JP6539394B1 - 温度刺激装置及び感覚閾値の計測方法 - Google Patents

温度刺激装置及び感覚閾値の計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全で定量的な皮膚感覚検査を実現することができる温度刺激装置及び感覚閾値
の計測方法を提供する。
【解決手段】プローブ10は、一列に並べて配置された刺激面11a〜11dを備える。
温度調整素子12a〜12dは、刺激面11a〜11dのそれぞれに設けられ、各刺激面
11a〜11dの温度を上昇又は下降させる。準備部23は、温度調整素子12a〜12
dを制御することにより刺激面11a〜11dのそれぞれの温度を基準温度に一致させる
。温度制御部24は、少なくとも、刺激面11a、11cに対応する温度調整素子12a
、12cを制御することにより、刺激面11a、11cと、刺激面11b、11dとの温
度差が次第に増大する状態を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚面に接触させた刺激面の温度を変化させることで、被験者に痛覚を生じ
させる温度刺激装置及び感覚閾値の計測方法に関する。
従来、線維筋痛症等の慢性疼痛のような疾患における痛みの評価や、脳障害、脊髄損傷
、糖尿病等に伴う感覚障害の評価では、痛覚、温度覚、触覚、振動覚等の皮膚感覚の検査
が行われている。このような検査では、定量的でより再現性の高い検査の実現が求められ
ている。
例えば、非特許文献1は、この種の検査として、特定の温度から温度を上昇させ、被験
者が温覚を自覚する温度の計測を複数回繰り返す温覚検査の後、特定の温度から温度を下
降させ、被験者が冷覚を自覚する温度の計測を複数回繰り返す冷覚検査を行う構成を開示
している。また、特定の温度から温度を上昇させ、被験者が温覚を自覚する温度を計測し
た後、温度を下降させて被験者が冷覚を自覚する温度を計測し、その後、温度上昇させ、
被験者が温覚を自覚する温度を計測する、という温度上昇、温度下降を複数回繰り返して
、被験者が温覚又は冷覚を自覚した温度を複数回取得する構成を開示している。
なお、被験者が温覚を自覚した状態でさらに高い温度の熱刺激が付与された場合や、被
験者が冷覚を自覚した状態でさらに低い温度の熱刺激が付与された場合、被験者は痛覚を
自覚するようになる。そのため、被験者が痛覚を自覚した温度を取得することで痛覚を定
量的に評価することができる。
一方、近年、サーマルグリル錯覚(Thermal grill illusion)が痛覚を生じさせる手法
として利用されている(例えば、特許文献1、非特許文献2等)。サーマルグリル錯覚と
は、温熱刺激と冷熱刺激とを被験者の皮膚面において近接する部位に付与した際に、被験
者がその部位に痛覚を自覚する現象であり、皮膚面に損傷を与えない温度の熱刺激であっ
ても痛覚を生じさせることができる。
特開2014−117395公報
R.Rolke et al., "Quantitative sensory testing: a comprehensive protocol for clinical trials", European Journal of Pain, 10(2006), 77-88 坂口正道、"サーマルグリル錯覚提示"、[online]、名古屋工業大学 電気・機械工学科/専攻 バーチャルリアリティ&メカトロニクス研究室、[平成30年6月13日検索]、インターネット〈URL:http://vrmech.web.nitech.ac.jp/research.html〉
しかしながら、上述のような、温覚を自覚した状態でさらに高い温度の熱刺激の付与す
る手法や、冷覚を自覚した状態でさらに低い熱刺激を付与する手法による痛覚の評価では
、例えば、被験者の痛覚に障害が生じている場合には、被験者が痛覚を自覚したときに、
検査部位の皮膚面に損傷を与えてしまう可能性がある。
一方、上述のサーマルグリル錯覚を利用して痛覚を生じさせる手法は、ゲーム等のイン
ターフェイスへの応用が検討されているが、定量的な皮膚感覚の検査への応用は検討され
ていないのが現状である。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、皮膚感覚検査において、
より安全で定量的な検査を実現することができる温度刺激装置及び感覚閾値の計測方法を
提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、被験者の皮膚面に接触し、痛覚を生じさせる温度刺激装置を前提としている。そして、本発明に係る温度刺激装置は、隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面、温度調整素子、準備部、及び温度制御部を備える。温度調整素子は、刺激面のそれぞれに設けられ、各刺激面の温度を上昇又は下降させる。準備部は、温度調整素子を制御することにより刺激面のそれぞれの温度を基準温度に一致させる。温度制御部は、隣り合う2つの刺激面の少なくとも一方の刺激面に対応する温度調整素子を制御することにより、当該2つの刺激面の温度差が次第に増大する状態にする。当該構成において、温度制御部は、隣り合う2つの刺激面の温度差を増大させる動作を繰り返すことにより一連の複数の痛覚刺激を生成し、かつ、当該一連の複数の痛覚刺激において、隣り合う痛覚刺激では隣り合う2つの刺激面の温度の高低関係を逆転させる。
この温度刺激装置では、隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面の温度差に
起因するサーマルグリル錯覚を利用して被験者に痛覚を生じさせるため、被験者の検査部
位に損傷を与える可能性が低い状態で、定量的な感覚検査を実現することができる。
