JP6360636B1 - 皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法 - Google Patents

皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度を評価値とする皮膚感覚検査において、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法を提供する。【解決手段】プローブ10は、検査部位に対向して配置され、検査部位に熱刺激を付与する刺激面11aを有する。熱流センサ11は、刺激面11aを通過する熱流束を検知する。温度調整素子12は、刺激面11aの温度を上昇又は下降させる。基準調整部23aは、熱流センサ11により検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に温度調整素子12を制御することにより、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる。検査実施部23bは、基準調整部23aにより刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子12を制御することにより刺激面11aの温度を上昇又は下降させる。【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚に接触させた刺激面の温度を変化させることで、温覚、冷覚、痛覚を刺激する皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法に関する。
従来、線維筋痛症等の慢性疼痛のような疾患における痛みの評価や、脳障害、脊髄損傷、糖尿病等に伴う感覚障害の評価では、痛覚、温度覚、触覚、振動覚等の皮膚感覚の検査が行われている。このような検査では、定量的でより再現性の高い検査の実現が求められている。
例えば、特許文献1は、人体の皮膚表面に接触させて温冷覚を検査する温冷覚検査装置において、1つの温度センサで皮膚温度と皮膚に与える温度とを測定可能とし、計測した皮膚温度を考慮した上で与えるべき温度を設定して温冷覚検査を実施する構成を開示している。また、特許文献2は、被験者の皮膚面に対向させて温度刺激手段の刺激面を配置した状態で、温度刺激手段による温度刺激を開始した時点から被験者が温覚又は冷覚を自覚する時点までの熱流束と温度の経時変化に基づいて得られる単位面積当たりの熱量である熱量閾値を温度覚の評価値とする構成を開示している。また、特許文献3は、被検部位に連続的な熱刺激を加えた場合の、熱刺激終了後の残感覚の残存時間により中枢感作の有無を判断する構成を開示している。
一方、非特許文献1は、特定の温度から温度を上昇させ、被験者が温覚を自覚する温度の計測を複数回繰り返す温覚検査の後、特定の温度から温度を下降させ、被験者が冷覚を自覚する温度の計測を複数回繰り返す冷覚検査を行う構成を開示している。また、特定の温度から温度を上昇させ、被験者が温覚を自覚する温度を計測した後、温度を下降させて被験者が冷覚を自覚する温度計測し、その後、温度上昇させ、被験者が温覚を自覚する温度を計測する、という温度上昇、温度下降を複数回繰り返し、被験者が温覚又は冷覚を自覚した温度を複数回取得する構成を開示している。
特開2015−159898号公報 特開平10−179591号公報 国際公開第2013/125518号
R.Rolke et al., "Quantitative sensory testing: a comprehensive protocol for clinical trials", European Journal of Pain, 10(2006), 77-88
温冷覚検査では、同一の被験者であっても、検査部位の皮膚温度が低い場合(例えば、30℃)と高い場合(例えば、35℃)とでは、温覚又は冷覚を自覚する温度が異なる。特許文献1が開示する技術では、温冷覚検査に際し、検査部位に付与する熱刺激の温度を測定した皮膚温度を考慮して設定する構成であるため、検査部位の皮膚温度に関わらず、定量的な温冷覚検査を実施することができる。
しかしながら、特許文献1が開示する構成では、皮膚温度の測定後に、同一の温度セン
サを使用して皮膚に熱刺激を与える吸発熱体の温度(例えば、皮膚温度+5℃)が調整される。この温度調整の間は、被験者の検査部位に熱刺激が付与されることがないように、検査用プローブが被験者の皮膚から離す必要がある。また、被験者が温覚又は冷覚を自覚する温度差を取得するためには、皮膚温度と吸発熱体の温度との温度差を異ならせた熱刺激を順次付与する必要があるため、吸発熱体の温度を繰り返し調整する必要がある。すなわち、検査用プローブを皮膚に接触させる動作と皮膚から離す動作とを繰り返すという煩雑な動作が必要になる。また、吸発熱体の温度調整中の待ち時間の間に皮膚温度が変動してしまう可能性もある。また、皮膚温度と吸発熱体の温度との温度差が大きくなると待ち時間も大きくなるため、皮膚温度が変動してしまう可能性がより高まることになる。変動後の皮膚温度は、再測定により取得することも可能である。しかしながら、皮膚温度と吸発熱体の温度の温度差を変更する度に皮膚温度を測定し、さらに、再測定も必要となると検査時間が著しく長くなってしまう。
また、皮膚温度から連続的に温度が上昇又は下降する熱刺激を付与する場合には、皮膚温度と吸発熱体の温度とを予め一致させる必要がある。このような温度調整は、温冷覚検査装置の熱刺激発生部位に被験者の検査部位を接触させた状態で実施する必要がある。この温度調整の際には、温度センサの測定結果に基づく温度調整では吸発熱体の温度に比較的大きなオーバーシュートが発生する。そのため、被験者の検査部位と吸発熱体との間で熱の移動が生じ、当該温度調整の間に皮膚温度が変動してしまう可能性がある。したがって、上述の問題と同様の問題が発生することになる。
また、特許文献2、3が開示する技術は、新たな評価値を提案するものであり、従来から使用されている、温度を評価値とする皮膚感覚検査にそのまま適用することは困難である。
