JPH10179591A - 温度覚評価の測定方法及び装置 - Google Patents

温度覚評価の測定方法及び装置

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JPH10179591A
JPH10179591A JP29758897A JP29758897A JPH10179591A JP H10179591 A JPH10179591 A JP H10179591A JP 29758897 A JP29758897 A JP 29758897A JP 29758897 A JP29758897 A JP 29758897A JP H10179591 A JPH10179591 A JP H10179591A
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尚省 岡
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寛英 新里
Kazuyuki Oda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 末梢小径神経障害の診断に用いられる温度覚
として、熱流束より得られる量閾値を用いる方法および
装置に関する。 【解決手段】 被検者の皮膚面に対向させて温度刺激手
段の刺激面を配置した状態で、該温度刺激手段による温
度刺激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自覚す
る時点T2 までの熱流束と温度の経時変化に基づいて得
られる単位面積当たりの熱量である熱量閾値を温度覚評
価値とするようにした。また、上記熱量を時間T2 −T
1 で割って得られる熱流束の平均値を温度覚評価値とす
ること、あるいは、上記温度刺激手段による上記温度刺
激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自覚する時
点T2 に至る迄の最大熱流束を温度覚評価値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、末梢小径神経障害の
診断に用いられる温度覚として、熱流束より得られる量
閾値を用いる方法および装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】従来、温度感覚の評価法は温
度刺激手段を皮膚に接触させ、該温度刺激手段の温度を
上昇又は下降させ、被検者が温感又は冷感を自覚したと
きの温度をそれぞれ温覚閾値、冷覚閾値として評価する
温度覚測定法が用いられてきた。しかながらこの方法に
よると、同じ温度の温度刺激手段を皮膚に接触させても
その際の皮膚温により、温感・冷感に差異が生じる。
【0003】又、温度覚測定法における上記問題点の解
決法として、温感を感じた温度と冷感を感じた温度の差
をみる温度差識別閾値法が試みられている。しかしなが
糖尿病の病態進行に伴う温度に対する異常知覚は、冷感
が先に現れることが知られているところから、温感と冷
感の両方を別個に測定する必要があるが、上記の方法で
は、温感と冷感を個別に評価することは困難である。
【0004】本発明は上記従来の事情に鑑みて提案され
たものであって、温感・冷感を別々に、しかも皮膚温の
影響を受けずに評価する方法と装置を提供することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、被
検者の皮膚面に対向させて温度刺激手段の刺激面を配置
した状態で、該温度刺激手段による温度刺激開始時点T
1 から被検者が温冷感を自覚する時点T2 までの熱流束
と温度の経時変化に基づいて得られる単位面積当たりの
熱量である熱量閾値を温度覚評価値とするものである。
【0006】温冷感覚は皮膚表面と体外環境との間の熱
流の大きさを末梢神経が感じて、温感あるいは冷感を自
覚する。そこで、温度刺激手段の刺激面と皮膚との間に
生じる熱流を直接測定し、その積分値をもって閾値、す
なわち、熱流束閾値および熱量閾値として温冷感覚、す
なわち、温度覚を評価するようにしている。
【0007】
【実施の形態】図1は本発明に使用するセンサ部の概要
を示すものである。図1に示すように、温度刺激手段1
としてのペルチェ素子の刺激面を皮膚面に対向して配置
し、該温度刺激手段1の刺激面に接して熱流束センサ2
と温度センサ3を配置し、更にその上に保護板4を配置
する。
【0008】図2は上記センサ部より得られる温度と熱
流束の情報を処理する処理回路のブロック図を示すもの
である。被検者が上記保護板4上に例えば指先Fを置い
た状態でオペレータが、稼働スイッチSW1をONする
と温度測定手段11がセンサ部10より得られる測定開
始時点T1 での温度を測定して熱量閾値演算手段13に
伝送する。これとともに、温度刺激手段1の電源装置1
5がONされて温度を上昇または下降させ、被検者が熱
いまたは冷たいと感じたときに、被検者によって測定終
了指示スイッチSW2を押す。この間に上記温度測定手
段11より出力される温度情報および熱流束測定手段1
2より出力される熱流束情報は常時演算手段13に入力
され、ここで以下の式に従って演算された熱量閾値Qが
求められる。
【0009】
【数1】
【0010】図3は、熱流束qと温度の時間変化の例を
示すグラフであり、加熱時を図3(a)、冷却時を図3
(b)に示す。すなわち、図3においては、測定開始時
点T1 から被検者が上記測定終了指示スイッチSW2を
押す時点T2 までの熱流束qの積分値が熱量閾値Qとい
うことになる。
【0011】なお、熱流束qの値は、熱が体外に出る向
きを正とし、熱流束qの最大値は絶対値で定めている。
この例では、T1 からT2 の間の最大熱流束qmax は測
定終了時点T2 で現れているが、障害の程度によっては
2 に至る前に上記最大熱流束qmax が現れる場合もあ
る。
【0012】表1は上記のようにして演算した健常者6