温度制御部は、隣り合う2つの刺激面の温度差を変化させる際に、当該2つの刺激面の一方の温度を上昇させるとともに、当該2つの刺激面の他方の温度を下降させる構成を採用することができる。当該構成において、被験者が痛覚を自覚した旨を入力する入力部をさらに備え、入力部を通じて被験者による入力がなされる都度、温度制御部が刺激面のそれぞれについて温度上昇と温度下降とを切り替える構成を採用することもできる。あるいは、被験者が痛覚を自覚した旨を入力する入力部をさらに備え、入力部を通じて被験者による入力がなされる都度、準備部が隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度を基準温度に一致させ、かつ、隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度が基準温度になった後、温度制御部が当該2つの刺激面の温度差を増大させる動作を開始する構成を採用することもできる。
さらに、温度制御部が、隣り合う2つの刺激面の温度差を増大させる動作を任意のタイミングで開始する構成を適宜採用することもできる。
また、入力部を備える構成では、刺激面のそれぞれの温度を取得する温度取得部と、被
験者が痛覚を自覚した時点における、隣り合う2つの刺激面の温度差を感覚閾値として算
出する演算部とをさらに備える構成を採用することもできる。なお、準備部における基準
温度は、被験者の皮膚面の温度とすることもできる。
加えて、他の観点では、本発明は、被験者の皮膚面の検査部位に痛覚を生じさせた際の感覚閾値の計測方法を提供することもできる。すなわち、本発明に係る感覚閾値の計測方法では、まず、検査部位に、隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面が当接される。次いで、刺激面のそれぞれの温度が基準温度に一致する状態に調整される。その後、隣り合う2つの刺激面の少なくとも一方の刺激面について、当該刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子を制御することにより、隣り合う2つの刺激面の温度差が次第に増大する動作を繰り返すことで一連の複数の痛覚刺激が生成される。そして、被験者が痛覚を自覚した時点における、隣り合う2つの刺激面の温度差が感覚閾値として算出される。当該構成において、一連の複数の痛覚刺激における、隣り合う痛覚刺激では、隣り合う2つの刺激面の温度の高低関係が逆転している。
本発明に係る温度刺激装置及び感覚閾値の計測方法によれば、被験者の検査部位に損傷
を与える可能性が低い状態で定量的な感覚検査を実現することができる。
本発明の一実施形態における温度刺激装置の構成を示す概略構成図 本発明の一実施形態における温度刺激装置が備えるプローブの構成を示す概略構成図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1は、
本発明の一実施形態における温度刺激装置の構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の温度刺激装置100は、刺激面11(11a〜11d
)を備えるプローブ10と本体20とを備え、刺激面を通じて被験者の皮膚面の検査部位
(以下、単に、検査部位ともいう。)に対して熱刺激を付与する。
本実施形態では、プローブ10は、直線状に配置された4つの矩形状の刺激面11a、
11b、11c、11dを備える。刺激面11a〜11dの温度を制御することにより、
サーマルグリル錯覚が実現される。この例では、刺激面11bを挟む状態で刺激面11b
の両側に配置された刺激面11a及び刺激面11cが、同一の温度状態に制御される。ま
た、刺激面11cを挟む状態で、刺激面11cの両側に配置された刺激面11b及び刺激
面11dが、同一の温度状態に制御される。
図2は、温度刺激装置100が備えるプローブ10の構成をより詳細に示す図である。
図2に示すように、プローブ10は、刺激面11a〜11dに加えて、温度調整素子12
(12a〜12d)、温度センサ13(13a〜13d)、冷却ユニット14(14a〜
14d)及び伝熱板15(15a〜15d)を備える。本実施形態では、刺激面11a〜
11dのそれぞれに、温度調整素子12a〜12d、温度センサ13a〜13d、冷却ユ
ニット14a〜14dのそれぞれが対応して設けられている。図2に示すように、刺激面
11a〜11dには、それぞれ同一の温度制御機構が採用されているため、ここでは、刺
激面11aを例として、プローブ10の構成について説明する。
本実施形態では、温度調整素子12aはペルチェ素子により構成されている。特に限定
されないが、本実施形態では、図2に示すように、ペルチェ素子の第1面に当接する状態
で伝熱板15aが配置されており、当該伝熱板15aの露出面(温度調整素子12aとの
当接面の反対側の面)が刺激面11aを構成している。伝熱板15aは、温度調整素子1
2aの第1面の熱を速やかに伝達可能に構成される。
温度センサ13aは、ペルチェ素子の第1面の平面視中央に配置されており、実質的に
刺激面11aの温度を計測することができる。なお、温度センサ13aの構成は特に限定
されない。
冷却ユニット14aは、ペルチェ素子の第2面に当接する状態で配置されている。冷却
ユニット14aはペルチェ素子の第2面が発熱状態にあるときに当該熱を吸収可能な構成
であればよく、冷却ユニット14aの構成は特に限定されない、例えば、空冷式ヒートシ
ンクや水冷式ヒートシンクを使用することができる。
以上の構成では、例えば、温度調整素子12aであるペルチェ素子の第1面を発熱状態
にすると刺激面11aの温度が上昇する。また、ペルチェ素子の第1面を吸熱状態にする
と刺激面11aの温度が下降する。また、刺激面11a〜11dには、それぞれ温度調整
素子12a〜12dが設けられているため、刺激面11a〜11dのそれぞれの温度を独
立して制御することができる。加えて、各刺激面11a〜11dの温度は、例えば、温度
センサ13a〜13dを通じて取得される温度に基づいて、それぞれ独立して所望温度に
設定することも可能である。
特に限定されないが、プローブ10は、例えば、刺激面11a〜11dを上方に向けて
テーブル等に設置される。当該状態で、例えば、被験者の指先等の検査部位を刺激面11
