限定するものではない。
図4では、組電池制御装置100が、電力決定処理を行っていない場合であって、可変抵抗90で電力が消費されない構成を示している。この構成において、監視ICの消費電力は、絶縁素子40の種類に応じて互いに異なっている。言い換えると、各電池ブロック220において、対応する監視ICの動作に伴い消費される電力の値は、互いに異なっている。すなわち、各電池ブロック220では、対応する監視ICに接続された絶縁素子40の種類に応じて、消費される電力が互いに異なっている。
これに対し、図5では、組電池制御装置100が電力決定処理を行い、各可変抵抗90で電力が消費される構成を示している。電力決定処理により、監視ICにおいて、送信処理で消費される電力に対して2つの絶縁素子40の消費電力を加えた値は、絶縁素子40の種類によらず、各監視ICで互いにほぼ同じ値とされる。言い換えると、各電池ブロック220において、対応する監視ICの動作に伴い消費される電力は、互いにほぼ同じ値とされている。すなわち、各電池ブロック220では、対応する監視ICに接続された絶縁素子40の種類が互いに異なる場合であっても、消費される電力が互いにほぼ同じ値となっている。
なお、図5では、全ての監視ICにおいて可変抵抗90で電力を消費させる例を示している。しかしながら、これに限定するものではない。図6では、第4監視IC14において、可変抵抗90で電力を消費させていない。この第4監視IC14は、全ての監視ICのうちの、対応する絶縁素子40の消費電力が最も大きい監視ICである。言い換えると、最も消費電力の大きい絶縁素子40に接続された監視ICにおける可変抵抗90の消費電力を0としている。例えば、第4監視IC14の可変抵抗90が図示しないスイッチと接続され、抵抗設定部75がこのスイッチをオフにすることによって、可変抵抗90の消費電力を0とする。
次に、上記した組電池制御装置100の効果について説明する。
本実施形態では、各監視ICにおいて可変抵抗90の抵抗値が設定されることで、小消費ブロックから電力が供給される監視ICの消費電力を大きくし、監視ICの動作に伴い各電池ブロック220で消費される電力のばらつきを抑制している。これによれば、可変抵抗90の消費電力によって、大消費ブロックと、小消費ブロックと、の間で電池容量がばらつくのを抑制することができる。すなわち、複数の電池ブロック220同士の間で電池容量がばらつくのを抑制することができる。したがって、組電池200の使用領域が狭くなるのを抑制することができる。
さらに、組電池制御装置100は、組電池200の使用領域が狭小化することを抑制できるため、ハイブリッド車に搭載された場合、内燃機関の使用機会が増えて燃費を悪化させることを抑制できる。また、組電池制御装置100は、電気自動車に搭載された場合、組電池200の充電回数が増えて充電コストが高くなることを抑制できる。
なお、本実施形態では、各監視ICに記憶装置50が接続された例を示したが、これに限定するものではない。監視ICに接続された絶縁素子40の消費電力に対応する可変抵抗90の抵抗値が、各監視ICの記憶部74に予め格納された例を採用することもできる。すなわち、消費電力情報が監視ICの記憶部74に予め格納された例を採用することもできる。
監視ICと別に記憶装置50が設けられた構成では、各監視ICにおける記憶部74の記憶内容を互いに同一とすることができ、且つ、記憶部74の記憶容量を小さくし易い。さらに、消費電力の互い異なる複数の絶縁素子40を有する組電池制御装置100を複数製造する場合に、各組電池制御装置100における監視ICの記憶部74を同一の構成にすることができる。これに対し、各監視ICの記憶部74に消費電力情報が予め格納された構成では、消費電力情報が記憶された装置を監視ICと別に設ける必要がない。
また、本実施形態では、抵抗設定情報が予め記憶部74に格納された例を示したが、これに限定するものではない。マイコン20が、抵抗設定情報を示すデータを電力決定命令とともに各監視ICへ送信してもよい。この構成では、マイコン20の記憶部に予め抵抗設定情報が含まれているか、又は、マイコン20が外部の記憶装置50から抵抗設定情報を取得する。
また、本実施形態では、各監視ICが送受信する通信データのデータ量が、互いに同じ量とされた例を示したが、これに限定するものではない。各監視ICが送受信する通信データのデータ量が互いに異なる例を採用することもできる。例えば、組電池制御装置100では、各監視ICが送受信する通信データのデータ量を考慮して、可変抵抗90の抵抗値を設定してもよい。各監視ICが送受信する通信データのデータ量は、例えば、マイコン20に対する監視ICの位置に応じて決まる。