人に対する温感と冷感に関する上記熱量閾値の測定結果
であり、比較のために、従来技術に係る温度差閾値も測
定して列記した。また表2は被検者7人に対する上記熱
量閾値と温度差閾値を列記するとともに、各値につい
て、健常者の値との比をとったものである。
【0013】また、表1、表2には、時間T1 −T2
平均熱流束及び最大熱流束も同時に列記し、表2には健
常者の値との比をとったものを示してある。なお、上記
被検者は、末梢神経障害者が対象であるが、糖尿病者が
多い。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】更に、図4は被検者の健常者に対する温度
差閾値の比をグラフにしたものであり、また図5は被検
者の健常者に対する熱量閾値の比をグラフにしたもので
ある。
【0017】この2つの表、およびグラフからも明らか
なように、従来用いられていた温度差閾値の比は2から
8倍程度の値であるのに対して、熱量閾値の比は2倍か
ら20倍の値と本実施例では顕著な差がみられ、障害の
程度によって比の値が大きく変化することが判る。従っ
て、この熱量閾値を温度覚の指標とすることでよりきめ
の細かな病状分析ができる可能性ができる。
【0018】尚、上記温度刺激手段1は電源装置15に
よって制御され、極端に温度が上昇あるいは下降するこ
とを防止している。また上記表1,2、あるいはグラフ
は表示手段14aやプリンタ14bで出力することがで
きる。
【0019】上記においては、上記温度刺激手段1によ
る温度刺激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自
覚する時点T2 までの熱量を温度覚評価値としている
が、更にこの熱量を上記温度刺激開始時点T1 から被検
者が温感又は冷感を自覚する時点T2 まで時間T2 −T
1 で割って得られる平均熱流束を温度覚評価値とするこ
ともできる。図6は、被検者の健常者に対する平均熱流
束の比をグラフに示したものである。
【0020】更に、上記温度刺激手段1による上記温度
刺激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自覚する
時点T2 に至る迄の最大熱流束を温度覚評価値とするこ
とも可能である。図7は、被検者の健常者に対する最大
熱流束の比をグラフに示したものである。
【0021】図6、7から、温度差閾値の比の傾向と同
様であり、温度差の指標とすることができる。被検者の
血流は環境温度によって異なることがあり、上記のよう
に温度刺激手段1で刺激を開始すること自体が環境温度
を変化させたことになる。従って、温度刺激手段1より
一定の熱量が与えられた場合であっても、熱流束は測定
対象となっている被検者の血流速度が変化し、これによ
って上記熱流束も変化する。すなわち、被検者の血流速
度が早くなるとそれだけ温度刺激手段1より被検者の皮
膚に向かって流れる熱量、即ち熱流束が多くなり、被検
者の血流が停滞すると熱流束も小さくなる。
【0022】従って、温度刺激手段1よりの熱流束は図
2に示すように、熱量閾値に至る迄にピークを形成する
ことがある。この熱流束の最大値を温度覚評価値とする
ことも可能である。
【0023】
【発明の効果】本発明により皮膚温の影響を受けず、温
感・冷感を独立に評価できるため、糖尿病の病態、把握
が的確にできる。また、容易にデ−タの採取、蓄積が可
能となる。従って、薬効の評価や病態、進行を早期に診
断でき、適切な治療へとつながる。
【0024】本装置は、短時間で検査が終わるため、外
来での検査も可能であり、広く病院に普及させることが
可能である。熱量閾値を測ることにより、温度覚の障害
のみならず、局部体温調節機能障害の診断が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するセンサ部を示す概要図であ
る。
【図2】本発明の方法を実施する装置のブロック図であ
る。
【図3】熱流束と温度の時間変化の例を示すグラフであ
る。
【図4】温度差閾値の健常者に対する比を示すグラフで
ある。
【図5】熱量閾値の健常者に対する比を示すグラフであ
る。
【図6】平均熱流束の健常者に対する比を示すグラフで
ある。
【図7】最大熱流束の健常者に対する比を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 温度刺激手段 Q 熱量閾値

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検者の皮膚面に対向させて温度刺激手
    段の刺激面を配置した状態で、該温度刺激手段による温
    度刺激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自覚す
    る時点T2 までの熱流束と温度の経時変化に基づいて得
    られる単位面積当たりの熱量である熱量閾値を温度覚評
    価値とすることを特徴とする温度覚評価の測定方法。
  2. 【請求項2】 上記熱量を時間T2 −T1 で割って得ら
    れる熱流束の平均値を温度覚評価値とする請求項1に記
    載の温度覚評価の測定方法。
  3. 【請求項3】 被検者の皮膚面に対向させて温度刺激手
    段の刺激面を配置した状態で、該温度刺激手段による上
    記温度刺激開始時点T1 から被検者が温感又は冷感を自
    覚する時点T2 に至る迄の最大熱流束を温度覚評価値と
    することを特徴とする温度覚評価の測定方法。
  4. 【請求項4】 温度刺激手段の刺激面に、温度センサと
    熱流束センサを配置するとともに、上記温度センサより
    得られる温度と熱流束センサより得られる熱流束に基づ
    いて熱量閾値を演算する演算手段とを備えることを特徴
    とする温度覚評価の測定装置。
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