a〜11dに当接させた状態で各刺激面11a〜11dを通じて熱刺激が付与される。
次いで、本体20について説明する。図1に示すように、本体20は、温度取得部21
(21a〜21d)、温度制御部22(22a〜22d)、準備部23、検査実施部24
、入力部25、演算部26を備える。本実施形態では、図1及び図2に示すように、刺激
面11a〜11dのそれぞれに、温度取得部21a〜21d、温度制御部22a〜22d
のそれぞれが対応して設けられている。
温度取得部21a〜21dは、刺激面11a〜11dの温度をそれぞれ取得する。本実
施形態では、温度取得部21a〜21dは、刺激面11a〜11dのそれぞれに対応して
配置された温度センサ13a〜13dを通じて刺激面11a〜11dの温度を取得してい
る。
温度制御部22a〜22dは、温度調整素子12a〜12dに供給する通電量を調整す
ることにより、温度調整素子12aの発熱量又は吸熱量を調整し、刺激面11a〜11d
の温度を上昇又は下降させる。
準備部23は、温度制御部22a〜22dを通じて、各刺激面11a〜11dの温度が
予め指定された基準温度と一致する状態に温度調整素子12a〜12dを制御する。なお
、本実施形態では、予め指定された誤差範囲(例えば、0.1度以下)内であれば、「一
致する」と定義している。また、以下では、上述の予め指定された基準温度を、適宜、ベ
ース温度という。
検査実施部24は、準備部23により刺激面11a〜11dの温度がベース温度に設定
された状態から、温度調整素子12a〜12dを制御することにより刺激面11a〜11
dの温度を上昇又は下降させる。検査実施部24は、準備部23と同様に、温度制御部2
2a〜22dを通じて温度調整素子12a〜12dを制御する。
入力部25は、被験者が痛覚を自覚した旨を入力するために使用される。特に限定され
ないが、本実施形態では、入力部25は、押ボタン式のスイッチにより構成されている。
被験者が押ボタンを押下して当該スイッチをオフ状態からオン状態に切り変えると痛覚を
自覚した旨が入力される。
演算部26は、皮膚感覚の評価値である痛覚閾値を算出する。痛覚閾値は、被験者が痛
覚を自覚したこと定量的に示す値である。痛覚閾値の詳細については後述する。
続いて、以上の構成を有する温度刺激装置100が実施する感覚閾値の計測方法につい
て説明する。温度刺激装置100は、隣り合う2つの刺激面の少なくとも一方の刺激面に
対応する温度調整素子を制御することにより、当該2つの刺激面の温度差が次第に増大す
る状態にすることで熱刺激を付与する。本実施形態では、隣り合う2つの刺激面には、刺
激面11aと刺激面11b、刺激面11bと刺激面11c、刺激面11cと刺激面11d
がそれぞれ該当することになる。
図3、図5、図7、図8、図10は、温度刺激装置100が出力する一連の熱刺激を例
示する模式図である。図3、図5、図7、図8、図10において、横軸は経過時間に対応
し、縦軸は温度に対応する。なお、図3、図5、図7、図8、図10では、隣り合う2つ
の刺激面の一方である刺激面Xの温度を実線で示し、他方である刺激面Yの温度を破線で
示している。上述のとおり、本実施形態では、刺激面11a及び刺激面11cが同一の温
度状態に制御されるとともに、刺激面11b及び刺激面11dが同一の温度状態に制御さ
れる。すなわち、刺激面11a及び刺激面11cが刺激面Xである場合、刺激面11b及
び刺激面11dが刺激面Yである。
まず、図3に示すような、刺激面Xの温度と刺激面Yの温度とが互いに逆方向に変化す
る熱刺激を繰り返し付与する状況下で痛覚閾値を計測する事例について説明する。
図4は、当該痛覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査
部位が刺激面11a〜11dに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本
体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、準備部23は、刺激面11a〜11dのそれぞれの温度
をベース温度(例えば、32℃)に一致させる(図4 ステップS401No)。当該処
理が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図4
ステップS401Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、図3に示すように、刺激面
11a、11cの温度を上昇させるとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる
(図4 ステップS402)。刺激面11a、11cの温度が上昇し、かつ刺激面11b
、11dの温度が下降する過程で被験者が痛覚を自覚した場合、被験者は入力部25を通
じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(図4 ステップS403No、S4
03Yes)。なお、温度上昇及び温度下降の温度変化率が大きいと、被験者が痛覚を自
覚したときの温度の分解能が低下してしまう。そのため、温度上昇時及び温度下降時の温
度の変化率は、必要な温度分解能が得られる値に設定する必要がある。特に限定されない
が、当該温度の変化率は、例えば、毎秒0.1〜10度の範囲内(例えば、毎秒0.3度
)とすることができる。また、特に限定されないが、本実施形態では、刺激面11a〜1
1dの全てにおいて、温度上昇率の絶対値と温度下降率の絶対値とが同一の値になってい
る。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a〜21dを通じて刺激面
11a〜11dの温度を取得する。そして、演算部26は、被験者が痛覚を自覚した時点
の刺激面11a、11cの温度と刺激面11b、11dの温度との差を痛覚閾値として算
出する(図4 ステップS404)。特に限定されないが、本実施形態では、演算部26