本発明は、上記従来の事情を鑑みて提案されたものであって、温度を評価値とする皮膚感覚検査において、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用している。まず、本発明は、被験者の皮膚面の検査部位に対して熱刺激を付与する皮膚感覚刺激装置を前提としている。そして、本発明に係る皮膚感覚刺激装置は、刺激面、熱流センサ、温度調整素子、基準調整部、及び検査実施部を備える。刺激面は、検査部位に対向して配置され、検査部位に熱刺激を付与する。熱流センサは、刺激面を通過する熱流束を検知する。温度調整素子は、刺激面の温度を上昇又は下降させる。基準調整部は、熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に温度調整素子を制御することにより、刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させる。検査実施部は、基準調整部により刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子を制御することにより刺激面の温度を上昇又は下降させる。
この皮膚感覚刺激装置では、熱流センサにより検知される熱流束に基づいて、刺激面の温度と検査部位の温度とを同一にしている。本構成では、短時間で高精度に刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させることができる。その結果、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる。
上記皮膚感覚刺激装置では、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した旨を入力する入力部をさらに備え、検査実施部が、基準調整部により刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子を制御することにより刺激面の温度を上昇又は下降させた後、入力部を通じて被験者による入力がなされる都度、刺激面の温度上昇と温度下降とを
切り替える構成を採用することができる。また、基準調整部が、入力部を通じて被験者による入力がなされる都度、熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に温度調整素子を制御することにより、刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させる構成を採用することもできる。また、刺激面の温度を取得する温度取得部をさらに備え、検査実施部が、基準調整部により刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態における刺激面の温度に対して予め指定された温度差を加算した温度に刺激面の温度を上昇又は下降させる構成を採用することもできる。
さらに、以上の皮膚感覚刺激装置は、刺激面の温度を取得する温度取得部と、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した時点の刺激面の温度と、基準調整部により刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態における刺激面の温度との差、あるいは、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面の温度と、被験者が温覚又は冷覚を自覚した時点の刺激面の温度との差を感覚閾値として算出する演算部とをさらに備える構成を採用することもできる。また、上述の予め指定された熱流束の範囲が−50W/m以上かつ+50W/m以下である構成を採用することもできる。
一方、他の観点では、本発明は、被験者の皮膚面の検査部位に対して熱刺激を付与した際の感覚閾値の計測方法を提供することもできる。すなわち、本発明に係る感覚閾値の計測方法では、まず、検査部位に熱刺激を付与する刺激面を通過する熱流束を検知する熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子を制御することにより、刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させる。次いで、刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子を制御することにより刺激面の温度を上昇又は下降させる。そして、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した時点の刺激面の温度と、刺激面の温度と検査部位の温度とが一致した状態における刺激面の温度との差、あるいは、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面の温度と、被験者が温覚又は冷覚を自覚した時点の刺激面の温度との差が感覚閾値として算出される。
本発明に係る皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法によれば、短時間で高精度に刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させることができる。その結果、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる。
本発明の一実施形態における皮膚感覚刺激装置の構成を示す概略構成図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法と温度センサを用いた計測方法との比較例を示す図 本発明の一実施形態における熱刺激を例示する模式図 本発明の一実施形態における感覚閾値の計測方法の一例を示すフロー図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態における皮膚感覚刺激装置の構成を示す概略構成図である。本実施形態の皮膚感覚刺激装置100は、被験者の皮膚面の検査部位(以下、単に、検査部位ともいう。)に対して熱刺激を付与する。