また、本実施形態では、全ての監視ICに対応して記憶装置50が設けられた例を示したが、これに限定するものではない。特定の監視ICにのみに対応して記憶装置50が設けられていてもよい。この例において記憶装置50には、対応する監視ICの消費電力情報に加えて、他の監視ICの消費電力情報が記憶されている。
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
図7に示すように、マイコン20は、記憶装置50と電気的に接続されている。詳しく言うと、マイコン20のピンが、記憶装置50と電気的に接続されている。なお、監視ICは、記憶装置50と接続されていない。記憶装置50には、全ての監視ICが接続された絶縁素子40の消費電力情報が記憶されている。また、マイコン20の記憶部には、全ての監視ICにおける可変抵抗90を設定するための抵抗設定情報が予め格納されている。以上により、マイコン20の記憶部、及び、マイコン20に接続された記憶装置50には、全ての監視ICの識別情報、及び、各識別情報に対応する可変抵抗90の抵抗値が格納又は記憶されている。なお、抵抗設定情報が記憶装置50に記憶されていてもよい。この構成では、マイコン20が抵抗設定情報を記憶装置50から取得する。
図8に示すように、マイコン20は、電力決定処理が開始されると、記憶装置50から消費電力情報を取得する(S20)。そして、マイコン20は、自身に予め格納された抵抗設定情報と、S20で取得した消費電力情報と、に基づき、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を決定する(S21)。このとき、マイコン20は、各監視ICにおける消費電力のばらつきを抑制しつつ、監視ICの消費電力の総和を決めることができる。本実施形態において、マイコン20は、各監視ICにおける消費電力を均一としつつ、監視ICの消費電力の総和が最小となるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を設定する。
次に、マイコン20は、各監視ICに対して可変抵抗90の抵抗値を設定させる電力決定命令を送信する(S22)。マイコン20は、電力決定命令とともに、識別情報、及び、各監視ICで設定するべき可変抵抗90の抵抗値を示すデータを送信する。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。また、本実施形態では、マイコン20が監視ICの消費電力の総和を決めることができ、組電池200の消費電力を制御し易い。
なお、本実施形態では、マイコン20に記憶装置50が接続された例を示したが、これに限定するものではない。例えば、マイコン20の記憶部に予め消費電力情報が格納されていてもよい。
マイコン20と別に記憶装置50が設けられた構成では、マイコン20の記憶部の記憶容量を小さくし易い。この構成では、さらに、消費電力の互いに異なる複数の絶縁素子40を有する組電池制御装置100を複数製造する場合に、各組電池制御装置100におけるマイコン20の記憶部を同一の構成にすることができる。これに対し、マイコン20の記憶部に消費電力情報が予め格納された構成では、消費電力情報が記憶された装置をマイコン20とは別に設ける必要がない。
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
各監視ICは、自身の可変抵抗90の抵抗値を設定し、設定した可変抵抗90の抵抗値を示す通信データをマイコン20に送信する。このとき各監視ICは、他の監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を用いることなく、自身に接続された記憶装置50からの消費電力情報に基づき抵抗値を設定している。
マイコン20は、各監視ICからの通信データに基づき、各監視ICで設定するべき抵抗値を決定する。本実施形態においてマイコン20は、各電池ブロック220における電池容量のばらつきを抑制しつつ、監視ICの消費電力の総和が小さくなるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を決定する。言い換えると、マイコン20は、各電池ブロック220における電池容量のばらつきを抑制しつつ組電池200の消費電力が小さくなるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を決定する。そして、各監視ICは、可変抵抗90の抵抗値をマイコン20が決定した抵抗値に再設定する。
なお本実施形態では、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数を4個とする。しかしながら、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数は、これに限定するものではない。また本実施形態では、図9に示すように、第4監視IC14に接続された絶縁素子40の消費電力が、第1監視IC11、第2監視IC12、及び、第3監視IC13に接続された絶縁素子40の消費電力よりも大きくされている。なお、第1監視IC11、第2監視IC12、及び、第3監視IC13に接続された絶縁素子40の消費電力は、互いにほぼ同じ値とされている。図9では、絶縁素子40の消費電力を示すブロックに斜線のハッチングを施している。