は、刺激面11aの温度と刺激面11cの温度との平均値と、刺激面11bの温度と刺激
面11dの温度との平均値との差を痛覚閾値として算出する。
なお、当該痛覚閾値は一例である。演算部26は、刺激面11a、11cの温度自体を
痛覚閾値として算出してもよく、刺激面11b、11dの温度自体を痛覚閾値として算出
してもよい。また、演算部26は、刺激面11a、11cの温度と上述のベース温度との
差を痛覚閾値として算出してもよく、上述のベース温度と刺激面11b、11dの温度と
の差を痛覚閾値として算出してもよい。
また、痛覚の自覚が通知されると、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を
温度上昇から温度下降に切り替えるとともに、刺激面11b、11dの温度を温度下降か
ら温度上昇に切り替える(図4 ステップS405、S406No)。刺激面11a、1
1cの温度が下降し、かつ刺激面11b、11dの温度が上昇する過程で、被験者が痛覚
を自覚した場合、被験者は入力部25を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知
する(図4 ステップS403No、S403Yes)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a〜21dを通じて刺激面
11a〜11dの温度を取得する。そして、演算部26は、上述のとおり痛覚閾値を算出
する(図4 ステップS404)。
痛覚の自覚が通知されると、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を温度下
降から温度上昇に切り替えるとともに、刺激面11b、11dの温度を温度上昇から温度
下降に切り替える(図4 ステップS405、S406No)。刺激面11a〜11dの
温度が上昇し、かつ刺激面11b、11dの温度が下降する過程で、被験者が痛覚を自覚
した場合、被験者は入力部25を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(
図4 ステップS403No、S403Yes)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a〜21dを通じて刺激面
11a〜11dの温度を取得し、上述のとおり痛覚閾値を算出する(図4 ステップS4
04)。
検査実施部24は、以上のような、連続的な温度上昇の熱刺激と、連続的な温度下降の
熱刺激との切替を予め指定された回数だけ実施する。切替回数が予め指定された回数に到
達した場合、検査実施部24は、温度制御部22a〜22dを通じて温度調整素子12a
〜12dへの電力供給を停止する(図4 ステップS405、S406Yes)。
なお、演算部26は、例えば、図示しない表示部に表示したり、図示しないUSB(Un
iversal Serial Bus)ポートを通じてUSBメモリ等の可搬記憶媒体にデータ送信したり
することで算出した痛覚閾値を出力する。
以上のとおり、温度刺激装置100では、隣り合う状態で配置された少なくとも2つの
刺激面の温度差に起因するサーマルグリル錯覚を利用して被験者に痛覚を生じさせるため
、被験者の検査部位に損傷を与える可能性が低い状態で、定量的な感覚検査を実現するこ
とができる。また、この事例のように、入力部25を通じて被験者による入力がなされる
都度、刺激面11a〜11dの温度上昇と温度下降とを切り替えて痛覚を計測することで
、定量的な痛覚閾値を連続的に繰り返し計測することができる。
ここで、上述の従来法による痛覚閾値とサーマルグリル錯覚を利用した痛覚閾値につい
て説明する。表1は、感覚障害のない8人の被験者に対して、痛覚閾値を計測した結果を
示している。表1では、従来法による痛覚閾値として、上述の刺激面11a〜11dを通
じて、連続的に温度が上昇する熱刺激を付与する過程で被験者が痛覚を自覚した時点の刺
激面11a、11cの温度(従来温痛覚)と、上述の刺激面11a〜11dを通じて、連
続的に温度が下降する熱刺激を付与する過程で被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11
a、11cの温度(従来冷痛覚)をそれぞれ示している。また、サーマルグリル錯覚を利
用した痛覚閾値として、上述の刺激面11a、11cを通じて、連続的に温度が上昇する
熱刺激を付与するとともに、刺激面11b、11dを通じて、連続的に温度が下降する熱
刺激を付与する過程で被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11a、11cの温度(TG
I温痛覚)と、上述の刺激面11a、11cを通じて、連続的に温度が下降する熱刺激を
付与するとともに、刺激面11b、11dを通じて、連続的に温度が上昇する熱刺激を付
与する過程で被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11a、11cの温度(TGI冷痛覚
)をそれぞれ示している。
表1に示すように、各被験者について、従来温痛覚の値よりもTGI温痛覚の値の方が
小さくなっている。これは、温熱刺激を付与する状況下において、従来法に比べてサーマ
ルグリル錯覚を利用した手法の方が、より低い温度で痛覚を自覚していることを意味して
いる。同様に、各被験者について、従来冷痛覚の値よりもTGI冷痛覚の値の方が大きく
なっている。これは、冷熱刺激を付与する状況下において、従来法に比べてサーマルグリ
ル錯覚を利用した手法の方が、より高い温度で痛覚を自覚していることを意味している。
以上の結果は、サーマルグリル錯覚を利用した手法の方が、従来法に比べて、皮膚面に
損傷を与える可能性がより低く、より安全に痛覚閾値を取得することが可能であることを
示している。
Figure 0006539394
次いで、図5に示すような、任意のタイミングで刺激面Xの温度と刺激面Yの温度とが
互いに逆方向に変化する熱刺激を付与する状況下で痛覚閾値を計測する事例について説明