なお、熱刺激を使用する皮膚感覚検査では、温覚、冷覚、痛覚が評価される。温覚を評価する場合、皮膚温度よりも高い温度の熱刺激が検査部位に付与され、被験者が温覚を自覚した閾値が取得される。冷覚を評価する場合、皮膚温度よりも低い温度の熱刺激が検査部位に付与され、被験者が冷覚を自覚した閾値が取得される。また、被験者が温覚を自覚した状態でさらに高い温度の熱刺激が付与された場合や、被験者が冷覚を自覚した状態でさらに低い温度の熱刺激が付与された場合、被験者は痛覚を自覚するようになる。このとき、被験者が温覚を自覚した閾値が取得することで痛覚を評価することができる。なお、温覚側の痛覚はC線維を伝わるslow painに関係し、冷覚側の痛覚はAδ線維を伝わるfast painに関係する。
図1に示すように、本実施形態の皮膚感覚刺激装置100は、プローブ10と本体20とを備える。まず、プローブ10の構成について説明する。プローブ10は、熱流センサ11、温度調整素子12、及び冷却ユニット13を備える。本実施形態では、温度調整素子12はペルチェ素子により構成されている。当該ペルチェ素子の第1面に当接して冷却ユニット13が配置され、ペルチェ素子の第2面に当接して熱流センサ11が配置されている。なお、冷却ユニット13は第1面が発熱状態にあるときに当該熱を吸収可能な構成であればよく、冷却ユニット13の構成は特に限定されない、例えば、空冷式ヒートシンクや水冷式ヒートシンクを使用することができる。
公知のように、熱流センサ11は、平板状の形態を有し、厚さ方向を通過する熱流束の大きさを検知する。本実施形態では、熱流センサ11において、温度調整素子12の当接面と反対側の面が刺激面11aを構成している。したがって、熱流センサ11は、刺激面11aを通過する熱流束を検知することになる。なお、熱流センサ11の厚みは0.4mm程度である。
皮膚感覚検査時に、刺激面11aは、検査部位に対向し、検査部位と接触する状態で配置される。当該状態で、温度調整素子12であるペルチェ素子の第2面を発熱状態にすると、刺激面11aの温度が上昇し、検査部位に温熱刺激が付与される。また、ペルチェ素子の第2面を吸熱状態にすると、刺激面11aの温度が下降し、検査部位に冷熱刺激が付与される。
特に限定されないが、本実施形態のプローブ10は、刺激面11aを上方に向けてテーブル等に設置される。当該状態で、例えば、被験者の指先等の検査部位を刺激面11aに当接させた状態で熱刺激が付与される。なお、図1では、一例として、被験者の指先を検査部位30として破線で示している。
次いで、本体20について説明する。本体20は、熱流取得部21、温度取得部22、温度制御部23、入力部24、演算部25を備える。熱流取得部21は、熱流センサ11の出力値に基づいて刺激面を通過する熱流束の大きさを取得する。温度取得部22は、刺激面11aの温度を取得する。本実施形態では、温度取得部22は、ペルチェ素子の第2面の平面視中央に配置された温度センサ14により刺激面11aの温度を取得している。
温度制御部23は、基準調整部23a、検査実施部23b、及び電源部23cを備える。基準調整部23aは、熱流センサ11により検知される熱流束の大きさが予め指定された範囲内となる状態に温度調整素子12を制御することにより、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる。基準調整部23aは、熱流取得部21から熱流束の大きさを取得する。本実施形態では、上述の予め指定された熱流束の範囲は−50W/m以上かつ+50W/m以下である。当該範囲外であると、後述のように、自覚皮膚温度及び自覚熱流束が安定して計測できなくなるため好ましくない。特に限定されないが、本実施形態では、熱が検査部位から刺激面に流れる方向を正としている。
基準調整部23aは、温度調整素子12に動作電力を供給する電源部23cの通電量を調整することにより、温度調整素子12の発熱量又は吸熱量を調整し、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる。
検査実施部23bは、基準調整部23aにより刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子12を制御することにより刺激面11aの温度を上昇又は下降させる。検査実施部23bも、基準調整部23aと同様に、電源部23cの通電量を調整することにより温度調整素子12の発熱量又は吸熱量を調整し、刺激面11aの温度を上昇又は下降させる。
入力部24は、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した旨を入力するために使用される。特に限定されないが、本実施形態では、入力部24は、押ボタン式のスイッチにより構成されている。被験者が押ボタンを押下して当該スイッチをオフ状態からオン状態に切り変えると、温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した旨が入力される。
演算部25は、皮膚感覚の評価値である感覚閾値を算出する。感覚閾値は、温覚閾値、冷覚閾値、痛覚閾値を含む。温覚閾値は、被験者が温覚を自覚したこと定量的に示す値である。冷覚閾値は、被験者が冷覚を自覚したこと定量的に示す値である。痛覚閾値は、被験者が痛覚を自覚したこと定量的に示す値である。本実施形態では、演算部25は、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、基準調整部23aにより刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致した状態における刺激面11aの温度との差を感覚閾値として算出する。なお、以下では、基準調整部23aにより刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致した状態における刺激面11aの温度を、適宜、ベース温度という。ここでは刺激面11aの温度を取得しているが、刺激面11aの温度と検査部位の温度とは一致しているため、実質的に検査部位の温度を取得していることになる。
続いて、以上の構成を有する皮膚感覚刺激装置100が実施する感覚閾値の計測方法について説明する。図2、図4、図7は、皮膚感覚刺激装置100が出力する熱刺激を例示する模式図である。図2、図4、図7において、横軸は経過時間に対応し、縦軸は温度に対応する。まず、図2(a)に示すような、連続的に温度が上昇する熱刺激を付与する状況下で感覚閾値を計測する事例(すなわち、温覚閾値を計測する事例)について説明する。