図10に示すように、監視ICでは、電力決定処理が開始されると、情報取得部73が記憶装置50から消費電力情報を取得する(S30)。次に、抵抗設定部75は、消費電力情報及び抵抗設定情報に基づき、可変抵抗90の抵抗値を決定する(S31)。そして、抵抗設定部75は、可変抵抗90の抵抗値を、S31で決定した抵抗値に設定する(S32)。S32により、図11に示すように、監視ICに接続された絶縁素子40の消費電力に対して監視ICにおける可変抵抗90の消費電力を加えた値は、各監視ICでほぼ均一とされる。
図11では、監視ICに接続された絶縁素子40の消費電力を示すブロックに斜線のハッチングを施している。また、可変抵抗90の消費電力を示すブロックにドットのハッチングを施している。以下、第4監視IC14における可変抵抗90の消費電力を電力P1と示す。また、第1監視IC11、第2監視IC12、及び、第3監視IC13における可変抵抗90の消費電力を電力P2と示す。電力P2は、電力P1よりも大きい値である。
次に、データ送受信部71は、S32で抵抗設定部75が設定した抵抗値を示す通信データをマイコン20へ送信する(S33)。そして、データ送受信部71は、マイコン20から、可変抵抗90の抵抗値を再設定するための電力決定命令、及び、設定するべき抵抗値を示す通信データを受信する(S34)。次に、抵抗設定部75は、可変抵抗90の抵抗値を、S34で受信した通信データが示す抵抗値に設定する。組電池制御装置100は、監視ICがS35の処理を行った後、電力決定処理を終了する。
図12に示すように、マイコン20は、電力決定処理が開始されると、電力決定命令を各監視ICへ送信する(S40)。これにより各監視ICに処理を開始させることができる。なお、S40においてマイコン20は、監視ICで設定するべき抵抗値を示す通信データを送信しない。
次に、マイコン20は、各監視ICがS32で設定した抵抗値を示す通信データを受信する(S41)。そして、マイコン20は、S41で受信した各監視ICからの通信データに基づき、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を決定する(S42)。
図13に示すように、マイコン20は、第4監視IC14における可変抵抗90の消費電力を0とする。すなわち、全ての監視ICのうちの絶縁素子40の消費電力が最も高い監視ICにおける可変抵抗90の消費電力を0とする。例えば、第4監視IC14の可変抵抗90が図示しないスイッチと接続され、抵抗設定部75がこのスイッチをオフにすることによって、第4監視IC14における可変抵抗90の消費電力を0とする。
そして、マイコン20は、第1監視IC11、第2監視IC12、及び、第3監視IC13における可変抵抗90の消費電力が電力P3となるように、第1監視IC11、第2監視IC12、及び、第3監視IC13の可変抵抗90の値を決定する。第4監視IC14に接続された絶縁素子40の消費電力は、他のICに接続された絶縁素子40の消費電力に電力P3を加えた値とほぼ等しい。なお、電力P3は、電力P2よりも小さい。すなわち、マイコン20がS42で決定した抵抗値は、監視ICがS32で設定された抵抗値よりも大きい。
次に、マイコン20は、S42で決定した抵抗値を示すデータと電力決定命令とを含む通信データを各監視ICに送信する(S43)。これにより、各監視ICが、S35で、可変抵抗90の抵抗値を設定する。監視ICがS35で設定した可変抵抗90の抵抗値は、監視ICがS32で設定した抵抗値よりも大きい。マイコン20は、S43の処理を行った後、電力決定処理のうちの自身の処理を終了する。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。また、本実施形態では、各監視ICは、可変抵抗90の抵抗値をマイコン20が決定した抵抗値に再設定している。これによれば、マイコン20が監視ICの消費電力の総和を決めることができ、組電池200の消費電力を制御し易い。
なお、本実施形態では、マイコン20が、各監視ICからの通信データに基づき、組電池200の消費電力が小さくなるように、各監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を決定した。しかしながら、これに限定するものではない。