する。
図6は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査
部位が刺激面11a〜11dに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本
体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、準備部23は、刺激面11a〜11dのそれぞれの温度
をベース温度(例えば、32℃)に一致させる(図6 ステップS601No)。当該処
理が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図6
ステップS601Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、待ち時間Wが経過するま
で待機する(図6 ステップS602No)。なお、当該待ち時間Wの値は検査実施部
24に予め設定される構成であってもよく、検査実施部24が、予め設定された時間範囲
内に属する値をランダムに設定する構成であってもよい。
待ち時間Wが経過した時点で、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を上
昇させるとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる(図6 ステップS602
Yes、S603)。刺激面11a、11cの温度が上昇し、かつ刺激面11b、11d
の温度が下降する過程で、被験者が痛覚を自覚した場合、被験者は入力部25を通じて本
体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(図6 ステップS604No、S604Y
es)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a〜21dを通じて刺激面
11a〜11dの温度を取得する。そして、演算部26は、被験者が痛覚を自覚した時点
の刺激面11a、11cの温度と刺激面11b、11dの温度との差を痛覚閾値として算
出する(図6 ステップS605)。なお、当該痛覚閾値は一例であり、本事例において
も、演算部26は、既に例示した他の痛覚閾値を算出してもよい。
演算部26は、上述の手法により算出した痛覚閾値を出力する。また、痛覚の自覚が通
知されると、検査実施部24は、温度制御部22a〜22dを通じて温度調整素子12a
〜12dへの電力の供給を停止する。
このように、任意のタイミングで熱刺激が付与される構成とすることで、被験者が痛覚
の自覚以外の要因(例えば、例えば経過時間等)で入力部25を操作する等の誤差要因を
排除することができ、痛覚閾値を安定して取得することができる。
なお、以上のような、任意のタイミングで熱刺激を付与する構成においても、熱刺激を
繰り返し付与する構成を採用することも可能である。この場合、例えば、図7に示すよう
に、準備部23は、入力部25を通じて被験者による入力がなされる都度、刺激面11a
〜11dの温度をベース温度に一致させる。準備部23による処理が完了すると、指定さ
れた待ち時間が経過した後、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を上昇させ
るとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる。これらの処理が繰り返し実施さ
れることになる。なお、図7に示すように、準備部23による処理が完了してから、検査
実施部24が刺激面11a〜11dの温度変化を開始するまでの各待ち時間W、W
等は、互いに異なる値であることが好ましい。
ところで、以上説明した事例では、被験者が入力部25を通じて痛覚を自覚したことを
温度刺激装置100に入力する構成について説明したが、痛覚検査では、熱刺激を複数回
順次付与した後、それぞれの熱刺激についての痛みの程度がどのようなものであったかを
被験者に確認する検査も行われている。図8はこのような痛覚検査に対応する一連の熱刺
激の一例を示す図である。図8に示す熱刺激では、刺激面Xの温度と刺激面Yの温度とが
互いに逆方向に変化する熱刺激を複数回繰り返して付与している点は、図7に例示した一
連の熱刺激と同様である。しかしながら、温度上昇と温度下降との切替が、刺激面Xの温
度と刺激面Yの温度とが予め指定された温度差となった時点で実施される点、及び熱刺激
の到達温度も付与される各回の熱刺激ごとに異なっている点で図7に例示した一連の熱刺
激と異なっている。
図9は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査
部位が刺激面11a〜11dに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本
体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、準備部23は、刺激面11a〜11dのそれぞれの温度
をベース温度(例えば、32℃)に一致させる(図9 ステップS901No)。当該処
理が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図9
ステップS901Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、待ち時間Wが経過するま
で待機する(図9 ステップS902No)。なお、当該待ち時間Wの値は検査実施部
24に予め設定される構成であってもよく、検査実施部24が、予め設定された時間範囲
内に属する値をランダムに設定する構成であってもよい。
待ち時間Wが経過した時点で、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を上
昇させるとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる(図9 ステップS902