図3は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査部位が刺激面11aに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、基準調整部23aは、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる(図3 ステップS301No)。例えば、熱流取得部21により取得された熱流束の大きさが正の値であった場合、刺激面11aの温度よりも検査部位の温度の方が高い状態にある。そのため、基準調整部23aは、温度調整素子12であるペルチェ素子への電源部23cによる通電量を調整してペルチェ素子の第2面の発熱量を増大させる。これにより、熱流取得部21により取得される熱流束の大きさは次第に小さくなる。また、熱流取得部21により取得される熱流束の大きさがオーバーシュートにより小さくなり過ぎた場合、基準調整部23aは、ペルチェ素子への通電量を調整してペルチェ素子の第2面の発熱量を増大させる。このような制御を繰り返すことにより、熱流取得部21は刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる。なお、上述のように、本実施形態では、熱流センサ11により検知される熱流束が予め指定された範囲内(ここでは
、−50W/m以上かつ+50W/m以下)となる状態であれば、刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致していると定義している。
以上の処理が完了すると、基準調整部23aは、検査実施部23b及び演算部25に処理が完了した旨を通知する(図3 ステップS301Yes)。このとき、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度をベース温度Tとして取得する。熱流センサ11の検出結果に応じてペルチェ素子への通電量を調整する構成では、温度センサに基づく温度調整に必要な各種処理(検出値を温度に変換する処理、変換した温度と予め取得した皮膚温度とを比較する処理、当該比較結果に応じて通電量を決定する処理等)が不要であるとともに、温度計測位置が熱平衡状態になるまでの待ち時間も不要であるため、温度のオーバーシュートも短時間で収束する。その結果、温度センサを使用して刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる構成と比較しても、短時間かつ高精度で刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させることができる。
基準調整部23aから上述の通知が入力された検査実施部23bは、刺激面11aの温度を上昇させる(図3 ステップS302)。刺激面11aの温度が上昇する過程で、被験者が温覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を通知する(図3 ステップS303No、S303Yes)。なお、温度上昇時の温度変化率が大きいと、被験者が温覚を自覚したときの温度の分解能が低下することになる。そのため、温度上昇時の温度の変化率は、必要な温度分解能が得られる値に設定する必要がある。特に限定されないが、温度上昇時の温度の変化率は、例えば、毎秒0.1〜10度の範囲内(例えば、毎秒0.3度)とすることができる。
温覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得する。そして、演算部25は、被験者が温覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、上述のベース温度Tとの差を感覚閾値(ここでは、温覚閾値)として算出する(図3 ステップS304)。
演算部25は、例えば、図示しない表示部に表示したり、図示しないUSB(Universal Serial Bus)ポートを通じてUSBメモリ等の可搬記憶媒体にデータ送信したりすることで算出した感覚閾値を出力する。また、温覚の自覚が通知されると、検査実施部23bは、温度調整素子12への電力の供給を停止する。
以上のように、本実施形態では、熱流センサ11により検知される熱流束に基づいて、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させている。本構成では、短時間で高精度に刺激面の温度と検査部位の温度とを一致させることができる。その結果、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる。
ここで、上述の予め指定された熱流束の範囲と感覚閾値の測定結果の関係について説明する。表1は、熱刺激付与を開始する際の、熱流センサ11により検知される熱流束の大きさを変化させ、それぞれについて温覚閾値を計測した結果を示している。表1では、熱刺激付与を開始する際の熱流束の大きさの設定値(熱流束条件)、熱刺激の付与を開始する際の皮膚温度(開始皮膚温度)、熱刺激の付与を開始する際の実際の熱流束の大きさ(開始熱流束)、被験者が温覚を自覚した際の皮膚温度(自覚皮膚温度)、被験者が温覚を自覚した際の熱流束の大きさ(自覚熱流束)、熱刺激付与開始から被験者が温覚を自覚するまでの時間(自覚時間)、開始皮膚温度と自覚皮膚温度との温度差をそれぞれ示している。
表1から、開始熱流束が大きくなるにつれて(すなわち、皮膚温度と刺激面の温度との差が大きくなるにつれて)、自覚皮膚温度及び自覚熱流束が小さくなっていることが理解
できる。一方、開始熱流束が50W/m以下になると、自覚皮膚温度及び自覚熱流束が安定して計測できることが理解できる。
Figure 0006360636