マイコン20が、各監視ICからの通信データに基づき、各電池ブロック220における電池容量のばらつきを抑制しつつ組電池200の消費電力が大きくなるように、可変抵抗90の抵抗値を決定する例を採用することもできる。この例では、マイコン20がS42で決定する抵抗値は、監視ICがS32で設定する抵抗値よりも小さい。すなわち、監視ICがS35で設定する可変抵抗90の抵抗値は、監視ICがS32で設定した抵抗値よりも小さい。組電池制御装置100では、組電池200の電池容量を小さくしたい場合等に、マイコン20が可変抵抗90の抵抗値を小さくする。
また、本実施形態では、各監視ICが、可変抵抗90の抵抗値を個別に設定した後に、設定した抵抗値を示す通信データをマイコン20に送信する例を示したが、これに限定するものではない。各監視ICでは、情報取得部73が消費電力情報を取得した後、可変抵抗90の抵抗値を設定することなく、データ送受信部71が消費電力情報を示す通信データをマイコン20に送信してもよい。
(第4実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
図14に示すように、各監視ICは、可変抵抗90に代えて、複数の固定抵抗91及び複数のスイッチ92を有している。各固定抵抗91は、ロジック回路70に対して電気的に接続されている。各固定抵抗91は、互いに並列に接続されている。スイッチ92は、固定抵抗91に対応して設けられている。各スイッチ92は、対応する固定抵抗91に電流を流すか否かを制御するために設けられている。各スイッチ92は、対応する1つの固定抵抗91と直列に接続されている。
また、ロジック回路70は、スイッチ92の制御を行う抵抗設定部76を有している。電力決定処理のS12において抵抗設定部76は、S11で決定した抵抗値に基づき、各スイッチ92を制御する。抵抗設定部76による各スイッチ92の制御により、監視ICは、自身に設けられた全ての固定抵抗91における消費電力の総和を選択することができる。本実施形態の抵抗設定部76、固定抵抗91、及び、スイッチ92は、特許請求の範囲に記載の電力制御部に相当する。
抵抗設定部75は、自身が設けられた監視ICに接続された絶縁素子40による電池ブロック220の消費電力が小さいほど、自身に設けられた監視IC内の全ての固定抵抗91における消費電力の総和が大きくなるように、各スイッチ92を制御する。すなわち、抵抗設定部75は、自身が設けられた監視ICに接続された絶縁素子40による電池ブロック220の消費電力が小さいほど、自身に設けられた監視IC内の全ての固定抵抗91における消費電力の総和を大きくする。よって、小消費ブロックから電力供給される監視ICに設けられた抵抗設定部75は、大消費ブロックに対する小消費ブロックの消費電力が小さいほど、自身に設けられた監視IC内の全ての固定抵抗91における消費電力の総和を大きくする。
なお、各固定抵抗91の抵抗値は、互いに同じあってもよく、互いに異なっていてもよい。また、電力決定処理のS12において抵抗設定部76は、1つのスイッチ92のみをオンにしてもよく、複数のスイッチ92をオンにしてもよい。さらに全ての監視ICのうちの最も消費電力が高い監視ICにおいて抵抗設定部76は、全てのスイッチ92をオフにしてもよい。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。なお、本実施形態では、固定抵抗91がロジック回路70に対して電気的に接続された例を示したが、これに限定するものではない。図15の第1変形例に示すように、1つの固定抵抗91及びスイッチ92が、電圧検出部80及び電池ブロック220に対して電気的に接続された例を採用することもできる。また可変抵抗が電圧検出部80及び電池ブロック220に対して電気的に接続された例を採用することもできる。
(第5実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
図16に示すように、絶縁素子40は、監視ICとマイコン20との間にのみ設けられている。詳しく言うと、第1監視IC11とマイコン20との間、及び、第n監視IC1nとマイコン20との間の夫々に、1つの絶縁素子40が設けられている。監視IC同士の間には、絶縁素子40が設けられていない。
これにより、本実施形態の組電池制御装置100では、絶縁素子40に接続された監視ICと、絶縁素子40に接続されていない監視ICとが設けられている。絶縁素子40に接続された監視ICとは、他の監視ICを介さずに絶縁素子40と接続された監視ICである。
本実施形態では、第1監視IC11及び第n監視IC1nにおける可変抵抗90の消費電力が、第1監視IC11及び第n監視IC1n以外の監視ICにおける可変抵抗90の消費電力よりも大きくされる。詳しく言うと、絶縁素子40と接続されていない第2監視IC12〜第n−1監視ICの抵抗設定部75は、絶縁素子40の消費電力が小さいほど、自身の設けられた監視ICにおける可変抵抗90の抵抗値を小さくする。