Yes、S903)。刺激面11a、11cの温度が上昇し、かつ刺激面11b、11d
の温度が下降する過程で、刺激面11a、11cと刺激面11b、11dとの温度差が予
め指定された温度差ΔTになると、検査実施部24は準備部23に処理が完了した旨を
通知する(図9 ステップS904No、S904Yes)。
検査実施部24から上述の通知が入力された準備部23は、刺激面11a〜11dの温
度をベース温度に一致させる(図9 ステップS905No、S901No)。当該処理
が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図9 ス
テップS901Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、待ち時間Wが経過するま
で待機する(図9 ステップS902No)。なお、当該待ち時間Wの値は、直前の待
ち時間Wの値とは異なる値になっている。また、当該待ち時間Wの値は検査実施部2
4に予め設定される構成であってもよく、検査実施部24が、予め設定された時間範囲内
に属する値をランダムに設定する構成であってもよい。
待ち時間Wが経過した時点で、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を上
昇させるとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる(図9 ステップS902
Yes、S903)。刺激面11a、11cの温度が上昇し、かつ刺激面11b、11d
の温度が下降する過程で、刺激面11a、11cと刺激面11b、11dとの温度差が予
め指定された温度差ΔTになると、検査実施部24は準備部23に処理が完了した旨を
通知する(図9 ステップS904No、S904Yes)。
検査実施部24から上述の通知が入力された準備部23は、刺激面11a〜11dの温
度をベース温度に一致させる(図9 ステップS905No、S901No)。当該処理
が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図9 ス
テップS901Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、待ち時間Wが経過するま
で待機する(図9 ステップS902No)。なお、当該待ち時間Wの値は、先の待ち
時間W、Wの値とは異なる値になっている。また、当該待ち時間Wの値は検査実施
部24に予め設定される構成であってもよく、検査実施部24が、予め設定された時間範
囲内に属する値をランダムに設定する構成であってもよい。
待ち時間Wが経過した時点で、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度を上
昇させるとともに、刺激面11b、11dの温度を下降させる(図9 ステップS902
Yes、S903)。刺激面11a、11cの温度が上昇し、かつ刺激面11b、11d
の温度が下降する過程で、刺激面11a、11cと刺激面11b、11dとの温度差が予
め指定された温度差ΔTになると、検査実施部24は準備部23に処理が完了した旨を
通知する(図9 ステップS904No、S904Yes)。
検査実施部24は、以上のような、一連の熱刺激の付与を予め指定された回数だけ実施
する。熱刺激の付加が予め指定された回数に到達した場合、検査実施部24は、電力供給
を停止する(図9 ステップS905Yes)。
以上のようにして、一連の熱刺激の付与が完了すると、試験者(オペレータ)は被験者
に対して、一連の熱刺激に含まれる、それぞれの熱刺激による痛みの程度を聞き取り調査
することになる。このように、刺激面Xの温度と刺激面Yの温度との温度差が異なる複数
の熱刺激を任意のタイミングで付与される構成とすることで、複数の被験者に対して、被
験者間で差のない、安定した感覚検査を実施することができる。
以上では、刺激面Xの温度と刺激面Yの温度とが互いに逆方向に変化する熱刺激を例示
したが、刺激面Xと刺激面Yとの温度差が次第に増大する状態であれば、刺激面Xの温度
と刺激面Yの温度とが互いに逆方向に変化することは必須ではない。すなわち、図10に
示すように、刺激面Xの温度が上昇し、かつ刺激面Yの温度が一定の温度(例えば、ベー
ス温度)に固定されている場合や、刺激面Yの温度が下降し、かつ刺激面Xの温度が一定
の温度(例えば、ベース温度)に固定されている場合でも、同様の効果を奏することは可
能である。
図11は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検
査部位が刺激面11a〜11dに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて
本体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、準備部23は、刺激面11a〜11dのそれぞれの温度
をベース温度(例えば、32℃)に一致させる(図11 ステップS1101No)。当
該処理が完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図
11 ステップS1101Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、図10に示すように、刺激
面11a、11cの温度を上昇させる(図11 ステップS1102)。このとき、検査
実施部24は、刺激面11b、11dの温度をベース温度に固定する。刺激面11a、1
1cの温度が上昇する過程で、被験者が痛覚を自覚した場合、被験者は入力部25を通じ
て本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(図11 ステップS1103No、S
1103Yes)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a、21cを通じて刺激面