なお、上述のように、被験者が温覚を自覚した状態でさらに高い温度の熱刺激が付与された場合、被験者は痛覚を自覚するようになる。したがって、検査実施部23bが、刺激面11aの温度を上昇させる過程で、被験者が入力部24を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する構成とすることで、痛覚閾値を取得することが可能になる。この場合、演算部25は、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、上述のベース温度Tとの差を感覚閾値(ここでは、痛覚閾値)として算出する。
また、以上のような感覚閾値は、上述のベース温度Tを基準とした算出により、より安定した値として取得することができる。表2及び表3は、感覚閾値である温覚閾値及びと痛覚閾値を計測した結果を示している。ここでは、感覚障害のない4人の被験者に対して、連続的に温度が上昇する熱刺激を付与している。表2では、熱刺激の付与を開始する際に、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させている。表3では、熱刺激の付与を開始する際に、刺激面11aの温度を特定の温度(ここでは30℃)としている。表2では、熱刺激付与を開始する際の検査部位の温度(開始皮膚温度)、熱刺激を付与する過程で温覚を自覚したときの刺激面11aの温度(温覚自覚温度)、熱刺激を付与する過程で痛覚を自覚したときの刺激面11aの温度(痛覚自覚温度)、温覚自覚温度と開始皮膚温度との差、痛覚自覚温度と開始皮膚温度との差をそれぞれ示している。同様に、表3では、熱刺激付与を開始する際の刺激面11aの温度(開始温度)、熱刺激を付与する過程で温覚を自覚したときの刺激面11aの温度(温覚自覚温度)、熱刺激を付与する過程で痛覚を自覚したときの刺激面11aの温度(痛覚自覚温度)、温覚自覚温度と開始温度との差、痛覚自覚温度と開始温度との差をそれぞれ示している。
表2及び表3から、温覚自覚温度の計測値や痛覚自覚温度の計測値は、いずれの場合についても同程度のばらつきを有していることが理解できる。一方、表2における温覚自覚温度と開始皮膚温度との差は、表3における温覚自覚温度と開始温度との差よりも、各被験者についての値のばらつきが小さくなっていることが理解できる。同様に、表2における痛覚自覚温度と開始皮膚温度との差は、表3における痛覚自覚温度と開始温度との差よりも、各被験者についての値のばらつきが小さくなっていることが理解できる。
以上の結果は、上述のベース温度Tを基準として温覚閾値や痛覚閾値を算出することで、各被験者間でばらつきの少ないより安定した値を取得できることを示している。また、別の見方をすれば、温覚閾値、痛覚閾値のばらつきが少ないということは、付与された熱刺激を各被験者が同程度の刺激として自覚していることになる。したがって、特定の温度を基準とした温度差を熱刺激として設定する場合に比べて、開始皮膚温度を基準とした温度差を熱刺激として設定する方が、感覚障害のない被験者が同程度の温覚刺激や痛覚刺激として感じる刺激をより安定して付与できるといえる。
Figure 0006360636
Figure 0006360636
また、以上では、検査部位の温度と刺激面11aの温度とを一致させた上で、検査部位の温度から連続的に温度が上昇する熱刺激を付与する構成について説明したが、図2(b)に示すような、検査部位の温度から連続的に温度が下降する熱刺激を付与する構成とすることもできる。この構成では、検査実施部23bが、刺激面11aの温度を下降させる過程で、被験者が入力部24を通じて本体20に対して冷覚を自覚した旨を通知する構成とすることで、冷覚閾値を取得することが可能になる。この場合、演算部25は、被験者が冷覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、上述のベース温度Tとの差を冷覚閾値として算出する。同様に、検査実施部23bが、刺激面11aの温度を下降させる過程で、被験者が入力部24を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する構成とすることで、痛覚閾値を取得することが可能になる。この場合、演算部25は、上述のベース温度Tと被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11aの温度との差を痛覚閾値として算出する。なお、上述の説明では、連続的に温度が上昇又は下降する熱刺激の単位時間あたりの温度変化率を一定としたが、単位時間あたりの温度変化率が経過時間とともに増大する、あるいは、単位時間あたりの温度変化率が経過時間とともに減少する熱刺激を用いてもよい。
また、検査実施部23bが、図2(a)、図2(b)に示すような、温度が連続的に上昇又は下降する熱刺激はではなく、図2(c)、図2(d)に示すような、温度が段階的に上昇又は下降する熱刺激を付与する構成であってもよい。段階的に温度上昇する熱刺激は、例えば、ベース温度Tに対して予め指定された温度差を順次加算した複数の設定温度を算出し、刺激面11aの温度を、予め指定された時間の間ずつ、算出した各温度で維持することで実現可能である。同様に、段階的に温度下降する熱刺激は、例えば、ベース温度Tから予め指定された温度差を順次減算した複数の設定温度を算出し、刺激面11aの温度を、予め指定された時間の間ずつ、算出した各温度で維持することで実現可能である。なお、図2(c)、図2(d)では、ベース温度Tに対して順次加算又は減算する温度差が同一である例を示しているが、順次加算又は順次減算する温度差が異なってもよい。また、加算と減算とが混在する構成(すなわち、温度上昇と温度下降が混在する構
成)であってもよい。同様に、図2(c)、図2(d)では、刺激面11aの温度を算出されたそれぞれの温度に維持する時間が同一である例を示しているが、温度を維持する時間が異なってもよい。以上のような、設定温度の演算は演算部25が実施する構成を採用すればよい。
このように、ベース温度Tを基準とした温度差として熱刺激を設定することで、上述のように、各被験者の検査部位に対して被験者が同程度と感じる刺激をより安定して付与することが可能となる。
次いで、図4に示すような、連続的に温度が上昇する熱刺激と連続的に温度が下降する熱刺激とを繰り返し付与する状況下で感覚閾値を計測する事例(すなわち、温覚閾値と冷覚閾値とを交互に複数回続けて計測する事例)について説明する。