これにより、組電池制御装置100では、第1監視IC11及び第n監視IC1n以外の監視ICの消費電力を、第1監視IC11の消費電力へ近づける。言い換えると、組電池制御装置100では、第1監視IC11及び第n監視IC1n以外の監視ICの消費電力を、第n監視IC1nの消費電力へ近づける。すなわち、組電池制御装置100では、絶縁素子40に接続されていない監視ICの消費電力を、絶縁素子40に接続された監視ICの消費電力へ近づける。
本実施形態において、第1監視IC11及び第n監視IC1nでは、可変抵抗90に電流を流さない構成とされている。これに対し、第1監視IC11及び第n監視IC1n以外の監視ICでは、可変抵抗90に電流が流される。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。なお、本実施形態では、監視IC同士の間に絶縁素子40が設けられない例を示したが、これに限定するものではない。例えば、監視ICとマイコン20との間に加えて、特定の監視IC同士の間に1つ又は2つの絶縁素子40が設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、各監視ICに可変抵抗90が設けられているが、これに限定するものではない。各監視ICは、第4実施形態と同様に、可変抵抗90に代えて、複数の固定抵抗及び複数のスイッチを有していてもよい。この例において、絶縁素子40と接続されていない第2監視IC12〜第n−1監視ICの抵抗設定部は、絶縁素子40の消費電力が大きいほど、自身の設けられた監視ICの全ての固定抵抗における消費電力の総和が大きくなるように、各スイッチを制御する。
(第6実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
監視ICは、可変抵抗で電力を消費させるのに代えて、ダミーパルスを送信して電力を消費する。ダミーパルスは、監視IC及び絶縁素子40で電力を消費させて、各電池ブロック220で消費電力がばらつくのを抑制するものである。本実施形態では、データ送受信部71が、通信データとともにダミーパルスを通信線30に送信する。よって、データ送受信部71は、特許請求の範囲に記載のパルス送信部に相当する。監視ICは、ダミーパルスを送信することにより、電力を消費する。また同様に、絶縁素子40では、ダミーパルスを伝達することにより、電力を消費する。
監視ICは、接続された絶縁素子40の種類に応じて、ダミーパルス波形を変化させる。これにより、監視ICは、接続された絶縁素子40の種類に応じて、自身の消費電力及び自身に接続された絶縁素子40の消費電力を変化させる。監視ICは、監視対象である電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、ダミーパルスの送信による消費電力を大きくする。言い換えると、監視ICは、監視対象である電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、ダミーパルスによるデータ量を大きくする。ここで、絶縁素子40の消費電力とは、互いに同じデータ量の通信データを伝達する場合の絶縁素子40の消費電力の大きさを示している。
図17に示すように、各監視ICは、抵抗設定部に代えて、パルス決定部77を有している。なお、本実施形態では、抵抗設定情報に代えて、ダミーパルスの波形を決定をするためのパルス決定情報が予め記憶部74に格納されている。パルス決定情報は、絶縁素子40の接続構成を示す消費電力情報に対してダミーパルスの波形が割り当てられたものである。パルス決定部77は、消費電力情報及びパルス決定情報に応じて、ダミーパルスの波形を決定する。
パルス決定部77は、自身が設けられた監視ICの監視対象である電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、ダミーパルスの波形を、自身が設けられた監視ICの消費電力が大きくなる波形とする。言い換えると、電池ブロック220において絶縁素子40による消費電力が小さいほど、この電池ブロック220が電力供給する監視ICにおいてダミーパルスの送信による消費電力が大きくなるように、パルス決定情報及び消費電力情報が設定されている。
すなわち、小消費ブロックから電力供給される監視ICのパルス決定部77は、大消費ブロックに対する小消費ブロックの消費電力が小さいほど、ダミーパルスの波形を、小消費ブロックから電力が供給される監視ICの消費電力が大きくなる波形とする。これにより、絶縁素子40による消費電力が小さい電池ブロック220から電力が供給される監視ICほど、送信するダミーパルスの波形を、自身の消費電力が大きくなる波形とする。