11a、11cの温度を取得する。そして、演算部26は、被験者が痛覚を自覚した時点
の刺激面11a、11cの温度とベース温度との差を痛覚閾値として算出する(図11
ステップS1104)。なお、当該痛覚閾値は一例であり、本事例においても、演算部2
6は、既に例示した他の痛覚閾値を算出してもよい。
また、痛覚の自覚が通知されると、準備部23は、刺激面11a〜11dの温度をベー
ス温度に一致させる(図11 ステップS1105No、S1106No)。当該処理が
完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図11 ス
テップS1106Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、図10に示すように、刺激
面11b、11dの温度を下降させる(図11 ステップS1107、S1102)。こ
のとき、検査実施部24は、刺激面11a、11cの温度をベース温度に固定する。刺激
面11b、11dの温度が下降する過程で、被験者が痛覚を自覚した場合、被験者は入力
部25を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(図11 ステップS11
03No、S1103Yes)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21b、21dを通じて刺激面
11b、11dの温度を取得する。そして、演算部26は、ベース温度と被験者が痛覚を
自覚した時点の刺激面11b、11dの温度との差を痛覚閾値として算出する(図11
ステップS1104)。
また、痛覚の自覚が通知されると、準備部23は、刺激面11a〜11dの温度をベー
ス温度に一致させる(図11 ステップS1105No、S1106No)。当該処理が
完了すると、準備部23は、検査実施部24に処理が完了した旨を通知する(図11 ス
テップS1106Yes)。
準備部23から上述の通知が入力された検査実施部24は、図10に示すように、刺激
面11a、11cの温度を上昇させる(図11 ステップS1107、S1102)。こ
のとき、検査実施部24は、刺激面11b、11dの温度をベース温度に固定する。刺激
面11a、11cの温度が上昇する過程で、被験者が痛覚を自覚した場合、被験者は入力
部25を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する(図11 ステップS11
03No、S1103Yes)。
痛覚の自覚が通知されると、演算部26は、温度取得部21a、21cを通じて刺激面
11a、11cの温度を取得する。そして、演算部26は、被験者が痛覚を自覚した時点
の刺激面11a、11cの温度とベース温度との差を痛覚閾値として算出する(図11
ステップS1104)。
検査実施部24は、以上のような、刺激面X(刺激面11a、11c)の温度上昇によ
る熱刺激と、刺激面Y(刺激面11b、11d)の温度下降による熱刺激との切替を予め
指定された回数だけ実施する。切替回数が予め指定された回数に到達した場合、検査実施
部24は、温度制御部22a〜22dを通じて温度調整素子12a〜12dへの電力供給
を停止する(図11 ステップS1105Yes)。
演算部26は、上述の手法により算出した痛覚閾値を出力する。また、痛覚の自覚が通
知されると、検査実施部24は、温度制御部22a〜22dを通じて温度調整素子12a
〜12dへの温度調整素子12aへの電力の供給を停止する。
このように、刺激面X(刺激面11a、11c)の温度のみを変化させ、刺激面Y(刺
激面11b、11d)の温度は一定温度に維持する、あるいは、刺激面Y(刺激面11b
、11d)の温度のみを変化させ、刺激面X(刺激面11a、11c)の温度は一定温度
に維持することで熱刺激を付与する構成では、刺激面Xと刺激面Yとの温度差は小さくな
るが、刺激面11aから11dにわたる温度分布の形状は、刺激面Xの温度と刺激面Yの
温度とを逆方向に変化させる熱刺激を付与する構成と同様になる。したがって、刺激面X
の温度と刺激面Yの温度とを逆方向に変化させる熱刺激を付与する構成と同様の作用効果
を得ることができる。
以上説明したように、温度刺激装置100では、隣り合う状態で配置された少なくとも
2つの刺激面の温度差に起因するサーマルグリル錯覚を利用して被験者に痛覚を生じさせ
る。そのため、被験者の検査部位に損傷を与える可能性が低い状態で、定量的な感覚検査
を実現することができる。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載した
もの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態
では、4つの矩形状の刺激面を一列に配置した構成を例示したが、サーマルグリル錯覚に
より被験者に痛覚を生じさせることが可能であれば、刺激面の形状、刺激面の大きさ、刺
激面の配置、隣り合う刺激面の間隔等は任意に設計することが可能である。
また、上記実施形態では、検査開始時の基準温度であるベース温度を予め指定した特定
の温度とした事例について説明したが、ベース温度は、検査部位の皮膚面の温度としても
よい。この場合、プローブ10は、刺激面11a〜11dを通過する熱流束の大きさを検
知する熱流センサを備える構成を採用することが好ましい。これにより、熱流束の大きさ
がゼロとみなせる大きさとなるように、温度調整素子12a〜12dを制御することで、
比較的容易に各刺激面11a〜11dの温度を検査部位の皮膚面の温度に一致させること
ができる。
また、上記実施形態では、特に好ましい形態として、演算部26を備える構成としたが
、演算部26を備えることは必須ではない。例えば、被験者が痛覚を自覚したときの刺激
面11a〜11dの温度のみを出力する構成とし、痛覚閾値を算出する演算を別途行う構
成であってよい。さらに、入力部25を備えることも必須ではない。この場合、例えば、
本体20に刺激面11a〜11dの温度を表示する表示部を設けるとともに、被験者が痛