図5は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査部位が刺激面11aに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、基準調整部23aは、上述した手法により、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる(図5 ステップS501No)。当該処理が完了すると、基準調整部23aは、検査実施部23b及び演算部25にその旨を通知する(図5 ステップS501Yes)。このとき、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度をベース温度Tとして取得する。
基準調整部23aから上述の通知が入力された検査実施部23bは、刺激面11aの温度を上昇させる(図5 ステップS502)。刺激面11aの温度が上昇する過程で、被験者が温覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を通知する(図5 ステップS503No、S503Yes)。
温覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得する。そして、演算部25は、被験者が温覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と上述のベース温度Tとの差を温覚閾値として算出する(図5 ステップS504)。
また、温覚の自覚が通知されると、検査実施部23bは、刺激面11aの温度を温度上昇から温度下降に切り替える(図5 ステップS505、S506No)。刺激面11aの温度が下降する過程で、被験者が冷覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して冷覚を自覚した旨を通知する(図5 ステップS503No、S503Yes)。
冷覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得する。そして、演算部25は、上述のベース温度Tと被験者が冷覚を自覚した時点の刺激面11aの温度との差を冷覚閾値として算出する(図5 ステップS504)。
また、冷覚の自覚が通知されると、検査実施部23bは、刺激面11aの温度を温度下降から温度上昇に切り替える(図5 ステップS505、S506No)。刺激面11aの温度が上昇する過程で、被験者が温覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を通知する(図5 ステップS503No、S503Yes)。
温覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得し、上述のとおり温覚閾値を算出する(図5 ステップS504)。
検査実施部23bは、以上のような、連続的な温度上昇の熱刺激と、連続的な温度下降の熱刺激との切替を予め指定された回数だけ実施する。切替回数が予め指定された回数に到達した場合、検査実施部23bは、温度調整素子12への電力供給を停止する(図5 ステップS505、S506Yes)。
以上のように、この事例では、検査実施部23bは、基準調整部23aにより刺激面11aの温度と検査部位の温度とが一致した状態から温度調整素子12を制御することにより刺激面11aの温度を上昇又は下降させた後、入力部24を通じて被験者による入力がなされる都度、刺激面11aの温度上昇と温度下降とを切り替える。このような一連の熱刺激により検査部位が熱刺激に慣れた状態での感覚閾値を取得することができる。
この種の検査では、熱刺激の付与を開始する時点で検査部位の温度と刺激面11aの温度とに温度差があると、計測した温覚閾値及び冷覚閾値のばらつきが大きくなる傾向(温覚閾値の平均値と冷覚閾値の平均値との差が大きくなる傾向)にある。ばらつきが大きい場合、定量性が低下する上、温覚閾値と冷覚閾値の差が大きくなる結果、検査時間も長くなってしまう。
図6は、本実施形態における感覚閾値の計測方法と温度センサを使用した計測方法との比較例を示す図である。図6において横軸が経過時間に対応し、縦軸が温度に対応する。本実施形態における感覚閾値の計測方法を実線で示し、温度センサを使用した計測方法を破線及び一点鎖線で示している。図6の例では、温覚閾値の計測と冷覚閾値の計測とを5回繰り返している。なお、ここでは、熱刺激の付与を開始する時点で検査部位の温度と刺激面11aの温度とに温度差の影響を説明するため、温度センサを使用した計測方法では、当該温度差を大きくしている。また、本実施形態における感覚閾値の計測方法に比べて被験者が自覚した感覚閾値のばらつきが大きく、本実施形態における感覚閾値の計測方法に比べて検査時間が長くなっていることが理解できる。すなわち、本実施形態における感覚閾値の計測方法は、温度センサを使用した計測方法に比べて、検査部位の温度と刺激面11aの温度とを一致させる際の時間と、検査時間自体が短くなり、かつ、ばらつきの少ない安定した計測ができるといえる。
続いて、図7に示すような、連続的に温度が上昇する熱刺激の付与を複数回実施した後、連続的に温度が下降する熱刺激の付与を複数回実施する状況下で感覚閾値を計測する事例(すなわち、温覚閾値を複数回続けて計測した後、冷覚閾値を複数回続けて計測する事例)について説明する。
図8は、当該感覚閾値の計測方法を示すフロー図である。当該フローは、被験者の検査部位が刺激面11aに接触された状態で、図示しない検査開始ボタンを通じて本体20に検査開始指示が入力されたことをトリガとして進行する。
検査開始指示が入力されると、基準調整部23aは、上述した手法により、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる(図8 ステップS801No)。当該処理が完了すると、基準調整部23aは、検査実施部23b及び演算部25にその旨を通知する(図8 ステップS801Yes)。このとき、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度をベース温度Tとして取得する。