データ送受信部71は、パルス決定部77が決定した波形のダミーパルスを送信する。本実施形態において、データ送受信部71及びパルス決定部77は、特許請求の範囲に記載の電力消費部に相当する。
図18に示す電力決定処理において監視ICは、先ず、情報取得部73が記憶装置50から消費電力情報を取得する(S50)。そして、パルス決定部77は、消費電力情報及びパルス決定情報に基づき、監視ICが送信するダミーパルスの波形を決定する(S51)。例えば、パルス決定部77は、S51で決定したダミーパルスの波形を示すデータを記憶部74に格納する。組電池制御装置100は、監視ICがS51の処理を行った後、電力決定処理を終了する。
電力決定処理が終了すると、データ送受信部71は、S51でパルス決定部77が決定した波形のダミーパルスを通信線30を介して他の監視IC又はマイコン20へ送信する。監視ICは、例えば、読出命令又は変換命令を受信した場合、命令やAD変換結果等を含む通信データとともにダミーパルスを他の監視IC又はマイコン20へ送信する。
図19では、マイコン20及び監視ICが通信する場合において、各監視ICで電力が消費されるタイミング、及び、消費電力の大きさを示している。なお、各監視ICの通信において、ダミーパルスとともに送受信される通信データの大きさは、互いに同じデータ量とする。すなわち、各監視ICにおいて、ダミーパルスとは異なる通信データの送信処理で消費される電力は、互いに同じ値となっている。
図19では、監視ICにおいて、ダミーパルスとともに送信される通信データの送信処理で消費される電力を白いブロックで示している。また、監視ICにおいて、ダミーパルスの送信処理で消費される電力を示すブロックにドットのハッチングを施している。さらに、絶縁素子40の消費電力を示すブロックに斜線のハッチングを施している。
なお本実施形態では、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数を4個とする。しかしながら、組電池制御装置100に設けられた監視ICの個数は、これに限定するものではない。
電力決定処理により、各監視ICの消費電力は、互いに同じ値とされている。詳しく言うと、ダミーパルス及びダミーパルス以外の通信データの送信処理で消費される消費電力に対して絶縁素子40の消費電力を加えた値は、各監視ICにおいて互いに同じ値とされている。すなわち、各電池ブロック220において、対応する監視ICの動作に伴い消費される電力の値は、互いに同じとされている。
なお、図19では、全ての監視ICにおいてダミーパルスを送信する例を示している。しかしながら、これに限定するものではない。図20では、第4監視IC14がダミーパルスを出力していない。第4監視IC14は、全ての監視ICのうちの、対応する絶縁素子40の消費電力が最も大きい監視ICである。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。なお、本実施形態では、全ての監視ICが絶縁素子40と接続された構成であるが、これに限定するものではない。組電池制御装置100において、絶縁素子40と接続された監視ICと、絶縁素子40と接続されない監視ICと、が設けられた例を採用することもできる。この例では、絶縁素子40に接続されない監視ICがダミーパルスを送信し、絶縁素子40に接続された監視ICがダミーパルスを送信しない。
(第7実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した組電池制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
図21に示すように、第1監視IC11〜第n監視IC1nとマイコン20とは、マイコン20を一端として複数の監視ICが直線状に接続されており、通信線30を介して通信方向が双方向となるように通信が行われる。言い換えると、第1監視IC11〜第n監視IC1nとマイコン20とは、双方向デイジーチェーン接続されていると言える。複数の監視ICは、第1監視IC11、第2監視IC12、第3監視IC13、第n監視IC1nの順番で並んでおり、第1監視IC11が最もマイコン20に近く、第n監視IC1nが最もマイコン20から遠くに設けられている例を採用している。
マイコン20は、上記実施形態と同様に、読出命令や変換命令などを識別情報とともに送信する。特に、変換命令を送信する場合、マイコン20は、全ての監視ICに対して変換命令を送信する。
各監視ICは、第1実施形態と同様に、可変抵抗90を有している。本実施形態の組電池制御装置100では、電力決定処理において第1実施形態と同様の処理を行い、各監視ICの可変抵抗90の抵抗値を設定する。