覚を自覚したときに、表示部に表示されている温度を試験者(オペレータ)が記録する構
成とすることができる。また、表示部に特定の温度、あるいは、ベース温度と特定の温度
差を有する温度が表示されているときに、被験者が痛覚の程度を口頭で回答する構成とす
ることもできる。
また、図4、図6、図9、図11に示すフロー図は、等価な作用を奏する範囲において
各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、図4、図11に示すフロー図では、被
験者による入力部を通じた入力がある都度、感覚閾値を算出する構成としたが、感覚閾値
を算出する演算は任意のタイミングで一括して行ってもよい。
さらに、図3、図5、図7、図8、図10に示す熱刺激のプロファイルはあくまで例示
であり、本発明の効果を奏する範囲において、適宜、変更可能することができる。
本発明によれば、安全で定量的な皮膚感覚検査を実現することができ、温度刺激装置及
び感覚閾値の計測方法として有用である。
10 プローブ
11、11a、11b、11c、11d 刺激面
12、12a、12b、12c、12d 温度調整素子
20 本体
21、21a、21b、21c、21d 温度取得部
22、22a、22b、22c、22d 温度制御部
23 準備部
24 検査実施部
25 入力部
26 演算部

Claims (5)

  1. 被験者の皮膚面に接触し、痛覚を生じさせる温度刺激装置であって、
    隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面と、
    前記刺激面のそれぞれに設けられ、各刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子と、
    前記温度調整素子を制御することにより前記刺激面のそれぞれの温度を基準温度に一致させる準備部と、
    隣り合う2つの前記刺激面の少なくとも一方の刺激面に対応する前記温度調整素子を制御することにより、当該2つの刺激面の温度差が次第に増大する状態にする温度制御部と、
    を備え
    前記温度制御部は、前記隣り合う2つの刺激面の温度差を増大させる動作を繰り返すことにより一連の複数の痛覚刺激を生成し、かつ、当該一連の複数の痛覚刺激において、隣り合う痛覚刺激では前記隣り合う2つの刺激面の温度の高低関係を逆転させる温度刺激装置。
  2. 被験者の皮膚面に接触し、痛覚を生じさせる温度刺激装置であって、
    隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面と、
    前記刺激面のそれぞれに設けられ、各刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子と、
    前記温度調整素子を制御することにより前記刺激面のそれぞれの温度を基準温度に一致させる準備部と、
    隣り合う2つの前記刺激面に対応する前記温度調整素子を制御することにより、当該2つの刺激面の一方の温度を上昇させるとともに、当該2つの刺激面の他方の温度を下降させて当該2つの刺激面の温度差が次第に増大する状態にする温度制御部と、
    前記被験者が痛覚を自覚した旨を入力する入力部と、
    を備え
    前記準備部は、前記入力部を通じて前記被験者による入力がなされる都度、前記隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度を前記基準温度に一致させ、
    前記温度制御部は、前記隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度が前記基準温度になった後、当該2つの刺激面の温度差を増大させる動作を開始することにより、一連の複数の痛覚刺激を生成し、かつ、前記隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度を前記基準温度に一致させてから各痛覚刺激に対して予め指定された待ち時間が経過した後、又は、前記隣り合う2つの刺激面のそれぞれの温度を前記基準温度に一致させてから予め指定された時間範囲内に属するランダムに設定された待ち時間が経過した後、前記隣り合う2つの刺激面の温度差を増大させる動作を開始する温度刺激装置。
  3. 前記刺激面のそれぞれの温度を取得する温度取得部と、
    前記被験者が痛覚を自覚した時点における、前記隣り合う2つの刺激面の温度差を感覚閾値として算出する演算部と、
    をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の温度刺激装置。
  4. 前記準備部における前記基準温度は、前記皮膚面の温度である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の温度刺激装置。
  5. 被験者の皮膚面の検査部位に痛覚を生じさせた際の感覚閾値の計測方法であって、
    前記検査部位に、隣り合う状態で配置された少なくとも2つの刺激面を当接させるステップと、
    前記刺激面のそれぞれの温度を基準温度に一致させるステップと、
    隣り合う2つの刺激面の少なくとも一方の刺激面について、当該刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子を制御することにより、前記隣り合う2つの刺激面の温度差が次第に増大する動作を繰り返すことにより一連の複数の痛覚刺激を生成するステップと、
    前記被験者が痛覚を自覚した時点における、前記隣り合う2つの刺激面の温度差を感覚閾値として算出するステップと、
    を有し、
    前記一連の複数の痛覚刺激を生成するステップでは、前記一連の複数の痛覚刺激において、隣り合う痛覚刺激では前記隣り合う2つの刺激面の温度の高低関係を逆転させる感覚閾値の計測方法。
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