基準調整部23aから上述の通知が入力された検査実施部23bは、刺激面11aの温度を上昇させる(図8 ステップS802)。刺激面11aの温度が上昇する過程で、被
験者が温覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を通知する(図8 ステップS803No、S803Yes)。
温覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得する。そして、演算部25は、被験者が温覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と上述のベース温度Tとの差を温覚閾値として算出する(図8 ステップS804)。
また、温覚の自覚が通知されると、検査実施部23bは、基準調整部23aに刺激面11aの温度を検査部位の温度と一致させるように指示する。当該指示を受けた基準調整部23aは、上述した手法により、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる(図8 ステップS805No、S801No)。当該処理が完了すると、基準調整部23aは、検査実施部23b及び演算部25にその旨を通知する(図8 ステップS801Yes)。このとき、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を新たなベース温度Tとして取得する。
基準調整部23aから上述の通知が入力された検査実施部23bは、刺激面11aの温度を上昇させる(図8 ステップS802)。この過程で、被験者が温覚を自覚した場合、被験者は入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を通知する(図8 ステップS803No、S803Yes)。
温覚の自覚が通知されると、演算部25は、温度取得部22を通じて刺激面11aの温度を取得する。そして、演算部25は、被験者が温覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と上述の新たなベース温度Tとの差を温覚閾値として算出する(図8 ステップS804)。
検査実施部23bは、以上のような、温覚閾値の計測を予め指定された回数だけ実施する。予め指定された回数に到達した場合、検査実施部23bは、熱刺激をベース温度から連続的に温度が下降する熱刺激を用いた同様の手法により、冷覚閾値の計測を予め指定された回数だけ実施する。予め指定された回数に到達した場合、温度調整素子12への電力供給を停止する(図8 ステップS805Yes)。
以上のように、この事例では、基準調整部23aは、入力部24を通じて被験者による入力がなされる都度、熱流センサ11により検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に温度調整素子12を制御することにより、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させる。このような一連の熱刺激により、温覚閾値及び冷覚閾値をそれぞれ複数回計測する検査を短時間で実施することが可能となる。
以上説明したように、皮膚感覚刺激装置100では、熱流センサ11により検知される熱流束に基づいて、刺激面11aの温度と検査部位の温度とを同一にしている。本構成では、短時間で高精度に刺激面11aの温度と検査部位の温度とを一致させることができる。その結果、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができる。
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、演算部25は、痛覚閾値を、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面の温度とベース温度Tとの差により算出する構成を例示したが、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面の温度と、被験者が温覚又は冷覚を自覚した時点の刺激面の温度との差を痛覚閾値として算出してもよい。すなわち、図2(a)に示すような、連続的に温度が上昇する熱刺激を付与する状況下では、被験者が入力部24を通じて本体20に対して温覚を自覚した旨を
通知した後も温度上昇を継続し、被験者が入力部24を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する構成とする。そして、演算部25は、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、被験者が温覚を自覚した時点の刺激面11aの温度との差を痛覚閾値として算出する。このような構成によれば、C線維を伝わるslow painについて、自覚可能な刺激を基準として、痛みを感じる刺激の大きさを定量的に評価することができる。
同様に、図2(b)に示すような、連続的に温度が下降する熱刺激を付与する状況下では、被験者が入力部24を通じて本体20に対して冷覚を自覚した旨を通知した後も温度下降を継続し、被験者が入力部24を通じて本体20に対して痛覚を自覚した旨を通知する構成とする。そして、演算部25は、被験者が痛覚を自覚した時点の刺激面11aの温度と、被験者が冷覚を自覚した時点の刺激面11aの温度との差を痛覚閾値として算出する。このような構成によれば、Aδ線維を伝わるfast painについて、自覚可能な刺激を基準として、痛みを感じる刺激の大きさを定量的に評価することができる。
また、上記実施形態では、特に好ましい形態として、演算部25を備える構成としたが、演算部25を備えることは必須ではない。例えば、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚したときの刺激面11aの温度のみを出力する構成とし、感覚閾値を算出する演算を別途行う構成であってよい。さらに、入力部24を備えることも必須ではない。この場合、例えば、本体20に刺激面11aの温度を表示する表示部を設けるとともに、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚したときに、表示部に表示されている温度を試験者(オペレータ)が記録する構成とすることができる。また、表示部に特定の温度、あるいは、ベース温度Tと特定の温度差を有する温度が表示されているときに、被験者が温覚、冷覚、又は痛覚の程度を口頭で回答する構成とすることもできる。