各監視ICは、変換命令を含む通信データを受信すると、電池ブロック220の電圧をAD変換するとともに、変換命令を通信方向におけるマイコン20から遠ざかる方へ送信する。また、各監視ICは、読出命令と識別情報を含む通信データを受信すると、自身に対する読出命令であった場合はAD変換結果を示すデータを通信方向におけるマイコン20の方へ送信する。一方、各監視ICは、自身以外に対する読出命令であった場合は、読出命令と識別情報とを含む通信データを通信方向におけるマイコン20から遠ざかる方へ送信する。このように本実施形態では、マイコン20が特定の監視ICへ読出命令を送信する場合、対象とされた監視ICよりもマイコン20から遠い位置に設けられた監視ICは、通信を行わない。
これによれば、複数の監視ICのうちの、マイコン20から遠い位置に設けられた監視ICほど、通信を行う回数が少ない。よって、複数の監視ICのうちの、マイコン20から遠い位置に設けられた監視ICほど、通信による消費電力が小さくなる。
本実施形態では第1実施形態と同等の効果を奏することができる。なお、本実施形態では、可変抵抗90により各電池ブロック220における電池容量のばらつきを抑制する構成であるが、これに限定するものではない。図22及び図23の第2変形例に示すように、監視ICがダミーパルスを送信することにより、各電池ブロック220における電池容量のばらつきを抑制してもよい。
第2変形例の組電池制御装置100では、監視IC及びマイコン20における接続構造が第7実施形態と同じとされている。なお、第2変形例では、説明を簡単にするために、また、監視IC同士の間に設けられた絶縁素子40の夫々の消費電力は、互いに同じ値とする。ここでは、絶縁素子40の消費電力とは、互いに同じデータ量の通信データを伝達する場合の消費電力の大きさを示している。また、各監視ICがダミーパルスとともに送受信する通信データのデータ量は、互いに同じとする。
第2変形例では、マイコン20が、各監視ICが送信するダミーパルスの波形を決定する。マイコン20は、マイコン20から遠い位置に設けられている監視ICのダミーパルスほど、監視ICの消費電力が大きくなる波形とする。これにより、組電池制御装置100では、通信データを通信する回数が少ない監視ICに対し、大きな電力を消費するダミーパルスを送信させる。したがって、組電池制御装置100では、監視ICのダミーパルスの波形をマイコン20からの距離に応じて変化させることで、通信回数の違いによる電池ブロック220の電池容量のばらつきを抑制している。
図22では、マイコン20が第4監視IC14へ通信データとダミーパルスとを送信した後、第4監視IC14がマイコン20へ通信データとダミーパルスを送信する構成について示している。図23では、マイコン20が第3監視IC13へ通信データとダミーパルスとを送信した後、第3監視IC13がマイコン20へ通信データとダミーパルスとを送信する構成について示している。この構成では、第4監視IC14が通信を行っていない。
本実施形態の監視IC及び絶縁素子40では、マイコン20から遠い位置に設けられたものほど、通信による消費電力が大きくなっている。言い換えると、本実施形態の組電池制御装置100では、通信回数が少ない監視IC、及び、通信回数が少ない監視ICに接続された絶縁素子40ほど、消費電力が大きくなっている。
なお、本実施形態では、監視IC同士の間に絶縁素子40が設けられているが、これに限定するものではない。絶縁素子40は、少なくとも、マイコン20と第1監視IC11との間に設けられていればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、記憶装置50が、抵抗51と電源52とグランド53とを含んで構成されるとともにHigh又はLowの信号を出力する例を示したが、これに限定するものではない。記憶装置50は、消費電力情報が記憶された構成であればよい。例えば、記憶装置50は、対応する絶縁素子40の消費電力に応じて値が変化するアナログ信号を出力する構成であってもよい。
上記実施形態では、監視ICとして、他の監視ICを介さずにマイコン20と接続された監視ICと、他の監視ICを介してマイコン20と接続された監視ICと、が組電池制御装置100に設けられた例を示した。しかしながら、これに限定するものではない。組電池制御装置100において、全ての監視ICが、他の監視ICを介さずにマイコン20と接続された例を採用することもできる。この例では、各監視ICは、互いに異なる絶縁素子40を介して、マイコン20と通信可能に接続されている。そして、少なくとも2つの監視ICでは、接続された絶縁素子40の消費電力が互いに異なっている。
上記実施形態では、組電池制御装置100が、1つのECU60と複数のSBM61とを備える例を示したが、これに限定するものではない。組電池制御装置100が1つのみの基板を有し、この基板に全ての監視IC、マイコン20、及び、全ての絶縁素子40が実装された例を採用することもできる。