また、図3、図5、図8に示すフロー図は、等価な作用を奏する範囲において各ステップの順序を適宜変更可能である。例えば、図5、図8に示すフロー図では、被験者による入力部を通じた入力がある度に感覚閾値を算出する構成としたが、感覚閾値を算出する演算は任意のタイミングで一括して行ってもよい。
さらに、図4、図7に示す熱刺激のプロファイルはあくまで例示であり、例えば、図2に例示したそれぞれのプロファイルを図4、図7に示す各回の熱刺激のプロファイルとして使用することも可能である。
本発明によれば、定量的でより再現性の高い検査をより短時間で実現することができ、皮膚感覚刺激装置及び感覚閾値の計測方法として有用である。
10 プローブ
11 熱流センサ
11a 刺激面
12 温度調整素子
21 熱流取得部
22 温度取得部
23 温度制御部
23a 基準調整部
23b 検査実施部
23c 電源部
24 入力部
25 演算部
30 検査部位

Claims (7)

  1. 被験者の皮膚面の検査部位に対して熱刺激を付与する皮膚感覚刺激装置であって、
    前記検査部位に対向して配置され、前記検査部位に前記熱刺激を付与する刺激面と、
    前記刺激面を通過する熱流束を検知する熱流センサと、
    前記刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子と、
    前記熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に前記温度調整素子を制御することにより、前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とを一致させる基準調整部と、
    前記基準調整部により前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態から前記温度調整素子を制御することにより前記刺激面の温度を上昇又は下降させる検査実施部と、
    を備える皮膚感覚刺激装置。
  2. 前記被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した旨を入力する入力部をさらに備え、
    前記検査実施部は、前記基準調整部により前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態から前記温度調整素子を制御することにより前記刺激面の温度を上昇又は下降させた後、前記入力部を通じて前記被験者による入力がなされる都度、前記刺激面の温度上昇と温度下降とを切り替える、請求項1記載の皮膚感覚刺激装置。
  3. 前記被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した旨を入力する入力部をさらに備え、
    前記基準調整部は、前記入力部を通じて前記被験者による入力がなされる都度、前記熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に前記温度調整素子を制御することにより、前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とを一致させる、請求項1記載の皮膚感覚刺激装置。
  4. 前記刺激面の温度を取得する温度取得部と、
    前記被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した時点の前記刺激面の温度と、前記基準調整部により前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態における前記刺激面の温度との差、あるいは前記被験者が痛覚を自覚した時点の前記刺激面の温度と、前記被験者が温覚又は冷覚を自覚した時点の前記刺激面の温度との差を感覚閾値として算出する演算部と、
    をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の皮膚感覚刺激装置。
  5. 前記刺激面の温度を取得する温度取得部をさらに備え、
    前記検査実施部は、前記基準調整部により前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態における前記刺激面の温度に対して予め指定された温度差を加算した温度に前記刺激面の温度を上昇又は下降させる、請求項1記載の皮膚感覚刺激装置。
  6. 前記予め指定された熱流束の範囲が−50W/m以上かつ+50W/m以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の皮膚感覚刺激装置。
  7. 被験者の皮膚面の検査部位に対して熱刺激を付与した際の感覚閾値の計測方法であって、
    前記検査部位に前記熱刺激を付与する刺激面を通過する熱流束を検知する熱流センサにより検知される熱流束が予め指定された範囲内となる状態に前記刺激面の温度を上昇又は下降させる温度調整素子を制御することにより、前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とを一致させるステップと、
    前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態から前記温度調整素子を制御することにより前記刺激面の温度を上昇又は下降させるステップと、
    前記被験者が温覚、冷覚、又は痛覚を自覚した時点の前記刺激面の温度と、前記刺激面の温度と前記検査部位の温度とが一致した状態における前記刺激面の温度との差、あるいは、前記被験者が痛覚を自覚した時点の前記刺激面の温度と、前記被験者が温覚又は冷覚を自覚した時点の前記刺激面の温度との差を感覚閾値として算出するステップと、
    を有する感覚閾値の計測方法。
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